以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、各部材等を認識可能な程度の大きさにするため、各部材等の尺度を実際とは異ならせて示している。
(第1実施形態)
まず、本実施形態にかかるインク収容ボトルが適用され得る印刷システムの構成について説明する。
図1Aは、印刷システム1の構成を示す斜視図である。印刷システム1は、プリンター2と、カートリッジ50とを備える。印刷システム1では、プリンター2に設けられたホルダー3にカートリッジ50が装着された状態で、カートリッジ50は、プリンター2にインク(印刷材)を供給し、プリンター2は、カートリッジ50から供給されるインクを用いて印刷を実行する。
プリンター2のホルダー3は、カートリッジ50を保持する保持装置である。ホルダー3には、カートリッジ50の挿入を受け入れる領域であるスロットSLが形成されている。本実施形態では、1つのスロットSLは、1つのカートリッジ50の挿入を受け入れ可能に構成されている。本実施形態では、ホルダー3には、1つのスロットSLに対して、1つの係合部31が設けられている。ホルダー3の係合部31は、スロットSLに挿入されたカートリッジ50に対して係合可能に構成されており、カートリッジ50がスロットSLから不用意に外れてしまうことを防止する。
本実施形態では、ホルダー3には、4色(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)のインクに対応する4種類のカートリッジ50が1つずつ、すなわち4つのカートリッジ50が装着される。ホルダー3に装着可能なカートリッジ50の個数は、4つに限るものではなく、任意の個数に変更可能であり、4つより少なくてもよいし、4つより多くてもよい。カートリッジ50のインクは、4色に限るものではなく、4色未満であっても、5色以上であってもよく、他の色(例えば、ライトマゼンタ、ライトシアン等)のインクや、特殊光沢色(金属光沢、パールホワイト等)のインクであってもよい。また、各色ごとに1つずつ分離したカートリッジに限らず、複数色のインクを1つのカートリッジに内包するカートリッジでもよい。例えば、1色(ブラック)のインクを含むカートリッジと、3色(イエロー、マゼンタ、シアン)を内包するカートリッジと、を組み合わせてホルダー3に装着してもよい。他の実施形態では、ホルダー3は、同種類のインクに対応する2つ以上のカートリッジ50を装着可能であってもよい。また、同種類のインクのカートリッジ50を2つ以上装着する場合、カートリッジ50をX軸方向に配列するだけでなく、Z軸方向、Y軸方向等に複数の列を構成するようにしてもよい。ホルダー3の詳細構成については後述する。
印刷システム1のプリンター2は、インクを用いて印刷する印刷装置であり、本実施形態では、インクジェットプリンターである。プリンター2は、ホルダー3の他、制御部22と、キャリッジ25と、ヘッド26とを備える。プリンター2は、紙やラベルなどの印刷媒体Mに対してヘッド26からインクを吐出させることによって、文字、図形および画像などの情報を印刷媒体Mに印刷する。
プリンター2において、ホルダー3は、キャリッジ25とは異なる部位に設けられており、カートリッジ50が装着されたホルダー3から、フレキシブルチューブ39を介して、キャリッジ25に設けられたヘッド26に対して、インクが供給される。このように、ホルダー3がキャリッジ25とは異なる部位に設けられたプリンター2の機構は、オフキャリッジタイプとも呼ばれる。
プリンター2の制御部22は、プリンター2の各部を制御する。本実施形態では、制御部22は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)を用いて形成された制御回路を有する。プリンター2のキャリッジ25は、ヘッド26を印刷媒体Mに対して相対的に移動可能に構成されている。プリンター2のヘッド26は、ホルダー3に装着されたカートリッジ50からインクの供給を受け、そのインクを印刷媒体Mに対して吐出する。本実施形態では、制御部22とキャリッジ25との間はフレキシブルケーブル(図示しない)を介して電気的に接続されており、ヘッド26は、制御部22からの制御信号に基づいてインクの吐出を実行する。
本実施形態では、キャリッジ25と印刷媒体Mとを相対的に移動させて印刷媒体Mに対する印刷を実現するために、プリンター2は、キャリッジ25を主走査方向Dmsに沿って往復移動可能に構成されると共に、印刷媒体Mを副走査方向Dssに沿って搬送可能に構成されている。本実施形態では、主走査方向Dmsおよび副走査方向Dssは、相互に直交すると共に、重力方向に対してそれぞれ直交する。プリンター2は、キャリッジ25の移動および印刷媒体Mの搬送を、制御部22による制御に基づいて実現する。
図1Aには、XYZ軸を図示した。図1AのXYZ軸は、他の図のXYZ軸に対応する。本実施形態では、印刷システム1の使用状態において、キャリッジ25を往復移動させる主走査方向Dmsに沿った軸をX軸とし、印刷媒体Mを搬送する副走査方向Dssに沿った軸をY軸とし、重力方向に沿った軸をZ軸とする。これらX軸、Y軸およびZ軸は、相互に直交する。印刷システム1の使用状態とは、水平な面に設置された印刷システム1の状態であり、本実施形態では、X軸およびY軸に平行なXY面は、水平面になる。
本実施形態では、ホルダー3に装着された複数のカートリッジ50の配列方向は、X軸に沿った方向である。他の実施形態では、複数のカートリッジ50の配列方向は、Y軸に沿った方向であってもよいし、Z軸に沿った方向であってもよいし、X軸、Y軸およびZ軸の少なくとも一つの軸に対して傾斜した方向であってもよい。
本実施形態では、印刷システム1の右側面から左側面に向かって+X軸方向とし、+X軸方向の反対方向を−X軸方向とする。本実施形態では、副走査方向に向かって+Y軸方向とし、+Y軸方向の反対方向を−Y軸方向とする。本実施形態では、重力とは反対側に向かう方向を+Z軸方向とし、重力が向かう重力方向を−Z軸方向とする。本実施形態では、+Y軸方向側が印刷システム1の正面となる。
印刷システム1のカートリッジ50は、プリンター2にインクを供給するインク供給装置であり、本実施形態では、インクを補充可能(リフィラブル(refillable))なインク供給装置である。図1Aに示すように、本実施形態では、カートリッジ50は、略L字状の外形をなし、略L字状の外形における長辺が−Y軸方向に向かい、略L字状の外形における短辺が− Z軸方向に向かう状態で、ホルダー3に装着される。
カートリッジ50は、ホルダー3に対して着脱可能に構成されている。図1Aには、4つのカートリッジ50のうち− X軸方向側のカートリッジ50がホルダー3から外れた状態を図示した。図1Bは、ホルダー3にカートリッジ50が装着された状態を示す斜視図である。図1Bには、4つのカートリッジ50の全てがホルダー3に装着された状態を図示した。
本実施形態では、印刷システム1のユーザーは、ホルダー3のスロットSLに対してカートリッジ50を−Y軸方向に移動させることによって、ホルダー3に対してカートリッジ50を装着することが可能である。本実施形態では、印刷システム1のユーザーは、係合部31によるカートリッジ50との係合を解除した状態(例えば、図1Bの−X軸方向側の係合部31の状態)で、カートリッジ50を+Y軸方向に移動させることによって、ホルダー3からカートリッジ50を取り外すことが可能である。
カートリッジ50は、筐体51と、スライダー(摺動部材)60と、回路部材58とを備える。カートリッジ50の筐体51は、図1Aに示すように、インクを収容するインク収容部61が内部に設けられた箱体である。
図1Cは、ホルダー3に装着されたカートリッジ50にインクを補充する様子を示す斜視図である。
カートリッジ50のインク収容部61にインクを補充する際には、ユーザーは、図1Cに示すように、スライダー60の蓋部62を開け、次ぎに、筐体51のインク注入口68から蓋体69を取り外す。その後、ユーザーは、補充用のインクを収容したインク収容容器としてのインク収容ボトル100を用意し、インク収容部61にインクが十分に満たされるまで、インク収容ボトル100の吐出口Sからカートリッジ50のインク注入口68にインクを注入する。その後、ユーザーは、インク注入口68を蓋体69で密閉し、蓋部62を閉じる。これによって、インクの補充が完了する。
次に、インク収容ボトル100の構成について説明する。
図1Dから図1Gは、インク収容ボトルの構成を示す概略図である。
図1Dから図1Gに示すように、インク収容ボトル100は、柔軟性及び可撓性を備える軟包材によって形成されたサイドガセットタイプの袋容器であって、収容したインクをカートリッジ50に補充するものである。
インク収容ボトル100は、インクの補充に伴って、側面折り込み部111aを内側に折り込んで袋状本体部111が平坦に折り畳まれるように誘導する機能を備える。
そして、インク収容ボトル100は、柔軟性及び可撓性を備える軟包材によって形成され、底部111bと、前後一対の正面部111cと、該一対の正面部111cの両側又は一方の側(本実施形態では両側)の側縁部の間に配設された、折込み線112を介して一対の正面部111cの内側に折り込み可能な側面折り込み部111aとを備えると共に、上端部に流出口(吐出口S)113が開口形成されるインク収容ボトルであって、側面折り込み部111aの少なくとも底部111bと近接する部分に、一対の正面部111cとの接合部分から折込み線112に向けて、流出口113が開口形成される上端部側に傾斜して斜めに延設する応力集中補強線114が設けられていて、応力集中補強線114の終点が折込み線112上又は折込み線112上付近に配置される。
また、本実施形態では、インク収容ボトル100の底部111bは、底部折込み線115を介して一対の正面部111cの内側に折り込み可能に形成されており、当該底部111bにおける正面部111cと側面折り込み部111aとの接合角部分から、底部折込み線115の中央部分に向けて斜めに延設する底部応力集中補強線116が設けられている。
本実施形態では、インク収容ボトル100を構成する袋状本体部111は、柔軟性及び可撓性を備える軟包材として、例えばポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ナイロン等のポリアミド樹脂の中から選ばれた合成樹脂から形成される積層フィルムであることが好ましく、積層フィルムの厚さが80〜250μm程度のシート材料を、これらの周縁部をヒートシール等によって適宜接合する公知の方法によって形成される。袋状本体部111は、図1D〜図1Fに示すように、底部111bと、前後一対の正面部111cと、左右一対の側面折り込み部111aと、肩部111dとからなり、側面折り込み部111aを折り曲げない状態で縦横60〜150mm程度の大きさの、略正方形の断面形状を有する中空の袋容器として形成される。袋状本体部111の肩部111dの中央部分には、流出口形成用首部117が上方に突出して設けられている。袋状本体部111の内部に内容液を充填収容して流出口形成用首部117が封止されている状態から、これの先端部分を切り取ることで流出口113を開口形成し、袋状本体部111を傾倒又は倒立させて、収容した内容液を流出口113から流出させる。
インク収容ボトル100を構成する袋状本体部111の一対の正面部111cは、略縦長矩形形状を有する平坦な平板状のシート部分である。一対の正面部111cは、両側の側縁部がヒートシール部118を介して一対の側面折り込み部111aに各々接合していると共に、底縁部がヒートシール部118を介して底部111bに接合している。一対の正面部111cの上縁部は肩部111dに接続している。
袋状本体部111の一対の側面折り込み部111aは、略縦長矩形形状の平板状のシート部分であり、幅方向中央部を縦方向に縦断して、折込み線112が形成されている。折込み線112には、側面折り込み部111aが袋状本体部111の内側に向けて容易に折れ曲がることが可能なように、折れ癖が施されている。当該折込み線112を介して、側面折り込み部111aを二つ折りに折り重ねるようにして一対の正面部111cの内側に折り込むことで、一対の正面部111cを近接させた状態として、袋状本体部111を平坦に折り畳むことができる。
また、一対の側面折り込み部111aは、両側の側縁部がヒートシール部118を介して一対の正面部111cに各々接合していると共に、底縁部がヒートシール部118を介して底部111bに接合している。一対の側面折り込み部111aの上縁部は肩部111dに接続している。
そして、本第1実施形態では、側面折り込み部111aの底部111bと近接する部分に、一対の正面部111cとの接合部分から折込み線112に向けて、流出口113が開口形成される上端部側に傾斜して斜めに延設する応力集中補強線114が設けられている。本実施形態では、応力集中補強線114は、例えば側面折り込み部111aを構成するシート材料にエンボス加工等を施すことによって、例えば円弧断面形状を有する凸条や凹溝として容易に形成することができる。本実施形態では、応力集中補強線114は、各側面折り込み部111aにおける、底部111bと正面部111cとの両側の接合角部分から折込み線112に向けて、底部111bに対しての傾斜角度θ1で斜めに延設して、各々一対設けられており、傾斜角度θ1は15〜75°となっていることが好ましく、25〜65°となっていることがさらに好ましく、35〜55°となっていることが特に好ましい。
側面折り込み部111aの底部111bと近接する部分に応力集中補強線114が設けられていることにより、当該応力集中補強線114に応力が集中することで、側面折り込み部111aが補強線の無い正面部111cよりも優先的に変形し易くなって、正面部111cが折れ曲がるよりも先に、折込み線112に沿って側面折り込み部111aを折り曲げさせることが可能になると共に、一対の正面部111cの内側に側面折り込み部111aが先行して折り込まれるように誘導することが可能になる。
袋状本体部111の底部111bは、略正方形の平板状のシート部分であり、その四方の周縁部が、上述のように、一対の正面部111cや一対の側面折り込み部111aの底縁部と、ヒートシール部118を介して接合している。底部111bの中央部分には、正面部111cの底縁部とのヒートシール部118と略平行に延設して、当該底部111bを2分割する底部折込み線115が形成されている。底部折込み線115は、一対の側面折り込み部111aに形成された折込み線112と、ヒートシール部118を挟んで連設するように設けられる。底部折込み線115には、折込み線112と同様に、底部111bが容易に折れ曲がることが可能なように、折れ癖が施されている。当該底部折込み線115を介して、底部111bを二つ折りに折り重ねるようにして一対の正面部111cの内側に折り込むことで、底部111bに近接する部分の一対の正面部111cを近接させた状態として、特に底部111bと近接する部分の袋状本体部111を平坦に折り畳むことができる。
また、本実施形態では、袋状本体部111の底部111bには、当該底部111bにおける正面部111cと側面折り込み部111aとの4箇所の接合角部分から、底部折込み線115の中央部分に向けて斜めに延設する底部応力集中補強線116が設けられている。底部応力集中補強線116は、側面折り込み部111aに設けられた応力集中補強線114と同様に、例えば底部111bを構成するシート材料にエンボス加工等を施すことによって、例えば円弧断面形状を有する凸条や凹溝として容易に形成することができる。本実施形態では、底部応力集中補強線116は、4箇所の各接合角部分から底部折込み線115の中央部分に向けて、好ましくは一対の正面部111cや一対の側面折り込み部111aの底縁部との各ヒートシール部118に対して、略45度の傾斜角度θ2で、斜めに延設して略対角線上に設けられている。
底部111bに底部応力集中補強線116が設けられていることにより、当該底部応力集中補強線116に応力が集中することで、底部111bが補強線の無い正面部111cよりも優先的に変形し易くなって、正面部111cが折れ曲がるよりも先に、底部折込み線115に沿って底部111bを折り曲げさせることが可能になると共に、一対の正面部111cの内側に底部111bが先行して折り込まれるように誘導することが可能になる。
さらに、本実施形態では、袋状本体部111の底部111bは、好ましくは正面部111c及び側面折り込み部111aを形成する軟包材よりも、ループスティフネスの低い柔らかい材質の軟包材によって形成されている。すなわち、正面部111c及び側面折り込み部111aを形成する軟包材のループスティフネスは、好ましくは5〜15gf/10mmとなっているのに対して、底部111bを形成する軟包材のループスティフネスは、上記範囲内から選択された値であり、正面部111c及び側面折り込み部111aのループスティフネスよりも低い値となっている。
底部111bを形成する軟包材が、正面部111c及び側面折り込み部111aを形成する軟包材よりもループスティフネスの低い柔らかい材質の軟包材となっていることにより、袋状本体部111の流出口113の近傍部分よりも、底部111b及び底部111bの近傍部分を先に平坦となるように収縮変形させて、流出口への流路を狭めることなく、内容液を安定した状態でスムーズに流出させることが可能になる。
以上、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
そして、上述の構成を備える本実施形態のインク収容ボトル100によれば、その形状を工夫することによって、別部材を用いることなく、インクの注出に伴って袋状本体部111が平坦に折り畳まれるように、袋状本体部111の収縮変形を容易に誘導できると共に、流出口113への流路を確保し、また内容液の残量を少なくして、スムーズに且つ効率良くインクをカートリッジ50に補充することができる。
すなわち、本実施形態によれば、例えばエンボス加工等により袋状本体部111のシート材料に凸条や凹溝を形成するだけの簡易な構成によって、別部材を用いることなく、応力集中補強線114や底部応力集中補強線116を容易に設けることができると共に、応力集中補強線114や底部応力集中補強線116によって、図1Gに示すように、正面部111cの変形よりも側面折り込み部111aや底部111bの変形を先行させて、側面折り込み部111aや底部111bを、折込み線112や底部折込み線115に沿って折り曲げさせながら一対の正面部111cの内側に折り込まれるようにスムーズに誘導することが可能になる。これによって、袋状本体部111を、流出口113への流路を確保しつつ一対の正面部111cを近接させた状態で平坦に折り畳まれるように変形させて、内容液の残量を少なくすることが可能になると共に、スムーズに且つ効率良くインクをカートリッジ50に補充することができる。
また、本実施形態のインク収容ボトル100によれば、側面折り込み部111aや底部111bを内側に折り込んだ意図した形状に潰れるため、袋状本体部111が閉塞するのを効果的に抑制できると共に、応力集中補強線114のある側面折り込み部111aが自然に潰れて内容液が押し出されるため、この押出し圧力によって流出口113を広く開口させることが可能になる。さらに、側面折り込み部111aに応力集中補強線114が形成されることで、袋状本体部111の折れを防ぎ、袋状本体部111の起立性を向上させることが可能になると共に、応力集中補強線114のある側面折り込み部111aが自然に潰れて内容液が押し出されるため、袋状本体部111を絞らなくても、インクの残量を少なくすることが可能になる。
これらによって、インクの補充時における流出口113や袋状本体部111の閉塞が無く、内容液の注出安定性や袋の起立性に優れ、詰め替え後の残量の少ないインク収容ボトル100を得ることが可能になる。また、応力集中補強線114や底部応力集中補強線116のある側面折り込み部111aや底部111bが、自然に潰れて内容液が押し出されるため、詰め替え時に袋が自然に折り畳まれる視覚的効果を、インクの補充を実際に行う消費者に与えることが可能になる。
さらに、インク収容ボトル100からカートリッジ50にインク補充する際、インクがスムーズに注出されるため、カートリッジ50内に空気を巻き込まずに補充可能となる。このため、ヘッド26への気泡の流出も低減され、インクの吐出性が安定し、品質の高い画像を形成することができる。
図1Hは、他のインク収容ボトル100aの構成を示している。本実施形態のインク収容ボトル100aは、上記実施形態のインク収容ボトル100と略同様の構成を備える他、側面折り込み部111aにおける一対の正面部111cとの接合部分から折込み線112に向けて上端部側に斜めに延設する応力集中補強線114が、底部111bと近接する部分の他、側面折り込み部111aの略全体に亘って、これの高さ方向中央部分及び上部に、一対ずつ3段に設けられている。応力集中補強線114が、側面折り込み部111aの略全体に亘って複数段に設けられていることにより、側面折り込み部111aを、折込み線112に沿って折り曲げさせながら一対の正面部111cの内側に折り込まれるように、さらにスムーズに誘導することが可能になる。
また、本実施形態のインク収容ボトル100aでは、当該インク収容ボトル100aの流出口が開口形成される上端部分に栓部材131が取り付けられており、この栓部材131は、薄肉線によって区画された流出口の開口予定部(図示せず)を備えており、薄肉線を破断させることで流出口が開口形成されるようになっている。
図1I及び図1Jに示すように、インク収容ボトル100aは、例えば、注出スパウト50bを備えたカートリッジ50にインクを補充可能に構成されている。具体的には、インク収容ボトル100aに取り付けられた栓部材131には、注出スパウト50bの外周形状に沿った内周形状部分を有するガイド壁132(図1H参照)が設けられている。
そして、インク収容ボトル100aは、例えば袋状本体部111を倒立させた状態で、ガイド壁132の内側に注出スパウト50bの先端部分を挿入してガイドさせつつ、栓部材131をカートリッジ50に向けて押し込むことにより、注出スパウト50bによって薄肉線を破断させて、流出口が開口形成される。これによって、インクをこぼすことなくさらに安定した状態でカートリッジにインクを補充することが可能になる。また、注出スパウト50bに栓部材131のガイド壁132を嵌め込むことで、倒立させた状態を保持して(図1J参照)、好ましくは手を離したままでも、袋状本体部111が平坦に折り畳まれるように誘導しながらインクを補充することが可能になる。
図1K及び図1Lは、他のインク収容ボトル100bを示すものである。本実施形態のインク収容ボトル100bは、上記実施形態のインク収容ボトル100aと略同様の構成を備える他、当該インク収容ボトル100bの流出口が開口形成される上端部分に、プルリング形式の栓部材134が取り付けられている。本実施形態のインク収容ボトル100bでは、栓部材134のプルリング135を指で引き破って流出口136(吐出口S)を開口形成した後に、袋状本体部111を傾倒させて、カートリッジ50にインクを補充することができる。
図1Mは、他のインク収容ボトル100cの構成を示している。本実施形態のインク収容ボトル100cは、上記実施形態のインク収容ボトル100と略同様の構成を備える他、側面折り込み部111aには、各対向する角部を結ぶニ対の対角に沿って応力集中補強線138が形成されることで、側面折り込み部111aの少なくとも底部111bと近接する部分に、一対の正面部111cとの接合部分から折込み線112に向けて斜めに延設する応力集中補強線が設けられている。
図1Nから図1Qは、他のインク収容ボトル100dの構成を示している。本実施形態のインク収容ボトル100dでは、側面折り込み部111a’は、前後一対の正面部111c’の一方の側の側縁部の間にのみ配設されることで、袋状本体部111’は、側面折り込み部111a’を折り曲げない状態で一辺が80〜200mm程度の大きさの、略正三角形の断面形状を有する中空の袋容器として形成される。また、本実施形態では、側面折り込み部111a’の少なくとも底部111b’と近接する部分に設けられる、正面部111c’との接合部分から折込み線112’に向けて斜めに延設する応力集中補強線114’は、側面折り込み部111a’の底部111b’と近接する部分、高さ方向中央部分、及び上部において、折込み線112’を挟んだ片側に一本ずつ千鳥状に配置されて設けられている。
さらに、本実施形態では、袋状本体部111’の底部111b’は、3本の底部折込み線115’を介して一対の正面部111c’の内側に折り込み可能に形成されており、当該底部111b’における正面部111c’と側面折り込み部111a’との接合角部分や一対の正面部111c’の接合角部分から、底部折込み線112’に向けて斜めに延設する底部応力集中補強線116’が設けられている。
以上、本実施形態によれば、インク収容ボトル100a,100b,100c,100dによっても、側面折り込み部111a,111a’や底部111b,111b’に、応力集中補強線114,114’や底部応力集中補強線116,116’が設けられていることにより、上記実施形態のインク収容ボトル100と同様の作用効果が奏される。
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、図1Rに示すように、底部に底部応力集中補強線が設けられていなくても良い。また、インク収容ボトルを構成する袋状本体部は、側面折り込み部を折り曲げない状態で略正方形や略正三角形の断面形状を有している必要は必ずしも無く、例えば図1Sに示すような矩形形状等のその他の種々の断面形状を有していても良い。例えば、断面形状が円形であってもよい。また、図1Tに示すように、側面折り込み部の少なくとも底部近接する部分に設けられた応力集中補強線の終点は、折込み線上に配置される他、折込み線と離れた折込み線上付近に配置されても良い。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。なお、印刷システムの構成については第1実施形態と同様なので説明を省略し、インク収容ボトルの構成について詳細に説明する。
図2Aから図2Iはインク収容ボトルの構成を示す概略図である。
図2Aから図2Eに示すように、インク収容ボトル200は、液体(インク)を充填した容器本体210の外方、本実施形態では上方に突出し吐出口Sとなる口部202と、その基端側(吐出方向の上流側)に形成されたエアー溜部203と、該エアー溜部203に形成された吸気口208aと、該吸気口208aと連通するエアー流路L2を形成する把手部208と、前記エアー溜部203の基端側(吐出方向の上流側)に形成された絞り部204と、該絞り部204に形成された残液流通溝206とからなっている。
口部202は、外周に図示省略のキャップを螺着するネジを有する筒状からなっており、容器本体210の上部の一側に突出しており、容器本体210の内容液を注出するための吐出口Sとなっている。
上記口部202の基端側に連接してエアー溜部203が形成されている。
エアー溜部203は、図示例の場合、口部202より大径に形成された管形状、本実施形態では略八角柱状からなっている。
上記エアー溜部203の一側面には、吸気口208aが開口されている。
該吸気口208aは、流路が狭く絞られることなく、また仕切り板による制限もなく、エアー溜部203に接続される。
把手部208は、図2Dおよび図2Eに示すように、前記吸気口208aとほぼ同じ断面で連通する中空のエアー流路L2を有する管状体からなっており、前記エアー溜部203と容器本体210の他方との間に一体に掛け渡されている。
前記エアー流路L2は、把手部208の全長にわたって形成された中空部からなっており、内容液(インク)の吐出時に容器本体210の吐出側とは離間した対向側へエアーを導入する。
なお図中207は、容器本体210に形成されて把手部208をつかむための穴である。
前記エアー溜部203の基端には、エアー溜部203の流路より狭い流路に形成された絞り部204が設けられている。
絞り部204は、図示例の場合、前記エアー溜部203の下方で、エアー溜部203の流路断面と略同心で小径に設定されたリング状の流路断面に形成されている。
この絞り部204を介して、拡開されて容器本体210の一方が連なっている。
容器本体210は、上部の一方が吐出口Sが形成された口部202につながる第1開口部210aと、他方で把持部208のエアー流路L2とつながる第2開口部210bとを有している。
上記構成からなるので、インク収容ボトル200を、口部202の軸線を傾ける方向に倒して内容液を吐出すると、周囲にあるリング状の空間によりエアー溜まりが形成される。
これにより、図2Dおよび図2Eに示すように、エアー溜部203の内側にエアー層E を発生させる。
エアー溜部203の下方には吐出流れを絞る絞り部204が形成されているので、内容液は一度、絞り部204で流路断面が狭まり、大径のエアー溜部203で流路断面が広がって開放されて口部202の吐出口Sに流れ出ていく。
即ち、絞り部204とエアー溜部203の断面積比および容積比により、吐出時でもエアー溜部203内にはエアー層が形成され、吐出口Sから吸気口208aまでのエアー導入路L1が確保され、前記エアー流路L2につながるので、脈動を防止することができる。
本実施形態では、エアー溜部203の一側面は吸気口208aが形成されており、エアーの流路断面は絞らないので、エアー溜部203に溜まったエアーが吸気囗208aに流れやすく、エアー流路が塞がれにくくなる。
従って、容器本体210を傾けた際にも脈動防止効果が確実となる。
また、図示例の構造の場合、エアー溜部203が外方へ吐出し、把手部208が連なっているので、容器成形時のブローピン挿入工程で邪魔にならず、また、ブローピン挿入時の口部肉垂れによる吸気口の塞ぎ不良も発生しにくく、成形が容易で信頼性も高い。
内容液の充填工程では、吐出口が広いため、充填ノズルが挿入しやすい。
一方、このようなエアー溜部203を設けただけの形状では、通常、把手部208を握って傾ける角度(約100〜120°)では容器本体210内に残液が多く残る。
残液を注出しようとすると、把手部208を持ち替えて更に傾けることになり、容器本体210の使いやすさが損なわれ、吐出先のカートリッジ50などの形状に制約がある場合などは注出しにくくなる。
そこで、本実施形態では、図2Fから図2Iに明瞭なように、前記絞り部204に残液流通溝206が設けられている。
残液流通溝206は、吸気口208aが形成された把手部208と対向する側で絞り部204から外方へ突出するように形成されており、容器本体210からエアー溜部203 に連なるチャンネル状の流路を形成している。
そこで、容器本体210を口部202の軸線を傾ける方向に倒した際に、絞り部204 の内周壁が容器本体210との間に仕切り状に突出することになるが、前記残液流通溝206が容器本体210とエアー溜部203とを略同一面状につなぐので、絞り部204の内周壁によって仕切られた残液が絞り部204で滞らず、残液流通溝206を通ってエアー溜部203に流れ、口部202から外部へスムーズに吐出される。
これにより脈動防止の効果を有しながら、容器本体を傾けた際の内容液の残量を減少することができる。
上記実施例では、絞り部を環状に形成したが、吐出時に下方となる容器本体とエアー溜部との間で流路を狭めるだけの構成であってもよい。
その他、要するにこの発明の要旨を変更しない範囲で種々設計変更しうること勿論である。
以上、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
インク収容ボトル200からカートリッジ50にインクを補充する際の脈動が防止される。これにより、カートリッジ50内に空気を巻き込まずに補充可能となる。このため、ヘッド26への気泡の流出も低減され、インクの吐出性が安定し、品質の高い画像を形成することができる。
また、インク収容ボトル200を傾けた際、残液流通溝206により容器本体210内のインクの残量を低減させることができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。なお、印刷システムの構成については第1実施形態と同様なので説明を省略し、インク収容ボトルの構成について詳細に説明する。
図3A及び図3Bはインク収容ボトルの構成を示す概略図である。
図3A及び図3Bに示すように、インク収容ボトル300において、311は薄肉の可撓な筒胴、312は中央に吸出口313(吐出口S)を有する硬質のチューブヘッド、314は筒胴の外周に軸方向に間隔を保ち、環状に隆起して設けた硬質な補強リブを示す。
薄肉の可撓な筒胴311は、内容物であるインクに対して耐食性を有する合成樹脂であればよく、例えば、エチレン酢酸ビニール共重合体鹸化物の両面に接着層を介してポリエチレン層を設けた5層構造の厚さ0.15〜0.18mm程度のものを押出し成形法により円筒形に押出して形成しても、上記5層構造の可撓シートを作り、これを円筒形に丸め、上下に重なる継目をヒートシールして薄肉の可撓な筒胴を形成してもよい。
硬質のチューブヘッド312は円錐形の頂部に吸出口313が立設された傘形部315と、傘形部315の下端から下向きに短く突出する円筒部316とを有し、例えば円筒部316を筒胴311の内周に前端から嵌め入れ、筒胴の前端部を内向きに曲げて傘形部315の外縁部に沿わせて溶着する。このため、チューブヘッド312は筒胴の内周のポリエチレンと接着性を有する合成樹脂、例えばポリエチレンで厚さ2mm程度に成形する。
又、筒胴の外周に、チューブヘッド312の後端から軸方向に間隔を保って環状、又は螺旋状に設ける補強リブ314も同様に筒胴の外周のポリエチレンと接着性を有する合成樹脂、例えばポリエチレンで幅2〜5mm程度、厚さ2〜5mm程度に成形する。図示の実施例では半径約2.5mmの半円形の断面形状に成形してあるが、断面形状は多角形等任意である。
筒胴の内周と外周に位置するポリエチレン、硬質チューブヘッドや硬質の補強リブを成形するポリエチレンは低密度ポリエチレン(LD/PE)、高密度ポリエチレン(HD/PE)、直鎖状低密度ポリエチレン(L−LD/PE)のどれでもよい。
筒胴の外周に、チューブヘッド312の後端である円筒部316の後端から軸方向に間隔を保って設ける環状、又は螺旋状の補強リブ314の間隔は後述する理由で筒胴の直径よりも短くする。
インクを入れるにはチューブヘッド312の吸出口313の回りにキャップ317をねじ込んで吸出口313を塞ぎ、筒胴の開放した下端からインクを注入し、注入し終ったら筒胴の下端部を折り畳んで一文字状に扁平にし、筒胴の内周、外周のポリエチレンをヒートシールして塞ぎ、底318とする。
ここで、本実施形態では、インク収容ボトル300からカートリッジ50へフレキシブルチューブFtを介してインクを補給する形態である。この場合、インク収容ボトル300を自立させた状態でフレキシブルチューブFtを介してインクを補給する。
具体的には、図3Bに示すように、キャップ317を外し、吸出口313をフレキシブルチューブFtと接続する。そして、プリンター2側からポンプ(図示せず)を駆動させ、インク収容ボトル300内のインクを吸出させる。筒胴311の外周の補強リブ314が設けられている個所、及びチューブヘッドの円筒部316の外周に溶着されている個所は夫々補強リブや円筒部によって補強され、底318も補強されているのに対し、円筒部316の下端と上段の補強リブの、筒胴の直径よりも短い間隔部分、補強リブの相互の間の、筒胴の直径よりも短い間隔部分、及び補強リブと底318との間の、筒胴の直径よりも短い間隔部分は薄肉で、可撓性を有するため、インクの吸い出しが進むにつれ、これらの間隔部分319はインク収容ボトル300内に作用する負圧で内向きに折返し状に変形を始め、最終的には図3Bに示したように収縮した蛇腹状ないし提燈状になる。
この場合、上記間隔部分319の軸方向の長さは、筒胴の直径よりも短いため、間隔部分319が折返して重なっても収縮した蛇腹ないし提燈の中央には吸出口313に通じる吸出し通路320が確保される。従って、インク収容ボトル300内のインクの全量を残さずに吸出すことができる。そして、筒胴は収縮した蛇腹ないし提燈のようになるため長さは著しく短くなり、体積は大きく減少する。従って、インク収容ボトル300を再生原料にしたり、焼却、埋立てなどして廃棄するため、粉砕するまで保管するスペースも著しく小さくて済む。
以上、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
インク収容ボトル300では、吸出しが進むにつれ、インク収容ボトル300内に作用する負圧で補強リブの軸方向の間隔部分で筒胴は内向きに折返し状に変形し、最終的には収縮した蛇腹状ないし提燈状になり、インク収容ボトル300内のインクの残量を低減させることができる。
また、インク収容ボトル300からカートリッジ50に向けてインクがスムーズに流動するため、カートリッジ50内に空気を巻き込まずに補充可能となる。このため、ヘッド26への気泡の流出も低減され、インクの吐出性が安定し、品質の高い画像を形成することができる。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。なお、印刷システムの構成については第1実施形態と同様なので説明を省略し、インク収容ボトルの構成について詳細に説明する。
図4Aから図4Fはインク収容ボトルの構成を示す概略図である。
図4A及び図4Bに示すように、インク収容ボトル400は、プラスチック製の内側容器401と、紙製の外側容器402とを具備し、内側容器401に外側容器402が被せられることにより一体化され一つの容器とされる。
内側容器401は、透明、半透明、又は不透明のプラスチック材料を用いて作られる。この内側容器401は、図4D及び図4Eに示すように、筒状の胴部406を有し、この胴部406の上端部中央には吐出口Sが設けられた注出口部407が設けられている。
胴部406は、図示しないが矩形状の底体と、当該底体の外周から上方に垂設して形成された側体406aと、から構成される。この胴部406は、上部において側体406aを内側に絞り込むようにして縮径された略円筒状の凹部408を有し、更にはこの凹部408の下側に位置する横断面形状が略矩形状に形成された下胴部409と、凹部408の上側に位置する横断面形状が略円形状に形成された円筒状の上胴部410と、を有している。
下胴部409の上端面、特にはその角部409aは湾曲状に形成されており、上胴部410の上端面410aは内側に絞りこまれるようにして湾曲状に形成され、その中央は注出口部407の内部と連通する。また、上胴部410の下端面410bは、外方に向かって上昇するテーパ面を有して形成される。
一方、注出口部407は、略円筒状に形成され、胴部406と一体的に形成される。この注出口部407の外周面には、図示しないキャップの雌ネジと螺合可能な雄ネジ407aが形成され、その下方には、外周にわたって外方に突出するつば部407bが形成されている。
また、胴部406は薄肉に形成されるが、凹部408を形成する側体406aの厚みは、上胴部410や下胴部409を形成する側体406aの厚みよりも強度が高くなるように厚く形成される。
さらに、上胴部410及び下胴部409には、上側から下側に向かって所定の溝411,412が形成される。上胴部410に設けられる溝411の形状は直線状に形成される一方で、下胴部409に設けられる溝412の形状は、波型状に形成される。なお、下胴部409に設けられる溝412の形状が波型状であるのは、単純な縦溝であるとボトルの横方向に折れ曲がりやすくなるので、これを防ぐためであるが、これら溝411,412の形状は一例であってこの形状に限定されるものではない。このような溝411,412を胴部406に形成することによって、薄肉で形成された胴部406の剛性を容易に高めることが可能である。よって、胴部406は多少外力が加えられても折れ曲がりにくくなり、簡単にその形状が崩れることなく元の形状を保持可能である。
このようにして形成された内側容器401は、図4Bに示すように、胴部406の凹部408を起点として注出口部407(上胴部410)を傾斜させた状態で外側容器402の内部に配置される。なお、当該注出口部407は、後述する外側容器402の開口420が形成された傾斜屋根部421の傾斜角度に合わせて傾斜される。
また、この凹部408は下胴部409や上胴部410よりも径が小さく、且つ凹部408の側体406aが下胴部409や上胴部410の側体406aよりも厚く形成されており、凹部408が上胴部410や下胴部409よりも強度が高く形成されているので注出口部407を傾斜させやすい。
また、上胴部410及び下胴部409には、胴部406の軸線方向に溝411,412が形成され剛性が高められているため、注出口部407を傾斜したときに、上胴部410及び下胴部409の形状が崩れることなく元の形状が保持される。また、上述したように下胴部409や上胴部410の剛性が高められ、更には下胴部409の上端面の角部409aが湾曲状に形成されるため、内側容器401は液残りがしにくい形状となっている。
さらには、注出口部407を傾斜させやすく、当該注出口部407を傾斜させたときに内側容器401の形状を保持可能であるため、組み立てが容易である。
また、キャップ405は、図4A〜図4Cに示すように、一端に開口を有する有底円筒状の基体405aを有している。この基体405aの内側には、注出口部407に形成されている雄ネジ407aと螺合するための雌ネジ405bが形成されている。このキャップ405を所定の締め付け方向に回転させることで雄ネジ407aと雌ネジ405bとが係合し内側容器401の内部を密閉する。
また、キャップ405の軸線方向に延長するようにして基体405aの端部には、一般にタンバーエビデント(TE)バンドと称される円筒状のリング415が一体的に設けられている。このリング415は基体405aに対して所定の外力によって取り外し可能に取り付けられている。具体的には、注出口部407へのキャップ405の取り付けによって雄ネジ407aの端部とつば部407bとの間でリング415の両端が挟持され、キャップ405の開栓によってリング415が基体405aから分離して内側容器401側に残るようになっており、開栓した事実がひと目で判るようになっている。また、注出口部407が挿通される外側容器402の開口420の縁は、内側容器401へのキャップ405の取り付け時に、このリング415とつば部407bとの間で挟み込まれるため注出口部407が外側容器402に対して位置がぐらつくことなく固定して取り付けられる。
ここで、内側容器401の材料として用いられるプラスチック材料としては、PET、ポリプロピレン、ポリ乳酸(PLA)、その他各種の熱可塑性樹脂を用いることができる。また、内側容器401を多層、例えばPET/ポリアミド系合成樹脂/PETの三層構造とすることで、インク収容ボトル400の酸素等のガスバリア性を高めることができる。
外側容器402は、紙を主体とするシートによって作られ、図4Bに示すように、内側容器401の胴部406にその外側からほぼ密着するような四角筒形の胴部402aを有する。外側容器402の胴部402aの下端は、下端片402bで閉じられ、上端は、図4Aに示すように、向かい合う一対の傾斜屋根部421と、切妻(切妻屋根の両端の山形の壁部分)に相当する上部折込み側面422により切妻屋根状に形成される。なお、一方の傾斜屋根部421には注出口部407を挿通させるための開口420が形成される。
この外側容器402は、具体的には、図4Fに示すような展開カートン425を組み立てることにより形成される。展開カートン425は、紙を主体とするシートを打ち抜くことにより形成される。紙シートの表面又は裏面には、必要に応じてプラスチック層、金属箔層等が積層される。また、シートの表面には、所望の内容が印刷される。
展開カートン425は、図4Fに示すように、破線で示す縦折れ線を介して連設される第一の胴壁426、第二の胴壁427、第三の胴壁428、及び第四の胴壁429を有する。第四の胴壁429には、縦折れ線を介して糊付け片430が連設される。この糊付け片430が縦折れ線で折られ、縦折れ線で各胴壁426〜429が折られてシールされることで外側容器402の胴部が形成される。
外側容器402の胴部402aを形成する胴壁426〜429の内、向かい合って配置される一方の第一及び第三の胴壁426,428の上部には、頂部横折線を介して一方に注出口部407を挿通させるための円形状の開口420が形成された切妻屋根形成壁426a,428aが連設されている。この一対の切妻屋根形成壁426a,428aの上部には、シール横折線を介して第1の上部シール片431が其々連設されている。
また、外側容器402の胴部402aを形成する胴壁426〜429の内、向かい合って配置される他方の第二及び第四の胴壁427,429の上部には、頂部横折線を介して妻壁形成壁427a,429aが連設されている。この一対の妻壁形成壁427a,429aの上部にはシール折線を介して第2の上部シール片432が其々連設されている。
そして、一対の妻壁形成壁427a,429aには、第一及び第三の胴壁426,428との境界の頂部横折線の両端から第2の上部シール片432との境界のシール横折線の中央に繋がる折込線が設けられており、一対の妻壁形成壁427a,429aが折込線で内側に折り畳まれるようにして折られて一対の切妻屋根形成壁426a,428aの間に折り込まれ、第1の上部シール片431及び第2の上部シール片432が所定の位置でシールされて密封されることによって切妻屋根型の頂部が形成される。なお、当該シールは接着剤を用いても良いし、展開カートン425の材料がポリエチレンコート紙などの場合には、熱溶着などの手段が用いられる。
一方で、第一、及び第三の胴壁426,428の下部には、シール折線を介して第1の下部シール片433が其々連設されており、第二の胴壁427の下部には、底部横折線を介して底部壁434が連設され、更には、その底部壁434の下部に、シール折線を介して第2の下部シール片435が連設されている。そして、底部壁434が当該底部横折線で第1及び第2の下部シール片433,435が其々シール折線で折られて、所定の位置でシールされて密封されることによって外側容器402の底部が形成される。
また、図4F中に示すように、展開カートン425には、第一〜第四の胴壁426〜429を横断するようにミシン目やジッパー等による切り目線が適宜形成される。この切り目線を設けることにより、インク収容ボトル400を廃棄するときに当該切り目線を引っ張ることで当該切り目線に沿って外側容器402が切断されることで内側容器401と分離しやすくなっている。
以上、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
インク収容ボトル400では、内側容器401の外面が外側容器402で覆われ、内側容器401が外側容器402によって補強されるので、内側容器401を構成するプラスチックの使用量を低減し、内側容器401の壁厚を薄くすることが可能である。
また、本実施形態の内側容器401は、上述した構成により、注出口部407を傾斜しやすく、また、注出口部の位置がぐらつくことなく、更には、インクが残りしにくくすることができる。
なお、本発明は、上述した実施の形態及び実施例に限定されることなく種々の形態にて実施可能である。
例えば、本発明の実施の形態ではインク収容ボトル400の形状を四角柱又は円柱としたが、これらに限らず、三角柱、五角柱等他の形状とすることも可能である。また、キャップの取付形態もネジ山を用いるものの他、一般に用いられる種々の形態でも構わない。
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について説明する。なお、印刷システムの構成については第1実施形態と同様なので説明を省略し、インク収容ボトルの構成について詳細に説明する。
図5Aから図5Dはインク収容ボトルの構成を示す概略図である。
図5Aから図5Cに示すように、インク収容ボトル500は、下端を底部504で塞いだ円筒状の胴部503の上端に、肩部502を介して、外周面に螺条を刻設した円筒状の口部501を、起立連設して構成されている。
底部504は、その主体部分である底壁505と、この底壁505の下面に一体設されて、「座」機能部分を構成する4つの脚片509とから構成されており、底壁505は、下方に膨出したすり鉢状に構成することにより、中央の中央陥没部507に向って下降傾斜した内面506を形成している。
4つの脚片509は、底壁505の外面508に、パリソンを側方から偏平に押し潰すことにより垂下板片状に一体設されており、相互間は底壁505の中心から十文字状(図5C参照)に配列されて、その下面を「座」としている。
この各脚片509の下面は、中央側に向って上昇する傾斜面となっており、これにより「座」として機能する下面部分は、最も外側に位置する部分、すなわち底壁505の中心から最も遠く離れた部分となるので、最も広い接地面積を得ることができ、安定した「座」機能を発揮することになる。
底部504の底面、すなわち底壁505の外面508側には、食い切り跡である4本の食い切り線510が、十文字状に配列された状態で残存形成されており、この食い切り線510の大半は、各脚片509の下面に位置している。
このように、各脚片509の下面に食い切り線510を位置させることにより、食い切り線510を残存形成するパリソンの食い切り動作、すなわちパリソンを偏平に押し潰す動作を利用して、底壁505に成形されるパリソン部分に隣接したパリソン部分を、偏平に押し潰して脚片509に成形するのが容易となる。
図5Dは、インク収容ボトル500に押下げ式の吐出ポンプ511を組付けた構成例を示すもので、組付けキャップ513の口部501への螺合によりインク収容ボトル500に組付けられた吐出ポンプ511は、その吸上げパイプ512を真直ぐに垂下させて、吸上げパイプ512の下端開口部を、中央陥没部507に位置させる。
すなわち、吐出ポンプ511を組付けに伴って、下降変位する吸上げパイプ512の下端開口部は、底壁505の傾斜した内面506にガイドされて、中央陥没部507に導かれ、そのまま中央陥没部507に位置することになる。
図示した実施形態例におけるインク収容ボトル500は、ダイレクトブロー成形法によって得られたものであり、パリソンを押出機よりダイスを介して押し出し、このパリソンを2分割の割金型が型締めして挟み込み、この割金型のキャビティーの底辺に配設の刃部であるピンチオフ部でパリソンの下部を、食い切り状に押し潰すと共に熱溶着シールし、金型の上部ではパリソンカッターで筒状のパリソンの上部を切断することで、有底筒体のパリソンを形成し、次いで割金型の頂部より挿入のエアーノズルによってブローエアーを、パリソンに吹き込み、ブロー成形する。
なお、上記実施形態例では、脚片509および食い切り線510の数を「4」とした場合の構造を示したが、脚片509および食い切り線510の数は、「4」に限定されることはなく、3以上の数とすることが可能であり、その数は、3〜6の範囲が好ましい。
以上、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
インク収容ボトル500は、脚片509および食い切り線510が形成されているため、安定して倒立させた状態を保持することができる。これにより、不意の転倒等が防止でき、インクのこぼれによる机上や床面の汚れ等を防ぐことができる。
(第6実施形態)
次に、第6実施形態について説明する。なお、印刷システムの構成については第1実施形態と同様なので説明を省略し、インク収容ボトルの構成について詳細に説明する。
図6Aから図6Hはインク収容ボトルの構成を示す概略図である。
図6A及び図6Bに示すように、インク収容ボトル600は、吐出口Sを有する口部602及び本体部603を有し、全体として扁平に形成される。インク収容ボトル600は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂を主材料として、延伸成形法により成形される。延伸成形法として、例えば、コールドパリソン法によるインジェクションブロー成形法が用いられる。この成形法は公知であるのでその詳細な説明を省略し、ここでは、コールドパリソン法に用いるパリソンの一例を簡単に説明する。
図6E及び図6Fに示すように、パリソン630は、口部631と、口部631の下端に連なる本体プリフォーム部632と、で構成される。口部631は、口部602と全く同じ形状である。本体プリフォーム部632は、最終的に本体部603に成形される。口部631及び本体プリフォーム部632は、断面が真円形状で形成される。コールドパリソン法によって、パリソン630は、本体プリフォーム部632のみ加熱され、その底部が延伸される。また、本体プリフォーム部632は、圧縮空気を吹き込まれることで膨らみ、金型の内面に密着し、その後に冷却固化する。これにより、肉厚が略均一のインク収容ボトル600が成形される。
成形後のインク収容ボトル600は、熱水殺菌、塩素系殺菌剤などによる洗浄・殺菌処理を経た後、インクが充填される。本実施形態のインク収容ボトル600は、補強用の凹リブ(後述する凹リブ621〜624)を有する。
ここで、本明細書で用いる各種の用語について以下のとおり定義する。
中心軸Y−Y方向は、インク収容ボトル600の上下方向を意味する。「ボトル内方」とは、ボトル壁よりも中心軸Y−Yへと近づく方向をいい、「ボトル外方」とは、ボトル壁よりも中心軸Y−Yから遠ざかる方向をいう。インク収容ボトル600の「幅」、「奥行き」及び「高さ」は、それぞれ、図6Aでいう左右方向、前後方向及び上下方向におけるインク収容ボトル600の長さをいう。「横断面形状」とは、中心軸Y−Yに直交する平面におけるインク収容ボトル600の断面形状を意味する。「周方向」とは、横断面形状の輪郭に沿って一周する方向を意味する。「扁平」とは、横断面形状の一辺とそれに交差するもう一辺との長さが等しくないことをいう。「扁平比」とは、横断面形状における奥行き方向の長さに対する幅方向の長さの比をいう。
インク収容ボトル600のサイズの好ましい一例は、以下のとおりである。先ず、インク収容ボトル600の高さは、140mm以上220mm以下である。これは、スーパーやコンビニエンスストアといった売り場に設置される陳列棚の高さが、小型サイズの商品であれば230mmの商品が陳列できるように設計されていることが多いからである。次に、インク収容ボトル600の容量は、300ml以上800ml以下であり、好ましくは300ml以上500ml以下である。このようなサイズであれば比較的小型サイズの扁平ボトルを提供できるからである。そして、以下に説明する本実施形態のインク収容ボトル600の高さ、容量、最大幅、最大奥行き及び扁平比は、それぞれ、約207mm、約450ml、67mm、48mm及び約1.4である。
再び、図6Aないし図6Cを参照して、インク収容ボトル600の各部について説明する。
口部602は、インク収容ボトル600の上端部に位置し、インク収容ボトル600の最小径部を構成する。口部602は、上端が開口しており、インクの吐出口Sを形成している。口部602の吐出口Sは、図示省略したキャップにより開閉される。
本体部603は、中心軸Y−Yの上方から順に、肩部611、胴部612及び底部613を有する。肩部611、胴部612及び底部613は、内部にインクを貯留可能なボトル壁を構成する。本体部603内にインクを満杯に貯留した状態では、インク収容ボトル600の重心Gは、インク収容ボトル600の下端から約87mmの位置となる。
本体部603は、互いに平行な四つの凹リブ621,622,623,624を有する。凹リブ621,622,623,624は、本体部603の周方向に亘ってボトル内方に窪むように形成される。本実施形態では、胴部612にバランス良く凹リブが形成され、凹リブ621により胴部612の上端での横剛性を、凹リブ622により胴部612の中間部の横剛性を、そして凹リブ623及び624により胴部612の下部での横剛性を高めるようにしている。これにより、後述する減圧吸収パネル665,666による減圧吸収効果を低下させることなく、インク収容ボトル600の横剛性を高めることができる。なお、各凹リブの断面形状は、縦断面で半円弧又は台形とするなど、適宜設計できる。
肩部611は、口部602の下部に連なる。肩部611は、図6Aの正面視、なで肩状に形成され、その扁平比は、上下方向において変化する。肩部611は、奥行き方向に延在する側壁の曲率半径Rが約41mmであり、幅方向に延在する側壁の曲率半径Rが約65mmである。肩部611は、胴部612との間を凹リブ621によって境界付けられる。
底部613は、インク収容ボトル600に強度をもたせるために、上方に窪んでなる底面671を構成する。図6Cに示すように、底面671のうち、底面視楕円状の面671aが、実際にインク収容ボトル600が着地される面となる。インク収容ボトル600の下端からの長さは、この面671aが基準である。底部613は、図6Aに示すように幅方向の両端部672,672を丸面取りされてなると共に、図6Bに示すように奥行き方向の両端部673,673を丸面取りされてなる。なお、丸面取りとは、円弧おとし、角丸取り、又はR取りと同義である。
胴部612は、肩部611と底部613との間にある。胴部612は、中心軸Y−Yを中心に、左右対称及び前後対称に形成される。図6Dに示すように、胴部612の基本的な横断面形状660は、左右方向の長さが前後方向の長さよりも大きい略方形である。つまり、横断面形状660は扁平であり、上記のとおり、その扁平比は1.4(≒67mm/48mm)である。なお、扁平な胴部612であるといえる扁平比は、およそ1.2以上1.8以下であり、好ましくは1.3以上1.6以下である。
横断面形状660は、四つの側壁661a,661b,662a,662bで構成される。横断面形状の各コーナー部663は、例えばR8の半径で丸面取りされてなる。前後二つの側壁661a,661bは、インク収容ボトル600の幅方向に延在する。左右二つの側壁662a,662bは、それぞれが二つの側壁661a,661bの間に位置し且つこれらを連ねるように、インク収容ボトル600の奥行き方向に延在する。側壁661a,661b,662a,662bは、ボトル外方に膨らむように湾曲しており、それぞれの中央部が、ボトル外方に最も膨らんでいる。
側壁661a,661bには、それぞれ、減圧吸収パネル665,666が凹状に形成される。減圧吸収パネル665,666は、インク充填後のボトル内圧の減少を吸収するものであり、インク収容ボトル600の変形を抑制するのに機能する。特に、幅方向に比較的長い側壁661a、661bは、奥行き方向に比較的短い側壁662a,662bよりも減圧によって変形し易いので、その変形を減圧吸収パネル665,666により抑制できる。減圧吸収パネル665は、円形からなり、その円形の中心部がボトル内方に最も落ち込むように、側壁661a,661bの上半部の中央領域に形成される。
減圧吸収パネル666は、上下に離間した二つの略弓形の部分666c,666dからなり、側壁661a,661bの下半部の中央領域に形成される。弓形部分666c及び弓形部分666dは、それぞれ、転倒抑制面667側がボトル内方に最も落ち込むように凹状に形成される。弓形部分666c,666dは、減圧吸収パネル665と同じ形状のパネルの一部であり、このパネルの残りの部分の外表面が、幅方向に帯状に延在する転倒抑制面667となっている。換言すれば、転倒抑制面667が、減圧吸収パネル665と同じ円形の減圧吸収パネルを上下に分断して弓形部分666c,666dを画成するように、減圧吸収パネルの中心部を幅方向に横断する。
転倒抑制面667は、陳列棚90のストッパー92(図6G参照)に衝突する部位であり、この衝突時にインク収容ボトル600の転倒を抑制するのに機能する。このため、転倒抑制面667の位置、大きさ及び範囲は、ストッパー92の高さを考慮して設計することが好ましい。ストッパー92の高さは、20mm以上70mm以下の範囲に設定されるものが多く、中でも20mm又は50mmに設定されるものが多い。したがって、転倒抑制面667は、その中心位置がインク収容ボトル600の下端から20mm以上70mm以下の範囲の所定位置であればよい。以下では、ストッパー92の高さが50mmである場合を例に説明する。
転倒抑制面667は、図6Bに示すように、中心軸Y−Y方向に10mm以上30mm以下の高さを有することが好ましく、ここでは約20mmの高さを有する。また、インク収容ボトル600の下端から転倒抑制面667の高さの中心位置までの長さは、ストッパー92の高さ以上であればよく、ここでは約57mmとなっている。このような寸法設定により、転倒抑制面667は、インク収容ボトル600の下端からの距離約47mm〜約67mmの範囲に亘って存在する。
転倒抑制面667は、図6Aに示すように、側壁661a,661bの下半部の中央領域で左右方向に延在しており、その左右方向の両端が胴部612の他の面と段差無くつながっている。つまり、転倒抑制面667は、減圧吸収パネル666を除く胴部612の他の面と面一である。また、図6Bに示すように、転倒抑制面667が存在する部分の胴部612の奥行きは、最大奥行き48mmと等しい。すなわち、転倒抑制面667は、前後方向の位置がこの転倒抑制面667よりも下方にある面668と同じ位置にある。さらに、図6Dに示すように、転倒抑制面667は、基本的な横断面形状660の一部の外表面と同一の表面である。
転倒抑制面667は、ストッパー92に対応する位置にあればよいので、インク収容ボトル600の前後の両面に形成されなくてもよい。よって、他の実施態様では、転倒抑制面667は、インク収容ボトル600の前面側となる側壁661aの外表面にのみ設けられてもよい。その場合には、側壁661bの減圧吸収パネル666は減圧吸収パネル665と同じ形状にすればよい。他の実施態様では、減圧吸収パネル665,666の形状を楕円形や矩形など、他の形状にしてもよい。
続いて、インク収容ボトル600と陳列棚90との関係を説明する。
図6Gに示すように、陳列棚90は、複数のローラー91及びストッパー92を備える。複数のローラー91は、後方から前方にかけて斜め下方に傾斜して配設され、図示省略した棚本体(フレーム)に回転可能に支持される。ローラー91の傾斜角度θは、例えば3〜5度の範囲に設定される。
ストッパー92は、陳列棚90の前端部に配置される。ストッパー92の高さは、一例として、上記のとおり50mmに設定される。ストッパー92は、例えば、上下方向に延在するプレートで構成される。ストッパー92は、一般に左右方向にも延在し、その長さはインク収容ボトル600の幅を超える。ストッパー92は、最も前方にあるインク収容ボトル600aに当接し、インク収容ボトル600aの下方への落下を防止する。
複数のインク収容ボトル600をローラー91上に陳列した陳列棚90では、先頭のインク収容ボトル600aは傾くことなくローラー91上で停止する。このとき、インク収容ボトル600aは、転倒抑制面667の一部及びその下方の面(668)がストッパー92に接触する。より詳細には、転倒抑制面667よりも下方にある側壁661aの外表面であって、且つ、凹リブ623,624及び弓形部分666dを除く外表面が、ストッパー92に接触する。一方、このインク収容ボトル600aよりも後方のインク収容ボトル600b、600c、・・・は、ローラー91の傾斜角度θにならって傾き、ローラー91上で停止する。隣接する陳列状態のインク収容ボトル600b,600cは、凹リブ621〜624の近傍の外表面並びに転倒抑制面667で互いに接触する。
消費者等によって、先頭のインク収容ボトル600aが取り出されると、後方のインク収容ボトル600b、600c、・・・が自重により前方に(図6Gの矢印方向に)滑り降りる。これにより、インク収容ボトル600bの下側部分がストッパー92に衝突して停止し、次の取り出しを待つようになる。このように、陳列棚90は、陳列された複数のインク収容ボトル600を自動的に前出しする機能を有する。詳述しないが、陳列棚90の後方からローラー91上にインク収容ボトル600を送り込むことで、陳列棚90にインク収容ボトル600を補給(装填)することができるようになっている。
図6Hを参照して、インク収容ボトル600の取出し時又は装填時における転倒抑制面667の作用効果を詳述する。図6Hに示すように、インク収容ボトル600は、滑り降りてストッパー92に衝突する際、先ず転倒抑制面667がストッパー92の上端部94に接触することになる。すなわち、転倒抑制面667よりも下方にある面(668)よりも先に、転倒抑制面667が上端部94に接触する。したがって、衝突時におけるインク収容ボトル600の作用点は、上端部94が接触する転倒抑制面667となる。そして、インク収容ボトル600によれば、重心Gと作用点との距離を短くできるので、衝突時に比較的大きなモーメントを作用されずに済む。よって、インク収容ボトル600は陳列棚90内で転倒することを抑制される。
以上、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
本実施形態のインク収容ボトル600は、ストッパー92に対応する位置に転倒抑制面667を形成しているので、陳列時の転倒を好適に防止できる。このような転倒防止の効果は、重心Gが比較的高い位置にある転倒角度の小さな不安定なボトルに対して特に有用である。なお、転倒角とは、ボトルが倒れ始めるときのボトルの傾斜角度をいい、例えば上記のインク収容ボトル600の転倒角は約11度である。
また、転倒抑制面667の上下に凹リブ622及び623を形成しているので、ストッパー92との衝突時の荷重作用点に近い部分を補強できる。さらに、転倒抑制面667を減圧吸収パネル666に関連して形成しているので、減圧吸収パネル666が本来奏する減圧吸収効果を確保しながら、インク収容ボトル600の転倒を有効に防止できる。また、転倒抑制面667がボトル外方に湾曲するので、転倒抑制面667が湾曲しない場合に比べて、インク収容ボトル600の転倒をより一層防止できる。さらに、転倒抑制面667が左右方向に延在するので、ストッパー92との接触面積を大きくでき、衝撃荷重を分散できる。
図6Iは、他のインク収容ボトル600Aの構成を示している。インク収容ボトル600Aとインク収容ボトル600との相違点は、転倒抑制面667の前後方向の位置である。インク収容ボトル600Aでは、側壁661a,661bにある転倒抑制面667,667は、いずれも、本体部603の他の外表面よりもボトル外方に突出する。つまり、側壁661aにある転倒抑制面667は、それよりも下方にある面よりも前方に位置し、側壁661bにある転倒抑制面667は、それよりも下方にある面よりも後方に位置する。このようなインク収容ボトル600Aであっても、インク収容ボトル600と同様の作用効果を奏することができる。なお、インク収容ボトル600Aのその他の構成は、インク収容ボトル600と同様であるので、詳細な説明を省略する。
なお、本発明の別の態様のインク収容ボトルは、扁平でなくともよい。例えば、横断面形状660は、円形、長円形、正方形又は他の多角形であってもよい。また、ストッパー92の高さが上記と異なる場合には、これに対応して転倒抑制面667の位置も変えることができる。この場合、非凹状の転倒抑制面667は、ストッパー92に対応した高さ位置に形成すればよい。
(第7実施形態)
次に、第7実施形態について説明する。なお、印刷システムの構成については第1実施形態と同様なので説明を省略し、インク収容ボトルの構成について詳細に説明する。
図7Aから図7Dはインク収容ボトルの構成を示す概略図である。
図7Aから図7Dに示すように、インク収容ボトル700は、液状物(インク)を収納可能な容器本体701と、この容器本体701の底部701aの中央側に下向きに形成された口部701bに装着されたキャップ装置(注出部)Bと、前記容器本体701の底部701a及びキャップ装置Bを保持して設けられた台座型の支持部材(キャップ部材)C とから構成されている。
前記容器本体701は合成樹脂製であって使用者のスクイズ操作により弾性変形が可能なスクイズ容器とされ、容器本体701はその上部側が先窄まり型に閉じられ、容器本体701の底部側中央の口部701bのみが液状物の注出口(吐出口S)とされている。この口部701bは図7C及び図7Dに拡大して示すように円筒状とされ、その外周面にはねじ部701dが形成されている。また、容器本体701の口部701bの両側には下向きに若干凸型とされた肩部701fが形成されている。なお、図7Aと図7Bに符号701gで示すものは容器本体701の正面側に貼着された商品名表示用のラベルである。
この形態の容器用キャップ装置Bにおいては、容器の口部701bに筒型のカバーキャップ712が螺合され、このカバーキャップ712の周壁部712aの先端側に段付き小径部からなる保持部712bが形成され、この保持部712bの内側に先端部側から順に中栓716、キャップ本体715、遮蔽部材713が取り付けられて構成され、カバーキャップ712の周壁部712aの先端側は透孔712cが形成されている。このカバーキャップ712はその周壁部712aの内周側に形成された内ねじ部712dを前記ねじ部701dにねじ込むことで口部701bに着脱自在に螺合されている。なお、カバーキャップ712の先端周縁部にはその内側に配置される後述の弁体716cを保護するための円筒状の保護壁712fが形成されている。
前記遮蔽部材713は、前記カバーキャップ712の保持部712bの内周部に密着されている鍔型のリング部材713aとこのリング部材713aの内周縁から直角に容器内部側に向いて延出形成された筒型の周壁部713bと、この周壁部713bの先端部側を閉塞する遮蔽壁713cとから構成され、前記周壁部713bにはその周方向に90゜間隔で4つの通液孔713dが形成されている。前記遮蔽部材713の周壁部713bは容器の口部701bの内径の3/4程度の外径とされ、前記遮蔽壁713cは口部701b の中心軸線aと直角向きに、即ち口部701bからの液状物の注出方向を遮る向きに形成され、遮蔽壁713cの内側には周壁部713bと遮蔽壁713cとキャップ本体715と中栓716に囲まれた滞留空所718が形成されている。
前記中栓716はシリコン樹脂などの弾性を有する樹脂材料からなり、リング状のフランジ部材716aと、その内側に口部701bの外側に向いて張り出し形成された環状の伸縮部材716bと、この伸縮部材716bの内側に形成されたドーム型の弁体716cとからなり、弁体716cの中央部には平面視十字型のスリット716dが形成されている。この中栓716は、カバーキャップ712の保持部712bの内側に、キャップ本体715と遮蔽部材713により抜け止めされた状態で取り付けられている。勿論、前記キャップ本体715の機能(中栓716の抜け止め機能)を遮蔽部材713で行っても良い。
なお、遮蔽部材713についてはカバーキャップ712の内周側に形成された係止リング712eに挿入固定されているが、その抜け止め部材として図7Bに示す如く抜け止め部材718が設けられていても良い。図7Bの抜け止め部材718は通液孔713dへの液通路が確保されているように部分的に設けるか、リング部材713aに近接させ、通液孔713dを確保する。この抜け止め部材718は図7C及び図7Dでは略しているが、図7Bに示す如く遮蔽部材713と口部701bの内周との間に嵌め込まれて設けられていても良いし、カバーキャップ712と遮蔽部材713が接着などの接合手段により強固に接合される場合は略されていても良い。
なお、この形態において弁体716cに対して液状物の内圧を作用させるのは、キャップ本体715の開口面積となるので、通液孔713dの内径は、複数の通液孔713dを形成した場合に、それらの合計断面積がキャップ本体715の開口面715cの断面積(液状物流路断面積)に対して2%〜36%の範囲であることが望ましい。
先のスリット716dは中栓716に対して容器内の液状物の圧力が作用していない無圧状態において閉じるように形成され、中栓716に対して液状物が到達して液状物の圧力により伸縮部材716bが伸長され、弁体716cが外側に膨出するように液状物の圧力が作用した場合にスリット716dが開かれて容器内の液状物を口部701bから外部に吐出できるように構成されている。
先の中栓716は好ましくはシリコーンゴム、天然ゴム等の熱硬化性エラストマー材料から構成された弾性のある成形体からなる。この中栓716は熱可塑性プロピレン、エチレン、ウレタン、スチレン及びこれらのハロゲン化物などの材料をベースとするものからなるものでも良い。
前記倒立状態の容器本体701を支持するための支持部材Cは、液状物を充填した倒立状態の容器本体701を支えることができる重量バランスとするために、容器本体701の大きさや重量、内容物の比重に応じた大きさと重量に形成される。
図7Aと図7Bに示す構成の支持部材Cは一例であって図7Aと図7Bに示す大きさには限らないが、この形態の支持部材Cは肉厚の皿形の本体部709からなり、その上面側中央部には、容器本体701の底部701aとその中央部に突出されたキャップ装置Bとをそのまま緩く差し込むことができるような形状の凹部709Aが形成されている。この凹部709Aの中央部には深い円筒穴型の受部709aが形成され、この受部709aに先のキャップ装置Bの部分が挿入されるとともに、凹部709Aの両端部には浅底型の受部709bが形成され、これらの受部709bに容器本体701の肩部701f,701fが挿入されている。即ち、支持部材Cは、倒立状態の容器本体701の底部中心側を受部709aで支持し、倒立状態の容器本体701の底部両端側の肩部701f,701fを受部709bで支持することによって容器本体701の全体をバランス良く支持できるように構成されている。なお、支持部材Cの受部709aの底部には薄い底壁709dが形成されていて、倒立状態の容器本体701を支持部材Cで保持した状態において、キャップ装置Bの先端の弁体716cに底壁709dが触れないように構成されている。この底壁709dはキャップ装置Bの弁体から万が一液状物が漏れ出た場合であっても液状物を底壁709dが留めるように構成されている。
前記構成のキャップ装置Bを口部701bに備えた倒立使用型のインク収容ボトル700であるならば、液状物を注出するには、容器本体701を把持しながら持ち上げて使用する位置まで移動させ、そのまま容器本体701を強く握って変形させるスクイズ操作を行い、図7C及び図7Dに示すように下向きとした口部701bの先端部側の弁体716cのスリット716dから液状物を注出して液状物の吐出に使用することができる。
この場合、容器のスクイズ操作により容器内圧が上昇し、その結果、中栓716の弁体716cを弾性変形させてスリット716dを開くことができ、内容物を口部701bの外側に吐出することができる。このようなスクイズ操作に伴うこの一連の動作により液状物を吐出することができる。
また、図7A〜図7Dに示す如くスクイズしていない無圧状態において仮に倒立させている容器本体701が転倒した場合、あるいは、容器本体701を落下させた場合であっても、液状物が口部701bにおいて始めに遮蔽壁713cに液圧を印加するが、この液圧は遮蔽壁713cに液圧を印加した後で若干タイミング遅れで通液孔713dを通過して液状物が内部空間(滞留空所)718に到達し、ここを満たしてから中栓716の弁体716cに圧力が印加されるので、転倒や落下時に液状物の急な流動により急激に発生する液圧力が弁体716cに直に作用することがなく、ピーク液圧は遮蔽壁713cが受け持ち、ピーク液圧を過ぎてからタイミング遅れで弁体716cに圧力が作用するので、弁体716cのスリット716dが不用意に解放されて不意の液漏れを生じてしまうことがない。このため転倒時や落下時の液漏れを防止することができる。また、このような作用は、遮蔽壁713cを液状物の排出方向に対して遮るように形成して圧力を受けることができるようにした点と、通液孔713dを液状物の排出方向に対して90゜の方向に向けて形成し、その先に内部空間718を設けた点と、容器の転倒や落下時に弁体716cに対して弁体716cのスリット716dを不用意に解放されない程度の加圧力が作用するように通液孔713dの内径と数を規制してバランスをとったことによる。
従って、複数の通液孔713dを形成した場合に、それらの合計断面積が、実質的に液状物の排出部となる弁体716cを囲んでいるキャップ本体715の開口面715cの断面積(液状物流路断面積)に対して2%〜36%の範囲であることが望ましい。
ここで通液孔713dの合計断面積が前記下限値の2%を下回る面積割合であると、液状物の漏れは生じないものの、容器をスクイズ操作した際の抵抗値が大きくなりすぎ、使用者の握力によって液状物の排出が容易にでき難くなり、スクイズ容器用としては使い難くなる。逆に、上限値の36%を超えるようであると、遮蔽壁713cを設けて液状物の排出方向に90゜向きの通液孔713dとした場合であっても、転倒時や落下時の液状物からの液圧が弁体716cに容易に作用し始め、液漏れ防止効果を発揮することができなくなるおそれがある。
以上説明した如く、先の範囲を満たすような通液孔713dを備えた前述の構成のインク収容ボトル700であるならば、倒立状態のまま取り上げて移動させ、そのまま容器本体701をスクイズ操作することにより液状物を吐出することができ、使用後においては支持部材Cに容器本体701の底部701aとキャップ装置Bとを差し込み装着する操作により支持保管することができるので、スクイズ操作時の液状物の快適な吐出性、スクイズ性と、容器転倒時あるいは容器落下時の漏れ防止性能と、倒立状態のまま移動操作とスクイズ操作を行うことができるといった3つの利便性を共有することができる。
図7Eは、他のインク収容ボトル700aの構成を示している。この形態の容器用キャップ装置(注出部)Dは、先の形態のキャップ装置Bの構成とほぼ同等の構成とされ、一部の構成のみが異なっている。この形態のキャップ装置Dにおいて先のキャップ装置Bと同じ構成要素には同一の符号を付して説明を簡略化する。
この形態のキャップ装置Dにおいては、図7Eに示すように、容器本体701の口部701bに螺合された環状のカバーキャップ702と、このカバーキャップ702の内側であって前記口部701bの開口部側に装着された遮蔽部材703と、この遮蔽部材703の外側であって前記カバーキャップ702の開口部側に装着された環状のキャップ本体705と、このキャップ本体705の内側に装着された中栓706と、前記キャップ本体705と前記中栓706の開口部を覆って設けられたリング状のカバー部材707とを主体として構成されている。
前記遮蔽部材703は、容器本体701の口部701bの開口部に密着される外径の鍔型のリング部材703aとこのリング部材703aの内周縁から直角に容器内部側に向いて延出形成された筒型の周壁部703bと、この周壁部703bの先端部側を閉塞する遮蔽壁703cとから構成され、前記周壁部703bにはその周方向に90゜間隔で4つの通液孔703dが形成されている。
前記遮蔽部材703の周壁部703bは容器本体701の口部701bの内径よりも若干小さな外径とされ、前記遮蔽壁703cは口部701bの中心軸線aと直角向きに、即ち口部701bからの液状物の注出方向を遮る向きに形成され、遮蔽壁703cの内側には周壁部703bと遮蔽壁703cとキャップ本体705と中栓706に囲まれた内部空間(滞留空所)708が形成されている。
前記キャップ本体705は、前記遮蔽部材703のリング部材703aと同じ程度の大きさのリング部材705aと、このリング部材705aの内周縁から直角に延出形成された筒型の周壁部705bとからなる。前記キャップ本体705は、そのリング部材705 aを前記遮蔽部材703のリング部材703aの外側に重ね、その周壁部705bを容器の口部701bの外側に向けて前記遮蔽部材703の外側に装着され、先のカバーキャップ702の透孔702cを周壁部705bで貫通するとともにリング部材705aをカバーキャップ702の天頂壁702bで抜け止めすることで容器本体701の口部701bに取り付けられている。
前記キャップ装置Dにおいて、通液孔703dの内径は、複数の通液孔703dを形成した場合に、それらの合計断面積がキャップ本体705の開口面705cの断面積(液状物流路断面積)に対して2%〜36%の範囲であることが望ましい。この理由については先の形態のキャップ装置Bの場合と同様である。
この形態のキャップ装置Dの場合、容器のスクイズ操作により容器本体701の内圧が上昇し、その結果、図7Fに示す状態から図7Gに示す如く中栓706の伸縮部材716bが口部701bの外側に向いて伸長し始め、弁体706cが図7Hに示すように口部701bの外側に大きく伸長して張り出した結果としてスリット706dが開き始め、スリット706dから内容物を口部701bの外側に吐出することができる。このようなスクイズ操作に伴うこの一連の動作により液状物を吐出することができる。
この形態のキャップ装置Dにおいても先の実施形態のキャップ装置Bと同様の作用効果を奏するので、この形態のキャップ装置Dを備えたスクイズ容器ならば、先の形態のインク収容ボトル700と同等の作用効果を得ることができる。
図7Iは、インク収容ボトル700を支持するための支持部材(キャップ部材)の他の形態とその支持部材に支持されるキャップ装置の他の形態を示すもので、この形態において支持部材730は、その中央部に下窄まり状のすり鉢型の受部730aが形成された肉厚の皿形に形成されるとともに、この支持部材730に支持されるキャップ装置(注出部)Eはカバーキャップ735の先端部735aの概形が先の支持部材730のすり鉢型の受部730aに合致する形状の円錐台型に形成されている。なお、図7Iではカバーキャップ735の内部に弁体716とキャップ本体715のみを装着した状態を示し、キャップ本体715の上に本来設けられる図7Cに示す構成の遮蔽部材713は記載の簡略化のために略してある。その他の構成は先の実施形態の構成と同様である。
図7Iに示す支持部材730とカバーキャップ735を備えたスクイズ容器であるならば、カバーキャップ735の先端部を支持部材730の受部730aに挿入することで支持部材730による倒立状態のスクイズ容器の支持ができるようになっている。
また、図7Iに示す支持部材730の受部730aの内面にはその平面視径方向に伸びるスリットを複数形成しておき、インク収容ボトル700を支持した際にインク収容ボトル700内に空気吸入ができる構成としておくことが好ましい。これは、インク収容ボトル700をスクイズ操作して液状物を排出した後、直ちに支持部材730にインク収容ボトル700を倒立支持させた場合に、インク収容ボトル700内部に空気を戻してインク収容ボトル700の弾性復帰を円滑にするためである。
図7Jはインク収容ボトル700を支持するための支持部材(キャップ部材)の他の形態を示すもので、台形状の支持部材736の中央部に逆円錐台型の凹部状の受部736aが形成され、この受部736aの内周部に樹脂製の弾性部材からなるリング状のストッパー736cが内張りされた構造となっている。この受部736aの内部に設けられるストッパー736cは図7Kに示す如く2列であっても良いし、図7Lに示す如く3列であっても良いし、図7Mに示す如く2列構成としてその周方向一部に縦長あるいは横長の短冊状の副ストッパー736dを設けた構成でも良いし、図7Nに示す如く副ストッパー736eを円周方向に多数設けた構成でも良い。
図7Pはインク収容ボトル700を支持するための支持部材(キャップ部材)の他の形態を示すもので、台形状の支持部材737の中央部に逆円錐台型の凹部状の受部737aが形成され、この受部737aの内周面に樹脂製の弾性部材からなる短冊状のストッパー737cが周方向に定間隔で内張りされた構造となっている。この支持部材737においては、図7Qに示すように受部737aの内周面に120゜間隔でストッパー737cを配置した構成でも良いし、図7Rに示すように内周面に90゜間隔でストッパー737cを配置した構成でも良いし、図7Sに示すように内周面に45゜間隔でストッパー737cを配置した上で短冊状の副ストッパー737dを円周方向に定間隔で配置した構成も良い。
図7T及び図7Uはインク収容ボトル700を支持するための支持部材(キャップ部材)の他の形態を示すもので、台形状の支持部材738の中央部に逆円錐台型の凹部状の受部738aが形成され、この受部738aの内底面中央に樹脂製の弾性部材からなる丸型のストッパー738bが内張りされた構造とされている。
これら図7I〜図7Uに示す各構成の支持部材730,736,737,738は各図に示す通りキャップ装置のみを支持する構成でも良いし、図7Bに示す如く容器本体701の肩部701f,701fを支持できるような受部を別に備えた大型のものとしても良いのは勿論であり、要は容器本体701を安定支持できるものであればその形状は問わない。
これらの各構成の支持部材730,736,737,738によって倒立状態の容器本体701を支持することができる機能と作用については先に説明した支持部材(キャップ部材)Cと同様である。また、図7P〜図7Uに示す構成であるならば、ストッパー737cあるいはストッパー738bがインク収容ボトル700のカバーキャップの一部に接触し、受部737aとカバーキャップとの間には間隙が形成されるので、この間隙がインク収容ボトル700の弾性復帰の際の空気取入通路となり、インク収容ボトル700の弾性復帰が円滑になされる。
図7Vはインク収容ボトル700を支持するための支持部材(キャップ部材)の他の形態を示すもので、この形態の支持部材(キャップ部材)740は台形状とされ、その中央部に逆円錐台型の凹部状の受部740aが形成され、この受部740aの内底部に樹脂製の軟質素材からなるクッション材741が設けられた構造となっている。このクッション材741の上面中央部には凸型の弁体受部741aが形成され、この弁体受部741aによりキャップ装置Eのカバーキャップ735の先端部に露出されている中栓716を受けることができる形状とされている。
図7Wはインク収容ボトル700を支持するための支持部材(キャップ部材)の他の形態を示すもので、この形態の支持部材(キャップ部材)742は台形状とされ、その中央部に逆円錐台型の凹部状の受部742aが形成され、この受部742aの内底部に樹脂製の軟質素材からなるクッション材743が設けられた構造となっている。
図7Vと図7Wに示すクッション材741,743はいずれもポリエチレン、ポリプロピレン、ゴム、シリコンゴム、各種発泡体(ポリエチレン発泡体、ポリプロピレン発泡体、ウレタン発泡体、ゴム発泡体、シリコンゴム発泡体)、塩化ビニル樹脂等の軟質材からなることが好ましい。
これらの軟質材料のクッション材741,743を備えた支持部材740,742であるならば、インク収容ボトル700を倒立状態で指示させた場合にキャップ装置Eの先端部の弁体716cを保護し、インク収容ボトル700を乱暴に扱って支持部材740,742に乱雑に倒立させた場合であっても、弁体716cに衝撃を与えるおそれが少ないとともに、仮に倒立支持したインク収容ボトル700から多少の液漏れを生じた場合であっても液状物を吸収し、支持部材740,742の外部に液状物を漏らさないという効果を奏する。
また、図7V及び図7Wに示す構成において弁体716cの周囲に円筒状の保護壁745を設けておき、弁体716cを保護し、インク収容ボトル700を倒立支持した場合にこの保護壁745をクッション材741,743に当接するようにして弁体716cを保護するとともに、インク収容ボトル700が弾性復帰して弁体716cを介して空気を取り入れる場合に良好な空気取入ができるように支持部材740,742の受部740a,742aの内面にスリットを形成しておくことが好ましい。
以上、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
倒立状態の容器本体をそのまま把持して持ち上げ、容器本体をスクイズ操作することにより、吐出部から液状物を排出して目的に供することができる。この動作の間、容器本体をスクイズするまでは倒立状態の容器本体をそのまま把持して持ち上げ移動すれば良いので、容器の使用感が極めてスムーズであり、使用する位置まで容器本体を倒立状態のまま移動させて使用位置に移動させてから単にスクイズ操作を行えば、吐出部から目的の位置に液状物(インク)を吐出することができる。従って、従来一般のこの種のインクを収容している容器とは異なり、スクイズ容器は、正立状態から倒立状態に容器本体をひっくり返す操作を行うことなく使用し、使用後に倒立状態のまま保管できる効果がある。勿論、本発明の容器を正立状態としてから目的の方向に注出部を向けてスクイズ操作を行ない、上向き、横向き、下向きなどの目的の方向に向けて液状物を吐出して使用することができる。
また、容器内の液状物が排出される方向を遮断する向きに遮蔽壁を設けているので、倒立状態のまま把持して移動させている間、あるいは、容器の転倒や落下に応じて液状物の液圧が弁体に急激に作用しようとした場合に遮蔽壁がこれを遮るとともに、遮蔽壁に続く側壁部に形成されている通液孔を介して間接的に弁体に液圧が作用する構成を採用しているので、容器本体を倒立状態のまま把持して移動させている間、あるいは、容器本体の転倒時や落下時にインクが漏れ難い状態を維持することができる。
また、容器本体内のインクを吐出する場合はスクイズ操作によりインクの液圧を中栓に印加することで中栓を確実に開いて吐出操作することができ、スクイズ時の操作性にも優れる。
(第8実施形態)
次に、第8実施形態について説明する。なお、印刷システムの構成については第1実施形態と同様なので説明を省略し、インク収容ボトルの構成について詳細に説明する。
図8Aから図8Cはインク収容ボトルの構成を示す概略図である。
図8Aに示す如くインク収容ボトル800は、容器体802と、栓部材803とを備えている。
容器体802は合成樹脂等により形成されたもので、圧搾可能な筒状胴部804を備え、且つ、口頸部805上に筒状のノズル806を立設したものが採用される。具体的に容器体802は、図8Aに示す如き下端を扁平にシールした圧搾可能な筒状胴部804の上端より肩部807を介して上記口頸部805を起立したチューブ容器形態のもの、或いは図8Dに示す如き圧搾可能な筒状胴部804上端より肩部807を介して口頸部805を起立したボトル形態のもの等が挙げられる。
上記ノズル806も合成樹脂等により形成され、先端部に注出口808(吐出口S)を開口した筒状をなすもので、図示例の如く上方に行くに従って順次縮径する逆ラッパ筒状形態のものが好ましく採用できる。また、ノズル806は図8Aの如く口頸部805と一体に形成したものであっても、図8Dの如く、口頸部805と別体に形成して口頸部上端に液密に且つ抜け出しを防止して嵌着したものであっても良い。
栓部材803は、板バネを介して上記ノズル806の注出口808側へ棒状栓体を付勢させることによりその外周部を上記ノズル806の内周部に密接して装着したものである。棒状栓体809外周部のノズル内周部への密接は全体的であっても一部であっても良い。また、栓部材803は、図示例の如く、口頸部805内周に嵌合させた嵌合筒811より上方へ一体に延設するとともに、その上端を上記棒状栓体809と一体に連結し、全体を合成樹脂にて一体に形成したものが好ましく採用できる。尚、板バネ810の基端部は図示例の如き口頸部に嵌着させたものに限らず、例えば、口頸部上方のノズル806内に嵌着しても、また、口頸部下方の容器体内に嵌着する如く構成することも可能である。
また、板バネの形態も種々の形態が採用でき、図8Aの如き複数の螺旋状のもの、或いは図8D及び図8Gに示す如き複数の弯曲板状のもの、或いは図8J及び図8Kに示す如き一枚の屈折板状のもの、或いは、図8Lに示す如きリング部を備えたもの等種々の形態を採用でき、容器体胴部を圧搾した際に加圧液が棒状栓体809を加圧する状態を維持することが出来ればこれらに限られない。
本発明では、上記棒状栓体809外周部と上記ノズル806内周部との密接部分に液流路aを設けている。この液流路aは筒状胴部804の圧搾により加圧した液を通過させて注出口808より注出するためのものであり、その結果ノズル806内径に比較して極めて少量の液の注出に適したものとなる。
この液流路aは、図8Aに示す如く棒状栓体809の外周部或いは図8Dに示す如くノズル内周部に縦溝812を設けることにより形成しても良いし、また、両方に縦溝を設けることにより形成しても良い。また、図8Gに示す如く棒状栓体809の外周部に縦突条813を設けることにより、或いはノズル806の内周部に縦突条813を設けることにより上記外周部と上記内周部との間に形成された隙間として構成しても良く、或いは双方に縦突条を設けることにより形成しても良い。更に、上記縦溝と縦突条を適宜組み合わせて形成しても良い。また、上記縦溝812或いは縦突条813の数或いはその横断面積の大きさ等は収納液の粘度、密閉部分の長さ、注出液の必要量等を考慮して適宜選択することができる。また、密接部分に於ける棒状栓体809の外周部或いはノズル806の内周部或いは両方に、液の流通が可能な微細凹凸面、所謂、梨子地を形成することにより液流路とすることも可能である。
図8Aは本発明の一例を示すもので、容器体802は、下端を扁平にシールした圧搾可能な筒状胴部804を有し、該胴部804上端より肩部807を介して口頸部805を起立している。更に口頸部805上端縁より上方へ行くに従って窄み、先端に注出口808 を開口した逆ラッパ筒状のノズル806を一体に立設している。
栓部材803は、上記口頸部805内周に突周設した係止突条814下面に上面を当接係止させて口頸部805内周に嵌合させた嵌合筒811と、該嵌合筒811の上端より上方へ螺旋状に立設した複数の板バネ810を介して延設した下端開口の中空円錐台形状をなす棒状栓体809とから構成している。また、棒状栓体809の外面所定位置には一対の縦溝812を凹設して液流路a を形成している。
上記の如く構成したインク収容ボトル800は、筒状胴部804を圧搾することにより収納液を加圧して液流路aを介して注出口808より注出する。胴部804の圧搾を解除するとその弾性復元力により容器体802内が負圧化し、棒状栓体809が各板バネ810の弾発力に抗して容器体内方へ引き込まれ、その外周に形成された隙間より置換空気が導入される。
図8Dは他のインク収容ボトル800aの構成を示すもので、容器体802は、圧搾可能な筒状胴部804 上端より肩部807を介して口頸部805を起立している。口頸部805の上端には別体として形成したノズル806を嵌着させている。該ノズル806は、口頸部805上端部より上方へ行くに従って窄み、先端に注出口808を開口した逆ラッパ筒状をなし、下端部よりフランジ815を介して延設した装着筒816を口頸部805外周上部に嵌合させており、装着筒816の内周より突設した係合突起を口頸部外周の係止突起に乗り越え係合させて抜け出しの防止を図っている。また、フランジ815内周縁より垂設したシール筒817を口頸部805内周上部に密嵌させてこの部分での液密性を図っている。
栓部材803は、上記シール筒817下面に上面を当接係止させて口頸部805内周に嵌合させた嵌合筒811と、該嵌合筒811の上端より上方へ立設した弯曲板状をなす複数の板バネ810を介して延設した下端開口の中空砲弾状をなす棒状栓体809とから構成している。本実施例では上記ノズル806の内周部所定位置に一対の縦溝812を凹設して液流路aを形成している。
図8Gは他のインク収容ボトル800bを示すもので、図8Aの実施例に於いて、別形態の栓部材803を設けた例を示す。栓部材803は、上記口頸部805内周に突周設した係止突条814下面に上面を当接係止させて口頸部805内周に嵌合させた嵌合筒811と、該嵌合筒811の上端より内方へ弯曲上昇した後上方へ延びる周方向複数の板バネ810を介して延設するとともに、下端開口の中空砲弾形状をなす棒状栓体809とで構成している。また、本実施例に於いて液流路aは、棒状栓体809外周部に突設した縦突条813 により、上記外周部と上記内周部との間に形成された隙間として構成している。
図8Jから図8Lは本発明に使用される栓部材803の他の例を示すもので、図8Jに示したものは、嵌合筒811の上端より上方に延びた後傾斜上昇し再び上方に延びる一枚の屈折板状の板バネ810を立設しその先端に上記棒状栓体809を延設した例を示す。また、図8Kに示すものは、嵌合筒811の上端より蛇行状に延びた一枚の屈折板状の板バネ810を立設しその先端に上記棒状栓体809を延設した例を示す。図8Lに示すものは、容器体口頸部805内周に周縁部を嵌着させるとともに、周縁部に通液用の複数の窓孔818を穿設した嵌合板819の上面より中間部に弾性リング部820を設けた板バネ810を立設し、その先端に中実の棒状栓体809を延設した例を示す。これらは例えば図8Aの実施例の栓部材に代えて採用することができる。
以上、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
以上説明した如くインク収容ボトル800,800a,800bは、既述構成としたことにより、ノズル内径と比較して極めて小さい液流路を介しての単位時間当たり少量の液の注出が可能であり、液の暴出の虞がない。また、胴部の圧搾を解除するとその弾性復元力により容器体内が負圧化し、棒状栓体が板バネの弾発力に抗して容器体内方へ引き込まれ、その外周に形成された隙間より円滑に置換空気が導入される。更に、容器を誤って倒したり或いは寝かせて保管する際に液が注出口部分に移行する虞がなく、上記状態からキャップを外した際にインクがたれ落ちる等の不都合を生じる虞のないものである。また、液流路は常時一定の開口面積を保っているため、常時安定して少量のインクの注出を行える。
(第9実施形態)
次に、第9実施形態について説明する。なお、印刷システムの構成については第1実施形態と同様なので説明を省略し、インク収容ボトルの構成について詳細に説明する。
図9Aから図9Cはインク収容ボトルの構成を示す概略図である。
図9Aに示す如くインク収容ボトル900は、容器体902と、栓部材903と、逆止弁904とを備えている。
容器体902は合成樹脂等により形成されたもので、圧搾可能な筒状胴部905を備え、且つ、口頸部906上に筒状のノズル907を立設したものが採用される。具体的に容器体902は、図9Aに示す如き下端を扁平にシールした圧搾可能な筒状胴部905上端より肩部908を介して上記口頸部906を起立したチューブ容器形態のもの、或いは図示しないが、圧搾可能な筒状胴部の上端より肩部を介して上記口頸部を起立したボトル形態のもの等が挙げられる。
上記ノズル907も合成樹脂等により形成され、先端部に注出口909(吐出口S)を開口した筒状をなすもので、図示例の如く上方に行くに従って順次縮径する逆ラッパ筒状形態のものが好ましく採用できる。また、ノズル907は図9Aの実施例の如く口頸部と別体に形成して口頸部上端に液密且つ抜け出しを防止して嵌着したものであっても、図示しないが、口頸部と一体に形成したものであっても良い。
栓部材903は、上記ノズル907の内周部に外周部を密接した棒状栓体910をノズル907の注出口909側へ付勢させて装着したものである。外周部のノズル内周部への密接は全体的であっても一部であっても良い。棒状栓体910の注出口側への付勢手段としては図示例の如く板バネ911により付勢する方法の外に、コイルスプリング等を使用することも可能である。板バネ911を採用する際には図示例の如く、口頸部906内周に嵌合させた嵌合筒912より上方へ一体に延設するとともに、その上端を上記棒状栓体910と一体に連結し、全体を合成樹脂にて一体に形成したものが好ましく採用できる。
また、板バネの形態も種々の形態が採用でき、図9Aの実施例の如き複数の螺旋状のもの、或いは図9Gに示す如き複数の弯曲板状のもの等種々の形態を採用でき、容器体胴部を圧搾した際に加圧液が棒状栓体910を加圧する状態を維持することが出来ればこれらに限られない。
上記逆止弁904は、上記棒状栓体910下方に設けるとともに、上記容器体902内より上記ノズル907内へ一方的に液を流通させるものであり、例えば、図9Aに示す如き玉状弁体913を備えたもの、或いは、図9Dに示す如き周囲を複数の弾性腕914で支持された弁板915を備えたもの等種々の形態のものが採用できる。この逆止弁904の存在で容器体902内への空気の浸入を防止でき、また、液の逆流を防止でき、更に注出液の液切れのよさを現出するものである。
本発明では、上記棒状栓体910外周部と上記ノズル907内周部との密接部分に液流路aを設けている。この液流路aは筒状胴部905の圧搾により加圧した液を通過させて注出口909より注出するためのものであり、その結果ノズル907内径に比較して単位時間当たり極めて少量の液の注出に適したものとなる。
この液流路aは、図9Aに示す如く棒状栓体910の外周部或いは図9Dに示す如くノズル内周部に縦溝916を設けることにより形成しても良いし、また、両方に縦溝を設けることにより形成しても良い。また、図9Gに示す如く棒状栓体910の外周部に縦突条917を設けることにより、或いはノズル907の内周部に縦突条917を設けることにより上記外周部と上記内周部との密閉部分間に形成された隙間として構成しても良く、或いは双方に縦突条を設けることにより形成しても良い。更に、上記縦溝と縦突条を適宜組み合わせて形成しても良い。また、上記縦溝916或いは縦突条917の数或いはその横断面積の大きさは収納液の粘度、密閉部分の長さ、注出液の必要量等を考慮して適宜選択することができる。また、密接部分に於ける棒状栓体910の外周部或いはノズル907の周部或いは両方に、液の流通が可能な微細凹凸面、所謂、梨子地を形成することにより液流路とすることも可能である。
図9Aは本発明の一例を示すもので、容器体902は、下端を扁平にシールした圧搾可能な筒状胴部905上端より肩部908を介して口頸部906を起立している。口頸部906の上端には別体として形成したノズル907を嵌着させている。該ノズル907は、口頸部906上端部より上方へ行くに従って窄み、先端に注出口909を開口した逆ラッパ筒状をなし、下端部よりフランジ918を介して延設した装着筒919を口頸部906外周上部に嵌合させており、装着筒919の内周より突設した係合突起を口頸部外周の係止突起に乗り越え係合させて抜け出しの防止を図っている。また、フランジ918内周縁より垂設したシール筒920を口頸部906内周上部に密嵌させてこの部分での液密性を図っている。
栓部材903は、外周上端部に周設した上向き段部921に上記シール筒920を嵌合させて口頸部906内周に嵌合させた嵌合筒912と、該嵌合筒912の上端より上方へ螺旋状に立設した複数の板バネ911を介して延設した下端開口の中空円錐台形状をなす棒状栓体910とから構成している。また、棒状栓体910の外周所定位置には一対の縦溝916を凹設して液流路aを形成している。
逆止弁904は、容器体口頸部906内周より突設したフランジ状の弁座922に玉状弁体913を載置して、弁座922中央の弁孔923を開閉可能に閉塞する如く構成している。
上記の如く構成したインク収容ボトル900は、筒状胴部905を圧搾することにより収納液を加圧して逆止弁904を開き、液流路aを介して注出口909より注出する。胴部905の圧搾を解除するとその弾性復元力による容器体内の負圧化により逆止弁904が閉じ、液切れが極めて良く行える。
図9Dは、他のインク収容ボトル900aの構成を示すもので、図9Aの実施例に於いて、上記逆止弁904が玉状弁体を備えたものであるのに代えて、周囲を複数の弾性腕914により支持された弁板915を備えた逆止弁904を設けている。本実施例に於ける弁板915は、図9Eに示す如く、容器体口頸部906内周に嵌着させるリング板924の内周縁より、内方へ延びた後リング板924に沿って弯曲し、再び内方へ延びる周方向複数の弾性腕914により支持されて全体を合成樹脂により形成している。そして、上記リング板924を口頸部906内周下端部に嵌合させて弁板915により弁孔923を開閉可能に閉塞させている。また、棒状栓体910に縦溝を形成することにより形成した液流路に代えて、上記ノズル907の内周部所定位置に一対の縦溝916を凹設して液流路aを形成している。
図9Gは、他のインク収容ボトル900bの構成を示すもので、図9Dの実施例に於いて、別形態の栓部材903を設けた例を示す。本実施例に於ける栓部材903は、上記嵌合筒912の上端縁より周方向複数立設した弯曲板状の板バネ911を備えている。また、本実施例に於いて液流路aは、棒状栓体910外周部に突設した縦突条917により、上記外周部と上記内周部との密接部分間に形成された隙間として構成している。
以上、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
以上説明した如くインク収容ボトル900,900a,900bは、既述構成としたことにより、ノズル内径と比較して極めて小さい液流路を介しての単位時間当たり少量のインクの注出が可能であり、インクの暴出の虞がなく、また、容器体内への空気の浸入、インクの逆流の虞がなく、注出時の液切れに優れたものである。また、容器を誤って倒したり或いは寝かせて保管する際にインクが注出口部に移行する虞がなく、上記状態からキャップを外した際にインクがたれ落ちる等の不都合を生じる虞のないものである。更に、液流路は常時一定の開口面積を保っていたるため、常時安定して少量のインクの注出を行える。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良等を加えることが可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)第1実施形態では、インク収容ボトル100を傾けてカートリッジ50にインクを注ぐ形態を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、印刷システム1またはプリンター2にインク収容ボトル100を直接装着して、インク収容ボトル100に収容されたインクを補給する形態であってもよい。このようにしても、インク収容ボトル100はシール性が高いので、プリンター2内でのインク漏れの発生が無く、インク収容ボトル100から安定してインクを補給することができる。
また、インク収容ボトル100からカートリッジ50へフレキシブルチューブ等を介してインクを補給する形態であってもよい。このようにしても、インク収容ボトル100からのインクの漏れが無く、安定してインクを補給することができる。
なお、第1実施形態以外のインク収容ボトルについても上記同様に適用することができる。
また、カートリッジ50については、プリンター2と別体で、プリンター2に対し、脱着可能な形態に限らず、プリンター2に一体的に固定されている形態であってもよい。
また、カートリッジ50は、キャリッジ25と別体に配置された、いわゆるオフキャリタイプのカートリッジに限らず、キャリッジ25上に備えられた、いわゆるオンキャリタイプのカートリッジでもよい。