[六角ベルト]
以下、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる六角ベルトの全体の形状を模式的に示す図である。図2は、六角ベルトの一部を模式的に示す斜視図であって、更にその一部を断面で示す図である。図3(A)は、本発明の一実施形態にかかる六角ベルト10の断面図である。図3(B)は、図3(A)における芯体13付近の部分を模式化した拡大図であって、厚み方向における芯体13のずれ量の許容値を説明するための図である。また、図4は、六角ベルト10の一部を径方向外側から視た図であって、芯体13に含まれる第1繊維28a及び第2繊維28bを模式的に細い実線で示す図である。尚、図3(A)においては、六角ベルト10の詳細な断面構造を示す断面図を図示している。
図1乃至図4に示す六角ベルト10は、六角形状の断面を有して周方向に環状に延びる無端状の伝動ベルトとして構成されている。六角ベルト10は、周方向がベルト長手方向となる。尚、図1乃至図4において、六角ベルト10の周方向については、両端矢印C1で示しており、六角ベルト10の幅方向については、両端矢印W1で示している。また、図1乃至図3において、周方向に延びる六角ベルト10の径方向については、両端矢印R1で示している。尚、六角ベルト10の径方向は、周方向に延びる六角ベルト10が円周方向に沿って環状に配置された状態で円周の中心から半径方向に延びる方向として構成される。また、六角ベルト10の径方向は、六角ベルト10の厚み方向に対応する方向となる。六角ベルト10の幅方向は、六角ベルト10の周方向及び径方向(厚み方向)に対して垂直な方向として構成される。尚、六角ベルト10の幅方向W1における寸法である幅寸法Wについては、図3(A)において両端矢印Wで示している。また、六角ベルト10の径方向R1における寸法である厚み寸法Tについては、図3(A)において両端矢印Tで示している。また、本実施形態では、六角ベルト10(後述する未加硫スリーブ26の各ベルトスリーブ21,22,24,25)の幅方向W1、軸方向X1、径方向R1、および、周方向C1を単に、「幅方向W1」、「軸方向X1」、「径方向R1」、および、「周方向C1」という場合がある。
本実施形態に係る六角ベルト10は、無端状に形成されていて、周方向に環状に延びるように設けられている。そして、六角ベルト10の周方向C1(ベルト長手方向)に垂直な断面は、六角形状となるように形成されている。六角ベルト10の幅方向W1における寸法(幅寸法W)、及び六角ベルト10の径方向R1における寸法(厚み寸法T)は、例えば以下のように設定される。具体的には、ある六角ベルトでは、幅寸法Wが13mmに設定され厚み寸法Tが10mmに設定される。また、ある六角ベルトでは、幅寸法Wが17mmに設定され厚み寸法Tが13mmに設定される。また、ある六角ベルトでは、幅寸法Wが22mmに設定され厚み寸法Tが17mmに設定される。
また、六角ベルト10では、該六角ベルト10の厚み方向における中心線C10と、該六角ベルト10における最も幅が広い部分とが一致していることが好ましい。尚、図3(A)では、六角ベルト10の厚み方向における中心線C10について、一点鎖線C10で示している。また、図3(A)では、六角ベルト10の外周面(径方向R1において最も外側の面)と六角ベルト10における最も幅が広い部分との間の六角ベルト10の厚み方向における寸法T1を両端矢印T1で示している。そして、図3(A)では、六角ベルト10の内周面(径方向R1において最も内側の面)と六角ベルト10における最も幅が広い部分との間の六角ベルト10の厚み方向における寸法T2を両端矢印T2で示している。六角ベルト10の厚み方向における中心線C10と、六角ベルト10における最も幅が広い部分とが一致する場合は、寸法T1(mm)と寸法T2(mm)とが同じとなる。しかし、寸法T1、T2は、以下の値であれば許容される。具体的には、T1=a×0.5T、T2=b×0.5T(但し、0.85≦a,b≦1.15、a+b=2)であれば許容される。
本実施形態に係る六角ベルト10は、内側ゴム層11と、内側接着ゴム層12と、芯体13と、外側接着ゴム層14と、外側ゴム層15と、外被布16と、を有している。そして、六角ベルト10の径方向R1の内側から順に、内側ゴム層11と、内側接着ゴム層12と、芯体13と、外側接着ゴム層14と、外側ゴム層15と、が配置されている。
内側ゴム層11は、六角ベルト10における径方向内側の部分として設けられていて、台形状の断面を有する部分として構成されている。そして、内側ゴム層11は、六角ベルト10の周方向に沿って延びる部分として設けられており、六角ベルト10と同じ長さを有する長尺状のゴム層として設けられている。また、内側ゴム層11は、周方向C1(ベルト長手方向)に垂直な断面の形状が、図2及び図3(A)に示すような台形状に形成されている。内側ゴム層11の厚みは、比較的厚い。内側ゴム層11の材料として、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)などを例示できる。
内側接着ゴム層12は、内側ゴム層11と芯体13とをつなぎ合わせるために設けられており、内側ゴム層11の外周に配置されている。内側接着ゴム層12は、周方向C1(ベルト長手方向)に垂直な断面の形状が、略台形状に形成されている。内側接着ゴム層12の厚みは、内側ゴム層11の厚みよりも薄い。内側接着ゴム層12の材料として、内側ゴム層11の材料と同様の材料を例示できる。
芯体13は、六角ベルト10のうち六角ベルト10に作用する張力を主に受ける部分として設けられている。換言すれば、芯体13は、六角ベルト10の破断を防止する補強部材として機能する。芯体13の材料として、ポリエステル繊維、ガラス繊維、炭素繊維、および、アラミド繊維を例示できる。芯体13は、六角ベルト10の厚み方向の中間部に配置されており、当該中間部において、六角ベルト10の幅方向の略全域に亘って配置されている。このように、芯体13は、六角ベルト10の幅方向に扁平な形状に形成されており、当該幅方向の全域に亘ってバランスよく張力を受けることができる。芯体13は、内側接着ゴム層12の外周に設けられている。すなわち、芯体13は、内側ゴム層11の外周側に設けられている。このため、芯体13は、内側ゴム層11及び内側接着ゴム層12に対して径方向外側に配置されている。また、芯体13の外周に、外側接着ゴム層14が配置されている。そして、外側接着ゴム層14の外周に、外側ゴム層15が配置されている。よって、外側ゴム層15は、芯体13の外周側に設けられている。このため、芯体13は、外側ゴム層15及び外側接着ゴム層14に対して径方向内側に配置されている。
図3(B)を参照して、六角ベルト10の厚み方向における中心線C10を基準とした芯体13の厚み方向における中心線C13の径方向内側へのずれ量d1(mm)は、0.12×T1までであれば許容される。同様に、中心線C10を基準とした中心線C13の径方向外側へのずれ量d2(mm)は、0.12×T2までであれば許容される。尚、図3(B)では、芯体13の厚み方向における中心線C13について、一点鎖線C13で示しており、上記のずれ量d1及びd2についても矢印で挟んだ長さとして示している。
芯体13は、詳しくは後述するが、幅寸法が厚み寸法よりも大きい長尺状のシート材23を用いて形成される。即ち、芯体13は、幅が厚みよりも大きく設定されたシート材23を有している。シート材23の幅寸法は、六角ベルト10を構成する各ゴム層11,12,14,15、及びこれらの基となる(即ち、各ゴム層11,12,14,15の素材となる)後述のゴムシート31,32の幅寸法よりも小さい。六角ベルト10における周方向C1に垂直な断面においては、図3(A)に示すように、芯体13を構成するシート材23の周方向C1に垂直な断面が、幅方向W1に沿って一列に並んだような形状となる。芯体13、及び芯体13を形成するために用いられるシート材23の詳しい構成については、後述する。
外側接着ゴム層14は、外側ゴム層15と芯体13とをつなぎ合わせるために設けられている。外側接着ゴム層14は、芯体13の外周に設けられている。外側接着ゴム層14は、周方向C1(ベルト長手方向)に垂直な断面の形状が、略台形状に形成されている。外側接着ゴム層14の厚みは、例えば一例として、内側接着ゴム層12の厚みと同等である。また、外側接着ゴム層14の材料として、内側ゴム層11の材料と同様の材料を例示できる。
外側ゴム層15は、六角ベルト10における径方向外側の部分として設けられていて、台形状の断面を有する部分として構成されている。そして、外側ゴム層15は、六角ベルト10の周方向に沿って延びる部分として設けられており、内側ゴム層11と概ね同じ長さである長尺状のゴム層として設けられている。また、外側ゴム層15は、内側ゴム層11との間で芯体13を挟んだ状態で内側ゴム層11に重ねられた構成を有している。外側ゴム層15は、外側接着ゴム層14の外周に設けられている。すなわち、外側ゴム層15は、芯体13の外周側に設けられている。外側ゴム層15は、周方向C1(ベルト長手方向)に垂直な断面の形状が、図2及び図3(A)に示すような台形状に形成されている。外側ゴム層15の厚みは、例えば一例として、内側ゴム層11の厚みと同等である。外側ゴム層15の材料として、内側ゴム層11の材料と同様の材料を例示できる。
外被布16は、内カバー17および外カバー18を有している。内カバー17および外カバー18は、上述したゴム層11,12,14,15及び芯体13を覆う帆布として設けられている。内カバー17は、ゴム層11,12,14,15及び芯体13の外表面を周方向C1の全周に亘って覆うように設けられている。そして、外カバー18は、さらに、内カバー17の外表面を周方向C1の全周に亘って覆うように設けられている。
[芯体及びシート材の詳細な構成]
図5は、シート材を構成する二方向性シート材27の模式的な平面図である。本実施形態に係る六角ベルト10の芯体13に用いられるシート材23としては、例えば一例として、図5に示すような二方向性シート材27が用いられる。二方向性シート材27は、図4及び図5を参照して、所定方向に延びる複数の第1繊維28aと、第1繊維28aに対して直交する方向に沿って延びる複数の第2繊維28bと、が含まれている。そして、シート材23では、第1繊維28a及び第2繊維28bが延びる方向が、それぞれ、該シート材23の長手方向に対して交差する方向に沿って延びている。このようなシート材23を用いて六角ベルト10を形成することにより、シート材23に含まれる第1繊維28a及び第2繊維28bの延びる方向が、図4に示すように、六角ベルト10の周方向C1に対して交差する方向となる。よって、シート材23には、六角ベルト10の周方向C1と交差する方向に延びる複数の第1繊維28a、及び第1繊維28aと交差する方向に延びる複数の第2繊維28b、が含まれている。なお、図4では、第1繊維28a及び第2繊維28bを模式的に細線で図示しているが、実際に六角ベルト10を径方向外側から視ても、第1繊維28a及び第2繊維28bを視認することはできない。
図2を参照して、六角ベルト10内に設けられた状態における芯体13のシート材23では、第1繊維28aが六角ベルト10の周方向C1と交差する方向に沿って延びており、且つ第2繊維28bが第1繊維28aと交差する方向に延びている。より具体的には、第1繊維28aは、六角ベルト10の周方向C1に対して45度傾く方向に沿って延びており、且つ第2繊維28bは、第1繊維28aと直交する方向に沿って延びている。
上述した二方向性シート材27に含まれる第1繊維28a及び第2繊維28bとしては、例えば一例としてアラミド繊維を挙げることができる。例えば、アラミド繊維を用いた二方向性シート材27を用いて上述のようなシート材23を形成し、シート材23の厚みを0.031mm〜0.24mmに設定した場合、引張強度を2060(N/mm2)以上に設定することができる。
また、上述した二方向性シート材27に含まれる第1繊維28a及び第2繊維28bとしては、例えば一例として炭素繊維を挙げることができる。例えば、炭素繊維を用いた二方向性シート材27を用いて上述のようなシート材23を形成し、シート材23の厚みを0.0566mm〜0.0833mmに設定した場合、引張強度を2900(N/mm2)以上に設定することができる。
[六角ベルトの製造方法]
次に、上述した六角ベルト10の製造方法について説明する。図6〜図11は、六角ベルト10を成形するための成形装置1の一例を模式的に示す斜視図、および、この六角ベルト成形装置1によって形成される六角ベルト10の一部を示す断面図である。六角ベルト成形装置1は、六角ベルト10の製造方法において、六角ベルト10の基本的形状の成形のために用いられる。なお、以下では、六角ベルト成形装置1を単に成形装置1という場合がある。図12は、六角ベルト10の製造方法のの一例を説明するためのフローチャートである。なお、本実施形態に係る六角ベルト10は、以下で説明する成形装置1を用いずとも形成できるものであり、また、以下で説明する成形装置1を用いた製造方法以外の方法で製造することもできる。
図6(A)および図6(B)は、それぞれ、成形装置1を用いた内側ベルトスリーブ21の巻き掛け工程(ステップS1、内側ベルトスリーブ形成ステップ)を示す斜視図および断面図である。図7(A)および図7(B)は、それぞれ、成形装置1を用いた内側接着ベルトスリーブ22の巻き掛け工程(ステップS2)を示す斜視図および断面図である。図8(A)および図8(B)は、それぞれ、成形装置1を用いた芯体13の巻き掛け工程(ステップS3、芯体形成ステップ)を示す斜視図および断面図である。図9(A)および図9(B)は、それぞれ、成形装置1を用いた外側接着ベルトスリーブ24の巻き掛け工程(ステップS4)を示す斜視図および断面図である。図10(A)および図10(B)は、それぞれ、成形装置1を用いた外側ベルトスリーブ25の巻き掛け工程(ステップS5、外側ベルトスリーブ形成ステップ)を示す斜視図および断面図である。図11(A)は、未加硫スリーブ26のカット工程(ステップS6、カットステップ)を示す断面図である。図11(B)は、未加硫スリーブ26のスカイブ工程(ステップS7、スカイブステップ)を示す断面図である。
まず、ステップS1(内側ベルトスリーブ21の巻き掛け工程)では、図6(A)および図6(B)に示すように、予め形成された幅が広い未加硫のゴムシート31が、円柱状又は円筒状の金型として構成されたマントル3に巻き付けられ、その両端部が突き合わせられた状態で互いに接合されることにより、円筒状の内側ベルトスリーブ21が形成される。すなわち、ステップS1では、内側ベルトスリーブ21の巻き掛け工程が行われる。この巻き掛け工程は、加工対象としての可撓性を有する内側ベルトスリーブ21を当該内側ベルトスリーブ21の内周側から支持することで内側ベルトスリーブ21を円形状に保持するための、マントル3に内側ベルトスリーブ21を巻き掛ける工程である。尚、ステップS1(内側ベルトスリーブ21の巻き掛け工程)は、本実施形態において、六角ベルト10における内周側のゴム層である内側ゴム層11の基となる(即ち、内側ゴム層11の素材となる)無端状の未加硫の内側ベルトスリーブ21を形成する、内側ベルトスリーブ形成ステップ、を構成している。
尚、内側ベルトスリーブ21の幅方向、径方向、及び周方向は、六角ベルト10の周方向C1、径方向R1、及び幅方向W1と対応している。このため、図6においては、内側ベルトスリーブ21の方向に関し、周方向C1については両端矢印C1で示し、径方向R1については両端矢印R1で示し、幅方向W1については両端矢印W1で示している。また、マントル3の軸方向X1についても、図6において両端矢印X1で示している。マントル3の軸方向X1は、内側ベルトスリーブ21の幅方向W1と平行な方向となる。尚、後述する内側接着ベルトスリーブ22、外側接着ベルトスリーブ24、外側ベルトスリーブ25、未加硫スリーブ26、及び未加硫ベルト20の幅方向、径方向、及び周方向は、六角ベルト10及び内側ベルトスリーブ21の周方向C1、径方向R1、及び幅方向W1と対応している。このため、図7〜図11においても、各スリーブ(22、24、25、26)及び未加硫ベルト20の方向に関し、周方向C1については両端矢印C1で示し、径方向R1については両端矢印R1で示し、幅方向W1については両端矢印W1で示している。また、図7〜図11においては、マントル3の軸方向X1についても両端矢印X1で示している。
次に、ステップS2では、図7(A)及び図7(B)に示すように、予め形成された幅が広い未加硫のゴムシート32が、マントル3の外周に形成された内側ベルトスリーブ21の外周に巻き付けられ、その両端部が突き合わせられた状態で互いに接合されることにより、円筒状の内側接着ベルトスリーブ22が形成される。なお、ここで用いられるゴムシート32は、ステップS1で用いられたゴムシート31よりも厚みが薄く、且つ接着性を有する接着層としてのゴムシートである。
次に、ステップS3(芯体13の巻き掛け工程)では、図8(A)及び図8(B)に示すように、予め形成された長尺状のシート材23を、内側接着ベルトスリーブ22の外周に螺旋状に巻き付けることにより、芯体13を形成する工程が行われる。尚、ステップS3(芯体13の巻き掛け工程)は、本実施形態において、内側ベルトスリーブ形成ステップ(ステップS2)で形成された内側ベルトスリーブ21の外周側にシート材23を巻き付けることで芯体13を形成する、芯体形成ステップ、を構成している。
より詳しく説明すると、ステップS3では、まず、作業員が、シート材23の一端部をマントル3に固定する。この状態から、マントル3の回転によって、シート材23がマントル3に引き寄せられてマントル3に巻き付けられる。さらに、シート材23がマントル3に巻かれる位置を軸方向X1に沿って変位させることで、シート材23が螺旋状に巻き付けられる。これにより、芯体13が形成される。
本実施形態では、比較的厚みの小さい芯体13は、マントル3にシート材23を1層(1ply)巻くことで形成されている。この場合、マントル3の軸方向X1と平行な方向に隣接するシート材23同士(シート材23のうち幅方向W1に隣接する部分同士)は、径方向R1に互いに重なることを避けるようにしてマントル3、内側ベルトスリーブ21および内側接着ベルトスリーブ22に巻かれる。この場合、内側ベルトスリーブ21の外周側にシート材23が幅方向W1に沿って巻かれる間隔の寸法であるピッチP23は、シート材23の幅W23(シート材23の幅方向W1における寸法)と同じに設定されている。これにより、軸方向X1と平行な方向に隣接するシート材23同士が互いに密着した状態で当該シート材23がマントル3に巻かれる。
上記の工程により、マントル3の外周に、1層のシート材23で形成された芯体13が完成する。芯体13が完成した後、マントル3に巻かれる前の位置におけるシート材23が、図示しないカッターで切断される。
次に、ステップS4では、図9(A)及び図9(B)に示すように、予め形成された未加硫のゴムシート32が芯体13の外周に巻き付けられ、その両端部が突き合わせられた状態で互いに接合されることにより、円筒状の外側接着ベルトスリーブ24が形成される。なお、ステップS4では、例えば一例として、ステップS2で用いられたゴムシート32と同じ接着層としてのゴムシートが用いられる。
次に、ステップS5(外側ベルトスリーブ25の巻き掛け工程)では、図10(A)及び図10(B)に示すように、予め形成された未加硫のゴムシート31が外側接着ベルトスリーブ24の外周に巻き付けられ、その両端部が突き合わせられた状態で互いに接合されることにより、円筒状の外側ベルトスリーブ25が形成される。これにより、未加硫スリーブ26が完成する。このように、マントル3上に未加硫スリーブ26(内側ベルトスリーブ21、内側接着ベルトスリーブ22、芯体13、外側接着ベルトスリーブ24、および、外側ベルトスリーブ25の積層体)が形成される。尚、ステップS5(外側ベルトスリーブ25の巻き掛け工程)は、本実施形態において、芯体13の外周側に、六角ベルト10における外周側のゴム層である外側ゴム層15の基となる(即ち、外側ゴム層15の素材となる)無端状の未加硫の外側ベルトスリーブ25を形成する、外側ベルトスリーブ形成ステップ、を構成している。
次に、ステップS6では、カット工程が行われる。カット工程では、カッター(図示せず)によって、軸方向X1に沿って所定間隔毎に、未加硫スリーブ26がカットされる。これにより、未加硫スリーブ26の一部からなる、未加硫ベルト20が製造される(図11(A)参照)。尚、ステップS6(カット工程)は、本実施形態において、内側ベルトスリーブ21、芯体13、及び外側ベルトスリーブ25を含んで構成された未加硫スリーブ26を当該未加硫スリーブ26の周方向に沿ってカットして未加硫ベルト20を形成する、カットステップ、を構成している。
次に、ステップS7では、図11(B)に示すように、スカイブ工程が行われる。スカイブ工程では、未加硫ベルト20の周方向C1に垂直な断面が六角形状となるように、未加硫ベルト20の両側面を削る作業が行われる。尚、ステップS7(スカイブ工程)は、本実施形態において、未加硫ベルト20の周方向に垂直な未加硫ベルト20の断面が六角形状となるように、未加硫ベルトの幅方向における両側面を削る、スカイブステップ、を構成している。
次に、ステップS8では、図示は省略するが、カバー巻き工程が行われる。カバー巻き工程では、スカイブ工程を経た未加硫ベルト20に外被布16が巻かれ、未加硫ベルト20の外表面が未加硫ベルト20の周方向C1の全周に亘って外皮布16で覆われる。尚、ステップS8(カバー巻き工程)は、本実施形態において、スカイブステップによって両側面が削られた未加硫ベルト20の外表面を周方向C1の全周に亘って外皮布16で覆う、カバー巻きステップ、として構成されている。
最後に、ステップS9では、外表面が周方向C1の全周に亘って外皮布16で覆われた未加硫ベルト20について、所定の金型で保持された状態で加硫処理が施される加硫工程が行われる。ステップS9が終了することにより、未加硫ベルト20のゴム部分が加硫され、六角ベルト10が完成する。尚、ステップS9(加硫工程)は、本実施形態において、カバー巻きステップによって外表面が外被布16で覆われた未加硫ベルト20を加硫する、加硫ステップ、として構成されている。
上述のようにして形成された六角ベルト10の芯体13は、以下のような構成を有している。具体的には、図3(A)を参照して、芯体13では、内側ゴム層11と外側ゴム層15との間に設けられているシート材23の幅方向が六角ベルト10の幅方向W1に沿い且つシート材23の厚み方向が六角ベルト10の厚み方向(径方向R1)に沿った状態となっている。また、図3(A)を参照して、芯体13では、シート材23のうち六角ベルト10の幅方向W1において互いに隣接する部分の端縁同士が、六角ベルト10の幅方向W1における所定の突き合わせ位置で突き合わせられた状態となっている。このため、芯体13では、シート材23のうち六角ベルト10の幅方向W1において隣接する部分同士が、六角ベルト10の厚み方向(径方向R1)に重なっていない状態となっている。
[六角ベルトの使用形態の一例について]
図13は、六角ベルトの使用態様の一例について説明するための図であって、搬送経路51にカーブした部分(カーブ部52)を有するローラコンベヤ50に六角ベルトが適用されている例を示す図である。図13は、ローラコンベヤ50におけるカーブ部52を上方から視た図である。図14(A)は、図13のX1−X1線矢視位置における断面図である。また、図14(B)は、図13のX2部(X2の符号を付した細線で囲んだ領域)の拡大図であって、六角ベルト10の芯体13に含まれる第1繊維28a及び第2繊維28bを模式的に示す図である。
ローラコンベヤ50では、搬送経路51上に複数のローラ55が設けられている。各ローラ55には、該ローラ55と同軸状のプーリ56が一体に設けられていて、各プーリ56の外周面に形成された溝部56aに六角ベルトが嵌まり込んでいる。そして、ローラコンベヤ50では、駆動源としての電動モータ(図示省略)によって六角ベルトが循環するように動かされることにより、各ローラ55が回転する。これにより、当該ローラ55上に載せ置かれた被搬送物を搬送経路51に沿って移動させることができる。
図15は、補強部材として心線101が用いられている既知の六角ベルト100がローラコンベヤ50に適用される例を示す図であって、図15(A)は、図14(A)に対応させて示す図、図15(B)は、図14(B)に対応させて示す図、である。図15に示すような従来から知られている構成を有する六角ベルト100(すなわち、補強部材として心線101が用いられている六角ベルト)を図13に示すようなカーブ部52を有するローラコンベヤ50に用いた場合、以下のような問題が生じる。具体的には、図15を参照して、六角ベルト100における複数の心線101のうちカーブ部52における最も外側に配置される心線(最外側心線101a)には、カーブ部52において他の心線101よりも大きな引張力が作用する。従って、最外側心線101aは、他の心線101よりも伸縮疲労が大きく、早期に切断してしまう可能性が高い。
この点につき、本実施形態に係る六角ベルト10では、補強部材として用いられるシート材23に含まれる第1繊維28a及び第2繊維28bが、六角ベルト10の長手方向に対して交差する方向に延びている。こうすると、既知の六角ベルト100の最外側心線101aのように集中的に引張力が作用してしまう繊維をなくすことができ、シート材23に伸縮性を持たせることが可能となる。これにより、六角ベルト10の耐用寿命を長くすることができる。
[実施例]
次に、上述した実施形態の六角ベルト10の実施例について説明する。図16は、実施例及び比較例に係る六角ベルトの断面を示す図である。尚、図16(A)は、本実施形態の実施例に係る六角ベルト10の断面を模式的に示す図である。図16(B)は、比較例に係る六角ベルト100の断面を模式的に示す図である。図16(A)及び図16(B)は、六角ベルト(10、100)の周方向C1に対して垂直な断面を示している。尚、図16(A)及び図16(B)においては、六角ベルト(10、100)の方向に関し、径方向R1については両端矢印R1で示し、幅方向W1については両端矢印W1で示している。
実施例に係る六角ベルト10は、内側ゴム層11、内側接着ゴム層12、外側ゴム層15、外側接着ゴム層14、芯体13、外皮布16を備えて構成されている。
比較例に係る六角ベルト100は、内側第1ゴム層102、内側第2ゴム層103、外側第1ゴム層104、外側第2ゴム層105、心線101、外皮布106を備えて構成されている。内側第1ゴム層102は、実施例に係る六角ベルト10の内側ゴム層11に対応するゴム層として設けられている。内側第2ゴム層103は、実施例に係る六角ベルト10の内側接着ゴム層12に対応するゴム層として設けられている。外側第1ゴム層104は、実施例に係る六角ベルト10の外側ゴム層15に対応するゴム層として設けられている。外側第2ゴム層105は、実施例に係る六角ベルト10の外側接着ゴム層14に対応するゴム層として設けられている。心線101は、六角ベルト100の周方向C1に沿って延びる円形断面の心線として設けられ、六角ベルト100の幅方向W1に分散して並んで配置されている。
図17は、実施例及び比較例に係る六角ベルト(10、100)のゴム層の成分を説明するための図であって、一覧表にして示す図である。尚、図17(A)は、実施例に係る六角ベルト10の内側ゴム層11及び外側ゴム層15の成分と、比較例に係る六角ベルト100の内側第1ゴム層102及び外側第1ゴム層104の成分とを、一覧表にして示す図である。即ち、実施例に係る六角ベルト10のゴム層(11、15)と、比較例に係る六角ベルト100のゴム層(102、104)とは、同じ成分であり、図17(A)に示す通りである。また、図17(B)は、実施例に係る六角ベルト10の内側接着ゴム層12及び外側接着ゴム層14の成分と、比較例に係る六角ベルト100の内側第2ゴム層103及び外側第2ゴム層105の成分とを、一覧表にして示す図である。即ち、実施例に係る六角ベルト10のゴム層(12、14)と、比較例に係る六角ベルト100のゴム層(103、105)とは、同じ成分であり、図17(B)に示す通りである。
実施例に係る六角ベルト10の芯体13を構成するシート材23としては、アラミド繊維を用いた二方向性シート材27であって、厚みが0.193mmで引張強度が2060(N/mm2)に設定された二方向性シート材27を用いた。一方、比較例に係る六角ベルト100の心線101としては、ポリエステル繊維の撚りコードであって平均線径が1.985mmの心線101を用いた。尚、実施例に係る六角ベルト10の外被布16と比較例に係る六角ベルト100の外被布106とは、同じものを用いた。具体的には、外被布16及び外被布106としては、経糸及び緯糸の糸密度が75本/50mmに設定された平織りの綿の織布を用いた。
実施例に係る六角ベルト10及び比較例に係る六角ベルト100の評価としては、走行試験装置を用いた耐用寿命評価を行った。図18は、実施例に係る六角ベルト10及び比較例に係る六角ベルト100の耐用寿命評価に用いた六角ベルトの走行試験装置60(以下、単に「走行試験装置60」と称する)の構成を模式的に示す平面図である。図19は、走行試験装置60の構成を模式的に示す正面図である。
走行試験装置60は、プーリの小径化及びプーリ間の距離の短縮化に対応する走行条件、及び、高負荷な走行条件にて、六角ベルトが使用される場合を想定して構築された装置である。走行試験装置60は、駆動用プーリ61、駆動プーリ61を回転駆動する電動モータ62、複数のローラ55、複数の従動プーリ56を備えて構成されている。
駆動プーリ61は、回転軸63周りに回転する直径80mmのプーリであって、六角ベルトに対して駆動力を付与するプーリとして構成されている。複数のローラ55は、図13に示すローラコンベヤ50の複数のローラ55と同様に構成されている。複数の従動プーリ56は、図13に示すローラコンベヤ50の複数のプーリ56と同様に構成されている。各従動プーリ56は、各ローラ55と同軸状に一体に設けられている。各従動プーリ56の直径は150mmに設定されている。走行試験装置60においては、複数のローラ55及び複数の従動プーリ56は、図13に示すローラコンベヤ50のカーブ部52と同様のカーブ部52を構成するように、配置されている。また、走行試験装置60においては、複数の従動プーリ56は、同じ高さの水平面に沿って配置されている。一方、駆動プーリ61は、複数の従動プーリ56の下方に配置されている。即ち、駆動プーリ61は、複数の従動プーリ56よりも上下方向の高さが低い位置に配置されている。
走行試験装置60において走行する六角ベルトは、駆動プーリ61及び複数の従動プーリ56に巻き掛けられた状態で、走行する。このため、走行試験装置60において走行する六角ベルトは、複数の従動プーリ56に巻き掛けられた領域においては、カーブ部52に沿って走行することになる。そして、六角ベルトは、複数の従動プーリ56のうちカーブ部52の両端に配置された従動プーリ56の一方から、駆動プーリ61を経て、カーブ部52の両端に配置された従動プーリ56の他方へと巻き掛けられた領域においては、プーリの小径化及びプーリ間の距離の短縮化に対応する走行条件にて走行することになる。
走行試験装置60を用いた耐用寿命評価では、同じ走行条件で実施例に係る六角ベルト10と比較例に係る六角ベルト100とをそれぞれ走行させ、耐久性を確認し、耐用寿命評価を行った。六角ベルト10及び比較例に係る六角ベルト100のいずれの走行試験においても、駆動プーリ61の回転数は、450rpmに設定し、六角ベルト(10、100)に付与する張力は、高負荷の設定である40kgfに設定した。また、走行試験装置60を用いた上記の走行試験での耐用寿命評価における評価項目としては、プーリ(61、56)からの転覆が発生するまでの走行時間と、六角ベルト(10、100)にクラックが発生するまでの走行時間とを確認した。尚、図19においては、走行試験装置60のプーリ(61、56)の外形については、模式的に示している。また、図19においては、プーリ(61、56)に巻き掛けられて走行試験装置60において走行する実施例に係る六角ベルト10及び比較例に係る六角ベルト100について、太線で模式的に示している。
尚、プーリの小径化及びプーリ間の距離の短縮化に対応する走行条件、及び、高負荷な走行条件の下での使用において、十分な耐用寿命を確保できない六角ベルトの場合、走行試験装置60を用いた上記の走行試験が行われると、補強部材の周囲のゴムにおいて過大な発熱が生じることになる。そして、長時間に亘る走行試験の際の繰り返しの使用に伴ってゴムの硬化が生じ、六角ベルトの耐久性の劣化を招くことになる。また、六角ベルトにおいて大きな変形が繰り返し生じ、六角ベルトの内部において、異なる層間の界面における剥離が生じ易くなる。これらの場合、まず、六角ベルトにクラックが発生する。そして、そのクラックがある程度進展すると、プーリに沿った安定した走行が困難になり、転覆してプーリから脱落してしまうことになる。尚、六角ベルトとしての十分な耐用寿命を確保することができていると判断できる走行時間については、480時間に設定した。即ち、480時間に亘ってクラックが発生せず、転覆も発生しない場合は、六角ベルトとしての十分な耐用寿命を確保することができていると判断した。
また、走行試験装置60を用いた上記の走行試験においては、実施例に係る六角ベルト10と比較例に係る六角ベルト100とをそれぞれ2つずつ作製し、それぞれ試験を行った。即ち、実施例に係る六角ベルト10の試験においては、試験対象を2つ作成し、それぞれについて試験を行った。同様に、比較例に係る六角ベルト100の試験においても、試験対象を2つ作成し、それぞれについて試験を行った。
走行試験装置60を用いた上記の走行試験の結果、比較例に係る六角ベルト100における1つ目の試験対象は、走行開始から222時間でクラックが発生し、更に、走行開始から262時間で転覆が発生し、プーリから脱落して、走行試験の継続が不可能となった。そして、比較例に係る六角ベルト100における2つ目の試験対象は、走行開始から244時間でクラックが発生し、更に、走行開始から289時間で転覆が発生し、プーリから脱落して、走行試験の継続が不可能となった。
一方、走行試験装置60を用いた上記の走行試験の結果、実施例に係る六角ベルト10における1つ目の試験対象は、走行開始から480時間を経過しても、クラックが発生せず、転覆も発生することなく、安定した走行が継続された。そして、実施例に係る六角ベルト10における2つ目の試験対象も、走行開始から480時間を経過しても、クラックが発生せず、転覆も発生することなく、安定した走行が継続された。従って、実施例に係る六角ベルト10については、プーリの小径化及びプーリ間の距離の短縮化に対応する走行条件、及び、高負荷な走行条件の下での使用においても、十分な耐用寿命を有していることが確認された。また、実施例に係る六角ベルト10については、カーブ部52を繰り返し走行する走行条件においても、十分な耐用寿命を有していることが確認された。
[効果]
以上説明したように、本実施形態に係る六角ベルト10によると、内側ゴム層11と外側ゴム層15との間に、幅が厚みよりも大きいシート材23を備えた芯体13が設けられる。更に、内側ゴム層11と外側ゴム層15との間で六角ベルト10の周方向C1に延びる芯体13のシート材23は、その幅方向及び厚み方向が六角ベルト10の厚み方向及び幅方向に対応した状態で、配置される。このため、六角ベルト10の幅方向W1における広い範囲に、六角ベルト10の周方向C1における動力の伝達の大半を担う張力が作用する補強部材としての芯体13を延在させることができる。こうすると、補強部材としての心線が六角ベルトの幅方向に分散して並んだ従来の六角ベルトとは異なり、芯体13として構成された補強部材が六角ベルトの幅方向においてとぎれとぎれに分散して配置されることがない。このため、プーリの小径化及びプーリ間の距離の短縮化に対応するより厳しい屈曲変形の走行条件の下で使用される場合であっても、芯体13として構成された補強部材の周囲のゴムに対して、過大なせん断応力が集中して作用することが抑制される。これにより、芯体13として構成された補強部材の周囲のゴムにおいて過大な発熱が生じ難い。そして、芯体13の周囲のゴムにおいて過大な発熱が生じ難いため、繰り返しの使用の際でも、ゴムの硬化が生じ難く、六角ベルト10の耐久性の劣化を招いてしまうことが抑制される。これにより、六角ベルト10としての十分な耐用寿命を確保することができる。
また、本実施形態に係る六角ベルト10によると、高負荷に耐えうる六角ベルトを形成しようとした場合、従来のように太い心線を用いる必要がなく、六角ベルト10の幅方向W1における広い範囲に配置される比較的厚みの薄い芯体13を用いることになる。このため、高負荷な走行条件の下で六角ベルト10をプーリへ巻き掛けて使用しているときに、六角ベルト10において大きな変形が生じにくく、六角ベルト10の内部における芯体13の周囲のゴムに発生するせん断応力も比較的小さくなる。よって、異なる層間の界面(例えば、内側ゴム層11と内側接着ゴム層12との間の界面、内側接着ゴム層12と芯体13との間の界面等)における剥離も生じにくくなる。これにより、高負荷な走行条件の下での使用においても、六角ベルト10としての十分な耐用寿命を確保することができる。
従って、本実施形態によれば、プーリの小径化及びプーリ間の距離の短縮化に対応する走行条件、及び、高負荷な走行条件の下での使用においても、十分な耐用寿命を有する六角ベルト10を提供できる。そして、本実施形態によると、プーリの小径化及びプーリ間の距離の短縮化に対応する走行条件、及び、高負荷な走行条件の下での使用においても、十分な耐用寿命を有する六角ベルト10を製造することができる、六角ベルト10の製造方法を提供できる。
また、六角ベルト10では、幅方向W1に隣接するシート材23が、幅方向W1に沿って一列に並べられた状態となる。言い換えれば、上記隣接するシート材23の一方が他方に乗り上がった状態となっていない。これにより、芯体13が、六角ベルト10の幅方向W1に沿ってより均等に配置される。よって、六角ベルト10に張力が作用したときにこの張力を、芯体13によって六角ベルトの幅方向W1に関してより均等に受けることができる。このため、六角ベルト10内で受ける張力の偏りを抑制でき、芯体として構成された補強部材の周囲のゴムにおいて過大なせん断応力が集中して生じることが更に抑制される。これにより、六角ベルト10としての耐用寿命を更に長くすることができる。
ところで、例えば、図13及び図15を参照して、搬送経路51にカーブ部52を有するローラコンベヤ50に、補強部材として心線101が用いられた既知の六角ベルト100を使用する場合、カーブ部52における最も外側に位置する心線(最外側心線101a)に大きな負荷がかかり、六角ベルト100全体としての耐用寿命が短くなる虞がある。より詳しく説明すると、カーブ部52を通過する際の六角ベルト100における最外側心線101aには、内側に位置する心線101よりも大きな引張応力が発生する。一方、既知の六角ベルト100がローラコンベヤ50の搬送経路51におけるストレートな部分を通過する際には、各心線101に作用する応力は概ね等しくなる。すなわち、最外側心線101aには、他の心線101よりも大きな伸縮疲労がかかり、ひいては六角ベルト100の耐用寿命が短くなる可能性が大きくなる。
この点につき、六角ベルト10によれば、図4に示すように、六角ベルト10の周方向C1(長手方向)に交差する方向に沿って延びる複数の第1繊維28a、及び該第1繊維28aと交差する方向に延びる複数の第2繊維28bによって、シート材23の伸縮性を保つことができる。これにより、六角ベルト10の耐用寿命を長くすることができる。
また、本実施形態に係る六角ベルト10の製造方法によると、芯体形成ステップ(ステップS3)において、用いられるシート材23の幅W23は、当該シート材23の厚みよりも大きく設定されている。この構成によると、芯体形成ステップ(ステップS3)において、幅の広い扁平なシート材23を内側ベルトスリーブ21の外周側の内側接着ベルトスリーブ22に巻き付けることで、芯体13が形成される。このため、幅方向W1において芯体13が存在している領域をより広くできる。本実施形態では、未加硫のベルトスリーブ21,22,24,25と芯体13とを含む未加硫スリーブ26が形成された後に当該未加硫スリーブ26を所定幅毎にカットし、さらに、当該カットした部材を断面六角形状となるように削るスカイブ作業を行うことで、未加硫ベルト20が形成される。前述したように、幅方向W1において芯体13が存在する領域が広いので、この未加硫ベルト20の両側面(プーリのシーブ面などと向かい合う面、幅方向W1の両端面)において、芯体13が未加硫ベルト20の周方向C1に連続して表れることとなる。これにより、未加硫ベルト20の各側面において、芯体13が、未加硫ベルト20の周方向C1に十分な長さで表れることとなる。これにより、未加硫ベルト20に加硫処理などが施されることで完成する六角ベルト10の側面において、芯体13が十分な張力を受けることができる。これにより、六角ベルト10が実用上受けることのできる張力をより高くできる。さらに、幅方向W1において芯体13が存在する領域が広いので、この未加硫ベルト20の両側面において、芯体13が周方向C1に断続的に表れる事態をより確実に防止できる。よって、六角ベルト10の側面において、芯体13が受けることができる張力に個体差が生じることを抑制できる。これにより、六角ベルト10の性能のばらつきをより少なくできる。さらに、シート材23は幅広い形状であるので、内側接着ベルトスリーブ22に巻きつける回数を少なくできる。よって、芯体13の形成に必要な時間を少なくできるので、六角ベルト10の製造にかかる時間をより少なくできる。
また、高負荷に耐えうる六角ベルトを本実施形態に係る六角ベルト10の製造方法によって製造しようとした場合、従来のように太い心線を用いる必要がなく、内側ベルトスリーブ21の幅方向における広い範囲に配置されて六角ベルト10の幅方向においても広い範囲に配置される比較的厚みの薄い芯体13を用いることになる。このため、本実施形態に係る六角ベルト10の製造方法によって製造された六角ベルト10によると、高負荷な走行条件の下で六角ベルト10をプーリへ巻き掛けて使用しているときに、六角ベルト10において大きな変形が生じにくく、六角ベルト10の内部における芯体13の周囲のゴムに発生するせん断応力も比較的小さくなる。よって、異なる層間の界面(例えば、内側ゴム層11と内側接着ゴム層12との間の界面、内側接着ゴム層12と芯体13との間の界面等)における剥離も生じにくくなる。これにより、本実施形態に係る六角ベルト10の製造方法によって製造された六角ベルト10によると、高負荷な走行条件の下での使用においても、六角ベルト10としての十分な耐用寿命を確保することができる。
また、本実施形態によると、シート材23のうち幅方向W1において隣接する部分同士が径方向R1に互いに重なることを避けるように、シート材23が内側ベルトスリーブ21の外周側の内側接着ベルトスリーブ22に巻かれる。この構成によると、幅方向W1に隣接するシート材23を、幅方向W1に沿って一列に並べることができる。これにより、上記の隣接するシート材23の一方が他方に乗り上げることを防止できる。これにより、芯体13を、幅方向W1に沿ってより均等に配置できる。このため、本実施形態に係る六角ベルト10の製造方法によって製造された六角ベルト10においても、芯体13を、六角ベルト10の幅方向W1に沿ってより均等に配置できる。よって、六角ベルト10に張力が作用したときにこの張力を、芯体13によって幅方向W1に関してより均等に受けることができる。このため、本実施形態に係る六角ベルト10の製造方法によって製造された六角ベルト10内で受ける張力の偏りを抑制でき、芯体13として構成された補強部材の周囲のゴムにおいて過大なせん断応力が集中して生じることが更に抑制される。これにより、本実施形態に係る六角ベルト10の製造方法によって製造された六角ベルト10によると、六角ベルト10としての耐用寿命を更に長くすることができる。
例えば、従来の構成、すなわち、内側ゴム層と外側ゴム層との間に心線が配置される構成の六角ベルトでは、細い心線を内側ゴム層となるベルトスリーブに巻き付ける際に、心線の位置が設計上の位置からずれやすい。このため、ベルトスリーブの幅方向における心線の位置にずれが生じ易い。その結果、ベルトスリーブを所定幅毎にカットすることで形成された1本の未加硫ベルト内において、心線の位置にばらつきが生じる。さらに、複数の未加硫ベルト間において、心線の有効本数(切断面における心線の本数)にばらつきが生じる。このようなばらつきの原因として、心線を巻くときのピッチのばらつき、心線径のばらつき、および、ベルトスリーブに対する心線の蛇行が挙げられる。
一方で、本実施形態のように、シート材23のうち幅方向W1において隣接する部分同士が芯体13の径方向に互いに重なることを避けるようにシート材23が内側ベルトスリーブ21の外周側の内側接着ベルトスリーブ22に巻かれることで、従来のように補強部材として心線が用いられる場合の問題点を解消可能な六角ベルトの製造方法を提供できる。
また、本実施形態によると、内側ベルトスリーブ21の外周側の内側接着ベルトスリーブ22にシート材23が巻かれるピッチP23は、シート材23の幅W23と同じに設定されている。この構成によると、幅方向W1に隣接するシート材23同士が幅方向W1に隙間の無い状態で、内側ベルトスリーブ21の外周側の内側接着ベルトスリーブ22に巻かれる。これにより、本実施形態に係る六角ベルト10の製造方法によって製造された六角ベルト10においても、六角ベルト10の幅方向W1に隣接するシート材23同士が、六角ベルト10の幅方向W1に隙間の無い状態で、巻かれていることになる。このため、本実施形態に係る六角ベルト10の製造方法によって製造された六角ベルト10によると、六角ベルト10に求められる仕様(芯体の厚みなど)にかかわらず、六角ベルト10の両側面間の全域に亘って芯体13を配置することができる。これにより、六角ベルト10に求められる仕様に応じて芯体13を内側ベルトスリーブ21の外周側の内側接着ベルトスリーブ22に巻くピッチP23を変更する作業が不要となる。その結果、芯体13を内側接着ベルトスリーブ22に巻くピッチを変更する際の作業ミスに起因する、ピッチの不適切な設定などのミスを防止できる。これにより、六角ベルト10の製造時における手間の低減と、不良品の発生の低減とを実現できる
例えば、従来の場合、すなわち、内側ゴム層と外側ゴム層との間に心線が配置される構成の六角ベルトを製造する場合においては、心線をベルトスリーブに巻き付ける際のピッチを、心線の直径などに応じて設定する必要がある。このため、このピッチの設定の手間がかかるとともに、ピッチの設定間違いが生じるおそれがある。一方、前述したように、本実施形態によると、シート材23の幅W23とシート材23が巻かれるピッチP23とを同じにすることで、シート材23の幅W23とシート材23が巻かれるピッチP23とが一義的に決まる。このため、このピッチP23の設定の手間と、ピッチP23の設定間違いが生じるおそれの双方をより少なくできる。
また、本実施形態によると、扁平なシート材23を用いて芯体13を形成するとともに、シート材23の幅W23とシート材23が巻かれるピッチP23とを同じにすることで、幅方向W1に隣接するシート材23の一方が他方に乗り上げることをより確実に抑制できる。これにより、シート材23の乗り上げが生じたときにこの乗り上げた部分を乗り上げない位置へ修正する作業の発生を抑制できる。これにより、六角ベルト10の製造にかかる手間をより少なくできる。
また、例えば、従来の場合、すなわち、内側ゴム層と外側ゴム層との間に心線が配置される構成の六角ベルトを製造する場合においては、心線を内側ベルトスリーブに巻き付ける際のピッチが心線の直径と略同じ場合がある。この場合、ピッチが心線の直径よりも僅かに大きく設定されているけれども、内側ベルトスリーブの幅方向に隣接する心線の一方が他方に乗り上げる現象が生じ易い。このような乗り上げは、心線の巻き付け時の位置に誤差が生じやすいことと、心線の直径にばらつきがあることなどに起因して生じる。そして、心線の乗り上げが生じたときにこの乗り上げた部分を乗り上げない位置へ修正する作業が必要である。一方、前述したように、本実施形態によると、シート材23の幅W23とシート材23が巻かれるピッチP23とを同じにすることで、このような乗り上げを抑制できる。
また、本実施形態によると、シート材23をマントル3に巻き付ける前の状態において、シート材23をシート材用ボビン2で保持しておくことができる(図8を参照)。これにより、シート材用ボビン2と、シート材用ボビン2から繰り出された後にシート材23にテンション(張力)を付与する機構と、を含む簡易な構成のシート巻き付け機構を設けることで、シート材23をマントル3に巻き付けることが可能になる。これにより、従来の構成、すなわち、心線をベルトスリーブに巻き付ける構成で必要な、複雑な構成のテンション装置が不要となる。
例えば、シート材23に代えて心線を用いて未加硫スリーブを形成する場合、未加硫スリーブの形成に用いられる心線の成形途中における心線ジョイント(心線を構成する繊維の撚り本数に応じた、位置をずらしたジョイント)を設ける手間が必要である。これに対し、本実施形態によると、心線に代えてシート材23が用いられているので、上記のジョイントの手間がなく、その結果、六角ベルト10の生産性をより向上できる。
例えば、シート材23に代えて心線を用いて未加硫スリーブを形成し、この未加硫スリーブをカッターでカットする場合、心線形成時の処理条件や、カッターの刃の仕様(丸刃であるか否かなど)によって、未加硫スリーブのカット面において心線がシャープにカットされない場合がある。この場合、六角ベルトの端面において心線がケバ立ってしまい、その結果、六角ベルトの引張強度低下の一因となってしまう。しかしながら、本実施形態によると、カット工程(ステップS6)において、未加硫スリーブ26を幅方向W1に沿ってカットする際、シート材23が幅方向W1に十分な長さを有している。これにより、カッターによってシート材23がケバ立つ(ささくれる)ことを抑制できる。その結果、六角ベルト10の引張強度の低下をより確実に抑制できる。
また、本実施形態によると、六角ベルト10の形成に心線を用いないので、心線を未加硫スリーブに接着処理するための設備が不要である。これにより、既存の帆布処理設備でシート材23を接着ベルトスリーブ22,24に結合させることが可能であり、この結合処理の後に、未加硫スリーブ26を規定幅にカットすることができる。
また、本実施形態によると、六角ベルト10の形成に心線を用いないので、心線が巻かれた重いボビンを移動させたり、心線をテンション装置にセットする作業が不要である。よって、作業員による重作業をより少なくできる。
また、本実施形態によると、六角ベルト10の形成に心線を用いないので、未加硫スリーブのうち六角ベルトに用いられない箇所(スピニングの始めの箇所と終わりの箇所)に設けていた心線が不要となる。これにより、カット工程において、不要な屑の部分を切り捨てる量をより少なくできる。これにより、六角ベルト10の材料の歩留まりをより高くできる。
また、六角ベルトの形成に心線が用いられる場合、カット屑となった未加硫ベルトのベルトスリーブから心線とゴムスリーブとを分離することは、心線に付着した接着剤などが原因で困難である。具体的には、分離する心線は複数本になる。そして、心線を分離する際に心線がバラけてしまい、細かい心線屑がベルトスリーブに残るため、全ての心線屑を分離する作業に長時間が必要となる。しかしながら、六角ベルト10の形成にシート材23を用いる構成であれば、カット屑となった一部の未加硫スリーブ26からシート材23を分離する際に、シート材23を接着ベルトスリーブ22,24から剥離する作業となる。このような作業であれば、シート材23がバラけることなくより均等に剥離されることとなる。よって、心線のように屑が残ることがなく、シート材23を剥がす作業がより容易となる。
以上、本発明の実施形態について説明した。しかしながら、本発明は上述の実施の形態に限られず、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができる。例えば、次のように変更してもよい。
(1)例えば、上述の実施形態では、芯体13を形成するシート材23は1ply(1層)であった。しかしながら、この通りでなくてもよい。図20は、変形例に係る六角ベルト10Aの断面図である。また、図21は、変形例に係る六角ベルト10Aの製造の際に形成される未加硫スリーブ26Aの一部を示す断面図である。図20に示す六角ベルト10Aのように、シート材23を複数層有する芯体13Aを備える六角ベルト10Aの形態が実施されてもよい。また、シート材23を複数層有する芯体13Aを備える六角ベルト10Aを製造するための六角ベルト10Aの製造方法が実施されてもよい。なお、以下では、上述の実施形態と異なる点について主に説明し、上述の実施形態と同様の構成及び上述の実施形態と対応する構成については、図面において同様の符号を付すことで、或いは上述の実施形態の説明における符号を引用することで、説明を省略する。
図21に示すように、本変形例に係る六角ベルト10Aの製造の際には(即ち、本変形例に係る六角ベルト10Aの製造方法においては)、シート材23が2層重ねられることで、芯体13Aが形成される。より具体的には、前述の実施形態における芯体形成ステップ(ステップS3)において、シート材23が内側ベルトスリーブ21の径方向R1に積層されることにより芯体13Aが形成されている。芯体13Aにおいて、径方向R1に隣り合うシート材23は、幅方向W1における巻き付け方向が互いに逆向きであることが好ましい。すなわち、マントル3側の1層目のシート材23について、マントル3に巻かれる前の位置を、マントル3に対して軸方向X1の一方側に向けて移動しながらマントル3に巻く場合、2層目のシート材23について、マントル3に巻かれる前の位置を、マントル3に対して軸方向X1の他方側に向けて移動しながらマントル3に巻くことが好ましい。
この変形例では、芯体形成ステップ(ステップS3)において、芯体13Aの何れの層でも、軸方向X1と平行な方向に隣接するシート材23同士(即ち、内側ベルトスリーブ21の幅方向W1において隣接するシート材23同士)がマントル3の径方向R1(内側ベルトスリーブ21の径方向R1)に互いに重なることを避けるようにシート材23がマントル3に対して内側ベルトスリーブ21の外周側において巻かれるように構成されている。これにより、芯体13Aが形成されている。
また、この変形例では、シート材23のうち幅方向W1において隣接する部分の端縁23a同士の突き合わせ位置B23(B23a、B23b)が、径方向R1に隣接するシート材23間において、幅方向W1にずらされた状態となっている。具体的には、図21に示すように、1層目のシート材23(すなわち、内側接着ベルトスリーブ22に接するシート材23)における端縁23aの位置B23aと、2層目のシート材23(すなわち、外側接着ベルトスリーブ24に接するシート材23)における端縁23aの位置B23bとは、シート材23の幅W23よりも小さい寸法の範囲で、幅方向W1にずらされている。
図20は、本変形例に係る六角ベルト10Aの断面図であって、周方向C1に垂直な断面における断面図である。本変形例の六角ベルト10Aは、上述のようにして芯体13Aが形成された未加硫スリーブ26Aを用いて形成される。具体的には、図12を参照して、未加硫スリーブ26Aに対して、前述の実施形態の場合と同様のカットステップ、スカイブステップ、カバー巻きステップ、及び加硫ステップが行われることにより、六角ベルト10Aが形成される。
本変形例に係る六角ベルト10Aの芯体13Aは、前述の実施形態に係る六角ベルト10の芯体13の場合と同様に、幅が厚みよりも大きく設定されたシート材23を有し、内側ゴム層11と外側ゴム層12との間に設けられているシート材23の幅方向が六角ベルト10Aの幅方向W1に沿い且つシート材23の厚み方向が六角ベルト10Aの厚み方向(径方向R1)に沿った状態となっている。更に、芯体13Aでは、シート材23のうち六角ベルト10Aの幅方向W1においてに隣接する部分同士が、六角ベルト10Aの厚み方向に重なっていない状態となっている。
そして、本変形例に係る六角ベルト10Aでは、芯体13Aが、前記六角ベルト10Aの厚み方向に重ねられた状態となっている複数のシート材23を有している。また、六角ベルト10Aでは、シート材23のうち六角ベルト10Aの幅方向W1において互いに隣接する部分の端縁23a同士が六角ベルト10Aの幅方向W1における所定の突き合わせ位置B23(B23a、B23b)で突き合わせられた状態となっている。更に、六角ベルト10Aでは、六角ベルト10Aの厚み方向(径方向R1)に隣接するシート材23間では、突き合わせ位置B23a,B23bが、六角ベルト10Aの幅方向W1にずれた状態となっている。
上記の変形例によっても、前述の実施形態と同様の効果を奏することができる。即ち、上記の変形例によっても、プーリの小径化及びプーリ間の距離の短縮化に対応する走行条件、及び、高負荷な走行条件の下での使用においても、十分な耐用寿命を有する六角ベルト10Aを提供することができる。また、その六角ベルト10Aを製造することができる、六角ベルト10Aの製造方法を提供することができる。
また、上記の変形例によると、シート材23が径方向R1に積層されることにより芯体13Aが形成される。このように、シート材23を積層することで(すなわち、芯体13Aを、六角ベルト10Aの厚み方向に重ねられた状態の複数のシート材23で構成することで)、所望の厚みの芯体13Aを容易に形成できる。これにより、六角ベルト10の仕様(六角ベルト10の大きさ、引張強度などの違い)に応じて厚みの異なる複数種類のシート材を事前に準備しなくてもよい。これにより、六角ベルト10の製造にかかる準備と手間と時間とを少なくできる。また、複数種類のシート材を準備しなくてもよくなることで、六角ベルト10の製造工場における資材置き場のスペースをより広く使うことができる。また、種類の異なるシート材の取り替え作業が不要となることで、シート材が巻かれた重いボビンを作業員が頻繁に移動させる必要がなく、重作業を低減できる。
特に、シート材23の材質、厚み、引張強度および内側接着ベルトスリーブ22へのシート材23の巻き付け回数(層数)を選択することで、所望の物性を有する六角ベルト10を容易に形成することができる。これにより、六角ベルト10の仕様(六角ベルト10の大きさ、引張強度などの違い)に応じて厚みの異なる複数種類のシート材を事前に準備しなくてもよい。
また、上記の変形例によると、径方向R1(六角ベルト10Aの厚み方向)に隣接するシート材23間において、突き合わせ位置B23a,B23bが幅方向W1にずらされている。この構成によると(すなわち、六角ベルト10Aの厚み方向に隣接するシート材23間において突き合わせ位置B23a,B23bが六角ベルト10Aの幅方向にずれた状態となっている構成によると)、シート材の端縁同士の突き合わせ位置が六角ベルトの厚み方向に隣接するシート材間において六角ベルトの幅方向に揃った状態となっている場合と比べて、シート材23がより安定した姿勢で内側接着ベルトスリーブ22に巻かれることになる。これにより、六角ベルト10の使用時において、芯体13Aの各部がより均等に張力を受けることができる。よって、六角ベルト10の性能のばらつきをより確実に抑制できる。
(2)上述の実施形態および変形例では、各ベルトスリーブ21,22,24,25を幅広のゴムシート31,32で形成する例を挙げて説明した。しかし、これに限らず、各ベルトスリーブ21,22,24,25を、ゴムシートよりも幅が狭いリボン状ゴムをマントルに螺旋状に巻き付けることにより、形成してもよい。