JP2019082149A - 斜板 - Google Patents
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Abstract
【課題】樹脂コーティング層における不均一な摩耗を抑制する。【解決手段】一実施形態に係る斜板は、圧縮室側の第1相手材と対向する第1表面及び反圧縮室側の第2相手材と対向する第2表面を含む環形状を有する基材と、前記第1表面の全面に形成され、摺動方向と非平行な方向に延びる複数の第1溝と、前記第1表面に形成され、前記第1相手材との摺動面を形成する第1樹脂コーティング層とを有し、前記第1溝は、前記第1表面のうち前記圧縮室の圧縮率が最高となるときの前記第1相手材と摺動する位置を含む第1領域において、他の領域よりも高い密度で形成される。【選択図】図4
Description
本発明は、斜板式コンプレッサーにおいて用いられる斜板に関する。
基材上に樹脂コーティング層を形成した斜板において、樹脂コーティング層の表面に溝を形成する技術が知られている(例えば特許文献1乃至3)。
本願の発明者らは、斜板において基材上にある種の溝を形成すると、その上に形成された樹脂コーティング層において不均一な摩耗が発生するという問題を見いだした。
これに対し本発明は、樹脂コーティング層における不均一な摩耗を抑制する技術を提供する。
本発明は、圧縮室側の第1相手材と対向する第1表面及び反圧縮室側の第2相手材と対向する第2表面を含む環形状を有する基材と、前記第1表面に形成され、摺動方向と非平行な方向に延びる複数の第1溝と、前記第1表面に形成され、前記第1相手材との摺動面を形成する第1樹脂コーティング層とを有し、前記第1溝は、前記第1表面のうち前記圧縮室の圧縮率が最高となるときの前記第1相手材と摺動する位置を含む第1領域において、他の領域よりも高い密度で形成される斜板を提供する。
この斜板は、前記第2表面に形成され、摺動方向と非平行な方向に延びる複数の第2溝と、前記第2表面に形成され、前記第2相手材との摺動面を形成する第2樹脂コーティング層とを有し、前記第2溝は、前記第2表面のうち前記圧縮室の圧縮率が最低となるときの前記第2相手材と摺動する位置を含む第2領域において、他の領域よりも高い密度で形成されてもよい。
前記第1表面に垂直な位置にある視点から見たときに、前記第1領域と前記第2領域とが異なる位置にあってもよい。
前記第1領域及び前記第2領域の大きさが異なってもよい。
前記複数の第1溝は、前記環の中心から放射状に延びてもよい。
前記複数の第2溝は、前記環の中心から放射状に延びてもよい。
本発明によれば、樹脂コーティング層における不均一な摩耗を抑制することができる。
1.構成
図1は、一実施形態に係るコンプレッサー1の構造を示す断面模式図である。コンプレッサー1は、いわゆる斜板式コンプレッサーである。コンプレッサー1は、シャフト2、斜板3、ピストン4、及びシュー5を有する。シャフト2は、ハウジング(図示略)に対して回転可能に支持されている。斜板3は、シャフト2の回転軸に対して斜めに固定されている。斜板3は、本発明に係る摺動部材の一例である。ピストン4は、ハウジングに設けられたシリンダボア(図示略)内を往復運動する。シュー5は、斜板3とピストン4との間に設けられており、斜板3及びピストン4とそれぞれ摺動する。シュー5において、斜板3と摺動する面はほぼ平坦であり、ピストン4と摺動する面はドーム状(半球状)の形状を有している。シュー5は、本発明に係る摺動部材と摺動する相手材の一例である。シャフト2の回転は、斜板3によりピストン4の往復運動に変換される。なお図示は省略しているが、コンプレッサー1の圧縮室は図1の右側に存在する。
図1は、一実施形態に係るコンプレッサー1の構造を示す断面模式図である。コンプレッサー1は、いわゆる斜板式コンプレッサーである。コンプレッサー1は、シャフト2、斜板3、ピストン4、及びシュー5を有する。シャフト2は、ハウジング(図示略)に対して回転可能に支持されている。斜板3は、シャフト2の回転軸に対して斜めに固定されている。斜板3は、本発明に係る摺動部材の一例である。ピストン4は、ハウジングに設けられたシリンダボア(図示略)内を往復運動する。シュー5は、斜板3とピストン4との間に設けられており、斜板3及びピストン4とそれぞれ摺動する。シュー5において、斜板3と摺動する面はほぼ平坦であり、ピストン4と摺動する面はドーム状(半球状)の形状を有している。シュー5は、本発明に係る摺動部材と摺動する相手材の一例である。シャフト2の回転は、斜板3によりピストン4の往復運動に変換される。なお図示は省略しているが、コンプレッサー1の圧縮室は図1の右側に存在する。
図2は、斜板3の形状を例示する図である。図2は、摺動面に垂直な方向から見た図である。斜板3は、全体として中央部に孔39を有する円板形状(ドーナツ形状又は環形状)を有する。斜板3から見ると、シュー5は、摺動面上を回転運動している。ここで回転運動とは、斜板3に対してシュー5が円弧状又は円状の軌跡を描く運動をいう。例えば圧縮室側の摺動面を考えたとき、ピストン4が最も引き出された位置(圧縮率最低)から最も押し込まれた位置(圧縮率最高)までは圧縮室に向かって力がかかるので、シュー5は斜板3と摺動している。しかし、ピストン4が最も押し込まれた位置から最も引き出された位置に向かうときには圧縮室と反対側に力がかかるので、シュー5が斜板3の摺動面から浮き上がる場合がある。軌跡を円弧状というのはこのためである。なお、孔39はシャフト2を受けるための孔である。
図3は、斜板3の断面構造を例示する図である。図3は、シュー5との摺動面に垂直な断面における構造を示す模式図である。斜板3は、基材31、コーティング層32、及びコーティング層33を有する。コーティング層32及びコーティング層33はいずれもシュー5と摺動する。コーティング層32及びコーティング層33は、いずれも、本発明に係る樹脂コーティング層の一例である。基材31は、中央部に孔を有する円板形状を有しており、要求される特性を満たす金属、例えば、鉄系、銅系、又はアルミニウム系の合金により形成される。シュー5との凝着を防ぐ観点から、基材31はシュー5とは異なる材料で形成されることが好ましい。
コーティング層32は、斜板3の摺動面の特性を改善するために設けられている。コーティング層32は、少なくともバインダー樹脂を含む。この点からコーティング層32は樹脂コーティング層の一例である。バインダー樹脂は、例えば熱硬化性樹脂により形成される。熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアミド(PA)、及びポリイミド(PI)、エポキシ、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、及びフェノール系樹脂の少なくとも1種が用いられる。コーティング層32は、添加剤として固体潤滑剤を含んでもよい。固体潤滑剤は、潤滑特性を改善するため、すなわち摩擦係数を低減するために添加される。コーティング層32は、例えば、20〜70vol%の固体潤滑材を含む。固体潤滑剤としては、例えば、MoS2、グラファイト(Gr)、カーボン、フッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等)、軟質金属(Sn,Bi等)、WS2、及びh−BNの少なくとも1種が用いられる。コーティング層32は、添加剤として硬質粒子を含んでもよい。硬質粒子としては、例えば、酸化物、窒化物、炭化物、及び硫化物の少なくとも1種が用いられる。
コーティング層32の摩滅を防止する観点から、コーティング層32の厚さは10μm以上であることが好ましく、15μm以上であることがより好ましく、20μm以上であることがさらに好ましい。例えば、コーティング層32の厚さが5μm未満であると、コーティング層32が摩耗して基材31が露出してしまう場合がある。基材31が露出すると、摩擦係数が増大したり、シュー5と凝着したりする問題が発生する。また、コーティング層32の膜厚が厚すぎるとかえって耐焼付き性が低下する場合があることから、50μm以下であることが好ましい。コーティング層33の材料及び厚さについては、コーティング層32と同様である。
図4は、基材31の表面形状を例示する図である。図4(A)は、後面(圧縮室側:図1の右側)においてシュー5(第1相手材の一例)対向する表面315(第1表面の一例)を、図4(B)は、前面(反圧縮室側:図1の左側)においてシュー5(第2相手材の一例)と対向する表面311(第2表面の一例)を、それぞれ示す。
基材31の表面315には、複数の溝316が形成される。この例において、複数の溝316は、中心Csから放射状に延びる溝である。溝316は、領域317以外の領域においてはほぼ等間隔に形成されている、領域317においては、他の領域よりも高い密度で溝316が形成される。領域317は、コンプレッサーの運転において摩耗が発生しやすい領域、すなわちシュー5から受ける面圧が相対的に高い領域である。具体的には、圧縮率が最高となる運転状態においてシュー5と摺動する位置Pm1の周辺領域(Pm1を含む領域)である。圧縮率が最高の運転状態におけるシュー5の位置を0°として、中心Csとなす角により、表面311上の位置を極座標で表すと、領域317はθ=0°〜150°及び210°〜360°であることが好ましく、θ=0°〜90°及び270°〜360°であることがより好ましく、θ=0°〜60°及び300°〜360°であることがさらに好ましい。なおこの例において溝316は表面315の全面に形成されているが、表面315の一部において溝316が形成されていない領域が存在してもよい。
基材31の表面311には、複数の溝312が形成される。この例において、複数の溝312は、基材31の環の中心Csから放射状に延びる溝である。溝312は、領域313以外の領域においてはほぼ等間隔に形成されている、領域313においては、他の領域よりも高い密度で溝312が形成される。領域313は、コンプレッサーの運転において摩耗が発生しやすい領域、すなわちシュー5から受ける面圧が相対的に高い領域である。具体的には、圧縮率が最低となる運転状態においてシュー5と摺動する位置Pm2の周辺領域(Pm2を含む領域)である。領域313はθ=150°〜210°であることが好ましい。なおこの例において溝312は表面311の全面に形成されているが、表面311の一部において溝312が形成されていない領域が存在してもよい。
溝312と溝316とは基材31の表裏にそれぞれ形成されるが、中心Csから表面311に垂直な位置にある視点から見たときに、領域313及び領域317は、それぞれ異なる位置に形成される(領域317の表面311への射影は、領域313とは異なっている)。また、領域313及び領域317は、その大きさが異なっている(領域317の方が大きい)。本願の発明者らの知見によれば、これらの領域が、斜板3において損傷が生じやすい領域である。このように、領域313及び領域317の位置、形状、及び大きさが異なることにより、基材31の各表面に適した表面形状を得ることができる。
図5は、溝312の形状を例示する図である。図5は、溝312を表面311に垂直な方向から見た模式図である。この例において、溝312は、レーザー加工により形成される。レーザー加工とは、レーザー光のエネルギーを利用した加工技術をいう。具体的には、溝312は、基材31に対し、レーザー光をパルス照射しつつ、照射位置を移動することにより形成される。パルス1回のレーザー光照射により、ほぼ円形の凹部(穴)が形成される。照射位置を放射状に移動させることにより、放射状の溝312が形成される。摺動方向に平行な断面において、複数の溝312はほぼ円弧形状を有する。隣り合う溝312の底部の間隔p1は例えば10〜100μmであり、溝312の開口部の幅w1は例えば10〜100μmである。この例において、間隔p1と幅w1とはほぼ等しい。一例において、間隔p1は40〜80μmである。なお、間隔p1は幅w1よりも大きくてもよい。摺動方向に垂直な断面において、溝312は平坦では無く、レーザー光のスポットに起因する微小の凹凸を有する。一例において、この凹凸の間隔p2は、10〜30μmである。なお、溝316の構造も溝312と同様である。
図6は、コーティング層32の表面形状を例示する図である。コーティング層32の表面321は、シュー5と摺動する摺動面となる。表面321には、複数の溝322が形成される。この例において、溝322は、孔39の中心Csから表面321に垂直な方向に移動した位置にある視点から見て、孔39と中心を共通にする同心円の形状を有する。複数の溝322において、隣り合う溝322の底部の間隔p2及び溝322の幅w2は、それぞれ間隔p1及び幅w1と同程度である。なお、間隔p2及び幅w2は、間隔p1及び幅w1と異なっていてもよい。
ここで、本願発明が解決しようとする課題について詳細に説明する。本願の発明者らは、従来、ショットブラストにより行われていた基材31の表面311の粗面化処理を、レーザー加工で代替すべく開発を進めていた。まず、表面311に、孔39の中心と中心を共通とする同心円状の溝を有する基材31を試作した。この基材31の上に樹脂コーティング層を形成した斜板に対して摩耗試験を行ったところ、発明者らは特異な摩耗が発生することを発見した。
図7は、特異な摩耗を説明する図である。図7(A)が通常の摩耗を、図7(B)が特異な摩耗を、それぞれ示している。通常の摩耗において、使用後の摺動面はほぼ平坦である。これに対し、特異な摩耗において、コーティング層32の表面は、基材31の表面311に形成された溝にならって摩耗する。すなわち、コーティング層32において、溝に相当する部分は他の部分よりも深く摩耗する。このような不均一な摩耗により、使用後の摺動面には、基材31の表面311に形成された溝にならった凹凸(溝)が形成される。
予期せぬ不具合を回避するため、このような不均一な摩耗を低減することが望まれる。不均一な摩耗が発生する原因について、本願の発明者らは以下の仮説を立てた。同心円状の溝を有する基材31を用いた例では、コーティング層32において摺動方向の凹凸が少ないため、摺動方向に発生するせん断力に対抗する力が働きにくい。そのため溝に沿った方向すなわち摺動方向への摩耗が進行しやすい。さらに、摩耗は、相手材から受ける力が強い位置において最も進行しやすい。この仮説に基づき、本願の発明者らは、摺動方向に発生するせん断力に対抗する力が働きやすい表面構造を着想した。
2.製造方法
図8は、斜板3の製造方法を例示するフローチャートである。ステップS1において、基材31が準備される。基材31の準備には、例えば、表面の研削及び洗浄液を用いた洗浄を含む。ステップS2において、基材31の表面311に溝312が形成される。溝312は、例えばレーザー加工により形成される。ステップS3において、表面311の洗浄が行われる。この洗浄は、例えば、アルコール等の洗浄液を用いずにエアブローにより行われる。ステップS4において、基材31上にコーティング層32の前駆体物質が塗布される。前駆体物質の塗布は、例えば、ロールコート又はパッド印刷による行われる。ステップS5において、コーティング層32が乾燥及び焼成される。ステップS6において、コーティング層32の表面321に溝322が形成される。溝322は、例えば切削加工により形成される。
図8は、斜板3の製造方法を例示するフローチャートである。ステップS1において、基材31が準備される。基材31の準備には、例えば、表面の研削及び洗浄液を用いた洗浄を含む。ステップS2において、基材31の表面311に溝312が形成される。溝312は、例えばレーザー加工により形成される。ステップS3において、表面311の洗浄が行われる。この洗浄は、例えば、アルコール等の洗浄液を用いずにエアブローにより行われる。ステップS4において、基材31上にコーティング層32の前駆体物質が塗布される。前駆体物質の塗布は、例えば、ロールコート又はパッド印刷による行われる。ステップS5において、コーティング層32が乾燥及び焼成される。ステップS6において、コーティング層32の表面321に溝322が形成される。溝322は、例えば切削加工により形成される。
3.実施例
(1)試料の準備
図9は、実施例及び比較例における基材31の表面形状を示す図である。比較例(図9(A))においては、レーザー加工を用いて同心円状の溝312が形成された。レーザー光のパルス照射により形成される凹部の、加工処理の進行方向(この場合、進行方向はほぼ摺動方向に等しい)における間隔は10〜30μmであり、進行方向と垂直な方向における間隔は40〜80μmであった。摺動方向に沿った、加工後の表面粗さは約8μm(RzJIS)であった。実施例(図9(B))においては、レーザー加工を用いて放射状の溝312が形成された。加工後の表面粗さは、約6μm(RzJIS)であった。
(1)試料の準備
図9は、実施例及び比較例における基材31の表面形状を示す図である。比較例(図9(A))においては、レーザー加工を用いて同心円状の溝312が形成された。レーザー光のパルス照射により形成される凹部の、加工処理の進行方向(この場合、進行方向はほぼ摺動方向に等しい)における間隔は10〜30μmであり、進行方向と垂直な方向における間隔は40〜80μmであった。摺動方向に沿った、加工後の表面粗さは約8μm(RzJIS)であった。実施例(図9(B))においては、レーザー加工を用いて放射状の溝312が形成された。加工後の表面粗さは、約6μm(RzJIS)であった。
上記の表面加工がされた基材31の上に、樹脂コーティング層が形成された。バインダー樹脂としてはPAIが用いられ、固体潤滑剤としてMoS2及びグラファイトが用いられた。
(2)摩耗試験
以下の条件(いわゆる貧潤滑条件)で摩耗試験を行った。
潤滑方式:オイルミスト噴霧
潤滑量:0.22mg/min
周速:4.2m/s
面圧:3.2MPa
試験時間:20min
雰囲気:大気中
以下の条件(いわゆる貧潤滑条件)で摩耗試験を行った。
潤滑方式:オイルミスト噴霧
潤滑量:0.22mg/min
周速:4.2m/s
面圧:3.2MPa
試験時間:20min
雰囲気:大気中
(3)試験結果
図10は、摩耗試験後における樹脂コーティング層の表面状態を示す模式図である。図10(A)は実施例の結果を、図10(B)は比較例の結果を、それぞれ示す。比較例においては、摺動方向に基材31上の溝312と同等の間隔で、約2〜3μmの深さの溝が存在した。すなわち、不均一な摩耗が発生した。一方で、実施例においては、試料の表面に溝は存在せずほぼ平坦(0.3μmRa程度)であった。このように、実施例によれば、不均一な摩耗を抑制することができる。
図10は、摩耗試験後における樹脂コーティング層の表面状態を示す模式図である。図10(A)は実施例の結果を、図10(B)は比較例の結果を、それぞれ示す。比較例においては、摺動方向に基材31上の溝312と同等の間隔で、約2〜3μmの深さの溝が存在した。すなわち、不均一な摩耗が発生した。一方で、実施例においては、試料の表面に溝は存在せずほぼ平坦(0.3μmRa程度)であった。このように、実施例によれば、不均一な摩耗を抑制することができる。
この実施例によれば、基材31において摺動方向と直交する(すなわち非平行な)溝を形成することにより、不均一な摩耗を抑制することが分かった。実施例の試験では摺動面に与えられる面圧は一定であったが、実際のコンプレッサーにおいては斜板3にかかる面圧は一定ではなく周方向の位置に依存して異なっており、面圧が高い領域において摩耗が起こりやすいと考えられる。したがって、不均一な摩耗を効果的に抑制する観点から、面圧が高い領域において溝312の密度が他の領域よりも高くなっていればよい。
実施例に係る斜板は、樹脂コーティング層の不均一な摩耗を抑制できるだけでなく、基材31の表面311の全面に高い密度で溝を形成した例と比較して、必要な部分のみに高密度な溝を形成することでレーザー加工に要する時間を削減し、粗面化工程を安価にすることができる。
4.変形例
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。以下、変形例をいくつか説明する。以下の変形例のうち2つ以上のものが組み合わせて用いられてもよい。
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。以下、変形例をいくつか説明する。以下の変形例のうち2つ以上のものが組み合わせて用いられてもよい。
表面311及び表面315のうち一方の表面において溝は省略されてもよい。少なくともいずれか一方の表面において溝312又は溝316が形成されていれば、不均一な摩耗を抑制する効果は得られる。また、溝312及び溝316は、中心Csから放射状に延びる形状に限定されない。例えば、他の領域においては一方向に延びる複数の溝312が、領域313においては直交する2方向に延びてもよい。また、溝312は直線であるものに限定されず、曲線や波形であってもよい。
溝322の形状は実施形態において例示したものに限定されない。例えば、溝322は、同心円、渦巻き、又は格子など他の形状を有してもよい。
基材31は単一の材料で形成されたものに限定されない。例えば、鋼製の裏金の上に銅合金のライニング層が形成された2層構造のもの、さらには3層以上の構造のものが用いられてもよい。
1…コンプレッサー、2…シャフト、3…斜板、4…ピストン、5…シュー、31…基材、32…コーティング層、33…コーティング層、39…孔、311…表面、312…溝、321…表面、322…溝
Claims (6)
- 圧縮室側の第1相手材と対向する第1表面及び反圧縮室側の第2相手材と対向する第2表面を含む環形状を有する基材と、
前記第1表面に形成され、摺動方向と非平行な方向に延びる複数の第1溝と、
前記第1表面に形成され、前記第1相手材との摺動面を形成する第1樹脂コーティング層と
を有し、
前記第1溝は、前記第1表面のうち前記圧縮室の圧縮率が最高となるときの前記第1相手材と摺動する位置を含む第1領域において、他の領域よりも高い密度で形成される
斜板。 - 前記第2表面に形成され、摺動方向と非平行な方向に延びる複数の第2溝と、
前記第2表面に形成され、前記第2相手材との摺動面を形成する第2樹脂コーティング層と
を有し、
前記第2溝は、前記第2表面のうち前記圧縮室の圧縮率が最低となるときの前記第2相手材と摺動する位置を含む第2領域において、他の領域よりも高い密度で形成される
請求項1に記載の斜板。 - 前記第1表面に垂直な位置にある視点から見たときに、前記第1領域と前記第2領域とが異なる位置にある
請求項2に記載の斜板。 - 前記第1領域及び前記第2領域の大きさが異なる
請求項2乃至3のいずれか一項に記載の斜板。 - 前記複数の第1溝は、前記環の中心から放射状に延びる
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の斜板。 - 前記複数の第2溝は、前記環の中心から放射状に延びる
請求項2乃至5のいずれか一項に記載の斜板。
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Legal Events
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