JP5122068B2 - Fe系耐摩耗摺動材料 - Google Patents

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Description

本発明は、建設機械用作業機連結装置のスラスト軸受や歯車減速装置、履帯転輪のフローティングシール等、潤滑性の悪い状況で摺動する摺動面に用いて好適なFe系耐摩耗摺動材料に関するものである。
建設機械の下転輪ローラアッセンブリや歯車減速装置に組み込まれるフローティングシールは、それら内部の潤滑油の漏れを防止するとともに内部への土砂の侵入を防止するものである。このため、そのシール摺動面を焼入れ処理によって高硬度なマルテンサイト組織としたり、硬質なセメンタイト、Cr炭化物、MC炭化物、MC炭化物を30体積%ほどに多量に晶出させるとともに焼入れ処理によって母相をマルテンサイト組織とすることによって、その耐焼付き性や耐摩耗性を改善したフローティングシール部材が多く製造されている。例えば、0.8重量%C低合金鋼、ニハード(Ni−Hard)鋳鉄、高炭素高Cr鋳鉄を用いたフローティングシール部材がその例である(例えば特許文献1参照)。
さらに、目的に応じては、前記シール摺動面に耐摩耗性材料を溶射したフローティングシール部材が使用されている。
特開昭51−59007号公報
減速機装置や転輪装置中の潤滑油を密封するフローティングシールは、その機構において、土砂中での籾摺り運動によって微細な土砂粒子がシール面に侵入しながら摩耗が進行するものであるとともに、密封する潤滑油によってそのシール面が潤滑されているものである。このため、耐摩耗性と耐焼付き性に優れ、最も汎用的に利用される高硬度な高炭素高Cr鋳鉄製のフローティングシールにおいても、それらを組み込む際のセット圧(押し付け力)が高くなるとその摺動面において顕著な焼割れ(ヒートクラック)、焼付き、異常摩耗を発生し、油漏れを引き起こす問題がある。
また、耐焼付き性に優れた冷間工具鋼や高速度鋼(SKH材料)等の各種工具鋼をフローティングシールに適用した場合においても、耐焼付き性、耐ヒートクラック性不足によるかじりが発生し易く、また耐摩耗性が十分でない問題があるとともに、極めて高価な鋼材であるために製品形状に仕上げるまでの材料歩留まりを考慮した時の材料費が高価になる問題がある。
さらに、近年のブルドーザ等の建設機械においては、より高速走行による作業効率の向上が要望され、フローティングシールの高速回転化によっても同様のヒートクラック、焼付き、異常摩耗を発生し、油漏れを引き起こす問題がある。
また、建設機械作業機の軸受装置のように、潤滑条件の厳しい高面圧下で低速摺動するラジアル軸受やスラスト軸受においても焼付き、異常摩耗、異音の発生が問題になるので、前記建設機械用減速装置、下転輪装置や軸受装置の摺動時における耐焼付き性の改善と異常摩耗の防止および摩耗寿命の延長化を図ることのできるFe系耐摩耗摺動材料が求められている。
本発明は上記のような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、耐焼付き性、耐摩耗性及び耐ヒートクラック性を改善できるFe系耐摩耗摺動材料を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明に係るFe系耐摩耗摺動材料は、0.15〜0.5重量%の濃度の炭素が固溶されたマルテンサイト母相を有し、
前記マルテンサイト母相中にCr、Mo、WおよびVそれぞれの特殊炭化物のうち一種以上が合計で10〜50体積%分散されていることを特徴とする。
また、本発明に係るFe系耐摩耗摺動材料において、6.5重量%以上のCr、3.5重量%以上のMoおよび3重量%以上のVのうち一種以上が含有され、前記マルテンサイト母相中にCr型、MC型およびMC型それぞれの特殊炭化物のうち一種以上が分散されていることが好ましい。
以上説明したように本発明によれば、耐焼付き性、耐摩耗性及び耐ヒートクラック性を改善できるFe系耐摩耗摺動材料を提供することができる。
発明を実施するための形態
本実施の形態においては、Fe系耐摩耗摺動材料の耐ヒートクラック性を改善するために、オーステナイト相から急冷されて形成されるマルテンサイト相の母相中に固溶する炭素濃度を0.15〜0.5重量%に抑制し、かつ、耐焼付き性と耐摩耗性を改善するために、少なくともCr、Mo、WおよびVそれぞれの特殊炭化物のうち一種以上を合計で10〜50体積%、指向性を持って分散させた組織を有するものである。
耐ヒートクラック性に優れたマルテンサイト相としては、靭性に優れ、かつ熱処理時の耐焼割れ性に優れる低炭素マルテンサイトを参考にし、また炭化物を分散させないで耐ヒートクラック性が要求される熱間工具鋼(SKD6、SKD7、SKD61、SKD62、SKD8、3Ni−3Mo鋼)等の含有炭素濃度を参考にして、本実施の形態においては、マルテンサイト母相中に固溶する上限の炭素量を0.5重量%とし、下限の炭素量を0.15重量%とする。さらに、耐土砂摩耗性を考慮した場合においては、そのマルテンサイト相の硬さがロックウエルC硬さ(HRC)50以上であることが好ましく、より安定した耐ヒートクラック性を確保するためには、マルテンサイト母相中に固溶する炭素濃度が0.2〜0.45重量%に調整されることがより好ましい。
また、上記特殊炭化物の分散量は10〜50体積%に規定したが、より具体的には、この分散炭化物の分散量の下限値は、例えば極めて耐摩耗性に優れた高速度鋼中の炭化物量が10体積%以上に調整されていることを参考にして、さらに、厳しい油摺動条件での耐焼付き性を向上させるとともに、土砂の侵入に対する耐摩耗性や耐焼付き性をより改善するために10体積%に設定されることが好ましい。また、より耐焼付き性を向上させるために硬質な炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物等をマルテンサイト中により多く分散させることが有効であり、例えば高炭素高Cr鋳鉄材において分散析出する炭化物量が50体積%であることから、上記特殊炭化物の分散量の上限値を50体積%とする。これ以上の炭化物を分散させた場合においては鋳造フローティングシール部材が脆くなり過ぎることが問題となることから、とりわけ耐摩耗性が必要なフローティングシールに適用するFe系耐摩耗摺動材料中の特殊炭化物の分散量を10〜50体積%に調整することがより好ましい。
また、上記マルテンサイト母相中に固溶する炭素の濃度範囲が得られ易く、かつより硬質な炭化物を得るために、本実施の形態によるFe系耐摩耗摺動材料は、少なくとも6.5重量%以上のCr、3.5重量%以上のMo、3重量%以上のVのうち一種以上を含有し、特殊炭化物としては経済的に安価なCr型炭化物、靭性に優れたMC型炭化物および極めて硬質なMC型炭化物のうち一種以上が分散されていることが好ましく、より経済的な観点からはCr型炭化物を含む二種以上が分散されていることがさらに好ましい。
フローティングシール用の耐摩耗摺動材料として良く使われている高炭素高Cr鋳鉄の代表的組成とSKD1、SKD2、SKD11等の高炭素高Cr系工具鋼の組成を表1に示す。さらに、図1に、これらの適正焼入れ温度900〜1000℃におけるFe−C−Cr三元系状態図にそのC、Cr組成をプロットして示している。これらからいずれの場合においても、0.5〜1.1重量%の炭素を固溶するマルテンサイト母相中にCr型炭化物が10〜40体積%分散する組織を示すことがわかり、これらの耐摩耗摺動材料が十分な耐ヒートクラック性を示さない。このことから、本実施の形態によるFe系耐摩耗摺動材料においては、少なくとも1.5〜4.5重量%のCおよび10〜40重量%のCrが含有され、かつ、式
0.143×(Cr重量%)−1.41≦C重量%≦0.167×(Cr重量%)−0.33
の関係に従って、10〜50体積%のCr型炭化物が、0.2〜0.45重量%の炭素を固溶するマルテンサイト相中に分散された組織からなり、さらに、Si,Mn,Ni,P,S,B,N,Mo,V,Ti,W,Co,Cu,Al等の合金元素のうち一種以上が必要に応じて含有されていることが好ましい。なお、より耐摩耗性を向上させるために、Cr型炭化物を20〜50体積%に調整することが好ましい。
Figure 0005122068
また、境界潤滑下の摺動面での発熱によって、摺動面のマルテンサイト相の硬さがHRC50以下に軟化することは、耐摩耗性、耐焼付き性の観点からも良くない。そこで、本実施の形態においては、600℃での焼戻しでHRC50以上、好ましくはHRC55以上を維持できるように、マルテンサイト母相中に0.5〜4重量%のMo、0.5〜4重量%のWおよび0.05〜0.6重量%のVのうち一種以上が含有されることが好ましい。マルテンサイト母相のMo濃度およびW濃度それぞれの最大値を4重量%とするのは、マルテンサイト母相の焼戻し軟化抵抗性を高めるためであり、焼入れ温度が900〜1000℃であることを考慮したためである。Mo濃度およびW濃度それぞれのより好ましい上限値は、最も効率的に焼戻し軟化抵抗性を高める2.5重量%であるが、マルテンサイト相中に分散するCr型炭化物へのMoの濃縮量を考慮して、4重量%以下としている。また、Mo濃度およびW濃度それぞれの下限値は、あえて限定されるものではないが、上記熱間工具鋼を参考にして、0.5重量%とするのが好ましく、より好ましくは1.5重量%である。
前記Mo、Wの場合と同様に、Vについて検討した場合、Vのマルテンサイト母相への最大固溶濃度が約0.6重量%であり、Cr型炭化物中に顕著に濃縮するために、Fe系耐摩耗摺動材料中においてはVを約3.5重量%まで、MC型炭化物が析出することなく添加できる。したがって、マルテンサイト母相中のVの下限濃度は、焼戻し軟化抵抗性が顕著に出現し始める0.05重量%とすることが好ましく、5〜40重量%のCr型炭化物が分散するFe系耐摩耗摺動材料を想定すると、0.5〜3重量%のVを添加量とすることが好ましい。
さらに、より優れた耐摩耗性を必要とするフローティングシールにFe系耐摩耗摺動材料を適用する場合、耐摩耗性を高める必要性から、本実施の形態によるFe系耐摩耗摺動材料においては、少なくとも2.25〜4.5重量%のC、6.5〜35重量%のCr、および総量が3〜8重量%の(V+Ti)のうち一種以上が含有され、かつ、式
0.143×(Cr重量%)−1.41+0.2×(V重量%−0.5+Ti重量%)≦(C重量%)≦0.167×(Cr重量%)−0.33+0.2×(V重量%−0.5+Ti重量%)
の関係に従って、固溶炭素量が0.2〜0.5重量%のマルテンサイト母相中にCr型炭化物とそのCr型炭化物よりも硬質なMC型炭化物を分散させることが好ましい。この場合、Fe系耐摩耗摺動材料の靭性を考慮して、10〜40体積%のCr型炭化物と5〜15体積%のMC型炭化物を総炭化物量で15〜50体積%析出分散させることが好ましく、さらに、Si,Mn,Ni,P,S,B,N,Mo,W,Co,Cu,Al等の合金元素のうち一種以上を含有させてもよい。
なお、本実施の形態においては、(V+Ti)添加によるMC型炭化物が最大15体積%析出分散することから、このFe系耐摩耗摺動材料においては、(V+Ti)添加量に対して、適正な炭素量として0.2×(V重量%−0.5+Ti重量%)を追加添加することが必要である。
さらに、高硬度なSKH2,SKH10,SKH54,SKH57等の高速度鋼は、少なくとも1200℃以上の焼入れ温度から焼入れ処理されることから、その標準焼入れ状態(焼入れ温度1200℃以上)においては、5〜12体積%のFeCの結晶構造を基本とするMC型炭化物と1〜9体積%のV,WCの構造を基本とするMC型炭化物がマルテンサイト母相中に析出分散されており、その総炭化物量が7〜12体積%であって、マルテンサイト母相中に固溶する炭素の濃度が0.5〜0.6重量%になるように設定されていることから、前記高炭素高Cr系工具鋼と同じく、耐ヒートクラック性と耐摩耗性が十分でないことは明らかである。
そこで、本実施の形態によるFe系耐摩耗摺動材料おいては、少なくともCを0.6〜1.9重量%含有し、Crを1〜7重量%含有し、Vを0〜3重量%含有し、Moを3.5重量%以上含有するとともに(Mo+0.5×W)を6〜25重量%含有し、かつ、式
0.05×(Mo重量%+0.5×W重量%)≦(C重量%)≦0.038×(Mo重量%+0.5×W重量%)+0.42
の関係に従って、0.2〜0.5重量%の炭素を固溶するマルテンサイト母相中に5〜40体積%のMC型炭化物と5体積%以下のMC型炭化物が分散した組織からなることが好ましく、さらに、Si,Mn,Ni,P,S,B,N,V,Ti,Co,Cu,Al等の合金元素のうち一種以上が必要に応じて含有されていることが好ましい。
前記Fe系耐摩耗摺動材料中に析出するMC型炭化物は、高速度鋼の主体となる炭化物であり、前記Cr型炭化物と比べて高温硬さに優れるとともに面心立方の結晶構造を持ち、靭性に優れ、さらにMo濃度、W濃度が極めて高く、摺動時の耐焼付き性を顕著に改善する特徴を有する。これらのことから、本実施の形態においても、MC型炭化物が主体となるようにして耐焼付き性の向上を図っている。また、より優れた耐摩耗性が必要とされるフローティングシールに適用する場合においては、MC型炭化物が20体積%以上となるように、(Mo+0.5×W)を8〜25重量%含有するように調整することがより好ましい。
なお、本実施の形態におけるマルテンサイト母相中に固溶する炭素量の調整方法としては、900〜1000℃のFe−C−Mo状態図(図2参照)およびFe−C−W状態図(図3参照)を参照しながら、Fe系耐摩耗摺動材料におけるMo、W、V添加量に対する炭素量を、式
0.05×(Mo重量%+0.5×W重量%)≦(C重量%)≦0.038×(Mo重量%+0.5×W重量%)+0.42
の関係で適正化して、マルテンサイト母相中に固溶する炭素量を0.2〜0.5重量%に調整することが好ましい。
また、このFe系耐摩耗摺動材料の土砂の侵入に対する耐摩耗性を高速度鋼に比べてより高めるためには、少なくともCを1.3〜3重量%含有し、Crを1〜7重量%含有し、Vを3〜8重量%含有し、Moを3.5重量%以上含有すると共に(Mo+0.5×W)を7〜25重量%含有し、かつ、式
0.05×(Mo重量%+0.5×W重量%)+0.2×(V重量%−0.5+Ti重量%)≦(C重量%)≦0.038×(Mo重量%+0.5×W重量%)+0.42+0.2×(V重量%−0.5+Ti重量%)
の関係に従って、0.2〜0.45重量%の炭素を固溶するマルテンサイト母相中に10〜40体積%のMC型炭化物と5〜15体積%のMC型炭化物が分散した組織からなり、さらに、Si,Mn,Ni,P,S,B,N,V,Ti,Co,Cu,Al等の合金元素のうち一種以上を含有するのが好ましい。より好ましくは、Moを7重量%以上含有させると共に(Mo+0.5×W)を10〜20重量%含有させることによって、(MC+MC)型炭化物を20〜40体積%に高め、従来の高速度鋼以上の耐摩耗性と耐焼付き性を持たせたFe系耐摩耗摺動材料とするのが良い。
前記のMo、Wを主体にしたFe系耐摩耗摺動材料は、前記のCr型炭化物を主体に分散させたFe系耐摩耗摺動材料に比べて経済的に好ましくない。したがって、本実施の形態においては、少なくともCが1.5〜3重量%含有され、Crが7〜25重量%含有され、(Mo+0.5×W)が6〜15重量%含有され、かつ、式
0.043×(Mo重量%+0.5×W重量%)+2×0.085×(Cr重量%−5)≦(C重量%)≦0.038×(Mo重量%+0.5×W重量%)+0.42+2×0.085×(Cr重量%−5)
の関係に従って、0.2〜0.5重量%の炭素を固溶するマルテンサイト母相中に、5〜25体積%のCr型炭化物と5〜25体積%のMC型炭化物が総炭化物量で10〜50体積%析出分散されることが好ましく、さらに、Si,Mn,Ni,P,S,B,N,V,Ti,Co,Cu,Al等の合金元素のうち一種以上が必要に応じて含有されていることが好ましい。なお、より耐摩耗性を高めるには、上記総炭化物量が20〜50体積%に調整されることがより好ましい。
さらに、上記のFe系耐摩耗摺動材料の耐摩耗性と靭性をより改善するために、本実施の形態によるFe系耐摩耗摺動材料においては、少なくとも1.5〜3.2重量%のC、7〜25重量%のCr、5〜15重量%の(Mo+0.5×W)および3〜8重量%の(V+Ti)のうち一種以上を含有し、かつ、式
0.043×(Mo重量%+0.5×W重量%)+2×0.085×(Cr重量%−5)+0.2×(V重量%−0.5+Ti重量%)≦(C重量%)≦0.038×(Mo重量%+0.5×W重量%)+0.42+2×0.085×(Cr重量%−5)+0.2×(V重量%−0.5+Ti重量%)
の関係に従って、0.2〜0.5重量%の炭素を固溶するマルテンサイト相中に5〜25体積%のCr型炭化物と5〜25体積%のMC型炭化物と5〜15体積%のMC型炭化物が総炭化物量で15〜50体積%析出分散されることが好ましく、さらに、Si,Mn,Ni,P,S,B,N,V,Ti,Co,Cu,Al等の合金元素のうち一種以上が含有されることが好ましい。これにより、高硬度なFe系耐摩耗摺動材料が得られる。
前記の実施の形態におけるFe系耐摩耗摺動材料中のPは、そのFe系耐摩耗摺動材料中に耐焼付き性を高めるCr,Mo,W,Vが富化された燐化合物(例えば、FeP,CrP,FeMoP,VP,FeTiP型)それぞれのうち一種以上を0.5〜10体積%分散させて、耐焼付き性を改善するために、本実施の形態によるFe系耐摩耗摺動材料においては、0.2〜1.5重量%のPを含有することが好ましい。また、0.2重量%のP添加はFe系耐摩耗摺動材料の鋳造時の湯回り性を顕著に改善する特徴があるが、Pの過剰な添加はFe系耐摩耗摺動材料の脆弱化をもたらすために、その上限添加量を1.5重量%とし、下限添加量を0.2重量%とした。
また、前記Fe系耐摩耗摺動材料の耐焼付き性を改善するためには、マルテンサイト母相の焼戻し軟化抵抗性を高めることが重要である。そこで、本実施の形態においては、少なくともSi,Al,Ni,Coのうち一種以上が2〜15重量%含有されることが好ましい。
Siは、マルテンサイト相に多く固溶し、マルテンサイト相の焼戻し軟化抵抗性を顕著に高める経済的な元素であることから、例えばSKD6,SKD61,SKD62等の炭化物を分散させないで使用する熱間工具鋼においては積極的に添加されており、その添加量は0.5〜3.5重量%が好ましい。Alは、前記工具鋼に添加されることは少ないが、Siと同様に顕著な焼戻し軟化抵抗性があることから、積極的に添加されることが望ましい。また、NiとCoは、Al、Si、Moとの共存において時効硬化性を出現させる元素であるとともに、とりわけCoはFeの磁気変態温度を顕著に高め、合金元素の拡散性を抑制してマルテンサイトの焼戻し軟化抵抗性を顕著に高めることから、積極的に添加されることが好ましいが、経済的な観点からその上限を10重量%とすることが好ましい。
さらに、Siは、Fe系耐摩耗摺動材料においては、焼入れ時のオーステナイト相中の炭素活量を顕著に高め、マルテンサイト母相中に固溶する炭素の濃度を0.1×Si重量%の関係で低減する作用があることから、耐ヒートクラック性の改善に有効であり、本実施の形態においては、少なくともSiを0.5〜3.5重量%含有し、Fe系耐摩耗摺動材料中の適正な炭素の濃度範囲を0.1×Si重量%の関係で高炭素側に調整されることが好ましい。
なお、Siは、顕著なαFe相を安定化する合金元素であり、Siの添加によって、A1,A3変態温度を顕著に高温度側に引上げる作用を示すために、摺動面における耐ヒートクラック性を高める作用を示すと考えられる。各種合金元素の単位重量%当りのA3変態温度変化(ΔA3=℃/重量%,Si:+40,Al:+70,Mo:+20,V:+40,W:+12,Mn:−30,Ni:−15,C:−220)からわかるように、Si以外にもAl,Mo,V,Wも耐ヒートクラック性を高めることがわかる。しかし、Siやこれらの合金元素が多く共存する場合においては、よりフェライト相が安定化し、適正な焼入れ処理が出来なくなるので、本実施の形態において、上限Si添加量は、熱力学的に計算されるFe−Si−C−X4元系状態図である図4(a),(b),(c)を参考にして、前記のCr型炭化物を主体的に分散させる実施の形態におけるマルテンサイト母相の組成(0.45重量%C−5重量%Cr)を検討した場合、3.5重量%Siの添加が可能であることから3.5重量%とした。また、前記のMC型炭化物を主体として分散させる実施の形態などにおけるマルテンサイト母相の組成(0.45重量%C−3重量%Mo−0.5重量%V)では2.5重量%とすることが好ましい(図4(a),(b),(c)参照)。さらに、Siは、マルテンサイト母相の焼戻し軟化抵抗性を顕著に改善する元素であって、その効果が明確に現れる0.5重量%のSiを下限添加量とすることが好ましい。
また、0.5〜3.5重量%のSiを添加する場合や、Mo,Wを多く添加する場合においては、その焼入れ温度の低温度化を図るために、オーステナイト相を安定化するNi,Mnを添加することによってA1,A3変態温度の低減を図ることが好ましく、1〜6重量%のNiおよび0.5〜2重量%のMnの少なくとも一方を添加することが好ましいことがわかる(図4(a),(b),(c)参照)。さらに、NiとAlが共存添加される場合においては、その金属間化合物の析出による時効硬化性が顕著になることと、靭性が顕著に改善されることから好ましいといえる。
さらに、Alを3〜15重量%含有し、FeAl規則変態性をもつマルテンサイト母相においては、極めて顕著な耐焼付き性の改善が認められることから、本実施の形態においては、このマルテンサイト母相を適用したFe系耐摩耗摺動材料を開発した。
さらに、耐ヒートクラック性を向上させるために、本実施の形態においては、前記Fe系耐摩耗摺動材料中に軟質なCu合金相を1〜10体積%分散させることが好ましい。これにより、摺動面における馴染み性を高め、さらに摺動中に局部的なオイルポケットが形成され易くなる。なお、Cu基合金としては、耐食性の観点からSi、Al、Niの一種以上が含有されて、その摺動特性が改善されているのが好ましい。
また、前記のFe系耐摩耗摺動材料は、高強度化を図るために、900〜1000℃からの焼入れ処理と150〜600℃での焼戻し処理が施された焼戻しマルテンサイト相であり、少なくとも残留オーステナイト相が30体積%以下含有されているのが好ましいが、摺動面での馴染み性を考慮した場合には、前記焼戻し温度を150〜450℃として、残留オーステナイト相を10〜30体積%含有させることがより好ましい。
また、歯車減速装置等に利用される大径のフローティングシール装置においては、そのシール面での摺動速度が速くなり、とりわけ耐焼付き性と耐ヒートクラック性に優れ、かつ圧環強度に優れたフローティングシールリングが必要とされる。本実施の形態のFe系耐摩耗摺動材料を使った鋳造フローティングシール部材にあっては、強度的な観点からは分散させる特殊炭化物量を20〜50体積%に調整することが好ましいが、鋳造時の冷却速度を高めて分散する炭化物が強い指向性を持ち、耐焼付き性を低下させないこと、Cu合金相をより細かく分散させるためには、例えば遠心鋳造法で製造された鋳造フローティングシールが好ましい。
さらに、より高強度化を図る上記フローティングシールとしては、少なくともその摺動面の表面層において、浸炭および浸炭浸窒処理の少なくとも一方を施して、前記の実施の形態のいずれかのFe系耐摩耗摺動材料に成分調整した浸炭フローティングシール部材が好ましい。またさらに、このような高強度高靭性な組織構造的特徴を持つ浸炭フローティングシール部材においては、浸炭によって析出させる特殊炭化物がより多く摺動面の表面層に20〜70体積%まで分散させることが可能となるなどの優位性がある。さらに、Fe系耐摩耗摺動材料はフローティングシール部材に用いられ、摺動面に浸炭および浸炭浸窒処理の少なくとも一方が施されることによって、少なくとも前記摺動面の表面層は、0.2〜0.5重量%の炭素が固溶されたマルテンサイト相中に前記特殊炭化物が20〜70体積%分散された組織を有することが好ましい。
また、製造コスト的な観点からも、上記浸炭処理前のFe系耐摩耗摺動素材は、軟質で、加工性に優れることから、鍛造、塑性加工、曲げ加工、溶接等の手段を組み合わせて、より安価に生産される場合が多いことが特徴的である。
次に、本発明の実施の形態について図面を参照してより詳細に説明する。
図5は、本発明の一実施の形態に係る転輪アッセンブリの要部構造を説明する図である。本実施の形態は、転輪アッセンブリにおけるフローティングシール装置に本発明が適用された例を示している。
本実施の形態に係る転輪アッセンブリ36は、転輪リテーナ49と、この転輪リテーナ49に支持される転輪シャフト50およびその転輪シャフト50に外嵌される転輪ブッシュ(鍔付ブッシュ)51を介して配される転輪ローラ52とが、互いに回転可能に連結された構造とされている。この転輪アッセンブリ36において、フローティングシール装置53は、シール面が相接するように配される一対のシールリング54,54と、各シールリング54に外嵌されるOリング55を備え、向き合った一対のシール面が、圧縮して取り付けられたOリング55の弾性力によって転輪シャフト50の軸方向に押し付けられ、適当な面圧で接しながら摺動し、外部からの水、土砂等の侵入と内部からの潤滑油の漏洩を防止するように構成されている。そして、一対のシールリング54,54のシール面は、少なくとも5〜45体積%の炭化物と、黒鉛およびCu合金粒子の少なくとも一方が硬質なマルテンサイト母相中に分散する組織に調整されている。
本実施の形態によれば、より耐焼付き性と耐ヒートクラック性に優れたフローティングシール装置を提供することができるが、強度的な観点からは分散させる特殊炭化物量を20〜50体積%に調整することがより好ましい。また、鋳造時の冷却速度を高めて分散する炭化物が強い指向性を持ち、耐焼付き性を低下させないこと、Cu合金相をより細かく分散させるために、例えば遠心鋳造法で製造することが好ましい。さらに、より高強度化を図るには、少なくともその摺動面の表面層に浸炭および浸炭浸窒処理の少なくとも一方を施して、C、Cr、V、W、Mo等の成分調整をした浸炭フローティングシール部材を用いるのが好ましい。このような高強度高靭性な組織構造的特徴を持つ浸炭フローティングシール部材においては、浸炭によって析出させる特殊炭化物がより多く摺動面の表面層に20〜70体積%まで分散させることが可能となるなどの優位性がある。
次に、本発明によるFe系耐摩耗摺動材料の具体的な実施例について、図面を参照しつつ説明する。
[実施例1]
(Fe系耐摩耗摺動材料の平衡組成調査)
溶製されるFe系耐摩耗摺動材料における平衡組成調査をX線マイクロアナライザーで分析するために、本実施例では、その材料中の組織を調整しやすい焼結合金を準備した。本実施例では、Fe−0.6重量%C−0.3重量%Si−0.45重量%Mn−15重量%Cr−3重量%Mo−1.2重量%V合金粉末と、Fe−0.6重量%C−0.3重量%Si−0.35重量%Mn−9重量%Cr−6重量%Mo−4重量%W−2重量%V合金粉末をベースにして、さらに、#350メッシュ以下のNi,Co,Si,FeAl,FeP粉末および6μm平均径の黒鉛粉末を調整して表2に示す3種類の焼結合金混合粉末を混合調整し、さらに、混合調整した焼結用混合粉末に3重量%のパラフィンワックスを添加したものを1トン/cmの圧力でプレス成形したA,B組成の成形体を1190℃で、C組成の成形体を1135℃でそれぞれ2時間真空焼結し、1000℃に炉冷した後に、400torrの窒素ガスで冷却焼入れを実施し、その焼結体試験片を切断研磨後に、X線マイクロアナライザー(EPMA:Electron Probe Microanalyzer)によってマルテンサイト母相とその母相に析出分散する炭化物中の各種合金元素濃度を調査した。その調査結果が表2に示されている。
Figure 0005122068
前記焼結合金A,BはCr濃度の高い15Cr−3Mo系合金に3重量%のCoと4重量%のNiを添加した合金であり、マルテンサイト母相とCr型炭化物のみが平衡するものであり、焼結合金CはMo,W濃度を高めて、マルテンサイト母相中にCr型炭化物とMC型炭化物が平衡するようにしたものである。
表2中の母相、MおよびMC欄はそれぞれの合金元素濃度を示しており、KMはCr型炭化物と母相間の合金元素Mの分配係数(Cr型炭化物中の合金元素重量%/母相中の合金元素重量%)、KMはMC型炭化物と母相間の合金元素の分配係数(MC型炭化物中の合金元素重量%/母相中の合金元素重量%)を示しているが、それら各合金元素の分配係数を比較することによって、各種合金元素の特徴が検討できる。
また、これらの結果を用いて、Cr型およびMC型炭化物中の合金元素濃度とそれと平衡する母相の中の合金元素濃度関係が図6、図7にそれぞれ示されている。各元素に関してはほぼ一定の比率で合金元素が分配されることおよび、焼結製Fe系耐摩耗摺動材料組成が異なっていた場合においても、分配係数はほぼ同じになることがわかる。
例えば、
(1)Si,AlはM型炭化物にほとんど固溶せずにほぼ全量がマルテンサイト母相中に濃縮し、マルテンサイト相の焼戻し軟化抵抗性を高めること、
(2)VはCr,Mo,Wよりもより多くM型炭化物へ濃縮し、Cr型炭化物の微細化を図るが、MC型炭化物へはあまり濃縮せず、MC型炭化物とマルテンサイト相からなる鋼材においてはMC型炭化物として析出し易く、マルテンサイト相の焼戻し軟化抵抗性を顕著に高めること、
(3)Mo,WはM型炭化物よりもMC型炭化物に顕著に濃縮すること、
(4)CrはCr型炭化物に顕著に濃縮するが、MC型炭化物へはほぼ濃縮しないこと、
(5)Ni,Coはいずれの炭化物よりもマルテンサイト母相中に濃縮すること等がその分配係数を用いることによって定量的にわかる。
前記各種合金元素の分配係数に基づいて、代表的なSKD,SKH工具鋼材の成分から、それら鋼材の標準焼入れ温度から焼入れたマルテンサイト母相組成と炭化物量を解析した結果が表3に示されている。組成については前記のX線マイクロアナライザーにより、また炭化物量については組織写真観察により求められる。SKD材料(SKD1,SKD2,SKD11,D7:焼入れ温度950℃)のマルテンサイト母相は、Cr:6〜7.5重量%、C:0.55〜0.75重量%に調整され、Cr型炭化物が20体積%以下分散した組織となっており、マルテンサイト相中の固溶炭素量が高いことから、例えば耐ヒートクラック性を配慮した熱間加工用工具鋼(例えば、SKD7,SKD6,SKD61,SKD62)と比べて十分でないことがわかる。また、SKH材料(SKH2,SKH9)においてもマルテンサイト相中の固溶炭素量が0.5〜0.55重量%と比較的高いことから、十分な耐ヒートクラック性が実現されないことがわかる。さらに、耐摩耗性に関しても、硬質な特殊炭化物量が少ないために、前記高炭素高Cr鋳鉄に比べて十分でないことがわかる。
Figure 0005122068
したがって、SKD工具鋼と同等以上の耐摩耗性を発揮させるための10体積%以上の炭化物を分散させながら、かつ熱間加工用工具鋼の耐ヒートクラック性を兼ね備えるFe系耐摩耗摺動材料を得る方法としては、少なくとも、マルテンサイト相中の固溶炭素量が0.5重量%以下であることが好ましく、さらに、マルテンサイト相中の固溶炭素量が0.4重量%以下であることがより好ましい。
またさらに、Cr型炭化物とマルテンサイト相を主体とするFe系焼結摺動材料においては、焼結接合後の焼入れ温度を900〜1000℃とした場合において、マルテンサイト相中の固溶炭素量を0.2〜0.5重量%にする条件として、900℃におけるFe−C−Cr三元状態図(図1)中の2本のTie−LineA,Bで挟まれるFe系焼結摺動材料中のCr重量%に対する適正な炭素量(C重量%)が次式で与えられることがわかる。
0.143×Cr重量%−1.41≦(C重量%)≦0.165×Cr重量%−0.41
また図1には、Cr型炭化物が10,20,30,40,50体積%分散する組成位置を破線で示しているが、Cr型炭化物を10体積%分散させる条件として(Cr重量%)≧10重量%、50体積%以下とする条件が(Cr重量%)≦40重量%であることがわかる。また、Fe系耐摩耗摺動材料としては、20〜50体積%以上のCr型炭化物が分散されるように設計されることが好ましい。
さらに、マルテンサイト相の焼戻し軟化抵抗性をより高めることは、境界潤滑下で、かつ土砂の侵入がある摺動面での耐焼付き性と耐摩耗性を顕著に改善することとなり、600℃の焼戻し処理によってもHRC50以上で、さらにHRC55以上に維持されることが極めて好ましいことであり、マルテンサイト相中の固溶炭素量が0.15〜0.5重量%である場合のマルテンサイト相中に固溶する各種合金元素による焼戻し軟化抵抗係数から、
26.2≦3×(Si重量%+Al重量%)+2.8×(Cr重量%)+11×(Mo重量%)+7.5×(W重量%)+25.7×(V重量%)
の関係を満足させることによって合金設計されることが好ましい。
したがって、図1に示されるようにマルテンサイト相中のCr重量%が平均的に約7重量%で、かつSiが0.3重量%程度含有されていることから、例えば、焼戻し軟化抵抗の不足分をMo単独で解消させるMoの最低添加量が0.5重量%であることがわかる。また、Moの最大固溶度が図2(Fe−C−Mo系状態図)から約4重量%(at1000℃)であり、さらに、前述の10〜40体積%のCr型炭化物に濃縮するMoを考慮すると、好ましいMo添加量は0.6〜6.5重量%であることがわかる。
また図3(Fe−C−W状態図)を参考にすると、Wについてもほぼ同じ議論ができ、Fe系耐摩耗摺動材料に対するMo,Wの具体的な添加量はほぼ0.6〜7重量%であるが、Mo,Wが最も効率よく焼戻し軟化抵抗性を高める2.5重量%までをマトリックス相の最大固溶量とすることによってMo,W添加量を4重量%以下に抑えることが経済的にも好ましい。
また、Vは前述のようにCr型炭化物に顕著に濃縮し、マルテンサイト相中に留まる量が極めて少なくなるため、マトリックス相の焼戻し軟化抵抗性を高める元素としては非効率である。VはCr型炭化物を微細化する作用を示すために、マルテンサイト相中にVの最大固溶量0.5重量%を固溶させた場合のFe系焼結摺動材料に対するV添加量は1.1〜3.9重量%(10〜40体積%Cr型炭化物)であり、Cr型炭化物を主体として分散させるFe系焼結摺動材料においては、3重量%以下に留めることが経済的にも好ましい。
C型炭化物が主体となり、さらにMC型炭化物が分散するSKH系焼結摺動材料のマルテンサイト相中の固溶炭素濃度に関しては、佐藤、西沢の報告(「金属学会報」2(1963)、P564、第3図 炭化物の固溶に伴う基質中の炭素濃度変化)を参考にして、そのマルテンサイト相中に固溶する炭素の濃度を0.4重量%以下に調整するための簡便な方法が焼結接合後の焼入れ温度を900〜1100℃の温度範囲に設定することであり、通常のSKH系高速度鋼における焼入れ温度が1200〜1350℃であることに比べ、著しく低温度側での焼入れ操作が本発明の基本の1つとなる。
さらにまた、上述のFe−C−Cr系状態図を使ったものと同様の検討が、図2と図3に示したFe−C−Mo,Fe−C−W系状態図に基づいて展開できる。MC型炭化物と平衡するマルテンサイト相の炭素固溶度が0.15,0.4重量%を通るTie−LineA,Bは、同図中に数値化して示した通りであって、Fe−C−Mo系とFe−C−W系のTie−Lineを比較すると、Fe−C−W系のTie−Lineの勾配はMoのそれの約1/2であること、MC型炭化物と平衡するマルテンサイト相中のMo,Wの重量%濃度がほぼ同じであることから、MoとWが共存添加された場合のMC型炭化物とマルテンサイト相の組成平衡関係が0.5×W重量%=Mo重量%として、Fe−C−Mo系状態図から読み取れることがわかり、前記Tie−LineA,Bから数値化されるFe系焼結摺動材料中の適正炭素濃度(C重量%)が、式
0.043×(Mo重量%+0.5×W重量%)≦(C重量%)≦0.038×(Mo重量%+0.5×W重量%)+0.42
で簡略的に記述できる。
また、このことから、Moを主体的に使用して、W添加量を極力抑えることがより経済的であること、さらに、Fe系焼結摺動材料の焼結性やマルテンサイト相の焼戻し軟化抵抗性を高める観点からもMoを主体として添加することが好ましく、Wを添加しなくてもよいことがわかる。
さらに、先のMo,W,Cr等の合金元素の分配係数KMから、MC型炭化物10〜40体積%に相当するMo,Wを(Mo重量%+0.5×W重量%):6〜20重量%と適正に求めることができることがわかる。
[実施例2]
(Fe系耐摩耗摺動材とその摺動特性評価)
本実施例では図8に示される形状の鍔付きスラスト軸受を用いて、図9に示される揺動試験機により、試験片(鍔付きスラスト軸受)の摺動面が向かい合うように設置し、揺動角を120°、揺動速度を2m/secとし、傾斜角2°の片当り状態で、荷重(図中P)を1トン毎に増加させ、各荷重に対する揺動回数1000サイクルを繰り返した後に荷重を増加させて揺動を繰り返す揺動試験を行い、ヒートクラックもしくは焼付きの発生する荷重により耐ヒートクラック性と耐焼付き性を評価した。比較鋼材としては、SUJ2,SKD6,SKD11,SKH9の標準焼入れ焼戻し鋼材とSCM420H材に表面炭素量が0.8重量%になるように930℃で浸炭焼入れ焼戻したスラスト軸受を用いた。
表4に示すFe系耐摩耗摺動材料は鍛造後に十分焼鈍した後、機械加工を施し、真空炉で960℃×2hr加熱、500torrのNガス冷却によって焼入れ、さらに、200℃で2hrの焼戻し、摺動面の仕上げ研削加工を施し、S50C炭素鋼の鍔部に取り付け、図9の試験片とした。表4中には、ヒートクラックもしくは焼付きの発生する荷重(ton)も示されている。
Figure 0005122068
No.1〜4の合金と比較1の結果比較から、マルテンサイト母相中に固溶させる炭素の濃度を0.2〜0.5重量%に調整することによって耐荷重性が顕著に改善されるとともに、Cr型炭化物を20体積%以上で増量させること、および、V添加によるMC型炭化物の析出によっても耐荷重性が改善されることがわかる。
なお、No.1とNo.5合金はマルテンサイト相中に固溶する炭素の濃度をほぼ同じにして、20体積%のCr型炭化物とMC型炭化物をそれぞれ分散させたものであり、MC型炭化物分散がその耐荷重性を良く改善することがわかる。
また、MC型炭化物を分散させたNo.5〜No.8合金の結果比較から、MC型炭化物とMC型炭化物の増加とともに、耐面圧性が改善されることがわかる。
No.9、No.10合金は、Cr型炭化物とMC型炭化物を混在させたものであり、比較2との結果比較から、マルテンサイト相中に固溶した炭素の濃度を0.2〜0.5重量%に調整することによって、耐荷重性が顕著に改善されること、および、No.1〜No.4合金との結果比較からCr型炭化物とMC型炭化物を同時に分散させることによって耐面圧性がより改善されることがわかる。
No.11〜No.17合金は、Si、Co、P、Al、Cu、(Al+Cu)、Niのそれぞれの添加作用を調べたものであって、それぞれ耐面圧性の改善が認められることがわかるが、とりわけ、Co、Al、(Al+Cu)の添加による耐面圧性の改善効果は大きなものであることがわかる。また、No.17合金のNi添加増量によって母相中の残留オーステナイト相が増大し、耐面圧性が向上することがわかる。
[実施例3]
(Fe系耐摩耗摺動材料のフローティングシール特性評価)
本実施例では、実施例2の表4に示した組成の合金を用いて、図10に示すフローティングシール素材を遠心鋳造法によって製造し、960℃に炉冷却した後に、30分間保持して400torrのNガス雰囲気下で焼入れ処理を施し、焼入れ後に200℃で2時間の焼戻し処理を施したものを、球面研削後、図中に示すシール面部をラップ加工して仕上げた。これを図11に示される摺動試験機(フローティングシールテスター)を用いて耐ヒートクラック性と耐焼付き性および耐摩耗性の調査を実施した。フローティングシールテスターは、作成した試験片を、シール面が相接するように配される一対のシールリングとする、フローティングシール装置を用いて、一方のシールリングと接するOリングを固定し、他方のシールリングと接するOリングに荷重及びシールリング中心軸周りの回転を与える。
なお、耐ヒートクラック性と耐焼付き性は、空気中において、シール荷重(線圧P=荷重/シール位置長さ)を2kgf/cmとした条件で、EO#30のエンジンオイルをフローティングシール装置内に封入し、回転速度(周速V)を変えながら、摺動抵抗が増大する回転速度を調査することによって求め、耐摩耗性は、SiOを約50重量%含有する水中において、線圧2kgf/cm、シール面での周速1m/secの条件で、同じくEO#30のエンジンオイルをフローティングシール装置内に封入し、500hr連続試験後のシール当たり位置の移動量(摩耗幅、mm)で評価し、表4の右欄に耐ヒートクラック性を示すPV値(P×V、単位:kgf/cm・m/sec)と摩耗幅として示した。
表4中に示した各合金のPV値はほぼ実施例2で評価した耐ヒートクラック限界荷重(耐荷重、ton)と同じ傾向を示し、マルテンサイト母相中の固溶炭素濃度を0.2〜0.5重量%に調整することによってその耐焼付き性が顕著に改善されることがわかる。
また、現状の建設機械のフローティングシールとして多く利用されている比較1、比較2の摩耗幅を基準にした場合においては、Cr型炭化物が約20体積%以上に分散される本発明合金が耐摩耗性の観点から十分にその性能を満足していることがわかり、さらに、Vを添加し、MC型炭化物を分散させた合金がより優れた耐摩耗性を示すことがわかる。この結果は、耐焼付き性の低い比較1,2合金が凝着摩耗性を強く示すことを明らかにしている。
Fe−C−Cr三元状態図(at1000℃)。 Fe−C−Mo三元状態図(at1000℃)。 Fe−C−W三元状態図(at1000℃)。 Fe−Si−C−X4元系状態図であり、(a)はFeSi系状態図γ/(α+γ)であり、(b)はFeSi状態図γ/(α+γ)であり、(c)はFe4.5Si状態図γ/(α+γ)。 転輪アッセンブリの要部構造説明図。 CrとγFe間の合金元素の分配を示す図であり、Cr型炭化物中の合金元素濃度とそれに平衡する母相中の合金元素濃度との関係を示すグラフ。 CとγFe母相間の合金元素の分配を示す図であり、MC型炭化物中の合金元素濃度とそれに平衡する母相中の合金元素濃度との関係を示すグラフ。 鍔付きスラスト軸受の試験片形状を示す断面図。 (a),(b)は揺動試験機の説明図。 フローティングシールの形状を示す断面図。 フローティングシールテスターの概略図。
符号の説明
36 転輪アッセンブリ
51 転輪ブッシュ
53 フローティングシール装置

Claims (11)

  1. Cが1.5〜4.5質量%含有され、(Si+Ni)が2〜15質量%含有され、Mnが0.5〜2質量%含有され、Crが10〜40質量%含有され、Moが0.6〜6.5質量%含有され、Vが3質量%以下含有され、残部がFe及び不可避的不純物からなり、
    マルテンサイト母相を有し、
    下記式の関係に従って、前記マルテンサイト母相に0.2〜0.45質量%の炭素が固溶され、10〜50体積%のCr型炭化物が前記マルテンサイト母相中に分散され、
    前記マルテンサイト母相中にCr、Mo、WおよびVそれぞれの特殊炭化物のうち一種以上が合計で10〜50体積%分散されていることを特徴とするFe系耐摩耗摺動材料。
    0.143×(Cr質量%)−1.41≦C質量%≦0.167×(Cr質量%)−0.33
  2. 請求項1において、3.5質量%以上のMoが含有され、前記マルテンサイト母相中にMC型およびMC型それぞれの特殊炭化物のうち一種以上が分散されていることを特徴とするFe系耐摩耗摺動材料。
  3. 請求項1又は2において、前記マルテンサイト母相中に0.5〜4質量%のMo、0.5〜4質量%のWおよび0.05〜0.6質量%のVのうち一種以上が含有されることを特徴とするFe系耐摩耗摺動材料。
  4. 請求項において、Pが0.2〜1.5質量%含有され、FeP,CrP,FeMoP,VP,FeTiP型それぞれの燐化物のうち一種以上が0.5〜10体積%分散されていることを特徴とするFe系耐摩耗摺動材料。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項において、Si,Al,Ni,Coのうち一種以上が2〜15質量%含有されることを特徴とするFe系耐摩耗摺動材料。
  6. 請求項5において、前記Siは0.5〜3.5質量%含有されることを特徴とするFe系耐摩耗摺動材料。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一項において、前記マルテンサイト母相は、Alが3〜15質量%含有され、規則変態性を有することを特徴とするFe系耐摩耗摺動材料。
  8. 請求項1乃至7のいずれか一項において、Cu合金相が1〜10体積%分散されていることを特徴とするFe系耐摩耗摺動材料。
  9. 請求項1乃至8のいずれか一項において、前記マルテンサイト母相は、900〜1000℃からの焼入れ処理と150〜450℃での焼戻し処理が施された焼戻しマルテンサイト相であり、前記マルテンサイト母相には残留オーステナイト相が10〜30体積%含有されていることを特徴とするFe系耐摩耗摺動材料。
  10. 請求項1乃至8のいずれか一項において、前記Fe系耐摩耗摺動材料は鋳造フローティングシール部材に用いられ、前記特殊炭化物の分散量が20〜50体積%であることを特徴とするFe系耐摩耗摺動材料。
  11. 請求項1乃至8のいずれか一項において、前記Fe系耐摩耗摺動材料はフローティングシール部材に用いられ、摺動面に浸炭および浸炭浸窒処理の少なくとも一方が施されることによって、少なくとも前記摺動面の表面層は、0.2〜0.5質量%の炭素が固溶されたマルテンサイト相中に前記特殊炭化物が20〜70体積%分散された組織を有することを特徴とするFe系耐摩耗摺動材料。
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