JP2019091624A - 非水電解質二次電池の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本開示の電池は、以下で説明する負極を備える限り、従来公知の構成を備えることができる。従来公知の構成とは、たとえば正極と、負極と、正極と負極との間に配置されたセパレータとを有する電極群とを備え、この電極群が非水電解質と共に電池ケースに配置される構成などをいう。電極群は、積層(スタック)型とすることができる。
非水電解質二次電池の製造方法は、黒鉛とアモルファス炭素により被覆された珪素(Si)またはアモルファス炭素により被覆された酸化珪素(SiO)とを含有する負極を準備する工程(負極準備工程)と、負極をX線回折(XRD)測定し、X線回折パターンを得る工程(XRD測定工程)と、X線回折パターンに基づき、負極を選別する工程(負極選別工程)と、選別された負極を用い、電池を製造する工程とを含む。負極選別工程において、XRD測定工程により得られたX線解析パターンは、半値幅0.05のX線回折パターンと半値幅0.5のX線回折パターンとに分離される。半値幅0.05のX線回折パターンにおけるピーク値aと、半値幅0.5のX線回折パターンにおけるピーク値bとの比b/aが0.05以上の負極が選別され、電池の製造に用いられる。これらの工程を含む限り、他の工程を含むことができる。以下、非水電解質二次電池用負極(以下単に「負極」とも記される)の構成を説明した後、それぞれの工程について説明する。
負極は、負極合材層および負極集電体を含む。負極集電体は、たとえば銅(Cu)箔等でよい。負極集電体は、たとえば5〜20μm程度の厚さを有してもよい。負極合材層は、負極集電体の表面に形成されている。負極合材層は、たとえば10〜150μm程度の厚さを有してもよい。負極合材層は、負極活物質およびバインダ等を含有する。負極合材層は、たとえば95〜99質量%の負極活物質、および1〜5質量%のバインダを含有する。
本工程は、黒鉛とアモルファス炭素により被覆された珪素(Si)またはアモルファス炭素により被覆された酸化珪素(SiO)とを含有する負極を準備する工程である。本工程は、以下の(A)負極合材ペーストの調製、(B)負極合材ペーストの塗布、および、(C)負極合材ペーストの乾燥を含む。
黒鉛と、CコートSiまたはCコートSiOとを少なくとも含む負極合材ペーストを調製する。負極負極合材ペースト全体の固形分における、CコートSiまたはCコートSiOの量(固形分)は、たとえば3〜40質量%とされる。黒鉛、CコートSiまたはCコートSiOおよび溶媒が混合されることにより、負極合材ペーストが調製され得る。溶媒は、たとえば水でよい。負極ペーストの調製には、一般的な混合装置が使用され得る。
調製された負極合材ペーストが、Cu箔等の負極集電体の表面に塗布される。負極合材ペーストの塗布には、たとえば、ダイコータ等が使用され得る。
塗工された負極合材ペーストが乾燥されることにより、負極集電体の表面に負極合材層が形成される。これにより、負極が製造される。なお、負極は、所定の寸法に圧縮(圧延)され、その後電池の仕様に合わせて、裁断され得る。圧延には、たとえばローラ圧延機等が使用され得る。以上により、黒鉛とCコートSiまたはCコートSiOとを含有する負極が準備される。
本工程は、CuKα線を用いたX線回折装置により、負極準備工程において準備された負極を測定し、X線回折パターンを得る工程である。XRDの測定方法は、後述する実施例に記載の方法により行うことができる。
本工程は、XRD測定工程にて得られたX線回折パターンに基づき、負極を選別する工程である。該X線回折パターンは、半値幅0.05のX線回折パターンと半値幅0.5のX線回折パターンとに分離される。X線回折パターンの分離は、たとえばMicrosoft Excel(登録商標)2013において以下に示す式(1)を入力し、ソルバー機能によるフィッティングを用いて行うことができる。たとえば、ピーク位置aおよびピーク位置bを26.25とし、半値幅aを0.05とし、半値幅bを0.5とし、回折角を20−30°(2θ)の範囲とする。得られたX線回折パターンのピーク強度の実測値と、以下に示す式(1)で得られる強度との差が最少となるように、ピーク値a、ピーク値b、およびベースをパラメータとしてフィッティングを行う。これにより、ピーク値aおよびピーク値bを求めることができる。また、一般に用いられる波形解析によっても行うことができる。
正極は、正極集電体と、正極集電体の主面上に形成された正極合材層とを含む。正極集電体は、たとえばアルミニウム(Al)箔等であってもよい。正極集電体は、たとえば10〜30μmの厚さを有してもよい。
正極合材層は、正極活物質、導電材およびバインダを含む。正極合材層は、たとえば80〜98重量%の正極活物質、1〜15重量%以下の導電材および1〜5重量%以下のバインダを含んでもよい。正極合材層は、たとえば100〜200μmの厚さを有してもよい。
正極活物質、導電材およびバインダは特に限定されるべきではない。正極活物質は、たとえばLiCoO2、LiNiO2、LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2(NCM)、LiMnO2、LiMn2O4、LiFePO4等であってもよい。導電材は、たとえばアセチレンブラック(AB)、ファーネスブラック、気相成長炭素繊維(VGCF)、黒鉛等であってもよい。バインダは、たとえばポリフッ化ビニリデン(PVdF)、スチレンブタジエンラバー(SBR)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等であってもよい
セパレータは、電気絶縁性の多孔質膜である。セパレータは、正極と負極とを電気的に隔離する。セパレータは、たとえば5〜30μmの厚さを有してもよい。セパレータは、たとえば多孔質ポリエチレン(PE)膜、多孔質ポリプロピレン(PP)膜等により構成され得る。セパレータは、多層構造を含んでもよい。たとえば、セパレータは、多孔質PP膜、多孔質PE膜、および多孔質PP膜がこの順序で積層されることにより構成されていてもよい。セパレータは、その表面に耐熱層を含んでいてもよい。耐熱層は、耐熱材料を含む。耐熱材料としては、たとえばアルミナ等の金属酸化物粒子、ポリイミド等の高融点樹脂等が挙げられる。
非水電解質は、非水溶媒および支持塩を含む。非水溶媒は、たとえばエチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)等の環状あるいは鎖状の炭酸エステル類でよい。支持塩は、たとえばヘキサフルオロ燐酸リチウム(LiPF6)、テトラフルオロ硼酸リチウム(LiBF4)等のLi塩でよい。Li塩の濃度は、たとえば0.5〜2.0mоl/L程度でよい。非水電解質は、ビニレンカーボネート(VC)、シクロヘキシルベンゼン(CHB)等の添加剤を含んでいてもよい。
電池ケースは、たとえば角形(扁平直方体)であってもよいし、円筒形であってもよいし、袋状であってもよい。たとえば、アルミニウム(Al)、Al合金等の金属が電池ケースを構成する。ただし、電池ケースが所定の密閉性を有する限り、たとえば金属および樹脂の複合材が電池ケースを構成してもよい。金属および樹脂の複合材としては、たとえばアルミラミネートフィルム等が挙げられる。電池ケースは、外部端子、注液孔、ガス排出弁、電流遮断機構(CID)等を備えていてもよい。
本開示に係る製造方法により製造された電池は、たとえばハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)等の動力電源として用いられる。ただし、本開示に係る製造方法により製造された電池の用途は、車載用途に限定されるべきではなく、あらゆる用途に適用可能である。
《実施例1》
1.正極の製造
以下の材料が準備された。
正極活物質:NCM(平均粒子径10μm)
導電材:AB
バインダ:PVdF
溶媒:N−メチル−2ピロリドン(NMP)
正極集電箔:Al箔(厚さ15μm)
以下の材料が準備された。
負極活物質:天然黒鉛(平均粒子径20μm)、CコートSiO(平均粒子径5μm)
増粘材:CMC
バインダ:SBR
溶媒:水
負極集電箔:Cu箔(厚さ10μm)
負極シートをホルダーに貼り付け、以下の条件でXRD測定を行った。これにより、X線回折パターンを得た。
モノクロメータ:グラファイト単結晶
カウンタ:シンチレーションカウンタ
X線:CuKα線(波長1.54051Å,管電圧50kV,管電流300mA)
測定範囲:2θ=10°〜90°
スキャンスピード:10°/min
ステップ幅:0.02°
測定温度:室温(25℃)
Microsoft Excel(登録商標)2013に上述した式(1)を入力した。Microsoft Excel(登録商標)2013のソルバー機能によるフィッティングを用いることにより、上述した式(1)における強度と、得られたX線回折パターンのピーク強度の実測値との差が最少となる、ピーク値aおよびピーク値bが算出された。算出されたピーク値aは151783であり、算出されたピーク値bは7748であった。すなわち、b/aは、0.051であった。
上記の負極(負極シート)21枚と、上記の正極(正極シート)20枚と、セパレータ42枚と、が準備された。セパレータは、PP製の多孔質膜、PE製の多孔質膜、およびPP製の多孔質膜がこの順序で積層されることにより、構成されている。複数の負極の各々と複数の正極の各々とが、積層方向の両方の外縁に負極が位置するように、セパレータを挟んで交互に積層され、積層型電極群が作製された。
溶媒: [EC:EMC:DMC=3:4:3(質量比)]
リチウム塩: LiPF6 (1.0mоl/L)
下記表1に示されるように、b/aが異なる負極が用いられたことを除いては、実施例1と同様に電池が製造された。
1.電池の活性化および初期容量の測定
25℃において、以下の定電流−定電圧方式充電(CCCV充電)により、電池が満充電にされた。次いで以下の定電流方式放電(CC放電)により、電池が放電された。このときの放電容量が初期容量とされた。なお「1C」は、満充電容量を1時間で放電する電流を示す。
CC放電 :電流=1/5C、終止電圧=2.5V
電池特性の評価として、サイクル耐久性の評価を行った。
60℃に設定された恒温槽内に電池が配置された。以下の充電と放電との一巡が1サイクルとされ、200サイクルが実施された。充電および放電は、いずれも定電流方式(CC)とされた。
CC放電:電流=2C、終止電圧=2.5V
上記表1に示されるように、半値幅0.05のX線回折パターンにおけるピーク値aと、半値幅0.5のX線回折パターンにおけるピーク値bとの比b/aが0.05以上である実施例1〜5は、b/aが0.05未満である比較例1〜5と比較して、電池特性(サイクル耐久性)が優れていた。この結果から、黒鉛に加えてCコートSiまたはCコートSiOを含む負極を用いる場合、b/aが0.05以上である負極を用いて電池を製造することにより、優れた電池特性(サイクル耐久性)を有する電池が得られるものと考えられる。すなわち、黒鉛に加えてアモルファス炭素により被覆された珪素またはアモルファス炭素により被覆された酸化珪素を含む負極を用いた電池の性能を予測し得る、非水電解質二次電池の製造方法が提供されることが示された。
Claims (1)
- 非水電解質二次電池の製造方法であって、
黒鉛と、アモルファス炭素により被覆された珪素またはアモルファス炭素により被覆された酸化珪素とを含有する負極を準備する工程と、
前記負極をX線回折測定し、X線回折パターンを得る工程と、
前記X線回折パターンに基づき、前記負極を選別する工程と、
選別された負極を用い、非水電解質二次電池を製造する工程とを含み、
前記負極を選別する工程において、前記X線回折パターンを、半値幅0.05のX線回折パターンと半値幅0.5のX線回折パターンとに分離し、前記半値幅0.05のX線回折パターンにおけるピーク値aと、前記半値幅0.5のX線回折パターンにおけるピーク値bとの比b/aが0.05以上の負極を選別する、
非水電解質二次電池の製造方法。
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