JP2019097345A - 電力変換装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数の電力変換装置を同期通信により同期させる場合において通信遅延に起因して生じる横流の発生を抑制することが可能な電力変換装置を提供する。【解決手段】この電力変換装置10では、制御部20は、自身の電力変換装置20から出力されている出力電流の検出値と、負荷50に入力されている負荷電流の検出値とに基づいて、自身の電力変換装置10から他の電力変換装置10へ流れる横流成分を取得し、取得された横流成分に基づいて、自身の電力変換部30の電流指令値を補正するように構成されている。【選択図】図2
Description
この発明は、電力変換装置に関し、特に、電力変換により交流電力を出力する電力変換部を備える電力変換装置に関する。
従来、電力変換により交流電力を出力する電力変換部を備える電力変換装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
上記特許文献1では、PWM制御されるインバータ(電力変換部)を有する複数のパワーユニット(電力変換装置)と、複数のパワーユニットを制御するパワーユニット群制御部とを備える電力変換システムが開示されている。この電力変換システムでは、複数のパワーユニットは互いに並列に接続されている。また、この電力変換システムには、複数のパワーユニットを制御するパワーユニット群制御部が設けられている。パワーユニット群制御部は、キャリア同期・傾き信号を、各パワーユニットに送信するように構成されている。なお、キャリア同期・傾き信号には、キャリア同期信号と、キャリアの傾き信号とが含まれている。また、キャリア同期・傾き信号は、パワーユニット群制御部から各パワーユニットに送信される共通の信号である。そして、各パワーユニットでは、受信したキャリア同期・傾き信号に基づいて、キャリア信号を生成する。これにより、各パワーユニット間におけるキャリア信号の周期を一致させるように構成されている。
しかしながら、上記特許文献1に記載の電力変換装置では、パワーユニット群制御部と各パワーユニット間との各々の配線の長さが異なる場合がある。この場合、配線の長さが異なることに起因して、各パワーユニットに送信されるキャリア同期信号に通信遅延が生じる場合がある。このため、上記特許文献1の電力変換装置では、キャリア同期信号の通信遅延により、各パワーユニット間においてキャリア信号の周期がずれる場合がある。その結果、各パワーユニットから出力される交流の位相がずれるため、各パワーユニットから出力される交流の電位において電位差が生じる。このため、各パワーユニット間に横流が流れる場合がある。つまり、上記特許文献1の電力変換装置では、各パワーユニットを同期通信により同期させている場合でも、通信遅延に起因して、各パワーユニット間に横流が流れる場合があるという問題点がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、複数の電力変換装置を同期通信により同期させる場合において通信遅延に起因して生じる横流の発生を抑制することが可能な電力変換装置を提供することである。
上記目的を達成するために、この発明の一の局面による電力変換装置は、負荷に接続されているとともに、互いに並列に接続される複数の電力変換装置のうちの一の電力変換装置であって、電力変換により交流電力を出力する電力変換部と、電力変換部に対する電流の指令値である電流指令値を生成する制御部とを備え、制御部は、自身の電力変換装置から出力されている出力電流の検出値と、負荷に入力されている負荷電流の検出値とに基づいて、自身の電力変換装置から他の電力変換装置へ流れる横流成分を取得し、取得された横流成分に基づいて、自身の電力変換部に対する電流指令値を補正するように構成されている。
この発明の一の局面による電力変換装置では、上記のような構成により、複数の電力変換装置を同期通信により同期させている場合において、通信遅延に起因して、自身の電力変換装置と他の電力変換装置との間に横流が発生した場合でも、取得された自身の電力変換装置から他の電力変換装置へ流れる横流成分に基づいて、自身の電力変換部に対する電流指令値が補正される。その結果、電流指令値を、横流成分を抑制するように補正することができるので、複数の電力変換装置を同期通信により同期させる場合において通信遅延に起因して生じる横流の発生を抑制することができる。
上記一の局面による電力変換装置において、好ましくは、制御部は、自身の電流指令値に横流成分の逆位相となる横流成分抑制指令値を加算することにより、自身の電流指令値を補正するように構成されている。このように構成すれば、自身の電流指令値に重畳している横流成分が、加算される横流成分の逆位相となる横流成分抑制指令値により低減されるので、横流を容易に抑制することができる。
上記一の局面による電力変換装置において、好ましくは、制御部は、自身の出力電流の検出値と、負荷電流の検出値を互いに並列に接続される電力変換装置の台数で割った値との差に基づいて、横流成分を取得するように構成されている。ここで、横流が発生していない場合は、各々の電力変換装置から出力される電流値は、負荷電流の検出値を互いに並列に接続される電力変換装置の台数で割った値(以下、除算値という)に一致する。一方、横流が発生している場合は、自身の電力変換装置から出力される電流値と除算値との間に差が生じる。そこで、上記のように、自身の出力電流の検出値と除算値との差に基づいて、容易に横流成分を取得することができる。
上記一の局面による電力変換装置において、好ましくは、制御部は、横流成分の周波数特性に基づいて、自身の電流指令値を補正するように構成されている。ここで、横流成分は、複数の電力変換装置から出力される交流電力の位相差に起因して生じるため、横流成分は、交流電力と同様にsin波状の波形を有する。そこで、横流成分の周波数特性に基づいて自身の電流指令値を補正することによって、適切に、横流成分を抑制するように自身の電流指令値を補正することができる。
この場合、制御部は、周波数特性を、高速フーリエ変換によって解析するように構成されている。このように構成すれば、比較的高速のアルゴリズムである高速フーリエ変換によって解析することにより、他の周波数特性の解析手法と比較して、横流成分の周波数特性を迅速に把握することができる。その結果、発生した横流成分を迅速に補正することができるので、横流を比較的短時間で抑制することができる。
上記一の局面による電力変換装置において、好ましくは、制御部は、横流成分が検出された場合に、自身の出力電流の検出値に基づいて自身の電流指令値を補正する通常モードから、自身の出力電流の検出値に加えて横流成分にも基づいて自身の電流指令値を補正する横流補正モードに移行するように構成されている。このように構成すれば、横流が発生している場合のみ、横流を抑制するための自身の電流指令値の補正を行うので、横流が発生していない場合に、横流を抑制するための横流成分抑制指令値が自身の電流指令値に影響を及ぼすのを抑制することができる。
この場合、好ましくは、制御部は、横流成分の大きさが予め設定された第1の閾値以上となった場合に、通常モードから横流補正モードに移行する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、通常モードから横流補正モードへの移行を、予め設定された第1の閾値に基づいて、容易に行うことができる。
上記通常モードから横流補正モードに移行する制御を行う構成において、好ましくは、制御部は、横流成分の大きさが予め設定された第2の閾値以下となった場合に、横流補正モードから通常モードに移行する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、たとえば、第2の閾値を第1の閾値よりも小さい値に設定することにより、通常モードから横流補正モードに移行する制御を行う条件と、横流補正モードから通常モードに移行する制御を行う条件との間に一定の幅を持たせることができる。その結果、通常モードから横流補正モードに移行した直後に横流補正モードから通常モードに移行するのを抑制することができるので、横流成分の抑制が適切に行われなくなるのを抑制することができる。
本発明によれば、上記のように、複数の電力変換装置を同期通信により同期させる場合において通信遅延に起因して生じる横流の発生を抑制することができる。
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
[実施形態]
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態による電力変換装置10を備える電力変換システム100の構成について説明する。
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態による電力変換装置10を備える電力変換システム100の構成について説明する。
(電力変換システムの構成)
図1に示すように、本実施形態の電力変換装置10を備える電力変換システム100は、2台の電力変換装置10(10Aおよび10B)が互いに並列に接続されている。また、電力変換装置10Aおよび10Bは、負荷50に接続されている。
図1に示すように、本実施形態の電力変換装置10を備える電力変換システム100は、2台の電力変換装置10(10Aおよび10B)が互いに並列に接続されている。また、電力変換装置10Aおよび10Bは、負荷50に接続されている。
電力変換装置10Aおよび10Bは、交流電源(図示しない)から入力された交流電力を、所望の電圧・電流に変換して出力するための装置である。電力変換装置10Aおよび10Bは、図1に示すように、互いに同期通信を行いながら、交流電力を出力するように構成されている。
(電力変換装置の構成)
次に、図1〜図3を参照して、電力変換装置10の詳細な構成について説明する。なお、電力変換装置10Aおよび10Bは、略同一の構成を有する。
次に、図1〜図3を参照して、電力変換装置10の詳細な構成について説明する。なお、電力変換装置10Aおよび10Bは、略同一の構成を有する。
図1に示すように、電力変換装置10は、電力変換装置10の動作を制御するための制御部20と、交流電力の電圧・電流の変換を行うための電力変換部30と、電力変換装置10間で同期通信を行うための通信部40と、を備えている。
制御部20は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などを含んで構成されたコンピュータである。制御部20は、電力変換部30から出力される出力電流を制御するように構成されている。また、本実施形態では、制御部20は、自身の電力変換装置10から他の電力変換装置10へ流れる横流成分を取得し、取得された横流成分に基づいて、自身の電力変換部30に対する電流指令値(出力電流指令値)を補正するように構成されている。なお、電流指令値(出力電流指令値)の補正についての詳細な説明は後述する。
電力変換部30は、交流を直流に変換するコンバータ、直流を交流に変換するインバータ、等を含む。電力変換部30は、制御部20による制御に基づいて、交流電力の電圧・電流の変換を行うように構成されている。
通信部40は、電力変換装置10間で、キャリア同期信号を送信するように構成されている。通信部40により取得されたキャリア同期信号は、制御部20が電力変換部30へ送信するキャリア信号の周期を一致させるために用いられる。
図2に示すように、制御部20は、出力電流指令部21と、PWMゲート信号生成部22と、出力電流取得部23aと、負荷電流取得部23bと、除算値算出部24と、減算器25と、横流成分取得部26と、周波数特性解析部27と、横流成分抑制指令部28と、減算器29aと、加算器29bと、を備えている。
出力電流指令部21は、電力変換部30に対する電流の指令値である電流指令値(出力電流指令値)を生成するように構成されている。
PWMゲート信号生成部22は、出力電流指令部21から送信された出力電流指令値に基づいて、PWMゲート信号を生成するように構成されている。出力電流指令値が変換されたPWMゲート信号は、電力変換部30に入力される。そして、電力変換部30は、入力されたPWMゲート信号に基づいてスイッチング素子(図示せず)を駆動することにより、電力変換部30から出力される交流電力の電圧・電流を調整するように構成されている。
出力電流取得部23aは、自身の電力変換装置10における電力変換部30から出力された出力電流を検出するように構成されている。具体的には、出力電流取得部23aは、電流検出器60aにより検出された、電力変換部30から出力されリアクトルL(およびコンデンサC)を介した電流の検出値を取得するように構成されている(図3(1)参照)。なお、図3(1)の出力電流を、単一の周波数のsin波状の波形として示しているが、実際は、横流成分に起因して複数の周波数のsin波状の波形が混在した複雑な波形となる。
負荷電流取得部23bは、電流検出器60bにより検出された、負荷50に入力される負荷電流の検出値を取得するように構成されている
除算値算出部24は、負荷電流の検出値を互いに並列に接続される電力変換装置10の台数(2台)で割った値(以下、除算値という)を算出するように構成されている。なお、電力変換装置10では、制御部20には、互いに並列に接続される電力変換装置10の台数が予め記憶されている。
ここで、本実施形態では、図3(2)に示すように、制御部20は、自身の出力電流の検出値と、負荷電流の検出値を互いに並列に接続される電力変換装置10の台数で割った値(除算値)との差に基づいて、横流成分を取得するように構成されている。具体的には、減算器25は、除算値から出力電流の検出値を減算するように構成されている。すなわち、減算器25は、自身の電力変換装置10の出力電流の検出値と除算値算出部24により算出された除算値との差分を演算するように構成されている。
そして、横流成分取得部26は、減算器25により演算された自身の電力変換装置10の出力電流の検出値と除算値算出部24により算出された除算値との差分を、横流成分と見なして、所定の期間に渡って取得するように構成されている。なお、図3(2)の横流成分を、単一の周波数のsin波状の波形として示しているが、実際は、電力変換装置10間の通信遅延による出力電流における位相のずれやPWMスイッチングによるノイズ等に起因して、複数の周波数のsin波状の波形が混在した複雑な波形となる。
また、本実施形態では、横流成分取得部26は、取得した横流成分の最大振幅値が予め設定された第1の閾値以上となった場合に、通常モードから、自身の電流指令値(出力電流指令値)に対して横流成分の補正を行う横流補正モードに移行するように構成されている。また、本実施形態では、横流成分取得部26は、横流補正モードに移行後に、取得した横流成分の最大振幅値が予め設定された第2の閾値以下となった場合に、横流補正モードから通常モードに移行するように構成されている。なお、電力変換装置10では、第2の閾値は、第1の閾値よりも小さい値に設定されている。また、電力変換装置10では、横流補正モードの場合には、横流発生フラグが「1」の状態が維持されるように構成されている。また、横流補正モードでない通常モードの場合には、横流発生フラグが「0」の状態が維持されるように構成されている。
ここで、本実施形態では、図3(3)に示すように、制御部20は、横流成分の周波数特性に基づいて、自身の電流指令値を補正するように構成されている。具体的には、本実施形態では、周波数特性解析部27は、高速のアルゴリズムである高速フーリエ変換によって解析するように構成されている。詳細には、周波数特性解析部27は、自身の電流指令値(出力電流指令値)を補正するために、横流成分取得部26により取得された横流成分の周波数特性を解析するように構成されている。なお、図3(3)では、周波数特性である、sin波状の波形における強度および位相が解析される例を示している。
図3(4)及び(5)に示すように、横流成分抑制指令部28は、周波数特性解析部27により解析された横流成分の逆位相である横流成分抑制指令値を生成するように構成されている。なお、図3(4)は、横流成分が周波数毎に分解され複数のsin波状の波形に分離された様子を示している。
また、本実施形態では、制御部20は、自身の出力電流の検出値に基づいて自身の電流指令値(出力電流指令値)を補正するように構成されている。具体的には、減算器29aは、出力電流取得部23aで取得された出力電流の検出値を、出力電流指令部21により出力される出力電流指令値から減算するように構成されている。
また、本実施形態では、制御部20は、自身の電流指令値に横流成分の逆位相となる横流成分抑制指令値を加算することにより、自身の電流指令値(出力電流指令値)を補正するように構成されている。具体的には、加算器29bは、減算器29aにより出力電流の検出値が減算された自身の出力電流指令値に、横流成分抑制指令部28において生成された横流成分抑制指令値を加算するように構成されている。これにより、横流成分抑制指令値が加算された出力電流指令値(横流が低減された出力電流指令値)に基づいてPWMゲート信号生成部22によりPWMゲート信号が生成されるので、電力変換部30から出力される電流に生じる横流を低減することが可能になる。なお、周波数特性解析部27により解析される周波数には、横流の周波数だけでなくスイッチングのノイズ等に起因する高調波も含まれている。これにより、横流だけでなく、スイッチングのノイズ等に起因する高調波も低減することが可能になる。
以上の構成により、本実施形態では、制御部20は、通常モードにおいて、自身の出力電流の検出値に基づいて、自身の電流指令値を補正する。また、制御部20は、横流発生モードにおいて、自身の出力電流の検出値に加えて横流成分にも基づいて、自身の電流指令値を補正する。以下、制御部20の制御フローについて、説明する。
(自身の電流指令値の補正処理の制御フロー)
次に、図4を参照して、制御部20の制御フロー(自身の電流指令値(出力電流指令値)の補正処理の制御フロー)を説明する。
次に、図4を参照して、制御部20の制御フロー(自身の電流指令値(出力電流指令値)の補正処理の制御フロー)を説明する。
まず、ステップS101において、制御部20(横流成分取得部26)は、所定の期間に渡って、出力電流と、負荷電流を電力変換装置10の並列台数で割った値(除算値)との差(横流成分)を取得する。なお、所定の期間は、制御部20の制御周期(クロック信号の周期)よりも長い。横流の周期が、制御部20の制御周期よりも長いためである。
次に、ステップS102において、取得した横流成分の最大振幅値が予め設定された第1の閾値以上か否かを判断する。そして、取得した横流成分の最大振幅値が予め設定された第1の閾値以上であると判断された場合は、ステップS103に進む。
次に、ステップS103において、制御部20は、横流発生フラグが「1」か否かを判断する。そして、横流発生フラグが「1」ではない(つまり、「0」)と判断された場合は、ステップS104に進む。また、横流発生フラグが「1」であると判断された場合は、ステップS105に進む。
次に、ステップS104において、制御部20は、横流発生フラグを「1」の状態にする。つまり、通常モードから横流補正モードに移行する。
次に、ステップS105において、制御部20(周波数特性解析部27)は、高速フーリエ変換により、横流成分取得部26により取得された横流成分の周波数特性を解析する。
次に、ステップS106において、制御部20(横流成分抑制指令部28)は、周波数特性解析部27により解析された横流成分の逆位相である横流成分抑制指令値を生成する。
次に、ステップS107において、出力電流の検出値を出力電流指令値から減算した値に、横流成分抑制指令値を加算して、出力電流指令値を補正する。なお、具体的には、横流成分抑制指令値そのものの値を加算するのではなく、横流成分抑制指令値にある定数(1以下の定数、ゲイン)を乗算した値を、出力電流の検出値を出力電流指令値から減算した値に加算する。その後、ステップS101に戻る。
また、ステップS102において、取得した横流成分の最大振幅値が予め設定された第1の閾値よりも小さいと判断された場合は、ステップS108に進む。
次に、ステップS108において、取得した横流成分の最大振幅値が予め設定された第2の閾値以下であるか否かを判断する。そして、取得した横流成分の最大振幅値が予め設定された第2の閾値よりも大きいと判断された場合は、ステップS103に進む。
また、ステップS108において、取得した横流成分の最大振幅値が予め設定された第2の閾値以下であると判断された場合は、ステップS109に進む。
次に、ステップS109において、制御部20は、横流発生フラグが「0」か否かを判断する。そして、横流発生フラグが「0」ではないと判断された場合は、ステップS110に進む。また、横流発生フラグが「0」であると判断された場合は、ステップS109に進む。
次に、ステップS110において、制御部20は、横流発生フラグを「0」の状態にする。つまり、横流補正モードから通常モードに移行する。
次に、ステップS111において、出力電流の検出値を出力電流指令値から減算して、出力電流指令値を補正する。その後、ステップS101に戻る。なお、ステップS101〜S111の動作は、電力変換システム100の動作中において常に行われている。
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
本実施形態では、上記のように、制御部20を、自身の電力変換装置10から出力されている出力電流の検出値と、負荷50に入力されている負荷電流の検出値とに基づいて、自身の電力変換装置10から他の電力変換装置10へ流れる横流成分を取得し、取得された横流成分に基づいて、自身の電力変換部30の電流指令値を補正するように構成する。これにより、複数の電力変換装置10を同期通信により同期させている場合において、通信遅延に起因して、自身の電力変換装置10と他の電力変換装置10との間に横流が発生した場合でも、取得された自身の電力変換装置10から他の電力変換装置10へ流れる横流成分に基づいて、自身の電力変換部30の電流指令値が補正される。その結果、電流指令値を、横流成分を抑制するように補正することができるので、複数の電力変換装置10を同期通信により同期させる場合において通信遅延に起因して生じる横流の発生を抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、制御部20を、自身の電流指令値に横流成分の逆位相となる横流成分抑制指令値を加算することにより、自身の電流指令値を補正するように構成する。これにより、自身の電流指令値に重畳している横流成分が、加算される横流成分の逆位相となる横流成分抑制指令値により低減されるので、横流を容易に抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、制御部20を、自身の出力電流の検出値と、負荷電流の検出値を互いに並列に接続される電力変換装置10の台数で割った値との差に基づいて、横流成分を取得するように構成する。ここで、横流が発生していない場合は、各々の電力変換装置10から出力される電流値は、負荷電流の検出値を互いに並列に接続される電力変換装置10の台数で割った値(以下、除算値という)に一致する。一方、横流が発生している場合は、自身の電力変換装置10から出力される電流値と除算値との間に差が生じる。そこで、上記のように、自身の出力電流の検出値と除算値との差に基づいて、容易に横流成分を取得することができる。
また、本実施形態では、上記のように、制御部20を、横流成分の周波数特性に基づいて、自身の電流指令値を補正するように構成する。ここで、横流成分は、複数の電力変換装置10から出力される交流電力の位相差に起因して生じるため、横流成分は、交流電力と同様にsin波状の波形を有する。そこで、横流成分の周波数特性に基づいて自身の電流指令値を補正することによって、適切に、横流成分を抑制するように自身の電流指令値を補正することができる。
また、本実施形態では、上記のように、制御部20を、周波数特性を、高速フーリエ変換によって解析するように構成する。これにより、比較的高速のアルゴリズムである高速フーリエ変換によって解析することにより、他の周波数特性の解析手法と比較して、横流成分の周波数特性を迅速に把握することができる。その結果、発生した横流成分を迅速に補正することができるので、横流を比較的短時間で抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、制御部20を、横流成分が検出された場合に、自身の出力電流の検出値に基づいて自身の電流指令値を補正する通常モードから、自身の出力電流の検出値に加えて横流成分にも基づいて自身の電流指令値を補正する横流補正モードに移行するように構成する。これにより、横流が発生している場合のみ、横流を抑制するための自身の電流指令値の補正を行うので、横流が発生していない場合に、横流を抑制するための横流成分抑制指令値が自身の電流指令値に影響を及ぼすのを抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、制御部20を、横流成分の大きさが予め設定された第1の閾値以上となった場合に、通常モードから横流補正モードに移行する制御を行うように構成する。これにより、通常モードから横流補正モードへの移行を、予め設定された第1の閾値に基づいて、容易に行うことができる。
また、本実施形態では、上記のように、制御部20を、横流成分の大きさが予め設定され、かつ、第1の閾値よりも小さい値である第2の閾値以下となった場合に、横流補正モードから通常モードに移行する制御を行うように構成する。これにより、第2の閾値が第1の閾値よりも小さい値に設定されることにより、通常モードから横流補正モードに移行する制御を行う条件と、横流補正モードから通常モードに移行する制御を行う条件との間に一定の幅を持たせることができる。その結果、通常モードから横流補正モードに移行した直後に横流補正モードから通常モードに移行するのを抑制することができるので、横流成分の抑制が適切に行われなくなるのを抑制することができる。
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、2台の電力変換装置10を並列に接続させた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、並列に接続される電力変換装置10の台数は3台以上でもよい。
また、上記実施形態では、通常モードにおいて、自身の出力電流の検出値に基づいて、自身の電流指令値を補正し、横流発生モードにおいて、自身の出力電流の検出値に加えて横流成分にも基づいて、自身の電流指令値を補正させた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、通常モードにおいて、自身の出力電流の検出値に基づいて、自身の電流指令値を補正し、横流発生モードにおいて、横流成分のみに基づいて、自身の電流指令値を補正させてもよい。
また、上記実施形態では、高速フーリエ変換により横流成分の周波数特性を解析させた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、周波数特性を解析できる手法であれば、高速フーリエ変換以外の手法を用いてもよい。
また、上記実施形態では、周波数特性解析部27により横流成分の周波数特性を解析させた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、横流成分取得部26により取得された横流成分を、公知の近似手法を用いて単一のsin波状の波形に変換し、変換されたsin波状の波形の逆位相の横流成分抑制指令値としてもよい。
また、上記実施形態では、第2の閾値を第1の閾値よりも小さい値に設定させた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第2の閾値を第1の閾値と等しい値に設定してもよい。この場合、制御部20による自身の電流指令値の補正処理の処理フロー(図4の処理フロー)において、ステップS108が省略される。
また、上記実施形態では、説明の便宜上、制御部20による自身の電流指令値の補正処理を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部20による自身の電流指令値の補正処理を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
10(10A、10B) 電力変換装置
20 制御部
30 電力変換部
50 負荷
20 制御部
30 電力変換部
50 負荷
Claims (8)
- 負荷に接続されているとともに、互いに並列に接続される複数の電力変換装置のうちの一の電力変換装置であって、
電力変換により交流電力を出力する電力変換部と、
前記電力変換部に対する電流の指令値である電流指令値を生成する制御部とを備え、
前記制御部は、自身の前記電力変換装置から出力されている出力電流の検出値と、前記負荷に入力されている負荷電流の検出値とに基づいて、自身の前記電力変換装置から他の前記電力変換装置へ流れる横流成分を取得し、取得された前記横流成分に基づいて、自身の前記電力変換部に対する前記電流指令値を補正するように構成されている、電力変換装置。 - 前記制御部は、自身の前記電流指令値に前記横流成分の逆位相となる横流成分抑制指令値を加算することにより、自身の前記電流指令値を補正するように構成されている、請求項1に記載の電力変換装置。
- 前記制御部は、自身の前記出力電流の検出値と、前記負荷電流の検出値を互いに並列に接続される前記電力変換装置の台数で割った値との差に基づいて、前記横流成分を取得するように構成されている、請求項1または2に記載の電力変換装置。
- 前記制御部は、前記横流成分の周波数特性に基づいて、自身の前記電流指令値を補正するように構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電力変換装置。
- 前記制御部は、前記周波数特性を、高速フーリエ変換によって解析するように構成されている、請求項4に記載の電力変換装置。
- 前記制御部は、前記横流成分が検出された場合に、自身の前記出力電流の検出値に基づいて自身の前記電流指令値を補正する通常モードから、自身の前記出力電流の検出値に加えて前記横流成分にも基づいて自身の前記電流指令値を補正する横流補正モードに移行するように構成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電力変換装置。
- 前記制御部は、前記横流成分の大きさが予め設定された第1の閾値以上となった場合に、前記通常モードから前記横流補正モードに移行する制御を行うように構成されている、請求項6に記載の電力変換装置。
- 前記制御部は、前記横流成分の大きさが予め設定された第2の閾値以下となった場合に、前記横流補正モードから前記通常モードに移行する制御を行うように構成されている、請求項7に記載の電力変換装置。
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2017
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