以下、変圧器等の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
(実施の形態)
図1は、本実施の形態における変圧器の斜視図(図1(a))、変圧器の巻鉄心を省略した状態の斜視図(図1(b))、および図1(b)のIc−Ic線における断面図(図1(c))である。
図2は、本実施の形態における変圧器の分解斜視図である。なお、図2においては、巻鉄心は省略している。
図3は、本実施の形態におけるコイルボビンの斜視図(図3(a))、およびコイルボビンの分解斜視図(図3(b))である。なお、図3(a)および図3(b)においては、円筒部材は省略している。
図4は、本実施の変圧器を説明するための回路図である。
変圧器1は、コイルボビン10、一次コイル104、第一の二次コイル105、第二の二次コイル106、巻鉄心108を備える。コイルボビン10は、第一の枠体101、第二の枠体102、第三の枠体103、および円筒部材107を備えている。
第一の枠体101は、枠状の部材である。ここでは、第一の枠体101の正面形状が矩形形状であり、第一の枠体101の外周及び内周の、正面から見た形状が、角が丸められた矩形形状である場合を例に挙げて説明する。ただし、角は丸められていなくても良い。また、ここでの角の曲率半径等は問わない。第一の枠体101は、互いに平行な一対の第一の辺1012と、この一対の第一の辺1012を予め決められた間隔を隔てた状態で連結する互いに平行な一対の連結部1013とを有している。第一の辺1012は、ここでは、直線状に伸びる形状を有している。第一の辺1012は、第一の枠体101の互いに平行な一対の辺部や、第一の枠体101の互いに平行な一対の辺を構成する部材等と考えてもよい。かかることは、第二の辺1022および第三の辺1032についても同様である。第一の辺1012は、第一の枠体101の巻鉄心108に巻き込まれる部分であり、例えば、第一の鉄心巻込部等と考えてもよい。ただし、第一の辺1012は、巻鉄心108を巻付け可能な形状であれば、他の形状であっても良く、例えば、第一の辺1012は、多少の湾曲を有していてもよい。なお、第一の枠体101の形状は、枠状であれば、上記以外の形状であってもよい。
第一の枠体101は、貫通孔1014を有している。貫通孔1014は、第二の枠体102がはめ込まれる孔である。貫通孔1014は、例えば、一対の第一の辺1012と一対の連結部1013とで囲まれた孔である。貫通孔1014は、例えば、第一の枠体101の内周面で囲まれた孔である。
なお、第一の枠体101の正面とは、ここでは、第一の枠体101の貫通孔1014が設けられた開口面の一方であるとする。なお、第一の枠体101の正面は、後述する第一の溝1011の幅方向から第一の枠体101を見た場合に、見える側と考えてもよい。かかることは、後述する第二の枠体102および第三の枠体103の正面についても同様である。
第一の枠体101には、一次コイル104が巻回される第一の溝1011が外周に沿って設けられている。第一の溝1011は、例えば、第一の枠体101の周方向に伸びる溝である。第一の溝1011は、例えば、第一の枠体101の外側面に設けられた溝と考えてもよい。ここでは一例として、第一の溝1011が、第一の枠体101の外周全体にわたって設けられている場合を示している。ただし、一次コイル104が巻回可能であれば、第一の溝1011は外周全体にわたって設けられていなくても良く、部分的に、第一の溝1011が設けられていなくても良い。一次コイル104は、通常、変圧器1の高電圧側のコイルである。
第一の溝1011は、例えば、幅方向に切断した断面形状が凹状の溝である。断面形状は、凹状であればどのような形状であっても良く、高さ方向において段差を有する形状であっても良く、底面側や側面側が湾曲している形状であってもよい。第一の溝1011は、この第一の溝1011に沿った両側(すなわち、第一の枠体101の正面側および背面側)に、側壁1015を有している。側壁1015は、第一の溝1011全体に沿って設けられていてもよく、部分的に設けられていなくてもよい。ここでは、第一の溝1011の底面1016が平坦であり、第一の溝1011の側壁1015の底面側が、底面1016に向かって第一の溝1011の幅が狭くなるよう傾斜しており、側壁1015の底面側以外の部分が底面に対して垂直となっている場合を例に挙げて説明する。第一の溝1011の、正面から見て第一の枠体101の角に相当する部分の底面1016は角が丸められている。ただし、角は丸められていなくても良い。なお、第一の溝1011の側壁1015や底面1016には、部分的に切り欠きや孔等が設けられていても良い。例えば、第一の溝1011の側壁1015には、一次コイル104の端子(図示せず)の取出し等に用いられる切り欠き等が設けられていても良い。
第一の溝1011内には、第一の溝1011を幅方向に分割する分割壁1017が設けられている。ここでは、第一の溝1011内には、第一の溝1011を幅方向に二等分する分割壁1017が一つだけ設けられている場合について説明するが、分割壁1017を二以上設けるようにしてもよい。また、分割壁1017は設けなくても良い。また、第一の溝1011を幅方向に二分する比率は問わない。
第二の枠体102は、図3等に示すように、第一の枠体101の内側にはめ込まれる枠状の部材である。第一の枠体101の内側とは、第一の枠体101の貫通孔1014内である。第二の枠体102は、例えば、正面から見た外周側の形状が、第一の枠体101の内側に嵌合する形状を有している。
ここでは、第二の枠体102の正面形状が矩形形状であり、第二の枠体102の外周及び内周の、正面形状が、角が丸められた矩形形状である場合を例に挙げて説明する。ただし、角は丸められていなくても良い。また、ここでの角の曲率半径等は問わない。第二の枠体102は、互いに平行な一対の第二の辺1022と、この一対の第二の辺1022を予め決められた間隔を隔てて連結する互いに平行な一対の連結部1023とを有している。なお、第二の枠体102の形状は、第一の枠体101の内側にはめ込み可能な枠状であれば、上記以外の形状であってもよい。
第二の枠体102は、貫通孔1024を有している。貫通孔1024は、例えば、一対の第二の辺1022と一対の連結部1023とで囲まれた孔である。貫通孔1024は、例えば、第二の枠体102の内周面で囲まれた孔である。
第二の枠体102の第二の辺1022は、第一の枠体101の内側に、第二の枠体102をはめ込んだ状態で、第一の枠体101の第一の辺1012に隣接する辺である。ここでは、第一の枠体101が有する2つの第一の辺1012の一方に、第二の枠体102が有する2つの第二の辺1022の一方が隣接し、他方に、第二の辺1022の他方が隣接する。ここでの隣接は、辺同士が直接接している状態も接していない状態も含む概念であり、辺間に多少の隙間等が設けられていてもよい。ただし、辺同士は直接接していることが好ましい。かかることは、隣接する第一の辺1012と第三の辺1032とについても同様である。第二の辺1022は、ここでは、直線状に伸びる形状を有している。第二の辺1022は、第二の枠体102の巻鉄心108に巻き込まれる部分であり、例えば、第二の鉄心巻込部等と考えてもよい。ただし、第二の辺1022は、巻鉄心108を巻付け可能な形状であれば、他の形状であっても良く、例えば、第二の辺1022は、多少の湾曲を有していてもよい。なお、第二の枠体102の形状は、枠状であって、第一の枠体101の内側に嵌め込み可能な形状であれば、上記以外の形状であってもよい。
第二の枠体102が、第一の枠体101の内側にはめ込まれるということは、例えば、第二の枠体102の外周に設けられた後述する第二の溝1021が、第一の枠体101の内周面と対向するよう、第一の枠体101に対して第二の枠体102を配置することと考えても良い。
第一の枠体101の内側には、例えば、第一の枠体101の正面側からはめ込まれた第二の枠体102を、はめ込まれた状態で係止する係止部(図示せず)が設けられていてもよい。係止部は、例えば、第一の枠体101の内側の、背面側に設けられた突起である。また、第二の枠体102の外周側も、この係止部に係合する形状を有していても良い。
第二の枠体102には、第一の二次コイル105が配置される第二の溝1021が外周に沿って設けられている。第二の溝1021は、例えば、第二の枠体102の周方向に伸びる溝である。第二の溝1021は、例えば、第二の枠体102の外側面に設けられた外側面に沿って伸びる溝と考えてもよい。ここでは、第二の溝1021が、第二の枠体102の外周全体にわたって設けられている場合について説明する。第一の二次コイル105については後述する。
第二の溝1021は、例えば、幅方向に切断した断面形状が凹状の溝である。断面形状は、凹状であればどのような形状であっても良く、高さ方向において段差を有する形状であっても良く、底面側や側面側が湾曲している形状であってもよい。第二の溝1021は、この第二の溝1021に沿った両側(すなわち、第二の枠体102の正面側および背面側)に、側壁1025を有している。側壁1025は、第二の溝1021全体に沿って設けられていてもよく、部分的に設けられていなくてもよい。ここでは、第二の溝1021の底面1026が平坦であり、第二の溝1021の側壁1025が底面に対して垂直となっている場合を例に挙げて説明する。なお、第二の溝1021の側壁1025や底面1026には、部分的に切り欠きや孔等が設けられていても良い。例えば、第二の溝1021の側壁1025には、第一の二次コイル105の端子(図示せず)の取出し等に用いられる切り欠き等が設けられていても良い。
第二の溝1021内には、第二の溝1021を幅方向に分割する分割壁(図示せず)等を設けるようにしても良い。
第二の枠体102は、第一の溝1011の幅方向の中心と、第二の溝1021の幅方向の中心とが、同一面内に位置するよう、第一の枠体101内にはめ込まれるようにすることが好ましい。例えば、このようにはめ込まれるように、上述した係止部等を設けることが好ましい。
第三の枠体103は、図3等に示すように、第一の枠体101が内側にはめ込まれる枠状の部材である。第三の枠体103の内側とは、第三の枠体103の貫通孔1034内である。第一の枠体101は、例えば、第三の枠体103の内側に嵌合する形状を有している。
ここでは、第三の枠体103の正面形状が矩形形状であり、第三の枠体103の外周及び内周の正面形状が、角が丸められた矩形形状である場合を例に挙げて説明する。ただし、角は丸められていなくても良い。また、ここでの角の曲率半径等は問わない。第三の枠体103は、互いに平行な一対の第三の辺1032と、この一対の第三の辺1032を予め決められた間隔を隔てて連結する互いに平行な一対の連結部1033とを有している。
第三の枠体103は、貫通孔1034を有している。貫通孔1034は、例えば、一対の第三の辺1032と一対の連結部1033とで囲まれた孔である。貫通孔1034は、例えば、第三の枠体103の内周面で囲まれた孔である。
第三の枠体103の第三の辺1032は、第三の枠体103の内側に、第一の枠体101をはめ込んだ状態で、第一の枠体101の第一の辺1012に隣接する辺である。ここでは、第一の枠体101が有する2つの第一の辺1012の一方に、第三の枠体103が有する2つの第二の辺1032の一方が隣接し、他方に、第二の辺1032の他方が隣接する。第三の辺1032は、ここでは、直線状に伸びる形状を有している。第三の辺1032は、第三の枠体103の巻鉄心108に巻き込まれる部分であり、例えば、第三の鉄心巻込部等と考えてもよい。ただし、第三の辺1032は、巻鉄心108を巻付け可能な形状であれば、他の形状であっても良く、例えば、第三の辺1032は、多少の湾曲を有していてもよい。なお、第三の枠体103の形状は、枠状であって、第一の枠体101を内側に嵌め込み可能な形状であれば、上記以外の形状であってもよい。
第三の枠体103の内側に、第一の枠体101がはめ込まれるということは、例えば、第一の枠体101の外周に設けられた第一の溝1011が、第三の枠体103の内周面と対向するよう、第三の枠体103に対して第一の枠体101を配置することと考えても良い。
第三の枠体103の内側には、例えば、第三の枠体103の正面側からはめ込まれた第一の枠体101を、はめ込まれた状態で係止する係止部(図示せず)が設けられていてもよい。係止部は、例えば、第三の枠体103の内側の、背面側に設けられた突起である。なお、第一の枠体101の外周側が、この係止部に係合する形状等を有していても良い。
第三の枠体103には、第二の二次コイル106が配置される第三の溝1031が外周に沿って設けられている。第三の溝1031は、例えば、第三の枠体103の周方向に伸びる溝である。第三の溝1031は、例えば、第三の枠体103の外側面に設けられた外側面に沿って伸びる溝と考えてもよい。ここでは、第三の溝1031が、第三の枠体103の外周全体にわたって設けられている例を示している。第二の二次コイル106については後述する。
第三の溝1031は、例えば、幅方向に切断した断面形状が凹状の溝である。断面形状は、凹状であればどのような形状であっても良く、高さ方向において段差を有する形状であっても良く、底面側や側面が湾曲している形状であってもよい。第三の溝1031は、この第三の溝1031に沿った両側(すなわち、第三の枠体1031の正面側および背面側)に、側壁1035を有している。側壁1035は、第三の溝1031全体に沿って設けられていてもよく、部分的に設けられていなくてもよい。ここでは、第三の溝1031の底面1036が平坦であり、第三の溝1031の側壁1035が底面に対して垂直となっている場合を例に挙げて説明する。
第三の溝1031の少なくとも底面側の幅は、第二の溝1021の底面に対して反対側の部分の幅と同じ幅であることが好ましいが、同じ幅でなくても良い。第三の溝1031の内側の断面形状と、第二の溝1021の内側の断面形状とは、第一の溝1011の底面に平行な平面に対してほぼ面対称となる形状であることがより好ましいが、ほぼ面対称とならない形状であってもよい。
なお、第三の溝1031の側壁1035や底面1036には、部分的に切り欠きや孔等が設けられていても良い。例えば、第三の溝1031の側壁1035には、第二の二次コイル106の端子(図示せず)の取出し等に用いられる切り欠き等が設けられていても良い。
第三の溝1031内には、第三の溝1031を幅方向に分割する分割壁(図示せず)等を設けるようにしても良い。
第一の枠体101は、第一の溝1011の幅方向の中心と、第三の溝1031の幅方向の中心とが、同一面内に位置するよう、第三の枠体103内にはめ込まれるようにすることが好ましい。例えば、このようにはめ込まれるように、上述した係止部等を設けることが好ましい。
第三の枠体103は、貫通孔1034側に、第三の溝1031の幅方向において外側に広がるフリンジ1037を有している。ここでは、フリンジ1037は、第三の溝1031の側壁1035に対して垂直となるように設けられている。ただし、垂直でなくても良い。ここでは、フリンジ1037が第三の枠体103の内周面に沿って設けられている例を示している。なお、フリンジ1037は、第三の枠体103の内周全域にわたって設けられていても良く、部分的に設けられていても良い。また、フリンジ1037は省略しても良い。また、フリンジ1037には、部分的な切り欠きや、孔が設けられていてもよい。フリンジ1037は、第三の枠体103内に第一の枠体101をはめ込んだ状態で、このフリンジ1037と、第三の枠体103の内周面とによって、第一の枠体101の第一の溝1011を塞ぐことが可能な形状やサイズを有していることが好ましい。ただし、部分的には塞がれていない部分が生じても良い。
上記のように、第三の枠体103の内側に第一の枠体101をはめ込み、第一の枠体101の内側に第二の枠体102をはめ込むことによって、第一の枠体101と、第二の枠体102と、第三の枠体103とが一体に組み付けられる。また、組み付けられることによって、第一の枠体101が有する2つの第一の辺1012のそれぞれに対して、第二の枠体102が有する一の第二の辺1022と、第三の枠体103が有する一の第三の辺1032とが隣接することとなる。以下、このように一体に組み付けられた第一の枠体101、第二の枠体102、および第三の枠体103を、組み付けられた第一の枠体101、第二の枠体102、および第三の枠体103と呼ぶ場合がある。
なお、第三の枠体103の第三の溝1031の幅は、第一の枠体101の第一の溝1011の幅以下であることが好ましい。また、第二の枠体102の第二の溝1021の幅は、第一の枠体101の第一の溝1011の幅以下であることが好ましい。また、第三の枠体103の第三の溝1031の幅と、第二の枠体102の第二の溝1021の幅とは、同じ幅であることが好ましい。
円筒部材107は、円筒状の部材である。円筒部材107は、長手方向において両端が開口している。円筒部材107は、図1(b)に示すように、組み付けられた第一の枠体101、第二の枠体102、および第三の枠体103の、第一の辺1012と、この第一の辺1012に対して隣接する第二の辺1022および第三の辺1032と、の一以上の組をそれぞれ包むように配置される。ここでは、第一の辺1012と、これに隣接する第二の辺1022および第三の辺1032との2つの組をそれぞれ包むように2つの円筒部材107が配置される。包むように配置されるということは、例えば、巻き込むように配置されることであっても良い。円筒部材107の長手方向の両端は、完全に開口していることが好ましいが、円筒部材107の内部に絶縁油が流入および流出可能であれば、円筒部材107の両端は、部分的に開口していても良い。また、円筒部材107は、両端が開口している代わりに、両端近傍に絶縁油の流入および流出が可能な1以上の開口部(図示せず)を有していても良い。
円筒部材107は、巻鉄心108に巻き込まれる部材である。円筒部材107は、例えば、電磁鋼板等の巻鉄心108の材料となる鋼板を巻付けることによって、ゆがみや、ひずみ、巻き方の乱れ等の少ない整った円筒状の巻鉄心を作製するために用いられる。円筒部材107は、このような巻鉄心を作製することが可能なものであれば、外側の面、すなわち外周面に1以上の平坦な部位を有していても良く、外周面に1以上の凹部や凸部を有していても良く、1以上の貫通孔、スリット、または切り欠き等を有していても良く、少なくとも一部がメッシュ状となっていても良い。また、円筒部材107は、ほぼ円筒に近い形状を有するものであって、鋼板を巻付けることによって、ゆがみ等のない整った円筒状の巻鉄心を作製することが可能なものであれば、外周側が多角柱状の形状を有するものであっても良い。
円筒部材107の直径及び配置は、例えば、円筒部材107内に配置される第一の辺1012、第二の辺1022、および第三の辺1032と、円筒部材107との距離ができるだけ近くなるような直径及び配置とすることが好ましい。例えば、円筒部材107の内側に配置される第一の辺1012、第二の辺1022、および第三の辺1032の少なくとも一部が、円筒部材107の内周面が接触するような直径および配置とすることが好ましい。円筒部材107の長手方向の長さは問わない。円筒部材107の長手方向の長さは、例えば、巻鉄心108の幅や、第一の辺1012、第二の辺1022、および第三の辺1032の長さ等に応じて設定される。
円筒部材107は、一対の半円筒部1071aと半円筒部1071bとにより構成されている。半円筒部1071aおよび半円筒部1071bは、円筒部材107を、円筒部材107の軸心を有する面で、対称となるよう二つに分割した形状を有する部材であり、この二つの半円筒部1071aと半円筒部1071bとを組み合わせることで、円筒部材107が構成される。半円筒部1071aは、組み付けられた第一の枠体101、第二の枠体102、および第三の枠体103の正面側に配置され、半円筒部1071bは、組み付けられた第一の枠体101、第二の枠体102、および第三の枠体103の背面側に配置される。一対の半円筒部1071aと半円筒部1071bとは、それぞれが有する長手方向に沿って伸びる2つの端部1072が対向するよう配置され、二つの端部1072を対向するもの同士で接合することで、半円筒部1071aと半円筒部1071bとが組み付けられて円筒部材107となる。端部1072は接合面と考えてもよい。なお、半円筒部1071a及び半円筒部1071bは、必ずしも対称となる形状を有していなくても良い。例えば、半円筒部1071aおよび半円筒部1071bは、円筒部材107を、円筒部材107の軸心を有さない面で二つに分割した、円筒部材107の軸心を有する面に対して非対称となる部材であってもよい。
一対の半円筒部1071aおよび1071bがどのように連結されるかは問わない。一対の半円筒部1071aおよび1071bは、例えば、端部1072または端部1072近傍に連結手段(図示せず)を有しており、一対の半円筒部1071aおよび1071bは、この連結手段により連結される。連結手段は、例えば、半円筒部1071aおよび半円筒部1071bの端部1072近傍の、半円筒部1071aと半円筒部1071bとを組み付けて円筒部材107とする際に対向する位置に設けられている突起部と、この突起部に嵌合する凹部との組である。ただし、一対の半円筒部1071aおよび1071bは、接着剤等で接着されても良く、連結手段による連結が不要である場合は、連結手段は省略可能である。
なお、ここでは、円筒部材107が一対の半円筒部1071aと半円筒部1071bとにより構成される場合について説明したが、円筒部材107は、3以上の部材を組み付ける構成されるものであっても良い。また、円筒部材107は、一対の第一の辺1012、第二の辺1022、および第三の辺1032を包むように配置することが可能であれば、上記以外の構造を有していても良い。例えば、円筒部材107は、一の部材で構成されていても良い。
コイルボビン10は、円筒部材107の位置決めおよび固定に用いられる手段を有していてもよい。位置決めおよび固定に用いられる手段は、どのような構成であっても良い。例えば、円筒部材107と、第一の辺1012、第二の辺1022、および第三の辺1032の少なくとも一部に、位置決めおよび固定のための突起(図示せず)と、この突起に嵌合する凹部とを設けるようにしてもよい。
第一の枠体101、第二の枠体102、第三の枠体103、および円筒部材107は、例えば、熱可塑性樹脂等の樹脂により構成される。第一の枠体101、第二の枠体102、第三の枠体103、および円筒部材107は、例えば、樹脂成型品である。この樹脂の種類等は問わない。この樹脂としては、例えば、通常の変圧器等に用いられるコイルボビンの材料として用いられる樹脂が利用可能である。第一の枠体101、第二の枠体102、第三の枠体103、および円筒部材107は、同じ樹脂であってもよく、少なくとも一部が異なる樹脂であってもよい。第一の枠体101、第二の枠体102、第三の枠体103、および円筒部材107は、樹脂以外により構成されていても良い。
なお、本実施の形態においては、コイルボビン10が円筒部材107を有している場合について説明したが、円筒部材107は省略しても良い。
一次コイル104は、第一の枠体101に設けられている。一次コイル104は、例えば、第一の枠体101の第一の溝1011に巻回されている。一次コイル104は導線1041により構成されている。一次コイル104は、上述したように、通常、変圧器1の高電圧側のコイルとして用いられる。例えば、一次コイル104は、後述する二次コイルに対して高電圧側のコイルとして用いられる。導線1041の材質は通常の変圧器に利用可能な導線であれば良く、材質は問わない。一次コイル104に用いられる導線1041は通常、表面が絶縁膜により絶縁された導線である。かかることは、後述する二次コイルに用いられる導線についても同様である。一次コイル104の巻数や、導線1041の太さや断面形状等は問わない。
一次コイル104は、図1(c)に示すように、第一の溝1011に、整列巻きされた導線1041で構成されている。一次コイル104は、一のコイルで構成されていても良く、複数のコイルで構成されていても良い。ここでは、一例として、一次コイル104が、第一〜第五のコイル(図示せず)とにより構成されているものとする。なお、第一のコイルから第五のコイルのそれぞれの巻数は問わない。
第一〜第四のコイルは、分割壁1017で二つに区切られた第一の溝1011のうちの、正面側の部分に、下から順番に整列巻きされている。例えば、第一〜第四のコイルは、二つに区切られた第一の溝1011の正面側の部分の底面上に、層状に巻付けられる。第一〜第四のコイルは、第一の溝1011の側壁1015と、分割壁1017との間で、折り返しながら、底面側から順番に層状に巻回される。図1(c)においては、例えば、図1(c)に向かって右側が正面側であるとする。
第五のコイルは、分割壁1017で区切られた第一の溝1011のうちの背面側の部分に下から順番に整列巻きされている。例えば、第五のコイルは、二つに区切られた第一の溝1011の背面側の部分の底面上に、層状に巻付けられる。第五のコイルは、第一の溝1011の側壁1015と、分割壁1017との間で、折り返しながら、底面側から順に層状に巻回される。なお、第一〜第四のコイルを背面側に巻回し、第五のコイルを正面側に巻回してもよい。
第一のコイルから第五のコイルの端子(図示せず)は、いずれも、第二の溝1021の側壁1015に設けられた孔や切り欠き部等(図示せず)から取り出される。
なお、分割壁1017で二つに区切られた第一の溝1011のそれぞれに巻回される一次コイルの巻数は、同じとすることが好ましい。このため、例えば、第一〜第四のコイルの巻数の和と、第五のコイルの巻数とが同じとなるようにすることが好ましい。
第一の二次コイル105および第二の二次コイル106は、変圧器1の二次コイルとして用いられるコイルである。変圧器1の二次コイルを2分割したコイルが、第一の二次コイル105および第二の二次コイル106であると考えてもよい。二次コイルは、通常、変圧器1の低電圧側のコイルとして用いられる。
第一の二次コイル105は、第二の枠体102に設けられ、一次コイル104の内側に配置される。ここでは、一例として、第一の二次コイル105は、第二の枠体102の第二の溝1021に巻回されている場合を示している。ただし、第一の二次コイル105は、第二の枠体102にどのように設けられていてもよい。第一の二次コイル105は導線1051により構成されている複数層のコイルである。第一の二次コイル105は、通常は、一のコイルであるが、複数のコイルであっても良い。
第二の二次コイル106は、第三の枠体103に設けられ、一次コイル104がその内側に配置される。ここでは、一例として、第二の二次コイル106は、第三の枠体103の第三の溝1031に巻回されている場合を示している。ただし、第二の二次コイル106は、第二の枠体102にどのように設けられていてもよい。第二の二次コイル106は導線1061により構成されている複数層のコイルである。通常、導線1051と導線1061としては同じ導線が用いられるが、異なる導線を用いてもよい。第二の二次コイル106は、通常は、一のコイルであるが、複数のコイルであっても良い。
通常の変圧器においては、一次コイルの方が、二次コイルよりも高電圧となり、二次コイルの方が大きい電流が流れることから、第一の二次コイル105を構成する導線1051および第二の二次コイル106を構成する導線1061として、一次コイル104を構成する導線1041よりも、太い導線が用いられる。ただし、一次コイル104を構成する導線を、二次コイルを構成する導線1051および導線1061以上の太さとしても良い。
なお、第一の二次コイル105の端子(図示せず)、および第二の二次コイル106の端子(図示せず)は、例えば、第二の溝1021の側壁1025および第三の溝1031の側壁1035に設けられた孔や、切り欠き等(図示せず)から取り出される。ただし、これらの端子をどのように取り出すかは問わない。
第一の二次コイル105の導線1051の巻数と、第二の二次コイル106の導線1061の巻数とは、同じ巻数であることが好ましい。同じ巻数とすることで、第一の二次コイル105から得られる電圧と、第二の二次コイル106から得られる電圧とを同じ電圧とすることができる。なお、第一の二次コイル105から得られる電圧と、第二の二次コイル106から得られる電圧とを異なる電圧とする場合、それぞれの巻数を、取得しようとする電圧に応じて異なる巻数としてもよい。
なお、第一の二次コイル105の導線1051の巻数と、第二の二次コイル106の導線1061の巻数と、同じ巻数とする場合等においては、第一の二次コイル105の高さ(すなわち、第二の溝1021の幅方向の長さ)と、第二の二次コイル106の高さ(すなわち、第三の溝1031の幅方向の長さ)とを、同じ高さとしても良く、同じ高さとしなくてもよい。また、第一の二次コイル105の層数(第二の溝1021の幅方向の長さ)と、第二の二次コイル106の層数(第三の溝1031の幅方向の長さ)とを、同じ層数としてもよく、同じ層数としなくても良い。また、第一の二次コイル105の巻回方向に対して垂直な断面形状と、第二の二次コイル106の巻回方向に対して垂直な断面形状とは、第一の溝1011の底面に平行な面に対して面対称となる形状となるようにすることが好ましいが、面対象となる形状でなくてもよい。例えば、コイルの占積率が良くなるように、コイルの高さおよび層数を、第一の二次コイル105と、第二の二次コイル106とでそれぞれ変更しても良い。通常、外側に配置される第二の二次コイル106の方が、内側に配置される第一の二次コイル105に比べて、コイルの周長が長く、一次コイルと二次コイルと間の短絡インピーダンスが大きくなる傾向にあるので、第一の二次コイル105に対して第二の二次コイル106の高さを高く、厚さを薄く(層数を少なく)した方が、第一の二次コイル105と第二の二次コイル106とのインピーダンスの大きさを近づけることができる。また、第一の二次コイル105および第二の二次コイル106の断面形状も、占積率が良くなるように面対称の形状としているが、占積率が良くなるのであれば、面対称の形状でなくてもよい。本実施の形態においては、第一の二次コイル105の導線1051の巻数と、第二の二次コイル106の導線1061の巻数とが同じ巻数であり、第一の二次コイル105の高さおよび層数と、第二の二次コイル106の高さおよび層数とが同じであるとする。
また、第一の二次コイル105の高さ(第二の溝1021の幅方向の長さ)および第二の二次コイル106の高さ(第三の溝1031の幅方向の長さ)は、一次コイル104の高さ(第一の溝1011の幅方向の長さ)以下であることが好ましい。
なお、一次コイル104および第一の二次コイル105および第二の二次コイル106の巻き方は、上記の整列巻き以外の巻き方であっても良く、その巻き方は問わない。なお、図1(c)等に示した一次コイル104、第一の二次コイル105および第二の二次コイル106の巻き方や、巻数、導線1041、導線1051および導線1061の太さ等は説明のためのものであり、実際の変圧器1のものとは異なる場合がある。
巻鉄心108は、組み付けられた第一の枠体101、第二の枠体102、および第三の枠体103の、第一の辺1012と、この第一の辺1012に対して隣接する第二の辺1022および第三の辺1032と、の一以上の組をそれぞれ巻き込むように設けられている。巻鉄心108は、第一の辺1012と、この第一の辺1012に対して隣接する第二の辺1022および第三の辺1032と、の一以上の組に、電磁鋼板等の鋼板(図示せず)を巻回して構成された鉄心である。巻鉄心108を構成する鋼板としては、通常の巻鉄心に用いられる鋼板であれば、どのような鋼板を用いるかは問わない。巻鉄心108の巻数等は問わない。また、巻鉄心108に用いられる鋼板の厚さおよび幅は問わない。
巻鉄心108は、第一の辺1012と、この第一の辺1012に対して隣接する第二の辺1022および第三の辺1032との組に直接接するように設けられていてもよく、直接接しないように設けられていてもよい。本実施の形態においては、巻鉄心108が、第一の辺1012と、この第一の辺1012に対して隣接する第二の辺1022および第三の辺1032との組を包むように配置された円筒部材107を巻き込むように設けられており、巻鉄心108が、第一の辺1012、第二の辺1022および第三の辺1032とに直接接していない場合について説明する。巻鉄心108の構成については、公知技術であるため、ここでは詳細な説明は省略する。なお、図1(a)に示した巻鉄心108の巻数や、巻鉄心108に用いられる鋼板等は説明のためのものであり、実際の巻鉄心108のものとは異なる場合がある。
図4は、変圧器1を説明するための、タップ切換器TLに接続された変圧器1の回路構成の一例を説明するための回路図である。図において、変圧器1の回路構成は、点線で示す部分に相当する。ここでは、変圧器1を降圧用の変圧器として用いた場合について示している。ただし、変圧器1の接続等は、変圧器として利用可能なものであれば、図4に示した接続以外の接続であっても良い。
図4において、コイル21〜25は、上述した一次コイル104を構成する第一〜第五のコイルであるとする。
一次コイル104を構成する第一〜第五のコイルの端子(図示せず)は、第一の枠体101の側壁1015の孔や切り欠き部(図示せず)等から取り出され、いわゆる、タップ切換器TLのタップ端子に接続される。
第一のコイル21の第一の端子T1は、タップ端子P1と接続され、第一のコイル21の第二の端子(図示せず)と、第二のコイル22の第一の端子(図示せず)とを接続した端子T2は、タップ端子P2と接続され、第二のコイル22の第二の端子(図示せず)と、第三のコイル23の第一の端子(図示せず)とを接続した端子T3は、タップ端子P3と接続され、第三のコイル23の第二の端子(図示せず)と、第四のコイル24の第一の端子(図示せず)とを接続した端子T4は、タップ端子P4と接続される。タップ端子P1〜P4のいずれか一つは、切替片TCによってコモン端子Pcに接続される。コモン端子Pc、及び第五のコイル25の第二の端子Q1は、それぞれ変圧器1が収容される容器(図示せず)に設けられた一次側の正の端子BS1(+)及び負の端子BS1(−)に接続される。第四のコイル24の第二の端子(図示せず)と、第五のコイル25の第一の端子(図示せず)とは、端子T5で接続される。容器(図示せず)に設けられた端子BS1(+)、及びBS1(−)としては、ここでは、ブッシングが用いられているものとする。端子BS1(+)と端子BS1(−)との間には、電力系統から、例えば、電位差が6000V以上の高圧の電圧が印加される。このような回路構成においては、切替片TCを動かして、コモン端子Pc接続されるタップ端子P1〜P4を変更することでタップ切換が行なわれる。なお、端子T5で接続された第四のコイル24と第五のコイル25とは、一次コイル104の、タップ切換できない主要コイルとして機能する。
第一の二次コイル105および第二の二次コイル106は、それぞれ第一の端子および第二の端子を有しているとする。第一の二次コイル105の第一の端子(図示せず)は、変圧器1が収容される容器(図示せず)に設けられた二次側の端子である正の端子BS2(+)と接続され、第一の二次コイル105の第二の端子(図示せず)と第二の二次コイル106の第一の端子(図示せず)とは、変圧器1が収容される容器(図示せず)に設けられたグラウンドの端子BS2(G)に接続され、第二の二次コイル106の第二の端子(図示せず)は、変圧器1が収容される容器(図示せず)に設けられた二次側の端子である負の端子BS2(−)と接続される。容器(図示せず)に設けられた端子BS2(+)、BS2(G)、及びBS2(−)としては、ここでは、ブッシング(図示せず)が用いられているものとする。端子BS2(+)は端子BS2(G)に対して、例えば、+100から110Vの低電圧を出力し、端子BS2(−)は端子BS2(G)に対して、例えば−100から−110Vの低電圧を出力する。
変圧器1は、図示しない絶縁油内に配置して使用される。変圧器1は、例えば、いわゆる油入式変圧器である。例えば、変圧器1及びタップ切換器TLは、図4に示すように接続されて、絶縁油が充填された容器(図示せず)内に収容される。絶縁油の成分は問わない。
次に、変圧器1の製造方法について簡単に説明する。図2に示すように、第一の枠体101の第一の溝1011に導線1041を巻回して、一次コイル104が巻回された第一の枠体101を作製する。同様に、第二の枠体102の第二の溝1021に導線1051を巻回して、第一の二次コイル105が巻回された第二の枠体102を作製する。同様に、第三の枠体103の第三の溝1031に導線1061を巻回して、第二の二次コイル106が巻回された第三の枠体103を作製する。導線1041、導線1051、および導線1061の巻回方法等については、例えば、公知の技術が利用可能である。
第一の二次コイル105が巻回された第二の枠体102を、一次コイル104が巻付けられた第一の枠体101の貫通孔1014にはめ込む。さらに、第二の枠体102がはめ込まれた第一の枠体101を、第三の枠体103の貫通孔1034にはめ込む。これにより、第一の枠体101、第二の枠体102、および第三の枠体103を、一体に組み付けることができる。なお、第一の枠体101、第二の枠体102、および第三の枠体103を組み付ける順番は問わない。
次に、組み付けた第一の枠体101、第二の枠体102、および第三の枠体103の、第一の辺1012と、この第一の辺1012に隣接する第二の辺1022および第三の辺1032との二つの組の周りに、それぞれ半円筒部1071aおよび半円筒部1071bを配置して、これらを連結することで、二つの円筒部材107を組み付ける。
そして、二つの円筒部材107のそれぞれに、鋼板(図示せず)を巻付けて2つの巻鉄心108を設けることで、図1(a)に示すような変圧器1を得ることができる。鋼板の巻付け方法としては、公知の技術が利用可能である。
本実施の形態の変圧器1においては、第一の枠体101の外周に設けられた第一の溝1011内に巻回された一次コイル104を、第一の枠体101の内側にはめ込まれた第二の枠体102の外周に設けられた第二の溝1021内に巻回された第一の二次コイル105と、第一の枠体101を内側にはめ込んだ第三の枠体103の外周に設けられた第三の溝1031内に巻回された第二の二次コイル106とにより挟み込んでいるため、一つの一次コイル104を、二分割した二次コイルである第一の二次コイル105と第二の二次コイル106とで非接触となるよう挟み込む構造となっている。これにより、一次コイルの外側だけに二次コイルを配置した従来の変圧器に比べて、一次コイル104と、第一の二次コイル105と第二の二次コイル106とで構成される二次コイルとの磁気結合を向上させることができ、変圧器1の短絡インピーダンスを低インピーダンスにすることができる。
なお、第一の枠体101、第二の枠体102および第三の枠体103の形状は、第一の辺1012と、この第一の辺1012に隣接する第二の辺1022および第三の辺1032との組と、この組の周りに設けられた巻鉄心108の内周面との間の隙間が少なくなるような形状とすることが好ましい。変圧器1が円筒部材107を有している場合、この隙間は、第一の辺1012と、この第一の辺1012に隣接する第二の辺1022および第三の辺1032との組と、この組の周りに設けられた円筒部材107の内周面との間の隙間と考えてもよい。
また、第一の枠体101、第二の枠体102および第三の枠体103の形状は、第一の辺1012に位置する第一の溝1011の内部に、好ましくは、一次コイル104が巻回されている部分や、分離壁1017が設けられている部分等に、より好ましくは第一の溝1011の内部の、幅方向の中心となる位置であって深さ方向の中心となる位置またはこれに近接した位置に、この第一の辺1012とこの第一の辺1012に隣接する第二の辺1022および第三の辺1032との組との周りに巻回された巻鉄心108の巻回の中心となる軸心が位置するような形状とすることが好ましい。
以上、本実施の形態によれば、一次コイル104を、二分割した二次コイルである第一の二次コイル105および第二の二次コイル106で非接触となるよう挟み込むようにしたことにより、低インピーダンスである変圧器を提供することができる。
また、一次コイル104と2つの二次コイル105および106とを巻回するコイルボビン10を、独立した第一の枠体101と、第二の枠体102と、第三の枠体103とを組み付ける構成としたことにより、それぞれの枠体を独立して設計することが可能となるため、設計の自由度が向上し、例えば、各枠体を、低コストとなるように設計することが可能となる。
また、一次コイル104と2つの二次コイル105および106とを巻回するコイルボビン10を、独立した第一の枠体101と、第二の枠体102と、第三の枠体103とを組み付ける構成としたことにより、それぞれの枠体に、同時に一次コイル104と二次コイル105および106とを巻回することが可能となり、作業時間を短縮して、製造コストを低減させることができる。
なお、本実施の形態においては、変圧器1が外鉄形の変圧器である場合を例に挙げて説明したが、変圧器は内鉄形の変圧器であっても良い。
また、本実施の形態においては、変圧器1が、二つの巻鉄心108を有する場合について説明したが、変圧器は、一つの巻鉄心108を有するものであっても良い。この場合、コイルボビン10は、第一の辺1012と、この第一の辺1012に隣接する第二の辺1022および第三の辺1032との組を、少なくとも一つ有していれば良く、例えば、第一の辺1012と、この第一の辺1012に隣接する第二の辺1022および第三の辺1032との組を、一つだけ有していても良い。また、コイルボビン10が、第一の辺1012と、この第一の辺1012に隣接する第二の辺1022および第三の辺1032との組を2つ有している場合であっても、そのいずれか一方だけを巻き込むように巻鉄心108を設けるようにしても良い。
また、本実施の形態においては、変圧器1がコイルボビン10を有している場合について説明したが、変圧器1は、一次コイル104と、一次コイル104の内側に配置された第一の二次コイル105と、一次コイル104が内側に配置された第二の二次コイル106と、一次コイル104と、第一の二次コイル105と、第二の二次コイル106とを巻き込むように設けられた一以上の巻鉄心108とを備えていれば、コイルボビン10を有していなくても(例えば、コイルボビン10とは異なるコイルボビンを用いた場合においても)、上記と同様に、低インピーダンスである変圧器を提供することができる。一次コイル104、第一の二次コイル105、および第二の二次コイル106の一の巻鉄心108に巻き込まれる部分は、例えば、枠状の一次コイル104の一の辺と、この一の辺に隣接する枠状の第一の二次コイル105の一の辺および枠状の第二の二次コイル106の一の辺である。ここでの辺は、例えば、各コイルの導線が直線状に巻回されている部分と考えてもよい。ただし、第一の二次コイル105は、一次コイル104の内側に非接触となるよう配置することが好ましい。例えば、第一の二次コイル105は、一次コイル104の内側に絶縁膜やコイルボビンの枠体の一部等を介して非接触となるよう配置することが好ましい。同様に、一次コイル104は、第二の二次コイル106の内側に非接触となるよう配置することが好ましい。例えば、一次コイル104は、第二の二次コイル106の内側に絶縁膜やコイルボビンの枠体の一部等を介して非接触となるよう配置することが好ましい。また、巻鉄心108も、一次コイル104、第一の二次コイル105、および第二の二次コイル106と非接触となるよう配置することが好ましい。
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。