JP2019085990A5 - - Google Patents

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車両の排気装置
本発明は、車両に搭載される排気装置に関する。
自動車においては、例えば、車両前部に搭載された機関(例えばガソリンエンジン及びディーゼルエンジン等の内燃機関)からの排気ガスが、車両下部に配設された排気装置を介して車両後方から排出される。排気装置は、例えば、排気管、浄化装置及び消音装置等によって構成され、排気ガスの浄化、消音及び冷却等の機能を有する。機関から排出される排気ガス中の水分の一部は排気装置内において水滴となるが、排気ガスの流量が十分である場合は排気ガスと共に排気装置の端部から外部へと排出される。
しかしながら、例えば車両の走行時間が短い場合及びハイブリッド車のモーターによる走行時等、排気ガスの流量が小さい場合においては排気装置内の水滴が完全には排出されず、排気装置内(主として所謂キックアップ部より上流側に位置する排気管の最低部付近)に凝縮水として残留する場合がある。このようにして排気管内に残留した凝縮水は、雰囲気温度が低い場合に排気管内で凍結する虞がある。この凍結に伴う凝縮水の体積の増加により、排気管内の排気ガスが流れる流路の断面積が減少し(流路が狭まり)圧力損失が増加すると共に、例えば機関の出力低下及び異音の発生等の問題が惹起される虞があった。
図22は、従来技術に係る排気装置1aの構成の一例を示す模式的な横断面図である。(a)に示すように、排気装置1aは、排気管2の下流側(図中に示す矢印FRの向きとは反対の向き)に連接された直管3及びキックアップ部4を有する。上述したように、キックアップ部4よりも上流側に位置する直管部3及び排気管2の最低部付近に凝縮水10が残留する。例えば(b)に示すように車両(図示せず)が傾斜面に設置される場合、キックアップ部4の最も上流側の屈曲部4cに凝縮水10が集まり、雰囲気温度によっては凝縮水10が凍結して、(c)に示すように排気ガスの流路を塞いでしまう虞がある。
そこで、キックアップ部の上流側に滞留した凝縮水を、キックアップ部を乗り越えさせて積極的に排出するべく、次のような構成が提案されている。即ち、キックアップ部の直上流側の管部の車両下方側の壁面に内側へ向かって突出する突起を設け、凝縮水の一部をこの突起によって跳ね上げて剥離させ、剥離した凝縮水の飛沫を排気ガスに乗せて排出することが提案されている(特許文献1を参照)。
しかしながら、この方法では、機関の回転速度が高く排気ガスの流速が速い状態が継続すれば排水効果が見込めるものの、機関の回転速度が低く流速が遅い状態においては凝縮水が剥離せずそのまま滞留し続け、その状態が継続すると、やがて突起が凝縮水の中に埋没し、排水効果が望めなくなってしまう。
また、キックアップ部を乗り越えさせて積極的に凝縮水を排出する構成として、キックアップ部の前半の上昇部における上部及び下部に内側に向かって突出する突起を複数設けることにより、この部分を通過する排気ガスを加速させ、凝縮水の上昇を促進させることも提案されている(特許文献2を参照)。
しかしながら、この方法は、キックアップ部内に入ってキックアップ部内を通過する凝縮水の上昇を援助するかもしれないが、キックアップ部の上流側の排気管に滞留している凝縮水に対しては、何らの排出効果を及ぼすものではない。
或いは、キックアップ部の上流側に滞留した凝縮水を積極的に排出するのではなく、滞留箇所に設けた二重管構造部によって保水することも提案されている(特許文献3参照)。
しかしながら、この方法は、凝縮水を排出するのではなく二重管構造部の下側に積極的に保水することによって排気管の閉塞を遅らせるものであるため、当然のことながら、凝縮水の残留量が許容量を越えた場合には課題を解決することができない。また、二重管構造部の上側にまで凝縮水が滞留するまでは二重管構造部の上側に排気ガスの流路が確保されるため、排気ガスの流量が小さい場合、二重管構造部の下側に滞留している凝縮水を排出することが困難である。
特開2017−101613号公報 国際公開第2016/084616号 特開2017−172390号公報
上述したように、当該分野においては、キックアップ部の上流側に残留した凝縮水(残留凝縮水)を、積極的にキックアップ部を乗り越えさせて排出することができる技術が求められている。
上記課題に鑑み、本発明者は鋭意研究の結果、キックアップ部上流側に連接された直管部の上方側の内壁面の高さが低くなっている部分を設けることにより、機関から排出された排気ガスの圧力によって形成される残留凝縮水の波頭が当該部分上方側の内壁面に接触して水膜を形成し易くなり、この水膜が排気ガスによって下流側へ押し出されることにより、凝縮水を効率的に排出することができることを見出した。
本発明に係る車両の排気装置(以降、「本発明装置」と称される場合がある)は、機関の排気ガスを排出する車両の排気装置であって、管状部材である直管部と直管部の下流側に連接された管状部材であるキックアップ部とを有する。直管部の鉛直方向における上方側の領域である上方領域の壁面である上方壁面の高さが低くなっている部分である低上壁部が形成されている。直管部の内側に向かって膨出している部分である上方膨出部を上方壁面によって形成し、当該上方膨出部によって低上壁部を構成してもよい。
或いは、直管部の途中から少なくともキックアップ部の途中までの領域において貯留領域が形成されていてもよく、貯留領域の内径は直管部の貯留領域よりも上流側の領域である上流直管領域の内径よりも大きい。また、上流直管領域における上方壁面である上流側上方壁面は、直管部の貯留領域に該当する領域である下流直管領域における上方壁面である下流側上方壁面よりも低い。即ち、上流側上方壁面と下流側上方壁面とを連接する段差である上方直管段差部が形成されている。この場合、上流側上方壁面によって低上壁部が構成されている。
本発明装置においては、機関から排出された排気ガスの圧力により残留凝縮水の水面が揺動されて波立ち、その波頭の一つが上方膨出部又は上流側上方壁面によって構成される低上壁部に接触して水膜(排気ガスから見て水の壁)が頻繁に形成される。その水膜によって、上流側からの排気ガス流流路一時的に閉塞されるため上流側の圧力(背圧)が高まり、排気ガスが凝縮水を下流側へ一気に押す。その結果、多量の凝縮水がキックアップ部を乗り越えて下流側へ押し出される。従って、本発明装置によれば、機関の運転状態にかかわらず、残留凝縮水を積極的に排出することができる。
本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、以下の図面を参照しつつ記述される本発明の各実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
本発明の第1実施形態に係る車両の排気装置の構成を例示する側断面図である。 本発明の第2実施形態に係る車両の排気装置の側断面図であり、凝縮水が残留した状態を示す。 本発明の第2実施形態に係る車両の排気装置の側断面図であり、残留した凝縮水が水膜形成によって排出される状態を示す。 本発明の第2実施形態に係る車両の排気装置の側断面図であり、キックアップ部から戻って来た凝縮水が水膜形成によって排出される状態を示す。 本発明の第2実施形態に係る車両の排気装置の側面図(A)及び切断線A−Aにおける横断面図(B)である。 本発明の第3実施形態に係る車両の排気装置の側面図(A)及び切断線B−Bにおける横断面図(B)である。 本発明の第4実施形態に係る車両の排気装置の側面図(A)及び切断線C−Cにおける横断面図(B)である。 本発明の第5実施形態に係る車両の排気装置の側面図(A)及び切断線D−Dにおける横断面図(B)である。 本発明の第6実施形態に係る車両の排気装置の側面図(A)及び切断線E−Eにおける横断面図(B)である。 本発明の第7実施形態に係る車両の排気装置の側面図(A)及び切断線F−Fにおける横断面図(B)である。 本発明の第8実施形態に係る車両の排気装置の側面図(A)及び切断線G−Gにおける横断面図(B)である。 本発明の第9実施形態に係る車両の排気装置の側面図(a)、拡大側断面図(b)及び(b)において破線によって囲まれた部分の拡大図(c)である。 本発明の第10実施形態に係る車両の排気装置の側断面図である。 直管部の途中からキックアップ部の最上点よりも下流側の所定の位置までの領域に貯留領域が形成されている本発明に係る車両の排気装置を例示するための側面図である。 本発明の第11実施形態に係る車両の排気装置の側面図である。 本発明の第11実施形態に係る車両の排気装置の貯留領域の近傍の拡大側断面図である。 本発明の第12実施形態に係る車両の排気装置の要部の拡大側断面図である。 本発明の第12実施形態に係る車両の排気装置の要部の模式的な拡大側断面図である。 実施例において評価した本発明に係る各種排気装置の側面図である。 19に示した各種排気装置の貯留領域の近傍の拡大側断面図である。 排水試験において残留凝縮水が排気ガスの圧力によって排出されるときの様子を表す模式図である。 従来技術に係る排気装置の構成の一例を示す模式的な断面図である。
《第1実施形態》
以下、本発明の第1実施形態に係る車両の排気装置について説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る車両の排気装置1の構成を例示する側断面図である。この排気装置1は排気管2の上流側及び/又は下流側に、締結部材、排気浄化装置、消音器、排熱回収器等を適宜連接して構成されるが、この図においては、それらの図示を省略し、本発明を構成する要部のみを図示する。尚、図1の(a)の左上に記載されているように、全ての図において、図(紙面)の左方(FR)は車両の前方(フロント)側及び排気の流路における上流側を、図(紙面)の上方(UP)は車両の鉛直方向における上方側及び排気装置1の搭載状態における鉛直方向における上方側を、それぞれ示す。また、本明細書における上方・下方・底部・前方・後方・上流・下流等の文言は上記方向指示に準拠する。また、本明細書において「ある物体Aの位置(高さ)が他の物体Bの位置(高さ)よりも低い」とは、物体Aが物体Bよりも下方に位置すること、即ち物体Aが物体Bよりも鉛直方向において下方側に位置することを意味する。
車両の排気装置1は、通常の排気装置と同様に、車両の後部において、車軸やサスペンションアーム等を上方で回避するために上方及び下方へΩ字状に屈曲する所謂キックアップ部4を備える。このキックアップ部4は上流側の排気管2と連接されているが、この連接部辺りが車室後部に位置し、排気装置1において最も下方の位置に相当する。従って、排気ガス中の水蒸気が液化して発生する凝縮水はこの位置に溜まり、その後流のキックアップ部4を乗り越えることができずに、残留凝縮水となりがちである。
〈構成〉
そこで、本発明の第1実施形態に係る車両の排気装置1においては、上流側の排気管2と下流側のキックアップ部4との間に直管部3が設けられている。具体的には、排気装置1は、管状部材である直管部3と直管部3の下流側に連接された管状部材であるキックアップ部4とを有し、直管部3の鉛直方向における上方側の領域である上方領域の壁面である上方壁面の高さが低くなっている部分である低上壁部50が形成されている。
低上壁部50は、(a)に示すように、低上壁部50の上流側の上方壁面よりも低くなるように構成されていてもよい。この構成によれば、特に、上流側から下流側へと順方向に移動している凝縮水が機関から排出される排気ガスの圧力等によって波立った場合に、その波立ちの何れかの波頭が低上壁部50に接触し易くなり、排気管2の内部を閉塞する水膜を形成する頻度を高めることができる。逆に、低上壁部50は、(b)に示すように、低上壁部50の下流側の上方壁面よりも低くなるように構成されていてもよい。この構成によれば、特に、下流側から上流側へと逆方向(戻り方向)に移動している凝縮水が機関から排出される排気ガスの圧力等によって波立った場合に、その波立ちの何れかの波頭が低上壁部50に接触し易くなり、排気管2の内部を閉塞する水膜を形成する頻度を高めることができる。
更に、低上壁部50は、(c)に示すように、低上壁部50の上流側及び下流側の両方の上方壁面よりも低くなるように構成されていてもよい。この構成によれば、上流側から下流側へと順方向に移動している凝縮水及び下流側から上流側へと逆方向に移動している凝縮水の何れについても、機関から排出される排気ガスの圧力等によって凝縮水が波立った場合に、その波立ちの何れかの波頭が低上壁部50に接触し易くなり、排気管2の内部を閉塞する水膜を形成する頻度を高めることができる。(c)に示す低上壁部50は、後述される本発明の他の実施形態に係る車両の排気装置1が備える上方膨出部の最下部に相当するものである。
〈効果〉
本発明の第1実施形態に係る車両の排気装置1においては、機関から排出された排気ガスの圧力により残留凝縮水の水面が揺動されて波立ち、その波頭の一つが低上壁部50に接触して水膜(排気ガスから見て水の壁)が頻繁に形成される。その水膜によって、上流側からの排気ガス流が流路を一時的に閉塞されるため上流側の圧力(背圧)が高まり、排気ガスが凝縮水を下流側へ一気に押す。その結果、多量の凝縮水がキックアップ部を乗り越えて下流側へ押し出される。従って、本発明の第1実施形態に係る車両の排気装置1によれば、機関の運転状態にかかわらず、残留凝縮水を積極的に排出することができる。
尚、機関から排出される排気ガスの圧力等によって波立つ凝縮水の波頭が低上壁部に接触して排気管の内部を閉塞する水膜が形成されて凝縮水が排出されるメカニズム(凝縮水の排出作用)については、本発明の他の実施形態に係る車両の排気装置1に関する説明において詳しく述べる。
《第2実施形態》
〈構成〉
以下、本発明の第2実施形態に係る車両の排気装置1について説明する。図2乃至図4は本発明の第2実施形態に係る車両の排気装置1の構成を例示する側断面図であり、図5は要部の側面図(A)及び横断面図(B)である。図2は、排気ガス中の水蒸気が液化して発生する凝縮水が極端に滞留した状態を示している。図2においては、残留した凝縮水10の上面11がキックアップ部4の内部にまで達しているが、この図は説明のために残留状態を誇張したものであり、本発明によれば、実際は凝縮水10がこれほど極端に帯溜する前に確実に排出される。
本発明の第2実施形態に係る車両の排気装置1においては、上流側の排気管2と下流側のキックアップ部4との間に設けられた直管部3の内側(管軸側)に向かって上方壁面が膨出している部分である上方膨出部6が上方壁面に形成されている。図2に示すように、本実施形態に係る車両の排気装置1の上方膨出部6は、直管部3とキックアップ部4との境界部から間隔5だけ上流側にその中心が位置するように構成されており、図5に示すように、例えば、直管部3の本来の形状である仮想形状20にプレス加工等を施すことによって一体的に形成することができる。直管部3における上方膨出部6の位置、形状及び内部への膨出量等は、排気ガスの流れ易さと凝縮水の排出量とのバランスを鑑み、適宜設定すべきものである。また、上方膨出部6は、直管部3と一体的に成形してもよく、或いは別体として形成された上方膨出部6を直管部3の内面(上方壁面)に固定することによって構成してもよい。
〈凝縮水の排出作用〉
ここで、凝縮水の排出作用について説明する。図2に示した機関が停止している状態から機関を始動すると、機関から排出される排気ガス12は、図2における排気管2内の凝縮水上面11の上側の狭い空間内を流れようとし、その圧力によって凝縮水10が押され、波が形成される。そして、図3に示すように、その波立ちのいくつかの波頭のうちの一つである波頭13が、上方膨出部6の最下部7に接触し(α)、排気ガス12の流路である排気管2の内部を閉塞する水膜14が形成される。水膜14によって流路が閉塞されることにより、水膜14の上流側の排気ガス12の圧力が高まる。そして、その圧力によって水膜14が下流側へ強く押される。その結果、凝縮水10の多くがキックアップ部4を乗り越えてキックアップ部4の下流側へと排出される。
〈効果〉
上記排出作用により第1の水膜が消失しても、次に続く波頭の一つが直ぐに上方膨出部6と接触して水膜を形成するので、上記排出過程が断続的に繰り返される。このようにして、排気ガスの圧力により、凝縮水の排出経路における難所であるキックアップ部4を凝縮水10が乗り越えることができるので、凝縮水10を確実に排出することができる。
一方、上記により、一度に多量の凝縮水10を排出することが可能ではあるが、一度の排水によって凝縮水10の全量を排出することはできないので、キックアップ部4を乗り越えきれずに逆流して戻ってくる(キックアップ部4を下流側から上流側へと逆方向に進んで下降する)凝縮水10が発生する。図4に示すように、このように逆流してくる凝縮水10もまた、排気ガス12の圧力及び凝縮水10の下降力等によって波立ち、波面(下降時波面16)が形成される。
しかしながら、特にキックアップ部4が直管部8に連接する連接部γにおいて凝縮水10の進行方向が強制的に変えられるので、より大きい波頭(下降時波頭17)が形成され易く、このようにして形成された下降時波頭17が最下部7に接触し(β)、水膜18が形成される。そして、水膜18を排気ガス12が押すことにより、凝縮水10の下降力に抗して凝縮水10は再度キックアップ部4を乗り越えてキックアップ部4の下流側へと排出される。即ち、キックアップ部4を乗り越えることができずに戻ってきた凝縮水10もまた、順方向と同様の排出作用によって排出される。
上記のように、本発明の第2実施形態に係る車両の排気装置1によれば、順方向及び逆方向(戻り方向)の何れの方向に進む凝縮水10においても水膜が形成され、これらの水膜を排気ガス12が押すことにより、多量の凝縮水10をより効率的に排出することができる。
尚、直管部3の内部への上方膨出部6の膨出は排気ガスの流路を狭めるが、当該流路の断面積の減少による背圧の上昇を最小に留めながら、水膜を確実に形成することができるような膨出量及び膨出形状を例えば事前実験等により見出して設定することが必要である。本実施形態における上方膨出部6は、図5の(A)に示すように、側面図においては、上方から下方に向かって凹んだ略半円断面を有し、且つ、図5の(B)に示すように、横断面においては、最下部が略水平状の直線的な稜線を有する。しかしながら、上方膨出部6の形状は、このような形状に限定されず、上方膨出部6の膨出量及び形状は任意に定めることができる。
《第3実施形態》
〈構成〉
以下、本発明の第3実施形態に係る車両の排気装置1について説明する。図6は、本発明の第3実施形態に係る車両の排気装置の要部の側面図である。本実施形態における上方膨出部21は、第2実施形態(図5(B))における最下部7に対応する最下部22が直管部26の軸方向に沿って延在する形状を有する。即ち、上方膨出部21は、直管部26の管軸である第1管軸に平行な方向において延在している。尚、図6に示す例においては、最下部22は略水平の平面を形成している。そして最下部22の第1管軸に平行な方向における両脇(上流側及び下流側の隣接領域)には、徐変部23、24が設けられている。最下部22の中心とキックアップ部4の上流側の端部(直管部26の下流側の端部)との間には間隔25が設定されているが、間隔25は順方向及び逆方向(戻り方向、下降方向)において凝縮水の波頭が最下部22に接触し易いような位置となるように適宜設定すればよい。
〈効果〉
このように上方膨出部21を構成することにより、順方向及び逆方向の両方向において、第1管軸に平行な方向に並ぶ複数の波頭を拾う(波頭に接触する)機会が増え、水膜が形成される機会も増えるため、更に確実に凝縮水の多くを排出することができる。但し、本実施形態は第2実施形態よりも排気ガスの流路の断面積の減少による背圧を上昇させる傾向が強いため、上方膨出部21の膨出量及び膨出形状(特に延在方向における長さ)の設定については、更なる留意を要する。
《第4実施形態》
〈構成〉
以下、本発明の第4実施形態に係る車両の排気装置1について説明する。図7は、本発明の第4実施形態に係る車両の排気装置1の要部の側面図(A)及び横断面図(B)である。本実施形態における上方膨出部27は、2つの曲面から構成される。即ち、横断面図(B)においてe〜f間が上方膨出部27であって、このように上向きに凸状の曲面28が中央部分に形成されており、その周囲(両脇)に肩状の徐変部29が形成されている。
〈効果〉
上記のような形状を有する上方膨出部27によると、波頭との接触機会を確保しつつ、排気ガスの通過性(流路断面積)を曲面28によって確保することができる。
《第5実施形態》
〈構成〉
以下、本発明の第5実施形態に係る車両の排気装置1について説明する。図8は本発明の第5実施形態に係る車両の排気装置1の要部の側面図(A)及び横断面図(B)である。本実施形態における上方膨出部31は、上側半分が第4実施形態と同様に2種類の曲面から構成されているものの、第4実施形態とは反対に下向きに凸状の曲面によって中央部分が構成されている。更に、下側半分は外方へ膨出している(張り出している)。具体的には、横断面図(B)において、g〜k〜l〜h間が上方膨出部31であって、このように下向きに凸状の曲面からなる最低部32が中央部分に形成されており、その周囲(両脇)に肩状の徐変部33が形成されている。そして、第1管軸を挟んで上方膨出部31と対向する箇所(最低部)には平面36が形成されており、凝縮水の流れを阻害しない形状になっている。更に、下側半分において、平面部36を挟んで張出部34及び35が外方へ張り出している。即ち、横断面図(B)において、g〜i間及びj〜h間が外側へ張り出している。
〈効果〉
上記のような形状を有する上方膨出部33及び平面部36によると、上方膨出部33と波頭との接触頻度を増大させつつ、排気ガスの通過性(流路断面積)を最低部32の両脇に形成された徐変部33によって確保することができる。
更に、下側半分において、平面部36の両脇に張出部34及び35が形成されていることにより排気ガスの流路断面積が広くなるので、上方膨出部31によって狭められた流路断面積を張出部34及び35による流路断面積の拡大によって少なくとも部分的には相殺することが可能となる。従って、波頭の接触機会を向上させるべく上方膨出部31の膨出量を大きくしても、直管部37における排気ガスの流路断面積を充分に確保することができ、機関の性能に影響すること無く凝縮水を排出することができる。
《第6実施形態》
〈構成〉
以下、本発明の第6実施形態に係る車両の排気装置1について説明する。図9は本発明の第6実施形態に係る車両の排気装置1の要部の側面図(A)及び横断面図(B)である。本実施形態における上方膨出部38は、上側半分には第2実施形態と類似する下向きに凸状の曲面によって上方膨出部38が形成されている。即ち、横断面図(B)においてm〜n間が下向きに凸状の曲面である。そして、下側半分においても第1管軸に平行な方向における同じ位置に、下方膨出部41及び42が形成されている。即ち、横断面図(B)において、o〜p間及びr〜q間が直管部43の内側に向かって膨出する曲面が形成されている。
〈効果〉
上記のような下方膨出部41及び42によって、凝縮水が揺動時に強制的に上向きの力を受けるため、上方膨出部38の直下において波頭を形成し易くなり、他の実施形態よりも水膜が形成される機会が増えるので、凝縮水の排出作用が高まる。しかしながら、背反として排気ガスの流路断面積の狭小化が避けられないため、機関の性能への影響を勘案しながら、下方膨出部41及び42の大きさ、形状及び数等を適宜設定することが肝要である。
《第7実施形態》
〈構成〉
以下、本発明の第7実施形態に係る車両の排気装置1について説明する。図10は本発明の第7実施形態に係る車両の排気装置1の要部の側面図(A)及び横断面図(B)である。本実施形態における各部形状は第2実施形態と同一であるが、直管部44とキックアップ部4とが別体として構成されている。そして、箇所sにおいて排気管2と直管部44が気密に連接され、箇所tにおいて直管部44とキックアップ部4とが気密に連接されている。
尚、これらの構成部材を連接するための具体的な手法は特に限定されず、これらの構成部材を構成する材料等に応じて当該技術分野において周知の各種手法から適宜選択することができる。例えば、これらの構成部材が金属によって構成されている場合は、例えば溶接等の手法によって、これらの構成部材を連接することができる。或いは、これらの構成部材を互いに嵌合させた後に溶接してもよい。
〈効果〉
上記のように直管部44を別体として形成することによって、第5実施形態及び第6実施形態のような複雑な三次元的形状を有する上方膨出部が形成された直管部であっても、例えば塑性加工等の任意の手法を選択して製造することができるので、上方膨出部の形状の設計自由度が向上する。
《第8実施形態》
〈構成〉
以下、本発明の第8実施形態に係る車両の排気装置1について説明する。図11は本発明の第8実施形態に係る車両の排気装置1の要部の側面図(A)及び横断面図(B)である。本実施形態は第5実施形態と近似の横断面を有する。即ち、横断面図(B)に示すように、第5実施形態における上方膨出部31と同じ形状を有する上方膨出部31がg〜k〜l〜h間に形成されており、張出部45及び46が下側半分に形成されている。しかしながら、第8実施形態においては、第4実施形態における底面36が上方へ移行され底面47を形成している。この底面47は下方膨出部として機能するので、実質的に第6実施形態の下方膨出部41及び42と同様の機能を発揮する。即ち、凝縮水が揺動時に強制的に上向きの力を受けることにより、上方膨出部31の直下において波頭が形成され易くなり、水膜が形成される機会が増えるので、凝縮水の排出作用が高まるが、背反も同様である。
《第9実施形態》
以下、本発明の第9実施形態に係る車両の排気装置1について説明する。本発明者は、更なる研究の結果、直管部の途中からキックアップ部の途中までの領域に直管部よりも大きい内径を有する貯留領域を設けることにより、キックアップ部を乗り越えることができずに逆流してきた凝縮水を有効に排出することができることを見出した。
〈構成〉
図12は本発明の第9実施形態に係る車両の排気装置1の要部の側面図(a)、拡大側断面図(b)及び(b)において破線によって囲まれた部分の拡大図(c)である。(a)に示すように、本実施形態に係る車両の排気装置1は、直管部3の途中からキックアップ部4の途中までの領域において貯留領域51が形成されている点を除き、前述した第1実施形態に係る車両の排気装置1と同様の構成を有する。
(b)に示すように、貯留領域51の内径は、直管部3の貯留領域51よりも上流側の領域である上流直管領域3uの内径よりも大きい。また、(c)に示すように、上流直管領域3uにおける上方壁面である上流側上方壁面3uuは、直管部3の貯留領域51に該当する領域である下流直管領域3dにおける上方壁面である下流側上方壁面3duよりもΔHuだけ低い。更に、上流側上方壁面3uuと下流側上方壁面3duとを連接する段差である上方直管段差部3suが形成されている。結果として、上流側上方壁面3uuによって低上壁部50が構成されている。
〈効果〉
本実施形態に係る車両の排気装置1においては、上記のように、直管部3の途中からキックアップ部4の途中までの領域に直管部3よりも大きい内径を有する貯留領域51が形成されている。これにより、キックアップ部4を乗り越えることができずに逆流してきた凝縮水を貯留領域51に溜めて、上流直管領域3u及び上流直管領域3uの上流側に連接された排気管2へと逆流する凝縮水を低減することができる。更に、残留凝縮水の量が同一である場合、貯留領域51が形成されていない排水装置に比べて、屈曲部4cに残留している凝縮水の液面がより低くなり、排気ガスの流路断面積をより大きく確保することができる。その結果、凝縮水の残留に起因する圧力損失の増大及び(特に残留凝縮水の凍結時における)排気管の閉塞が生ずる可能性を低減することができる。
尚、直管部3の上流側上方壁面3uuに比べて下流側上方壁面3du(貯留領域51における上方壁面)の方が高いため、貯留領域51において残留凝縮水の水面が揺動されて生ずる波頭が下流側上方壁面3duに接触して水膜を形成する頻度は、貯留領域51が形成されていない排水装置に比べて、より低いと推定される。しかしながら、本実施形態に係る車両の排気装置1によれば、凝縮水を有効に排出することができる。
上記のように高い排水性能が達成されるメカニズムの詳細については現時点においては完全には把握されていない。しかしながら、図4を参照しながら説明したように、キックアップ部4を乗り越えることができずに逆流してきた凝縮水の波面(下降時波面)に生ずる大きい波頭が下流側上方壁面3duよりも低い上流側上方壁面3uuに接触することにより、より高い頻度にて水膜が形成されるものと考えられる。つまり、上流側上方壁面3uuは、上述した上方膨出部の最下部と同様の機能(即ち、低上壁部50として凝縮水の波頭と接触して水膜を形成する機能)を良好に発揮することができる。従って、本実施形態に係る車両の排気装置1によれば、機関の運転状態にかかわらず、残留凝縮水を積極的に排出することができる。
《第10実施形態》
〈構成〉
図13は本発明の第10実施形態に係る車両の排気装置1の要部の側断面図である。本実施形態に係る車両の排気装置1は、第1距離aが第2距離bに等しいか又は第2距離bよりも短いという点を除き、上述した本発明の第9実施形態に係る車両の排気装置1と同様の構成を有する。
図13に示すように、第1管軸AX1は直管部3の管軸であり、第2管軸AX2はキックアップ部4の管軸の最上点4pよりも上流側の直線領域の管軸である。最上点4pはキックアップ部4の管軸において最も高い位置にある点である。第2最上点4p2は最上点4pを含む水平面と第2管軸AX2との交点である。屈曲点4qは、キックアップの開始点であり、典型的には第1管軸AX1と第2管軸AX2との交点である。但し、排気装置1の形状によっては、第1管軸AX1と第2管軸AX2とが交わらない場合がある。このような場合を考慮すると、屈曲点4qは、第1管軸AX1及び第2管軸AX2の両方に平行な平面への投影図における第1管軸AX1と第2管軸AX2との交点として定義することができる。
そして、第1距離aは、貯留領域51におけるキックアップ部4よりも上流側の水平な流路の長さに対応する距離であり、第1管軸AX1に平行な方向における屈曲点4qと直管部3の上流側上方壁面3uu(即ち、低上壁部50)の下流側の端部との間の距離である。一方、第2距離は、キックアップ部における最も上流側にある上り流路の長さに対応する距離であり、第2管軸AX2に平行な方向における第2最上点4p2と屈曲点4qとの距離である。
〈効果〉
前述したように、本発明の第9実施形態に係る車両の排気装置1においては、直管部3の途中からキックアップ部4の途中までの領域に直管部3よりも大きい内径を有する貯留領域51が形成され、上流側上方壁面3uuと下流側上方壁面3duとを連接する段差である上方直管段差部3suが形成されている。これにより、キックアップ部を乗り越えることができずに逆流してきた凝縮水を有効に排出することができる。
本実施形態に係る車両の排気装置1においては、上記のように、第1距離aが第2距離bに等しいか又は第2距離bよりも短い(a≦b)。これにより、キックアップ部を乗り越えることができずに逆流してきた凝縮水をより確実に排出することができる。
《第11実施形態》
〈構成〉
貯留領域51は、例えば図14に示すように、直管部3の途中からキックアップ部4の最上点4pよりも下流側の所定の位置までの領域において形成されていてもよい。しかしながら、凝縮水の排水性能を高める観点からは、貯留領域51は、直管部3の途中からキックアップ部4の最上点4pよりも上流側の所定の位置までの領域において形成されていることが好ましい。
そこで、本実施形態に係る車両の排気装置1は、上述した第9実施形態又は第10実施形態に係る車両の排気装置1であって、図15に示すように、直管部3の途中からキックアップ部4の最上点4pよりも上流側の所定の位置までの領域において貯留領域51が形成されている。更に、図16に示すように、キックアップ部4の貯留領域51よりも下流側の領域である下流キックアップ領域4dにおける内径Ddは、キックアップ部4の貯留領域51に該当する領域である上流キックアップ領域4uにおける内径Duよりも小さい。
〈効果〉
上記構成を有する本実施形態に係る車両の排気装置1によれば、凝縮水の排水性能を更に高めることができる。このように高い排水性能が達成されるメカニズムの詳細については現時点においては完全には把握されていない。しかしながら、例えば、キックアップ部4の内部を順方向に進行している凝縮水が上流キックアップ領域4uと下流キックアップ領域4dとの間の縮径部4sを通過するときに流路の狭まりに起因して水膜が形成される頻度が高まることが考えられる。更に、キックアップ部4の内部を順方向に進行している凝縮水の一部が縮径部4sの段差によって跳ね返されて、逆方向(戻り方向)に進行する凝縮水の量が増えたり勢いが増したりすることにより、直管部3の上流側上方壁面3uuと波頭との接触による水膜の形成頻度が高まることが考えられる。
《第12実施形態》
〈構成〉
以下、本発明の第12実施形態に係る車両の排気装置1について説明する。図17は本発明の第12実施形態に係る車両の排気装置1の要部の拡大側断面図である。本実施形態に係る車両の排気装置1は、上述した第9実施形態乃至第11実施形態の何れかに係る車両の排気装置1であって、図17に示すように、直管部3の鉛直方向における下方側の領域である下方領域の壁面である下方壁面は、上流直管領域3uにおける下方壁面である上流側下方壁面3udが下流直管領域3dにおける下方壁面である下流側下方壁面3ddよりもΔHd高いように形成されている。
更に、上流側下方壁面3udと下流側下方壁面3ddとを連接する段差である下方直管段差部3sdが形成されている。加えて、下方直管段差部3sdの下流側の端部3sdeは、(a)に示すように直管部3の管軸である第1管軸に平行な方向において、上方直管段差部3suの下流側の端部3sueと同じ位置に形成されているか、或いは(b)に示すように上方直管段差部3suの下流側の端部3sueよりも距離ΔPsだけ下流側の位置に形成されている。
〈効果〉
上記構成を有する本実施形態に係る車両の排気装置1によれば、キックアップ部4を乗り越えることができずに逆流してくる凝縮水が下方直管段差部3sdによって跳ね上げられて、低上壁部50としての上流側上方壁面3uuに波頭が到達し易くなり、水膜の形成頻度が高まる。その結果、凝縮水の排水性能を更に高めることができる。尚、凝縮水の排水性能を更に高める観点からは、図17の(b)に示したように、下方直管段差部3sdの下流側の端部3sdeが上方直管段差部3suの下流側の端部3sueよりも下流側の位置に形成されていることが好ましい。
また、下方直管段差部3sdの上流側の端部3sdsと上方直管段差部3suの上流側の端部3susとの位置関係は特に限定されない。即ち、下方直管段差部3sdの上流側の端部3sdsは、直管部3の管軸である第1管軸に平行な方向において、図18の(a)に示すように上方直管段差部3suの上流側の端部3susと同じ位置に形成されていてもよく、(b)に示すように端部3susよりも下流側の位置に形成されていてもよく、或いは(c)に示すように端部3susよりも上流側の位置に形成されていてもよい。尚、凝縮水の排水性能を更に高める観点からは、図18の(b)に示したように、下方直管段差部3sdの上流側の端部3sdsが上方直管段差部3suの上流側の端部3susよりも下流側の位置に形成されていることが好ましい。
《第13実施形態》
〈構成〉
以下、本発明の第13実施形態に係る車両の排気装置1について説明する。本実施形態に係る車両の排気装置1は、上述した第9実施形態乃至第12実施形態の何れかに係る車両の排気装置1であって、直管部3の鉛直方向における下方側の領域である下方領域の壁面である下方壁面によって、直管部3の管軸である第1管軸を挟んで上方直管段差部3suと対向する平面を有する平面部が形成されている。更に、第1管軸を中心とする円周方向において平面部に隣接する領域である下方隣接領域の壁面である下方隣接壁面によって、直管部3の外側に向かって張り出している張出部が形成されている。
具体的には、直管部3の管軸である第1管軸を挟んで上方直管段差部3suと対向する下方領域(直管部3の下側領域)において、例えば、図8及び図11を参照しながら説明した本発明の第5実施形態及び第8実施形態に係る車両の排気装置1と同様の構造(平面部及び張出部)が形成されている。従って、ここでの平面部及び張出部についての説明は省略する。
〈効果〉
本実施形態に係る車両の排気装置1においては、低上壁部50としての上流側上方壁面3uu及び平面部により、上流側上方壁面3uuと波頭との接触頻度を増大させつつ、平面部の両脇に形成された張出部により排気ガスの流路断面積を広げて、排気ガスの通過性を確保することができる。従って、機関の性能に影響すること無く凝縮水の排出作用を確保することができる。
《第14実施形態》
〈構成〉
以下、本発明の第14実施形態に係る車両の排気装置1について説明する。本実施形態に係る車両の排気装置1は、上述した第9実施形態乃至第13実施形態の何れかに係る車両の排気装置1であって、直管部3の鉛直方向における下方側の領域である下方領域の壁面である下方壁面によって、直管部3の内側に向かって膨出している部分である下方膨出部が、直管部3の管軸である第1管軸を挟んで上方直管段差部3suと対向する領域である下方対向領域に形成されている。
具体的には、直管部3の管軸である第1管軸を挟んで上方直管段差部3suと対向する下方領域(直管部3の下側領域)において、例えば、図9を参照しながら説明した本発明の第6実施形態に係る車両の排気装置1と同様の構造(下方膨出部)が形成されている。従って、ここでの下方膨出部についての説明は省略する。
〈効果〉
本実施形態に係る車両の排気装置1においては、下方膨出部により、凝縮水が揺動時に強制的に上向きの力を受けるため、低上壁部50としての上流側上方壁面3uuの直下において波頭を形成し易くなり、他の実施形態よりも水膜が形成される機会が増えるので、凝縮水の排出作用が高まる。しかしながら、背反として排気ガスの流路断面積の狭小化を伴うため、機関の性能への影響を勘案しながら、下方膨出部の大きさ、形状及び数等を適宜設定することが肝要である。
《第15実施形態》
〈構成〉
以下、本発明の第15実施形態に係る車両の排気装置1について説明する。本実施形態に係る車両の排気装置1は、上述した第9実施形態乃至第14実施形態の何れかに係る車両の排気装置1であって、上流直管領域3uと貯留領域51とキックアップ部4の貯留領域51よりも下流側の領域である下流キックアップ領域4dとが別体として構成され且つ互いに連接されている。
〈効果〉
上記のように上流直管領域3uと貯留領域51と下流キックアップ領域4dとを別体として形成することにより、例えば上方直管段差部3su及び下方直管段差部3sd、平面部及び張出部並びに下方膨出部の何れかが複雑な三次元的形状を有する場合においても、例えば塑性加工等の任意の手法を選択して製造することができるので、これらの部材の形状の設計自由度が向上する。
ここで、本発明の第10実施形態に係る実施例につき、図面を参照しつつ、以下に詳しく説明する。
〈構成〉
図19は、実施例において評価した本発明に係る各種排気装置(1)乃至(5)の側面図である。また、図20は、これら各種排気装置(1)乃至(5)の貯留領域51の近傍の拡大側断面図である。これら各種排気装置における上述した第1距離aと第2距離bとの関係(寸法関係)、上方直管段差部3suの下流側の端部3sueと下方直管段差部3sdの下流側の端部3sdeとの第1管軸に平行な方向における位置の差(ΔPs)、及びキックアップ部4の最も上流側にある上り流路の途中における縮径部(4s)の有無、並びに後述する凝縮水の排出作用についての評価結果を以下の表1に列挙する。
Figure 2019085990
図19及び図20並びに表1に示したように、排気装置(1)乃至(3)の群により第1距離aによる排水性能に対する影響を検証することができ、排気装置(2)と(4)との組みによりキックアップ部4の最も上流側にある上り流路の途中における縮径部(4s)の有無による排水性能に対する影響を検証することができる。尚、排気装置(5)は上方直管段差部3suの下流側の端部3sueと下方直管段差部3sdの下流側の端部3sdeとの第1管軸に平行な方向における位置が同じ(ΔPs=0)である構成の一例として示したが、排水性能の評価は実施しなかった。
〈排水試験〉
次に、上記各種排気装置(1)乃至(4)の排水試験を行った。具体的には、先ず、排気装置を車両に搭載して屈曲部4cが最も低くなるように所定の傾斜を有する床面に当該車両を駐車し凝縮水が凍結した場合に排気ガスの流路が閉塞される凝縮水の量(初期水量)を、各種排気装置(1)乃至(4)のそれぞれについて特定した。このようにして特定された初期水量も上述した表1に列挙されている。尚、それぞれの排気装置により初期水量が異なるのは、貯留領域51におけるキックアップ部4よりも上流側の水平な流路の長さに対応する距離である第1距離aの違いによるものであり、凝縮水の凍結時に排気ガスの流路が閉塞する箇所(屈曲部4cの近傍)の構造については、排気装置(1)乃至(4)の間に実質的な差異は無い。
次に、上記各車両を水平な床面に駐車し、初期水量の凝縮水が貯留領域51辺りに溜まっている状態とし、所定の排気流量(例えば、3g/秒)にて機関をアイドリングさせ、排気装置からの更なる排水が認められなくなるまで数分間に亘って運転を続けた。その後、貯留領域51辺りに残留している凝縮水の量(残水量)を測定した。このようにして測定された残水量もまた上述した表1に列挙されている。尚、排水試験において残留凝縮水10が排気ガスの圧力によって排出されるときの様子を表す模式図を図21に示す。
〈評価〉
排気装置(1)乃至(4)の残水量は何れも、従来技術に係る排気装置に比べて、より少なく、本発明に係る排気装置の優れた排水性能が認められたが、排気装置(1)乃至(3)の中では、第1距離a(貯留領域51におけるキックアップ部4よりも上流側の水平な流路の長さに対応する距離)の方が第2距離b(キックアップ部における最も上流側にある上り流路の長さに対応する距離)よりも長い排水装置(1)の残水量が他の排水装置(2)及び(3)の残水量に比べて多かった。このことから、より高い排水性能を達成するためには、前述したように、第1距離aが第2距離bに等しいか或いは第2距離bよりも小さいことが好ましいことが確認された。
また、同じ第1距離a及び第2距離bを有する排気装置(2)及び(4)の組においては、キックアップ部4の最も上流側にある上り流路の途中に縮径部4sが形成されている排気装置(2)の残水量が、縮径部4sが形成されていない排気装置(4)の残水量よりも少なかった。このことから、前述したように、キックアップ部4の最も上流側にある上り流路の途中に縮径部4sを形成することにより、排水性能を更に高めることができることが確認された。
以上、本発明を説明することを目的として、特定の構成を有する幾つかの実施形態及び実施例につき、時に添付図面を参照しながら説明してきたが、本発明の範囲は、これらの例示的な実施形態及び実施例に限定されると解釈されるべきではなく、特許請求の範囲及び明細書に記載された事項の範囲内で、適宜修正を加えることが可能であることは言うまでも無い。また、機関はガソリンエンジン及びディーゼルエンジン等の一般的な内燃機関に限られず、凝縮水を生成するものである限り本発明を適用可能であり、車両も自動車に限られず、様々な種類の車両に本発明を広く適用可能である。また、本発明を構成する部品の材質も、金属に限らず樹脂やセラミック等、工業的に使用することができる材料を広く選択可能である。
1 排気装置
2 排気管
3、26、30、37、43、44、48 直管部
3u 上流直管領域
3uu 上流側上方壁面
3ud 上流側下方壁面
3d 下流直管領域
3du 下流側上方壁面
3dd 下流側下方壁面
3su 上方直管段差部
3sue (上方直管段差部3suの)下流側の端部
3sus (上方直管段差部3suの)上流側の端部
3sd 下方直管段差部
3sde (下方直管段差部3sdの)下流側の端部
3sds (下方直管段差部3sdの)上流側の端部
4 キックアップ部
4c 屈曲部
4u 上流キックアップ領域
4d 下流キックアップ領域
4p 最上点
4p2 第2最上点
4q 屈曲点
4s 縮径部
5 間隔
6、21、27、31、38 上方膨出部
7、22 最下部
8、9 連接部
10 凝縮水
11 凝縮水上面
12 排気ガス
13 波頭
14、18 水膜
15、19 排水
17 下降時波頭
20 仮想形状
23、24、33、40 徐変部
34、35、45、46 張出部
41、42 下方膨出部
50 低上壁部
51 貯留領域

Claims (7)

  1. 機関の排気ガスを排出する車両の排気装置であって、
    管状部材である直管部と前記直管部の下流側に連接された管状部材であるキックアップ部とを有し、
    前記直管部の鉛直方向における上方側の領域である上方領域の壁面である上方壁面の高さが低くなっている部分である低上壁部が形成されており、
    前記直管部の途中から前記キックアップ部の途中までの領域において貯留領域が形成されており、
    前記貯留領域の内径は、前記直管部の前記貯留領域よりも上流側の領域である上流直管領域の内径よりも大きく、
    前記上流直管領域における前記上方壁面である上流側上方壁面は、前記直管部の前記貯留領域に該当する領域である下流直管領域における前記上方壁面である下流側上方壁面よりも低く、
    前記上流側上方壁面と前記下流側上方壁面とを連接する段差である上方直管段差部が形成されており、
    前記上流側上方壁面によって前記低上壁部が構成されている、
    車両の排気装置。
  2. 請求項に記載された車両の排気装置であって、
    前記直管部の管軸である第1管軸及び前記キックアップ部の管軸の最上点よりも上流側の直線領域の管軸である第2管軸の両方に平行な平面への投影図における前記第1管軸と前記第2管軸との交点である屈曲点と前記低上壁部の下流側の端部との間の前記第1管軸に平行な方向における距離である第1距離は、前記最上点を含む水平面と前記第2管軸との交点である第2最上点と前記屈曲点との間の前記第2管軸に平行な方向における距離である第2距離に等しいか又は前記第2距離よりも短い、
    車両の排気装置。
  3. 請求項又は請求項に記載された車両の排気装置であって、
    前記貯留領域は、前記直管部の途中から前記キックアップ部の前記最上点よりも上流側の所定の位置までの領域において形成されており、
    前記キックアップ部の前記貯留領域よりも下流側の領域である下流キックアップ領域における内径は、前記キックアップ部の前記貯留領域に該当する領域である上流キックアップ領域における内径よりも小さい、
    車両の排気装置。
  4. 請求項乃至請求項の何れか1項に記載された車両の排気装置であって、
    前記直管部の鉛直方向における下方側の領域である下方領域の壁面である下方壁面は、前記上流直管領域における前記下方壁面である上流側下方壁面が前記下流直管領域における前記下方壁面である下流側下方壁面よりも高いように形成されており、
    前記上流側下方壁面と前記下流側下方壁面とを連接する段差である下方直管段差部が形成されており、
    前記下方直管段差部の下流側の端部は、前記直管部の管軸である第1管軸に平行な方向において、前記上方直管段差部の下流側の端部と同じ位置又は前記上方直管段差部の下流側の端部よりも下流側の位置に形成されている、
    車両の排気装置。
  5. 請求項乃至請求項の何れか1項に記載された車両の排気装置であって、
    前記直管部の鉛直方向における下方側の領域である下方領域の壁面である下方壁面によって、前記直管部の管軸である第1管軸を挟んで前記上方直管段差部と対向する平面を有する平面部が形成されており、
    前記第1管軸を中心とする円周方向において前記平面部に隣接する領域である下方隣接領域の壁面である下方隣接壁面によって、前記直管部の外側に向かって張り出している張出部が形成されている、
    車両の排気装置。
  6. 請求項乃至請求項の何れか1項に記載された車両の排気装置であって、
    前記直管部の鉛直方向における下方側の領域である下方領域の壁面である下方壁面によって、前記直管部の内側に向かって膨出している部分である下方膨出部が、前記直管部の管軸である第1管軸を挟んで前記上方直管段差部と対向する領域である下方対向領域に形成されている、
    車両の排気装置。
  7. 請求項乃至請求項の何れか1項に記載された車両の排気装置であって、
    前記上流直管領域と前記貯留領域と前記キックアップ部の前記貯留領域よりも下流側の領域である下流キックアップ領域とが別体として構成され且つ互いに連接されている、
    車両の排気装置。
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