JP2019098784A - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ジェネレータの回転速度がゼロ近傍でもドライバの要求するトルクを出力することができるハイブリッド車両の制御装置を提供すること。【解決手段】エンジン2の出力軸3と、第1モータジェネレータ4のロータ軸13と、第2モータジェネレータ5のロータ軸16と、駆動軸7とが連結された遊星歯車機構8と、第1モータジェネレータ4及び第2モータジェネレータ5へ電力を供給するバッテリ21と、第1モータジェネレータ4の回転速度がゼロ近傍の場合に、バッテリ21の入出力制限値と、第2モータジェネレータ5のパワーと、に基づいて第1モータジェネレータ4のトルクを制限して、目標エンジントルクの上下限値を算出するハイブリッドECU52と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、ハイブリッド車両の制御装置に関する。
従来、遊星歯車機構のキャリア、サンギア、リングギアに、それぞれエンジン、ジェネレータ、駆動軸が接続されるとともに、駆動軸にモータが接続され、ジェネレータ及びモータと電力をやりとりするバッテリが設けられたハイブリッド車両が知られている。
特許文献1には、バッテリ電圧が高くてもインバータに加わる負荷が大きくなるのを防止するために、バッテリ電圧が閾値より高い場合にエンジントルクを制限することが記載されている。
特開2003−61203号公報
特許文献1に記載のようなハイブリッド車両では、ジェネレータの回転がエンジンの回転と同方向の正回転の場合には、エンジンの出力トルクを制限することによりジェネレータの発電電力が減少しバッテリの過電圧を防止することができる。
しかしながら、ジェネレータの回転が負回転でエンジンが正回転の方向にトルクを出力している場合、ジェネレータの出力トルクは負回転の方向であるため、ジェネレータは電力を消費する側となる。このとき、エンジンの出力トルクを制限するとジェネレータでの消費電力が減少し、バッテリの過電圧を防止できないだけでなく、過電圧を助長させてしまうという問題があった。
このような問題に対応するため、モータとジェネレータの最大最小のトルク制限、バッテリの入出力パワー制限に応じて、エンジントルクの上限及び下限を適切に制限することが考えられる。
しかしながら、このような対応をしても、12V系の消費電力やモータやジェネレータにおける損失等の合計がバッテリ自体の放電制限より大きくなった場合などにバッテリの出力制限の値が負の値(放電側を正の値、充電側を負の値とする)になると、ジェネレータの回転速度がゼロ近傍で、駆動軸トルクの急変が発生するなどのドライバの要求するトルクを出力できないときがある。
そこで、本発明は、ジェネレータの回転速度がゼロ近傍でもドライバの要求するトルクを出力することができるハイブリッド車両の制御装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するため本発明は、少なくとも3つの回転要素を有し、前記回転要素のいずれかにエンジンの出力軸、第1モータジェネレータの回転軸、第2モータジェネレータの回転軸がそれぞれ接続され、前記エンジンと、前記第1モータジェネレータと、前記第2モータジェネレータとの間で動力を授受させ前記回転要素のいずれかから駆動輪を駆動させる駆動トルクを出力させる動力伝達機構と、前記第1モータジェネレータ及び前記第2モータジェネレータへ電力を供給するバッテリと、を有するハイブリッド車両の駆動制御装置であって、前記第1モータジェネレータの回転速度がゼロ近傍の場合に、前記バッテリの入出力制限値と、前記第2モータジェネレータの現状の回転速度で可能なパワーと、に基づいて前記第1モータジェネレータのトルクを制限する制御部を備えるものである。
このように、本発明によれば、ジェネレータの回転速度がゼロ近傍でもドライバの要求するトルクを出力することができる。
図1は、本発明の第1実施例に係るハイブリッド車両の制御装置を搭載したハイブリッド車両の要部を示す構成図である。 図2は、本発明の第1実施例に係るハイブリッド車両の制御装置を搭載したハイブリッド車両を構成する各軸の回転速度の関係を示す共線図である。 図3は、本発明の第1実施例に係るハイブリッド車両の制御装置の第1の機能ブロック図である。 図4は、本発明の第1実施例に係るハイブリッド車両の制御装置によって参照される第1モータジェネレータ回転速度による第1下限トルクマップを示す概念図である。 図5は、本発明の第1実施例に係るハイブリッド車両の制御装置によって参照される第1モータジェネレータ回転速度による第2下限トルクマップを示す概念図である。 図6は、本発明の第1実施例に係るハイブリッド車両の制御装置によって参照される第1モータジェネレータ回転速度による第1上限トルクマップを示す概念図である。 図7は、本発明の第1実施例に係るハイブリッド車両の制御装置によって参照される第1モータジェネレータ回転速度による第2上限トルクマップを示す概念図である。 図8は、本発明の第1実施例に係るハイブリッド車両の制御装置によるエンジントルク制御処理の手順を示すフローチャートである。 図9は、本発明の第1実施例に係るハイブリッド車両の制御装置の第1モータジェネレータ回転速度によるエンジントルク指令値の第1の変化を示すグラフである。 図10は、本発明の第1実施例に係るハイブリッド車両の制御装置の第1モータジェネレータ回転速度によるエンジントルク指令値の第2の変化を示すグラフである。 図11は、本発明の第1実施例に係るハイブリッド車両の制御装置の第2の機能ブロック図である。 図12は、本発明の第1実施例に係るハイブリッド車両の制御装置によって参照される第2モータジェネレータ回転速度による第1下限トルクマップを示す概念図である。 図13は、本発明の第1実施例に係るハイブリッド車両の制御装置によって参照される第2モータジェネレータ回転速度による第2下限トルクマップを示す概念図である。 図14は、本発明の第1実施例に係るハイブリッド車両の制御装置によって参照される第2モータジェネレータ回転速度による第1上限トルクマップを示す概念図である。 図15は、本発明の第1実施例に係るハイブリッド車両の制御装置によって参照される第2モータジェネレータ回転速度による第2上限トルクマップを示す概念図である。 図16は、本発明の第1実施例に係るハイブリッド車両の制御装置による第2モータジェネレータトルク制御処理の手順を示すフローチャートである。 図17は、本発明の第1実施例に係るハイブリッド車両の制御装置の第2モータジェネレータ回転速度による第2モータジェネレータトルク指令値の第1の変化を示すグラフである。 図18は、本発明の第1実施例に係るハイブリッド車両の制御装置の第2モータジェネレータ回転速度による第2モータジェネレータトルク指令値の第2の変化を示すグラフである。 図19は、本発明の第1実施例の他の態様に係るハイブリッド車両の制御装置の第1の機能ブロック図である。 図20は、本発明の第1実施例の他の態様に係るハイブリッド車両の制御装置によって参照される第1モータジェネレータ回転速度による充電側バッテリ許容電力上限マップを示す概念図である。 図21は、本発明の第1実施例の他の態様に係るハイブリッド車両の制御装置によって参照される第1モータジェネレータ回転速度による放電側バッテリ許容電力下限マップを示す概念図である。 図22は、本発明の第1実施例の他の態様に係るハイブリッド車両の制御装置によるエンジントルク制御処理の手順を示すフローチャートである。 図23は、本発明の第1実施例の他の態様に係るハイブリッド車両の制御装置の第1モータジェネレータ回転速度による充電側バッテリ許容電力上限及び放電側バッテリ許容電力下限の第1の変化を示すグラフである。 図24は、本発明の第1実施例の他の態様に係るハイブリッド車両の制御装置の第1モータジェネレータ回転速度によるエンジントルク指令値の第1の変化を示すグラフである。 図25は、本発明の第1実施例の他の態様に係るハイブリッド車両の制御装置の第1モータジェネレータ回転速度による充電側バッテリ許容電力上限及び放電側バッテリ許容電力下限の第2の変化を示すグラフである。 図26は、本発明の第1実施例の他の態様に係るハイブリッド車両の制御装置の第1モータジェネレータ回転速度によるエンジントルク指令値の第2の変化を示すグラフである。 図27は、本発明の第1実施例の他の態様に係るハイブリッド車両の制御装置の第2の機能ブロック図である。 図28は、本発明の第1実施例の他の態様に係るハイブリッド車両の制御装置によって参照される第2モータジェネレータ回転速度による充電側バッテリ許容電力上限マップを示す概念図である。 図29は、本発明の第1実施例の他の態様に係るハイブリッド車両の制御装置によって参照される第2モータジェネレータ回転速度による放電側バッテリ許容電力下限マップを示す概念図である。 図30は、本発明の第1実施例の他の態様に係るハイブリッド車両の制御装置による第2モータジェネレータトルク制御処理の手順を示すフローチャートである。 図31は、本発明の第1実施例の他の態様に係るハイブリッド車両の制御装置の第2モータジェネレータ回転速度による充電側バッテリ許容電力上限及び放電側バッテリ許容電力下限の第1の変化を示すグラフである。 図32は、本発明の第1実施例の他の態様に係るハイブリッド車両の制御装置の第2モータジェネレータ回転速度による第2モータジェネレータトルク指令値の第1の変化を示すグラフである。 図33は、本発明の第1実施例の他の態様に係るハイブリッド車両の制御装置の第2モータジェネレータ回転速度による充電側バッテリ許容電力上限及び放電側バッテリ許容電力下限の第2の変化を示すグラフである。 図34は、本発明の第1実施例の他の態様に係るハイブリッド車両の制御装置の第2モータジェネレータ回転速度による第2モータジェネレータトルク指令値の第2の変化を示すグラフである。 図35は、本発明の第2実施例に係るハイブリッド車両の制御装置を搭載したハイブリッド車両の要部を示す構成図である。 図36は、本発明の第2実施例に係るハイブリッド車両の制御装置を搭載したハイブリッド車両を構成する各軸の回転速度の第1の関係を示す共線図である。 図37は、本発明の第2実施例に係るハイブリッド車両の制御装置を搭載したハイブリッド車両を構成する各軸の回転速度の第2の関係を示す共線図である。 図38は、本発明の第2実施例に係るハイブリッド車両の制御装置の第1の機能ブロック図である。 図39は、本発明の第2実施例に係るハイブリッド車両の制御装置の第2の機能ブロック図である。 図40は、本発明の第2実施例に係るハイブリッド車両の制御装置によるエンジントルク制御処理の手順を示すフローチャートである。 図41は、本発明の第2実施例に係るハイブリッド車両の制御装置の第2モータジェネレータ回転速度によるエンジントルク指令値の第1の変化を示すグラフである。 図42は、本発明の第2実施例に係るハイブリッド車両の制御装置の第2モータジェネレータ回転速度によるエンジントルク指令値の第2の変化を示すグラフである。 図43は、本発明の第2実施例の他の態様に係るハイブリッド車両の制御装置の機能ブロック図である。 図44は、本発明の第2実施例の他の態様に係るハイブリッド車両の制御装置によるエンジントルク制御処理の手順を示すフローチャートである。 図45は、本発明の第2実施例の他の態様に係るハイブリッド車両の制御装置の第2モータジェネレータ回転速度による充電側バッテリ許容電力上限及び放電側バッテリ許容電力下限の第1の変化を示すグラフである。 図46は、本発明の第2実施例の他の態様に係るハイブリッド車両の制御装置の第2モータジェネレータ回転速度による第2モータジェネレータトルク指令値の第1の変化を示すグラフである。 図47は、本発明の第2実施例の他の態様に係るハイブリッド車両の制御装置の第2モータジェネレータ回転速度による充電側バッテリ許容電力上限及び放電側バッテリ許容電力下限の第2の変化を示すグラフである。 図48は、本発明の第1実施例の他の態様に係るハイブリッド車両の制御装置の第2モータジェネレータ回転速度による第2モータジェネレータトルク指令値の第2の変化を示すグラフである。
本発明の一実施の形態に係るハイブリッド車両の制御装置は、少なくとも3つの回転要素を有し、回転要素のいずれかにエンジンの出力軸、第1モータジェネレータの回転軸、第2モータジェネレータの回転軸がそれぞれ接続され、エンジンと、第1モータジェネレータと、第2モータジェネレータとの間で動力を授受させ回転要素のいずれかから駆動輪を駆動させる駆動トルクを出力させる動力伝達機構と、第1モータジェネレータ及び第2モータジェネレータへ電力を供給するバッテリと、を有するハイブリッド車両の駆動制御装置であって、第1モータジェネレータの回転速度がゼロ近傍の場合に、バッテリの入出力制限値と、第2モータジェネレータの現状の回転速度で可能なパワーと、に基づいて第1モータジェネレータのトルクを制限する制御部を備えるよう構成されている。
これにより、ジェネレータの回転速度がゼロ近傍でもドライバの要求するトルクを出力することができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施例に係るハイブリッド車両の制御装置について詳細に説明する。
(第1実施例)
図1において、本発明の第1実施例に係るハイブリッド車両の制御装置を搭載したハイブリッド車両(以下、単に「車両」という)1は、内燃機関型のエンジン2と、第1モータジェネレータ4と、第2モータジェネレータ5と、駆動輪6と、駆動輪6に動力を伝達可能に連結された駆動軸7と、遊星歯車機構8と、第1インバータ19と、第2インバータ20と、制御部としてのハイブリッドECU(Electronic Control Unit)52と、エンジンECU53と、モータECU54と、バッテリECU55とを含んで構成される。
エンジン2は、吸気行程、圧縮行程、膨張行程及び排気行程からなる一連の4行程を行なう4サイクルのエンジンによって構成されている。エンジン2の出力軸3は、遊星歯車機構8に連結されている。
第1モータジェネレータ4は、ロータ軸13と、ロータ14と、ステータ15とを有している。ロータ14には、複数の永久磁石が埋め込まれている。ステータ15は、ステータコア及びステータコアに巻き掛けられた三相コイルを有している。ステータ15の三相コイルは、第1インバータ19に接続されている。
このように構成された第1モータジェネレータ4において、ステータ15の三相コイルに三相交流電力が供給されると、ステータ15によって回転磁界が形成される。この回転磁界にロータ14に埋め込まれた永久磁石が引かれることにより、ロータ14がロータ軸13周りに回転駆動される。すなわち、第1モータジェネレータ4は、電動機として機能し、車両1を駆動する駆動力を生成することができる。
また、ロータ14がロータ軸13周りに回転すると、ロータ14に埋め込まれた永久磁石によって回転磁界が形成され、この回転磁界によりステータ15の三相コイルに誘導電流が流れることにより、三相の交流電力が発生する。すなわち、第1モータジェネレータ4は、発電機としても機能する。
第1インバータ19は、モータECU54の制御により、バッテリ21などから供給された直流の電力を三相の交流電力に変換する。この三相の交流電力は、第1モータジェネレータ4のステータ15の三相コイルに供給される。
第1インバータ19は、モータECU54の制御により、第1モータジェネレータ4によって生成された三相の交流電力を直流の電力に変換する。この直流の電力は、例えば、バッテリ21を充電する。
第2モータジェネレータ5は、ロータ軸16と、ロータ17と、ステータ18とを有している。ロータ17には、複数の永久磁石が埋め込まれている。ステータ18は、ステータコア及びステータコアに巻き掛けられた三相コイルを有している。ステータ18の三相コイルは、第2インバータ20に接続されている。
このように構成された第2モータジェネレータ5において、ステータ18の三相コイルに三相交流電力が供給されると、ステータ18によって回転磁界が形成される。この回転磁界にロータ17に埋め込まれた永久磁石が引かれることにより、ロータ17がロータ軸16周りに回転駆動される。すなわち、第2モータジェネレータ5は、電動機として機能し、車両1を駆動する駆動力を生成することができる。
また、ロータ17がロータ軸16周りに回転すると、ロータ17に埋め込まれた永久磁石によって回転磁界が形成され、この回転磁界によりステータ18の三相コイルに誘導電流が流れることにより、三相の交流電力が発生する。すなわち、第2モータジェネレータ5は、発電機としても機能する。
第2インバータ20は、モータECU54の制御により、バッテリ21などから供給された直流の電力を三相の交流電力に変換する。この三相の交流電力は、第2モータジェネレータ5のステータ18の三相コイルに供給される。
第2インバータ20は、モータECU54の制御により、第2モータジェネレータ5によって生成された三相の交流電力を直流の電力に変換する。この直流の電力は、例えば、バッテリ21を充電する。
遊星歯車機構8は、サンギア22と、サンギア22の外歯に噛み合う複数のプラネタリギア23と、複数のプラネタリギア23に内歯が噛み合うリングギア25と、プラネタリギア23を自転可能に支持するプラネタリキャリア24とを備えている。
遊星歯車機構8のサンギア22は、第1モータジェネレータ4のロータ14と一体に回転するように、中空のロータ軸13に連結されている。第1遊星歯車機構8のプラネタリキャリア24は、エンジン2の出力軸3と一体に回転するように連結されている。
遊星歯車機構8のリングギア25には、第2モータジェネレータ5のロータ17と一体に回転するようにロータ軸16に連結されている。また、第1遊星歯車機構8のリングギア25は、デファレンシャルギア及びその他のギアを含むギア機構35を介して駆動軸7を回転させるように設けられている。
このように、遊星歯車機構8は、エンジン2と、第1モータジェネレータ4と、第2モータジェネレータ5と、駆動軸7との間で駆動力を授受させるようになっている。例えば、遊星歯車機構8は、エンジン2と、第1モータジェネレータ4と、第2モータジェネレータ5とによって生成された動力を駆動軸7に伝達するようになっている。遊星歯車機構8は、動力伝達機構を構成する。
図2に示すように、第1モータジェネレータ4のロータ軸13の回転速度と、エンジン2の出力軸3の回転速度と、ギア機構35を介して駆動輪6に動力を伝達する第1遊星歯車機構8のリングギア25の回転速度(以下、単に「駆動回転速度」という。)及び、第2モータジェネレータ5のロータ軸16の回転速度との関係は、共線図で表すことができる。
図2に示す共線図において、各縦軸は、図中、左から第1モータジェネレータ4のロータ軸13の回転速度(図中、MG1)と、エンジン2の出力軸3の回転速度(図中、E/G)と、駆動回転速度(図中、OUT)及び、第2モータジェネレータ5のロータ軸16の回転速度(図中、MG2)をそれぞれ表している。
遊星歯車機構8のサンギア22の歯数をZsとし、遊星歯車機構8のリングギア25の歯数をZrとすると、遊星歯車機構8のレバー比K1は、Zr/Zsとなる。
図1において、ハイブリッドECU52、エンジンECU53、モータECU54及びバッテリECU55は、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、バックアップ用のデータなどを保存するフラッシュメモリと、入力ポートと、出力ポートとを備えたコンピュータユニットによってそれぞれ構成されている。
これらのコンピュータユニットのROMには、各種定数や各種マップ等とともに、当該コンピュータユニットをハイブリッドECU52、エンジンECU53、モータECU54及びバッテリECU55としてそれぞれ機能させるためのプログラムが格納されている。
すなわち、CPUがRAMを作業領域としてROMに格納されたプログラムを実行することにより、これらのコンピュータユニットは、本実施の形態におけるハイブリッドECU52、エンジンECU53、モータECU54及びバッテリECU55としてそれぞれ機能する。
車両1には、CAN(Controller Area Network)等の規格に準拠した車内LAN(Local Area Network)を形成するためのCAN通信線39が設けられている。ハイブリッドECU52、エンジンECU53、モータECU54及びバッテリECU55は、CAN通信線39を介して制御信号等の信号の送受信を相互に行なう。
ハイブリッドECU52は、主として、エンジンECU53、モータECU54及びバッテリECU55などの各種ECUを統括的に制御する。エンジンECU53は、主として、エンジン2を制御する。
モータECU54は、主として、第1インバータ19及び第2インバータ20を介して第1モータジェネレータ4及び第2モータジェネレータ5をそれぞれ制御する。バッテリECU55は、主として、バッテリ21の状態を管理する。
また、モータECU54は、第1インバータ19及び第2インバータ20を介して第1モータジェネレータ4及び第2モータジェネレータ5の回転速度を検出し、第1モータジェネレータ4及び第2モータジェネレータ5の回転速度から駆動回転速度を算出する。
第1実施例において、バッテリECU55の入力ポートには、バッテリ状態検出センサ60が接続されている。バッテリ状態検出センサ60は、バッテリ21の充放電電流、電圧及びバッテリ温度を検出する。バッテリECU55は、バッテリ状態検出センサ60から入力される充放電電流の値、電圧の値及びバッテリ温度の値に基づき、バッテリ21の残容量(以下、「SOC」という)などを検出する。
バッテリ状態検出センサ60は、例えば、バッテリ21の充放電電流を検出する電流センサと、バッテリ21の電圧を検出する電圧センサと、バッテリ温度を検出する温度センサとを含んで構成される。なお、電流センサと電圧センサと温度センサとは、個別に設けてもよい。
ハイブリッドECU52の入力ポートには、アクセル開度センサ62を含む各種センサ類が接続されている。アクセル開度センサ62は、アクセルペダル61の操作量(以下、単に「アクセル開度」という)を検出する。
ハイブリッドECU52は、アクセル開度センサ62により検出されたアクセル開度と、駆動回転速度などに基づいて、ドライバの要求する目標駆動トルク(遊星歯車機構8のリングギア25に出力されるトルク)を算出する。ハイブリッドECU52は、目標駆動トルクが遊星歯車機構8のリングギア25に出力されるようエンジン2や第1モータジェネレータ4、第2モータジェネレータ5を制御する。
ハイブリッドECU52は、目標駆動トルクやバッテリ21の充電状態などに基づいて、エンジン2に出力させるトルクである目標エンジントルクを算出する。
ハイブリッドECU52は、バッテリ21の放電側及び充電側のバッテリ許容電力と第2モータジェネレータ5の最大トルク及び最小トルクに基づいて、エンジン2に許容される上限トルクと下限トルクを算出する。ハイブリッドECU52は、目標エンジントルクを上限トルクと下限トルクで制限し、エンジン2へのトルク指令値とする。放電側バッテリ許容電力とは、バッテリ21の過放電を防止するための放電する電力の上限値である。充電側バッテリ許容電力とは、バッテリ21の過充電を防止するための充電する電力の上限値である。
図3に示すように、ハイブリッドECU52は、ENG第1上限トルク算出部101、ENG第1下限トルク算出部102、MG1第1下限トルク算出部103、MG1第2下限トルク算出部104、MG1第1上限トルク算出部105、MG1第2上限トルク算出部106、ENG第2上限トルク算出部107、ENG第2下限トルク算出部108を備えている。
ENG第1上限トルク算出部101は、バッテリ21の放電側及び充電側のバッテリ許容電力と、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、第2モータジェネレータ5の最大トルク及び最小トルクとに基づいて、エンジン2に許容される第1上限トルクを以下の式(1)から(3)により算出する。
前進(Nmg2≧0)かつNmg1<0の場合
Tet max1=((1+K1)×Nmg2/Nmg1)×Tmg2min-(1+K1)×60/(2πNmg1)×Pbatt max・・・(1)
前進(Nmg2≧0)かつNmg1>0の場合
Tet max1=((1+K1)×Nmg2/Nmg1)×Tmg2max-(1+K1)×60/(2πNmg1)×Pbatt min・・・(2)
後進(Nmg2<0)の場合
Tet max1=((1+K1)×Nmg2/Nmg1)×Tmg2min-(1+K1)×60/(2πNmg1)×Pbatt min・・・(3)
ここで、Tet max1は、エンジン2の第1上限トルク[Nm]である。Tmg2maxは、第2モータジェネレータ5の最大トルク[Nm]であり、正の値をとる。Tmg2minは、第2モータジェネレータ5の最小トルク[Nm]であり、負の値をとる。Nmg1は、第1モータジェネレータ4のロータ軸13の回転速度[rpm]である。Nmg2は、第2モータジェネレータ5のロータ軸16の回転速度[rpm]である。Pbatt maxは、バッテリ21の放電側バッテリ許容電力[W]である。Pbatt minは、バッテリ21の充電側バッテリ許容電力[W]である。K1は、遊星歯車機構8のリングギア歯数Zrとサンギア歯数Zsの比、Zr/Zsである。
また、バッテリ21の放電側バッテリ許容電力Pbatt max、充電側バッテリ許容電力Pbatt minは、バッテリ状態検出センサ60が検出するバッテリ21の電圧、バッテリ21の温度、及び、バッテリECU55が算出したバッテリ21の残容量(SOC:State Of Charge)などからハイブリッドECU52が算出する。
また、第2モータジェネレータ5の最大トルク、第2モータジェネレータ5の最小トルクは、第2インバータ20が第2モータジェネレータの回転速度や第2モータジェネレータの温度等に基づいて算出する。
ENG第1下限トルク算出部102は、バッテリ21の放電側及び充電側のバッテリ許容電力と、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、第2モータジェネレータ5の最大トルク及び最小トルクとに基づいて、エンジン2に許容される第1下限トルクを以下の式(4)から(6)により算出する。
前進(Nmg2≧0)かつNmg1<0の場合
Tet min1=((1+K1)×Nmg2/Nmg1)×Tmg2max-(1+K1)×60/(2πNmg1)×Pbatt min・・・(4)
前進(Nmg2≧0)かつNmg1>0の場合
Tet min1=((1+K1)×Nmg2/Nmg1)×Tmg2min-(1+K1)×60/(2πNmg1)×Pbatt max・・・(5)
後進(Nmg2<0)の場合
Tet min1=((1+K1)×Nmg2/Nmg1)×Tmg2max-(1+K1)×60/(2πNmg1)×Pbatt max・・・(6)
ここで、Tet min1は、エンジン2の第1下限トルク[Nm]である。
MG1第1下限トルク算出部103は、バッテリ21の放電側のバッテリ許容電力と、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、第2モータジェネレータ5の最小トルクとに基づいて、図4に示すようなマップを検索して第1モータジェネレータ4の第1下限トルクを算出する。
この検索マップは、Pbatt max-Nmg2×Tmg2min×2π/60の値がゼロ近傍及び正の領域で、かつNmg1がゼロ近傍の場合に、第1モータジェネレータの負側のトルクが制限されるように設定する。
MG1第2下限トルク算出部104は、バッテリ21の充電側のバッテリ許容電力と、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、第2モータジェネレータ5の最大トルクとに基づいて、図5に示すようなマップを検索して第1モータジェネレータ4の第2下限トルクを算出する。
この検索マップは、Pbatt min-Nmg2×Tmg2max×2π/60の値がゼロ近傍及び負の領域で、かつNmg1がゼロ近傍の場合に、第1モータジェネレータの負側のトルクが制限されるように設定する。
MG1第1上限トルク算出部105は、バッテリ21の放電側のバッテリ許容電力と、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、第2モータジェネレータ5の最小トルクとに基づいて、図6に示すようなマップを検索して第1モータジェネレータ4の第1上限トルクを算出する。
この検索マップは、Pbatt max-Nmg2×Tmg2min×2π/60の値がゼロ近傍及び正の領域で、かつNmg1がゼロ近傍の場合に、第1モータジェネレータの正側のトルクが制限されるように設定する。
MG1第2上限トルク算出部106は、バッテリ21の充電側のバッテリ許容電力と、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、第2モータジェネレータ5の最大トルクとに基づいて、図7に示すようなマップを検索して第1モータジェネレータ4の第2上限トルクを算出する。
この検索マップは、Pbatt min-Nmg2×Tmg2max×2π/60の値がゼロ近傍及び負の領域で、かつNmg1がゼロ近傍の場合に、第1モータジェネレータの正側のトルクが制限されるように設定する。
ENG第2上限トルク算出部107は、第1モータジェネレータ最小トルクを、MG1第1下限トルク算出部103の算出した第1モータジェネレータ第1下限トルクとMG1第2下限トルク算出部104の算出した第1モータジェネレータ第2下限トルクによって下限制限し、第1モータジェネレータ下限トルクとする。
すなわち、第1モータジェネレータ最小トルク、第1モータジェネレータ第1下限トルク、第1モータジェネレータ第2下限トルクの最大値を第1モータジェネレータ下限トルクとする。
ENG第2上限トルク算出部107は、以下の式(7)によりエンジン第2上限トルクを算出する。
Te max2=-(1+K1)×Tmg1min・・・(7)
ここで、Te max2は、エンジン2の第2上限トルク[Nm]である。Tmg1minは、第1モータジェネレータ下限トルク[Nm]である。
また、第1モータジェネレータ4の最小トルクは、第1インバータ19が第1モータジェネレータの回転速度や第1モータジェネレータの温度等に基づいて算出する。
ENG第2下限トルク算出部108は、第1モータジェネレータ最大トルクを、MG1第1上限トルク算出部105の算出した第1モータジェネレータ第1上限トルクとMG1第2上限トルク算出部106の算出した第1モータジェネレータ第2上限トルクによって上限制限し、第1モータジェネレータ上限トルクとする。
すなわち、第1モータジェネレータ最大トルク、第1モータジェネレータ第1上限トルク、第1モータジェネレータ第2上限トルクの最小値を第1モータジェネレータ上限トルクとする。
ENG第2下限トルク算出部108は、以下の式(8)によりエンジン第2下限トルクを算出する。
Te min2=-(1+K1)×Tmg1max・・・(8)
ここで、Te min2は、エンジン2の第2下限トルク[Nm]である。Tmg1maxは、第1モータジェネレータ上限トルク[Nm]である。
また、第1モータジェネレータ4の最大トルクは、第1インバータ19が第1モータジェネレータの回転速度や第1モータジェネレータの温度等に基づいて算出する。
ハイブリッドECU52は、目標エンジントルクを、ENG第1上限トルク算出部101の算出するエンジン第1上限トルクとENG第2上限トルク算出部107の算出するエンジン第2上限トルクによって上限制限する。ハイブリッドECU52は、上限制限された目標エンジントルクを、ENG第1下限トルク算出部102の算出するエンジン第1下限トルクとENG第2下限トルク算出部108の算出するエンジン第2下限トルクによって下限制限する。ハイブリッドECU52は、下限制限された目標エンジントルクを、ENG第2上限トルク算出部107の算出するエンジン第2上限トルクによって上限制限してエンジントルク指令値とする。
すなわち、ハイブリッドECU52は、目標エンジントルク、エンジン第1上限トルク、エンジン第2上限トルクの最小値をとり、その最小値、エンジン第1下限トルク、エンジン第2下限トルクの最大値をとり、その最大値、エンジン第2上限トルクの最小値をエンジントルク指令値とする。
ハイブリッドECU52は、算出されたエンジントルク指令値をエンジンECU53に送信してエンジン2を制御させる。
なお、バッテリパワーに基づく制限値であるエンジン第1上限トルク及びエンジン第1下限トルクに関しては、エンジン第1上限トルクが負の値となる場合や、エンジン第1下限トルクが正の値になる場合がある。このような場合であってもエンジン回転速度を第1モータジェネレータによって制御可能とするために、第1モータジェネレータトルクに基づく制限値であるエンジン第2上限トルクとエンジン第2下限トルクによる制限が優先されるようにする。
さらに、バッテリ21のバッテリ許容電力から12V系に電力を供給するDCDCコンバータの消費電力やモータジェネレータやインバータにおける損失パワーを減算した値をバッテリ許容電力とすれば、より正確にバッテリ許容電力を守ることができる。
以上のように構成された第1実施例に係るハイブリッド車両の制御装置によるエンジントルク制御処理について、図8を参照して説明する。なお、以下に説明するエンジントルク制御処理は、ハイブリッドECU52が動作を開始すると開始され、予め設定された時間間隔で実行される。
ステップS1において、ハイブリッドECU52は、処理に使用する各種信号の取り込みを行なう。
ステップS2において、ハイブリッドECU52は、各種信号に基づいて、エンジン2で出力すべき目標エンジントルクを算出する。
ステップS3において、ハイブリッドECU52は、第2モータジェネレータ5の最大トルク及び最小トルクと、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、バッテリ21の放電側及び充電側のバッテリ許容電力とから、エンジン第1上限トルクを上述の式(1)から(3)により算出する。
ステップS4において、ハイブリッドECU52は、第2モータジェネレータ5の最大トルク及び最小トルクと、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、バッテリ21の放電側及び充電側のバッテリ許容電力とから、エンジン第1下限トルクを上述の式(4)から(6)により算出する。
ステップS5において、ハイブリッドECU52は、第2モータジェネレータ5の最小トルクと、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、バッテリ21の放電側のバッテリ許容電力とから、図6に示すようなマップを検索して第1モータジェネレータ第1上限トルクを算出する。
ステップS6において、ハイブリッドECU52は、第2モータジェネレータ5の最小トルクと、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、バッテリ21の放電側のバッテリ許容電力とから、図4に示すようなマップを検索して第1モータジェネレータ第1下限トルクを算出する。
ステップS7において、ハイブリッドECU52は、第2モータジェネレータ5の最大トルクと、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、バッテリ21の充電側のバッテリ許容電力とから、図7に示すようなマップを検索して第1モータジェネレータ第2上限トルクを算出する。
ステップS8において、ハイブリッドECU52は、第2モータジェネレータ5の最大トルクと、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、バッテリ21の充電側のバッテリ許容電力とから、図5に示すようなマップを検索して第1モータジェネレータ第2下限トルクを算出する。
ステップS9において、ハイブリッドECU52は、第1モータジェネレータ最小トルクを、第1モータジェネレータ第1下限トルクと第1モータジェネレータ第2下限トルクによって下限制限し、上述の式(7)によりエンジン第2上限トルクを算出する。
ステップS10において、ハイブリッドECU52は、第1モータジェネレータ最大トルクを、第1モータジェネレータ第1上限トルクと第1モータジェネレータ第2上限トルクによって上限制限し、上述の式(8)によりエンジン第2下限トルクを算出する。
ステップS11において、ハイブリッドECU52は、目標エンジントルクを、エンジン第1上限トルクとエンジン第2上限トルクによって上限制限する。ハイブリッドECU52は、上限制限された目標エンジントルクを、エンジン第1下限トルクとエンジン第2下限トルクによって下限制限する。ハイブリッドECU52は、下限制限された目標エンジントルクを、エンジン第2上限トルクによって上限制限してエンジントルク指令値として、処理を終了する。
このように、第1モータジェネレータ4の回転速度がゼロ近傍の場合に、第1モータジェネレータ4の最小トルクを、現状の第2モータジェネレータ5の回転速度により第2モータジェネレータ5が発電可能なパワー(発電なので負の値)をバッテリ21の出力制限値から減算した値が小さいほど最小トルクの絶対値が小さくなるように制限して、目標エンジントルクの上限値(エンジン第2上限トルク)を算出する。このため、図9に示すように、現状の第2モータジェネレータ5の回転速度により第2モータジェネレータ5が発電可能なパワーをバッテリ21の出力制限値から減算した値が負となっても、第1モータジェネレータ4の回転速度がゼロ近傍の正の場合にエンジン第1下限トルクに制限されて無限大になってしまうことを防止することができる。
また、第1モータジェネレータ4の回転速度がゼロ近傍の場合に、第1モータジェネレータ4の最大トルクを、現状の第2モータジェネレータ5の回転速度により第2モータジェネレータ5が発電可能なパワー(発電なので負の値)をバッテリ21の出力制限値から減算した値が小さいほど最大トルクが小さくなるように制限して、目標エンジントルクの下限値(エンジン第2下限トルク)を算出する。このため、図9に示すように、現状の第2モータジェネレータ5の回転速度により第2モータジェネレータ5が発電可能なパワーをバッテリ21の出力制限値から減算した値が負となっても、第1モータジェネレータ4の回転速度がゼロ近傍の負の場合にエンジン第1上限トルクに制限されて負の無限大になってしまうことを防止することができる。
従って、現状の第2モータジェネレータ5の回転速度により第2モータジェネレータ5が発電可能なパワーをバッテリ21の出力制限値から減算した値が負の場合であっても、第1モータジェネレータ4の回転速度がゼロ近傍においてエンジントルクが適切に制限されるため、駆動トルクがドライバの意図に反して極端に大きくなったり小さくなったりすることや、第1モータジェネレータ4の回転速度がゼロを跨いで変化する際に駆動トルクが急変することを防止することができる。
また、第1モータジェネレータ4の回転速度がゼロ近傍の場合に、第1モータジェネレータ4の最小トルクを、現状の第2モータジェネレータ5の回転速度により第2モータジェネレータ5が力行可能なパワー(力行なので正の値)をバッテリ21の入力制限値から減算した値が小さいほど最小トルクの絶対値が小さくなるように制限して、目標エンジントルクの下限値(エンジン第2下限トルク)を算出する。このため、図10に示すように、現状の第2モータジェネレータ5の回転速度により第2モータジェネレータ5が力行可能なパワーをバッテリ21の入力制限値から減算した値が正となっても、第1モータジェネレータ4の回転速度がゼロ近傍の正の場合にエンジン第1上限トルクに制限されて負の無限大になってしまうことを防止することができる。
また、第1モータジェネレータ4の回転速度がゼロ近傍の場合に、第1モータジェネレータ4の最大トルクを、現状の第2モータジェネレータ5の回転速度により第2モータジェネレータ5が力行可能なパワー(力行なので正の値)をバッテリ21の入力制限値から減算した値が大きいほど最大トルクが小さくなるように制限して、目標エンジントルクの上限値(エンジン第2上限トルク)を算出する。このため、図10に示すように、現状の第2モータジェネレータ5の回転速度により第2モータジェネレータ5が力行可能なパワーをバッテリ21の入力制限値から減算した値が正となっても、第1モータジェネレータ4の回転速度がゼロ近傍の負の場合にエンジン第1下限トルクに制限されて無限大になってしまうことを防止することができる。
従って、現状の第2モータジェネレータ5の回転速度により第2モータジェネレータ5が力行可能なパワーをバッテリ21の入力制限から減算した値が正の場合であっても、第1モータジェネレータ4の回転速度がゼロ近傍においてエンジントルクが適切に制限されるため、駆動トルクがドライバの意図に反して極端に大きくなったり小さくなったりすることや、第1モータジェネレータ4の回転速度がゼロを跨いで変化する際に駆動トルクが急変することを防止することができる。
ハイブリッドECU52は、目標駆動トルクやバッテリ21の充電状態などに基づいて、第2モータジェネレータ5に出力させるトルクである目標第2モータジェネレータトルクを算出する。
ハイブリッドECU52は、バッテリ21の放電側及び充電側のバッテリ許容電力と第1モータジェネレータ4の最大トルク及び最小トルクに基づいて、第2モータジェネレータ5に許容される上限トルクと下限トルクを算出する。ハイブリッドECU52は、目標第2モータジェネレータトルクを上限トルクと下限トルクで制限し、第2モータジェネレータ5へのトルク指令値とする。放電側バッテリ許容電力とは、バッテリ21の過放電を防止するための放電する電力の上限値である。充電側バッテリ許容電力とは、バッテリ21の過充電を防止するための充電する電力の上限値である。
図11に示すように、ハイブリッドECU52は、MG2第1上限トルク算出部201、MG2第1下限トルク算出部202、MG2第2下限トルク算出部203、MG2第3下限トルク算出部204、MG2第2上限トルク算出部205、MG2第3上限トルク算出部206を備えている。
MG2第1上限トルク算出部201は、第1モータジェネレータ4の最大トルク及び最小トルクと、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、バッテリ21の放電側及び充電側のバッテリ許容電力とに基づいて、第2モータジェネレータ5に許容される第1上限トルクを以下の式(9)及び(10)により算出する。
前進(Nmg2>0)の場合
Tmg2 max1=(-Nmg1×Tmg1min+60/2π×Pbatt max)/Nmg2・・・(9)
後進(Nmg2<0)の場合
Tmg2 max1=(-Nmg1×Tmg1max+60/2π×Pbatt min)/Nmg2・・・(10)
ここで、Tmg2 max1は、第2モータジェネレータ第1上限トルク[Nm]である。Tmg1maxは、第1モータジェネレータ4の最大トルク[Nm]であり、正の値をとる。Tmg1minは、第1モータジェネレータ4の最小トルク[Nm]であり、負の値をとる。
MG2第1下限トルク算出部202は、第1モータジェネレータ4の最大トルク及び最小トルクと、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、バッテリ21の放電側及び充電側のバッテリ許容電力とに基づいて、第2モータジェネレータ5に許容される第1下限トルクを以下の式(11)及び(12)により算出する。
前進(Nmg2>0)の場合
Tmg2 min1=(-Nmg1×Tmg1max+60/2π×Pbatt min)/Nmg2・・・(11)
後進(Nmg2<0)の場合
Tmg2 min1=(-Nmg1×Tmg1min+60/2π×Pbatt max)/Nmg2・・・(12)
ここで、Tmg2 min1は、第2モータジェネレータ第1下限トルク[Nm]である。
MG2第2下限トルク算出部203は、第1モータジェネレータ4の最小トルクと、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、バッテリ21の放電側のバッテリ許容電力とに基づいて、図12に示すようなマップを検索して第2モータジェネレータ4の第2下限トルクを算出する。
この検索マップは、Pbatt max-Nmg1×Tmg1min×2π/60の値がゼロ近傍及び正の領域で、かつNmg2がゼロ近傍の場合に、第2モータジェネレータの負側のトルクが制限されるように設定する。
MG2第3下限トルク算出部204は、第1モータジェネレータ4の最大トルクと、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、バッテリ21の充電側のバッテリ許容電力とに基づいて、図13に示すようなマップを検索して第2モータジェネレータ4の第3下限トルクを算出する。
この検索マップは、Pbatt min-Nmg1×Tmg1max×2π/60の値がゼロ近傍及び負の領域で、かつNmg2がゼロ近傍の場合に、第2モータジェネレータの負側のトルクが制限されるように設定する。
MG2第2上限トルク算出部205は、第1モータジェネレータ4の最小トルクと、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、バッテリ21の放電側のバッテリ許容電力とに基づいて、図14に示すようなマップを検索して第2モータジェネレータ4の第2上限トルクを算出する。
この検索マップは、Pbatt max-Nmg1×Tmg1min×2π/60の値がゼロ近傍及び正の領域で、かつNmg2がゼロ近傍の場合に、第2モータジェネレータの正側のトルクが制限されるように設定する。
MG2第3上限トルク算出部206は、第1モータジェネレータ4の最大トルクと、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、バッテリ21の充電側のバッテリ許容電力とに基づいて、図15に示すようなマップを検索して第2モータジェネレータ4の第3上限トルクを算出する。
この検索マップは、Pbatt min-Nmg1×Tmg1max×2π/60の値がゼロ近傍及び負の領域で、かつNmg2がゼロ近傍の場合に、第2モータジェネレータの正側のトルクが制限されるように設定する。
ハイブリッドECU52は、目標第2モータジェネレータトルクを、MG2第1上限トルク算出部201の算出する第2モータジェネレータ第1上限トルクとMG2第2上限トルク算出部205の算出する第2モータジェネレータ第2上限トルクとMG2第3上限トルク算出部206の算出する第2モータジェネレータ第3上限トルクによって上限制限する。ハイブリッドECU52は、上限制限された目標第2モータジェネレータトルクを、MG2第1下限トルク算出部202の算出する第2モータジェネレータ第1下限トルクとMG2第2下限トルク算出部203の算出する第2モータジェネレータ第2下限トルクとMG2第3下限トルク算出部204の算出する第2モータジェネレータ第3下限トルクによって下限制限する。ハイブリッドECU52は、下限制限された目標第2モータジェネレータトルクを、MG2第2上限トルク算出部205の算出する第2モータジェネレータ第2上限トルクとMG2第3上限トルク算出部206の算出する第2モータジェネレータ第3上限トルクによって上限制限して第2モータジェネレータトルク指令値とする。
すなわち、ハイブリッドECU52は、目標第2モータジェネレータトルク、第2モータジェネレータ第1上限トルク、第2モータジェネレータ第2上限トルク、第2モータジェネレータ第3上限トルクの最小値をとる。ハイブリッドECU52は、その最小値、第2モータジェネレータ第1下限トルク、第2モータジェネレータ第2下限トルク、第2モータジェネレータ第3下限トルクの最大値をとる。ハイブリッドECU52は、その最大値、第2モータジェネレータ第2上限トルク、第2モータジェネレータ第3上限トルクの最小値を第2モータジェネレータトルク指令値とする。
ハイブリッドECU52は、算出された第2モータジェネレータトルク指令値をモータECU54に送信して第2モータジェネレータ4を制御させる。
なお、バッテリパワーに基づく制限値である第2モータジェネレータ第1上限トルク及び第2モータジェネレータ第1下限トルクに関しては、第2モータジェネレータ第1上限トルクが負の値となる場合や、第2モータジェネレータ第1下限トルクが正の値になる場合がある。このような場合であっても第2モータジェネレータ4のトルクが極端に制限されないようにするために、第2モータジェネレータ第2上限トルク、第2モータジェネレータ第3上限トルク、第2モータジェネレータ第2下限トルク、第2モータジェネレータ第3下限トルクによる制限が優先されるようにする。
さらに、バッテリ21のバッテリ許容電力から12V系に電力を供給するDCDCコンバータの消費電力やモータジェネレータやインバータにおける損失パワーを減算した値をバッテリ許容電力とすれば、より正確にバッテリ許容電力を守ることができる。
以上のように構成された第1実施例に係るハイブリッド車両の制御装置による第2モータジェネレータトルク制御処理について、図16を参照して説明する。なお、以下に説明する第2モータジェネレータトルク制御処理は、ハイブリッドECU52が動作を開始すると開始され、予め設定された時間間隔で実行される。
ステップS21において、ハイブリッドECU52は、処理に使用する各種信号の取り込みを行なう。
ステップS22において、ハイブリッドECU52は、各種信号に基づいて、第2モータジェネレータ4で出力すべき目標第2モータジェネレータトルクを算出する。
ステップS23において、ハイブリッドECU52は、第1モータジェネレータ4の最大トルク及び最小トルクと、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、バッテリ21の放電側及び充電側のバッテリ許容電力とから、第2モータジェネレータ第1上限トルクを上述の式(9)及び(10)により算出する。
ステップS24において、ハイブリッドECU52は、第1モータジェネレータ4の最大トルク及び最小トルクと、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、バッテリ21の放電側及び充電側のバッテリ許容電力とから、第2モータジェネレータ第1下限トルクを上述の式(11)及び(12)により算出する。
ステップS25において、ハイブリッドECU52は、第1モータジェネレータ4の最小トルクと、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、バッテリ21の放電側のバッテリ許容電力とから、図14に示すようなマップを検索して第2モータジェネレータ第2上限トルクを算出する。
ステップS26において、ハイブリッドECU52は、第1モータジェネレータ4の最小トルクと、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、バッテリ21の放電側のバッテリ許容電力とから、図12に示すようなマップを検索して第2モータジェネレータ第2下限トルクを算出する。
ステップS27において、ハイブリッドECU52は、第1モータジェネレータ4の最大トルクと、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、バッテリ21の充電側のバッテリ許容電力とから、図15に示すようなマップを検索して第2モータジェネレータ第3上限トルクを算出する。
ステップS28において、ハイブリッドECU52は、第1モータジェネレータ4の最大トルクと、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、バッテリ21の充電側のバッテリ許容電力とから、図13に示すようなマップを検索して第2モータジェネレータ第3下限トルクを算出する。
ステップS29において、ハイブリッドECU52は、目標第2モータジェネレータトルクを、第2モータジェネレータ第1上限トルクと第2モータジェネレータ第2上限トルクと第2モータジェネレータ第3上限トルクによって上限制限する。ハイブリッドECU52は、上限制限された目標第2モータジェネレータトルクを、第2モータジェネレータ第1下限トルクと第2モータジェネレータ第2下限トルクと第2モータジェネレータ第3下限トルクによって下限制限する。ハイブリッドECU52は、下限制限された目標第2モータジェネレータトルクを、第2モータジェネレータ第2上限トルクと第2モータジェネレータ第3上限トルクによって上限制限して第2モータジェネレータトルク指令値として、処理を終了する。
このように、第2モータジェネレータ5の回転速度がゼロ近傍の場合に、第2モータジェネレータ5の最大トルクを、現状の第1モータジェネレータ4の回転速度により第1モータジェネレータ4が発電可能なパワー(発電なので負の値)をバッテリ21の出力制限値から減算した値が小さいほど最大トルクが小さくなるように制限して、目標第2モータジェネレータトルクの下限値(第2モータジェネレータ第2下限トルク)を算出する。このため、図17に示すように、現状の第1モータジェネレータ4の回転速度により第1モータジェネレータ4が発電可能なパワーをバッテリ21の出力制限値から減算した値が負となっても、第2モータジェネレータ5の回転速度がゼロ近傍の正の場合に第2モータジェネレータ第1上限トルクに制限されて負の無限大になってしまうこと、すなわち第2モータジェネレータトルク指令値が第2モータジェネレータ5の最小トルクとなることを防止することができる。
また、第2モータジェネレータ5の回転速度がゼロ近傍の場合に、第2モータジェネレータ5の最小トルクを、現状の第1モータジェネレータ4の回転速度により第1モータジェネレータ4が発電可能なパワー(発電なので負の値)をバッテリ21の出力制限値から減算した値が小さいほど最小トルクの絶対値が小さくなるように制限して、目標第2モータジェネレータトルクの上限値(第2モータジェネレータ第2上限トルク)を算出する。このため、図17に示すように、現状の第1モータジェネレータ4の回転速度により第1モータジェネレータ4が発電可能なパワーをバッテリ21の出力制限値から減算した値が負となっても、第2モータジェネレータ5の回転速度がゼロ近傍の負の場合に第2モータジェネレータ第1下限トルクに制限されて無限大になってしまうこと、すなわち第2モータジェネレータトルク指令値が第2モータジェネレータ5の最大トルクとなることを防止することができる。
従って、現状の第1モータジェネレータ4の回転速度により第1モータジェネレータ4が発電可能なパワーをバッテリ21の出力制限値から減算した値が負の場合であっても、第2モータジェネレータ5の回転速度がゼロ近傍において第2モータジェネレータトルクが適切に制限されるため、駆動トルクがドライバの意図に反して極端に大きくなったり小さくなったりすることや、第2モータジェネレータ5の回転速度がゼロを跨いで変化する際の駆動トルクの急変や駆動トルクのハンチングを防止することができる。
また、第2モータジェネレータ5の回転速度がゼロ近傍の場合に、第2モータジェネレータ5の最小トルクを、現状の第1モータジェネレータ4の回転速度により第1モータジェネレータ4が力行可能なパワー(力行なので正の値)をバッテリ21の入力制限値から減算した値が小さいほど最小トルクの絶対値が小さくなるように制限して、目標第2モータジェネレータトルクの上限値(第2モータジェネレータ第3上限トルク)を算出する。このため、図18に示すように、現状の第1モータジェネレータ4の回転速度により第1モータジェネレータ4が力行可能なパワーをバッテリ21の入力制限値から減算した値が正となっても、第2モータジェネレータ4の回転速度がゼロ近傍の正の場合に第2モータジェネレータ第1下限トルクに制限されて無限大になってしまうこと、すなわち第2モータジェネレータトルク指令値が第2モータジェネレータ5の最大トルクとなることを防止することができる。
また、第2モータジェネレータ5の回転速度がゼロ近傍の場合に、第2モータジェネレータ4の最大トルクを、現状の第1モータジェネレータ4の回転速度により第1モータジェネレータ4が力行可能なパワー(力行なので正の値)をバッテリ21の入力制限値から減算した値が大きいほど最大トルクが小さくなるように制限して、目標第2モータジェネレータトルクの下限値(第2モータジェネレータ第3下限トルク)を算出する。このため、図18に示すように、バッテリ21の入力制限値から現状の第1モータジェネレータ4の回転速度により第1モータジェネレータ4が力行可能なパワーを減算した値が正となっても、第2モータジェネレータ5の回転速度がゼロ近傍の負の場合に第2モータジェネレータ第1上限トルクに制限されて負の無限大になってしまうこと、すなわち第2モータジェネレータトルク指令値が第2モータジェネレータ5の最小トルクとなることを防止することができる。
従って、現状の第1モータジェネレータ4の回転速度により第1モータジェネレータ4が力行可能なパワーをバッテリ21の入力制限から減算した値が正の場合であっても、第2モータジェネレータ5の回転速度がゼロ近傍において第2モータジェネレータトルクが適切に制限されるため、駆動トルクがドライバの意図に反して極端に大きくなったり小さくなったりすることや、第2モータジェネレータ5の回転速度がゼロを跨いで変化する際に駆動トルクが急変することを防止することができる。
第1実施例の他の態様としては、第1モータジェネレータ4の回転速度がゼロ近傍の場合に、現状の第2モータジェネレータ5の回転速度により第2モータジェネレータ5が発電可能なパワーをバッテリ21の出力制限値から減算した値が負とならないように制限する。
また、第1モータジェネレータ4の回転速度がゼロ近傍の場合に、現状の第2モータジェネレータ5の回転速度により第2モータジェネレータ5が力行可能なパワーをバッテリ21の入力制限から減算した値が正とならないように制限する。
図19に示すように、本他の態様のハイブリッドECU52は、ENG第1上限トルク算出部301、ENG第1下限トルク算出部302、充電側バッテリ許容電力上限制限部303、放電側バッテリ許容電力下限制限部304、ENG第2上限トルク算出部305、ENG第2下限トルク算出部306を備えている。
ENG第1上限トルク算出部301は、後述する充電側バッテリ許容電力上限制限部303において制限されたバッテリ21の充電側バッテリ許容電力上限値を充電側バッテリ許容電力とする。ENG第1上限トルク算出部301は、後述する放電側バッテリ許容電力下限制限部304において制限されたバッテリ21の放電側バッテリ許容電力下限値を放電側バッテリ許容電力とする。ENG第1上限トルク算出部301は、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、第2モータジェネレータ5の最大トルク及び最小トルクと、充電側バッテリ許容電力としての充電側バッテリ許容電力上限値と、放電側バッテリ許容電力としての放電側バッテリ許容電力下限値とに基づいて、エンジン2に許容される第1上限トルクを上述の式(1)から(3)により算出する。
ENG第1下限トルク算出部302は、後述する充電側バッテリ許容電力上限制限部303において制限されたバッテリ21の充電側バッテリ許容電力上限値を充電側バッテリ許容電力とする。ENG第1下限トルク算出部302は、後述する放電側バッテリ許容電力下限制限部304において制限されたバッテリ21の放電側バッテリ許容電力下限値を放電側バッテリ許容電力とする。ENG第1下限トルク算出部302は、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、第2モータジェネレータ5の最大トルク及び最小トルクと、充電側バッテリ許容電力としての充電側バッテリ許容電力上限値と、放電側バッテリ許容電力としての放電側バッテリ許容電力下限値とに基づいて、エンジン2に許容される第1下限トルクを上述の式(4)から(6)により算出する。
充電側バッテリ許容電力上限制限部303は、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、第2モータジェネレータ5の最大トルクとに基づいて、バッテリ21の充電側バッテリ許容電力を制限して充電側バッテリ許容電力上限値を算出する。
充電側バッテリ許容電力上限制限部303は、図20に示すようなマップを検索して、Pbat min-Nmg2×Tmg2max×2π/60の上限値を算出する。この検索マップは、Nmg1がゼロ近傍の場合に負で絶対値が小さい値となるように設定し、Nmg1の絶対値が十分大きい場合には制限の必要がないので、正の十分大きな値を設定する。
充電側バッテリ許容電力上限制限部303は、マップの検索値からNmg2×Tmg2max×2π/60を減算し、この値により充電側バッテリ許容電力を上限制限して充電側バッテリ許容電力上限値を算出する。
放電側バッテリ許容電力下限制限部304は、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、第2モータジェネレータ5の最小トルクとに基づいて、バッテリ21の放電側バッテリ許容電力を制限して放電側バッテリ許容電力下限値を算出する。
放電側バッテリ許容電力下限制限部304は、図21に示すようなマップを検索して、Pbat max-Nmg2×Tmg2min×2π/60の下限値を算出する。この検索マップは、Nmg1がゼロ近傍の場合に正で絶対値が小さい値となるように設定し、Nmg1の絶対値が十分大きい場合には制限の必要がないので、負の絶対値が十分大きな値を設定する。
放電側バッテリ許容電力下限制限部304は、マップの検索値からNmg2×Tmg2min×2π/60を減算し、この値により放電側バッテリ許容電力を下限制限して放電側バッテリ許容電力下限値を算出する。
ENG第2上限トルク算出部305は、第1モータジェネレータの最小トルクから、上述の式(7)によりエンジン第2上限トルクを算出する。
ENG第2下限トルク算出部306は、第1モータジェネレータの最大トルクから、上述の式(8)によりエンジン第2下限トルクを算出する。
ハイブリッドECU52は、目標エンジントルクを、ENG第1上限トルク算出部301の算出するエンジン第1上限トルクとENG第2上限トルク算出部305の算出するエンジン第2上限トルクによって上限制限する。ハイブリッドECU52は、上限制限された目標エンジントルクを、ENG第1下限トルク算出部302の算出するエンジン第1下限トルクとENG第2下限トルク算出部306の算出するエンジン第2下限トルクによって下限制限してエンジントルク指令値とする。
すなわち、ハイブリッドECU52は、目標エンジントルク、エンジン第1上限トルク、エンジン第2上限トルクの最小値をとり、その最小値、エンジン第1下限トルク、エンジン第2下限トルクの最大値をエンジントルク指令値とする。
ハイブリッドECU52は、算出されたエンジントルク指令値をエンジンECU53に送信してエンジン2を制御させる。
以上のように構成された第1実施例の他の態様に係るハイブリッド車両の制御装置によるエンジントルク制御処理について、図22を参照して説明する。なお、以下に説明するエンジントルク制御処理は、ハイブリッドECU52が動作を開始すると開始され、予め設定された時間間隔で実行される。
ステップS31において、ハイブリッドECU52は、処理に使用する各種信号の取り込みを行なう。
ステップS32において、ハイブリッドECU52は、各種信号に基づいて、エンジン2で出力すべき目標エンジントルクを算出する。
ステップS33において、ハイブリッドECU52は、第2モータジェネレータ5の最大トルクと、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、バッテリ21の充電側のバッテリ許容電力とから、充電側バッテリ許容電力上限値を算出する。
ステップS34において、ハイブリッドECU52は、第2モータジェネレータ5の最小トルクと、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、バッテリ21の放電側のバッテリ許容電力とから、放電側バッテリ許容電力下限値を算出する。
ステップS35において、ハイブリッドECU52は、第2モータジェネレータ5の最大トルク及び最小トルクと、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、バッテリ21の放電側バッテリ許容電力下限値及び充電側バッテリ許容電力上限値とから、エンジン第1上限トルクを上述の式(1)から(3)により算出する。
ステップS36において、ハイブリッドECU52は、第2モータジェネレータ5の最大トルク及び最小トルクと、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、バッテリ21の放電側バッテリ許容電力下限値及び充電側バッテリ許容電力上限値とから、エンジン第1下限トルクを上述の式(4)から(6)により算出する。
ステップS37において、ハイブリッドECU52は、第1モータジェネレータ最小トルクから、上述の式(7)によりエンジン第2上限トルクを算出する。
ステップS38において、ハイブリッドECU52は、第1モータジェネレータ最大トルクから、上述の式(8)によりエンジン第2下限トルクを算出する。
ステップS39において、ハイブリッドECU52は、目標エンジントルクを、エンジン第1上限トルクとエンジン第2上限トルクによって上限制限し、上限制限された目標エンジントルクを、エンジン第1下限トルクとエンジン第2下限トルクによって下限制限してエンジントルク指令値として、処理を終了する。
このように、第1モータジェネレータ4の回転速度がゼロ近傍の場合に、現状の第2モータジェネレータ5の回転速度により第2モータジェネレータ5が発電可能なパワー(発電なので負の値)をバッテリ21の出力制限値から減算した値が負となるような場合、図23に示すように、現状の第2モータジェネレータ5の回転速度により第2モータジェネレータ5が発電可能なパワーをバッテリ21の出力制限値から減算した値(Pbatt max-Nmg2×Tmg2min×2π/60)が負とならないようにバッテリ21の出力制限値の下限を制限する。このため、図24に示すように、第1モータジェネレータ4の回転速度がゼロ近傍の負の場合に目標エンジントルクの下限値が無限大になってしまうことを防止することができるとともに、第1モータジェネレータ4の回転速度がゼロ近傍の正の場合に目標エンジントルクの上限値が負の無限大になってしまうことを防止することができる。
また、第1モータジェネレータ4の回転速度がゼロ近傍の場合に、現状の第2モータジェネレータ5の回転速度により第2モータジェネレータ5が力行可能なパワー(力行なので正の値)をバッテリ21の入力制限値から減算した値が正の値となるような場合、図25に示すように、現状の第2モータジェネレータ5の回転速度により第2モータジェネレータ5が力行可能なパワーをバッテリ21の入力制限値から減算した値(Pbatt min-Nmg2×Tmg2miax×2π/60)が正とならないようにバッテリ21の入力制限値の上限を制限する。このため、図26に示すように、第1モータジェネレータ4の回転速度がゼロ近傍の正の場合に目標エンジントルクの上限値が負の無限大になってしまうことを防止することができるとともに、第1モータジェネレータ4の回転速度がゼロ近傍の負の場合に目標エンジントルクの下限値が無限大になってしまうことを防止することができる。
従って、第1モータジェネレータ4の回転速度がゼロ近傍においてエンジントルクが適切に制限されるため、駆動トルクがドライバの意図に反して極端に大きくなったり小さくなったりすることや、第1モータジェネレータ4の回転速度がゼロを跨いで変化する際に駆動トルクが急変することを防止することができる。
本他の態様において、第2モータジェネレータ5の回転速度がゼロ近傍の場合に、現状の第1モータジェネレータ4の回転速度により第1モータジェネレータ4が発電可能なパワーをバッテリ21の出力制限値から減算した値が負とならないように制限する。
また、第2モータジェネレータ5の回転速度がゼロ近傍の場合に、現状の第1モータジェネレータ4の回転速度により第1モータジェネレータ4が力行可能なパワーをバッテリ21の入力制限から減算した値が正とならないように制限する。
図27に示すように、本他の態様のハイブリッドECU52は、MG2第1上限トルク算出部401、MG2第1下限トルク算出部402、充電側バッテリ許容電力上限制限部403、放電側バッテリ許容電力下限制限部404、を備えている。
MG2第1上限トルク算出部401は、後述する充電側バッテリ許容電力上限制限部303において制限されたバッテリ21の充電側バッテリ許容電力上限値を充電側バッテリ許容電力とする。MG2第1上限トルク算出部401は、後述する放電側バッテリ許容電力下限制限部304において制限されたバッテリ21の放電側バッテリ許容電力下限値を放電側バッテリ許容電力とする。MG2第1上限トルク算出部401は、第1モータジェネレータ4の最大トルク及び最小トルクと、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、充電側バッテリ許容電力としての充電側バッテリ許容電力上限値と、放電側バッテリ許容電力としての放電側バッテリ許容電力下限値とに基づいて、第2モータジェネレータ5に許容される第1上限トルクを上述の式(9)及び(10)により算出する。
MG2第1下限トルク算出部202は、後述する充電側バッテリ許容電力上限制限部303において制限されたバッテリ21の充電側バッテリ許容電力上限値を充電側バッテリ許容電力とする。MG2第1下限トルク算出部202は、後述する放電側バッテリ許容電力下限制限部304において制限されたバッテリ21の放電側バッテリ許容電力下限値を放電側バッテリ許容電力とする。MG2第1下限トルク算出部202は、第1モータジェネレータ4の最大トルク及び最小トルクと、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、充電側バッテリ許容電力としての充電側バッテリ許容電力上限値と、放電側バッテリ許容電力としての放電側バッテリ許容電力下限値とに基づいて、第2モータジェネレータ5に許容される第1下限トルクを上述の式(11)及び(12)により算出する。
充電側バッテリ許容電力上限制限部403は、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、第2モータジェネレータ5の最大トルクとに基づいて、バッテリ21の充電側バッテリ許容電力を制限して充電側バッテリ許容電力上限値を算出する。
充電側バッテリ許容電力上限制限部403は、図28に示すようなマップを検索して、Pbatt min-Nmg1×Tmg1max×2π/60の上限値を算出する。この検索マップは、Nmg2がゼロ近傍の場合に負で絶対値が小さい値となるように設定し、Nmg2の絶対値が十分大きい場合には制限の必要がないので、正の十分大きな値を設定する。
充電側バッテリ許容電力上限制限部403は、マップの検索値からNmg1×Tmg1max×2π/60を減算し、この値により充電側バッテリ許容電力を上限制限して充電側バッテリ許容電力上限値を算出する。
放電側バッテリ許容電力下限制限部404は、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、第2モータジェネレータ5の最小トルクとに基づいて、バッテリ21の放電側バッテリ許容電力を制限して放電側バッテリ許容電力下限値を算出する。
放電側バッテリ許容電力下限制限部404は、図29に示すようなマップを検索して、Pbatt max-Nmg1×Tmg1min×2π/60の下限値を算出する。この検索マップは、Nmg2がゼロ近傍の場合に正で絶対値が小さい値となるように設定し、Nmg2の絶対値が十分大きい場合には制限の必要がないので、負の絶対値が十分大きな値を設定する。
放電側バッテリ許容電力下限制限部404は、マップの検索値からNmg1×Tmg1min×2π/60を減算し、この値により放電側バッテリ許容電力を下限制限して放電側バッテリ許容電力下限値を算出する。
ハイブリッドECU52は、目標第2モータジェネレータトルクを、MG2第1上限トルク算出部401の算出する第2モータジェネレータ第1上限トルクと第2モータジェネレータ最大トルクによって上限制限する。ハイブリッドECU52は、上限制限された目標第2モータジェネレータトルクを、MG2第1下限トルク算出部402の算出する第2モータジェネレータ第1下限トルクと第2モータジェネレータ最小トルクによって下限制限して第2モータジェネレータトルク指令値とする。
すなわち、ハイブリッドECU52は、目標第2モータジェネレータトルク、第2モータジェネレータ第1上限トルク、第2モータジェネレータ最大トルクの最小値をとる。ハイブリッドECU52は、その最小値、第2モータジェネレータ第1下限トルク、第2モータジェネレータ最小トルクの最大値を第2モータジェネレータトルク指令値とする。
ハイブリッドECU52は、算出された第2モータジェネレータトルク指令値をモータECU54に送信して第2モータジェネレータ5を制御させる。
以上のように構成された第1実施例の他の態様に係るハイブリッド車両の制御装置による第2モータジェネレータトルク制御処理について、図30を参照して説明する。なお、以下に説明する第2モータジェネレータトルク制御処理は、ハイブリッドECU52が動作を開始すると開始され、予め設定された時間間隔で実行される。
ステップS41において、ハイブリッドECU52は、処理に使用する各種信号の取り込みを行なう。
ステップS42において、ハイブリッドECU52は、各種信号に基づいて、第2モータジェネレータ4で出力すべき目標第2モータジェネレータトルクを算出する。
ステップS43において、ハイブリッドECU52は、第1モータジェネレータ4の最大トルクと、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、バッテリ21の充電側のバッテリ許容電力とから、充電側バッテリ許容電力上限値を算出する。
ステップS44において、ハイブリッドECU52は、第1モータジェネレータ4の最小トルクと、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、バッテリ21の放電側のバッテリ許容電力とから、放電側バッテリ許容電力下限値を算出する。
ステップS45において、ハイブリッドECU52は、第1モータジェネレータ4の最大トルク及び最小トルクと、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、バッテリ21の放電側バッテリ許容電力下限値及び充電側バッテリ許容電力上限値とから、第2モータジェネレータ第1上限トルクを上述の式(9)及び(10)により算出する。
ステップS46において、ハイブリッドECU52は、第1モータジェネレータ4の最大トルク及び最小トルクと、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、バッテリ21の放電側バッテリ許容電力下限値及び充電側バッテリ許容電力上限値とから、第2モータジェネレータ第1下限トルクを上述の式(11)及び(12)により算出する。
ステップS47において、ハイブリッドECU52は、目標第2モータジェネレータトルクを、第2モータジェネレータ第1上限トルクと第2モータジェネレータ最大トルクによって上限制限する。ハイブリッドECU52は、上限制限された目標第2モータジェネレータトルクを、第2モータジェネレータ第1下限トルクと第2モータジェネレータ最小トルクによって下限制限して第2モータジェネレータトルク指令値として、処理を終了する。
このように、第2モータジェネレータ5の回転速度がゼロ近傍の場合に、現状の第1モータジェネレータ4の回転速度により第1モータジェネレータ4が発電可能なパワー(発電なので負の値)をバッテリ21の出力制限値から減算した値が負の値となるような場合、図31に示すように、現状の第1モータジェネレータ4の回転速度により第1モータジェネレータ4が発電可能なパワーをバッテリ21の出力制限値から減算した値(Pbatt max-Nmg1×Tmg1min×2π/60)が負の値にならないようにバッテリ21の出力制限値の下限を制限する。このため、図32に示すように、第2モータジェネレータ5の回転速度がゼロ近傍の負の場合に目標第2モータジェネレータトルクの下限値が無限大になってしまうことを防止することができるとともに、第2モータジェネレータ5の回転速度がゼロ近傍の正の場合に目標第2モータジェネレータトルクの上限値が負の無限大になってしまうことを防止することができる。
また、第2モータジェネレータ5の回転速度がゼロ近傍の場合に、現状の第1モータジェネレータ4の回転速度により第1モータジェネレータ4が力行可能なパワー(力行なので正の値)をバッテリ21の入力制限値から減算した値が正の値となるような場合、図33に示すように、現状の第1モータジェネレータ4の回転速度により第1モータジェネレータ4が力行可能なパワーをバッテリ21の入力制限値から減算した値(Pbatt min-Nmg1×Tmg1max×2π/60)が正の値にならないようにバッテリ21の入力制限値の上限を制限する。このため、図34に示すように、第2モータジェネレータ4の回転速度がゼロ近傍の正の場合に目標第2モータジェネレータトルクの下限値が無限大になることを防止することができるとともに、第2モータジェネレータ4の回転速度がゼロ近傍の負の場合に目標第2モータジェネレータトルクの上限値が負の無限大になることを防止することができる。
従って、第2モータジェネレータ5の回転速度がゼロ近傍において第2モータジェネレータトルクが適切に制限されるため、駆動トルクがドライバの意図に反して極端に大きくなったり小さくなったりすることや、第2モータジェネレータ5の回転速度がゼロを跨いで変化する際に駆動トルクが急変することを防止することができる。
(第2実施例)
次に、本発明の第2実施例について説明する。ここで、第2実施例は上述第1実施例と略同様に構成されているので、同様な構成には同一の符号を付して特徴部分を説明する。
図35において、本発明の第2実施例に係るハイブリッド車両の制御装置を搭載したハイブリッド車両(以下、単に「車両」という)100は、エンジン2と、第1モータジェネレータ4と、第2モータジェネレータ5と、駆動軸7との間で駆動力を授受させる動力伝達機構12を備えている。
動力伝達機構12は、第1遊星歯車機構9と、第2遊星歯車機構10と、第3遊星歯車機構11とを備えている。
第1遊星歯車機構9は、サンギア72と、サンギア72の外歯に噛み合う複数のプラネタリギア73と、複数のプラネタリギア73に内歯が噛み合うリングギア75と、プラネタリギア73を自転可能に支持するプラネタリキャリア74とを備えている。
第2遊星歯車機構10は、サンギア76と、サンギア76の外歯に噛み合う複数のプラネタリギア77と、複数のプラネタリギア77に内歯が噛み合うリングギア79と、プラネタリギア77を自転可能に支持するプラネタリキャリア78とを備えている。
第3遊星歯車機構11は、サンギア80と、サンギア80の外歯に噛み合う複数のプラネタリギア81と、複数のプラネタリギア81に内歯が噛み合うリングギア82と、プラネタリギア81を自転可能に支持するプラネタリキャリア83とを備えている。
第1遊星歯車機構9のサンギア72は、第1モータジェネレータ4のロータ14と一体に回転するように、中空のロータ軸13に連結されている。第1遊星歯車機構9のプラネタリキャリア74と、第2遊星歯車機構10のサンギア76とは、エンジン2の出力軸3と一体に回転するように連結されている。
第1遊星歯車機構9のリングギア75には、第2遊星歯車機構10のプラネタリギア77がロータ軸13周りに公転するようにプラネタリキャリア78を介して連結されている。また、第1遊星歯車機構9のリングギア75は、デファレンシャルギア及びその他のギアを含むギア機構35を介して駆動軸7を回転させるように設けられている。
第2遊星歯車機構10のリングギア79には、第3遊星歯車機構11のプラネタリギア81がロータ軸13周りに公転するようにプラネタリキャリア83を介して連結されている。第3遊星歯車機構11のリングギア82は、ケース84に固定されている。第3遊星歯車機構11のサンギア80は、第2モータジェネレータ5のロータ17と一体に回転するようにロータ軸16に連結されている。
動力伝達機構12は、エンジン2の出力軸3と、第1モータジェネレータ4の出力軸としてのロータ軸13と、第2モータジェネレータ5の出力軸としてのロータ軸16と、ギア機構35を介して駆動軸7とが連結された遊星歯車機構を構成する。例えば、動力伝達機構12は、エンジン2と、第1モータジェネレータ4と、第2モータジェネレータ5とによって生成された動力を駆動軸7に伝達するようになっている。
図36に示すように、第3遊星歯車機構11のリングギア82の回転速度と、第2遊星歯車機構10のリングギア79の回転速度と、第2モータジェネレータ5のロータ軸16の回転速度との関係は、共線図で表すことができる。
図36に示す共線図において、各縦軸は、図中、左から第3遊星歯車機構11のリングギア82の回転速度(図中、R3)、第2遊星歯車機構10のリングギア79の回転速度(図中、R2)、第2モータジェネレータ5のロータ軸16の回転速度(図中、MG2)をそれぞれ表している。
第3遊星歯車機構11のリングギア82は、固定されているため、第3遊星歯車機構11は、第2モータジェネレータ5のロータ軸16の駆動力を減速して第2遊星歯車機構10のリングギア79に伝達するリダクションギアを構成する。
第3遊星歯車機構11のリングギア82の歯数をZR3とし、第3遊星歯車機構11のサンギア80の歯数をZS3とすると、第3遊星歯車機構11のレバー比、すなわち、リダクションギア比Krは、ZR3/ZS3となる。
以上より、第2遊星歯車機構10のリングギア79の回転速度Nrgと、第2モータジェネレータ5のロータ軸16の回転速度Nmg2との関係は、以下の式(13)で表すことができる。
Nrg=Nmg2/(1+Kr)・・・(13)
また、第2遊星歯車機構10のリングギア79のトルクTrと、第2モータジェネレータ5のロータ軸16のトルクTmg2との関係は、以下の式(14)で表すことができる。
Tr=(1+Kr)×Tmg2・・・(14)
図37に示すように、第1モータジェネレータ4のロータ軸13の回転速度と、エンジン2の出力軸3の回転速度と、ギア機構35を介して駆動輪6に動力を伝達する第1遊星歯車機構9のリングギア75の回転速度(以下、単に「駆動回転速度」という。)と、第2遊星歯車機構10のリングギア79の回転速度との関係は、共線図で表すことができる。
図37に示す共線図において、各縦軸は、図中、左から第1モータジェネレータ4のロータ軸13の回転速度(図中、MG1)と、エンジン2の出力軸3の回転速度(図中、E/G)と、駆動回転速度(図中、OUT)と、第2遊星歯車機構10のリングギア79の回転速度(図中、R2)をそれぞれ表している。
第1遊星歯車機構9のサンギア72の歯数をZS1とし、第1遊星歯車機構9のリングギア75の歯数をZR1とすると、第1遊星歯車機構9のレバー比K2は、ZR1/ZS1となる。
第2遊星歯車機構10のサンギア76の歯数をZS2とし、第2遊星歯車機構10のリングギア79の歯数をZR2とすると、第2遊星歯車機構10のレバー比K3は、ZS2/ZR2となる。
以上より、駆動回転速度D_spdと、第1モータジェネレータ4のロータ軸13の回転速度Nmg1と、第2遊星歯車機構10のリングギア79の回転速度Nrgとの関係は、以下の式(15)で表すことができる。
D_spd=(K3×Nmg1+(1+K2)×Nrg)/(1+K2+K3)・・・(15)
ハイブリッドECU52は、アクセル開度センサ62により検出されたアクセル開度と、駆動回転速度などに基づいて、ドライバの要求する目標駆動トルク(第1遊星歯車機構9のリングギア75に出力されるトルク)を算出し、目標駆動トルクが第1遊星歯車機構9のリングギア75に出力されるようエンジン2や第1モータジェネレータ4、第2モータジェネレータ5を制御する。
ハイブリッドECU52は、目標駆動トルクやバッテリ21の充電状態などに基づいて、エンジン2に出力させるトルクである目標エンジントルクを算出する。
ハイブリッドECU52は、バッテリ21の放電側及び充電側のバッテリ許容電力と第1モータジェネレータ4の最大トルク及び最小トルクと第2モータジェネレータ5の最大トルク及び最小トルクに基づいて、エンジン2に許容される上限トルクと下限トルクを算出する。ハイブリッドECU52は、目標エンジントルクを上限トルクと下限トルクで制限し、エンジン2へのトルク指令値とする。放電側バッテリ許容電力とは、バッテリ21の過放電を防止するための放電する電力の上限値である。充電側バッテリ許容電力とは、バッテリ21の過充電を防止するための充電する電力の上限値である。
図38及び図39に示すように、ハイブリッドECU52は、ENG第1上限トルク算出部501、ENG第1下限トルク算出部502、MG1第1下限トルク算出部503、MG1第2下限トルク算出部504、MG2第1上限トルク算出部505、MG2第2上限トルク算出部506、MG2第1下限トルク算出部507、MG2第2下限トルク算出部508、MG1第1上限トルク算出部509、MG1第2上限トルク算出部510、ENG第2上限トルク算出部511、ENG第2下限トルク算出部512を備えている。
ENG第1上限トルク算出部501は、バッテリ21の放電側及び充電側のバッテリ許容電力と、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、第1モータジェネレータ4の最大トルク及び最小トルクと、第2モータジェネレータ5の最大トルク及び最小トルクとに基づいて、エンジン2に許容される第1上限トルクを以下の式(16)から(19)により算出する。
前進かつNmg1<0の場合
Tet max=MIN(((1+K2)×Nmg2/((1+Kr)×Nmg1)+K3)×(1+Kr)×Tmg2min-(1+K2)×60/(2πNmg1)×Pbatt max, -(1+K2+K3×(1+Kr)×Nmg1/Nmg2)×Tmg1min+K3×(1+Kr)×60/(2πNmg2)×Pbatt max)・・・(16)
前進かつNmg2>0かつNmg1>0の場合
Tet max=MIN(((1+K2)×Nmg2/((1+Kr)×Nmg1)+K3)×(1+Kr)×Tmg2max-(1+K2)×60/(2πNmg1)×Pbatt min, -(1+K2+K3×(1+Kr)×Nmg1/Nmg2)×Tmg1min+K3×(1+Kr)×60/(2πNmg2)×Pbatt max)・・・(17)
前進かつNmg2<0かつNmg1>0の場合
Tet max=MIN(((1+K2)×Nmg2/((1+Kr)×Nmg1)+K3)×(1+Kr)×Tmg2max-(1+K2)×60/(2πNmg1)×Pbatt min, -(1+K2+K3×(1+Kr)×Nmg1/Nmg2)×Tmg1max+K3×(1+Kr)×60/(2πNmg2)×Pbatt min)・・・(18)
後進の場合
Tet max=MIN(((1+K2)×Nmg2/((1+Kr)×Nmg1)+K3)×(1+Kr)×Tmg2min-(1+K2)×60/(2πNmg1)×Pbatt min, -(1+K2+K3×(1+Kr)×Nmg1/Nmg2)×Tmg1min+K3×(1+Kr)×60/(2πNmg2)×Pbatt min)・・・(19)
ここで、Tet maxは、エンジン2の上限トルク[Nm]である。Tmg1maxは、第1モータジェネレータ4の最大トルク[Nm]であり、正の値をとる。Tmg1minは、第1モータジェネレータ4の最小トルク[Nm]であり、負の値をとる。Tmg2maxは、第2モータジェネレータ5の最大トルク[Nm]であり、正の値をとる。Tmg2minは、第2モータジェネレータ5の最小トルク[Nm]であり、負の値をとる。Nmg1は、第1モータジェネレータ4のロータ軸13の回転速度[rpm]である。Nmg2は、第2モータジェネレータ5のロータ軸16の回転速度[rpm]である。Pbatt maxは、バッテリ21の放電側バッテリ許容電力[W]である。Pbatt minは、バッテリ21の充電側バッテリ許容電力[W]である。MIN(X,Y)は、XとYのいずれか小さい方を選択するという意味である。
ENG第1下限トルク算出部502は、バッテリ21の放電側及び充電側のバッテリ許容電力と、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、第1モータジェネレータ4の最大トルク及び最小トルクと、第2モータジェネレータ5の最大トルク及び最小トルクとに基づいて、エンジン2に許容される第1上限トルクを以下の式(20)から(23)により算出する。
前進かつNmg1<0の場合
Tet min=MAX(((1+K2)×Nmg2/((1+Kr)×Nmg1)+K3)×(1+Kr)×Tmg2max-(1+K2)×60/(2πNmg1)×Pbatt min, -(1+K2+K3×(1+Kr)×Nmg1/Nmg2)×Tmg1max+K3×(1+Kr)×60/(2πNmg2)×Pbatt min)・・・(20)
前進かつNmg2>0かつNmg1>0の場合
Tet min=MAX(((1+K2)×Nmg2/((1+Kr)×Nmg1)+K3)×(1+Kr)×Tmg2min-(1+K2)×60/(2πNmg1)×Pbatt max, -(1+K2+K3×(1+Kr)×Nmg1/Nmg2)×Tmg1max+K3×(1+Kr)×60/(2πNmg2)×Pbatt min)・・・(21)
前進(No≧0)かつNmg2<0かつNmg1>0の場合
Tet min=MAX(((1+K2)×Nmg2/((1+Kr)×Nmg1)+K3)×(1+Kr)×Tmg2min-(1+K2)×60/(2πNmg1)×Pbatt max, -(1+K2+K3×(1+Kr)×Nmg1/Nmg2)×Tmg1min+K3×(1+Kr)×60/(2πNmg2)×Pbatt max)・・・(22)
後進(No<0)の場合
Tet min=MAX(((1+K2)×Nmg2/((1+Kr)×Nmg1)+K3)×(1+Kr)×Tmg2max-(1+K2)×60/(2πNmg1)×Pbatt max, -(1+K2+K3×(1+Kr)×Nmg1/Nmg2)×Tmg1max+K3×(1+Kr)×60/(2πNmg2)×Pbatt max)・・・(23)
ここで、Tet minは、エンジン2の下限トルク[Nm]である。MAX(X,Y)は、XとYのいずれか大きい方を選択するという意味である。
MG1第1下限トルク算出部503は、バッテリ21の放電側のバッテリ許容電力と、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、第2モータジェネレータ5の最小トルクとに基づいて、図4に示すようなマップを検索して第1モータジェネレータ4の第1下限トルクを算出する。
MG1第2下限トルク算出部504は、バッテリ21の充電側のバッテリ許容電力と、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、第2モータジェネレータ5の最大トルクとに基づいて、図5に示すようなマップを検索して第1モータジェネレータ4の第2下限トルクを算出する。
MG2第1上限トルク算出部505は、バッテリ21の放電側のバッテリ許容電力と、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、第1モータジェネレータ4の最小トルクとに基づいて、図6に示すようなマップを検索して第2モータジェネレータ5の第1上限トルクを算出する。
MG2第2上限トルク算出部506は、バッテリ21の充電側のバッテリ許容電力と、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、第1モータジェネレータ4の最大トルクとに基づいて、図7に示すようなマップを検索して第2モータジェネレータ5の第2上限トルクを算出する。
MG2第1下限トルク算出部507は、バッテリ21の放電側のバッテリ許容電力と、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、第1モータジェネレータ4の最小トルクとに基づいて、図4に示すようなマップを検索して第2モータジェネレータ5の第1下限トルクを算出する。
MG2第2下限トルク算出部508は、バッテリ21の充電側のバッテリ許容電力と、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、第1モータジェネレータ4の最大トルクとに基づいて、図5に示すようなマップを検索して第2モータジェネレータ5の第2下限トルクを算出する。
MG1第1上限トルク算出部509は、バッテリ21の放電側のバッテリ許容電力と、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、第2モータジェネレータ5の最小トルクとに基づいて、図6に示すようなマップを検索して第1モータジェネレータ4の第1上限トルクを算出する。
MG1第2上限トルク算出部510は、バッテリ21の充電側のバッテリ許容電力と、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、第2モータジェネレータ5の最大トルクとに基づいて、図7に示すようなマップを検索して第1モータジェネレータ4の第2上限トルクを算出する。
ENG第2上限トルク算出部511は、MG1第1下限トルク算出部503の算出した第1モータジェネレータ第1下限トルクとMG1第2下限トルク算出部504の算出した第1モータジェネレータ第2下限トルクによって第1モータジェネレータ最小トルクを下限制限する。ENG第2上限トルク算出部511は、MG2第1上限トルク算出部505の算出した第2モータジェネレータ第1上限トルクとMG2第2上限トルク算出部506の算出した第2モータジェネレータ第2上限トルクによって第2モータジェネレータ最大トルクを上限制限する。ENG第2上限トルク算出部511は、下限制限された第1モータジェネレータ最小トルクと、上限制限された第2モータジェネレータ最大トルクとを使って、以下の式(24)によりエンジン第2上限トルクを算出する。
Te max2=-(1+K2)×Tmg1min+K3×(1+Kr)×Tmg2max・・・(24)
ここで、Te max2は、エンジン2の第2上限トルク[Nm]である。Tmg1minは、下限制限された第1モータジェネレータ最小トルク[Nm]である。Tmg2maxは、上限制限された第2モータジェネレータ最大トルク[Nm]である。
ENG第2下限トルク算出部512は、MG2第1下限トルク算出部507の算出した第2モータジェネレータ第1下限トルクとMG2第2下限トルク算出部508の算出した第2モータジェネレータ第2下限トルクによって第2モータジェネレータ最小トルクを下限制限する。ENG第2下限トルク算出部512は、MG1第1上限トルク算出部509の算出した第1モータジェネレータ第1上限トルクとMG1第2上限トルク算出部510の算出した第1モータジェネレータ第2上限トルクによって第1モータジェネレータ最大トルクを上限制限する。ENG第2下限トルク算出部512は、下限制限された第2モータジェネレータ最小トルクと、上限制限された第1モータジェネレータ最大トルクとを使って、以下の式(25)によりエンジン第2下限トルクを算出する。
Te min2=-(1+K1)×Tmg1max+K3×(1+Kr)×Tmg2min・・・(25)
ここで、Te min2は、エンジン2の第2下限トルク[Nm]である。Tmg1maxは、上限制限された第1モータジェネレータ最大トルク[Nm]である。Tmg2minは、下限制限された第2モータジェネレータ最小トルク[Nm]である。
ハイブリッドECU52は、目標エンジントルクを、ENG第1上限トルク算出部501の算出するエンジン第1上限トルクとENG第2上限トルク算出部511の算出するエンジン第2上限トルクによって上限制限する。ハイブリッドECU52は、上限制限された目標エンジントルクを、ENG第1下限トルク算出部502の算出するエンジン第1下限トルクとENG第2下限トルク算出部512の算出するエンジン第2下限トルクによって下限制限する。ハイブリッドECU52は、下限制限された目標エンジントルクを、ENG第2上限トルク算出部511の算出するエンジン第2上限トルクによって上限制限してエンジントルク指令値とする。
すなわち、ハイブリッドECU52は、目標エンジントルク、エンジン第1上限トルク、エンジン第2上限トルクの最小値をとり、その最小値、エンジン第1下限トルク、エンジン第2下限トルクの最大値をとり、その最大値、エンジン第2上限トルクの最小値をエンジントルク指令値とする。
ハイブリッドECU52は、算出されたエンジントルク指令値をエンジンECU53に送信してエンジン2を制御させる。
なお、バッテリ21のバッテリ許容電力から12V系に電力を供給するDCDCコンバータの消費電力やモータジェネレータやインバータにおける損失パワーを減算した値をバッテリ許容電力とすれば、より正確にバッテリ許容電力を守ることができる。
以上のように構成された第2実施例に係るハイブリッド車両の制御装置によるエンジントルク制御処理について、図40を参照して説明する。なお、以下に説明するエンジントルク制御処理は、ハイブリッドECU52が動作を開始すると開始され、予め設定された時間間隔で実行される。
ステップS51において、ハイブリッドECU52は、処理に使用する各種信号の取り込みを行なう。
ステップS52において、ハイブリッドECU52は、各種信号に基づいて、エンジン2で出力すべき目標エンジントルクを算出する。
ステップS53において、ハイブリッドECU52は、第1モータジェネレータ4の最大トルク及び最小トルクと、第2モータジェネレータ5の最大トルク及び最小トルクと、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、バッテリ21の放電側及び充電側のバッテリ許容電力とから、エンジン第1上限トルクを上述の式(16)から(19)により算出する。
ステップS54において、ハイブリッドECU52は、第1モータジェネレータ4の最大トルク及び最小トルクと、第2モータジェネレータ5の最大トルク及び最小トルクと、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、バッテリ21の放電側及び充電側のバッテリ許容電力とから、エンジン第1下限トルクを上述の式(20)から(23)により算出する。
ステップS55において、ハイブリッドECU52は、第2モータジェネレータ5の最小トルクと、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、バッテリ21の放電側のバッテリ許容電力とから、図6に示すようなマップを検索して第1モータジェネレータ第1上限トルクを算出する。
ステップS56において、ハイブリッドECU52は、第2モータジェネレータ5の最小トルクと、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、バッテリ21の放電側のバッテリ許容電力とから、図4に示すようなマップを検索して第1モータジェネレータ第1下限トルクを算出する。
ステップS57において、ハイブリッドECU52は、第2モータジェネレータ5の最大トルクと、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、バッテリ21の充電側のバッテリ許容電力とから、図7に示すようなマップを検索して第1モータジェネレータ第2上限トルクを算出する。
ステップS58において、ハイブリッドECU52は、第2モータジェネレータ5の最大トルクと、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、バッテリ21の充電側のバッテリ許容電力とから、図5に示すようなマップを検索して第1モータジェネレータ第2下限トルクを算出する。
ステップS59において、ハイブリッドECU52は、第1モータジェネレータ4の最小トルクと、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、バッテリ21の放電側のバッテリ許容電力とから、図6に示すようなマップを検索して第2モータジェネレータ第1上限トルクを算出する。
ステップS60において、ハイブリッドECU52は、第1モータジェネレータ4の最小トルクと、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、バッテリ21の放電側のバッテリ許容電力とから、図4に示すようなマップを検索して第2モータジェネレータ第1下限トルクを算出する。
ステップS61において、ハイブリッドECU52は、第1モータジェネレータ4の最大トルクと、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、バッテリ21の充電側のバッテリ許容電力とから、図7に示すようなマップを検索して第2モータジェネレータ第2上限トルクを算出する。
ステップS62において、ハイブリッドECU52は、第1モータジェネレータ4の最大トルクと、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、バッテリ21の充電側のバッテリ許容電力とから、図5に示すようなマップを検索して第2モータジェネレータ第2下限トルクを算出する。
ステップS63において、ハイブリッドECU52は、第1モータジェネレータ最小トルクを、第1モータジェネレータ第1下限トルクと第1モータジェネレータ第2下限トルクによって下限制限する。ハイブリッドECU52は、第2モータジェネレータ最大トルクを、第2モータジェネレータ第1上限トルクと第2モータジェネレータ第2上限トルクによって上限制限する。ハイブリッドECU52は、下限制限された第1モータジェネレータ最小トルクと、上限制限された第2モータジェネレータ最大トルクとから上述の式(24)によりエンジン第2上限トルクを算出する。
ステップS64において、ハイブリッドECU52は、第1モータジェネレータ最大トルクを、第1モータジェネレータ第1上限トルクと第1モータジェネレータ第2上限トルクによって上限制限する。ハイブリッドECU52は、第2モータジェネレータ最小トルクを、第2モータジェネレータ第1下限トルクと第2モータジェネレータ第2下限トルクによって下限制限する。ハイブリッドECU52は、上限制限された第1モータジェネレータ最大トルクと、下限制限された第2モータジェネレータ最小トルクとから上述の式(25)によりエンジン第2下限トルクを算出する。
ステップS65において、ハイブリッドECU52は、目標エンジントルクを、エンジン第1上限トルクとエンジン第2上限トルクによって上限制限する。ハイブリッドECU52は、上限制限された目標エンジントルクを、エンジン第1下限トルクとエンジン第2下限トルクによって下限制限する。ハイブリッドECU52は、下限制限された目標エンジントルクを、エンジン第2上限トルクによって上限制限してエンジントルク指令値として、処理を終了する。
このように、第1モータジェネレータ4の回転速度がゼロ近傍の場合に、第1モータジェネレータ4の最小トルクを、現状の第2モータジェネレータ5の回転速度により第2モータジェネレータ5が発電可能なパワー(発電なので負の値)をバッテリ21の出力制限値から減算した値が小さいほど最小トルクの絶対値が小さくなるように制限して、目標エンジントルクの上限値(エンジン第2上限トルク)を算出する。このため、図9に示すように、現状の第2モータジェネレータ5の回転速度により第2モータジェネレータ5が発電可能なパワーをバッテリ21の出力制限値から減算した値が負となっても、第1モータジェネレータ4の回転速度がゼロ近傍の正の場合にエンジン第1下限トルクに制限されて無限大になってしまうことを防止することができる。
また、第1モータジェネレータ4の回転速度がゼロ近傍の場合に、第1モータジェネレータ4の最大トルクを、現状の第2モータジェネレータ5の回転速度により第2モータジェネレータ5が発電可能なパワー(発電なので負の値)をバッテリ21の出力制限値から減算した値が小さいほど最大トルクが小さくなるように制限して、目標エンジントルクの下限値(エンジン第2下限トルク)を算出する。このため、図9に示すように、現状の第2モータジェネレータ5の回転速度により第2モータジェネレータ5が発電可能なパワーをバッテリ21の出力制限値から減算した値が負となっても、第1モータジェネレータ4の回転速度がゼロ近傍の負の場合にエンジン第1上限トルクに制限されて負の無限大になってしまうことを防止することができる。
従って、現状の第2モータジェネレータ5の回転速度により第2モータジェネレータ5が発電可能なパワーをバッテリ21の出力制限値から減算した値が負の場合であっても、第1モータジェネレータ4の回転速度がゼロ近傍においてエンジントルクが適切に制限されるため、駆動トルクがドライバの意図に反して極端に大きくなったり小さくなったりすることや、第1モータジェネレータ4の回転速度がゼロを跨いで変化する際に駆動トルクが急変することを防止することができる。
また、第1モータジェネレータ4の回転速度がゼロ近傍の場合に、第1モータジェネレータ4の最小トルクを、現状の第2モータジェネレータ5の回転速度により第2モータジェネレータ5が力行可能なパワー(力行なので正の値)をバッテリ21の入力制限値から減算した値が小さいほど最小トルクの絶対値が小さくなるように制限して、目標エンジントルクの上下限値(エンジン第2下限トルク)を算出する。このため、図10に示すように、現状の第2モータジェネレータ5の回転速度により第2モータジェネレータ5が力行可能なパワーをバッテリ21の入力制限値から減算した値が正となっても、第1モータジェネレータ4の回転速度がゼロ近傍の正の場合にエンジン第1上限トルクに制限されて負の無限大になってしまうことを防止することができる。
また、第1モータジェネレータ4の回転速度がゼロ近傍の場合に、第1モータジェネレータ4の最大トルクを、現状の第2モータジェネレータ5の回転速度により第2モータジェネレータ5が力行可能なパワー(力行なので正の値)をバッテリ21の入力制限値から減算した値が大きいほど最大トルクが小さくなるように制限して、目標エンジントルクの上限値(エンジン第2上限トルク)を算出する。このため、図10に示すように、現状の第2モータジェネレータ5の回転速度により第2モータジェネレータ5が力行可能なパワーをバッテリ21の入力制限値から減算した値が正となっても、第1モータジェネレータ4の回転速度がゼロ近傍の負の場合にエンジン第1下限トルクに制限されて無限大になってしまうことを防止することができる。
従って、現状の第2モータジェネレータ5の回転速度により第2モータジェネレータ5が力行可能なパワーをバッテリ21の入力制限から減算した値が正の場合であっても、第1モータジェネレータ4の回転速度がゼロ近傍においてエンジントルクが適切に制限されるため、駆動トルクがドライバの意図に反して極端に大きくなったり小さくなったりすることや、第1モータジェネレータ4の回転速度がゼロを跨いで変化する際に駆動トルクが急変することを防止することができる。
また、第2モータジェネレータ5の回転速度がゼロ近傍の場合に、第2モータジェネレータ5の最大トルクを、現状の第1モータジェネレータ4の回転速度により第1モータジェネレータ4が発電可能なパワー(発電なので負の値)をバッテリ21の出力制限値から減算した値が小さいほど最大トルクが小さくなるように制限して、目標エンジントルクの下限値(エンジン第2下限トルク)を算出する。このため、図41に示すように、現状の第1モータジェネレータ4の回転速度により第1モータジェネレータ4が発電可能なパワーをバッテリ21の出力制限値から減算した値が負となっても、第2モータジェネレータ5の回転速度がゼロ近傍の正の場合にエンジン第1上限トルクに制限されて負の無限大になってしまうことを防止することができる。
また、第2モータジェネレータ5の回転速度がゼロ近傍の場合に、第2モータジェネレータ5の最小トルクを、現状の第1モータジェネレータ4の回転速度により第1モータジェネレータ4が発電可能なパワー(発電なので負の値)をバッテリ21の出力制限値から減算した値が小さいほど最小トルクの絶対値が小さくなるように制限して、目標エンジントルクの上限値(エンジン第2上限トルク)を算出する。このため、図41に示すように、現状の第1モータジェネレータ4の回転速度により第1モータジェネレータ4が発電可能なパワーをバッテリ21の出力制限値から減算した値が負となっても、第2モータジェネレータ5の回転速度がゼロ近傍の負の場合にエンジン第1下限トルクに制限されて無限大になってしまうことを防止することができる。
従って、現状の第1モータジェネレータ4の回転速度により第1モータジェネレータ4が発電可能なパワーをバッテリ21の出力制限値から減算した値が負の場合であっても、第2モータジェネレータ5の回転速度がゼロ近傍においてエンジントルクが適切に制限されるため、駆動トルクがドライバの意図に反して極端に大きくなったり小さくなったりすることや、第2モータジェネレータ5の回転速度がゼロを跨いで変化する際の駆動トルクの急変や駆動トルクのハンチングを防止することができる。
また、第2モータジェネレータ5の回転速度がゼロ近傍の場合に、第2モータジェネレータ4の最大トルクを、現状の第1モータジェネレータ4の回転速度により第1モータジェネレータ4が力行可能なパワー(力行なので正の値)をバッテリ21の入力制限値から減算した値が大きいほど最大トルクが小さくなるように制限して、目標エンジントルクの下限値(エンジン第2下限トルク)を算出する。このため、図42に示すように、現状の第1モータジェネレータ4の回転速度により第1モータジェネレータ4が力行可能なパワーをバッテリ21の入力制限値から減算した値が正となっても、第2モータジェネレータ5の回転速度がゼロ近傍の負の場合にエンジン第1上限トルクに制限されて負の無限大になってしまうことを防止することができる。
また、第2モータジェネレータ5の回転速度がゼロ近傍の場合に、第2モータジェネレータ5の最小トルクを、現状の第1モータジェネレータ4の回転速度により第1モータジェネレータ4が力行可能なパワー(力行なので正の値)をバッテリ21の入力制限値から減算した値が大きいほど最小トルクの絶対値が小さくなるように制限して、目標エンジントルクの上限値(エンジン第2上限トルク)を算出する。このため、図42に示すように、現状の第1モータジェネレータ4の回転速度により第1モータジェネレータ4が力行可能なパワーをバッテリ21の入力制限値から減算した値が正となっても、第2モータジェネレータ4の回転速度がゼロ近傍の正の場合にエンジン第1下限トルクに制限されて無限大になってしまうことを防止することができる。
従って、現状の第1モータジェネレータ4の回転速度により第1モータジェネレータ4が力行可能なパワーをバッテリ21の入力制限から減算した値が正の場合であっても、第2モータジェネレータ5の回転速度がゼロ近傍においてエンジントルクが適切に制限されるため、駆動トルクがドライバの意図に反して極端に大きくなったり小さくなったりすることや、第2モータジェネレータ5の回転速度がゼロを跨いで変化する際に駆動トルクが急変することを防止することができる。
第2実施例の他の態様としては、第1モータジェネレータ4の回転速度がゼロ近傍の場合に、現状の第2モータジェネレータ5の回転速度により第2モータジェネレータ5が発電可能なパワーをバッテリ21の出力制限値から減算した値が負とならないように制限する。
また、第1モータジェネレータ4の回転速度がゼロ近傍の場合に、現状の第2モータジェネレータ5の回転速度により第2モータジェネレータ5が力行可能なパワーをバッテリ21の入力制限から減算した値が正とならないように制限する。
また、第2モータジェネレータ5の回転速度がゼロ近傍の場合に、現状の第1モータジェネレータ4の回転速度により第1モータジェネレータ4が発電可能なパワーをバッテリ21の出力制限から減算した値が負とならないように制限する。
また、第2モータジェネレータ5の回転速度がゼロ近傍の場合に、現状の第1モータジェネレータ4の回転速度により第1モータジェネレータ4が力行可能なパワーをバッテリ21の入力制限から減算した値が正とならないように制限する。
図43に示すように、本他の態様のハイブリッドECU52は、ENG第1上限トルク算出部601、ENG第1下限トルク算出部602、充電側バッテリ許容電力上限制限部603、放電側バッテリ許容電力下限制限部604、ENG第2上限トルク算出部605、ENG第2下限トルク算出部606を備えている。
ENG第1上限トルク算出部601は、後述する充電側バッテリ許容電力上限制限部603において制限されたバッテリ21の充電側バッテリ許容電力上限値を充電側バッテリ許容電力とする。ENG第1上限トルク算出部601は、後述する放電側バッテリ許容電力下限制限部604において制限されたバッテリ21の放電側バッテリ許容電力下限値を放電側バッテリ許容電力とする。ENG第1上限トルク算出部601は、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、第1モータジェネレータ4の最大トルク及び最小トルク、第2モータジェネレータ5の最大トルク及び最小トルクと、充電側バッテリ許容電力としての充電側バッテリ許容電力上限値と、放電側バッテリ許容電力としての放電側バッテリ許容電力下限値とに基づいて、エンジン2に許容される第1上限トルクを上述の式(16)から(19)により算出する。
ENG第1下限トルク算出部602は、後述する充電側バッテリ許容電力上限制限部603において制限されたバッテリ21の充電側バッテリ許容電力上限値を充電側バッテリ許容電力とする。ENG第1下限トルク算出部602は、後述する放電側バッテリ許容電力下限制限部604において制限されたバッテリ21の放電側バッテリ許容電力下限値を放電側バッテリ許容電力とする。ENG第1下限トルク算出部602は、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、第1モータジェネレータ4の最大トルク及び最小トルク、第2モータジェネレータ5の最大トルク及び最小トルクと、充電側バッテリ許容電力としての充電側バッテリ許容電力上限値と、放電側バッテリ許容電力としての放電側バッテリ許容電力下限値とに基づいて、エンジン2に許容される第1下限トルクを上述の式(20)から(23)により算出する。
充電側バッテリ許容電力上限制限部603は、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、第1モータジェネレータ4の最大トルクと、第2モータジェネレータ5の最大トルクとに基づいて、バッテリ21の充電側バッテリ許容電力を制限して充電側バッテリ許容電力上限値を算出する。
充電側バッテリ許容電力上限制限部603は、図20に示すようなマップを検索して、Pbatt min-Nmg2×Tmg2max×2π/60の上限値を算出する。
充電側バッテリ許容電力上限制限部603は、マップの検索値からNmg2×Tmg2max×2π/60を減算し、充電側バッテリ許容電力第1上限値を算出する。
充電側バッテリ許容電力上限制限部603は、図28に示すようなマップを検索して、Pbatt min-Nmg1×Tmg1max×2π/60の上限値を算出する。
充電側バッテリ許容電力上限制限部603は、マップの検索値からNmg1×Tmg1max×2π/60を減算し、充電側バッテリ許容電力第2上限値を算出する。
充電側バッテリ許容電力上限制限部603は、充電側バッテリ許容電力を充電側バッテリ許容電力第1上限値と充電側バッテリ許容電力第2上限値により上限制限して充電側バッテリ許容電力上限値を算出する。
放電側バッテリ許容電力下限制限部604は、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、第1モータジェネレータ4の最小トルクと、第2モータジェネレータ5の最小トルクとに基づいて、バッテリ21の放電側バッテリ許容電力を制限して放電側バッテリ許容電力下限値を算出する。
放電側バッテリ許容電力下限制限部604は、図21に示すようなマップを検索して、Pbatt max-Nmg2×Tmg2min×2π/60の下限値を算出する。
放電側バッテリ許容電力下限制限部604は、マップの検索値からNmg2×Tmg2min×2π/60を減算し、放電側バッテリ許容電力第1下限値を算出する。
放電側バッテリ許容電力下限制限部604は、図29に示すようなマップを検索して、Pbatt max-Nmg1×Tmg1min×2π/60の下限値を算出する。
放電側バッテリ許容電力下限制限部604は、マップの検索値からNmg1×Tmg1min×2π/60を減算し、放電側バッテリ許容電力第2下限値を算出する。
放電側バッテリ許容電力下限制限部604は、放電側バッテリ許容電力を放電側バッテリ許容電力第1下限値と放電側バッテリ許容電力第2下限値により下限制限して放電側バッテリ許容電力下限値を算出する。
ENG第2上限トルク算出部605は、第1モータジェネレータ最小トルクと、第2モータジェネレータ最大トルクとを使って、上述の式(24)によりエンジン第2上限トルクを算出する。
この場合、Tmg1minは、下限制限されていない第1モータジェネレータ最小トルク[Nm]を使い、Tmg2maxは、上限制限されていない第2モータジェネレータ最大トルク[Nm]を使う。
ENG第2下限トルク算出部606は、第2モータジェネレータ最小トルクと、第1モータジェネレータ最大トルクとを使って、上述の式(25)によりエンジン第2下限トルクを算出する。
この場合、Tmg1maxは、上限制限されていない第1モータジェネレータ最大トルク[Nm]を使い、Tmg2minは、下限制限されていない第2モータジェネレータ最小トルク[Nm]を使う。
ハイブリッドECU52は、目標エンジントルクを、ENG第1上限トルク算出部601の算出するエンジン第1上限トルクとENG第2上限トルク算出部605の算出するエンジン第2上限トルクによって上限制限する。ハイブリッドECU52は、上限制限された目標エンジントルクを、ENG第1下限トルク算出部602の算出するエンジン第1下限トルクとENG第2下限トルク算出部606の算出するエンジン第2下限トルクによって下限制限してエンジントルク指令値とする。
すなわち、ハイブリッドECU52は、目標エンジントルク、エンジン第1上限トルク、エンジン第2上限トルクの最小値をとり、その最小値、エンジン第1下限トルク、エンジン第2下限トルクの最大値をエンジントルク指令値とする。
ハイブリッドECU52は、算出されたエンジントルク指令値をエンジンECU53に送信してエンジン2を制御させる。
以上のように構成された第2実施例の他の態様に係るハイブリッド車両の制御装置によるエンジントルク制御処理について、図44を参照して説明する。なお、以下に説明するエンジントルク制御処理は、ハイブリッドECU52が動作を開始すると開始され、予め設定された時間間隔で実行される。
ステップS71において、ハイブリッドECU52は、処理に使用する各種信号の取り込みを行なう。
ステップS72において、ハイブリッドECU52は、各種信号に基づいて、エンジン2で出力すべき目標エンジントルクを算出する。
ステップS73において、ハイブリッドECU52は、第1モータジェネレータ4の最大トルクと、第2モータジェネレータ5の最大トルクと、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、バッテリ21の充電側のバッテリ許容電力とから、充電側バッテリ許容電力上限値を算出する。
ステップS74において、ハイブリッドECU52は、第1モータジェネレータ4の最小トルクと、第2モータジェネレータ5の最小トルクと、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、バッテリ21の放電側のバッテリ許容電力とから、放電側バッテリ許容電力下限値を算出する。
ステップS75において、ハイブリッドECU52は、第1モータジェネレータ4の最大トルク及び最小トルクと、第2モータジェネレータ5の最大トルク及び最小トルクと、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、バッテリ21の放電側バッテリ許容電力下限値及び充電側バッテリ許容電力上限値とから、エンジン第1上限トルクを上述の式(16)から(19)により算出する。
ステップS76において、ハイブリッドECU52は、第1モータジェネレータ4の最大トルク及び最小トルクと、第2モータジェネレータ5の最大トルク及び最小トルクと、第1モータジェネレータ4の回転速度と、第2モータジェネレータ5の回転速度と、バッテリ21の放電側バッテリ許容電力下限値及び充電側バッテリ許容電力上限値とから、エンジン第1下限トルクを上述の式(20)から(23)により算出する。
ステップS77において、ハイブリッドECU52は、第1モータジェネレータ最小トルクと第2モータジェネレータ最大トルクから、上述の式(24)によりエンジン第2上限トルクを算出する。
ステップS78において、ハイブリッドECU52は、第1モータジェネレータ最大トルクと第2モータジェネレータ最小トルクから、上述の式(25)によりエンジン第2下限トルクを算出する。
ステップS79において、ハイブリッドECU52は、目標エンジントルクを、エンジン第1上限トルクとエンジン第2上限トルクによって上限制限し、上限制限された目標エンジントルクを、エンジン第1下限トルクとエンジン第2下限トルクによって下限制限してエンジントルク指令値として、処理を終了する。
このように、第1モータジェネレータ4の回転速度がゼロ近傍の場合に、現状の第2モータジェネレータ5の回転速度により第2モータジェネレータ5が発電可能なパワー(発電なので負の値)をバッテリ21の出力制限値から減算した値が負となるような場合、図23に示すように、現状の第2モータジェネレータ5の回転速度により第2モータジェネレータ5が発電可能なパワーをバッテリ21の出力制限値から減算した値(Pbatt max-Nmg2×Tmg2min×2π/60)が負とならないようにバッテリ21の出力制限値の下限を制限する。このため、図24に示すように、第1モータジェネレータ4の回転速度がゼロ近傍の負の場合に目標エンジントルクの下限値が無限大になってしまうことを防止することができるとともに、第1モータジェネレータ4の回転速度がゼロ近傍の正の場合に目標エンジントルクの上限値が負の無限大になってしまうことを防止することができる。
従って、第1モータジェネレータ4の回転速度がゼロ近傍においてエンジントルクが適切に制限されるため、駆動トルクがドライバの意図に反して極端に大きくなったり小さくなったりすることや、第1モータジェネレータ4の回転速度がゼロを跨いで変化する際に駆動トルクが急変することを防止することができる。
また、第1モータジェネレータ4の回転速度がゼロ近傍の場合に、現状の第2モータジェネレータ5の回転速度により第2モータジェネレータ5が力行可能なパワー(力行なので正の値)をバッテリ21の入力制限値から減算した値が正の値となるような場合、図25に示すように、現状の第2モータジェネレータ5の回転速度により第2モータジェネレータ5が力行可能なパワーをバッテリ21の入力制限値から減算した値(Pbatt min-Nmg2×Tmg2miax×2π/60)が正とならないようにバッテリ21の入力制限値の上限を制限する。このため、図26に示すように、第1モータジェネレータ4の回転速度がゼロ近傍の正の場合に目標エンジントルクの上限値が負の無限大になってしまうことを防止することができるとともに、第1モータジェネレータ4の回転速度がゼロ近傍の負の場合に目標エンジントルクの下限値が無限大になってしまうことを防止することができる。
従って、第1モータジェネレータ4の回転速度がゼロ近傍においてエンジントルクが適切に制限されるため、駆動トルクがドライバの意図に反して極端に大きくなったり小さくなったりすることや、第1モータジェネレータ4の回転速度がゼロを跨いで変化する際に駆動トルクが急変することを防止することができる。
また、第2モータジェネレータ5の回転速度がゼロ近傍の場合に、現状の第1モータジェネレータ4の回転速度により第1モータジェネレータ4が発電可能なパワー(発電なので負の値)をバッテリ21の出力制限値から減算した値が負の値となるような場合、図45に示すように、現状の第1モータジェネレータ4の回転速度により第1モータジェネレータ4が発電可能なパワーをバッテリ21の出力制限値から減算した値(Pbatt max-Nmg1×Tmg1min×2π/60)が負の値にならないようにバッテリ21の出力制限値の下限を制限する。このため、図46に示すように、第2モータジェネレータ5の回転速度がゼロ近傍の負の場合に目標エンジントルクの下限値が無限大になってしまうことを防止することができるとともに、第2モータジェネレータ5の回転速度がゼロ近傍の正の場合に目標エンジントルクの上限値が負の無限大になってしまうことを防止することができる。
また、第2モータジェネレータ5の回転速度がゼロ近傍の場合に、現状の第1モータジェネレータ4の回転速度により第1モータジェネレータ4が力行可能なパワー(力行なので正の値)をバッテリ21の入力制限値から減算した値が正の値となるような場合、図47に示すように、現状の第1モータジェネレータ4の回転速度により第1モータジェネレータ4が力行可能なパワーをバッテリ21の入力制限値から減算した値(Pbatt min-Nmg1×Tmg1max×2π/60)が正の値にならないようにバッテリ21の入力制限値の上限を制限する。このため、図48に示すように、第2モータジェネレータ4の回転速度がゼロ近傍の正の場合に目標エンジントルクの下限値が無限大になることを防止することができるとともに、第2モータジェネレータ4の回転速度がゼロ近傍の負の場合に目標エンジントルクの上限値が負の無限大になることを防止することができる。
従って、第2モータジェネレータ5の回転速度がゼロ近傍においてエンジントルクが適切に制限されるため、駆動トルクがドライバの意図に反して極端に大きくなったり小さくなったりすることや、第2モータジェネレータ5の回転速度がゼロを跨いで変化する際に駆動トルクが急変することを防止することができる。
本発明の実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
1 車両(ハイブリッド車両)
2 エンジン
4 第1モータジェネレータ
5 第2モータジェネレータ
7 駆動軸
8 遊星歯車機構(動力伝達機構)
12 動力伝達機構
21 バッテリ
52 ハイブリッドECU(制御部)

Claims (8)

  1. 少なくとも3つの回転要素を有し、前記回転要素のいずれかにエンジンの出力軸、第1モータジェネレータの回転軸、第2モータジェネレータの回転軸がそれぞれ接続され、前記エンジンと、前記第1モータジェネレータと、前記第2モータジェネレータとの間で動力を授受させ前記回転要素のいずれかから駆動輪を駆動させる駆動トルクを出力させる動力伝達機構と、前記第1モータジェネレータ及び前記第2モータジェネレータへ電力を供給するバッテリと、を有するハイブリッド車両の駆動制御装置であって、
    前記第1モータジェネレータの回転速度がゼロ近傍の場合に、前記バッテリの入出力制限値と、前記第2モータジェネレータの現状の回転速度で可能なパワーと、に基づいて前記第1モータジェネレータのトルクを制限する制御部を備えるハイブリッド車両の制御装置。
  2. 前記制御部は、前記第1モータジェネレータの回転速度がゼロ近傍の場合に、前記バッテリの出力制限値から現状の前記第2モータジェネレータの回転速度により前記第2モータジェネレータが発電可能なパワーを減算した値が小さいほど前記第1モータジェネレータの最小トルクの絶対値が小さくなるように制限する請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。
  3. 前記制御部は、前記第1モータジェネレータの回転速度がゼロ近傍の場合に、前記バッテリの出力制限値から現状の前記第2モータジェネレータの回転速度により前記第2モータジェネレータが発電可能なパワーを減算した値が小さいほど前記第1モータジェネレータの最大トルクが小さくなるように制限する請求項1または請求項2に記載のハイブリッド車両の制御装置。
  4. 前記制御部は、前記第1モータジェネレータの回転速度がゼロ近傍の場合に、前記バッテリの入力制限値から現状の前記第2モータジェネレータの回転速度により前記第2モータジェネレータが力行可能なパワーを減算した値が大きいほど前記第1モータジェネレータの最小トルクの絶対値が小さくなるように制限する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の制御装置。
  5. 前記制御部は、前記第1モータジェネレータの回転速度がゼロ近傍の場合に、前記バッテリの入力制限値から現状の前記第2モータジェネレータの回転速度により前記第2モータジェネレータが力行可能なパワーを減算した値が大きいほど前記第1モータジェネレータの最大トルクが小さくなるように制限する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の制御装置。
  6. 前記制御部は、制限された前記第1モータジェネレータのトルクに基づいて前記エンジンのトルクを制限する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の制御装置。
  7. 少なくとも3つの回転要素を有し、前記回転要素のいずれかにエンジンの出力軸、第1モータジェネレータの回転軸、第2モータジェネレータの回転軸がそれぞれ接続され、前記エンジンと、前記第1モータジェネレータと、前記第2モータジェネレータとの間で動力を授受させ前記回転要素のいずれかから駆動輪を駆動させる駆動トルクを出力させる動力伝達機構と、前記第1モータジェネレータ及び前記第2モータジェネレータへ電力を供給するバッテリと、を有するハイブリッド車両の駆動制御装置であって、
    前記第1モータジェネレータの回転速度がゼロ近傍の場合に、前記バッテリの出力制限値から現状の前記第2モータジェネレータの回転速度により前記第2モータジェネレータが発電可能なパワーを減算した値が負とならないように制限して前記エンジンのトルクの制限値を算出する制御部を備えるハイブリッド車両の制御装置。
  8. 少なくとも3つの回転要素を有し、前記回転要素のいずれかにエンジンの出力軸、第1モータジェネレータの回転軸、第2モータジェネレータの回転軸がそれぞれ接続され、前記エンジンと、前記第1モータジェネレータと、前記第2モータジェネレータとの間で動力を授受させ前記回転要素のいずれかから駆動輪を駆動させる駆動トルクを出力させる動力伝達機構と、前記第1モータジェネレータ及び前記第2モータジェネレータへ電力を供給するバッテリと、を有するハイブリッド車両の駆動制御装置であって、
    前記第1モータジェネレータの回転速度がゼロ近傍の場合に、前記バッテリの入力制限値から現状の前記第2モータジェネレータの回転速度により前記第2モータジェネレータが力行可能なパワーを減算した値が正とならないように制限して前記エンジンのトルクの制限値を算出する制御部を備えるハイブリッド車両の制御装置。
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