以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。尚、以下の説明においては、まず、本発明の実施形態に係るラップドVベルトの製造方法によって製造されるラップドVベルトの構成について説明し、次いで、本発明の実施形態に係るラップドVベルトの製造方法について説明する。
[ラップドVベルト]
図1は、本発明の実施形態に係るラップドVベルトの製造方法によって製造されるラップドVベルト100の一部を示す斜視図であって、一部を断面で示す図である。ラップドVベルト100は、コンプレッサーなどの一般産業用機械、或いは、田植え機などの農業機械、等において、動力伝達用の無端状の伝動ベルトとして用いられる。そして、ラップドVベルト100は、周方向に対して垂直な断面が台形状に形成された無端状のベルト本体101とこのベルト本体101の周囲表面を覆う外被布102とを有する伝動ベルトとして構成されている。上記構成により、ラップドVベルト100は、V字状の形状に近似した断面形状を有し、環状に設けられた無端状の伝動ベルトとして構成されている。
尚、図1においては、無端状で環状に延びるラップドVベルト100の周方向に対して垂直な断面が図示されている。また、図1においては、ラップドVベルト100の周方向が、両端矢印X1で示され、ラップドVベルト100の厚み方向が、両端矢印X2で示され、ラップドVベルト100の幅方向が、両端矢印X3で示されている。尚、ラップドVベルト100の厚み方向は、環状に延びるラップドVベルト100の径方向に対応する方向として構成される。また、ラップドVベルト100の幅方向は、ラップドVベルト100の周方向及び厚み方向に垂直な方向として構成される。また、ベルト本体101の周方向、厚み方向、及び幅方向は、それぞれ、ラップドVベルト100の周方向、厚み方向、及び幅方向に対応している。
ラップドVベルト100は、ベルト本体101と外被布102とを備えて構成されている。ベルト本体101は、周方向に対して垂直な断面が台形状に形成された無端状の環状に形成され、ゴム層103及び芯体104を有して構成されている。ゴム層103及び芯体104は、ベルト本体101の周方向に沿って延びるように配置されている。ベルト本体101の周方向に垂直な断面形状は、等脚台形状に形成されている。そして、ベルト本体101においては、その断面形状である等脚台形状の平行な一対の底辺のうちの長さが大きい方の底辺が、外周側に配置され、平行な一対の底辺のうちの長さが短い方の底辺が、内周側に配置されている。
芯体104は、本実施形態では、円形断面で長く延びる心線104として構成されている。尚、以下の説明では、芯体104について、心線104とも称する。芯体104は、ベルト本体101の外周部分に設けられ、ベルト本体101の外周に沿って延びるように配置されている。また、芯体104は、ゴム層103の外周部分に埋設された状態で、ベルト本体101の外周に沿って配置されている。そして、芯体104は、ベルト本体101の周方向に垂直な断面において、ベルト本体101の幅方向に沿って所定の間隔で配列されている。
尚、ベルト本体101の外周部分に設けられた芯体(心線)104は、ラップドVベルト100の厚み方向における所定の位置において、ラップドVベルト100の幅方向に並んで配置されている。上記の所定の位置は、例えば、円形断面の心線104の中心位置とラップドVベルト100の内周面との距離寸法T1が、ラップドVベルト100の外周面と内周面との距離寸法T2の80%以上98%以下の範囲の寸法となる位置に、設定されている。尚、図1において、距離寸法T1については、両端矢印T1で示されており、距離寸法T2については、両端矢印T2で示されている。
外被布102は、環状に設けられた無端状のベルト本体101の周囲表面の全体を全周に亘って覆った状態で、即ち、ベルト本体101の周囲表面の全体を周方向に全長に亘って覆った状態で、ベルト本体101を被覆している。ベルト本体101の周囲表面が外被布102で覆われて構成されたラップドVベルト100の周方向に垂直な断面の形状は、外周側から内周側に向かって幅方向の寸法が小さくなる等脚台形状に形成されている。
[ラップドVベルトの製造方法の概略]
図2は、本発明の実施形態に係るラップドVベルトの製造方法であるラップドVベルト100の製造方法の工程を示すチャート図である。図2に示すように、ラップドVベルト100の製造方法は、未加硫ベルト形成工程S101、未加硫成形体形成工程S102、加硫工程S103を備えて構成されている。
ラップドVベルト100の製造方法においては、まず、未加硫のゴムと芯体104とが素材として用いられ、未加硫ベルト形成工程S101が行われることで、後述する未加硫ベルト10が形成される。そして、未加硫ベルト10と外被布102とが素材として用いられ、未加硫成形体形成工程S102が行われることで、後述する未加硫成形体20が形成される。更に、未加硫成形体20が素材として用いられ、加硫工程S103が行われることで、ラップドVベルト100が生成される。
上記のように、ラップドVベルト100の製造方法においては、未加硫ベルト形成工程S101、未加硫成形体形成工程S102、加硫工程S103の各工程がこの順序で実施されることで、ラップドVベルト100の製造が行われる。以下、未加硫ベルト形成工程S101、未加硫成形体形成工程S102、加硫工程S103の各工程について、更に詳しく説明する。
[未加硫ベルト形成工程]
図3は、未加硫ベルト形成工程S101にて形成される未加硫ベルト10の一部を示す斜視図であって、一部を断面で示す図である。未加硫ベルト形成工程S101は、芯体104が未加硫ゴム層11の外周に沿って配置されているとともに周方向に垂直な断面が矩形状に形成された無端状の未加硫ベルト10を形成する工程として構成されている。未加硫ベルト形成工程S101は、図2に示すように、未加硫スリーブ形成工程S104と切断工程S105とを備えて構成されている。
図4は、未加硫スリーブ形成工程S104にて形成される未加硫スリーブ30を説明するための図である。そして、図4(A)は、未加硫スリーブ30が回転ドラム40の外周に形成された状態を示す斜視図であり、図4(B)は、未加硫スリーブ30のみを示す斜視図である。また、図5は、未加硫スリーブ30が回転ドラム40の外周に形成された状態を示す断面図であって、未加硫スリーブ30の周方向に垂直な断面における未加硫スリーブ30及び回転ドラム40の一部を拡大して示す図である。また、図6は、未加硫スリーブ形成工程S104を説明するための図である。そして、図6(A)は、回転ドラム40の外周に未加硫ゴム層11が形成された状態の一部の断面を示す断面図であり、図6(B)は、未加硫ゴム層11の外周に芯体104が配置された状態の一部の断面を示す断面図であり、図6(C)は、未加硫ゴム層11の外周に芯体104と接着ゴム層12とが配置された状態の一部の断面を示す断面図である。
未加硫スリーブ形成工程S104は、筒状の未加硫ゴム層11の外周に対して、芯体104を、芯体104を未加硫ゴム層11に接着するための未加硫の接着ゴム層12とともに、配置することで、筒状の未加硫スリーブ30を形成する工程として構成されている。尚、未加硫スリーブ形成工程S104は、本発明における第1未加硫スリーブ形成工程として構成されている。また、未加硫スリーブ30は、本発明における第1未加硫スリーブとして構成されている。
未加硫スリーブ形成工程S104においては、まず、未加硫ゴム(即ち、加硫が行われていない状態のゴム)のシートが、圧延によって形成される。そして、圧延によって形成された未加硫ゴムのシートが、所定の長さに切断される。所定の長さに切断された未加硫ゴムのシートは、円筒状或いは円柱状に設けられて回転自在に支持された巻き付け用の型として構成された回転ドラム40に対して、巻き付けられる。回転ドラム40の外周に巻き付けられた未加硫ゴムのシートは、その端部同士が接合され、筒状に形成される。これにより、回転ドラム40の外周に未加硫ゴム層11が形成される(図6(A)を参照)。即ち、回転ドラム40の外周において筒状に成形された未加硫ゴムのシートが、未加硫スリーブ30における未加硫ゴム層11となる。
回転ドラム40の外周に筒状の未加硫ゴム層11が形成されると、次いで、芯体104を構成する心線104が、未加硫ゴム層11の周方向に沿って巻き付けられる(図6(B)を参照)。心線104は、筒状の未加硫ゴム層11に対して、未加硫ゴム層11の幅方向に沿って所定のピッチでずらされながら、未加硫ゴム層11の周方向に沿ってスパイラル状に巻き付けられる。尚、筒状の未加硫ゴム層11の幅方向は、回転ドラム40の回転軸40aの軸方向と平行な方向として構成される。心線104は、筒状の未加硫ゴム層11に対して、未加硫ゴム層11の幅方向のほぼ全長に亘って、巻き付けられる。
筒状の未加硫ゴム層11の外周への心線104の巻き付けが終了すると、次いで、心線104の上から未加硫ゴム層11の外周に対して巻き付けるようにして、非常に薄いシート状の未加硫の接着ゴム層12が配置される。これにより、筒状の未加硫ゴム層11の外周に対して、心線104が未加硫の接着ゴム層12とともに配置され、筒状の未加硫スリーブ30が形成される(図4、図5、図6(C)を参照)。
未加硫の接着ゴム層12は、心線104を未加硫ゴム層11に接着するための未加硫の非常に薄いゴムの層として構成されている。また、接着ゴム層12の厚み方向の寸法は、心線104の半径寸法以上であって且つ心線104の直径寸法以下の寸法に設定される。
図7は、未加硫ベルト形成工程S104にて形成される未加硫ベルト10を説明するための図である。そして、図7(A)は、複数の未加硫ベルト10が回転ドラム40の外周に配置された状態を示す斜視図であり、図7(B)は、未加硫ベルト10のみを示す斜視図である。
切断工程S105は、未加硫スリーブ30を周方向に切断して未加硫ベルト10を形成する工程として構成されている。尚、切断工程S105は、本発明における第1切断工程として構成されている。
未加硫スリーブ形成工程S104によって、回転ドラム40の外周に未加硫スリーブ30が形成されると、次いで、切断工程S105が行われる。切断工程S105においては、回転ドラム40を回転軸40a周りに回転させ、未加硫スリーブ30を回転ドラム40とともに回転させた状態で、回転軸40aと平行な軸周りに回転する回転刃を有するカッター(図示省略)の回転刃が未加硫スリーブ30に押し付けられる。これにより、未加硫スリーブ30が周方向に切断され、図3及び図7に示す未加硫ベルト10が、未加硫スリーブ30から切り出されて形成される。尚、図3においては、未加硫ベルト10の周方向が、両端矢印X1で示され、未加硫ベルト10の厚み方向が、両端矢印X2で示され、未加硫ベルト10の幅方向が、両端矢印X3で示されている。
切断工程S105においては、未加硫スリーブ30が周方向に切断されることで、周方向に垂直な断面が矩形状に形成された無端状の未加硫ベルト10が切り出されて形成される。また、未加硫スリーブ30が周方向に切断されて形成された矩形状の断面の未加硫ベルト10は、芯体104が未加硫ゴム層11の外周に沿って配置されている(図3を参照)。また、切断工程S105においては、未加硫スリーブ30が周方向に切断される処理は、未加硫スリーブ30の全幅に亘って、複数回行われる。これにより、未加硫スリーブ30から複数の未加硫ベルト10が切り出されて形成される。未加硫スリーブ30が周方向に切断されることで形成された未加硫ベルト10は、回転ドラム40から取り外される。
未加硫ベルト形成工程S101は、上述のように、未加硫スリーブ形成工程S104と切断工程S105とを備えて構成されている。そして、未加硫ベルト形成工程S101は、未加硫スリーブ形成工程S104と切断工程S105とが行われることで、芯体104が未加硫ゴム層11の外周に沿って配置されているとともに周方向に垂直な断面が矩形状に形成された無端状の未加硫ベルト10を形成するように構成されている。
尚、未加硫ベルト10における未加硫ゴム層11を構成するゴム成分としては、加硫又は架橋可能なゴム、例えば、ジエン系ゴム(天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(ニトリルゴム)、水素化ニトリルゴムなど)、エチレン−α−オレフィンエラストマー、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、アルキル化クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリル系ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴムなどが例示でき、これらのゴム成分は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。好ましいゴム成分は、エチレン−α−オレフィンエラストマー(エチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエンモノマー(EPDMなど)などのエチレン−α−オレフィン系ゴム)、クロロプレンゴムである。特に好ましいゴム成分は、クロロプレンゴムである。クロロプレンゴムは、硫黄変性タイプであってもよく、非硫黄変性タイプであってもよい。
また、未加硫ベルト10における心線104としては、通常、マルチフィラメント糸を使用した撚りコード(例えば、諸撚り、片撚り、ラング撚りなど)を使用できる。心線104を構成する繊維としては、ポリエステル繊維、アラミド繊維などの合成繊維、ガラス繊維、炭素繊維などの無機繊維などが使用できる。心線104の表面には、慣用の接着処理(又は表面処理)が施されていてもよい。
[未加硫成形体形成工程]
図8は、未加硫成形体形成工程S102にて形成される未加硫成形体20の一部を示す斜視図であって、一部を断面で示す図である。尚、図8においては、無端状で環状に延びる未加硫成形体20の周方向に対して垂直な断面が図示されている。また、図8においては、未加硫成形体20の周方向が、両端矢印X1で示され、未加硫成形体20の厚み方向が、両端矢印X2で示され、未加硫成形体20の幅方向が、両端矢印X3で示されている。尚、未加硫成形体20の厚み方向は、環状に延びる未加硫成形体20の径方向に対応する方向として構成される。また、未加硫成形体20の幅方向は、未加硫成形体20の周方向及び厚み方向に垂直な方向として構成される。また、未加硫成形体20の周方向、厚み方向、及び幅方向は、それぞれ、未加硫成形体20が加硫されることで生成されるラップドVベルト100の周方向、厚み方向、及び幅方向に対応している。
未加硫成形体形成工程S102は、未加硫ベルト10の周囲表面を全周に亘って外被布102で覆い、未加硫ベルト10が外被布102で覆われた未加硫成形体20を形成する工程として構成されている。未加硫成形体形成工程S102においては、周方向に垂直な断面が矩形状に形成された無端状の未加硫ベルト10の周囲表面の全体が、未加硫ベルト10の周方向の全周に亘って、外被布102で被覆される。外被布102は、矩形状の断面形状の未加硫ベルト10の周囲表面に密着した状態で、外被布102に被覆される。このため、未加硫ベルト10に外被布102が被覆されて形成された未加硫成形体20も、周方向に垂直な断面が矩形状に形成される。尚、外被布102としては、例えば、綿の織布が用いられる。綿の織布としては、例えば、同じ番手の経糸と緯糸とが所定の糸密度で平織りされたもの等を用いることができる。
[加硫工程]
図9は、加硫工程S103にて用いられる金型50を模式的に示す斜視図である。加硫工程S103は、外周に溝51が設けられた金型50の溝51に未加硫成形体20を嵌め込んだ状態で未加硫成形体20の加硫を行い、ラップドVベルト100を生成する工程として構成されている。
図10は、加硫工程S103において用いられる金型50における溝51の近傍の断面図であって、金型50の周方向に垂直な断面の一部を拡大して示す図である。図10に示すように、加硫工程S103において用いられる金型50は、例えば、それぞれ円盤状或いは円筒状に形成された複数のリングモールド52が軸方向に重ね合わされることで構成されている。軸方向に重ねられて隣り合うリングモールド52の間であってそれらの外周側において、金型50の外周に沿って延びる溝51が形成される。よって、金型50においては、溝51が複数設けられている。
加硫工程S103においては、金型50の外周に設けられた複数の溝51のそれぞれに未加硫成形体20が嵌め込まれる。また、環状に設けられた無端状の未加硫成形体20は、金型50の外周に沿って延びる各溝51に対して全周に亘って嵌め込まれ、金型50の外周に沿って装着される。
金型50の外周の複数の溝51に未加硫成形体20がそれぞれ嵌め込まれると、複数の未加硫成形体20が嵌め込まれた金型50の周囲に、円筒状のゴムスリーブ53(図11を参照)が更に装着される。加硫工程S103においては、上記のように金型50及び未加硫ベルト成形体20の外周面に円筒状のゴムスリーブ53が装着された状態で、それらが加硫缶に収納され、所定の温度等の条件で加硫が行われる。未加硫成形体20の加硫が行われることで、未加硫成形体20における可塑性の未加硫ゴム層11が加熱されて弾性ゴムに変化する。
図11は、加硫されて生成されたラップドVベルト100が金型50の溝51から取り出される前の状態を模式的に示す断面図であって、金型50の周方向に垂直な断面の一部をラップドVベルト100の断面とともに拡大して示す図である。加硫が行われると、金型50の溝51内において、未加硫成形体20における可塑性の未加硫ゴム層11及び接着ゴム層12が加熱されて弾性ゴムに変化し、弾性ゴムとして構成されたゴム層103を有するラップドVベルト100が生成される。そして、加硫が終了すると、金型50が複数のリングモールド52に解体され、加硫されて生成された複数のラップドVベルト100が取り出される。このように、加硫工程S103まで終了することで、ラップドVベルト100が製造されることになる。
ここで、加硫工程S103にて加硫される未加硫成形体20の断面形状と、金型50の溝51の断面形状との関係について更に説明する。図12は、未加硫成形体20の断面形状と金型50の溝51の断面形状とについて説明するための図であって、図12(A)は、未加硫成形体20の断面形状を示す図であり、図12(B)は、金型50の溝51の断面形状を模式的に示す図である。
図10乃至図12に示すように、金型50の溝51の断面形状であって金型50の周方向に対して垂直な断面の形状である溝断面形状は、等脚台形状に形成されている。尚、等脚台形状の溝断面形状の平行な一対の底辺は、金型50の周方向に沿って配置されている。そして、等脚台形状の溝断面形状の平行な一対の底辺のうち、寸法の大きい方の底辺が金型50の外周側に配置され、寸法の小さい方の底辺が金型50の内周側に配置されている。
一方、金型50の溝51に嵌め込まれる未加硫成形体20の断面形状であって未加硫成形体20の周方向に対して垂直な断面の形状である成形体断面形状は、矩形状に形成されている。そして、加硫工程S103においては、等脚台形状である上記の溝断面形状を有する溝51に対して、矩形状である上記の成形体断面形状を有する未加硫成形体20が、嵌め込まれる。
また、金型50の溝51の幅方向の寸法である溝幅寸法Wは、等脚台形状の溝断面形状の平行な一対の底辺のうちの寸法の大きい方の底辺であって金型50の外周側の底辺の寸法として構成されている。尚、溝幅寸法Wについては、図12(B)において両端矢印Wで示している。そして、未加硫成形体20の周方向及び厚み方向に垂直な方向である幅方向の寸法である成形体幅寸法W1は、溝幅寸法Wよりも小さい寸法に設定されている。即ち、W1<Wの関係となるように、溝幅寸法Wと成形体幅寸法W1との関係が設定されている。尚、成形体幅寸法W1については、図12(A)において両端矢印W1で示している。また、更に具体的には、成形体幅寸法W1は、溝幅寸法Wの80%以上95%以下の範囲の寸法に設定されている。即ち、W×0.95≧W1≧W×0.80の関係が成立するように、溝幅寸法Wと成形体幅寸法W1との関係が設定されている。
また、未加硫成形体20の厚み方向の寸法である成形体厚み寸法H1は、金型50の溝51の深さ方向の寸法である溝深さ寸法Hと同じ寸法又は溝深さ寸法Hよりも大きい寸法に設定されている。即ち、H1≧Hの関係となるように、成形体厚み寸法H1と溝深さ寸法Hとの関係が設定されている。尚、成形体厚み寸法H1については、図12(A)において両端矢印H1で示しており、溝深さ寸法Hについては、図12(B)において両端矢印Hで示している。また、更に具体的には、成形体厚み寸法H1は、溝深さ寸法Hの100%以上115%以下の範囲の寸法に設定されている。即ち、H×1.15≧H1≧H×1.00の関係が成立するように、成形体厚み寸法H1と溝深さ寸法Hとの関係が設定されている。
[本実施形態の作用効果]
本実施形態のラップドVベルトの製造方法(即ち、ラップドVベルト100の製造方法)によると、周方向に垂直な断面が矩形状に形成された未加硫ベルト10の周囲表面が外被布102で覆われ、矩形状の断面形状の未加硫成形体20が形成される。そして、金型50の周方向に垂直な断面が等脚台形状の断面形状に形成された金型50の溝51に対して、矩形状の断面形状の未加硫成形体20が嵌め込まれ、加硫が行われる。未加硫成形体20の加硫が行われることで、ラップドVベルト100が製造される。よって、本実施形態のラップドVベルトの製造方法によると、スカイブ処理が不要であり、スカイブ処理を削減することができる。
また、本実施形態のラップドVベルトの製造方法によると、矩形状の断面形状の未加硫ベルト10は、芯体104が未加硫ゴム層11の外周に沿って配置されている。このため、未加硫ベルト10の周囲表面が外被布102で覆われて形成された矩形状の断面形状の未加硫成形体20においても、外被布102における外周側に配置された部分の内側であって未加硫ゴム層11の外周に沿って、芯体104が配置された状態となる。このため、矩形状の断面形状の未加硫成形体20が、等脚台形状の断面形状の金型50の溝51に嵌め込まれ、加硫が行われる際においても、芯体104よりも内周側に配置されている未加硫ゴム層11が金型50の内部で流動することになる。このため、加硫後に芯体104の配列が乱れてしまうことが防止される。即ち、加硫されて製造されたラップドVベルト100において、芯体104間の間隔の乱れ、及び、ラップドVベルト100の厚み方向における芯体104の位置の乱れの発生を防止できる。よって、本実施形態のラップドVベルトの製造方法によると、スカイブ処理を削減し、矩形状の断面形状の未加硫成形体20を金型50の溝51に嵌め込んで加硫を行う場合でも、加硫されて製造されたラップドVベルト100において、芯体104間の間隔の乱れ、及び、ラップドVベルト100の厚み方向における芯体104の位置の乱れの発生を防止できる。
また、本実施形態のラップドVベルトの製造方法によると、スカイブ処理が削減され、周囲表面が外被布102で覆われる未加硫ベルト10の断面形状が、矩形状の断面形状に形成される。このため、未加硫ベルト10の断面形状が、特許文献2に開示された方法によって形成される場合のような円弧状に湾曲した面形状を含むことがない。即ち、本実施形態のラップドVベルトの製造方法によると、未加硫ベルト10の周方向に対して垂直な断面の形状は、直線部分のみで区画された矩形状の断面形状となる。従って、本実施形態のラップドVベルトの製造方法によると、加硫対象の断面形状、即ち、未加硫ベルト10の周囲が外被布102で被覆されて形成された未加硫成形体20の断面形状も、同様に、直線部分のみで区画された矩形状の断面形状となる。このため、加硫対象の未加硫成形体20が、直線部分のみで区画された断面形状の金型50の溝51に嵌め込まれて加硫される場合において、金型50内での加硫時における断面形状の変化が複雑なものとなることが抑制される。これにより、金型50の溝51に嵌め込まれる加硫対象の断面形状を正確に設定することが容易となる。
また、本実施形態のラップドVベルトの製造方法によると、スカイブ処理が削減され、周囲表面が外被布102で覆われる未加硫ベルト10の断面形状が、矩形状の断面形状に形成される。これにより、本実施形態のラップドVベルトの製造方法によると、特許文献2に開示された方法のスカイブ処理が未加硫ベルト10に対して行われることがなく、未加硫ベルト10が不安定な状態で走行させられながら未加硫ベルト10に対してスカイブ処理が行われることもない。このため、ラップドVベルト100における芯体104の並びの乱れ及び断面寸法の過不足の発生を防止することができる。
また、本実施形態のラップドVベルトの製造方法によると、スカイブ処理が削減されるため、スカイブ処理に伴って生じる材料のロスをなくすことができ、更に、スカイブ処理で発生した屑の回収、処分、及び再利用のための手間を削減することができる。更に、本実施形態のラップドVベルトの製造方法によると、スカイブ処理の工程を削減することができるため、スカイブ処理のための設備も不要となり、スカイブ処理のための作業時間も削減することができる。また、本実施形態のラップドVベルトの製造方法によると、スカイブ処理が削減され、周囲表面が外被布102で覆われる未加硫ベルト10の断面形状が、単純な矩形状の断面形状に形成される。このため、未加硫ベルト10の周囲表面を外被布102で覆う作業が単純で容易な作業となり、作業効率を向上させることができる。よって、本実施形態のラップドVベルトの製造方法によると、スカイブ処理の工程を削減することができるため、製造コストを低減でき、製造効率も向上させることができる。
従って、本実施形態によると、スカイブ処理を削減することができ、金型50の溝51に嵌め込まれる加硫対象の断面形状を正確に設定することが容易であり、ラップドVベルト100における芯体104の並びの乱れ及び断面寸法の過不足の発生を抑制することができる、ラップドVベルトの製造方法を提供することができる。
また、本実施形態のラップドVベルトの製造方法によると、未加硫成形体20の成形体幅寸法W1が、金型50の溝51の溝幅寸法Wよりも小さい寸法に設定され、未加硫成形体20の成形体厚み寸法H1が、金型50の溝51の溝深さ寸法Hと同じに又は大きく設定される。このため、加硫の際、未加硫成形体20が、全体的に、幅方向に広がりつつ厚み方向に縮まるように変形し、その変形に応じて、芯体104よりも内周側に配置されている未加硫ゴム層11が金型50の内部で流動することになる。これにより、加硫の際に、芯体104よりも内周側に配置されている未加硫ゴム層11の金型50の内部での流動形態をより単純化することができ、未加硫ゴム層11の金型50内部での流動に伴う芯体104の配列への影響を更に低減でき、加硫後に芯体104の配列が乱れてしまうことをより確実に防止することができる。
また、本実施形態のラップドVベルトの製造方法によると、成形体幅寸法W1が、溝幅寸法Wの80%以上95%以下の範囲の寸法に設定され、成形体厚み寸法H1が、溝深さ寸法Hの100%以上115%以下の範囲の寸法に設定されている。このため、加硫の際、未加硫成形体20が、金型50の溝51内において、全体的に、幅方向に広がりつつ厚み方向に縮まるように変形し、その変形に応じて、芯体104よりも内周側に配置されている未加硫ゴム層11が金型50の内部で流動する際に、未加硫ゴム層11の流動を全体的にムラなく円滑に行わせることができる。即ち、未加硫ゴム層11の一部において、過大な応力が発生したり、過大な変位が生じたりすることを防ぐことができる。
また、本実施形態のラップドVベルトの製造方法によると、筒状の未加硫ゴム層11の外周に対して芯体104が未加硫の接着ゴム層12とともに配置されて形成された未加硫スリーブ(第1未加硫スリーブ)30が周方向に切断されることで未加硫ベルト10が形成される。このため、芯体104が未加硫ゴム層11の外周に沿って配置されているとともに周方向に垂直な断面が矩形状に形成された無端状の未加硫ベルト10を容易に形成することができる。
また、本実施形態のラップドVベルトの製造方法によると、芯体104が円形断面形状の心線104として構成され、接着ゴム層12の厚みが、心線104の半径以上直径以下の寸法に設定される。このため、円形断面形状の心線104の半径以上の厚みを有する接着ゴム層12によって、心線104を未加硫ゴム層11に対して安定した状態で接着して一体化させることができる。また、心線104を未加硫ゴム層11に接着する接着ゴム層12の厚みが、円形断面形状の心線104の直径以下であるため、接着ゴム層12の厚みが心線104よりも大きくなることがなく、接着ゴム層12の厚みが過大となることが防止される。よって、本実施形態のラップドVベルトの製造方法によると、心線104として構成された芯体104を未加硫ゴム層11に対して安定した状態で接着して一体化させることができるとともに、接着ゴム層12の厚みが過大となることを防止することができる。
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができるものである。例えば、次のような変形例が実施されてもよい。
(1)前述の実施形態では、未加硫ベルト形成工程が、筒状の未加硫ゴム層の外周に対して芯体を未加硫の接着ゴム層とともに配置することで筒状の第1未加硫スリーブを形成する第1未加硫スリーブ形成工程と、第1未加硫スリーブを周方向に切断して未加硫ベルトを形成する第1切断工程と、を備えた形態のラップドVベルトの製造方法を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。例えば、図13に示す第1の変形例に係るラップVベルトの製造方法が実施されてもよい。
図13は、第1の変形例に係るラップドVベルトの製造方法の工程を説明するためのチャート図である。第1の変形例に係るラップドVベルトの製造方法は、未加硫ベルト形成工程S201、未加硫成形体形成工程S202、加硫工程S203を備えて構成されている。第1の変形例に係るラップドVベルトの製造方法は、前述の実施形態に係るラップドVベルトの製造方法と同様に構成されているが、未加硫ベルト形成工程S201の構成において、前述の実施形態に係るラップドVベルトの製造方法と異なっている。尚、第1の変形例に係るラップドVベルトの製造方法における未加硫成形体形成工程S202及び加硫工程S203は、前述の実施形態に係るラップドVベルトの製造方法における未加硫成形体形成工程S102及び加硫工程S103と同様に構成されている。
尚、以下の説明においては、未加硫ベルト形成工程S201について説明し、未加硫成形体形成工程S202及び加硫工程S203の説明については、前述の実施形態の説明と重複するため、説明を省略する。また、以下の説明においては、前述の実施形態と対応して構成される要素については、図面において同一の符号を付すことで、又は同一の符号を引用して説明することで、重複する説明を省略する。
未加硫ベルト形成工程S201は、芯体104が未加硫ゴム層11の外周に沿って配置されているとともに周方向に垂直な断面が矩形状に形成された無端状の未加硫ベルト10を形成する工程として構成されている。そして、未加硫ベルト形成工程S201は、図13に示すように、未加硫スリーブ形成工程S204と切断工程S205と反転工程S206とを備えて構成されている。
図14は、第1の変形例に係るラップドVベルトの製造方法の未加硫スリーブ形成工程S204において形成される未加硫スリーブ60の断面図であって、未加硫スリーブ60の周方向に垂直な断面の一部を拡大して示す図である。尚、図14は、未加硫スリーブ60が回転ドラム40の外周に形成された状態を示す断面図であって、未加硫スリーブ60の周方向に垂直な断面における未加硫スリーブ60及び回転ドラム40の一部を拡大して示す図である。
未加硫スリーブ形成工程S204は、筒状の未加硫ゴム層11の内周に対して、芯体104を、芯体104を未加硫ゴム層11に接着するための未加硫の接着ゴム層12とともに、配置することで、筒状の未加硫スリーブ60を形成する工程として構成されている。尚、未加硫スリーブ形成工程S204は、本発明における第2未加硫スリーブ形成工程として構成されている。また、未加硫スリーブ60は、本発明における第2未加硫スリーブとして構成されている。
未加硫スリーブ形成工程S204においては、非常に薄いシート状の未加硫の接着ゴム層12が、回転ドラム40の外周に巻き付けられる。次いで、芯体104を構成する心線104が、回転ドラム40の周方向に沿って接着ゴム層12の上から巻き付けられる。心線104は、回転ドラム40の外周に対して接着ゴム層12の上から回転ドラム11の回転軸40aの軸方向と平行な方向に沿って所定のピッチでずらされながら、回転ドラム40の周方向に沿ってスパイラル状に巻き付けられる。尚、接着ゴム層12の厚み方向の寸法は、心線104の半径寸法以上であって且つ心線104の直径寸法以下の寸法に設定される。
回転ドラム40の外周に対する接着ゴム層12の上からの心線104の巻き付けが終了すると、圧延によって形成されて更に所定の長さに切断された未加硫ゴムのシートが、回転ドラム40に対して、心線104の上から巻き付けられる。回転ドラム40の外周に対して接着ゴム層12及び心線104の上から巻き付けられた未加硫ゴムのシートは、その端部同士が接合され、筒状に形成される。こうして、回転ドラム40の外周において、接着ゴム層12及び心線104の外周側に、未加硫ゴム層11が形成される。
上記のように、回転ドラム40の外周において、接着ゴム層12及び心線104が巻き付けられ、更に、その外周に未加硫ゴム層11が形成されることで、未加硫スリーブ(第2未加硫スリーブ)60が形成される。即ち、未加硫スリーブ形成工程(第2未加硫スリーブ形成工程)S204においては、筒状の未加硫ゴム層11の内周に対して芯体104を未加硫の接着ゴム層12とともに配置することで、筒状の未加硫スリーブ60が形成される。
切断工程S205は、未加硫スリーブ60を周方向に切断して未加硫ゴム層11と芯体104とを有する輪状体を形成する工程として構成されている。尚、切断工程S205は、本発明における第2切断工程として構成されている。
未加硫スリーブ形成工程S204によって、回転ドラム40の外周に未加硫スリーブ60が形成されると、次いで、切断工程S205が行われる。切断工程S205においては、回転ドラム40を回転軸40a周りに回転させ、未加硫スリーブ60を回転ドラム40とともに回転させた状態で、回転軸40aと平行な軸周りに回転する回転刃を有するカッターの回転刃が未加硫スリーブ60に押し付けられる。これにより、未加硫スリーブ60が周方向に切断され、上記の輪状体が、未加硫スリーブ60から切り出されて形成される。
切断工程S205においては、未加硫スリーブ60が周方向に切断されることで、周方向に垂直な断面が矩形状に形成された無端状の輪状体が切り出されて形成される。また、未加硫スリーブ60が周方向に切断されて形成された矩形状の断面の輪状体は、芯体104が未加硫ゴム層11の内周に沿って配置されている。また、切断工程S205においては、未加硫スリーブ60が周方向に切断される処理は、未加硫スリーブ60の全幅に亘って、複数回行われる。これにより、未加硫スリーブ60から複数の輪状体が切り出されて形成される。未加硫スリーブ60が周方向に切断されることで形成された輪状体は、回転ドラム40から取り外される。
反転工程S206は、上記の輪状体の外周側と内周側とを反転させるように裏返すことで、芯体104が未加硫ゴム層11の外周に沿って配置された状態とし、上記の輪状体を未加硫ベルト10とする工程として構成されている。切断工程S205が行われて形成された上記の輪状体は、反転工程S206が行われる前においては、接着ゴム層12及び芯体104が未加硫ゴム層11の内周に沿って配置された状態となっている。この状態から、輪状体の外周側と内周側とを径方向において反転させて入れ替えるように裏返すことで、接着ゴム層12及び芯体104が未加硫ゴム層11の外周に沿って配置された状態となる。これにより、接着ゴム層12及び芯体104が未加硫ゴム層11の外周に沿って配置された未加硫ベルト10が形成されることになる。
未加硫ベルト形成工程S201は、上述のように、未加硫スリーブ形成工程S204と切断工程S205と反転工程S206とを備えて構成されている。そして、未加硫ベルト形成工程S201は、未加硫スリーブ形成工程S204と切断工程S205と反転工程S206とが行われることで、芯体104が未加硫ゴム層11の外周に沿って配置されているとともに周方向に垂直な断面が矩形状に形成された無端状の未加硫ベルト10を形成するように構成されている。
未加硫ベルト形成工程S201を備える上述の第1の変形例にかかるラップドVベルトの製造方法によると、筒状の未加硫ゴム層11の内周に対して芯体104が未加硫の接着ゴム層12とともに配置されて形成された未加硫スリーブ(第2未加硫スリーブ)60が周方向に切断されて輪状体が形成され、更にその輪状体が反転されることで未加硫ベルト10が形成される。このため、芯体104が未加硫ゴム層11の外周に沿って配置されているとともに周方向に垂直な断面が矩形状に形成された無端状の未加硫ベルト10を容易に形成することができる。
(2)前述の実施形態では、芯体が心線として構成された形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよく、心線以外の要素として構成された芯体が用いられたラップドVベルトの製造方法が実施されてもよい。例えば、以下に説明するような第2の変形例に係るラップドVベルトの製造方法が実施されてもよい。
図15は、第2の変形例に係るラップドVベルトの製造方法にて製造されるラップドVベルト110の一部を示す斜視図であって、一部を断面で示す図である。ラップドVベルト110は、前述の実施形態のラップドVベルト100と同様に構成されているが、芯体112として、心線104ではなく、高強度繊維シートにより構成されたシート芯体112が用いられている点において異なっている。また、第2の変形例に係るラップドVベルトの製造方法は、前述の実施形態に係るラップドVベルトの製造方法と同様に、未加硫ベルト形成工程S101、未加硫成形体形成工程S102、加硫工程S103を備えて構成されているが、芯体112として、心線104ではなく、シート芯体112が用いられている点において、前述の実施形態に係るラップドVベルトの製造方法とは異なっている。
尚、以下の説明においては、前述の実施形態と異なる点である芯体112に関する構成について説明し、芯体112に関する構成以外の構成については、前述の実施形態の説明と重複するため、説明を省略する。また、以下の説明においては、前述の実施形態と対応して構成される要素については、図面において同一の符号を付すことで、又は同一の符号を引用して説明することで、重複する説明を省略する。
図15に示すように、第2の変形例に係るラップドVベルトの製造方法にて製造されるラップドVベルト110は、心線104ではなく、高強度繊維シートにより構成されたシート芯体112として構成された芯体112を有している。ラップドVベルト110は、ベルト本体111と外被布102とを備えて構成されている。ベルト本体111は、周方向に対して垂直な断面が台形状に形成された無端状の環状に形成され、ゴム層103及びシート芯体112を有して構成されている。ベルト本体111の周方向に垂直な断面形状は、前述の実施形態のベルト本体101と同様に、等脚台形状に形成されている。そして、ベルト本体111においては、その断面形状である等脚台形状の平行な一対の底辺のうちの長さが大きい方の底辺が、外周側に配置され、平行な一対の底辺のうちの長さが短い方の底辺が、内周側に配置されている。尚、図15においては、ラップドVベルト110の周方向が、両端矢印X1で示され、ラップドVベルト110の厚み方向が、両端矢印X2で示され、ラップドVベルト110の幅方向が、両端矢印X3で示されている。
芯体112は、幅が厚みよりも大きく設定され、矩形断面で長く延びるシート芯体112として構成されている。尚、以下の説明では、芯体112について、シート芯体112とも称する。シート芯体112は、ベルト本体111の外周部分に設けられ、ベルト本体111の外周に沿って延びるように配置されている。また、シート芯体112は、ゴム層103の外周部分に埋設された状態で、ベルト本体111の外周に沿って配置されている。そして、シート芯体112は、ベルト本体111の周方向に垂直な断面において、ベルト本体111の幅方向に沿って所定の間隔で配列されている。また、シート芯体112は、シート芯体112の幅方向がラップドVベルト110の幅方向に沿い且つシート芯体112の厚み方向がラップドVベルト110の厚み方向に沿った状態となっている。
図16は、ラップドVベルト110のシート芯体112について説明するための図であって、図16(A)は、シート芯体112における繊維配列方向を説明するための模式図であり、図16(B)は、シート芯体112の材料である高強度繊維シート113の構成を模式的に示す図である。尚、図16(A)においては、シート芯体112の長手方向における一部が模式的に図示されている。また、図16(B)においては、高強度繊維シート113の一部が拡大して図示されている。
図15及び図16(A)に示すシート芯体112は、図16(B)に示す高強度繊維シート113が細長く切り出されることで、形成されている。シート芯体112は、細長く切り出された1枚の高強度繊維シート113により構成される。或いは、シート芯体112は、細長く切り出されて厚み方向に重ねられた複数枚の高強度繊維シート113により構成される。また、高強度繊維シート113は、繊維束が2方向に配列した繊維シートとして構成され、コンクリート構造物の補修及び補強などにも利用される繊維シートとして構成されている。
シート芯体112の素材の高強度繊維シート113は、図16(B)に示すように、所定方向に延びる複数の第1繊維113aと、第1繊維113aに対して直交する方向に沿って延びる複数の第2繊維113bと、が含まれている。そして、図16(A)に示すように、高強度繊維シート113から形成されたシート芯体112では、第1繊維113a及び第2繊維113bが延びる方向が、それぞれ、シート芯体112の長手方向に対して交差する方向に沿って延びている。
上記のようなシート芯体112を用いてラップドVベルト110が製造されることにより、ラップドVベルト110におけるシート芯体112には、ラップドVベルト110の周方向に交差するとともに互いに交差する複数の第1及び第2繊維(113a、113b)が含まれている。即ち、ラップドVベルト110に設けられた状態におけるシート芯体112においては、ラップドVベルト110の周方向と交差する方向に延びる複数の第1繊維113aと、第1繊維113a及びラップドVベルト110の周方向と交差する方向に延びる複数の第2繊維113bと、が含まれている。尚、本変形例では、第1繊維113aは、ラップドVベルト110の周方向に対して45度傾く方向に沿って延びており、第2繊維113bは、第1繊維113aと直交する方向に沿って延びた形態を例示している。
また、高強度繊維シート113の第1繊維113a及び第2繊維113bとしては、例えば一例としてアラミド繊維を挙げることができる。例えば、アラミド繊維を用いた高強度繊維シート113であれば、厚みを0.031mm〜0.24mmに設定した場合、引張強度を2060(N/mm2)以上に設定することができる。或いは、高強度繊維シート113の第1繊維113a及び第2繊維113bとしては、例えば一例として炭素繊維を挙げることができる。例えば、炭素繊維を用いた高強度繊維シート113であれば、厚みを0.0566mm〜0.0833mmに設定した場合、引張強度を2900(N/mm2)以上に設定することができる。
第2の変形例に係るラップドVベルトの製造方法は、前述の実施形態に係るラップドVベルトの製造方法と同様に、未加硫ベルト形成工程S101、未加硫成形体形成工程S102、加硫工程S103を備えて構成されているが、心線104ではなく、シート芯体112が用いられる。
図17は、第2の変形例に係るラップドVベルトの製造方法における未加硫ベルト形成工程S101にて形成される未加硫ベルト120の一部を示す斜視図であって、一部を断面で示す図である。尚、図17においては、未加硫ベルト120の周方向が、両端矢印X1で示され、未加硫ベルト120の厚み方向が、両端矢印X2で示され、未加硫ベルト120の幅方向が、両端矢印X3で示されている。第2の変形例に係るラップドVベルトの製造方法における未加硫ベルト形成工程S101は、シート芯体112が未加硫ゴム層11の外周に沿って配置されているとともに周方向に垂直な断面が矩形状に形成された無端状の未加硫ベルト120を形成する工程として構成されている。
第2の変形例に係るラップドVベルトの製造方法における未加硫ベルト形成工程S101においては、心線104ではなく、シート芯体112が用いられる。そして、本変形例の未加硫ベルト形成工程S101における未加硫スリーブ形成工程S104においては、未加硫ゴム層11の外周に対してシート芯体112を未加硫の接着ゴム層12とともに配置することで、筒状の未加硫スリーブが形成される。更に、本変形例の未加硫ベルト形成工程S101における切断工程S105においては、上記の未加硫スリーブを周方向に切断して未加硫ベルト120が形成される。
図18は、第2の変形例に係るラップドVベルトの製造方法における未加硫成形体形成工程S102にて形成される未加硫成形体130の一部を示す斜視図であって、一部を断面で示す図である。尚、図18においては、未加硫成形体130の周方向が、両端矢印X1で示され、未加硫成形体130の厚み方向が、両端矢印X2で示され、未加硫成形体130の幅方向が、両端矢印X3で示されている。第2の変形例に係るラップドVベルトの製造方法における未加硫成形体形成工程S102は、未加硫ベルト120の周囲表面を全周に亘って外被布102で覆い、未加硫ベルト120が外被布102で覆われた未加硫成形体130を形成する工程として構成されている。
第2の変形例に係るラップドVベルトの製造方法における加硫工程S103は、外周に溝51が設けられた金型50の溝51に未加硫成形体130を嵌め込んだ状態で未加硫成形体130の加硫を行い、ラップドVベルト110を生成する工程として構成されている。加硫工程S103まで終了することで、ラップドVベルト110が製造されることになる。
ここで、加硫工程S103にて加硫される未加硫成形体130の断面形状と、金型50の溝51の断面形状との関係について更に説明する。図19は、第2の変形例に係るラップドVベルトの製造方法における未加硫ベルト形成工程S101にて形成される未加硫成形体130の断面形状と金型50の溝51の断面形状とについて説明するための図であって、図19(A)は、未加硫成形体130の断面形状を示す図であり、図19(B)は、金型50の溝51の断面形状を模式的に示す図である。
金型50の溝51に嵌め込まれる未加硫成形体130の断面形状であって未加硫成形体130の周方向に対して垂直な断面の形状である成形体断面形状は、矩形状に形成されている。そして、加硫工程S103においては、等脚台形状である溝断面形状を有する溝51に対して、矩形状である上記の成形体断面形状を有する未加硫成形体130が、嵌め込まれる。
溝幅寸法Wは、図19(B)において両端矢印Wで示している。そして、未加硫成形体130の周方向及び厚み方向に垂直な方向である幅方向の寸法である成形体幅寸法W2は、溝幅寸法Wよりも小さい寸法に設定されている。即ち、W2<Wの関係となるように、溝幅寸法Wと成形体幅寸法W2との関係が設定されている。尚、成形体幅寸法W2については、図19(A)において両端矢印W2で示している。また、更に具体的には、成形体幅寸法W2は、溝幅寸法Wの80%以上95%以下の範囲の寸法に設定されている。即ち、W×0.95≧W2≧W×0.80の関係が成立するように、溝幅寸法Wと成形体幅寸法W2との関係が設定されている。
また、未加硫成形体130の厚み方向の寸法である成形体厚み寸法H2は、金型50の溝51の深さ方向の寸法である溝深さ寸法Hと同じ寸法又は溝深さ寸法Hよりも大きい寸法に設定されている。即ち、H2≧Hの関係となるように、成形体厚み寸法H2と溝深さ寸法Hとの関係が設定されている。尚、成形体厚み寸法H2については、図19(A)において両端矢印H2で示しており、溝深さ寸法Hについては、図19(B)において両端矢印Hで示している。また、更に具体的には、成形体厚み寸法H2は、溝深さ寸法Hの100%以上115%以下の範囲の寸法に設定されている。即ち、H×1.15≧H2≧H×1.00の関係が成立するように、成形体厚み寸法H2と溝深さ寸法Hとの関係が設定されている。
心線104ではなく、シート芯体112が用いられる上述の第2の変形例にかかるラップドVベルトの製造方法によっても、前述の実施形態と同様の効果を奏することができる。即ち、第2の変形例にかかるラップドVベルトの製造方法によると、スカイブ処理を削減することができ、金型50の溝51に嵌め込まれる加硫対象の断面形状を正確に設定することが容易であり、ラップドVベルト100におけるシート芯体112の並びの乱れ及び断面寸法の過不足の発生を抑制することができる、ラップドVベルトの製造方法を提供することができる。
(3)前述の実施形態又は第1の変形例では、未加硫スリーブ形成工程において、未加硫ゴム層の外周又は内周に対して芯体を未加硫の接着ゴム層とともに配置することで筒状の未加硫スリーブを形成する形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。例えば、未加硫スリーブ形成工程において、未加硫ゴム層の外周又は内周に対して芯体を未加硫の接着ゴム層及び第2の未加硫ゴム層とともに配置することで筒状の未加硫スリーブを形成する形態が実施されてもよい。この場合、第2の未加硫ゴム層の厚みは、非常に薄い厚みに設定される。例えば、第2の未加硫ゴム層の厚み寸法は、接着ゴム層の厚み寸法と同程度の寸法又は接着ゴム層の厚み寸法よりも小さい寸法に設定される。
[実施例]
(芯体が心線の場合のラップドVベルトについての実施例)
上述した本発明の実施形態に係るラップドVベルト100の製造方法によって製造されたラップドVベルト100について寸法に関する評価を行った。評価に使用されたラップドVベルト100は、加硫工程S103において、図12に示す金型50に未加硫成形体20が嵌め込まれ製造された。以下に示すように、評価においては、円形断面の心線104が設けられたラップドVベルト100について行い、JIS規格で定められている種類のうちA形、B形、C形の各規格のラップドVベルト100の寸法精度について評価を行った。JIS規格A形、B形、C形のラップドVベルト100の実施例として、各規格においてそれぞれ6つのラップドVベルト100を作成し、寸法測定及び評価を行った。
評価においては、加硫されて生成されたラップドVベルト100が後述する許容寸法の範囲内にあるものか否かについて行った。ラップドVベルト100の寸法が基準を満たすものである場合は、寸法が基準内であると判定した。一方、ラップドVベルト100の寸法が基準を満たすものでない場合は、寸法が基準外であると判定した。
図20は、図1に示すラップドVベルト100の断面形状を模式的に示す図である。加硫されて生成されたラップドVベルト100は、図20に示すように、周方向に垂直な断面が等脚台形状の断面形状に形成される。そして、等脚台形状の断面形状の平行な一対の底辺のうち、寸法の大きい方の底辺がラップドVベルト100の外周側に配置され、寸法の小さい方の底辺がラップドVベルト100の内周側に配置されている。
ラップドVベルト100の幅方向の寸法であるラップドVベルト幅寸法W3は、ラップドVベルト100の内周側の底辺の寸法として構成されている。また、ラップドVベルト100の厚み寸法(以下、ラップドVベルト100厚み寸法と称する。)H3は、ラップドVベルト100の厚み方向の寸法として構成されている。各実施例においては、上述のラップドVベルト幅寸法W3と、ラップドVベルト厚み寸法H3とが測定される。
JIS規格A形のラップドVベルト100の寸法は、JIS規格を基に評価の基準としてラップドVベルト幅寸法W3を12.5±0.6mmとし、ラップドVベルト厚み寸法H3を9.0±0.8mmとした。具体的には、ラップドVベルト幅寸法の許容寸法は、11.9mmから13.1mmに設定し、ラップドVベルト高さ寸法の許容寸法は8.2mmから9.8mmに設定した。
図21乃至図23は、図1に示すラップドVベルト100について、評価を行った結果について一覧表にして示す図である。図21は、実施例1乃至実施例6の6つのJIS規格A形ラップドVベルト100について、それぞれ測定した寸法を示すとともに、加硫されて生成されたラップドVベルト100が、設定した寸法の範囲内にあるか否かについて判定した結果を示している。
実施例1では、図21に示すように、成形体幅寸法W1が13.3mm、成形体厚み寸法H1が10.4mmの未加硫成形体20について金型50を用いて加硫を行った。即ち、成形体幅寸法W1が溝幅寸法Wに対して100%であって、成形体厚み寸法H1が溝深さ寸法Hの120%のものを使用した。その結果、ラップドVベルト幅寸法W3は13.4mmであり、ラップドVベルト厚み寸法H3は10.1mmであった。即ち、ラップドVベルト幅寸法W3は、最大許容寸法を0.3mm超え、ラップドVベルト厚み寸法H3は、最大許容寸法を0.3mm超える結果であった。従って、実施例1におけるラップドVベルト100の寸法は基準外であると判定された。
実施例2では、図21に示すように、成形体幅寸法W1が12.6mm、成形体厚み寸法H1が10.0mmの未加硫成形体20について金型50を用いて加硫を行った。即ち、成形体幅寸法W1が溝幅寸法Wに対して95%であって、成形体厚み寸法H1が溝深さ寸法Hの115%のものを使用した。その結果、ラップドVベルト幅寸法W3は、12.9mmであり、ラップドVベルト厚み寸法H3は9.7mmであった。即ち、ラップドVベルト幅寸法W3及び、ラップドVベルト厚み寸法H3は、許容寸法の範囲内であった。従って、実施例2におけるラップドVベルト100の寸法は基準内であると判定された。
実施例3では、図21に示すように、成形体幅寸法W1が12.6mm、成形体厚み寸法H1が8.7mmの未加硫成形体20について金型50を用いて加硫を行った。即ち、成形体幅寸法W1が溝幅寸法Wに対して95%であって、成形体厚み寸法H1が溝深さ寸法Hの100%のものを使用した。その結果、ラップドVベルト幅寸法W3は、12.5mmであり、ラップドVベルト厚み寸法H3は9.1mmであった。即ち、ラップドVベルト幅寸法W3及び、ラップドVベルト厚み寸法H3は、許容寸法の範囲内であった。従って、実施例3におけるラップドVベルト100の寸法は基準内であると判定された。
実施例4では、図21に示すように、成形体幅寸法W1が10.6mm、成形体厚み寸法H1が10.0mmの未加硫成形体20について金型50を用いて加硫を行った。即ち、成形体幅寸法W1が溝幅寸法Wに対して80%であって、成形体厚み寸法H1が溝深さ寸法Hの115%のものを使用した。その結果、ラップドVベルト幅寸法W3は、12.3mmであり、ラップドVベルト厚み寸法H3は8.9mmであった。即ち、ラップドVベルト幅寸法W3及び、ラップドVベルト厚み寸法H3は、許容寸法の範囲内であった。従って、実施例4におけるラップドVベルト100の寸法は基準内であると判定された。
実施例5では、図21に示すように、成形体幅寸法W1が10.6mm、成形体厚み寸法H1が8.7mmの未加硫成形体20について金型50を用いて加硫を行った。即ち、成形体幅寸法W1が溝幅寸法Wに対して80%であって、成形体厚み寸法H1が溝深さ寸法Hの100%のものを使用した。その結果、ラップドVベルト幅寸法W3は、12.0mmであり、ラップドVベルト厚み寸法H3は8.3mmであった。即ち、ラップドVベルト幅寸法W3及び、ラップドVベルト厚み寸法H3は、許容寸法の範囲内であった。従って、実施例5におけるラップドVベルト100の寸法は基準内であると判定された。
実施例6では、図21に示すように、成形体幅寸法W1が9.3mm、成形体厚み寸法H1が7.8mmの未加硫成形体20について金型50を用いて加硫を行った。即ち、成形体幅寸法W1が溝幅寸法Wに対して70%であって、成形体厚み寸法H1が溝深さ寸法Hの90%のものを使用した。その結果、ラップドVベルト幅寸法W3は、11.6mmであり、ラップドVベルト厚み寸法H3は7.7mmであった。即ち、ラップドVベルト幅寸法W3は、最小許容寸法を0.3mm下回り、ラップドVベルト厚み寸法H3は、最小許容寸法を0.5mm下回る結果であった。従って、実施例6におけるラップドVベルトの寸法は基準外であると判定された。
上記実施例1乃至6の結果より、ラップドVベルト100のJIS規格A形において、成形体幅寸法W1が溝幅寸法Wに対して80%以上95%以下であって、成形体厚み寸法H1が溝深さ寸法Hに対して100%以上115%以下の範囲の寸法に設定される場合、加硫されて生成されたラップドVベルト100は、前述した基準内の寸法となった。また、上記範囲内の寸法に設定されない場合、加硫されて生成されたラップドVベルト100は、前述した基準外の寸法となった。
次に、図22を参照して、実施例7乃至実施例12の6つのJIS規格B形ラップドVベルト100について、それぞれの寸法に関する評価の結果について説明する。
JIS規格B形のラップドVベルト100の寸法は、JIS規格を基に評価の基準としてラップドVベルト幅寸法W3を16.5±0.6mmとし、ラップドVベルト厚み寸法H3を11.0±0.8mmとした。具体的には、ラップドVベルト幅寸法の許容寸法は、15.9mmから17.1mmに設定し、ラップドVベルト高さ寸法の許容寸法は10.2mmから11.8mmに設定した。
図22は、実施例7乃至実施例12の6つのJIS規格B形ラップドVベルト100について、それぞれ測定した寸法を示すとともに、加硫されて生成されたラップドVベルト100が、設定した寸法の範囲内にあるか否かについて判定した結果を示している。
実施例7では、図22に示すように、成形体幅寸法W1が17.5mm、成形体厚み寸法H1が12.8mmの未加硫成形体20について金型50を用いて加硫を行った。即ち、成形体幅寸法W1が溝幅寸法Wに対して100%であって、成形体厚み寸法H1が溝深さ寸法Hの120%のものを使用した。その結果、ラップドVベルト幅寸法W3は17.4mmであり、ラップドVベルト厚み寸法H3は12.2mmであった。即ち、ラップドVベルト幅寸法W3は、最大許容寸法を0.3mm超え、ラップドVベルト厚み寸法H3は、最大許容寸法を0.4mm超える結果であった。従って、実施例7におけるラップドVベルト100の寸法は基準外であると判定された。
実施例8では、図22に示すように、成形体幅寸法W1が16.6mm、成形体厚み寸法H1が12.3mmの未加硫成形体20について金型50を用いて加硫を行った。即ち、成形体幅寸法W1が溝幅寸法Wに対して95%であって、成形体厚み寸法H1が溝深さ寸法Hの115%のものを使用した。その結果、ラップドVベルト幅寸法W3は、16.9mmであり、ラップドVベルト厚み寸法H3は11.6mmであった。即ち、ラップドVベルト幅寸法W3及び、ラップドVベルト厚み寸法H3は、許容寸法の範囲内であった。従って、実施例8におけるラップドVベルト100の寸法は基準内であると判定された。
実施例9では、図22に示すように、成形体幅寸法W1が16.6mm、成形体厚み寸法H1が10.7mmの未加硫成形体20について金型50を用いて加硫を行った。即ち、成形体幅寸法W1が溝幅寸法Wに対して95%であって、成形体厚み寸法H1が溝深さ寸法Hの100%のものを使用した。その結果、ラップドVベルト幅寸法W3は、16.5mmであり、ラップドVベルト厚み寸法H3は11.1mmであった。即ち、ラップドVベルト幅寸法W3及び、ラップドVベルト厚み寸法H3は、許容寸法の範囲内であった。従って、実施例9におけるラップドVベルト100の寸法は基準内であると判定された。
実施例10では、図22に示すように、成形体幅寸法W1が14.0mm、成形体厚み寸法H1が12.3mmの未加硫成形体20について金型50を用いて加硫を行った。即ち、成形体幅寸法W1が溝幅寸法Wに対して80%であって、成形体厚み寸法H1が溝深さ寸法Hの115%のものを使用した。その結果、ラップドVベルト幅寸法W3は、16.3mmであり、ラップドVベルト厚み寸法H3は10.9mmであった。即ち、ラップドVベルト幅寸法W3及び、ラップドVベルト厚み寸法H3は、許容寸法の範囲内であった。従って、実施例10におけるラップドVベルト100の寸法は基準内であると判定された。
実施例11では、図22に示すように、成形体幅寸法W1が14.0mm、成形体厚み寸法H1が10.7mmの未加硫成形体20について金型50を用いて加硫を行った。即ち、成形体幅寸法W1が溝幅寸法Wに対して80%であって、成形体厚み寸法H1が溝深さ寸法Hの100%のものを使用した。その結果、ラップドVベルト幅寸法W3は、16.0mmであり、ラップドVベルト厚み寸法H3は10.4mmであった。即ち、ラップドVベルト幅寸法W3及び、ラップドVベルト厚み寸法H3は、許容寸法の範囲内であった。従って、実施例11におけるラップドVベルト100の寸法は基準内であると判定された。
実施例12では、図22に示すように、成形体幅寸法W1が12.3mm、成形体厚み寸法H1が9.6mmの未加硫成形体20について金型50を用いて加硫を行った。即ち、成形体幅寸法W1が溝幅寸法Wに対して70%であって、成形体厚み寸法H1が溝深さ寸法Hの90%のものを使用した。その結果、ラップドVベルト幅寸法W3は、15.4mmであり、ラップドVベルト厚み寸法H3は9.6mmであった。即ち、ラップドVベルト幅寸法W3は、最小許容寸法を0.5mm下回り、ラップドVベルト厚み寸法H3は、最小許容寸法を0.6mm下回る結果であった。従って、実施例12におけるラップドVベルトの寸法は基準外であると判定された。
上記実施例7乃至12の結果より、ラップドVベルト100のJIS規格B形において、成形体幅寸法W1が溝幅寸法Wに対して80%以上95%以下であって、成形体厚み寸法H1が溝深さ寸法Hに対して100%以上115%以下の範囲の寸法に設定される場合、加硫されて生成されたラップドVベルト100は、前述した基準内の寸法となった。また、上記範囲内の寸法に設定されない場合、加硫されて生成されたラップドVベルト100は、前述した基準外の寸法となった。
次に、図23を参照して、実施例13乃至実施例18の6つのJIS規格C形ラップドVベルト100について、それぞれの寸法に関する評価の結果について説明する。
JIS規格A形のラップドVベルト100の寸法は、JIS規格を基に評価の基準としてラップドVベルト幅寸法W3を22.0±0.6mmとし、ラップドVベルト厚み寸法H3を14.0±0.8mmとした。具体的には、ラップドVベルト幅寸法の許容寸法は、21.4mmから22.6mmに設定し、ラップドVベルト高さ寸法の許容寸法は13.2mmから14.8mmに設定した。
図23は、実施例13乃至実施例18の6つのJIS規格C形ラップドVベルト100について、それぞれ測定した寸法を示すとともに、加硫されて生成されたラップドVベルト100が、設定した寸法の範囲内にあるか否かについて判定した結果を示している。
実施例13は、図23に示すように、成形体幅寸法W1が23.0mm、成形体厚み寸法H1が16.2mmの未加硫成形体20について金型50を用いて加硫を行った。即ち、成形体幅寸法W1が溝幅寸法Wに対して100%であって、成形体厚み寸法H1が溝深さ寸法Hの120%のものを使用した。その結果、ラップドVベルト幅寸法W3は22.9mmであり、ラップドVベルト厚み寸法H3は15.2mmであった。即ち、ラップドVベルト幅寸法W3は、最大許容寸法を0.3mm超え、ラップドVベルト厚み寸法H3は、最大許容寸法を0.4mm超える結果であった。従って、実施例13におけるラップドVベルト100の寸法は基準外であると判定された。
実施例14では、図23に示すように、成形体幅寸法W1が21.9mm、成形体厚み寸法H1が15.5mmの未加硫成形体20について金型50を用いて加硫を行った。即ち、成形体幅寸法W1が溝幅寸法Wに対して95%であって、成形体厚み寸法H1が溝深さ寸法Hの115%のものを使用した。その結果、ラップドVベルト幅寸法W3は、22.4mmであり、ラップドVベルト厚み寸法H3は14.6mmであった。即ち、ラップドVベルト幅寸法W3及び、ラップドVベルト厚み寸法H3は、許容寸法の範囲内であった。従って、実施例14におけるラップドVベルト100の寸法は基準内であると判定された。
実施例15では、図23に示すように、成形体幅寸法W1が21.9mm、成形体厚み寸法H1が13.5mmの未加硫成形体20について金型50を用いて加硫を行った。即ち、成形体幅寸法W1が溝幅寸法Wに対して95%であって、成形体厚み寸法H1が溝深さ寸法Hの100%のものを使用した。その結果、ラップドVベルト幅寸法W3は、21.9mmであり、ラップドVベルト厚み寸法H3は14.0mmであった。即ち、ラップドVベルト幅寸法W3及び、ラップドVベルト厚み寸法H3は、許容寸法の範囲内であった。従って、実施例15におけるラップドVベルト100の寸法は基準内であると判定された。
実施例16では、図23に示すように、成形体幅寸法W1が18.4mm、成形体厚み寸法H1が15.5mmの未加硫成形体20について金型50を用いて加硫を行った。即ち、成形体幅寸法W1が溝幅寸法Wに対して80%であって、成形体厚み寸法H1が溝深さ寸法Hの115%のものを使用した。その結果、ラップドVベルト幅寸法W3は、21.7mmであり、ラップドVベルト厚み寸法H3は13.9mmであった。即ち、ラップドVベルト幅寸法W3及び、ラップドVベルト厚み寸法H3は、許容寸法の範囲内であった。従って、実施例16におけるラップドVベルト100の寸法は基準内であると判定された。
実施例17では、図23に示すように、成形体幅寸法W1が18.4mm、成形体厚み寸法H1が13.5mmの未加硫成形体20について金型50を用いて加硫を行った。即ち、成形体幅寸法W1が溝幅寸法Wに対して80%であって、成形体厚み寸法H1が溝深さ寸法Hの100%のものを使用した。その結果、ラップドVベルト幅寸法W3は、21.5mmであり、ラップドVベルト厚み寸法H3は13.3mmであった。即ち、ラップドVベルト幅寸法W3及び、ラップドVベルト厚み寸法H3は、許容寸法の範囲内であった。従って、実施例17におけるラップドVベルト100の寸法は基準内であると判定された。
実施例18では、図23に示すように、成形体幅寸法W1が16.1mm、成形体厚み寸法H1が12.1mmの未加硫成形体20について金型50を用いて加硫を行った。即ち、成形体幅寸法W1が溝幅寸法Wに対して70%であって、成形体厚み寸法H1が溝深さ寸法Hの90%のものを使用した。その結果、ラップドVベルト幅寸法W3は、20.8mmであり、ラップドVベルト厚み寸法H3は12.3mmであった。即ち、ラップドVベルト幅寸法W3は、最小許容寸法を0.6mm下回り、ラップドVベルト厚み寸法H3は、最小許容寸法を0.9mm下回る結果であった。従って、実施例18におけるラップドVベルトの寸法は基準外であると判定された。
上記実施例13乃至18の結果より、ラップドVベルト100のJIS規格C形において、成形体幅寸法W1が溝幅寸法Wに対して80%以上95%以下であって、成形体厚み寸法H1が溝深さ寸法Hに対して100%以上115%以下の範囲の寸法に設定される場合、加硫されて生成されたラップドVベルト100は、前述した基準内の寸法となった。また、上記範囲内の寸法に設定されない場合、加硫されて生成されたラップドVベルト100は、前述した基準外の寸法となった。
(芯体がシート芯体の場合のラップドVベルトについての実施例)
第2変形例に係るラップドVベルト110の製造方法によって製造されたラップドVベルト110についても、上記同様、寸法に関する評価を行った。評価に使用されたラップドVベルト110は、加硫工程S103において、図19に示す金型50に未加硫成形体130が嵌め込まれ製造された。以下に示すように、評価においては、シート芯体112が設けられたラップドVベルト110について行い、前述のラップドVベルト100と同様に、JIS規格で定められている種類のうちA形、B形、C形の各規格のラップドVベルト110の寸法精度について評価を行った。また、前述のラップドVベルト100と同様に、JIS規格A形、B形、C形のラップドVベルト110の実施例として、各規格においてそれぞれ6つのラップドVベルト110を作成し、寸法測定及び評価を行った。
評価においても、前述のラップドVベルト100と同様に、ラップドVベルト110が許容寸法の範囲内にあるものか否かについて行った。ラップドVベルト110の寸法が基準を満たすものである場合は、寸法が基準内であると判定した。一方、ラップドVベルト110の寸法が基準を満たすものでない場合は、寸法が基準外であると判定した。
図24は、第2の変形例に係るラップドVベルト110の断面形状を模式的に示す図である。加硫されて生成されたラップドVベルト110は、図24に示すように、周方向に垂直な断面が等脚台形状の断面形状に形成される。そして、等脚台形状の断面形状の平行な一対の底辺のうち、寸法の大きい方の底辺がラップドVベルト110の外周側に配置され、寸法の小さい方の底辺がラップドVベルト110の内周側に配置されている。
ラップドVベルト110の幅方向の寸法であるラップドVベルト幅寸法W4は、ラップドVベルト110の内周側の底辺の寸法として構成されている。また、ラップドVベルト110の厚み寸法(以下、ラップドVベルト110厚み寸法と称する。)H4は、ラップドVベルト110の厚み方向の寸法として構成されている。各実施例においては、上述のラップドVベルト幅寸法W4と、ラップドVベルト厚み寸法H4とが測定される。
JIS規格A形のラップドVベルト110の寸法は、前述のラップドVベルト100と同様であるため説明を省略する。
図25乃至図27は、図24に示すラップドVベルト110について、評価を行った結果について一覧表にして示す図である。図25は、実施例19乃至実施例24の6つのJIS規格A形ラップドVベルト110について、それぞれ測定した寸法を示すとともに、加硫されて生成されたラップドVベルト110が、設定した寸法の範囲内にあるか否かについて判定した結果を示している。
実施例19では、図25に示すように、成形体幅寸法W2が13.3mm、成形体厚み寸法H2が10.4mmの未加硫成形体130について金型50を用いて加硫を行った。即ち、成形体幅寸法W2が溝幅寸法Wに対して100%であって、成形体厚み寸法H2が溝深さ寸法Hの120%のものを使用した。その結果、ラップドVベルト幅寸法W4は13.5mmであり、ラップドVベルト厚み寸法H4は10.3mmであった。即ち、ラップドVベルト幅寸法W4は、最大許容寸法を0.4mm超え、ラップドVベルト厚み寸法H4は、最大許容寸法を0.5mm超える結果であった。従って、実施例19におけるラップドVベルト110の寸法は基準外であると判定された。
実施例20では、図25に示すように、成形体幅寸法W1が12.6mm、成形体厚み寸法H1が10.0mmの未加硫成形体130について金型50を用いて加硫を行った。即ち、成形体幅寸法W1が溝幅寸法Wに対して95%であって、成形体厚み寸法H1が溝深さ寸法Hの115%のものを使用した。その結果、ラップドVベルト幅寸法W4は、13.0mmであり、ラップドVベルト厚み寸法H4は9.8mmであった。即ち、ラップドVベルト幅寸法W4及び、ラップドVベルト厚み寸法H4は、許容寸法の範囲内であった。従って、実施例20におけるラップドVベルト110の寸法は基準内であると判定された。
実施例21では、図25に示すように、成形体幅寸法W1が12.6mm、成形体厚み寸法H1が8.7mmの未加硫成形体130について金型50を用いて加硫を行った。即ち、成形体幅寸法W1が溝幅寸法Wに対して95%であって、成形体厚み寸法H1が溝深さ寸法Hの100%のものを使用した。その結果、ラップドVベルト幅寸法W4は、12.7mmであり、ラップドVベルト厚み寸法H4は9.3mmであった。即ち、ラップドVベルト幅寸法W4及び、ラップドVベルト厚み寸法H4は、許容寸法の範囲内であった。従って、実施例21おけるラップドVベルト110の寸法は基準内であると判定された。
実施例22では、図25に示すように、成形体幅寸法W1が10.6mm、成形体厚み寸法H1が10.0mmの未加硫成形体130について金型50を用いて加硫を行った。即ち、成形体幅寸法W1が溝幅寸法Wに対して80%であって、成形体厚み寸法H1が溝深さ寸法Hの115%のものを使用した。その結果、ラップドVベルト幅寸法W4は、12.4mmであり、ラップドVベルト厚み寸法H4は9.0mmであった。即ち、ラップドVベルト幅寸法W4及び、ラップドVベルト厚み寸法H4は、許容寸法の範囲内であった。従って、実施例22におけるラップドVベルト110の寸法は基準内であると判定された。
実施例23では、図25に示すように、成形体幅寸法W1が10.6mm、成形体厚み寸法H1が8.7mmの未加硫成形体130について金型50を用いて加硫を行った。即ち、成形体幅寸法W1が溝幅寸法Wに対して80%であって、成形体厚み寸法H1が溝深さ寸法Hの100%のものを使用した。その結果、ラップドVベルト幅寸法W4は、12.1mmであり、ラップドVベルト厚み寸法H4は8.4mmであった。即ち、ラップドVベルト幅寸法W4及び、ラップドVベルト厚み寸法H4は、許容寸法の範囲内であった。従って、実施例23におけるラップドVベルト110の寸法は基準内であると判定された。
実施例24では、図25に示すように、成形体幅寸法W1が9.3mm、成形体厚み寸法H1が7.8mmの未加硫成形体130について金型50を用いて加硫を行った。即ち、成形体幅寸法W1が溝幅寸法Wに対して70%であって、成形体厚み寸法H1が溝深さ寸法Hの90%のものを使用した。その結果、ラップドVベルト幅寸法W4は、11.7mmであり、ラップドVベルト厚み寸法H4は7.9mmであった。即ち、ラップドVベルト幅寸法W4は、最小許容寸法を0.2mm下回り、ラップドVベルト厚み寸法H4は、最小許容寸法を0.3mm下回る結果であった。従って、実施例24におけるラップドVベルトの寸法は基準外であると判定された。
上記実施例19乃至24の結果より、ラップドVベルト110のJIS規格A形において、成形体幅寸法W2が溝幅寸法Wに対して80%以上95%以下であって、成形体厚み寸法H2が溝深さ寸法Hに対して100%以上115%以下の範囲の寸法に設定される場合、加硫されて生成されたラップドVベルト110は、前述した基準内の寸法となった。また、上記範囲内の寸法に設定されない場合、加硫されて生成されたラップドVベルト110は、前述した基準外の寸法となった。
次に、図26を参照して、実施例25乃至実施例30の6つのJIS規格B形ラップドVベルト110について、それぞれの寸法に関する評価の結果について説明する。
JIS規格B形のラップドVベルト110の寸法は、前述のラップドVベルト100と同様であるため説明を省略する。
図26は、実施例25乃至実施例30の6つのJIS規格B形ラップドVベルト110について、それぞれ測定した寸法を示すとともに、加硫されて生成されたラップドVベルト110が、設定した寸法の範囲内にあるか否かについて判定した結果を示している。
実施例25では、図26に示すように、成形体幅寸法W1が17.5mm、成形体厚み寸法H1が12.8mmの未加硫成形体130について金型50を用いて加硫を行った。即ち、成形体幅寸法W1が溝幅寸法Wに対して100%であって、成形体厚み寸法H1が溝深さ寸法Hの120%のものを使用した。その結果、ラップドVベルト幅寸法W4は17.5mmであり、ラップドVベルト厚み寸法H4は12.4mmであった。即ち、ラップドVベルト幅寸法W4は、最大許容寸法を0.4mm超え、ラップドVベルト厚み寸法H4は、最大許容寸法を0.6mm超える結果であった。従って、実施例25におけるラップドVベルト110の寸法は基準外であると判定された。
実施例26では、図26に示すように、成形体幅寸法W1が16.6mm、成形体厚み寸法H1が12.3mmの未加硫成形体130について金型50を用いて加硫を行った。即ち、成形体幅寸法W1が溝幅寸法Wに対して95%であって、成形体厚み寸法H1が溝深さ寸法Hの115%のものを使用した。その結果、ラップドVベルト幅寸法W4は、17.1mmであり、ラップドVベルト厚み寸法H4は11.7mmであった。即ち、ラップドVベルト幅寸法W4及び、ラップドVベルト厚み寸法H4は、許容寸法の範囲内であった。従って、実施例26におけるラップドVベルト110の寸法は基準内であると判定された。
実施例27では、図26に示すように、成形体幅寸法W1が16.6mm、成形体厚み寸法H1が10.7mmの未加硫成形体130について金型50を用いて加硫を行った。即ち、成形体幅寸法W1が溝幅寸法Wに対して95%であって、成形体厚み寸法H1が溝深さ寸法Hの100%のものを使用した。その結果、ラップドVベルト幅寸法W4は、16.7mmであり、ラップドVベルト厚み寸法H4は11.3mmであった。即ち、ラップドVベルト幅寸法W4及び、ラップドVベルト厚み寸法H4は、許容寸法の範囲内であった。従って、実施例27におけるラップドVベルト110の寸法は基準内であると判定された。
実施例28では、図26に示すように、成形体幅寸法W1が14.0mm、成形体厚み寸法H1が12.3mmの未加硫成形体130について金型50を用いて加硫を行った。即ち、成形体幅寸法W1が溝幅寸法Wに対して80%であって、成形体厚み寸法H1が溝深さ寸法Hの115%のものを使用した。その結果、ラップドVベルト幅寸法W4は、16.4mmであり、ラップドVベルト厚み寸法H4は11.0mmであった。即ち、ラップドVベルト幅寸法W4及び、ラップドVベルト厚み寸法H4は、許容寸法の範囲内であった。従って、実施例28におけるラップドVベルト110の寸法は基準内であると判定された。
実施例29では、図26に示すように、成形体幅寸法W1が14.0mm、成形体厚み寸法H1が10.7mmの未加硫成形体130について金型50を用いて加硫を行った。即ち、成形体幅寸法W1が溝幅寸法Wに対して80%であって、成形体厚み寸法H1が溝深さ寸法Hの100%のものを使用した。その結果、ラップドVベルト幅寸法W4は、16.1mmであり、ラップドVベルト厚み寸法H4は10.6mmであった。即ち、ラップドVベルト幅寸法W4及び、ラップドVベルト厚み寸法H4は、許容寸法の範囲内であった。従って、実施例29におけるラップドVベルト110の寸法は基準内であると判定された。
実施例30では、図26に示すように、成形体幅寸法W1が12.3mm、成形体厚み寸法H1が9.6mmの未加硫成形体130について金型50を用いて加硫を行った。即ち、成形体幅寸法W1が溝幅寸法Wに対して70%であって、成形体厚み寸法H1が溝深さ寸法Hの90%のものを使用した。その結果、ラップドVベルト幅寸法W4は、15.6mmであり、ラップドVベルト厚み寸法H4は9.8mmであった。即ち、ラップドVベルト幅寸法W4は、最小許容寸法を0.3mm下回り、ラップドVベルト厚み寸法H4は、最小許容寸法を0.4mm下回る結果であった。従って、実施例30におけるラップドVベルトの寸法は基準外であると判定された。
上記実施例25乃至30の結果より、ラップドVベルト110のJIS規格B形において、成形体幅寸法W1が溝幅寸法Wに対して80%以上95%以下であって、成形体厚み寸法H1が溝深さ寸法Hに対して100%以上115%以下の範囲の寸法に設定される場合、加硫されて生成されたラップドVベルト110は、前述した基準内の寸法となった。また、上記範囲内の寸法に設定されない場合、加硫されて生成されたラップドVベルト110は、前述した基準外の寸法となった。
次に、図27を参照して、実施例31乃至実施例36の6つのJIS規格C形ラップドVベルト110について、それぞれの寸法に関する評価の結果について説明する。
JIS規格C形のラップドVベルト110の寸法は、前述のラップドVベルト100と同様であるため説明を省略する。
図27は、実施例31乃至実施例36の6つのJIS規格C形ラップドVベルト110について、それぞれ測定した寸法を示すとともに、加硫されて生成されたラップドVベルト110が、設定した寸法の範囲内にあるか否かについて判定した結果を示している。
実施例31は、図27に示すように、成形体幅寸法W1が23.0mm、成形体厚み寸法H1が16.2mmの未加硫成形体130について金型50を用いて加硫を行った。即ち、成形体幅寸法W1が溝幅寸法Wに対して100%であって、成形体厚み寸法H1が溝深さ寸法Hの120%のものを使用した。その結果、ラップドVベルト幅寸法W4は23.1mmであり、ラップドVベルト厚み寸法H4は15.4mmであった。即ち、ラップドVベルト幅寸法W4は、最大許容寸法を0.5mm超え、ラップドVベルト厚み寸法H4は、最大許容寸法を0.6mm超える結果であった。従って、実施例31におけるラップドVベルト110の寸法は基準外であると判定された。
実施例32では、図27に示すように、成形体幅寸法W1が21.9mm、成形体厚み寸法H1が15.5mmの未加硫成形体130について金型50を用いて加硫を行った。即ち、成形体幅寸法W1が溝幅寸法Wに対して95%であって、成形体厚み寸法H1が溝深さ寸法Hの115%のものを使用した。その結果、ラップドVベルト幅寸法W4は、22.5mmであり、ラップドVベルト厚み寸法H4は14.8mmであった。即ち、ラップドVベルト幅寸法W4及び、ラップドVベルト厚み寸法H4は、許容寸法の範囲内であった。従って、実施例32におけるラップドVベルト110の寸法は基準内であると判定された。
実施例33では、図27に示すように、成形体幅寸法W1が21.9mm、成形体厚み寸法H1が13.5mmの未加硫成形体130について金型50を用いて加硫を行った。即ち、成形体幅寸法W1が溝幅寸法Wに対して95%であって、成形体厚み寸法H1が溝深さ寸法Hの100%のものを使用した。その結果、ラップドVベルト幅寸法W4は、22.1mmであり、ラップドVベルト厚み寸法H4は14.2mmであった。即ち、ラップドVベルト幅寸法W4及び、ラップドVベルト厚み寸法H4は、許容寸法の範囲内であった。従って、実施例33におけるラップドVベルト110の寸法は基準内であると判定された。
実施例34では、図27に示すように、成形体幅寸法W1が18.4mm、成形体厚み寸法H1が15.5mmの未加硫成形体130について金型50を用いて加硫を行った。即ち、成形体幅寸法W1が溝幅寸法Wに対して80%であって、成形体厚み寸法H1が溝深さ寸法Hの115%のものを使用した。その結果、ラップドVベルト幅寸法W4は、21.9mmであり、ラップドVベルト厚み寸法H4は14.1mmであった。即ち、ラップドVベルト幅寸法W4及び、ラップドVベルト厚み寸法H4は、許容寸法の範囲内であった。従って、実施例34におけるラップドVベルト110の寸法は基準内であると判定された。
実施例35では、図27に示すように、成形体幅寸法W1が18.4mm、成形体厚み寸法H1が13.5mmの未加硫成形体130について金型50を用いて加硫を行った。即ち、成形体幅寸法W1が溝幅寸法Wに対して80%であって、成形体厚み寸法H1が溝深さ寸法Hの100%のものを使用した。その結果、ラップドVベルト幅寸法W4は、21.6mmであり、ラップドVベルト厚み寸法H4は13.5mmであった。即ち、ラップドVベルト幅寸法W4及び、ラップドVベルト厚み寸法H4は、許容寸法の範囲内であった。従って、実施例35におけるラップドVベルト110の寸法は基準内であると判定された。
実施例36では、図27に示すように、成形体幅寸法W1が16.1mm、成形体厚み寸法H1が12.1mmの未加硫成形体130について金型50を用いて加硫を行った。即ち、成形体幅寸法W1が溝幅寸法Wに対して70%であって、成形体厚み寸法H1が溝深さ寸法Hの90%のものを使用した。その結果、ラップドVベルト幅寸法W4は、21.0mmであり、ラップドVベルト厚み寸法H4は12.5mmであった。即ち、ラップドVベルト幅寸法W4は、最小許容寸法を0.4mm下回り、ラップドVベルト厚み寸法H4は、最小許容寸法を0.7mm下回る結果であった。従って、実施例36におけるラップドVベルトの寸法は基準外であると判定された。
上記実施例31乃至36の結果より、ラップドVベルト110のJIS規格C形において、成形体幅寸法W2が溝幅寸法Wに対して80%以上95%以下であって、成形体厚み寸法H2が溝深さ寸法Hに対して100%以上115%以下の範囲の寸法に設定される場合、加硫されて生成されたラップドVベルト110は、前述した基準内の寸法となった。また、上記範囲内の寸法に設定されない場合、加硫されて生成されたラップドVベルト110は、前述した基準外の寸法となった。