JP2019094239A - Iii族窒化物単結晶積層体の製造方法及びiii族窒化物単結晶積層体 - Google Patents

Iii族窒化物単結晶積層体の製造方法及びiii族窒化物単結晶積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】同じ気相成長装置を用いて、繰り返しIII族窒化物単結晶の成長を行っても、結晶成長時における単結晶層への異物の混入や単結晶層表面の凹部の発生が抑制された、高品質のIII族窒化物単結晶積層体の製造方法の提供。【解決手段】ベース基板10上にIII族窒化物単結晶層を成長させてIII族窒化物単結晶積層体を製造した後、該積層体を成長部より取り外し、第1の原料供給部38に付着したIII族金属成分を除去した後、新たなベース基板10上にIII族窒化物単結晶層を成長させるIII族窒化物単結晶積層体の製造方法。第1の原料供給部38に付着したIII族金属酸化物を除去する為に、原料供給部38を水溶液、好ましくは酸性又はアルカリ性の水溶液で、更に酸化剤を含有する水溶液、特に好ましくは過酸化水素及び硫酸を含有する水溶液で洗浄する、単結晶体の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、単結晶層への異物の混入や単結晶層表面の凹部の発生が抑制された高品質のIII族窒化物単結晶積層体の製造方法及びIII族窒化物単結晶積層体に関する。
窒化アルミニウム、窒化ガリウム、窒化インジウムといったIII族窒化物半導体は任意の組成の混晶半導体をつくることが可能であり、その混晶組成によって、バンドギャップの値を変えることが可能である。したがって、III族窒化物半導体結晶を用いることにより、原理的には赤外光から紫外光までの広範囲な発光素子を作ることが可能となる。特に、近年ではアルミニウム系III族窒化物半導体(主に窒化アルミニウムガリウム混晶)を用いた発光素子の開発が精力的に進められている。
現在、III族窒化物半導体発光素子の製造にあたっては、基板としての結晶品質、紫外光透過性、量産性やコストの観点からサファイア基板が一般的に採用されている。しかし、サファイア基板上にIII族窒化物を成長させた場合、サファイア基板と半導体積層膜を形成するIII族窒化物(例えば窒化アルミニウムガリウム等)との間の格子定数や熱膨張係数等の違いに起因して、結晶欠陥(ミスフィット転位)やクラック等が生じ、素子の発光性能を低下させる原因になるため、格子定数が半導体積層膜の格子定数に近く、および熱膨張係数が半導体積層膜の熱膨張係数に近い基板を採用することが望ましい。そのため、上記アルミニウム系III族窒化物半導体発光素子を形成する基板としては、窒化アルミニウムや窒化アルミニウムガリウム等のIII族窒化物単結晶基板が好適に用いられている。
上記III族窒化物単結晶基板の製造方法としては、昇華(PVT:Physical Vapor Transport)法や有機金属気相成長(MOCVD:Metalorganic Chimical Vapor Deposition)法、ハイドライド気相エピタキシー(HVPE:Hydride Vapor Phase Epitaxy)法等の気相成長法が知られている。PVT法とは、固体のIII族窒化物を高温で昇華させ、低温のベース基板上で析出させることでIII族窒化物単結晶を成長させる方法である。高い成長速度で厚膜を成長することが可能であるというメリットがある。一方、MOCVD法や、HVPE法は、ベース基板上に、III族源ガスと窒素源ガス(例えば、アンモニアガス)とを反応させて、単結晶を製造する方法である。
上記の気相成長法の課題として、ベース基板表面或いは該III族窒化物単結晶層中への不純物元素や異物の混入がある。異物が結晶成長表面に付着した状態で結晶成長を行うと、付着した異物周辺における結晶成長異常による結晶欠陥の発生や成長層の膜厚異常の要因となる。このような表面形状の異常は、具体的には、ノマルスキー微分干渉顕微鏡観察において比較的大きな凸部(以下、ヒロックと称す)として観察されたり、反射X線トポグラフ評価によって、他の領域の画像よりも明るい点(以下、明点と称す)として観察されるものである。上記結晶欠陥の発生はIII族窒化物単結晶層上の積層される発光素子における発光効率の低下等の性能低下の要因となる。また、異物が付着した箇所は他の領域と比べて機械強度が著しく低下し、研磨加工時においてピット(窪み)を形成するばかりでなく、発光素子層を積層させた後にチップ形状に切断加工する際に、加工割れの起点となりやすく、該基板を用いて製造される発光素子の歩留を大きく低下させる要因となるため、III族窒化物単結晶積層体の製造時における異物の混入は可能な限り低減させることが必要である。
ここで、不純物元素や異物の混入は、反応装置がIII族原料ガス等の雰囲気ガスに侵され、雰囲気中に放出される場合や、反応中に複製するIII族窒化物粒子等がベース基板に付着することが原因であると考えられており、これらの不純物元素や異物の混入を防ぎながら、結晶成長を行う方法は種々提案されている。例えば、炭素原子を含むガスを発生させない材料からなる部材のみで構成した装置(特許文献1参照)、第13族金属原料の熱膨張及び粘性の調整(特許文献2参照)、耐腐食性材料の使用(特許文献3参照)が行われている。
さらに近年、より高品質な単結晶が望まれており、気相成長中の副生成物を抑制する方法が種々検討されている。例えば、原料ガスであるハロゲン化アルミニウムガスと窒素源ガスとを塩化水素ガスのようなハロゲン系ガス存在下で反応させることにより、一ハロゲン化アルミニウムガスの平衡分圧を格段に下げて単結晶を製造する方法が知られている(特許文献4参照)。また、反応器内のガスの流れを調整することにより、気相反応で生じた粒子(付着粒子:ノマルスキー微分干渉顕微鏡(100〜500倍で観察)で観察される粒子)が結晶成長面に付着するのを防止し、高品質な単結晶を製造する方法が知られている(特許文献5参照)。さらに、原料ガスを供給する前にハロゲン系ガスを供給することで、反射X線トポグラフにより明点として観察される結晶欠陥を低減できる方法が知られている(特許文献6、7参照)。
国際公開WO2013/094958号 特許6070297号 特表2009−536605号 特開2015−017030号 国際公開WO2014/031119号 特開2016−216342 国際公開WO2016/076270号
上記の方法により気相成長法における不純物元素や異物の混入、副反応の抑制がある程度達成され、高品質なIII族窒化物単結晶層が製造できるようになってきているが、本発明者らの検討により、上記対策を講じてもなお、異物の混入が完全には抑制できないことが判明した。特に、同じ気相成長装置を用いて繰り返しIII族窒化物単結晶の成長を行った際には、繰り返す回数が増加するにつれてIII族窒化物単結晶層上に異物の混入によるものと推測されるヒロックや明点の発生数が増加することも明らかとなった。特に、前述の異物の付着のなかでも、気相成長開始から数分から数時間の間に前記異物を起点としてミリメートル規模の目視での観察も容易となる多結晶に成長するものも観られ、このような異物起点の多結晶が成長すると、得られたIII族窒化物単結晶層の表面を平坦化し、最終的に化学的機械的研磨(CMP)を実施した際に、前記多結晶部分が凹部となって残り、場合によってはIII族窒化物単結晶層を貫通するような孔が形成される。
通常、同じ気相成長装置を用いて繰り返しIII族窒化物単結晶の成長を行う際には、結晶成長装置内の異物等を除去するため、キャリアガス、或いは、塩化水素ガスや塩素ガス等の酸性ガス等による加熱クリーニング処理を行った後に結晶成長を行うが、かかる加熱クリーニングによっても異物が完全には除去できないことが判明した。すなわち本発明の目的は、結晶成長時における異物の混入を防止し、単結晶層への異物の混入や単結晶層表面の凹部の発生が抑制された高品質のIII族窒化物単結晶積層体の製造方法を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決するため、鋭意検討を行った。まず、気相成長後の装置内に付着している異物について詳細に分析を行った結果、塩化アルミニウムや塩化ガリウム等のIII族金属由来の異物が主成分であることを見出した。また、これらの異物は、特にMOCVD法や、HVPE法において、原料となるIII族源ガスを製造する原料部に多く付着していることが判明した。さらに、原料部に付着している塩化アルミニウムや塩化ガリウム等のIII族金属由来成分は、その次のIII族窒化物単結晶の成長の直前や成長中に、原料部の加熱やキャリアガス流量の変化等をきっかけに脱離し、原料部より同伴されて、気相成長を行う成長部に持ち込まれることも判明した。
上記知見を元にさらに検討を進めた結果、気相成長を行った装置から単結晶層が成長したベース基板を取り除いた後に、原料部を取り外して原料部に付着する上記異物を除去した後に気相成長を行うことで、単結晶層への異物の混入や単結晶層表面の凹部の発生が抑制できることを見出し本発明を完成させるに至った。
すなわち、第1の本発明は、III族源ガスを生成し成長部に供給する第1の原料供給部と、窒素源ガスを成長部に供給する第2の原料供給部、及び、該原料供給部より供給されたIII族源ガスと窒素源ガスとを反応させてベース基板上にIII族窒化物単結晶層を成長させる成長部を有する結晶成長装置を用いて、ベース基板上にIII族窒化物単結晶を成長させるIII族窒化物単結晶積層体の製造方法であって、ベース基板上にIII族窒化物単結晶層を成長させてIII族窒化物単結晶積層体を製造した後、該積層体を成長部より取り外し、次いで前記第1の原料供給部に付着したIII族金属成分を除去した後、新たなベース基板上にIII族窒化物単結晶層を成長させることを特徴とするIII族窒化物単結晶積層体の製造方法である。上記III族窒化物単結晶積層体の製造方法において、以下の態様が好適に採り得る。
1)前記第1の原料供給部に付着したIII族金属成分を除去する方法が、該原料部を水溶液で洗浄する方法であること。
2)前記第1の原料供給部を洗浄する水溶液が酸性もしくはアルカリ性であること。
3)前記第1の原料供給部を洗浄する水溶液が酸化剤を含有すること。
4)前記第1の原料供給部を洗浄する水溶液が過酸化水素および硫酸を含有すること。
5)前記第1の原料供給部に付着したIII族金属成分を除去する方法が、該原料部表面を研磨する方法であること。
6)前記III族源ガスがIII族ハロゲン化物ガスであること。
また、第2の本発明は、基板上にIII族窒化物単結晶層が積層されたIII族窒化物単結晶積層体であって、該単結晶層の表面粗さRaが0.5nm以下であり、且つ直径0.01mm以上2mm以下であり深さが膜厚の50%以上である凹部を有さないIII族窒化物単結晶積層体である。上記III族窒化物単結晶積層体において、以下の態様が好適に採り得る。
i)III族窒化物単結晶層に含まれるケイ素、酸素、及び炭素の合計不純物濃度が1×1018atom/cm以下であること。
本発明のIII族窒化物単結晶積層体の製造方法によれば、単結晶層の成長時における異物の付着を防止することができる。このため、結晶欠陥や異物の混入が非常に少ないIII族窒化物単結晶積層体を製造することができる。特に同じ結晶成長装置を用いて繰り返しIII族窒化物単結晶積層体を製造する際においても製造回数を重ねても安定的に異物の付着を防止することができるため、安定的に結晶欠陥や異物の混入が非常に少ないIII族窒化物単結晶積層体を製造することができる。
このため本発明の製造方法で得られるIII族窒化物単結晶積層体は、結晶欠陥が少なく、研磨加工時に凹部や貫通孔を形成することがないため、該III族窒化物単結晶積層体上にIII族窒化物半導体発光素子層を積層させる際に、均一に積層させることが可能であり、発光素子層を形成したウェハを製造した後、該ウェハを切断して発光ダイオードとした際、該発光ダイオードの歩留を向上することができる。
本発明の製造方法に用いる気相成長装置の一例の概略図である。
(III族窒化物単結晶積層体の製造方法)
本発明の製造方法は、III族源ガスと窒素源ガスとを反応させてベース基板上にIII族窒化物単結晶層を製造するIII族窒化物単結晶積層体の製造を繰り返し行う際に、III族源ガスを生成し成長部に供給する原料供給部に付着したIII族金属成分を除去した後、ベース基板上にIII族窒化物単結晶層を成長させることが特徴である。上述したとおり、単結晶層への異物の混入や単結晶層表面の凹部の発生の要因として塩化アルミニウムや塩化ガリウム等のIII族金属成分由来の異物が主成分であると推測される。気相成長装置内部壁面に付着した異物の脱離は窒化ガリウムといったアルミニウムを含まないIII族窒化物結晶の成長においても観られるが、特に窒化アルミニウム単結晶や窒化アルミニウムガリウム、等アルミニウムを含む窒化物単結晶等のアルミニウム系III族窒化物単結晶のような高温下で気相成長を行う場合に顕著に生じる傾向がある。また、III族窒化物単結晶積層体の製造を繰り返し行う際には、III族源ガスの原料となるIII族金属を原料部に都度投入することになるが、投入の際に原料部表面に傷が入ると、かかる箇所に上記異物が付着しやすい傾向にある。通常、同じ気相成長装置を用いて繰り返しIII族窒化物単結晶の成長を行う際には、結晶成長装置内の異物等を除去するため、キャリアガス、或いは、塩化水素ガスや塩素ガス等の酸性ガス等による加熱クリーニング処理を行った後に結晶成長を行うが、塩化アルミニウムや塩化ガリウム等のIII族金属成分由来の異物は、かかる加熱クリーニングによっても完全には除去できず、特にMOCVD法や、HVPE法において、原料となるIII族源ガスを製造する原料部に多く付着しているため、原料供給部に付着したIII族金属成分を除去した後に、基板上にIII族窒化物単結晶を成長させることで、結晶成長時における異物の混入を防止し、単結晶層への異物の混入や単結晶層表面の凹部の発生が抑制された高品質のIII族窒化物単結晶積層体を得ることができるものと推測される。
III族窒化物単結晶の製造には気相成長法の中でもハイドライド気相成長(HVPE)法を用いることが好ましく、HVPE法のなかでも窒化アルミニウム単結晶や窒化アルミニウムガリウム等アルミニウムを含む窒化物単結晶を成長する場合に効果が顕著となる。これら気相成長法のリアクタ形状は、ベース基板の結晶成長面と原料ガスフローが平行の位置関係であっても、垂直の位置関係であってもよく、ベース基板の結晶成長面と原料ガスフロー傾斜角度を有していても良い。
図1に本発明の一実施形態に係る気相成長装置(HVPE装置)100の概念図を示す。III族源ガスを生成する第1の原料供給部においては、金属原料40を原料部反応管38に収納し、外部加熱手段35等により所定の温度に加熱した状態で上流側に設けられた原料発生用ハロゲン系ガス導入管39よりハロゲンガスやハロゲン化水素ガス等の原料発生用ハロゲン系ガスを導入し、該ハロゲン系ガスと金属原料を反応させることによりIII族源ガスを生成させる。
第1の原料供給部に使用する原料部反応管38の材質としては、石英ガラスや、窒化ホウ素、アルミナ、サファイア(アルミナ単結晶)、炭化ケイ素、窒化ケイ素、白金、フッ素樹脂、タングステン、モリブデンが使用可能であるが、特に窒化ホウ素やサファイア、フッ素樹脂を使用すると本発明の効果をより顕著に得ることが可能である。また、原料部反応管38の基本構造体は石英ガラスとして、金属原料40や金属原料と原料発生用ハロゲン系ガスとの接触によって生成するIII族源ガスが接触する部分のみを、前記規定の材質とすることもできる。
III族窒化物単結晶層の成長は、前記第1の原料供給部より供給するIII族源ガスと、第2の原料供給部から供給する窒素源ガスとを反応管30の成長部反応域31に供給し、加熱されたベース基板10上で両ガスを反応させることにより行われる。III族源ガスには、塩化アルミニウムガスや塩化ガリウムガス等のハロゲン化物ガスや、アルミニウムを含む有機金属ガスやガリウムを含む有機金属ガスとハロゲン化水素ガスの混合ガスが用いられる。また、窒素源ガスにはアンモニアガスが好適に使用される。これらの原料ガスは、水素ガス、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等のキャリアガスとともに供給し、キャリアガスは前記のものを単独で使用しても混合してしてもよい。さらに、III族源ガスや窒素源ガスにはハロゲンガスやハロゲン化水素ガス等の適宜ハロゲン系ガスを追加供給し、III族ハロゲン化ガスからの不均化反応によるIII族金属の発生を抑制してもよい。これらの各種ガス供給量をはじめ、ベース基板10に供給するハロゲン系ガス供給ノズル42の形状やリアクタ形状、キャリアガスの組成、キャリアガス供給量、線速度、成長圧力、ベース基板10の加熱温度(成長温度)等の成長にかかわる条件を適宜調整し、所望する成長速度において良好な結晶品質が得られるように調整すれば良い。これらの典型的な成長条件としては、III族源ガス:0.1〜1000sccm、窒素源ガス:1〜10000sccm、追加供給するハロゲン系ガス:0.1〜10000sccm、キャリアガスの総流量:1000〜100000sccm、キャリアガスの組成:窒素、水素、アルゴン、ヘリウム(ガス組成は任意)、III族源ガスを供給するノズル噴出口の線速度:50〜500cm/sec、窒素源ガスを供給するノズル噴出口の線速度:10〜400cm/sec、リアクタ全体を押し流すガスの線速度:5〜200cm/sec、成長圧力:36〜1000Torr、ベース基板の加熱温度(成長温度):1200〜1800℃である。
通常のIII族窒化物単結晶の成長手順としては、前記反応管30内にベース基板10を設置した後、反応管30内をIII族源ガスと窒素源ガスを含まないキャリアガスを流通した状態で、原料反応管30とベース基板10をそれぞれ所定の温度に加熱する。次いで、III族源ガスおよび窒素源ガスの供給を開始してベース基板10上にIII族窒化物単結晶の成長を開始し、所望の膜厚が得られるまで前記原料ガスの供給を継続する。所望の膜厚に到達後、III族源ガスおよび窒素源ガスの供給を停止し、ベース基板10とベース基板10上に成長したIII族窒化物単結晶層を冷却後に反応管30から取り出す。その後、成長部反応域周辺のベース基板10以外に析出したIII族窒化物を除去するために、反応管30内部のクリーニングを行う。サセプタ32やベース基板10周辺の部材、III族源ガス供給ノズル42、窒素源ガス共有ノズル45、反応管30等はクリーニング済みの部材に適宜交換しても良いし、反応管30内部にIII族窒化物を分解することのできるクリーニングガス(例えば塩素ガスや塩化水素ガス)を供給して成長部反応域周辺の析出部分を加熱状態に保持することで、析出したIII族窒化物を除去することもできる(加熱クリーニングという)。クリーニング終了後は、必要に応じて成長部反応域31をキャリアガスを流通した状態で空焼処理する。加熱クリーニング処理と空焼を兼ねる場合は、空焼処理は省略される。このような手順を一つのサイクルとして、反応管30内に次のサイクルのベース基板を設置してIII族窒化物単結晶の成長を行い、その後もサイクルを繰り返し行う。このとき、原料部反応管30に収納した金属原料40は前記サイクルの繰り返しにより徐々に消費されるが、必ずしも金属原料40の補充をサイクル毎に実施する必要はなく、原料発生用ハロゲン系ガスと金属原料40と適切に反応するように残存量を管理し、補充する際には前記クリーニング処理前後に行う。
ベース基板10上に形成されたIII族窒化物単結晶層の表面は、公知の研削方法や化学的機械的研磨を用い、III族窒化物単結晶層表面が平坦化されたIII族窒化物単結晶積層体となる。
(原料供給部に付着したIII族金属成分を除去する方法)
本発明の製造方法では、前記の通常の成長サイクルにおいて、III族窒化物単結晶を反応管30から取り出した後に第1の原料供給部である原料部反応管38を反応管から取り外し、原料部反応管の表面に付着したIII族金属成分を除去する工程を含む。
第1の原料供給部に付着したIII族金属成分とは、III族窒化物単結晶層を成長した時に発生するものであり、III族金属と塩素が主成分である。これらは、第1の原料供給部内に存在するIII族金属を含む金属原料40が原料発生用ハロゲン系ガスと反応した際に生成する、塩化アルミニウム成分や塩化ガリウム成分が主に原料部反応管38の内側壁面に析出したものと考えられる。第1の原料供給部内に前記III族金属成分が残留した状態で、次にIII族窒化物単結晶層の成長に移行すると、析出した前記III族金属成分が成長前のベース基板の昇温時や結晶成長時において脱離を起こし、脱離したIII族金属成分はキャリアガスと共にベース基板に輸送されて表面に付着し、この付着したIII族金属成分を起点に多結晶が発生し、III族窒化物単結晶層の結晶品質を低下させる。
III族窒化物単結晶層の成長のサイクルを連続して行う場合には、第1の原料供給部に付着したIII族金属成分を毎回除去する工程を実施し、このIII族金属成分の検出量を低く抑えるほど、CMP後のIII族窒化物単結晶積層体の直径0.01mm以上2.0mm以下であり深さが膜厚の50%以上である凹部が抑制され、そのようなIII族窒化物単結晶積層体を繰り返し再現性よく得ること、すなわち歩留を改善することが可能となる。
原料部反応管38の表面に付着したIII族金属成分を除去する手段としては原料部反応管38を純水で洗浄する方法や、酸性水溶液やアルカリ水溶液で洗浄する方法が挙げられる。さらに除去効果を高めるために酸性水溶液やアルカリ性水溶液に標準酸化還元電位を高めるような添加剤を加えて洗浄しても良い。また、これらの洗浄においては、洗浄効果を高めるために適宜洗浄液を加温することや超音波振動を加えることも有効である。
第1の原料供給部に付着したIII族金属成分の除去効果の確認は、上記原料部反応管38の材質と同様の試験小片を準備し、試験小片を第1の原料供給部、すなわち原料部反応管の内側に設置し、III族窒化物単結晶層を成長させた後の試験小片に付着しているIII族金属成分の量と、III族金属成分の除去工程を行った後の試験小片に付着しているIII族金属成分の量を比較することにより可能である。分析方法としては試験小片をエネルギー分散型元素分析(EDS)により検出することができる。
(水溶液による洗浄)
原料部反応管38の表面に付着したIII族金属成分を除去する手段として水溶液による洗浄を行う場合、純水で洗浄する際は、金属イオン不純物や総有機炭素量(Total Organic Carbon:TOC)が低減された超純水を使用することが好ましく、比抵抗が18MΩ・cm(25℃)以上を有し、かつ総有機炭素量が50ppb以下に管理された超純水を使用することが好ましい。洗浄の際には浸漬洗浄もしくは流水洗浄のどちらかもしくは両方を使用すれば良い。洗浄時間としては1分〜300分の範囲から洗浄効果のある時間を適宜選択すれば良い。
酸性水溶液で洗浄する際には、硝酸、塩酸、硫酸、フッ化水素酸等の酸溶液の原液もしくは希釈水溶液を使用することができる。一方、アルカリ水溶液で洗浄する際には、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の一般的な無機アルカリを水溶液化したものや、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドやテトラエチルアンモニウムハイドロオキサイドのような有機アルカリ水溶液を適宜希釈して使用することができる。酸またはアルカリの濃度は、濃い方が効果は高まるため、酸性、或いはアルカリ性の水溶液を用いる際の水溶液のpHとしては、3以下もしくは10以上が好ましく、2以下もしくは12以上がより好ましく、特に1以下もしくは13以上であることが最も好ましい。洗浄時間としては通常1分〜300分の範囲から洗浄効果のある時間を適宜選択すれば良い。洗浄温度についても、室温もしくは室温以上に加温して洗浄すれば良い。
さらに、酸性もしくはアルカリ性水溶液による洗浄を行う際に酸化剤を添加することで標準酸化還元電位を高め、付着したIII族金属成分の除去効果を高めることができる。有効な酸化剤としては、過酸化水素水が高い標準酸化還元電位を有し、かつ取扱いが比較的容易であるため好ましい。なかでも、硫酸と過酸化水素水の混合液や、塩酸と過酸化水素水の混合液、アンモニア水と過酸化水素水の混合液は、前記の好ましいpHと高い標準酸化還元電位を兼ねるため洗浄効果が高まる。これらの混合液で洗浄する際の温度は、50℃以上200℃以下が好ましく、より好ましくは70℃以上180℃以下、さらに好ましくは90℃以上150℃以下の範囲で適宜選択すれば良い。洗浄時間としては1分から120分の範囲から洗浄効果のある時間適宜選択すれば良い。
上記の酸性もしくはアルカリ性水溶液による洗浄後、純水、より好ましくは超純水を使用して原料部反応管38表面に付着した酸性もしくはアルカリ性成分、酸化剤成分を除去し、原料部反応管38を乾燥させる。
(研磨によりIII族金属成分を除去する方法)
また、III族金属成分を除去する観点では、原料部反応管38の外側表面および金属原料40が収納される内側表面を研磨により物理的に除去することも有効である。研磨はダイヤモンドやアルミナ、SiC等の公知の研磨剤を使用して厚さを管理しながら研磨する。ノギスの最小目盛りである0.05mm以上の厚さを研磨することが好ましい。研磨後は、研磨剤の残留を除去し、純水、より好ましくは超純水でリンスした後に原料部反応管を乾燥させる。
(III族金属成分除去後の操作)
上記原料部反応管38の表面に付着したIII族金属成分を除去、乾燥後、原料部反応管38を反応管に再設置するとともに、原料部反応管38の内部に金属原料40を設置する。その後、ベース基板10を設置してIII族窒化物単結晶層の成長工程に移行する。III族窒化物単結晶の成長工程への移行前に空焼を行い、洗浄によって原料部反応管の表面に吸着した水分や、原料部反応管を取り出した際に反応管30内に混入した大気成分を除去することもできる。空焼工程を実施することにより、次のIII族窒化物単結晶の成長時に混入する酸素不純物量を低減することができる。
(III族窒化物単結晶積層体)
本発明の製造方法により得られたIII族窒化物単結晶積層体のIII族窒化物単結晶層の表面は、表面粗さ(Ra、算術平均粗さ)が0.5nm以下の表面を有する。これはIII族窒化物単結晶層の平坦面の任意の箇所を走査プローブ顕微鏡により□2μmもしくは5μmの範囲の視野で観察したときの表面粗さである。さらに、凹部とは、必ずしも真円形状ではないが、真円で近似した際に最大径となる部分を直径とすると、0.01mm以上2.0mm以下となり、深さがIII族窒化物単結晶層の膜厚の50%以上となるものを指すが、本発明ではこのような凹部を再現性良く無くすことが可能となる。
このため、本発明で得られたIII族窒化物単結晶積層体の上に、MOCVD法等を使用して直接n形層や発光層、p形層等の発光ダイオードの素子層を形成することも可能である。III族窒化物単結晶積層体の上に素子層を形成する場合、最終的にベース基板側を研削により除去し、本発明のIII族窒化物単結晶積層体と素子層からなる発光ダイオードとすることもできる他、ベース基板を除去せずに本発明のIII族窒化物単結晶積層体と素子層からなる発光ダイオードとすることもできる。また、本発明のIII族窒化物単結晶積層体のうち、III族窒化物単結晶層とベース基板部分を公知の方法により分離することにより、本発明の方法で厚膜成長したIII族窒化物単結晶のみからなるIII族窒化物単結晶自立基板とすることもできる。当然、III族窒化物単結晶自立基板の上にMOCVD法等を使用して素子層を形成することが可能である。
本発明のIII族窒化物単結晶積層体は、第1の原料供給部の清浄性を一定の状態に維持できるため、前記の異物付着の抑制効果の他に、シリコンや酸素、炭素といった主要不純物濃度のバラツキが小さい。不純物濃度は二次イオン質量分析により分析することが可能であり、前記の主要な不純物濃度の総和を1×1018atom/cm以下、さらには5×1017atom/cm以下、またさらには2×1017atom/cm以下とすることができる。
また、本発明のIII族窒化物単結晶積層体は、前記と同様に第1の原料供給部の清浄性を一定の状態に維持できるため、主要不純物の低減に加えて不純物の混入に誘起される点欠陥の量のバラツキが小さい。点欠陥の量は、励起光源に波長193nmのアルゴンフッ素ガスのエキシマーレーザーを使用したフォトルミネッセンス測定を行い、バンド端付近の発光強度(I)、バンド構造の中間の準位からの発光強度(I)の比(I/I)から推定でき、発光強度比が小さいほど点欠陥の量が少ないとみなすことができる。例えばIII族窒化物単結晶層が窒化アルミニウムの場合には、室温において波長209nmにバンド端付近の発光が観られ、波長300〜400nmの範囲に典型的な点欠陥の発光が観測される。それぞれの発光強度の強度からバックグラウンドの強度を差し引いた後に強度比を計算し、強度比は0.3以下、さらには0.1以下となる。また、繰り返しIII族窒化物単結晶層を成長したした際、その平均値は0.15以下となり、その標準偏差は0.1以下となる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、III族金属成分の測定方法、表面粗さRa及びIII族窒化物単結晶層の凹部の測定方法、III族窒化物単結晶層の不純物分析方法、及び、フォトルミネッセンス測定による発光強度測定方法は、以下の方法により行った。
(III族金属成分の測定方法)
第1の原料供給部に付着したIII族金属成分の除去効果の確認は、第1の原料供給部に使用する原料部反応管38の材質と同様の試験小片を準備し、試験小片を第1の原料供給部、すなわち原料部反応管の内側に設置し、III族窒化物単結晶層を成長させた後の試験小片に付着しているIII族金属成分の量と、III族金属成分の除去工程を行った後の試験小片に付着しているIII族金属成分の量を比較することにより見積もった。本実施例では走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ製S−3400N)を用いて加速電圧を15kV、プローブ電流60μAとして、試験小片の分析箇所に電子線を照射し、積算時間30秒の条件にてエネルギー分散型元素スペクトル(EDS)を収集した。
(表面粗さRa及びIII族窒化物単結晶積層体の凹部の測定方法)
III族窒化物単結晶積層体のIII族窒化物単結晶層の表面を走査プローブ顕微鏡により測定した。観察視野は□2μmの範囲として観察したときの表面粗さRaを求めた。測定した際に表面に異物が確認された際には、WO2016/039116に記載の洗浄を行った後に観察した。
(III族窒化物単結晶層の不純物分析方法)
III族窒化物単結晶層の不純物濃度は二次イオン質量分析により分析した。分析装置としてCAMECA製IMS−7Fを使用し、1次イオン種としてCs+を使用し、1次加速電圧を15.0kVとして検出領域をφ30μmとした。質量分析のシグナルは、別途取得した検量線データを比較して不純物濃度を見積もった。
(フォトルミネッセンス測定による発光強度測定)
励起光源として波長193nmのアルゴンフッ素ガスのエキシマーレーザーを使用し、エキシマーレーザーの焦点をIII族窒化物単結晶積層体の表面にフォーカスするように表面に対して垂直に照射した。フォトルミネッセンス光を分光器(光路長640mm)、グレーディング(300本/mm)の条件にて波長200−700nmの範囲の情報を収集した。得られたフォトルミネッセンススペクトルのバンド端付近の発光強度(I)と、バンド構造の中間の準位(ディープ発光)からの発光強度(I)から、比(I/I)を計算した。本実施例では、III族窒化物単結晶積層体が窒化アルミニウムの場合には、室温において波長209nmにバンド端付近の発光が観られ、波長300〜400nmの範囲に典型的な点欠陥の発光が観測される。それぞれの発光強度からバックグラウンドの強度を差し引いた後に強度比を計算した。
実施例1
III族窒化物単結晶として窒化アルミニウムを成長した実施例であり、成長には図1に示すHVPE装置を使用した。本実施例の実施前の成長バッチにおいて、後述する本実施例と同様の成長条件で窒化アルミニウム単結晶の成長を予め行い、該窒化アルミニウム単結晶を成長したベース基板を取り出した。また、成長部側のサセプタ等の部材や反応管内壁への析出物を除去するクリーニングを実施した。
(第1の原料供給部に付着したアルミニウム成分の除去)
次いで、第1の原料供給部である原料部反応管を取り出した。原料部反応管の構造体自体は石英ガラスからなり原料金属を収納する部分は窒化ホウ素(熱分解窒化ホウ素)からなる管でできており、その窒化ホウ素製原料部反応管の内側には、III族源原料である高純度アルミニウム金属(直径4mm、長さ5mmのペレット状、純度99.9999%以上、残留重量300g)が収納されており、高純度アルミニウムを別途用意した石英ガラス製容器に一旦取り出してクリーンベンチ内に保管した。取り出した前記窒化ホウ素製原料部反応管を、比抵抗が18.2MΩ・cm、総有機炭素量(TOC)が5ppbの超純水流水中(2L/min)にて20分間流水洗浄し、第1の原料供給部である原料部反応管に付着したアルミニウム成分を除去した。洗浄後、クリーンベンチ内において窒化ホウ素製原料部反応管を60分間静置乾燥した。
(第1の原料供給部の再装着)
前記原料部反応管が乾燥した後、該原料部反応管内から一旦取り出していた高純度アルミニウム金属を再び該原料部反応管に充填し、次いでHVPE装置に第1の原料供給部を再装着した。また、成長部側についても、成長部側に付着した基板周辺のサセプタ等の部材やIII族源ガス供給ノズル、窒素源ガス供給ノズルは、予め部材の洗浄処理を行って析出物を除去した部材に交換し、次の窒化アルミニウム単結晶の成長の準備を行った。その後、HVPE装置内部に侵入した大気成分を除去するために、真空引きとキャリアガスの充填を複数回繰り返して、HVPE装置内をパージした。
(HVPE装置の空焼)
次に、第1の原料供給部やHVPE装置内部に吸着した水分を除去するために空焼を行った。空焼は、HVPE装置内の各ガス供給管からキャリアガスを供給しながら、第1の原料供給部の温度が400℃になるように原料部外部加熱手段である抵抗加熱電気炉に電力を印加し、一方、成長部側は高周波加熱コイルに電力を印加してサセプタを加熱して、窒化アルミニウム単結晶の成長温度である1500℃とし、反応管内壁を前記サセプタからの輻射熱で加熱した。最高温度に達した状態で30分間保持した後、室温まで冷却した。
(III族窒化物単結晶層の成長)
冷却後、次の窒化アルミニウム単結晶層を成長するための新たなベース基板をサセプタ上に設置した。ベース基板には直径25.4mmで厚さ500μmの昇華法で製造したc面窒化アルミニウム単結晶を使用した。次いで、HVPE装置内の各ガス供給管からキャリアガスを流通した状態で、第1の原料部温度を400℃、サセプタおよび基板温度を1500℃に加熱した。到達後に、第1の原料供給部に原料発生用ハロゲン系ガス導入管を通して塩化水素ガスを供給し、さらに第1の原料供給部で生成した塩化アルミニウムガスに、追加ハロゲン系ガス導入管を通じて供給した塩化水素ガスを混合し、得られた塩化アルミニウムガスと塩化水素ガスの混合ガスをIII族源ガス供給ノズルを通じてベース基板上に供給した。さらに、窒素源ガス導入管を通してアンモニアガスおよび塩化水素ガスを供給して、ベース基板上に単結晶窒化アルミニウムの成長を開始した。ベース基板中心位置における成長速度は55μm/hであり、6時間成長することによって膜厚330μmの窒化アルミニウム単結晶層を成長した。所定時間を経過後、塩化アルミニウムガス、塩化水素ガス、アンモニアガスの供給を停止し、室温まで冷却した。
窒化アルミニウム単結晶層を成長したベース基板を取り出し、該窒化アルミニウム単結晶層表面を研削による平面出しと化学的機械的研磨により原子ステップが現れるまで平坦化し、窒化アルミニウム単結晶積層体を得た。窒化アルミニウム単結晶積層体の平坦部を走査プローブ顕微鏡により□2μm範囲の視野で観察したところ、Raは0.18nmであった。また、直径が0.01mm以上2.0mm以下であり、深さがIII族窒化物単結晶層の膜厚の50%以上となる凹部は0個であった。また、得られた窒化アルミニウム単結晶層のシリコン濃度は3×1017atom/cm、酸素濃度は5×1017atom/cm、炭素濃度は6×1015atom/cmであり、主要不純物の総和は8.1×1017atom/cmであった。
以降、窒化アルミニウム単結晶層を成長したベース基板を取り出した後は、再び第1の原料供給部に付着したIII族金属成分の除去の工程および反応管内部のクリーニングの工程に移行し、次のバッチの窒化アルミニウム単結晶の成長を繰り返し行った。30回繰り返した結果、凹部の発生割合は30%であり、第1の原料供給部に付着したIII族金属成分の除去工程を含まない場合と比較して凹部の発生が低減した。
(付着したIII族金属成分の分析)
第1の原料供給部である原料部反応管と同じ材質からなる窒化ホウ素製の□10mm、厚さ1mmの試験小片を2枚準備した。本実施例の実施前の成長バッチにおいては、これらの試験小片を第1の原料供給部内に設置した状態でIII族窒化物単結晶の成長を実施した。前述の第1の原料供給部である原料部反応管を取り出した際に、試験小片2枚も取り出して、そのうち1枚を原料部反応管と同様の洗浄方法で流水洗浄し、クリーンベンチ内にて乾燥した。その後、実際に窒化アルミニウム単結晶を行う直前の状態を調べるため、水洗と乾燥を行った試験小片は、第1の原料供給部内部に戻して前記空焼工程と同様の雰囲気保持と加熱による処理を行った。空焼の後に試験小片を取り出すため、試験小片を得るための空焼工程は、窒化アルミニウム単結晶の繰り返し成長とは別バッチで行った。
これらの水洗、乾燥、空焼済みの試験小片と、未処理の試験小片の表面をエネルギー分散型元素分析(EDS)で付着しているアルミニウム成分を分析した。窒化ホウ素の表面元素分析を行う際には、窒化ホウ素を倍率200倍以上の高倍率で観察した時に平坦部よりも局所的に凸状の表面形状を有するグレイン部分を測定した。この箇所は、周辺の平坦な窒化ホウ素よりも酸素成分を多く含み、平坦部よりも多くのアルミニウム成分を吸着しやすい箇所であることがわかっている。また、当該個所をラマン測定すると、窒化ホウ素のラマンシフト(E2g)が1350〜1370cm−1の領域に観測される他に、波数2800〜3000cm−1付近にピークが検出される。その結果、付着していたアルミニウム成分は、洗浄なし(未処理)の存在量を1とした時に、アルミニウム成分が0.67、塩素成分が0.14に低減していた。
なお、未処理の試験小片は、試験小片をHVPE装置に出し入れするための最小限度の時間のみ第1の原料供給部に大気が流入する状態と等価である。すなわち、第1の原料供給部を取り外すことなくIII族窒化物単結晶の成長を繰り返す場合のアルミニウム成分の吸着状態に相当し、比較例1の分析結果に相当するものである。
実施例2〜6、比較例1〜3
表1に示す条件にて第1の原料供給部に使用した原料部反応管材質と、第1の原料供給部に付着するアルミニウム成分の除去方法を行った以外は、実施例1と同様にIII族窒化物単結晶の成長を行った。結果を表2に示す。
Figure 2019094239
Figure 2019094239
100 気相成長装置(HVPE装置)
10 ベース基板
30 反応管
31 成長部反応域
32 サセプタ
33 押し出しキャリアガス導入部
34 排気部
35 原料部外部加熱手段
36 成長部外部加熱手段
37 高周波加熱コイル
38 原料部反応管(第一の原料供給部)
39 原料発生用ハロゲン系ガス導入管
40 アルミニウム原料
41 追加ハロゲン系ガス導入管
42 III族源ガス供給ノズル
43 窒素源ガス導入管
44 追加ハロゲン系ガス(窒素源ガス用)導入管
45 窒素源ガス供給ノズル(第二の原料供給部)

Claims (9)

  1. III族源ガスを生成し成長部に供給する第1の原料供給部と、窒素源ガスを成長部に供給する第2の原料供給部、及び、該原料供給部より供給されたIII族源ガスと窒素源ガスとを反応させてベース基板上にIII族窒化物単結晶層を成長させる成長部を有する結晶成長装置を用いて、ベース基板上にIII族窒化物単結晶層を成長させるIII族窒化物単結晶積層体の製造方法であって、
    ベース基板上にIII族窒化物単結晶層を成長させてIII族窒化物単結晶積層体を製造した後、該積層体を成長部より取り外し、
    次いで前記第1の原料供給部に付着したIII族金属成分を除去した後、新たなベース基板上にIII族窒化物単結晶を成長させることを特徴とするIII族窒化物単結晶積層体の製造方法。
  2. 前記第1の原料供給部に付着したIII族金属成分を除去する方法が、該原料供給部を水溶液で洗浄する方法である請求項1記載の方法。
  3. 前記第1の原料供給部を洗浄する水溶液が酸性もしくはアルカリ性である請求項2記載のIII族窒化物単結晶積層体の製造方法。
  4. 前記第1の原料供給部を洗浄する水溶液が酸化剤を含有する請求項2または3記載のIII族窒化物単結晶積層体の製造方法。
  5. 前記第1の原料供給部を洗浄する水溶液が過酸化水素および硫酸を含有する請求項4記載のIII族窒化物単結晶積層体の製造方法。
  6. 前記第1の原料供給部に付着したIII族金属成分を除去する方法が、該原料供給部表面を研磨する方法である請求項1記載の方法。
  7. 前記III族源ガスがIII族ハロゲン化物ガスである請求項1〜6のいずれか1項に記載のIII族窒化物単結晶積層体の製造方法。
  8. ベース基板上にIII族窒化物単結晶層が積層されたIII族窒化物単結晶積層体であって、
    該単結晶層の表面粗さRaが0.5nm以下であり、且つ
    直径0.01mm以上2mm以下であり深さが膜厚の50%以上である凹部を有さないIII族窒化物単結晶積層体。
  9. III族窒化物単結晶層に含まれるケイ素、酸素、及び炭素の合計不純物濃度が1×1018atom/cm以下である請求項8記載のIII族窒化物単結晶積層体。
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