JP2019096699A - リアクトル - Google Patents

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Abstract

【課題】強度に優れる上に、樹脂モールド部を形成し易いリアクトルを提供する。【解決手段】リアクトル1は、巻回部2a、2bを有するコイル2と、巻回部の内外に配置され、閉磁路を形成する磁性コア3と、巻回部と磁性コアとの間に介在される内側樹脂部61を含み、巻回部の外周面を覆わない樹脂モールド部6とを備える。磁性コアは、所定の磁路断面積を有し、巻回部内に配置される基部310と、基部の磁路断面積よりも小さい磁路断面積を有し、基部の端部に設けられる接続端部312とを含む内コア片31と、基部の磁路断面積よりも大きい磁路断面積を有する大面積部を含み、巻回部から露出される外コア片32とを備える。外コア片は、内コア片の比透磁率よりも大きい比透磁率を有し、樹脂モールド部は、接続端部と外コア片との接続箇所を覆い、基部を覆う箇所の厚さよりも厚い肉厚部63を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、リアクトルに関する。
特許文献1は、車載コンバータ等に用いられるリアクトルとして、一対の巻回部を備えるコイルと、巻回部内に配置される複数の内コア片と、巻回部外に配置される二つの外コア片とを備え、これらコア片が環状に組み付けられる磁性コアと、磁性コアの外周を覆い、コイルを覆わずに露出させる樹脂モールド部とを備えるものを開示する。
特開2017−135334号公報
強度に優れる上に、樹脂モールド部を形成し易いリアクトルが望まれている。
特許文献1に記載されるように、内コア片と外コア片とを備える磁性コアを樹脂モールド部によって一体に保持する場合に、特に、内コア片と外コア片との接続強度を高めて、磁性コアにおける一体物としての強度に優れることが望まれる。例えば、樹脂モールド部の全体厚さを厚くすれば上記接続強度を高められるものの、リアクトルの大型化を招く。
また、特許文献1に記載される外コア片は、内コア片の端面が接続される内端面が一様な平面である柱状体であって、外コア片の下面が内コア片の下面よりも下方に突出する。外コア片がこのような突出部分を備えることで、コイルを露出させつつ磁性コアの外周を覆う樹脂モールド部を形成し難い。巻回部と内コア片との間の筒状の隙間(以下、筒状隙間と呼ぶことがある)に、樹脂モールド部の原料となる流動状態の樹脂(以下、モールド原料と呼ぶことがある)を導入し難いからである。
詳しくは、内コア片と上述の突出部分を有する外コア片とを組み付けると、巻回部の内周縁と内コア片の端面の周縁とがつくる開口部の少なくとも一部を塞ぐように外コア片が配置される。上記開口部が外コア片で塞がれると、筒状隙間へのモールド原料の導入口の開口面積が小さくなり、筒状隙間にモールド原料を導入し難い。特に、より小型なリアクトルとするために、筒状隙間をより狭くする場合等ではモールド原料を更に充填し難い。従って、筒状隙間がより狭くてもモールド原料を充填し易い構成が望まれる。
そこで、強度に優れる上に、樹脂モールド部を形成し易いリアクトルを提供することを目的の一つとする。
本開示のリアクトルは、
巻回部を有するコイルと、
前記巻回部の内外に配置され、閉磁路を形成する磁性コアと、
前記巻回部と前記磁性コアとの間に介在される内側樹脂部を含み、前記巻回部の外周面を覆わない樹脂モールド部とを備え、
前記磁性コアは、
所定の磁路断面積を有し、前記巻回部内に配置される基部と、前記基部の磁路断面積よりも小さい磁路断面積を有し、前記基部の端部に設けられる接続端部とを含む内コア片と、
前記基部の磁路断面積よりも大きい磁路断面積を有する大面積部を含み、前記巻回部から露出される外コア片とを備え、
前記外コア片は、
前記内コア片の比透磁率よりも大きい比透磁率を有し、
前記樹脂モールド部は、
前記接続端部と前記外コア片との接続箇所を覆い、前記基部を覆う箇所の厚さよりも厚い肉厚部を含む。
上記のリアクトルは、強度に優れる上に、樹脂モールド部を形成し易い。
実施形態1のリアクトルを示す概略平面図である。 実施形態1のリアクトルを示す概略側面図である。 実施形態1のリアクトルに備えられる内コア片の概略斜視図である。
[本発明の実施形態の説明]
最初に、本発明の実施態様を列記して説明する。
(1)本発明の実施形態に係るリアクトルは、
巻回部を有するコイルと、
前記巻回部の内外に配置され、閉磁路を形成する磁性コアと、
前記巻回部と前記磁性コアとの間に介在される内側樹脂部を含み、前記巻回部の外周面を覆わない樹脂モールド部とを備え、
前記磁性コアは、
所定の磁路断面積を有し、前記巻回部内に配置される基部と、前記基部の磁路断面積よりも小さい磁路断面積を有し、前記基部の端部に設けられる接続端部とを含む内コア片と、
前記基部の磁路断面積よりも大きい磁路断面積を有する大面積部を含み、前記巻回部から露出される外コア片とを備え、
前記外コア片は、
前記内コア片の比透磁率よりも大きい比透磁率を有し、
前記樹脂モールド部は、
前記接続端部と前記外コア片との接続箇所を覆い、前記基部を覆う箇所の厚さよりも厚い肉厚部を含む。
上記のリアクトルは、巻回部を露出した状態で内コア片の少なくとも一部を覆う樹脂モールド部を備えるため、内側樹脂部によって巻回部と内コア片との間の絶縁性を高められる上に、リアクトルを液体冷媒等の冷却媒体で冷却する場合には、巻回部を冷却媒体に直接接触させられて放熱性に優れる。上記のリアクトルに備えられる外コア片は、内コア片の基部よりも磁路断面積が大きい大面積部を備えるため、外コア片の全体が基部と同じ磁路断面積を有する場合に比較して大面積部から放熱し易かったり、大面積部が上述の冷却媒体に接触し易かったりすることからも、放熱性により優れる。大面積部の具備によって表面積がより大きい場合には放熱性に更に優れる。
特に、上記のリアクトルは、樹脂モールド部において内コア片と外コア片との接続箇所を覆う位置に肉厚部を備える。この肉厚部は、樹脂モールド部において内コア片の基部を覆う箇所(主として内側樹脂部)よりも厚いため割れ難く、内コア片と外コア片との接続強度を高めることに寄与する。従って、上記のリアクトルは、樹脂モールド部によって一体に保持される磁性コアについて、一体物としての強度を向上でき、強度に優れる。肉厚部が内コア片の周方向に連続して環状に設けられている場合には、強度により優れる。また、上記のリアクトルは、肉厚部を局所的に備えるため、樹脂モールド部の全体が厚い場合に比較して小型でありながら、強度に優れる。
更に、上記のリアクトルは、外コア片が大面積部を備えるものの、巻回部と内コア片との間の筒状隙間の開口部近傍に局所的に細い接続端部を備えることで、上記開口部近傍を経て筒状隙間にモールド原料を導入し易い。接続端部は、その外周面において内コア片の基部の外周面と面一ではない段差部分を有する。そのため、上記のリアクトルを巻回部の軸方向にみると、巻回部の内周縁と接続端部における上記段差部分の周縁との間の間隔が、巻回部の内周面と内コア片の基部の外周面との間の筒状隙間よりも大きい。このような接続端部の周囲の空間を筒状隙間へのモールド原料の導入空間として利用できる。接続端部の外周面の全周が内コア片の基部の外周面と面一でなければ、接続端部の全周に亘って導入空間を形成でき、モールド原料をより導入し易い。筒状隙間をより狭くする場合等でも、上記開口部近傍に上記導入空間を形成できるため、モールド原料を導入し易い。従って、上記のリアクトルは、巻回部と内コア片との間の筒状隙間にモールド原料を充填し易く、樹脂モールド部を形成し易い。
その上、上記のリアクトルは、外コア片の比透磁率が内コア片の比透磁率よりも高いため、内コア片における外コア片との接続箇所をなす接続端部が局所的に細くても、両コア片間での漏れ磁束を低減できる。従って、上記のリアクトルは、上記漏れ磁束に起因する損失の増大を低減できて、低損失でもある。
(2)上記のリアクトルの一例として、
前記基部は、その外周面と前記基部の端面とに開口する導入溝を備える形態が挙げられる。
上記形態の導入溝は、基部の端面において接続端部との間で上述の段差部分をなす領域に開口することで、上述の導入空間と筒状隙間との双方に連通する空間を形成する。接続端部の外周面の全周が基部の外周面と面一でなければ、導入溝は、基部の端面において任意の領域に開口することで、上述の導入空間と筒状隙間との双方に連通する空間を形成する。このような導入溝を備える上記形態は、導入空間から導入溝を経て筒状隙間にモールド原料をより導入し易く、樹脂モールド部をより形成し易い。また、樹脂モールド部における導入溝を覆う箇所の厚さは、基部を覆う箇所の厚さよりも厚い上に肉厚部に連続して設けられる。従って、上記形態は、内コア片と外コア片との接続箇所近傍に、樹脂モールド部において局所的に厚い部分が多く配置されて接続強度をより高められ、強度により優れる。
(3)上記のリアクトルの一例として、
前記接続端部の外周面から突出する突起を備える形態が挙げられる。
上記形態は、突起によって肉厚部における接続端部との接触面積を増大できるため、内コア片と外コア片との接続強度をより高められ、強度により優れる。また、上記形態は、突起によって接続端部の磁路断面積を増大でき、内コア片と外コア片との間での漏れ磁束をより低減し易い。
(4)上記のリアクトルの一例として、
前記内コア片は、磁性粉末と樹脂とを含む複合材料の成形体からなる形態が挙げられる。
複合材料の成形体は、磁路断面積が異なる基部と接続端部とを備えたり、更に上述の突起や導入溝を備えたりするという凹凸形状の内コア片を容易に、かつ精度よく成形できる。従って、上記形態は内コア片の製造性に優れる。また、複合材料の成形体は、磁性粉末の充填率を低くすると比透磁率を小さくできる。内コア片の比透磁率がある程度小さければ(後述の(5)参照)、磁気ギャップを有さない磁性コアとすることができる。ギャップレス構造の磁性コアでは、磁気ギャップに起因する漏れ磁束が実質的に生じないため、筒状隙間をより小さくできる。従って、上記形態は、両コア片間での漏れ磁束や磁気ギャップに起因する漏れ磁束に基づく損失をより低減したり、筒状隙間が小さいことでより小型にしたりすることができる上に、筒状隙間が小さくても上述の導入空間を形成できるためモールド原料を筒状隙間に導入し易く、樹脂モールド部を形成し易い。
(5)上記のリアクトルの一例として、
前記内コア片の比透磁率は、5以上50以下であり、
前記外コア片の比透磁率は、前記内コア片の比透磁率の2倍以上である形態が挙げられる。
上記形態は、外コア片の比透磁率と内コア片の比透磁率との差が大きいため、両コア片間での漏れ磁束をより確実に低減できる。上記差によっては、上記漏れ磁束を実質的に無くすことができる。また、上記形態は、内コア片の比透磁率が低いため、ギャップレス構造の磁性コアとすることができる。従って、上記形態は、上述の(4)で説明したように漏れ磁束に起因する損失をより低減したり、より小型にしたりすることができつつ、樹脂モールド部を形成し易い。
(6)上記(5)のリアクトルの一例として、
前記外コア片の比透磁率は、50以上500以下である形態が挙げられる。
上記形態は、上述の(5)に加えて、外コア片の比透磁率が上述の特定の範囲を満たすため、外コア片の比透磁率と内コア片の比透磁率との差を大きくし易い。上記差が大きければ(例えば100以上)、接続端部をより細くしても両コア片間での漏れ磁束を低減できる。接続端部がより細ければ上述の導入空間がより大きくなるため筒状隙間にモールド原料を導入し易く、樹脂モールド部をより形成し易い。
(7)上記のリアクトルの一例として、
前記接続端部は、前記巻回部から露出される形態が挙げられる。
上記形態は、接続端部の少なくとも一部が巻回部内に配置される場合に比較して、漏れ磁束に起因する銅損等の損失を低減し易い上に、接続端部と外コア片とを接触させ易く、内コア片と外コア片との組立作業性にも優れる。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を具体的に説明する。図中の同一符号は同一名称物を示す。
[実施形態1]
図1〜図3を参照して、実施形態1のリアクトル1を説明する。
以下の説明では、リアクトル1における設置対象に接する設置側を下側、その対向側を上側として説明する。図2は、紙面の下側がリアクトル1の設置側である場合を例示する。図2は、巻回部2aをその軸方向に平行な平面で切断した縦断面を示し、内側樹脂部61を露出させた状態で示す。また、図2の一点鎖線円内は、内コア片31と外コア片32との接続箇所近傍を拡大して示すと共に、樹脂モールド部6、介在部材5を二点鎖線で仮想的に示す。
〈概要〉
実施形態1のリアクトル1は、図1に示すように、コイル2と、閉磁路を形成する磁性コア3と、樹脂モールド部6とを備える。この例では、コイル2は一対の巻回部2a,2bを有する。各巻回部2a,2bは、各軸が平行するように横並びに配置される。磁性コア3は、巻回部2a,2b内に配置される基部310,310を含む内コア片31,31と、巻回部2a,2bから露出される二つの外コア片32,32とを備える。樹脂モールド部6は、巻回部2a,2bと磁性コア3(ここでは基部310,310)との間にそれぞれ介在される内側樹脂部61,61を含む。樹脂モールド部6は、各巻回部2a,2bの外周面を覆わず露出させる。巻回部2a,2bの内外に配置される磁性コア3は、巻回部2a,2bに沿って横並びされる内コア片31,31を挟むように外コア片32,32が配置されて、環状に組み付けられる。このようなリアクトル1は、代表的には、コンバータケース等の設置対象(図示せず)に取り付けられて使用される。
特に、実施形態1のリアクトル1では、内コア片31において外コア片32との接続箇所をなす接続端部312が基部310に比較して細い。樹脂モールド部6は、この局所的に細い接続端部312と外コア片32との接続箇所の外周を覆う肉厚部63を含む。内コア片31の接続端部312が局所的に細いことで、樹脂モールド部6の形成前には、図2の一点鎖線円内に拡大して示すように両コア片31,32の接続箇所における接続端部312の外周に、巻回部2a(又は2b)と基部310との間の筒状隙間g31よりも大きい空間(導入空間g312)を形成する。更に、外コア片32は、内コア片31の比透磁率よりも大きい比透磁率を有する。このようなリアクトル1は、導入空間g312を経て、筒状隙間g31にモールド原料を導入し易く樹脂モールド部6を形成し易い上に、肉厚部63によって両コア片31,32の接続強度に優れつつ、両コア片31,32間での漏れ磁束を低減できる。
以下、構成要素ごとに詳細に説明する。
〈コイル〉
この例のコイル2は、巻線が螺旋状に巻回されてなる筒状の巻回部2a,2bを備える。横並びされる一対の巻回部2a,2bを備えるコイル2として、以下の形態が挙げられる。
(α)1本の連続する巻線から形成される巻回部2a,2bと、巻回部2a,2b間に渡される巻線の一部からなり、巻回部2a,2bを連結する連結部とを備える形態。
(β)独立した2本の巻線によってそれぞれ形成される巻回部2a,2bと、巻回部2a,2bから引き出される巻線の両端部のうち、一方の端部同士が溶接や圧着等によって接合されてなる接合部とを備える形態。
いずれの形態も、各巻回部2a,2bから引き出される巻線の端部((β)では他方の端部)は、電源等の外部装置が接続される接続箇所として利用される。
巻線は、銅等からなる導体線と、ポリアミドイミド等の樹脂からなり、導体線の外周を覆う絶縁被覆とを備える被覆線が挙げられる。この例の巻回部2a,2bは、被覆平角線からなる巻線をエッジワイズ巻して形成された四角筒状のエッジワイズコイルであり、形状・巻回方向・ターン数等の仕様を同一とする。巻線や巻回部2a,2bの形状、大きさ等は適宜選択できる。例えば、巻線を被覆丸線としたり、巻回部2a,2bの形状を円筒状、楕円状やレーストラック状等の角部を有しない筒状としたりすることが挙げられる。また、各巻回部2a,2bの仕様を異ならせることもできる。
実施形態1のリアクトル1では、巻回部2a,2bの外周面の全体が樹脂モールド部6に覆われず露出される。一方、巻回部2a,2b内には樹脂モールド部6の一部である内側樹脂部61が介在し、巻回部2a,2bの内周面は樹脂モールド部6に覆われる。
〈磁性コア〉
《概要》
この例の磁性コア3は、上述の四つのコア片31,31、32,32が環状に組み付けられた状態で、その外周が樹脂モールド部6によって覆われることで一体に保持されると共に、コア片間に磁気ギャップを実質的に含まないギャップレス構造である。
実施形態1のリアクトル1では、内コア片31の磁路断面積がその全長に亘って一様ではなく部分的に異なる。具体的には、内コア片31は、所定の磁路断面積S31を有する基部310と、基部310の磁路断面積S31よりも小さい磁路断面積S312を有する接続端部312とを備える(図3も参照)。接続端部312は基部310の端部に設けられる。この例の内コア片31は、基部310の両端にそれぞれ接続端部312,312を備え、これらが一体に成形されて、その軸方向の中間部分が相対的に太く、両端部が相対的に細いという段差形状を有する(図3)。
コイル2と内コア片31とを組み付けた状態では、基部310は巻回部2a(又は2b)内に配置され、基部の310の両端の接続端部312,312は、この例では巻回部2a(同)から露出され、巻回部2a(同)の端面から突出状態で配置される(図2)。コイル2と磁性コア3とを組み付けた状態では、図2の一点鎖線円内に示すように、基部310の端面314と接続端部312の外周面と外コア片32の内端面32eとによって溝が形成される。この例では、接続端部312の外周に沿って連続する環状の溝が形成される。この環状の溝を樹脂モールド部6の肉厚部63の形成箇所とする。
以下、内コア片31、外コア片32を順に説明する。
《内コア片》
この例では、磁性コア3において巻回部2a内に配置される部分及び巻回部2b内に配置される部分はいずれも、主として一つの柱状の内コア片31で構成される(図1)。一つの内コア片31において各端面31e,31eは、外コア片32,32の内端面32e,32eに接合される(図2)。なお、この例では、両コア片31,32同士の継ぎ目箇所には、後述する介在部材5が配置される。
この例の内コア片31,31はいずれも同一形状、同一の大きさである。詳しくは、内コア片31は、図3に示すように直方体状であり、基部310を挟むように接続端部312,312を備える。基部310は相対的に大きな磁路断面積S31を有し、この例では巻回部2a(又は2b)の長さに概ね等しい長さを有する(図1)。各接続端部312,312は、相対的に小さな磁路断面積S312を有し、基部310の長さよりも短い。基部310,接続端部312の形状は適宜変更でき、例えば円柱状、その他、六角柱等の多角柱状等とすることが挙げられる。角柱等とする場合に角部をC面取り、又は図3に示すようにR面取りされたような形状とすることが挙げられる。角部が丸められることで、欠け難く強度に優れる上に、軽量化、内側樹脂部61との接触面積の増大を図ることができる。その他、この例では基部310及び接続端部312をいずれも、端面31e,314の外形が概ね相似な直方体状とするが、上記外形が異なる柱状体とすることもできる。例えば、接続端部312を歯車状等とすれば、肉厚部63との接触面積を増大でき、両コア片31,32の接続強度を高められる。
この例の基部310は、導入溝315(詳細は後述)の形成領域を除いて、その全長に亘って所定の磁路断面積S31を有する。そのため、磁性コア3は、磁路断面積S31を有する部分を十分に確保して、所定の磁気特性を有することができる。図3では、基部310の磁路断面積S31を仮想的に示す。
接続端部312は、基部310の端面314から突設される。この例の接続端部312は、外コア片32の内端面32eに接続される端面31eを含めて、その全長に亘って一様な磁路断面積S312を有する柱状体である。基部310の磁路断面積S31と接続端部312の磁路断面積S312とが異なることで両者の輪郭寸法も異なる。この寸法差によって生じる段差部分に形成される空間(導入空間g312)を、樹脂モールド部6の形成時に巻回部2a,2bと内コア片31,31との間の筒状隙間g31にモールド原料を導く案内箇所として利用する。かつ、導入空間g312を肉厚部63の形成箇所に利用する(図2)。
上述の段差部分の大きさを調整することで、筒状隙間g31へのモールド原料の導入容易性や肉厚部63の大きさを調整できる。例えば、上記段差部分の段差高さが大きいほど、又は上記段差部分の幅が広いほど、導入空間g312を大きくでき、導入容易性を高めたり、肉厚部63を厚くしたり広幅にしたりすることができる。また、接続端部312の外形や基部310の端面314に対する接続端部312の形成位置等によって上記段差部分の形成長さが異なり、導入空間g312や肉厚部63の周長も異なる。例えば、接続端部312の外周面の一部が基部310の外周面と面一になるように接続端部312の形成位置が調整されている場合、接続端部312の外周面の一部にのみ段差を設けられる。この例のように接続端部312の外形を端面314に相似状とし、接続端部312を基部310に同軸に設ければ、接続端部312の全周に亘って段差を設けられる。その結果、一様な厚さの導入空間g312や肉厚部63を環状に設けられる。より厚く、幅広で環状の肉厚部63を備えると、両コア片31,32の接続強度をより高められて好ましい。なお、段差高さとは、内コア片31の軸方向(ここでは巻回部2a,2bの軸方向に等しい)に直交する方向の大きさとする。段差部分の幅とは、内コア片31の軸方向に沿った大きさとする。上記幅は、ここでは接続端部312における基部310の端面314からの突出高さに相当する。
上述の段差部分の大きさに関して、接続端部312の磁路断面積S312が小さいほど、段差高さを大きくできる。又は、接続端部312の突出高さが大きいほど、段差部分の幅を広くできる。しかし、磁路断面積S312が小さ過ぎたり、突出高さが大き過ぎたりすると、磁性コア3において磁路断面積S31よりも小さい磁路断面積S312を有する部分の割合が多くなるため、磁気飽和し易くなったり、接続端部312からの漏れ磁束が多くなったりし得る。導入容易性、接続強度、磁気飽和や漏れ磁束等の磁気特性等を考慮すると、接続端部312の磁路断面積S312は、基部310の磁路断面積S31の60%以上100%未満、更に65%以上98%以下、70%以上95%以下程度とすることが挙げられる。又は、段差高さは、0.1mm以上2mm以下、更に0.5mm以上1.5mm以下、1.2mm以下程度とすることが挙げられる。また、段差部分の幅(突出高さ)は、巻回部2a,2bの長さの1%以上35%以下、更に5%以上20%以下、15%以下程度とすることが挙げられる。
接続端部312は、その外周面から突出する突起317を備えることができる。図3では、突起317を二点鎖線で仮想的に示す。突起317を備えると、接続端部312の外周面が平滑な面である場合に比較して、肉厚部63との接触面積を増大でき、両コア片31,32の接続強度を高められる。図3では、複数の半球状の突起317が千鳥状に配置された場合を例示するが、突起317の形状、大きさ、個数、配置状態等は適宜変更できる。突起317の個数が多いほど、肉厚部63との接触面積を増大できる。
なお、接続端部312は、突起317に代えて、又は突起317に加えて、凹部(図示せず)を備えることができるが、磁路断面積S312を有する接続端部312に対して更に突起317を備えることが好ましい。突起317によって接続端部312の磁路断面積の増大を期待できるからである。また、凹部によって、接続端部312の磁路断面積が局所的に低減されることを防止でき、両コア片31,32間での漏れ磁束を低減し易いからである。
内コア片31は、接続端部312に加えて、基部310に導入溝315を備えることができる。導入溝315は、基部310の端面314と基部310の外周面とに開口して、導入空間g312と筒状隙間g31との双方に連通する空間を形成する。そのため、コイル2を露出させつつ磁性コア3を覆う樹脂モールド部6を形成する際、外コア片32側からコイル2側にモールド原料を供給すれば、導入空間g312から導入溝315を経て筒状隙間g31にモールド原料を容易に導入できる(図2の一点鎖線円内も参照)。更に、樹脂モールド部6において導入溝315を覆う箇所は、基部310を覆う箇所の厚さt61よりも厚く形成される上に、肉厚部63に連続する。従って、樹脂モールド部6は両コア片31,32の接続箇所近傍に局所的に厚い箇所をより多く備えられ、両コア片31,32の接続強度をより高められる。
導入溝315の形状(開口形状、断面形状等)、大きさ(深さ、開口幅、長さ(基部310の軸方向に沿った大きさ)等)、個数、形成位置等は適宜選択できる。導入溝315が大きいほど、又は個数が多いほど、モールド原料の導入容易性や接続強度を高められる。しかし、導入溝315が大き過ぎたり、個数が多過ぎたりすると、磁路断面積S31を有する部分の割合が少なくなり、磁気飽和し易くなったり、導入溝315近傍からの漏れ磁束が多くなったりし得る。導入容易性、接続強度、磁気飽和や漏れ磁束等の磁気特性等を考慮すると、基部310において導入溝315の形成領域の磁路断面積がS312以上S31以下を満たすように、導入溝315の大きさが調整されていることが挙げられる。導入溝315の長さは、例えばコイル2の5ターン以下の長さ、更に2ターン以下程度の長さが挙げられる。この例のように接続端部312の外周面の全周が基部310の外周面に面一でなければ、導入溝315を基部310の端面314の任意の位置に開口でき、形成位置の自由度が大きい。
導入溝315の開口部は、基部310の外周面のうち、隣り合う内コア片31,31同士が対向する領域(以下、内側領域と呼ぶ)から離れた領域に設けられることが好ましい。上記の内側領域は、隣り合う内コア片31,31において互いに離れる側に配置される領域に比較して磁束が通過し易い。このような内側領域に開口する導入溝315を備えると、導入溝315近傍からの漏れ磁束の増大を招き得るからである。
この例では、一つの内コア片31の基部310の各端部において、上述の内側領域に相当する面(図1では隣り合う基部310,310において対向配置される内側の面、図3では紙面奥側で見えない面)を除く三面(図2,図3では上下面、及び紙面手前側に位置する外側の面)にそれぞれ開口する導入溝315を備える場合を例示する。つまり、一つの内コア片31は、基部310の両端部の合計で六つの導入溝315を備える。各導入溝315は同一形状、同一の大きさであり、開口形状が長方形状であり、基部310の外周面に概ね平行な溝底面と、この溝底面に交差し、溝底面から上記外周面に至る傾斜面とを備える場合を例示する。傾斜面は、端面314から離れるに従って溝深さが浅くなるように傾斜する。そのため、傾斜面は、導入溝315から筒状隙間g31にモールド原料をより流れ易くすることに寄与する。
この例の内コア片31,31は同一形状、同一の大きさであり、同じ金型でコア片を製造できる上に、樹脂モールド部6の形成時に条件の調整等が行い易い。これらの点から、製造性に優れる。その他、各内コア片31,31で接続端部312の形状や大きさを異ならせたり、又は一つの内コア片31について接続端部312,312の形状や大きさを異ならせたりすることができる。例えば、内コア片31の一端のみに接続端部312を備え、他端に接続端部312を備えない形態が挙げられる。
《外コア片》
この例では、磁性コア3において巻回部2a外に配置される部分及び巻回部2b外に配置される部分はいずれも、主として一つの柱状の外コア片32で構成される(図1)。外コア片32は、基部310の磁路断面積S31よりも大きい磁路断面積S32を有する大面積部を含む。図2では、外コア片32の磁路断面積S32を仮想的に示す。
この例の外コア片32はいずれも同一形状、同一の大きさであり、図1,図2に示すように直方体状である。各外コア片32の一面(内端面32e)が内コア片31,31との接合面として利用される。また、この例の外コア片32は、図2に示すように、その設置側である下面が内コア片31の基部310の設置側である下面よりも設置対象側に突出し、その反対側の上面が基部310の上面と面一である。このような外コア片32は、基部310の磁路断面積S31と同等以上の磁路断面積を有しており、漏れ磁束を低減し易い。この例の外コア片32は、その全体に亘って磁路断面積S32(>S31)を有し、その全体が大面積部をなす。なお、外コア片32は、磁路断面積S32を有する大面積部を部分的に有すれば、磁路断面積S31を有する部分を含むことができる。
外コア片32の形状は適宜変更できる。例えば、外コア片32を、平面視(上面視)で台形状又はドーム状といった、外側の角部がある程度大きくC面取り又はR面取りされたような形状とすることが挙げられる。平面視で、外コア片32における巻回部2a,2bから離れた外側の角部は磁束があまり通過しない領域であるため、上述のように角部が丸められていても磁気特性の低下を招き難い上に、軽量化、外側樹脂部62との接触面積の増大を図ることができる。
《組付状態》
内コア片31の端面31eと外コア片32の内端面32eとを接続して、磁性コア3を組み付けた状態で外コア片32の外端面32o(図1)から巻回部2a,2bの軸方向にみると(正面視すると)、両内コア片31,31の端面314,31e、314,31eはいずれも、外コア片32に重複してみえない。この例の外コア片32は、内端面32eの面積が内コア片31の端面314の合計面積(2×S31)よりも大きく、外コア片32の外周面(図1では上下の面)と両内コア片31,31の基部310,310の外周面(上述の外側の面)とが面一になるように組み付けられているからである。
但し、樹脂モールド部6の形成前において、内コア片31の接続端部312の外周には筒状隙間g31よりも大きな導入空間g312を形成できる。この例では、接続端部312が巻回部2a(又は2b)の端面から突出されるため、導入空間g312を巻回部2a(又は2b)の端面と外コア片32の内端面32eとの間に形成できる(図2)。従って、外コア片32の外端面32o(図1)側からモールド原料を供給すると、外コア片32の外周面を経て導入空間g312にモールド原料を導入できる。更に、導入空間g312を経て筒状隙間g31にモールド原料を導入できる。この例では接続端部312の外周の全周から、筒状隙間g31にモールド原料を導入できる。なお、接続端部312の外周面全体を基部310の外周面とは面一とせず、かつ、外コア片32の外周面と内コア片31の接続端部312の外周面とが面一になるように組み付けると(図2では外コア片32の上面を下方に下げた状態にすれば)、外コア片32から導入空間g312にモールド原料をより流し易い。
《特性》
外コア片32の比透磁率は、内コア片31の比透磁率よりも大きい。そのため、内コア片31における外コア片32との接続箇所をなす接続端部312の面積S312が、基部310の磁路断面積S31よりも小さくても、両コア片31,32間での漏れ磁束を低減できる。このような比透磁率が異なるコア片31,32を備えるリアクトル1は、上記漏れ磁束に起因する損失を低減でき、低損失である。
ここでの比透磁率は以下のように求める。各コア片31,32と同様の組成からなるリング状の測定試料(外径34mm、内径20mm、厚さ5mm)を作製し、測定試料に一次側:300巻き、二次側:20巻きの巻線を施し、B−H初磁化曲線をH=0(Oe)〜100(Oe)の範囲で測定する。得られたB−H初磁化曲線のB/Hの最大値を求め、この最大値を比透磁率とする。ここでの磁化曲線とは、いわゆる直流磁化曲線である。
外コア片32の比透磁率が内コア片31の比透磁率よりも大きく、かつ両比透磁率の差が大きいほど、特に外コア片32の比透磁率が内コア片31の比透磁率の2倍以上であると、両コア片31,32間での漏れ磁束をより確実に低減できる。上記差がより大きい場合、例えば外コア片32の比透磁率が内コア片31の比透磁率の2.5倍以上、更に3倍以上、5倍以上、10倍以上であれば、上記漏れ磁束をより一層低減し易く、好ましくは上記漏れ磁束を実質的に無くすことができる。
内コア片31の比透磁率は、例えば5以上50以下が挙げられる。内コア片31の比透磁率は、10以上45以下、更に40以下、35以下、30以下とより低くすることができる。このような低透磁率の内コア片31を備える磁性コア3は、磁気飽和し難いため、磁気ギャップを有さないギャップレス構造とすることができる。ギャップレス構造の磁性コア3は、磁気ギャップに起因する漏れ磁束が実質的に生じないため、筒状隙間g31を小さくし易く、より小型なリアクトル1とすることができる。筒状隙間g31が小さくても、上述のように導入空間g312を形成できるため、モールド原料を筒状隙間g31に導入し易く、樹脂モールド部6を形成し易い。
外コア片32の比透磁率は、例えば50以上500以下が挙げられる。外コア片32の比透磁率は、80以上、更に100以上(内コア片31の比透磁率が50である場合の2倍以上)、150以上、180以上とより高くすることができる。このような高透磁率の外コア片32は、内コア片31の比透磁率との差を大きくし易い。例えば、外コア片32の比透磁率を内コア片31の比透磁率の2倍以上とすることができる。そのため、内コア片31の接続端部312をより小さくしても(細くしても)、両コア片31,32間での漏れ磁束を低減できる。また、接続端部312がより細ければ、導入空間g312をより大きくできるため、モールド原料を筒状隙間g31に更に導入し易い。
《材質》
磁性コア3を構成する内コア片31、外コア片32は、軟磁性材料、例えば鉄や鉄合金(Fe−Si合金、Fe−Ni合金等)といった軟磁性金属等を含む成形体が挙げられる。コア片の具体例として、軟磁性材料からなる粉末や更に絶縁被覆を備える被覆粉末といった磁性粉末と樹脂とを含む複合材料の成形体からなる樹脂コア片、上記磁性粉末が圧縮成形された圧粉成形体からなる圧粉コア片、軟磁性材料の焼結体からなるフェライトコア片、電磁鋼板といった軟磁性金属板が積層された積層体からなる鋼板コア片等が挙げられる。磁性コア3は、例えば、上述の樹脂コア片、圧粉コア片、フェライトコア片、及び鋼板コア片からなる群から選択される複数種のコア片を含む混合形態とすると、比透磁率が異なる内コア片31及び外コア片32を容易に含むことができる。その他、磁性コア3は、コア片として樹脂コア片のみを備える形態とすることが挙げられる。樹脂コア片では磁性粉末の組成や含有量の多寡によって比透磁率を容易に異ならせることができる。内コア片31及び外コア片32が所定の比透磁率を有するように、磁性粉末の組成や含有量を調整するとよい。
樹脂コア片を構成する上述の複合材料中の磁性粉末の含有量は、30体積%以上80体積%以下、樹脂の含有量は10体積%以上70体積%以下が挙げられる。飽和磁束密度や放熱性の向上の観点から、磁性粉末の含有量を50体積%以上、更に55体積%以上、60体積%以上とすることができる。製造過程での流動性の向上の観点から、磁性粉末の含有量を75体積%以下、更に70体積%以下、樹脂の含有量を30体積%超とすることができる。
上述の複合材料中の樹脂は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、常温硬化性樹脂、低温硬化性樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂は、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂は、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、液晶ポリマー(LCP)、ナイロン6やナイロン66といったポリアミド(PA)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂等が挙げられる。その他、不飽和ポリエステルに炭酸カルシウムやガラス繊維が混合されたBMC(Bulk molding compound)、ミラブル型シリコーンゴム、ミラブル型ウレタンゴム等も利用できる。
上述の複合材料は、磁性粉末及び樹脂に加えて、アルミナやシリカ等の非磁性かつ非金属粉末(フィラー)を含有すると、放熱性をより高められる。非磁性かつ非金属粉末の含有量は、0.2質量%以上20質量%以下、更に0.3質量%以上15質量%以下、0.5質量%以上10質量%以下が挙げられる。
上述の複合材料の成形体は、射出成形や注型成形等の適宜な成形方法によって製造できる。樹脂コア片は、製造過程で磁性粉末の充填率を低く調整すれば、比透磁率を小さくし易い。例えば、樹脂コア片の比透磁率は5以上50以下が挙げられる。
上述の圧粉成形体は、代表的には、磁性粉末とバインダーとを含む混合粉末を所定の形状に圧縮成形したもの、更に成形後に熱処理を施したものが挙げられる。バインダーは樹脂等を利用でき、その含有量は30体積%以下程度が挙げられる。熱処理を施すと、バインダーが消失したり、熱変性物になったりする。圧粉成形体は、複合材料の成形体よりも磁性粉末の含有量を高め易く(例えば80体積%超、更に85体積%以上)、飽和磁束密度や比透磁率がより高いコア片を得易い。例えば、圧粉コア片の比透磁率は50以上500以下が挙げられる。
この例の内コア片31は樹脂コア片であり、外コア片32は圧粉コア片である。また、この例では、内コア片31の比透磁率は5以上50以下であり、外コア片32の比透磁率は50以上500以下であり、かつ内コア片31の比透磁率の2倍以上である。
〈介在部材〉
この例のリアクトル1は、更に、コイル2と磁性コア3との間に介在される介在部材5を備える。介在部材5は、代表的には絶縁材料からなり、コイル2と磁性コア3との間の絶縁部材や、巻回部2a,2bに対する内コア片31、外コア片32の位置決め部材等として機能する。この例の介在部材5は、内コア片31と外コア片32との継ぎ目箇所及びその近傍が配置される長方形の枠状のものであり、樹脂モールド部6の形成時、モールド原料の流路を形成する部材としても機能する。
介在部材5は、例えば、以下の貫通孔と、支持部と、コイル溝部と、コア溝部とを備えるものが挙げられる(類似の形状として特許文献1の外側介在部52参照)。貫通孔は、介在部材5において外コア片32が配置される側(以下、外コア側と呼ぶ)から巻回部2a,2bが配置される側(以下、コイル側と呼ぶ)に貫通し、内コア片31,31が挿通される。支持部は、貫通孔を形成する内周面から部分的に突出して内コア片31の一部(この例では基部310の四つの角部)を支持する。コイル溝部は、介在部材5のコイル側に設けられ、各巻回部2a,2bの端面及びその近傍が嵌め込まれる。コア溝部は、介在部材5の外コア側に設けられ、外コア片32の内端面32e及びその近傍が嵌め込まれる。
巻回部2a,2bがコイル溝部に嵌め込まれ、内コア片31,31が各貫通孔に挿通されて、端面31e,31eと、コア溝部に嵌め込まれた外コア片32の内端面32eとが当接された状態において、モールド原料の流路が設けられるように介在部材5の形状や大きさを調整する。モールド原料の流路を設けるには、例えば、各内コア片31,31における支持部に支持されていない箇所と貫通孔の内周面との間や、外コア片32とコア溝部との間等に隙間を設けることが挙げられる。また、このモールド原料の流路は、巻回部2a,2bの外周面にモールド原料が漏出しないように設ける。介在部材5は、上述の機能を有すれば、形状や大きさ等を適宜選択でき、公知の構成を参照できる。
この例では、基部310の一部を支持部によって支持すると共にコイル溝部の内面によって巻回部2a,2bを支持することで、巻回部2a(又は2b)と基部310との間に筒状隙間g31を形成するように貫通孔、コイル溝部が設けられている。また、接続端部312の外周面と貫通孔の内周面の一部との間に導入空間g312を形成するように貫通孔が設けられている。外コア片32の内端面32eの一部をコア溝部の溝底面で支持することで、外コア片32の外周面とコア溝部の内周面との間に隙間を形成するようにコア溝部が設けられている。このような貫通孔やコイル溝部、コア溝部を備える介在部材5と、コイル2と、磁性コア3とが組み付けられた状態では、上記外コア片32の周囲の隙間から導入空間g312を経て筒状隙間g31に連通する空間を設けられる(同)。この連通空間をモールド原料の流路に利用する。
介在部材5の構成材料は、各種の樹脂といった絶縁材料が挙げられる。例えば、樹脂コア片を構成する複合材料の項で説明した各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられる。介在部材5は、射出成形等の公知の成形方法によって製造できる。
〈樹脂モールド部〉
《概要》
樹脂モールド部6は、磁性コア3をなす少なくとも一つのコア片の外周を覆うことで、コア片を外部環境から保護したり、機械的に保護したり、コア片とコイル2や周囲部品との間の絶縁性を高めたりする機能を有する。かつ、樹脂モールド部6は、巻回部2a,2bの外周を覆わず露出させることで、例えば巻回部2a,2bを液体冷媒等の冷却媒体に直接接触させられて、放熱性を高められる。
樹脂モールド部6は、内コア片31,31における巻回部2a,2b内に収納される部分の外周を覆う内側樹脂部61,61に加えて、内コア片31と外コア片32との接続箇所を覆う肉厚部63を備える。この例の樹脂モールド部6は、更に外コア片32,32の外周を覆う外側樹脂部62,62を備え、これらが連続して形成された一体物であると共に、磁性コア3と介在部材5との組物を一体に保持する。
以下、内側樹脂部61、外側樹脂部62、肉厚部63を順に説明する。
《内側樹脂部》
この例の内側樹脂部61は、巻回部2a(又は2b)の内周面と内コア片31の基部310の外周面との間の筒状隙間g31(ここでは四角筒状の空間)に樹脂モールド部6の構成樹脂が充填されてなる筒状体である。この例では、基部310の導入溝315を覆う部分を除いて、内側樹脂部61の全長に亘って概ね一様な厚さt61(図1)を有する。本例のようにギャップレス構造の磁性コア3とすれば、筒状隙間g31を小さくでき、筒状隙間g31の大きさに応じて内側樹脂部61の厚さt61を薄くできる(図2)。内側樹脂部61の厚さt61は適宜選択でき、例えば0.1mm以上4mm以下、更に0.3mm以上3mm以下、更には2.5mm以下、2mm以下、1.5mm以下程度が挙げられる。内側樹脂部61において導入溝315を覆う部分の厚さは、上述の厚さt61に加えて、導入溝315の深さ分だけ厚い。
《外側樹脂部》
この例の外側樹脂部62は、外コア片32の外周面のうち、内コア片31,31が接続される内端面32e及びその近傍を除いて実質的に全体を外コア片32に沿って覆い、概ね一様な厚さを有する。外側樹脂部62における外コア片32の被覆領域、厚さ等は適宜選択できる。外側樹脂部62の厚さは例えば内側樹脂部61の厚さt61と等しくすることもできるし、異ならせることもできる。
《肉厚部》
この例の肉厚部63は、内側樹脂部61と外側樹脂部62との間に介在し、内コア片31の接続端部312の端面31eと外コア片32の内端面32eとの当接部分を含む両コア片31,32の接続箇所を覆う。肉厚部63は、内コア片31の基部310と細い接続端部312との段差部分に樹脂モールド部6の構成樹脂が充填されてなるため、肉厚部63の厚さt63は、基部310を覆う箇所の厚さ(ここでは内側樹脂部61の厚さt61)よりも上述の段差高さ分だけ厚い(図1)。肉厚部63の厚さt63が厚いほど、両コア片31,32の接続強度を高め易く、樹脂モールド部6によって一体に保持される磁性コア3について、一体物としての強度を高め易い。肉厚部63の厚さt63は、内側樹脂部61の厚さt61と上述の段差高さとの合計値に相当することから、上記厚さt61及び上記段差高さの少なくとも一方をより大きくすることで厚くすることができ、上記接続強度をより高められる。内側樹脂部61の厚さt61が厚いほど、コア片の外部環境からの保護、機械的保護、絶縁性の確保等の効果を得易いものの、樹脂モールド部6の重量の増大や大型化、ひいてはリアクトル1の重量の増大や大型化を招く。上述の段差高さが大きいほど、上述の磁気特性の低下等を招き得る。従って、上述の厚さt61,t63は、重量や寸法、磁気特性、強度等を考慮して選択することが挙げられる。
《構成材料》
樹脂モールド部6の構成材料は、各種の樹脂、例えば、PPS樹脂、PTFE樹脂、LCP、PA樹脂、PBT樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。上記構成材料を、これらの樹脂に熱伝導性に優れる上述のフィラー等を含有する複合樹脂とすれば、放熱性に優れる樹脂モールド部6とすることができる。樹脂モールド部6の構成樹脂と介在部材5の構成樹脂とを同じ樹脂とすれば、両者の接合性に優れる上に、両者の熱膨張係数が同じであるため、熱応力による剥離や割れ等を抑制できる。樹脂モールド部6の成形には、射出成形等が利用できる。
《リアクトルの製造方法》
実施形態1のリアクトル1は、例えば、コイル2と磁性コア3をなすコア片(ここでは二つの内コア片31,31及び二つの外コア片32,32)と介在部材5とを組み付け、この組物を樹脂モールド部6の成形金型(図示せず)に収納し、モールド原料によってコア片を被覆することで製造できる。
この例では、介在部材5のコイル側に巻回部2a,2bを配置したり、各貫通孔に内コア片31,31を挿通したり、コア側に外コア片32,32を配置したりすることで、上述の組物を容易に組み付けられる。樹脂モールド部6の形成前の上記組物は、上述のように外コア片32側から巻回部2a,2b内に連通する空間が設けられており、この空間をモールド原料の流路として好適に利用できる。
上述の組物を成形金型に収納し、モールド原料を充填する。一方の外コア片32から他方の外コア片32に向かう一方向の充填や、各外コア片32,32から巻回部2a,2b内に向かう二方向の充填が利用できる。いずれの充填方法においても、外コア片32の外端面32oをモールド原料の充填開始位置とし、外コア片32を経て巻回部2a,2bの各端部からモールド原料を充填する。モールド原料は、外コア片32の外周面を経て導入空間g312に流れ、更に導入空間g312を経て筒状隙間g31に流入する。いずれの充填方法においても、本例のように基部310の両端に接続端部312,312を備える内コア片31とすると、リアクトル1の製造性に優れる。磁性コア3を組み付け易い上に、導入空間g312によって脱気等をし易く、モールド原料をより導入し易いからである。一方向の充填を行う場合、内コア片31の一端のみに接続端部312を備え、この接続端部312が接続される外コア片32の外端面32oを充填開始位置に配置することができる。一方向の充填を行う場合に内コア片31の両端に接続端部312,312を備えることもできる。
《用途》
実施形態1のリアクトル1は、電圧の昇圧動作や降圧動作を行う回路の部品、例えば種々のコンバータや電力変換装置の構成部品等に利用できる。コンバータの一例として、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車等の車両に搭載される車載用コンバータ(代表的にはDC−DCコンバータ)や、空調機のコンバータ等が挙げられる。
《効果》
実施形態1のリアクトル1は、樹脂モールド部6において内コア片31と外コア片32との接続箇所を覆う位置に肉厚部63を備える。肉厚部63は、樹脂モールド部6において内コア片31の基部310を覆う内側樹脂部61の厚さt61よりも厚く割れ難い。このような肉厚部63を備える実施形態1のリアクトル1は、樹脂モールド部6によって一体に保持される磁性コア3について、一体物としての強度を向上できて、強度に優れる。コア片31,32同士を接着剤によって接続していなくても、肉厚部63を備えることで、磁性コア3を強固に一体に保持できる。この例の樹脂モールド部6は内側樹脂部61と外側樹脂部62とを含み、両者が連続して一体に形成されていることからも、磁性コア3は樹脂モールド部6によって一体物として剛性を高められる。また、リアクトル1は、肉厚部63を樹脂モールド部6に局所的に備えるため、樹脂モールド部6の全体厚さが厚い場合に比較して小型でありつつ、強度に優れる。
かつ、実施形態1のリアクトル1は、外コア片32が内コア片31の磁路断面積S31よりも大きな磁路断面積S32を有する大面積部を備えるものの、内コア片31が外コア片32との接続箇所として接続端部312を備えて、筒状隙間g31の開口部近傍に導入空間g312を形成できる。従って、実施形態1のリアクトル1は、導入空間g312を経て筒状隙間g31にモールド原料を容易に導入でき、樹脂モールド部6を形成し易い。
並びに、実施形態1のリアクトル1は、外コア片32の比透磁率が内コア片31の比透磁率よりも高いため、内コア片31における外コア片32との接続箇所をなす接続端部312が局所的に細くても、両コア片31,32間での漏れ磁束を低減できる。従って、実施形態1のリアクトル1は、上記漏れ磁束に起因する損失の増大を低減でき、低損失である。
また、実施形態1のリアクトル1は、内側樹脂部61,61によって巻回部2a,2bと内コア片31,31との間の絶縁性を高められる上に、巻回部2a,2bが樹脂モールド部6に覆われずに露出されることで、例えば液体冷媒等の冷却媒体に直接接触できて、放熱性に優れる。特に、リアクトル1は、外コア片32が上述の大面積部を備えるため、外コア片が一様な磁路断面積S31を有する場合に比較して大面積部から放熱し易かったり、大面積部が上述の冷却媒体に接触し易かったりすることからも、放熱性に優れる。大面積部の具備によって、一様な磁路断面積S31を有する外コア片よりも表面積が大きい場合には放熱性に更に優れる。
この例のリアクトル1は、更に、以下の効果を奏する。
(1)両コア片31,32の接続強度をより高められる上に、筒状隙間g31にモールド原料をより導入し易い。
肉厚部63及び導入空間g312が内コア片31の接続端部312の外周に沿って環状に設けられるからである。
内コア片31が接続端部312に加えて、複数の導入溝315を備えるからである。この例の樹脂モールド部6は、肉厚部63に連続して、導入溝315を覆う厚い樹脂部分を複数備える。
導入溝315を形成する内周面が筒状隙間g31側にモールド原料を案内する傾斜面を含むからである。
(2)より低損失なリアクトル1とすることができる。
内コア片31を比透磁率が5以上50以下の複合材料の成形体とし、外コア片32を比透磁率が50以上500以下、内コア片31の比透磁率の2倍以上の圧粉成形体とするため、ギャップレス構造の磁性コア3とすることができ、磁気ギャップに起因する損失が実質的に生じないからである。
内コア片31の接続端部312が巻回部2a(又は2b)から露出され、接続端部312からの漏れ磁束に起因する損失を低減できるからである。
(3)より小型なリアクトル1とすることができる。
ギャップレス構造であることで筒状隙間g31を小さくでき、内側樹脂部61の厚さt61を薄くできるからである。
内コア片31を複合材料の成形体とし、外コア片32を圧粉成形体とすることで、複合材料の成形体の磁性コアとする場合に比較して、磁性コア3を小型にし易いからである。
なお、筒状隙間g31が小さくても、上述のように接続端部312の周囲に導入空間g312を形成できるため、筒状隙間g31にモールド原料を導入し易く、樹脂モールド部6を形成し易い。
(4)内コア片31を複合材料の成形体とすることで、樹脂を含むため耐食性にも優れる。また、基部310と接続端部312とを備えたり、更に導入溝315や突起317を備えたりするといった凹凸形状であっても、容易に、かつ精度よく成形でき、内コア片31の製造性に優れる。
(5)外コア片32を圧粉成形体とし、外コア片32の実質的に全体を外側樹脂部62で覆うことで耐食性に優れる。
(6)磁性コア3をなすコア片の個数が少なく、組み付ける部品数も少ないため(この例ではコイル2、コア片、介在部材5で合計7個)、組立作業性に優れる。
(7)磁性コア3をなすコア片の個数が少ないことでコア片同士の接合箇所が少ないことからも、強度に優れる。
本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
例えば、上述の実施形態1に対して、以下の(a)〜(d)の少なくとも一つの変更が可能である。
(a)自己融着型のコイルを備える。
この場合、融着層を備える巻線を用い、巻回部2a,2bの形成後、加熱して融着層を溶融、固化することで、隣り合うターンを融着層で接合する。こうすることで、コイル2と磁性コア3との組み付け時等で、巻回部2a,2bを保形でき、作業性に優れる。
(b)内コア片を複数備えると共に、内コア片間に介在されるギャップ部を備える。
例えば、三つの内コア片を備える場合、巻回部2a,2bの端部に配置される内コア片を、磁路断面積S31を有する基部310と磁路断面積S312を有する接続端部312とを備えるものとし、巻回部2a,2bの中間部に配置されるコア片を、一様な磁路断面積S31を有するものとすることが挙げられる。
(c)接続端部312を基部310の周方向の一部にのみ備え、肉厚部63を環状ではなくC字状としたり、基部310の周方向に離間して複数の肉厚部63が並ぶようにしたりする。
これらの場合も、両コア片31,32の接続箇所に肉厚部63を備えるため、肉厚部63を有さない場合に比較して両コア片31,32の接続強度に優れつつ、接続端部312の磁路断面積S312を大きく確保し易い。複数の肉厚部63を備える場合には、例えば、接続端部312を端面31eが歯車形状である柱状体とし、接続端部312の外周面を基部310の外周面と面一とすることが挙げられる。換言すれば、内コア片31の端部において、端面31eと外周面とに開口する複数の溝部が内コア片31の周方向に離間して設けられる形態である。このような凹凸形状の内コア片31は、複合材料の成形体とすれば、容易に成形できる。
(d)以下の少なくとも一つを備える。
(d1)温度センサ、電流センサ、電圧センサ、磁束センサ等のリアクトルの物理量を測定するセンサ(図示せず)
(d2)コイル2の外周面の少なくとも一部に取り付けられる放熱板(例えば金属板等)
(d3)リアクトルの設置面と設置対象、又は(d2)の放熱板との間に介在される接合層(例えば接着剤層。絶縁性に優れるものが好ましい。)
(d4)外側樹脂部62に一体に成形され、リアクトルを設置対象に固定するための取付部
1 リアクトル
2 コイル
2a,2b 巻回部
3 磁性コア
31 内コア片
310 基部
312 接続端部
31e,314 端面
315 導入溝
317 突起
32 外コア片(大面積部)
32e 内端面
32o 外端面
5 介在部材
6 樹脂モールド部
61 内側樹脂部
62 外側樹脂部
63 肉厚部
31 筒状隙間
312 導入空間

Claims (7)

  1. 巻回部を有するコイルと、
    前記巻回部の内外に配置され、閉磁路を形成する磁性コアと、
    前記巻回部と前記磁性コアとの間に介在される内側樹脂部を含み、前記巻回部の外周面を覆わない樹脂モールド部とを備え、
    前記磁性コアは、
    所定の磁路断面積を有し、前記巻回部内に配置される基部と、前記基部の磁路断面積よりも小さい磁路断面積を有し、前記基部の端部に設けられる接続端部とを含む内コア片と、
    前記基部の磁路断面積よりも大きい磁路断面積を有する大面積部を含み、前記巻回部から露出される外コア片とを備え、
    前記外コア片は、
    前記内コア片の比透磁率よりも大きい比透磁率を有し、
    前記樹脂モールド部は、
    前記接続端部と前記外コア片との接続箇所を覆い、前記基部を覆う箇所の厚さよりも厚い肉厚部を含むリアクトル。
  2. 前記基部は、その外周面と前記基部の端面とに開口する導入溝を備える請求項1に記載のリアクトル。
  3. 前記接続端部の外周面から突出する突起を備える請求項1又は請求項2に記載のリアクトル。
  4. 前記内コア片は、磁性粉末と樹脂とを含む複合材料の成形体からなる請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のリアクトル。
  5. 前記内コア片の比透磁率は、5以上50以下であり、
    前記外コア片の比透磁率は、前記内コア片の比透磁率の2倍以上である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のリアクトル。
  6. 前記外コア片の比透磁率は、50以上500以下である請求項5に記載のリアクトル。
  7. 前記接続端部は、前記巻回部から露出される請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のリアクトル。
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