JP2019089977A - ポリエステル樹脂組成物及びブロー成形品 - Google Patents

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Wataru Kajitani
亘 梶谷
小野 雅人
Masato Ono
雅人 小野
大 岩崎
Dai Iwasaki
大 岩崎
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Abstract

【課題】ダイレクトブロー成形時にドローダウンや結晶化による白化の問題が生じることなく、熱安定性にも優れており、色調、透明性に優れたダイレクトブロー成形品を生産性よく得ることができるポリエステル樹脂組成物を提供する。【解決手段】エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし、イソフタル酸を共重合成分として2〜20モル%含有するポリエステル樹脂を主成分とする樹脂組成物であって、樹脂組成物中にホスファイト系酸化防止剤を0.01〜2.0質量%含有し、極限粘度が0.6〜1.5、メルトマスフローレート(MFR)が1.0〜3.0g/10minであるポリエステル樹脂組成物。グリコール成分の80モル%以上、好ましくは85モル%以上がエチレングリコールであることが好ましい。ポリエステル樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステル樹脂中に特定の化合物を含有するポリエステル樹脂組成物であって、色調、透明性に優れダイレクトブロー成形品を生産性よく得ることができるポリエステル樹脂組成物に関するものである。
ポリエチレンテレフタレート(PET)は、機械的特性、化学的安定性、透明性等に優れ、かつ、安価であり、各種のシート、フィルム、容器等として幅広く用いられており、特に昨今では、炭酸飲料、果汁飲料、液体調味料、食用油、酒、ワイン用等の中空容器(ボトル)用途の伸びが著しい。しかも、塩化ビニル樹脂製中空成形品におけるような残留モノマーや有害添加剤の心配が少なく、衛生性及び安全性が高い点から、従来の塩化ビニル樹脂などからなるボトルからの置き換えも進んでいる。
一般に、プラスチック製のボトルなどを製造するにあたっては、成形の容易性、高生産性、成形機械や金型などの設備費が比較的安くてすむなどの点から、溶融可塑化した樹脂をダイオリフィスを通して押出して円筒状のパリソンを形成し、これを金型に挟んで内部に空気を吹き込むいわゆるダイレクトブロー成形法が採用されている。そして、このダイレクトブロー成形による場合は、成形を円滑に行うために、溶融状態で押出されたパリソンが吹き込み成形時にドローダウンするのを回避する必要があり、そのため、使用樹脂に高い溶融粘度が要求される。したがって、高い溶融粘度を有する樹脂として、塩化ビニル樹脂やポリオレフィン樹脂などがダイレクトブロー成形においては広く用いられている。
ダイレクトブロー成形品においても塩化ビニル樹脂からポリエステル樹脂への置き換えが検討されているが、ポリエステル樹脂は、一般にダイレクトブロー成形に適する高い溶融粘度を有していない。このため、押出されたパリソンが吹き込み成形時にドローダウンし、吹き込み成形が行えないという問題があり、また、ブロー時に結晶化が起こりやすいため、成形が可能であっても白化が生じ、透明性が不十分になるという問題があった。
透明性を向上させるために、ポリエチレンテレフタレートに他のモノマー成分を共重合したポリエステル樹脂が提案されている。これにより結晶化は抑制できるが、それだけでは溶融粘度を上昇させることができない。そこで、3官能以上の多価カルボン酸/多価アルコールによる架橋の手段により高粘度化させ、ドローダウンの問題を解決する方法が提案されてきた(例えば特許文献1参照)。しかしながら、このような架橋の手段により高粘度化させると、成形性は向上するものの、多価カルボン酸や多価アルコールの量が多い場合は、ゲル化しやすく、熱安定性に劣り、得られる成形品は色調や透明性に劣るという問題があった。
ドローダウンの問題を解決する方法として(例えば特許文献2参照)ポリエステル樹脂中に、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタンを0.1〜1.0質量%添加する方法が提案されてきたが、ポリエステルの溶融重合時に重合缶内の発泡による液面上昇が大きくなるという問題があり、長期に渡る連続生産中に重合缶内上部に熱劣化物が蓄積し、これらが溶融重合時の発泡による液面上昇で掻き出されるとポリエステル樹脂中に熱劣化物がコンタミネーションする問題があった。このような熱劣化物のコンタミネーションが生じると、得られるポリエステル樹脂の品位が劣る結果となり、得られるブロー成型品は外観が劣るものとなったり、耐衝撃性に劣るものとなるという問題があった。
特許第3173753号公報 特開2012−224836号公報
本発明は、上記の問題点を解決し、ダイレクトブロー成形時にドローダウンや結晶化による白化の問題が生じることなく、熱安定性にも優れており、色調、透明性、ポリエステルの溶融重合時の熱劣化異物削減に優れたダイレクトブロー成形品を生産性よく得ることができるポリエステル樹脂組成物を提供しようとするものであり、また、本発明の樹脂組成物からなるダイレクトブロー成形品を提供しようとするものである。
本発明者等は、上記課題を解決するために、鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし、イソフタル酸を共重合成分として2〜20モル%含有するポリエステル樹脂を主成分とする樹脂組成物であって、樹脂組成物中にホスファイト系酸化防止剤を0.01〜2.0質量%含有し、極限粘度が0.6〜1.5、メルトマスフローレート(MFR)が1.0〜3.0g/10minであることを特徴とするポリエステル樹脂組成物及び該樹脂組成物を用いて形成されてなるブロー成形品を要旨とするものである。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、特定の組成からなるポリエステルを用い、かつ特定の化合物を含有しており、ダイレクトブロー成形用に適した極限粘度、メルトマスフローレート(MFR)を有するものであるため、ダイレクトブロー成形時にドローダウンや結晶化による白化の問題が生じることなく、熱安定性にも優れており、色調、透明性に優れた熱劣化物が少ない高品位のダイレクトブロー成形品を生産性よく得ることができる。
そして、本発明のブロー成形品は、本発明のポリエステル樹脂組成物から得られるものであるため、色調、透明性に優れており、種々の用途に用いることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリエステル樹脂組成物におけるポリエステル樹脂は、酸成分の50〜95モル%がテレフタル酸、2〜20モル%がイソフタル酸であることが必要である。つまりテレフタル酸を主成分とし、イソフタル酸を共重合成分とするものである。イソフタル酸の共重合量は中でも3〜18モル%であることが好ましく、さらには4〜15モル%であることが好ましい。イソフタル酸を共重合することにより、ポリエステル樹脂の結晶化速度をダイレクトブロー成形に適したものに調整することができ、ダイレクトブロー成形時の結晶化による白化を防ぐことができる。
イソフタル酸の共重合量が2モル%未満であると、樹脂組成物の結晶化速度が速いものとなるため、ダイレクトブロー成形した際に、成形品が結晶化して白化し、透明性に劣るものとなる。一方、イソフタル酸の共重合量が20モル%を超えると、樹脂組成物が非晶性のものとなるため、高温での乾燥や固相重合が困難となりやすい、あるいは、高温乾燥時や固相重合工程においてブロッキングが起こりやすくなる。
テレフタル酸とイソフタル酸以外のジカルボン酸成分としては、フタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、無水フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸等が挙げられ、これらを2種類以上併用してもよく、これらの酸のエステル形成性誘導体を使用してもよい。
酸成分中のテレフタル酸の割合は50〜95モル%であり、中でもテレフタル酸の割合
は60〜90モル%であることが好ましい。テレフタル酸の割合が50モル%未満であると、樹脂組成物の結晶性が低下し、非晶性のものとなりやすい。一方、テレフタル酸の割合が95モル%を超えると、イソフタル酸の共重合量が少なくなるため、結晶化速度を調整することが困難となり、ブロー成形時の結晶化による白化を防ぐ効果に乏しいものとなる。
一方、ポリエステル樹脂中のグリコール成分の80モル%以上がエチレングリコールであり、中でもグリコール成分の85モル%以上がエチレングリコールであることが好ましい。エチレングリコール以外のグリコール成分としては、例えば、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサメチレンジオール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ダイマージオール、ビスフェノールA又はビスフェノールSのエチレンオキシド付加体等を用いることができる。
グリコール成分のエチレングリコールの割合が80モル%未満であると、樹脂組成物の結晶性が低下し、非晶性のものとなりやすいため、好ましくない。
そして、本発明の樹脂組成物は、上記のようなポリエステル樹脂中に、ホスファイト系酸化防止剤を0.01〜2.0質量%含有するものであり、中でも0.02〜1.0質量%含有することが好ましい。ホスファイト系酸化防止剤は、ポリエステル樹脂の重合反応工程中に添加することが好ましい。重合反応工程中に添加することで、該化合物の一部がポリエステル樹脂中に共重合される。これにより、ポリエステル樹脂中に分子鎖の絡み合いが生じ、架橋に似た状態が生じるものと想定され、ポリエステル樹脂の溶融粘度が高くなるとともに、メルトマスフローレート(MFR)が本発明で規定する範囲を満足するものとなる。
ホスファイト系酸化防止剤としては、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが好ましく、例えばアデカ社製アデカスタブ PEP−36などを用いることができる。
また、本発明の樹脂組成物中に、ホスファイト系酸化防止剤を含有することによって、溶融重合時の発泡による液面上昇を抑えることで重合缶上部の焼けにより生成する熱劣化物のコンタミネーションを抑えることが可能となり、樹脂組成物の熱安定性が向上し、得られる成形体は、色調や透明性に優れたものとなる。
ホスファイト系酸化防止剤の含有量が0.01質量%未満では、上記したような分子鎖の絡みが生じた樹脂組成物とならないため、樹脂組成物のメルトマスフローレート(MFR)が大きいものとなり、ダイレクトブロー成形時のパリソンのドローダウンを防ぐことができない。また、樹脂組成物の溶融粘度を高くすることも困難となる。さらに、樹脂組成物の熱安定性が向上せず、得られる成形体は耐熱性、色調や透明性に劣ったものとなる。
一方、含有量が2.0質量%を超えると、樹脂組成物のメルトマスフローレート(MFR)が小さくなり、成形時に押出しダイ出口での樹脂組成物の膨張が大きくなりすぎ、得られる成形品は表面が荒れて光沢感が損なわれたものとなる。また、樹脂組成物の溶融粘度が高くなりすぎ、成形時に成形温度を上げる必要があり、得られる成形品の色調が悪くなる。さらに、熱安定性を向上させる効果は飽和し、コスト的に不利となる。
次に、本発明のポリエステル樹脂組成物中には、ゲルマニウム化合物が、ポリエステル樹脂の酸成分1モルに対し1×10−5モル〜5.0×10−4モル含有されており、中でも1.5×10−4モル〜4.0×10−4含有されていることが好ましい。
ゲルマニウム化合物はポリエステル樹脂を得る際に重合触媒として使用されるものであり、ゲルマニウム化合物の含有量が1.0×10−5モル未満であると、目標の重合度のポリエステル樹脂が得られない、あるいは、重合反応において重合時間が長くなり、その結果、得られるポリエステル樹脂の色調が悪くなる。一方、5.0×10−4モルを超えても、重合触媒としての効果は飽和し、コスト的に不利となる。
ゲルマニウム化合物としては、二酸化ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラエトキシド等が挙げられ、重合触媒活性、得られるポリエステル樹脂の物性及びコストの点から、二酸化ゲルマニウムが好ましい。
また、使用する重合触媒は、二酸化ゲルマニウム以外の他の重合触媒2種類以上を併用使用することもできる。
さらに、本発明のポリエステル樹脂組成物中には、コバルト化合物が含有されていることが好ましい。両化合物を含有することによって、より色調に優れた樹脂組成物とすることができ、より色調に優れたダイレクトブロー成形品を得ることが可能となる。コバルト化合物は、ポリエステル樹脂の酸成分1モルに対し1×10−5モル〜2.0×10−4モル含有されていることが好ましく、中でも3×10−5モル〜1.5×10−4モル含有されていることが好ましい。
コバルト化合物の含有量が1×10−5モル未満であると、ポリエステル樹脂組成物の色調改良効果が小さく、一方、2.0×10−4モルを超えると、ポリエステルの透明性が悪くなり、経時安定性も悪くなるため、好ましくない。
コバルト化合物は重合触媒として使用されることが好ましく、具体的には、酢酸コバルト、蟻酸コバルト、酸化コバルト、塩化コバルト等が挙げられる。中でも、重合触媒活性や得られるポリエステル樹脂組成物の物性及びコストの点から、酢酸コバルトが好ましい。
そして、本発明のポリエステル樹脂組成物は、極限粘度(IV)が、0.6〜1.5であることが必要であり、中でも0.8〜1.3であることが好ましい。なお、極限粘度(IV)は、フェノールと四塩化エタンとの等質量混合物を溶媒として、温度20℃で測定するものである。
極限粘度が0.6未満の場合は、樹脂組成物の粘度が低いため、メルトマスフローレート(MFR)は大きくなり、ダイレクトブロー成形時にパリソンのドローダウンも大きくなり、成形が困難になる。一方、極限粘度が1.5を超える場合は、成形温度を上げる必要があり、得られる成形品の色調や透明性が悪くなる。また、メルトマスフローレート(MFR)が小さくなるため好ましくない。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、メルトマスフローレートが1.0〜3.0g/10minであることが必要であり、ダイレクトブロー成形性を考慮した場合、1.5〜2.5であることがより好ましい。本発明におけるメルトマスフローレート(MFR)とは、東洋精機製作所製メルトインデグサF−01を用いてISO1133に準拠し、荷重2.16kg、温度270℃で測定した値であり、この値が大きいほど押出しダイ出口でポリエステル樹脂組成物の膨張が大きく流動性が低いことを意味する。この値が小さければ押出しダイ出口での膨張が小さく流動性が高いことを意味する。
前記したように、メルトマスフローレート(MFR)を本発明の範囲内のものとするには、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトを0.01〜2.0質量%含有していることが重要である。つまり、極限粘度が上記範囲内であることだけでは達成できず、樹脂組成物中に分子鎖の絡み合いが生じ、架橋に似た状態が生じることにより、上記範囲内のメルトマスフローレート(MFR)とすることができる。
メルトマスフローレート(MFR)が3.0を超える場合は、ダイレクトブロー成形において、押出しダイ出口での膨張が小さくなるため、成形性が悪くなり、得られる成形品は厚さ斑が生じ、品位の低下したものとなる。一方、メルトマスフローレート(MFR)が1.0未満の場合は、押出しダイ出口での膨張が大きくなるため、押出し機出口において樹脂組成物と金属(金型)との擦れが生じ、得られる成形品は表面が荒れて光沢感や透明性に劣るものとなる。
また、本発明のポリエステル樹脂組成物は、さらなる色調改良やポリエステルの熱安定化の目的で、リン化合物を含有していてもよい。コストや得られるポリエステル樹脂組成物の色調の点から、中でもリン化合物としてはリン酸、亜リン酸、あるいはリン酸エステルが好ましい。
次に、本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方法について説明する。本発明におけるポリエステル樹脂組成物は、エステル化反応、溶融重合反応及び固相重合反応工程を経て得られるものであることが好ましい。エステル化反応と溶融重合反応のみでは、目標の極限粘度のポリエステル樹脂組成物を得ることが困難となる。得られたとしても、溶融重合反応の反応時間が長くなり、得られるポリエステル樹脂組成物は色調が悪いものとなる。
具体的には、例えば、次のような方法で製造することができる。
酸成分としてテレフタル酸あるいはそのエステル形成性誘導体、グリコール成分としてエチレングリコールを所定の割合でエステル化反応器に仕込み、加圧下、160〜280℃の温度でエステル化反応を行った後、反応生成物を重合反応器に移し、イソフタル酸とエチレングリコールの反応溶液、またはイソフタル酸とエチレングリコールの分散液、重合触媒としてのゲルマニウム化合物、必要に応じてコバルト化合物とビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトを添加し、通常1hPa以下の減圧下で240〜290℃、好ましくは250〜280℃の温度で溶融重合反応を行う。ここで得られる共重合ポリエステル(プレポリマー)の極限粘度は、0.5〜0.8の範囲であることが好ましい。
続いて、溶融重合反応で得られたプレポリマーを用いて固相重合反応を行うことにより、目標の極限粘度のポリエステル樹脂組成物を得る。固相重合は、あらかじめ、プレポリマーを乾燥、結晶化させた後、通常、減圧下あるいは窒素などの不活性ガス流通下にて、ポリエステル樹脂の融点よりも20〜30℃低い温度で3時間〜50時間、反応器内にて反応させることにより行う。
なお、本発明のポリエステル樹脂組成物は、上記したように、特にダイレクトブロー成
形に適したものであるが、射出成形や延伸法を採用しても、色調、透明性に優れた成形品(射出成形体、シート、フィルム等)を得ることができる。
次に、本発明のダイレクトブロー成形品は、本発明のポリエステル樹脂組成物からなるものである。本発明のダイレクトブロー成形品は、汎用のダイレクトブロー成形機を用いて製造することが可能であり、成形機のシリンダー各部及びノズルの温度は、240〜290℃の範囲とするのが好ましい。
次に、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。なお、実施例中の各種の特性値等の測定、評価方法は次の通りである。
(a)極限粘度
前記と同様の方法で測定した。
(b)酸化防止剤
共重合量は、得られた樹脂組成物中のビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトの含有量は、リガク社製蛍光X線分析装置3270を用いてビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト中のリン原子の含有量より質量%を特定した。
(c)樹脂組成
得られた樹脂組成物を、重水素化ヘキサフルオロイソプロパノールと重水素化クロロホルムとの容量比が1/20の混合溶媒に溶解させ、日本電子社製LA−400型NMR装置にて1H−NMRを測定し、得られたチャートの各成分のプロトンのピークの積分強度から、共重合量を求めた。
(c)ゲルマニウム化合物、コバルト化合物の含有量
得られた樹脂組成物を、リガク社製蛍光X線分析装置3270を用いて測定した。
(d)熱劣化異物点数
溶融重合後に造粒にて得られたペレットを造粒開始5分目に1kgサンプル採取を行い、目視判定にて全数検査を行い、ペレット中の異物の大きさにより下記の点数をつけて評価した。なお、生産1回目、50回目、100回目の3回において全数検査を行った。
異物の直径が5mm以上のもの 10点/個
異物の直径が5mm未満、1mm以上のもの 3点/個
異物の直径が1mm未満のもの 1点/個
10点以上を不合格とした。
(e)メルトマスフローレート(MFR)
前記と同様の方法で測定した。
(f)成形性
得られた成形品(サンプル数20個)の胴部の厚さを測定し、最厚部と最薄部の厚さの差が0.10mmまでのものを合格とし、合格のサンプル数が18個以上である場合は○、合格のサンプル数が17個以下である場合は×とした。なお、最厚部と最薄部の厚さの差が0.10mmを満足していても、成形容器に結晶化が起こり、容器に白化が見られたものや容器表面が荒れたものの場合は、不合格とした。
(g)色調
得られた成形品から切り出してサンプル片(20個)を作成し、日本電色工業社製の色差計ND−Σ80型を用いて、サンプル片の色調を測定した。色調の判定はハンターのLab表色計で行い、b値を測定し、n数20の平均値とした。なお、b値が2.0以下を色調良好であると判定した。
(h)ヘーズ
得られた成形品から切り出してサンプル片(20個)を作成し、濁度を日本電色工業社製の濁度計MODEL 1001DPで測定し(空気:ヘーズ0%)、n数20の平均値とした。この値が小さいほど透明性が良好であり、5%以下であれば透明性に優れていると判定した。
実施例1
エステル化反応器に、テレフタル酸(TPA)とエチレングリコール(EG)のスラリー(TPA/EGモル比=1/1.6)を供給し、温度250℃、圧力50hPaの条件で反応させ、エステル化反応率95%の反応生成物(数平均重合度:5)を得た。別のエステル化反応缶に、イソフタル酸(IPA)とエチレングリコールとからなるスラリー(IPA/EGモル比=1/3.1)を仕込み、温度200℃で3時間エステル化反応を行い、イソフタル酸とエチレングリコールの反応溶液を得た。
TPAとEGの反応生成物3563質量部を重合反応器に仕込み、続いて、イソフタル酸とエチレングリコールの反応溶液478質量部、重合触媒として二酸化ゲルマニウム0.71質量部、酢酸コバルト(コバルト化合物)0.38質量部、(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(株式会社ADEKA社製アデカスタブPEP−36)3.7質量部を、それぞれ加え、重宿合反応中は、反応器内部の発泡と液面上昇を目視で確認しつつ、反応器を減圧にして70分後に最終圧力1.0hPa以下、温度270℃で10時間、溶融重合反応を行い、共重合ポリエステルのプレポリマーを得た。プレポリマー造粒開始6分間はフィルター装置を介さずに造粒を行い、初期ブローを行いつつ、5分目に熱劣化異物確認用のサンプルを1kg採取した。その後フィルター装置を介して払出し終了まで造粒を行った。このプレポリマーの極限粘度は、0.72であった。これを連続100回生産を行い、約370トンのプレポリマーを得た。このプレポリマーを150℃で5時間予備乾燥した後、窒素気流中で210℃、24時間固相重合し、ポリエステル樹脂組成物を得た。
このポリエステル樹脂組成物を用い、乾燥させた後、ダイレクトブロー成形機を用いて、押出温度260℃、パリソン径3cmで長さが25cmとなったところで成形し、500ccの中空容器を得た。
実施例2〜5、比較例1〜6
イソフタル酸の共重合量、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(株式会社ADEKA社製アデカスタブPEP−36)の含有量、ゲルマニウム化合物、酢酸コバルト(コバルト化合物)の含有量が表1の値となるように組成を変更し、固相重合反応時間を変更し、極限粘度が表1の値となるようにした以外は、実施例1と同様にして、ポリエステル樹脂組成物を得た。
そして、得られた樹脂組成物を用い、実施例1と同様にしてダイレクトブロー成形品を得た。
実施例1〜5及び比較例1〜6で得られたポリエステル樹脂組成物の組成、極限粘度、重縮合反応中の液面上昇、プレポリマーの熱劣化異物数、固相重合後のメルトマスフローレート(MFR)の値、成形性の評価及び成形品の色調、ヘーズの値を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1〜5で得られたポリエステル樹脂組成物は、極限粘度、溶融重合中の発泡、液面上昇率が抑えられたため、長期生産時の熱劣化異物が増加せず、固相重合後のメルトマスフローレート(MFR)が本発明で規定する範囲内のものであり、熱安定性に優れていたため、結晶化による白化の問題が生じることなく、操業性よくダイレクトブロー成形を行うことができた。そして、得られたダイレクトブロー成形品(容器)は成形性の評価が高く、着色がなく色調に優れ、かつ透明性も良好なものであった。
一方、比較例1で得られたポリエステル樹脂組成物は、イソフタル酸の共重合量が少ないため、成型時に結晶化による白化を起こし、ヘーズが劣るものとなった。
比較例2で得られたポリエステル樹脂組成物は、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトの添加量が多いため、メルトフローレート(MFR)が低く成形時のパリソンのドローダウンが小さく、成形途中にパリソンが十分に垂れ下がる前に固化が始まり、また、結晶化による白化も発生し、成型体を得ることが出来なかった。
比較例3で得られたポリエステル樹脂組成物は、極限粘度が高いため、メルトフローレート(MFR)が低く、ドローダウンが小さいため、メルトフローレート(MFR)が低く成形時のパリソンのドローダウンが小さく、成形途中にパリソンが十分に垂れ下がる前に冷却固化してしまい、パリソンも白化してしまい成型体を得ることが出来なかった。
比較例4で得られたポリエステル樹脂組成物は、極限粘度が低いため、メルトフローレート(MFR)が大きく、成形時のパリソンのドローダウンも大きかったため、成形品は最厚部と最薄部との差が大きいものとなり、成形性に劣るものとなった。
比較例5得られたポリエステル樹脂組成物は、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトの添加量が少ないため、メルトフローレート(MFR)が高くなり、成形時のパリソンのドローダウンも大きいため、成形品は最厚部と最薄部との差が大きいものとなり、成形性に劣るものとなった。
比較例6では、イソフタル酸の共重合量が多いため、固相重合時に融着が起こり、ポリエステルを得ることができなかった。
比較例7で得られたポリエステル樹脂組成物は、抗酸化剤としてテトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタンを使用したところプレポリマー中の熱劣化異物点数が悪かった。

Claims (2)

  1. エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし、イソフタル酸を共重合成分として2〜20モル%含有するポリエステル樹脂を主成分とする樹脂組成物であって、樹脂組成物中にホスファイト系酸化防止剤を0.01〜2.0質量%含有し、極限粘度が0.6〜1.5、メルトマスフローレート(MFR)が1.0〜3.0g/10minであることを特徴とするポリエステル樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載のポリエステル樹脂組成物を用いて成形されてなるブロー成形品
JP2017220964A 2017-11-16 2017-11-16 ポリエステル樹脂組成物及びブロー成形品 Pending JP2019089977A (ja)

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