近年のスキャナ、プリンタ、カラーコピー機等のデジタル機器の進展により、貴重印刷物の精巧な複製物を容易に作製することが可能となっている。そのため、前述したような複製や偽造を防止するため、プリンタやコピー機では再現不可能な様々な偽造防止技術が必要とされている。
銀行券、株券、債券等の有価証券、各種証明書及び重要書類等の印刷物において、偽造、変造防止策は重要である。したがって、印刷物の印刷面は偽造、変造防止策を施す余地のある、極めて細密な画線によって図柄を構成している。この細密な画線で偽造、変造防止策を施す技術としては、細線を用いた方法、微小文字や特殊形状の網点(以下「特殊形状網点」という。)等の微細構成素子を用いた方法等がある。また、特殊な機能を有するインキを用いた偽造、変造防止策を施す技術としては、ペアインキを用いた条件等色の印刷物等がある。
細線を用いた方法の代表的な技術として、地紋、彩紋模様、レリーフ模様等があり、基本的に一定の画線幅による曲画線の集合によって模様を構成しているものである。これらの模様は印刷物のデザイン等の意匠性を加味し、偽造、変造防止策を施すことができ、模様を複雑にすることによって偽造物における同一の模様を作製しようとするのを困難とし、写真製版装置による抽出又は複写機では再現されにくい色彩を用いたり、複雑な曲画線にして複写機及びスキャナの走査入出力に対するモアレを発生させたりすることで偽造防止策としての役割を高めている。
また、模様類は証券印刷物等のデザインにおいて世界的に広く用いられていると同時に、銀行券、株券、債券等の金銭的価値を有する印刷物の模様として古くから用いられていたことにより、現在でも一般的に高級感を印象付けるデザインとして重要な模様となっている。したがって、銀行券、株券、債券等の有価証券、各種証明書及び重要書類等の印刷物において、細線により構成された図形はデザイン上欠かすことのできない模様となっている。
微細構成素子を用いた方法の代表的な技術として、微細構成素子を微小文字とした方法がある。微小文字における偽造、変造防止策は、模様を細密、かつ、複雑にすることによって偽造物における同一の模様を作製しようとするのを困難とし、写真製版装置による抽出又は複写機では再現されにくい色彩を用いたりすることで偽造防止策として役割を高めている。さらに、印刷面上を数多くの微小文字で構成することによって、偽造、変造防止に有効な地紋模様を形成することができると同時に、印刷物製品に必須とする文章情報を大量に施すことができる。また、一般の人が市場流通過程において拡大鏡等による観察によって、微小文字の文言及び形状が真正なものであるか否かを簡単に識別できる方法であるため、微小文字は証券印刷物等のデザインにおいて世界的に広く用いられていると同時に、銀行券、株券、債券等の金銭的価値を有する印刷物の模様として古くから用いられ、現在でも一般的に高級感を印象付けるデザインとして重要な模様となっており、銀行券、株券、債券等の有価証券、各種証明書及び重要書類等の印刷物において、微小文字はデザイン上欠かすことのできない模様となっている。
また、特殊形状網点の微細構成素子を用いた方法としては、商標、家紋、シンボルマーク、文字等の意匠性を有するスクリーン形状が、関数で得られた図形によって生成することができる特殊形状網点が開示されている(例えば、特許文献1参照)。特殊形状網点の集合は、連続階調画像として、銀行券や有価証券等に適用して偽造防止及び改ざん防止となり、又は意匠性が要望される印刷分野においても、著しくその応用分野を拡大利用することができるものである。また、特殊形状網点は、複写機等で再現不可能であるため、偽造、変造防止に有効な手段である。
ペアインキを用いた条件等色の印刷物としては、機能性を有するインキと、機能性を有するインキと所定の条件で等色の機能性を有さないインキを使用して、基材上に印刷した印刷物を可視反射光下で観察した場合、機能性を有するインキと機能性を有さないインキの色彩が等色に視認され、可視反射光下以外の所定の条件で観察した場合、機能性を有するインキと機能性を有さないインキの色彩等が異なり潜像画像が視認される技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
また、印刷物を可視反射光下で観察した画像と、可視透過光下で観察した場合とで、異なる画像が潜像画像として視認されることで真偽判別が可能な印刷物が開示されている(例えば、特許文献3参照)。この印刷物は、特殊な光源、フィルタ等、特別な道具を用いる必要がなく、市販されている浸透型インキを単に印刷するだけでは形成不能であり、これを形成するに当たっては、浸透成分と色材を適正な配合割合で混ぜ合わせ、可視反射光下では視認可能な色彩を有して観察されるが、可視透過光下では不可視となるか、若しくは視認し難い極めて淡い色彩へと変化する光学特性を有する第2のインキを作製する必要があり、そのためにはインキ製造のための技能と設備が必要であり、容易に偽造することは不可能な印刷物となり得る。
ここで、特許文献1の特殊形状網点印刷物の技術と、特許文献2又は特許文献3等ペアインキを用いた印刷物の技術を組み合わせ、印刷による刷り合せがずれたときの緩和をする真偽判別可能な印刷物を考えてみる。図1(a)に示すように、基材1´上の少なくとも一部に、階調画像2´が形成される。図1(b)に示すように、階調画像2´は、機能性を有するインキで形成された第1の模様3´と、図1(c)に示すように、第1の模様3´の周囲に配置され機能性を有さないインキで形成された第2の模様4´を有し、第1の模様3´と第2の模様4´は、拡散反射光下において等色で印刷される。
図1に示した真偽判別可能な印刷物は、基材1´上の少なくとも一部に、階調画像2´を備え、階調画像2´は、機能性を有するインキで形成された第1の模様3´と、第1の模様3´の周囲に配置され機能性を有さないインキで形成された第2の模様4´を有する構成となっている。階調画像2´は、特殊形状網点で形成された連続階調の「グラデーション」であり、第1の模様3´は、特殊形状網点で形成された連続階調の「グラデーション」から「COPY」の文字の形状で切り抜いた領域から成り、第2の模様4´は、特殊形状網点で形成された連続階調の「グラデーション」から「COPY」の文字の形状を切り抜いた領域から成る。すなわち、第2の模様4´の切り抜いた「COPY」の文字は、第1の模様3´の切り抜いた「COPY」の文字を示し、第1の模様3´と第2の模様4´を刷り合わせると階調画像2´の特殊形状網点で形成された連続階調の「グラデーション」となる。しかし、印刷による刷り合せがずれたとき、第1の模様3´と第2の模様4´の間に隙間ができ、基材1´が視認されたり、第1の模様3´と第2の模様4´が重なり合い、第1の模様3´を潜像画像とした場合、潜像文字の「COPY」が視認されたりする。
図2は、図1に示した従来の真偽判別可能な印刷物の観察条件の一例を示す図である。図2(a)は、可視光下で拡散光での観察状態であり、階調画像2´に対する可視反射光7´と観察者の視点8´が図2(a)に示すような位置関係、いわゆる、可視反射光下での観察において、観察者には、階調画像2´が視認される。これは、可視反射光下での観察において、機能性を有するインキを使用した第1の模様3´は、はっきりと視認される色彩を有した画像を形成し、機能性を有さないインキで形成された第2の模様4´は、機能性を有するインキと等色に視認される色濃度を有する画像を形成させるため、図1(a)に示す階調画像2´が視認される。
また、図2(b)に示すように、階調画像2´に対して、可視反射光7´以外の所定の条件と視認用機器等9´を通した観察者の視点8´が図2(b)に示すような位置関係、いわゆる、可視反射光下での観察において、観察者には、図1(b)に示す第1の模様3´のみが視認され潜像画像となる。これは、可視反射光下での観察において、機能性を有するインキを使用した第1の模様3´は、視認用機器等では、はっきりと視認される画像を形成し、機能性を有さないインキを使用した第2の模様4´は、視認用機器等では、透過し不可視か、ほとんど視認し難い程度で視認されるためである。
図3は、図1(a)に示された階調画像2´の特殊形状網点で形成された連続階調の「グラデーション」を一般的なドット形状で形成された連続階調の「グラデーション」で示した図である。以下の図面においては、一般的なドット形状での説明とする。なお、階調画像2´の形状は、階調画像であれば特に限定されるものではない。
図3に示した真偽判別可能な印刷物は、基材1´上の少なくとも一部に、階調画像2´を備え、階調画像2´は、機能性を有するインキで形成された第1の模様3´と、第1の模様3´の周囲に配置され機能性を有さないインキで形成された第2の模様4´を有する構成となっている。階調画像2´は、一般的なドット形状で形成された連続階調の「グラデーション」であり、第1の模様3´は、一般的なドット形状で形成された連続階調の「グラデーション」から「COPY」の文字の形状で切り抜いた領域から成り、第2の模様4´は、一般的なドット形状で形成された連続階調の「グラデーション」から「COPY」の文字の形状を切り抜いた領域から成る。すなわち、第2の模様4´の切り抜いた「COPY」の文字は、第1の模様3´の切り抜いた「COPY」の文字を示し、第1の模様3´と第2の模様4´を刷り合わせると階調画像2´の一般的なドット形状で形成された連続階調の「グラデーション」となる。しかし、印刷による刷り合せずれが発生したとき、第1の模様3´と第2の模様4´の間に隙間ができ、基材1´が視認されたり、第1の模様3´と第2の模様4´が重なり合い、第1の模様3´を潜像画像とした場合、潜像文字の「COPY」が視認されることになる。
図4は、図3に示した階調画像2´の階調の濃度変化(濃度の高低)をグラフ化したものである。図3(b)の第1の模様3´の一部をグラフ化したものが図4(a)である。また、図3(c)の第2の模様4´の一部をグラフ化したものが図4(b)である。図4(a)に示す第1の模様3´は、網点面積率Yが50%相当で任意の距離Xを成す角度K1´(90度)で形成されている。図4(b)に示す第2の模様4´は、網点面積率Yが50%相当で任意の距離Xを成す角度K2´(90度)で形成されている。図4(a)に示す第1の模様3´と、図4(b)に示す第2の模様4´を刷り合わせると、図4(c1)を示し、図3(a)に示す階調画像2´となる。また、機能性を有するインキで形成された第1の模様3´と、第1の模様3´の周囲に配置され機能性を有さないインキで形成された第2の模様4´は、拡散反射光下において等色のため、潜像画像である第1の模様3´は視認されない。図4(c2)は、第2の模様4´が刷り合せずれにより任意の距離X´右に移動したとき、隙間5´ができ、基材1´が視認されることを示す。図4(c3)は、第2の模様4´が刷り合せずれにより任意の距離X´´左に移動したとき、重なり合い6´ができ階調画像2´の一部の濃度が高くなることを示す。
図5は、図4に示した階調の濃度変化(濃度の高低)をグラフ化したものを一般的なドット形状で形成された連続階調の「グラデーション」で示したものである。図5(a)は、図4(c1)を示し、図3(a)の階調画像2´と同等である。図5(a)に示す第1の模様3´は、白点線「COPY」の文字で示され視認できるが、機能性を有するインキで形成された第1の模様3´と、第1の模様3´の周囲に配置され機能性を有さないインキで形成された第2の模様4´は、拡散反射光下において等色のため、潜像画像である第1の模様3´は視認されない。図5(b)は、図4(c2)を示す。図5(b)に示す第2の模様4´が刷り合せずれにより任意の距離X´右に移動したとき、隙間5´ができ基材1´が視認されてしまうことに加え、潜像画像である第1の模様3´が視認されてしまう。図5(c)は、図4(c3)を示す。図5(c)に示す第2の模様4´が刷り合せずれにより任意の距離X´´左に移動したとき、重なり合い6´ができ階調画像2´の一部の濃度が高くなってしまうことに加え、潜像画像である第1の模様3´が視認されてしまう。すなわち、図4(a)及び図4(b)が示す、網点面積率Yが50%相当で任意の距離Xを成す角度K1´(90度)及び角度K2´(90度)で形成されているように、網点面積率Yの50%相当が任意の距離Xで網点面積率Yが0%になるように形成されると、刷り合せの左右のずれにより潜像画像である第1の模様3´が視認されてしまう。
図6(a)は、図5(a)の階調画像2´と同等である。図6(b)に示す第1の模様3´である「COPY」の文字の一部「O」を拡大し、図5で説明した隙間5´と、重なり合い6´について説明をする。図6(b)に示す第1の模様3´が刷り合せずれにより任意の距離X´´´左下に移動したとき、拡大図に示す隙間5´と重なり合い6´が発生し、隙間5´により基材1´が視認されるのと、重なり合い6´により階調画像2´の一部の濃度が高くなることが同時に発生することになり、潜像画像である第1の模様3´の文字「COPY」が視認される。本来、第1の模様3´と第2の模様4´は等色のため、潜像画像である第1の模様3´は視認されないが、刷り合せずれが起こることで潜像画像が視認されることになる。
図7は、図3に示した階調画像2´において刷り合せずれを解消するための方法(一般的な印刷で行う方法)の一つとして、第1の模様3´にオーバーラップ(拡張画像)を加えての階調の濃度変化をグラフ化したものである。図7(a)は、図4(a)に示す第1の模様3´で形成された、網点面積率Yが50%相当で任意の距離Xを成す角度K1´(90度)にオーバーラップである第1の模様3´´を加えて形成されている。図7(b)に示す第2の模様4´は、網点面積率Yが50%相当で任意の距離Xを成す角度K2´(90度)で形成されている。図7(a)に示す第1の模様3´及び第1の模様3´´と、図7(b)に示す第2の模様4´を刷り合わせると、図7(c1)を示す。図7(c1)が示すように図4(c1)とは異なり、最初から重なり合い6´があり階調画像2´の一部の濃度が高くなっている。それは、図4(c2)で説明した刷り合せずれにより隙間5´をなくすためである。等色により潜像画像である第1の模様3´を視認させないこの技術以外の一般的な印刷では、刷り合せずれにより隙間5´ができ、基材1´(例えば、白い用紙)が視認されるよりは、多少、階調の一部の濃度が高くなる方が目立たないため、オーバーラップ(拡張画像)を行っている。しかし、等色により潜像画像である第1の模様3´を視認させないこの技術においては、刷り合せずれを解消するための方法としては向いていないが、一例として示している。図7(c2)は、第2の模様4´が刷り合せずれにより任意の距離X´右に移動したときでも隙間5´はできず、図7(c1)でできる重なり合い6´よりは少ない重なり合い6´ができる。図7(c3)は、第2の模様4´が刷り合せずれにより任意の距離X´´左に移動したときでも、隙間5´はできず図7(c1)でできる重なり合い6´よりは大きい重なり合い6´ができる。
図8は、図7に示した階調の濃度変化をグラフ化したものを一般的なドット形状で形成された連続階調の「グラデーション」で示す。図8(a)は、図7(c1)を示し、図5(a)とは異なり、最初から重なり合い6´があり階調画像2´の一部の濃度が高くなり、本来、潜像画像である第1の模様3´は視認されないはずが視認されている。それは、図4(c2)で説明した刷り合せずれにより隙間5´をなくすためである。等色により潜像画像である第1の模様3´を視認させないこの技術以外の一般的な印刷では、刷り合せずれにより隙間5´ができ、基材1´(例えば、白い用紙)が視認されるよりは、多少、階調の一部の濃度が高くなる方が目立たないため、オーバーラップを行っている。しかし、等色により潜像画像である第1の模様3´を視認させないこの技術においては、刷り合せずれを解消するための方法としては向いていないが、一例として示している。図8(b)は、図7(c2)を示す。図8(b)に示す第2の模様4´が刷り合せずれにより任意の距離X´右に移動したときでも隙間5´はできず、図7(c1)でできる重なり合い6´よりは少ない重なり合い6´ができ、潜像画像である第1の模様3´が視認されている。図8(c)は、図7(c3)を示す。図8(c)に示す第2の模様4´が刷り合せずれにより任意の距離X´´左に移動したときでも隙間5´はできず、図7(c1)でできる重なり合い6´よりは大きい重なり合い6´ができ、潜像画像である第1の模様3´が視認されている。すなわち、図7(a)が示す、図4(a)に示す第1の模様3´で形成された、網点面積率Yが50%相当で任意の距離Xを成す角度K1´(90度)にオーバーラップである第1の模様3´´を加えて形成され、また、図7(b)が示す、網点面積率Yが50%相当で任意の距離Xを成す角度K2´(90度)で形成されているように、網点面積率Yの50%相当が任意の距離Xで網点面積率Yが0%になるように形成されると、刷り合せの左右のずれにより重なり合い6´の大きさは異なるにしろ、潜像画像である第1の模様3´が視認されてしまう。
図9(a)は、図8(a)の階調画像2´と同等である。図9(b)に示す第1の模様3´である「COPY」の文字の一部「O」を拡大し、図8で説明した重なり合い6´について説明をする。図9(b)に示す第1の模様3´が刷り合せずれにより任意の距離X´´´左下に移動したとき、拡大図に示す重なり合い6´が発生し、重なり合い6´の重なる度合いが異なるにしろ階調画像2´の一部の濃度が高くなることが同時に発生することになり、潜像画像である第1の模様3´の文字「COPY」が視認される。図9(a)が示すように図6(a)とは異なり、最初から重なり合い6´があり階調画像2´の一部の濃度が高くなり、本来、潜像画像である第1の模様3´は視認されないはずが視認されている。それは、図4(c2)で説明した刷り合せずれによる隙間5´をなくすためである。等色により潜像画像である第1の模様3´を視認させないこの技術以外の一般的な印刷では、刷り合せずれにより隙間5´ができ、基材1´(例えば、白い用紙)が視認されるよりは、多少、階調の一部の濃度が高くなる方が目立たないため、オーバーラップを行っている。しかし、等色により潜像画像である第1の模様3´を視認させないこの技術においては、刷り合せずれを解消するための方法としては向いていないが、一例として示している。
本発明の実施するための形態について、図面を参照して説明する。しかしながら、本発明は、以下に述べる実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他の様々な実施の形態が含まれる。
(実施の形態1)
図10(a)に示した真偽判別可能な印刷物は、基材1上の少なくとも一部に、階調画像2を備え、階調画像2は、機能性を有するインキで形成された図10(b)が示す第1の模様3と、第1の模様3の周囲に配置され機能性を有さないインキで形成された図10(c)が示す第2の模様4を有し、第1の模様3と第2の模様4は、拡散反射光下において等色である。
なお、本実施の形態においては、第1の模様3が機能性を有するインキで形成されて成り、第2の模様4が機能性を有さないインキで形成されて成る構成で説明するが、この限りではなく、第1の模様3が機能性を有さないインキで形成されて成り、第2の模様4が機能性を有するインキで形成されて成る構成でも構わない。
階調画像2は、一般的なドット形状で形成された連続階調の「グラデーション」であり、第1の模様3は、一般的なドット形状で形成された連続階調の「グラデーション」から「COPY」の文字の形状で切り抜いた領域から成り、第2の模様4は、一般的なドット形状で形成された連続階調の「グラデーション」から「COPY」の文字の形状を切り抜いた領域から成る。すなわち、第2の模様4の切り抜いた「COPY」の文字は、第1の模様3を切り抜いた「COPY」の文字を示し、第1の模様3と第2の模様4を刷り合わせると階調画像2のドット形状で形成された連続階調の「グラデーション」となる。
第1の模様3は潜像領域3Zaと第1の輪郭領域3Raを有し、第2の模様4は背景領域4Haと第2の輪郭領域4Raを有し、潜像領域3Zaと背景領域4Haは、重複することなく形成されて成る。また、第1の輪郭領域3Raと第2の輪郭領域4Raは、同じ位置に配置されることで輪郭領域が形成されて成り、第1の輪郭領域3Raは、潜像領域3Zaから背景領域4Haに向かって、濃度が徐々に低くなるように濃度変化して成り、第2の輪郭領域4Raは、背景領域4Haから潜像領域3Zaに向かって、濃度変化に対応して、濃度が徐々に低くなる。さらに、潜像領域3Zaと、潜像領域3Zaと隣り合う輪郭領域は、所定範囲内の濃度が等しく、かつ、背景領域4Haと、背景領域4Haと隣り合う輪郭領域は、所定範囲内の濃度が等しい。このような印刷物を所定の条件で観察した場合に、第1の模様3が視認できる。また、階調画像2は、階調画像であれば、一般的なドット形状又は特殊形状網点のドット形状に限るものではない。
図10の本発明の真偽判別可能な印刷物の観察条件の一例を図2(a)に示す。可視反射光下での観察において、観察者には、階調画像2が視認される。これは、可視反射光下での観察において、機能性を有するインキを使用した第1の模様3は、はっきりと視認される色彩を有した画像を形成し、機能性を有さないインキで形成された第2の模様4は、機能性を有するインキと等色に視認される色濃度を有する画像を形成させるため、図10(a)に示す階調画像2が視認される。
また、図2(b)に示すように、可視反射光下での観察において、観察者には、図10(b)に示す第1の模様3のみが視認され、潜像画像となる。これは、可視反射光下での観察において、機能性を有するインキを使用した第1の模様3は、視認用機器等では、はっきりと視認される画像を形成し、機能性を有さないインキを使用した第2の模様4は、視認用機器等では、透過し不可視か、ほとんど視認し難い程度で視認されるためである。
図11に、第1の模様3を形成する第1の輪郭領域3Raを示す。図11(a)は、図10(b)と同等であり、図11(b)は、図11(a)に示す第1の模様3である「COPY」の文字の一部「O」を拡大したものである。第1の輪郭領域3Raについて説明する。図11(b)は、図10で説明したように、第1の輪郭領域3Raは、潜像領域3Zaから背景領域4Haに向かって、濃度が徐々に低くなるように濃度変化して成る。また、第1の輪郭領域3Raは、図11(b1)、(b2)及び(b3)が示すように、網点の変化がシャドウからハイライトのように濃度が徐々に低くなるように濃度変化して成る。さらに、図11(b1)、(b2)及び(b3)は、第1の要素3aが複数配列されて成る。図11(b1)の第1の要素3aは、90%相当の網点面積率を示し、第1の輪郭領域3Raにおいて複数配列されて成り、図11(b2)の第1の要素3aは、50%相当の網点面積率を示し、第1の輪郭領域3Raにおいて複数配列されて成り、図11(b3)の第1の要素3aは、10%相当の網点面積率を示し、第1の輪郭領域3Raにおいて複数配列されて成る。
図12に、第2の模様4を形成する第2の輪郭領域4Raを示す。図12(a)は、図10(c)と同等であり、図12(b)は、図12(a)に示す第2の模様4である「COPY」の文字の一部「O」を拡大したものである。第2の輪郭領域4Raについて説明する。図12(b)は、図10で説明したように、第2の輪郭領域4Raは、背景領域4Haから潜像領域3Zaに向かって、濃度変化に対応して、濃度が徐々に低くなる。また、第2の輪郭領域4Raは、図12(b1)、(b2)及び(b3)が示すように網点の変化がシャドウからハイライトのように濃度が徐々に低くなるように濃度変化して成る。さらに、図12(b1)、(b2)及び(b3)は、第2の要素4aが複数配列されて成る。図12(b1)の第2の要素4aは、90%相当の網点面積率を示し、第2の輪郭領域4Raにおいて複数配列されて成り、図12(b2)の第2の要素4aは、50%相当の網点面積率を示し、第2の輪郭領域4Raにおいて複数配列されて成り、図12(b3)の第2の要素4aは、10%相当の網点面積率を示し、第2の輪郭領域4Raにおいて複数配列されて成る。
図13に、第1の模様3を形成する第1の輪郭領域3Raを示す。図13(a)は、図10(b)と同等であり、図13(b)は、図13(a)に示す第1の模様3である「COPY」の文字の一部「O」を拡大したものである。第1の輪郭領域3Raについて説明する。図13(b)は、図10で説明したように、第1の輪郭領域3Raは、潜像領域3Zaから背景領域4Haに向かって、濃度が徐々に低くなるように濃度変化して成る。また、第1の輪郭領域3Raは、図13(b1)、(b2)及び(b3)が示すように、網点の変化がシャドウからハイライトのように濃度が徐々に低くなるように濃度変化して成る。さらに、図13(b1)、(b2)及び(b3)は、第1の要素3aが複数配列されて成る。図13(b1)の第1の要素3aは、図11(b1)の第1の要素3aの配列とは異なる90%相当の網点面積率を示し、第1の輪郭領域3Raにおいて複数配列されて成り、図13(b2)の第1の要素3aは、図11(b2)の第1の要素3aの配列とは異なる50%相当の網点面積率を示し、第1の輪郭領域3Raにおいて複数配列されて成り、図13(b3)の第1の要素3aは、図11(b3)の第1の要素3aの配列とは異なる10%相当の網点面積率を示し、第1の輪郭領域3Raにおいて複数配列されて成る。
図14に、第2の模様4を形成する第2の輪郭領域4Raを示す。図14(a)は、図10(c)と同等であり、図14(b)は、図14(a)に示す第2の模様4である「COPY」の文字の一部「O」を拡大したものである。第2の輪郭領域4Raについて説明する。図14(b)は、図10で説明したように、第2の輪郭領域4Raは、背景領域4Haから潜像領域3Zaに向かって、濃度変化に対応して、濃度が徐々に低くなる。また、第2の輪郭領域4Raは、図14(b1)、(b2)及び(b3)が示すように、網点の変化がシャドウからハイライトのように濃度が徐々に低くなるように濃度変化して成る。さらに、図14(b1)、(b2)及び(b3)は、第2の要素4aが複数配列されて成る。図14(b1)の第2の要素4aは、図12(b1)の第2の要素4aの配列とは異なる90%相当の網点面積率を示し、第2の輪郭領域4Raにおいて複数配列されて成り、図14(b2)の第2の要素4aは、図12(b2)の第2の要素4aの配列とは異なる50%相当の網点面積率を示し、第2の輪郭領域4Raにおいて複数配列されて成り、図14(b3)の第2の要素4aは、図12(b3)の第2の要素4aの配列とは異なる10%相当の網点面積率を示し、第2の輪郭領域4Raにおいて複数配列されて成る。
図15は、図11から図14までに示した50%相当の網点面積率同士を刷り合わせたときの網点の状態を示す。刷り合せの組合せとしては、図11と図12の刷り合せと、図13と図14の刷り合せと、図11と図14の刷り合せと、図13と図12の刷り合せになる。
図15(a)は、図11(b2)と図12(b2)が示す50%相当の網点面積率を刷り合わせたときの網点の状態を示す。図15(a1)が示す第1の要素3aと図15(a2)が示す第2の要素4aを刷り合わせたとき、重複した図15(a3)になる。
図15(b)は、図13(b2)と図14(b2)が示す50%相当の網点面積率同士を刷り合わせたときの網点の状態を示す。図15(b1)が示す第1の要素3aと図15(b2)が示す第2の要素4aを刷り合わせたとき、重複した図15(b3)になる。
図15(c)は、図11(b2)と図14(b2)が示す50%相当の網点面積率同士を刷り合わせたときの網点の状態を示すが、図15(a)及び(b)で示した刷り合せの形態とは異なり、図15(c1)と図15(c2)を刷り合わせるときは、両方の網点が刷り合わされたとき、50%相当の網点面積率になるように図15(c1)と図15(c2)の網点を調整して、図15(c3)が示す50%相当の網点面積率になるようにする。図15(c1)が示す第1の要素3aと図15(c2)が示す第2の要素4aを刷り合わせたとき、重複することなく図15(c3)になる。
図15(d)は、図13(b2)と図12(b2)が示す50%相当の網点面積率同士を刷り合わせたときの網点の状態を示すが、図15(a)及び(b)で示した刷り合せの形態とは異なり、図15(d1)と図15(d2)を刷り合わせるときは、両方の網点が刷り合わされたとき、50%相当の網点面積率になるように図15(d1)と図15(d2)の網点を調整して、図15(d3)が示す50%相当の網点面積率になるようにする。図15(d1)が示す第1の要素3aと図15(d2)が示す第2の要素4aを刷り合わせたとき、重複することなく図15(d3)になる。
図11から図14までに示した第1の輪郭領域3Raと第2の輪郭領域4Raの90%相当の網点面積率と10%相当の網点面積率においても、図15で説明したことが当てはまる。
図16は、第1の輪郭領域と第2の輪郭領域における潜像画像の鮮明さを示す。図2(b)で説明したように機能性を有するインキを使用した第1の模様3は、視認用機器等では、はっきりと視認される画像を形成する。そのはっきりと視認される潜像画像の鮮明さを示し、潜像画像が少しぼんやりとして不鮮明なものを「軟調」といい、潜像画像がはっきりとして鮮明なものを「硬調」という。例えば、潜像画像が文字の場合、輪郭領域が軟調だと、文字が少しぼんやりとして不鮮明で視認がしづらくなるため、文字がはっきりとして鮮明な輪郭領域を硬調なものにするとよい場合がある。その反面、潜像画像が絵柄などの模様の場合、その模様が、多少不鮮明又は鮮明であっても模様は模様として視認されるため、輪郭領域は軟調でも硬調でもよい場合がある。しかし、模様が細かい場合は、輪郭領域を硬調にした方がよい場合もある。すなわち、潜像画像として視認させたいものによって、輪郭領域を軟調又は硬調の使い分けをする。又は、印刷機による刷り合せずれ精度(ずれの距離が大きいのか、ずれの距離が小さいのか)によって、輪郭領域を軟調又は硬調の使い分けもする。これについては、後ほど詳細に説明をする。
図16(a)に示すものが第1の輪郭領域及び/又は第2の輪郭領域を軟調にした場合である。また、図16(b)に示すものが第1の輪郭領域及び/又は第2の輪郭領域を硬調にした場合である。図16(a)に示す一般的なドット形状で形成された連続階調12の「グラデーション」は、1つの階調10が示す網点面積率Yと任意の距離Xから成る網点面積率Yが0%から100%相当に変調し、任意の距離Xを成す角度K1で形成されている。図16(a)に示す第1の輪郭領域3Rb及び/又は第2の輪郭領域4Rbは、輪郭領域を軟調にする際に使用する。図16(b)に示す一般的なドット形状で形成された連続階調13の「グラデーション」は、1つの階調11が示す網点面積率Yと任意の距離2分の1Xから成る網点面積率Yが0%から100%相当に変調し、任意の距離Xを成す角度K2で形成されている。図16(b)に示す第1の輪郭領域3Rc及び/又は第2の輪郭領域4Rcは、輪郭領域を硬調にする際に使用する。
図16(a)、(b)における軟調又は硬調の違いは、図16(a)に示す1つの階調10が示す網点面積率Yと任意の距離Xからも分かるように、第1の輪郭領域3Rb及び/又は第2の輪郭領域4Rbの任意の距離Xが図16(b)に示す第1の輪郭領域3Rc及び/又は第2の輪郭領域4Rcの任意の距離Xと比較すると任意の距離Xが長いことである。また、図16(b)に示す1つの階調11が示す網点面積率Yと任意の距離2分の1Xからも分かるように、第1の輪郭領域3Rc及び/又は第2の輪郭領域4Rcの任意の距離Xが図16(a)に示す第1の輪郭領域3Rb及び/又は第2の輪郭領域4Rbの任意の距離Xと比較すると任意の距離Xが短いことである。すなわち、軟調とは、第1の輪郭領域及び/又第2の輪郭領域が比較対象と比べたとき、任意の距離Xが長いことである。また、硬調とは、第1の輪郭領域及び/又第2の輪郭領域が比較対象と比べたとき、任意の距離Xが短いことである。さらに、軟調又は硬調における角度Kは、45度を基準角として、角度Kが0度以上45度未満の場合、軟調といい、角度Kが45度以上90度以下の場合、硬調という。
また、輪郭領域の階調画像は、階調画像であれば、一般的なドット形状又は特殊形状網点のドット形状に限るものではない。
図17は、従来の第1の模様3´と本発明の第1の模様3を比較した場合の図柄「オスの円」による構成図を示している。図17(a)は、従来の第1の模様3´の図柄「オスの円」による構成図を示している。図17(a)に示す第1の模様3´の図柄「オスの円」は、網点面積率Yが80%相当で任意の距離Xを成す角度K1´(90度)で形成されている。
図17(b)は、本発明の第1の模様3の図柄「オスの円」による軟調の構成図を示している。図17(b)に示す第1の模様3の図柄「オスの円」は、網点面積率Yが80%相当で任意の距離Xを成す角度K3及び角度K4で形成され、第1の模様3は潜像領域3Zbと、第1の輪郭領域3Rd及び第1の輪郭領域3Reを有している。また、図柄「オスの円」の中心T1からの任意の距離G1を示す輪郭領域が開始する位置S1及び角度K3によって軟調であるか決定され、第1の輪郭領域3Rdは、潜像領域3Zbから背景領域4Hbに向かって、濃度変化に対応して、濃度が徐々に低くなる。さらに、図柄「オスの円」の中心T1からの任意の距離G2を示す輪郭領域が開始する位置S2及び角度K4によって軟調であるか決定され、第1の輪郭領域3Reは、潜像領域3Zbから背景領域4Hbに向かって、濃度変化に対応して、濃度が徐々に低くなる。
しかし、図17(b)に示す第1の輪郭領域3Rd及び第1の輪郭領域3Reは、両方とも軟調を示しているが、片方が軟調でもう一方が硬調であっても構わない。図17(b)が示す交点M1は、第1の輪郭領域3Rdと、図18(b)が示す第2の輪郭領域4Rdとで刷り合わせたときの交点である。また、図17(b)が示す交点M2は、第1の輪郭領域3Reと、図18(b)が示す第2の輪郭領域4Reとで刷り合わせたときの交点である。この交点、交点M1及び交点M2が拡散反射光下において視認される。
図17(c)は、本発明の第1の模様3の図柄「オスの円」による硬調の構成図を示している。図17(c)に示す第1の模様3の図柄「オスの円」は、網点面積率Yが80%相当で任意の距離Xを成す角度K5及び角度K6で形成され、第1の模様3は潜像領域3Zcと、第1の輪郭領域3Rf及び第1の輪郭領域3Rgを有している。また、図柄「オスの円」の中心T1からの任意の距離G3を示す輪郭領域が開始する位置S3及び角度K5によって硬調であるか決定され、第1の輪郭領域3Rfは、潜像領域3Zcから背景領域4Hcに向かって、濃度変化に対応して、濃度が徐々に低くなる。さらに、図柄「オスの円」の中心T1からの任意の距離G4を示す輪郭領域が開始する位置S4及び角度K6によって硬調であるか決定され、第1の輪郭領域3Rgは、潜像領域3Zcから背景領域4Hcに向かって、濃度変化に対応して、濃度が徐々に低くなる。
しかし、図17(c)が示す第1の輪郭領域3Rf及び第1の輪郭領域3Rgは、両方とも硬調を示しているが、一方が硬調でもう一方が軟調であっても構わない。図17(c)が示す交点M1は、第1の輪郭領域3Rfと、図18(c)が示す第2の輪郭領域4Rfとで刷り合わせたときの交点である。また、図17(c)が示す交点M2は、第1の輪郭領域3Rgと、図18(c)が示す第2の輪郭領域4Rgとで刷り合わせたときの交点である。この交点、交点M1及び交点M2が拡散反射光下において視認される。
図17(b)及び(c)が示す白い点線の第1の模様3´は、図17(a)が示す第1の模様3´と同等で、図17(a)が示す図柄「オスの円」を本発明でほぼ同じに視認されるように再現をするには、白い点線の第1の模様3´を輪郭領域のほぼ中心になるように輪郭領域を形成させると、図17(a)が示す図柄「オスの円」を本発明でほぼ同じに視認されるように再現できる。しかし、それはその限りではない。
図18は、従来の第2の模様4´と本発明の第2の模様4を比較した場合の図柄「メスの円」による構成図を示している。図18(a)は、従来の第2の模様4´の図柄「メスの円」による構成図を示している。図18(a)に示す第2の模様4´の図柄「メスの円」は、網点面積率Yが80%相当で任意の距離Xを成す角度K2´(90度)で形成されている。図18(b)は、本発明の第2の模様4の図柄「メスの円」による軟調の構成図を示している。
図18(b)に示す第2の模様4の図柄「メスの円」は、網点面積率Yが80%相当で任意の距離Xを成す角度K7及び角度K8で形成され、第2の模様4は背景領域4Hbと、第2の輪郭領域4Rd及び第2の輪郭領域4Reを有している。また、図柄「メスの円」の中心T2からの任意の距離G5を示す輪郭領域が開始する位置S5及び角度K7によって軟調であるか決定され、第2の輪郭領域4Rdは、背景領域4Hbから潜像領域3Zbに向かって、濃度変化に対応して、濃度が徐々に低くなる。さらに、図柄「メスの円」の中心T2からの任意の距離G6を示す輪郭領域が開始する位置S6及び角度K8によって軟調であるか決定され、第2の輪郭領域4Reは、背景領域4Hbから潜像領域3Zbに向かって、濃度変化に対応して、濃度が徐々に低くなる。
しかし、図18(b)が示す第2の輪郭領域4Rd及び第2の輪郭領域4Reは、両方とも軟調を示しているが、一方が軟調でもう一方が硬調であっても構わない。図18(b)が示す交点M1は、第2の輪郭領域4Rdと、図17(b)が示す第1の輪郭領域3Rdとで刷り合わせたときの交点である。また、図18(b)が示す交点M2は、第2の輪郭領域4Reと、図17(b)が示す第1の輪郭領域3Reとで刷り合わせたときの交点である。この交点、交点M1及び交点M2が拡散反射光下において視認される。
図18(c)は、本発明の第2の模様4の図柄「メスの円」による硬調の構成図を示している。図18(c)に示す第2の模様4の図柄「メスの円」は、網点面積率Yが80%相当で任意の距離Xを成す角度K9及び角度K10で形成され、第2の模様4は背景領域4Hcと、第2の輪郭領域4Rf及び第2の輪郭領域4Rgを有している。また、図柄「メスの円」の中心T2からの任意の距離G7を示す輪郭領域が開始する位置S7及び角度K9によって硬調であるか決定され、第2の輪郭領域4Rfは、背景領域4Hcから潜像領域3Zcに向かって、濃度変化に対応して、濃度が徐々に低くなる。さらに、図柄「メスの円」の中心T2からの任意の距離G8を示す輪郭領域が開始する位置S8及び角度K10によって硬調であるか決定され、第2の輪郭領域4Rgは、背景領域4Hcから潜像領域3Zcに向かって、濃度変化に対応して、濃度が徐々に低くなる。しかし、図18(c)が示す第2の輪郭領域4Rf及び第2の輪郭領域4Rgは、両方とも硬調を示しているが、一方が硬調でもう一方が軟調であっても構わない。図18(c)が示す交点M1は、第2の輪郭領域4Rfと、図17(c)が示す第1の輪郭領域3Rfとで刷り合わせたときの交点である。また、図18(c)が示す交点M2は、第2の輪郭領域4Rgと、図17(c)が示す第1の輪郭領域3Rgとで刷り合わせたときの交点である。この交点、交点M1及び交点M2が拡散反射光下において視認される。
図18(b)及び(c)が示す白い点線の第2の模様4´は、図18(a)が示す第2の模様4´と同等で、図18(a)が示す図柄「メスの円」を本発明でほぼ同じに視認されるように再現をするには、白い点線の第2の模様4´を輪郭領域のほぼ中心になるように輪郭領域を形成させると、図18(a)が示す図柄「メスの円」を本発明でほぼ同じに視認されるように再現できる。しかし、それはその限りではない。
図19は、図17が示す第1の模様と、図18が示す第2の模様を刷り合わせたときの構成図をグラフ化したものである。図17(a)が示す第1の模様3´と、図18(a)が示す第2の模様4´を刷り合わせたときの構成図をグラフ化したものが図19(a)である。図17(b)が示す第1の模様3と、図18(b)が示す第2の模様4を刷り合わせたときの構成図をグラフ化したものが図19(b)である。図17(c)が示す第1の模様3と、図18(c)が示す第2の模様4を刷り合わせたときの構成図をグラフ化したものが図19(c)である。
図19(a)は、従来の第1の模様3´の図柄「オスの円」と、従来の第2の模様4´の図柄「メスの円」を刷り合わせたときの構成図をグラフ化したものを示し、従来の第1の模様3´と、従来の第2の模様4´は、重複することなく形成されて成る。
図19(b)は、第1の模様3の図柄「オスの円」と、第2の模様4の図柄「メスの円」を刷り合わせたときの構成図をグラフ化したものを示し、図17(b)及び図18(b)が示すように第1の模様3は、潜像領域3Zbと第1の輪郭領域3Rd及び第1の輪郭領域3Reを有し、第2の模様4は、背景領域4Hbと第2の輪郭領域4Rd及び第2の輪郭領域4Reを有している。潜像領域3Zbと背景領域4Hbは、重複することなく形成されて成り、第1の輪郭領域3Rdと第2の輪郭領域4Rdは、同じ位置に配置されることで輪郭領域が形成されて成り、第1の輪郭領域3Reと第2の輪郭領域4Reは、同じ位置に配置されることで輪郭領域が形成されて成る。第1の輪郭領域3Rdは、潜像領域3Zbから背景領域4Hbに向かって、濃度が徐々に低くなるように濃度変化して成り、第2の輪郭領域4Rdは、背景領域4Hbから潜像領域3Zbに向かって、濃度変化に対応して、濃度が徐々に低くなり、第1の輪郭領域3Reは、潜像領域3Zbから背景領域4Hbに向かって、濃度が徐々に低くなるように濃度変化して成り、第2の輪郭領域4Reは、背景領域4Hbから潜像領域3Zbに向かって、濃度変化に対応して、濃度が徐々に低くなる。潜像領域3Zbと、潜像領域3Zbと隣り合う輪郭領域は、所定範囲内の濃度が等しく、背景領域4Hbと、背景領域4Hbと隣り合う輪郭領域は、所定範囲内の濃度が等しく、これは、図19(b)が示す交点M1及び交点M2を示している。
図19(c)は、第1の模様3の図柄「オスの円」と、第2の模様4の図柄「メスの円」を刷り合わせたときの構成図をグラフ化したものを示し、図17(c)及び図18(c)が示すように、第1の模様3は潜像領域3Zcと第1の輪郭領域3Rf及び第1の輪郭領域3Rgを有し、第2の模様4は背景領域4Hcと第2の輪郭領域4Rf及び第2の輪郭領域4Rgを有している。潜像領域3Zcと背景領域4Hcは、重複することなく形成されて成り、第1の輪郭領域3Rfと第2の輪郭領域4Rfは、同じ位置に配置されることで輪郭領域が形成されて成り、第1の輪郭領域3Rgと第2の輪郭領域4Rgは、同じ位置に配置されることで輪郭領域が形成されて成る。第1の輪郭領域3Rfは、潜像領域3Zcから背景領域4Hcに向かって、濃度が徐々に低くなるように濃度変化して成り、第2の輪郭領域4Rfは、背景領域4Hcから潜像領域3Zcに向かって、濃度変化に対応して、濃度が徐々に低くなり、第1の輪郭領域3Rgは、潜像領域3Zcから背景領域4Hcに向かって、濃度が徐々に低くなるように濃度変化して成り、第2の輪郭領域4Rgは、背景領域4Hcから潜像領域3Zcに向かって、濃度変化に対応して、濃度が徐々に低くなる。潜像領域3Zcと、潜像領域3Zcと隣り合う輪郭領域は、所定範囲内の濃度が等しく、背景領域4Hcと、背景領域4Hcと隣り合う輪郭領域は、所定範囲内の濃度が等しく、これは、図19(c)が示す交点M1及び交点M2を示している。
図20は、図19に示す刷り合せが合ったものを任意の距離X´右に刷り合せがずれたときをグラフ化したものである。
図20(a)は、第2の模様4´が刷り合せずれにより任意の距離X´右に移動したとき、隙間5´ができ基材1´が視認されることを示し、また、第2の模様4´が刷り合せずれにより任意の距離X´右に移動したとき、重なり合い6´ができ階調画像2´の一部の濃度が高くなることを示す。
図20(b)は、輪郭領域が軟調を示し、第2の模様4が刷り合せずれにより任意の距離X´右に移動したとき、交点M1の濃度が交点M1´のように濃度が高くなる、また、交点M2の濃度が交点M2´のように濃度が低くなる。すなわち、交点Mの濃度の高低差はあるにしろ、従来のように隙間5´や重なり合い6´ができないため潜像画像は視認しづらくなる。さらに、軟調においては、交点Mの高低差は少なくなる。交点M1及び交点M2の濃度の高低については、後ほど詳細に説明をする。
図20(c)は、輪郭領域が硬調を示し、第2の模様4が刷り合せずれにより任意の距離X´右に移動したとき、交点M1の濃度が交点M1´のように濃度が高くなる、また、交点M2の濃度が交点M2´のように濃度が低くなる。すなわち、交点Mの濃度の高低差はあるにしろ、従来のように隙間5´や重なり合い6´ができないため潜像画像は視認しづらくなる。さらに、硬調においては、交点Mの高低差は大きくなる。交点M1及び交点M2の濃度の高低については、後ほど詳細に説明をする。
図21は、図19に示す刷り合せが合ったものを任意の距離X´´左に刷り合せがずれたときをグラフ化したものである。
図21(a)は、第2の模様4´が刷り合せずれにより任意の距離X´´左に移動したとき、隙間5´ができ基材1´が視認されることを示し、また、第2の模様4´が刷り合せずれにより任意の距離X´´左に移動したとき、重なり合い6´ができ階調画像2´の一部の濃度が高くなることを示す。
図21(b)は、輪郭領域が軟調を示し、第2の模様4が刷り合せずれにより任意の距離X´´左に移動したとき、交点M1の濃度が交点M1´のように濃度が低くなる、また、交点M2の濃度が交点M2´のように濃度が高くなる。すなわち、交点Mの濃度の高低差はあるにしろ、従来のように隙間5´や重なり合い6´ができないため潜像画像は視認しづらくなる。さらに、軟調においては、交点Mの高低差は少なくなる。交点M1及び交点M2の濃度の高低については、後ほど詳細に説明をする。
図21(c)は、輪郭領域が硬調を示し、第2の模様4が刷り合せずれにより任意の距離X´´左に移動したとき、交点M1の濃度が交点M1´のように濃度が低くなる、また、交点M2の濃度が交点M2´のように濃度が高くなる。すなわち、交点Mの濃度の高低差はあるにしろ、従来のように隙間5´や重なり合い6´ができないため潜像画像は視認しづらくなる。さらに、硬調においては、交点Mの高低差は大きくなる。交点M1及び交点M2の濃度の高低については、後ほど詳細に説明をする。
図22は、輪郭領域が開始する位置と、軟調及び硬調の違いにおける刷り合せずれによる交点Mの状況を示している。図22(a)と図22(b)は、両方とも軟調を示し、網点面積率Yが70%相当で任意の距離Xを成す角度K11で形成されている。図22(a)が示す輪郭領域が開始する位置S9及びS10は、交点M3の位置を中心に任意の距離、左右対称に離れているが、図22(b)が示す輪郭領域が開始する位置S11及びS12は、交点M4の位置と同じである。
図22(a)と図22(b)が図22(a1)及び図22(b1)のように、刷り合せずれにより任意の距離X´右に移動したとき、交点M5と交点M7の濃度は、交点M3と交点M4よりも濃度が低くなり、この二つは同じ軟調で角度K11も同じなので濃度が低くなる割合も同じである。
また、図22(a)と図22(b)が図22(a2)及び図22(b2)のように、刷り合せずれにより任意の距離X´´左に移動したとき、交点M6の濃度は、交点M3よりも濃度が高くなるが、交点M4の濃度は輪郭領域が開始する位置S11及びS12が同じ位置なので、重なり合い6ができ潜像画像が視認されてしまう。
すなわち、図22(a)と図22(b)が示すように輪郭領域が同じ軟調で角度K11も同じ場合でも、輪郭領域が開始する位置S9及びS10のように離れている場合は、重なり合い6はできず潜像画像は視認されないが、輪郭領域が開始する位置S11及びS12のように同じ場合は、重なり合い6ができ潜像画像が視認されてしまう。しかし、輪郭領域が開始する位置S9及びS10の場合でも、任意の距離X´´左に移動する距離によっては、重なり合い6ができ潜像画像が視認されてしまう場合もある。これは、印刷機による刷り合せずれ精度に合わせて輪郭領域が開始する位置を考慮しなければならない。これは、輪郭領域が硬調の場合でも同じことが言える。
図23は、輪郭領域が開始する位置と、軟調及び硬調の違いにおける刷り合せずれによる交点Mの状況を示している。図23(a)は硬調を示し、網点面積率Yが70%相当で任意の距離Xを成す角度K12で形成され、図23(b)は軟調を示し、網点面積率Yが70%相当で任意の距離Xを成す角度K13で形成されている。図23(a)が示す輪郭領域が開始する位置S13及びS14は、交点M3の位置を中心に任意の距離、左右対称に図22(a)に示す輪郭領域が開始する位置S9及びS10よりも小さく離れている。また、図23(b)が示す輪郭領域が開始する位置S13及びS14は、交点M11の位置を中心に任意の距離、左右対称に図23(a)に示す輪郭領域が開始する位置S13及びS14と同じに離れている。
図23(a)と図23(b)が図23(a1)及び図23(b1)のように、刷り合せずれにより任意の距離X´右に移動したとき、交点M8と交点M12の濃度は、交点M3と交点M11よりも濃度が低くなるが、図23(a1)は硬調のため、図23(b1)の軟調よりも濃度が低くなる割合が大きい。
また、図23(a)と図23(b)が図23(a2)及び図23(b2)のように、刷り合せずれにより任意の距離X´´、左に移動したとき、交点M4で輪郭領域が開始する位置S13及びS14の位置が同じになり網点面積率Yが70%相当で等しくなる。硬調の場合は、軟調と比較すると濃度の高低差は大きくなるが、図23(b2)の場合は、偶然に輪郭領域が開始する位置と、角度Kが成す軟調の具合で濃度の高低の割合が同じになった。
すなわち、図23(a)と図23(b)が示すように、輪郭領域が硬調と軟調の場合は、輪郭領域が硬調の方が軟調に比較すると濃度の高低の割合が大きくなる。また、図23(a2)及び図23(b2)が示すように印刷機による刷り合せずれ精度を考慮し、輪郭領域が開始する位置と、角度Kが成す軟調及び硬調の具合を調整すれば、模様の基本濃度の網点面積率Yが等しくなるようにできる。
図24は、輪郭領域が開始する位置と、軟調及び硬調の違いにおける刷り合せずれによる交点Mの状況を示している。図24(a)は硬調を示し、網点面積率Yが70%相当で任意の距離Xを成す角度K12で形成され、図24(b)は、軟調を示し、網点面積率Yが70%相当で任意の距離Xを成す角度K13で形成されている。図24(a)が示す輪郭領域が開始する位置S15及びS16は、交点M13の位置を中心に任意の距離、左右対称に図22(a)に示す輪郭領域が開始する位置S9及びS10よりも大きく離れている。また、図24(b)が示す輪郭領域が開始する位置S15及びS16は、交点M3の位置を中心に任意の距離、左右対称に図24(a)に示す輪郭領域が開始する位置S15及びS16と同じに離れている。
図24(a)と図24(b)が図24(a1)及び図24(b1)のように、刷り合せずれにより任意の距離X´右に移動したとき、交点M14と交点M9の濃度は、交点M13と交点M3よりも濃度が低くなるが、図24(a1)は硬調のため、図24(b1)の軟調よりも濃度が低くなる割合が大きい。
また、図24(a)と図24(b)が図24(a2)及び図24(b2)のように、刷り合せずれにより任意の距離X´´左に移動したとき、交点M15と交点M10の濃度は、交点M13と交点M3よりも濃度が高くなるが、図24(a2)は硬調のため、図24(b2)の軟調よりも濃度が高くなる割合が大きい。すなわち、図24(a)と図24(b)が示すように輪郭領域が硬調と軟調の場合は、輪郭領域が硬調の方が軟調に比較すると濃度の高低の割合が大きくなる。
また、図24(a2)及び図24(b2)が示すように印刷機による刷り合せずれ精度を考慮し、輪郭領域が開始する位置と、角度Kが成す軟調及び硬調の具合を調整すれば、模様の基本濃度の網点面積率Yがほぼ等しくなるようにできる。さらに、網点面積率Yが等しくなるようにするには、図24(a2)は、角度K12が成す硬調を更に硬調にすれば網点面積率Yが等しくなるようにできるが、任意の距離X´右に移動したとき交点Mの濃度が更に低くなるため行わない方がよく、輪郭領域が開始する位置S15及びS16の距離を縮めることが望ましい。図24(b2)は、角度K13が成す軟調を少し硬調寄りにすれば、網点面積率Yが等しくなるようにできる。
図23と図24の硬調が示すように、輪郭領域は硬調の方が軟調と比較すると濃度の高低の割合が大きくなり、硬調の特性が悪いように思われる。しかし、図16でも説明したとおり、輪郭領域の軟調及び硬調は潜像画像の鮮明さを示し、特性が悪いとされる硬調は、潜像画像がはっきりとして鮮明なものに視認され、その反面、軟調は、潜像画像が少しぼんやりとして不鮮明なものに視認される。すなわち、潜像画像として視認させたいもの(文字や模様)によって、輪郭領域を軟調又は硬調の使い分けをするのであって、決して硬調の特性が悪いわけではない。また、印刷機による刷り合せずれ精度によって、輪郭領域の軟調又は硬調の使い分けもする。これについては、次に詳細に説明をする。
図25は、図22から図24までに示した輪郭領域が開始する位置と、軟調及び硬調の違いにおける刷り合せずれによる交点Mの状況をまとめたものである。図25(a)は、図23(a)と同等、図25(b)は、図23(b)と同等、図25(c)は図24(a)と同等、図25(d)は図24(b)と同等である。図25(a)と図25(b)が示す図柄の中心T2からの任意の距離G10から図柄の中心T1からの任意の距離G9を引いた間隔J1は、印刷機による刷り合せずれ精度がよい(ずれの距離が小さい)場合の輪郭領域が硬調及び軟調を示している。すなわち、図25(a)が示す第1の輪郭領域3Rhと第2の輪郭領域4Rhが成す硬調は、潜像画像が文字等の場合のように、潜像画像をはっきりとして鮮明なものに視認させたい場合に使用する。
また、図25(b)が示す第1の輪郭領域3Riと第2の輪郭領域4Riが成す軟調は、潜像画像が模様等の場合のように、潜像画像が少しぼんやりとして不鮮明なものに視認されてよい場合に使用する。しかし、これは、視認させたい潜像画像によって異なり、この限りではない。もし、間隔J1よりもずれの距離が大きい、刷り合せずれ精度が悪い印刷機を使用した場合、図22(b2)が示すように重なり合い6ができ潜像画像が視認されてしまう。
図25(c)と図25(d)が示す図柄の中心T2からの任意の距離G12から図柄の中心T1からの任意の距離G11を引いた間隔J2は、印刷機による刷り合せずれ精度が悪い場合の輪郭領域の硬調及び軟調を示している。すなわち、図25(c)が示す第1の輪郭領域3Rhと第2の輪郭領域4Rhが成す硬調は、潜像画像が文字等の場合のように、潜像画像をはっきりとして鮮明なものに視認させたい場合に使用する。また、図25(d)が示す第1の輪郭領域3Riと第2の輪郭領域4Riが成す軟調は、潜像画像が模様等の場合のように、潜像画像が少しぼんやりとして不鮮明なものに視認されてもよい場合に使用する。しかし、これは、視認させたい潜像画像によって異なり、この限りではない。
さらに、間隔J1に比べて間隔J2は、間隔が広いため、交点M3の濃度に比べると交点M13の濃度は、刷り合せが合っていても、かなり濃度が低くなってしまい、刷り合せずれにより任意の距離X´右に移動したときは、硬調の特性により更に濃度が低くなってしまうため、潜像画像がはっきりとして鮮明なものに視認されたとしても、図25(c)が示す硬調は、望ましくない。すなわち、印刷機による刷り合せずれ精度が悪い場合は、潜像画像が文字や模様であっても図25(d)が示す軟調を使用することが望ましい。これは、視認させたい潜像画像によって異なり、この限りではない。
(実施の形態2)
図26は、本発明をより具体的な階調画像で示している。図26(a)に示した真偽判別可能な印刷物は、基材1上の少なくとも一部に階調画像2を備え、階調画像2は、機能性を有するインキで形成された図26(b)に示す第1の模様3と、第1の模様3の周囲に配置され機能性を有さないインキで形成された図26(c)に示す第2の模様4を有し、第1の模様3と第2の模様4は、拡散反射光下において等色である。
階調画像2は、図26(d)の拡大図に示す特殊形状網点で形成された連続階調の「さくら入りの模様」であり、第1の模様3は、特殊形状網点で形成された連続階調の「さくら入りの模様」から「COPY」の文字の形状で切り抜いた領域から成り、第2の模様4は、特殊形状網点で形成された連続階調の「さくら入りの模様」から「COPY」の文字の形状を切り抜いた領域から成る。すなわち、第2の模様4の切り抜いた「COPY」の文字は、第1の模様3の切り抜いた「COPY」の文字を示し、第1の模様3と第2の模様4を刷り合わせると階調画像2の特殊形状網点で形成された連続階調の「さくら入りの模様」となる。
第1の模様3は潜像領域と第1の輪郭領域を有し、第2の模様4は背景領域と第2の輪郭領域を有し、潜像領域と背景領域は、重複することなく形成されて成る。また、第1の輪郭領域と第2の輪郭領域は、同じ位置に配置されることで輪郭領域が形成されて成り、第1の輪郭領域は、潜像領域から背景領域に向かって、濃度が徐々に低くなるように濃度変化して成り、第2の輪郭領域は、背景領域から潜像領域に向かって、濃度変化に対応して、濃度が徐々に低くなる。さらに、潜像領域と、潜像領域と隣り合う輪郭領域は、所定範囲内の濃度が等しく、かつ、背景領域と、背景領域と隣り合う輪郭領域は、所定範囲内の濃度が等しく、所定の条件で観察した場合に、第1の模様3が視認できる。また、階調画像2は、階調画像であれば、一般的なドット形状又は特殊形状網点のドット形状に限るものではない。
(実施の形態3)
図27は、本発明をより具体的な階調画像で示している。図27(a)に示した真偽判別可能な印刷物は、基材1上の少なくとも一部に階調画像2を備え、階調画像2は、機能性を有するインキで形成された図27(b)に示す第1の模様3と、第1の模様3の周囲に配置され機能性を有さないインキで形成された図27(c)に示す第2の模様4を有し、第1の模様3と第2の模様4は、拡散反射光下において等色である。
階調画像2は、図27(d)の拡大図が示す特殊形状網点で形成された連続階調の「さくら入りの模様」であり、第1の模様3は、特殊形状網点で形成された連続階調の「さくら入りの模様」から「COPY」の文字の形状で切り抜いた領域から成り、第2の模様4は、特殊形状網点で形成された連続階調の「さくら入りの模様」から「COPY」の文字の形状を切り抜いた領域から成る。すなわち、第2の模様4の切り抜いた「COPY」の文字は、第1の模様3の切り抜いた「COPY」の文字を示し、第1の模様3と第2の模様4を刷り合わせると階調画像2の特殊形状網点で形成された連続階調の「さくら入りの模様」となる。
第1の模様3は潜像領域と第1の輪郭領域を有し、第2の模様4は背景領域と第2の輪郭領域を有し、潜像領域と背景領域は、重複することなく形成されて成り、第1の輪郭領域と第2の輪郭領域は、同じ位置に配置されることで輪郭領域が形成されて成る。また、第1の輪郭領域は、潜像領域から背景領域に向かって、濃度が徐々に高くなるように濃度変化して成り、第2の輪郭領域は、背景領域から潜像領域に向かって、濃度変化に対応して、濃度が徐々に高くなる。さらに、潜像領域と、潜像領域と隣り合う輪郭領域は、所定範囲内の濃度が等しく、かつ、背景領域と、背景領域と隣り合う輪郭領域は、所定範囲内の濃度が等しく、所定の条件で観察した場合に、第1の模様3が視認できる。また、階調画像2は、階調画像であれば、一般的なドット形状又は特殊形状網点のドット形状に限るものではない。
(実施の形態4)
図28は、従来の第1の模様3´と本発明の第1の模様3の硬調又は軟調をより具体的に示している。図28(a)から(d)までは、「COPY」の文字の一部「C」の硬調から軟調までの階調画像を示している。図28(a)は、従来の第1の模様3´を示し輪郭領域がない状態であり、硬調を示している。また、図28(b)から(d)までは、本発明の第1の模様3を示し輪郭領域がありの状態で、硬調から軟調までを示している。図28(a1)は、図28(a)の拡大図であり、図28(c1)は、図28(c)の拡大図であり、この二つを比較すると従来の第1の模様3´の硬調と、本発明の第1の模様3の軟調の鮮明さの状態が分かりやすい。図28(d)が示すように第1の模様3が有する輪郭領域の軟調を強めると、文字として視認しづらくなるため、図28(c)が文字を文字として視認するにはよい形態である。また、印刷機による刷り合せずれ精度が悪い場合は、図28(d)を採用してもよいと思われる。
図29は、従来の第2の模様4´と本発明の第2の模様4の硬調又は軟調をより具体的に示している。図29(a)から(d)までは、「COPY」の文字の一部「C」の硬調から軟調までの階調画像を示している。図29(a)は、従来の第2の模様4´を示し輪郭領域がない状態であり、硬調を示している。また、図29(b)から(d)までは、本発明の第2の模様4を示し輪郭領域がありの状態で、硬調から軟調までを示している。図29(a1)は、図29(a)の拡大図であり、図29(c1)は、図29(c)の拡大図であり、この二つを比較すると従来の第2の模様4´の硬調と、本発明の第2の模様4の軟調の鮮明さの状態が分かりやすい。図29(d)が示すように第2の模様4が有する輪郭領域の軟調を強めると、文字として視認しづらくなるので、図29(c)が文字を文字として視認するには、よい形態である。また、印刷機による刷り合せずれ精度が悪い場合は、図29(d)を採用してもよいと思われる。
図30は、輪郭領域の軟調及び硬調の組合せを示している。図30(a)は、第1の模様3の輪郭領域が硬調を示し、第2の模様4の輪郭領域が硬調を示し、両方の輪郭領域の輪郭幅は等しい。図30(b)は、第1の模様3の輪郭領域が軟調を示し、第2の模様4の輪郭領域が軟調を示し、両方の輪郭領域の輪郭幅は等しい。また、図30(c)は、第1の模様3の輪郭領域が硬調を示し、第2の模様4の輪郭領域が軟調を示し、両方の輪郭領域の輪郭幅は異なる。図30(d)は、第1の模様3の輪郭領域が軟調を示し、第2の模様4の輪郭領域が硬調を示し、両方の輪郭領域の輪郭幅は異なる。すなわち、第1の模様3の輪郭領域の輪郭幅と、第2の模様4の輪郭領域の輪郭幅は、等しいことが好ましいが、異なっていても構わない。また、第1の模様3の輪郭領域の軟調及び硬調と、第2の模様4の輪郭領域の軟調及び硬調は、そろえた方が好ましいが、異なっても構わない。
図31は、階調画像の一例を示している。図31(a)から(d)までは、特殊形状網点の一例を示している。階調画像は、一般的なドット形状でも、特殊形状網点でも、階調画像であれば特に限定されるものではない。また、潜像画像も文字又は模様以外でも構わない。
本発明の真偽判別印刷物に用いる機能性を有するインキは、以下のインキが挙げられる。機能性を有するインキは、可視反射光下では機能性を有さない通常の有色インキと等色であり、カラーコピー機で複写した場合に機能性を有さないインキと色彩が異なって視認されるメタメリックインキである。また、可視反射光下では機能性を有さない通常の有色インキと等色であり、可視透過光下で観察した場合に機能性を有さないインキと色彩が異なって視認される有色浸透インキである。また、可視反射光下では機能性を有さない通常の有色インキと等色であり、紫外線を照射した場合に発光して視認される蛍光発光インキである。また、可視反射光下では機能性を有さない通常の有色インキと等色であり、可視光下の所定の波長をカットするフィルタを通して観察した場合に機能性を有さないインキと色彩が異なって視認されるメタメリックインキである。また、可視反射光下では機能性を有さない赤外領域で透過する赤外線透過インキと等色であり、赤外領域で吸収する赤外線吸収インキである。
本発明の真偽判別可能な印刷物の基材1は、上質紙、コート紙、アート紙等の紙葉類を用いることができる。また、フィルム、プラスチック及びそれらの複合素材等を用いることもできる。
本発明の真偽判別可能な印刷物の印刷方法としては、オフセット印刷、グラビア印刷、凹版印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、デジタル印刷、インクジェットプリンタ、レーザプリンタ等、特に限定されるものではないが、微細な特殊形状網点を印刷する場合、オフセット印刷、デジタル印刷、インクジェットプリンタ、レーザプリンタが好ましい。