JP2552539B2 - 多リブベルトの製造方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は多リブベルトの製造方法、特にベルト長手方
向に伸びる多数のＶ形リブを有する多リブベルトの製造
方法に関するものである。

（従来の技術） 従来、多リブベルトの製造方法としては例えば米国特
許第3822516号明細書（特開昭52−17552号公報参照）の
如く加硫ベルトスリーブの外周面をＶ形グラインダーで
研摩する方法、米国特許第3839116号明細書（特公昭52
−15310号公報参照）の如く、複数のリブを設けた母型
上に伸縮性帆布を置き、次いでゴムシート，抗張体ロー
プを巻付け、外側より圧縮加硫した後、伸縮性帆布を取
り除き、ポリＶベルトを製造する方法等が知られてい
る。

（発明が解決しようとする課題） しかし、前者の方法ではリブ形成のために多量の加硫
ゴムスクラップが発生し、又、多大の研摩時間を必要と
し非効率的な欠点があり、一方、後者の方法では加硫中
に抗張体ロープがベルト圧縮部に落ち込みロープの配列
が不均一になってベルト走行時、早期破損の原因とな
る。又、リブ部への帆布の被覆は母型上に巻回した伸縮
性帆布によるが、これは加硫中に未加硫ゴムがＶ溝部に
入り込む流れのみを利用しているため、前記帆布がＶ溝
の内周を被覆するためには多大の伸びを必要とする。

現在、かかる伸びを与えるため、帆布としてウーリー
ナイロンを用いるとか、弾性糸を用いるなどの方法が用
いられているが、何れもＶ溝を完全に形作るだけの伸び
が得られないのみならず、帆布も高価で、材質も限定さ
れ、必らずしも汎用的ではない。

本発明は上述の如き従来の諸般の事情に鑑み、その解
決を図るべく種々の検討の結果、到達したもので、リブ
が帆布で形状通りに被覆されると共に抗張体を均一に配
列した通リブベルトを得ることならびに該リブベルト形
成時において加硫ゴムスクラップを出さず、研摩時間も
必要とせず、安価で効率良好な製造方法を得ることを目
的とするものである。

（課題を解決するための手段） 即ち、上記目的に適合する本発明の特徴とするところ
は、円周方向に延びる複数のＶ型溝を有する内側モール
ド上に、ゴム付帆布を巻き、その上にＶ型溝の配列，ピ
ッチに合わせて帆布の上からコードをスパイラル状に又
はリング状に巻回して該帆布を前記モールドのＶ型溝部
に型付けした後、該コードを取り去り、未加硫ゴームシ
ート，スパイラル状に抗張体ロープ，未加硫ゴムシー
ト，ゴム付帆布を順次巻き付けて無端状の未加硫ベルト
スリーブを形成し、次いで未加硫ベルトスリーブ外周面
に円筒状押圧体を配して加硫した後、カット作業を行う
ことにある。

（作用） 上記の製造方法を使用することにより内側モールドの
上に巻付けられた帆布はコードの巻付けによってＶ型溝
へ押し込まれ、略Ｖ形状となる。更に該帆布の上に巻付
けられた未加硫ゴムシートは加硫時に流動状態を呈し、
円筒状押圧体の押圧力よって内側モールドのＶ型溝を完
全に満たすと共に、その外側は帆布で被覆される。この
時、帆布の物理的性質および該帆布の占める容積は、未
加硫ゴムシートと内側モールドのＶ型溝との間に存在す
る空気および加硫時に放出されるガスを集め放出する役
目をするため、未加硫ゴムの流入をスムーズにすると共
に、ガスポケットが残る欠点を確実に防ぐ役目をする。

（実施例） 以下、更に上記本発明に係る多リブベルトの製造方法
の具体的機能につき、添付図面を参照しつつ詳細に説明
する。

第１図乃至第３図は本発明に係る製造方法の成形及び
加硫各工程の態様を示す横断面図である。

これら各図において（１）は円筒状ドラム、（２）は
円周方向に複数のＶ型溝（Ｇ）と帯状突起（Ｔ）を交互
に設けたゴム製などの弾性母型モールドであり、円筒状
ドラム（１）及び該母型モールド（２）によって内側モ
ールド（３）が形成される。

そして、本発明方法は、かかるゴム製母型モールド
（２）を使用し、先ず、成形工程において、第１図に示
す如く円筒状ドラム（１）の上に上記母型モールド
（２）を被覆し、この母型モールド（２）のＶ型溝
（Ｇ）表面にゴム付帆布（４）を型付けする。この点は
本発明方法の要部であって、これを具体的に示すと、母
型モールド（２）上に帆布（４）を巻き付けた後、該帆
布（４）の上から母型モールド（２）の端部を巻き始め
としてＶ型溝（Ｇ）の配列ピッチに合わせてコード
（５）をスパイラル状又はリング状に巻回して、該帆布
（４）を母型モールド（２）の外表面のＸ型溝（Ｇ）に
フイットさせ型付けする。

ここで、上記コード（５）は低伸度高強力のものであ
れば、どんな材質でもよいが、好ましくはポリエステ
ル，ナイロン，ケブラー又は金属繊維等からなるコード
であり、その形状はリブ先端形状によっていろいろな形
のもの、例えば円形，三角形，台形，四角形等のものが
使用される。

又、ここで使用される前記帆布もどんな材料で作られ
てもよいが、好ましくは伸縮性をもったものがよく、伸
縮性がよい程、Ｖ型溝状によくフイットし、リブ先端形
状がよくなる。

なお、前述の円筒状ドラム（１），母型モールド
（２）よりなる内側モールド（３）の代わりに円筒型モ
ールドの外周部に円周方向に伸びる複数のＶ型溝を有
し、かつ少なくともモールドの一部分が内側に向け折れ
曲がるようになっている割りモールドを使用してもよ
く、これによっても同様であることは云うまでもない。

次いで、前記に続く工程として上記コードを取り除い
た後、第２図に示すようにNR,SBR,CRなどの単一材又は
これらの適宜ブレンドした一定厚みの未加硫ゴムシート
（６）を無端状に巻き付け、その上に低伸度高強力の抗
張体ロープ（７）を所定のピッチでスパイラル状に巻き
付け、更に該抗張体ロープ（７）の上に前記未加硫ゴム
シート（６）と同質の一定厚みの薄い未加硫ゴムシート
（８）を巻き付け、最後に１〜複数層のゴム付帆布
（９）を巻き付けて未加硫ベルトスリーブ（10）を形成
し、成形工程が完了する。

なお、前記未加硫ゴムシート（６）中に耐亀裂性を向
上すべく短繊維を横方向に混入配向すれば、より補強さ
れたベルトを形成することも可能である。

かくして、以上より得られた未加硫ベルトスリーブ
（10）は以後、次の加硫工程に移され、加硫される。

加硫工程では、第３図に示す如く、未加硫ベルトスリ
ーブの外周面に例えば硬度50以上のゴム製円筒ジャケッ
ト、もしくは薄いステンレスバンドなどよりなる押圧体
（Ｐ）を嵌め込み、高圧蒸気もしくはパイプヒーターな
どで加圧加熱することにより、母型モールド（２）のＶ
型溝に向かって押圧され下部未加硫ゴム（６）が該Ｖ型
溝内に流入して充填され、同時に上下未加硫ゴム（６）
（８）が抗張体ロープ（７）の周囲を填めて上面にゴム
付帆布（９）が貼着された引張部分と下面にゴム付帆布
（４）で被覆されたＶリブ（11）を有する圧縮部分を各
々形成した加硫ベルトスリーブ（12）を形成するに至
る。

このようにして加硫を終えると、押圧体（Ｐ）を外
し、加硫ベルトスリーブ（12）を母型モールド（２）よ
り取り外し、所定の巾にカットすることにより第４図の
如き抗張体ロープ（７）を上下未加硫ゴムによる加硫ゴ
ム中に埋設し、上部にゴム付帆布（９）が貼着され、下
面にゴム付帆布（４）が貼着された複数リブを一体に加
硫形成したラップドタイプの多リブベルト（13）を得る
ことができる。

なお、上記説明は本発明による製造方法の１例であ
り、上記目的を逸脱しない限りにおいて、適宜、改変可
能であることは勿論である。

（発明の効果） 以上のように、本発明の多リブベルトの製造方法は、
リブ表面を帆布で被覆した多リブベルトを製造するに際
し、高伸縮性という制約された帆布を用いる必要はな
く、汎用の帆布の利用が可能となり、従って、その物理
的性質，材質の応用範囲も広く、多機能を有する多リブ
ベルトを製造することが容易であると共に、帆布の嵌め
込み使用により該帆布が未加硫ゴムシートと内側モール
ドのＶ型溝との間に存在する空気及び加硫時に放出され
るガスを集め放出する役目を有して未加硫ゴムの流入を
スムーズにし、ガスポケットが残る不具合を確実に防止
して、正確なリブの形状を型成し、かつ抗張体ロープの
均一配列と相俟ってベルト強力の低下の懸念もなく、更
にベルト使用時の過負荷や衝撃に対し帆布とプーリ間の
スリップにてショックを回避し、ショック切れ又は発熱
を防止することからベルト寿命を大幅に向上することが
できる外、またリブ形成時における加硫ゴムスクラップ
の発生を皆無にし、リブ研削時間を省き、大幅なコスト
ダウンを図ることができるなど、種々の効果を有し、工
業的方法としてその有用性が今後、大きく期待される方
法である。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本発明に係る多リブベルト製造方法
の成型態様を示す部分横断面図、第３図は同方法の加硫
態様を示す部分横断面図、第４図は本発明方法によって
得られた多リブベルトの部分断面図である。 （１）……円筒状ドラム， （２）……母型モールド， （３）……内側モールド （４）（９）……ゴム付帆布， （５）……コード， （６）（８）……未加硫ゴムシート， （７）……抗張体ロープ， （10）……未加硫ベルトスリーブ， （11）……リブ部， （12）……加硫ベルトスリーブ， （13）……多リブベルト， （Ｐ）……押圧体， （Ｇ）……母型モールドＶ型溝， （Ｔ）……母型モールド突起，

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】円周方向に延びる複数のＶ型溝を有する内
   側モールド上に、ゴム付帆布を巻き、その上にＶ型溝の
   配列ピッチに合わせて帆布の上からコードをスパイラル
   状に又はリング状に巻回して該帆布を前記モールドのＶ
   型溝部に型付けし、次いで該コードを取り去り、未加硫
   ゴームシート，スパイラル状に抗張体ロープ，未加硫ゴ
   ムシート，ゴム付帆布を順次巻き付けて無端状の未加硫
   ベルトスリーブを形成し、その後、未加硫ベルトスリー
   ブ外周面に円筒状押圧体を配して加硫した後、カット作
   業を行うことを特徴とする多リブベルトの製造方法。
2. 【請求項２】内側モールドとして少なくともモールドの
   一部分が内側に向け変形可能に構成されているモールド
   を用いる請求項１記載の多リブベルトの製造方法。
3. 【請求項３】内側モールドとして表面フラットな円筒状
   ドラムの外周面に、円周方向に延びるＶ型溝を有する弾
   性母型モールドを被覆構成せしめたモールドを用いる請
   求項１記載の多リブベルトの製造方法。