JP2019086170A - 熱磁気サイクル装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】出力密度を向上することが可能な熱磁気サイクル装置を提供すること。【解決手段】素子ブロック配列方向であるXX方向における素子ブロック12A、12Bの両端面には媒体流路12Aa、12Baが開口しており、隣り合う素子ブロック12A、12B同士は互いに離間している。隣り合う素子ブロック12A、12Bの間には、媒体流路同士を連通するとともに、XX方向の全域で熱輸送媒体と熱交換可能な熱交換連通部123が形成されている。熱交換連通部123は、素子ブロック12A、12Bから熱輸送媒体への熱浸透距離に基づいて設定された連通隙間125を形成している。【選択図】図4

Description

ここに開示される技術は、磁性体の温度特性を利用する熱磁気サイクル装置に関し、磁気熱量効果型ヒートポンプ装置として利用することができる。
従来から、熱磁気サイクル装置の一形態としての磁気ヒートポンプ装置が知られている。このような装置は、磁気熱量素子と、容器と、磁場変調装置と、熱輸送装置とを備えている。容器が形成する作業室には、磁気熱量素子が配置されている。磁場変調装置は、磁気熱量素子に印加する外部磁場を変調する。熱輸送装置は、作業室に高温端と低温端とを生成するように、磁気熱量素子と熱交換する熱輸送媒体を、外部磁場の変調に同期して作業室の内部で往復移動させる。
磁気熱量素子は、複数の素子ブロックを熱輸送媒体の往復移動方向に配列して形成されている。複数の素子ブロックのそれぞれには、熱輸送媒体を流通する媒体流路が形成されている。隣り合う素子ブロックの間には、スペーサが介設されて、媒体流路同士を連通している。このような装置は、例えば下記特許文献1に開示されている。
特開2016−80206号公報
上記従来技術の熱磁気サイクル装置では、好適な出力密度が得難い場合がある。スペーサは容器の作業室の一部を占有するため、比較的厚いスペーサの採用は、作業室への磁気熱量素子の充填量の増加を阻害し、出力密度の低下を招く場合がある。また、スペーサの廃止による素子ブロック同士の当接は、熱輸送媒体の流通を阻害し、出力密度の低下を招く場合がある。上記した特許文献1には、出力密度に影響するスペーサの厚さ、すなわち、素子ブロック同士の離間距離に関して述べられていない。熱磁気サイクル装置には、出力密度の向上が望まれる。
ここに開示される技術は、上記点に鑑みてなされたものであり、出力密度を向上することが可能な熱磁気サイクル装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、開示される熱磁気サイクル装置では、
外部磁場の強弱により発熱と吸熱とを生じる磁気熱量素子(12)と、
磁気熱量素子が配置される作業室(11)が形成された容器(21)と、
磁気熱量素子に印加される外部磁場を変調する磁場変調装置(13)と、
磁気熱量素子に高温端と低温端とを生成するように、磁気熱量素子と熱交換する熱輸送媒体を作業室の内部で往復移動させる熱輸送装置(14)と、を備え、
磁気熱量素子は、熱輸送媒体を流通可能な媒体流路(12Aa、12Ba)がそれぞれに形成された複数の素子ブロック(12A、12B)を、熱輸送媒体往復移動の方向を配列方向(XX)として配列してなり、
素子ブロックの配列方向における両端面に媒体流路が開口し、配列方向において隣り合う素子ブロック同士は互いに離間しており、
隣り合う素子ブロックの間に、媒体流路同士を連通するとともに、素子ブロック配列方向の全域で熱輸送媒体と熱交換可能な熱交換連通部(123、223、323)が形成されている。
これによると、配列方向において隣り合う素子ブロック同士は互いに離間しているものの、素子ブロック間には、配列方向全域で熱輸送媒体と熱交換可能な熱交換連通部が形成されている。したがって、素子ブロック間の熱輸送媒体の流通を阻害することがなく、かつ、素子ブロック間の配列方向の全域において熱輸送媒体と熱交換することができる。このようにして、素子ブロック同士を離間させても、出力密度を向上させることができる。
なお、特許請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、ひとつの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、開示技術の範囲を限定するものではない。
第1実施形態に係る熱機器のブロック図である。 図1のII−II線断面図である。 第1実施形態の磁気熱量素子を含む容器を示す斜視図である。 第1実施形態の磁気熱量素子の配列方向に沿った断面図である。 第1実施形態の互いに隣り合う素子ブロック間の状態を説明する図である。 比較例の互いに隣り合う素子ブロック間の状態を説明する図である。 別の比較例の互いに隣り合う素子ブロック間の状態を説明する図である。 第2実施形態の互いに隣り合う素子ブロック間の状態を説明する図である。 第2実施形態の磁気熱量素子の磁気熱量特性図である。 第3実施形態の互いに隣り合う素子ブロック間の状態を説明する図である。
以下に、図面を参照しながら開示技術を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した形態と同様とする。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
(第1実施形態)
開示技術を適用した第1実施形態について、図1〜図7を参照して説明する。図1は、開示技術を適用した車両用空調装置1を示すブロック図である。図1に示すように、車両用空調装置1は、磁気熱量効果型ヒートポンプ装置10を備える。磁気熱量効果型ヒートポンプ装置10はMHP(Magneto-caloric effectHeat Pump)装置10とも呼ばれる。MHP装置10は、磁気ヒートポンプ装置10とも呼ばれる。MHP装置10は、熱磁気サイクル装置を提供する。
この明細書においてヒートポンプ装置の語は広義の意味で使用される。すなわち、ヒートポンプ装置の語には、ヒートポンプ装置によって得られる冷熱を利用する装置と、ヒートポンプ装置によって得られる温熱を利用する装置との両方が含まれる。冷熱を利用する装置は、冷凍サイクル装置とも呼ばれることがある。よって、この明細書においてヒートポンプ装置の語は冷凍サイクル装置を包含する概念として使用される。
MHP装置10は、磁気熱量素子12を備える。磁気熱量素子12は、磁気熱量効果を有する磁気作業物質からなり、MCE(Magneto-CaloricEffect)素子12とも呼ばれる。以下、磁気熱量素子12を、MCE素子12、又は磁気作業物質12と呼ぶ場合がある。
MHP装置10は、作業室11が内部に形成された容器21を備える。容器21は、ハウジング20内に配置され、少なくともひとつの作業室11を区画形成している。本実施形態では、円筒形状の容器21が、等間隔に配置された複数の作業室11を区画形成している。本例では、ひとつの容器21は、6つの作業室11を区画形成しており、6つの作業室11のそれぞれにMCE素子12が充填配置されている。容器21は、素子ベッド又は材料ベッドと呼ばれる場合がある。容器21は、非磁性材である例えば樹脂により形成されている。
MCE素子12は、外部磁場の強弱により発熱と吸熱とを生じる。MCE素子12は、外部磁場の印加により発熱し、外部磁場の除去により吸熱する。MCE素子12は、外部磁場が印加されることによって電子スピンが磁場方向に揃うと、磁気エントロピーが減少し、熱を放出することによって温度が上昇する。また、MCE素子12は、外部磁場が除去されることによって電子スピンが乱雑になると、磁気エントロピーが増加し、熱を吸収することによって温度が低下する。MCE素子12は、常温域において高い磁気熱量効果を発揮する磁性体によって作られている。例えば、ガドリニウム系材料、またはランタン−鉄−シリコン化合物を用いることができる。また、マンガン、鉄、リンおよびゲルマニウムの混合物を用いることができる。
一群のMCE素子12は、MCE素子12の長手方向、すなわち一次媒体の流れ方向に沿って配置された複数の部分を有する。複数の部分は、後述する複数の素子ブロックである。複数の部分のそれぞれを構成する材料は、キュリー温度が異なる。複数の部分は、異なる温度帯において高い磁気熱量効果(ΔS(J/kgK))を発揮する。高温端に近い部分は、定常運転状態において高温端に現れる温度の近傍において高い磁気熱量効果を発揮する材料組成を有する。中温部に近い部分は、定常運転状態において中温部に現れる温度の近傍において高い磁気熱量効果を発揮する材料組成を有する。低温端に近い部分は、定常運転状態において低温端に現れる温度の近傍において高い磁気熱量効果を発揮する材料組成を有する。
MCE素子12のそれぞれの部分が高い磁気熱量効果を発揮する温度帯は、高効率温度帯と呼ばれる。高効率温度帯の上限温度と下限温度とは、MCE素子12の材料組成などに依存する。複数の部分は、高温端と低温端との間において高効率温度帯が並ぶように直列に配列されている。言い換えると、複数の部分の高効率温度帯は、高温端と低温端との間において、高温端から徐々に低下する分布を示す。この高効率温度帯の分布は、定常状態における高温端と低温端との間の温度分布にほぼ対応する。
この実施形態では、定常運転において高温端と低温端との間に作り出される定常温度差を複数の部分が分担する。これにより、それぞれの部分において高い効率が得られる。言い換えると、MCE素子12は、定常温度差が得られるときに、それぞれの素子ブロックが所定の閾値を上回る磁気熱量効果を発揮するように調節されている。複数の素子ブロックは、作業室11内に、所謂カスケード配置されている。
MHP装置10は、MCE素子12の磁気熱量効果を利用する。MHP装置10は、MCE素子12をAMR(Active Magnetic Refrigeration)サイクルとして機能させるための磁場変調装置13と熱輸送装置14とを備える。
磁場変調装置13は、MCE素子12に外部磁場を与えるとともに、その外部磁場の強さを増減させる。磁場変調装置13は、MCE素子12を強い磁界内に置く励磁状態と、MCE素子12を弱い磁界内またはゼロ磁界内に置く消磁状態とを周期的に切換える。磁場変調装置13は、MCE素子12が強い外部磁場の中に置かれる励磁期間、およびMCE素子12が励磁期間より弱い外部磁場の中に置かれる消磁期間を周期的に繰り返すように外部磁場を変調する。磁場変調装置13は、外部磁場を生成するための磁力源、例えば永久磁石、又は電磁石を備える。本例では、磁力源を永久磁石としている。
熱輸送装置14は、MCE素子12が放熱または吸熱する熱を輸送するための熱輸送媒体を流すための流体機器を備える。熱輸送装置14は、MCE素子12と熱交換する熱輸送媒体をMCE素子12に沿って流す装置である。熱輸送装置14は、MCE素子12に高温端と低温端とを生成するように、熱輸送媒体を流す。熱輸送装置14は、磁場変調装置13による外部磁場の変化に同期して、熱輸送媒体の往復的な流れFM、FNを発生させる。以下、MCE素子12の一端から他端へ向かう流れFMを往流と呼び、他端から一端へ向かう流れFNを復流と呼ぶ場合がある。本例では、往流FMは、高温端11E1から低温端11E2へ向かう熱輸送媒体流れである。復流FNは、低温端11E2から高温端11E1へ向かう熱輸送媒体流れである。以下、高温端11E1を、端部11E1と呼ぶ場合がある。また、低温端11E2を、端部11E2と呼ぶ場合がある。
この実施形態では、MCE素子12と熱交換する熱輸送媒体は一次媒体と呼ばれる。一次媒体は、不凍液、水、油などの流体によって提供することができる。熱輸送装置14は、磁場変調装置13による磁場の増減に同期して熱輸送媒体を往復的に移動させる。熱輸送装置14は、熱輸送媒体を流すためのポンプを含むことができる。熱輸送装置14は、一次媒体を流すためのポンプ62、72を備える。熱輸送装置14は、各作業室11の両端部にそれぞれ設けられた吸入弁111と吐出弁112とを備える。ポンプ62、72は、吸入弁111及び吐出弁112と協働して、作業室11のそれぞれに充填されたひとつのMCE素子12に関して一次媒体の往復流れを供給する。ひとつのMCE素子12は、複数の素子ブロックを組み合わせて提供される。
MHP装置10は、動力源としてのモータ15を備える。モータ15は、磁場変調装置13の動力源である。モータ15は、熱輸送装置14の動力源である。MHP装置10の動力源として設けられたモータ15は、例えば、車載の電池によって駆動される。また、モータ15は、磁場変調装置13を提供するロータコア31を回転駆動する。これにより、モータ15と磁場変調装置13とは、MCE素子12へ外部磁場を印加する状態と、MCE素子12から外部磁場を除去した状態との間での周期的な交互切換を生じさせる。モータ15は、熱輸送装置14のポンプ62、72を駆動する。これにより、モータ15とポンプ62、72とは、ひとつのMCE素子12において、一次媒体の往復的な流れを生じさせる。MHP装置10は、磁場変調装置13による磁場の増減と、熱輸送装置14による熱輸送媒体の往復的移動とを同期させるように、モータ15の出力軸に変速機構18を備えている。
ポンプ62、72は、MCE素子12をAMRサイクルとして機能させるための一次媒体の往復流FM、FNを作業室11内に生じさせる。ポンプ62、72は、例えば、容積型のポンプである。ポンプ62、72は、例えば、ピストンポンプである。ポンプ62、72は、例えば、多気筒のラジアルピストンポンプである。ひとつのMCE素子12に、ポンプ62のひとつの気筒と、ポンプ72のひとつの気筒とが対応付けられている。ひとつのMCE素子12に対応付けられた2つの気筒は、同期的に作動する。ポンプ62、72、吸入弁111及び吐出弁112の機能により、ひとつのMCE素子12の長手方向に沿って流れる一次媒体の往復流FM、FNが提供される。この実施形態では、MHP装置10は、熱的に並列接続された複数のMCE素子12を備える。本例のMHP装置10は、熱的に並列接続された6基のMCE素子12を有する。ポンプ62、72は、6気筒である。
ハウジング20は、円筒部と端板部とを有する外形円柱状の筐体である。ハウジング20は、その中心軸上に回転軸22を回転可能に支持する。回転軸22は、モータ15の出力軸に連結されている。ハウジング20は、回転軸22の周囲に、磁場変調装置13を収容する。図2に示すように、磁場変調装置13は、ロータコア31、ヨーク部32、ベアリング33、及び磁石34、35を備える。
ロータコア31は、回転軸22に固定されている。ロータコア31は、磁場変調装置13のためのインナヨークを提供する。ロータコア31は、その周方向に沿って磁束を通しやすい範囲と、磁束を通しにくい範囲とを形成するように構成されている。ロータコア31は、例えば断面が扇状の一対の部材からなる。ロータコア31には、磁石34が固定されている。磁石34は、部分円筒状であり、その断面が扇紙型である。磁石34は、ロータコア31の外周面に固定されている。
ヨーク部32は、円筒形状をなしている。ヨーク部32は、ハウジング20の内周面に沿って配置されている。ヨーク部32は、保持機構であるベアリング33によってハウジング20の内周面に回転自在に保持されている。ベアリング33は、例えばボールベアリングである。ヨーク部32は、アウタヨークを提供する。ヨーク部32には、磁石35が固定されている。
磁場変調装置13のうち、ロータコア31及び磁石34は、容器21の内周側に配置されている。また、磁場変調装置13のうち、ヨーク部32、ベアリング33及び磁石35は、容器21の外周側に配置されている。磁石34は、容器21の一側に配置される第1磁石である。磁石35は、容器21の他側に配置される第2磁石である。磁石34と磁石35とは、容器21の内外方の両側において、互いに異なる極が対向するように配置される。磁石34と磁石35とは、径方向の内側と外側とに配置されることによって、それらの間に位置付けられたMCE素子12に強い磁場を供給する。磁石34、35には、フェライト磁石や、ネオジム磁石等の希土類磁石を用いることができる。
モータ15により回転軸22が回転されると、磁場変調装置13では、ロータコア31とともに磁石34が回転移動する。また、磁石34の回転移動に伴い、磁石34に対向する磁石35が磁石間に働く吸引力によって追従して移動し、ヨーク部32が回転する。これにより、ロータコア31、ヨーク部32、磁石34及び磁石35を有する構成が、MCE素子12に対して強力な励磁及び減磁を周期的に提供する磁場変調装置13となる。ロータコア31、ヨーク部32、磁石34及び磁石35を有する構成が、本実施形態における磁気回路部13Aである。磁気回路部13Aは、容器21に対し相対的に移動する相対的移動体である。容器21と磁気回路部13Aとを容器21外表面に沿った方向に相対的に移動させることで、磁場変調装置13はMCE素子12に印加される磁場を変調する。
なお、ヨーク部32は、ベアリング33によりハウジング20の内周面に保持されていたが、これに限定されるものではない。例えば、潤滑油層や空気層を介して保持されるものであってもよい。
容器21と磁石34とは相互に離間して配設され、ロータコア31とともに磁石34が回転しても容器21に干渉しないようになっている。容器21の外表面のうち内周側の内周側表面と、磁石34の外表面のうち外周側の外周側表面との間には、隙間部23が形成されている。一方、容器21と磁石35とも相互に離間して配設され、磁石34に追従して磁石35及びヨーク部32が回転しても容器21に干渉しないようになっている。容器21の外表面のうち外周側の外周側表面と、磁石35の外表面のうち内周側の内周側表面との間には、隙間部24が形成されている。
MHP装置10は、MHP装置10によって得られた高温の温熱を輸送する高温系統16を備える。高温系統16は、MHP装置10によって得られた温熱を利用する熱機器でもある。MHP装置10は、MHP装置10によって得られた低温の冷熱を輸送する低温系統17を備える。低温系統17は、MHP装置10によって得られた冷熱を利用する熱機器でもある。
高温系統16は、一次媒体が循環的に流される通路61を備える。高温系統16は、一次媒体と他の媒体との間の熱交換を提供する熱交換器63を備える。例えば、熱交換器63は、一次媒体と空気との熱交換を提供する。高温系統16は、MHP装置10の高温端11E1からの温熱出力を利用して、熱交換器63から放熱して外部媒体を加熱する。高温系統16は、MHP装置10の高温端11E1からの温熱出力を熱交換器63で外部媒体へ放出する。
低温系統17は、一次媒体が循環的に流される通路71を備える。低温系統17は、一次媒体と他の媒体との間の熱交換を提供する熱交換器73を備える。例えば、熱交換器73は、一次媒体と空気との熱交換を提供する。高温系統16は、MHP装置10の低温端11E2からの冷熱出力を利用して、熱交換器63で吸熱して外部媒体を冷却する。低温系統17は、MHP装置10の低温端11E2からの冷熱出力を熱交換器73で外部媒体に放出するとも言える。
図3に示すように、容器21内の作業室11には、複数の素子ブロックを配列したブロック群からなるMCE素子12が配設される。図3では、容器21のうち、ひとつの作業室11に対応する部分が図示されている。図中には、ブロック群の素子ブロック12A、12Bと、スペーサ124が図示されている。ひとつの作業室11に配置される素子ブロックは、2つに限定されるものではない。ひとつの作業室11に配置される素子ブロックの数は、3つ以上であってもよい。
素子ブロック12A、12Bのそれぞれは、素子片である素子プレートを積層して構成されている。図3に示すように、複数の素子ブロックは、熱輸送媒体の往復移動方向であるXX方向に配列されている。各素子ブロックの素子プレートは熱輸送媒体の往復移動方向に直交するYY方向に積層されている。以下、熱輸送媒体の往復移動方向でもある素子ブロックの配列方向を、単にXX方向と呼ぶ場合がある。また、素子プレートの積層方向を、単にYY方向と呼ぶ場合がある。また、XX方向及びYY方向の両者に直交する直交方向を、ZZ方向と呼ぶ場合がある。ZZ方向は、磁場変調装置13による磁力線の通過方向でもある。ZZ方向は、磁場変調装置13による外部磁場の印加方向とも言える。外部磁場の印加方向をYY方向とすることもできる。
素子ブロック12A、12Bのそれぞれは、素子プレート121、端部素子プレート122を有する。素子プレート121は、薄い直方体状に形成されている。素子プレート121は、ひとつの広い面に凹状に形成された3つの流路溝121aを有する。流路溝121aは、断面形状が矩形状の溝であり、XX方向に沿って延びている。流路溝121aは、同一の断面形状がXX方向に連続するように形成されている。流路溝121aは、XX方向における両端に開口している。
流路溝121aは、直方体状の素子プレートの一部を除去加工して形成することができる。除去加工として、ワイヤーカット加工、切削加工、研削加工等を採用することができる。流路溝121aの形成は、除去加工に限定されず、例えば、素子プレート形成時に予め形成してもよい。
素子ブロック12A、12Bは、それぞれ素子プレート121が複数枚積層され、積層構造体の図示上方の端部に板状の端部素子プレート122が配置されている。素子ブロック12A、12Bは、積層されたプレートの間に複数の媒体流路を区画形成する。各素子ブロックのXX方向の両端部には、複数の流路溝121aにより提供される複数の媒体流路が開口している。
XX方向で隣り合う素子ブロック12A、12Bのうち、一方の素子ブロック12Aを第1素子ブロック12A、他方の素子ブロック12Bを第2素子ブロック12Bと呼ぶことができる。図4に示すように、第1素子ブロック12Aには、XX方向に延びる複数の媒体流路が第1媒体流路12Aaとして形成され、第2素子ブロック12Bには、XX方向に延びる複数の媒体流路が第2媒体流路12Baとして形成されている。
スペーサ124は、XX方向において隣り合う2つの素子ブロック12A、12Bの間に配設されている。スペーサ124は、本例では枠状体であり、素子ブロック12A、12Bの端部に開口した複数の開口を包含する大きな貫通穴を有する。貫通穴は、素子ブロック12Aに設けられた複数の第1媒体流路12Aaと、素子ブロック12Bに設けられた複数の第2媒体流路12Baとの連通を可能とする。スペーサ124は、例えば、ゴム材、樹脂材、または比較的硬度が低い金属材により形成することができる。スペーサ124は、弾性材からなる弾性部材である。スペーサ124は、素子ブロック12A、12Bの間の緩衝部材としても機能する。スペーサ124は、断熱性を有することが好ましい。
スペーサ124の貫通穴の部分が、素子ブロック12A、12Bの間に、第1媒体流路12Aaと第2媒体流路12Baとを連通する連通隙間125を提供する。スペーサ124は、隣り合う素子ブロック12A、12Bの間に連通隙間125を形成する隙間形成部に相当する。スペーサ124の厚さ寸法、すなわちXX方向の寸法は、素子ブロック12A、12Bから熱輸送媒体への熱浸透距離に基づいて設定されている。換言すれば、連通隙間125のXX方向の寸法は、素子ブロック12A、12Bから熱輸送媒体への熱浸透距離dに基づいて設定されている。
熱浸透距離dは、下記の式(1)により求められる。
d=(α/(π・f))1/2・・・(1)
ここで、αは、熱輸送媒体の熱浸透係数であり、fは、磁場変調装置13の磁場変調周波数である。fは、熱輸送装置14による熱輸送媒体往復移動周波数であるとも言える。
また、式(1)で用いる熱浸透係数αは、下記の式(2)により求められる。
α=λ/(ρ・Cp)・・・(2)
ここで、λは、熱輸送媒体の熱伝導率、ρは、熱輸送媒体の密度、Cpは、熱輸送媒体の比熱である。
スペーサ124により形成される連通隙間125のXX方向寸法は、0よりも大きく、2d以下となる寸法に設定されている。図5に示す例では、連通隙間125のXX方向の寸法Gを2dよりも若干小さく設定している。図5に示すように、連通隙間125のXX方向の寸法Gを、2dよりも小さくすることで、素子ブロック12Aから熱輸送媒体への熱拡散領域AR1の一部と、素子ブロック12Bから熱輸送媒体への熱拡散領域AR2の一部とを、重複させることができる。連通隙間125のXX方向の寸法Gを、2dとした場合には、熱拡散領域AR1と熱拡散領域AR2とが互いに接するように設定できる。
連通隙間125のXX方向の寸法Gを、0よりも大きく、2d以下となるように設定することで、連通隙間125を確実に形成しつつ、XX方向における全域で素子ブロックと熱輸送媒体との熱交換を可能にできる。連通隙間125は、XX方向の全域で熱交換可能な熱交換連通部123である。熱交換連通部123は、隙間形成部であるスペーサ124により精度よく提供される。
また、図4に示すように、素子ブロック12Aの第1媒体流路12Aaと、素子ブロック12Bの第2媒体流路12Baとが、熱交換連通部123を挟んで互いに対応する位置に形成されている。これにより、熱輸送媒体の流通における圧力損失を確実に低減することができる。
図1に戻り、車両用空調装置1は、車両に搭載され、車両の乗員室の温度を調節する。2つの熱交換器63、73は、車両用空調装置1の一部を提供する。熱交換器63は、熱交換器73より高温になる高温側熱交換器である。熱交換器73は、熱交換器63より低温になる低温側熱交換器である。車両用空調装置1は、高温側の熱交換器63、および/または低温側の熱交換器73を室内空調のために利用するための空調ダクトおよび送風機などの空気系機器を備える。
車両用空調装置1は、冷房装置又は暖房装置として利用される。車両用空調装置1は、室内に供給される空気を冷却する冷却器と、冷却器によって冷却された空気を再び加熱する加熱器とを備えることができる。MHP装置10は、車両用空調装置1における冷熱供給源、または温熱供給源として利用される。すなわち、熱交換器63は上記加熱器として用いることができる。また、熱交換器73は上記冷却器として用いることができる。
MHP装置10が温熱供給源として利用されるとき、熱交換器63を通過した空気は車両の室内に供給され、暖房のために利用される。熱交換器73を通過した空気は車両の室外に排出される。このとき、熱交換器63は、室内熱交換器とも呼ばれる。熱交換器73は、室外熱交換器とも呼ばれる。
MHP装置10が冷熱供給源として利用されるとき、熱交換器73を通過した空気は車両の室内に供給され、冷房のために利用される。熱交換器63を通過した空気は車両の室外に排出される。このとき、熱交換器63は、室外熱交換器とも呼ばれる。熱交換器73は、室内熱交換器とも呼ばれる。
また、MHP装置10は、除湿装置として利用されることもある。この場合、熱交換器73を通過した空気は、その後に、熱交換器63を通過し、室内に供給される。MHP装置10は、冬期においても、夏期においても、温熱供給源として利用される。
上述の構成のMHP装置10によれば、以下に述べる効果を得ることができる。
MHP装置10は、磁気熱量素子12と、容器21と、磁場変調装置13と、熱輸送装置14と、を備える。磁気熱量素子12は、外部磁場の強弱により発熱と吸熱とを生じる。容器21には、磁気熱量素子12が配置される作業室11が形成されている。磁場変調装置13は、磁気熱量素子12に印加される外部磁場を変調する。熱輸送装置14は、磁気熱量素子12に高温端と低温端とを生成するように、磁気熱量素子12と熱交換する熱輸送媒体を作業室の内部で往復移動させる。
磁気熱量素子12は、熱輸送媒体を流通可能な媒体流路がそれぞれに形成された複数の素子ブロック12A、12Bを、熱輸送媒体の往復移動の方向を配列方向として配列して構成されている。素子ブロック12A、12Bの配列方向における両端面には媒体流路が開口しており、配列方向において隣り合う素子ブロック12A、12B同士は互いに離間している。隣り合う素子ブロック12A、12Bの間には、媒体流路同士を連通するとともに、素子ブロック配列方向であるXX方向の全域で熱輸送媒体と熱交換可能な熱交換連通部123が形成されている。
これによると、XX方向において隣り合う素子ブロック12A、12B同士は互いに離間しているものの、素子ブロック12A、12B間には、XX方向全域で熱輸送媒体と熱交換可能な熱交換連通部123が形成されている。したがって、素子ブロック12A、12B間の熱輸送媒体の流通を阻害することがなく、かつ、素子ブロック12A、12B間のXX方向の全域において熱輸送媒体と熱交換することができる。このようにして、素子ブロック12A、12B同士を離間させても、出力密度を向上させることができる。
また、熱交換連通部123は、隣り合う素子ブロック12A、12Bの間に、媒体流路12Aa、12Ba同士を連通する連通隙間125を形成する隙間形成部としてのスペーサ124を有している。スペーサ124は、素子ブロック12A、12Bから熱輸送媒体への熱浸透距離dに基づいてXX方向の寸法Gが設定された連通隙間125を形成している。これによると、素子ブロック12A、12B間の連通隙間125のXX方向寸法Gが、素子ブロック12A、12Bから熱輸送媒体への熱浸透距離dに基づいて設定される。したがって、連通隙間125のXX方向全域を、熱交換可能な領域とすることができる。隙間形成部としてのスペーサ124は、熱浸透距離を前述した式(1)、(2)から求められるdとするときに、XX方向の寸法Gが2d以下である連通隙間125を形成する。これによると、連通隙間125のXX方向全域を、確実に熱交換可能な領域とすることができる。
図6に示す比較例のように、連通隙間の寸法を0として素子ブロック12A、12B同士を当接した場合には、加工ばらつき等による第1媒体流路12Aaと第2媒体流路12Baとの相対的な位置ずれにより、圧力損失が増大してしまう場合がある。このような場合には、熱交換量が低減してしまい、出力密度の低下を招いてしまう。また、図7に示す比較例のように、連通隙間の寸法Gcを2dよりも大きく設定した場合には、圧力損失の増大は抑制できるものの、熱拡散領域AR1と熱拡散領域AR2との間に、熱交換できない領域が形成されてしまう。このような熱交換不可領域の存在は、出力密度の低下を招いてしまう。本実施形態によれば、これらの比較例のような出力密度の低下を抑止することができる。
また、第1素子ブロック12Aには、XX方向に延びる複数の媒体流路が第1媒体流路12Aaとして形成され、第2素子ブロック12Bには、XX方向に延びる複数の媒体流路が第2媒体流路12Baとして形成されている。そして、第1媒体流路12Aaと、第2媒体流路12Baとが、熱交換連通部123を挟んで互いに対応する位置に形成されている。これによると、熱輸送媒体の流通における圧力損失を確実に低減することができる。
なお、本実施形態では、連通隙間125を形成する隙間形成部としてスペーサ124を用いていたが、これに限定されるものではない。所定寸法の連通隙間125を形成できるのであれば、スペーサを廃止することも可能である。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について図8および図9に基づいて説明する。
第2実施形態は、前述の第1実施形態と比較して、熱交換連通部の構成が異なる。なお、第1実施形態と同様の部分については、同一の符号をつけ、その説明を省略する。第1実施形態に係る図面と同一符号を付した構成部品、第2実施形態において説明しない他の構成は、第1実施形態と同様であり、また同様の作用効果を奏するものである。
図8に示すように、本実施形態では、MCE素子のXX方向で隣り合う素子ブロック12A、12Bの間に、媒体流路同士を連通するとともに、XX方向の全域で熱輸送媒体と熱交換可能な熱交換連通部223が形成されている。
熱交換連通部223は、隣り合う素子ブロック12A、12Bの間に充填された粒子群223Aを有して構成されている。粒子群223Aは、複数の第1粒子224と、複数の第2粒子225とを混合した粒子群である。第1粒子224は、第1素子ブロック12Aを構成する材料と同一材料からなる粒子である。第2粒子225は、第2素子ブロック12Bを構成する材料と同一材料からなる粒子である。本例では、第1粒子224と第2粒子225とがほぼ均一に混合されている。
第1粒子224、第2粒子225は、いずれも素子ブロック12A、12Bの媒体流路に浸入し難い粒径を有している。粒子群223Aは、素子ブロック12A、12Bの両者に接触している。粒子群223Aを構成する粒子間には、素子ブロック12Aの媒体流路と素子ブロック12Bの媒体流路とを連通する連通路226が形成されている。
熱交換連通部223は、スペーサを有することができる。本実施形態のスペーサには、第1実施形態のスペーサ124のような熱浸透距離dに基づく厚さを設定する必要がない。また、素子ブロック12A、12Bの間に粒子群223Aが充填され、粒子群223Aが素子ブロック12A、12Bに密着するものであれば、スペーサは必須ではない。
本実施形態のMHP装置10では、隣り合う素子ブロック12A、12Bの間に、媒体流路同士を連通するとともに、素子ブロック配列方向であるXX方向の全域で熱輸送媒体と熱交換可能な熱交換連通部223が形成されている。
これによると、XX方向において隣り合う素子ブロック12A、12B同士は互いに離間しているものの、素子ブロック12A、12B間には、XX方向全域で熱輸送媒体と熱交換可能な熱交換連通部223が形成されている。したがって、素子ブロック12A、12B間の熱輸送媒体の流通を阻害することがなく、かつ、素子ブロック12A、12B間のXX方向の全域において熱輸送媒体と熱交換することができる。このようにして、素子ブロック12A、12B同士を離間させても、出力密度を向上させることができる。
また、熱交換連通部223は、XX方向で隣り合う素子ブロック12A、12Bの間に充填されて、熱輸送媒体と熱交換可能な粒子群223Aを有する。これによると、素子ブロック12A、12B間の熱交換連通部223において、粒子群223Aと熱輸送媒体とで熱交換することができる。したがって、素子ブロック12A、12B間の熱輸送媒体の流通を阻害することがなく、かつ、素子ブロック12A、12B間のXX方向の全域において熱輸送媒体と熱交換することができる。このようにして、素子ブロック12A、12B同士を離間させても、出力密度を向上させることができる。
さらに、粒子群223Aは、第1素子ブロック12Aを構成する材料と同一材料からなる第1粒子224と、第2素子ブロック12Bを構成する材料と同一材料からなる第2粒子225とが混合されている。これによると、図9に例示するように、第1素子ブロック12Aおよび第2素子ブロック12Bが発揮する磁気熱量効果出力分布の谷間を、粒子群223Aの磁気熱量効果出力により補うことができる。したがって、素子ブロック12A、12B同士を離間させても、混合粒子群の効果により、出力密度を向上させることができる。なお、図9は、素子ブロック12A、12B、および粒子群223Aが提供する磁気熱量特性の関係を示している。横軸は素子ブロックおよび粒子群の温度を示し、縦軸は素子ブロックおよび粒子群が発揮する磁気熱量効果を示す。素子ブロック12Aは出力分布SpAを発揮する。素子ブロック12Bは出力分布SpBを発揮する。粒子群223Aは出力分布SpMを発揮する。
なお、上述した例では、第1粒子224と第2粒子225とが均一に分散された粒子群223Aを採用していたが、これに限定されるものではない。例えば、第1素子ブロック12Aに近づくほど第1粒子224の充填密度が高く、第2素子ブロック12Bに近づくほど第2粒子225の充填密度が高くように密度勾配を形成してもよい。また、粒子群は、第1素子ブロック12Aを構成する材料と同一材料からなる第1粒子224と、第2素子ブロック12Bを構成する材料と同一材料からなる第2粒子225とを混合して構成するものに限定されない。例えば、第1素子ブロック12Aの構成材料のキュリー温度と第2素子ブロック12Bの構成材料のキュリー温度との中間温度をキュリー温度とする材料で、粒子群を形成してもかまわない。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について図10に基づいて説明する。
第3実施形態は、前述の第2実施形態と比較して、熱交換連通部の粒子群の構成が異なる。なお、第1、第2実施形態と同様の部分については、同一の符号をつけ、その説明を省略する。第1、第2実施形態に係る図面と同一符号を付した構成部品、第3実施形態において説明しない他の構成は、第1、第2実施形態と同様であり、また同様の作用効果を奏するものである。
図10に示すように、本実施形態では、MCE素子のXX方向で隣り合う素子ブロック12A、12Bの間に、媒体流路同士を連通するとともに、XX方向の全域で熱輸送媒体と熱交換可能な熱交換連通部323が形成されている。
熱交換連通部323は、隣り合う素子ブロック12A、12Bの間に充填された粒子群323Aを有して構成されている。粒子群323Aは、複数の熱伝導粒子324からなる粒子群である。熱伝導粒子324は、比較的高い熱伝導性を有する粒子である。熱伝導粒子324は、金属製粒子を採用することができる。熱伝導粒子324は、例えば鉄製粒子である。
熱伝導粒子324は、素子ブロック12A、12Bの媒体流路に浸入し難い粒径を有している。粒子群323Aは、素子ブロック12A、12Bの両者に接触している。粒子群323Aを構成する粒子間には、素子ブロック12Aの媒体流路と素子ブロック12Bの媒体流路とを連通する連通路326が形成されている。
熱交換連通部323は、スペーサを有することができる。本実施形態のスペーサには、第1実施形態のスペーサ124のような熱浸透距離dに基づく厚さを設定する必要がない。また、素子ブロック12A、12Bの間に粒子群323Aが充填され、粒子群323Aが素子ブロック12A、12Bに密着するものであれば、スペーサは必須ではない。
本実施形態のMHP装置10では、隣り合う素子ブロック12A、12Bの間に、媒体流路同士を連通するとともに、素子ブロック配列方向であるXX方向の全域で熱輸送媒体と熱交換可能な熱交換連通部323が形成されている。
これによると、XX方向において隣り合う素子ブロック12A、12B同士は互いに離間しているものの、素子ブロック12A、12B間には、XX方向全域で熱輸送媒体と熱交換可能な熱交換連通部323が形成されている。したがって、素子ブロック12A、12B間の熱輸送媒体の流通を阻害することがなく、かつ、素子ブロック12A、12B間のXX方向の全域において熱輸送媒体と熱交換することができる。このようにして、素子ブロック12A、12B同士を離間させても、出力密度を向上させることができる。
また、熱交換連通部323は、XX方向で隣り合う素子ブロック12A、12Bの間に充填されて、熱輸送媒体と熱交換可能な粒子群323Aを有する。これによると、素子ブロック12A、12B間の熱交換連通部323において、粒子群323Aと熱輸送媒体とで熱交換することができる。したがって、素子ブロック12A、12B間の熱輸送媒体の流通を阻害することがなく、かつ、素子ブロック12A、12B間のXX方向の全域において熱輸送媒体と熱交換することができる。このようにして、素子ブロック12A、12B同士を離間させても、出力密度を向上させることができる。
また、粒子群323Aは、素子ブロック12A、12Bからの熱を伝導する複数の熱伝導粒子324を有している。これによると、素子ブロック12A、12Bの熱を熱伝導粒子324の粒子群323Aにより素子ブロック12A、12B間に伝えることができ、素子ブロック12A、12B間のXX方向の全域において熱輸送媒体と熱交換することができる。したがって、素子ブロック12A、12B同士を離間させても、熱伝導粒子324の粒子群323Aの効果により、出力密度を向上させることができる。また、粒子群323Aを介して、高温端と低温端との中間温度の出力を行なうことも可能である。
(他の実施形態)
この明細書に開示される技術は、その開示技術を実施するための実施形態に何ら制限されることなく、種々変形して実施することが可能である。開示される技術は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。実施形態は追加的な部分をもつことができる。実施形態の部分は、省略される場合がある。実施形態の部分は、他の実施形態の部分と置き換え、または組み合わせることも可能である。実施形態の構造、作用、効果は、あくまで例示である。開示技術の技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示技術のいくつかの技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
上記各実施形態では、MCE素子12の各素子ブロックを、素子プレート121および端部素子プレート122で構成していたが、これに限定されるものではない。作業室内において熱輸送媒体の流路が確保できる構成であれば、磁気熱量素子体の外形や媒体流路の構成は限定されるものではない。上記各実施形態では、各素子ブロックにおける媒体流路として内部媒体流路のみが形成されていたが、これに限定されるものではない。例えば、内部媒体流路に加えて、素子ブロックの外表面から凹部形成された媒体流路を有していてもよい。
また、上記各実施形態では、各素子ブロックにXX方向に延びる複数の媒体流路が形成されていたが、これに限定されるものではない。媒体流路の数は、上記実施形態で例示したものに限定されない。媒体流路の数は、図で例示した数よりも少なくてもかまわない。また、図で例示した数よりも多い微細な媒体流路を設けてもかまわない。さらに、媒体流路は、上記各実施形態のようにXX方向に直線的に延びるものに限定されない。例えば、作業室内においてXX方向に熱輸送媒体の往復流が形成できるのであれば、若干屈曲する媒体流路であってもかまわない。また、例えば、各素子ブロックにハニカム体を採用し、分流や合流を繰り返す媒体流路を設けてもかまわない。
また、上記各実施形態では、磁気ヒートポンプ装置の磁場変調装置が、容器の一側に配置された第1磁石及びヨークと、容器の他側で第1磁石に対して異なる極が対向するように配置された第2磁石及びヨークと、を備えている。そして、第1磁石及びヨークに連結された駆動装置と、第2磁石及びヨークを第1磁石及びヨークに追従して回転するように保持する保持機構とを備えるものであった。しかしながら、これに限定されるものではない。
例えば、第2磁石が取り付けられたヨークを、外部から駆動する外部駆動機構を設けて、第2磁石及びヨークを第1磁石及びヨークに追従して回転させるものであってもよい。この外部駆動機構の駆動源は、第1磁石が取り付けられたヨークを回転させる駆動装置であってもよいし、第1磁石が取り付けられたヨークを回転させる駆動装置とは別の駆動装置であってもよい。
また、上記各実施形態では、磁気回路部は、容器を間にして相互に対向する第1磁石である磁石34と第2磁石である磁石35とを有していたが、これに限定されるものではない。例えば、第1磁石および第2磁石のいずれかのみを備える磁気回路部としてもかまわない。
また、上記各実施形態では、素子ベッドである容器21を静止させておき、磁石34、35側を回転する構成を採用した。これに代えて、素子ベッドである容器21と磁場変調装置13との間の相対的な回転を提供するための多様な構成を採用することができる。例えば、作業室11とMCE素子12とを有する素子ベッドである容器を、永久磁石を含む磁場変調装置に対して相対的に回転移動させてもよい。これにより、ひとつのMCE素子12に与えられる磁場を変動させることができる。換言すれば、磁場変調装置は、磁石を有する相対的移動体に対して容器を容器外表面に沿った方向に移動させるものであってもよい。すなわち、容器と相対的移動体とを容器外表面に沿った方向に相対的に移動させて、磁気作業物質へ印加する磁場の大きさを変更するものであればよい。
また、上記各実施形態では、熱輸送媒体の移動装置としてのポンプを高温端及び低温端を有する容器の両側に設けていたが、これに限定されるものではない。例えば、ポンプの両側に、高温端を有する容器と低温端を有する容器とをそれぞれ配置したものであってもよい。また、ポンプの形態も前述したタイプに限定されるものではない。
また、上記各実施形態では、磁場変調装置は、磁力源として永久磁石を有する磁気回路部を備え、磁気回路部と容器とを相対的に移動させて磁気作業物質に印加する外部磁場を変調していた。そして、磁力源は永久磁石に限定されず、電磁石でもよいことを説明した。磁力源として電磁石を採用する場合には、磁場変調装置は、磁気回路部と容器との相対的移動を行なわなくてもかまわない。電磁石を採用する場合には、磁気回路部と容器との相対的移動がなくても磁場変調が可能である。
また、上記各実施形態では、MHP装置の外部の熱交換器63、73に熱輸送媒体を供給した。これに代えて、一次媒体である熱輸送媒体と、二次媒体とを熱交換する熱交換器をMHP装置内に設け、二次媒体を低温系統と高温系統とに供給してもよい。
また、上記各実施形態では、車両用空調装置に開示技術を適用した。これに代えて、車両以外の船舶や航空機等の移動体用の空調装置に開示技術を適用してもよい。また、住宅用等の定置式の空調装置に開示技術を適用してもよい。また、水を加熱する給湯装置や水を冷却する冷水機として利用してもよい。また、上記実施形態では、室外の空気を主要な熱源とするMHP装置を説明した。これに代えて、水、土などの他の熱源を主要熱源として利用してもよい。
また、上記各実施形態では、熱磁気サイクル装置の一形態であるMHP装置が提供される。これに換えて、熱磁気サイクル装置の一形態である熱磁気エンジン装置を提供してもよい。例えば、上記実施形態のMHP装置の磁場変化と熱輸送媒体の流れとの位相を調節することにより熱磁気エンジン装置を提供することができる。
10 磁気熱量効果型ヒートポンプ装置(MHP装置、磁気ヒートポンプ装置)
11 作業室
12 磁気熱量素子(MCE素子、磁気作業物質)
12A 素子ブロック(第1素子ブロック)
12B 素子ブロック(第2素子ブロック)
13 磁場変調装置
14 熱輸送装置
21 容器
123、223、323 熱交換連通部
124 スペーサ(隙間形成部)
125 連通隙間
223A、323A 粒子群

Claims (7)

  1. 外部磁場の強弱により発熱と吸熱とを生じる磁気熱量素子(12)と、
    前記磁気熱量素子が配置される作業室(11)が形成された容器(21)と、
    前記磁気熱量素子に印加される前記外部磁場を変調する磁場変調装置(13)と、
    前記磁気熱量素子に高温端と低温端とを生成するように、前記磁気熱量素子と熱交換する熱輸送媒体を前記作業室の内部で往復移動させる熱輸送装置(14)と、を備え、
    前記磁気熱量素子は、前記熱輸送媒体を流通可能な媒体流路(12Aa、12Ba)がそれぞれに形成された複数の素子ブロック(12A、12B)を、前記往復移動の方向を配列方向(XX)として配列してなり、
    前記素子ブロックの前記配列方向における両端面に前記媒体流路が開口し、前記配列方向において隣り合う前記素子ブロック同士は互いに離間しており、
    前記隣り合う前記素子ブロックの間に、前記媒体流路同士を連通するとともに、前記配列方向の全域で前記熱輸送媒体と熱交換可能な熱交換連通部(123、223、323)が形成されている、熱磁気サイクル装置。
  2. 前記熱交換連通部(123)は、前記隣り合う前記素子ブロックの間に、前記媒体流路同士を連通する連通隙間(125)を形成する隙間形成部(124)を有し、
    前記隙間形成部は、前記素子ブロックから前記熱輸送媒体への熱浸透距離(d)に基づいて前記配列方向の寸法(G)が設定された前記連通隙間を形成する、請求項1に記載の熱磁気サイクル装置。
  3. 前記隙間形成部は、前記熱浸透距離を以下の式から求められるdとするときに、前記配列方向の寸法が2d以下である前記連通隙間を形成する、請求項2に記載の熱磁気サイクル装置。
    d=(α/(π・f))1/2
    α=λ/(ρ・Cp)
    ここで、α:前記熱輸送媒体の熱浸透係数、f:磁場変調周波数、λ:前記熱輸送媒体の熱伝導率、ρ:前記熱輸送媒体の密度、Cp:前記熱輸送媒体の比熱
  4. 前記熱交換連通部(223、323)は、前記隣り合う前記素子ブロックの間に充填されて、前記熱輸送媒体と熱交換可能な粒子群(223A、323A)を有する、請求項1に記載の熱磁気サイクル装置。
  5. 前記隣り合う前記素子ブロックのうち、一方を第1素子ブロック(12A)、他方を第2素子ブロック(12B)と呼ぶときに、
    前記粒子群(223A)は、前記第1素子ブロックを構成する材料と同一材料からなる第1粒子(224)と、前記第2素子ブロックを構成する材料と同一材料からなる第2粒子(225)とが混合されている、請求項4に記載の熱磁気サイクル装置。
  6. 前記粒子群(323A)は、前記素子ブロックからの熱を伝導する複数の熱伝導粒子(324)を有する、請求項4に記載の熱磁気サイクル装置。
  7. 前記隣り合う前記素子ブロックのうち、一方を第1素子ブロック(12A)、他方を第2素子ブロック(12B)と呼ぶときに、
    前記第1素子ブロックには、前記配列方向に延びる複数の前記媒体流路が第1媒体流路(12Aa)として形成され、前記第2素子ブロックには、前記配列方向に延びる複数の前記媒体流路が第2媒体流路(12Ba)として形成されており、
    前記第1媒体流路と、前記第2媒体流路とが、前記熱交換連通部を挟んで互いに対応する位置に形成されている、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の熱磁気サイクル装置。
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