JP2019089463A - 内装部品およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の内装部品は、樹脂基材と表皮材とを備えており、車両のドアトリム、インストルメントパネル、コンソールボックス、アームレストなどに好適である。本発明の内装部品の第一実施形態として、図1に、ドアトリムの一部断面図を示す。
樹脂基材の材質、形状などは、内装部品の種類に応じて決定すればよく、特に限定されない。材質としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、ポリカーボネート、アクリロニトリル−エチレン−プロピレン−ジエン−スチレン共重合体(AES)などの熱可塑性樹脂が挙げられる。樹脂基材と表皮材とは、直接固定されていても接着層を介して固定されていてもよい。前者の場合、表皮材を成形型内に配置して、樹脂基材の材料を射出成形すればよい。後者の場合、すなわち樹脂基材と表皮材とを接着剤により接着する場合、接着剤としては、クロロプレン系接着剤、ポリウレタン系接着剤などを用いればよい。
表皮材は、意匠層と、断熱層と、を有する。
意匠層は表皮材の最外層として配置され、内装部品の意匠性や質感を与える役割を果たす。意匠層の構成は特に限定されない。例えば、オレフィン樹脂、ウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ファブリック、本革から選ばれる一種以上を含んで構成するとよい。意匠層は、樹脂などからなる単層の形態、一つまたは複数の樹脂層と基布とを貼り合わせなどにより一体化した形態、樹脂の一部を基布に含浸させて一体化した形態などでもよい。意匠面に、シボ加工などの表面処理が施されていてもよい。
断熱層は、多孔質構造体と水溶性バインダーとを有する。多孔質構造体は、複数の粒子が連結して骨格をなし内部に細孔を有する疎水性の固体材料である。骨格をなす粒子(一次粒子)の直径は2〜5nm程度、骨格と骨格との間に形成される細孔の大きさは10〜50nm程度であることが望ましい。細孔の多くは、50nm以下のいわゆるメソ孔である。多孔質構造体の形状としては、球状、異形状の塊状などがあるが、球状が望ましい。球状の場合、最密充填しやすいため充填量を多くすることができ、断熱性を高める効果が大きくなる。また、表面積が小さくなるため、熱伝導率が比較的大きい水溶性バインダーの量を低減することができ、断熱性の向上につながる。
表皮材は、意匠層、断熱層に加えて、他の層を有してもよい。例えば、内装部品の触感をより向上させるという観点から、表皮材は、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン、スラブウレタンなどの発泡材料からなるクッション層を有してもよい。クッション層は、意匠層に積層して配置するとよい。本発明の内装部品の第二実施形態として、図2に、表皮材がクッション層を有する形態のドアトリムの一部断面図を示す。図2中、図1と同じ部材は同じ符号で示す。
本発明の内装部品の製造方法は特に限定されない。しかし、断熱層を均一に形成して意匠性に優れた内装部品を製造するという観点から、以下の製造方法が好適である。すなわち、本発明の内装部品の製造方法は、断熱層形成工程と、接着工程と、を有する。
本工程は、多孔質構造体および水溶性バインダーを有する塗料を意匠層の表面に塗布し、断熱層を形成する工程である。多孔質構造体および水溶性バインダーについては、先に説明したとおりである。よって、ここでは説明を省略する。
本工程は、先の工程で形成された断熱層および樹脂基材の少なくとも一方の表面に接着剤を配置し、断熱層と樹脂基材とを接着剤を介して重ね合わせる工程である。
[実施例]
まず、断熱層形成用塗料を調製した。水に、ウレタン樹脂バインダー溶液(三洋化成工業(株)製「パーマリン(登録商標)UA−368」、固形分50質量%)と、セルロースナノファイバーが水に分散した分散液(第一工業製薬(株)製「レオクリスタ(登録商標)l−2SX」、固形分2質量%)と、を添加して撹拌した。そこに、疎水性で球状の多孔質シリカ構造体(平均粒子径10μm、比表面積700m2/g、細孔容積4ml/g)を添加して撹拌し、断熱層形成用塗料を調製した。多孔質シリカ構造体としては、上述した特許第4960534号公報に記載されている方法に準じて製造されたものを使用した。断熱層形成用塗料における各成分の含有量は、水80.6質量%、ウレタン樹脂バインダー5.9質量%、多孔質シリカ構造体13.4質量%、セルロースナノファイバー0.13質量%である。
断熱層を有しないサンプルを製造した。意匠層(同上のウレタン樹脂製表皮)の表面および板材(同上)の表面に、クロロプレン系接着剤(同上)をスプレー塗布し、100℃下で10分間乾燥した後、接着剤を塗布した面同士を貼り合わせた。このようにして、意匠層のみからなる表皮材が板材に接着されたサンプルを製造した。
[実験装置および実験方法]
まず、実験装置の構成を説明する。図3に、実験装置の概略図を示す。図3に示すように、実験装置5は、断熱ボックス50と、空気加熱用ヒーター51と、熱電対52と、電流計53と、ヒーターコントローラー54と、を備えている。断熱ボックス50は、アルミフレームに、壁材として厚さ40mmのフェノールフォーム断熱材(旭化成建材(株)製「ネオマフォーム(登録商標)」)を取付けて作製されている。断熱ボックス50の内寸は、縦215mm、横350mm、高さ150mmである。断熱ボックス50の上蓋500には、サンプル設置用の開口部501が形成されている。開口部501の大きさは、縦140mm、横220mmである。断熱ボックス50の内部には、空気加熱用ヒーター51および熱電対52が配置されている。空気加熱用ヒーター51は、断熱ボックス50の外側に配置されている電流計53とヒーターコントローラー54とに電気的に接続されている。
消費電力(kWh)=[電流の絶対値の和(A)]×電圧(=100V)×[1/サンプリング周波数(=500Hz)]×[1/サンプリング時間(=1980s)]×0.55(h) ・・・(I)
[実験結果]
消費電力の計算結果は、以下のようになり、表皮材に断熱層を配置した実施例のサンプルによると、断熱ボックスの内部温度を50℃に維持するための消費電力を、6.9%削減することができた。
実施例(断熱層有り):10.83Wh
比較例(断熱層無し):10.08Wh
以上より、本発明の内装部品によると、樹脂基材への熱の伝達を抑制し、内装部品における熱エネルギーの消費を抑制できることが確認された。
Claims (9)
- 樹脂基材と表皮材とを備える内装部品であって、
該表皮材は、最外層として配置される意匠層と、断熱層と、を有し、
該断熱層は、複数の粒子が連結して骨格をなし内部に細孔を有する疎水性の多孔質構造体と水溶性バインダーとを有することを特徴とする内装部品。 - 前記多孔質構造体は、複数のシリカ粒子が連結して骨格をなす多孔質シリカ構造体である請求項1に記載の内装部品。
- 前記水溶性バインダーは、ウレタン樹脂およびアクリル樹脂から選ばれる一種以上を含む請求項1または請求項2に記載の内装部品。
- 前記多孔質構造体の含有量は、前記断熱層の全体を100質量%とした場合の40質量%以上75質量%以下である請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の内装部品。
- 前記断熱層のアスカーC硬度は、20ポイント以上60ポイント以下である請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の内装部品。
- 前記断熱層は、さらにナノファイバーを有する請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の内装部品。
- 前記断熱層は前記樹脂基材側に配置され、該樹脂基材と該断熱層との間には接着層が配置される請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の内装部品。
- 前記意匠層は、オレフィン樹脂、ウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ファブリック、本革から選ばれる一種以上を含む請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の内装部品。
- 請求項1に記載の内装部品の製造方法であって、
多孔質構造体および水溶性バインダーを有する塗料を前記意匠層の表面に塗布し、前記断熱層を形成する断熱層形成工程と、
該断熱層および前記樹脂基材の少なくとも一方の表面に接着剤を配置し、該断熱層と該樹脂基材とを該接着剤を介して重ね合わせる接着工程と、
を有することを特徴とする内装部品の製造方法。
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