JP2019081973A - 不織布の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】不織布に対して発泡塗工液を塗工ヘッドから塗工する場合の塗工性が良好である不織布の製造方法の提供。【解決手段】不織布に対して発泡塗工液を塗工ヘッドから塗工する塗工工程を含み、発泡塗工液が界面活性剤を含み、塗工ヘッドの幅当たりの発泡塗工液の体積送り量が55L/min/m以上である、不織布の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、不織布の製造方法に関する。
不織布は、衛生材料の表面材などとして多く用いられている。不織布には、尿や血液等の体液を弾きやすく、体液透過性に劣るものがあるため、不織布の表面に対して親水性の界面活性剤を付与して衛生材料の表面材とし、体液透過性を向上させることがある。
不織布に用いる界面活性剤の塗工量を少なくする観点から、不織布などの繊維に対して界面活性剤などの処理剤を付与する際に、泡クリームを用いる方法が知られている(特許文献1参照)。
特開平5−329183号公報
本発明が解決しようとする課題の一つは、不織布に対して発泡塗工液を塗工ヘッドから塗工する場合の塗工性が良好である製造方法を提供することである。
本実施形態にかかる不織布の製造方法は、不織布に対して発泡塗工液を塗工ヘッドから塗工する塗工工程を含み、
発泡塗工液が界面活性剤を含み、
塗工ヘッドの幅当たりの発泡塗工液の体積送り量が55L/min/m以上である。
本発明によれば、不織布に対して発泡塗工液を塗工ヘッドから塗工する場合の塗工性を良好にできる。
図1は、本実施形態にかかる不織布の製造方法に用いられる装置の好ましい態様の一例を示す概略図である。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施形態・実施例の一つであるが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[不織布の製造方法]
本実施形態にかかる不織布の製造方法は、不織布に対して発泡塗工液を塗工ヘッドから塗工する塗工工程を含み、
発泡塗工液が界面活性剤を含み、
塗工ヘッドの幅当たりの発泡塗工液の体積送り量が55L/min/m以上である。
一般に、不織布などの繊維に対して界面活性剤などの処理剤を付与する方法としては、処理剤の溶液を繊維に塗工する塗工法、処理剤の溶液中に繊維を浸漬する浸漬法、処理剤の溶液を繊維に噴霧するスプレー法が用いられている。これに対し、本製造方法では、不織布に対して発泡塗工液を塗工ヘッドから塗工する方法を用いる。発明者は、塗工ヘッドの幅当たりの発泡塗工液の体積送り量に注目し、特定の範囲に制御することにより、不織布に対して発泡塗工液を塗工ヘッドから塗工する場合の塗工性を良好にできることを見出した。
なお、本製造方法では、不織布の表面に界面活性剤の所望量を薄膜状で存在させられるので、含浸法における含浸や絞りによる量の調整が不要である。また、本製造方法では、含浸法や、ダイコーターやロールコーターを用いる方法の塗工法に比べて、高濃度の界面活性剤を含む塗工液を使用できるので、乾燥工程におけるエネルギー量を少なくできる。
以下、本実施形態のより好ましい態様を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本不織布の製造方法に用いられる装置の好ましい態様の一例を示す概略図である。
図1に示した装置を用いて不織布の製造方法を行う場合、送り出しロール13から不織布1が送り出される。不織布1の基材送り速度(搬送速度)は、10〜1000m/minであることが好ましく、100〜800m/minであることがより好ましい。
<発泡工程>
不織布の製造方法は、発泡塗工機を用いて塗工液を発泡させて発泡塗工液を調製する発泡工程を含むことがより好ましい。塗工液を発泡させる場合、発泡塗工機はピン型ミキサーを備えることが好ましい。ピン型ミキサーにより気体と塗工液を撹拌することで、発泡塗工液を形成することが好ましい。
すなわち、本実施形態の不織布の製造方法は、ピン型ミキサーにより気体と塗工液を撹拌して発泡塗工液を調製する発泡工程を含むことがより好ましい。
発泡塗工機としては特に制限はない。発泡塗工機としては、市販品を用いることもできる。例えば、Gaston County Dyeing Machine社製の発泡塗工機を好ましく用いることができる。
(塗工液)
塗工液の組成の好ましい態様は、後述する発泡塗工液の組成の好ましい態様と同様である。したがって、塗工液は界面活性剤を含み、さらに水を溶媒として含むことが好ましく、すなわち界面活性剤の水溶液であることが好ましい。
また、塗工液中には、良好な発泡性及び発泡塗工液の安定性を付与するため、起泡剤や安定剤等が添加されていてもよい。
−塗工液の動的表面張力−
特定の動的表面張力の塗工液を用いることで、安定な発泡を維持し、不織布の面内における界面活性剤の均一性を確保できる。
発泡塗工液を発泡していない状態の塗工液とする場合に、塗工液の動的表面張力が36mN/m以下であることが好ましい。
動的表面張力は、最大バブルポイント法により塗工液の動的表面張力を25℃で測定する場合において、気泡寿命100msにおける動的表面張力の値S100である。
塗工液の動的表面張力は、S100として35.5mN/m以下であることがより好ましく、35mN/m以下であることが特に好ましい。
塗工液の動的表面張力は、S100として20mN/m以上であることが好ましく、30mN/m以上であることがより好ましく、33mN/m以上であることが特に好ましく、34mN/m以上であることがより特に好ましい。
塗工液(発泡前の塗工液)は、界面活性剤を溶媒(好ましくは水)で希釈して調製することが好ましい。塗工液の希釈濃度(塗工液に対する、界面活性剤の濃度)は、2質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることが特に好ましい。
界面活性剤を希釈する水のアメリカ硬度は60mg/L以下であることが好ましく、40mg/L以下であることがより好ましく、20mg/L以下であることが特に好ましい。界面活性剤を希釈する水のアメリカ硬度の下限値は特に制限はなく、0mg/L以上とすることができる。界面活性剤を希釈する水のアメリカ硬度は0mg/Lであることが特に好ましい。
(界面活性剤)
界面活性剤は特に制限はなく、不織布に付与した場合に親水性不織布にできることが好ましく、不織布に液体透過性を付与できることがより好ましい。
界面活性剤としては、表面張力低下作用の大きいものを使用するのが好ましい。例えば、アミンオキシド型界面活性剤、アルキルリン酸カリ塩やジアルキルスルホコハク酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤、又はエーテル型シリコーン等のノニオン性界面活性剤が好ましく、アミンオキシド型界面活性剤がより好ましい。アミンオキシド型界面活性剤としては、炭素数1以上、24以下のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキルアミンオキシド又はアルケニルアミンオキシドが好ましい。
より好ましいアミンオキシドとしては、下記の一般式(A1)で表されるアミンオキシドを挙げることができる。
Figure 2019081973
〔式中、R1aは、炭素数8以上、24以下のアルキル基又はアルケニル基を示し、R2a及びR3aは、同一又は異なって、それぞれ、炭素数1以上、3以下のアルキル基を示し、Dは、−NHC(=O)−基又は−C(=O)NH−基を示し、Eは、炭素数1以上、5以下のアルキレン基を示し、m及びnはm=0かつn=0又はm=1かつn=1を示す。〕
上記一般式(A1)において、R1aは炭素数8以上、24以下のアルキル基又はアルケニル基であるが、炭素数12以上、18以下のアルキル基が好ましい。R2a、R3aは、それぞれ、炭素数1以上、3以下のアルキル基であるが、炭素数1のメチル基が好ましい。また、上記一般式(A1)において、m及びnはm=0かつn=0であることが好ましい。
なかでも、アミンオキシド型界面活性剤としては、炭素数8以上、24以下のアルキル基を有するアルキルジメチルアミンオキシドが好ましく、炭素数10以上、14以下のアルキル基を有するアルキルジメチルアミンオキシドがより好ましく、炭素数12以上、14以下のアルキル基を有するアルキルジメチルアミンオキシドが更に好ましく、ラウリルジメチルアミンオキシドがより更に好ましい。
界面活性剤としては、市販品を用いることもできる。例えば、ラウリルジメチルアミンN−オキシド(花王株式会社製、アンヒトール20N)を好ましく用いることができる。
なお、衛生材料の表面材などとして不織布を用いる場合、不織布および界面活性剤は、貼布試験等で低刺激性の確認されたものを使用することが好ましい。
<塗工工程>
本実施形態の不織布の製造方法は、不織布に対して発泡塗工液を塗工ヘッドから塗工する塗工工程を含み、発泡塗工液の塗工ヘッドの幅あたりの体積送り量(送液量(L/min)×発泡倍率/塗工ヘッドの幅(m))が55L/min/m以上である。
図1に示した装置を用いて不織布の製造方法を行う場合、発泡塗工液2を、発泡塗工機(不図示)の塗工ヘッド11から押し出して、搬送されている不織布1に対して塗工工程を行う。
(塗工ヘッドの幅あたりの体積送り量)
塗工ヘッドの幅あたりの発泡塗工液の体積送り量は、55L/min/m以上であり、60〜200L/min/mであることが好ましく、70〜150L/min/mであることがより好ましい。
(塗工ヘッド)
塗工工程で用いる塗工ヘッドとしては、特に制限はない。
塗工ヘッドとしては、スリットダイを用いることが好ましい。すなわち、スリット状の開口部を持つ塗工ヘッドを用いることが好ましい。
スリットダイを用いる場合、スリット間隔(開口部の幅)は1〜10mmであることが好ましく、2〜8mmであることがより好ましく、3〜5mmであることが特に好ましい。スリット状の開口部を持つ塗工ヘッドを、不織布表面上に設置し、この塗工ヘッドから発泡塗工液を吐出して、長手方向に移動する不織布表面に塗工する方法が好ましい。この方法により、スリット間隔と同一の幅で、発泡塗工液が不織布表面に帯状又は筋状に塗工されるのである。スリットダイによる塗工は元来均一性の高い塗工方法であるものの塗工量が少ないと基材の凸凹の影響を受けやすいが、発泡により塗工液の体積を増やすことで均一性を良好にできる。
(不織布)
不織布(原反)は、特に制限はなく、公知の不織布を用いることができる。
不織布の主成分は特に制限はなく、ポリオレフィン樹脂またはポリエステル樹脂であることが好ましく、ポリオレフィン樹脂であることがより好ましい。本実施形態においては、不織布がポリオレフィン樹脂を50質量%以上含むことが好ましく、80質量%以上含むことがより好ましく、90質量%以上含むことが特に好ましい。ポリオレフィン樹脂およびポリエステル樹脂は疎水性であるため、体液を弾きやすい。不織布は、疎水性樹脂を含むものだけでなく、体液との親和性の良好な親水性樹脂を含んでいてもよい。
ポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンを挙げることができ、ポリプロピレンが好ましい。
不織布の製造方法は特に制限はなく、公知の製造方法で製造された不織布を用いることができる。本実施形態においては、不織布がスパンボンド不織布であることが好ましい。ポリオレフィン長繊維(好ましくはポリプロピレン長繊維)またはポリエステル長繊維が集積されたスパンボンド不織布であることがより好ましい。
不織布の目付量は、10〜50g/m程度のものが使用される。この不織布は、目付が50g/m以下であると柔軟性が高くなり、目付が10g/m以上であると引張強度が向上し、衛生材料の表面材として好ましく用いられる。
不織布の幅は1000〜5000mmであることが好ましく、2000〜4500mmであることがより好ましい。この塗工液・製造方法を用いた場合、幅がある程度広い不織布を用いた場合も、均一性が良好な不織布とすることができる。
(発泡塗工液)
上記発泡塗工液は界面活性剤を含む。発泡塗工液は、泡クリーム状であることが好ましい。泡クリーム状とは、泡状物が安定な状態となっているものを言う。従って、発泡塗工液を不織布の表面に塗工するまで泡が消失しないことが好ましく、塗工した後も泡がすぐには(例えば、後述の乾燥までは)消失しないことが好ましい。例えば、泡クリームは、整髪料や髭剃り用クリームとして使用されている泡状物「ムース」の如きものである。泡クリーム状の発泡塗工液を不織布に塗工すると、発泡塗工液は不織布の表面に薄膜状で存在し、不織布を構成する繊維間隙に浸透しにくく、繊維の間隙による毛細管現象によって発泡塗工液が不織布中で拡散しにくい。
使用する発泡塗工液の安定性は、以下の程度であることが好ましい。
発泡塗工液を形成した後、これをメスシリンダーに採取する。そして、15分間放置した後に、泡が消失して液体と化した質量を測定する。そして、液体と化した質量が、当初の発泡塗工液の質量に対して70質量%以下であるような安定性を示すことが、塗工ヘッド等から泡クリーム状の発泡塗工液として吐出されやすく好ましい。
この発泡塗工液は親水性の溶媒を含むことが好ましく、水を含むことがより好ましい。
発泡塗工液は、気体と塗工液からなることが好ましい。
発泡塗工液の調製方法としては特に制限はなく、気体と塗工液(発泡前の塗工液)を撹拌して形成することが好ましい。
気体としては特に制限はなく、空気を用いることが好ましい。
例えば、塗工液1容積部と、空気等の気体2容積部以上とを発泡塗工機の発泡装置に導入し、発泡装置中で両者を混合及び攪拌して泡を形成することが好ましい。そして、形成された泡全体(すなわち発泡塗工液)の容積が、発泡装置に導入した気体の容積の50%以上となるように調整して製造することが好ましい。この際、発泡装置中に導入する気体の容積が2容積部以上であると、安定な泡クリーム状の発泡塗工液が形成されやすい。
以下、塗工液の体積に対する、気体の体積を、発泡倍率という。発泡倍率は、気体の体積/塗工液の体積の値として求めることができる。
発泡倍率の下限値は、塗工性および均一性の観点から20倍より大きいことが好ましく、30倍以上であることがより好ましく、31倍以上であることが特に好ましい。発泡倍率の上限値は、60倍以下であることが好ましく、50倍以下であることがより好ましく、40倍以下であることが特に好ましい。発泡倍率が上限値以下であると、きめ細かい泡が形成され、径の大きな泡となって消失することがなく、安定な泡クリーム状の発泡塗工液が形成されやすい。なお、界面活性剤の種類及び塗工液の濃度によって、発泡倍率は適宜調整することができる。
さらに、発泡塗工液の容積が、発泡装置に導入した気体の容積の50%以上であると、発泡性が良好であり、発泡塗工液の製造が効率的に行える。
また、発泡倍率は、塗工液に対する気体の導入速度(単位はL/min)/塗工液の送液量(単位はL/min)体積の値として求めてもよい。
この場合、塗工幅当たりの塗工液の送液量は、0.8〜30L/min/mであることが好ましく、1.0〜20L/min/mであることがより好ましく、1.2〜15L/min/mであることが特に好ましい。
−発泡塗工液の温度−
塗工する際の発泡塗工液の温度が10〜50℃であることが好ましく、20〜40℃であることがより好ましく、20〜30℃であることが特に好ましい。
−発泡塗工液の塗工量−
発泡塗工液の塗工量が、100g/m以下であることが好ましく3〜80g/mであることがより好ましく、5〜60g/mであることが特に好ましい。
<乾燥工程>
本実施形態の不織布の製造方法は、塗工工程の後に乾燥工程を含むことが好ましい。
乾燥工程は、公知の乾燥機を用いて行うことが好ましい。
(乾燥機)
乾燥機としては特に制限はない。
図1に示した装置を用いて不織布の製造方法を行う場合、発泡塗工液2を塗工した不織布1を、乾燥機12に搬送し、乾燥を行い、不織布3を得る。
発泡塗工液を塗工された不織布を、搬送しながら熱風乾燥を行うことが好ましい。
乾燥の条件としては特に制限はなく、公知の条件で乾燥することができる。乾燥温度は熱風乾燥の温度(熱電対で測定した温度)が80〜120℃であることが好ましく、90〜110℃であることがより好ましい。
図1に示した装置を用いて不織布の製造方法を行う場合、乾燥機12を通過して得られた不織布3は、巻取ロール14に巻き取られる。ただし、不織布は、巻取ロールに巻き取られた形状に限定されず、平膜状であってもよい。
<不織布>
本実施形態の不織布の製造方法で製造される、不織布について説明する。
不織布は、界面活性剤の塗工量が少ない場合でも面内における界面活性剤の均一性が良好であることが好ましい。
塗工液を発泡させて発泡塗工液とすることで、界面活性剤の塗工量および塗工液の量を少なくしながら良好な界面活性剤の付与をでき、不織布の面内における界面活性剤の均一性を確保できる。
不織布は乾燥されたことが好ましい。塗工液の量が少ない場合、乾燥への負荷が少なく、不織布が硬くなりにくい。
また、不織布は、均一性が良好であり、かつ、塗工量が特性の範囲であることが好ましい。
以下、均一性と塗工量の好ましい範囲について説明する。
(均一性)
この不織布は、下記式1で表される「均一性」の値が2%以下であることが好ましく、1%以下であることがより好ましく、0.50%以下であることが特に好ましい。
式1:
均一性=100%×標準偏差/平均値(%)
標準偏差および平均値は、以下の方法で求める。
不織布の面内で場所を変えて無作為に2.5g分ずつ5箇所でサンプリングし、MQC(Oxford Instrument社製、NMR測定装置)を用いて測定を行った。予め界面活性剤毎に検量線を作成しておき、塗工量を定量化して、界面活性剤の塗工量の平均値および標準偏差を計算する。
(界面活性剤の塗工量)
この不織布では、界面活性剤の塗工量が、0.5g/m以下であることが好ましく、0.05〜0.30g/mであることがより好ましく、0.10〜0.20g/mであることが特に好ましい。
乾燥後における界面活性剤の付与量は、不織布に対して、0.2〜2質量%であることが好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は質量基準である。
[実施例1〜8および比較例1〜3]
<塗工液の調製>
不織布(原反)として、ポリプロピレンのスパンボンド不織布(目付量20g/m、ポリプロピレンを90質量%以上含む、幅3700mm)を用いた。
各実施例および比較例では、以下の界面活性剤Aを用いた。
界面活性剤A:ラウリルジメチルアミンN−オキシド(花王株式会社製、アンヒトール20N)
下記表1に記載のアメリカ硬度0の希釈水を用いて、界面活性剤を濃度1.5質量%に希釈して、塗工液(発泡していない状態の塗工液)を調製した。
Gaston County Dyeing Machine社製の発泡塗工機を用いて、下記表1に記載の送液量で塗工液を送液した。塗工液に対し、ピン型ミキサーである発泡ミキサーから空気を導入し、下記表1に記載の発泡倍率に設定して発泡を行い、発泡塗工液を調製した。
続けて、得られた発泡塗工液を、3500mm幅(塗工ヘッドの幅)で下記表1に記載のスリット間隔のスリットである塗工ヘッドから押し出して、基材送り速度250m/minで搬送されている不織布に対して塗工を行った。発泡塗工液の塗工の際は、不織布に対して塗工する際の発泡塗工液の温度が下記表1に記載の温度となるように設定し、界面活性剤の塗工量(界面活性剤の量に換算した塗工量)が下記表1に記載の塗工量となるように設定した。このとき、各実施例および比較例における発泡塗工液の塗工ヘッドの幅あたり体積送り量(送液量(L/min)×発泡倍率/塗工ヘッドの幅(m))を計算し、下記表1に記載した。
発泡塗工液を塗工した不織布を乾燥機に搬送し、100℃で熱風乾燥を行った。得られた親水性不織布を実施例1〜8、比較例1〜3の親水性不織布とした。
なお、塗工ヘッドから吐出した発泡塗工液200g(容積では3300ml)を容器に採取し、15分間放置した後、泡が消失して液体と化した水溶液の量は129g(容積では129ml)であった。従って、この発泡塗工液の安定性は、64.5%であった。
<塗工性>
発泡塗工機の塗工ヘッド付近において、液だれなどの塗工不良が無いかを目視で観察した。
(評価基準)
○:液だれなどの塗工不良が無い。
×:液だれがあるが全面に塗工されている。
××:部分的に未塗工部が発生する。
得られた結果を、下記表1に記載した。
<均一性>
界面活性剤を塗工した親水性不織布を、面内で場所を変えて無作為に2.5g分ずつ5箇所でサンプリングし、MQC(Oxford Instrument社製、NMR測定装置)を用いて測定を行った。予め界面活性剤毎に検量線を作成しておき、塗工量を定量化して、界面活性剤の塗工量の平均値および標準偏差を計算した。
指標として、下記式1で表される「均一性」の値を使用した。
式1:
均一性=100%×標準偏差/平均値(%)
得られた結果を、下記表1に記載した。
Figure 2019081973
上記表1より、本実施形態の不織布の製造方法は、不織布に対して発泡塗工液を塗工ヘッドから塗工する場合の塗工性が良好であることがわかった。
発泡塗工液の塗工ヘッドの幅あたりの体積送り量が本実施形態で規定する下限値を下回る比較例1〜3の親水性不織布は、塗工性が悪かった。
なお、得られる親水性不織布の均一性に関しても、実施例1〜8で製造した親水性不織布の方が、比較例1〜3で製造した親水性不織布よりも、均一性が良好であった。なお、比較例1の親水性不織布では、均一性は未塗工部があるために算出できなかった。
1 不織布
2 発泡塗工液
3 不織布
11 塗工ヘッド
12 乾燥機
13 送り出しロール
14 巻き取りロール

Claims (6)

  1. 不織布に対して発泡塗工液を塗工ヘッドから塗工する塗工工程を含み、
    前記発泡塗工液が界面活性剤を含み、
    前記塗工ヘッドの幅当たりの前記発泡塗工液の体積送り量が55L/min/m以上である、不織布の製造方法。
  2. 前記塗工ヘッドがスリットダイであり、
    前記スリットダイのスリット間隔が1〜10mmである、請求項1に記載の不織布の製造方法。
  3. ピン型ミキサーにより気体と塗工液を撹拌して前記発泡塗工液を調製する発泡工程を含む、請求項1または2に記載の不織布の製造方法。
  4. 前記不織布がスパンボンド不織布である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の不織布の製造方法。
  5. 前記不織布がポリオレフィン樹脂を50質量%以上含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の不織布の製造方法。
  6. 前記塗工工程の後に乾燥工程を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の不織布の製造方法。
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