JP2019093630A - タイヤ加硫成型金型及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】タイヤを取り出すときにサイプブレードの貫通孔にゴムが残りにくいタイヤ加硫成型金型及びその製造方法を提供する。【解決手段】空気入りタイヤのトレッド部にサイプを形成するための板状のサイプブレード26が金型内側面30から金型内側へ向かって突出し、サイプブレード26を貫通する貫通孔28が開けられたタイヤ加硫成型金型10において、貫通孔28の金型内側の面29aがサイプブレード26の表面27との間に鋭角部を形成し、貫通孔28の直径が1mmより大きい。【選択図】図12

Description

本発明はタイヤ加硫成型金型及びその製造方法に関する。
空気入りタイヤのトレッド部にサイプを形成するために、タイヤ加硫成型金型の内側に板状のサイプブレードを設けることが知られている。図14(a)に示すように、サイプブレード226には加硫成型時にエアやゴムが通り抜けできるよう貫通孔228が開けられている。
図14(b)に矢印で示すように加硫成型時にこの貫通孔228にゴムが入り込む。そしてゴムが固まった後にタイヤを取り出すために金型を開けると、図14(c)に示すように貫通孔228の内側のゴム244が千切れて貫通孔228の内側に残ってしまうことがあり、そのゴム244が後で金型内に落下して加硫成型前の未加硫タイヤに付着し不良品を発生させてしまうことがあった。特に、金型が上型と下型とからなるいわゆるツーピースモールドの場合、貫通孔228の内側に残ったゴム244が落下すると下型の上に溜まりやすく、問題となっていた。
また、貫通孔の内側のゴムが千切れたときにサイプエッジに裂けが生じることがあったため、その対策として貫通孔に径差や段差を設けることが提案されていた(特許文献1)。
特開昭61−291205号公報
本発明は、タイヤを取り出すときにサイプブレードの貫通孔にゴムが残りにくいタイヤ加硫成型金型及びその製造方法を提供することを課題とする。
実施形態のタイヤ加硫成型金型は、空気入りタイヤのトレッド部にサイプを形成するための板状のサイプブレードが金型内側面から金型内側へ向かって突出し、前記サイプブレードを貫通する貫通孔が開けられたタイヤ加硫成型金型において、前記貫通孔の金型内側の面が前記サイプブレードの表面との間に鋭角部を形成し、前記貫通孔の直径が1mmより大きいことを特徴とする。
また実施形態のタイヤ加硫成型金型の製造方法は、空気入りタイヤのトレッド部にサイプを形成するための板状のサイプブレードに貫通孔を開け、前記サイプブレードを金型内側面から金型内側へ向かって突出させて設けるタイヤ加硫成型金型の製造方法において、前記サイプブレードの表面に対して斜めに錐を通すか、又は前記サイプブレードに先端が斜めの錐を通して貫通孔を開けることにより、前記貫通孔の金型内側の面と前記サイプブレードの表面とのなす角を鋭角とすることを特徴とする。
実施形態のタイヤ加硫成型金型によれば、上記の特徴を有することにより、タイヤを取り出すときにサイプブレードの貫通孔にゴムが残りにくい。また、実施形態のタイヤ加硫成型金型の製造方法によれば、上記の特徴を有するタイヤ加硫成型金型を製造することができる。
タイヤ加硫成型金型10の半断面図。 トレッド成型部20の拡大図。 サイプブレード26の正面図。 サイプブレード26の貫通孔28aを示す図で、図3のB−B線での断面図。 サイプブレード26の貫通孔28bを示す図で、図3のB−B線での断面図。 サイプブレード26の貫通孔28cを示す図で、図3のB−B線での断面図。 貫通孔28aを開ける方法を示す図。 貫通孔28bを開ける方法を示す図。 貫通孔28bを開ける別の方法を示す図。(a)は錐32bの形状を示す図。(b)は貫通孔28bを開ける様子を示す図。 貫通孔28cを開ける方法を示す図。 サイプブレード26をタイヤ加硫成型金型10に固定する方法を説明する図。(a)は型40にサイプブレード26を埋め込んだときの図。(b)は型40の外側に金属48を流し込んだときの図。(c)は型40を取り除いたときの図。 加硫成型後のタイヤからサイプブレード26を引き抜く様子を説明する図。(a)は加硫成型中を示す図。(b)はサイプブレード26をサイプ50から引き抜いたときの図。 変更例のタイヤ加硫成型金型110の半断面図。 従来の金型による加硫成型を説明する図。(a)はサイプブレード226を表面に垂直な方向から見た図。(b)はサイプブレード226近傍におけるゴムの流動を示す図で、(a)のA−A線での断面図。(c)はゴムが固まってタイヤを取り出すときの図で、(a)のA−A線での断面図。
本実施形態について図面に基づき説明する。なお、本実施形態は一例に過ぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更されたものについては、本発明の範囲に含まれるものとする。また図面は、説明の都合上、長さや形状等が誇張されて描かれたり、模式的に描かれたりする場合がある。しかしこのような図面はあくまでも一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
1.タイヤ加硫成型金型10及びサイプブレード26の構造
図1に実施形態のタイヤ加硫成型金型10を示す。タイヤ加硫成型金型10は上型12と下型14とを有する。上型12は下向きに開口する凹部である上側成型部16を有する。また下型14は上向きに開口する凹部である下側成型部18を有する。加硫成型時には下側成型部18の上に未加硫タイヤがセットされ、その上から上型12が被せられる。そして、上側成型部16はタイヤ幅方向一方側(加硫成型時の上側)を成型し、下側成型部18はタイヤ幅方向他方側(加硫成型時の下側)を成型する。
上側成型部16及び下側成型部18は空気入りタイヤのトレッド部を成型するトレッド成型部20を有する。図2に示すように、トレッド成型部20には、トレッド部に溝を形成するための凸部22や、ブロックやリブを形成するための凹部24が形成されている。凹部24は凸部22に囲まれて形成されている。また、凹部24の内側には、トレッド部にサイプを形成するためのサイプブレード26が設けられている。サイプブレード26は、金型内側面30から金型内側へ向かって、金型内側面30に直交する方向へ突出している(図4〜図6参照)。
サイプブレード26は所定の厚みを有する板状の部材である。図3〜図6に示すように、サイプブレード26にはその厚み方向に貫通する貫通孔28が開けられている。1枚のサイプブレード26に開けられる貫通孔28の数は限定されないが、図3の場合は2つである。この貫通孔28の金型内側の面はサイプブレード26の表面27との間に鋭角部を形成している。そのような貫通孔28の具体例を図4〜図6に示す。
図4の具体例では、径が一定の貫通孔28aがサイプブレード26の表面27に対して傾斜して(従って金型内側面30に対しても傾斜して)延びている。そのため、貫通孔28aの金型内側の面29a及び金型外側の面25aがサイプブレード26の表面27に対して傾斜している。そして、貫通孔28aの金型内側の面29aとサイプブレード26の表面27との間に鋭角部46aが形成されている。なお、「金型内側の面」とは貫通孔の内面のうち金型中心寄りの面のことで、「金型外側の面」とは貫通孔の内面のうち金型内側面30寄りの面のことである。
また、図5の具体例の貫通孔28bでは、貫通孔28bの金型外側の面25bはサイプブレード26の表面27に対して直交し、また金型内側面30に平行になっている。貫通孔28bの金型内側の面29bはサイプブレード26の表面27に対して傾斜している。そして、貫通孔28bの金型内側の面29bとサイプブレード26の表面27との間に鋭角部46bが形成されている。
また、図6の具体例の貫通孔28cでは、その一端から他端にかけて径が連続的に変化しており、サイプブレード26の片面側では径が大きく、サイプブレード26の別の片面側では径が小さくなっている。この貫通孔28cの形状は、頂点近傍を除いた円錐の形状である。そのため、貫通孔28cの金型内側の面29c及び金型外側の面25cは、互いに近づく方向(又は遠ざかる方向)にサイプブレード26の表面27に対して傾斜している。そして、貫通孔28cの金型内側の面29cとサイプブレード26の表面27との間に鋭角部46cが形成されている。
このような貫通孔28は、金型内側面30に垂直な方向に、金型内側面30から1〜3mm(1mm及び3mmを含む)離れた場所に開けられていることが望ましい。つまり、貫通孔28が金型内側面30から1〜3mmの範囲内に収まっていることが望ましい。
また貫通孔28の直径は1mmより大きい。つまり、図6の貫通孔28cのようにサイプブレード26の一面側から他面側にかけて径が変化する場合、径が一番小さい所においてもその直径は1mmより大きい。
2.タイヤ加硫成型金型10及びサイプブレード26の製造方法
タイヤ加硫成型金型10の製造方法は、サイプブレード26の製造方法を除き、従来と同じである。すなわち概略としては、まずは溝、ブロック、リブ等を形成した空気入りタイヤの型(「中子」とも言う)を石膏で製作する。次に石膏の型の周りにアルミニウム等の金属を流し込む。次に石膏の型を壊して取り除くと、金属製の金型が現れる。
サイプブレード26の製造方法としては、まず金属製のプレート26aを準備し、次にそのプレート26aに貫通孔28を開ける。貫通孔28の開け方の具体例を図7〜図10に示す。
図7に示す具体例は、図4の貫通孔28aを開ける方法の例である。この例では、断面円形でその円の中心と同軸上において先端が尖った錐32aと、プレート26aの下に配置された受け板34aとを用いる。錐32aにおける先端側の先細り部42a以外の部分は径が一定の円柱状である。受け板34aには錐32aの先端を受け入れ可能な穴36aが形成されている。そして、先端が尖った錐32aをプレート26aに対して斜めに通し、錐32aの先細り部42aを完全に貫通させることにより、径が一定の貫通孔28aをサイプブレード26の表面27に対して傾斜させて開ける。
図8に示す具体例は、図5の貫通孔28bを開ける方法の例である。この例では、まず、図8に示すように上記の錐32aをプレート26aに対して垂直に通し、錐32aの先細り部42aを完全に貫通させることにより、径が一定の下孔31を開ける。下孔31を開けるときにプレート26aの下に受け板34aを配置しておいても良い。次に、下孔31の一方の開口端の金型内側の部分(図8に符号Cで示す部分)をヤスリ等で削り取る。これにより、図5に示す金型内側の面29bがサイプブレード26の表面27に対して傾斜した貫通孔28bが完成する。
図9に示す具体例は、図5の貫通孔28bを開ける方法の別の例である。この例では、図9(a)に示すように断面円形又は断面四角形の棒状部材の先端が斜めにカットされて先端が形成された錐32bと、プレート26aの下に配置された受け板34bとを用いる。受け板34bには錐32bの先端部を受け入れ可能な穴36bが形成されている。そして、錐32bをプレート26aに対して垂直な方向に通し、図9(b)に示すように錐32bの先細り部(斜めにカットされた部分)42bがプレート26aを貫通しないところで錐32bを止める。そのために、受け板34bの穴36bの深さは、錐32bの先端部が穴36bの底部に当たったときに錐32bの先細り部42bがプレート26aを貫通しないような深さに設定される。これにより、図5に示す金型内側の面29bがサイプブレード26の表面27に対して傾斜した貫通孔28bが完成する。
図10に示す具体例は、図6の貫通孔28cを開ける方法の例である。この例では、断面円形でその円の中心と同軸上において先端が尖った錐32cと、プレート26aの下に配置された受け板34cとを用いる。受け板34cには錐32cの先端を受け入れ可能な穴36cが形成されている。そして、錐32cをプレート26aに対して垂直に通し、錐32cの先細り部42cがプレート26aを貫通しないところで錐32cを止める。そのために、受け板34cの穴36cの深さは、錐32cの先端部が穴36cの底部に当たったときに錐32cの先細り部42cがプレート26aを貫通しないような深さに設定される。これにより、図6に示す頂点近傍を除いた円錐の形状の貫通孔28cが完成する。
なお、図7〜図10に示す方法の他にも、錐の先端の形状及び錐を通す方向次第で、様々な形状の貫通孔28を形成することができる。
さらに、プレート26aには、貫通孔28とは別の孔として固定用孔38(図11参照)が開けられる。固定用孔38はプレート26aを貫通していれば良く、貫通孔28のような形状でなくて良い。
このようにして完成したサイプブレード26において、貫通孔28を含む部分が金型内側に突出するサイプ形成部26bであり、固定用孔38を含む部分が金型の金属内に埋め込まれる埋め込み部26cである。
このようにして完成したサイプブレード26をタイヤ加硫成型金型10に固定するために、まず図11(a)に示すように、上記のように空気入りタイヤの型40を石膏で製作するときに、サイプブレード26のサイプ形成部26bを石膏の型40の中に埋め込み、埋め込み部26cを型40の外に突出させる。次に図11(b)に示すように、型40の外側に金属48を流し込む。すると固定用孔38に金属48が流れ込み、金属48が固体化するとサイプブレード26がその金属48の部分に固定される。次に図11(c)に示すように石膏の型40が取り除かれると、サイプブレード26のサイプ形成部26bが金型内側に向かって突出したタイヤ加硫成型金型10が完成する。
3.作用及び効果
上記のタイヤ加硫成型金型10に未加硫タイヤがセットされ加硫成型が始まると、図12(a)に示すように流動するゴムが貫通孔28に入り込む。加硫成型が終わり上型12が開けられサイプブレード26がタイヤのサイプ50から引き抜く方向に引っ張られると、貫通孔28に入り込んで固まっていたゴム44とタイヤのサイプの側壁との接合部が、サイプブレード26の鋭角部46a、46b、46c(図12では46b)によってカットされる。そして、サイプブレード26がサイプ50から完全に引き抜かれると、図12(b)に示すように貫通孔28に入り込んで固まっていたゴム44がサイプブレード26の貫通孔28から抜け、サイプ50の内部に残る。このように作用するため、タイヤ加硫成型金型10からタイヤを取り出すときにサイプブレード26の貫通孔28にゴム44が残りにくい。
ここで、貫通孔28の直径が1mmより大きいため貫通孔28に入り込んだゴム44は太くて切れにくいが、上記のように貫通孔28の金型内側の面29a、29b、29cとサイプブレード26の表面27とが鋭角部46a、46b、46cを形成しているため、その鋭角部46a、46b、46cで容易にカットすることができる。
また、貫通孔28は、サイプブレード26と未加硫タイヤとの間に残ったエアを別の場所へ逃がすことを目的として設けられているため、金型内側面30に近い場所に開けられていることが望ましい。一方で、未加硫タイヤのゴムは金型内側面30に接触すると移動しにくくなる。その点、貫通孔28が金型内側面30から1〜3mm離れた場所に開けられていれば、エアを別の場所へ逃がすことができ、しかもエアに続いてゴムが貫通孔28へ侵入することもできる。
そして、このような貫通孔28は、サイプブレード26の表面27に対して斜めに錐を通すか、又はサイプブレード26に先端が斜めの錐を通すことにより開けることができる。
4.変更例
図13に示すように、タイヤ加硫成型金型110は、周上に並べられた複数のセクター112と、複数のセクター112の上下に設けられた一対の円環状のサイドプレート114と、サイドプレート114の内径側に設けられた一対のビードリング116とを有するものであっても良い。加硫成型時にはタイヤ加硫成型金型110内に未加硫タイヤがセットされ、複数のセクター112は主に空気入りタイヤのトレッド部を、一対のサイドプレート114は空気入りタイヤのサイド部を、一対のビードリング116は空気入りタイヤのビード部を、それぞれ成型する。このようなタイヤ加硫成型金型110の場合、サイプブレード26はトレッド部を成型するセクター112に設けられる。
10…タイヤ加硫成型金型、12…上型、14…下型、16…上側成型部、18…下側成型部、20…トレッド成型部、22…凸部、24…凹部、25a、25b、25c…貫通孔の金型外側の面、26…サイプブレード、26a…プレート、26b…サイプ形成部、26c…埋め込み部、27…サイプブレードの表面、28、28a、28b、28c…貫通孔、29a、29b、29c…貫通孔の金型内側の面、30…金型内側面、31…下孔、32a、32b、32c…錐、34a、34b、34c…受け板、36a、36b、36c…穴、38…固定用孔、40…型、42a、42b、42c…先細り部、44…ゴム、46a、46b、46c…鋭角部、48…金属、50…サイプ、110…タイヤ加硫成型金型、112…セクター、114…サイドプレート、116…ビードリング、226…サイプブレード、228…貫通孔、244…ゴム

Claims (3)

  1. 空気入りタイヤのトレッド部にサイプを形成するための板状のサイプブレードが金型内側面から金型内側へ向かって突出し、前記サイプブレードを貫通する貫通孔が開けられたタイヤ加硫成型金型において、
    前記貫通孔の金型内側の面が前記サイプブレードの表面との間に鋭角部を形成し、前記貫通孔の直径が1mmより大きいことを特徴とする、タイヤ加硫成型金型。
  2. 前記貫通孔が金型内側面から1〜3mm離れた場所に開けられている、請求項1に記載のタイヤ加硫成型金型。
  3. 空気入りタイヤのトレッド部にサイプを形成するための板状のサイプブレードに貫通孔を開け、前記サイプブレードを金型内側面から金型内側へ向かって突出させて設けるタイヤ加硫成型金型の製造方法において、
    前記サイプブレードの表面に対して斜めに錐を通すか、又は前記サイプブレードに先端が斜めの錐を通して貫通孔を開けることにより、前記貫通孔の金型内側の面と前記サイプブレードの表面とのなす角を鋭角とすることを特徴とする、タイヤ加硫成型金型の製造方法。
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