JP2019086486A - 処理装置、処理システム、物理量測定装置及び測定方法 - Google Patents

処理装置、処理システム、物理量測定装置及び測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】非線形システムの非線形性による振動整流誤差又は非対称性誤差をフィードフォワードの補正により低減できる処理装置、処理システム、物理量測定装置及び測定方法等を提供すること。【解決手段】処理装置10は、入力INに対して振動整流誤差を含む出力信号I(t)を出力する非線形システム20の出力信号I(t)に対して処理を行う処理回路30と、予め取得されている振動整流誤差の振動整流係数情報CAを記憶する記憶部40と、を含む。処理回路30は、出力信号I(t)に含まれる振動整流誤差を、出力信号I(t)と振動整流係数情報CAに基づいて低減する補正を行う。【選択図】 図1

Description

本発明は、処理装置、処理システム、物理量測定装置及び測定方法等に関する。
入力に対する出力信号の線形性(直線性)が良好なデバイス又はシステムでは、正弦波振動が入力された場合において出力信号の平均はゼロになる。一方、非線形性(非直線性)を有するデバイス又はシステムでは、入力に対する出力信号の線形性が完全ではないので、正弦波振動が入力された場合において出力信号の平均はゼロにならない。このような出力信号は、振動整流誤差(VRE: Vibration Rectification Error)や非対称性誤差を含んでいる。
この振動整流誤差や非対称性誤差は、非直線性を有するデバイス又はシステムが生成した誤差信号であって、本来入力された信号に含まれないものである。この誤差信号は、デバイス又はシステムの後段に接続される処理システム或いはアプリケーションシステムの性能に影響する。例えば、センサーを用いた測定装置では、センサー(或いは、センサーの検出信号を処理する検出回路)が非線形性を有する場合があり、その非線形性による振動整流誤差や非対称性誤差によって測定精度が低下するおそれがある。例えば、環境計測に用いられる加速度センサーは、構造振動環境や音響振動環境の広帯域な振動成分を測定するため、広いダイナミックレンジの信号に対して低ドリフト(低誤差)の性能が望まれる。
振動整流誤差を低減する従来技術は、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1では、加速度センサーに復元力アクチュエーターが設けられ、加速度センサーの検出信号に基づいて復元力アクチュエーターをフィードバック制御することで振動整流誤差を低減する。振動整流誤差の影響を最小限に抑えるために、既知の振動信号を第1の軸に沿って加速度センサーに供給して振動整流誤差を測定し、その振動整流誤差が第1の閾値より小さくなるまでフィードバックゲイン設定値を調整する。
特表2008−514959号公報
非線形システムの振動整流誤差(或いは非対称性誤差)を補正するためにフィードバック制御を用いた場合、フィードバックループを構成する構造が必要となりシステムが複雑化する。また、フィードバックループの帯域の影響を受けるおそれがある。例えば、加速度センサーの振動整流誤差(或いは非対称性誤差)を補正するためにフィードバック制御を用いた場合、出力補正に時間がかかり、速い動き(速い加速度の変化)に対して出力の応答が遅れる恐れがある。
本発明の幾つかの態様によれば、非線形システムの非線形性による振動整流誤差又は非対称性誤差をフィードフォワードの補正により低減できる処理装置、処理システム、物理量測定装置及び測定方法等を提供できる。
本発明の一態様は、入力に対して振動整流誤差を含む出力信号を出力する非線形システムの前記出力信号に対して処理を行う処理回路と、予め取得されている前記振動整流誤差の振動整流係数情報を記憶する記憶部と、を含み、前記処理回路は、前記出力信号に含まれる前記振動整流誤差を、前記出力信号と前記振動整流係数情報に基づいて低減する補正を行う処理装置に関係する。
本発明の一態様によれば、非線形システムの出力信号に含まれる振動整流誤差を、非線形システムの出力信号と振動整流係数情報に基づいて低減する補正を行うことで、フィードバック構造を用いることなく、振動整流誤差をフィードフォワードで補正することが可能となる。フィードフォワードの補正を行うことで、より簡易な構成で振動整流誤差を補正することが可能となり、フィードバック制御による補正に比べて広い信号帯域にわたって振動整流誤差を補正することが可能となる。
また本発明の一態様では、前記振動整流係数情報は、振動整流係数の定数を表す前記振動整流係数の定数情報と、前記振動整流係数の周波数特性を表す前記振動整流係数の周波数特性情報と、を含んでもよい。
このようにすれば、定数についての補正と周波数特性についての補正を分離できる。例えば、非線形システムの出力信号に対してフィルター処理を行うことで、振動整流係数の周波数特性についての補正を実現し、そのフィルター処理の出力に定数を乗じることで、振動整流係数の定数についての補正を実現することが可能になる。これにより、軽負荷の処理で補正処理を実現することが可能になる。
また本発明の一態様では、前記非線形システムは、センサーを有し、前記センサーの検出信号又は前記検出信号に基づく信号を前記出力信号として出力し、前記振動整流係数の定数情報は、前記センサーごとに予め取得されている情報であってもよい。
上述のように振動整流係数情報は定数と周波数特性の情報を含むが、定数はセンサー毎に異なる。一方、周波数特性は、検出回路の周波数特性で決まる場合が多い。このことから、周波数特性を共通化できる場合があり、そのような場合には、各センサーについて定数を測定すればよいので、振動整流係数の測定を簡素化できる。
また本発明の一態様では、前記処理回路は、前記振動整流係数の周波数特性のフィルター処理を前記出力信号に対して行い、前記振動整流係数の周波数特性情報は、前記フィルター処理の周波数特性として前記振動整流係数の周波数特性を設定する前記フィルター処理の係数情報であってもよい。
このようにすれば、予め取得された周波数特性情報に基づいてフィルター処理の周波数特性を設定し、振動整流誤差の周波数特性に対応した周波数特性のフィルター処理を非線形システムの出力信号に対して行うことができる。フィルター処理で周波数特性についての補正を行うことで、補正処理の負荷を軽減できる。
また本発明の一態様では、前記処理回路は、前記出力信号に対して、前記振動整流係数の周波数特性情報が表す前記振動整流係数の周波数特性のフィルター処理を行い、前記フィルター処理後の信号に対して2乗演算し、2乗演算後の信号と、前記振動整流係数の定数情報が表す前記振動整流係数の定数とを乗算して前記振動整流誤差の補正値を求め、求められた前記補正値を前記出力信号から減算してもよい。
このようにすれば、周波数特性情報が表す周波数特性のフィルター処理を行い、フィルター処理後の信号に対して2乗演算を行うことで、振動整流係数の周波数特性に基づく補正中間値が得られる。また、2乗演算後の信号と、定数情報が表す定数とを乗算することで、振動整流係数の定数に基づく補正値が得られる。このような補正値を出力信号から減算することで、振動整流係数の定数及び周波数特性についての補正が実現される。
また本発明の一態様では、前記振動整流係数情報は、前記非線形システムに前記入力として正弦波振動を入力したときに、前記非線形システムの前記出力信号の振幅と前記出力信号に含まれている低周波数帯域信号との関係を多項式近似して得られる多項式の2次項の係数に基づく情報であってもよい。
このように、正弦波振動の振幅を変化させて出力信号の振幅と出力信号に含まれている低周波数帯域信号との関係を取得し、その関係を多項式近似することで、正確に振動整流係数を測定できる。また、多項式近似を用いることで、振動整流係数だけでなく非対称性係数を求めることができる。
また本発明の一態様では、前記非線形システムの前記出力信号は、前記入力に対して非対称性誤差を含み、前記記憶部は、予め取得されている前記非対称性誤差の非対称性係数情報を記憶し、前記処理回路は、前記出力信号に含まれる前記非対称性誤差を、前記非対称性係数情報に基づいて低減する補正を行ってもよい。
このようにすれば、非線形システムの出力信号に含まれる非対称性誤差を、非線形システムの出力信号と非対称性係数情報に基づいて低減する補正を行うことで、非対称性誤差をフィードフォワードで補正することが可能となる。
また本発明の他の態様は、入力に対して非対称性誤差を含む出力信号を出力する非線形システムの前記出力信号に対して処理を行う処理回路と、予め取得されている前記非対称性誤差の非対称性係数情報を記憶する記憶部と、を含み、前記処理回路は、前記出力信号に含まれる前記非対称性誤差を、前記出力信号と前記非対称性係数情報に基づいて低減する補正を行う処理装置に関係する。
本発明の他の態様によれば、非線形システムの出力信号に含まれる非対称性誤差を、非線形システムの出力信号と非対称性係数情報に基づいて低減する補正を行うことで、フィードバック構造を用いることなく、非対称性誤差をフィードフォワードで補正することが可能となる。フィードフォワードの補正を行うことで、より簡易な構成で非対称性誤差を補正することが可能となり、フィードバック制御による補正に比べて広い信号帯域にわたって非対称性誤差を補正することが可能となる。
また本発明の他の態様では、前記非対称性係数情報は、非対称性係数の定数を表す前記非対称性係数の定数情報と、前記非対称性係数の周波数特性を表す前記非対称性係数の周波数特性情報と、を含んでもよい。
このようにすれば、定数についての補正と周波数特性についての補正を分離できる。例えば、非線形システムの出力信号に対してフィルター処理を行うことで、非対称性係数の周波数特性についての補正を実現し、そのフィルター処理の出力に定数を乗じることで、非対称性係数の定数についての補正を実現することが可能になる。これにより、軽負荷の処理で補正処理を実現することが可能になる。
また本発明の他の態様では、前記非線形システムは、センサーを有し、前記センサーの検出信号又は前記検出信号に基づく信号を前記出力信号として出力し、前記非対称性係数の定数情報は、前記センサーごとに予め取得されている情報であってもよい。
上述のように非対称性係数情報は定数と周波数特性の情報を含むが、定数はセンサー毎に異なる。一方、周波数特性は、検出回路の周波数特性で決まる場合が多い。このことから、周波数特性を共通化できる場合があり、そのような場合には、各センサーについて定数を測定すればよいので、非対称性係数の測定を簡素化できる。
また本発明の他の態様では、前記処理回路は、前記非対称性係数の周波数特性のフィルター処理を前記出力信号に対して行い、前記非対称性係数の周波数特性情報は、前記フィルター処理の周波数特性として前記非対称性係数の周波数特性を設定する前記フィルター処理の係数情報であってもよい。
このようにすれば、予め取得された周波数特性情報に基づいてフィルター処理の周波数特性を設定し、非対称性誤差の周波数特性に対応した周波数特性のフィルター処理を非線形システムの出力信号に対して行うことができる。フィルター処理で周波数特性についての補正を行うことで、補正処理の負荷を軽減できる。
また本発明の他の態様では、前記処理回路は、前記出力信号に対して、前記非対称性係数の周波数特性情報が表す前記非対称性係数の周波数特性のフィルター処理を行い、前記フィルター処理後の信号に対して絶対値を演算し、絶対値演算後の信号と、前記非対称性係数の定数情報が表す前記非対称性係数の定数とを乗算して前記非対称性誤差の補正値を求め、求められた前記補正値を前記出力信号から減算してもよい。
このようにすれば、周波数特性情報が表す周波数特性のフィルター処理を行い、フィルター処理後の信号に対して絶対値の演算を行うことで、非対称性係数の周波数特性に基づく補正値が得られる。また、絶対値演算後の信号と、定数情報が表す定数とを乗算することで、非対称性係数の定数に基づく補正値が得られる。このような補正値を出力信号から減算することで、非対称性係数の定数及び周波数特性についての補正が実現される。
また本発明の他の態様では、前記非対称性係数情報は、前記非線形システムに前記入力として振動を入力したときに、前記非線形システムの前記出力信号に含まれている振幅と低周波数帯域信号との関係を多項式近似して得られる多項式の1次項の係数に基づく情報であってもよい。
このように、正弦波振動の振幅を変化させて出力信号の振幅と出力信号に含まれている低周波数帯域信号との関係を取得し、その関係を多項式近似することで、正確に非対称性係数を測定できる。また、多項式近似を用いることで、振動整流係数と共に非対称性係数を求めることができる。
また本発明の更に他の態様は、上記のいずれかに記載の処理装置と、前記非線形システムと、を含む処理システムに関係する。
また本発明の更に他の態様は、上記のいずれかに記載の処理装置と、物理量トランスデューサーを含む前記非線形システムと、を含む物理量測定装置に関係する。
また本発明の更に他の態様は、入力に対して振動整流誤差を含む出力信号を出力する非線形システムに振動を入力し、前記非線形システムの前記出力信号の振幅と前記出力信号に含まれている低周波数帯域信号とを取得し、前記振幅と前記低周波数帯域信号との関係を多項式近似して得られる多項式の2次項の係数に基づいて振動整流係数情報をとして取得する測定方法に関係する。
また本発明の更に他の態様は、入力に対して非対称性誤差を含む出力信号を出力する非線形システムに振動を入力し、前記非線形システムの前記出力信号に含まれている振幅と低周波数帯域信号とを取得し、前記振幅と前記低周波数帯域信号との関係を多項式近似して得られる多項式の1次項の係数を表す情報に基づいて非対称性係数情報を取得する測定方法に関係する。
本実施形態の処理システム及び処理装置の構成例。 加速度センサーに正弦波振動を入力したとき出力信号のスペクトル例。 振動整流係数等を測定する測定システムの構成例。 加速度センサーの出力信号の波形例。 加速度センサーの出力信号の波形のスペクトル例。 加速度センサーの出力信号の振幅の波形例。 測定された低周波数帯域の信号の波形例。 加速度センサーに正弦波振動を入力した時の包絡線振幅と低周波数帯域の信号の相関を示す図。 近似多項式の2次項による入出力関係の歪みを示す図。 近似多項式の1次項による入出力関係の歪みを示す図。 係数を測定する処理の手順を示すフローチャート。 加速度センサーに入力する振動波形の振幅をステップ状に変化させた場合の加速度センサーの出力信号の波形例。 振動整流係数の周波数特性例。 振動整流係数の周波数特性を近似するローパスフィルターの周波数特性と、ハイパスフィルターの周波数特性の例。 2つのフィルターによる振動整流係数の近似を示す図。 フィルターの周波数特性で近似した振動整流係数による補正結果を示す図。 振動整流係数の周波数特性の例。 処理システムの第1の詳細な構成例。 処理システムの第2の詳細な構成例。 非線形システムの第1の詳細な構成例。 非線形システムの第2の詳細な構成例。 物理量測定装置の構成例。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
1.処理システム、処理装置
図1は、本実施形態の処理システム100及び処理装置10の構成例である。処理システム100は、非線形システム20と、処理装置10と、を含む。なお、本実施形態は図1の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加したりする等の種々の変形実施が可能である。
非線形システム20は、入力INに対して生成される出力とシステムの非線形による低周波数成分及び高調波成分を含む出力信号I(t)を出力するシステムである。低周波数成分は、振動入力に対してシステムの非線形性によって出力信号に生じるオフセット(バイアス、直流成分)や低周波数帯域信号である。即ち、線形なシステムでは、システムに正弦波入力が入力された場合に出力信号の平均がゼロとなるが、非線形システムでは、その正弦波入力に対して出力信号の平均がゼロにならず、出力信号には振動整流誤差等のオフセットが含まれる。
非線形システム20としては種々のシステムを想定できる。例えば、物理的な入力IN(物理量)が入力され、その入力INに基づいて測定した物理量をアナログ又はデジタルの出力信号I(t)として出力する物理量トランスデューサー或いは物理量測定装置である。例えば、加速度センサーやジャイロセンサー(角速度センサー)、温度センサー、圧力センサー、光センサー、流速計、流量計、電圧計、電流計、電力計等である。加速度センサーは、例えば振り子(ペンデュラム)型又は音叉振動子型の水晶加速度センサーや、MEMS加速度センサー等である。ジャイロセンサーは、例えば水晶振動子型又はMEMS振動子型のジャイロセンサー等である。このような非線形システム20を含む処理システム100は例えば物理量測定システムである。或いは、非線形システム20は、入力INとしてアナログ信号(電圧又は電流の信号)又はデジタル信号が入力され、その入力INに基づいてアナログ又はデジタルの出力信号I(t)を出力する回路である。例えば、フィルター回路や増幅回路等を含む信号処理回路、或いは入力信号に対して何らかの変換処理を行う変換器(例えば変圧器等)である。或いは、入力INにより周波数や振幅が設定され、その設定された周波数や振幅の出力信号I(t)を出力する信号生成回路である。このような非線形システム20を含む処理システム100は例えば信号処理システムや信号生成システムである。或いは、非線形システム20とそれを含む処理システム100として、振動発生器と振動制御システムや、交流信号発生器と交流信号生成制御システム、交流信号増幅器と交流信号増幅システム、復調増幅器と受信機システム等を想定できる。
処理装置10は、非線形システム20の出力信号I(t)が入力され、その出力信号I(t)に対して処理を行う装置である。処理装置10は、例えばPC(Personal Computer)等の汎用の情報処理装置であってもよいし、或いは振動整流誤差等の補正を含む処理を行う専用の処理装置(例えば、構成要素が実装された回路基板やモジュール等)であってもよい。処理装置10は、処理回路30と、記憶部40(記憶回路、記憶装置)と、を含む。
処理回路30は、非線形システム20の出力信号I(t)に対して処理を行う。記憶部40は、予め取得されている振動整流誤差の振動整流係数情報CAを記憶する。そして処理回路30は、出力信号I(t)に含まれる振動整流誤差を、出力信号I(t)と振動整流係数情報CAに基づいて低減(抑制、抑圧)する補正を行う。
振動整流係数情報CAは、振動振幅の2乗に対する振動整流誤差の比例係数を表す情報である。即ち、振動振幅の2乗と振動整流係数との積が振動整流誤差を近似するように、振動整流係数が設定される。例えば、非線形システム20の製造時、或いは処理システム100の製造時等において非線形システム20の(非線形システム20に固有の)振動整流係数が測定される。振動整流係数情報CAは、その振動整流係数を表す情報である。振動整流係数情報CAは、非線形システム20に固有の情報であり、処理装置10に接続された非線形システム20に応じて異なる振動整流係数情報CAが記憶部40に記憶される。例えば、非線形システム20が物理量センサーである場合、物理量センサーの個体毎に振動整流係数情報CAが異なる。後述するように、振動整流係数情報CAは定数と周波数特性の情報を含んでいる。例えば、定数と周波数特性の両方が非線形システム20に固有の情報であってもよいし、定数が非線形システム20に固有であると共に周波数特性が非線形システム20に非固有(共通)であってもよい。
記憶部40は、例えばメモリー(半導体メモリー(ROM、RAM))や、或いは磁気ディスクドライブ(HDD)、光学ディスクドライブ(DVD、CD)等である。振動整流係数情報CAは、例えば処理システム100の製造時等において予め記憶部40に書き込まれてもよい。或いは、処理装置10の外部の記憶部に振動整流係数情報CAが記憶され、処理装置10の動作時において外部の記憶部から読み出した振動整流係数情報CAが記憶部40に一次的に記憶されてもよい。
処理回路30は、出力信号I(t)と振動整流係数情報CAを用いて、出力信号I(t)に含まれる振動整流誤差を補正するための補正値を求め、その補正値を出力信号I(t)から減算する。即ち、本実施形態では非線形システム20の出力信号I(t)から求めた補正値で出力信号I(t)の振動整流誤差を補正しており、フィードフォワードの補正(制御)になっている。処理回路30は、例えば出力信号I(t)に対してデジタル信号処理を行う場合には、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサーで構成される。或いは出力信号I(t)に対してアナログ信号処理を行う場合には、例えばフィルター回路や増幅回路等のアナログ回路で構成される。デジタル信号処理、アナログ信号処理のいずれの場合においても、処理回路30がASIC(Application Specific IC)で構成されてもよい。
以上の実施形態によれば、出力信号I(t)に含まれる振動整流誤差を、出力信号I(t)と振動整流係数情報CAに基づいて低減(抑制、抑圧)する補正を行うことで、振動整流誤差をフィードフォワードで補正することが可能となる。即ち、振動振幅の2乗と振動整流係数との積が振動整流誤差を近似するので、予め取得されている振動整流誤差の振動整流係数情報CAを記憶部40に記憶しておくことで、その振動整流係数情報CAと出力信号I(t)から振動整流誤差を求め(推定し)、補正することが可能になる。フィードバック制御による補正を行う場合にはフィードバックループの帯域の影響を受けるため、広い信号帯域にわたる補正が困難になる恐れがあるが、本実施形態のようなフィードフォワードの補正を行うことで、広い信号帯域にわたって振動整流誤差を補正することが可能となる。
また本実施形態では、非線形システム20の出力信号は、入力に対して非対称性誤差を含む。記憶部40は、予め取得されている非対称性誤差の非対称性係数情報CBを記憶する。処理回路30は、非線形システム20の出力信号に含まれる非対称性誤差を、非対称性係数情報CBに基づいて低減する補正を行う。
非対称性係数情報CBは、振動振幅に対する非対称性誤差の比例係数を表す情報である。具体的には、振動振幅の絶対値と非対称性係数との積が非対称性誤差を近似するように、非対称性係数が設定される。例えば、非線形システム20の製造時、或いは処理システム100の製造時等において非線形システム20の(非線形システム20に固有の)非対称性係数が測定される。非対称性係数情報CBは、その非対称性係数を表す情報である。非対称性係数情報CBは、非線形システム20に固有の情報であり、処理装置10に接続された非線形システム20に応じて異なる非対称性係数情報CBが記憶部40に記憶される。非対称性係数情報CBは、例えば処理システム100の製造時等において予め記憶部40に書き込まれてもよい。或いは、処理装置10の外部の記憶部に非対称性係数情報CBが記憶され、処理装置10の動作時において外部の記憶部から読み出した非対称性係数情報CBが記憶部40に一次的に記憶されてもよい。
このようにすれば、出力信号I(t)に含まれる非対称性誤差を、出力信号I(t)と非対称性係数情報CBに基づいて低減する補正を行うことで、非対称性誤差をフィードフォワードで補正することが可能となる。即ち、振動振幅の絶対値と振動整流係数との積が非対称性誤差を近似するので、予め取得されている非対称性誤差の非対称性係数情報CBを記憶部40に記憶しておくことで、その非対称性係数情報CBと出力信号I(t)から非対称性誤差を求め(推定し)、補正することが可能になる。フィードフォワードの補正を行うことで、広い信号帯域にわたって非対称性誤差を補正することが可能となる。
2.振動整流誤差、振動整流係数、測定方法
以下、本実施形態の詳細を説明する。まず、振動整流誤差、振動整流係数及びそれらの測定方法について説明する。なお、以下では非線形システム20が加速度センサーである場合を例に説明するが、上述のように非線形システム20は加速度センサーに限定されない。
加速度センサー(非線形システム)への入力をxとし、その入力xに対して加速度センサーが出力する信号値(信号レベル)をy(x)とする。入力xは、加速度センサーに入力された動きの加速度である。信号値y(x)は、加速度センサーによって測定された加速度を表す信号値である。下式(1)に示すように、y(x)をxの多項式で近似する。a、a、a、・・・、aは、各次数の項の係数である。
下式(2)に示すように、入力xを正弦波関数(振動波形)とする。ωは角周波数であり、tは時間であり、rは正弦波関数の振幅(片側振幅)である。
x=x(t)として上式(2)を上式(1)に代入すると、下式(3)のようにy(x)の時間変化を表すy(t)が得られる。
上式(3)のフーリエ級数を2次項まで求めると、下式(4)となる。
上式(4)の右辺の第2項は入力周波数に依存せず且つ入力振幅に比例する項である。下式(5)に示すように、この振幅の2乗に比例する項が振動整流誤差VREである。aは、上式(1)の多項式の2次項の係数である。
図2は、加速度センサーに正弦波振動を入力したとき出力信号のスペクトル例である。上式(4)に示すように、出力信号は、低周波数帯域成分と入力周波数の成分と高調波周波数の成分を含む。図2のスペクトルにおいて、SP1に示すピークが入力周波数の成分であり、SP2に示す複数のピークが高調波周波数の成分であり、SP3に示すスペクトルの盛り上がりが低周波数帯域の誤差に対応する。図2の横軸は周波数の対数軸であり、SP3に示す低周波数帯域成分は、実際には非線形によるVREなどの誤差を示している。
図2のスペクトルにおいて、適切なローパスフィルターを用いることで低周波数帯域信号(即ち、振動整流誤差等)を分離することができる。また、振動整流誤差は入力正弦波の振幅rの2乗に比例するので、下式(6)により比例定数(VRC:Vibration Rectification Coefficient)を測定することができる。
なお、上記では低周波数帯域信号が振動整流誤差のみを含む場合を説明しているが、低周波数帯域信号は振動整流誤差だけでなく非対称性誤差を含んでもよい。以下では、低周波数帯域信号が振動整流誤差及び非対称性誤差(以下、振動整流誤差等)を含み、それらの誤差の両方を補正する場合を主に説明する。
図3は、振動整流係数を測定する測定システム200の構成例である。測定システム200は、信号生成器210(信号生成回路)と、増幅器220と、加振器230(バイブレーター)と、加速度センサー240(非線形システム)と、インターフェース変換器250(インターフェース変換回路)と、PC260(情報処理装置)と、を含む。
信号生成器210は、正弦波信号を生成する。増幅器220は、信号生成器210からの正弦波信号を増幅し、その増幅された正弦波信号を駆動信号として加振器230に出力する。加振器230は、駆動信号により駆動されるアクチュエーターであり、基板270に固定されている。基板270は、駆動信号によって振動されない静止したプレートや台などである。加振器230は、正弦波信号である駆動信号により正弦波振動する。加速度センサー240は、加振器230に装着(固定)される。加振器230の振動方向は、加速度センサー240の検出軸方向である。加速度センサー240は、入力された振動の加速度を測定し、その測定した加速度を表す出力信号を出力する。インターフェース変換器250は、加速度センサー240からの出力信号を、PC260が受信可能なインターフェース方式の信号に変換する。PC260は、インターフェース変換器250からの信号に基づいて振動整流係数等を測定する。
図4は、加速度センサー240の出力信号(振動応答)の波形例である。加振器230が加速度センサー240に加える振動の振幅は、時間t1から時間t2まで徐々に増加し、時間t2からt3まで徐々に減少する。それにともなって、加速度センサー240の出力信号の振幅が、時間t1から時間t2まで徐々に増加し、時間t2からt3まで徐々に減少する。このように振幅を変化させることで、図8で後述するような振動振幅に対する振動整流誤差等の関係(関数)を得ることが可能となる。
図5は、図4の出力信号(振動応答)の波形のスペクトル例である。PC260は、加速度センサー240の出力信号に対して、図5のCHPに示す周波数特性のハイパスフィルター処理を行い、高周波数帯域の応答を抽出する。そして、抽出した高周波数帯域の応答波形の絶対値に対してローパスフィルター処理を行い、その信号に波高率(π/2)を乗算して振動応答の振幅(包絡線の信号レベル)を求める。図6は、加速度センサー240の出力信号(振動応答)の振幅の波形例である。なお、ハイパスフィルターを用いずに、バイアス誤差を除いた加速度センサー240の出力信号の絶対値をローパスフィルター処理し、その信号に波高率を乗算して振動応答の振幅を求めてもよい。
また、PC260は、加速度センサー240の振動振幅出力信号に対して、図5のCLPに示す周波数特性のローパスフィルター処理を行い、低周波数帯域の応答を抽出する。この低周波数帯域の応答は、図4に示す振動応答に含まれる振動整流誤差及び非対称性誤差に対応する。図7は、測定された振動整流誤差等の波形例である。
なお、包絡線振幅を求めるためのローパスフィルターと振動整流誤差等を求めるためのローパスフィルターは、同一の特性のフィルターであっても良い。このとき用いるローパスフィルターのカットオフ周波数は、正弦波振動を入力した時の出力波形の包絡線の変動の周波数範囲以上に設定する。即ち、ローパスフィルターの通過周波数帯域は、正弦波振動を入力した時の出力波形の包絡線の変動の周波数帯域範囲以上に設定する。また、ローパスフィルターのカットオフ周波数は、駆動信号以上の周波数を阻止するように、駆動信号周波数以下に設定する。
図8は、加速度センサーに正弦波振動を入力した時の包絡線振幅と低周波数帯域信号(振動整流誤差等)の相関を示す図である。即ち、図6の振幅を横軸にプロットし、その振幅に対応する(同じ時間の)図7の低周波数帯域信号(振動整流誤差等)を縦軸にプロットしたものである。この図8の関係を、下式(7)に示す2次多項式で近似する。A、B、Cは2次多項式の各項の係数である。d(r)は振幅rにおける低周波数域のドリフト量である。ドリフト量は、加速度センサー240の非線形性によって生じる誤差の総量である。
上式(7)の2次項は振動整流誤差に対応し、その係数(A)は、下式(8)に示すように振動整流係数VRCに対応する。図9は、上式(7)の2次項による入出力関係の歪みを示す図である。横軸は加速度センサーへの入力であり、縦軸は加速度センサーの出力である。点線は線形な場合の入出力関係を示している。図9に示すように、出力が入力の2次項を含む場合に振動整流誤差が発生する。2次項が上に凸か下に凸かで振動整流係数の正負が変わる。
上式(7)の1次項は非対称性誤差に対応し、その係数(B)は、非対称性係数に対応する。図10は、上式(7)の1次項による入出力関係の歪みを示す図である。図10に示すように、正の入力に対する出力の傾きと、負の入力に対する出力の傾きとが異なる場合に、非対称性誤差が発生する。
上式(7)の0次項(定数項)は、オフセットに対応する。入力がゼロのときに出力がゼロにならない(即ち図9や図10の点線で示す直線が縦軸方向に平行移動している)場合に、オフセットが発生する。
図11は、係数を測定する処理の手順を示すフローチャートである。この処理が開始されると、加振器230が加速度センサー240に振動を印加し、PC260が応答を測定する(ステップS1)。即ち、加速度センサー240の出力信号を取得する。次に、PC260が応答のオフセットを除去する(ステップS2)。即ち、加速度センサー240の出力信号からDC成分を除去し、AC成分を抽出する。以下、この信号をAC成分信号と呼ぶ。または、駆動信号の印可される直前の加速度センサーの出力をバイアスオフセットとして引き算し、AC成分を抽出する。
次に、PC260が、AC成分信号の絶対値を計算する(ステップS3)。次に、PC260が、絶対値にローパスフィルター処理を行い、低周波数帯域の信号を応答の振幅として取得する(ステップS4)。次に、応答の振幅に波高率を乗算し、応答の包絡線振幅を取得する(ステップS5)。ステップS3〜S5は、上述した図6の振幅を取得する処理に対応している。また、PC260は、AC成分信号にローパスフィルター処理を行い、低周波数帯域の信号を取得する(ステップS6)。ステップS6は、上述した図7の低周波数帯域の信号を取得する処理に対応している。
次に、包絡線振幅と低周波数帯域の信号の相関を2次多項式で近似する(ステップS7)。次に、近似で得られた2次多項式の2次項の係数から振動整流係数(VRC)を求め、1次項の係数を非対称性係数とする(ステップS8)。ステップS7、S8は、図8で説明した振動整流係数と非対称性係数を求める処理に対応している。
振動の印加においては、既知の振動振幅で、既知の振動周波数を加速度センサー240に印加する。即ち、加速度センサー240に印加する振動はランダム振動ではない。加速度センサー240に印加される既知の振動の振幅は少なくとも1つ以上設定され、その既知の振動の周波数は少なくとも1つ以上設定される。例えば図4の例では、振幅を時間的に変化させながら一定の周波数の振動を加速度センサー240に印加している。これと同様の測定を複数の周波数で行い、各周波数についての振動整流係数と非対称性係数を求める。
なお、図12に示すように、加速度センサー240に入力する振動波形の振幅をステップ状に変化させてもよい。加速度センサー240の出力信号をローパスフィルター処理して低周波数帯域の信号を取得することで、振幅の各ステップにおけるドリフト量が得られる。また、振動の印加の直前の加速度センサー出力信号をバイアスオフセットとして引き算したのち、ローパスフィルター処理して低周波数帯域の信号を取得することで、振幅の各ステップにおけるドリフト量が得られる。これを図8と同様の手法でプロットし、振幅とドリフト量の関係を2次多項式で近似することで、振動整流係数と非対称性係数が得られる。
以上の実施形態によれば、以下の測定方法により振動整流係数情報を取得する。即ち、入力に対して振動整流誤差を含む出力信号を出力する非線形システム20に振動を入力し、非線形システム20の出力信号に含まれている振幅と低周波数域の信号とを取得し、振幅と低周波数域の信号との関係を多項式近似して得られる多項式の2次項の係数に基づいて振動整流係数情報を取得する。
また、入力に対して非対称性誤差を含む出力信号を出力する非線形システムに振動を入力し、非線形システムの出力信号に含まれている振幅と低周波数帯域信号とを取得し、振幅と低周波数帯域の信号との関係を多項式近似して得られる多項式の1次項の係数を表す情報に基づいて非対称性係数情報を取得する。
このような測定手法を用いることで、振幅と低周波数帯域の信号との関係を取得し、その関係を多項式近似して得られる多項式の2次項の係数に基づいて振動整流係数を測定できる。また、多項式の1次項の係数に基づいて非対称性係数を測定できる。後述するように、多項式近似を用いることで振動整流係数及び非対称性誤差を正確に測定できる。また、多項式近似を用いることで振動整流誤差と共に非対称性誤差を測定できる。
なお、振動整流係数の周波数特性を以下のように測定してもよい。即ち、加速度センサー240に対して既知の振幅の振動を入力し、その振動の周波数を既知の第1の周波数から既知の第2の周波数までスイープ(掃引)する。
下式(9)に示すように、周波数スイープした駆動信号に対する加速度センサーのバイアスを除去した出力信号(振動応答)の絶対値に波高率を乗算し、ローパスフィルター処理した出力振幅rを求める。r(f)sin(2πf)は加速度センサーの出力信号であり、π/2は波高率である。HLP(s)はローパスフィルターの伝達関数である。
周波数fにおける振動整流係数VRC(f)は下式(10)により求める。VRE(f)は、周波数fにおける低周波数帯域の信号である。r(f)は周波数fにおける振幅である。VRE(f)は、周波数fにおける加速度センサー240の出力信号をローパスフィルター処理して得られる低周波数帯域の信号である。
3.補正手法
上述の測定手法で求めた振動整流係数と非対称性係数を用いて加速度センサー240(非線形システム)の出力信号を補正する手法を説明する。
低周波数帯域のドリフト量d(I(t))は、振動応答である加速度センサー240の出力信号の信号値をI(t)として、下式(11)と表される。
下式(12)、(13)に示すように、上式(11)で表されるドリフト量d(I(t))を振動応答I(t)から減算することによって、非線形誤差(振動整流誤差と非対称性)を抑制することができる。I(t)は、補正後の振動応答(補正後の加速度センサー240の出力信号の信号値)である。
振動整流係数及び非対称性係数は、加速度センサー240に入力した振動の周波数によって変化し、周波数特性を有する。図13は、振動整流係数の周波数特性例である。
任意の入力振動周波数における振動振幅に起因する低周波数域のドリフト量をd(I(t),s)とする。また、振動整流係数の周波数特性をA(s)とし、非対称性係数の周波数特性をB(s)とする。このとき、ドリフト量d(I(t),s)は下式(14)となる。
振動整流係数の周波数特性A(s)を定数Aと周波数特性H (s)に分離し、非対称係数の周波数特性B(s)を定数Bと周波数特性H(s)に分離して考える。即ち、振動整流係数の周波数特性をA(s)=A×H (s)とし、非対称性係数の周波数特性をB(s)=B×H(s)とする。これにより上式(14)を下式(15)のように変形できる。即ち、周波数特性H(s)、H(s)を近似したフィルターで振動応答I(t)をフィルタリングすることで、各係数の周波数特性を近似できる。そして、定数A、Bを乗じることで、定数及び周波数特性を含めた各係数を近似できる。
上式(15)より、補正後の振動応答I(t)は下式(16)となる。
図13の例では、振動整流係数が0となる周波数f1から低周波数帯域側をローパスフィルターで近似し、周波数f1から高周波数帯域側をハイパスフィルターで近似することで、振動整流係数の周波数特性を近似できる。図14は、そのようなローパスフィルターの周波数特性H2LP(s)と、ハイパスフィルターの周波数特性H2HP(s)の例である。
これら2つのフィルターの組み合わせによって、下式(17)のように振動整流係数を近似できる。図15は、2つのフィルターによる振動整流係数の近似を示す図である。振動整流係数の周波数特性の(即ち、振動整流係数の符号の)極性は、振動整流誤差の変動極性(変動方向の符号)を表している。振動整流係数が負になっている周波数帯域を近似するハイパスフィルターは、この帯域の振動整流係数の符号によって極性が決定する。
ローパスフィルターのカットオフ周波数、及びハイパスフィルターのカットオフ周波数は、図15のようにフィッティングした際に振動整流係数の周波数特性を近似するように設定しておく。すなわち、係数情報の周波数特性の形状によって、それぞれの分割した帯域の近似によるフィルター利得が、それぞれのフィルターの係数情報となる。一例では、振動整流係数の周波数特性A(s)を近似したパスフィルタH2HP(s)の利得はAHPとなる。このフィルター特性による帯域分割は、振動整流係数の周波数特性が0となる周波数f1を中心に分割することが望ましい。例えば、ローパスフィルターのカットオフ周波数はf1以下であり、ハイパスフィルターのカットオフ周波数はf1以上である。
図16は、フィルターの周波数特性で近似した振動整流係数による補正結果を示す図である。実線は、測定された振動整流係数を示し、点線は、測定された振動整流係数と、フィルターの周波数特性で近似した振動整流係数との差分を示す。
近似した振動整流係数を用いて振動整流誤差を補正した振動応答I(t)は下式(18)となる。
本実施形態では、フィルターによって分割される周波数帯域のそれぞれの定数ALP、AHPと周波数特性H2LP(s)、H2HP(s)を予め測定し、その情報を記憶した記憶部40から読み出して処理回路30が上式(18)の演算を行うことで、振動整流誤差を補正する。なお、上式(16)のように振動応答I(t)から振動整流誤差及び非対称性誤差を減算する補正を行ってもよいし、或いは上式(18)のように振動応答I(t)から振動整流誤差のみを減算する補正を行ってもよい。例えば、振動整流誤差に比べて非対称性誤差が十分小さい場合には、振動整流誤差のみを補正してもよい。
非対称性係数の周波数特性H(s)についても、振動整流係数と同様の手法によりフィルターの周波数特性で近似する。なお、非対称性係数の周波数特性を振動整流係数の周波数特性と同じとみなしてもよい。この場合、非対称性係数の周波数特性の測定を省略してもよい。非対称性係数の定数Bと周波数特性H(s)を予め測定し、その情報を記憶した記憶部40から読み出して処理回路30が上式(16)の演算を行うことで、非対称性係数(及び振動整流誤差)を補正する。なお、下式(19)に示すように、振動応答I(t)から非対称性誤差のみを減算する補正を行ってもよい。例えば、非対称性誤差に比べて振動整流誤差が十分小さい場合には、このような補正を行ってもよい。
図17は、振動整流係数の周波数特性の例である。図17の例では、周波数f2、f3で振動整流係数が0になっている。このような場合、下式(20)に示すように、周波数f2以下の周波数特性をローパスフィルターで近似し、周波数f2からf3までの周波数特性をバンドパスフィルターで近似し、周波数f3以上の周波数特性をハイパスフィルターで近似する。
なお、下式(21)に示すように、複数のフィルターとフィルター帯域に対応する振動整流係数の積の和によって、任意の振動整流係数の周波数特性をトレースできる。ここで、kは1以上の整数であり、それぞれの周波数帯域を示す番号である。
以上の実施形態によれば、振動整流係数情報は、振動整流係数の定数Aを表す振動整流係数の定数情報と、振動整流係数の周波数特性H(s)を表す振動整流係数の周波数特性情報と、を含む。周波数特性情報は、例えばデジタル信号処理では周波数特性H(s)を実現するフィルター係数であり、或いはアナログ信号処理ではフィルターの周波数特性を可変に制御するパラメーター(例えばフィルターに含まれる抵抗の抵抗値や、キャパシターの容量値等を設定する設定値)である。
このようにすれば、定数Aについての補正と周波数特性H(s)についての補正を分離できる。具体的には、上式(15)、(16)で説明したように、非線形システム20の出力信号に対して周波数特性H(s)のフィルター処理を行うことで、振動整流係数の周波数特性についての補正を行い、そのフィルター処理の出力に定数Aを乗じることで、振動整流係数の定数についての補正を行うことができる。これにより、補正処理の負荷を軽減できる。例えば、仮に各周波数の成分に対して、その周波数での係数を乗じる演算を行おうとすると、非線形システム20の出力信号をフーリエ変換し、その各周波数の成分に係数を乗算し、その乗算結果を逆フーリエ変換することになる。このような定数と周波数特性を分離しない手法は高速にフーリエ変換を行う必要があるため、処理負荷が大きい。本実施形態では、フィルター処理で周波数特性についての補正を実現しているので、処理負荷を軽減できる。
また本実施形態では、非線形システム20は、センサーを有し、センサーの検出信号又は検出信号に基づく信号を出力信号として出力する。振動整流係数情報CAの定数情報は、センサーごとに予め取得されている情報である。例えば、センサーは、物理量を電気信号に変換する物理量トランスデューサー(物理量検出素子)である。例えば、加速度センサーの検出素子(例えば水晶振動子、MEMS振動子等)である。非線形システム20は、センサーの検出信号をそのまま出力信号として出力してもよいし、検出信号を信号処理してから出力してもよい。例えば、物理量トランスデューサーの検出回路(例えば加速度センサーやジャイロセンサー等の検出回路)は、物理量トランスデューサーの検出信号から物理量を抽出し、その物理量を表す信号を出力信号として出力する。
上述のように振動整流係数情報CAは定数Aと周波数特性H(s)の情報を含むが、定数Aはセンサー毎に(例えばセンサーの個体毎に)異なる。一方、周波数特性H(s)は、ほぼ検出回路の周波数特性で決まっており、検出回路が同じであれば周波数特性H(s)を共通化してもよい。このことから、振動整流係数情報CAの定数情報をセンサーごとに予め取得されている情報として記憶しておけばよい。周波数特性H(s)については、センサー毎に予め取得した情報であってもよいし、センサーに依らず共通化してもよい。周波数特性を共通化した場合には、周波数特性を1回測定し、定数のみを各センサーで測定すればよいので、振動整流係数の測定を簡素化できる。
また本実施形態では、処理回路30は、振動整流係数の周波数特性H(s)のフィルター処理を非線形システム20の出力信号に対して行う。振動整流係数の周波数特性情報は、フィルター処理の周波数特性として振動整流係数の周波数特性H(s)を設定するフィルター処理の係数情報である。
このようにすれば、予め取得された周波数特性情報に基づいてフィルター処理の周波数特性を設定し、振動整流誤差の周波数特性H(s)に対応した周波数特性のフィルター処理を非線形システム20の出力信号に対して行うことができる。上述したように、フィルター処理で周波数特性についての補正を行うことで、補正処理の負荷を軽減できる。
また本実施形態では、処理回路30は、非線形システム20の出力信号に対して、振動整流係数の周波数特性情報が表す振動整流係数の周波数特性H(s)のフィルター処理を行い、フィルター処理後の信号に対して2乗演算を行い、2乗演算後の信号と、振動整流係数の定数情報が表す振動整流係数の定数Aとを乗算して振動整流誤差の補正値を求め、求められた補正値を出力信号から減算する。なお、補正値の符号を反転した値を求め、その値を出力信号に加算してもよい。即ち、このような加算も、「補正値を出力信号から減算する」ことに含まれる。
このような演算により、上式(18)のような補正演算が実現される。即ち、非線形システム20の出力信号に対して、振動整流誤差係数の周波数特性に近似した一つ以上のフィルター特性の2乗値とフィルター周波数帯域の係数と出力信号の2乗値を乗算した値の和によって、振動整流誤差が算出され、これを出力信号から減算して補正が実現される。
また本実施形態では、図8で説明したように、非線形システム20に入力として正弦波振動を入力したときに、非線形システム20の出力信号の振幅と出力信号に含まれている低周波数帯域信号との関係を多項式近似することで多項式(上式(7))の各項係数が得られる。振動整流係数情報CAは、この多項式の2次項の係数(A)に基づく情報(上式(8))である。2次項の係数に基づく情報は、具体的には、振動整流係数の定数情報(例えば上式(17)のALP、AHP)と周波数特性情報(例えば上式(17)のH2LP(s)、H2HP(s))である。
このように、振幅を変化させて振幅と低周波数帯域の信号との関係を取得し、その関係を多項式近似することで、正確に振動整流係数を測定できる。例えば、1つの振幅に対する振動整流誤差から上式(6)により振動整流係数を求めた場合よりも、多項式近似を用いた方が正確に振動整流誤差を測定できると期待される。また、多項式近似を用いることで、上式(7)に示すように振動整流係数(A)だけでなく非対称性係数(B)を求めることができる。
また本実施形態では、図9で説明したように、振動整流係数情報は、非線形システムの入出力の関係を多項式近似して得られる多項式の2次項の係数に基づく情報である。非線形システムの入出力の関係は、非線形システムに対する入力と、その入力に対する非線形システムの出力(応答)との間の関係である。例えば、上述の加速度センサーでは、入力加速度と加速度の検出信号との間の関係が、非線形システムの入出力の関係に該当する。或いは、入力電圧によって出力信号の周波数が制御される信号生成システムでは、入力電圧と出力信号の周波数との間の関係が、非線形システムの入出力の関係に該当する。
このように、上述の振動を用いた手法だけでなく、入力を変化させて入出力の関係を取得し、その関係を多項式近似し、その多項式の2次項の係数に基づいて振動整流係数を求める手法によっても、振動整流係数を取得できる。
なお、本実施形態によれば、非対称性誤差の補正が以下のように実現される。即ち、図1に示す非対称性係数情報CBは、非対称性係数の定数Bを表す非対称性係数の定数情報と、非対称性係数の周波数特性H(s)を表す非対称性係数の周波数特性情報と、を含む。周波数特性情報は、例えばデジタル信号処理では周波数特性H(s)を実現するフィルター係数であり、或いはアナログ信号処理ではフィルターの周波数特性を可変に制御するパラメーター(例えばフィルターに含まれる抵抗の抵抗値や、キャパシターの容量値等を設定する設定値)である。
このようにすれば、定数Bについての補正と周波数特性H(s)についての補正を分離できる。具体的には、上式(15)、(16)で説明したように、非線形システム20の出力信号に対して周波数特性H(s)のフィルター処理を行うことで、非対称性係数の周波数特性についての補正を行い、そのフィルター処理の出力に定数Bを乗じることで、非対称性係数の定数についての補正を行うことができる。これにより、補正処理の負荷を軽減できる。
また本実施形態では、非対称性係数の定数情報は、センサーごとに予め取得されている情報である。
上述のように非対称性係数情報は定数Bと周波数特性H(s)の情報を含むが、定数Bはセンサー毎に(例えばセンサーの個体毎に)異なる。一方、周波数特性H(s)は、ほぼ検出回路の周波数特性で決まっており、検出回路が同じであれば周波数特性H(s)を共通化してもよい。このことから、非対称性係数情報の定数情報をセンサーごとに予め取得されている情報として記憶しておけばよい。周波数特性H(s)については、センサー毎に予め取得した情報であってもよいし、センサーに依らず共通化してもよい。周波数特性を共通化した場合には、周波数特性を1回測定し、定数のみを各センサーで測定すればよいので、非対称性係数の測定を簡素化できる。
また本実施形態では、処理回路30は、非対称性係数の周波数特性H(s)のフィルター処理を非線形システム20の出力信号に対して行う。非対称性係数の周波数特性情報は、フィルター処理の周波数特性として非対称性係数の周波数特性を設定するフィルター処理の係数情報である。
このようにすれば、予め取得された周波数特性情報に基づいてフィルター処理の周波数特性を設定し、非対称性誤差の周波数特性H(s)に対応した周波数特性のフィルター処理を非線形システム20の出力信号に対して行うことができる。上述したように、フィルター処理で周波数特性についての補正を行うことで、補正処理の負荷を軽減できる。
また本実施形態では、処理回路30は、非線形システム20の出力信号に対して、非対称性係数の周波数特性情報が表す非対称性係数の周波数特性H(s)のフィルター処理を行い、フィルター処理後の信号に対して絶対値を演算し、絶対値演算後の信号と、非対称性係数の定数情報が表す非対称性係数の定数Bとを乗算して非対称性誤差の補正値を求め、求められた補正値を非線形システム20の出力信号から減算する。
このような演算により、上式(16)のような補正演算が実現される。即ち、非線形システム20の出力信号に対して、非対称性係数の周波数特性に近似したフィルター特性の絶対値とフィルター周波数帯域の係数と出力信号の絶対値を乗算した値によって、非対称性係数が算出され、これを出力信号から減算して補正が実現される。なお、振動整流誤差の場合と同様に、非対称性係数の周波数特性に近似した複数のフィルター特性を用いてもよい。この場合、各フィルター特性について求めた乗算値の和によって、非対称性係数を算出する。
また本実施形態では、非対称性係数情報は、非線形システム20に入力として正弦波振動を入力したときに、非線形システムの出力信号の振幅と出力信号に含まれている低周波数帯域信号との関係を多項式近似して得られる多項式の1次項の係数に基づく情報である。2次項の係数に基づく情報は、具体的には、非対称性係数の定数情報(例えば上式(16)のB)と周波数特性情報(例えば上式(16)のH(s))である。
このように、振幅を変化させて振幅と低周波数帯域の信号との関係を取得し、その関係を多項式近似することで、正確に非対称性係数を測定できる。例えば、1つの振幅に対する非対称性誤差から上式(6)により非対称性係数を求めた場合よりも、多項式近似を用いた方が正確に非対称性係数を測定できると期待される。
4.詳細な構成例
図18は、処理システム100の第1の詳細な構成例である。図18では、非線形システム20が検出器50(物理量センサー)とA/D変換器60(A/D変換回路)とを含む。また、A/D変換器60はカウンターなどの計数器でもよい。また、処理装置10が補正器11、12(補正部、補正回路)と加算器13、14(加算部、加算回路)とバイアス調整器15(バイアス調整部、バイアス調整回路)とを含む。
検出器50は、物理量を検出し、その検出した物理量に対応する信号(物理量の情報を含む信号)を出力する。A/D変換器60は、検出器50からの信号をA/D変換し、デジタルの出力信号(物理量を表す信号)を出力する。
バイアス調整器15は、A/D変換器60の出力信号からオフセット成分(バイアス成分)を除去する。例えばバイアス調整器15はハイパスフィルターや、オフセット成分の減算器(加算器)等である。以下では、バイアス調整器15の出力信号をI(t)とする。
補正器11は、高周波数帯域における振動整流誤差及び非対称性誤差を演算する。補正器11は、フィルター111、2乗演算器112、乗算器113、114、遅延器115、メモリー116、117、絶対値回路118を含む。メモリー116は、振動整流係数の定数AHPと周波数特性H2HP(s)の情報とを記憶している。周波数特性H2HP(s)の情報は、周波数特性H2HP(s)を実現するためのデジタルフィルターのフィルター係数である。フィルター111には、メモリー116に記憶されたフィルター係数が設定され、フィルター111は、I(t)に対して周波数特性H2HP(s)のハイパスフィルター処理を行う。2乗演算器112は、フィルター111の出力信号を2乗する。乗算器113は、メモリー116に記憶された定数AHPに基づいて2乗演算器112の出力信号に−2AHPを乗算する。絶対値回路118はフィルター111の出力信号の絶対値を計算する。乗算器114は、メモリー117に記憶された定数Bに基づいて絶対値回路118の出力信号に−2Bを乗算する。遅延器115は、I(t)を所与の時間だけ遅延させる。遅延時間は、フィルター111、2乗演算器112、乗算器113、114における演算時間に合わせる。なお、絶対値回路118を省略し、絶対値回路118の機能を乗算器114が実行してもよい。即ち、乗算器114が、フィルター111の出力信号の極性符号が正である場合、フィルター111の出力信号に−2Bを乗算し、フィルター111の出力信号の極性符号が負である場合、フィルター111の出力信号に2B(=−1×−2B)を乗算する。
加算器13は、乗算器113の出力信号と乗算器114の出力信号と遅延器115の出力信号とを加算する。
補正器12は、低周波数帯域における振動整流誤差を演算する。補正器12は、フィルター121、2乗演算器122、乗算器123、遅延器124、メモリー125を含む。メモリー125は、振動整流係数の定数ALPと周波数特性H2LP(s)の情報とを記憶している。周波数特性H2LP(s)の情報は、周波数特性H2LP(s)を実現するためのデジタルフィルターのフィルター係数である。フィルター121には、メモリー125に記憶されたフィルター係数が設定され、フィルター121は、加算器13の出力信号に対して周波数特性H2LP(s)のローパスフィルター処理を行う。2乗演算器122は、フィルター121の出力信号を2乗する。乗算器123は、メモリー125に記憶された定数ALPに基づいて2乗演算器122の出力信号に−2ALPを乗算する。遅延器124は、加算器13の出力信号を所与の時間だけ遅延させる。遅延時間は、フィルター121、2乗演算器122、乗算器123における演算時間に合わせる。
加算器14は、乗算器123の出力信号と遅延器124の出力信号とを加算し、補正後の出力信号であるI(t)を出力する。以上の演算により、下式(22)のI(t)が得られる。ここでは、非対称性係数の周波数特性をH(s)=H2HP(s)とみなしている。
補正器11、12、加算器13、14、バイアス調整器15は、個々のハードウェア(ロジック回路)で構成されてもよいし、或いはCPU等のプロセッサーによる処理で実現されてもよい。プロセッサーによる処理で実現する場合には、補正器11、12、加算器13、14、バイアス調整器15の動作を記述したプログラムをメモリーに記憶しておき、そのプログラムをプロセッサーがロードして実行することで、補正器11、12、加算器13、14、バイアス調整器15の動作が処理として実現される。
メモリー116、117、125は図1の記憶部40に対応している。メモリー116、117、125は1体のメモリーとして構成されてもよいし、個別のメモリーとして構成されてもよい。
なお、処理装置10の構成は図18に限定されず、補正の演算式に応じた構成とすればよい。例えば、図17のように3つのフィルターを用いて振動整流係数の周波数特性を近似する場合には、その3つのフィルターに対応して3つの補正器及び加算器を設ければよい。或いは、振動整流係数と非対称性係数の周波数特性が異なる場合には、それぞれの周波数特性を近似するフィルターに対応した補正器を設ければよい。
図19は、処理システム100の第2の詳細な構成例である。図19では、処理装置10が補正器31、32、33(補正部、補正回路)と遅延器34と加算器35(加算部、加算回路)とバイアス調整器15(バイアス調整部、バイアス調整回路)とを含む。なお、既に説明した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、その構成要素の説明を適宜省略する。
補正器31は、低周波数帯域における振動整流誤差を演算する。補正器31は、フィルター131、2乗演算器132、乗算器133、メモリー134を含む。フィルター131には、メモリー134に記憶されたフィルター係数が設定され、フィルター131は、I(t)に対して周波数特性H2LP(s)のローパスフィルター処理を行う。2乗演算器132は、フィルター131の出力信号を2乗する。乗算器133は、メモリー134に記憶された定数ALPに基づいて2乗演算器132の出力信号に−2ALPを乗算する。
補正器32は、高周波数帯域における振動整流誤差を演算する。補正器32は、フィルター141、2乗演算器142、乗算器143、メモリー144を含む。フィルター141には、メモリー144に記憶されたフィルター係数が設定され、フィルター141は、I(t)に対して周波数特性H2HP(s)のハイパスフィルター処理を行う。2乗演算器142は、フィルター141の出力信号を2乗する。乗算器143は、メモリー144に記憶された定数AHPに基づいて2乗演算器142の出力信号に−2AHPを乗算する。
補正器33は、非対称性誤差を演算する。補正器51は、フィルター151、乗算器152、メモリー153、絶対値回路154を含む。フィルター151には、メモリー153に記憶されたフィルター係数が設定され、フィルター151は、I(t)に対して周波数特性H(s)のフィルター処理を行う。絶対値回路154はフィルター151の出力信号の絶対値を計算する。具体的には、フィルター151の出力信号の極性符号によって条件分岐し、負極性の場合にフィルター151の出力信号に−1を乗算することで絶対値を求める。乗算器152は、メモリー153に記憶された定数Bに基づいて絶対値回路154の出力信号に−2Bを乗算する。
遅延器34は、I(t)を所与の時間だけ遅延させる。遅延時間は、補正器31、32、33における演算時間に合わせる。
加算器35は、乗算器133、143、152の出力信号と遅延器34の出力信号とを加算し、補正後の出力信号であるI(t)を出力する。
なお、処理装置10の構成は図19に限定されず、補正の演算式に応じた構成とすればよい。例えば、図17のように3つのフィルターを用いて振動整流係数の周波数特性を近似する場合には、その3つのフィルターに対応した3つの補正器と、非対称性誤差を演算する補正器と、を設ければよい。或いは、振動整流係数と非対称性係数の周波数特性が同一とみなせる場合には、振動整流誤差を求める補正器と非対称性誤差を求める補正器とを共通化してもよい。
また、補正器31、32、33、遅延器34、加算器35、バイアス調整器15は、個々のハードウェア(ロジック回路)で構成されてもよいし、或いはCPU等のプロセッサーによる処理で実現されてもよい。プロセッサーによる処理で実現する場合には、補正器31、32、33、遅延器34、加算器35、バイアス調整器15の動作を記述したプログラムをメモリーに記憶しておき、そのプログラムをプロセッサーがロードして実行することで、補正器31、32、33、遅延器34、加算器35、バイアス調整器15の動作が処理として実現される。
また、処理装置10に入力されるI(t)がアナログ信号である場合、図18、図19の処理装置10がアナログ回路により実現されてもよい。即ち、フィルター、2乗演算器、乗算器、絶対値回路、加算器を、それらと同様な演算を行うアナログ回路で構成すればよい。
5.非線形システムの例
図20は、非線形システム20の第1の詳細な構成例である。図20には、加速度センサーの一例を示す。加速度センサー(非線形システム20)は、音叉型水晶振動子21、梁部22、固定部23、発振回路24、カウンター29(検出回路)を含む。
音叉型水晶振動子21の一端は梁部22の一端に固定され、他端は梁部22の他端に固定される。固定部23は、例えば加速度センサーモジュールの基板又はパッケージに固定されており、梁部22の一端が固定部23に固定される。音叉型水晶振動子21は発振回路24により駆動され、音叉型水晶振動子21の固有の発振周波数で発振(振動)する。加速度センサー或いは加速度センサーを内蔵する機器等に外力が働くと梁部22の他端に慣性力が加わり、梁部22の一端側を固定端として梁部22が変形する(たわむ)。方向D1に加速度が生じた場合、方向D2に慣性力が生じ、梁部22の変形により音叉型水晶振動子21の張力が増加する。この場合、発振周波数が高くなる方向に変化する。一方、方向D2に加速度が生じた場合、方向D1に慣性力が生じ、梁部22の変形により音叉型水晶振動子21の張力が低下する。この場合、発振周波数が低くなる方向に変化する。カウンター29は、発振回路24の発振信号でカウント動作を行っている。発振周波数が高くなるとカウント値が増加し、発振周波数が低くなるとカウント値が低下する。このカウント値を加速度の検出結果として出力する。上述したバイアス調整器15は、例えば基準となるカウント値(加速度がゼロのときの発振周波数に対応したカウント値)を、カウンターが出力するカウント値から減算することで、バイアス調整を行う。
音叉型水晶振動子21及び発振回路24、カウンター29の少なくとも1つが非線形性を有する場合、入力加速度に対して加速度センサーの出力信号は非線形性を有する。本実施形態では、このような非線形性による振動整流誤差及び非対称性誤差の少なくとも一方をフィードフォワードの補正により低減できる。
図21は、非線形システム20の第2の詳細な構成例である。図21には、交流信号生成回路の一例を示す。交流信号生成回路(非線形システム20)は、信号生成回路25と振幅調整回路26とを含む。
信号生成回路25は、設定信号FCNTで設定される周波数の交流信号を生成する。例えば、設定信号FCNTにより発振周波数が可変に制御される発振回路である。振幅調整回路26は、信号生成回路25からの交流信号の振幅を、設定信号GCNTで設定される振幅に調整する。例えば、設定信号GCNTによりゲインが可変に制御される増幅器である。
信号生成回路25及び振幅調整回路26の少なくとも1つが非線形性を有する場合、入力に対して交流信号生成回路の出力信号は非線形性を有する。この場合の入力は、設定信号FCNT、GCNTによって設定される周波数及び振幅の理想的な正弦波信号と考えることができる。その理想的な正弦波信号に対して出力信号に歪み(非線形性)があれば、振動整流誤差及び非対称性誤差の少なくとも一方が発生する。本実施形態では、フィードフォワードの補正を行うので、非線形システム20に対してフィードバック制御を行う必要がない。このため、補正対象が限定されず、本実施形態の処理装置10を、交流信号生成回路等を含む種々の非線形システム20に対して適用することが可能である。
6.物理量測定装置
図22は、本実施形態の処理装置10を含む物理量測定装置300の構成例である。物理量測定装置300は、非線形システム20と処理装置10とを含む。非線形システム20(物理量センサー)は、物理量トランスデューサー27と検出回路28とを含む。
物理量トランスデューサー27は、物理量を検出し、その検出した物理量の情報を含む検出信号を出力する。例えば、加速度センサーの検出素子(水晶振動子、MEMS振動子等)、或いはジャイロセンサーの検出素子(水晶振動子、MEMS振動子等)、温度センサーの検出素子、圧力センサーの検出素子、光センサーの検出素子等である。検出回路28は、物理量トランスデューサー27からの検出信号から物理量を抽出し、その抽出した物理量に対応した信号を出力する。例えば、検出回路28は、増幅器や整流器、フィルター、A/D変換器等を含んでもよい。処理装置10は、検出回路28からの出力信号から振動整流誤差及び非対称性誤差の少なくとも一方を低減する補正を行う。このようにして、物理量トランスデューサー27に対して入力された物理量に対して、線形な関係を有する信号が得られる。
例えば、物理量センサー(非線形システム20)と処理装置10がモジュール化され、物理量測定装置300が一体のモジュールとして構成されてもよい。或いは、物理量センサーと処理装置10が別体に構成され、ケーブル等で接続されてもよい。また、図22では物理量センサーが1つである場合を例に説明したが、物理量測定装置300が複数の物理量センサーを含んでもよい。この場合、物理量センサーの各々について振動整流係数と非対称性係数が予め測定される。それらの係数は記憶部40に記憶され、処理回路30は、補正処理を行う物理量センサーに対応した係数を記憶部40から読み出し、補正処理を行う。
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本発明の範囲に含まれる。また非線形システム、処理装置、処理システム、物理量測定装置の構成及び動作等も、本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
10…処理装置、11,12…補正器、13,14…加算器、15…バイアス調整器、
20…非線形システム、21…音叉型水晶振動子、22…梁部、23…固定部、
24…発振回路、25…信号生成回路、26…振幅調整回路、
27…物理量トランスデューサー、28…検出回路、29…カウンター、
30…処理回路、31,32,33…補正器、34…遅延器、35…加算器、
40…記憶部、50…検出器、51…補正器、60…A/D変換器、
100…処理システム、111…フィルター、113,114…乗算器、
115…遅延器、116,117…メモリー、118…絶対値回路、
121…フィルター、123…乗算器、124…遅延器、125…メモリー、
131…フィルター、133…乗算器、134…メモリー、141…フィルター、
143…乗算器、144…メモリー、151…フィルター、152…乗算器、
153…メモリー、154…絶対値回路、200…測定システム、
210…信号生成器、220…増幅器、230…加振器、240…加速度センサー、
250…インターフェース変換器、270…基板、300…物理量測定装置、
A,B…定数、CA…振動整流係数情報、CB…非対称性係数情報、
(s),H2LP(s),H2HP(s)…周波数特性、I(t)…出力信号、
IN…入力

Claims (18)

  1. 入力に対して振動整流誤差を含む出力信号を出力する非線形システムの前記出力信号に対して処理を行う処理回路と、
    予め取得されている前記振動整流誤差の振動整流係数情報を記憶する記憶部と、
    を含み、
    前記処理回路は、
    前記出力信号に含まれる前記振動整流誤差を、前記出力信号と前記振動整流係数情報に基づいて低減する補正を行うことを特徴とする処理装置。
  2. 請求項1において、
    前記振動整流係数情報は、
    振動整流係数の定数を表す前記振動整流係数の定数情報と、前記振動整流係数の周波数特性を表す前記振動整流係数の周波数特性情報と、を含むことを特徴とする処理装置。
  3. 請求項2において、
    前記非線形システムは、
    センサーを有し、前記センサーの検出信号又は前記検出信号に基づく信号を前記出力信号として出力し、
    前記振動整流係数の定数情報は、
    前記センサーごとに予め取得されている情報であることを特徴とする処理装置。
  4. 請求項2又は3において、
    前記処理回路は、
    前記振動整流係数の周波数特性のフィルター処理を前記出力信号に対して行い、
    前記振動整流係数の周波数特性情報は、
    前記フィルター処理の周波数特性として前記振動整流係数の周波数特性を設定する前記フィルター処理の係数情報であることを特徴とする処理装置。
  5. 請求項2乃至4のいずれかにおいて、
    前記処理回路は、
    前記出力信号に対して、前記振動整流係数の周波数特性情報が表す前記振動整流係数の周波数特性のフィルター処理を行い、前記フィルター処理後の信号に対して2乗演算し、2乗演算後の信号と、前記振動整流係数の定数情報が表す前記振動整流係数の定数とを乗算して前記振動整流誤差の補正値を求め、求められた前記補正値を前記出力信号から減算することを特徴とする処理装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれかにおいて、
    前記振動整流係数情報は、
    前記非線形システムに前記入力として正弦波振動を入力したときに、前記非線形システムの前記出力信号の振幅と前記出力信号に含まれている低周波数帯域信号との関係を多項式近似して得られる多項式の2次項の係数に基づく情報であることを特徴とする処理装置。
  7. 請求項1乃至5のいずれかにおいて、
    前記振動整流係数情報は、
    前記非線形システムの入出力の関係を多項式近似して得られる多項式の2次項の係数に基づく情報であることを特徴とする処理装置。
  8. 請求項1乃至7のいずれかにおいて、
    前記非線形システムの前記出力信号は、
    前記入力に対して非対称性誤差を含み、
    前記記憶部は、
    予め取得されている前記非対称性誤差の非対称性係数情報を記憶し、
    前記処理回路は、
    前記出力信号に含まれる前記非対称性誤差を、前記非対称性係数情報に基づいて低減する補正を行うことを特徴とする処理装置。
  9. 入力に対して非対称性誤差を含む出力信号を出力する非線形システムの前記出力信号に対して処理を行う処理回路と、
    予め取得されている前記非対称性誤差の非対称性係数情報を記憶する記憶部と、
    を含み、
    前記処理回路は、
    前記出力信号に含まれる前記非対称性誤差を、前記出力信号と前記非対称性係数情報に基づいて低減する補正を行うことを特徴とする処理装置。
  10. 請求項9において、
    前記非対称性係数情報は、
    非対称性係数の定数を表す前記非対称性係数の定数情報と、前記非対称性係数の周波数特性を表す前記非対称性係数の周波数特性情報と、を含むことを特徴とする処理装置。
  11. 請求項10において、
    前記非線形システムは、
    センサーを有し、前記センサーの検出信号又は前記検出信号に基づく信号を前記出力信号として出力し、
    前記非対称性係数の定数情報は、
    前記センサーごとに予め取得されている情報であることを特徴とする処理装置。
  12. 請求項10又は11において、
    前記処理回路は、
    前記非対称性係数の周波数特性のフィルター処理を前記出力信号に対して行い、
    前記非対称性係数の周波数特性情報は、
    前記フィルター処理の周波数特性として前記非対称性係数の周波数特性を設定する前記フィルター処理の係数情報であることを特徴とする処理装置。
  13. 請求項10乃至12のいずれかにおいて、
    前記処理回路は、
    前記出力信号に対して、前記非対称性係数の周波数特性情報が表す前記非対称性係数の周波数特性のフィルター処理を行い、前記フィルター処理後の信号に対して絶対値を演算し、絶対値演算後の信号と、前記非対称性係数の定数情報が表す前記非対称性係数の定数とを乗算して前記非対称性誤差の補正値を求め、求められた前記補正値を前記出力信号から減算することを特徴とする処理装置。
  14. 請求項9乃至13のいずれかにおいて、
    前記非対称性係数情報は、
    前記非線形システムに前記入力として正弦波振動を入力したときに、前記非線形システムの前記出力信号の振幅と前記出力信号に含まれている低周波数帯域信号との関係を多項式近似して得られる多項式の1次項の係数に基づく情報であることを特徴とする処理装置。
  15. 請求項1乃至14のいずれかに記載の処理装置と、
    前記非線形システムと、
    を含むことを特徴とする処理システム。
  16. 請求項1乃至14のいずれかに記載の処理装置と、
    物理量トランスデューサーを含む前記非線形システムと、
    を含むことを特徴とする物理量測定装置。
  17. 入力に対して振動整流誤差を含む出力信号を出力する非線形システムに振動を入力し、
    前記非線形システムの前記出力信号に含まれている振幅と低周波数帯域信号とを取得し、
    前記振幅と前記低周波数帯域信号との関係を多項式近似して得られる多項式の2次項の係数に基づいて振動整流係数情報を取得することを特徴とする測定方法。
  18. 入力に対して非対称性誤差を含む出力信号を出力する非線形システムに振動を入力し、
    前記非線形システムの前記出力信号に含まれている振幅と低周波数帯域信号とを取得し、
    前記振幅と前記低周波数帯域信号との関係を多項式近似して得られる多項式の1次項の係数を表す情報に基づいて非対称性係数情報を取得することを特徴とする測定方法。

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