JP2019084522A - 被覆粒状物の製造方法、粒状混合物、および植物の栽培方法 - Google Patents

被覆粒状物の製造方法、粒状混合物、および植物の栽培方法 Download PDF

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Abstract

【課題】被覆粒状物の水面または土壌表面への浮上を長期に亘り防止する、ワックスおよび樹脂を含む樹脂被覆層を有する生物活性物質粒子の被覆粒状物の製造方法、該被覆粒状物を含む粒状混合物および該粒状混合物等を用いた植物の栽培方法を提供する。【解決手段】ワックスおよび樹脂を含む被覆材により被覆された生物活性物質粒子の樹脂被覆層表面を、45℃以上、Tm℃以下(該ワックスの融点をTm℃とする)の温度にて沈降性シリカで処理する、該樹脂被覆層の表面上に沈降性シリカ層が形成された被覆粒状物の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は被覆粒状物の製造方法、粒状混合物、および植物の栽培方法に関する。
溶出・放出制御、吸湿防止、固結防止、飛散防止等を目的として、樹脂を主成分とする被膜材で肥料や農薬、医薬などをはじめとする生物活性物質粒子を被覆した、様々な被覆粒状物が開発され一部実用化されている。被覆粒状物の使用場面はその用途によって様々であるが、被覆肥料や被覆農薬などは水田や水耕栽培をはじめとして水中で使用される場合も多い。これらの被覆粒状物の被膜はその大部分が親水性の極めて乏しい樹脂を有効成分としていることから、水との親和性に乏しく撥水性が強いため、例えば水田等に用いる際には水面に浮上しやすいと云った欠点を有していた。そればかりでなく、畑に施用した場合であっても、潅水や降雨によって土壌表面に露出しやすい傾向があった。
被覆粒状物の浮上を防止するため、被覆粒状物の被膜に親水性を付与する方法が複数検討されてきた。樹脂を含む被膜表面に親水性を付与する技術として、界面活性剤を分散させた樹脂を含む被覆材で被覆した粒状肥料表面に微粉末を付着させた被覆肥料が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また被膜の表面にHLBが6〜16の界面活性剤と微粉末を付着させた被覆肥料(例えば、特許文献2参照)、被膜を構成する樹脂組成物中に界面活性剤を分散させ、その被膜表面にSiO2ダストを付着させた被覆肥料(例えば、特許文献3参照)、被覆材で被覆した被覆粒状肥料の表面に界面活性剤とSiO2ダストを付着させた被覆粒状肥料(例えば、特許文献4参照)、アニオン界面活性剤を被覆肥料表面に添着させた被覆肥料(例えば、特許文献5参照)、ワックス被膜表面に含水珪酸を付着させた被覆粒状肥料(例えば、特許文献6参照)、低分子の疎水成分を含む被膜表面に含水酸化珪素を付着させた被覆粒状肥料(例えば、特許文献7参照)、被膜の表面に湿式法で合成された特定の比表面積を有する含水無晶型二酸化ケイ素微粉末を付着させた被覆粒状物(例えば、特許文献8参照)、ウレタン樹脂を少なくとも1層含む被膜の最外層に界面活性剤およびケイソウ土または平衡水分5〜20質量%の含水無定型二酸化珪素微粉末を付着させた被覆粒状肥料(例えば、特許文献9参照)が提案されている。
特公昭60−29679号公報 特公昭60−20359号公報 特公昭64−9278号公報 特公昭63−23160号公報 特開昭56−120597号公報 特開昭61−163183号公報 特開平3−232788号公報 特開平10−130014号公報 特開2000−128684号公報
これらの技術により被膜の撥水状態はある程度改善されたが、上記の浮上を防止するのに被膜の親水性が充分でない場合もあった。具体的には、被膜材の樹脂成分としてワックスを用いた場合、樹脂被膜表面の撥水性が非常に強いため浮上防止の効果が得られない場合があった。また低融点の界面活性剤を用いた場合、界面活性剤が被膜に浸透して被膜の透湿性を高め生物活性物質の溶出速度を速めるという問題があった。
また、上記の処理方法では、樹脂被覆層表面に対する粉体の接着および接着の持続が困難であるため粉体の親水性が充分に発揮されず、水面または土壌表面への浮上防止効果は限定的であった。
本発明者らは、安定的に効果を発現させるためには粉体接着量の確保および接着状態の持続が必要と考えた。
本発明は、該被覆粒状物の水面または土壌表面への浮上を長期に亘り防止することが可能な被覆粒状物を製造する方法、該被覆粒状物を含む粒状混合物および植物の栽培方法を提供する。
本発明者らは、前記課題を改善するべく鋭意検討した。その結果、特定の方法で沈降性シリカ層が形成された被覆粒状物は、水面または土壌表面への浮上を長期に亘り防止することが可能であることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、以下から構成される。
[1]
ワックスおよび樹脂を含む被覆材により被覆された生物活性物質粒子の樹脂被覆層表面を、45℃以上、Tm℃以下(該ワックスの融点をTm℃とする)の温度にて沈降性シリカで処理する、該樹脂被覆層の表面上に沈降性シリカ層が形成された被覆粒状物の製造方法。
[2]
ワックスが植物油脂、合成ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、石油ワックス、および飽和脂肪酸から選ばれる少なくとも1種である、前記[1]に記載の被覆粒状物の製造方法。
[3]
ワックスが、樹脂被覆層全量100質量%中、3質量%〜70質量%含まれる、前記[1]または[2]に記載の被覆粒状物の製造方法。
[4]
樹脂が、樹脂被覆層全量100質量%中、10質量%〜95質量%含まれる、前記[1]〜[3]のいずれか一項に記載の被覆粒状物の製造方法。
[5]
沈降性シリカが被覆粒状物全量100質量%中、0.1質量%〜1.5質量%含まれる、前記[1]〜[4]のいずれか一項に記載の被覆粒状物の製造方法。
[6]
沈降性シリカの比表面積が20〜400m2/gである、前記[1]〜[5]のいずれか一項に記載の被覆粒状物の製造方法。
[7]
生物活性物質粒子が肥料を含む、前記[1]〜[6]のいずれか一項に記載の被覆粒状物の製造方法。
[8]
前記[1]〜[7]のいずれか一項に記載の被覆粒状物の製造方法で製造された被覆粒状物と、生物活性物質の粒状物とを含む、粒状混合物。
[9]
前記[1]〜[7]のいずれか一項に記載の被覆粒状物の製造方法で製造された被覆粒状物、または前記[8]に記載の粒状混合物を使用する、植物の栽培方法。
本発明により、ワックスを含む撥水性の強い樹脂被覆層表面に親水性を付与できる。本発明の被覆粒状物は、特に水田等の湛水条件下において、安定して生物活性物質を溶出することが可能であり、すなわち、優れた溶出制御性を有する。さらに、生物活性物質の効果が発揮された後は被膜を速やかに崩壊させることが可能である。本発明の製造方法により、長期に亘って水面または土壌表面への浮上を防止した被覆粒状物を製造することができる。
本発明の粒状混合物は、対象作物に応じて最適な生物活性物質を供給することを可能とするものであり、本発明の栽培方法は、作物に悪影響を与えず、作業効率と生物活性物質の利用効率を著しく向上させることのできる方法である。
生物活性物質粒子表面に樹脂被覆層を形成するために使用する装置のフローシートである。
以下、本発明に係る被覆粒状物の製造方法等について詳細に説明する。
〔被覆粒状物の製造方法〕
本発明の被覆粒状物の製造方法は、ワックスおよび樹脂を含む被覆材により被覆された生物活性物質粒子の樹脂被覆層表面を、45℃以上、Tm℃以下(該ワックスの融点をTm℃とする)の温度にて沈降性シリカで処理する、該樹脂被覆層の表面上に沈降性シリカ層が形成された被覆粒状物の製造方法である。本発明では、上記のように被覆材により被覆された生物活性物質粒子を用いて、該粒子が有する樹脂被覆層表面を、所定の温度で沈降性シリカを用いて処理することで、樹脂被覆層の表面上に沈降性シリカ層を形成する。
被覆材により被覆された生物活性物質粒子の温度が、上記範囲より低い状態にて、沈降性シリカで処理した場合には、沈降性シリカを均一に付着させることが困難であり、その結果、得られる被覆粒状物への親水性の付与が不完全となり、湛水条件下での浮上防止効果も不充分なものとなる。また、被覆材により被覆された生物活性物質粒子の温度が、上記範囲より高い状態にて、沈降性シリカで処理した場合には、ワックスが融解しているため、得られる被覆粒状物では、ワックスが表面にブリードアウトする場合や、生物活性物質粒子の内部に入り込み、溶出制御性を悪化させる場合がある。
沈降性シリカ層を形成させる方法については、特に限定されるものではない。被覆材により被覆された生物活性物質粒子と沈降性シリカを入れたポリ袋(ポリエチレン製の袋)を振る等の手作業による被覆をはじめ、連続式または回分式でも良く、装置として充分に転動効果が得られるものであれば、公知の混合機を用いる方法等のいずれを使用してもよい。公知の混合機としては、容器回転型と容器固定型が挙げられるが、容器回転型がより好ましい。容器回転型であれば、容器を傾けて回転させる事で比較的低回転で、被覆材により被覆された生物活性物質粒子に沈降性シリカを付着させることができる。低回転での混合では被覆材により被覆された生物活性物質粒子の損傷を防ぎつつ容器内で混合できる。さらに、沈降性シリカの浮遊も最小限に抑えるといった利点があり、好ましく使用することができる。具体的には円筒形混合機やV形混合機、ダブルコーン混合機、傾斜回転型パン型混合機、回転クワ型混合機等が挙げられ、内部に混合翼が付随したものでもよい。
一方、容器固定型の混合機の場合、沈降性シリカを付着させることは可能であるが、容器回転型と同回転数で被覆材により被覆された生物活性物質粒子に、沈降性シリカを加えると被覆材により被覆された生物活性物質粒子が容器内で滞留し、沈降性シリカの付着が不充分となることがある。また容器回転型の回転数を上げて攪拌動力を高めた場合、混合翼によって被覆材により被覆された生物活性物質粒子が損傷を受けて生物活性物質の溶出速度を速めるおそれがあるため、使用に際しては注意が必要となる。
また、容器固定型で気流の吹き込みによって混合する気流型混合機の場合、圧縮空気によって、沈降性シリカが容器内で浮遊してしまい付着が不充分となりやすい。
混合機へ沈降性シリカを供給する方法としては、特に限定されないが、公知の定量フィーダーや輸送機を用いるほか、計量後タンク等より弁操作によって供給する方法等が挙げられる。
混合機へ供給する被覆材により被覆された生物活性物質粒子の量としては、効率よく沈降性シリカが付着すれば特に限定されないが、通常は混合機容積の70%以下である。10%以下の場合、混合機の体積が該生物活性物質粒子や沈降性シリカの投入量に対して大きいため、沈降性シリカが混合機内で拡散し、浮遊する沈降性シリカの割合が高くなり該生物活性物質粒子への付着が不充分となる場合があるため、10%を超えることが好ましい。60%以上の場合、混合機回転中に混合機底部で滞留したままの被覆材により被覆された生物活性物質粒子が多くなり、沈降性シリカの付着が不充分となる場合があるため、60%未満が好ましい。
被覆材により被覆された生物活性物質粒子と沈降性シリカとの混合機への投入方法としては、特に限定されない。例えば、先に該生物活性物質粒子を混合機へ投入後、沈降性シリカを投入する方法や該生物活性物質粒子と沈降性シリカを同時に投入する方法等が挙げられる。沈降性シリカを先に混合機へ投入すると容器内での沈降性シリカの浮遊性が高く、付着効率が低くなる場合がある。また浮遊していない沈降性シリカについても局所的に該生物活性物質粒子へ付着し易くなり、沈降性シリカが付着していない該生物活性物質粒子の割合が高くなる可能性がある。
<被覆粒状物>
本発明の被覆粒状物は、ワックスおよび樹脂を含む被覆材により被覆された生物活性物質粒子の樹脂被覆層表面上に沈降性シリカ層が形成されたものである。本発明の被覆粒状物は、本発明の被覆粒状物の製造方法によって得られる。本発明の被覆粒状物は、ワックスを含む撥水性の強い樹脂被覆層表面に親水性を付与することができ、特に水田等の湛水条件下において、安定した生物活性物質の溶出制御効果に優れる。さらに、生物活性物質の効果が発揮された後は被膜を速やかに崩壊させることが可能である。本発明の被覆粒状物は、長期に亘り水面または土壌表面への浮上を防止することができる。
<生物活性物質粒子>
本発明において、生物活性物質粒子とは、生物活性物質を含む粒状物を意味する。本発明に用いられるワックスおよび樹脂を含む被覆材により被覆された生物活性物質粒子は、生物活性物質を含む粒状物を、被覆材により被覆することにより、表面に樹脂被覆層が形成された生物活性物質粒子である。
本発明において、生物活性物質とは、農作物、有用植物、農産物等の植物体の育成、保護の目的で用いられるものであり、使用目的に応じて増収、農作物の高品質化、病害防除、害虫防除、有害動物防除、雑草防除、更には、農作物の生育促進、生育抑制、矮化等の効果をもたらすものであって、具体的には肥料、農薬、医薬、微生物等を挙げることができる。特に、生物活性物質が肥料または農薬であると、その使用目的に対して比較的高い効果が得られる。本発明の具体的態様としては、生物活性物質が肥料であること、すなわち、生物活性物質粒子が肥料を含むことが好ましい。
被覆材で被覆する前の生物活性物質粒子を構成する、生物活性物質の割合は、特に限定されるものではないが、0.01〜100質量%の範囲であることが好ましい。生物活性物質が以下に挙げるような肥料である場合には、60〜100質量%であることが好ましく、生物活性物質が以下に挙げるような農薬である場合には、0.01〜50質量%の範囲であることが好ましい。
生物活性物質の代表例である肥料としては、窒素質肥料、燐酸質肥料、加里質肥料のほか、植物必須要素のカルシウム、マグネシウム、硫黄、鉄、微量要素やケイ素等を含有する肥料を挙げることができる。窒素質肥料の例としては硫酸アンモニア、尿素、硝酸アンモニアのほか、イソブチルアルデヒド縮合尿素、アセトアルデヒド縮合尿素が挙げられる。燐酸質肥料の例としては過燐酸石灰、熔成リン肥、焼成リン肥が挙げられる。加里質肥料の例としては硫酸加里、塩化加里、ケイ酸加里肥料が挙げられる。肥料の形態としては特に限定されない。また、肥料の三要素(窒素、リン酸、加里)の合計成分量が30%以上の高度化成肥料や配合肥料、更には有機質肥料でもよい。また硝酸化成抑制剤や農薬を添加または付着させた肥料でもよい。
生物活性物質のもう一つの代表例である農薬としては、病害防除剤、害虫防除剤、有害動物防除剤、雑草防除剤、植物生長調節剤を挙げることができ、これらであればその種類に制限なく使用することができる。ここで病害防除剤とは、農作物等を病原微生物の有害作用から保護するために用いられる薬剤であり、主として殺菌剤が挙げられる。害虫防除剤とは農作物等の害虫を防除する薬剤であり、主として殺虫剤が挙げられる。有害動物防除剤とは農作物等を加害する植物寄生性ダニ、植物寄生性線虫、野鼠、鳥、その他の有害動物を防除するために用いる薬剤である。雑草防除剤とは農作物や樹木等に有害となる草木植物の防除に用いられる薬剤であり、除草剤とも呼ばれる。植物生長調節剤とは植物の生理機能の増進または抑制を目的に用いられる薬剤である。
農薬は常温で固体の粉状であることが望ましいが、常温で液体であってもよい。また本発明においては農薬が水溶性であっても、水難溶性であっても、水不溶性のものであっても用いることができ、特に限定されるものではない。また農薬は1種であっても、2種以上の複合成分からなるものであってもよい。
生物活性物質粒子は、前述の生物活性物質を1種以上含有するものであればよく、本発明の効果を損なわない範囲であれば生物活性物質以外の成分を含有してもよい。生物活性物質以外の成分としては、例えばクレー、カオリン、タルク、ベントナイト、炭酸カルシウム等の担体や、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、澱粉類等の結合剤が挙げられる。また生物活性物質以外の成分としては、必要に応じて、例えばポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等の界面活性剤や廃糖蜜、動物油、植物油、水素添加油、脂肪酸、脂肪酸金属塩、パラフィン、ワックス、グリセリン等を用いてもよい。
生物活性物質粒子の造粒方法としては、生物活性物質や、必要に応じて用いられる生物活性物質以外の成分を、押出造粒法、流動層式造粒法、転動造粒法、圧縮造粒法、被覆造粒法、吸着造粒法等を用いて粒状に成形する方法が挙げられる。本発明においてはこれらの造粒法の何れを使用してもよい。
生物活性物質粒子の平均粒径は特に限定されるものではないが、生物活性物質粒子の平均粒径は通常1〜10mm、1〜5mmであることが好ましい。また、生物活性物質粒子の粒径は、例えば生物活性物質が肥料の場合においては、通常1.0〜10.0mmであり、農薬の場合においては通常0.3〜3.0mmである。このような平均粒径や粒子径を有する生物活性物質粒子は、適切な目開きを有する篩を用いることにより、調整することができる。
生物活性物質粒子の形状は特に限定されるものではないが、球状が好ましい。具体的には下記式で求められた円形度係数が、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.75以上、更に好ましくは0.8以上の球状である。円形度係数の最大値は1であり、1に近づくほど粒子は真円に近づき、粒子形状が真円から崩れるに従って円形度係数は小さくなる。
円形度係数={(4π×粒子の投影面積)/(粒子投影図の輪郭の長さ)2
<被覆材、樹脂被覆層>
本発明では、ワックスおよび樹脂を含む被覆材により被覆された生物活性物質粒子が用いられ、被覆材により被覆された生物活性物質粒子は、前述の生物活性物質粒子の表面に樹脂被覆層が形成された生物活性物質粒子である。樹脂被覆層は、ワックスおよび樹脂を含む被覆材から形成される層である。
樹脂被覆層は、生物活性物質粒子の表面を直接被覆することにより、被覆粒状物から生物活性物質を徐々に溶出させる機能を有する。本発明における被覆材は、ワックスおよび樹脂を含むことを必須要件とし、必要に応じてそれ以外の任意成分をさらに含んでいてもよい。
<ワックス>
本発明において、ワックスとは植物油脂(例えば、あまに油、ヒマワリ油、大豆油、トウモロコシ油、オリーブ油、パーム油、ヤシ油、ひまし油等の植物から採取した油脂及びその変性物)、合成ワックス(例えば、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックスなどの合成炭化水素;モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体などの変性ワックス;12−ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸アミド系、12−ヒドロキシステアリン酸エステル系、塩素化炭化水素などの脂肪酸、脂肪酸アミドもしくはエステル、ケトン他)、動物系ワックス(例えば、蜜ロウ、ラノリン(水添)、鯨ロウ)、鉱物系ワックス(例えば、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン)、石油ワックス(例えば、パラフィンワックス(C40,C42)、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム)、飽和脂肪酸(例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸など)を挙げることができる。この中でも常温で固体であり、融点Tmが45℃を超えるワックスが好ましい。
本発明で用いられるワックスは、植物油脂、合成ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、石油ワックス、および飽和脂肪酸から選ばれる少なくとも1種である事が好ましい。
前記ワックスとしては、融点Tmが45℃以上のものが用いられる。被覆材を調製する際に、ワックスと樹脂とを混合する場合には、それぞれの融点の差が大きすぎると製造上好ましくないため、融点Tmが50℃を超えるワックスを使用することが好ましい。ワックスの融点としては、45〜100℃であることが好ましく、50〜90℃であることがより好ましい。
樹脂被覆層に含まれるワックスの含有量は特に限定されるものではないが、樹脂被覆層全量100質量%中、3〜70質量%含まれるのが好ましく、10〜50質量%がより好ましい。
<樹脂>
樹脂被覆層に含まれるワックス以外の樹脂は、特に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂の何れであってもよい。中でも環境保全の点で光崩壊性樹脂または生分解性樹脂を用いるか、それらを混合して用いることが好ましい。
熱可塑性樹脂としては具体的に例示すると、オレフィン系重合体、塩化ビニリデン系重合体、ジエン系重合体、ポリエステル、ポリスチレン、石油樹脂およびその変性物等を挙げることができる。
オレフィン系重合体としては、低密度ポリエチレン(密度0.88〜0.93g/cm3)、高密度ポリエチレン(密度0.94〜0.97g/cm3)、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有量1〜40質量%)、およびエチレン−α−オレフィン共重合体(密度0.88〜0.94g/cm3)、ポリプロピレン、エチレン−ポリプロピレン共重合体、エチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−一酸化炭素共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、ポリブテン、ブテン−エチレン共重合体、ブテン−プロピレン共重合体、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタアクリル酸共重合体およびエチレン−メタアクリル酸エステル共重合体が例示される。塩化ビニリデン系重合体としては、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、ジエン系重合体の水素化物が例示される。尚、上記の樹脂はメルトフローレートや分子量、分子量分布、使用触媒、製造プロセス等は特に限定されるものではない。
ジエン系重合体としてはブタジエン重合体、イソプレン重合体、クロロプレン重合体、ブタジエン−スチレン共重合体、EPDM重合体、スチレン−イソプレン共重合体またはブタジエン−エチレン−メタアクリル酸等の3元共重合物が例示される。
熱硬化性樹脂としてはフェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂および乾性油等を挙げることができる。これらの熱硬化性樹脂は数多くのモノマーの組み合わせが有るが、本発明においてはモノマーの種類や組み合わせは限定されるものではない。またモノマー同士の重合物の他に、2量体またはポリマー化したもの、またはその混合物の重合物であってもよい。また種類の異なる複数の樹脂を配合したものであってもよい。
樹脂被覆層に含まれる樹脂の含有量は特に限定されるものではないが、樹脂被覆層全量100質量%中、10〜95質量%含まれるのが好ましく、40〜80質量%がより好ましい。
樹脂被覆層には、任意でフィラーとして、タルク、マイカ、セリタイト、ガラスフレーク、各種金属箔、黒鉛、BN(六方晶);MIO(板状酸化鉄)、板状炭酸カルシウム、板状水酸化アルミニウム等の板状フィラー;炭酸カルシウム、シリカ、クレー、各種鉱石粉砕品、澱粉等の球状フィラー;硫黄およびコーンスターチ等を添加することができる。
樹脂被覆層がフィラーを含む場合、その割合は特に限定されるものではないが、樹脂被覆層全量100質量%に対して5〜90質量%が好ましく、20〜60質量%がより好ましい。
樹脂被覆層には、任意で界面活性剤として、ポリオールの脂肪酸エステルに代表されるノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤等を添加することができる。これらの界面活性剤から、エステル化度、アルキル基の鎖長、アルキレンオキサイドの付加モル数及び純度を考慮しつつ、適切な界面活性剤を選択して使用すればよい。
樹脂被覆層が界面活性剤を含む場合、その割合は特に限定されるものではないが、樹脂被覆層全量100質量%に対して、0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましい。
樹脂被覆層には、そこに含まれる樹脂を分解させるため、任意で種々の有機金属化合物を添加してもよい。有機金属化合物としては、例えば有機金属錯体や有機酸金属塩等が挙げられる。中でも光分解性の調節が容易なことから、鉄錯体やカルボン酸鉄が好ましい。例えば鉄錯体としては鉄アセチルアセトナート、鉄アセトニルアセトネート、鉄のジアルキルジチオカルバメート、ジチオホスフェート、キサンテート、およびベンズチアゾール等が挙げられる。カルボン酸鉄としてはカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の鉄化合物が挙げられる。これらは単独で添加してもよいし、2種以上を組み合わせて添加してもよい。有機金属化合物は、樹脂被覆層全量100質量%中、0.0001〜1質量%含まれるのが好ましく、0.001〜0.5質量%がより好ましい。上記の範囲であれば、生物活性物質の溶出後には樹脂被覆層に崩壊性または分解性が付与され、保管中には当初の品質が維持される。
生物活性物質粒子表面に樹脂被覆層を形成するための方法は、特に限定されるものではない。例えば、前記ワックスおよび樹脂を含み、フィラー、界面活性剤等を任意に含む被覆材を、生物活性物質粒子表面に噴霧する方法、溶剤に被覆材を溶解または懸濁させた溶解液またはエマルジョンを生物活性物質粒子表面に噴霧する方法(以下「溶解液噴霧法」という)、被覆材の粉末を生物活性物質の粒子表面に付着させ、その後溶融して被膜を形成させる方法、モノマーおよびワックス等を生物活性物質粒子表面に噴霧し、表面で反応させてモノマーを樹脂化(被膜化)し、被覆材の調製と被覆を同時に行う方法、更に被覆材の溶融液または溶解液に生物活性物質の粒子を浸すディップ法等で製造することができる。
樹脂被覆層の厚さは樹脂等の種類や組成、生物活性物質粒子の大きさは、意図する生物活性物質の溶出パターンによって適宜選択可能である。樹脂被覆層の厚さは、平均で10〜100μmが好ましく、20〜70μmがより好ましい。また、被覆粒状物全体に対する樹脂被覆層の質量の割合(被覆率)は、1〜20質量%が好ましく、2〜15質量%がより好ましい。
本発明に用いられる被覆材により被覆された生物活性物質粒子の粒子径は特に制限はないが、通常1〜10mmが好ましく、1〜5mmがより好ましい。被覆材により被覆された生物活性物質粒子の平均粒径は1.5〜4.5mmが好ましく、2〜4mmがより好ましい。また、本発明の製造方法で得られる、被覆粒状物の粒子径は特に制限はないが、通常1.5〜4.5mmが好ましく、2〜4mmがより好ましい。被覆粒状物の平均粒径は1.5〜4.5mmが好ましく、2〜4mmがより好ましい。
また、上記被覆材により被覆された生物活性物質粒子および被覆粒状物の形態は、特に限定されるものではないが、放出速度を安定的にコントロールするという点から、粒状であることが好ましく、球状に近いことがより好ましい。
<沈降性シリカ>
本発明で用いられる沈降性シリカとは、湿式法の一種である沈降法によって製造される湿式シリカであり、例えば、ケイ酸ナトリウムと硫酸の中和反応をアルカリ性のpH領域で進めることにより合成されるシリカである。
沈降性シリカの比表面積は通常20〜400m2/gである。
一方、ケイ酸ナトリウムと硫酸の中和反応を酸性のpH領域で進めたときに合成されるシリカはゲルタイプシリカであり、比表面積は通常200〜1000m2/gである。沈降性シリカはゲルタイプシリカと比較して、凝集反応時間が短いため、一次粒子は大きくBET比表面積は小さく、水分吸収速度が速い、細孔直径が大きい等の物理特性を持つ。ゲルタイプシリカは、沈降性シリカと比較して凝集反応時間が長く、一次粒子は小さく、BET比表面積は大きく、水分吸収速度が遅い、細孔直径が小さい等の物理特性を持つ。
本発明では、沈降性シリカを用いることにより、得られる被覆粒状物の水面または土壌表面への浮上を防止することが可能である。また、沈降性シリカとしては、水分吸収速度が速い沈降性シリカを用いることが好ましい。
被覆粒状物全量100質量%中に、沈降性シリカは、0.1質量%〜1.5質量%含まれることが好ましく、0.2〜0.5質量%含まれることがより好ましい。
本発明では樹脂被膜層に含まれるワックス成分の融点をTm℃とするとき、沈降性シリカの粉体で処理する際の、樹脂被覆層が形成された生物活性物質粒子の温度は45℃以上、Tm℃以下である。
上限値が該ワックス成分の融点Tm℃より高いとワックス成分が融解し、被覆粒状物表面の撥水性が強くなるため浮上防止効果が低減される。また、融点付近であるとワックス成分の軟化、融解により被覆粒状物の被膜による生物活性物質の溶出特性が製造時から変化する可能性があるため、沈降性シリカで処理する際の温度は、(Tm−10)℃以下がより好ましい。
沈降性シリカを処理する際の温度は、低温すぎると樹脂被覆層が硬化して沈降性シリカの添着が悪くなるほか、冷却には時間と多くのエネルギーを要するため45℃以上であり、50℃以上が好ましい。
本発明の粒状混合物は、本発明の被覆粒状物の製造方法で製造された被覆粒状物と、樹脂等で被覆していない生物活性物質の粒状物とを含む。
本発明の植物の栽培方法は、本発明の被覆粒状物の製造方法で製造された被覆粒状物、または本発明の粒状混合物を使用する、栽培方法である。
以下、実施例によって本発明を説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。尚、以下の実施例における「%」は特に断りがない限り「質量%」である。
(実施例1〜7および比較例1〜12)
1.樹脂被覆層の形成
図1に示す製造装置を用いて、次の方法により生物活性物質粒子(粒状尿素)の表面に樹脂被覆層を形成した。製造装置内では、熱風が流動層1の下部から上部に向けて流れ集塵機6を通過し、コンデンサー7でガスを冷却し、溶媒を凝縮回収する。コンデンサー7を通過したガスはブロワー8からヒーター12を通過して加熱され熱風として再度流動層1へ導かれるように循環している。このようなクローズドシステムを採用することで溶媒を外部に排出することはない。
粒子3として、粒状尿素(粒子径2.0〜4.0mm、平均粒径3.3mm、円形度係数0.9)15kgを流動層1の側面に設置されている投入口から投入し、流動層1下部より導入される熱風4および流動層1底部に設置される攪拌浴で流動状態にした。この際、粒子3の温度が60±2℃になるように、熱風流量および熱風温度を調節した。熱風流量はブロワー8と流動層1の間に設置した流量計で測定しながら調節し、熱風温度は粒子3の温度や排気温度(流動層1上部温度)を測定しながら調節した。
他方、樹脂被覆層を形成するための被覆材の組成として、硬化ひまし油(Tm=85℃)30質量部、ポリエチレン(低密度ポリエチレン、密度0.923g/cm3(JIS K 6760)、メルトフローレート(MFR)0.3g/10min(測定温度190℃、荷重3.18N、JIS K 7210−1)35質量部、コーンスターチ5質量部、タルク(平均粒径10μm)30質量部、ステアリン酸鉄0.01質量部の各成分とテトラクロロエチレン1900質量部を溶解槽9に投入し、100±2℃で30分間混合撹拌することによってワックスおよび樹脂類(硬化ひまし油およびポリエチレン)を溶解し、濃度5質量%の均一な噴霧液5を調製した。被覆が終了するまで溶解槽9は常時攪拌した。
噴霧液5を流動層の上部に設置されているスプレーノズル2に流速約110kg/hで輸送し、流動中の粒子3(粒状尿素)に噴霧し吹き付けた。噴霧液5に含まれるテトラクロロエチレンはコンデンサー7により凝縮・回収されてタンク11で貯蔵され、溶解槽9へ導かれる。
前述の被覆操作は流動中の粒状尿素の温度が60℃に達した時点から開始し、被覆量が最終的に被覆尿素に対して13質量%(粒状尿素87質量%)となるまで行い、その後、粒子3の温度を60±2℃に維持することに留意して熱風4の温度調節をしながら10分間、熱風4のみを吹き付けて乾燥を実施した。乾燥が終了した時点で被覆された粒状尿素を流動層1の最下部にある抜き出し口13より排出し、脱溶媒処理を経て溶出速度をコントロールする樹脂被覆層を有する被覆尿素を得た。
被覆層の形成条件
粒状尿素:15kg
被覆中の粒子温度:60℃
溶解温度:100〜110℃
噴霧液温度 :80〜100℃
熱風温度:130〜140℃
スプレー量:108kg/h
2.樹脂被覆層表面の親水化処理
1.で得られた樹脂被覆層を有する生物活性物質粒子(被覆尿素)1kgを表1の実施例、比較例に示す温度になるように加温し、容積6000cm3のポットミキサー(開口部及び底部100mmφ、胴中央部250mmφ、45度傾斜で使用)に投入した。樹脂被覆層を形成した生物活性物質粒子の表面温度についてはポットミキサー内部にある該生物活性物質粒子に接触温度計を接触させ測定した。さらに表1の実施例および比較例に示すシリカ3g(樹脂被覆層を有する生物活性物質粒子100質量%に対して、0.3質量%)をポットミキサーに投入しシリカを60r/minで5分間転動して処理させ、樹脂被覆層表面を親水化処理した被覆粒状物を得た。
3.評価方法
(a)初期浮上率の測定
実施例および比較例で製造した被覆粒状物100粒をシャーレ(直径90mm、高さ15mm)に入れ、純水をシャーレの中央から20ml/minの速度で注水した。40ml注水後シャーレの側面を軽く揺らした後、水面に浮上している被覆粒状物の数を計測し、その割合を初期浮上率とした。
(b)経時後浮上率
経時後浮上率は、実施例および比較例で製造した被覆粒状物を25℃設定のインキュベーター内にて保存し、被覆粒状物の製造から90日後に(a)と同様の方法で測定した。
(c)被覆粒状物中のシリカの含有量測定
2.に記載の樹脂被覆層表面の親水化処理後に採取した、樹脂被覆層表面にシリカ層を形成した被覆粒状物を用い、目開き2mmφ篩の振動篩(電動ふるいANF−30、日陶科学製)で1分間振動させた後、篩下の容器内とポットミキサー内を水洗した。水洗した液を濾紙上で濾過し、その後、濾紙を乾燥させ重量変化を測定し、親水化処理の際にポットミキサー内に残留したシリカおよび振動篩によって振り落された容器内のシリカ(樹脂被覆層に添着しなかったシリカ)の合計量を求めた。ポットミキサーに投入したシリカの量からこれらのシリカの合計量を除いた量を被覆粒状物の量で除算した値を被覆粒状物中のシリカの含有量(質量%)とした。
(d)被覆粒状物の溶出測定
実施例及び比較例で得られた被覆粒状物(以下、サンプルとする)について、水中溶出挙動の測定を実施した。実施例及び比較例のサンプル10gとあらかじめ25℃に調整をした蒸留水200mlとを250mlの蓋付きポリ容器に投入し、25℃設定のインキュベーターにて静置した。7日後、該容器から水を全て抜き取り、抜き取った水に含まれる尿素量(尿素溶出量)を定量分析(ジメチルアミノベンズアルデヒド法 「詳解肥料 分析法 第二改訂版」養賢堂)により求めた。水を抜き取った後のサンプルと蒸留水200mlを再度該容器に入れ、前述のように静置した。尿素溶出量の積算値が、予め同一試料の被覆粒状肥料を用いて測定した尿素含有量の80質量%に達する迄この操作を繰り返した。
その後、該実施例及び比較例のサンプルを乳鉢ですりつぶし、その内容物を水200mlに溶解後上記と同様の方法で尿素残量を定量分析した。積算尿素溶出量と尿素残量を加えた量を尿素全量とし、水中に溶出した尿素の溶出累計と日数の関係をグラフ化して溶出速度曲線を作成し、80質量%溶出率に至る日数を求めた。
(e)親水化処理未実施品の溶出測定
従来、被覆粒状肥料の親水化処理として樹脂被覆層に低融点の界面活性剤を添着させていたが、溶出速度への影響があった。本発明の被覆粒状肥料は、親水化処理として樹脂被覆層に低融点の界面活性剤を添着させる代わりにシリカの添着を行っている。シリカ添着による親水化処理の溶出速度への影響を調べるため、親水化処理未実施品の溶出測定を行った。
上記「1.樹脂被覆層の形成」で得られた被覆尿素(親水化処理未実施品)について、(d)と同様の方法で溶出日数を測定した。実施例及び比較例のサンプルと親水化処理未実施品で80質量%に到達する溶出日数の変化の割合が±0〜5%であれば影響なし、±5%以上で影響ありと評価した。この評価法は例えば、親水化処理未実施品の80質量%溶出日数が100日である場合、実施例および比較例で製造したサンプルの80質量%溶出日数が、その5%である5日以内である95〜105日であれば、溶出速度への影響なしになり、106日以上の場合は溶出速度への影響ありということである。
(f)経時後溶出測定
経時後溶出測定は、実施例および比較例で製造したサンプルを25℃設定のインキュベーター内にて保存し、サンプルの製造から90日後に(d)と同様の方法で測定した。製造直後のサンプルと経時後のサンプルで80質量%に到達する溶出日数の変化の割合が±0〜5%であれば影響なし、±5%以上で影響ありと評価した。この評価法は例えば、実施例および比較例で製造した直後のサンプルの80質量%溶出日数が100日である場合、継時後のサンプルの80質量%溶出日数が、その5%である5日以内である95〜105日であれば、溶出速度への影響なしになり、106日以上の場合は溶出速度への影響ありということである。
*沈降性1:沈降性シリカ;エボニックデグザジャパン製、商品名、カープレックス♯80、比表面積200m2/g
*沈降性2:沈降性シリカ;東ソー・シリカ製、商品名、ER、比表面積110m2/g
*ゲル1:ゲルシリカ;エボニックデグザジャパン製、商品名、カープレックスBS−306、比表面積400m2/g
*ゲル2:ゲルシリカ;エボニックデグザジャパン製、商品名、カープレックスBS−304、比表面積430m2/g
※1被覆粒状物の初期浮上率評価結果
◎:0%≦初期浮上率<10%であれば、浮上防止効果は非常に大きい。
○:10%≦初期浮上率<30%であれば、浮上防止効果は大きい。
×:30%≦初期浮上率<100%であれば、浮上防止効果は小さい。
※2被覆粒状物中のシリカの含有量測定結果(シリカ添着結果)
◎:0.2質量%≦シリカ含有量≦0.3質量%であれば、シリカ添着が良好。
○:0.1質量%≦シリカ含有量<0.2質量%であれば、シリカ添着が充分。
×:0.0質量%≦シリカ含有量<0.1質量%であれば、シリカ添着が不充分。
4.評価結果
表1に実施例1〜7、比較例1〜12についての評価結果を示す。実施例1〜7では浮上率が低い値を示した。特に実施例2〜3および実施例5〜7がより浮上防止効果が大きい結果となった。これに対して比較例1〜3および比較例5〜7ではシリカ添着時の表面温度が低くなるほど、高い浮上率を示した。比較例9〜12ではゲルシリカを使用した事で沈降性シリカと比較して水分吸収速度が遅いため浮上防止効果が弱く高い浮上率を示したものと推察された。
続いて、実施例1〜7はシリカがポットミキサー内にほとんど残存せず、振動篩処理中に発塵して添着したシリカが離脱することもなく、充分にシリカが添着していた。特に、実施例2〜3および5〜7のシリカ添着が良好であった。比較例1〜3、5〜7および9〜12はシリカが添着せずにポットミキサーに残存したか、振動篩処理中に発塵して添着したシリカが離脱したか、その両方であった。特にゲルシリカはポットミキサー内に多くの残存物が認められた。また、硬化ひまし油の融点よりも高温で処理した比較例4および8は残存シリカが見られず、シリカ添着は良好であったが、浮上防止効果が弱く高い浮上率を示した。
溶出率80質量%に到達する日数に関しては、親水化処理未実施品(樹脂被覆層にシリカが添着していないサンプル)と比較して、実施例1〜7および比較例1〜12の全てについて溶出速度への影響なしとなった。また、実施例および比較例で製造してから90日経過したものも、製造直後のもの(実施例1〜7および比較例1〜12)についての結果と変わらず溶出速度への影響なしとなった。
5.水稲栽培用配合肥料の調整および栽培
実施例2の被覆粒状物23質量部と公知化成肥料77質量部を用いて水稲栽培用配合肥料(窒素−りん酸−加里=20−10−10(質量部))を調製した。該配合肥料を用いる以外は慣行法に準じて水稲栽培を実施した結果、窒素の追肥を行った慣行栽培法と全く遜色のない収穫量が得られた。
1.流動層
2.スプレーノズル
3.粒子
4.熱風
5.噴霧液
6.集塵機
7.コンデンサー
8.ブロワー
9.溶解槽
10.ポンプ
11.タンク
12.ヒーター
13.抜き出し口

Claims (9)

  1. ワックスおよび樹脂を含む被覆材により被覆された生物活性物質粒子の樹脂被覆層表面を、45℃以上、Tm℃以下(該ワックスの融点をTm℃とする)の温度にて沈降性シリカで処理する、該樹脂被覆層の表面上に沈降性シリカ層が形成された被覆粒状物の製造方法。
  2. ワックスが植物油脂、合成ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、石油ワックス、および飽和脂肪酸から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の被覆粒状物の製造方法。
  3. ワックスが、樹脂被覆層全量100質量%中、3質量%〜70質量%含まれる、請求項1または2に記載の被覆粒状物の製造方法。
  4. 樹脂が、樹脂被覆層全量100質量%中、10質量%〜95質量%含まれる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の被覆粒状物の製造方法。
  5. 沈降性シリカが被覆粒状物全量100質量%中、0.1質量%〜1.5質量%含まれる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の被覆粒状物の製造方法。
  6. 沈降性シリカの比表面積が20〜400m2/gである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の被覆粒状物の製造方法。
  7. 生物活性物質粒子が肥料を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の被覆粒状物の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の被覆粒状物の製造方法で製造された被覆粒状物と、生物活性物質の粒状物とを含む、粒状混合物。
  9. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の被覆粒状物の製造方法で製造された被覆粒状物、または請求項8に記載の粒状混合物を使用する、植物の栽培方法。
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