本発明は、収納庫の気密性を評価する気密性評価装置と、この気密性評価装置を備えた庫内空気調節装置および冷凍装置に関するものである。
農産物等の鮮度低下の抑制を目的として、農産物等を収容する倉庫や輸送用コンテナの庫内空気の酸素濃度を大気の酸素濃度よりも低くなるように調節する技術が知られている。特許文献1には、輸送用コンテナの庫内空気の酸素濃度を大気の酸素濃度よりも低くするために、酸素濃度の低い空気を輸送用コンテナの庫内へ供給する庫内環境制御システムが開示されている。また、この庫内環境制御システムは、冷凍サイクルを行う冷媒回路を備え、庫内空気の温度調節も行う。
ところで、輸送用コンテナ等の収納庫は、その気密性が常に確保されているとは限らない。また、例えば海上輸送用のコンテナは、繰り返し使用される過程で気密性が次第に低下する可能性がある。収納庫の気密性が低いと、収納庫の隙間を通って庫外空気(即ち、大気)が収納庫の内部へ侵入する可能性がある。そして、収納庫の内部へ侵入する庫外空気の量が多くなると、庫内空気の組成(例えば、庫内空気の酸素濃度)を目標とする組成に到達させることができなくなったり、庫内空気の温度を目標温度にまで引き下げられないおそれがある。
このように、収納庫の気密性を確保することは、収納庫の庫内環境を適切に制御する上で重要である。しかし、収納庫の気密性を評価するための装置は、これまで存在しなかった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、収納庫の気密性を評価する装置を提供することにある。
本開示の第1の態様は、気密性評価装置を対象とし、収納庫(1)内の気圧を大気圧と異ならせるために上記収納庫(1)へ給気し又は上記収納庫(1)から排気する気圧調節機器(131)と、上記収納庫(1)内の気圧を計測する気圧センサ(103,65,45)と、上記気圧調節機器(131)の作動中または停止後における上記気圧センサ(103,65,45)の計測値に基づいて上記収納庫(1)の気密性を評価する評価動作を行うように構成された評価部(116)とを備えるものである。
第1の態様では、気圧調節機器(131)が作動することによって、収納庫(1)内の気圧が陽圧または陰圧となる。収納庫(1)内の気圧が陽圧である場合は、収納庫(1)の気密性が低いほど、収納庫(1)の隙間を通って収納庫(1)の外部へ流出する空気の流量が多くなる。また、収納庫(1)内の気圧が陰圧である場合は、収納庫(1)の気密性が低いほど、収納庫(1)の隙間を通って収納庫(1)の内部へ流入する空気の流量が多くなる。このため、収納庫(1)の気密性が低いほど、収納庫(1)内の気圧が受ける影響が大きくなる。そこで、評価部(116)は、気圧調節機器(131)の作動中または停止後に、気圧センサ(103,65,45)の計測値に基づいて収納庫(1)の気密性を評価する。
本開示の第2の態様は、上記第1の態様において、上記評価部(116)は、上記気圧センサ(103,65,45)の計測値に基づいて、上記収納庫(1)の気密性が基準レベルに達していることを示す評価条件の成否を判断する動作を、上記評価動作として行うように構成されるものである。
第2の態様において、評価動作中の評価部(116)は、評価条件が成立するか否かを、気圧調節機器(131)の作動中または停止後における気圧センサ(103,65,45)の計測値に基づいて判断する。そして、評価部(116)は、評価条件が成立すると収納庫(1)の気密性が基準レベルに達していると判断し、評価条件が成立しないと収納庫(1)の気密性が基準レベルに達していないと判断する。
本開示の第3の態様は、上記第2の態様において、上記評価部(116)は、上記基準レベルが互いに異なる複数の上記評価条件のうちの一つの成否を、上記評価動作において判断するように構成される一方、複数の上記評価条件うち上記評価動作において成否が判断される一つの上記評価条件を指定する情報を作業者が入力する入力部(113)を備えるものである。
第3の態様では、気密性評価装置(130)に入力部(113)が設けられる。作業者が入力部(113)へ入力した情報によって、基準レベルが互いに異なる複数の評価条件のうちの一つが指定される。評価部(116)は、評価動作において、作業者が入力部(113)へ入力した情報によって指定された評価条件の成否を判断する。
本開示の第4の態様は、上記第1〜第3のいずれか一つの態様において、上記評価部(116)は、上記評価動作として、上記気圧調節機器(131)を作動させ、上記気圧センサ(103,65,45)の計測値が基準圧力に達すると上記気圧調節機器(131)を停止させ、上記気圧調節機器(131)の停止後における上記気圧センサ(103,65,45)の計測値の変化に基づいて上記収納庫(1)の気密性を評価する動作を行うように構成されるものである。
第4の態様の評価動作において、評価部(116)は、収納庫(1)内の気圧を変化させるために気圧調節機器(131)を作動させ、気圧センサ(103,65,45)の計測値が基準圧力に達すると気圧調節機器(131)を停止させる。収納庫(1)内の気圧が陽圧の場合は、収納庫(1)の気密性が低いほど、気圧調節機器(131)の停止後における気圧センサ(103,65,45)の計測値の低下速度が速くなる。また、収納庫(1)内の気圧が陰圧の場合は、収納庫(1)の気密性が低いほど、気圧調節機器(131)の停止後における気圧センサ(103,65,45)の計測値の上昇速度が速くなる。そこで、評価部(116)は、気圧調節機器(131)の停止後における気圧センサ(103,65,45)の計測値の変化に基づいて、収納庫(1)の気密性を評価する。
本開示の第5の態様は、上記第1〜第3のいずれか一つの態様において、上記評価部(116)は、上記評価動作として、上記気圧調節機器(131)を制御することによって上記気圧センサ(103,65,45)の計測値を所定時間に亘って所定圧力範囲に保った後に、上記気圧調節機器(131)の停止中における上記気圧センサ(103,65,45)の計測値の変化に基づいて上記収納庫(1)の気密性を評価する動作を行うように構成されるものである。
第5の態様の評価動作において、評価部(116)は、気圧調節機器(131)を制御することによって、気圧センサ(103,65,45)の計測値を所定時間に亘って所定圧力範囲に保つ。収納庫(1)内の気圧が陽圧の場合は、収納庫(1)の気密性が低いほど、気圧調節機器(131)の停止後における気圧センサ(103,65,45)の計測値の低下速度が速くなる。また、収納庫(1)内の気圧が陰圧の場合は、収納庫(1)の気密性が低いほど、気圧調節機器(131)の停止後における気圧センサ(103,65,45)の計測値の上昇速度が速くなる。そこで、評価部(116)は、気圧センサ(103,65,45)の計測値を所定時間に亘って所定圧力範囲に保ったのちにおいて、気圧調節機器(131)の停止中における上記気圧センサ(103,65,45)の計測値の変化に基づいて上記収納庫(1)の気密性を評価する。
本開示の第6の態様は、上記第1〜第3のいずれか一つの態様において、上記評価部(116)は、上記評価動作として、上記気圧調節機器(131)を作動させ、上記気圧調節機器(131)の運転中における上記気圧センサ(103,65,45)の計測値の変化に基づいて上記収納庫(1)の気密性を評価する動作を行うように構成されるものである。
第6の態様の評価動作において、評価部(116)は、収納庫(1)内の気圧を変化させるために気圧調節機器(131)を作動させる。収納庫(1)内の気圧が陽圧の場合は、収納庫(1)の気密性が低いほど、気圧調節機器(131)の作動中における気圧センサ(103,65,45)の計測値の上昇速度が遅くなる。また、収納庫(1)内の気圧が陰圧の場合は、収納庫(1)の気密性が低いほど、気圧調節機器(131)の作動中における気圧センサ(103,65,45)の計測値の低下速度が遅くなる。そこで、評価部(116)は、気圧調節機器(131)の作動中における気圧センサ(103,65,45)の計測値の変化に基づいて、収納庫(1)の気密性を評価する。
本開示の第7の態様は、庫内空気調節装置を対象とし、第1〜第6のいずれか一つの態様の気密性評価装置(130)と、上記収納庫(1)の外部から吸入した庫外空気を加圧して吐出する空気ポンプ(36)と、上記空気ポンプ(36)が吐出した上記庫外空気から該庫外空気とは組成が異なる供給用空気を分離し、該供給用空気を上記収納庫(1)の内部へ供給する分離部(41)とを備え、上記空気ポンプ(36)は、上記収納庫(1)の気圧を陽圧にするために上記収納庫(1)へ給気するように構成されて上記気密性評価装置(130)の気圧調節機器(131)を兼ねるものである。
第7の態様では、第1〜第6のいずれか一つの態様の気密性評価装置(130)が、庫内空気調節装置(30)に設けられる。庫内空気調節装置(30)は、庫外空気とは組成が異なる供給用空気を収納庫(1)の内部へ供給することによって、庫内空気の組成を調節する。この態様では、庫内空気調節装置(30)が庫内空気の組成を調節するために備える空気ポンプ(36)が、気密性評価装置(130)の気圧調節機器(131)を兼ねる。この態様の気密性評価装置(130)は、気圧調節機器(131)を兼ねる空気ポンプ(36)によって収納庫(1)へ給気し、収納庫(1)内の気圧を陽圧にする。
本開示の第8の態様は、庫内空気調節装置を対象とし、第1〜第6のいずれか一つの態様の気密性評価装置(130)と、収納庫(1)の庫内空気の組成を、大気の組成と異なる目標組成となるように調節する組成調節部(40,60)とを備え、上記気密性評価装置(130)の上記評価部(116)は、上記組成調節部(40,60)の動作によって上記収納庫(1)の庫内空気の組成を上記目標組成に到達させられないことを示す不具合条件が成立すると、上記評価動作を行うように構成されるものである。
第8の態様において、組成調節部(40,60)が正常に作動していなければ、収納庫(1)の庫内空気の組成が目標組成に到達しない。また、組成調節部(40,60)が正常に作動していても、収納庫(1)の気密性が低い場合は、収納庫(1)の外部から内部へ侵入する大気の流量が多くなり、収納庫(1)の庫内空気の組成が目標組成に到達しないおそれがある。
そこで、第8の態様では、不具合条件が成立した場合に、気密性評価装置(130)の評価部(116)が評価動作を行う。評価部(116)が評価動作を行うと、収納庫(1)の気密性が評価される。その結果、収納庫(1)の庫内空気の組成が目標組成に到達しない原因が、組成調節部(40,60)の故障なのか収納庫(1)の気密性なのかを判別することが可能となる。
本開示の第9の態様は、冷凍装置を対象とし、第1〜第6のいずれか一つの態様の気密性評価装置(130)と、収納庫(1)の庫内空気の温度が目標温度となるように、冷凍サイクルを行って上記庫内空気を冷媒によって冷却する冷媒回路(11)とを備え、上記気密性評価装置(130)の上記評価部(116)は、上記冷媒回路(11)の動作によって上記収納庫(1)の庫内空気の温度を目標温度に到達させられないことを示す不具合条件が成立すると、上記評価動作を行うように構成されるものである。
第9の態様では、冷媒回路(11)が正常に作動していなければ、収納庫(1)の庫内空気の温度が目標温度に到達しない。また、冷媒回路(11)が正常に作動していても、収納庫(1)の気密性が低い場合は、収納庫(1)の外部から内部へ侵入する大気の流量が多くなり、収納庫(1)の庫内空気の温度が目標温度に到達しないおそれがある。
そこで、第9の態様では、不具合条件が成立した場合に、気密性評価装置(130)の評価部(116)が評価動作を行う。評価部(116)が評価動作を行うと、収納庫(1)の気密性が評価される。その結果、収納庫(1)の庫内空気の組成が目標組成に到達しない原因が、冷媒回路(11)の故障なのか収納庫(1)の気密性なのかを判別することが可能となる。
上記第1の態様では、気圧調節機器(131)が収納庫(1)内の気圧を調節し、評価部(116)が気圧センサ(103,65,45)の計測値に基づいて収納庫(1)の気密性を評価する。このため、本態様によれば、収納庫(1)の気密性を自動的に評価することが可能となる。
第3の態様において、評価部(116)は、複数の評価条件のうち作業者によって指定された一つの評価条件を用いて、収納庫(1)の気密性を評価する評価動作を行う。従って、この態様によれば、評価動作において用いられる一つの評価条件を、複数の評価条件の中から作業者が選択することが可能となり、庫内空気調節装置(30)の使い勝手が向上する。
上記第6の態様では、庫内空気調節装置(30)に設けられた空気ポンプ(36)が、気密性評価装置(130)の気圧調節機器(131)を兼ねる。従って、この態様によれば、気密性評価装置(130)を備える庫内空気調節装置(30)の部品点数を削減できる。
上記第7の態様において、気密性評価装置(130)の評価部(116)は、収納庫(1)の庫内空気の組成が目標組成に到達しないことを示す不具合条件が成立すると、評価動作を行って収納庫(1)の気密性を評価する。そのため、この態様によれば、収納庫(1)の庫内空気の組成が目標組成に到達しない原因が、組成調節部(40,60)の故障なのか収納庫(1)の気密性なのかを判別することが可能となる。
上記第8の態様では、気密性評価装置(130)の評価部(116)は、収納庫(1)の庫内空気の温度が目標温度に到達しないことを示す不具合条件が成立すると、評価動作を行って収納庫(1)の気密性を評価する。そのため、この態様によれば、収納庫(1)の庫内空気の温度が目標温度に到達しない原因が、冷媒回路(11)の故障なのか収納庫(1)の気密性なのかを判別することが可能となる。
図1は、実施形態1の庫内空気調節装置を備えた輸送用コンテナの概略断面図である。
図2は、輸送用コンテナに設けられた冷凍機の冷媒回路の構成を示す冷媒回路図である。
図3は、実施形態1の庫内空気調節装置の構成を示す配管系統図である。
図4は、気密性評価装置の評価動作中の状態を示す実施形態1の庫内空気調節装置の配管系統図である。
図5は、実施形態1の制御器の構成を示すブロック図である。
図6は、実施形態1の気密性評価部が行う評価動作を示すフロー図である。
図7は、実施形態2の庫内空気調節装置の構成を示す配管系統図である。
図8は、実施形態2の気密性評価部が行う評価動作を示すフロー図である。
図9は、実施形態3の庫内空気調節装置の構成を示す配管系統図である。
図10は、実施形態3の気密性評価部が行う評価動作を示すフロー図である。
図11は、実施形態4の気密性評価部が行う評価動作を示すフロー図である。
図12は、実施形態5の庫内空気調節装置の構成を示す配管系統図である。
図13は、気密性評価装置の評価動作中の状態を示す実施形態5の庫内空気調節装置の配管系統図である。
図14は、実施形態6の庫内空気調節装置の構成を示す配管系統図である。
図15は、気密性評価装置の評価動作中の状態を示す実施形態6の庫内空気調節装置の配管系統図である。
図16は、実施形態7の庫内空気調節装置の構成を示す配管系統図である。
図17は、気密性評価装置の評価動作中の状態を示す実施形態7の庫内空気調節装置の配管系統図である。
図18は、実施形態8の気密性評価部が行う評価動作を示すフロー図である。
図19は、実施形態9の庫内空気調節装置の構成を示す配管系統図である。
図20は、実施形態9の第1組成調節部の第1動作中の状態を示す庫内空気調節装置の配管系統図である。
図21は、実施形態9の第1組成調節部の第2動作中の状態を示す庫内空気調節装置の配管系統図である。
図22は、実施形態9の第1組成調節部の外気導入動作中の状態を示す庫内空気調節装置の配管系統図である。
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態および変形例は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。また、以下で説明する実施形態および変形例は、気密性評価装置(130)、庫内空気調節装置(30)、及び冷凍機(10)の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
《実施形態1》
実施形態1について説明する。本実施形態の庫内空気調節装置(30)は、いわゆるCA(Controlled Atmosphere)輸送を行うために輸送用コンテナ(1)に設けられる。そして、庫内空気調節装置(30)は、輸送用コンテナ(1)内の空気の組成を、大気の組成と異なるように調節する。また、詳しくは後述するが、庫内空気調節装置(30)には、気密性評価装置(130)が組み込まれている。
図1に示すように、収納庫を構成する輸送用コンテナ(1)は、コンテナ本体(2)と、コンテナ用の冷凍機(10)とを備えている。この輸送用コンテナ(1)は、庫内の温度管理が可能なリーファーコンテナ(reefer container)である。本実施形態の庫内空気調節装置(30)は、冷凍機(10)に設置される。この輸送用コンテナ(1)は、空気中の酸素(O2)を取り込んで二酸化炭素(CO2)を放出する呼吸を行う植物を輸送するために用いられる。植物の例としては、バナナやアボカド等の果物、野菜、穀物、球根、生花等が挙げられる。
コンテナ本体(2)は、細長い直方体形状の箱状に形成されている。コンテナ本体(2)は、一方の端面が開口し、この開口端を塞ぐように冷凍機(10)が取り付けられる。コンテナ本体(2)の内部空間は、貨物(6)を収納するための荷室(5)を構成する。
荷室(5)の底部には、貨物(6)を載せるための床板(3)が配置される。この床板(3)とコンテナ本体(2)の底板との間には、冷凍機(10)が吹き出した空気を流すための床下流路(4)が形成される。床下流路(4)は、コンテナ本体(2)の底板に沿ってコンテナ本体(2)の長手方向へ延びる流路である。床下流路(4)は、一端が冷凍機(10)の吹出口(27)に接続し、他端が床板(3)の上側の空間(即ち、貨物(6)が収容される空間)と連通する。
−冷凍機の構成−
図1に示すように、冷凍機(10)は、ケーシング(20)と、冷凍サイクルを行う冷媒回路(11)と、庫外ファン(16)と、庫内ファン(17)とを備えた冷凍装置である。
ケーシング(20)は、庫外壁部(21)と、庫内壁部(22)と、背面板(24)と、区画板(25)とを備えている。後述するように、このケーシング(20)には、冷媒回路(11)と、庫外ファン(16)と、庫内ファン(17)とが設けられる。
庫外壁部(21)は、コンテナ本体(2)の開口端を覆うように配置される板状の部材である。庫外壁部(21)は、下部がコンテナ本体(2)の内側へ膨出している。庫内壁部(22)は、庫外壁部(21)に沿った形態の板状の部材である。庫内壁部(22)は、庫外壁部(21)におけるコンテナ本体(2)の内側の面を覆うように配置される。庫外壁部(21)と庫内壁部(22)の間の空間には、断熱材(23)が充填されている。
ケーシング(20)は、その下部がコンテナ本体(2)の内側へ窪んだ形状となっている。ケーシング(20)の下部は、輸送用コンテナ(1)の外部空間と連通する庫外機器室(28)を形成する。この庫外機器室(28)には、庫外ファン(16)が配置される。
背面板(24)は、概ね矩形の平板状の部材である。背面板(24)は、庫内壁部(22)よりもコンテナ本体(2)の内側に配置され、庫内壁部(22)との間に庫内空気流路(29)を形成する。この庫内空気流路(29)は、その上端がケーシング(20)の吸込口(26)を構成し、その下端がケーシング(20)の吹出口(27)を構成する。
区画板(25)は、庫内空気流路(29)を上下に区画するように配置された板状の部材である。区画板(25)は、庫内空気流路(29)の上部に配置される。この区画板(25)によって、庫内空気流路(29)は、区画板(25)の上側の一次流路(29a)と、区画板(25)の下側の二次流路(29b)に区画される。一次流路(29a)は、吸込口(26)を介して荷室(5)と連通する。二次流路(29b)は、吹出口(27)を介して床下流路(4)と連通する。区画板(25)には、庫内ファン(17)が取り付けられる。庫内ファン(17)は、一次流路(29a)から吸い込んだ空気を二次流路(29b)へ吹き出すように配置される。
図2に示すように、冷媒回路(11)は、圧縮機(12)と、凝縮器(13)と,膨張弁(14)と、蒸発器(15)とを配管で接続することによって形成された閉回路である。圧縮機(12)を作動させると、冷媒回路(11)を冷媒が循環し、蒸気圧縮冷凍サイクルが行われる。図1に示すように、凝縮器(13)は、庫外機器室(28)における庫外ファン(16)の吸込側に配置され、蒸発器(15)は、庫内空気流路(29)の二次流路(29b)に配置される。また、図1では図示を省略するが、圧縮機(12)は、庫外機器室(28)に配置される。
−冷凍機の運転動作−
冷凍機(10)は、輸送用コンテナ(1)の庫内空気を冷却する冷却運転を行う。
冷却運転では、冷媒回路(11)の圧縮機(12)が作動し、冷媒回路(11)において冷媒が循環することによって蒸気圧縮冷凍サイクルが行われる。冷媒回路(11)では、圧縮機(12)から吐出された冷媒が、凝縮器(13)と膨張弁(14)と蒸発器(15)とを順に通過し、その後に圧縮機(12)へ吸入されて圧縮される。
また、冷却運転では、庫外ファン(16)と庫内ファン(17)とが作動する。庫外ファン(16)が作動すると、輸送用コンテナ(1)の外部の庫外空気が庫外機器室(28)へ吸い込まれて凝縮器(13)を通過する。凝縮器(13)では、冷媒が庫外空気へ放熱して凝縮する。庫内ファン(17)が作動すると、輸送用コンテナ(1)の荷室(5)内の庫内空気が庫内空気流路(29)へ吸い込まれて蒸発器(15)を通過する。蒸発器(15)では、冷媒が庫外空気から吸熱して蒸発する。
庫内空気の流れについて説明する。荷室(5)に存在する庫内空気は、吸込口(26)を通って庫内空気流路(29)の一次流路(29a)へ流入し、庫内ファン(17)によって二次流路(29b)へ吹き出される。二次流路(29b)へ流入した庫内空気は、蒸発器(15)を通過する際に冷却され、その後に吹出口(27)から床下流路(4)へ吹き出され、床下流路(4)を通って荷室(5)へ流入する。
庫内空気流路(29)において、一次流路(29a)は庫内ファン(17)の吸い込み側に位置し、二次流路(29b)は庫内ファン(17)の吹き出し側に位置する。このため、庫内ファン(17)の作動中は、二次流路(29b)の気圧が一次流路(29a)の気圧よりも若干高くなる。
−庫内空気調節装置−
図1に示すように、庫内空気調節装置(30)は、本体ユニット(31)と、センサユニット(90)と、換気用排気管(100)と、制御器(110)とを備えている。本体ユニット(31)は、冷凍機(10)の庫外機器室(28)に設置される。センサユニット(90)は、輸送用コンテナ(1)の庫内空気流路(29)に設置される。換気用排気管(100)は、輸送用コンテナ(1)の庫内空気流路(29)と庫外機器室(28)に亘って設置される。制御器(110)は、本体ユニット(31)に設けられて、庫内空気調節装置(30)の構成機器を制御する。センサユニット(90)、換気用排気管(100)、及び制御器(110)の詳細は、後述する。
図3に示すように、庫内空気調節装置(30)の本体ユニット(31)は、第1組成調節部(40)と、第2組成調節部(60)と、ポンプユニット(35)と、ユニットケース(32)とを備えている。ユニットケース(32)は、箱状の密閉容器である。第1組成調節部(40)と、第2組成調節部(60)と、ポンプユニット(35)とは、このユニットケース(32)の内部空間に配置される。第1組成調節部(40)、第2組成調節部(60)、及びポンプユニット(35)の詳細は、後述する。
また、庫内空気調節装置(30)は、供給管(120)と、庫内側吸入管(75)と、測定用配管(125)とを備えている。供給管(120)、庫内側吸入管(75)、及び測定用配管(125)は、本体ユニット(31)を冷凍機(10)の庫内空気流路(29)に接続するための配管である。
供給管(120)は、第1組成調節部(40)及び第2組成調節部(60)から流出した空気を荷室(5)へ供給するための配管である。供給管(120)は、入口端が第1組成調節部(40)及び第2組成調節部(60)に接続され、出口端が庫内空気流路(29)の二次流路(29b)に開口する。
庫内側吸入管(75)は、荷室(5)内の庫内空気を第2組成調節部(60)へ供給するための配管である。庫内側吸入管(75)は、入口端が庫内空気流路(29)の二次流路(29b)に開口し、出口端が後述する第2組成調節部(60)の第2ポンプ(37)に接続される。なお、庫内空気流路(29)の二次流路(29b)において、庫内側吸入管(75)の入口端は、供給管(120)の出口端の上流側に配置される。
測定用配管(125)は、供給管(120)を流れる空気をセンサユニット(90)へ供給するための配管である。測定用配管(125)は、入口端が供給管(120)に接続され、出口端がセンサユニット(90)に接続される。また、測定用配管(125)には、電磁弁からなる測定用開閉弁(126)が設けられる。この測定用開閉弁(126)は、本体ユニット(31)のユニットケース(32)に収容される。
〈ポンプユニット〉
図3に示すように、ポンプユニット(35)は、第1ポンプ(36)と、第2ポンプ(37)と、駆動モータ(38)とを備えている。
第1ポンプ(36)と第2ポンプ(37)のそれぞれは、吸い込んだ空気を吐出する空気ポンプである。第1ポンプ(36)と第2ポンプ(37)のそれぞれは、例えば容積型の流体機械によって構成される。第1ポンプ(36)と第2ポンプ(37)は、一体化されている。駆動モータ(38)は、第1ポンプ(36)及び第2ポンプ(37)に連結された電動機である。駆動モータ(38)は、第1ポンプ(36)と第2ポンプ(37)の両方を駆動する。
〈第1組成調節部〉
第1組成調節部(40)は、輸送用コンテナ(1)の外部から吸い込んだ庫外空気(未処理庫外空気)を第1庫外空気と第2庫外空気に分離するように構成される。本実施形態の第1組成調節部(40)は、供給用空気である第1庫外空気を荷室(5)へ供給し、第2庫外空気を輸送用コンテナ(1)の外部へ排出する。
第1組成調節部(40)は、エアフィルタ(47)と、第1分離モジュール(41)と、第1バイパス弁(50)と、第1圧力センサ(45)と第1調節弁(46)とを備えている。また、第1組成調節部(40)は、庫外側吸入管(55)と、第1導入管(52)と、第1一次側管(53)と、第1二次側管(54)と、第1バイパス管(51)とを備えている。また、ポンプユニット(35)の第1ポンプ(36)は、この第1組成調節部(40)を構成する。
エアフィルタ(47)は、庫外空気に含まれる塵埃や塩分などを捕捉するためのメンブレンフィルタである。エアフィルタ(47)は、本体ユニット(31)のユニットケース(32)に取り付けられる。エアフィルタ(47)は、庫外側吸入管(55)を介して第1ポンプ(36)の吸入口に接続する。
第1分離モジュール(41)は、第1導入口(42)と、第1一次側導出口(43)と、第1二次側導出口(44)とを備える。第1導入口(42)は、第1導入管(52)を介して第1ポンプ(36)の吐出口に接続する。第1一次側導出口(43)は、第1一次側管(53)を介して供給管(120)に接続する。第1二次側導出口(44)には、第1二次側管(54)の一端が接続する。第1二次側管(54)は、ユニットケース(32)の外部へ延びている。第1二次側管(54)の他端は、庫外機器室(28)における庫外ファン(16)の吸込側に開口する。
第1バイパス弁(50)は、三つのポートを有する切換弁であって、第1バイパス弁機構を構成する。第1バイパス弁(50)は、第1のポートが第2のポートと連通して第3のポートから遮断される第1状態(図3に実線で示す状態)と、第1のポートが第3のポートと連通して第2のポートから遮断される第2状態(図3に破線で示す状態)とに切り換わるように構成される。
第1バイパス弁(50)は、第1導入管(52)の途中に配置される。第1バイパス弁(50)は、第1のポートが第1ポンプ(36)の吐出口に接続し、第2のポートが第1分離モジュール(41)の第1導入口(42)に接続する。第1バイパス弁(50)の第3のポートには、第1バイパス管(51)の入口端が接続する。第1バイパス管(51)の出口端は、第1一次側管(53)に接続する。第1バイパス管(51)は、第1バイパス通路を構成する。
第1圧力センサ(45)と第1調節弁(46)とは、第1一次側管(53)に設けられる。第1圧力センサ(45)と第1調節弁(46)とは、第1一次側管(53)に接続する第1バイパス管(51)の他端よりも第1分離モジュール(41)寄りに配置される。また、第1圧力センサ(45)は、第1調節弁(46)よりも第1分離モジュール(41)寄りに配置される。
第1圧力センサ(45)は、第1分離モジュール(41)の第1一次側導出口(43)から流出した第1庫外空気の圧力を計測する。第1圧力センサ(45)の計測値は、第1ポンプ(36)が第1分離モジュール(41)へ供給する未処理庫外空気の圧力と実質的に等しい。
第1調節弁(46)は、開度可変の電動弁であって、第1弁機構を構成する。第1調節弁(46)の開度を変更すると、第1ポンプ(36)が第1分離モジュール(41)へ供給する未処理庫外空気の圧力が変化する。
第1分離モジュール(41)は、第1分離部を構成する。詳しくは後述するが、第1分離モジュール(41)は、ガス分離膜を備えている。そして、第1分離モジュール(41)は、未処理庫外空気を、ガス分離膜を透過しなかった第1庫外空気と、ガス分離膜を透過した第2庫外空気に分離する。
第1庫外空気は、窒素濃度が未処理庫外空気よりも高く、酸素濃度が未処理庫外空気よりも低い。第2庫外空気は、窒素濃度が未処理庫外空気よりも低く、酸素濃度が未処理庫外空気よりも高い。このように、第1庫外空気と第2庫外空気は、それぞれを構成する物質の濃度が互いに異なる。なお、本明細書における濃度は、体積割合を意味する。
〈第2組成調節部〉
第2組成調節部(60)は、輸送用コンテナ(1)の内部空間から吸い込んだ庫内空気(未処理庫内空気)を第1庫内空気と第2庫内空気に分離するように構成される。本実施形態の第2組成調節部(60)は、第1庫内空気を荷室(5)へ供給し、排出用空気である第2庫内空気を輸送用コンテナ(1)の外部へ排出する。
第2組成調節部(60)は、第2分離モジュール(61)と、第2バイパス弁(70)と、第2圧力センサ(65)と第2調節弁(66)とを備えている。また、第2組成調節部(60)は、第2導入管(72)と、第2一次側管(73)と、第2二次側管(74)と、第2バイパス管(71)とを備えている。また、ポンプユニット(35)の第2ポンプ(37)は、この第2組成調節部(60)を構成する。
第2分離モジュール(61)は、第2導入口(62)と、第2一次側導出口(63)と、第2二次側導出口(64)とを備える。第2導入口(62)は、第2導入管(72)を介して第2ポンプ(37)の吐出口に接続する。第2一次側導出口(63)は、第2一次側管(73)を介して供給管(120)に接続する。第2二次側導出口(64)には、第2二次側管(74)の一端が接続する。第2二次側管(74)は、ユニットケース(32)の外部へ延びている。第2二次側管(74)の他端は、庫外機器室(28)における庫外ファン(16)の吸込側に開口する。また、第2ポンプ(37)の吸入口には、庫内側吸入管(75)が接続する。
第2バイパス弁(70)は、三つのポートを有する切換弁であって、第2バイパス弁機構を構成する。第2バイパス弁(70)は、第1のポートが第2のポートと連通して第3のポートから遮断される第1状態(図3に実線で示す状態)と、第1のポートが第3のポートと連通して第2のポートから遮断される第2状態(図3に破線で示す状態)とに切り換わるように構成される。
第2バイパス弁(70)は、第2導入管(72)の途中に配置される。第2バイパス弁(70)は、第1のポートが第2ポンプ(37)の吐出口に接続し、第2のポートが第2分離モジュール(61)の第2導入口(62)に接続する。第2バイパス弁(70)の第3のポートには、第2バイパス管(71)の入口端が接続する。第2バイパス管(71)の出口端は、第2一次側管(73)に接続する。第2バイパス管(71)は、第2バイパス通路を構成する。
第2圧力センサ(65)と第2調節弁(66)とは、第2一次側管(73)に設けられる。第2圧力センサ(65)と第2調節弁(66)とは、第2一次側管(73)に接続する第2バイパス管(71)の他端よりも第2分離モジュール(61)寄りに配置される。また、第2圧力センサ(65)は、第2調節弁(66)よりも第2分離モジュール(61)寄りに配置される。
第2圧力センサ(65)は、第2分離モジュール(61)の第2一次側導出口(63)から流出した第2庫外空気の圧力を計測する。第2圧力センサ(65)の計測値は、第2ポンプ(37)が第2分離モジュール(61)へ供給する未処理庫内空気の圧力と実質的に等しい。
第2調節弁(66)は、開度可変の電動弁であって、第2弁機構を構成する。第2調節弁(66)の開度を変更すると、第2ポンプ(37)が第2分離モジュール(61)へ供給する未処理庫内空気の圧力が変化する。
第2分離モジュール(61)は、第2分離部を構成する。詳しくは後述するが、第2分離モジュール(61)は、ガス分離膜を備えている。そして、第2分離モジュール(61)は、未処理庫内空気を、ガス分離膜を透過しなかった第1庫内空気と、ガス分離膜を透過した第2庫内空気に分離する。
第1庫内空気は、窒素濃度が未処理庫内空気よりも高く、酸素濃度および二酸化炭素濃度が未処理庫内空気よりも低い。第2庫内空気は、窒素濃度が未処理庫内空気よりも低く、酸素濃度および二酸化炭素濃度が未処理庫内空気よりも高い。このように、第1庫内空気と第2庫内空気は、それぞれを構成する物質の濃度が互いに異なる。
〈分離モジュール〉
第1分離モジュール(41)及び第2分離モジュール(61)の構造について説明する。第1分離モジュール(41)と第2分離モジュール(61)の構造は、互いに同じである。
各分離モジュール(41,61)は、両端が閉塞された細長い円筒状に形成される。各分離モジュール(41,61)は、一端部に導入口(42,62)が配置され、他端部に一次側導出口(43,63)が配置され、側部に二次側導出口(44,64)が配置される。
図示しないが、各分離モジュール(41,61)の内部には、多数の中空糸状のガス分離膜が収容される。各分離モジュール(41,61)において、導入口(42,62)は中空糸状のガス分離膜の入口端に連通し、一次側導出口(43,63)は中空糸状のガス分離膜の出口端に連通し、二次側導出口(44,64)は分離モジュール(41,61)の内部空間のうち中空糸状のガス分離膜の外側の部分に連通する。
ガス分離膜は、高分子からなる非多孔膜である。各分離モジュール(41,61)のガス分離膜は、窒素の透過率が酸素の透過率と二酸化炭素の透過率の両方よりも低いという特性を有している。このため、各分離モジュール(41,61)において、ガス分離膜を透過せずに一次側導出口(43,63)に至った空気は、導入口(42,62)から流入した空気に比べて、窒素濃度が高く、酸素濃度と二酸化炭素濃度が低い。また、各分離モジュール(41,61)において、ガス分離膜を透過して二次側導出口(44,64)に至った空気は、導入口(42,62)から流入した空気に比べて、窒素濃度が低く、酸素濃度と二酸化炭素濃度が高い。
〈センサユニット〉
図1及び図3に示すように、センサユニット(90)は、コンテナ用冷凍機(10)の庫内空気流路(29)の二次流路(29b)に配置される。図3に示すように、センサユニット(90)は、酸素センサ(91)と、二酸化炭素センサ(92)と、センサケース(93)とを備えている。
酸素センサ(91)は、空気等の混合気体の酸素濃度を計測するジルコニア電流方式のセンサである。二酸化炭素センサ(92)は、空気等の混合気体の二酸化炭素濃度を計測する非分散型赤外線吸収(NDIR:non dispersive infrared)方式のセンサである。酸素センサ(91)及び二酸化炭素センサ(92)は、センサケース(93)に収容される。
センサケース(93)は、やや細長い箱状の部材である。センサケース(93)は、長手方向の一方の端部に測定用配管(125)の出口端が接続され、他方の端部に出口管(95)の一端が接続される。出口管(95)の他端は、庫内空気流路(29)の一次流路(29a)に開口する。また、センサケース(93)には、庫内空気流路(29)を流れる庫内空気をセンサケース(93)の内部空間へ導入するためのエアフィルタ(94)が取り付けられる。エアフィルタ(94)は、庫内空気に含まれる塵埃などを捕捉するためのメンブレンフィルタである。
後述するように、庫内ファン(17)の作動中は、二次流路(29b)の気圧が一次流路(29a)の気圧よりも若干高くなる。このため、測定用開閉弁(126)が閉じた状態では、二次流路(29b)の庫内空気がエアフィルタ(94)を通ってセンサケース(93)へ流入し、その後に出口管(95)を通って一次流路(29a)へ流入する。この状態で、センサユニット(90)は、酸素センサ(91)が庫内空気の酸素濃度を計測し、二酸化炭素センサ(92)が庫内空気の二酸化炭素濃度を計測する。
〈換気用排気管〉
換気用排気管(100)は、輸送用コンテナ(1)の内部と外部を繋ぐための配管である。この換気用排気管(100)は、換気用排気通路を構成する。図1に示すように、換気用排気管(100)は、冷凍機(10)のケーシング(20)を貫通する。換気用排気管(100)の一端は、庫内空気流路(29)の二次流路(29b)に開口する。換気用排気管(100)の他端は、庫外機器室(28)における庫外ファン(16)の吸入側に開口する。
図3に示すように、換気用排気管(100)の一端には、エアフィルタ(102)が取り付けられる。エアフィルタ(102)は、庫内空気に含まれる塵埃などを捕捉するためのメンブレンフィルタである。また、換気用排気管(100)には、換気用排気弁(101)が設けられる。換気用排気弁(101)は、電磁弁からなる開閉弁である。
換気用排気管(100)には、第3圧力センサ(103)が設けられる。第3圧力センサ(103)は、エアフィルタ(102)と換気用排気弁(101)の間に配置され、換気用排気管(100)内の気圧を計測する。換気用排気管(100)内の気圧は、冷凍機(10)の二次流路(29b)の気圧と実質的に等しい。また、庫内ファン(17)の停止中において、二次流路(29b)の気圧は、荷室(5)内の気圧と実質的に等しい。このため、庫内ファン(17)の停止中には、第3圧力センサ(103)の計測値が荷室(5)内の気圧と実質的に一致する。
〈制御器〉
図3に示すように、制御器(110)は、制御動作を行うCPU(111)と、制御動作に必要なデータ等を記憶するメモリ(112)とを備える。制御器(110)には、酸素センサ(91)、二酸化炭素センサ(92)、第1圧力センサ(45)、及び第2圧力センサ(65)の計測値が入力される。制御器(110)は、ポンプユニット(35)、第1調節弁(46)、第2調節弁(66)、第1バイパス弁(50)、第2バイパス弁(70)、及び換気用排気弁(101)を操作するための制御動作を行う。
また、図5に示すように、制御器(110)は、庫内環境制御部(115)と、気密性評価部(116)とを備えている。庫内環境制御部(115)は、荷室(5)内の庫内空気の組成が目標組成となるように(具体的には、庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度がそれぞれの目標範囲となるように)、庫内空気調節装置(30)の構成機器を制御するように構成されている。気密性評価部(116)については、後述する。
−庫内空気調節装置の運転動作−
庫内空気調節装置(30)は、輸送用コンテナ(1)の荷室(5)内の庫内空気の組成(本実施形態では、庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度)を調節するための運転を行う。ここでは、本実施形態の庫内空気調節装置(30)の運転動作について、庫内空気の酸素濃度の目標範囲が5%±1%であり、庫内空気の二酸化炭素濃度の目標範囲が2%±1%である場合を例に説明する。
〈庫内空気調節装置の運転動作の概要〉
本実施形態の庫内空気調節装置(30)は、荷室(5)内の庫内空気の酸素濃度を低下させるための酸素濃度低減動作と、荷室(5)内の庫内空気の二酸化炭素濃度を低下させるための二酸化炭素濃度低減動作と、荷室(5)内の庫内空気の酸素濃度を上昇させるための酸素濃度増加動作とを行う。
輸送用コンテナ(1)への貨物(6)の積み込みが完了した時点において、荷室(5)内に存在する庫内空気の組成は、大気の組成(窒素濃度:78%、酸素濃度:21%、二酸化炭素濃度:0.04%)と実質的に同じである。そこで、庫内空気調節装置(30)は、庫内空気の酸素濃度を低下させるための酸素濃度低減動作を行う。庫内空気の酸素濃度が目標範囲の上限値(6%)に達すると、庫内空気調節装置(30)は、酸素濃度低減動作を停止する。
庫内空気の酸素濃度が6%に達して庫内空気調節装置(30)の酸素濃度停止動作が停止した後は、貨物(6)である植物が呼吸することによって、庫内空気の酸素濃度が次第に低下してゆくと同時に、庫内空気の二酸化炭素濃度が次第に上昇する。
庫内空気の二酸化炭素濃度が目標範囲の上限値(3%)に達すると、庫内空気調節装置(30)は、庫内空気の二酸化炭素濃度を低下させるための二酸化炭素濃度低減動作を行う。庫内空気の二酸化炭素濃度が目標範囲の下限値(1%)に達すると、庫内空気調節装置(30)は、二酸化炭素濃度低減動作を停止する。
また、庫内空気の酸素濃度が目標範囲の下限値(4%)に達すると、庫内空気調節装置(30)は、庫内空気の酸素濃度を上昇させるための酸素濃度増加動作を行う。庫内空気の酸素濃度が目標範囲の上限値(6%)に達すると、庫内空気調節装置(30)は、酸素濃度増加動作を停止する。
このように、庫内空気調節装置(30)は、荷室(5)内の庫内空気の酸素濃度を21%(大気の酸素濃度)から目標範囲にまで引き下げるために、酸素濃度低減動作を行う。また、庫内空気調節装置(30)は、荷室(5)内の庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度を、それぞれの目標範囲に維持するために、二酸化炭素低減動作と酸素濃度増加動作とを適宜繰り返して行う。
〈酸素濃度低減動作〉
庫内空気調節装置(30)の酸素濃度低減動作について説明する。この酸素濃度低減動作では、第1組成調節部(40)が酸素濃度の低い第1庫外空気を荷室(5)へ供給し、第2組成調節部(60)が酸素濃度の低い第1庫内空気を荷室(5)へ供給する。
酸素濃度低減動作において、制御器(110)の庫内環境制御部(115)は、第1バイパス弁(50)と第2バイパス弁(70)のそれぞれを第1状態(図3に実線で示す状態)に設定し、ポンプユニット(35)の駆動モータ(38)に通電して第1ポンプ(36)及び第2ポンプ(37)を作動させ、換気用排気弁(101)を開状態に設定する。
先ず、第1ポンプ(36)が作動すると、輸送用コンテナ(1)の外部に存在する庫外空気が、エアフィルタ(47)と庫外側吸入管(55)を通って第1ポンプ(36)に吸い込まれる。第1ポンプ(36)は、吸い込んだ庫外空気を加圧して吐出する。第1ポンプ(36)が吐出する庫外空気の圧力は、大気圧の2倍程度である。第1ポンプ(36)から吐出された庫外空気は、第1導入管(52)を流れ、第1分離モジュール(41)の第1導入口(42)へ未処理庫外空気として流入する。
第1分離モジュール(41)へ流入した未処理庫外空気は、ガス分離膜を透過しなかった第1庫外空気と、ガス分離膜を透過した第2庫外空気に分離される。酸素濃度の低い第1庫外空気は、第1一次側導出口(43)と第1一次側管(53)を順に通って供給管(120)へ流入する。一方、酸素濃度の高い第2庫外空気は、第1二次側導出口(44)と第1二次側管(54)を順に通って輸送用コンテナ(1)の外部へ排出される。
次に、第2ポンプ(37)が作動すると、輸送用コンテナ(1)の内部(具体的には、冷凍機(10)の二次流路(29b))に存在する庫内空気が、庫内側吸入管(75)を通って第2ポンプ(37)に吸い込まれる。第2ポンプ(37)は、吸い込んだ庫内空気を加圧して吐出する。第2ポンプ(37)が吐出する庫内空気の圧力は、大気圧よりも若干高い程度である。第2ポンプ(37)から吐出された庫内空気は、第2導入管(72)を流れ、第2分離モジュール(61)の第2導入口(62)へ未処理庫内空気として流入する。
第2分離モジュール(61)へ流入した未処理庫内空気は、ガス分離膜を透過しなかった第1庫内空気と、ガス分離膜を透過した第2庫内空気に分離される。酸素濃度の低い第1庫内空気は、第2一次側導出口(63)と第2一次側管(73)を順に通って供給管(120)へ流入する。一方、酸素濃度の高い第2庫内空気は、第2二次側導出口(64)と第2二次側管(74)を順に通って輸送用コンテナ(1)の外部へ排出される。
上述したように、供給管(120)には、第1分離モジュール(41)から流出した第1庫外空気と、第2分離モジュール(61)から流出した第1庫内空気とが流入する。そして、供給管(120)を流れる第1庫外空気と第1庫内空気の混合空気は、冷凍機(10)の二次流路(29b)へ流入し、二次流路(29b)を流れる空気と共に荷室(5)へ供給される。
通常、酸素濃度低減動作中は、輸送用コンテナ(1)の外部から内部へ供給される第1庫外空気の流量Qo1が、輸送用コンテナ(1)の内部から外部へ排出される第2庫内空気の流量Qi2よりも大きくなっており(Qo1>Qi2)、輸送用コンテナ(1)内の気圧が陽圧となる。輸送用コンテナ(1)内の気圧が陽圧であるため、庫内空気の一部は、換気用排気管(100)を通って輸送用コンテナ(1)の外部へ排出される。
このように、酸素濃度低減動作では、大気に比べて酸素濃度の低い第1庫外空気を供給すると同時に、換気用排気管(100)を通じて荷室(5)内の庫内空気を輸送用コンテナ(1)の外部へ排出し、荷室(5)の空気を第1庫外空気に入れ替えることによって、荷室(5)内の庫内空気の酸素濃度を低下させる。また、酸素濃度低減動作では、未処理庫内空気から分離された酸素濃度の高い第2庫内空気を輸送用コンテナ(1)の外部へ排出することによって、荷室(5)内の庫内空気の酸素濃度を低下させる。
〈二酸化炭素濃度低減動作〉
庫内空気調節装置(30)の二酸化炭素濃度低減動作について説明する。この二酸化炭素低減動作では、第1組成調節部(40)が酸素濃度の低い第1庫外空気を荷室(5)へ供給し、第2組成調節部(60)が二酸化炭素濃度の低い第1庫内空気を荷室(5)へ供給する。
二酸化炭素濃度低減動作において、制御器(110)の庫内環境制御部(115)は、第1バイパス弁(50)と第2バイパス弁(70)のそれぞれを第1状態(図3に実線で示す状態)に設定し、ポンプユニット(35)の駆動モータ(38)に通電して第1ポンプ(36)及び第2ポンプ(37)を作動させ、換気用排気弁(101)を開状態に設定し、測定用開閉弁(126)を閉状態に設定する。そして、第1組成調節部(40)と第2組成調節部(60)のそれぞれにおいて、空気は、酸素濃度低減動作と同様に流れる。ただし、二酸化炭素濃度低減動作において、第1ポンプ(36)が吐出する庫外空気の圧力と、第2ポンプ(37)が吐出する庫内空気の圧力は、いずれも大気圧よりも若干高い程度である。
第1組成調節部(40)では、第1分離モジュール(41)へ流入した未処理庫外空気が、未処理庫外空気よりも窒素濃度が高くて酸素濃度が低い第1庫外空気と、未処理庫外空気よりも窒素濃度が低くて酸素濃度が高い第2庫外空気とに分離される。そして、第1庫外空気が輸送用コンテナ(1)の内部へ供給され、第2庫外空気が輸送用コンテナ(1)の外部へ排出される。なお、未処理庫外空気の二酸化炭素濃度は、大気の二酸化炭素濃度(0.04%)と実質的に同じである。このため、第1庫外空気の二酸化炭素濃度は実質的にゼロと見なせる。
第2組成調節部(60)では、第2分離モジュール(61)へ流入した未処理庫内空気が、未処理庫内空気よりも窒素濃度が高くて酸素濃度および二酸化炭素濃度が低い第1庫内空気と、未処理庫内空気よりも窒素濃度が低くて酸素濃度および二酸化炭素濃度が高い第2庫内空気とに分離される。そして、第1庫内空気が輸送用コンテナ(1)の内部へ供給され、第2庫内空気が輸送用コンテナ(1)の外部へ排出される。
通常、二酸化炭素濃度低減動作中は、酸素濃度低減動作中と同様に、第1庫外空気の流量Qo1が第2庫内空気の流量Qi2よりも大きくなっており(Qo1>Qi2)、輸送用コンテナ(1)内の気圧が陽圧となる。輸送用コンテナ(1)内の気圧が陽圧であるため、荷室(5)内の庫内空気の一部は、換気用排気管(100)を通って輸送用コンテナ(1)の外部へ排出される。
このように、二酸化炭素濃度低減動作では、二酸化炭素濃度の極めて低い第1庫外空気を供給すると同時に、換気用排気管(100)を通じて庫内空気を輸送用コンテナ(1)の外部へ排出し、荷室(5)の空気を第1庫外空気に入れ替えることによって、荷室(5)内の庫内空気の二酸化炭素濃度を低下させる。また、二酸化炭素濃度低減動作では、未処理庫内空気から分離された二酸化炭素濃度の高い第2庫内空気を輸送用コンテナ(1)の外部へ排出することによって、荷室(5)内の庫内空気の二酸化炭素濃度を低下させる。
〈酸素濃度増加動作〉
庫内空気調節装置(30)の酸素濃度増加動作について説明する。この酸素濃度増加動作では、第1組成調節部(40)が輸送用コンテナ(1)の外部から吸い込んだ庫外空気をそのまま荷室(5)へ供給し、第2組成調節部(60)が輸送用コンテナ(1)の内部から吸い込んだ庫内空気をそのまま荷室(5)へ送り返す。
酸素濃度増加動作において、制御器(110)の庫内環境制御部(115)は、第1バイパス弁(50)と第2バイパス弁(70)のそれぞれを第2状態(図3に破線で示す状態)に設定し、ポンプユニット(35)の駆動モータ(38)に通電して第1ポンプ(36)及び第2ポンプ(37)を作動させ、換気用排気弁(101)を開状態に設定し、測定用開閉弁(126)を閉状態に設定する。
第1組成調節部(40)において、第1ポンプ(36)から吐出された庫外空気は、第1バイパス管(51)へ流入し、その窒素濃度と酸素濃度を保った状態で第1一次側管(53)へ流入し、その後に供給管(120)を通って輸送用コンテナ(1)の内部へ供給される。一方、第2組成調節部(60)において、第2ポンプ(37)へ吸い込まれた庫内空気は、第2ポンプ(37)から吐出された後に第2バイパス管(71)を通って第2一次側管(73)へ流入し、その後に供給管(120)を通って輸送用コンテナ(1)の内部へ戻る。また、荷室(5)内の庫内空気の一部は、換気用排気管(100)を通って輸送用コンテナ(1)の外部へ排出される。
このように、酸素濃度増加動作では、庫内空気よりも酸素濃度の高い庫外空気を輸送用コンテナ(1)の内部へ供給することによって、荷室(5)内の酸素濃度を上昇させる。
−気密性評価装置−
上述したように、気密性評価装置(130)は、庫内空気調節装置(30)に組み込まれている。本実施形態では、第1組成調節部(40)と、第3圧力センサ(103)と、制御器(110)とが、気密性評価装置(130)を構成する。
第1組成調節部(40)の第1ポンプ(36)は、輸送用コンテナ(1)内の気圧を陽圧とするために輸送用コンテナ(1)の内部へ給気する気圧調節機器(131)を構成する。つまり、本実施形態では、第1組成調節部(40)の第1ポンプ(36)が気密性評価装置(130)の気圧調節機器(131)を兼ねる。
上述したように、庫内ファン(17)の停止中には、第3圧力センサ(103)の計測値が荷室(5)内の気圧と実質的に一致する。そして、この第3圧力センサ(103)は、荷室(5)内の気圧を計測する気圧センサを構成する。
気密性評価部(116)は、輸送用コンテナ(1)の気密性を評価する評価動作を行うように構成される。この評価動作において、気密性評価部(116)は、“輸送用コンテナ(1)の気密性がCA輸送を実行するために必要な基準レベルに達していることを示す評価条件”の成否を判断する。気密性評価部(116)の評価動作の詳細な内容は、後述する。
気密性評価部(116)は、冷凍機(10)及び庫内空気調節装置(30)が使用前検査(いわゆるPTI/Pre-trip Inspection)運転を行う際に、評価動作を実行する。使用前検査運転は、冷凍機(10)及び庫内空気調節装置(30)が正常に作動するかどうかを検査するための運転である。
ここで、通常、コンテナ船には、複数の輸送用コンテナ(1)が上下に積み重なった状態で積み込まれる。下段に配置された輸送用コンテナ(1)は、その上に載った輸送用コンテナ(1)の重量によって変形する場合がある。このため、使用前検査運転中に気密性評価部(116)が行う評価動作において輸送用コンテナ(1)の気密性が充足されていると判断された場合でも、輸送用コンテナ(1)の使用中に輸送用コンテナ(1)の気密性が不足することがあり得る。
輸送用コンテナ(1)の気密性が不足した状態では、輸送用コンテナ(1)の隙間を通って庫外空気(大気)が輸送用コンテナ(1)の内部へ侵入するおそれがある。そして、輸送用コンテナ(1)の内部へ庫外空気が侵入すると、庫内空気調節装置(30)が正常に作動していても、庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度をそれぞれの目標濃度範囲に保てなくなる場合がある。また、輸送用コンテナ(1)の内部へ庫外空気が侵入すると、冷凍機(10)が正常に作動していても、庫内空気の温度を目標温度範囲に保てなくなる場合がある。
そこで、気密性評価部(116)は、冷凍機(10)及び庫内空気調節装置(30)の使用前検査運転の実行中だけで無く、輸送用コンテナ(1)の使用中に第1の不具合条件または第2の不具合条件が成立した場合も、評価動作を行う。
第1の不具合条件は、庫内空気調節装置(30)の運転によって荷室(5)内の庫内空気の組成を目標組成に到達させられないことを示す条件である。第1不具合条件としては、例えば“庫内空気調節装置(30)の運転中に、庫内空気の酸素濃度が目標濃度+1%以上となる状態の継続時間が1時間以上になる”という条件を用いることができる。また、第1不具合条件としては、“庫内空気の酸素濃度が目標濃度+1%に達した時点から24時間が経過しても、庫内空気の酸素濃度が目標濃度にまで低下しない”という条件を用いてもよい。
第2の不具合条件は、冷凍機(10)の運転によって荷室(5)内の気温を目標温度に到達させられないことを示す条件である。第2不具合条件としては、例えば“庫内空気調節装置(30)の運転中に、庫内空気の温度が−15℃に達した時点から24時間が経過しても、庫内空気の温度が−20℃にまで低下しない”という条件を用いることができる。
−気密性評価部の評価動作−
気密性評価部(116)の評価動作は、上述した評価条件が成立するか否かを判断する動作である。本実施形態の気密性評価部(116)は、評価動作において、“ポンプユニット(35)の停止中に輸送用コンテナ(1)内の気圧が第1基準圧力PHから第2基準圧力PLにまで低下するのに要する時間が評価用時間TR以上である”という評価条件の成否を判断する。
ここでは、気密性評価部(116)の評価動作について、図6のフロー図を参照しながら説明する。また、この説明では、図4を適宜参照する。
気密性評価部(116)は、評価動作を開始すると、先ず、ステップST11において、庫内空気調節装置(30)に設けられた弁の操作を行う。具体的に、気密性評価部(116)は、第1バイパス弁(50)と第2バイパス弁(70)のそれぞれを第2状態に設定し、第1調節弁(46)、第2調節弁(66)、換気用排気弁(101)、及び測定用開閉弁(126)を閉状態に設定する(図4を参照)。
次のステップST12において、気密性評価部(116)は、ポンプユニット(35)の駆動モータ(38)に通電して第1ポンプ(36)を作動させる。第1ポンプ(36)は、エアフィルタ(47)を通じて吸い込んだ庫外空気を加圧してから吐出する。第1ポンプ(36)から吐出された庫外空気は、第1バイパス弁(50)と第1バイパス管(51)と供給管(120)とを順に通って輸送用コンテナ(1)の内部へ供給される。
なお、本実施形態では、駆動モータ(38)に通電すると、第1ポンプ(36)だけでなく第2ポンプ(37)も作動する。このため、庫内空気が庫内側吸入管(75)を通って第2ポンプ(37)へ吸い込まれる。第2ポンプ(37)から吐出された庫内空気は、第2バイパス弁(70)と第2バイパス管(71)と供給管(120)とを順に通って輸送用コンテナ(1)の内部へ送り返される。
次のステップST13において、気密性評価部(116)は、第3圧力センサ(103)の計測値を読み込み、読み込んだ計測値を輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値Pとしてメモリ(112)に記憶させる。次のステップST14において、気密性評価部(116)は、ステップST13においてメモリ(112)に記憶させた計測値Pを、メモリ(112)が予め記憶する第1基準圧力PHと比較する。第1基準圧力PHの値は、例えば490Pa(ゲージ圧)である。
ステップST14において、輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値Pが第1基準圧力PHに達していない場合(P<PH)、気密性評価部(116)は、ステップST13へ戻って第3圧力センサ(103)の計測値Pを再び読み込む。一方、ステップST14において、輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値Pが第1基準圧力PHに達している場合(P≧PH)、気密性評価部(116)は、ステップST15へ移行してポンプユニット(35)を停止させる。
次のステップST16において、気密性評価部(116)は、ポンプユニット(35)が停止してからの経過時間Tの計測を開始する。この時点において、輸送用コンテナ(1)内の気圧は陽圧となっている。このため、輸送用コンテナ(1)の隙間を通って輸送用コンテナ(1)の内部から外部へ空気が流出し、輸送用コンテナ(1)内の気圧が次第に低下してゆく。
次のステップST17において、気密性評価部(116)は、第3圧力センサ(103)の計測値を読み込み、読み込んだ計測値を輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値Pとしてメモリ(112)に記憶させる。次のステップST18において、気密性評価部(116)は、ステップST17においてメモリ(112)に記憶させた計測値Pを、メモリ(112)が予め記憶する第2基準圧力PLと比較する。第2基準圧力PLの値は、例えば245Pa(ゲージ圧)である。
ステップST18において、輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値Pが第2基準圧力PLに達していない場合(P>PL)、気密性評価部(116)は、ステップST17へ戻って第3圧力センサ(103)の計測値Pを再び読み込む。一方、ステップST18において、輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値Pが第2基準圧力PLに達している場合(P≦PL)、気密性評価部(116)は、ステップST19へ移行して経過時間の計測を終了し、計測した経過時間Tをメモリ(112)に記憶させる。
次のステップST20において、気密性評価部(116)は、計測した経過時間Tを、メモリ(112)が予め記憶する評価用時間TRと比較する。評価用時間TRの値は、例えば105秒である。
計測した経過時間Tが評価用時間TR以上である場合(T≧TR)、気密性評価部(116)は、ステップST21へ移行し、輸送用コンテナ(1)の気密性が充足されている(即ち、輸送用コンテナ(1)の気密性が基準レベルに達している)旨の情報をメモリ(112)に記録する。一方、計測した経過時間Tが評価用時間TR未満である場合(T<TR)、気密性評価部(116)は、ステップST22へ移行し、輸送用コンテナ(1)の気密性が不足している(即ち、輸送用コンテナ(1)の気密性が基準レベルに達していない)旨の情報をメモリ(112)に記録する。
−実施形態1の効果−
本実施形態の気密性評価装置(130)を構成する気密性評価部(116)は、第1ポンプ(36)が輸送用コンテナ(1)の内部へ庫外空気を供給することによって輸送用コンテナ(1)内の気圧を陽圧とした状態で、第3圧力センサ(103)が計測した輸送用コンテナ(1)内の気圧に基づいて、輸送用コンテナ(1)の気密性を評価する。このため、本実施形態によれば、輸送用コンテナ(1)の気密性を自動的に評価することが可能となる。
また、本実施形態では、庫内空気調節装置(30)に設けられた第1ポンプ(36)が、気密性評価装置(130)の気圧調節機器(131)を兼ねる。従って、本実施形態によれば、気密性評価装置(130)を備える庫内空気調節装置(30)の部品点数を削減できる。
また、本実施形態の気密性評価装置(130)を構成する気密性評価部(116)は、輸送用コンテナ(1)の庫内空気の組成が目標組成に到達しないことを示す第1の不具合条件が成立すると、評価動作を行って輸送用コンテナ(1)の気密性を評価する。そのため、本実施形態によれば、輸送用コンテナ(1)の庫内空気の組成が目標組成に到達しない原因が、庫内空気調節装置(30)の故障なのか収納庫(1)の気密性なのかを判別することが可能となる。
また、本実施形態の気密性評価装置(130)を構成する気密性評価部(116)は、輸送用コンテナ(1)の庫内空気の温度が目標温度に到達しないことを示す第2の不具合条件が成立すると、評価動作を行って輸送用コンテナ(1)の気密性を評価する。そのため、本実施形態によれば、輸送用コンテナ(1)の庫内空気の温度が目標温度に到達しない原因が、冷凍機(10)の故障なのか収納庫(1)の気密性なのかを判別することが可能となる。
−実施形態1の変形例−
本実施形態の気密性評価装置(130)の気密性評価部(116)は、その評価動作において、所定の時間内における輸送用コンテナ(1)内の気圧の変化量を評価用圧力変化量と比較することによって、輸送用コンテナ(1)の気密性を評価するように構成されていてもよい。本変形例の気密性評価部(116)は、評価動作において、“ポンプユニット(35)が停止中の所定時間内における輸送用コンテナ(1)内の気圧の低下量が評価用圧力変化量ΔP以下である”という評価条件の成否を判断する。
具体的に、本変形例の気密性評価部(116)は、その評価動作において、図6のステップST11からステップST15までの動作を行う。次に、気密性評価部(116)は、ポンプユニット(35)を停止させた時点から所定時間(例えば120秒)が経過した時点の輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値PMをメモリ(112)に記憶させる。次に、気密性評価部(116)は、第1基準圧力PHとメモリ(112)が記憶する計測値PMの差(PH−PM)を算出する。(PH−PM)の値は、ポンプユニット(35)を停止させた時点から所定時間内における輸送用コンテナ(1)内の気圧の変化量である。
本変形例の気密性評価部(116)は、(PH−PM)の値に基づいて、輸送用コンテナ(1)の気密性を評価する。(PH−PM)の値が所定の評価用圧力変化量ΔP以下の場合(PH−PM≦ΔP)、気密性評価部(116)は、輸送用コンテナ(1)の気密性が充足されている(即ち、輸送用コンテナ(1)の気密性が基準レベルに達している)旨の情報をメモリ(112)に記録する。一方、(PH−PM)の値が所定の評価用圧力変化量ΔPを上回る場合(PH−PM>ΔP)、気密性評価部(116)は、輸送用コンテナ(1)の気密性が不足している(即ち、輸送用コンテナ(1)の気密性が基準レベルに達していない)旨の情報をメモリ(112)に記録する。
《実施形態2》
実施形態2について説明する。本実施形態の庫内空気調節装置(30)に組み込まれた気密性評価装置(130)は、収納庫(1)の気密性の基準レベルが互いに異なる複数(本実施形態では三つ)の評価条件の中から、気密性評価部(116)の評価動作において用いられる一つの評価条件を、作業者が選択できるように構成される。ここでは、本実施形態の庫内空気調節装置(30)について、実施形態1の庫内空気調節装置(30)と異なる点を説明する。
図7に示すように、本実施形態の庫内空気調節装置(30)では、制御器(110)に対して、冷凍機(10)の操作盤(113)が電気配線を介して接続される。図示しないが、冷凍機(10)の操作盤(113)には、表示部とキーパッド、あるいは液晶タッチパネルが設けられる。操作盤(113)は、冷凍機(10)の運転に関する指令値(例えば、荷室(5)の気温の設定値)などを作業者が入力するために、冷凍機(10)に設けられる。
気密性評価装置(130)には、入力部が設けられる。本実施形態では、冷凍機(10)の操作盤(113)が、気密性評価装置(130)の入力部を兼ねる。作業者は、操作盤(113)を操作することによって、気密性評価部(116)の評価動作において用いられる評価条件を指定する情報を入力する。
本実施形態の庫内空気調節装置(30)において、制御器(110)のメモリ(112)には、三つの評価条件のそれぞれに対応する評価用時間が予め記録される。メモリ(112)は、例えば、評価条件Aに対応する第1評価用時間TR1として120秒を記憶し(TR1=120秒)、評価条件Bに対応する第2評価用時間TR2として105秒を記憶し(TR2=105秒)、評価条件Cに対応する第3評価用時間TR3として90秒を記憶する(TR3=90秒)。本実施形態において、三つの評価条件A〜Cの基準レベル(収納庫(1)の気密性のレベル)は、評価条件Aが最も高く、評価条件A,評価条件B,評価条件Cの順に低くなる。
−気密性評価部の評価動作−
ここでは、本実施形態の気密性評価部(116)の評価動作について、実施形態1の気密性評価部(116)の評価動作と異なる点を説明する。また、ここでは、本実施形態の気密性評価部(116)の評価動作について、図8のフロー図を参照しながら説明する。図8のフロー図は、図6のフロー図にステップST10を追加したものである。
気密性評価部(116)は、評価動作を開始すると、先ず、ステップST10において、作業者が評価条件A〜Cのうちの一つを選択するまで待機する。
作業者が操作盤(113)を操作して評価条件A〜Cのうちの一つを選択する情報を入力すると、気密性評価部(116)は、評価用時間TRを、選択された評価条件に対応する値に設定する。評価条件Aが選択された場合、気密性評価部(116)は、評価用時間TRを第1評価用時間TR1とする(TR=TR1)。評価条件Bが選択された場合、気密性評価部(116)は、評価用時間TRを第2評価用時間TR2とする(TR=TR2)。評価条件Cが選択された場合、気密性評価部(116)は、評価用時間TRを第3評価用時間TR3とする(TR=TR3)。
そして、本実施形態の気密性評価部(116)は、実施形態1の気密性評価部(116)と同様に、ステップST11からステップST22までの動作を評価動作として行い、輸送用コンテナ(1)の気密性を自動的に評価する。
−実施形態2の効果−
本実施形態の庫内空気調節装置(30)において、気密性評価部(116)は、複数の評価条件のうち作業者によって指定された一つの評価条件を用いて、収納庫(1)の気密性を評価する評価動作を行う。従って、本実施形態によれば、評価動作において用いられる一つの評価条件を、複数の評価条件の中から作業者が選択することが可能となり、庫内空気調節装置(30)の使い勝手が向上する。
《実施形態3》
実施形態3について説明する。本実施形態の庫内空気調節装置(30)に組み込まれた気密性評価装置(130)は、実施形態2の気密性評価装置(130)において、制御器(110)の気密性評価部(116)が評価動作において成否を判断する評価条件を変更したものである。また、本実施形態の庫内空気調節装置(30)では、第1組成調節部(40)の構成が、実施形態2の庫内空気調節装置(30)と異なる。ここでは、本実施形態の庫内空気調節装置(30)について、実施形態2の庫内空気調節装置(30)と異なる点を説明する。
−庫内空気調節装置の第1組成調節部−
本実施形態の第1組成調節部(40)について、実施形態2の第1組成調節部(40)と異なる点を説明する。
図9に示すように、本実施形態庫の第1組成調節部(40)では、第1一次側管(53)に逆止弁(48)が設けられる。この逆止弁(48)は、第1一次側管(53)における第1分離モジュール(41)と第1圧力センサ(45)の間に配置される。この逆止弁(48)は、第1分離モジュール(41)の第1一次側導出口(43)から流出する方向の空気の流通を許容し、逆方向の空気の流通を阻止する。
また、本実施形態庫の庫内空気調節装置(30)において、第1バイパス管(51)の出口端は、第1一次側管(53)における逆止弁(48)と第1圧力センサ(45)の間に接続される。
−制御器−
本実施形態の制御器(110)は、気密性評価部(116)が評価動作において成否を判断する評価条件が、実施形態2の制御器(110)と異なる。本実施形態の気密性評価部(116)は、評価動作において、“ポンプユニット(35)が輸送用コンテナ(1)の内部へ供給する空気の流量(給気流量)を所定の基準値に設定した状態で、荷室(5)の加圧の開始から所定の基準時間T0が経過するまでの間に、輸送用コンテナ(1)内の気圧が所定の評価用圧力PRに達する” という評価条件の成否を判断する。
また、本実施形態の制御器(110)は、実施形態2の制御器(110)と同様に、収納庫(1)の気密性の基準レベルが互いに異なる複数(本実施形態では三つ)の評価条件の中から、気密性評価部(116)の評価動作において用いられる一つの評価条件を、作業者が選択できるように構成される。
評価条件Aは、“給気流量を毎分10リットルに設定した状態で、荷室(5)の加圧の開始から5分間が経過した時点における輸送用コンテナ(1)内の気圧が490Pa(ゲージ圧)以上である”という条件である。評価条件Bは、“給気流量を毎分20リットルに設定した状態で、荷室(5)の加圧の開始から5分間が経過した時点における輸送用コンテナ(1)内の気圧が150Pa(ゲージ圧)以上である”という条件である。評価条件Cは、“給気流量を毎分25リットルに設定した状態で、荷室(5)の加圧の開始から5分間が経過した時点における輸送用コンテナ(1)内の気圧が150Pa(ゲージ圧)以上である”という条件である。これら三つの評価条件A〜Cの基準レベル(収納庫(1)の気密性のレベル)は、評価条件Aが最も高く、評価条件A,評価条件B,評価条件Cの順に低くなる。
制御器(110)のメモリ(112)には、三つの評価条件のそれぞれに対応する評価用圧力および制御用圧力が予め記録される。具体的に、メモリ(112)は、評価条件Aに対応する第1評価用圧力PR1および第1制御用圧力PC1と、評価条件Bに対応する第2評価用圧力PR2および第2制御用圧力PC2と、評価条件Cに対応する第3評価用圧力PR3および第3制御用圧力PC3とを記憶する。
ここで、ポンプユニット(35)の第1ポンプ(36)は、“吐出する空気の圧力(吐出圧力)が高くなるほど、吐出する空気の体積流量(吐出流量)が少なくなる”という特性を有している。つまり、第1ポンプ(36)は、吐出圧力と吐出流量が互いに相関する。そこで、メモリ(112)には、評価条件Aに対応する第1制御用圧力PC1として“第1ポンプ(36)の吐出流量が毎分10リットルであるときの吐出圧力”が記録される。また、メモリ(112)には、評価条件Bに対応する第2制御用圧力PC2として“第1ポンプ(36)の吐出流量が毎分20リットルであるときの吐出圧力”が記録される。また、メモリ(112)には、評価条件Cに対応する第3制御用圧力PC3として“第1ポンプ(36)の吐出流量が毎分25リットルであるときの吐出圧力”が記録される。
−気密性評価部の評価動作−
本実施形態の気密性評価部(116)が行う評価動作について、図10のフロー図を参照しながら説明する。
気密性評価部(116)は、評価動作を開始すると、先ず、ステップST30において、作業者が評価条件A〜Cのうちの一つを選択するまで待機する。
作業者が操作盤(113)を操作して評価条件A〜Cのうちの一つを選択する情報を入力すると、気密性評価部(116)は、評価用圧力PRと制御用圧力PCのそれぞれを、選択された評価条件に対応する値に設定する。評価条件Aが選択された場合、気密性評価部(116)は、評価用圧力PRを第1評価用圧力PR1とし(PR=PR1)、制御用圧力PCを第1制御用圧力PC1とする(PC=PC1)。評価条件Bが選択された場合、気密性評価部(116)は、評価用圧力PRを第2評価用圧力PR2とし(PR=PR2)、制御用圧力PCを第2制御用圧力PC2とする(PC=PC2)。評価条件Cが選択された場合、気密性評価部(116)は、評価用圧力PRを第3評価用圧力PR3とし(PR=PR3)、制御用圧力PCを第3制御用圧力PC3とする(PC=PC3)。
次のステップST31において、気密性評価部(116)は、庫内空気調節装置(30)に設けられた弁の操作を行う。具体的に、気密性評価部(116)は、第1バイパス弁(50)と第2バイパス弁(70)のそれぞれを第2状態(図9に破線で示す状態)に設定し、第1調節弁(46)の開度を所定の初期開度に設定し、換気用排気弁(101)を開状態に設定し、第2調節弁(66)及び測定用開閉弁(126)を閉状態に設定する。
次のステップST32において、気密性評価部(116)は、ポンプユニット(35)の駆動モータ(38)に通電して第1ポンプ(36)を作動させる。第1ポンプ(36)は、エアフィルタ(47)を通じて吸い込んだ庫外空気を加圧してから吐出する。第1ポンプ(36)から吐出された庫外空気は、第1バイパス弁(50)と第1バイパス管(51)と供給管(120)とを順に通って輸送用コンテナ(1)の内部へ供給される。
ただし、この時点では換気用排気弁(101)が開いている。そのため、第1ポンプ(36)から吐出された庫外空気が輸送用コンテナ(1)の内部へ供給されても、輸送用コンテナ(1)内の気圧は大気圧と実質的に同じに保たれる。つまり、この時点では、荷室(5)の加圧は、まだ開始されない。
なお、本実施形態の庫内空気調節装置(30)では、実施形態1と同様に、庫内空気が第2ポンプ(37)へ吸い込まれ、第2ポンプ(37)から吐出された庫内空気が輸送用コンテナ(1)の内部へ送り返される。
次のステップST33において、気密性評価部(116)は、第1ポンプ(36)から吐出されて輸送用コンテナ(1)の内部へ供給される庫外空気の流量(即ち、給気流量)が、作業者によって選択された評価条件に対応した値となるように、第1調節弁(46)の開度を調節する。
具体的に、気密性評価部(116)は、第1圧力センサ(45)の計測値が、ステップST30において設定された制御用圧力PCとなるように、第1調節弁(46)の開度を調節する。気密性評価部(116)は、第1圧力センサ(45)の計測値が制御用圧力PCを上回る場合は第1調節弁(46)の開度を拡大し、第1圧力センサ(45)の計測値が制御用圧力PCを下回っている場合は第1調節弁(46)の開度を縮小する。
第1圧力センサ(45)の計測値が実質的に制御用圧力PCに保たれた状態になると、気密性評価部(116)は、第1調節弁(46)の開度を固定し、その後にステップST34へ移行する。
ステップST34において、気密性評価部(116)は、換気用排気弁(101)を閉じる。換気用排気弁(101)が閉じると、輸送用コンテナ(1)内の気圧が次第に上昇してゆく。つまり、換気用排気弁(101)が閉じた時点で荷室(5)の加圧が始まる。また、気密性評価部(116)は、換気用排気弁(101)を閉じた時点(即ち、荷室(5)の加圧を開始した時点)からの経過時間Tの計測を開始する。
次のステップST35において、気密性評価部(116)は、第3圧力センサ(103)の計測値を読み込み、読み込んだ計測値を輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値Pとしてメモリ(112)に記憶させる。次のステップST36において、気密性評価部(116)は、ステップST35においてメモリ(112)に記憶させた計測値Pを、ステップST30において設定した評価用圧力PRと比較する。
ステップST36において、輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値Pが評価用圧力PRに達している場合(P≧PR)は、荷室(5)の加圧を開始した時点から基準時間T0(本実施形態ではT0=5分)が経過する前に、輸送用コンテナ(1)内の気圧が評価用圧力PRに達していることになる。そこで、この場合、気密性評価部(116)は、ステップST37へ移行し、輸送用コンテナ(1)の気密性が充足されている(即ち、輸送用コンテナ(1)の気密性が基準レベルに達している)旨の情報をメモリ(112)に記録する。
一方、ステップST36において、輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値Pが評価用圧力PRに達していない場合(P<PR)、気密性評価部(116)は、ステップST38へ移行し、荷室(5)の加圧を開始した時点からの経過時間Tを、基準時間T0と比較する。
経過時間Tが基準時間T0に達していない場合、気密性評価部(116)は、ステップST35へ戻り、ステップST35とステップST36の動作を順に行う。一方、経過時間Tが基準時間T0に達している場合、荷室(5)の加圧を開始した時点から基準時間T0が経過しても、計測値Pが評価用圧力PRに達していないことになる。そこで、この場合、気密性評価部(116)は、ステップST39へ移行し、輸送用コンテナ(1)の気密性が不足している(即ち、輸送用コンテナ(1)の気密性が基準レベルに達していない)旨の情報をメモリ(112)に記録する。
《実施形態4》
実施形態4について説明する。本実施形態の庫内空気調節装置(30)に組み込まれた気密性評価装置(130)は、実施形態3の気密性評価装置(130)において、制御器(110)の気密性評価部(116)が評価動作において成否を判断する評価条件を変更したものである。ここでは、本実施形態の庫内空気調節装置(30)について、実施形態3の庫内空気調節装置(30)と異なる点を説明する。
−制御器−
本実施形態の制御器(110)は、気密性評価部(116)が評価動作において成否を判断する評価条件が、実施形態3の制御器(110)と異なる。本実施形態の気密性評価部(116)は、評価動作において、“輸送用コンテナ(1)内の気圧を所定の基準圧力範囲に保つために必要な、輸送用コンテナ(1)の内部へ供給される空気の流量(給気流量)が、所定の評価用流量QR以下である” という評価条件の成否を判断する。
また、本実施形態の制御器(110)は、実施形態3の制御器(110)と同様に、収納庫(1)の気密性の基準レベルが互いに異なる複数(本実施形態では三つ)の評価条件の中から、気密性評価部(116)の評価動作において用いられる一つの評価条件を、作業者が選択できるように構成される。
評価条件Aは、“輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値Pを所定の基準圧力範囲(PR1≦P≦PR1+α、PR1:第1評価用圧力)に保つために必要な給気流量が、第1評価用流量QR1以下である”という条件である。評価条件Bは、“輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値Pを基準圧力範囲(PR2≦P≦PR2+α、PR2:第2評価用圧力)に保つために必要な給気流量が、第2評価用流量QR2以下である”という条件である。評価条件Cは、“輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値Pを基準圧力範囲(PR3≦P≦PR3+α、PR3:第3評価用圧力)に保つために必要な給気流量が、第3評価用流量QR3以下である”という条件である。なお、本実施形態において、「α」の値は、例えば10パスカル(Pa)に設定される。これら三つの評価条件A〜Cの基準レベル(収納庫(1)の気密性のレベル)は、評価条件Aが最も高く、評価条件A,評価条件B,評価条件Cの順に低くなる。
制御器(110)のメモリ(112)には、三つの評価条件のそれぞれに対応する評価用圧力および評価用流量が予め記録される。具体的に、メモリ(112)は、評価条件Aに対応する第1評価用圧力PR1および第1評価用流量QR1と、評価条件Bに対応する第2評価用圧力PR2および第2評価用流量QR2と、評価条件Cに対応する第3評価用圧力PR3および第3評価用流量QR3とを記憶する。ただし、本実施形態の制御器(110)のメモリ(112)が記憶する第1〜第3評価用圧力の値は、実施形態3の制御器(110)のメモリ(112)が記憶する第1〜第3評価用圧力の値と異なる。
−気密性評価部の評価動作−
本実施形態の気密性評価部(116)が行う評価動作について、図11のフロー図を参照しながら説明する。
気密性評価部(116)は、評価動作を開始すると、先ず、ステップST50において、作業者が評価条件A〜Cのうちの一つを選択するまで待機する。
作業者が操作盤(113)を操作して評価条件A〜Cのうちの一つを選択する情報を入力すると、気密性評価部(116)は、評価用圧力PRと評価用流量QRのそれぞれを、選択された評価条件に対応する値に設定する。評価条件Aが選択された場合、気密性評価部(116)は、評価用圧力PRを第1評価用圧力PR1とし(PR=PR1)、評価用流量QRを第1評価用流量QR1とする(QR=QR1)。評価条件Bが選択された場合、気密性評価部(116)は、評価用圧力PRを第2評価用圧力PR2とし(PR=PR2)、評価用流量QRを第2評価用流量QR2とする(QR=QR2)。評価条件Cが選択された場合、気密性評価部(116)は、評価用圧力PRを第3評価用圧力PR3とし(PR=PR3)、評価用流量QRを第3評価用流量QR3とする(QR=QR3)。
次のステップST51において、気密性評価部(116)は、庫内空気調節装置(30)に設けられた弁の操作を行う。具体的に、気密性評価部(116)は、第1バイパス弁(50)と第2バイパス弁(70)のそれぞれを第2状態(図9に破線で示す状態)に設定し、第1調節弁(46)の開度を所定の初期開度(例えば、全開状態)に設定し、第2調節弁(66)、換気用排気弁(101)及び測定用開閉弁(126)を閉状態に設定する。
次のステップST52において、気密性評価部(116)は、ポンプユニット(35)の駆動モータ(38)に通電して第1ポンプ(36)を作動させる。第1ポンプ(36)は、エアフィルタ(47)を通じて吸い込んだ庫外空気を加圧してから吐出する。第1ポンプ(36)から吐出された庫外空気は、第1バイパス弁(50)と第1バイパス管(51)と供給管(120)とを順に通って輸送用コンテナ(1)の内部へ供給される。
なお、本実施形態の庫内空気調節装置(30)では、実施形態1と同様に、庫内空気が第2ポンプ(37)へ吸い込まれ、第2ポンプ(37)から吐出された庫内空気が輸送用コンテナ(1)の内部へ送り返される。
次のステップST53において、気密性評価部(116)は、タイマーAによる経過時間TAの計測と、タイマーBによる経過時間TBの計測とを、同時に開始する。
次のステップST54において、気密性評価部(116)は、第3圧力センサ(103)の計測値を読み込み、読み込んだ計測値を輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値Pとしてメモリ(112)に記憶させる。なお、メモリ(112)は、その時点における第3圧力センサ(103)の計測値(即ち、最新の計測値P)だけでなく、過去の計測値Pも記憶する。
次のステップST55において、気密性評価部(116)は、直前のステップST54においてメモリ(112)に記憶させた計測値P(即ち、最新の計測値P)を、(PR+α)の値と比較する。PRは、ステップST50において設定した評価用圧力である。
ステップST55において最新の計測値Pが(PR+α)を上回る場合(P>PR+α)は、給気流量が多すぎて輸送用コンテナ(1)内の気圧が高くなり過ぎていることになる。そこで、この場合、気密性評価部(116)は、ステップST56へ移行し、給気流量を減らすために第1調節弁(46)の開度を縮小する。その際、気密性評価部(116)は、第1調節弁(46)の開度を、予め定められた一定値だけ縮小する。
一方、ステップST55において最新の計測値Pが(PR+α)以下である場合(P≦PR+α)、気密性評価部(116)は、ステップST57へ移行し、最新の計測値Pを評価用圧力PRと比較する。
ステップST57において最新の計測値PがPR未満である場合(P<PR)は、給気流量が少なすぎて輸送用コンテナ(1)内の気圧が充分に上昇していないことになる。そこで、この場合、気密性評価部(116)は、ステップST58へ移行し、給気流量を増やすために第1調節弁(46)の開度を拡大する。その際、気密性評価部(116)は、第1調節弁(46)の開度を、予め定められた一定値だけ拡大する。
ステップST56またはステップST58において給気流量が変更された場合は、輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値Pが基準圧力範囲(PR≦P≦PR+α)から外れていることになる。そこで、この場合、気密性評価部(116)は、ステップST59へ移行し、タイマーBが計測した経過時間TBをゼロにリセットし、タイマーBによる経過時間TBの計測を再開する。その後、気密性評価部(116)は、ステップST60へ移行する。
一方、ステップST57において最新の計測値PがPR以上である場合(P≧PR)は、輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値Pが基準圧力範囲(PR≦P≦PR+α)に入っていることになる。この場合、気密性評価部(116)は、ステップST60へ移行する。
ステップST60において、気密性評価部(116)は、その時点で第1ポンプ(36)が輸送用コンテナ(1)の内部へ供給する庫外空気の流量(即ち、その時点における給気流量Q)を算出する。
実施形態3についての説明で述べたように、ポンプユニット(35)の第1ポンプ(36)は、“吐出する空気の圧力(吐出圧力)が高くなるほど、吐出する空気の体積流量(吐出流量)が少なくなる”という特性を有している。そこで、ステップST57において、気密性評価部(116)は、第1ポンプ(36)の吐出圧力と吐出流量の相関式と、第1圧力センサ(45)の計測値(即ち、第1ポンプ(36)の吐出圧力の実測値)とを用いて、給気流量Qを算出する。
次のステップST61において、気密性評価部(116)は、タイマーBが計測した経過時間TBを、所定の基準時間TB0(本実施形態では、TB0=10分)と比較する。
ステップST61において経過時間TBが基準時間TB0に達している場合(TB≧TB0)は、輸送用コンテナ(1)内の気圧が、基準時間TB0以上に亘って、基準圧力範囲(PR≦P≦PR+α)に保たれていることになる。つまり、この場合は、輸送用コンテナ(1)内の気圧が概ね一定に保たれていることになる。そこで、この場合、気密性評価部(116)は、ステップST62へ移行し、ステップST60で算出した給気流量Q(即ち、最新の給気流量Q)を、ステップST50において設定した評価用流量QRと比較する。
ステップST62において最新の給気流量Qが評価用流量QR以下である場合(Q≦QR)は、輸送用コンテナ(1)内の気圧を基準圧力範囲(PR≦P≦PR+α)に保つために必要な給気流量が、評価用流量QR以下であることになる。そこで、この場合、気密性評価部(116)は、ステップST63へ移行し、輸送用コンテナ(1)の気密性が充足されている(即ち、輸送用コンテナ(1)の気密性が基準レベルに達している)旨の情報をメモリ(112)に記録する。
一方、ステップST62において最新の給気流量Qが評価用流量QRを上回る場合(Q>QR)は、輸送用コンテナ(1)内の気圧を基準圧力範囲(PR≦P≦PR+α)に保つために必要な給気流量が、評価用流量QRを上回っていることになる。そこで、この場合、気密性評価部(116)は、ステップST64へ移行し、輸送用コンテナ(1)の気密性が不足している(即ち、輸送用コンテナ(1)の気密性が基準レベルに達していない)旨の情報をメモリ(112)に記録する。
ステップST61において経過時間TBが基準時間TB0に達していない場合(TB<TB0)、気密性評価部(116)は、ステップST65へ移行し、タイマーAが計測した経過時間TAを、所定の基準時間TA0(本実施形態では、TA0=20分)と比較する。
ステップST65において経過時間TAが基準時間TA0に達している場合(TA≧TA0)は、評価動作の開始から比較的長時間(本実施形態では20分間)が既に経過していることになる。そこで、この場合、気密性評価部(116)は、ステップST66へ移行する。一方、ステップST65において経過時間TAが基準時間TA0に達していない場合(TA<TA0)、気密性評価部(116)は、ステップST54へ戻り、上述した一連の動作を再び行う。
ステップST66において、気密性評価部(116)は、先ず、その時点から10分前までの間における給気流量Qの平均値Qmを算出する。その際、気密性評価部(116)は、メモリ(112)に記録されている過去の給気流量Qを用いて、給気流量Qの平均値Qmを算出する。そして、気密性評価部(116)は、算出した給気流量の平均値Qmを、ステップST50において設定した評価用流量QRと比較する。
ステップST66において給気流量の平均値Qmが評価用流量QR以下である場合(Qm≦QR)は、比較的長時間(本実施形態では20分間)に亘って給気流量を調節し続けた状態において、給気流量の平均値Qmが比較的低い値に抑えられていることになる。そのため、この場合は、輸送用コンテナ(1)内の気圧を基準圧力範囲(PR≦P≦PR+α)に保つために必要な給気流量が、実質的に評価用流量QR以下であると判断できる。そこで、この場合、気密性評価部(116)は、ステップST67へ移行し、輸送用コンテナ(1)の気密性が充足されている(即ち、輸送用コンテナ(1)の気密性が基準レベルに達している)旨の情報をメモリ(112)に記録する。
一方、ステップST66において給気流量の平均値Qmが評価用流量QRを上回る場合(Qm>QR)は、比較的長時間(本実施形態では20分間)に亘って給気流量を調節し続けた状態において、給気流量の平均値Qmが比較的高い値となっていることになる。そのため、この場合は、輸送用コンテナ(1)内の気圧を基準圧力範囲(PR≦P≦PR+α)に保つために必要な給気流量が、実質的に評価用流量QRを上回っていると判断できる。そこで、この場合、気密性評価部(116)は、ステップST68へ移行し、輸送用コンテナ(1)の気密性が不足している(即ち、輸送用コンテナ(1)の気密性が基準レベルに達していない)旨の情報をメモリ(112)に記録する。
−実施形態4の変形例−
本実施形態の気密性評価装置(130)は、輸送用コンテナ(1)の内部へ供給される空気の流量(給気流量)を計測するための流量センサを備えていてもよい。この流量センサは、例えば第1組成調節部(40)の第1一次側管(53)に設けられ、第1一次側管(53)を流れる空気の体積流量を計測する。本変形例の制御器(110)の気密性評価部(116)は、図11のフロー図のステップST60において、流量センサの計測値を読み込み、読み込んだ流量センサの計測値を給気流量Qの計測値としてメモリ(112)に記録する。
《実施形態5》
実施形態5について説明する。ここでは、本実施形態の庫内空気調節装置(30)について、実施形態1の庫内空気調節装置(30)と異なる点を説明する。なお、本実施形態は、実施形態2〜4の庫内空気調節装置(30)に適用することも可能である。
図12に示すように、本実施形態の庫内空気調節装置(30)は、実施形態1の庫内空気調節装置(30)に、入口側切換弁(140)と入口側分岐管(141)とを追加したものである。入口側切換弁(140)及び入口側分岐管(141)は、第2ポンプ(37)によって庫外空気を輸送用コンテナ(1)の内部へ供給可能とするために、庫内空気調節装置(30)に設けられる。
入口側切換弁(140)は、三つのポートを有する切換弁である。入口側切換弁(140)は、第1のポートが第2のポートと連通して第3のポートから遮断される第1状態(図12に実線で示す状態)と、第1のポートが第3のポートと連通して第2のポートから遮断される第2状態(図12に破線で示す状態)とに切り換わるように構成される。
入口側切換弁(140)は、庫内側吸入管(75)の途中に配置される。入口側切換弁(140)は、第1のポートが第2ポンプ(37)の吸入口に接続し、第2のポートが庫内側吸入管(75)を介して二次流路(29b)と連通する。入口側切換弁(140)の第3のポートには、入口側分岐管(141)の一端が接続する。入口側分岐管(141)の他端は、庫外側吸入管(55)に接続する。
入口側切換弁(140)は、庫内空気調節装置(30)の酸素濃度低減動作、二酸化炭素濃度低減動作、及び酸素濃度増加動作において、第1状態に設定される。また、入口側切換弁(140)は、気密性評価部(116)の評価動作において、第2状態に設定される。
本実施形態の気密性評価装置(130)は、第1組成調節部(40)と、第2組成調節部(60)と、第3圧力センサ(103)と、制御器(110)の気密性評価部(116)と、入口側切換弁(140)と、入口側分岐管(141)とによって構成される。また、本実施形態では、ポンプユニット(35)に設けられた第1ポンプ(36)と第2ポンプ(37)の両方が、荷室(5)内の気圧を陽圧とするために輸送用コンテナ(1)の内部へ給気する気圧調節機器(131)を構成する。
本実施形態の気密性評価装置(130)において、制御器(110)の気密性評価部(116)は、図6のステップST11に相当するステップにおいて、入口側切換弁(140)を第2状態に設定する。図13に示すように、入口側切換弁(140)が第2状態に設定されると、第1ポンプ(36)の吸入口と第2ポンプ(37)の吸入口の両方が、庫外側吸入管(55)に連通し、第1ポンプ(36)と第2ポンプ(37)の両方が庫外空気を吸い込む。
第1ポンプ(36)から吐出された庫外空気は、第1バイパス弁(50)と第1バイパス管(51)と供給管(120)とを順に通って輸送用コンテナ(1)の内部へ供給される。第2ポンプ(37)から吐出された庫外空気は、第2バイパス弁(70)と第2バイパス管(71)と供給管(120)とを順に通って輸送用コンテナ(1)の内部へ供給される。
このように、本実施形態の気密性評価装置(130)は、第1ポンプ(36)と第2ポンプ(37)の両方によって、庫外空気を輸送用コンテナ(1)の内部へ供給することができる。そのため、本実施形態では、第1ポンプ(36)だけによって庫外空気を輸送用コンテナ(1)の内部へ供給する場合に比べて、輸送用コンテナ(1)内の気圧(具体的には、第3圧力センサ(103)の計測値P)が第1基準圧力PHに達するまでの時間が短縮される。
《実施形態6》
実施形態6について説明する。ここでは、本実施形態の庫内空気調節装置(30)について、実施形態5の庫内空気調節装置(30)と異なる点を説明する。
図14に示すように、本実施形態の庫内空気調節装置(30)が実施形態5の庫内空気調節装置(30)と異なる点は、気圧測定用切換弁(145)及び気圧測定用配管(146)が追加されている点と、第3圧力センサ(103)が省略されている点である。気圧測定用切換弁(145)及び気圧測定用配管(146)は、第2圧力センサ(65)によって輸送用コンテナ(1)内の気圧を計測可能とするために、庫内空気調節装置(30)に設けられる。
気圧測定用切換弁(145)は、三つのポートを有する切換弁である。気圧測定用切換弁(145)は、第1のポートが第2のポートと連通して第3のポートから遮断される第1状態(図14に実線で示す状態)と、第1のポートが第3のポートと連通して第2のポートから遮断される第2状態(図14に破線で示す状態)とに切り換わるように構成される。
気圧測定用切換弁(145)は、第2一次側管(73)における第2分離モジュール(61)と第2圧力センサ(65)の間に配置される。気圧測定用切換弁(145)は、第1のポートが第2調節弁(66)に接続し、第2のポートが第2分離モジュール(61)の第2一次側導出口(63)に接続する。気圧測定用切換弁(145)の第3のポートには、気圧測定用配管(146)の一端が接続する。気圧測定用配管(146)の他端は、庫内側吸入管(75)に接続する。
気圧測定用切換弁(145)は、庫内空気調節装置(30)の酸素濃度低減動作、二酸化炭素濃度低減動作、及び酸素濃度増加動作において、第1状態に設定される。また、気圧測定用切換弁(145)は、気密性評価部(116)の評価動作において、第2状態に設定される。
本実施形態の気密性評価装置(130)は、第1組成調節部(40)と、第2組成調節部(60)と、第2圧力センサ(65)と、制御器(110)の気密性評価部(116)と、入口側切換弁(140)と、入口側分岐管(141)と、気圧測定用切換弁(145)と、気圧測定用配管(146)とによって構成される。
本実施形態の気密性評価装置(130)において、制御器(110)の気密性評価部(116)は、図6のステップST11に相当するステップにおいて、気圧測定用切換弁(145)を第2状態に設定する。図15に示すように、気圧測定用切換弁(145)が第2状態に設定されると、第2圧力センサ(65)が、気圧測定用配管(146)及び庫内側吸入管(75)を介して、庫内空気流路(29)の二次流路(29b)と連通する。
上述したように、庫内ファン(17)の停止中において、二次流路(29b)の気圧は、荷室(5)内の気圧と実質的に等しい。このため、庫内ファン(17)の停止中には、第2圧力センサ(65)の計測値が荷室(5)内の気圧と実質的に一致する。従って、本実施形態では、第2圧力センサ(65)が、荷室(5)内の気圧を計測する気圧センサを構成する。そして、本実施形態の制御器(110)の気密性評価部(116)は、図6のステップST13とステップST17のそれぞれに相当するステップにおいて、第2圧力センサ(65)の計測値を読み込み、読み込んだ計測値を輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値Pとしてメモリ(112)に記憶させる。
本実施形態では、第2圧力センサ(65)を、輸送用コンテナ(1)内の気圧を計測するために利用できる。従って、本実施形態によれば、気密性評価装置(130)が組み込まれた庫内空気調節装置(30)の圧力センサの数を削減できる。
《実施形態7》
実施形態7について説明する。ここでは、本実施形態の庫内空気調節装置(30)について、実施形態6の庫内空気調節装置(30)と異なる点を説明する。
図16に示すように、本実施形態の庫内空気調節装置(30)が実施形態6の庫内空気調節装置(30)と異なる点は、第2組成調節部(60)、庫内側吸入管(75)、入口側切換弁(140)、及び入口側分岐管(141)が省略されている点と、気圧測定用切換弁(145)の配置と、気圧測定用配管(146)の構成である。
本実施形態の庫内空気調節装置(30)において、気圧測定用切換弁(145)は、第1一次側管(53)における第1分離モジュール(41)と第1圧力センサ(45)の間に配置される。気圧測定用切換弁(145)は、第1のポートが第1調節弁(46)に接続し、第2のポートが第1分離モジュール(41)の第1一次側導出口(43)に接続する。気圧測定用切換弁(145)の第3のポートには、気圧測定用配管(146)の一端が接続する。気圧測定用配管(146)の他端は、庫内空気流路(29)の二次流路(29b)に開口する。
本実施形態の気密性評価装置(130)は、第1組成調節部(40)と、第1圧力センサ(45)と、制御器(110)の気密性評価部(116)と、気圧測定用切換弁(145)と、気圧測定用配管(146)とによって構成される。
本実施形態の気密性評価装置(130)において、制御器(110)の気密性評価部(116)は、図6のステップST11に相当するステップにおいて、気圧測定用切換弁(145)を第2状態に設定する。図17に示すように、気圧測定用切換弁(145)が第2状態に設定されると、第1圧力センサ(45)が、気圧測定用配管(146)を介して、庫内空気流路(29)の二次流路(29b)と連通する。
上述したように、庫内ファン(17)の停止中において、二次流路(29b)の気圧は、荷室(5)内の気圧と実質的に等しい。このため、庫内ファン(17)の停止中には、第1圧力センサ(45)の計測値が荷室(5)内の気圧と実質的に一致する。従って、本実施形態では、第1圧力センサ(45)が、荷室(5)内の気圧を計測する気圧センサを構成する。そして、本実施形態の制御器(110)の気密性評価部(116)は、図6のステップST13とステップST17のそれぞれに相当するステップにおいて、第1圧力センサ(45)の計測値を読み込み、読み込んだ計測値を輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値Pとしてメモリ(112)に記憶させる。
本実施形態では、第1圧力センサ(45)を、輸送用コンテナ(1)内の気圧を計測するために利用できる。従って、本実施形態によれば、気密性評価装置(130)が組み込まれた庫内空気調節装置(30)の圧力センサの数を削減できる。
《実施形態8》
実施形態8について説明する。本実施形態の庫内空気調節装置(30)は、上記実施形態1の庫内空気調節装置(30)において、気密性評価部(116)が行う評価動作を変更したものである。ここでは、本実施形態の庫内空気調節装置(30)について、実施形態1の庫内空気調節装置(30)と異なる点を説明する。
本実施形態の気密性評価部(116)は、評価動作において、輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値Pを、所定の保持時間に亘って第1基準圧力PH以上の所定圧力範囲に保った後に、輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値Pの変化に基づいて、輸送用コンテナ(1)の気密性を評価する。
本実施形態の気密性評価部(116)が行う評価動作について、図18のフロー図を参照しながら説明する。本実施形態の気密性評価部(116)は、評価動作において、図6のステップST15に示す動作に代えて、図18のステップST15-1及びステップST15-2に示す動作を行う。
本実施形態の気密性評価部(116)が図18のステップST11からステップST14において行う動作は、実施形態1の気密性評価部(116)が図6のステップST11からステップST14において行う動作と同じである。ステップST14において、輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値Pが第1基準圧力PHに達している場合(P≧PH)、本実施形態の気密性評価部(116)は、ステップST15-1へ移行する。
ステップST15-1において、気密性評価部(116)は、輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値P(本実施形態では、第3圧力センサ(103)の計測値)を監視し、この計測値Pが第1基準圧力PH以上で圧力値PH’以下の範囲(PH≦P≦PH’)に保たれるように、ポンプユニット(35)を制御する。第1基準圧力PHの値は、例えば490Pa(ゲージ圧)である。圧力値PH’ の値は、例えば500Pa(ゲージ圧)である。
具体的に、気密性評価部(116)は、ポンプユニット(35)の作動中に計測値Pが圧力値PH’を上回ると、ポンプユニット(35)を停止させ、ポンプユニット(35)の停止中に計測値Pが第1基準圧力PHを下回ると、ポンプユニット(35)を作動させる。気密性評価部(116)は、この動作を、所定の保持時間TH(本実施形態では、10分間)に亘って行う。
ステップST15-1が終了すると、気密性評価部(116)は、ステップST15-2へ移行し、ポンプユニット(35)を停止状態に保持する。具体的に、ステップST15-1の終了時にポンプユニット(35)が作動している場合、気密性評価部(116)は、ポンプユニット(35)を停止させ、ポンプユニット(35)を停止状態に保つ。また、ステップST15-1の終了時にポンプユニット(35)が停止している場合、気密性評価部(116)は、そのままポンプユニット(35)を停止状態に保つ。
ステップST15-2が終了すると、本実施形態の気密性評価部(116)は、図18のステップST16からステップST22に示す動作を行う。図18のステップST16からステップST22に示す動作は、実施形態1の気密性評価部(116)が図6のステップST16からステップST22において行う動作と同じである。
−実施形態8の効果−
ここで、輸送用コンテナ(1)内の気圧を大気圧よりも高い圧力にまで上昇させると、輸送用コンテナ(1)が膨らむように変形することがある。輸送用コンテナ(1)が膨らむと、輸送用コンテナ(1)の内容積が増加し、輸送用コンテナ(1)内の気圧が下がる。また、輸送用コンテナ(1)内の気圧が高くなるほど、輸送用コンテナ(1)に設けられた断熱材に入り込む空気の量が増える。輸送用コンテナ(1)の断熱材に空気が入り込むと、輸送用コンテナ(1)内の気圧が下がる。また、輸送用コンテナ(1)の荷室(5)では、その各部における気圧が過渡的に不均一となる場合がある。この場合は、時間が経過するにつれて、輸送用コンテナ(1)の荷室(5)において気圧が均一化され、その結果、輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値が変化する。
気密性評価部(116)が行う評価動作において、輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値Pが第1基準圧力PHに達した直後にポンプユニット(35)を停止させると、前段落で説明した原因によって、輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値Pが低下することがある。輸送用コンテナ(1)の変形によって輸送用コンテナ(1)内の気圧が低下した場合、気密性評価部(116)は、実際には輸送用コンテナ(1)の気密性が確保されているにも拘わらず、輸送用コンテナ(1)の気密性が不充分だと誤判断するおそれがある。
そこで、本実施形態の気密性評価部(116)は、輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値Pが第1基準圧力PHに達した後に、輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値Pを所定圧力範囲(PH≦P≦PH’)に保つ。そして、気密性評価部(116)は、輸送用コンテナ(1)内の気圧の上昇に起因して輸送用コンテナ(1)が変形した後に、輸送用コンテナ(1)の気密性を判定する。従って、本実施形態によれば、気密性が確保された輸送用コンテナ(1)について、その気密性が不充分だと誤判断する可能性を低減できる。
−実施形態8の変形例−
本実施形態の気密性評価部(116)が行う図18のステップST15-1及びステップST15-2の動作を、実施形態2の気密性評価部(116)に実行させてもよい。この変形例を適用した実施形態2の気密性評価部(116)は、図8のステップST15の動作に代えて、図18のステップST15-1及びステップST15-2の動作を実行する。
《実施形態9》
実施形態9の庫内空気調節装置(30)について説明する。実施形態の庫内空気調節装置(30)は、実施形態1の庫内空気調節装置(30)において、第1組成調節部(40)及び制御器(110)を変更したものである。ここでは、本実施形態の庫内空気調節装置(30)について、実施形態1の庫内空気調節装置(30)と異なる点を説明する。
−第1組成調節部の構成−
本実施形態の第1組成調節部(40)は、実施形態1の第1組成調節部(40)と同様に、輸送用コンテナ(1)の外部から吸い込んだ庫外空気(未処理庫外空気)を第1庫外空気と第2庫外空気に分離するように構成される。本実施形態の第1組成調節部(40)は、いわゆるPSA(Pressure Swing Adsorption)法によって、未処理庫外空気を第1庫外空気と第2庫外空気に分離するように構成されており、この点で実施形態1の第1組成調節部(40)と相違する。
図19に示すように、本実施形態の第1組成調節部(40)は、ポンプユニット(35)の第1ポンプ(36)に代えて、エアポンプ(231)を備える。つまり、本実施形態の庫内空気調節装置(30)において、ポンプユニット(35)は、第2ポンプ(37)及び駆動モータ(38)を備えるが、第1ポンプ(36)を備えていない。また、本実施形態の第1組成調節部(40)は、第1方向制御弁(232)及び第2方向制御弁(233)と、第1吸着筒(234)及び第2吸着筒(235)とを備える。後述するように、各吸着筒(234,235)には、空気中の窒素を吸着する吸着剤が設けられる。
〈エアポンプ〉
エアポンプ(231)は、ユニットケース(32)の内部空間に配置される。エアポンプ(231)は、それぞれが空気を吸引して加圧して吐出する第1ポンプ機構(231a)及び第2ポンプ機構(231b)を備える。第1ポンプ機構(231a)及び第2ポンプ機構(231b)は、潤滑油を使用しないオイルレスのポンプである。本実施形態では、第1組成調節部(40)の第1ポンプ機構(231a)が気密性評価装置(130)の気圧調節機器(131)を兼ねる。
加圧部である第1ポンプ機構(231a)と、減圧部である第2ポンプ機構(231b)とは、それらの両方が駆動モータ(231c)の駆動軸に接続される。第1ポンプ機構(231a)及び第2ポンプ機構(231b)のぞれぞれは、駆動モータ(231c)によって回転駆動されることによって、吸込口から空気を吸引して加圧し、加圧した空気を吐出口から吐出する。
〈外気管、吐出管、フィルタユニット〉
第1ポンプ機構(231a)の吸込口には、外気通路を形成する外気管(241)の一端が接続される。外気管(241)は、ユニットケース(32)を貫通するように設けられる。ユニットケース(32)の外部に位置する外気管(241)の他端は、フィルタユニット(220)に接続される。
フィルタユニット(220)は、エアフィルタ(47)を備える。エアフィルタ(47)は、庫外空気に含まれる塵埃や塩分などを捕捉するためのフィルタである。本実施形態では、通気性と防水性を有するメンブレンフィルタが、エアフィルタ(47)として用いられる。フィルタユニット(220)は、箱状に形成された部材であり、エアフィルタ(47)を通過した空気(庫外空気)を外気管(241)へ導入する。図示しないが、フィルタユニット(220)は、庫外機器室(28)における凝縮器(13)の下流側に配置される。
第1ポンプ機構(231a)の吐出口には、吐出通路を形成する吐出管(242)の一端が接続される。吐出管(242)は、他端側で二つの分岐管に分岐しており、一方の分岐管が第1方向制御弁(232)に、他方の分岐管が第2方向制御弁(233)に、それぞれ接続される。
〈吸引管、供給管〉
第2ポンプ機構(231b)の吸込口には、吸引通路を形成する吸引管(243)の一端が接続される。吸引管(243)は、他端側で二つの分岐管に分岐しており、一方の分岐管が第1方向制御弁(232)に、他方の分岐管が第2方向制御弁(233)に、それぞれ接続される。
第2ポンプ機構(231b)の吐出口には、供給通路を形成する供給用接続管(244)の一端が接続される。供給用接続管(244)の他端は、供給管(120)に接続される。
供給用接続管(244)には、その一端から他端へ向かって順に、逆止弁(264)と供給側開閉弁(273)とが設けられる。逆止弁(264)は、供給用接続管(244)の一端から他端へ向かう向きの空気の流通のみを許容し、空気の逆流を防止する。供給側開閉弁(273)は、電磁弁からなる開閉弁である。
〈方向制御弁〉
第1方向制御弁(232)及び第2方向制御弁(233)のそれぞれは、三つのポートを有する切換弁である。各方向制御弁(232,233)は、第1のポートが第2のポートと連通して第3のポートから遮断される第1状態と、第1のポートが第3のポートと連通して第2のポートから遮断される第2状態とに切り換わるように構成される。
第1方向制御弁(232)は、第1のポートが第1吸着筒(234)の一端に接続される。また、第1方向制御弁(232)は、第2のポートに吐出管(242)の分岐管が接続され、第3のポートに吸引管(243)の分岐管が接続される。第1方向制御弁(232)は、第1吸着筒(234)を、第1ポンプ機構(231a)に連通する状態と、第2ポンプ機構(231b)に連通する状態とに切り換える。
第2方向制御弁(233)は、第1のポートが第2吸着筒(235)の一端に接続される。また、第2方向制御弁(233)は、第2のポートに吐出管(242)の分岐管が接続され、第3のポートに吸引管(243)の分岐管が接続される。第2方向制御弁(233)は、第2吸着筒(235)を、第1ポンプ機構(231a)に連通する状態と、第2ポンプ機構(231b)に連通する状態とに切り換える。
〈吸着筒〉
第1吸着筒(234)及び第2吸着筒(235)のそれぞれは、両端が閉塞された円筒状の容器と、その容器に充填された吸着剤とを備える部材である。
これら吸着筒(234,235)に充填された吸着剤は、圧力が大気圧よりも高い加圧状態において窒素成分を吸着し、圧力が大気圧よりも低い減圧状態において窒素成分を脱着させる性質を有する。本実施形態では、吸着剤として、例えば、窒素分子の分子径(3.0オングストローム)よりも小さく且つ酸素分子の分子径(2.8オングストローム)よりも大きな孔径の細孔を有する多孔体のゼオライトが用いられる。
本実施形態の第1組成調節部(40)では、第1吸着筒(234)及び第2吸着筒(235)が第1分離部(41)を構成する。第1分離部(41)を構成する二つの吸着筒(234,235)は、未処理庫外空気を、未処理庫外空気よりも窒素濃度が高くて酸素濃度が低い第1庫外空気と、未処理庫外空気よりも窒素濃度が低くて酸素濃度が高い第2庫外空気に分離する。
〈酸素排出管〉
酸素排出通路を形成する酸素排出管(245)は、一端側で二つの分岐管に分岐しており、一方の分岐管が第1吸着筒(234)の他端に、他方の分岐管が第2吸着筒(235)にそれぞれ接続される。酸素排出管(245)の各分岐管には、逆止弁(261)が一つずつ設けられる。各逆止弁(261)は、対応する吸着筒(234,235)から流出する向きの空気の流れを許容し、逆向きの空気の流れを遮断する。
酸素排出管(245)は、ユニットケース(32)を貫通するように設けられる。酸素排出管(245)の他端は、輸送用コンテナ(1)の庫外空間に開口する。酸素排出管(245)の集合部分には、逆止弁(262)とオリフィス(263)とが設けられる。逆止弁(262)は、オリフィス(263)よりも酸素排出管(245)の他端寄りに配置される。この逆止弁(262)は、酸素排出管(245)の他端へ向かう空気の流れを許容し、逆向きの空気の流れを遮断する。
〈パージ管〉
酸素排出管(245)の各分岐管には、パージ通路を形成するパージ管(250)が接続される。パージ管(250)は、一端が第1吸着筒(234)に接続する分岐管に接続され、他端が第2吸着筒(235)に接続する分岐管に接続される。パージ管(250)の一端は、第1吸着筒(234)と逆止弁(261)の間に接続される。パージ管(250)の他端は、第2吸着筒(235)と逆止弁(261)の間に接続される。
パージ管(250)には、パージ弁(251)が設けられる。パージ弁(251)は、電磁弁からなる開閉弁である。パージ弁(251)は、第1吸着筒(234)と第2吸着筒(235)を均圧する際に開かれる。また、パージ管(250)におけるパージ弁(251)の両側には、オリフィス(252)が一つずつ設けられる。
〈排気用接続管〉
供給用接続管(244)には、排気用接続通路を形成する排気用接続管(271)が接続される。排気用接続管(271)は、一端が供給用接続管(244)に接続され、他端が酸素排出管(245)に接続される。排気用接続管(271)の一端は、供給用接続管(244)における第2ポンプ機構(231b)と逆止弁(264)の間に接続される。排気用接続管(271)の他端は、酸素排出管(245)の逆止弁(262)よりも庫外側に接続される。
排気用接続管(271)には、排気用開閉弁(272)が設けられる。排気用開閉弁(272)は、電磁弁からなる開閉弁である。排気用開閉弁(272)は、供給用接続管(244)を流れる空気を庫外へ排出する際に開かれる。
〈測定用接続管〉
供給用接続管(244)には、測定用通路を形成する測定用接続管(281)が接続される。この測定用接続管(281)は、第1組成調節部(40)をセンサユニット(90)に接続するための配管である。
測定用接続管(281)は、一端が供給用接続管(244)に接続され、他端が測定用配管(125)に接続される。測定用接続管(281)の一端は、供給用接続管(244)における逆止弁(264)と供給側開閉弁(273)の間に接続される。測定用接続管(281)の他端は、測定用配管(125)における測定用開閉弁(126)とセンサユニット(90)の間に接続される。
測定用接続管(281)には、測定用開閉弁(282)が設けられる。測定用開閉弁(282)は、電磁弁からなる開閉弁である。測定用開閉弁(282)は、供給用接続管(244)を流れる空気をセンサユニット(90)へ送る際に開かれる。
〈バイパス管〉
吐出管(242)には、バイパス通路を形成するバイパス接続管(255)が接続される。バイパス接続管(255)は、一端が吐出管(242)に接続され、他端が測定用接続管(281)に接続される。バイパス接続管(255)の一端は、吐出管(242)の分岐箇所よりも第1ポンプ機構(231a)寄りに接続される。バイパス接続管(255)の他端は、測定用接続管(281)の一端と測定用開閉弁(282)の間に接続される。このバイパス接続管(255)は、第1吸着筒(234)及び第2吸着筒(235)をバイパスさせて庫外空気を輸送用コンテナ(1)の庫内空間へ供給するための第1バイパス通路を形成する。
バイパス接続管(255)には、バイパス開閉弁(256)が設けられる。バイパス開閉弁(256)は、電磁弁からなる開閉弁である。バイパス開閉弁(256)は、バイパス接続管(255)へ流入する庫外空気の流量を変更するための第1バイパス弁機構を構成する。このバイパス開閉弁(256)は、第1ポンプ機構(231a)が吐出した庫外空気を、その組成を変更せずに荷室(5)へ供給する際に開かれる。
−第1組成調節部の運転動作−
本実施形態の第1組成調節部(40)の運転動作を説明する。
本実施形態の第1組成調節部(40)は、後述する第1動作と第2動作を所定の時間(例えば、14.5秒)ずつ交互に繰り返し行うことによって、未処理庫外空気を第1庫外空気と第2庫外空気に分離する。本実施形態の第1組成調節部(40)は、実施形態1の第1組成調節部(40)と同様に、庫内空気調節装置(30)の酸素濃度低減動作と二酸化炭素濃度低減動作のそれぞれにおいて、未処理庫外空気を第1庫外空気と第2庫外空気に分離する動作を行う。
また、本実施形態の第1組成調節部(40)は、後述する外気導入動作を行う。外気導入動作は、輸送用コンテナ(1)の外部から吸い込んだ庫外空気をそのまま輸送用コンテナ(1)の庫内へ供給する動作である。本実施形態の第1組成調節部(40)は、酸素濃度増加動作において、外気導入動作を行う。また、制御器(110)の気密性評価部(116)が行う評価動作においても、本実施形態の第1組成調節部(40)は、必要に応じて外気導入動作を行う。
〈第1動作〉
図20に示すように、第1動作では、第1方向制御弁(232)が第1状態に設定され、第2方向制御弁(233)が第2状態に設定される。その結果、第1ポンプ機構(231a)の吐出口が第1吸着筒(234)に接続し、第2吸着筒(235)が第2ポンプ機構(231b)の吸込口に接続する。また、第1動作では、供給側開閉弁(273)が開かれ、残りの開閉弁(251,256,272,282)が閉じられる。そして、第1動作では、第1吸着筒(234)を対象とする吸着動作と、第2吸着筒(235)を対象とする脱離動作とが行われる。
第1ポンプ機構(231a)は、外気管(241)から未処理庫外空気を吸い込んで加圧し、加圧した未処理庫外空気を第1吸着筒(234)へ供給する。第1吸着筒(234)では、供給された未処理庫外空気に含まれる窒素が吸着剤に吸着される。その結果、第1吸着筒(234)では、未処理庫外空気よりも窒素濃度が低くて酸素濃度が高い第2庫外空気が生成する。第2庫外空気は、第1吸着筒(234)から流出して酸素排出管(245)を流れ、排出用空気として庫外空間へ排出される。
一方、第2ポンプ機構(231b)は、第2吸着筒(235)から空気を吸引する。第2吸着筒(235)では、その内部の圧力が低下して吸着剤から窒素が脱離する。その結果、第2吸着筒(235)では、未処理庫外空気よりも窒素濃度が高くて酸素濃度が低い第1庫外空気が生成する。第1庫外空気は、第1吸着筒(234)から吸引管(243)へ流入して第2ポンプ機構(231b)へ吸い込まれる。第2ポンプ機構(231b)は、吸い込んだ第1庫外空気を加圧して供給用接続管(244)へ吐出する。第1庫外空気は、供給用空気として供給用接続管(244)を流れ、供給管(120)を流れる空気と合流後に庫内空間へ供給される。
〈第2動作〉
図21に示すように、第2動作では、第1方向制御弁(232)が第2状態に設定され、第2方向制御弁(233)が第1状態に設定される。その結果、第1ポンプ機構(231a)の吐出口が第2吸着筒(235)に接続し、第1吸着筒(234)が第2ポンプ機構(231b)の吸込口に接続する。また、第2動作では、供給側開閉弁(273)が開かれ、残りの開閉弁(251,256,272,282)が閉じられる。そして、第2動作では、第1吸着筒(234)を対象とする脱離動作と、第2吸着筒(235)を対象とする吸着動作とが行われる。
第1ポンプ機構(231a)は、外気管(241)から未処理庫外空気を吸い込んで加圧し、加圧した未処理庫外空気を第2吸着筒(235)へ供給する。第2吸着筒(235)では、供給された未処理庫外空気に含まれる窒素が吸着剤に吸着される。その結果、第2吸着筒(235)では、未処理庫外空気よりも窒素濃度が低くて酸素濃度が高い第2庫外空気が生成する。第2庫外空気は、第2吸着筒(235)から流出して酸素排出管(245)を流れ、排出用空気として庫外空間へ排出される。
一方、第2ポンプ機構(231b)は、第1吸着筒(234)から空気を吸引する。第1吸着筒(234)では、その内部の圧力が低下して吸着剤から窒素が脱離する。その結果、第1吸着筒(234)では、未処理庫外空気よりも窒素濃度が高くて酸素濃度が低い第1庫外空気が生成する。第1庫外空気は、第1吸着筒(234)から吸引管(243)へ流入して第2ポンプ機構(231b)へ吸い込まれる。第2ポンプ機構(231b)は、吸い込んだ第1庫外空気を加圧して供給用接続管(244)へ吐出する。第1庫外空気は、供給用空気として供給用接続管(244)を流れ、供給管(120)を流れる空気と合流後に庫内空間へ供給される。
〈外気導入動作〉
図22に示すように、外気導入動作では、制御器(110)が、第1方向制御弁(232)と第2方向制御弁(233)のそれぞれを第2状態(図22に実線で示す状態)に設定し、エアポンプ(231)のモータ(231c)に通電して第1ポンプ機構(231a)を作動させる。また、制御器(110)は、第1バイパス弁(256)、排気用開閉弁(272)、供給側開閉弁(273)、及びパージ弁(251)を開状態に設定し、測定用開閉弁(282)と第2組成調節部(60)の測定用開閉弁(126)とを閉状態に設定する。第2組成調節部(60)は休止する。
この外気供給動作において、第1ポンプ機構(231a)から吐出された庫外空気は、第1バイパス管(255)と供給用接続管(244)と供給管(120)とを順に通って、輸送用コンテナ(1)の庫内空間に流入する。このように、外気供給動作では、輸送用コンテナ(1)の外部から第1ポンプ機構(231a)へ吸い込まれた庫外空気が、そのまま輸送用コンテナ(1)の庫内空間へ供給される。
−気密性評価部の評価動作−
評価動作において、本実施形態の気密性評価部(116)は、庫内空気調節装置(30)に外気導入を実行させることによって、輸送用コンテナ(1)内の気圧を調節する。具体的に、この気密性評価部(116)は、図6のステップST12に対応するステップにおいて、エアポンプ(231)の第1ポンプ機構(231a)を起動させる。そして、気密性評価部(116)は、輸送用コンテナ(1)の庫内空間へ庫外空気を供給することによって、輸送用コンテナ(1)内の気圧を上昇させる。
《その他の実施形態》
上記各実施形態の庫内空気調節装置(30)については、次のような変形例を適用してもよい。
−第1変形例−
上記各実施形態の気密性評価装置(130)の気密性評価部(116)は、その評価動作において、ポンプユニット(35)の作動中における輸送用コンテナ(1)内の気圧の変化速度に基づいて、輸送用コンテナ(1)の気密性を評価するように構成されていてもよい。
本変形例の気密性評価部(116)は、ポンプユニット(35)の作動中における輸送用コンテナ(1)内の気圧の上昇速度が所定の基準速度を以上である場合に、輸送用コンテナ(1)の気密性が充足されていると判断する。また、本変形例の気密性評価部(116)は、ポンプユニット(35)の作動中における輸送用コンテナ(1)内の気圧の上昇速度が所定の基準速度を下回っている場合に、輸送用コンテナ(1)の気密性が不足していると判断する。
−第2変形例−
上記各実施形態の気密性評価装置(130)は、輸送用コンテナ(1)の内部空間から空気を排出し、輸送用コンテナ(1)内の気圧を陰圧にすることによって、輸送用コンテナ(1)の気密性を評価するように構成されていてもよい。本変形例の気密性評価装置(130)には、輸送用コンテナ(1)の内部空間から空気を排出するためのポンプ又はファンが、気圧調節機器(131)として設けられる。
輸送用コンテナ(1)の内部空間から排気すると、輸送用コンテナ(1)内の気圧が次第に低下してゆく。その際、輸送用コンテナ(1)の気密性が低いほど、輸送用コンテナ(1)内の気圧の低下速度は遅くなる。また、輸送用コンテナ(1)内の気圧が陰圧となった状態で輸送用コンテナ(1)からの排気を停止した後は、輸送用コンテナ(1)内の気圧が次第に上昇してゆく。その際、輸送用コンテナ(1)の気密性が低いほど、輸送用コンテナ(1)内の気圧の上昇速度は早くなる。本変形例の気密性評価装置(130)は、このような現象を利用して、輸送用コンテナ(1)の気密性を評価する。
−第3変形例−
実施形態3及び4の気密性評価装置(130)において、気密性評価部(116)は、第1ポンプ(36)から吐出されて輸送用コンテナ(1)の内部へ供給される庫外空気の流量(給気流量)の調節を、第1調節弁(46)の開度の調節ではなく、ポンプユニット(35)の駆動モータ(38)の回転速度の調節によって行うように構成されていてもよい。本変形例において、ポンプユニット(35)の駆動モータ(38)には、インバータから出力された交流が供給される。インバータの出力周波数を変更すると、駆動モータ(38)の回転速度が変化し、第1ポンプ(36)から吐出される空気の流量が変化する。
−第4変形例−
上記各実施形態の気密性評価装置(130)において、気密性評価部(116)は、基準レベル(収納庫(1)の気密性のレベル)だけでなく、判断の対象となる物理量が異なる複数の評価条件のうちの一つを、作業者が選択できるように構成されていてもよい。例えば、本変形例の気密性評価部(116)は、実施形態3の気密性評価部(116)において選択可能な三つの評価条件A〜Cと、実施形態4の気密性評価部(116)において選択可能な三つの評価条件A〜C(即ち、六つの評価条件)のうちの一つを、作業者が選択できるように構成されていてもよい。
−第5変形例−
上記実施形態1〜8の庫内空気調節装置(30)において、第1組成調節部(40)と第2組成調節部(60)のそれぞれは、いわゆるPSA(Pressure Swing Adsorption)法によって、吸い込んだ空気を互いに組成が異なる二種類の空気に分離するように構成されていてもよい。この場合、組成調節部(40,60)は、吸い込んだ空気に含まれる窒素を吸着剤に吸着させることによって、窒素濃度が低くて酸素濃度および二酸化炭素濃度が高い空気を生成する工程と、吸着剤から窒素を脱離させて窒素濃度が高くて酸素濃度及び二酸化炭素濃度が低い空気を生成する工程とを繰り返し行う。
−第6変形例−
上記各実施形態の庫内空気調節装置(30)を備えた冷凍機(10)は、定置型の冷蔵庫または冷凍庫に設けられてもよい。また、上記各実施形態の庫内空気調節装置(30)を備えた冷凍機(10)は、トラックや鉄道などで輸送される陸上輸送用の冷蔵・冷凍コンテナに設けられていてもよい。また、上記各実施形態の庫内空気調節装置(30)を備えた冷凍機(10)は、荷室を形成する箱体が車台と一体になった冷蔵・冷凍トラックに設けられていてもよい。
以上説明したように、本発明は、収納庫の気密性を評価する気密性評価装置と、この気密性評価装置を備えた庫内空気調節装置および冷凍装置について有用である。
1 輸送用コンテナ(収納庫)
10 コンテナ用の冷凍機(冷凍装置)
11 冷媒回路
36 第1ポンプ(空気ポンプ)
40 第1組成調節部
45 第1圧力センサ(気圧センサ)
60 第2組成調節部
65 第2圧力センサ(気圧センサ)
103 第3圧力センサ(気圧センサ)
113 操作盤(入力部)
116 気密性評価部
130 気密性評価装置
131 気圧調節機器
本発明は、収納庫の気密性を評価する気密性評価装置と、この気密性評価装置を備えた庫内空気調節装置および冷凍装置に関するものである。
農産物等の鮮度低下の抑制を目的として、農産物等を収容する倉庫や輸送用コンテナの庫内空気の酸素濃度を大気の酸素濃度よりも低くなるように調節する技術が知られている。特許文献1には、輸送用コンテナの庫内空気の酸素濃度を大気の酸素濃度よりも低くするために、酸素濃度の低い空気を輸送用コンテナの庫内へ供給する庫内環境制御システムが開示されている。また、この庫内環境制御システムは、冷凍サイクルを行う冷媒回路を備え、庫内空気の温度調節も行う。
ところで、輸送用コンテナ等の収納庫は、その気密性が常に確保されているとは限らない。また、例えば海上輸送用のコンテナは、繰り返し使用される過程で気密性が次第に低下する可能性がある。収納庫の気密性が低いと、収納庫の隙間を通って庫外空気(即ち、大気)が収納庫の内部へ侵入する可能性がある。そして、収納庫の内部へ侵入する庫外空気の量が多くなると、庫内空気の組成(例えば、庫内空気の酸素濃度)を目標とする組成に到達させることができなくなったり、庫内空気の温度を目標温度にまで引き下げられないおそれがある。
このように、収納庫の気密性を確保することは、収納庫の庫内環境を適切に制御する上で重要である。しかし、収納庫の気密性を評価するための装置は、これまで存在しなかった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、収納庫の気密性を評価する装置を提供することにある。
本開示の第1の態様は、気密性評価装置(130)を対象とし、収納庫(1)内の気圧を大気圧と異ならせるために上記収納庫(1)へ給気し又は上記収納庫(1)から排気する気圧調節機器(131)と、上記収納庫(1)内の気圧を計測する気圧センサ(103,65,45)と、上記収納庫(1)の気密性を評価する評価動作を行うように構成された評価部(116)とを備え、上記評価部(116)は、上記評価動作として、上記気圧調節機器(131)を作動させて上記収納庫(1)を加圧し又は減圧し、上記気圧調節機器(131)を制御することによって上記気圧センサ(103,65,45)の計測値を所定時間に亘って所定圧力範囲に保った後に上記気圧調節機器(131)を停止状態に保持し、上記気圧調節機器(131)の停止中における上記気圧センサ(103,65,45)の計測値の変化に基づいて上記収納庫(1)の気密性を評価する動作を行うように構成されるものである。
第1の態様では、気圧調節機器(131)が作動することによって、収納庫(1)内の気圧が陽圧または陰圧となる。収納庫(1)内の気圧が陽圧である場合は、収納庫(1)の気密性が低いほど、収納庫(1)の隙間を通って収納庫(1)の外部へ流出する空気の流量が多くなる。また、収納庫(1)内の気圧が陰圧である場合は、収納庫(1)の気密性が低いほど、収納庫(1)の隙間を通って収納庫(1)の内部へ流入する空気の流量が多くなる。このため、収納庫(1)の気密性が低いほど、収納庫(1)内の気圧が受ける影響が大きくなる。そこで、評価部(116)は、気圧センサ(103,65,45)の計測値に基づいて収納庫(1)の気密性を評価する。
また、第1の態様の評価動作において、評価部(116)は、気圧調節機器(131)を制御することによって、気圧センサ(103,65,45)の計測値を所定時間に亘って所定圧力範囲に保ち、その後に上記気圧調節機器(131)を停止状態に保持する。収納庫(1)内の気圧が陽圧の場合は、収納庫(1)の気密性が低いほど、気圧調節機器(131)の停止後における気圧センサ(103,65,45)の計測値の低下速度が速くなる。また、収納庫(1)内の気圧が陰圧の場合は、収納庫(1)の気密性が低いほど、気圧調節機器(131)の停止後における気圧センサ(103,65,45)の計測値の上昇速度が速くなる。そこで、評価部(116)は、気圧センサ(103,65,45)の計測値を所定時間に亘って所定圧力範囲に保ったのちにおいて、気圧調節機器(131)の停止中における上記気圧センサ(103,65,45)の計測値の変化に基づいて上記収納庫(1)の気密性を評価する。
本開示の第2の態様は、気密性評価装置(130)を対象とし、収納庫(1)内の気圧を大気圧と異ならせるために上記収納庫(1)へ給気する気圧調節機器(131)と、上記収納庫(1)内の気圧を計測する気圧センサ(103,65,45)と、上記収納庫(1)の気密性を評価する評価動作を行うように構成された評価部(116)とを備え、上記評価部(116)は、上記評価動作として、上記気圧調節機器(131)を作動させて上記収納庫(1)を加圧し、上記収納庫(1)内の気圧を所定の基準圧力範囲に保つために上記気圧調節機器(131)が上記収納庫(1)へ供給する必要がある空気の流量が、所定の評価用流量以下かどうかを判断する動作を行うように構成されるものである。
第2の態様の気密性評価装置(130)において、評価部(116)は、その評価動作において、収納庫(1)内の気圧を所定の基準圧力範囲に保つために気圧調節機器(131)が収納庫(1)へ供給する必要がある空気の流量が、所定の評価用流量以下かどうかを判断する。
本開示の第3の態様は、上記第1又は第2の態様において、上記評価部(116)は、上記気圧センサ(103,65,45)の計測値に基づいて、上記収納庫(1)の気密性が基準レベルに達していることを示す評価条件の成否を判断する動作を、上記評価動作として行うように構成されるものである。
第3の態様において、評価動作中の評価部(116)は、評価条件が成立するか否かを、気圧調節機器(131)の作動中または停止後における気圧センサ(103,65,45)の計測値に基づいて判断する。そして、評価部(116)は、評価条件が成立すると収納庫(1)の気密性が基準レベルに達していると判断し、評価条件が成立しないと収納庫(1)の気密性が基準レベルに達していないと判断する。
本開示の第4の態様は、上記第3の態様において、上記評価部(116)は、上記基準レベルが互いに異なる複数の上記評価条件のうちの一つの成否を、上記評価動作において判断するように構成される一方、複数の上記評価条件うち上記評価動作において成否が判断される一つの上記評価条件を指定する情報を作業者が入力する入力部(113)を備えるものである。
第4の態様では、気密性評価装置(130)に入力部(113)が設けられる。作業者が入力部(113)へ入力した情報によって、基準レベルが互いに異なる複数の評価条件のうちの一つが指定される。評価部(116)は、評価動作において、作業者が入力部(113)へ入力した情報によって指定された評価条件の成否を判断する。
本開示の第5の態様は、庫内空気調節装置を対象とし、第1〜第4のいずれか一つの態様の気密性評価装置(130)と、上記収納庫(1)の外部から吸入した庫外空気を加圧して吐出する空気ポンプ(36)と、上記空気ポンプ(36)が吐出した上記庫外空気から該庫外空気とは組成が異なる供給用空気を分離し、該供給用空気を上記収納庫(1)の内部へ供給する分離部(41)とを備え、上記空気ポンプ(36)は、上記収納庫(1)の気圧を陽圧にするために上記収納庫(1)へ給気するように構成されて上記気密性評価装置(130)の気圧調節機器(131)を兼ねるものである。
第5の態様では、第1〜第4のいずれか一つの態様の気密性評価装置(130)が、庫内空気調節装置(30)に設けられる。庫内空気調節装置(30)は、庫外空気とは組成が異なる供給用空気を収納庫(1)の内部へ供給することによって、庫内空気の組成を調節する。この態様では、庫内空気調節装置(30)が庫内空気の組成を調節するために備える空気ポンプ(36)が、気密性評価装置(130)の気圧調節機器(131)を兼ねる。この態様の気密性評価装置(130)は、気圧調節機器(131)を兼ねる空気ポンプ(36)によって収納庫(1)へ給気し、収納庫(1)内の気圧を陽圧にする。
本開示の第6の態様は、庫内空気調節装置を対象とし、第1〜第4のいずれか一つの態様の気密性評価装置(130)と、収納庫(1)の庫内空気の組成を、大気の組成と異なる目標組成となるように調節する組成調節部(40,60)とを備え、上記気密性評価装置(130)の上記評価部(116)は、上記組成調節部(40,60)の動作によって上記収納庫(1)の庫内空気の組成を上記目標組成に到達させられないことを示す不具合条件が成立すると、上記評価動作を行うように構成されるものである。
第6の態様において、組成調節部(40,60)が正常に作動していなければ、収納庫(1)の庫内空気の組成が目標組成に到達しない。また、組成調節部(40,60)が正常に作動していても、収納庫(1)の気密性が低い場合は、収納庫(1)の外部から内部へ侵入する大気の流量が多くなり、収納庫(1)の庫内空気の組成が目標組成に到達しないおそれがある。
そこで、第6の態様では、不具合条件が成立した場合に、気密性評価装置(130)の評価部(116)が評価動作を行う。評価部(116)が評価動作を行うと、収納庫(1)の気密性が評価される。その結果、収納庫(1)の庫内空気の組成が目標組成に到達しない原因が、組成調節部(40,60)の故障なのか収納庫(1)の気密性なのかを判別することが可能となる。
本開示の第7の態様は、冷凍装置を対象とし、第1〜第4のいずれか一つの態様の気密性評価装置(130)と、収納庫(1)の庫内空気の温度が目標温度となるように、冷凍サイクルを行って上記庫内空気を冷媒によって冷却する冷媒回路(11)とを備え、上記気密性評価装置(130)の上記評価部(116)は、上記冷媒回路(11)の動作によって上記収納庫(1)の庫内空気の温度を目標温度に到達させられないことを示す不具合条件が成立すると、上記評価動作を行うように構成されるものである。
第7の態様では、冷媒回路(11)が正常に作動していなければ、収納庫(1)の庫内空気の温度が目標温度に到達しない。また、冷媒回路(11)が正常に作動していても、収納庫(1)の気密性が低い場合は、収納庫(1)の外部から内部へ侵入する大気の流量が多くなり、収納庫(1)の庫内空気の温度が目標温度に到達しないおそれがある。
そこで、第7の態様では、不具合条件が成立した場合に、気密性評価装置(130)の評価部(116)が評価動作を行う。評価部(116)が評価動作を行うと、収納庫(1)の気密性が評価される。その結果、収納庫(1)の庫内空気の組成が目標組成に到達しない原因が、冷媒回路(11)の故障なのか収納庫(1)の気密性なのかを判別することが可能となる。
上記第1の態様では、気圧調節機器(131)が収納庫(1)内の気圧を調節し、評価部(116)が気圧センサ(103,65,45)の計測値に基づいて収納庫(1)の気密性を評価する。また、上記第2の態様において、評価部(116)は、収納庫(1)内の気圧を所定の基準圧力範囲に保つために気圧調節機器(131)が収納庫(1)へ供給する必要がある空気の流量が、所定の評価用流量以下かどうかを判断する。このため、これらの態様によれば、収納庫(1)の気密性を自動的に評価することが可能となる。
第4の態様において、評価部(116)は、複数の評価条件のうち作業者によって指定された一つの評価条件を用いて、収納庫(1)の気密性を評価する評価動作を行う。従って、この態様によれば、評価動作において用いられる一つの評価条件を、複数の評価条件の中から作業者が選択することが可能となり、庫内空気調節装置(30)の使い勝手が向上する。
上記第5の態様では、庫内空気調節装置(30)に設けられた空気ポンプ(36)が、気密性評価装置(130)の気圧調節機器(131)を兼ねる。従って、この態様によれば、気密性評価装置(130)を備える庫内空気調節装置(30)の部品点数を削減できる。
上記第6の態様において、気密性評価装置(130)の評価部(116)は、収納庫(1)の庫内空気の組成が目標組成に到達しないことを示す不具合条件が成立すると、評価動作を行って収納庫(1)の気密性を評価する。そのため、この態様によれば、収納庫(1)の庫内空気の組成が目標組成に到達しない原因が、組成調節部(40,60)の故障なのか収納庫(1)の気密性なのかを判別することが可能となる。
上記第7の態様では、気密性評価装置(130)の評価部(116)は、収納庫(1)の庫内空気の温度が目標温度に到達しないことを示す不具合条件が成立すると、評価動作を行って収納庫(1)の気密性を評価する。そのため、この態様によれば、収納庫(1)の庫内空気の温度が目標温度に到達しない原因が、冷媒回路(11)の故障なのか収納庫(1)の気密性なのかを判別することが可能となる。
図1は、参考技術1の庫内空気調節装置を備えた輸送用コンテナの概略断面図である。
図2は、輸送用コンテナに設けられた冷凍機の冷媒回路の構成を示す冷媒回路図である。
図3は、参考技術1の庫内空気調節装置の構成を示す配管系統図である。
図4は、気密性評価装置の評価動作中の状態を示す参考技術1の庫内空気調節装置の配管系統図である。
図5は、参考技術1の制御器の構成を示すブロック図である。
図6は、参考技術1の気密性評価部が行う評価動作を示すフロー図である。
図7は、参考技術2の庫内空気調節装置の構成を示す配管系統図である。
図8は、参考技術2の気密性評価部が行う評価動作を示すフロー図である。
図9は、参考技術3の庫内空気調節装置の構成を示す配管系統図である。
図10は、参考技術3の気密性評価部が行う評価動作を示すフロー図である。
図11は、実施形態1の気密性評価部が行う評価動作を示すフロー図である。
図12は、実施形態2の庫内空気調節装置の構成を示す配管系統図である。
図13は、気密性評価装置の評価動作中の状態を示す実施形態2の庫内空気調節装置の配管系統図である。
図14は、実施形態3の庫内空気調節装置の構成を示す配管系統図である。
図15は、気密性評価装置の評価動作中の状態を示す実施形態3の庫内空気調節装置の配管系統図である。
図16は、実施形態4の庫内空気調節装置の構成を示す配管系統図である。
図17は、気密性評価装置の評価動作中の状態を示す実施形態4の庫内空気調節装置の配管系統図である。
図18は、実施形態5の気密性評価部が行う評価動作を示すフロー図である。
図19は、実施形態6の庫内空気調節装置の構成を示す配管系統図である。
図20は、実施形態6の第1組成調節部の第1動作中の状態を示す庫内空気調節装置の配管系統図である。
図21は、実施形態6の第1組成調節部の第2動作中の状態を示す庫内空気調節装置の配管系統図である。
図22は、実施形態6の第1組成調節部の外気導入動作中の状態を示す庫内空気調節装置の配管系統図である。
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態および変形例は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。また、以下で説明する実施形態および変形例は、気密性評価装置(130)、庫内空気調節装置(30)、及び冷凍機(10)の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
《参考技術1》
参考技術1について説明する。本参考技術の庫内空気調節装置(30)は、いわゆるCA(Controlled Atmosphere)輸送を行うために輸送用コンテナ(1)に設けられる。そして、庫内空気調節装置(30)は、輸送用コンテナ(1)内の空気の組成を、大気の組成と異なるように調節する。また、詳しくは後述するが、庫内空気調節装置(30)には、気密性評価装置(130)が組み込まれている。
図1に示すように、収納庫を構成する輸送用コンテナ(1)は、コンテナ本体(2)と、コンテナ用の冷凍機(10)とを備えている。この輸送用コンテナ(1)は、庫内の温度管理が可能なリーファーコンテナ(reefer container)である。本参考技術の庫内空気調節装置(30)は、冷凍機(10)に設置される。この輸送用コンテナ(1)は、空気中の酸素(O2)を取り込んで二酸化炭素(CO2)を放出する呼吸を行う植物を輸送するために用いられる。植物の例としては、バナナやアボカド等の果物、野菜、穀物、球根、生花等が挙げられる。
コンテナ本体(2)は、細長い直方体形状の箱状に形成されている。コンテナ本体(2)は、一方の端面が開口し、この開口端を塞ぐように冷凍機(10)が取り付けられる。コンテナ本体(2)の内部空間は、貨物(6)を収納するための荷室(5)を構成する。
荷室(5)の底部には、貨物(6)を載せるための床板(3)が配置される。この床板(3)とコンテナ本体(2)の底板との間には、冷凍機(10)が吹き出した空気を流すための床下流路(4)が形成される。床下流路(4)は、コンテナ本体(2)の底板に沿ってコンテナ本体(2)の長手方向へ延びる流路である。床下流路(4)は、一端が冷凍機(10)の吹出口(27)に接続し、他端が床板(3)の上側の空間(即ち、貨物(6)が収容される空間)と連通する。
−冷凍機の構成−
図1に示すように、冷凍機(10)は、ケーシング(20)と、冷凍サイクルを行う冷媒回路(11)と、庫外ファン(16)と、庫内ファン(17)とを備えた冷凍装置である。
ケーシング(20)は、庫外壁部(21)と、庫内壁部(22)と、背面板(24)と、区画板(25)とを備えている。後述するように、このケーシング(20)には、冷媒回路(11)と、庫外ファン(16)と、庫内ファン(17)とが設けられる。
庫外壁部(21)は、コンテナ本体(2)の開口端を覆うように配置される板状の部材である。庫外壁部(21)は、下部がコンテナ本体(2)の内側へ膨出している。庫内壁部(22)は、庫外壁部(21)に沿った形態の板状の部材である。庫内壁部(22)は、庫外壁部(21)におけるコンテナ本体(2)の内側の面を覆うように配置される。庫外壁部(21)と庫内壁部(22)の間の空間には、断熱材(23)が充填されている。
ケーシング(20)は、その下部がコンテナ本体(2)の内側へ窪んだ形状となっている。ケーシング(20)の下部は、輸送用コンテナ(1)の外部空間と連通する庫外機器室(28)を形成する。この庫外機器室(28)には、庫外ファン(16)が配置される。
背面板(24)は、概ね矩形の平板状の部材である。背面板(24)は、庫内壁部(22)よりもコンテナ本体(2)の内側に配置され、庫内壁部(22)との間に庫内空気流路(29)を形成する。この庫内空気流路(29)は、その上端がケーシング(20)の吸込口(26)を構成し、その下端がケーシング(20)の吹出口(27)を構成する。
区画板(25)は、庫内空気流路(29)を上下に区画するように配置された板状の部材である。区画板(25)は、庫内空気流路(29)の上部に配置される。この区画板(25)によって、庫内空気流路(29)は、区画板(25)の上側の一次流路(29a)と、区画板(25)の下側の二次流路(29b)に区画される。一次流路(29a)は、吸込口(26)を介して荷室(5)と連通する。二次流路(29b)は、吹出口(27)を介して床下流路(4)と連通する。区画板(25)には、庫内ファン(17)が取り付けられる。庫内ファン(17)は、一次流路(29a)から吸い込んだ空気を二次流路(29b)へ吹き出すように配置される。
図2に示すように、冷媒回路(11)は、圧縮機(12)と、凝縮器(13)と,膨張弁(14)と、蒸発器(15)とを配管で接続することによって形成された閉回路である。圧縮機(12)を作動させると、冷媒回路(11)を冷媒が循環し、蒸気圧縮冷凍サイクルが行われる。図1に示すように、凝縮器(13)は、庫外機器室(28)における庫外ファン(16)の吸込側に配置され、蒸発器(15)は、庫内空気流路(29)の二次流路(29b)に配置される。また、図1では図示を省略するが、圧縮機(12)は、庫外機器室(28)に配置される。
−冷凍機の運転動作−
冷凍機(10)は、輸送用コンテナ(1)の庫内空気を冷却する冷却運転を行う。
冷却運転では、冷媒回路(11)の圧縮機(12)が作動し、冷媒回路(11)において冷媒が循環することによって蒸気圧縮冷凍サイクルが行われる。冷媒回路(11)では、圧縮機(12)から吐出された冷媒が、凝縮器(13)と膨張弁(14)と蒸発器(15)とを順に通過し、その後に圧縮機(12)へ吸入されて圧縮される。
また、冷却運転では、庫外ファン(16)と庫内ファン(17)とが作動する。庫外ファン(16)が作動すると、輸送用コンテナ(1)の外部の庫外空気が庫外機器室(28)へ吸い込まれて凝縮器(13)を通過する。凝縮器(13)では、冷媒が庫外空気へ放熱して凝縮する。庫内ファン(17)が作動すると、輸送用コンテナ(1)の荷室(5)内の庫内空気が庫内空気流路(29)へ吸い込まれて蒸発器(15)を通過する。蒸発器(15)では、冷媒が庫外空気から吸熱して蒸発する。
庫内空気の流れについて説明する。荷室(5)に存在する庫内空気は、吸込口(26)を通って庫内空気流路(29)の一次流路(29a)へ流入し、庫内ファン(17)によって二次流路(29b)へ吹き出される。二次流路(29b)へ流入した庫内空気は、蒸発器(15)を通過する際に冷却され、その後に吹出口(27)から床下流路(4)へ吹き出され、床下流路(4)を通って荷室(5)へ流入する。
庫内空気流路(29)において、一次流路(29a)は庫内ファン(17)の吸い込み側に位置し、二次流路(29b)は庫内ファン(17)の吹き出し側に位置する。このため、庫内ファン(17)の作動中は、二次流路(29b)の気圧が一次流路(29a)の気圧よりも若干高くなる。
−庫内空気調節装置−
図1に示すように、庫内空気調節装置(30)は、本体ユニット(31)と、センサユニット(90)と、換気用排気管(100)と、制御器(110)とを備えている。本体ユニット(31)は、冷凍機(10)の庫外機器室(28)に設置される。センサユニット(90)は、輸送用コンテナ(1)の庫内空気流路(29)に設置される。換気用排気管(100)は、輸送用コンテナ(1)の庫内空気流路(29)と庫外機器室(28)に亘って設置される。制御器(110)は、本体ユニット(31)に設けられて、庫内空気調節装置(30)の構成機器を制御する。センサユニット(90)、換気用排気管(100)、及び制御器(110)の詳細は、後述する。
図3に示すように、庫内空気調節装置(30)の本体ユニット(31)は、第1組成調節部(40)と、第2組成調節部(60)と、ポンプユニット(35)と、ユニットケース(32)とを備えている。ユニットケース(32)は、箱状の密閉容器である。第1組成調節部(40)と、第2組成調節部(60)と、ポンプユニット(35)とは、このユニットケース(32)の内部空間に配置される。第1組成調節部(40)、第2組成調節部(60)、及びポンプユニット(35)の詳細は、後述する。
また、庫内空気調節装置(30)は、供給管(120)と、庫内側吸入管(75)と、測定用配管(125)とを備えている。供給管(120)、庫内側吸入管(75)、及び測定用配管(125)は、本体ユニット(31)を冷凍機(10)の庫内空気流路(29)に接続するための配管である。
供給管(120)は、第1組成調節部(40)及び第2組成調節部(60)から流出した空気を荷室(5)へ供給するための配管である。供給管(120)は、入口端が第1組成調節部(40)及び第2組成調節部(60)に接続され、出口端が庫内空気流路(29)の二次流路(29b)に開口する。
庫内側吸入管(75)は、荷室(5)内の庫内空気を第2組成調節部(60)へ供給するための配管である。庫内側吸入管(75)は、入口端が庫内空気流路(29)の二次流路(29b)に開口し、出口端が後述する第2組成調節部(60)の第2ポンプ(37)に接続される。なお、庫内空気流路(29)の二次流路(29b)において、庫内側吸入管(75)の入口端は、供給管(120)の出口端の上流側に配置される。
測定用配管(125)は、供給管(120)を流れる空気をセンサユニット(90)へ供給するための配管である。測定用配管(125)は、入口端が供給管(120)に接続され、出口端がセンサユニット(90)に接続される。また、測定用配管(125)には、電磁弁からなる測定用開閉弁(126)が設けられる。この測定用開閉弁(126)は、本体ユニット(31)のユニットケース(32)に収容される。
〈ポンプユニット〉
図3に示すように、ポンプユニット(35)は、第1ポンプ(36)と、第2ポンプ(37)と、駆動モータ(38)とを備えている。
第1ポンプ(36)と第2ポンプ(37)のそれぞれは、吸い込んだ空気を吐出する空気ポンプである。第1ポンプ(36)と第2ポンプ(37)のそれぞれは、例えば容積型の流体機械によって構成される。第1ポンプ(36)と第2ポンプ(37)は、一体化されている。駆動モータ(38)は、第1ポンプ(36)及び第2ポンプ(37)に連結された電動機である。駆動モータ(38)は、第1ポンプ(36)と第2ポンプ(37)の両方を駆動する。
〈第1組成調節部〉
第1組成調節部(40)は、輸送用コンテナ(1)の外部から吸い込んだ庫外空気(未処理庫外空気)を第1庫外空気と第2庫外空気に分離するように構成される。本参考技術の第1組成調節部(40)は、供給用空気である第1庫外空気を荷室(5)へ供給し、第2庫外空気を輸送用コンテナ(1)の外部へ排出する。
第1組成調節部(40)は、エアフィルタ(47)と、第1分離モジュール(41)と、第1バイパス弁(50)と、第1圧力センサ(45)と第1調節弁(46)とを備えている。また、第1組成調節部(40)は、庫外側吸入管(55)と、第1導入管(52)と、第1一次側管(53)と、第1二次側管(54)と、第1バイパス管(51)とを備えている。また、ポンプユニット(35)の第1ポンプ(36)は、この第1組成調節部(40)を構成する。
エアフィルタ(47)は、庫外空気に含まれる塵埃や塩分などを捕捉するためのメンブレンフィルタである。エアフィルタ(47)は、本体ユニット(31)のユニットケース(32)に取り付けられる。エアフィルタ(47)は、庫外側吸入管(55)を介して第1ポンプ(36)の吸入口に接続する。
第1分離モジュール(41)は、第1導入口(42)と、第1一次側導出口(43)と、第1二次側導出口(44)とを備える。第1導入口(42)は、第1導入管(52)を介して第1ポンプ(36)の吐出口に接続する。第1一次側導出口(43)は、第1一次側管(53)を介して供給管(120)に接続する。第1二次側導出口(44)には、第1二次側管(54)の一端が接続する。第1二次側管(54)は、ユニットケース(32)の外部へ延びている。第1二次側管(54)の他端は、庫外機器室(28)における庫外ファン(16)の吸込側に開口する。
第1バイパス弁(50)は、三つのポートを有する切換弁であって、第1バイパス弁機構を構成する。第1バイパス弁(50)は、第1のポートが第2のポートと連通して第3のポートから遮断される第1状態(図3に実線で示す状態)と、第1のポートが第3のポートと連通して第2のポートから遮断される第2状態(図3に破線で示す状態)とに切り換わるように構成される。
第1バイパス弁(50)は、第1導入管(52)の途中に配置される。第1バイパス弁(50)は、第1のポートが第1ポンプ(36)の吐出口に接続し、第2のポートが第1分離モジュール(41)の第1導入口(42)に接続する。第1バイパス弁(50)の第3のポートには、第1バイパス管(51)の入口端が接続する。第1バイパス管(51)の出口端は、第1一次側管(53)に接続する。第1バイパス管(51)は、第1バイパス通路を構成する。
第1圧力センサ(45)と第1調節弁(46)とは、第1一次側管(53)に設けられる。第1圧力センサ(45)と第1調節弁(46)とは、第1一次側管(53)に接続する第1バイパス管(51)の他端よりも第1分離モジュール(41)寄りに配置される。また、第1圧力センサ(45)は、第1調節弁(46)よりも第1分離モジュール(41)寄りに配置される。
第1圧力センサ(45)は、第1分離モジュール(41)の第1一次側導出口(43)から流出した第1庫外空気の圧力を計測する。第1圧力センサ(45)の計測値は、第1ポンプ(36)が第1分離モジュール(41)へ供給する未処理庫外空気の圧力と実質的に等しい。
第1調節弁(46)は、開度可変の電動弁であって、第1弁機構を構成する。第1調節弁(46)の開度を変更すると、第1ポンプ(36)が第1分離モジュール(41)へ供給する未処理庫外空気の圧力が変化する。
第1分離モジュール(41)は、第1分離部を構成する。詳しくは後述するが、第1分離モジュール(41)は、ガス分離膜を備えている。そして、第1分離モジュール(41)は、未処理庫外空気を、ガス分離膜を透過しなかった第1庫外空気と、ガス分離膜を透過した第2庫外空気に分離する。
第1庫外空気は、窒素濃度が未処理庫外空気よりも高く、酸素濃度が未処理庫外空気よりも低い。第2庫外空気は、窒素濃度が未処理庫外空気よりも低く、酸素濃度が未処理庫外空気よりも高い。このように、第1庫外空気と第2庫外空気は、それぞれを構成する物質の濃度が互いに異なる。なお、本明細書における濃度は、体積割合を意味する。
〈第2組成調節部〉
第2組成調節部(60)は、輸送用コンテナ(1)の内部空間から吸い込んだ庫内空気(未処理庫内空気)を第1庫内空気と第2庫内空気に分離するように構成される。本参考技術の第2組成調節部(60)は、第1庫内空気を荷室(5)へ供給し、排出用空気である第2庫内空気を輸送用コンテナ(1)の外部へ排出する。
第2組成調節部(60)は、第2分離モジュール(61)と、第2バイパス弁(70)と、第2圧力センサ(65)と第2調節弁(66)とを備えている。また、第2組成調節部(60)は、第2導入管(72)と、第2一次側管(73)と、第2二次側管(74)と、第2バイパス管(71)とを備えている。また、ポンプユニット(35)の第2ポンプ(37)は、この第2組成調節部(60)を構成する。
第2分離モジュール(61)は、第2導入口(62)と、第2一次側導出口(63)と、第2二次側導出口(64)とを備える。第2導入口(62)は、第2導入管(72)を介して第2ポンプ(37)の吐出口に接続する。第2一次側導出口(63)は、第2一次側管(73)を介して供給管(120)に接続する。第2二次側導出口(64)には、第2二次側管(74)の一端が接続する。第2二次側管(74)は、ユニットケース(32)の外部へ延びている。第2二次側管(74)の他端は、庫外機器室(28)における庫外ファン(16)の吸込側に開口する。また、第2ポンプ(37)の吸入口には、庫内側吸入管(75)が接続する。
第2バイパス弁(70)は、三つのポートを有する切換弁であって、第2バイパス弁機構を構成する。第2バイパス弁(70)は、第1のポートが第2のポートと連通して第3のポートから遮断される第1状態(図3に実線で示す状態)と、第1のポートが第3のポートと連通して第2のポートから遮断される第2状態(図3に破線で示す状態)とに切り換わるように構成される。
第2バイパス弁(70)は、第2導入管(72)の途中に配置される。第2バイパス弁(70)は、第1のポートが第2ポンプ(37)の吐出口に接続し、第2のポートが第2分離モジュール(61)の第2導入口(62)に接続する。第2バイパス弁(70)の第3のポートには、第2バイパス管(71)の入口端が接続する。第2バイパス管(71)の出口端は、第2一次側管(73)に接続する。第2バイパス管(71)は、第2バイパス通路を構成する。
第2圧力センサ(65)と第2調節弁(66)とは、第2一次側管(73)に設けられる。第2圧力センサ(65)と第2調節弁(66)とは、第2一次側管(73)に接続する第2バイパス管(71)の他端よりも第2分離モジュール(61)寄りに配置される。また、第2圧力センサ(65)は、第2調節弁(66)よりも第2分離モジュール(61)寄りに配置される。
第2圧力センサ(65)は、第2分離モジュール(61)の第2一次側導出口(63)から流出した第2庫外空気の圧力を計測する。第2圧力センサ(65)の計測値は、第2ポンプ(37)が第2分離モジュール(61)へ供給する未処理庫内空気の圧力と実質的に等しい。
第2調節弁(66)は、開度可変の電動弁であって、第2弁機構を構成する。第2調節弁(66)の開度を変更すると、第2ポンプ(37)が第2分離モジュール(61)へ供給する未処理庫内空気の圧力が変化する。
第2分離モジュール(61)は、第2分離部を構成する。詳しくは後述するが、第2分離モジュール(61)は、ガス分離膜を備えている。そして、第2分離モジュール(61)は、未処理庫内空気を、ガス分離膜を透過しなかった第1庫内空気と、ガス分離膜を透過した第2庫内空気に分離する。
第1庫内空気は、窒素濃度が未処理庫内空気よりも高く、酸素濃度および二酸化炭素濃度が未処理庫内空気よりも低い。第2庫内空気は、窒素濃度が未処理庫内空気よりも低く、酸素濃度および二酸化炭素濃度が未処理庫内空気よりも高い。このように、第1庫内空気と第2庫内空気は、それぞれを構成する物質の濃度が互いに異なる。
〈分離モジュール〉
第1分離モジュール(41)及び第2分離モジュール(61)の構造について説明する。第1分離モジュール(41)と第2分離モジュール(61)の構造は、互いに同じである。
各分離モジュール(41,61)は、両端が閉塞された細長い円筒状に形成される。各分離モジュール(41,61)は、一端部に導入口(42,62)が配置され、他端部に一次側導出口(43,63)が配置され、側部に二次側導出口(44,64)が配置される。
図示しないが、各分離モジュール(41,61)の内部には、多数の中空糸状のガス分離膜が収容される。各分離モジュール(41,61)において、導入口(42,62)は中空糸状のガス分離膜の入口端に連通し、一次側導出口(43,63)は中空糸状のガス分離膜の出口端に連通し、二次側導出口(44,64)は分離モジュール(41,61)の内部空間のうち中空糸状のガス分離膜の外側の部分に連通する。
ガス分離膜は、高分子からなる非多孔膜である。各分離モジュール(41,61)のガス分離膜は、窒素の透過率が酸素の透過率と二酸化炭素の透過率の両方よりも低いという特性を有している。このため、各分離モジュール(41,61)において、ガス分離膜を透過せずに一次側導出口(43,63)に至った空気は、導入口(42,62)から流入した空気に比べて、窒素濃度が高く、酸素濃度と二酸化炭素濃度が低い。また、各分離モジュール(41,61)において、ガス分離膜を透過して二次側導出口(44,64)に至った空気は、導入口(42,62)から流入した空気に比べて、窒素濃度が低く、酸素濃度と二酸化炭素濃度が高い。
〈センサユニット〉
図1及び図3に示すように、センサユニット(90)は、コンテナ用冷凍機(10)の庫内空気流路(29)の二次流路(29b)に配置される。図3に示すように、センサユニット(90)は、酸素センサ(91)と、二酸化炭素センサ(92)と、センサケース(93)とを備えている。
酸素センサ(91)は、空気等の混合気体の酸素濃度を計測するジルコニア電流方式のセンサである。二酸化炭素センサ(92)は、空気等の混合気体の二酸化炭素濃度を計測する非分散型赤外線吸収(NDIR:non dispersive infrared)方式のセンサである。酸素センサ(91)及び二酸化炭素センサ(92)は、センサケース(93)に収容される。
センサケース(93)は、やや細長い箱状の部材である。センサケース(93)は、長手方向の一方の端部に測定用配管(125)の出口端が接続され、他方の端部に出口管(95)の一端が接続される。出口管(95)の他端は、庫内空気流路(29)の一次流路(29a)に開口する。また、センサケース(93)には、庫内空気流路(29)を流れる庫内空気をセンサケース(93)の内部空間へ導入するためのエアフィルタ(94)が取り付けられる。エアフィルタ(94)は、庫内空気に含まれる塵埃などを捕捉するためのメンブレンフィルタである。
後述するように、庫内ファン(17)の作動中は、二次流路(29b)の気圧が一次流路(29a)の気圧よりも若干高くなる。このため、測定用開閉弁(126)が閉じた状態では、二次流路(29b)の庫内空気がエアフィルタ(94)を通ってセンサケース(93)へ流入し、その後に出口管(95)を通って一次流路(29a)へ流入する。この状態で、センサユニット(90)は、酸素センサ(91)が庫内空気の酸素濃度を計測し、二酸化炭素センサ(92)が庫内空気の二酸化炭素濃度を計測する。
〈換気用排気管〉
換気用排気管(100)は、輸送用コンテナ(1)の内部と外部を繋ぐための配管である。この換気用排気管(100)は、換気用排気通路を構成する。図1に示すように、換気用排気管(100)は、冷凍機(10)のケーシング(20)を貫通する。換気用排気管(100)の一端は、庫内空気流路(29)の二次流路(29b)に開口する。換気用排気管(100)の他端は、庫外機器室(28)における庫外ファン(16)の吸入側に開口する。
図3に示すように、換気用排気管(100)の一端には、エアフィルタ(102)が取り付けられる。エアフィルタ(102)は、庫内空気に含まれる塵埃などを捕捉するためのメンブレンフィルタである。また、換気用排気管(100)には、換気用排気弁(101)が設けられる。換気用排気弁(101)は、電磁弁からなる開閉弁である。
換気用排気管(100)には、第3圧力センサ(103)が設けられる。第3圧力センサ(103)は、エアフィルタ(102)と換気用排気弁(101)の間に配置され、換気用排気管(100)内の気圧を計測する。換気用排気管(100)内の気圧は、冷凍機(10)の二次流路(29b)の気圧と実質的に等しい。また、庫内ファン(17)の停止中において、二次流路(29b)の気圧は、荷室(5)内の気圧と実質的に等しい。このため、庫内ファン(17)の停止中には、第3圧力センサ(103)の計測値が荷室(5)内の気圧と実質的に一致する。
〈制御器〉
図3に示すように、制御器(110)は、制御動作を行うCPU(111)と、制御動作に必要なデータ等を記憶するメモリ(112)とを備える。制御器(110)には、酸素センサ(91)、二酸化炭素センサ(92)、第1圧力センサ(45)、及び第2圧力センサ(65)の計測値が入力される。制御器(110)は、ポンプユニット(35)、第1調節弁(46)、第2調節弁(66)、第1バイパス弁(50)、第2バイパス弁(70)、及び換気用排気弁(101)を操作するための制御動作を行う。
また、図5に示すように、制御器(110)は、庫内環境制御部(115)と、気密性評価部(116)とを備えている。庫内環境制御部(115)は、荷室(5)内の庫内空気の組成が目標組成となるように(具体的には、庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度がそれぞれの目標範囲となるように)、庫内空気調節装置(30)の構成機器を制御するように構成されている。気密性評価部(116)については、後述する。
−庫内空気調節装置の運転動作−
庫内空気調節装置(30)は、輸送用コンテナ(1)の荷室(5)内の庫内空気の組成(本参考技術では、庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度)を調節するための運転を行う。ここでは、本参考技術の庫内空気調節装置(30)の運転動作について、庫内空気の酸素濃度の目標範囲が5%±1%であり、庫内空気の二酸化炭素濃度の目標範囲が2%±1%である場合を例に説明する。
〈庫内空気調節装置の運転動作の概要〉
本参考技術の庫内空気調節装置(30)は、荷室(5)内の庫内空気の酸素濃度を低下させるための酸素濃度低減動作と、荷室(5)内の庫内空気の二酸化炭素濃度を低下させるための二酸化炭素濃度低減動作と、荷室(5)内の庫内空気の酸素濃度を上昇させるための酸素濃度増加動作とを行う。
輸送用コンテナ(1)への貨物(6)の積み込みが完了した時点において、荷室(5)内に存在する庫内空気の組成は、大気の組成(窒素濃度:78%、酸素濃度:21%、二酸化炭素濃度:0.04%)と実質的に同じである。そこで、庫内空気調節装置(30)は、庫内空気の酸素濃度を低下させるための酸素濃度低減動作を行う。庫内空気の酸素濃度が目標範囲の上限値(6%)に達すると、庫内空気調節装置(30)は、酸素濃度低減動作を停止する。
庫内空気の酸素濃度が6%に達して庫内空気調節装置(30)の酸素濃度停止動作が停止した後は、貨物(6)である植物が呼吸することによって、庫内空気の酸素濃度が次第に低下してゆくと同時に、庫内空気の二酸化炭素濃度が次第に上昇する。
庫内空気の二酸化炭素濃度が目標範囲の上限値(3%)に達すると、庫内空気調節装置(30)は、庫内空気の二酸化炭素濃度を低下させるための二酸化炭素濃度低減動作を行う。庫内空気の二酸化炭素濃度が目標範囲の下限値(1%)に達すると、庫内空気調節装置(30)は、二酸化炭素濃度低減動作を停止する。
また、庫内空気の酸素濃度が目標範囲の下限値(4%)に達すると、庫内空気調節装置(30)は、庫内空気の酸素濃度を上昇させるための酸素濃度増加動作を行う。庫内空気の酸素濃度が目標範囲の上限値(6%)に達すると、庫内空気調節装置(30)は、酸素濃度増加動作を停止する。
このように、庫内空気調節装置(30)は、荷室(5)内の庫内空気の酸素濃度を21%(大気の酸素濃度)から目標範囲にまで引き下げるために、酸素濃度低減動作を行う。また、庫内空気調節装置(30)は、荷室(5)内の庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度を、それぞれの目標範囲に維持するために、二酸化炭素低減動作と酸素濃度増加動作とを適宜繰り返して行う。
〈酸素濃度低減動作〉
庫内空気調節装置(30)の酸素濃度低減動作について説明する。この酸素濃度低減動作では、第1組成調節部(40)が酸素濃度の低い第1庫外空気を荷室(5)へ供給し、第2組成調節部(60)が酸素濃度の低い第1庫内空気を荷室(5)へ供給する。
酸素濃度低減動作において、制御器(110)の庫内環境制御部(115)は、第1バイパス弁(50)と第2バイパス弁(70)のそれぞれを第1状態(図3に実線で示す状態)に設定し、ポンプユニット(35)の駆動モータ(38)に通電して第1ポンプ(36)及び第2ポンプ(37)を作動させ、換気用排気弁(101)を開状態に設定する。
先ず、第1ポンプ(36)が作動すると、輸送用コンテナ(1)の外部に存在する庫外空気が、エアフィルタ(47)と庫外側吸入管(55)を通って第1ポンプ(36)に吸い込まれる。第1ポンプ(36)は、吸い込んだ庫外空気を加圧して吐出する。第1ポンプ(36)が吐出する庫外空気の圧力は、大気圧の2倍程度である。第1ポンプ(36)から吐出された庫外空気は、第1導入管(52)を流れ、第1分離モジュール(41)の第1導入口(42)へ未処理庫外空気として流入する。
第1分離モジュール(41)へ流入した未処理庫外空気は、ガス分離膜を透過しなかった第1庫外空気と、ガス分離膜を透過した第2庫外空気に分離される。酸素濃度の低い第1庫外空気は、第1一次側導出口(43)と第1一次側管(53)を順に通って供給管(120)へ流入する。一方、酸素濃度の高い第2庫外空気は、第1二次側導出口(44)と第1二次側管(54)を順に通って輸送用コンテナ(1)の外部へ排出される。
次に、第2ポンプ(37)が作動すると、輸送用コンテナ(1)の内部(具体的には、冷凍機(10)の二次流路(29b))に存在する庫内空気が、庫内側吸入管(75)を通って第2ポンプ(37)に吸い込まれる。第2ポンプ(37)は、吸い込んだ庫内空気を加圧して吐出する。第2ポンプ(37)が吐出する庫内空気の圧力は、大気圧よりも若干高い程度である。第2ポンプ(37)から吐出された庫内空気は、第2導入管(72)を流れ、第2分離モジュール(61)の第2導入口(62)へ未処理庫内空気として流入する。
第2分離モジュール(61)へ流入した未処理庫内空気は、ガス分離膜を透過しなかった第1庫内空気と、ガス分離膜を透過した第2庫内空気に分離される。酸素濃度の低い第1庫内空気は、第2一次側導出口(63)と第2一次側管(73)を順に通って供給管(120)へ流入する。一方、酸素濃度の高い第2庫内空気は、第2二次側導出口(64)と第2二次側管(74)を順に通って輸送用コンテナ(1)の外部へ排出される。
上述したように、供給管(120)には、第1分離モジュール(41)から流出した第1庫外空気と、第2分離モジュール(61)から流出した第1庫内空気とが流入する。そして、供給管(120)を流れる第1庫外空気と第1庫内空気の混合空気は、冷凍機(10)の二次流路(29b)へ流入し、二次流路(29b)を流れる空気と共に荷室(5)へ供給される。
通常、酸素濃度低減動作中は、輸送用コンテナ(1)の外部から内部へ供給される第1庫外空気の流量Qo1が、輸送用コンテナ(1)の内部から外部へ排出される第2庫内空気の流量Qi2よりも大きくなっており(Qo1>Qi2)、輸送用コンテナ(1)内の気圧が陽圧となる。輸送用コンテナ(1)内の気圧が陽圧であるため、庫内空気の一部は、換気用排気管(100)を通って輸送用コンテナ(1)の外部へ排出される。
このように、酸素濃度低減動作では、大気に比べて酸素濃度の低い第1庫外空気を供給すると同時に、換気用排気管(100)を通じて荷室(5)内の庫内空気を輸送用コンテナ(1)の外部へ排出し、荷室(5)の空気を第1庫外空気に入れ替えることによって、荷室(5)内の庫内空気の酸素濃度を低下させる。また、酸素濃度低減動作では、未処理庫内空気から分離された酸素濃度の高い第2庫内空気を輸送用コンテナ(1)の外部へ排出することによって、荷室(5)内の庫内空気の酸素濃度を低下させる。
〈二酸化炭素濃度低減動作〉
庫内空気調節装置(30)の二酸化炭素濃度低減動作について説明する。この二酸化炭素低減動作では、第1組成調節部(40)が酸素濃度の低い第1庫外空気を荷室(5)へ供給し、第2組成調節部(60)が二酸化炭素濃度の低い第1庫内空気を荷室(5)へ供給する。
二酸化炭素濃度低減動作において、制御器(110)の庫内環境制御部(115)は、第1バイパス弁(50)と第2バイパス弁(70)のそれぞれを第1状態(図3に実線で示す状態)に設定し、ポンプユニット(35)の駆動モータ(38)に通電して第1ポンプ(36)及び第2ポンプ(37)を作動させ、換気用排気弁(101)を開状態に設定し、測定用開閉弁(126)を閉状態に設定する。そして、第1組成調節部(40)と第2組成調節部(60)のそれぞれにおいて、空気は、酸素濃度低減動作と同様に流れる。ただし、二酸化炭素濃度低減動作において、第1ポンプ(36)が吐出する庫外空気の圧力と、第2ポンプ(37)が吐出する庫内空気の圧力は、いずれも大気圧よりも若干高い程度である。
第1組成調節部(40)では、第1分離モジュール(41)へ流入した未処理庫外空気が、未処理庫外空気よりも窒素濃度が高くて酸素濃度が低い第1庫外空気と、未処理庫外空気よりも窒素濃度が低くて酸素濃度が高い第2庫外空気とに分離される。そして、第1庫外空気が輸送用コンテナ(1)の内部へ供給され、第2庫外空気が輸送用コンテナ(1)の外部へ排出される。なお、未処理庫外空気の二酸化炭素濃度は、大気の二酸化炭素濃度(0.04%)と実質的に同じである。このため、第1庫外空気の二酸化炭素濃度は実質的にゼロと見なせる。
第2組成調節部(60)では、第2分離モジュール(61)へ流入した未処理庫内空気が、未処理庫内空気よりも窒素濃度が高くて酸素濃度および二酸化炭素濃度が低い第1庫内空気と、未処理庫内空気よりも窒素濃度が低くて酸素濃度および二酸化炭素濃度が高い第2庫内空気とに分離される。そして、第1庫内空気が輸送用コンテナ(1)の内部へ供給され、第2庫内空気が輸送用コンテナ(1)の外部へ排出される。
通常、二酸化炭素濃度低減動作中は、酸素濃度低減動作中と同様に、第1庫外空気の流量Qo1が第2庫内空気の流量Qi2よりも大きくなっており(Qo1>Qi2)、輸送用コンテナ(1)内の気圧が陽圧となる。輸送用コンテナ(1)内の気圧が陽圧であるため、荷室(5)内の庫内空気の一部は、換気用排気管(100)を通って輸送用コンテナ(1)の外部へ排出される。
このように、二酸化炭素濃度低減動作では、二酸化炭素濃度の極めて低い第1庫外空気を供給すると同時に、換気用排気管(100)を通じて庫内空気を輸送用コンテナ(1)の外部へ排出し、荷室(5)の空気を第1庫外空気に入れ替えることによって、荷室(5)内の庫内空気の二酸化炭素濃度を低下させる。また、二酸化炭素濃度低減動作では、未処理庫内空気から分離された二酸化炭素濃度の高い第2庫内空気を輸送用コンテナ(1)の外部へ排出することによって、荷室(5)内の庫内空気の二酸化炭素濃度を低下させる。
〈酸素濃度増加動作〉
庫内空気調節装置(30)の酸素濃度増加動作について説明する。この酸素濃度増加動作では、第1組成調節部(40)が輸送用コンテナ(1)の外部から吸い込んだ庫外空気をそのまま荷室(5)へ供給し、第2組成調節部(60)が輸送用コンテナ(1)の内部から吸い込んだ庫内空気をそのまま荷室(5)へ送り返す。
酸素濃度増加動作において、制御器(110)の庫内環境制御部(115)は、第1バイパス弁(50)と第2バイパス弁(70)のそれぞれを第2状態(図3に破線で示す状態)に設定し、ポンプユニット(35)の駆動モータ(38)に通電して第1ポンプ(36)及び第2ポンプ(37)を作動させ、換気用排気弁(101)を開状態に設定し、測定用開閉弁(126)を閉状態に設定する。
第1組成調節部(40)において、第1ポンプ(36)から吐出された庫外空気は、第1バイパス管(51)へ流入し、その窒素濃度と酸素濃度を保った状態で第1一次側管(53)へ流入し、その後に供給管(120)を通って輸送用コンテナ(1)の内部へ供給される。一方、第2組成調節部(60)において、第2ポンプ(37)へ吸い込まれた庫内空気は、第2ポンプ(37)から吐出された後に第2バイパス管(71)を通って第2一次側管(73)へ流入し、その後に供給管(120)を通って輸送用コンテナ(1)の内部へ戻る。また、荷室(5)内の庫内空気の一部は、換気用排気管(100)を通って輸送用コンテナ(1)の外部へ排出される。
このように、酸素濃度増加動作では、庫内空気よりも酸素濃度の高い庫外空気を輸送用コンテナ(1)の内部へ供給することによって、荷室(5)内の酸素濃度を上昇させる。
−気密性評価装置−
上述したように、気密性評価装置(130)は、庫内空気調節装置(30)に組み込まれている。本参考技術では、第1組成調節部(40)と、第3圧力センサ(103)と、制御器(110)とが、気密性評価装置(130)を構成する。
第1組成調節部(40)の第1ポンプ(36)は、輸送用コンテナ(1)内の気圧を陽圧とするために輸送用コンテナ(1)の内部へ給気する気圧調節機器(131)を構成する。つまり、本参考技術では、第1組成調節部(40)の第1ポンプ(36)が気密性評価装置(130)の気圧調節機器(131)を兼ねる。
上述したように、庫内ファン(17)の停止中には、第3圧力センサ(103)の計測値が荷室(5)内の気圧と実質的に一致する。そして、この第3圧力センサ(103)は、荷室(5)内の気圧を計測する気圧センサを構成する。
気密性評価部(116)は、輸送用コンテナ(1)の気密性を評価する評価動作を行うように構成される。この評価動作において、気密性評価部(116)は、“輸送用コンテナ(1)の気密性がCA輸送を実行するために必要な基準レベルに達していることを示す評価条件”の成否を判断する。気密性評価部(116)の評価動作の詳細な内容は、後述する。
気密性評価部(116)は、冷凍機(10)及び庫内空気調節装置(30)が使用前検査(いわゆるPTI/Pre-trip Inspection)運転を行う際に、評価動作を実行する。使用前検査運転は、冷凍機(10)及び庫内空気調節装置(30)が正常に作動するかどうかを検査するための運転である。
ここで、通常、コンテナ船には、複数の輸送用コンテナ(1)が上下に積み重なった状態で積み込まれる。下段に配置された輸送用コンテナ(1)は、その上に載った輸送用コンテナ(1)の重量によって変形する場合がある。このため、使用前検査運転中に気密性評価部(116)が行う評価動作において輸送用コンテナ(1)の気密性が充足されていると判断された場合でも、輸送用コンテナ(1)の使用中に輸送用コンテナ(1)の気密性が不足することがあり得る。
輸送用コンテナ(1)の気密性が不足した状態では、輸送用コンテナ(1)の隙間を通って庫外空気(大気)が輸送用コンテナ(1)の内部へ侵入するおそれがある。そして、輸送用コンテナ(1)の内部へ庫外空気が侵入すると、庫内空気調節装置(30)が正常に作動していても、庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度をそれぞれの目標濃度範囲に保てなくなる場合がある。また、輸送用コンテナ(1)の内部へ庫外空気が侵入すると、冷凍機(10)が正常に作動していても、庫内空気の温度を目標温度範囲に保てなくなる場合がある。
そこで、気密性評価部(116)は、冷凍機(10)及び庫内空気調節装置(30)の使用前検査運転の実行中だけで無く、輸送用コンテナ(1)の使用中に第1の不具合条件または第2の不具合条件が成立した場合も、評価動作を行う。
第1の不具合条件は、庫内空気調節装置(30)の運転によって荷室(5)内の庫内空気の組成を目標組成に到達させられないことを示す条件である。第1不具合条件としては、例えば“庫内空気調節装置(30)の運転中に、庫内空気の酸素濃度が目標濃度+1%以上となる状態の継続時間が1時間以上になる”という条件を用いることができる。また、第1不具合条件としては、“庫内空気の酸素濃度が目標濃度+1%に達した時点から24時間が経過しても、庫内空気の酸素濃度が目標濃度にまで低下しない”という条件を用いてもよい。
第2の不具合条件は、冷凍機(10)の運転によって荷室(5)内の気温を目標温度に到達させられないことを示す条件である。第2不具合条件としては、例えば“庫内空気調節装置(30)の運転中に、庫内空気の温度が−15℃に達した時点から24時間が経過しても、庫内空気の温度が−20℃にまで低下しない”という条件を用いることができる。
−気密性評価部の評価動作−
気密性評価部(116)の評価動作は、上述した評価条件が成立するか否かを判断する動作である。本参考技術の気密性評価部(116)は、評価動作において、“ポンプユニット(35)の停止中に輸送用コンテナ(1)内の気圧が第1基準圧力PHから第2基準圧力PLにまで低下するのに要する時間が評価用時間TR以上である”という評価条件の成否を判断する。
ここでは、気密性評価部(116)の評価動作について、図6のフロー図を参照しながら説明する。また、この説明では、図4を適宜参照する。
気密性評価部(116)は、評価動作を開始すると、先ず、ステップST11において、庫内空気調節装置(30)に設けられた弁の操作を行う。具体的に、気密性評価部(116)は、第1バイパス弁(50)と第2バイパス弁(70)のそれぞれを第2状態に設定し、第1調節弁(46)、第2調節弁(66)、換気用排気弁(101)、及び測定用開閉弁(126)を閉状態に設定する(図4を参照)。
次のステップST12において、気密性評価部(116)は、ポンプユニット(35)の駆動モータ(38)に通電して第1ポンプ(36)を作動させる。第1ポンプ(36)は、エアフィルタ(47)を通じて吸い込んだ庫外空気を加圧してから吐出する。第1ポンプ(36)から吐出された庫外空気は、第1バイパス弁(50)と第1バイパス管(51)と供給管(120)とを順に通って輸送用コンテナ(1)の内部へ供給される。
なお、本参考技術では、駆動モータ(38)に通電すると、第1ポンプ(36)だけでなく第2ポンプ(37)も作動する。このため、庫内空気が庫内側吸入管(75)を通って第2ポンプ(37)へ吸い込まれる。第2ポンプ(37)から吐出された庫内空気は、第2バイパス弁(70)と第2バイパス管(71)と供給管(120)とを順に通って輸送用コンテナ(1)の内部へ送り返される。
次のステップST13において、気密性評価部(116)は、第3圧力センサ(103)の計測値を読み込み、読み込んだ計測値を輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値Pとしてメモリ(112)に記憶させる。次のステップST14において、気密性評価部(116)は、ステップST13においてメモリ(112)に記憶させた計測値Pを、メモリ(112)が予め記憶する第1基準圧力PHと比較する。第1基準圧力PHの値は、例えば490Pa(ゲージ圧)である。
ステップST14において、輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値Pが第1基準圧力PHに達していない場合(P<PH)、気密性評価部(116)は、ステップST13へ戻って第3圧力センサ(103)の計測値Pを再び読み込む。一方、ステップST14において、輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値Pが第1基準圧力PHに達している場合(P≧PH)、気密性評価部(116)は、ステップST15へ移行してポンプユニット(35)を停止させる。
次のステップST16において、気密性評価部(116)は、ポンプユニット(35)が停止してからの経過時間Tの計測を開始する。この時点において、輸送用コンテナ(1)内の気圧は陽圧となっている。このため、輸送用コンテナ(1)の隙間を通って輸送用コンテナ(1)の内部から外部へ空気が流出し、輸送用コンテナ(1)内の気圧が次第に低下してゆく。
次のステップST17において、気密性評価部(116)は、第3圧力センサ(103)の計測値を読み込み、読み込んだ計測値を輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値Pとしてメモリ(112)に記憶させる。次のステップST18において、気密性評価部(116)は、ステップST17においてメモリ(112)に記憶させた計測値Pを、メモリ(112)が予め記憶する第2基準圧力PLと比較する。第2基準圧力PLの値は、例えば245Pa(ゲージ圧)である。
ステップST18において、輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値Pが第2基準圧力PLに達していない場合(P>PL)、気密性評価部(116)は、ステップST17へ戻って第3圧力センサ(103)の計測値Pを再び読み込む。一方、ステップST18において、輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値Pが第2基準圧力PLに達している場合(P≦PL)、気密性評価部(116)は、ステップST19へ移行して経過時間の計測を終了し、計測した経過時間Tをメモリ(112)に記憶させる。
次のステップST20において、気密性評価部(116)は、計測した経過時間Tを、メモリ(112)が予め記憶する評価用時間TRと比較する。評価用時間TRの値は、例えば105秒である。
計測した経過時間Tが評価用時間TR以上である場合(T≧TR)、気密性評価部(116)は、ステップST21へ移行し、輸送用コンテナ(1)の気密性が充足されている(即ち、輸送用コンテナ(1)の気密性が基準レベルに達している)旨の情報をメモリ(112)に記録する。一方、計測した経過時間Tが評価用時間TR未満である場合(T<TR)、気密性評価部(116)は、ステップST22へ移行し、輸送用コンテナ(1)の気密性が不足している(即ち、輸送用コンテナ(1)の気密性が基準レベルに達していない)旨の情報をメモリ(112)に記録する。
−参考技術1の効果−
本参考技術の気密性評価装置(130)を構成する気密性評価部(116)は、第1ポンプ(36)が輸送用コンテナ(1)の内部へ庫外空気を供給することによって輸送用コンテナ(1)内の気圧を陽圧とした状態で、第3圧力センサ(103)が計測した輸送用コンテナ(1)内の気圧に基づいて、輸送用コンテナ(1)の気密性を評価する。このため、本参考技術によれば、輸送用コンテナ(1)の気密性を自動的に評価することが可能となる。
また、本参考技術では、庫内空気調節装置(30)に設けられた第1ポンプ(36)が、気密性評価装置(130)の気圧調節機器(131)を兼ねる。従って、本参考技術によれば、気密性評価装置(130)を備える庫内空気調節装置(30)の部品点数を削減できる。
また、本参考技術の気密性評価装置(130)を構成する気密性評価部(116)は、輸送用コンテナ(1)の庫内空気の組成が目標組成に到達しないことを示す第1の不具合条件が成立すると、評価動作を行って輸送用コンテナ(1)の気密性を評価する。そのため、本参考技術によれば、輸送用コンテナ(1)の庫内空気の組成が目標組成に到達しない原因が、庫内空気調節装置(30)の故障なのか収納庫(1)の気密性なのかを判別することが可能となる。
また、本参考技術の気密性評価装置(130)を構成する気密性評価部(116)は、輸送用コンテナ(1)の庫内空気の温度が目標温度に到達しないことを示す第2の不具合条件が成立すると、評価動作を行って輸送用コンテナ(1)の気密性を評価する。そのため、本参考技術によれば、輸送用コンテナ(1)の庫内空気の温度が目標温度に到達しない原因が、冷凍機(10)の故障なのか収納庫(1)の気密性なのかを判別することが可能となる。
−参考技術1の変形例−
本参考技術の気密性評価装置(130)の気密性評価部(116)は、その評価動作において、所定の時間内における輸送用コンテナ(1)内の気圧の変化量を評価用圧力変化量と比較することによって、輸送用コンテナ(1)の気密性を評価するように構成されていてもよい。本変形例の気密性評価部(116)は、評価動作において、“ポンプユニット(35)が停止中の所定時間内における輸送用コンテナ(1)内の気圧の低下量が評価用圧力変化量ΔP以下である”という評価条件の成否を判断する。
具体的に、本変形例の気密性評価部(116)は、その評価動作において、図6のステップST11からステップST15までの動作を行う。次に、気密性評価部(116)は、ポンプユニット(35)を停止させた時点から所定時間(例えば120秒)が経過した時点の輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値PMをメモリ(112)に記憶させる。次に、気密性評価部(116)は、第1基準圧力PHとメモリ(112)が記憶する計測値PMの差(PH−PM)を算出する。(PH−PM)の値は、ポンプユニット(35)を停止させた時点から所定時間内における輸送用コンテナ(1)内の気圧の変化量である。
本変形例の気密性評価部(116)は、(PH−PM)の値に基づいて、輸送用コンテナ(1)の気密性を評価する。(PH−PM)の値が所定の評価用圧力変化量ΔP以下の場合(PH−PM≦ΔP)、気密性評価部(116)は、輸送用コンテナ(1)の気密性が充足されている(即ち、輸送用コンテナ(1)の気密性が基準レベルに達している)旨の情報をメモリ(112)に記録する。一方、(PH−PM)の値が所定の評価用圧力変化量ΔPを上回る場合(PH−PM>ΔP)、気密性評価部(116)は、輸送用コンテナ(1)の気密性が不足している(即ち、輸送用コンテナ(1)の気密性が基準レベルに達していない)旨の情報をメモリ(112)に記録する。
《参考技術2》
参考技術2について説明する。本参考技術の庫内空気調節装置(30)に組み込まれた気密性評価装置(130)は、収納庫(1)の気密性の基準レベルが互いに異なる複数(本参考技術では三つ)の評価条件の中から、気密性評価部(116)の評価動作において用いられる一つの評価条件を、作業者が選択できるように構成される。ここでは、本参考技術の庫内空気調節装置(30)について、参考技術1の庫内空気調節装置(30)と異なる点を説明する。
図7に示すように、本参考技術の庫内空気調節装置(30)では、制御器(110)に対して、冷凍機(10)の操作盤(113)が電気配線を介して接続される。図示しないが、冷凍機(10)の操作盤(113)には、表示部とキーパッド、あるいは液晶タッチパネルが設けられる。操作盤(113)は、冷凍機(10)の運転に関する指令値(例えば、荷室(5)の気温の設定値)などを作業者が入力するために、冷凍機(10)に設けられる。
気密性評価装置(130)には、入力部が設けられる。本参考技術では、冷凍機(10)の操作盤(113)が、気密性評価装置(130)の入力部を兼ねる。作業者は、操作盤(113)を操作することによって、気密性評価部(116)の評価動作において用いられる評価条件を指定する情報を入力する。
本参考技術の庫内空気調節装置(30)において、制御器(110)のメモリ(112)には、三つの評価条件のそれぞれに対応する評価用時間が予め記録される。メモリ(112)は、例えば、評価条件Aに対応する第1評価用時間TR1として120秒を記憶し(TR1=120秒)、評価条件Bに対応する第2評価用時間TR2として105秒を記憶し(TR2=105秒)、評価条件Cに対応する第3評価用時間TR3として90秒を記憶する(TR3=90秒)。本参考技術において、三つの評価条件A〜Cの基準レベル(収納庫(1)の気密性のレベル)は、評価条件Aが最も高く、評価条件A,評価条件B,評価条件Cの順に低くなる。
−気密性評価部の評価動作−
ここでは、本参考技術の気密性評価部(116)の評価動作について、参考技術1の気密性評価部(116)の評価動作と異なる点を説明する。また、ここでは、本参考技術の気密性評価部(116)の評価動作について、図8のフロー図を参照しながら説明する。図8のフロー図は、図6のフロー図にステップST10を追加したものである。
気密性評価部(116)は、評価動作を開始すると、先ず、ステップST10において、作業者が評価条件A〜Cのうちの一つを選択するまで待機する。
作業者が操作盤(113)を操作して評価条件A〜Cのうちの一つを選択する情報を入力すると、気密性評価部(116)は、評価用時間TRを、選択された評価条件に対応する値に設定する。評価条件Aが選択された場合、気密性評価部(116)は、評価用時間TRを第1評価用時間TR1とする(TR=TR1)。評価条件Bが選択された場合、気密性評価部(116)は、評価用時間TRを第2評価用時間TR2とする(TR=TR2)。評価条件Cが選択された場合、気密性評価部(116)は、評価用時間TRを第3評価用時間TR3とする(TR=TR3)。
そして、本参考技術の気密性評価部(116)は、参考技術1の気密性評価部(116)と同様に、ステップST11からステップST22までの動作を評価動作として行い、輸送用コンテナ(1)の気密性を自動的に評価する。
−参考技術2の効果−
本参考技術の庫内空気調節装置(30)において、気密性評価部(116)は、複数の評価条件のうち作業者によって指定された一つの評価条件を用いて、収納庫(1)の気密性を評価する評価動作を行う。従って、本参考技術によれば、評価動作において用いられる一つの評価条件を、複数の評価条件の中から作業者が選択することが可能となり、庫内空気調節装置(30)の使い勝手が向上する。
《参考技術3》
参考技術3について説明する。本参考技術の庫内空気調節装置(30)に組み込まれた気密性評価装置(130)は、参考技術2の気密性評価装置(130)において、制御器(110)の気密性評価部(116)が評価動作において成否を判断する評価条件を変更したものである。また、本参考技術の庫内空気調節装置(30)では、第1組成調節部(40)の構成が、参考技術2の庫内空気調節装置(30)と異なる。ここでは、本参考技術の庫内空気調節装置(30)について、参考技術2の庫内空気調節装置(30)と異なる点を説明する。
−庫内空気調節装置の第1組成調節部−
本参考技術の第1組成調節部(40)について、参考技術2の第1組成調節部(40)と異なる点を説明する。
図9に示すように、本参考技術の第1組成調節部(40)では、第1一次側管(53)に逆止弁(48)が設けられる。この逆止弁(48)は、第1一次側管(53)における第1分離モジュール(41)と第1圧力センサ(45)の間に配置される。この逆止弁(48)は、第1分離モジュール(41)の第1一次側導出口(43)から流出する方向の空気の流通を許容し、逆方向の空気の流通を阻止する。
また、本参考技術の庫内空気調節装置(30)において、第1バイパス管(51)の出口端は、第1一次側管(53)における逆止弁(48)と第1圧力センサ(45)の間に接続される。
−制御器−
本参考技術の制御器(110)は、気密性評価部(116)が評価動作において成否を判断する評価条件が、参考技術2の制御器(110)と異なる。本参考技術の気密性評価部(116)は、評価動作において、“ポンプユニット(35)が輸送用コンテナ(1)の内部へ供給する空気の流量(給気流量)を所定の基準値に設定した状態で、荷室(5)の加圧の開始から所定の基準時間T0が経過するまでの間に、輸送用コンテナ(1)内の気圧が所定の評価用圧力PRに達する” という評価条件の成否を判断する。
また、本参考技術の制御器(110)は、参考技術2の制御器(110)と同様に、収納庫(1)の気密性の基準レベルが互いに異なる複数(本参考技術では三つ)の評価条件の中から、気密性評価部(116)の評価動作において用いられる一つの評価条件を、作業者が選択できるように構成される。
評価条件Aは、“給気流量を毎分10リットルに設定した状態で、荷室(5)の加圧の開始から5分間が経過した時点における輸送用コンテナ(1)内の気圧が490Pa(ゲージ圧)以上である”という条件である。評価条件Bは、“給気流量を毎分20リットルに設定した状態で、荷室(5)の加圧の開始から5分間が経過した時点における輸送用コンテナ(1)内の気圧が150Pa(ゲージ圧)以上である”という条件である。評価条件Cは、“給気流量を毎分25リットルに設定した状態で、荷室(5)の加圧の開始から5分間が経過した時点における輸送用コンテナ(1)内の気圧が150Pa(ゲージ圧)以上である”という条件である。これら三つの評価条件A〜Cの基準レベル(収納庫(1)の気密性のレベル)は、評価条件Aが最も高く、評価条件A,評価条件B,評価条件Cの順に低くなる。
制御器(110)のメモリ(112)には、三つの評価条件のそれぞれに対応する評価用圧力および制御用圧力が予め記録される。具体的に、メモリ(112)は、評価条件Aに対応する第1評価用圧力PR1および第1制御用圧力PC1と、評価条件Bに対応する第2評価用圧力PR2および第2制御用圧力PC2と、評価条件Cに対応する第3評価用圧力PR3および第3制御用圧力PC3とを記憶する。
ここで、ポンプユニット(35)の第1ポンプ(36)は、“吐出する空気の圧力(吐出圧力)が高くなるほど、吐出する空気の体積流量(吐出流量)が少なくなる”という特性を有している。つまり、第1ポンプ(36)は、吐出圧力と吐出流量が互いに相関する。そこで、メモリ(112)には、評価条件Aに対応する第1制御用圧力PC1として“第1ポンプ(36)の吐出流量が毎分10リットルであるときの吐出圧力”が記録される。また、メモリ(112)には、評価条件Bに対応する第2制御用圧力PC2として“第1ポンプ(36)の吐出流量が毎分20リットルであるときの吐出圧力”が記録される。また、メモリ(112)には、評価条件Cに対応する第3制御用圧力PC3として“第1ポンプ(36)の吐出流量が毎分25リットルであるときの吐出圧力”が記録される。
−気密性評価部の評価動作−
本参考技術の気密性評価部(116)が行う評価動作について、図10のフロー図を参照しながら説明する。
気密性評価部(116)は、評価動作を開始すると、先ず、ステップST30において、作業者が評価条件A〜Cのうちの一つを選択するまで待機する。
作業者が操作盤(113)を操作して評価条件A〜Cのうちの一つを選択する情報を入力すると、気密性評価部(116)は、評価用圧力PRと制御用圧力PCのそれぞれを、選択された評価条件に対応する値に設定する。評価条件Aが選択された場合、気密性評価部(116)は、評価用圧力PRを第1評価用圧力PR1とし(PR=PR1)、制御用圧力PCを第1制御用圧力PC1とする(PC=PC1)。評価条件Bが選択された場合、気密性評価部(116)は、評価用圧力PRを第2評価用圧力PR2とし(PR=PR2)、制御用圧力PCを第2制御用圧力PC2とする(PC=PC2)。評価条件Cが選択された場合、気密性評価部(116)は、評価用圧力PRを第3評価用圧力PR3とし(PR=PR3)、制御用圧力PCを第3制御用圧力PC3とする(PC=PC3)。
次のステップST31において、気密性評価部(116)は、庫内空気調節装置(30)に設けられた弁の操作を行う。具体的に、気密性評価部(116)は、第1バイパス弁(50)と第2バイパス弁(70)のそれぞれを第2状態(図9に破線で示す状態)に設定し、第1調節弁(46)の開度を所定の初期開度に設定し、換気用排気弁(101)を開状態に設定し、第2調節弁(66)及び測定用開閉弁(126)を閉状態に設定する。
次のステップST32において、気密性評価部(116)は、ポンプユニット(35)の駆動モータ(38)に通電して第1ポンプ(36)を作動させる。第1ポンプ(36)は、エアフィルタ(47)を通じて吸い込んだ庫外空気を加圧してから吐出する。第1ポンプ(36)から吐出された庫外空気は、第1バイパス弁(50)と第1バイパス管(51)と供給管(120)とを順に通って輸送用コンテナ(1)の内部へ供給される。
ただし、この時点では換気用排気弁(101)が開いている。そのため、第1ポンプ(36)から吐出された庫外空気が輸送用コンテナ(1)の内部へ供給されても、輸送用コンテナ(1)内の気圧は大気圧と実質的に同じに保たれる。つまり、この時点では、荷室(5)の加圧は、まだ開始されない。
なお、本参考技術の庫内空気調節装置(30)では、参考技術1と同様に、庫内空気が第2ポンプ(37)へ吸い込まれ、第2ポンプ(37)から吐出された庫内空気が輸送用コンテナ(1)の内部へ送り返される。
次のステップST33において、気密性評価部(116)は、第1ポンプ(36)から吐出されて輸送用コンテナ(1)の内部へ供給される庫外空気の流量(即ち、給気流量)が、作業者によって選択された評価条件に対応した値となるように、第1調節弁(46)の開度を調節する。
具体的に、気密性評価部(116)は、第1圧力センサ(45)の計測値が、ステップST30において設定された制御用圧力PCとなるように、第1調節弁(46)の開度を調節する。気密性評価部(116)は、第1圧力センサ(45)の計測値が制御用圧力PCを上回る場合は第1調節弁(46)の開度を拡大し、第1圧力センサ(45)の計測値が制御用圧力PCを下回っている場合は第1調節弁(46)の開度を縮小する。
第1圧力センサ(45)の計測値が実質的に制御用圧力PCに保たれた状態になると、気密性評価部(116)は、第1調節弁(46)の開度を固定し、その後にステップST34へ移行する。
ステップST34において、気密性評価部(116)は、換気用排気弁(101)を閉じる。換気用排気弁(101)が閉じると、輸送用コンテナ(1)内の気圧が次第に上昇してゆく。つまり、換気用排気弁(101)が閉じた時点で荷室(5)の加圧が始まる。また、気密性評価部(116)は、換気用排気弁(101)を閉じた時点(即ち、荷室(5)の加圧を開始した時点)からの経過時間Tの計測を開始する。
次のステップST35において、気密性評価部(116)は、第3圧力センサ(103)の計測値を読み込み、読み込んだ計測値を輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値Pとしてメモリ(112)に記憶させる。次のステップST36において、気密性評価部(116)は、ステップST35においてメモリ(112)に記憶させた計測値Pを、ステップST30において設定した評価用圧力PRと比較する。
ステップST36において、輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値Pが評価用圧力PRに達している場合(P≧PR)は、荷室(5)の加圧を開始した時点から基準時間T0(本参考技術ではT0=5分)が経過する前に、輸送用コンテナ(1)内の気圧が評価用圧力PRに達していることになる。そこで、この場合、気密性評価部(116)は、ステップST37へ移行し、輸送用コンテナ(1)の気密性が充足されている(即ち、輸送用コンテナ(1)の気密性が基準レベルに達している)旨の情報をメモリ(112)に記録する。
一方、ステップST36において、輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値Pが評価用圧力PRに達していない場合(P<PR)、気密性評価部(116)は、ステップST38へ移行し、荷室(5)の加圧を開始した時点からの経過時間Tを、基準時間T0と比較する。
経過時間Tが基準時間T0に達していない場合、気密性評価部(116)は、ステップST35へ戻り、ステップST35とステップST36の動作を順に行う。一方、経過時間Tが基準時間T0に達している場合、荷室(5)の加圧を開始した時点から基準時間T0が経過しても、計測値Pが評価用圧力PRに達していないことになる。そこで、この場合、気密性評価部(116)は、ステップST39へ移行し、輸送用コンテナ(1)の気密性が不足している(即ち、輸送用コンテナ(1)の気密性が基準レベルに達していない)旨の情報をメモリ(112)に記録する。
《実施形態1》
実施形態1について説明する。本実施形態の庫内空気調節装置(30)に組み込まれた気密性評価装置(130)は、参考技術3の気密性評価装置(130)において、制御器(110)の気密性評価部(116)が評価動作において成否を判断する評価条件を変更したものである。ここでは、本実施形態の庫内空気調節装置(30)について、参考技術3の庫内空気調節装置(30)と異なる点を説明する。
−制御器−
本実施形態の制御器(110)は、気密性評価部(116)が評価動作において成否を判断する評価条件が、参考技術3の制御器(110)と異なる。本実施形態の気密性評価部(116)は、評価動作において、“輸送用コンテナ(1)内の気圧を所定の基準圧力範囲に保つために必要な、輸送用コンテナ(1)の内部へ供給される空気の流量(給気流量)が、所定の評価用流量QR以下である”という評価条件の成否を判断する。
また、本実施形態の制御器(110)は、参考技術3の制御器(110)と同様に、収納庫(1)の気密性の基準レベルが互いに異なる複数(本実施形態では三つ)の評価条件の中から、気密性評価部(116)の評価動作において用いられる一つの評価条件を、作業者が選択できるように構成される。
評価条件Aは、“輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値Pを所定の基準圧力範囲(PR1≦P≦PR1+α、PR1:第1評価用圧力)に保つために必要な給気流量が、第1評価用流量QR1以下である”という条件である。評価条件Bは、“輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値Pを基準圧力範囲(PR2≦P≦PR2+α、PR2:第2評価用圧力)に保つために必要な給気流量が、第2評価用流量QR2以下である”という条件である。評価条件Cは、“輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値Pを基準圧力範囲(PR3≦P≦PR3+α、PR3:第3評価用圧力)に保つために必要な給気流量が、第3評価用流量QR3以下である”という条件である。なお、本実施形態において、「α」の値は、例えば10パスカル(Pa)に設定される。これら三つの評価条件A〜Cの基準レベル(収納庫(1)の気密性のレベル)は、評価条件Aが最も高く、評価条件A,評価条件B,評価条件Cの順に低くなる。
制御器(110)のメモリ(112)には、三つの評価条件のそれぞれに対応する評価用圧力および評価用流量が予め記録される。具体的に、メモリ(112)は、評価条件Aに対応する第1評価用圧力PR1および第1評価用流量QR1と、評価条件Bに対応する第2評価用圧力PR2および第2評価用流量QR2と、評価条件Cに対応する第3評価用圧力PR3および第3評価用流量QR3とを記憶する。ただし、本実施形態の制御器(110)のメモリ(112)が記憶する第1〜第3評価用圧力の値は、参考技術3の制御器(110)のメモリ(112)が記憶する第1〜第3評価用圧力の値と異なる。
−気密性評価部の評価動作−
本実施形態の気密性評価部(116)が行う評価動作について、図11のフロー図を参照しながら説明する。
気密性評価部(116)は、評価動作を開始すると、先ず、ステップST50において、作業者が評価条件A〜Cのうちの一つを選択するまで待機する。
作業者が操作盤(113)を操作して評価条件A〜Cのうちの一つを選択する情報を入力すると、気密性評価部(116)は、評価用圧力PRと評価用流量QRのそれぞれを、選択された評価条件に対応する値に設定する。評価条件Aが選択された場合、気密性評価部(116)は、評価用圧力PRを第1評価用圧力PR1とし(PR=PR1)、評価用流量QRを第1評価用流量QR1とする(QR=QR1)。評価条件Bが選択された場合、気密性評価部(116)は、評価用圧力PRを第2評価用圧力PR2とし(PR=PR2)、評価用流量QRを第2評価用流量QR2とする(QR=QR2)。評価条件Cが選択された場合、気密性評価部(116)は、評価用圧力PRを第3評価用圧力PR3とし(PR=PR3)、評価用流量QRを第3評価用流量QR3とする(QR=QR3)。
次のステップST51において、気密性評価部(116)は、庫内空気調節装置(30)に設けられた弁の操作を行う。具体的に、気密性評価部(116)は、第1バイパス弁(50)と第2バイパス弁(70)のそれぞれを第2状態(図9に破線で示す状態)に設定し、第1調節弁(46)の開度を所定の初期開度(例えば、全開状態)に設定し、第2調節弁(66)、換気用排気弁(101)及び測定用開閉弁(126)を閉状態に設定する。
次のステップST52において、気密性評価部(116)は、ポンプユニット(35)の駆動モータ(38)に通電して第1ポンプ(36)を作動させる。第1ポンプ(36)は、エアフィルタ(47)を通じて吸い込んだ庫外空気を加圧してから吐出する。第1ポンプ(36)から吐出された庫外空気は、第1バイパス弁(50)と第1バイパス管(51)と供給管(120)とを順に通って輸送用コンテナ(1)の内部へ供給される。
なお、本実施形態の庫内空気調節装置(30)では、参考技術1と同様に、庫内空気が第2ポンプ(37)へ吸い込まれ、第2ポンプ(37)から吐出された庫内空気が輸送用コンテナ(1)の内部へ送り返される。
次のステップST53において、気密性評価部(116)は、タイマーAによる経過時間TAの計測と、タイマーBによる経過時間TBの計測とを、同時に開始する。
次のステップST54において、気密性評価部(116)は、第3圧力センサ(103)の計測値を読み込み、読み込んだ計測値を輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値Pとしてメモリ(112)に記憶させる。なお、メモリ(112)は、その時点における第3圧力センサ(103)の計測値(即ち、最新の計測値P)だけでなく、過去の計測値Pも記憶する。
次のステップST55において、気密性評価部(116)は、直前のステップST54においてメモリ(112)に記憶させた計測値P(即ち、最新の計測値P)を、(PR+α)の値と比較する。PRは、ステップST50において設定した評価用圧力である。
ステップST55において最新の計測値Pが(PR+α)を上回る場合(P>PR+α)は、給気流量が多すぎて輸送用コンテナ(1)内の気圧が高くなり過ぎていることになる。そこで、この場合、気密性評価部(116)は、ステップST56へ移行し、給気流量を減らすために第1調節弁(46)の開度を縮小する。その際、気密性評価部(116)は、第1調節弁(46)の開度を、予め定められた一定値だけ縮小する。
一方、ステップST55において最新の計測値Pが(PR+α)以下である場合(P≦PR+α)、気密性評価部(116)は、ステップST57へ移行し、最新の計測値Pを評価用圧力PRと比較する。
ステップST57において最新の計測値PがPR未満である場合(P<PR)は、給気流量が少なすぎて輸送用コンテナ(1)内の気圧が充分に上昇していないことになる。そこで、この場合、気密性評価部(116)は、ステップST58へ移行し、給気流量を増やすために第1調節弁(46)の開度を拡大する。その際、気密性評価部(116)は、第1調節弁(46)の開度を、予め定められた一定値だけ拡大する。
ステップST56またはステップST58において給気流量が変更された場合は、輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値Pが基準圧力範囲(PR≦P≦PR+α)から外れていることになる。そこで、この場合、気密性評価部(116)は、ステップST59へ移行し、タイマーBが計測した経過時間TBをゼロにリセットし、タイマーBによる経過時間TBの計測を再開する。その後、気密性評価部(116)は、ステップST60へ移行する。
一方、ステップST57において最新の計測値PがPR以上である場合(P≧PR)は、輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値Pが基準圧力範囲(PR≦P≦PR+α)に入っていることになる。この場合、気密性評価部(116)は、ステップST60へ移行する。
ステップST60において、気密性評価部(116)は、その時点で第1ポンプ(36)が輸送用コンテナ(1)の内部へ供給する庫外空気の流量(即ち、その時点における給気流量Q)を算出する。
参考技術3についての説明で述べたように、ポンプユニット(35)の第1ポンプ(36)は、“吐出する空気の圧力(吐出圧力)が高くなるほど、吐出する空気の体積流量(吐出流量)が少なくなる”という特性を有している。そこで、ステップST57において、気密性評価部(116)は、第1ポンプ(36)の吐出圧力と吐出流量の相関式と、第1圧力センサ(45)の計測値(即ち、第1ポンプ(36)の吐出圧力の実測値)とを用いて、給気流量Qを算出する。
次のステップST61において、気密性評価部(116)は、タイマーBが計測した経過時間TBを、所定の基準時間TB0(本実施形態では、TB0=10分)と比較する。
ステップST61において経過時間TBが基準時間TB0に達している場合(TB≧TB0)は、輸送用コンテナ(1)内の気圧が、基準時間TB0以上に亘って、基準圧力範囲(PR≦P≦PR+α)に保たれていることになる。つまり、この場合は、輸送用コンテナ(1)内の気圧が概ね一定に保たれていることになる。そこで、この場合、気密性評価部(116)は、ステップST62へ移行し、ステップST60で算出した給気流量Q(即ち、最新の給気流量Q)を、ステップST50において設定した評価用流量QRと比較する。
ステップST62において最新の給気流量Qが評価用流量QR以下である場合(Q≦QR)は、輸送用コンテナ(1)内の気圧を基準圧力範囲(PR≦P≦PR+α)に保つために必要な給気流量が、評価用流量QR以下であることになる。そこで、この場合、気密性評価部(116)は、ステップST63へ移行し、輸送用コンテナ(1)の気密性が充足されている(即ち、輸送用コンテナ(1)の気密性が基準レベルに達している)旨の情報をメモリ(112)に記録する。
一方、ステップST62において最新の給気流量Qが評価用流量QRを上回る場合(Q>QR)は、輸送用コンテナ(1)内の気圧を基準圧力範囲(PR≦P≦PR+α)に保つために必要な給気流量が、評価用流量QRを上回っていることになる。そこで、この場合、気密性評価部(116)は、ステップST64へ移行し、輸送用コンテナ(1)の気密性が不足している(即ち、輸送用コンテナ(1)の気密性が基準レベルに達していない)旨の情報をメモリ(112)に記録する。
ステップST61において経過時間TBが基準時間TB0に達していない場合(TB<TB0)、気密性評価部(116)は、ステップST65へ移行し、タイマーAが計測した経過時間TAを、所定の基準時間TA0(本実施形態では、TA0=20分)と比較する。
ステップST65において経過時間TAが基準時間TA0に達している場合(TA≧TA0)は、評価動作の開始から比較的長時間(本実施形態では20分間)が既に経過していることになる。そこで、この場合、気密性評価部(116)は、ステップST66へ移行する。一方、ステップST65において経過時間TAが基準時間TA0に達していない場合(TA<TA0)、気密性評価部(116)は、ステップST54へ戻り、上述した一連の動作を再び行う。
ステップST66において、気密性評価部(116)は、先ず、その時点から10分前までの間における給気流量Qの平均値Qmを算出する。その際、気密性評価部(116)は、メモリ(112)に記録されている過去の給気流量Qを用いて、給気流量Qの平均値Qmを算出する。そして、気密性評価部(116)は、算出した給気流量の平均値Qmを、ステップST50において設定した評価用流量QRと比較する。
ステップST66において給気流量の平均値Qmが評価用流量QR以下である場合(Qm≦QR)は、比較的長時間(本実施形態では20分間)に亘って給気流量を調節し続けた状態において、給気流量の平均値Qmが比較的低い値に抑えられていることになる。そのため、この場合は、輸送用コンテナ(1)内の気圧を基準圧力範囲(PR≦P≦PR+α)に保つために必要な給気流量が、実質的に評価用流量QR以下であると判断できる。そこで、この場合、気密性評価部(116)は、ステップST67へ移行し、輸送用コンテナ(1)の気密性が充足されている(即ち、輸送用コンテナ(1)の気密性が基準レベルに達している)旨の情報をメモリ(112)に記録する。
一方、ステップST66において給気流量の平均値Qmが評価用流量QRを上回る場合(Qm>QR)は、比較的長時間(本実施形態では20分間)に亘って給気流量を調節し続けた状態において、給気流量の平均値Qmが比較的高い値となっていることになる。そのため、この場合は、輸送用コンテナ(1)内の気圧を基準圧力範囲(PR≦P≦PR+α)に保つために必要な給気流量が、実質的に評価用流量QRを上回っていると判断できる。そこで、この場合、気密性評価部(116)は、ステップST68へ移行し、輸送用コンテナ(1)の気密性が不足している(即ち、輸送用コンテナ(1)の気密性が基準レベルに達していない)旨の情報をメモリ(112)に記録する。
−実施形態1の変形例−
本実施形態の気密性評価装置(130)は、輸送用コンテナ(1)の内部へ供給される空気の流量(給気流量)を計測するための流量センサを備えていてもよい。この流量センサは、例えば第1組成調節部(40)の第1一次側管(53)に設けられ、第1一次側管(53)を流れる空気の体積流量を計測する。本変形例の制御器(110)の気密性評価部(116)は、図11のフロー図のステップST60において、流量センサの計測値を読み込み、読み込んだ流量センサの計測値を給気流量Qの計測値としてメモリ(112)に記録する。
《実施形態2》
実施形態2について説明する。ここでは、本実施形態の庫内空気調節装置(30)について、参考技術1の庫内空気調節装置(30)と異なる点を説明する。なお、本実施形態は、参考技術2〜3及び実施形態1の庫内空気調節装置(30)に適用することも可能である。
図12に示すように、本実施形態の庫内空気調節装置(30)は、参考技術1の庫内空気調節装置(30)に、入口側切換弁(140)と入口側分岐管(141)とを追加したものである。入口側切換弁(140)及び入口側分岐管(141)は、第2ポンプ(37)によって庫外空気を輸送用コンテナ(1)の内部へ供給可能とするために、庫内空気調節装置(30)に設けられる。
入口側切換弁(140)は、三つのポートを有する切換弁である。入口側切換弁(140)は、第1のポートが第2のポートと連通して第3のポートから遮断される第1状態(図12に実線で示す状態)と、第1のポートが第3のポートと連通して第2のポートから遮断される第2状態(図12に破線で示す状態)とに切り換わるように構成される。
入口側切換弁(140)は、庫内側吸入管(75)の途中に配置される。入口側切換弁(140)は、第1のポートが第2ポンプ(37)の吸入口に接続し、第2のポートが庫内側吸入管(75)を介して二次流路(29b)と連通する。入口側切換弁(140)の第3のポートには、入口側分岐管(141)の一端が接続する。入口側分岐管(141)の他端は、庫外側吸入管(55)に接続する。
入口側切換弁(140)は、庫内空気調節装置(30)の酸素濃度低減動作、二酸化炭素濃度低減動作、及び酸素濃度増加動作において、第1状態に設定される。また、入口側切換弁(140)は、気密性評価部(116)の評価動作において、第2状態に設定される。
本実施形態の気密性評価装置(130)は、第1組成調節部(40)と、第2組成調節部(60)と、第3圧力センサ(103)と、制御器(110)の気密性評価部(116)と、入口側切換弁(140)と、入口側分岐管(141)とによって構成される。また、本実施形態では、ポンプユニット(35)に設けられた第1ポンプ(36)と第2ポンプ(37)の両方が、荷室(5)内の気圧を陽圧とするために輸送用コンテナ(1)の内部へ給気する気圧調節機器(131)を構成する。
本実施形態の気密性評価装置(130)において、制御器(110)の気密性評価部(116)は、図6のステップST11に相当するステップにおいて、入口側切換弁(140)を第2状態に設定する。図13に示すように、入口側切換弁(140)が第2状態に設定されると、第1ポンプ(36)の吸入口と第2ポンプ(37)の吸入口の両方が、庫外側吸入管(55)に連通し、第1ポンプ(36)と第2ポンプ(37)の両方が庫外空気を吸い込む。
第1ポンプ(36)から吐出された庫外空気は、第1バイパス弁(50)と第1バイパス管(51)と供給管(120)とを順に通って輸送用コンテナ(1)の内部へ供給される。第2ポンプ(37)から吐出された庫外空気は、第2バイパス弁(70)と第2バイパス管(71)と供給管(120)とを順に通って輸送用コンテナ(1)の内部へ供給される。
このように、本実施形態の気密性評価装置(130)は、第1ポンプ(36)と第2ポンプ(37)の両方によって、庫外空気を輸送用コンテナ(1)の内部へ供給することができる。そのため、本実施形態では、第1ポンプ(36)だけによって庫外空気を輸送用コンテナ(1)の内部へ供給する場合に比べて、輸送用コンテナ(1)内の気圧(具体的には、第3圧力センサ(103)の計測値P)が第1基準圧力PHに達するまでの時間が短縮される。
《実施形態3》
実施形態3について説明する。ここでは、本実施形態の庫内空気調節装置(30)について、実施形態2の庫内空気調節装置(30)と異なる点を説明する。
図14に示すように、本実施形態の庫内空気調節装置(30)が実施形態2の庫内空気調節装置(30)と異なる点は、気圧測定用切換弁(145)及び気圧測定用配管(146)が追加されている点と、第3圧力センサ(103)が省略されている点である。気圧測定用切換弁(145)及び気圧測定用配管(146)は、第2圧力センサ(65)によって輸送用コンテナ(1)内の気圧を計測可能とするために、庫内空気調節装置(30)に設けられる。
気圧測定用切換弁(145)は、三つのポートを有する切換弁である。気圧測定用切換弁(145)は、第1のポートが第2のポートと連通して第3のポートから遮断される第1状態(図14に実線で示す状態)と、第1のポートが第3のポートと連通して第2のポートから遮断される第2状態(図14に破線で示す状態)とに切り換わるように構成される。
気圧測定用切換弁(145)は、第2一次側管(73)における第2分離モジュール(61)と第2圧力センサ(65)の間に配置される。気圧測定用切換弁(145)は、第1のポートが第2調節弁(66)に接続し、第2のポートが第2分離モジュール(61)の第2一次側導出口(63)に接続する。気圧測定用切換弁(145)の第3のポートには、気圧測定用配管(146)の一端が接続する。気圧測定用配管(146)の他端は、庫内側吸入管(75)に接続する。
気圧測定用切換弁(145)は、庫内空気調節装置(30)の酸素濃度低減動作、二酸化炭素濃度低減動作、及び酸素濃度増加動作において、第1状態に設定される。また、気圧測定用切換弁(145)は、気密性評価部(116)の評価動作において、第2状態に設定される。
本実施形態の気密性評価装置(130)は、第1組成調節部(40)と、第2組成調節部(60)と、第2圧力センサ(65)と、制御器(110)の気密性評価部(116)と、入口側切換弁(140)と、入口側分岐管(141)と、気圧測定用切換弁(145)と、気圧測定用配管(146)とによって構成される。
本実施形態の気密性評価装置(130)において、制御器(110)の気密性評価部(116)は、図6のステップST11に相当するステップにおいて、気圧測定用切換弁(145)を第2状態に設定する。図15に示すように、気圧測定用切換弁(145)が第2状態に設定されると、第2圧力センサ(65)が、気圧測定用配管(146)及び庫内側吸入管(75)を介して、庫内空気流路(29)の二次流路(29b)と連通する。
上述したように、庫内ファン(17)の停止中において、二次流路(29b)の気圧は、荷室(5)内の気圧と実質的に等しい。このため、庫内ファン(17)の停止中には、第2圧力センサ(65)の計測値が荷室(5)内の気圧と実質的に一致する。従って、本実施形態では、第2圧力センサ(65)が、荷室(5)内の気圧を計測する気圧センサを構成する。そして、本実施形態の制御器(110)の気密性評価部(116)は、図6のステップST13とステップST17のそれぞれに相当するステップにおいて、第2圧力センサ(65)の計測値を読み込み、読み込んだ計測値を輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値Pとしてメモリ(112)に記憶させる。
本実施形態では、第2圧力センサ(65)を、輸送用コンテナ(1)内の気圧を計測するために利用できる。従って、本実施形態によれば、気密性評価装置(130)が組み込まれた庫内空気調節装置(30)の圧力センサの数を削減できる。
《実施形態4》
実施形態4について説明する。ここでは、本実施形態の庫内空気調節装置(30)について、実施形態3の庫内空気調節装置(30)と異なる点を説明する。
図16に示すように、本実施形態の庫内空気調節装置(30)が実施形態3の庫内空気調節装置(30)と異なる点は、第2組成調節部(60)、庫内側吸入管(75)、入口側切換弁(140)、及び入口側分岐管(141)が省略されている点と、気圧測定用切換弁(145)の配置と、気圧測定用配管(146)の構成である。
本実施形態の庫内空気調節装置(30)において、気圧測定用切換弁(145)は、第1一次側管(53)における第1分離モジュール(41)と第1圧力センサ(45)の間に配置される。気圧測定用切換弁(145)は、第1のポートが第1調節弁(46)に接続し、第2のポートが第1分離モジュール(41)の第1一次側導出口(43)に接続する。気圧測定用切換弁(145)の第3のポートには、気圧測定用配管(146)の一端が接続する。気圧測定用配管(146)の他端は、庫内空気流路(29)の二次流路(29b)に開口する。
本実施形態の気密性評価装置(130)は、第1組成調節部(40)と、第1圧力センサ(45)と、制御器(110)の気密性評価部(116)と、気圧測定用切換弁(145)と、気圧測定用配管(146)とによって構成される。
本実施形態の気密性評価装置(130)において、制御器(110)の気密性評価部(116)は、図6のステップST11に相当するステップにおいて、気圧測定用切換弁(145)を第2状態に設定する。図17に示すように、気圧測定用切換弁(145)が第2状態に設定されると、第1圧力センサ(45)が、気圧測定用配管(146)を介して、庫内空気流路(29)の二次流路(29b)と連通する。
上述したように、庫内ファン(17)の停止中において、二次流路(29b)の気圧は、荷室(5)内の気圧と実質的に等しい。このため、庫内ファン(17)の停止中には、第1圧力センサ(45)の計測値が荷室(5)内の気圧と実質的に一致する。従って、本実施形態では、第1圧力センサ(45)が、荷室(5)内の気圧を計測する気圧センサを構成する。そして、本実施形態の制御器(110)の気密性評価部(116)は、図6のステップST13とステップST17のそれぞれに相当するステップにおいて、第1圧力センサ(45)の計測値を読み込み、読み込んだ計測値を輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値Pとしてメモリ(112)に記憶させる。
本実施形態では、第1圧力センサ(45)を、輸送用コンテナ(1)内の気圧を計測するために利用できる。従って、本実施形態によれば、気密性評価装置(130)が組み込まれた庫内空気調節装置(30)の圧力センサの数を削減できる。
《実施形態5》
実施形態5について説明する。本実施形態の庫内空気調節装置(30)は、上記参考技術1の庫内空気調節装置(30)において、気密性評価部(116)が行う評価動作を変更したものである。ここでは、本実施形態の庫内空気調節装置(30)について、参考技術1の庫内空気調節装置(30)と異なる点を説明する。
本実施形態の気密性評価部(116)は、評価動作において、輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値Pを、所定の保持時間に亘って第1基準圧力PH以上の所定圧力範囲に保った後に、輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値Pの変化に基づいて、輸送用コンテナ(1)の気密性を評価する。
本実施形態の気密性評価部(116)が行う評価動作について、図18のフロー図を参照しながら説明する。本実施形態の気密性評価部(116)は、評価動作において、図6のステップST15に示す動作に代えて、図18のステップST15-1及びステップST15-2に示す動作を行う。
本実施形態の気密性評価部(116)が図18のステップST11からステップST14において行う動作は、参考技術1の気密性評価部(116)が図6のステップST11からステップST14において行う動作と同じである。ステップST14において、輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値Pが第1基準圧力PHに達している場合(P≧PH)、本実施形態の気密性評価部(116)は、ステップST15-1へ移行する。
ステップST15-1において、気密性評価部(116)は、輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値P(本実施形態では、第3圧力センサ(103)の計測値)を監視し、この計測値Pが第1基準圧力PH以上で圧力値PH’以下の範囲(PH≦P≦PH’)に保たれるように、ポンプユニット(35)を制御する。第1基準圧力PHの値は、例えば490Pa(ゲージ圧)である。圧力値PH’ の値は、例えば500Pa(ゲージ圧)である。
具体的に、気密性評価部(116)は、ポンプユニット(35)の作動中に計測値Pが圧力値PH’を上回ると、ポンプユニット(35)を停止させ、ポンプユニット(35)の停止中に計測値Pが第1基準圧力PHを下回ると、ポンプユニット(35)を作動させる。気密性評価部(116)は、この動作を、所定の保持時間TH(本実施形態では、10分間)に亘って行う。
ステップST15-1が終了すると、気密性評価部(116)は、ステップST15-2へ移行し、ポンプユニット(35)を停止状態に保持する。具体的に、ステップST15-1の終了時にポンプユニット(35)が作動している場合、気密性評価部(116)は、ポンプユニット(35)を停止させ、ポンプユニット(35)を停止状態に保つ。また、ステップST15-1の終了時にポンプユニット(35)が停止している場合、気密性評価部(116)は、そのままポンプユニット(35)を停止状態に保つ。
ステップST15-2が終了すると、本実施形態の気密性評価部(116)は、図18のステップST16からステップST22に示す動作を行う。図18のステップST16からステップST22に示す動作は、参考技術1の気密性評価部(116)が図6のステップST16からステップST22において行う動作と同じである。
−実施形態5の効果−
ここで、輸送用コンテナ(1)内の気圧を大気圧よりも高い圧力にまで上昇させると、輸送用コンテナ(1)が膨らむように変形することがある。輸送用コンテナ(1)が膨らむと、輸送用コンテナ(1)の内容積が増加し、輸送用コンテナ(1)内の気圧が下がる。また、輸送用コンテナ(1)内の気圧が高くなるほど、輸送用コンテナ(1)に設けられた断熱材に入り込む空気の量が増える。輸送用コンテナ(1)の断熱材に空気が入り込むと、輸送用コンテナ(1)内の気圧が下がる。また、輸送用コンテナ(1)の荷室(5)では、その各部における気圧が過渡的に不均一となる場合がある。この場合は、時間が経過するにつれて、輸送用コンテナ(1)の荷室(5)において気圧が均一化され、その結果、輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値が変化する。
気密性評価部(116)が行う評価動作において、輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値Pが第1基準圧力PHに達した直後にポンプユニット(35)を停止させると、前段落で説明した原因によって、輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値Pが低下することがある。輸送用コンテナ(1)の変形によって輸送用コンテナ(1)内の気圧が低下した場合、気密性評価部(116)は、実際には輸送用コンテナ(1)の気密性が確保されているにも拘わらず、輸送用コンテナ(1)の気密性が不充分だと誤判断するおそれがある。
そこで、本実施形態の気密性評価部(116)は、輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値Pが第1基準圧力PHに達した後に、輸送用コンテナ(1)内の気圧の計測値Pを所定圧力範囲(PH≦P≦PH’)に保つ。そして、気密性評価部(116)は、輸送用コンテナ(1)内の気圧の上昇に起因して輸送用コンテナ(1)が変形した後に、輸送用コンテナ(1)の気密性を判定する。従って、本実施形態によれば、気密性が確保された輸送用コンテナ(1)について、その気密性が不充分だと誤判断する可能性を低減できる。
−実施形態5の変形例−
本実施形態の気密性評価部(116)が行う図18のステップST15-1及びステップST15-2の動作を、参考技術2の気密性評価部(116)に実行させてもよい。この変形例を適用した参考技術2の気密性評価部(116)は、図8のステップST15の動作に代えて、図18のステップST15-1及びステップST15-2の動作を実行する。
《実施形態6》
実施形態6の庫内空気調節装置(30)について説明する。実施形態の庫内空気調節装置(30)は、実施形態1の庫内空気調節装置(30)において、第1組成調節部(40)及び制御器(110)を変更したものである。ここでは、本実施形態の庫内空気調節装置(30)について、参考技術1の庫内空気調節装置(30)と異なる点を説明する。
−第1組成調節部の構成−
本実施形態の第1組成調節部(40)は、参考技術1の第1組成調節部(40)と同様に、輸送用コンテナ(1)の外部から吸い込んだ庫外空気(未処理庫外空気)を第1庫外空気と第2庫外空気に分離するように構成される。本実施形態の第1組成調節部(40)は、いわゆるPSA(Pressure Swing Adsorption)法によって、未処理庫外空気を第1庫外空気と第2庫外空気に分離するように構成されており、この点で参考技術1の第1組成調節部(40)と相違する。
図19に示すように、本実施形態の第1組成調節部(40)は、ポンプユニット(35)の第1ポンプ(36)に代えて、エアポンプ(231)を備える。つまり、本実施形態の庫内空気調節装置(30)において、ポンプユニット(35)は、第2ポンプ(37)及び駆動モータ(38)を備えるが、第1ポンプ(36)を備えていない。また、本実施形態の第1組成調節部(40)は、第1方向制御弁(232)及び第2方向制御弁(233)と、第1吸着筒(234)及び第2吸着筒(235)とを備える。後述するように、各吸着筒(234,235)には、空気中の窒素を吸着する吸着剤が設けられる。
〈エアポンプ〉
エアポンプ(231)は、ユニットケース(32)の内部空間に配置される。エアポンプ(231)は、それぞれが空気を吸引して加圧して吐出する第1ポンプ機構(231a)及び第2ポンプ機構(231b)を備える。第1ポンプ機構(231a)及び第2ポンプ機構(231b)は、潤滑油を使用しないオイルレスのポンプである。本実施形態では、第1組成調節部(40)の第1ポンプ機構(231a)が気密性評価装置(130)の気圧調節機器(131)を兼ねる。
加圧部である第1ポンプ機構(231a)と、減圧部である第2ポンプ機構(231b)とは、それらの両方が駆動モータ(231c)の駆動軸に接続される。第1ポンプ機構(231a)及び第2ポンプ機構(231b)のぞれぞれは、駆動モータ(231c)によって回転駆動されることによって、吸込口から空気を吸引して加圧し、加圧した空気を吐出口から吐出する。
〈外気管、吐出管、フィルタユニット〉
第1ポンプ機構(231a)の吸込口には、外気通路を形成する外気管(241)の一端が接続される。外気管(241)は、ユニットケース(32)を貫通するように設けられる。ユニットケース(32)の外部に位置する外気管(241)の他端は、フィルタユニット(220)に接続される。
フィルタユニット(220)は、エアフィルタ(47)を備える。エアフィルタ(47)は、庫外空気に含まれる塵埃や塩分などを捕捉するためのフィルタである。本実施形態では、通気性と防水性を有するメンブレンフィルタが、エアフィルタ(47)として用いられる。フィルタユニット(220)は、箱状に形成された部材であり、エアフィルタ(47)を通過した空気(庫外空気)を外気管(241)へ導入する。図示しないが、フィルタユニット(220)は、庫外機器室(28)における凝縮器(13)の下流側に配置される。
第1ポンプ機構(231a)の吐出口には、吐出通路を形成する吐出管(242)の一端が接続される。吐出管(242)は、他端側で二つの分岐管に分岐しており、一方の分岐管が第1方向制御弁(232)に、他方の分岐管が第2方向制御弁(233)に、それぞれ接続される。
〈吸引管、供給管〉
第2ポンプ機構(231b)の吸込口には、吸引通路を形成する吸引管(243)の一端が接続される。吸引管(243)は、他端側で二つの分岐管に分岐しており、一方の分岐管が第1方向制御弁(232)に、他方の分岐管が第2方向制御弁(233)に、それぞれ接続される。
第2ポンプ機構(231b)の吐出口には、供給通路を形成する供給用接続管(244)の一端が接続される。供給用接続管(244)の他端は、供給管(120)に接続される。
供給用接続管(244)には、その一端から他端へ向かって順に、逆止弁(264)と供給側開閉弁(273)とが設けられる。逆止弁(264)は、供給用接続管(244)の一端から他端へ向かう向きの空気の流通のみを許容し、空気の逆流を防止する。供給側開閉弁(273)は、電磁弁からなる開閉弁である。
〈方向制御弁〉
第1方向制御弁(232)及び第2方向制御弁(233)のそれぞれは、三つのポートを有する切換弁である。各方向制御弁(232,233)は、第1のポートが第2のポートと連通して第3のポートから遮断される第1状態と、第1のポートが第3のポートと連通して第2のポートから遮断される第2状態とに切り換わるように構成される。
第1方向制御弁(232)は、第1のポートが第1吸着筒(234)の一端に接続される。また、第1方向制御弁(232)は、第2のポートに吐出管(242)の分岐管が接続され、第3のポートに吸引管(243)の分岐管が接続される。第1方向制御弁(232)は、第1吸着筒(234)を、第1ポンプ機構(231a)に連通する状態と、第2ポンプ機構(231b)に連通する状態とに切り換える。
第2方向制御弁(233)は、第1のポートが第2吸着筒(235)の一端に接続される。また、第2方向制御弁(233)は、第2のポートに吐出管(242)の分岐管が接続され、第3のポートに吸引管(243)の分岐管が接続される。第2方向制御弁(233)は、第2吸着筒(235)を、第1ポンプ機構(231a)に連通する状態と、第2ポンプ機構(231b)に連通する状態とに切り換える。
〈吸着筒〉
第1吸着筒(234)及び第2吸着筒(235)のそれぞれは、両端が閉塞された円筒状の容器と、その容器に充填された吸着剤とを備える部材である。
これら吸着筒(234,235)に充填された吸着剤は、圧力が大気圧よりも高い加圧状態において窒素成分を吸着し、圧力が大気圧よりも低い減圧状態において窒素成分を脱着させる性質を有する。本実施形態では、吸着剤として、例えば、窒素分子の分子径(3.0オングストローム)よりも小さく且つ酸素分子の分子径(2.8オングストローム)よりも大きな孔径の細孔を有する多孔体のゼオライトが用いられる。
本実施形態の第1組成調節部(40)では、第1吸着筒(234)及び第2吸着筒(235)が第1分離部(41)を構成する。第1分離部(41)を構成する二つの吸着筒(234,235)は、未処理庫外空気を、未処理庫外空気よりも窒素濃度が高くて酸素濃度が低い第1庫外空気と、未処理庫外空気よりも窒素濃度が低くて酸素濃度が高い第2庫外空気に分離する。
〈酸素排出管〉
酸素排出通路を形成する酸素排出管(245)は、一端側で二つの分岐管に分岐しており、一方の分岐管が第1吸着筒(234)の他端に、他方の分岐管が第2吸着筒(235)にそれぞれ接続される。酸素排出管(245)の各分岐管には、逆止弁(261)が一つずつ設けられる。各逆止弁(261)は、対応する吸着筒(234,235)から流出する向きの空気の流れを許容し、逆向きの空気の流れを遮断する。
酸素排出管(245)は、ユニットケース(32)を貫通するように設けられる。酸素排出管(245)の他端は、輸送用コンテナ(1)の庫外空間に開口する。酸素排出管(245)の集合部分には、逆止弁(262)とオリフィス(263)とが設けられる。逆止弁(262)は、オリフィス(263)よりも酸素排出管(245)の他端寄りに配置される。この逆止弁(262)は、酸素排出管(245)の他端へ向かう空気の流れを許容し、逆向きの空気の流れを遮断する。
〈パージ管〉
酸素排出管(245)の各分岐管には、パージ通路を形成するパージ管(250)が接続される。パージ管(250)は、一端が第1吸着筒(234)に接続する分岐管に接続され、他端が第2吸着筒(235)に接続する分岐管に接続される。パージ管(250)の一端は、第1吸着筒(234)と逆止弁(261)の間に接続される。パージ管(250)の他端は、第2吸着筒(235)と逆止弁(261)の間に接続される。
パージ管(250)には、パージ弁(251)が設けられる。パージ弁(251)は、電磁弁からなる開閉弁である。パージ弁(251)は、第1吸着筒(234)と第2吸着筒(235)を均圧する際に開かれる。また、パージ管(250)におけるパージ弁(251)の両側には、オリフィス(252)が一つずつ設けられる。
〈排気用接続管〉
供給用接続管(244)には、排気用接続通路を形成する排気用接続管(271)が接続される。排気用接続管(271)は、一端が供給用接続管(244)に接続され、他端が酸素排出管(245)に接続される。排気用接続管(271)の一端は、供給用接続管(244)における第2ポンプ機構(231b)と逆止弁(264)の間に接続される。排気用接続管(271)の他端は、酸素排出管(245)の逆止弁(262)よりも庫外側に接続される。
排気用接続管(271)には、排気用開閉弁(272)が設けられる。排気用開閉弁(272)は、電磁弁からなる開閉弁である。排気用開閉弁(272)は、供給用接続管(244)を流れる空気を庫外へ排出する際に開かれる。
〈測定用接続管〉
供給用接続管(244)には、測定用通路を形成する測定用接続管(281)が接続される。この測定用接続管(281)は、第1組成調節部(40)をセンサユニット(90)に接続するための配管である。
測定用接続管(281)は、一端が供給用接続管(244)に接続され、他端が測定用配管(125)に接続される。測定用接続管(281)の一端は、供給用接続管(244)における逆止弁(264)と供給側開閉弁(273)の間に接続される。測定用接続管(281)の他端は、測定用配管(125)における測定用開閉弁(126)とセンサユニット(90)の間に接続される。
測定用接続管(281)には、測定用開閉弁(282)が設けられる。測定用開閉弁(282)は、電磁弁からなる開閉弁である。測定用開閉弁(282)は、供給用接続管(244)を流れる空気をセンサユニット(90)へ送る際に開かれる。
〈バイパス管〉
吐出管(242)には、バイパス通路を形成するバイパス接続管(255)が接続される。バイパス接続管(255)は、一端が吐出管(242)に接続され、他端が測定用接続管(281)に接続される。バイパス接続管(255)の一端は、吐出管(242)の分岐箇所よりも第1ポンプ機構(231a)寄りに接続される。バイパス接続管(255)の他端は、測定用接続管(281)の一端と測定用開閉弁(282)の間に接続される。このバイパス接続管(255)は、第1吸着筒(234)及び第2吸着筒(235)をバイパスさせて庫外空気を輸送用コンテナ(1)の庫内空間へ供給するための第1バイパス通路を形成する。
バイパス接続管(255)には、バイパス開閉弁(256)が設けられる。バイパス開閉弁(256)は、電磁弁からなる開閉弁である。バイパス開閉弁(256)は、バイパス接続管(255)へ流入する庫外空気の流量を変更するための第1バイパス弁機構を構成する。このバイパス開閉弁(256)は、第1ポンプ機構(231a)が吐出した庫外空気を、その組成を変更せずに荷室(5)へ供給する際に開かれる。
−第1組成調節部の運転動作−
本実施形態の第1組成調節部(40)の運転動作を説明する。
本実施形態の第1組成調節部(40)は、後述する第1動作と第2動作を所定の時間(例えば、14.5秒)ずつ交互に繰り返し行うことによって、未処理庫外空気を第1庫外空気と第2庫外空気に分離する。本実施形態の第1組成調節部(40)は、参考技術1の第1組成調節部(40)と同様に、庫内空気調節装置(30)の酸素濃度低減動作と二酸化炭素濃度低減動作のそれぞれにおいて、未処理庫外空気を第1庫外空気と第2庫外空気に分離する動作を行う。
また、本実施形態の第1組成調節部(40)は、後述する外気導入動作を行う。外気導入動作は、輸送用コンテナ(1)の外部から吸い込んだ庫外空気をそのまま輸送用コンテナ(1)の庫内へ供給する動作である。本実施形態の第1組成調節部(40)は、酸素濃度増加動作において、外気導入動作を行う。また、制御器(110)の気密性評価部(116)が行う評価動作においても、本実施形態の第1組成調節部(40)は、必要に応じて外気導入動作を行う。
〈第1動作〉
図20に示すように、第1動作では、第1方向制御弁(232)が第1状態に設定され、第2方向制御弁(233)が第2状態に設定される。その結果、第1ポンプ機構(231a)の吐出口が第1吸着筒(234)に接続し、第2吸着筒(235)が第2ポンプ機構(231b)の吸込口に接続する。また、第1動作では、供給側開閉弁(273)が開かれ、残りの開閉弁(251,256,272,282)が閉じられる。そして、第1動作では、第1吸着筒(234)を対象とする吸着動作と、第2吸着筒(235)を対象とする脱離動作とが行われる。
第1ポンプ機構(231a)は、外気管(241)から未処理庫外空気を吸い込んで加圧し、加圧した未処理庫外空気を第1吸着筒(234)へ供給する。第1吸着筒(234)では、供給された未処理庫外空気に含まれる窒素が吸着剤に吸着される。その結果、第1吸着筒(234)では、未処理庫外空気よりも窒素濃度が低くて酸素濃度が高い第2庫外空気が生成する。第2庫外空気は、第1吸着筒(234)から流出して酸素排出管(245)を流れ、排出用空気として庫外空間へ排出される。
一方、第2ポンプ機構(231b)は、第2吸着筒(235)から空気を吸引する。第2吸着筒(235)では、その内部の圧力が低下して吸着剤から窒素が脱離する。その結果、第2吸着筒(235)では、未処理庫外空気よりも窒素濃度が高くて酸素濃度が低い第1庫外空気が生成する。第1庫外空気は、第1吸着筒(234)から吸引管(243)へ流入して第2ポンプ機構(231b)へ吸い込まれる。第2ポンプ機構(231b)は、吸い込んだ第1庫外空気を加圧して供給用接続管(244)へ吐出する。第1庫外空気は、供給用空気として供給用接続管(244)を流れ、供給管(120)を流れる空気と合流後に庫内空間へ供給される。
〈第2動作〉
図21に示すように、第2動作では、第1方向制御弁(232)が第2状態に設定され、第2方向制御弁(233)が第1状態に設定される。その結果、第1ポンプ機構(231a)の吐出口が第2吸着筒(235)に接続し、第1吸着筒(234)が第2ポンプ機構(231b)の吸込口に接続する。また、第2動作では、供給側開閉弁(273)が開かれ、残りの開閉弁(251,256,272,282)が閉じられる。そして、第2動作では、第1吸着筒(234)を対象とする脱離動作と、第2吸着筒(235)を対象とする吸着動作とが行われる。
第1ポンプ機構(231a)は、外気管(241)から未処理庫外空気を吸い込んで加圧し、加圧した未処理庫外空気を第2吸着筒(235)へ供給する。第2吸着筒(235)では、供給された未処理庫外空気に含まれる窒素が吸着剤に吸着される。その結果、第2吸着筒(235)では、未処理庫外空気よりも窒素濃度が低くて酸素濃度が高い第2庫外空気が生成する。第2庫外空気は、第2吸着筒(235)から流出して酸素排出管(245)を流れ、排出用空気として庫外空間へ排出される。
一方、第2ポンプ機構(231b)は、第1吸着筒(234)から空気を吸引する。第1吸着筒(234)では、その内部の圧力が低下して吸着剤から窒素が脱離する。その結果、第1吸着筒(234)では、未処理庫外空気よりも窒素濃度が高くて酸素濃度が低い第1庫外空気が生成する。第1庫外空気は、第1吸着筒(234)から吸引管(243)へ流入して第2ポンプ機構(231b)へ吸い込まれる。第2ポンプ機構(231b)は、吸い込んだ第1庫外空気を加圧して供給用接続管(244)へ吐出する。第1庫外空気は、供給用空気として供給用接続管(244)を流れ、供給管(120)を流れる空気と合流後に庫内空間へ供給される。
〈外気導入動作〉
図22に示すように、外気導入動作では、制御器(110)が、第1方向制御弁(232)と第2方向制御弁(233)のそれぞれを第2状態(図22に実線で示す状態)に設定し、エアポンプ(231)のモータ(231c)に通電して第1ポンプ機構(231a)を作動させる。また、制御器(110)は、第1バイパス弁(256)、排気用開閉弁(272)、供給側開閉弁(273)、及びパージ弁(251)を開状態に設定し、測定用開閉弁(282)と第2組成調節部(60)の測定用開閉弁(126)とを閉状態に設定する。第2組成調節部(60)は休止する。
この外気供給動作において、第1ポンプ機構(231a)から吐出された庫外空気は、第1バイパス管(255)と供給用接続管(244)と供給管(120)とを順に通って、輸送用コンテナ(1)の庫内空間に流入する。このように、外気供給動作では、輸送用コンテナ(1)の外部から第1ポンプ機構(231a)へ吸い込まれた庫外空気が、そのまま輸送用コンテナ(1)の庫内空間へ供給される。
−気密性評価部の評価動作−
評価動作において、本実施形態の気密性評価部(116)は、庫内空気調節装置(30)に外気導入を実行させることによって、輸送用コンテナ(1)内の気圧を調節する。具体的に、この気密性評価部(116)は、図6のステップST12に対応するステップにおいて、エアポンプ(231)の第1ポンプ機構(231a)を起動させる。そして、気密性評価部(116)は、輸送用コンテナ(1)の庫内空間へ庫外空気を供給することによって、輸送用コンテナ(1)内の気圧を上昇させる。
《その他の実施形態》
上記各参考技術および各実施形態の庫内空気調節装置(30)については、次のような変形例を適用してもよい。
−第1変形例−
上記各参考技術および各実施形態の気密性評価装置(130)の気密性評価部(116)は、その評価動作において、ポンプユニット(35)の作動中における輸送用コンテナ(1)内の気圧の変化速度に基づいて、輸送用コンテナ(1)の気密性を評価するように構成されていてもよい。
本変形例の気密性評価部(116)は、ポンプユニット(35)の作動中における輸送用コンテナ(1)内の気圧の上昇速度が所定の基準速度を以上である場合に、輸送用コンテナ(1)の気密性が充足されていると判断する。また、本変形例の気密性評価部(116)は、ポンプユニット(35)の作動中における輸送用コンテナ(1)内の気圧の上昇速度が所定の基準速度を下回っている場合に、輸送用コンテナ(1)の気密性が不足していると判断する。
−第2変形例−
上記各参考技術および各実施形態の気密性評価装置(130)は、輸送用コンテナ(1)の内部空間から空気を排出し、輸送用コンテナ(1)内の気圧を陰圧にすることによって、輸送用コンテナ(1)の気密性を評価するように構成されていてもよい。本変形例の気密性評価装置(130)には、輸送用コンテナ(1)の内部空間から空気を排出するためのポンプ又はファンが、気圧調節機器(131)として設けられる。
輸送用コンテナ(1)の内部空間から排気すると、輸送用コンテナ(1)内の気圧が次第に低下してゆく。その際、輸送用コンテナ(1)の気密性が低いほど、輸送用コンテナ(1)内の気圧の低下速度は遅くなる。また、輸送用コンテナ(1)内の気圧が陰圧となった状態で輸送用コンテナ(1)からの排気を停止した後は、輸送用コンテナ(1)内の気圧が次第に上昇してゆく。その際、輸送用コンテナ(1)の気密性が低いほど、輸送用コンテナ(1)内の気圧の上昇速度は早くなる。本変形例の気密性評価装置(130)は、このような現象を利用して、輸送用コンテナ(1)の気密性を評価する。
−第3変形例−
参考技術3及び実施形態1の気密性評価装置(130)において、気密性評価部(116)は、第1ポンプ(36)から吐出されて輸送用コンテナ(1)の内部へ供給される庫外空気の流量(給気流量)の調節を、第1調節弁(46)の開度の調節ではなく、ポンプユニット(35)の駆動モータ(38)の回転速度の調節によって行うように構成されていてもよい。本変形例において、ポンプユニット(35)の駆動モータ(38)には、インバータから出力された交流が供給される。インバータの出力周波数を変更すると、駆動モータ(38)の回転速度が変化し、第1ポンプ(36)から吐出される空気の流量が変化する。
−第4変形例−
上記各参考技術および各実施形態の気密性評価装置(130)において、気密性評価部(116)は、基準レベル(収納庫(1)の気密性のレベル)だけでなく、判断の対象となる物理量が異なる複数の評価条件のうちの一つを、作業者が選択できるように構成されていてもよい。例えば、本変形例の気密性評価部(116)は、参考技術3の気密性評価部(116)において選択可能な三つの評価条件A〜Cと、実施形態1の気密性評価部(116)において選択可能な三つの評価条件A〜C(即ち、六つの評価条件)のうちの一つを、作業者が選択できるように構成されていてもよい。
−第5変形例−
上記参考技術1〜3及び実施形態1〜5の庫内空気調節装置(30)において、第1組成調節部(40)と第2組成調節部(60)のそれぞれは、いわゆるPSA(Pressure Swing Adsorption)法によって、吸い込んだ空気を互いに組成が異なる二種類の空気に分離するように構成されていてもよい。この場合、組成調節部(40,60)は、吸い込んだ空気に含まれる窒素を吸着剤に吸着させることによって、窒素濃度が低くて酸素濃度および二酸化炭素濃度が高い空気を生成する工程と、吸着剤から窒素を脱離させて窒素濃度が高くて酸素濃度及び二酸化炭素濃度が低い空気を生成する工程とを繰り返し行う。
−第6変形例−
上記各参考技術および各実施形態の庫内空気調節装置(30)を備えた冷凍機(10)は、定置型の冷蔵庫または冷凍庫に設けられてもよい。また、上記各実施形態の庫内空気調節装置(30)を備えた冷凍機(10)は、トラックや鉄道などで輸送される陸上輸送用の冷蔵・冷凍コンテナに設けられていてもよい。また、上記各実施形態の庫内空気調節装置(30)を備えた冷凍機(10)は、荷室を形成する箱体が車台と一体になった冷蔵・冷凍トラックに設けられていてもよい。
以上説明したように、本発明は、収納庫の気密性を評価する気密性評価装置と、この気密性評価装置を備えた庫内空気調節装置および冷凍装置について有用である。
1 輸送用コンテナ(収納庫)
10 コンテナ用の冷凍機(冷凍装置)
11 冷媒回路
36 第1ポンプ(空気ポンプ)
40 第1組成調節部
45 第1圧力センサ(気圧センサ)
60 第2組成調節部
65 第2圧力センサ(気圧センサ)
103 第3圧力センサ(気圧センサ)
113 操作盤(入力部)
116 気密性評価部
130 気密性評価装置
131 気圧調節機器