以下、図面を参照しながら、一実施形態に係るインクジェットプリンタについて説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材、部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。また、本明細書において「インクジェットプリンタ」とは、従来公知のインクジェット技術による印刷方法、例えば、二値偏向方式あるいは連続偏向方式等の連続方式や、サーマル方式、あるいは圧電素子方式等の各種のオンデマンド方式を利用したプリンタ全般をいう。また、「プリンタ」とは、二次元の画像を印刷する、所謂、2Dプリンタと、三次元の造形物を造形する、所謂、3Dプリンタ(三次元造形装置)と、を包含する用語である。
図1は、インクジェットプリンタ(以下、プリンタという。)10の正面図である。図2は、プリンタ10の右側面図である。図3は、プリンタ10の主要部(具体的には、後述する本体部12)の内部構造を示す正面図である。なお、以下の説明において、左、右、上、下とは、プリンタ10の正面にいるユーザ(プリンタ10の使用者)から見た左、右、上、下をそれぞれ意味し、プリンタ10からユーザに近づく方を前方、遠ざかる方を後方とする。また、図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ、前、後、左、右、上、下を表すものとする。ただし、これらは説明の便宜上の方向に過ぎず、プリンタ10の設置態様を何ら限定するものではない。
プリンタ10は、2Dプリンタである。図1に示すように、プリンタ10は、記録媒体5に印刷を行う印刷装置である。プリンタ10は、所謂、Roll-to-Rollタイプである。プリンタ10は、大判サイズの記録媒体5に対して印刷を行う大型のプリンタである。記録媒体5は、本実施形態ではロール状の媒体である。記録媒体5には、普通紙やインクジェット用印刷紙等の紙類はもちろんのこと、例えば、ポリ塩化ビニル(polyvinyl chloride、PVC)やポリエステル等の樹脂材料、織布や不織布等の布帛、アルミニウム、鉄、木材、ガラス等の各種の材料からなる媒体が含まれる。
図1に示すように、プリンタ10は、2つの脚部11と、脚部11に支持され、本体部12と配管ボックス部18L、18Rとを覆うケーシング19と、インクタンク151(図2参照)を備える複数のインク供給装置70A~70Hと、を備えている。脚部11は、典型的には床面に接触し、本体部12と配管ボックス部18L、18Rとを下方から支持している。脚部11は、本体部12よりも下方に配置されている。2つの脚部11は、左右方向に並んで配置されている。2つの脚部11は、後述するプラテン14を左右方向の両側から挟み込んでいる。脚部11の上下方向の長さ(高さ)は、標準的なユーザの立位状態における腰の高さから胸の高さの間であり、例えば70~110cm程度である。2つの脚部11は、それぞれ、第1脚部11Aと、第2脚部11Bと、を備えている。第1脚部11Aは、本体部12の下面に当接している。第1脚部11Aは、本体部12の下端から下方に向かって延びている。第1脚部11Aは、垂直に伸びている。図2に示すように、第2脚部11Bは、第1脚部11Aの下端から前後方向に延びている。第2脚部11Bは、本体部12の下面と平行に伸びている。
図1、図2に示すように、本体部12は、脚部11よりも上方に配置されている。本体部12は、脚部11に支持されている。本体部12は、脚部11によって、床面から所定の高さに配置されている。本体部12は、左右方向に延びている。本体部12は、記録媒体5に印刷を行う印刷空間を構成している。詳しくは後述するが、図3に示すように、本体部12の内部には、ガイドレール13と、プラテン14の一部と、複数のインクヘッド20と、複数のダンパー22と、複数のインク流路40の一部と、制御装置80(図1参照)と、が配置されている。インク流路40の一部は、本体部12の外部に配置されている。インク供給装置70A~70Hは、本体部12の外部に配置されている。なお、本実施形態において、インクヘッド20と、ダンパー22と、インク流路40と、インク供給装置70A~70Hとは、各8つである。ただし、他の実施形態において、インクヘッド20と、ダンパー22と、インク流路40と、インク供給装置70A~70Hとは、必ずしも全て同数でなくてよい。
図1、図2に示すように、配管ボックス部18L、18Rは、本体部12の下面に取り付けられている。配管ボックス部18L、18Rは、本体部12の下方に設けられている。配管ボックス部18L、18Rは、箱状である。配管ボックス部18L、18Rは、プラテン14の左側方および右側方に設けられている。配管ボックス部18L、18Rは、プラテン14を左右方向の両側から挟み込んでいる。これにより、プリンタ10のデッドスペースを減らして、プリンタ10の設置面積を小さくすることができる。図2に示すように、配管ボックス部18L、18Rの前後方向の長さは、本体部12よりも短い。平面視において、配管ボックス部18L、18Rは、本体部12と重なっている(図5参照)。側面視において、配管ボックス部18L、18Rの少なくとも一部は、プラテン14と重なっている。配管ボックス部18L、18Rの内部には、インク流路40の一部等が配置されている。インク供給装置70A~70Hは、配管ボックス部18L、18Rの外部に配置されている。
ケーシング19は、本体部12と配管ボックス部18L、18Rとを覆うハウジングである。本実施形態において、ケーシング19は、ガイドレール13の全体を覆っている。ケーシング19は、プラテン14の少なくとも一部を覆っている。プラテン14の一部は、ケーシング19の外部に配置されている。ケーシング19は、本体部12と配管ボックス部18L、18Rとを区画している。なお、本実施形態では、インクヘッド20を覆う本体部12と、インク流路40の一部を収容する配管ボックス部18L、18Rとが、ケーシング19によって別々に区画されているが、本体部12と配管ボックス部18L、18Rとは、ケーシング19によって一体的に覆われていてもよい。ケーシング19は、カバー体の一例である。
図1に示すように、ケーシング19は、左右方向において、左側部19Lと、中央部19Mと、右側部19Rと、の3つの領域に区画されている。右側部19Rには、操作パネル19Cが設けられている。操作パネル19Cは、ユーザが操作容易なように、ケーシング19の前面(詳しくは、本体部12の前面)に設けられている。図2に示すように、操作パネル19Cは、下側に行くほど前方に位置するように傾斜している。すなわち、操作パネル19Cは、前傾している。操作パネル19Cは、ユーザが印刷に関する情報を入力する入力部を兼ねている。図1に示すように、操作パネル19Cには、印刷に関する情報が表示される表示部19Dが設けられている。
次に、本体部12の構成について説明する。図3に示すように、ガイドレール13は、本体部12に設けられ、左右方向(主走査方向)に延びている。ガイドレール13は、左側部19Lから右側部19Rに亘って延びている。ガイドレール13には、キャリッジ30がスライド自在に係合している。キャリッジ30は、非印刷時には、右側部19Rのなかに予め定められた待機位置(図示せず)に配置される。キャリッジ30は、例えばインクヘッド20のメンテナンスを行う際等に、左側部19Lのなかに予め定められたメンテナンス位置(図示せず)に配置される。キャリッジ30には、インクヘッド20とダンパー22とが搭載されている。なお、キャリッジ30には、従来公知のインクジェットプリンタと同様に、例えば光照射装置(例えば紫外線ランプ)等の種々の装置や、種々の部材が、さらに搭載されていてもよい。キャリッジ30は、キャリッジ移動機構16によって左右方向に往復移動する。
キャリッジ移動機構16は、キャリッジ30をガイドレール13に沿って左右方向に移動させる機構である。図3に示すように、キャリッジ移動機構16は、ガイドレール13の左端側および右端側に配置されたプーリ17bおよびプーリ17aを有している。プーリ17aには、キャリッジモータ16aが連結されている。キャリッジモータ16aは、制御装置80(図1参照)と電気的に接続されており、制御装置80によって制御される。プーリ17aおよびプーリ17bには、それぞれ無端状のベルト15が巻き掛けられている。キャリッジ30はベルト15に固定されている。キャリッジモータ16aが駆動すると、プーリ17aが回転してベルト15が走行する。これにより、キャリッジ30がガイドレール13に沿って左右方向に移動する。
プラテン14は、印刷の際、記録媒体5を支持するものである。プラテン14には、印刷の際、記録媒体5が載置される。記録媒体5への印刷は、プラテン14上で行われる。図1に示すように、プラテン14は、本体部12に設けられ、左右方向に延びている。左右方向において、プラテン14は、2つの脚部11の間に設けられている。左右方向において、プラテン14は、配管ボックス部18L、18Rの間に設けられている。プラテン14は、インク供給装置70A~70Dとインク供給装置70E~70Hとの間に設けられている。図2に示すように、プラテン14は、前後方向にも延びている。前後方向において、プラテン14の前端14tは、第2脚部11Bの前端11tよりもケーシング19に近い側(図2の右側)に位置している。図3に示すように、プラテン14は、ガイドレール13よりも下方に配置されている。
プラテン14には、上下一対のグリットローラ(図示せず)およびピンチローラ(図示せず)が設けられている。グリットローラはフィードモータ(図示せず)に連結されている。グリットローラはフィードモータによって回転駆動される。記録媒体5がグリットローラとピンチローラとの間に挟まれた状態でグリットローラが回転すると、記録媒体5は前後方向(副走査方向)に搬送される。
インクヘッド20は、記録媒体5に向かってインク59(図4参照)の液滴を吐出するものである。図3に示すように、インクヘッド20は、プラテン14よりも上方に配置されている。インクヘッド20は、キャリッジ30に搭載されている。複数のインクヘッド20は、左右方向に並んでいる。インクヘッド20は、キャリッジ30を介してガイドレール13にスライド自在に係合している。なお、インクヘッド20の個数は、本実施形態ではインク供給装置70A~70Hの個数と同じ(8つ)である。ただし、インクヘッド20の個数は、インク供給装置70A~70Hの個数と同じでなくてもよい。
インクヘッド20の下面20a(図4参照)は、プラテン14と対向している。インクヘッド20の下面20aには、インク59を吐出するノズル21(図4参照)が形成されている。また、インクヘッド20の内部には、圧電素子等からなるアクチュエータ(図示せず)が設けられている。このアクチュエータが駆動することにより、インクヘッド20のノズル21からインク59が吐出される。
図4は、インク流路40を示すブロック図である。複数(ここでは8つ)のインク流路40は、インク供給装置70A~70Hのインクタンク151と、複数のインクヘッド20と、をそれぞれ連結するインク59の経路である。インクタンク151のインク59は、インク流路40を通じてそれぞれインクヘッド20に供給される。また、本実施形態のインク流路40は、インクタンク151を含めてインク59が循環可能なように構成されている。このため、インクタンク151からインク流路40へ流れたインク59の一部は、再びインクタンク151へと還流する。
インク59は、従来から使用されているものと同じでよく、特に制限はない。インク59は、ソルベント系の顔料インク、水性顔料インク、水性染料インク等であってもよい。インク59は、例えば、光重合性モノマーと光重合開始剤系とを含み、光照射によって硬化する性質を有する光硬化性インク(例えば紫外線硬化型のUVインク)であってもよい。本実施形態において、8つのインク供給装置70A~70Hのインクタンク151には、それぞれ異なる色材を含んだインク、例えば、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインク、ライトシアンインク、ライトマゼンタインク、ライトブラックインク、ホワイトインク、が貯留されている。ただし、インク59の種類(色材、性状、用途等)は何ら限定されない。
インク流路40は、柔軟性や可撓性を有し、弾性変形可能なように構成されている。特に限定されるものではないが、インク流路40は、例えば可撓性のチューブによって構成されている。8つのインク流路40のうち4つは、インク供給装置70A~70Dのインクタンク151から、配管ボックス部18Lの内部と、本体部12の内部と、に亘って延びている。残りの4つは、インク供給装置70E~70Hのインクタンク151から、配管ボックス部18Rの内部と、本体部12の内部と、に亘って延びている。図1に示すように、本体部12の内部では、キャリッジ30が左右方向に移動してもインク流路40が破損しないように、大部分(少なくとも全長の半分以上)が左右方向に延びた状態で配置されている。インク流路40は、ケーブル類保護案内装置32で覆われている。
図4に示すように、インク流路40は、第1流路40aと、第2流路40bと、第3流路40cと、第4流路40dと、第5流路40eと、第6流路40fと、第7流路40gと、を備えている。本実施形態において、インクタンク151からインクヘッド20までのインク流路40の途中には、送液ポンプ41と、脱気装置43と、分岐部材45と、ダンパー22と、圧力調整弁46と、が設けられている。なお、インク流路40の途中には、従来公知のインクジェットプリンタと同様に、必要に応じて、さらに種々の装置や部材が設けられていてもよい。インク流路40には、例えば、インク59を濾過する濾過装置等が設けられていてもよい。
第1流路40aの上流端は、インクタンク151のインク流出口152O(図8も参照)に接続されている。第1流路40aの下流端は、送液ポンプ41に接続されている。第2流路40bの上流端は、送液ポンプ41に接続されている。第2流路40bの下流端は、脱気装置43に接続されている。第3流路40cの上流端は、脱気装置43に接続されている。第2流路40bの下流端は、分岐部材45に接続されている。第4流路40dの上流端は、分岐部材45に接続されている。第4流路40dの下流端は、ダンパー22に接続されている。第5流路40eの上流端は、ダンパー22に接続されている。第5流路40eの下流端は、インクヘッド20に接続されている。第6流路40fの上流端は、分岐部材45に接続されている。第6流路40fの下流端は、圧力調整弁46に接続されている。第7流路40gの上流端は、圧力調整弁46に接続されている。第7流路40gの下流端は、インクタンク151のインク流入口153I(図8も参照)に接続されている。
第1流路40aと、第2流路40bと、第3流路40cと、第4流路40dと、第5流路40eとは、印刷時やインクヘッド20のクリーニング時等に、インクタンク151内のインク59をインクヘッド20へ送液するインク供給流路を構成している。第6流路40fと、第7流路40gとは、インクタンク151内のインク59を循環させるインク還流流路を構成している。第1流路40aと、第2流路40bと、第3流路40cと、第6流路40fと、第7流路40gとは、インクタンク151内のインク59を循環させるインク循環流路を構成している。
送液ポンプ41は、インクタンク151のインク59をインクヘッド20に送る送液装置である。送液ポンプ41は、特に限定されないが、例えばダイヤフラムポンプ、チューブポンプ、シリンジポンプ等である。本実施形態において、送液ポンプ41は、各インク流路40に1つ設けられている。図2に示すように、送液ポンプ41は、配管ボックス部18L、18Rの内部に配置されている。送液ポンプ41は、モータ42に接続されている。モータ42は、配管ボックス部18L、18Rの内部に配置されている。モータ42は、制御装置80(図1参照)と電気的に接続されており、制御装置80によって制御される。
脱気装置43は、インク59中に溶存する空気やインク59に混入した気泡を除去する装置である。本実施形態において、脱気装置43は、各インク流路40に1つ設けられている。図2に示すように、脱気装置43は、配管ボックス部18L、18Rの内部にそれぞれ配置されている。脱気装置43は、真空ポンプ44に接続されている。本実施形態において、真空ポンプ44は、配管ボックス部18L、18Rの内部に1つずつ配置されている。1つの真空ポンプ44は、4つの脱気装置43にそれぞれ接続されている。真空ポンプ44は、制御装置80(図1参照)と電気的に接続されており、制御装置80によって制御される。
ダンパー22は、インクヘッド20の真上に設けられている。ダンパー22は、印刷時にインク59の圧力変動を緩和して、インクヘッド20のノズル21からのインク59の吐出動作を安定させるものである。ダンパー22は、インクヘッド20と共に、キャリッジ30に搭載されている。なお、ダンパー35は必須ではなく、他の実施形態において省略することもできる。
圧力調整弁46は、インクヘッド20およびインク流路40の圧力を調整する弁体である。圧力調整弁46は、インク流路40の第6流路40fと第7流路40gとの間を閉鎖する弁体である。圧力調整弁46を開閉することで、インクヘッド20およびインク流路40に掛かる圧力を調整することができる。圧力調整弁46は、ここでは減圧弁(リリーフバルブ)である。本実施形態において、圧力調整弁46は、各インク流路40に1つ設けられている。圧力調整弁46は、制御装置80(図1参照)と電気的に接続されており、制御装置80によって制御される。
本実施形態において、圧力調整弁46は、ケーシング19の外部に配置されている。詳しくは、図2に示すように、圧力調整弁46は、インク供給装置70A~70Hの外表面に取り付けられている。詳しくは、圧力調整弁46は、後述するインク補充部190の後面に取り付けられている。前後方向において、圧力調整弁46は、配管ボックス部18L、18Rよりも前方に配置されている。圧力調整弁46は、送液ポンプ41および脱気装置43よりも前方に配置されている。圧力調整弁46は、ケーシング19よりも前方に配置されている。圧力調整弁46は、インク補充部190よりもケーシング19に近い側(図2の右側)に配置されている。圧力調整弁46は、プラテン14の前端14tよりもケーシング19に近い側(図2の右側)に配置されている。
上下方向において、圧力調整弁46は、本体部12よりも下方に配置されている。圧力調整弁46は、インクヘッド20の下面20aよりも下方に配置されている。圧力調整弁46は、インクタンク151よりも上方に配置されている。上下方向において、圧力調整弁46は、本体部12とインクタンク151との間に配置されている。平面視において、圧力調整弁46の少なくとも一部は、本体部12と重なっている。これにより、プリンタ10のデッドスペースを有効に活用することができる。圧力調整弁46の少なくとも一部は、送液ポンプ41の上端よりも上方に配置されている。圧力調整弁46の少なくとも一部は、脱気装置43の上端よりも上方に配置されている。
非印刷時等にインク59を循環させる際は、例えば圧力調整弁46を開状態とし、第6流路40fと第7流路40gとの間を開放する。この状態で、送液ポンプ41を駆動することにより、インクタンク151内のインク59が、インク循環流路を流れて、インクタンク151に戻される。これにより、インクタンク151内のインク59を撹拌することができ、例えば沈降しがちな顔料等を好適に分散することができる。したがって、インクタンク151に貯留されているインク59を均質な状態に維持することができる。また、インク循環流路には脱気装置43が設けられているので、インク59を循環させることでインク59の脱気レベルを向上することができる。
印刷時にインク59を循環させる際は、例えば圧力調整弁46を開状態として、送液ポンプ41を駆動し、送液ポンプ41の送液量をインクヘッド20で必要な量よりも多くする。これにより、印刷時にも継続してインク59を撹拌することができる。また、インクヘッド20のクリーニングを行う際等は、例えば圧力調整弁46を閉状態とし、第6流路40fと第7流路40gとの間を閉鎖する。この状態で、送液ポンプ41を駆動することにより、インクタンク151内のインク59が、インク供給流路に集中し、インクヘッド20に集中的にインク59が供給される。
次に、インク供給装置70A~70Hの構成について説明する。複数(ここでは8つ)のインク供給装置70A~70Hは、それぞれ、色材、性状、用途等が異なるインク59をインクヘッド20に供給するためのものである。インク供給装置70A~70Hは、インクタンク151に貯留されているインク59が少なくなったときに、インクタンク151自体は交換せずに、インク補充用のサプライボトル400(図9参照)からインク59を継ぎ足して繰り返し使用する、継ぎ足し式の(使い捨てない)インク供給装置である。なお、サプライボトル400の構成については後述する。
図1に示すように、本実施形態において、インク供給装置70A~70Hは、プリンタ10の前面に設けられている。詳しくはケーシング19の前方に設けられている。これにより、ユーザは、プリンタ10の前方側から、例えば表示部19Dや印刷の進行状況を確認しながら、インク59を継ぎ足すことができる。ただし、複数のインク供給装置70A~70Hのうちの少なくとも一部は、例えばケーシング19の側方や後方に設けられていてもよい。インク供給装置70A~70Hは、キャリッジ30に搭載されておらず、左右方向には移動しない。本実施形態において、8つのインク供給装置70A~70Hは、本体部12の左右に4つずつ振り分けて配置されている。インク供給装置70A~70Hは、左側部19Lおよび右側部19Rにおいて、それぞれ4つずつ左右方向に並設されている。
すなわち、正面視において、4つのインク供給装置70A~70Dは、ケーシング19の中央部19Mおよびプラテン14よりも左方に設けられている。4つのインク供給装置70A~70Dは、左側の脚部11よりも外方(中央部19Mから離れる側、図1の左方)に設けられている。4つのインク供給装置70A~70Dは、本体部12の下方に設けられている。4つのインク供給装置70A~70Dは、配管ボックス部18Lの前方に設けられている。4つのインク供給装置70A~70Dは、左右方向に沿って一列に配置されている。4つのインク供給装置70A~70Dは、左右方向に所定の間隔をあけて配置されている。4つのインク供給装置70A~70Dは、上下方向に互い違いに配置されている。4つのインク供給装置70A~70Dは、上下方向に一部分が重なるように配置されている。
4つのインク供給装置70E~70Hは、ケーシング19の中央部19Mおよびプラテン14よりも右方に設けられている。4つのインク供給装置70E~70Hは、右側の脚部11よりも外方(中央部19Mから離れる側、図1の右方)に設けられている。4つのインク供給装置70E~70Hは、本体部12の下方に設けられている。4つのインク供給装置70E~70Hは、配管ボックス部18Rの前方に設けられている。4つのインク供給装置70E~70Hは、左右方向に沿って一列に配置されている。4つのインク供給装置70E~70Hは、左右方向に所定の間隔をあけて配置されている。4つのインク供給装置70E~70Hは、上下方向に互い違いに配置されている。4つのインク供給装置70E~70Hは、上下方向に一部分が重なるように配置されている。
本実施形態において、4つのインク供給装置70A~70Dは、それぞれ配管ボックス部18Lの前面に取り付けられている。具体的には、4つのインク供給装置70A~70Dは、上下方向に立設するように配管ボックス部18Lに固定されている。4つのインク供給装置70A~70Dは、配管ボックス部18Lを介して、それぞれケーシング19の左側部19Lに支持されている。同様に、4つのインク供給装置70E~70Hは、それぞれ配管ボックス部18Rの前面に取り付けられている。具体的には、4つのインク供給装置70E~70Hは、上下方向に立設するように配管ボックス部18Rに固定されている。4つのインク供給装置70E~70Hは、配管ボックス部18Rを介して、それぞれケーシング19の右側部19Rに支持されている。
正面視において、4つのインク供給装置70A~70Dの左右の幅WL1は、配管ボックス部18Lの左右の幅WL2よりも狭い。4つのインク供給装置70A~70Dは、配管ボックス部18Lの幅WL2に収まっている。同様に、4つのインク供給装置70E~70Hの左右の幅は、配管ボックス部18Rの左右の幅よりも狭い。インク供給装置70E~70Hは、配管ボックス部18Rの幅WL2に収まっている。本実施形態では、4つのインク供給装置70A~70Dおよび4つのインク供給装置70E~70Hの左右の幅WL1が同じであり、配管ボックス部18Lおよび配管ボックス部18Rの左右の幅WL2が同じである。
図2に示すように、側面視において、インク供給装置70A~70Hの少なくとも一部は、プラテン14と重なっている。また、インク供給装置70A~70Hを前後方向の中心線CLで前側部分と後側部分とに区分したときに、インク供給装置70A~70Hの前側部分は、操作パネル19Cよりも前方に配置されている。インク供給装置70A~70Hの後側部分は、操作パネル19Cの下方に配置されている。このため、平面視において、インク供給装置70A~70Hの前側部分は、本体部12と重なっていない。平面視において、インク供給装置70A~70Hの後側部分は、本体部12と重なっている。
側面視において、複数のインク供給装置70A~70Hは、前端と後端の位置が一致している。インク供給装置70A~70Hの前端70tは、第2脚部11Bの前端11tよりも本体部12に近い側(図2の右側)に位置している。なお、図2では、第2脚部11Bと垂直でかつ前端70tを通る垂線を、仮想線TLで示している。インク供給装置70A~70Hの前端70tは、プラテン14の前端14tよりも本体部12に近い側(図2の右側)に位置している。これにより、印刷完了後に、記録媒体5がインク供給装置70A~70Hの前方までプラテン14で案内される。そのため、ユーザはプラテン14の両側面に手を挿入して容易に印刷完了後の記録媒体5を取り上げることができる。
なお、本実施形態において、インク供給装置は8つであるが、インク供給装置の個数や配置は何ら限定されない。また、インク供給装置70A~70Hは、配管ボックス部18L、18Rを介在せずに、本体部12に直接取り付けてもよい。また、例えばインク59の種類が少ない場合等には、配管ボックス部18Lあるいは配管ボックス部18Rのみにインク供給装置を取り付けてもよい。なお、本実施形態では、複数のインク供給装置70A~70Hが、全て同じ構成である。このため、以下では、インク供給装置70Hを例として、インク供給装置の構成を説明する。ただし、複数のインク供給装置70A~70Hは、必ずしも全てが同じ構成である必要はなく、一部はインク供給装置70Hと構成が異なっていてもよい。
図5は、プリンタ10のインク供給装置70E~70Hの付近を拡大した平面図である。図6は、インク供給装置70Hの斜視図である。図7は、インク供給装置70Hの平面図である。図8は、インク供給装置70Hの鉛直断面図である。図6に示すように、インク供給装置70Hは、インク貯留部150と、インク量検出部160と、インク補充部190と、を備えている。以下、順に説明する。
インク貯留部150は、インク59を貯留する部分である。インク貯留部150は、インクタンク151を備えている。インクタンク151は、インク59が貯留される容器である。インクタンク151は、インク59が少なくなっても使い捨てず、連続使用が可能な容器である。図2に示すように、本実施形態において、インクタンク151は、一側面(図2の右側の面)が配管ボックス部18Rに固定されている。インクタンク151は、工具なしでは配管ボックス部18Rから着脱不可能なように取り付けられている。これにより、インクタンク151とインク流路40との接続不良が生じにくくなっている。また、インク59の補充中にも印刷を継続することができる。インクタンク151は、配管ボックス部18Rに支持されている。インクタンク151は、キャリッジ30に搭載されておらず、左右方向には移動しない。図4に示すように、インクタンク151は、インクヘッド20の下面20aよりも下方に配置されている。上下方向において、インクタンク151の上端とインクヘッド20の下面20aとの間隔は、概ね50~200mm、例えば100~150mmでありうる。
インクタンク151は、扁平な箱型形状である。図7に示すように、インクタンク151は、平面視において矩形状である。ただし、インクタンク151は、平面視において、例えば楕円形状、円形状等であってもよい。インクタンク151は、一対の短辺151Nと、一対の長辺151Wと、を備えている。図5に示すように、本実施形態において、インクタンク151の短辺151Nは、左右方向に沿って延びている。短辺151Nは、本体部12およびケーシング19に沿って延びている。長辺151Wは、前後方向に沿って延びている。長辺151Wは、本体部12およびケーシング19と直交するように延びている。インク供給装置70E~70Hは、長辺151W同士が対向するように並設されている。
なお、本明細書において「矩形状」とは、例えば次の(1)~(3)のような形状:(1)長辺151Wと短辺151Nとが曲線を介して互いに接合している形状;(2)長辺151Wおよび短辺151Nの少なくとも一方が直線状ではなく、湾曲したり、凹凸になっていたりする形状;長辺151Wおよび短辺151Nの少なくとも一方が屈曲していて、複数の直線あるいは曲線から構成されている形状;を包含する用語である。
インクタンク151の材質は、従来この種の用途で使用されているものと同じでよく、特に制限はない。インクタンク151は、適度な剛性とガスバリア性と水蒸気バリア性とを有しているとよい。インクタンク151のインク59と接する面は、耐インク腐食性に優れ、インク59を変質させにくい材質からなるとよい。インクタンク151は、例えば、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、シリコン、フッ素系樹脂等の樹脂製である。インクタンク151は、内表面あるいは外表面に、樹脂等で形成されたコーティング層を備えていてもよい。インク59が光硬化性である場合、インクタンク151は、外観が黒色で遮光性を有していてもよい。
図8に示すように、インクタンク151は、上方に向かって開口された上方開口部152Uを有するタンク本体152と、上方開口部152Uを覆う蓋体153と、を備えている。タンク本体152は下部材の一例であり、蓋体153は上部材の一例である。詳しくは後述するが、インクタンク151は、例えば上下方向においてタンク本体152と蓋体153との間に、さらに他の部材を備えていてもよい。タンク本体152および蓋体153は、例えば樹脂材料の射出成型によって形成することができる。本実施形態において、タンク本体152および蓋体153は、それぞれ1つの部材として形成されている。ただし、タンク本体152および/または蓋体153は、複数の部材を組み合わせて接合することにより形成されていてもよい。
タンク本体152は、上方開口部152Uの周縁にフランジ部(縁部)152Eを有している。蓋体153は、外周縁にフランジ部153Eを有している。本実施形態では、タンク本体152のフランジ部152Eと蓋体153のフランジ部153Eとが重ね合わせられ、ボルト等の接合部材159によって接合されている。これにより、フランジ結合部158が形成されている。インクタンク151は、フランジ結合部158によって一体化されている。タンク本体152の上方開口部152Uは、蓋体153によって気密に封止されている。フランジ部152Eは、第1フランジ部の一例であり、フランジ部153Eは第2フランジ部の一例である。
図5に示すように、インク供給装置70E~70Hは、フランジ結合部158が上下方向に互い違いになるように配置されている。言い換えれば、フランジ結合部158が鉛直方向に偏位している。これにより、大容量のインクタンク151を左右方向にコンパクトに収めることができる。本実施形態では、インク供給装置70E、70Gのフランジ結合部158が、インク供給装置70F、70Hのフランジ結合部158よりも上方に配置されている。インク供給装置70E~70Hのうち隣り合う2つのインク供給装置は、フランジ結合部158の少なくとも一部が、所定の重なり幅OLで相互に重なるように配置されている。
図8に示すように、タンク本体152は、下壁152Aと、後壁152Bと、前壁152Cと、を有している。下壁152Aには、上下方向に貫通した下方開口部(図示せず)が形成されている。後壁152Bは、下壁152Aから上方に延びている。前壁152Cは、後壁152Bに対向している。前壁152Cは、下方に行くほど後方に位置するように傾斜している。前壁152Cは、前方から後方に向かって漸次下方に傾斜するスロープ状をなしている。前壁152Cは、インク流出口152Oに向かって傾斜している。図2に示すように、前壁152Cは、本体部12に近づくほど下方に傾斜している。これにより、ユーザがインク59を継ぎ足す時にプリンタ10に近づいても、ユーザの足がインクタンク151にぶつかりにくくなる。前壁152Cは、タンク傾斜面の一例である。
タンク本体152は、中空構造である。タンク本体152には、インク貯留室154が区画されている。インク貯留室154には、空気とインク59との気液界面が存在している。特に限定されるものではないが、インク貯留室154の容積は、典型的にはサプライボトル400(図9参照)の容積よりも大きい。インク貯留室154に収容可能なインク59の容量は、典型的には1L以上、例えば1.5~2Lである。このように、インクタンク151には、例えば消耗品としてのインクカートリッジに比べて、多くのインク59を収容し得る。このため、大型のプリンタ10で一度に大量の印刷を行う場合等にも、印刷の途中でインク59を継ぎ足す回数が少なくて済む。また、夜間等に無人で印刷を継続する場合にも、インク切れが起きにくくなる。インク貯留室154に収容可能なインク59の容量は、サプライボトル400に収容されているインク59の容量の概ね2倍以上、例えば3~5倍であってもよい。
図8に示すように、タンク本体152の後壁152Bには、インク流出管152Fが形成されている。インク流出管152Fは、後壁152Bと直交する方向(図8の前後方向)に延びている。インク流出管152Fの下流端、すなわちインク貯留室154から離れた側の端部は、インク流出口152Oである。インク流出口152Oには、インク流路40の一端、具体的には、第1流路40aの上流端が接続されている。インク貯留室154内のインク59は、インク流出口152Oからインク流路40の第1流路40aに流出し、インクヘッド20に供給される。
蓋体153は、タンク本体152の上方開口部152Uを覆う部材である。図7に示すように、蓋体153は、平面視において矩形状である。蓋体153は、前後方向に延びる板状部153Bを備えている。図2に示すように、蓋体153の少なくとも一部は、本体部12よりも下方に配置されている。蓋体153の少なくとも一部は、送液ポンプ41の上端よりも上方に配置されている。蓋体153は、インクヘッド20の下面20aよりも下方に配置されている。図5に示すように、平面視において、蓋体153の少なくとも一部は、本体部12と重なっている。
蓋体153は、大気連通部153Aを備えている。大気連通部153Aは、インク貯留室154内を大気圧の状態で維持すると共に、インク貯留室154内のインク59の蒸発を抑制する部材である。大気連通部153Aは、インク貯留室154を大気開放している。大気連通部153Aは、大気の流れを蛇行させるラビリンス構造体である。
図2に示すように、前後方向において、大気連通部153Aは、配管ボックス部18Rよりも前方に配置されている。大気連通部153Aは、インク供給装置70Hのインク補充部190よりも本体部12に近い側(図2の右側)に配置されている。大気連通部153Aは、プラテン14の前端14tよりも本体部12に近い側(図2の右側)に配置されている。大気連通部153Aは、送液ポンプ41および脱気装置43よりも前方(図2の左側)に配置されている。大気連通部153Aは、送液ポンプ41の上端よりも上方に配置されている。大気連通部153Aは、本体部12よりも下方に配置されている。大気連通部153Aは、インクヘッド20の下面20aよりも下方に配置されている。上下方向において、大気連通部153Aと本体部12との間には、大気が流通可能な程度の間隔(例えば1cm以上の間隔)が確保されている。図5に示すように、平面視において、大気連通部153Aの少なくとも一部(ここでは全部)は、本体部12と重なっている。
図7に示すように、大気連通部153Aは、蓋体153を上下方向に貫通し、インク貯留室154の内部と外部とを連通する貫通孔153Hと、蓋体153の外表面(図7の上面)に設けられ、貫通孔153Hと大気とを接続する蛇道153Sと、貫通孔153Hおよび蛇道153Sを覆う樹脂フィルム153Mと、を備えている。平面視において、貫通孔153Hは、ケーシング19(例えば本体部12)と重なっているとよい。蛇道153Sは、貫通孔153Hから大気までの流体流路を長くするために、細長く蛇行している。蛇道153Sは、大気連通溝の一例である。樹脂フィルム153Mは、例えば気体の通過を許容する一方、インク59の通過を遮断する微小な孔を有する多孔質膜であってもよい。樹脂フィルム153Mは、例えばポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂製のフィルムであってもよい。
図8に示すように、蓋体153は、さらに蓋体開口部313と、インク流入管153Fと、を備えている。蓋体開口部313は、インクタンク151の上面に設けられている。これにより、インク貯留室154に貯留可能なインク59の容量を増やすことができる。
なお、本明細書において「上面」とは、蓋体153を構成する壁部のうち、鉛直方向において一番高い面(天面)を包含し、鉛直方向の下方を向く全ての面のことをいう。蓋体153の上面は、平面、例えば水平面であってもよく、表面に凹凸が形成されていてもよく、湾曲していてもよく、傾斜していてもよい。
蓋体開口部313は、蓋体153を上下方向に貫通している。蓋体開口部313は、インク補充口の一例である。蓋体開口部313には、後述するインク補充部190の装着機構192(図10も参照)が取り付けられている。図2、図5からわかるように、蓋体開口部313は、標準的なユーザの立位状態における腰の高さから胸の高さの間であり、例えば70~110cm程度の高さに設けられている。これにより、ユーザは腰を曲げて屈んだり、膝を曲げてしゃがんだりすることなく、インク59を補充することができる。したがって、ユーザのインク補充時の作業負荷を軽減することができる。
なお、「標準的なユーザの立位状態における腰の高さ」とは、プリンタ10を操作する標準的な操作者の腰の高さ位置を意味し、例えば、特許第5640373号公報や特許第5942479号公報に記載されている高さと同じである。人間工学的・設計上の観点から一例を挙げれば、日本人の場合には、男性で845.9mm、女性で768.8mmでありうる。また、外国人(例えば米国人)の場合には、男性で934.3mm、女性で829.9mmでありうる(1998年度の成人平均データによる)。
図5に示すように、蓋体開口部313の少なくとも一部は、ケーシング19よりも前方に設けられている。平面視において、蓋体開口部313の少なくとも一部は、ケーシング19と重なっていない。これにより、ユーザは、例えばインクタンク151を移動させることなく、インクタンク151にインク59を継ぎ足すことができる。したがって、プリンタ10を使用している最中(例えば、印刷中)にも、インク59を継ぎ足すことができる。本実施形態では、蓋体開口部313の全体が、ケーシング19よりも前方に設けられている。平面視において、蓋体開口部313の全体が、ケーシング19と重なっていない。図5、図7からわかるように、蓋体開口部313は、インク供給装置70A~70Hの前後方向における中心線CLよりも前方に配置されている。これにより、ユーザのインク補充時の作業性を向上することができる。
図8に示すように、蓋体開口部313は、平面視において、前壁152Cと重なっている。インク補充部190から補充されたインク59は、典型的には前壁152Cを伝ってインク貯留室154内を移動する。前壁152Cは、インク補充部190からインク59を導くガイドとして機能する。これにより、インク貯留室154内のインク59に一方向の流れを生じさせ、インク59を撹拌することができる。また、たとえインク59が勢い良く補充されたとしても、インク59の泡立ちが抑えられる。これにより、インク59に微小な気泡が混ざりにくくなると共に、発生した泡がタンク本体152から溢れだすような事態が生じにくくなる。
インク流入管153Fは、上下方向に沿って延びている。インク流入管153Fの下端は、インク流入口153Iである。インク流入口153Iには、インク流路40の一端、具体的には、インク還流流路の一部である第7流路40gの下流端が接続されている。インク循環流路を流通したインク59は、インク流入口153Iからインク貯留室154に戻される。インク流入口153Iは、インク貯留室154の内部に突出している。インク流入口153Iは、インク流出口152Oよりも上方に設けられている。これにより、インク貯留室154内のインクを撹拌することができ、例えば沈降しがちな顔料等を分散することができる。
インク流入口153Iは、平面視において、前壁152Cと重なっている。インク流入口153Iから流入したインク59は、前壁152Cを伝ってインク貯留室154内を移動する。前壁152Cは、インク流入口153Iからインク59を導くガイドとして機能する。これにより、インク貯留室154内のインク59に一方向の流れを生じさせ、インク59を撹拌することができる。加えて、長期にわたって連続的にインクを循環させても、インク59の泡立ちが抑えられ、インク59に微小な気泡が混ざりにくくなる。また、微小な気泡を含んだインク59がインク流路40に流出しにくくなる。
インク量検出部160は、インク59の水頭圧を利用して、インクタンク151のインク貯留室154内のインク量(典型的には、インク59の残量)を検出する検出機構である。インク59の水頭圧を利用することで、インク貯留室154内のインク量を長期に亘って精度よく検出することができる。インク量検出部160は、感圧膜161と、被検出部材162と、付勢部材163と、センサ部164と、ケーシング165と、を備えている。
ケーシング165は、被検出部材162と、付勢部材163と、センサ部164と、を収容するケースである。特に限定されるものではないが、ケーシング165は、例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス鋼等の金属製、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂製である。インク59が光硬化性である場合、ケーシング165は、外観が黒色で遮光性を有していてもよい。
感圧膜161は、インク貯留室154内のインク59の水頭圧に応じて、撓み変形の度合いが変化する部材である。感圧膜161は、タンク本体152の下壁152Aに取り付けられている。詳しくは、下壁152Aの下方開口部の縁部分に沿って取り付けられている。感圧膜161は、インク貯留室154の下面(ここでは底面)の一部を構成している。感圧膜161の材質は、従来この種の用途で使用されているものと同じでよく、特に制限はない。感圧膜161は、ガス透過性や水蒸気透過性が低い材質で構成されているとよい。感圧膜161のインクと接する面は、耐インク腐食性に優れた材質からなるとよい。感圧膜161は、例えば単層構造あるいは多層構造の樹脂製のフィルムである。本実施形態において、感圧膜161は、可撓性を有する可撓性フィルムである。
感圧膜161は、下方開口部152Dから遠ざかる方向、言い換えれば、インク貯留室154の気液界面から遠ざかる方向(図8の下方)に撓み変形できる程度の張力で取り付けられている。感圧膜161は、インク貯留室154に十分な量のインク59が貯留されているときには、インク59の水頭圧によってインク貯留室154から遠ざかる方向(図8の下方)に変位する。言い換えれば、感圧膜161は、インク貯留室154に貯留されているインク59の水頭圧が高いほど、気液界面から遠ざかる方向に変位する。一方、感圧膜161は、インク貯留室154のインク59が減少したときには、インク貯留室154に近づく方向(図8の上方)に変位する。言い換えれば、感圧膜161は、インク貯留室154に貯留されているインク59の水頭圧が低いほど、気液界面に近づく方向に変位する。
被検出部材162は、感圧膜161が撓み変形することによって、センサ部164で検出される部材である。被検出部材162は、インク貯留室154の外部かつ真下に配置されている。被検出部材162は、インク貯留室154の外部に配置されている。被検出部材162は、ケーシング165の内部に配置されている。被検出部材162は、インク貯留室154に貯留されているインク59と接触しない。被検出部材162は、ケーシング165の長辺151Wに沿って延びている。被検出部材162は、感圧膜161よりも硬質で、かつ感圧膜161の変位を阻害しないような軽量な材質からなるとよい。
図8に示すように、被検出部材162は、ケーシング165の後面に支持されている。被検出部材162は、後端部を支点部(傾動中心)として傾動可能に構成されている。被検出部材162は、感圧膜161の撓み変形の度合いに連動して、インク貯留室154に近づく方向とインク貯留室154から遠ざかる方向と(図8の上下方向)に傾動する。これにより、被検出部材162の位置が変化する(すなわち変位する)。本実施形態において、被検出部材162は、第1遮蔽部P1と、第1遮蔽部P1の上端から上方に延びる第2遮蔽部P2と、第2遮蔽部P2の上端から上方に延びる第3遮蔽部P3と、を備えている。第1遮蔽部P1と第2遮蔽部P2とは、前端の位置が一致している。第2遮蔽部P2と第3遮蔽部P3とは、後端の位置が一致している。
付勢部材163は、感圧膜161に直接的または間接的に接触して、感圧膜161をインク貯留室154に近づける方向(図8の上方)に付勢する部材である。付勢部材163は、一端が被検出部材162の下面に固定され、他端がケーシング165の下面に固定されている。付勢部材163は、インク貯留室154の外部に配置されている。付勢部材163は、ケーシング165の内部に配置されている。付勢部材163は、インク貯留室154に貯留されているインク59と接触しない。付勢部材163は、従来この種の用途で使用されているものと同じでよく、特に制限はない。付勢部材163は、金属製であってもよい。付勢部材163は、弾性体であってもよい。付勢部材163は、本実施形態では円柱状のコイルバネである。付勢部材163は、圧縮された状態に維持されている。本実施形態において、付勢部材163は、被検出部材162を介して、感圧膜161をインク貯留室154に近づける方向に付勢している。
センサ部164は、感圧膜161の位置を検出する部材である。本実施形態において、センサ部164は、被検出部材162の位置を検出することにより、感圧膜161の位置を間接的に検出するように構成されている。センサ部164は、インク貯留室154の外部に配置されている。センサ部164は、ケーシング165の内部に配置されている。センサ部164は、インク貯留室154に貯留されているインク59と接触しない。センサ部164は、制御装置80(図1参照)と電気的に接続されており、制御装置80によって制御される。
本実施形態において、センサ部164は、第1センサS1および第2センサS2を備えている。第1センサS1および第2センサS2は、上下方向の位置が同じになるように、ケーシング165の壁面にそれぞれ固定されている。本実施形態において、第1センサS1および第2センサS2は、非接触式センサの一種である透過型のフォトセンサ(フォトインタラプタ)である。フォトセンサは応答時間が早いため、リアルタイムで精度よく検出を行うことができる。第1センサS1および第2センサS2は、それぞれ、左右方向に延びる光軸に沿って光を照射する発光部(図示せず)と、発光部から照射された光を受ける受光部と、を有している。発光部と受光部とは、遮蔽部162Dを挟みこむように、左右方向に対向配置されている。
インク貯留室154内のインク59が消費され、インク貯留室154内のインク量が減ると、インク貯留室154内のインク59の水頭圧が小さくなる。すると、付勢部材163の付勢力によって、感圧膜161の撓み変形が緩和される。そして、遮蔽部162Dがインク貯留室154に近づく方向(図8の上方)に移動すると、第3遮蔽部P3が第1センサS1の検出位置(発光部と受光部との間)に到達する。その結果、第1センサS1が、第3遮蔽部P3を検出するHIT状態となる。一方、第2センサS2はUNHIT状態となる。
インク貯留室154内のインク59がさらに消費されると、感圧膜161の撓み変形がさらに緩和される。そして、遮蔽部162Dがさらに上方に移動すると、第2遮蔽部P2が第1センサS1および第2センサS2の検出位置(発光部と受光部との間)に到達する。その結果、第1センサS1および第2センサS2が、いずれも第2遮蔽部P2を検出するHIT状態となる。インク貯留室154内のインク59がさらに消費されると、感圧膜161の撓み変形がさらに緩和される。そして、遮蔽部162Dがさらに上方に移動すると、第1遮蔽部P1が第2センサS2の検出位置(発光部と受光部との間)に到達する。その結果、第2センサS2が、第1遮蔽部P1を検出するHIT状態となる。一方、第1センサS1はUNHIT状態となる。
インク補充部190は、蓋体開口部313を介して、インク貯留部150に接続されている。インク補充部190は、インク補充用のサプライボトル400(図9参照)からインク59を継ぎ足し可能なように構成されている。本実施形態において、インク補充部190は、サプライボトル400が着脱可能に構成されている。このため、ユーザが補充用のサプライボトルを手で持ってインクを流し入れる場合と比べて、インク59をこぼして無駄にしたり、プリンタ10の周囲が汚れたりすることが生じにくい。サプライボトル400は、補充用のインク59が収容された補充容器の一例である。サプライボトル400をインク補充部190に装着することにより、サプライボトル400に収容されたインク59がインク貯留部150に移動される。また、サプライボトル400をインク補充部190から取り外すことにより、空になったサプライボトル400を回収することができる。
図9は、サプライボトル400の縦断面図である。図9では、サプライボトル400を、典型的な市場流通時の状態で表している。なお、以下の説明においてサプライボトル400の方向を示す際には、特に断らない限り、サプライボトル400がインク補充部190に装着されるときの方向を使用する。市場流通時のサプライボトル400は、インク補充部190に装着するときの方向とは上下が反転している。しかし、これはサプライボトル400の設置態様等を限定するものではない。サプライボトル400は、インク59が収容される容器本体410と、容器本体410の一端に設けられ、インク補充部190に取り付けられるボトル側接続部420と、容器本体410に取り付けられ、市場流通時にボトル側接続部420を覆うキャップ430と、を有している。
容器本体410は、下方部分が上方部分よりも細くなった略円筒形状を有している。容器本体410は、中空構造である。サプライボトル400の容積は、典型的にはインク貯留室154の容積よりも小さい。特に限定されるものではないが、サプライボトル400に収容されているインク59の容量は、概ね250mL以上、典型的には300~1000mL、例えば500mLでありうる。これにより、インク59の継ぎ足し回数の低減と、インク補充時におけるユーザの作業負荷軽減と、をバランスすることができる。容器本体410は、第1ストレート部411と、テーパ部412と、第2ストレート部413と、突出部414と、前端部415と、を有している。第1ストレート部411は、容器本体410の上方部分を構成している。第1ストレート部411は、上下方向に延びる円筒状に形成されている。第1ストレート部411は、上端を塞ぐ天面を有している。
第1ストレート部411の下方には、テーパ部412が連続している。テーパ部412は、装着機構192へ挿入する方向(ここでは下方)に向かって狭まるように傾斜している。テーパ部412は、下方に向かって狭まるように傾斜している。テーパ部412の外周面は、ここでは円錐面に形成されている。ただし、テーパ部412の形状は円錐面には限定されず、例えば球面の一部のようにR形状に形成されていてもよい。テーパ部412の外周面は、装着機構192によって保持される被保持面412aを形成している。
テーパ部412の下方には、第2ストレート部413が連続している。第2ストレート部413も円筒状に形成されている。第2ストレート部413の直径は、第1ストレート部411の直径よりも小さい。第2ストレート部413の下方には、突出部414が設けられている。突出部414も円筒状に形成されている。突出部414の直径は、第2ストレート部413の直径よりも大きく構成されている。突出部414の下方には前端部415が設けられている。本実施形態では、前端部415は、第2ストレート部413と同じ直径の円筒状に形成されている。突出部414は、サプライボトル400の径方向に関して第2ストレート部413および前端部415よりも突出している。容器本体410は、第2ストレート部413と突出部414との間に形成された第1段差面414aと、突出部414と前端部415との間に形成された第2段差面414bと、を備えている。第1段差面414aは、突出部414の上面を構成し、上方を向いている。第2段差面414bは、突出部414の下面を構成し、下方を向いている。
第1ストレート部411は、サプライボトル400の挿入方向に関して容器本体410全体の半分以上の長さを占めている。そのため、第1段差面414aは、サプライボトル400の挿入方向の中心よりも挿入方向の前方側(図9の下側)に設けられている。詳しくは後述するように、第1段差面414aは、後述するロック機構290(図10参照)が係合する係合部である。ロック機構290は、サプライボトル400の上方への動きを規制する機構である。サプライボトル400は、インク補充部190に装着されると、ロック機構290により、挿入方向の半分よりも下側で保持される。ただし、第1ストレート部411は容器本体410全体の半分以上の長さを占めていなくてもよく、サプライボトル400は、必ずしも挿入方向の半分よりも前方側で保持されなくてもよい。
容器本体410の下端、すなわち前端部415の下端には、ボトル側接続部420が設けられている。ボトル側接続部420は、装着機構192にサプライボトル400が装着されたときに、後述するタンク側接続部300(図10参照)に接続される部位である。ボトル側接続部420は、容器本体410の挿入方向側の端部(下端)に開口したインク注入口421と、インク注入口421に設けられた封止フィルム422と、を有している。インク注入口421の周縁部、ここではインク注入口421の内周面には、タンク側接続部300の受側テーパ面215a1(図10参照)に対応した傾斜を有するボトル側テーパ面421aが形成されている。このボトル側テーパ面421aと装着機構192の受側テーパ面315a1との嵌合により、ボトル側接続部420とタンク側接続部300との間の水平方向の位置が位置合わせされる。
本実施形態では、容器本体410は定型性を有し、インク59の収容量にかかわらず上記した形状を維持するように構成されている。サプライボトル400は、装着機構192に保持され、係合される。また、詳しくは後述するが、サプライボトル400は、装着機構192に設けられた弁体210(図10参照)を押圧する。そのため、サプライボトル400は、パウチのような可撓性を有する態様には構成されず、定型性を有するように構成されている。容器本体410のインクと接する部分、ここでは容器本体410の全体は、インクと化学反応することがないように樹脂によって形成されている。好適には、容器本体410は、インク59に耐性を有しかつ遮光性を有する樹脂、例えば不透明のポリプロピレン(PP)によって形成されているとよい。インク59が光硬化性である場合、光を効果的に遮断できることから、容器本体410の外観は黒色または茶色であるよい。
ボトル側テーパ面421aの上方には、封止フィルム422がインク注入口421を塞ぐように張られている。封止フィルム422は、例えばインク注入口421の周縁に熱溶着されている。封止フィルム422により、サプライボトル400はインク59を収容した状態で密封される。市場流通時において、封止フィルム422は、容器本体410のインク注入口421を気密に封止している。封止フィルム222は、例えばポリプロピレン(PP)やポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂製のフィルムや、アルミ箔等の金属製の箔等によって形成されている。
図6に示すように、インク補充部190は、補充口カバー191と、装着機構192と、を備えている。補充口カバー191は、装着機構192の上方、具体的には後述する挿入部270および開口部163Oの上方を覆っている。補充口カバー191は、装着機構192に埃やごみが混入することを防ぐ部材である。インク59が光硬化性である場合、補充口カバー191は、装着機構192に光が侵入することを防止する部材でもある。ユーザは、インクタンク151のインク59が少なくなったときに、補充口カバー191を開いて装着機構192にサプライボトル400を差し入れ、インク59を継ぎ足す。
図1に示すように、補充口カバー191は、本体部12および操作パネル19Cよりも下方に配置されている。補充口カバー191は、インクヘッド20の下面20aよりも下方に配置されている。上下方向において、補充口カバー191の上端とインクヘッド20の下面20aとの間隔は、概ね50~200mm、例えば100~150mmでありうる。これにより、例えばインクヘッド20をメンテナンス位置に移動してインクヘッド20のメンテナンスを行う際に、インク供給装置70A~70Hを取り外す必要がない。このため、メンテナンス時の作業性を向上することができる。
図2に示すように、補充口カバー191は、プラテン14の前端14tよりも上方に配置されている。補充口カバー191は、ケーシング19よりも前方に設けられている。補充口カバー191は、インク供給装置70A~70Hの前後方向における中心線CLよりも前方に配置されている。補充口カバー191の少なくとも一部(ここでは全部)は、本体部12よりも前方に位置している。
図5に示すように、平面視において、補充口カバー191の少なくとも一部は、ケーシング19と重なっていない。本実施形態では、平面視において、補充口カバー191がケーシング19と一切重なっておらず、完全に露出している。補充口カバー191は、蓋体開口部313の真上に配置されている。補充口カバー191が平面視において露出していることで、インクタンク151を移動させることなくインクタンク151にインク59を継ぎ足すことができる。したがって、プリンタ10を使用している最中(例えば、印刷中)にも、インク59を継ぎ足すことができる。
装着機構192は、ユーザが、サプライボトル400を挿入可能なように構成されている。詳しくは、装着機構192は、サプライボトル400の容器本体410を、封止フィルム422で封止された状態のまま挿入可能なように構成されている。このため、ユーザが封止フィルム422を自ら取り外す場合と比べて、インク59をこぼして無駄にしたり、プリンタ10の周囲を汚したりする事態が生じにくい。特に限定されるものではないが、装着機構192は、例えば、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)、ポリアセタール(POM)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂材料で形成されている。装着機構192のうち、サプライボトル400が接する部分は、摺動性のよい樹脂、例えばPOMで形成されているとよい。装着機構192は、インク供給装置70A~70Hの上側部分に設けられている。装着機構192は、インクタンク151よりも上方に設けられている。サプライボトル400のインク59は、重力の作用により、装着機構192を経由してインクタンク151に移動される。
図10は、図8の装着機構192の付近を拡大した縦断面図である。図10に示すように、装着機構192は、挿入部270と、保持機構280と、タンク側接続部300と、を備えている。挿入部270は、サプライボトル400と最初に当接する部位である。タンク側接続部300は、挿入部270の開口271よりもサプライボトル400の挿入方向に設けられている。タンク側接続部300は、サプライボトル400が接続される部位である。保持機構280は、挿入部270の側方および上方に設けられている。保持機構280は、サプライボトル400をタンク側接続部300と接続された状態で保持する機構である。本実施形態において、保持機構280は、容器本体410の軸線が鉛直方向に沿うようにサプライボトル400を支持する。ただし、保持機構280は、容器本体410の軸線が鉛直方向から傾くようにサプライボトル400を支持してもよい。
図10に示すように、挿入部270は、サプライボトル400が挿入される筒状の部材である。挿入部270は円筒状に形成され、サプライボトル400の突出部214よりもわずかに大きい直径を有している。挿入部270は、上下方向に延びている。挿入部270は、上方に向かって開口する開口271を有しており、上方からサプライボトル400を挿入可能なように構成されている。
保持機構280は、挿入部270よりも上方に配置された入口部281と、挿入部270の側方に設けられたロック機構290と、を備えている。入口部281は、サプライボトル400の被保持面412aに対応するように傾斜した保持面281aを有している。保持面281aは、サプライボトル400の挿入方向の後側(図10の上側)に向かって広がる傾斜を有している。保持面281aは、円錐面に形成されている。保持面281aは、挿入部270の開口271に隣接している。保持面281aは、開口271から上方に向かって広がると共に、上方に向かって開口している。なお、保持面281aは、サプライボトル400の被保持面412aと同じ材料によって形成されている。保持面281aは、樹脂材料によって形成されている。これにより、保持面281aを被保持面412aと硬度が大きく異なる材料(例えば金属材料)で構成する場合に比べて、被保持面412aが摩耗したり破損したりすることを抑制することができる。ただし、保持面281aの材料は、サプライボトル400の被保持面412aと同じでなくてもよい。
ロック機構290は、タンク側接続部300と接続された状態のサプライボトル400が挿入方向と逆方向に動くことを規制する機構である。本実施形態では、ロック機構290が、ストッパ部としての機能も果たしている。すなわち、ロック機構290は、挿入部270にサプライボトル400を差し込んだだけでは、サプライボトル400がタンク側接続部300に接続されないように、サプライボトル400の落下を留めるように構成されている。言い換えれば、ロック機構290は、サプライボトル400が自重だけでタンク側接続部300に接続されることを防止している。
図10に示すように、ロック機構290のストッパ291がサプライボトル400を支持している状態では、サプライボトル400の先端のボトル側接続部420は、タンク側接続部300よりも上方に位置している。ロック機構290は、タンク側接続部300よりもサプライボトル400の挿入方向の後側(図10の上側)に設けられている。なお、ストッパ部としての機能を考慮しなければ、ロック機構290の位置は、タンク側接続部300よりもサプライボトル400の挿入方向の後側には限定されない。
図10に示すように、ロック機構290は、ストッパ291と、第1付勢部材292と、ロック解除スイッチ293と、を備えている。ストッパ291は、挿入部270の内周面273に開口した側孔274に挿通されている。ストッパ291は、略水平方向に延びている。ストッパ291は、挿入部270の径方向に移動可能に構成されている。本実施形態において、ストッパ291は、挿入部270の内周面273よりも径方向の内側に突出し、挿入部270に挿入されたサプライボトル400と当接する位置(以下、ロック位置Prと呼ぶ)と、ロック位置Prよりも挿入部270の径方向の外側であって挿入部270に挿入されたサプライボトル400が側方を通過可能な位置(図13を参照、以下、アンロック位置Puと呼ぶ)と、に移動可能に構成されている。以下では、ストッパ291が挿入部270の内周面273よりも径方向の内側に突出した状態をロック状態、ストッパ291が挿入部270の内周面273よりも径方向の外側に退避した状態をアンロック状態とも呼ぶ。
第1付勢部材292は、ストッパ291がロック位置Prに保持されるようにストッパ291を付勢している。サプライボトル400が装着機構192に装着されていない状態では、ストッパ291はロック位置Prに位置している。なお、アンロック位置Puは、ストッパ291の全部が挿入部270の内周面273よりも径方向の外側に退避した位置であってもよく、挿入部270の内周面273よりも径方向の内側にストッパ291の一部が突出した位置であってもよい。
ストッパ291は、第1付勢部材292の付勢力を受けるバネ受面291aを備えている。バネ受面291aは、上下方向に延びている。第1付勢部材292は、ここではコイルスプリングである。第1付勢部材292は、圧縮された状態で設けられている。ただし、第1付勢部材292はコイルスプリングに限定されるわけではなく、板バネ等であってもよい。第1付勢部材292は、水平方向に延びている。第1付勢部材292は、バネ受面291aとそれに対向するように装着機構192に設けられた鉛直面290aとの間で圧縮されている。そこで、第1付勢部材292は、ストッパ291を挿入部270の径方向内側に向かって押圧している。
ストッパ291の挿入部270内に突出する部分は、ストッパ291がロック状態にあるときにサプライボトル400が挿入部270に挿入されるとサプライボトル400に当接する受力部291bを有している。受力部291bは、サプライボトル400の挿入方向に沿って挿入部270の径方向の外方側から内方側に向かって傾斜した傾斜面291b1を有している。傾斜面291b1は、上方を向いている。挿入部270にサプライボトル400を挿入すると、傾斜面291b1にはサプライボトル400の前端部215の外周部(以下、第1押圧部215aとも呼ぶ)が当接する。サプライボトル400の自重だけではストッパ291はアンロック位置Puまで後退しないため、サプライボトル400を下方に向かって押し込まない限り、サプライボトル400はストッパ291に支持される。第1押圧部215aは、ストッパ291の受力部291bに当接し、受力部291bを下方に向かって押圧するサプライボトル400の押圧部の1つである。
言い換えれば、第1付勢部材292は、受力部291bがサプライボトル400の挿入方向に向かって所定の力を受けるとアンロック状態に移行するようにストッパ291を付勢しており、受力部291bが受ける力が上記所定の力よりも小さい場合には、ストッパ291をアンロック位置Puよりも内側に保持する。上記所定の力は、インク59が収容された状態のサプライボトル400の重さよりも大きい。上記所定の力は、容量の半分以上のインク59が収容されたときのサプライボトル400の重さよりも大きいことが好ましく、容量一杯までインク59が収容されたときのサプライボトル400の重さよりも大きいことがより好ましい。なお、サプライボトル400の重さによりストッパ291は挿入部270の径方向外側に後退するが、それでもアンロック位置Puよりも内側の位置に維持され、第1押圧部415aに当接する。
ロック解除スイッチ293は、棒状に形成され、上下方向に延びている。ロック解除スイッチ293は、サプライボトル400の挿入方向、ここでは下方に押込み可能に構成されている。ロック解除スイッチ293の下面293aは、サプライボトル400の挿入方向に沿って挿入部270の径方向の外方側から内方側に向かって傾斜している。ロック解除スイッチ293の傾斜した下面293aは、ストッパ291に設けられた突起部291cによって下方から支持されている。突起部291cは、左右方向に延びる略円柱状に形成されている。
ロック解除スイッチ293の上面293bは、装着機構192のロック解除スイッチ293付近の部分よりも上方に突出している。ロック解除スイッチ293の上面293bは、ユーザによって押下されることが可能に構成されている。ロック解除スイッチ293は、挿入部270と並んで配置されている。本実施形態では、ロック解除スイッチ293は、挿入部270の前方に並んで配置されている。
図13は、ロック解除スイッチ293が押下された状態を示す縦断面図である。ストッパ291の突起部291cは、ストッパ291がロック位置Prに位置しているときにロック解除スイッチ293を押し込むと、ロック解除スイッチ293の傾斜した下面293aによって挿入部270の径方向の外方側に向かって押される。これにより、ストッパ291が挿入部270の径方向の外方側に後退する。ロック解除スイッチ293が所定の距離以上押し込まれると、ストッパ291はアンロック位置Puまで移動する。
本実施形態では、ロック解除スイッチ293とストッパ291の突起部291cが、第1付勢部材292の付勢力に抗してストッパ291をアンロック位置Puに移動させる解除機構を構成している。解除機構は、ロック解除スイッチ293をサプライボトル400の挿入方向に押す力を、ストッパ291を挿入部270の径方向の外方に移動させる力に変換する。このことにより、解除機構は、ストッパ291をアンロック位置Puに移動させる。本実施形態では、ロック解除スイッチ293の傾斜した下面293aとストッパ291の略円柱状の突起部291cとが、ロック解除スイッチ293をサプライボトル400の挿入方向に押す力を、ストッパ291を挿入部270の径方向の外方に移動させる力に変換する方向転換部を構成している。ただし、解除機構の構成はこのようなものに限定されるわけではない。
本実施形態に係る挿入部270は、挿入部270内に突出した突起275を備えている。突起275は、本実施形態では、挿入部270の上端付近に設けられている。突起275の上下方向の位置は特に限定されないが、本実施形態では、装着機構192に装着された状態のサプライボトル400の突出部214よりも上方である。突起275は、例えば、弾性を有するゴムによって形成されている。突起275は、サプライボトル400を挿入部270へ挿入する時にはサプライボトル400を通過させることが可能であって、かつ、サプライボトル400がタンク側接続部300に接続された状態では、挿入方向視においてサプライボトル400の一部と重なるように構成されている。本実施形態では、突起275は、サプライボトル400がタンク側接続部300に接続された状態では、上方から見てサプライボトル400の突出部214と重なるように構成されている。
突起275の存在にもかかわらず挿入部270にサプライボトル400を挿入する方法は特に限定されないが、例えば、弾性を有する突起275を変形させて挿入部270にサプライボトル400を挿入してもよい。または、サプライボトル400を突起275とは逆側に寄せて挿入部270に挿入することにより突起275を避けてもよい。または、サプライボトル400を傾けて挿入部270に挿入することにより突起275を避けてもよい。また、上記した方法のうちの2つ以上が併用されてもよい。タンク側接続部300に接続された状態からサプライボトル400を真上に移動させると、サプライボトル400の突出部214は突起275に衝突し、突起275からの抵抗を受けることになる。
なお、本実施形態では平面視において突起275と重なるサプライボトル400の部位は突出部214であるが、平面視において突起275と重なるサプライボトル400の部位はどこであってもよい。
タンク側接続部300は、挿入部270の底部272に設けられている。図10に示すように、タンク側接続部300は、インク通路301と、弁体310と、弁体当接部302と、第2付勢部材303と、を備えている。インク通路301は、弁体310より下方であってインク貯留室154よりも上方の空間である。インク通路301はインク貯留室154と連通している。インク通路301は、サプライボトル400が接続される弁体310とインク貯留室154とを接続する。本実施形態において、インク通路301は、インク貯留室154と弁体310との間の空間である。
弁体310は、挿入部270とインク通路301との間に設けられている。弁体310は、サプライボトル400が挿入部270に挿入された場合にサプライボトル400と接続される接続端としての針部311を備えている。弁体310は、サプライボトル400が装着機構192に装着または離脱されるのに対応して、針部311とインク通路301との間を開放または閉鎖する開閉機構の一例である。弁体310は、針部311と、針部311に設けられた流入口312と、蓋体開口部313と、流入口312と蓋体開口部313とを接続する内部流路314と、を備えている。インク59は、弁体310の針部311と内部流路314とを介して挿入部270からインク通路301に移動する。
針部311は、サプライボトル400が装着機構192に装着された状態においてサプライボトル400の封止フィルム222を貫通する尖った先端部311aを備えている。先端部311aは、上方に向かって直径が小さくなる円錐形状を有している。針部311は、封止フィルム222を突き破ることが可能に構成されている。針部311が封止フィルム222を貫通することにより、サプライボトル400の内部と弁体310の内部流路314とが連通する。針部311には、上方に向かって開口する複数の流入口312が形成されている。内部流路314は、流入口312から下方に向かって延びている。内部流路314は、弁体310を上下方向に貫通している。内部流路314の下端には、蓋体開口部313が開口している。
弁体310は、サプライボトル400が挿入部270に挿入された場合にサプライボトル400が挿入される力を受ける当接部315aを備えている。ここでは、サプライボトル400が当接部315aに直接当接する。ただし、サプライボトル400は、他の部材を介して間接的に当接部315aに当接してもよい。当接部315aは、針部311の下端から水平方向に広がる円盤状の受力板315に設けられている。当接部315aは、受力板315の外周縁に形成され、サプライボトル400の挿入方向に対して傾斜している。詳しくは、当接部315aは、サプライボトル400の挿入方向に沿って径方向の内方側から外方側に向かって傾斜した受側テーパ面315a1を備えている。受側テーパ面315a1は、針部311の先端部311aよりも径方向の外方に設けられている。前述したように、受側テーパ面315a1は、サプライボトル400のインク注入口421に形成されたボトル側テーパ面421aに嵌合するように構成されている。弁体310は、サプライボトル400が挿入部270に押し込まれることにより、ボトル側テーパ面421aが受側テーパ面315a1を押下すると、下方に移動する。弁体310は、サプライボトル400の挿入部270への挿入方向およびその逆方向に移動可能に構成されている。
なお、本実施形態では、受側テーパ面315a1およびサプライボトル400のボトル側テーパ面421aは、サプライボトル400の挿入方向に沿って径方向の内方側から外方側に向かって傾斜していたが、サプライボトル400の挿入方向に沿って径方向の外方側から内方側に向かって傾斜していてもよい。受側テーパ面315a1およびサプライボトル400のボトル側テーパ面421aは、サプライボトル400の挿入方向に対して互いに対応するように傾斜していればよく、その向きや角度は限定されない。
弁体310の下端には蓋部316が設けられている。図12は、サプライボトル400にストッパ291が係合した状態を示す縦断面図である。サプライボトル400のストッパ291への係合については後述するが、図12に示すように弁体310は、サプライボトル400によって下方に押されると挿入部270に対して下方に移動するように構成されている。蓋部316は、蓋体開口部313と上下方向に離間している。針部311、内部流路314、および受力板315が形成された弁体310の上部と蓋部316とは、連結部317によって連結されている。連結部317は、上端が弁体310の上部に接続され、下端が蓋部316に接続されている。蓋部316は、円盤状に形成され、連結部317の下端から水平方向に広がっている。
蓋部316の外周縁には、弁体側シール部316aが形成されている。弁体側シール部316aは、サプライボトル400の挿入方向に沿って径方向の内方側から外方側に向かう傾斜を有している。図12に示すように、装着機構192は、弁体側シール部316aと対応する傾斜を有するタンク側シール部302a1を備えている。タンク側シール部302a1は、挿入部270の底部272から下方に向かって延びる円筒状の弁体当接部302に設けられている。詳しくは、タンク側シール部302a1は、弁体当接部302の下端302aの内周縁に形成されている。図10に示すように、サプライボトル400が下方に向かって押されていないとき、弁体側シール部316aとタンク側シール部302a1とは当接している。サプライボトル400が下方に向かって押されていないとき、蓋体開口部313とインク通路301との間は、弁体側シール部316aとタンク側シール部302a1との当接により閉鎖されている。言い換えれば、この状態において、挿入部270とインク通路301との間は、弁体310により閉鎖されている。なお、ここでの閉鎖とは、インクまたは空気が通過できないようにシールすることでもよく、単に空気や光の通過を概ね防止する程度のことであってもよい。
上記から理解されるように、弁体310は、挿入部270とインク通路301との間に設けられており、挿入部270とインク通路301との間を閉鎖する位置(以下、閉鎖位置Pcと呼ぶ、図10参照)と、挿入部270とインク通路301との間を開放する位置(以下、開放位置Poと呼ぶ、図12参照)と、に移動可能に構成されている。図10および図12に示すように、閉鎖位置Pcは、弁体310の可動範囲の最も上方であって、弁体側シール部316aとタンク側シール部302a1とが当接する弁体310の位置である。開放位置Poは閉鎖位置Pcよりも下方であって、弁体側シール部316aとタンク側シール部302a1とが離間する弁体310の位置である。弁体310が開放位置Poに位置しているとき、蓋体開口部313はインク通路301と接続される。それにより、挿入部270とインク通路301との間が開放される。
一方、弁体310が閉鎖位置Pcに位置しているとき、蓋体開口部313はインク通路301と離間している。弁体側シール部316aは、弁体310が閉鎖位置Pcに位置しているときには蓋体開口部313とインク通路301との間に位置する。それにより、弁体側シール部316aは、蓋体開口部313とインク通路301との間を閉鎖する。
第2付勢部材303は、弁体310が閉鎖位置Pcに保持されるように弁体310を付勢している。第2付勢部材303は、ここではコイルスプリングである。ただし、第2付勢部材303はコイルスプリングに限定されるわけではなく、例えば板バネ等でもよい。第2付勢部材303は、弁体310の受力板315の下面315bと、弁体当接部302に設けられたバネ座面302bとの間に圧縮された状態で配置されている。バネ座面302bは、受力板315の下面315bよりも下方に配置され、水平方向に広がっている。弁体310は、上方から押されていない状態では、第2付勢部材303の付勢力により閉鎖位置Pcに位置付けられている。
第2付勢部材303は、弁体310の当接部315aがサプライボトル400の挿入方向に向かって所定の力以上の力で押されると開放位置Poに移動するように弁体310を付勢している。弁体310は、当接部315aがサプライボトル400の挿入方向に向かって上記所定の力以上の力で押されると開放位置Poに移動する。そこで、サプライボトル400が装着機構192に装着されると、インク貯留室154とサプライボトル400の内部とが連通する。
図10に示すように、バネ座面302bには、上下方向に貫通するバイパス通路304が設けられている。バイパス通路304は、挿入部270とインク通路301とを接続する。バイパス通路304は、弁体310の内部流路314とは別のルートで挿入部270とインク通路301とを接続する通路である。図10に示すように、弁体310は、閉鎖位置Pcにおいてバイパス通路304とインク通路301との間を閉鎖する。一方、弁体310は、開放位置Poにおいてバイパス通路304とインク通路301との間を開放する。これにより、サプライボトル400が装着機構192に装着されていないときにはバイパス通路304も閉鎖される。また、サプライボトル400が装着機構192に装着されるときにはバイパス通路304が開放される。バイパス通路304は、弁体310の流入口312よりも下方に配置されている。
以下では、サプライボトル400を装着機構192に装着し、取り外す手順について説明する。サプライボトル400を装着機構192に装着するために、まずユーザが補充口カバー191を開いて、挿入部270にサプライボトル400を挿入する。詳しくは、ユーザは、サプライボトル400の突出部214と挿入部270の突起275との衝突を回避するようにサプライボトル400を保持しながら、サプライボトル400を挿入部270に挿入する。サプライボトル400が挿入部270に挿入されると、サプライボトル400は図10の状態でいったん保持される。つまり、単にサプライボトル400を挿入部270内に落としただけでは、サプライボトル400は、タンク側接続部300に接続されない。これにより、意図しないサプライボトル400とタンク側接続部300との接続が抑制される。
図11は、弁体310とサプライボトル400のインク注入口421とが当接した状態を示す縦断面図である。図12は、前述したように、サプライボトル400にストッパ291が係合した状態を示す縦断面図である。図10に示す状態からサプライボトル400を下方に向かって押し込むと、サプライボトル400と装着機構192との関係は、図11の状態を経て図12の状態に移行する。図12の状態では、ロック機構290により、サプライボトル400が装着機構192に固定されている。
図10および図11から理解されるように、図10に示された状態からサプライボトル400を下方に向かって押し込むと、ストッパ291の傾斜面291b1がサプライボトル400の第1押圧部215aによって下方に向かって押され、傾斜面291b1の傾斜の効果によってストッパ291が挿入部270の径方向の外方に移動する。それにより、第1押圧部215aは傾斜面291b1よりも下方に移動し、ストッパ291はサプライボトル400の前端部215の側面に当接する。ここにおいて、意図しないサプライボトル400とタンク側接続部300との接続を抑制するストッパ部としてのロック機構290の役割は終了する。サプライボトル400とタンク側接続部300とを接続するためには、サプライボトル400を所定の力以上の力で下方に押し込むことが必要である。
図10の状態からサプライボトル400を下方に少し移動させると、弁体310の針部311の先端部311aがサプライボトル400の封止フィルム222に接触する。さらにサプライボトル400を下方に移動させると、針部311はサプライボトル400の封止フィルム222を突き破る。針部311に形成された流入口312がサプライボトル400の内部まで侵入すると、サプライボトル400の内部に収容されたインク59は流入口312に流入する。この過程で、インク59の一部は流入口312には流入せず、挿入部270の内部にこぼれ落ちる。本実施形態では、針部311がサプライボトル400の封止フィルム222を突き破っているとき、弁体310は第2付勢部材303の付勢により不動である。ただし、第2付勢部材303の付勢力は、針部311がサプライボトル400の封止フィルム222を突き破るときの抵抗よりも小さく設定されていてもよく、従って、このとき弁体310は下方に移動してもよい。言い換えれば、このときサプライボトル400とタンク側接続部300とは連通してもよい。
図10の状態から図11の状態に移行する途中で、ストッパ291の傾斜面291b1は、サプライボトル400の突出部214の下方側の隅(サプライボトル400の挿入方向の前隅)214cに当接し、前隅214cにより下方に押圧される。前隅214cは、ストッパ291の受力部291bに当接し、受力部291bを押圧する第2押圧部である。ストッパ291は、前隅214cによって下方に向かって押され、傾斜面291b1の傾斜の効果によって挿入部270の径方向の外方に移動する。これにより、前隅214cは傾斜面291b1よりも下方に移動し、ストッパ291はサプライボトル400の突出部214の側面に当接する。
図11に示すように、ストッパ291がサプライボトル400の突出部214の側面に当接している間に、サプライボトル400のボトル側テーパ面421aは、弁体310の受側テーパ面315a1と当接する。これにより、サプライボトル400を下方に押し込む力が弁体310に直接伝達されるようになる。サプライボトル400を第2付勢部材303の付勢力よりも大きい力で押し込むと、弁体310は下方に移動する。これにより、弁体310は、例えば図12に示すように、閉鎖位置Pcから開放位置Poに移動する。その結果、サプライボトル400の内部とインク通路301とが連通する。これにより、サプライボトル400の内部のインク59がインク通路301に移動する。
また、サプライボトル400のボトル側テーパ面421aと装着機構192の受側テーパ面315a1とが当接することにより、サプライボトル400の内部と挿入部270との間が閉鎖される。図10の状態と図11の状態との間においてはインク59の一部が挿入部270にこぼれ落ちていたが、これにより、挿入部270へのインク59の流入が止まる。
図12に示すように、弁体310が開放位置Poに移動すると、バイパス通路304とインク通路301との間も連通する。そこで、挿入部270とインク貯留室154とは、バイパス通路304およびインク通路301を介して連通する。その結果、図10の状態と図11の状態との間において挿入部270に流入したインク59は、バイパス通路304およびインク通路301を通って、インクタンク151のインク貯留室154に流入する。これにより、インクタンク151にインク59が補充される。
図11の状態からさらにサプライボトル400を下方に押し込むと、サプライボトル400は図12に示すロック状態に移行する。図12に示すように、ロック状態では、突出部214はストッパ291よりもサプライボトル400の挿入方向の前方に位置している。ロック状態では、ストッパ291は、突出部214と第2ストレート部213との間に形成された第1段差面214aに当接している。第2ストレート部213は、サプライボトル400の挿入方向の後側において突出部214と隣接し、突出部214よりも径方向の大きさが小さく構成されている。そのため、突出部214と第2ストレート部213との間には、上方を向いた第1段差面214aが形成されている。ロック状態では、ストッパ291は、係合部としての第1段差面214aに当接することによりサプライボトル400が挿入方向の逆方向に移動することを規制する。
タンク側接続部300は、サプライボトル400と当接する接続端としての針部311と、針部311をサプライボトル400の挿入方向の逆方向に付勢する第2付勢部材303と、を備えている。ロック機構290のストッパ291は、サプライボトル400が針部311に当接している状態では、第1付勢部材292の付勢によって挿入部270の内周面273よりも内側に突出すると共に、サプライボトル400に設けられた係合部としての第1段差面214aに係合し、サプライボトル400が挿入方向の逆方向に移動することを規制する。ストッパ291がサプライボトル400の挿入方向の逆方向への移動を規制し、第2付勢部材303がサプライボトル400を挿入方向の逆方向に付勢することにより、サプライボトル400の一部は、ストッパ291と弁体310とによって上下から挟まれる。これにより、サプライボトル400が装着機構192に固定される。
なお、このとき、保持機構280の一部としての保持面281aは、サプライボトル400のテーパ部212に形成された被保持面412aを保持している。サプライボトル400の挿入方向に対して傾斜した保持面281aと被保持面412aとの当接により、サプライボトル400が回転しようとする力が受けられ、サプライボトル400の固定状態が安定する。ストッパ291は、本実施形態では、サプライボトル400の前方側にだけ設けられている。そのため、第2付勢部材303の付勢力により、サプライボトル400は、ストッパ291と当接している部位を軸に第2付勢部材303の付勢方向に回転しようとする。保持面281aと被保持面412aは、この回転力を受け止めている。ただし、上記回転力の一部は、保持機構280の入口部281の鉛直面によっても受け止められていてもよい。これにより、サプライボトル400を挿入方向に関して安定的に支持することができる。
図2に示すように、サプライボトル400が保持機構280に保持された状態において、サプライボトル400の一部は、装着機構192の外側に位置している。詳しくは、サプライボトル400が保持機構280に保持された状態において、サプライボトル400の上下方向の半分以上の部分、例えば第1ストレート部411のほとんどは、装着機構192よりも外側に突出している。これにより、ユーザは、サプライボトル400の装着機構192よりも外側に突出した部分(ここでは、第1ストレート部411)を把持して、サプライボトル400を容易に着脱することができる。ただし、サプライボトル400は、保持機構280に保持された状態において、全部が装着機構192の内部に収容されてもよい。
装着機構192は、サプライボトル400が装着されたことを確認するためのセンサ等を備えていてもよい。プリンタ10は、例えば、サプライボトル400が装着確認後、所定の時間が経過すると、サプライボトル400を取り外すことを促す表示を表示するように構成されていてもよい。上記所定の時間は、サプライボトル400内のインク59が全てインクタンク151に移動するのに要する時間以上の時間である。サプライボトル400内のインク59が全てインクタンク151に移動するのに要する時間は予め測定されている。
サプライボトル400を装着機構192から取り外す際には、ロック解除スイッチ293が押下される。図13に示すように、ロック解除スイッチ293が押下されると、ストッパ291の突起部291cは、ロック解除スイッチ293の傾斜した下面293aによって挿入部270の径方向の外方側に向かって押される。これにより、ストッパ291が挿入部270の径方向の外方側に後退する。ロック解除スイッチ293が所定の距離以上押し込まれると、ストッパ291はアンロック位置Puまで移動する。これにより、サプライボトル400の固定が解除される。かかるロック解除機構の構成によれば、ロック解除スイッチ293を押下するという簡単な操作によってサプライボトル400の固定を解除することができる。
ロック解除スイッチ293は、本実施形態では、挿入部270と並んで配置され、サプライボトル400の挿入方向に押込み可能に構成されている。そしてロック解除は、ロック解除スイッチ293を押下することにより行われる。そのため、ユーザにとって、ロックの解除方法が感覚的に分かりやすい。
ロックが解除されたとき、サプライボトル400は、弁体310を介して第2付勢部材303の付勢力を受けている。そのため、ロックが解除されると、サプライボトル400は第2付勢部材303の付勢力を受け、挿入方向の逆方向に向かって移動される。挿入部270の突起275は、このサプライボトル400の移動を制限するために設けられている。突起275が設けられていなければ、ロックが解除されたとき、サプライボトル400が移動する速度が速すぎ、例えば、サプライボトル400に残ったインク59が飛散したり、サプライボトル400が飛翔してしまったりするおそれがある。突起275は、そのような問題を回避するために設けられている。突起275は、サプライボトル400がタンク側接続部300に接続された状態では、上方から見てサプライボトル400の突出部214と重なるように構成されている。そこで、タンク側接続部300に接続された状態からサプライボトル400のロックを解除すると、サプライボトル400の突出部214は突起275に衝突する。それによりサプライボトル400は突起275からの抵抗を受ける。その結果、サプライボトル400が装着機構192から離脱する速度が低減される。
サプライボトル400と装着機構192との接続が解除されると、弁体310は再び閉鎖位置Pcに移動する。これにより、インクタンク151との連通が解除される。インク59が光硬化性である場合、光が照射されない状態で保管されることが好ましい。また、乾燥を防ぐため、インク59は、外気と触れない状態で保管されることがなお好ましい。本実施形態に係るプリンタ10は、サプライボトル400が装着機構192に装着されているとき以外は、弁体310がインク通路301と挿入部270との間を閉鎖するように構成されている。そのため、インクタンク151に収容されたインク59に光が照射されること、および外気に触れることを抑制できる。
図14は、インク供給装置70G、70Hに、それぞれサプライボトル400a、400bを装着した状態の右側部19Rの正面図である。図15は、インク供給装置70G、70Hに、それぞれサプライボトル400a、400bを装着した状態のプリンタ10の右側面図である。図14、図15に示すように、プリンタ10は、複数のインク供給装置70G、70Hに対して、複数のサプライボトル400a、400bから同時にインク59を継ぎ足し可能なように構成されている。サプライボトル400a、400bは、サプライボトル400と同形状であり、相互に異なる色材を含んだインク59を収容している。
図14、図15に示すように、サプライボトル400a、400bは、プリンタ10に装着されたとき、軸線が鉛直方向に沿うように上下方向に沿って延びている。サプライボトル400の上端は、操作パネル19Cよりも下方に位置している。これにより、ユーザは、インク59を継ぎ足している間にも、表示部19Dを確認したり、操作パネル19Cに情報を入力したりすることができる。図14に示すように、隣り合うサプライボトル400a、400bの間には、標準的なユーザの手指が入るように間隔DLが確保されている。間隔DLは、典型的にはサプライボトル400a、400bの直径以下であり、概ね20mm以上、例えば20~50mmであってもよい。これにより、ユーザは、隣り合うインク供給装置70G、70Hで同時にインク59が少なくなった場合に、サプライボトル400a、400bから同時にインク59を継ぎ足すことができる。
制御装置80は、フィードモータ(図示せず)と、キャリッジ30のキャリッジモータ16aと、インクヘッド20の圧電素子と、送液ポンプ41のモータ42と、脱気装置43の真空ポンプ44と、圧力調整弁46と、インク量検出部160のセンサ部164と、に通信可能に接続されており、これらの動作を制御する。制御装置80のハードウェア構成は、特に限定されない。制御装置80は、例えば、印刷用データ等を受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(CPU:central processing unit)と、CPUが実行するプログラム等を格納したROM(read only memory)と、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAM(random access memory)と、を備えていてもよい。
図1に示すように、制御装置80は、印刷制御部81と、判定部82と、通知部83と、を備えている。制御装置80の各部は、ソフトウェアによって構成されていてもよいし、ハードウェアによって構成されていてもよい。制御装置80の各部は、1つまたは複数のプロセッサによって実現されるものであってもよいし、回路に組み込まれるものであってもよい。
印刷制御部81は、印刷データに基づいて印刷動作を実行する制御部である。印刷制御部81は、フィードモータを制御することで、記録媒体5を前後方向(副走査方向)に搬送する。印刷制御部81は、キャリッジモータ16aを制御することで、キャリッジ30およびインクヘッド20の左右方向(主走査方向)への移動を制御する。印刷制御部81は、インクヘッド20の圧電素子を制御することで、ノズル21からのインク59の吐出を制御する。印刷制御部81は、送液ポンプ41のモータ42を制御することで、インク流路40へのインク59の流通と停止、および送液量を調整する。印刷制御部81は、脱気装置43の真空ポンプ44を制御することで、インク59を脱気する。印刷制御部81は、圧力調整弁46の開閉を制御することで、第6流路40fと第7流路40gとの連通状態を切り換えると共に、インクヘッド20およびインク流路40の圧力を調整する。
判定部82は、インク量検出部160のセンサ部164との通信結果に基づいて、インクタンク151内のインク量を判定する制御部である。判定部82は、第1センサS1の発光部および第2センサS2の発光部を制御して、光を照射する。判定部82には、第1センサS1の発光部および第2センサS2の受光部から受光量が入力される。判定部82は、第1センサS1、第2センサS2のそれぞれについて、受光量が予め定められた基準値以下に変化した場合に、センサがUNHIT状態からHIT状態に切り替わったことを検出する。基準値は、予め判定部82に記憶されている。
通知部83は、判定部82の判定結果をユーザに通知する制御部である。ユーザへの通知方法は特に限定されない。通知部83は、例えば、プリンタ10の表示部19Dに文字やイラスト等でインクエンド状態であることを表示して、視覚的にユーザに対する通知を行ってもよい。通知部83は、例えば、ブザーやアナウンス等の音声で通知を行ってもよい。通知部83は、ユーザにインク59の補充を促す警告等を行ってもよい。
以上のように、プリンタ10では、従来デッドスペースとなっていた空間、例えば本体部12の下側の空間や、配管ボックス部18L、18Rの前方かつプラテン14の側方の空間の少なくとも一部を有効活用して、複数のインク供給装置70A~70Hが配置されている。このため、プリンタ10の省スペース化を図りつつ、大容量のインクタンク151の設置スペースを確保することができる。その結果、プリンタ10のデッドスペースを減らして、プリンタ10の設置面積を小さくすると共に、インクタンク151の大容量化を実現することができる。
また、プリンタ10では、平面視において、蓋体開口部(インク補充口)313の少なくとも一部(例えば全部)が、ケーシング(カバー体)19から露出している。具体的には、本体部12から露出している。これにより、ユーザは、例えばインクタンク151をプリンタ10から取り外したり前方に引き出したりすることなく、インクタンク151にインク59を継ぎ足すことができる。したがって、プリンタ10を使用している最中(例えば、印刷中)であっても、インク59を継ぎ足すことができる。
本実施形態のプリンタ10では、蓋体開口部(インク補充口)313は、インクタンク151の上面に設けられている。これにより、インク貯留室154に貯留可能なインク59の容量を増やすことができ、インクタンク151の大容量化を好適に実現することができる。
本実施形態のプリンタ10では、平面視において、インクタンク151の少なくとも一部は、ケーシング(カバー体)19よりも前方に位置している。具体的には、本体部12よりも前方に位置している。これにより、ユーザは、プリンタ10の前方から、例えば表示部19Dや印刷の進行状況を確認しながら、インク59を継ぎ足すことができる。
本実施形態のプリンタ10では、平面視において、蓋体開口部(インク補充口)313の全体は、ケーシング(カバー体)19と重ならないように設けられている。具体的には、本体部12と重ならないように設けられている。これにより、ユーザのインク補充時の作業性を向上することができる。
本実施形態のプリンタ10では、蓋体開口部(インク補充口)313は、インクタンク151の前後方向における中心線CLよりも前方に設けられている。これにより、ユーザのインク補充時の作業性を向上することができる。
本実施形態のプリンタ10では、蓋体開口部(インク補充口)313は、ユーザの立位状態での腰の高さ以上の位置に設けられている。ユーザは腰を曲げて屈んだり、膝を曲げてしゃがんだりすることなく、インク59を補充することができる。したがって、ユーザのインク補充時の作業負荷を軽減することができる。
本実施形態のプリンタ10では、記録媒体を支持するプラテン14と、一端がインクタンク151に接続され他端がインクヘッド20に接続されたインク流路40と、をさらに備える。ケーシング(カバー体)19は、少なくとも一部がプラテン14の側方に配置され、インク流路40を構成する構成部品の少なくとも一部(例えば、送液ポンプ41、モータ42、脱気装置43、真空ポンプ44のうちの1つまたは2つ以上)を収容する配管ボックス部18L、18Rを備える。これにより、プリンタ10のデッドスペースをさらに削減して、プリンタ10の設置面積をより小さくすることができる。
本実施形態のプリンタ10では、インクタンク151は、配管ボックス部18L、18Rに固定されている。これにより、例えばインクタンク151自体が着脱式あるいは移動式である場合に比べて、インクタンク151とインク流路40との接続不良が生じにくい。このため、安定してインクヘッド20にインク59を供給することができる。
本実施形態のプリンタ10では、ケーシング(カバー体)19がプラテン14の左側方から右側方まで延びている。具体的には、本体部12がプラテン14の左側方から右側方まで延びている。プラテン14の左側方および右側方には、それぞれインクタンク151が設けられている。これにより、プリンタ10のデッドスペースを有効に活用して、大容量のインクタンク151をプリンタ10にバランスよく配置することができる。
本実施形態のプリンタ10では、インク流路40を構成する構成部品の一部(例えば、圧力調整弁46)は、配管ボックス部18L、18Rよりも前方であって、かつ鉛直方向におけるケーシング(カバー体)19とインクタンク151との間に設けられている。具体的には、本体部12とインクタンク151との間に設けられている。これにより、プリンタ10のデッドスペースを有効に活用することができる。
本実施形態のプリンタ10では、インク流路40は、インクを脱気する脱気装置43を備え、脱気装置43の少なくとも一部が、配管ボックス部18L、18Rの内部に設けられている。これにより、プリンタ10のデッドスペースを有効に活用することができる。脱気装置43は例えば真空ポンプ44を備え、概してサイズが大きくなりがちであるが、上記構成によれば、プリンタ10の設定面積が広がることを抑制することができる。
本実施形態のプリンタ10では、補充用のインク59が収容されたサプライボトル(補充容器)400が着脱可能に挿入される挿入部270と、蓋体開口部(インク補充口)313に連通され、挿入部270に挿入されたサプライボトル(補充容器)400が接続されるタンク側接続部(接続部)300と、サプライボトル(補充容器)400をタンク側接続部(接続部)300と接続された状態で保持する保持機構280と、をさらに備える。これにより、着脱式のサプライボトル(補充容器)400に収容されたインク59を、簡単にインクタンク151に補充することができる。したがって、インク59をこぼして無駄にしたり、プリンタ10の周囲を汚したりすることが抑えられる。
本実施形態のプリンタ10では、タンク側接続部(接続部)300と蓋体開口部(インク補充口)313とを接続するインク通路301と、サプライボトル(補充容器)400の装着または離脱に対応してタンク側接続部(接続部)300とインク通路301との間を開放または閉鎖する弁体(開閉機構)310と、をさらに備える。これにより、サプライボトル(補充容器)400が装着機構192に装着されたときには、サプライボトル(補充容器)400の内部とインクタンク151のインク貯留室154とを連通させると共に、サプライボトル(補充容器)400が装着機構192に装着されていないときはインク貯留室154のインク59に埃やごみが混入したり光が照射されたりすることを抑制することができる。
本実施形態のプリンタ10では、保持機構280は、ケーシング(カバー体)19の前方に配置されている。具体的には、本体部12および配管ボックス部18L、18Rの前方に配置されている。これにより、ユーザのインク補充時の作業性を向上することができる。
本実施形態のプリンタ10では、ケーシング(カバー体)19の前面、具体的には本体部12の前面には、ユーザが印刷に関する情報を入力する操作パネル(入力部)19Cが設けられ、保持機構280は、操作パネル(入力部)19Cの前方に配置されており、保持機構280にサプライボトル(補充容器)400が保持された状態において、サプライボトル(補充容器)400の上端が、操作パネル(入力部)19Cよりも鉛直方向下方に位置するように構成されている。これにより、ユーザは、インク59を継ぎ足している間にも、操作パネル19Cに情報を入力することができる。
本実施形態のプリンタ10では、ケーシング(カバー体)19の前面、具体的には本体部12の前面には、印刷に関する情報が表示される表示部19Dが設けられ、保持機構280は、表示部19Dの前方に配置されており、保持機構280にサプライボトル(補充容器)400が保持された状態において、サプライボトル(補充容器)400の上端が、表示部19Dよりも鉛直方向下方に位置するように構成されている。これにより、ユーザは、インク59を継ぎ足している間にも、表示部19Dを確認することができる。
本実施形態のプリンタ10では、インクタンク151の容積は、サプライボトル(補充容器)400の容積よりも大きい。これにより、大型のプリンタ10で一度に大量の印刷を行う場合等にも、印刷の途中でインク59を継ぎ足す回数が少なくて済む。また、夜間等に無人で印刷を継続する場合にも、インク切れが起きにくくなる。加えて、インク補充時のユーザの作業負荷を軽減することができる。
本実施形態のプリンタ10では、保持機構280が複数であり、複数の保持機構280は、左右方向に並設されており、複数の保持機構280にそれぞれサプライボトル(補充容器)400が保持された状態において、隣り合うサプライボトル(補充容器)400の間には、ユーザの手指が入る間隔DLが確保されるように構成されている。これにより、ユーザは、隣り合うインク供給装置70E~70Hで同時にインク59が少なくなった場合に、複数のサプライボトル400から同時にインク59を継ぎ足すことができる。したがって、インク59を効率的に継ぎ足すことができる。
本実施形態のプリンタ10では、サプライボトル(補充容器)400は、インク59が収容される容器本体410と、容器本体410の一端部に形成されたインク注入口421と、を備え、挿入部270は、上方に向かって開口し、上方からサプライボトル(補充容器)400を挿入するように構成されており、保持機構280は、インク注入口421が鉛直方向下方を向いた状態でサプライボトル(補充容器)400を保持するように構成されている。これにより、サプライボトル(補充容器)400のインク59は、自重によって下方(インク貯留室154の側)に移動する。そのため、サプライボトルからインクタンクにインクを移動させるための装置や機構が不要となる。
本実施形態のプリンタ10では、サプライボトル(補充容器)400は、挿入部270への挿入方向に向かって狭まるように傾斜した被保持面412aを備え、保持機構280は、被保持面412aと対応するように傾斜した保持面281aを備える。これにより、サプライボトル(補充容器)400を挿入方向に関して安定的に支持することができ、挿入方向に交差する方向に関してもサプライボトル(補充容器)400が倒れにくくなる。したがって、ユーザはインク59を継ぎ足している最中に、サプライボトル(補充容器)400から手を放し、別の作業を行うことができる。
本実施形態のプリンタ10では、保持面281aと被保持面412aとが同一の材料、例えば樹脂材料によって構成されている。これにより、例えば保持面281aおよび被保持面412aを硬度の大きく異なる材料(例えば樹脂材料と金属材料)で構成する場合に比べて、保持面281aまたは被保持面412aが、他方によって摩耗することを抑制することができる。また、サプライボトル400を軽量化することができる。
本実施形態のプリンタ10では、挿入部270へのサプライボトル(補充容器)400の挿入方向が鉛直方向であり、保持機構280は、鉛直方向に延在するようにサプライボトル(補充容器)400を保持するように構成されている。これにより、ユーザは、サプライボトル(補充容器)400の保持機構280から上方に突出した部分(例えば、第1ストレート部411)を把持して、サプライボトル400を装着機構192に容易に装着したり、サプライボトル400を装着機構192から容易に離脱させたりすることができる。
本実施形態のプリンタ10では、保持機構280は、タンク側接続部(接続部)300と接続された状態のサプライボトル(補充容器)400が挿入部270への挿入方向の逆方向へ動くことを規制するロック機構290を備える。これにより、サプライボトル(補充容器)400とタンク側接続部300との接続をより安定させることができる。
本実施形態のプリンタ10では、インクタンク151およびサプライボトル(補充容器)400のインクと接する部分は、いずれも樹脂材料によって形成されている。インク59が光硬化性インクであり、かつインクタンク151およびサプライボトル(補充容器)400のインクと接する部分が金属製であると、光硬化性インクと金属とが化学反応することがある。これにより、光硬化性インクが硬化することがある。インクタンク151およびサプライボトル(補充容器)400のインクと接する部分が樹脂製であると、光硬化性のインク59の硬化を抑えることができる。
本実施形態のプリンタ10では、インクタンク151は、上方開口部(開口部)152Uと、上方開口部(開口部)152Uの周囲に設けられたフランジ部152Eと、を有するタンク本体(下部材)152と、タンク本体(下部材)152よりも上方に配置され、上方開口部(開口部)152Uを覆う板状部153Bと、蓋体(板状部)153の周囲に設けられたフランジ部153Eと、を有する蓋体(上部材)と、タンク本体(下部材)152のフランジ部152Eと蓋体(上部材)のフランジ部153Eとを結合するフランジ結合部158と、を備える。これにより、比較的簡便かつ低コストで、大容量のインクタンク151を製造することができる。また、構成をシンプルにでき、組み付けに要する工数を削減することができる。加えて、インク漏れのリスクを低減すると共に、インク量検出部160におけるインク量の検出精度を向上することができる。
本実施形態のプリンタ10では、インクタンク151が複数であり、複数のインクタンク151は、左右方向に並設されており、隣り合うインクタンク151のフランジ結合部158が、鉛直方向に偏位している。これにより、大容量のインクタンク151を左右方向にコンパクトに配置することができる。
本実施形態のプリンタ10では、平面視において、隣り合うインクタンク151のフランジ結合部158が、重なり幅OLで相互に重なっている。これにより、大容量のインクタンク151を左右方向にコンパクトに配置することができる。
本実施形態のプリンタ10では、インクタンク151は、上面に、インクタンク151の内部と大気とを連通する大気連通部153Aを備え、大気連通部153Aの少なくとも一部は、鉛直方向においてケーシング(カバー体)19との間に大気が流通可能な間隔を確保した状態で、ケーシング(カバー体)19の鉛直方向下方(ここでは真下)に配置されている。具体的には、本体部12との間に大気が流通可能な間隔を確保した状態で、配置されている。ユーザが大気連通部153Aの上にうっかり荷物等を置いたりすると、大気連通部153Aが完全に塞がれてしまったり、樹脂フィルム153Mが破損してしまったりするおそれがある。大気連通部153Aの少なくとも一部をケーシング(カバー体)19、具体的には本体部12の鉛直方向下方に配置することで、大気連通部153Aが非意図的に閉塞されることを防止することができる。また、樹脂フィルム153Mの破損を防止することができる。これにより、想定以上のインク59が揮発して、インク59に保証以上の物性変化が生じることを防止することができる。
本実施形態のプリンタ10では、蓋体開口部(インク補充口)313は、インクタンク151の上面に設けられ、平面視において、蓋体開口部(インク補充口)313の少なくとも一部は、ケーシング(カバー体)19と重ならないように配置されている。具体的には、本体部12と重ならないように設けられている。これにより、ユーザは、インクタンク151のインク59が少なくなったときに、プリンタ10の前方側から、インク59を継ぎ足すことができる。
本実施形態のプリンタ10では、複数のインクタンク151は、それぞれ、前方から後方に向かって下方に傾斜するように形成された前壁(タンク傾斜面)152Cを有する。これにより、インク補充部190から補充されたインク59が前壁152Cを伝ってインク貯留室154内を移動しやすくなり、インク59の泡立ちが抑えられる。また、インクタンク151の前壁が垂直であったり、前方に傾斜するように形成されていたりする場合に比べて、ユーザがインク59を継ぎ足す時にプリンタ10に近づいても、ユーザの足がインクタンク151にぶつかりにくくなる。したがって、ユーザのインク補充時の作業性を向上することができる。
本実施形態のプリンタ10では、側面視において、プラテン14の前端14tは、複数のインクタンク151の全ての前端70tよりも前方に位置している。これにより、印刷完了後に、記録媒体5がインク供給装置70A~70Hの前方までプラテン14で案内される。そのため、ユーザはプラテン14の両側面に手を挿入して容易に印刷完了後の記録媒体5を取り上げることができる。
以上、本実施形態に係るプリンタ10について説明した。しかし、本発明に係るインクジェットプリンタは、これに限定されない。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。請求の範囲に記載の技術には、上記に例示した実施形態を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、上記した実施形態の一部を、他の変形態様に置き換えることも可能であり、上記した実施形態に他の変形態様を追加することも可能である。また、上記した実施形態と以下の変形態様とを適宜組み合わせることもできる。また、その技術的特徴が必須なものとして説明されていなければ、適宜削除することも可能である。
例えば上記した実施形態では、左右方向において、ケーシング19の左側部19Lに4つのインク供給装置70A~70Dが一列に並び、ケーシング19の右側部19Rに4つのインク供給装置70E~70Hが一列に並んでいた。しかしこれには限定されない。図16は、インクジェットプリンタ500の右側部を拡大した斜視図である。図17は、インクジェットプリンタ500の右側面図の一部である。図16、図17に示すインクジェットプリンタ500では、ケーシング19の右側部19Rに、4つ以上、具体的には8つのインク供給装置70I~70Pが設けられている。インク供給装置70I~70Pの具体的構成は、上記したインク供給装置70A~70Hと同様であってよい。なお、図16、図17には、8つのインク供給装置70I~70Pに、それぞれサプライボトル400を装着した状態を表している。また、図17では、蓋体153の上部に設けられているインク補充部190および大気連通部153Aが、蓋体カバー153Cで覆われている。
図16に示すように、8つのインク供給装置70I~70Pは、左右方向に沿って二列に並んでいる。8つのインク供給装置70I~70Pは、前後方向に段違いに配置されている。すなわち、インク供給装置70I~70Lは、インク供給装置70M~70Pよりも前方に配置されている。前方側のインク供給装置70I~70Lは、L字状の支持部材18Mを介して、配管ボックス部18Rに支持されている。前方側のインク供給装置70I~70Lは、左右方向に一直線状に並んでいる。前方側のインク供給装置70I~70Lは、上下方向の位置が揃っている。後方側のインク供給装置70M~70Pは配管ボックス部18Rに直接支持されている。後方側のインク供給装置70M~70Pは、左右方向に一直線状に並んでいる。後方側のインク供給装置70M~70Pは、上下方向の位置が揃っている。インク供給装置70I~70Lは、後方側に位置するインクタンクの一例であり、インク供給装置70M~70Pは、前方側に位置する前記インクタンクの一例である。
図17に示すように、上下方向において、前方側のインク供給装置70Lの少なくとも一部は、後方側のインク供給装置70Pよりも下方に配置されている。前後方向において、後方側のインク供給装置70Pのインクタンク151の前壁(タンク傾斜面)152Cの少なくとも一部は、前方側のインク供給装置70Lのインクタンク151と重なっている。すなわち、後方側のインク供給装置70Pのインクタンク151の前壁152Cは、上記したインク供給装置70A~70Hと同様に、前方から後方に向かって漸次下方に傾斜するスロープ状である。このため、前壁152Cの前方かつ下方には、デッドスペースとなっている空間部分がある。後方側のインク供給装置70Pのかかる空間部分を有効活用して、前方側のインク供給装置70Lが入れ込まれている。
以上のような構成により、ケーシング19の右側部19Rに多くの(例えば4つ以上の)インク供給装置を配置する際にも、前後方向の幅をコンパクトに収めることができ、ユーザの邪魔になりにくい。また、前方側のインク供給装置70I~70Lと後方側のインク供給装置70M~70Pとの高さの差が小さいため、8つのインク供給装置70I~70Pをいずれもインク59の継ぎ足しやすい位置に配置することができる。これにより、ユーザのインク補充時の作業性を維持することができる。
また、図17に示すように、上下方向において、前方側のインク供給装置70Lのインク流出管152Fは、後方側の4つのインク供給装置70Pのインク流出管152Fよりも上方に配置されている。言い換えれば、上下方向において、前方側のインク供給装置70Lのインク流出管152Fの位置と、後方側のインク供給装置70Pのインク流出管152Fの位置とがずれている。これにより、前方側のインク供給装置70I~70Lのインク流路40の配管や配線を、配管ボックス部18R側に良好に取り回すことができる。例えば、第1流路40aを支持部材18Mの内部に通し、配管ボックス部18Rの内部まで延ばすことができる。
例えば上記した実施形態では、インク補充部190が装着機構192を備え、サプライボトル400を着脱可能に構成されていた。しかしこれには限定されない。インク補充部190は、上下方向に貫通した貫通孔であり、ユーザがサプライボトル400からインク59を注ぎ入れるように構成されていてもよい。また、インク補充部190は、例えば保持機構280を有しておらず、ユーザがサプライボトル400を手に持った状態のまま保持するように構成されていてもよい。また、インク補充部190は、例えばロック機構290を有しておらず、サプライボトル400が自重だけでインク59の継ぎ足しが開始されるように構成されていてもよい。
例えば上記した実施形態では、インクタンク151が、タンク本体(下部材)152と蓋体(上部材)153とから構成され、タンク本体152の全体が蓋体153の全体よりも上方に位置していた。しかしこれには限定されない。インクタンク151は、例えば、次のいずれか:(1)タンク本体152と蓋体153との間に、インクタンク151の一部を構成する部材を設ける;(2)タンク本体152の上方に、インクタンク151の一部を構成する部材を設ける;(3)蓋体153の下方に、インクタンク151の一部を構成する部材を設ける;(4)タンク本体152の下端部に段差が形成されると共に、蓋体153の上端部に段差が形成され、タンク本体152の下端部の一部が、蓋体153の上端部の一部よりも下方に位置している;ように構成されていてもよい。
例えば上記した実施形態では、平面視において、インク流入口153Iおよび蓋体開口部313が、スロープ状の前壁152Cと重なっていた。しかしこれには限定されない。他の実施形態において、インク流入口153Iおよび/または蓋体開口部313は、前壁152Cと重なっていなくてもよい。
例えば上記した実施形態では、蓋体153に設けられた大気連通部153Aが、貫通孔153Hと、蛇道153Sと、樹脂フィルム153Mと、を備えるラビリンス構造体であった。しかしこれには限定されない。大気連通部153Aは、例えば、メッシュ状の気液分離フィルタや、遠心式分離器、表面張力式分離器、重力式分離器、コアレッサー等の、従来公知の気液分離器で構成されていてもよい。
例えば上記した実施形態では、感圧膜161が、タンク本体152の下壁152Aに配置されていた。しかしこれには限定されない。感圧膜161は、タンク本体152の上下方向に沿って延びる側壁(横壁)の下方部分に配置されていてもよい。この場合、例えば、タンク本体152の側壁に、側方開口部が形成されていて、感圧膜161は、上記側方開口部を塞ぐようにタンク本体152に取り付けられていてもよい。また、付勢部材163は、水平方向に伸縮自在なように、感圧膜161に取り付けられていてもよい。
例えば上記した実施形態では、感圧膜161が可撓性フィルムで構成されていた。しかしこれには限定されない。感圧膜161は、可撓性を有していなくてもよい。感圧膜161は、例えば、ゴム製の部材であってもよい。感圧膜161は、例えば、インク貯留室154に近づく方向およびインク貯留室154から遠ざかる方向に伸縮可能な伸縮部材であってもよい。伸縮部材は、例えば、襞状の断面形状を有し、アコーディオン状に伸縮可能に構成されていてもよい。
例えば上記した実施形態では、付勢部材163がコイルばねであった。しかしこれには限定されない。付勢部材163は、例えば、被検出部材162の下方に配置され、所定の磁極を有する第1の磁性体と、上記第1の磁性体と対向する位置に配置され、上記第1の磁性体と反発する磁極を有する第2の磁性体と、を備え、上記第1の磁性体と上記第2の磁性体の間に作用する反力によって、感圧膜161を付勢するように構成されていてもよい。
例えば上記した実施形態では、センサ部164が第1センサS1および第2センサS2を備えていた。しかしこれには限定されない。センサの個数は、3個以上であってもよい。また、1つのセンサで、複数のインクタンク151の状態を検出可能に構成されていてもよい。また、例えば上記した実施形態では、第1センサS1および第2センサS2がいずれも透過型のフォトセンサであった。しかしこれには限定されない。第1センサS1および第2センサS2は、相互に構成が異なっていてもよい。第1センサS1および/または第2センサS2は、例えば、反射型のフォトセンサであってもよいし、非接触式の位置センサであってもよいし、接触式のスイッチ等であってもよい。
例えば上記した実施形態では、サプライボトル400の挿入部270への挿入方向が、下方であった。しかしこれには限定されない。サプライボトル400の挿入方向は、例えば、水平方向や斜め鉛直方向であってもよい。
例えば上記した実施形態では、インクタンク151およびサプライボトル(補充容器)400が、いずれも樹脂製であった。しかしこれには限定されない。インクタンク151およびサプライボトル400の材質はそれぞれ適宜に選択でき、樹脂には限られない。また、サプライボトル400は、例えばプリンタ10が装着機構192を備えていない場合などには、定型性を有していなくてもよい。補充容器は、例えばインクパウチのような袋状であってもよい。
例えば上記した実施形態では、サプライボトル(補充容器)400の封止フィルム422とキャップ430とが直接対向し、封止フィルム422とキャップ430との間に隙間が空いていた。しかしこれには限定されない。例えば、封止フィルム422とキャップ430とは、他の部材を介して間接的に対向していてもよい。また、封止フィルム422とキャップ430との間には隙間が空いていなくてもよい。
図18は、サプライボトル600の注入口421の付近を示す縦断面図である。図18に示すように、サプライボトル600は、上記したサプライボトル400と同様に、インク注入口421の形成された容器本体410と、インク注入口421を塞ぐように張られた封止フィルム422と、を有している。サプライボトル600は、さらに、容器本体410の前端部415に取り付けられたキャップ630と、キャップ630と封止フィルム422との間に配置された保護部材640と、を有している。キャップ630は、基部631と、基部から立ち上がった立壁部632と、を有している。保護部材640は、損傷しやすい封止フィルム422を保護する部材である。上下方向において、保護部材640は、基部631の内側の面と封止フィルム422との間に配置されている。保護部材640は、基部631と封止フィルム422とに接触している。封止フィルム422は、保護部材640を介してキャップ630に間接的に対向している。
保護部材640は、例えばゴム製である。保護部材640は、例えば環状(例えば円環状)である。保護部材640は、封止フィルム422の熱溶着された溶着部Wに沿って配置されているとよい。保護部材640は、封止フィルム422の溶着部Wの周縁を覆うように配置されているとよい。これにより、保護部材640が、封止フィルム422に対する衝撃を緩和する衝撃緩衝部材として機能しうる。すなわち、市場流通時(例えば輸送時)や使用時等に、サプライボトル600を誤って落としてしまうことがありうる。このとき、上記した実施形態のように封止フィルム422とキャップ630との間に隙間が空いていると、キャップ630の側が地面に激突したときに、収容されているインク59の水激作用によって封止フィルム422が鉛直方向下方に変位し、溶着部Wの周縁に大きな負荷がかかる。これにより、溶着部Wが伸びたり剥離したりして封止フィルム422が破損し、インク59が漏れ出すおそれがある。保護部材640が封止フィルム422の溶着部Wの周縁に配置されていることで、保護部材640で衝撃を吸収することができる。これにより、サプライボトル600を落下させた際に封止フィルム422の溶着部Wが破損しにくくなり、インク59が漏れ出すことを抑制することができる。また、封止フィルム422とキャップ630との間に保護部材640が介在していることで、キャップ630の締結時に、キャップ630が封止フィルム422に強い力で押し付けられることを防止することができる。また、キャップ630にバリ等があっても、バリ等が封止フィルム422に直接接触することが防止できる。
例えば上記した実施形態では、保持機構280が、傾斜した保持面281aとロック機構290とを含んでいた。しかしこれには限定されない。保持機構は、例えば、サプライボトルを把持するような機構でもよい。また、保持機構は、装着機構の一部でなくてもよく、保持機構の一部または全部は装着機構の外側に設けられていてもよい。
例えば上記した実施形態では、保持面281aおよび被保持面412aは円錐面に構成され、側面視において直線の形状を有していたが、これには限定されない。保持面281aおよび被保持面412aは、例えば、側面視において曲線の形状を有していてもよいし、側面視において段差を有していてもよい。
例えば上記した実施形態では、キャリッジ30が左右方向に移動し、記録媒体5が前後方向に移動するように構成されていたが、これには限定されない。キャリッジ30と記録媒体5との移動は相対的なものであり、そのどちらが左右方向または前後方向に移動してもよい。例えば、記録媒体5は移動不能に配置され、キャリッジ30が走査方向および前後方向の両方向に移動可能なように構成されていてもよい。また、キャリッジ30および記録媒体5のいずれもが両方向に移動可能なように構成されていてもよい。また、プリンタ10の構成は特に限定されない。プリンタ10は、例えばフラットベッドタイプのプリンタであってもよい。プリンタ10は、紫外線を照射する照射装置を備えていてもよいし、記録媒体5をカットするカッティングヘッドを備えていてもよい。