JP2019089912A - シリコーン接着剤組成物および接着方法 - Google Patents

シリコーン接着剤組成物および接着方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 ポリカーボネートに対する接着性を有し、全光線透過率90%以上の硬化物を与え、配置が容易なシート状等として使用可能なシリコーン接着剤組成物を提供すること。【解決手段】(A)平均組成式(I)R1aSiO(4-a)/2(I)(R1は一価炭化水素基を表すが、1分子中の少なくとも2個は脂肪族不飽和基であり、aは1.95〜2.05の正数を表す。)で表され、重合度100以上のオルガノポリシロキサン100質量部(B)BET比表面積200m2/g超の煙霧質シリカ60〜150質量部(C)1分子中に少なくとも2個のSi原子と結合した水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン0.1〜30質量部(D)ヒドロシリル化反応触媒 触媒量(E)1分子中に少なくとも1個のSi原子と結合した水素原子を有し、芳香族炭化水素骨格を少なくとも1個有する化合物0.02〜5.0質量部を含むシリコーン接着剤組成物。【選択図】 なし

Description

本発明は、シリコーン接着剤組成物および接着方法に関し、さらに詳述すると、特にガラスやポリカーボネート等の高透明被着体に強固に接着する、透明性に優れたシリコーン接着剤組成物およびそれを用いた接着方法に関する。
従来、金属や樹脂等の被着体と、シリコーンゴムとの複合体の製造方法として、被着体と未加硫シリコーンゴムとを接着剤を介して接着する方法(プライマーによる接着、特許文献1参照)と、シリコーンゴムに接着成分を添加して加硫と接着を同時に達成する方法(自己接着、特許文献2参照)が知られている。
プライマーを用いた接着方法では、接着剤の溶剤として揮発性有機化合物(VOC)が広く用いられるが、近年では、作業者の健康、環境負荷低減のためVOC排出量の削減が強く求められている。
一方、自己接着性を有するシリコーンゴムは、有機官能基を有するオルガノアルコキシシラン等を選択的に添加した数多くの製品が上市されている。
しかしながら、ガラスやポリカーボネート等の高透明被着体に対して高い接着性を有し、かつ、その透明性も損なわないシリコーン接着剤は知られていない。
例えば、特許文献3には、建材用ガラスと建材用金具の間に、ウイリアムス可塑度(JIS6249、25℃)が400〜800、かつ厚さ1mmの硬化シートの可視光線透過率が50%以上である熱可塑性シリコーンゴム接着剤組成物を介在させ、圧着後、熱硬化性シリコーンゴム接着剤を加熱する接合方法が記載されているが、「割れない高透明材料」で、ガラス代替となりうるポリカーボネートに対する接着性については言及されていない。
一方、特許文献4には、付加硬化型シリコーンゴム組成物に特定の架橋剤と特定の接着助剤とを使用することで、ポリカーボネートやポリエチレンテレフタレート等の樹脂、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属との接着が可能で、かつ圧縮永久歪の小さいシリコーンゴム接着剤組成物が得られることが記載されているが、射出成形に適した液状材料であるため、A液/B液の混合の問題や、面接着の場合に、接着剤の基材への薄膜塗布が非常に困難となるという問題がある。
特開2001−260233号公報 特許第4681634号公報 特許第4875245号公報 特開2010−196011号公報
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、ポリカーボネートに対する接着性を有し、全光線透過率が90%以上の硬化物を与え、かつ配置が容易なシート状等として使用可能なシリコーン接着剤組成物およびそれを用いた接着方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、煙霧質シリカを高充填したミラブルタイプのシリコーンゴム組成物に、1分子中に少なくとも1個のケイ素原子と結合した水素原子を含有し、かつ芳香族炭化水素骨格を少なくとも1個有する有機ケイ素化合物を添加することで、硬化後にポリカーボネートに強固に接着する高透明シリコーンゴム接着剤組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
1. (A)下記平均組成式(I)
1 aSiO(4-a)/2 (I)
(式中、R1は、互いに独立して非置換または置換の一価炭化水素基を表すが、1分子中の少なくとも2個は脂肪族不飽和基であり、aは、1.95〜2.05の正数を表す。)
で表され、重合度100以上のオルガノポリシロキサン 100質量部、
(B)BET比表面積が200m2/gを超える煙霧質シリカ 60〜150質量部、
(C)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合した水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン 0.1〜30質量部、
(D)ヒドロシリル化反応触媒 触媒量、および
(E)1分子中に少なくとも1個のケイ素原子と結合した水素原子を含有し、かつ芳香族炭化水素骨格を少なくとも1個有する有機ケイ素化合物 0.02〜5.0質量部
を含むことを特徴とするシリコーン接着剤組成物、
2. 前記(B)成分が、BET比表面積210〜500m2/gの表面処理された煙霧質シリカである1のシリコーン接着剤組成物、
3. 未加硫の状態で、シート状、フィルム状、テープ状または丸棒状である1または2のシリコーン接着剤組成物、
4. 1〜3のいずれかのシリコーン接着剤組成物と、被接着体とを接触させた後、押圧下で加熱硬化させる接着方法、
5. 前記被接着体が、ガラスまたはポリカーボネートである4の接着方法
を提供する。
本発明のシリコーンゴム接着剤組成物は、押し出し成形、カレンダー成形等が可能なミラブルタイプの材料であり、その硬化物はシリカを含有していながら高い透明性を有し、かつガラスやポリカーボネートに良好な接着性を有することから、建材用途、光学機器の導光シートとして好適に利用できる。
実施例で行った180°ピール試験の概略説明図である。
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明に係るシリコーン接着剤組成物は、下記(A)〜(E)成分を含むものである。
(A)下記平均組成式(I)
1 aSiO(4-a)/2 (I)
(式中、R1は、互いに独立して非置換または置換の一価炭化水素基を表すが、1分子中の少なくとも2個は脂肪族不飽和基であり、aは、1.95〜2.05の正数を表す。)
で表され、重合度100以上のオルガノポリシロキサン 100質量部、
(B)BET比表面積が200m2/gを超える煙霧質シリカ 60〜150質量部、
(C)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合した水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン 0.1〜30質量部、
(D)ヒドロシリル化反応触媒 触媒量、および
(E)1分子中に少なくとも1個のケイ素原子と結合した水素原子を含有し、かつ芳香族炭化水素骨格を少なくとも1個有する有機ケイ素化合物 0.02〜5.0質量部
(1)(A)成分
上記平均組成式(I)において、R1の一価炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。また、その炭素数としては特に限定されるものではないが、炭素数1〜12が好ましく、炭素数1〜8がより好ましい。
アルキル基としては、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル基等の直鎖または分岐鎖アルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基などが挙げられる。
アルケニル基としては、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、その具体例としては、エテニル(ビニル)、n−1−プロペニル、n−2−プロペニル(アリル)等の直鎖または分岐鎖アルケニル基;3−シクロペンテン−1−イル、3−シクロヘキセン−1−イル基等のシクロアルケニル基などが挙げられる。
アリール基の具体例としては、フェニル、ナフチル、トリル基等が挙げられる。
アラルキル基の具体例としては、ベンジル、2−フェニルエチル基等が挙げられる。
これらの一価炭化水素基は、その水素原子の一部または全部が、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子)またはシアノ基等のその他の置換基で置換されていてもよく、その具体例としては、トリフルオロプロピル基等が挙げられる。
これらの中でも、R1としては、メチル基、ビニル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基が好ましく、メチル基、ビニル基がより好ましい。
具体的には、主鎖がジメチルシロキサン単位の繰り返しからなるオルガノポリシロキサン、または主鎖を構成するジメチルシロキサン単位の繰り返しからなるジメチルポリシロキサン構造の一部にフェニル基、ビニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等を有するジフェニルシロキサン単位、メチルフェニルシロキサン単位、メチルビニルシロキサン単位、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシロキサン単位等を導入したオルガノポリシロキサン等が好ましい。
上述のとおり、本発明で用いるオルガノポリシロキサンは、1分子中に存在する全R1のうち、少なくとも2個は、アルケニル基、シクロアルケニル基等の脂肪族不飽和基であるが、特にビニル基であることが好ましい。
この場合、全R1中0.01〜20モル%が脂肪族不飽和基であることが好ましく、0.02〜10モル%が脂肪族不飽和基であることがより好ましい。
なお、この脂肪族不飽和基は、分子鎖末端のケイ素原子に結合していても、分子鎖の途中のケイ素原子に結合していても、その両方であってもよいが、少なくとも分子鎖末端のケイ素原子に結合していることが好ましい。
さらに、透明性の確保の点から、全R1中、好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上、より一層好ましくは脂肪族不飽和基を除く全てのR1がアルキル基、特にメチル基であることが好適である。
また、aは、1.95〜2.05の正数であるが、1.98〜2.02の正数が好ましく、1.99〜2.01の正数がより好ましい。
本発明で用いる(A)成分のオルガノポリシロキサンは、分子鎖末端がトリメチルシロキシ基、ジメチルフェニルシロキシ基、ジメチルヒドロキシシロキシ基、ジメチルビニルシロキシ基、メチルジビニルシロキシ基、トリビニルシロキシ基等のトリオルガノシロキシ基で封鎖されたものが好ましい。
その具体例としては、メチルビニルポリシロキサン、メチルフェニルビニルポリシロキサン、メチルトリフルオロプロピルビニルポリシロキサン等が挙げられる。
このようなオルガノポリシロキサンは、例えばオルガノハロゲノシランの1種または2種以上を(共)加水分解縮合することにより、あるいは環状ポリシロキサン(シロキサンの3量体、4量体等)をアルカリ性または酸性の触媒を用いて開環重合することによって得ることができる。
これらは基本的に直鎖状のジオルガノポリシロキサンであるが、(A)成分としては、分子量(重合度)や分子構造の異なる2種または3種以上の混合物であってもよい。
本発明において、(A)成分のオルガノポリシロキサンの重合度は100以上であるが、100〜100,000が好ましく、3,000〜20,000がより好ましい。なお、この重合度は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析によるポリスチレン換算の重量平均重合度として測定することができる。
(2)(B)成分
(B)成分のBET比表面積が200m2/gを超える煙霧質シリカは、透明性に優れ、また機械的強度の優れたシリコーン接着剤組成物を得るために添加されるものである。
シリコーン接着剤組成物の透明性向上のためにはBET比表面積が200m2/gを超える必要があり、特に、210m2/g以上が好ましく、250m2/g以上がより好ましい。なお、その上限は特に制限されないが、通常500m2/g以下である。
一般的に、シリコーン接着剤組成物に使用されるシリカとしては煙霧質シリカ、沈降シリカ等が挙げられるが、沈降シリカを用いると透明性が低下するため、本発明では、煙霧質シリカが用いられる。
また、煙霧質シリカは、その表面をクロロシラン、アルコキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等で疎水化処理したものも好適に用いられ、特にヘキサメチルジシラザンによる表面処理を施すと、シリコーン接着剤組成物の透明性が高くなる。
なお、このようなヘキサメチルジシラザン等のシリカ表面処理剤は、これを用いて予めシリカの表面処理したものを(A)成分と配合してもよく、あるいは(A)成分をシリカと混練する際に表面処理剤を配合し、混練中にシリカの表面処理を行ってもよい。
表面処理剤の使用量は、煙霧質シリカ100質量部に対して0.1〜20質量部とすることが好ましい。
(B)成分の煙霧質シリカの添加量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して、60〜150質量部であるが、70〜120質量部が好ましい。60質量部未満だと、シリコーン接着剤組成物を硬化させたシートの透明性が低下する。150質量部を超えると、シリコーン接着剤組成物中へのシリカの分散が困難となる。
(3)(C)成分
(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合した水素原子(すなわちSiH基)を含有するもので、下記平均組成式(II)で示される従来公知のオルガノハイドロジェンポリシロキサンが適用可能である。
2 bcSiO(4-b-c)/2 (II)
式(II)において、R2は、互いに独立して、炭素数1〜6の非置換または置換の一価炭化水素基で、好ましくは脂肪族不飽和結合を有しないものである。
一価炭化水素基の具体例としては、上記式(I)で例示した基のうち、炭素数1〜6のものが挙げられるが、中でも、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル基等のアルキル基;3−シクロヘキセン−1−イル基等のシクロアルケニル基;フェニル基等のアリール基;3,3,3−トリフルオロプロピル基、シアノメチル基等が好ましい。
好ましくはbは0.7〜2.1、cは0.18〜1.0、かつb+cは0.8〜3.0を満足する正数であり、より好ましくは、bは0.8〜2.0、cは0.2〜1.0、かつb+cは1.0〜2.5を満足する正数である。
なお、オルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造は、直鎖状、環状、分岐状、三次元網目状のいずれの構造であってもよい。この場合、1分子中のケイ素原子の数(または重合度)は、2〜300個が好ましく、特に4〜200個程度の25℃で液状のものが好適に用いられる。
また、ケイ素原子に結合する水素原子(SiH基)は分子鎖末端にあっても側鎖にあっても、その両方にあってもよく、1分子中に少なくとも2個(通常2〜300個)、好ましくは3個以上(例えば3〜200個)、より好ましくは4〜150個程度含有するものが使用される。
(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの具体例としては、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、メチルハイドロジェンシクロポリシロキサン、メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン環状共重合体、トリス(ジメチルハイドロジェンシロキシ)メチルシラン、トリス(ジメチルハイドロジェンシロキシ)フェニルシラン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、環状メチルハイドロジェンポリシロキサン、環状メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、環状メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位と(C65)SiO3/2単位とからなる共重合体や、上記各例示化合物において、メチル基の一部または全部が、エチル基、n−プロピル基等のその他のアルキル基やフェニル基等のアリール基で置換されたものなどが挙げられる。
(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して0.1〜30質量部であるが、0.1〜10質量部が好ましく、0.3〜10質量部がより好ましい。
また、このオルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合量は、(A)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基に対する(C)成分中のケイ素原子に結合した水素原子(すなわち、SiH基)のモル比(SiH基モル/アルケニル基モル)が、0.5〜10となる量が好ましく、1〜7となる量がより好ましく、1.5〜5となる量がより好ましい。
(4)(D)成分
(D)成分のヒドロシリル化反応触媒は、公知のヒドロシリル化反応触媒を制限なく用いることができる。
その具体例としては、白金黒、塩化第二白金、塩化白金酸、塩化白金酸と1価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金ビスアセトアセテート等の白金系触媒;パラジウム系触媒;ロジウム系触媒等が挙げられる。
なお、このヒドロシリル化反応触媒の配合量は触媒量とすることができ、通常、白金等の金属分として、(A)成分100質量部に対し、0.1〜10質量部である。
(5)(E)成分
(E)成分は、接着性付与成分として作用するものであり、1分子中に少なくとも1個のSiH基を有し、かつ香族炭化水素骨格を少なくとも1個有する有機ケイ素化合物であるが、ケイ素原子数1〜100、特に2〜30の有機ケイ素化合物が好ましい。
芳香族炭化水素骨格の具体例としては、2〜6価、特には2〜4価の、ベンゼン環構造、ナフタレン環構造、アントラセン環構造等が挙げられる。
好ましい(E)成分としては、1分子中に少なくとも1個、好ましくは1〜20個、より好ましくは2〜10個程度のSiH基を有し、少なくとも1個、好ましくは1〜4個の芳香族炭化水素骨格を有し、さらにグリシドキシ基等のエポキシ基;トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基等のアルコキシシリル基;エステル基;アクリル基;メタクリル基;無水カルボキシ基;イソシアネート基;アミノ基;アミド基等の官能基を1種または2種以上含んでいてもよい有機ケイ素化合物や、ケイ素原子数1〜30、好ましくは2〜20、より好ましくは4〜10個程度の直鎖状または環状のオルガノシロキサンオリゴマーや、オルガノアルコキシシランなどが挙げられる。
このような化合物の具体例としては、下記に示す化合物が挙げられる。
Figure 2019089912
Figure 2019089912
Figure 2019089912
(式中、nは、1〜4の整数を表す。)
Figure 2019089912
ここで、Xは、下記式で表される基である。
Figure 2019089912
Yは、下記式から選ばれるいずれかの基である。
Figure 2019089912
Zは、下記式から選ばれるいずれかの基である。
Figure 2019089912
4は下記式から選ばれるいずれかの基である。
Figure 2019089912
5は下記式から選ばれるいずれかの基である。
Figure 2019089912
6およびR7は、非置換または置換の一価炭化水素基であり、上記R1と同様のものが挙げられる。
また、eは1〜10、fは1〜4、gは1〜20、hは0〜50、iは0〜50であり、より好ましくは、eは1〜10、fは1、gは1〜10、hは0〜20、iは0〜20である。
この(E)成分の添加量は、(A)成分100質量部に対し、0.02〜5.0質量部であるが、0.1〜3質量部が好ましく、0.2〜1質量部がより好ましい。添加量が0.02質量部未満では接着力が低下し、5.0質量部を超えると全光線透過率が低下し、かつヘイズ値が大きくなる。
なお、本発明のシリコーン接着剤組成物には、上記成分以外に、本発明の目的を損なわない範囲で、難燃性付与剤、紫外線吸収剤、波長変換剤、着色剤等を添加することができる。
本発明のシリコーン接着剤組成物は、上述した各成分の所定量を、2本ロール、ニーダー、バンバリーミキサー等で混練りすることによって得ることができる。
本発明のシリコーン接着剤組成物を成形する場合、成形方法としては、被着体に積層した状態でのプレス成形、真空ラミネートを用いた押圧成形等が挙げられる。
また、その硬化条件は特に限定されないが、一般的には、80〜200℃、好ましくは100〜150℃で、5分〜1時間、好ましくは5〜30分程度の加熱硬化条件を採用できる。
なお、加熱硬化後、120〜200℃で10分〜10時間程度ポストキュアーしてもよい。
本発明のシリコーン接着剤組成物は、プレス成形等の方法で成形、硬化することにより高透明なシリコーンゴムとすることができる。
また、ガラスやポリカーボネートといった透明性の高い被着体と貼り合わせることによって、光学特性に優れる積層体を得ることができる。
本発明のシリコーン接着剤組成物は、主に光学用途のものであり、集光型光学部材やLEDのバックライト装置の光学シート、合わせガラスの間に挟んで飛散防止シート用として好適に用いられる。
本発明のシリコーン接着剤組成物は、厚さ2mmの硬化物シートの全光線透過率が90%以上であることが好ましい。90%以上であれば、ガラスやポリカーボネートとの複合体を作製した際の透明性が十分なものとなる。
さらに、厚さ2mmの硬化物シートのヘイズ値が、スガ試験機(株)製直読ヘイズコンピューターHGM−2による測定値で10以下が好ましく、8以下がより好ましい。ヘイズ値が10を超える場合は光拡散が大きすぎて、光導波板等に使用したときの入射光が光導波板の最遠部まで届かず、輝度にムラが生じてしまう場合がある。
本発明のシリコーン接着剤組成物は、カレンダーロールによりシート状、フィルム状に加工することができ、また、押し出し加工によって、テープ状、丸棒状等の各種定形状に加工することができる。
所定形状に加工されたシリコーン接着剤組成物は、形状保持や貼りつき防止のため、ポリエチレンなどの剥離シートで挟むことが好ましい。
本発明のシリコーンゴムの使用方法としては、例えば、シート状に加工した未加硫状態のシリコーン接着剤組成物を、2枚の被着体パネルで挟み、その積層体を加熱型真空ラミネーターに配置し真空下プレスを行って複合体化する方法が挙げられる。
この場合、真空ラミネート成形中には、被着体の凹凸内に未加硫シリコーンが流れ込み、シリコーンの架橋反応が進みながら接着性が発現する。
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
なお、以下において、配合量の単位の「部」は質量部である。また、重量平均分子量、重量平均重合度は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析におけるポリスチレン換算値である。
[実施例1]
ジメチルシロキサン単位99.425モル%、メチルビニルシロキサン単位0.50モル%、およびジメチルビニルシロキサン単位0.025モル%からなり、平均重合度が約6,000であるオルガノポリシロキサン100部、BET比表面積300m2/gのシリカ(商品名アエロジル300、日本アエロジル(株)製)70部、分散剤としてヘキサメチルジシラザン16部、水4部を添加し、ニーダーにて混練りし、170℃にて2時間加熱処理してコンパウンド−1を調製した。
調製したコンパウンド100部に対し、付加架橋硬化剤としてC−25A(白金触媒)/C−25B(オルガノハイドロジェンポリシロキサン)(共に、信越化学工業(株)製、以下同様)をそれぞれ0.5部/2.0部、および下記式(i)で表されるテトラメチルシクロテトラシロキサンとジアリルビスフェノールAとの付加反応生成物の混合物[下記式(i)において、(y=1の重合体):(y=2の重合体)=2.5:1(質量比)]0.25部を、2本ロールで混合し、シリコーン接着剤組成物を得た。
Figure 2019089912
(式中、yは1または2であり、x+y=4であり、xおよびyが付された括弧内のシロキサン単位の配列は任意である。)
[実施例2]
実施例1で得られたシリコーン接着剤組成物100部に、さらに3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.5部を2本ロールで混合した後、実施例1と同様の方法によりシリコーン接着剤組成物を得た。
[実施例3]
実施例1で調製したコンパウンド−1 100部に対し、付加架橋硬化剤としてC−25A(白金触媒)/C−25B(オルガノハイドロジェンポリシロキサン)をそれぞれ0.5部/2.0部、および、上記式(i)で示される化合物0.75部を2本ロールで混合し、シリコーン接着剤組成物を得た。
[実施例4]
ジメチルシロキサン単位99.425モル%、メチルビニルシロキサン単位0.50モル%、およびジメチルビニルシロキサン単位0.025モル%からなり、平均重合度が約6,000であるオルガノポリシロキサン100部、BET比表面積300m2/gのシリカ(商品名アエロジル300、日本アエロジル(株)製)50部、分散剤としてヘキサメチルジシラザン11.4部、水3部をニーダーにて混練りし、170℃にて2時間加熱処理してコンパウンド−2を調製した。
得られたコンパウンド100質量部に対し、付加架橋硬化剤としてC−25A(白金触媒)/C−25B(オルガノハイドロジェンポリシロキサン)をそれぞれ0.5部/2.0部、および上記式(i)で示される化合物0.25部を2本ロールで混合し、シリコーン接着剤組成物を得た。
[比較例1]
実施例1で得られたコンパウンド−1 100部に対し、付加架橋硬化剤としてC−25A(白金触媒)/C−25B(オルガノハイドロジェンポリシロキサン)をそれぞれ0.5部/2.0部を2本ロールで混合し、シリコーン接着剤組成物を得た。
[比較例2]
ジメチルシロキサン単位99.425モル%、メチルビニルシロキサン単位0.50モル%、およびジメチルビニルシロキサン単位0.025モル%からなり、平均重合度が約6,000であるオルガノポリシロキサン100部、BET比表面積200m2/gのシリカ(商品名アエロジル200、日本アエロジル(株)製)70部、ヘキサメチルジシラザン16部、水4部をニーダーにて混練し、170℃にて2時間加熱処理してコンパウンド−3を調製した。
得られたコンパウンド−3 100部に対し、付加架橋硬化剤としてC−25A(白金触媒)/C−25B(オルガノハイドロジェンポリシロキサン)をそれぞれ0.5部/2.0部、および上記式(i)で示される化合物0.25部を2本ロールで混合し、シリコーン接着剤組成物を得た。
[比較例3]
実施例1で得られたコンパウンド−1 100部に対し、付加架橋硬化剤としてC−25A(白金触媒)/C−25Bをそれぞれ0.5部/2.0部、および上記式(i)で示される化合物5.5部を、2本ロールで混合し、シリコーン接着剤組成物を得た。
得られたシリコーン接着剤組成物について、下記の手法にて、可塑度、硬さ、全光線透過率、ヘイズ値を測定した。結果を表1,2に示す。
[1]可塑度
得られたシリコーン接着剤組成物を130℃/30分の条件で硬化させ、JIS K6249に準じて測定した。
[2]硬さ
得られたシリコーン接着剤組成物を130℃/30分の条件で硬化させ、JIS K6249に準じて、硬さ(デュロメーターA)を測定した。
[3]透明性評価
得られたシリコーン接着剤組成物に対し、130℃、70kgf/cm2の条件で30分間プレスキュアーを行って作製した2mm厚さのシートについて、全光線透過率、ヘイズ値を測定した。なお、測定値は、スガ試験機(株)製直読ヘイズコンピューターHGM−2による値である。
[4]接着力
(A)ポリカーボネート
図1に示されるように、幅25mm幅、長さ100mm、厚み2mmポリカーボネートテストピース1(帝人化成(株)製 パンライトL1225Y)に、テストピース1の表面の略半分を覆うようにフッ素系離型テープ2(日東電工(株)製NITOFLON(登録商標)、No.903UL;厚み0.08mm)を貼り、その上から、1.5mm厚みのシリコーン接着剤組成物を載せ、厚みが1mmとなるよう130℃/30分の条件で硬化させてシリコーン接着剤層3を形成した。得られたシリコーン接着剤層3に対し、図1に示されるように100mm/分の速度で180°ピール試験を行い、接着力を測定した。
(B)ガラス
幅25mm幅、長さ100mm、厚み5mmの青板ガラステストピースを用いた以外は、上記ポリカーボネートの場合と同様の方法で接着力を測定した。
Figure 2019089912
Figure 2019089912
表1,2に示されるように、実施例で作製したシリコーン接着剤組成物は、ポリカーボネートやガラスへの接着性が良好で、全光線透過率が高いことがわかる。
したがって、本発明のシリコーン接着剤組成物を用いることで、カレンダーロールによってシート状に加工することが可能で、真空ラミネーター等を用いることで、2枚のガラス板あるいはポリカーボネート板を貼り合わせて透明性の高い複合パネルを容易に作製することができる。
1 被着体(ポリカーボネート)
2 フッ素系離型テープ
3 シリコーン接着層

Claims (5)

  1. (A)下記平均組成式(I)
    1 aSiO(4-a)/2 (I)
    (式中、R1は、互いに独立して非置換または置換の一価炭化水素基を表すが、1分子中の少なくとも2個は脂肪族不飽和基であり、aは、1.95〜2.05の正数を表す。)
    で表され、重合度100以上のオルガノポリシロキサン 100質量部、
    (B)BET比表面積が200m2/gを超える煙霧質シリカ 60〜150質量部、
    (C)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合した水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン 0.1〜30質量部、
    (D)ヒドロシリル化反応触媒 触媒量、および
    (E)1分子中に少なくとも1個のケイ素原子と結合した水素原子を含有し、かつ芳香族炭化水素骨格を少なくとも1個有する有機ケイ素化合物 0.02〜5.0質量部
    を含むことを特徴とするシリコーン接着剤組成物。
  2. 前記(B)成分が、BET比表面積210〜500m2/gの表面処理された煙霧質シリカである請求項1記載のシリコーン接着剤組成物。
  3. 未加硫の状態で、シート状、フィルム状、テープ状または丸棒状である請求項1または2記載のシリコーン接着剤組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載のシリコーン接着剤組成物と、被接着体とを接触させた後、押圧下で加熱硬化させる接着方法。
  5. 前記被接着体が、ガラスまたはポリカーボネートである請求項4記載の接着方法。
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