JP2019090096A - 鋳鉄材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた摩擦特性を得ることができる鋳鉄材料を提供する。【解決手段】組成としてC及びFeを含む鋳鉄材料であり、組成として、更に、Crを質量%で1.0〜3.5%含む。この鋳鉄材料は、MoDTCなどの構成元素としてMoを含む添加剤が添加された潤滑油環境下で摺動する摺動部品に用いられる。鋳鉄材料に含まれるCrが、潤滑油に添加されたMoを含む添加剤の分解反応を促進し、低摩擦である二硫化モリブデンの被膜を形成させる。これにより、摩擦を低減することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、摩擦特性に優れた鋳鉄材料に関する。
鋳鉄は良好な耐摩耗性と耐焼付き性とを有することから、内燃機関の摺動部品などの摺動材料として幅広く使用されている。
例えば、特許文献1には、耐摩耗性を向上させたシリンダライナ用鋳鉄として、質量% で、C:3.0〜3.5%、Si:1.5〜2.5%、Mn:0.5〜1.0%、P:0.2〜0.5%、S:0.12%以下、Cr:0.1〜0.5%、B:0.09〜0.18%、Cu:0.4〜1.0%、Mo:0.1〜0.5%を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成とし、主としてパーライトからなる基地相と、基地相中にステダイトとボロン化合物からなる硬質相を面積率で14〜22%分散させるとともに、片状黒鉛を9〜15μmの平均黒鉛間隔となるように分散させた組織としたものが記載されている。このシリンダライナ用鋳鉄によれば、腐食減量を従来に比べて半減することができ、また、焼付き限界荷重を従来に比べて約1.5倍とすることができる。
また、例えば、特許文献2には、化学組成が、mass%でC:2.7〜3.3%、Si:0.2〜1.0%、Mn:0.4〜2.0%、Cr:18〜25%、Mo:0.5〜4%、Ni:0.5〜3%、N:0.2%未満を含み、残部がFeおよび不純物からなり、組織は30〜40面積%の晶出炭化物とこれを取り囲むマトリックスとからなり、マトリックスはマルテンサイトを主体とし、残留オーステナイトを一部含む焼き入れ組織を焼き戻した組織であり、マトリックス中に粒径が円相当直径で1μm以下の微細析出炭化物が分散し、その微細析出炭化物の全量が全組織に対して3.0〜14面積%とされる耐摩耗性高Cr鋳鉄が記載されている。この耐摩耗性高Cr鋳鉄によれば、摩耗減量を従来に比べて半減することができる。
また、例えば、特許文献3には、黒鉛が方向性を持たず無秩序で且つ均一に分布した存在形態を備えるA型黒鉛を含む片状黒鉛鋳鉄であって、質量%で、C:2.8〜4.0%、Si:1.2〜3.0%、Mn:1.1〜3.0%、P:0.01〜0.6%およびS:0.01〜0.30%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、かつ、Mn含有量のS含有量に対する比(Mn/S)が3〜300の範囲である化学組成を有するものが記載されている。この片状黒鉛鋳鉄によれば、引張強度を従来の1.2〜2倍程度に向上させることができ、かつ、良好な被削性も得ることができる。
また、例えば、特許文献4には、質量%で、C:2.4〜3.6%、Si:0.8%以上2.8%未満、Mn:1.1〜3.0%を含み、さらに、P:0.01〜0.6%、B:0.001〜0.2%を含有し、あるいはさらにS:0.01%超0.15%以下、Cu、Cr、Mo、Niのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で0.1〜6.0%、W、V、Nbのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で0.01〜5.0%、Sn:0.3%以下、Sb:0.3%以下のうちから選ばれた1種または2種を含有する組成と、さらに、炭化物が面積率で8%以下分散した組織とを有する片状黒鉛鋳鉄が記載されている。この片状黒鉛鋳鉄によれば、引張強度を従来の1.5倍程度に向上させることができる。
特開2006−206986号公報 特開2009−7597号公報 特開2013−117071号公報 特開2014−62318号公報
Ushioda etal, Effect of Low Viscosity Passenger Car Motor Oils on Fuel Economy Engine Tests, SAE international, 2013−01−2606
しかしながら、近年、エンジンオイルの撹拌抵抗を下げるために、エンジンオイルの低粘度化が進行しており、これにより高負荷の運転条件などで金属同士の直接接触が増え、摩擦が上昇し(例えば、非特許文献1参照)、また、焼き付きなどが生じてしまうという可能性がある。そこで、エンジンオイルに摩擦調整剤を添加して、摩擦の低下を図ることが行われている。従来、最も頻繁に使用されている摩擦調整剤として、MoDTC(モリブデンジチオカーバメートまたはジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン)が存在する。しかし、添加剤としてMo(モリブデン)を含む摩擦調整剤の作用メカニズムや、材料によって摩擦調整剤の効果が異なる理由について特定されていない。このため、これらのメカニズムを明らかにすることで、摩擦調整剤の効果を最大限発揮し、摩擦を低減することが望まれている。さらに、従来は、耐摩耗性などの特性を向上させるために硬さを高くしているものが多く、加工が難しく生産性に劣るという問題もあった。
本発明は、このような問題に基づきなされたものであり、優れた摩擦特性を得ることができる鋳鉄材料を提供することを目的とする。
本発明の鋳鉄材料は、組成としてC及びFeを含むものであって、組成として、Crを質量%で1.0〜3.5%含み、組織として、片状黒鉛を含み、Moを含む潤滑油環境下で摺動する摺動部品に用いられるものである。
本発明の鋳鉄材料によれば、Crを質量%で1.0%以上含むので、摺動により表面に露出した活性なCrが潤滑油に含まれる添加剤の分解反応を促進し、低摩擦である二硫化モリブデンの被膜を形成させることができる。よって、摩擦を低減することができ、かつ、摩耗も低減することができ、焼き付き等も抑制することができる。また、Crを質量%で3.5%以下とするようにしたので、必要以上に硬くなることを抑制することができ、容易に加工することができる。
また、組成として、Si、Cu及びNiからなる群のうちの少なくともSiを含み、それらの含有量は、質量%で、Siが2〜6.5%、Cuが0〜1.5%、Niが0〜1.5%とするようにしたので、適当な硬さとすることができ、容易に加工することができる。
更に、エンジンの摺動部品に用いるようにすれば、摩擦を低減することができ、燃費を向上させることができる。
本発明の一実施の形態に係る鋳鉄材料の組織の一例であり、片状黒鉛を含むものを示す光学顕微鏡組織写真である。 本発明の一実施の形態に係る鋳鉄材料の組織の他の一例であり、球状黒鉛を含むものを示す光学顕微鏡組織写真である。 本発明に係る鋳鉄材料を摩擦試験した後に、摩擦痕の断面構造の一例を示す透過型電子顕微鏡写真である。 図3の枠部の拡大図であり生成した二硫化モリブデンを示す透過型電子顕微鏡写真である。 実施例及び比較例の鋳鉄材料について、MoDTCを添加した潤滑油環境下における摩擦係数を比較して表す特性図である。 実施例及び比較例の鋳鉄材料について、MoDTCを添加した潤滑油環境下における摩擦係数を比較して表す他の特性図である。 実施例及び比較例の鋳鉄材料について、MoDTCを添加した潤滑油環境下における、鋳鉄材料の組成による、摩擦特性の違いを示した一覧表である。 実施例及び比較例の鋳鉄材料により、円弧上の断面を持つ試験片を作製し、MoDTCを添加した潤滑油環境下で、摩擦試験をした結果を示す一覧表である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1と図2は、本発明の一実施の形態に係る鋳鉄材料の組織の一例を示すものである。図1は黒鉛として片状黒鉛を含むものであり、図2は黒鉛として球状黒鉛を含むものである。この鋳鉄材料は、モリブデン(Mo)を含む潤滑油環境下で摺動する摺動部品に用いられるものであり、特に、エンジンの摺動部品に好ましく用いることができるものである。なお、Moを含む潤滑油というのは、構成元素としてMoを含む添加剤が添加された潤滑油を意味し、例えば、MoDTCなどの有機モリブデンが添加剤として添加された潤滑油を意味している。このように構成元素としてMoを含む添加剤は、例えば、摩擦調整剤として用いられている。
本実施の形態に係る鋳鉄材料は、組成として、炭素(C)及び鉄(Fe)を含み、更に、クロム(Cr)を含んでいる。Cは、母材のパーライト地を強化するとともに、黒鉛を晶出させて、摺動性や耐摩耗性及び耐焼き付き性を向上させるものである。Cの含有量は、例えば、質量%で、2.0〜6.5%が好ましい。Cの含有量が少なければ、片状黒鉛が晶出せず、加工性などに影響するためである。
Crは、潤滑油に添加されているMoDTCなどの構成元素としてMoを含む添加剤の分解反応を促進し、低摩擦である二硫化モリブデンの被膜を、より多く形成させるためのものである。二硫化モリブデンの被膜が形成されると、摩擦を低減することができ、かつ、摩耗も低減し、焼き付き等も抑制することができる。
CrがMoDTCなどの構成元素としてMoを含む添加剤を分解するメカニズムは次のように推定されている。まず、鋳鉄材料の表層に存在する酸化物層が摺動による摩擦で削られると、活性な金属(Fe及びCr)が露出する。また、潤滑油に含まれるMoDTCなどの添加剤は、熱により分解し、潤滑油中には、中間生成物である酸硫化モリブデン(MoS2−x)が存在している。金属のイオン化傾向は、Cr>Fe≒Moであるので、Feよりも酸化しやすいCrが潤滑油中に存在する酸硫化モリブデンから酸素を奪い、クロム酸化物となる。一方で、酸素を奪われた酸硫化モリブデンは二硫化モリブデン(MoS)となり、鋳鉄材料の上に被膜を形成する。なお、本実施の形態に係る鋳鉄材料について、MoDTCを添加した潤滑油環境下において摺動試験を行ったところ、試験後には鋳鉄材料の表面に図3のような反応膜を形成し、図4に示す通り、層状の二硫化モリブデンの被膜が形成されていることが確認された。
Crの含有量は、質量%で、1.0〜3.5%の範囲内が好ましい。1.0質量%未満では、Crにより二硫化モリブデンの被膜を形成する効果を十分に得ることができず、また、3.5質量%を超えると、鋳鉄材料が必要以上に硬くなり、容易に加工することが難しくなるからである。
また、本実施の形態に係る鋳鉄材料は、組成として、ケイ素(Si)、銅(Cu)及びニッケル(Ni)からなる群のうちの少なくともSiを含むことが好ましい。SiはCrが炭化物を形成するのを抑制する効果があり、硬くなるのを抑え加工を容易にするためのものである。Siの含有量は、質量%で、2〜6.5%とすることが好ましい。2質量%未満では硬くなりすぎる場合があり、6.5質量%を超えると脆くなり強度が失われる可能性があるからである。
Cu及びNiも、Siと同様にCrが炭化物を形成することを抑制する効果があるが、Cu及びNiは含んでいても含んでいなくてもよい。Cuの含有量は、質量%で、0〜1.5%とすることが好ましく、Niの含有量は、質量%で、0〜1.5%とすることが好ましい。この範囲内においてCrの炭化物形成を抑制し、硬くなりすぎず加工を容易にする効果を得ることができるからである。
なお、鋳鉄材料の硬さは、ブリネル硬さでHB200〜HB380の範囲内とすることが好ましい。HB380を超えてしまうと被削性が悪化し、加工が困難になるからである。
本実施の形態に係る鋳鉄材料の組織としては、母材がパーライト地よりなり、この母材中に、片状黒鉛または球状黒鉛と、晶出炭化物が分散している。また母材中にはCrが分散しており、これによりMoを含む摩擦調整剤の反応を促進し、二硫化モリブデンを形成することで、優れた摩擦特性を得ることができる。
この鋳鉄材料は、例えば、上述した組成の溶湯を、キュポラ、又は電気炉等の通常の溶製方法で溶製し、公知の鋳込み法で鋳造し凝固させることにより得ることができる。
このように本実施の形態によれば、Crを質量%で1.0%以上含むので、摺動により表面に露出した活性なCrが、潤滑油に含まれる摩擦調整剤の分解反応を促進し、二硫化モリブデンの被膜を形成させることができる。よって、摩擦を低減することができ、かつ、摩耗も低減することができ、焼き付き等も抑制することができる。また、Crを質量%で3.5%以下とするようにしたので、必要以上に硬くなることを抑制することができ、容易に加工することができる。
また、組成として、Si、Cu及びNiからなる群のうちの少なくともSiを含み、それらの含有量は、質量%で、Siが2〜6.5%、Cuが0〜1.5%、Niが0〜1.5%とするようにしたので、適当な硬さとすることができ、容易に加工することができる。
更に、エンジン部品または駆動部品の摺動部に用いるようにすれば、摩擦を低減することができ、燃費を向上させることができる。
(実施例1−1〜1−6、比較例1−1〜1−6)
質量%で、Cが2.6%、Crが2.6%、Siが4.4%、Cuが1.0%、残部がFe及び不純物からなる組成を有し、母材がパーライト地よりなり、この母材中に、片状黒鉛及び晶出炭化物が分散された組織を有する鋳鉄材料を作製した。得られた鋳鉄材料について、潤滑油環境下において、往復摺動型の摩擦試験を行った。潤滑油には、いずれもMoDTCを添加した試験油を用い、実施例1−1〜1−6で種類を変えた。相手材は軸受鋼(SUJ2)とした。荷重は80N、周波数は10Hz、温度は80℃とし、30分試験し安定した時の摩擦係数を測定した。
比較例1−1〜1−6として、Crを含まず、質量%でCが3.0%、Siが2.2%残部がFe及び不純物からなる組成を有し、母材がパーライト地よりなり、この母材中に、片状黒鉛及び晶出炭化物が分散された組織を有する鋳鉄材料を用い、本実施例と同様の摺動試験を行い、摩擦係数を測定した。潤滑油は、実施例1−1と比較例1−1、実施例1−2と比較例1−2、実施例1−3と比較例1−3、実施例1−4と比較例1−4、実施例1−5と比較例1−5、実施例1−6と比較例1−6で、それぞれ同一のものを用いた。
得られた結果を図5に示す。図5に示したように、本実施例によれば、いずれも、摩擦係数を低下させることができた。すなわち、組成としてCrを含む鋳鉄材料では、摩擦を低減できることが分かった。
(実施例2−1〜2−4、比較例2−1〜2−4)
質量%で、Cが3.2%、Crが2.5%、Siが4.9%、残部がFe及び不純物からなる組成を有し、母材がパーライト地よりなり、この母材中に、球状黒鉛及び晶出炭化物が分散された組織を有する鋳鉄材料を作製した。得られた鋳鉄材料について、潤滑油環境下において、往復摺動型の摩擦試験を行った。潤滑油には、いずれもMoDTCを添加した試験油を用い、実施例2−1〜2−4で種類を変えた。相手材は軸受鋼(SUJ2)とした。荷重は80N、周波数は10Hz、温度は80℃とし、30分試験し安定した時の摩擦係数を測定した。
比較例2−1〜2−4として、Crを含まず、質量%でCが3.5%、Siが2.4%、残部がFe及び不純物からなる組成を有し、母材がパーライト地よりなり、この母材中に、球状黒鉛及び晶出炭化物が分散された組織を有する鋳鉄材料を用い、本実施例と同様の摺動試験を行い、摩擦係数を測定した。潤滑油は、実施例2−1と比較例2−1、実施例2−2と比較例2−2、実施例2−3と比較例2−3、実施例2−4と比較例2−4で、それぞれ同一のものを用いた。
得られた結果を図6に示す。図6に示したように、本実施例によれば、いずれも、摩擦係数を低下させることができた。すなわち、組成としてCrを含む鋳鉄材料では、摩擦を低減できることが分かった。
(実施例3−1〜3−4、比較例3−1〜3−3)
Cr量、Si量、Ni量、Cu量が異なり、残部がFe及び不純物からなる組成を有する鋳鉄材料を作製した。得られた鋳鉄材料について、MoDTCを含む潤滑油環境下で摩擦試験を行った。摩擦試験はボールオンディスク型の試験を行い、相手材は軸受鋼(SUJ2)とした。荷重は10N、摺動速度は0.5m/s、温度は80℃であり、30分試験し安定した時の摩擦係数を測定した。
比較例として比較例3−1はCrを1.0%未満含むもの、比較例3−2及び3−3はCrを3.5%を超えて含むものである。実施例3−1及び3−2はCrを1.0%程度含むもの、実施例3−3及び3−4はCrを2.3〜2.55%程度含むものである。実施例3−1と3−2、及び3−3と3−4はそれぞれSi量及びCu量が異なるものである。
得られた結果を図7に示す。図7に示すとおり、Cr量の少ない、比較例3−1では摩擦係数が高いのに対し、実施例3−1〜3−4では摩擦係数が低く、半分以下になることが分かった。Cr量の多い比較例3−2及び3−3は、摩擦係数は低いものの、硬くなりすぎることが分かった。
(実施例4−1〜4−3、比較例4−1,4−2)
Cr量、Si量、Ni量、Cu量が異なり、残部がFe及び不純物からなる組成を有する鋳鉄材料により、円弧断面を持つ試験片を作製した。得られた試験片についてMoDTCを含む潤滑油環境下で摩擦試験を行った。荷重は80N、周波数は10Hz、温度は80℃とし、30分摩擦試験し安定した時の摩擦係数を測定した。
比較例4−1及び4−2としてCrを1.0%未満含むもの、実施例4−1〜4−3としてCr量を1.0〜3.5%含むものである。実施例4−1〜4−3はそれぞれSi量及びCu量が異なるものである。
得られた結果を図8に示す。図8に示す通りCr量が1.0%未満の比較例4−1及び4−2と比較して、Cr量が1.0〜3.5%の実施例4−1〜4−3では、摩擦係数が20%程度低くなることが分かった。このことから自動車用エンジンを想定し、ピストンリングを相手材として摺動するシリンダライナにおいても、本発明による鋳鉄材料は摩擦を低減することが明らかとなった。
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態では、鋳鉄の組成について具体的に説明したが、他の元素を含んでいてもよい。例えばMg、MnやS、Pなどである。
本発明は、相互に摺動する摺動面を有する一対の摺動部材と、該対向する摺動面間に介在する潤滑油と、を備えた摺動機構において、前記摺動面の少なくとも一方は、組成として炭素(C)及び鉄(Fe)を含み、さらにクロム(Cr)を質量%で1.0〜3.5%含み、組織として黒鉛を含む鋳鉄材料からなり、前記潤滑油は添加剤としてモリブデン(Mo)を含むことを特徴とする摺動機構、としても把握される。

Claims (5)

  1. 組成として炭素(C)及び鉄(Fe)を含む鋳鉄材料であって、
    組成として、クロム(Cr)を質量%で1.0〜3.5%含み、
    組織として、黒鉛を含み、
    添加剤としてモリブデン(Mo)を含む潤滑油環境下で摺動する摺動部品に用いられる
    ことを特徴とする鋳鉄材料。
  2. 組成として、ケイ素(Si)、銅(Cu)及びニッケル(Ni)からなる群のうちの少なくともSiを含み、それらの含有量は、質量%で、Siが2〜6.5%、Cuが0〜1.5%、Niが0〜1.5%であることを特徴とする請求項1記載の鋳鉄材料。
  3. ブリネル硬さがHB200〜HB380であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の鋳鉄材料。
  4. 摺動により、表面に二硫化モリブデンを含む被膜が形成されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1に記載の鋳鉄材料。
  5. エンジン部品及び駆動部品の摺動部に用いられることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1に記載の鋳鉄材料。
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