JP2019081576A - 持ち運び用包装箱のブランクシート及び持ち運び用包装箱 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、製函が容易ないわゆるワンタッチ底を有し、引き上げられる取っ手を構成可能なスリットが形成された持ち運び用包装箱のブランクシート及び持ち運び用包装箱を提供する。【解決手段】複数の側板部2,3,4,5を組み立てて形成される筒体6と、筒体6の一方の開口部7を塞ぐ天板フラップ8と、筒体6の他方の開口部12を塞ぐ底板フラップ13とを備え、複数の側板部の一つを構成する第1側板部2に連接する第1天板フラップ8から第1側板部2に亘って、かつ、第1側板部2の互いに対向する二辺の中間部まで延びる2本のスリットSが形成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、持ち運び用包装箱のブランクシート及び持ち運び用包装箱に関する。
配送する物品等を梱包する資材として、特許文献1に開示されているような組立が容易なワンタッチ底の構造を有するもの等多種多様な包装箱が開発されている。近年は、ネット通販等の通信販売の拡大に伴い、梱包された商品をコンビニエンスストアや駅等の公共の場に設置された宅配ボックス等、購入者の便宜の良い場所に配送し、それらの場所から購入者が自宅等に持ち帰るという配送形態が広がっている。配送商品には荷重の大きい物もあり、しかも最終目的場所までの持ち運びの便も考慮すると、包装箱に取っ手が設けられて片手で運べるものが望まれる。このような手持ちで運ぶための包装箱としては、業者による運搬時には凹凸のない直方体形状で、手で持ち運びをする際に包装箱の一部を引き起こして取っ手とできるものが開発されている(例えば下記特許文献2,3)。
特許文献2又は3に記載の包装箱は、角筒を形成する側板部と、角筒の開口部を閉じる天板フラップ及び底板フラップとを有している。更に、同包装箱は、天板フラップの一つから側板部を通って対向する底板フラップまで延びるスリットを2本形成し、スリット間を引き上げて取っ手とする構成になっている。天板フラップ及び底板フラップは、共に略矩形に形成され、天板フラップ及び底板フラップをそれぞれ閉じた状態で接着するようになっている。2本のスリットは、側板部の長手方向の両端に亘って形成され、取っ手の中央部が十分に引き上げられるように、天板フラップ及び底板フラップにある程度深く形成されている。
このような従来の包装箱の取っ手は、引き起こし時に端部を箱の内側に入り込ませないといけないため、取っ手の端部において、当該取っ手が形成された天板フラップに重なり合う他の天板フラップ等と貼着させられない。しかし、これらの従来の包装箱は、取っ手の端部が矩形の天板フラップ及び底板フラップのそれぞれの幅方向中央部に形成されているため、同部分を避けても天板フラップ等を塞いで固定しておくことについて特に問題とはなっていなかった。
特開2016−216126号公報 特許第3913789号公報 特許第6042581号公報
特許文献2,3等の従来の包装箱は、ブランク状態では天板フラップ及び底板フラップを接着させておくことができないため製函時に天板フラップ等を接着しなければならず、製函した状態で商品等を詰めて用いるユーザーにとって不便であった。
しかし、特許文献1に示すいわゆるワンタッチ底を有する包装箱は、底板フラップがほぼ台形形状に形成されている。このようなワンタッチ底の底板フラップまで取っ手を形成するスリットを延ばすと接着が不十分となる。したがって、これまでワンタッチ底の包装箱には、取っ手のためのスリットを形成できなかった。
そこで、本発明は、製函が容易ないわゆるワンタッチ底を有し、引き上げられる取っ手を構成可能なスリットが形成された持ち運び用包装箱のブランクシート及び持ち運び用包装箱を提供する。
本発明の持ち運び用包装箱のブランクシートは、複数の側板部を組み立てて形成される筒体と、この筒体の一方の開口部を塞ぐ天板フラップと、前記筒体の他方の開口部を塞ぐ底板フラップとを備え、前記複数の側板部の一つを構成する第1側板部に連接する第1天板フラップから前記第1側板部に亘って、かつ、前記第1側板部の互いに対向する二辺の中間部まで延びる2本のスリットが形成されている。
この構成によれば、スリットの長さをコンパクトにしつつ、取っ手を引き上げ易くすることができる。
本発明の持ち運び用包装箱のブランクシートの前記底板フラップは、偏平に折り畳まれた際に重なり合い、隣り合う底板フラップ同士が連結しており、偏平に折り畳まれた前記筒体の端部間を立ち上げて立体にする動作に伴って前記筒体の開口部を塞ぐワンタッチ底であってもよい。
この構成によれば、取っ手を有する包装箱を非常に容易に製函することができる。
本発明の持ち運び用包装箱のブランクシートの前記2本のスリットは、前記第1天板フラップ側の端部において幅広に形成されていてもよい。
この構成によれば、取っ手を引き上げた際に第1天板フラップ側の端部を第1側板部に係止させることが可能となる。
本発明の持ち運び用包装箱のブランクシートの前記第1側板部は、折り畳まれて外層部及び内層部の2層に形成され、前記2本のスリットは、前記外層部及び前記内層部に貫通し、前記2本のスリットの前記第1側板部側に形成された端部は、前記外層部が前記内層部よりも幅狭に形成されていてもよい。
この構成によれば、取っ手の引き起こし時に、第1側板部側に形成された外層部の端部は引き起こされるが、その下方の内層部の端部は、第1側板部側に係合し外層部の端部と一緒に引き起こされない。したがって、第1側板部側に形成した端部の引き起こし起点が変わるため、収容物品による荷重が分散される。
本発明の持ち運び用包装箱のブランクシートの前記内層部に形成された前記2本のスリットの端部は、前記外層部に形成された前記2本のスリットの端部を間に挟んで、先端に向かって互いに徐々に拡開していてもよい。
この構成によれば、内層部に形成されたスリットの先端が外層部に形成されたスリットに干渉することを回避することができ、収容物による荷重をより効果的に分散することができる。
本発明の持ち運び用包装箱のブランクシートの製函時に前記第1側板部と隣り合う側板部には接合部が形成され、前記接合部は、前記第1側板部とこの第1側板部と隣り合う側板部との間を接合する基端面部と、基端面部に連続し、前記2本のスリットを前記第1側板部の内面から覆う先端面部とを有していてもよい。
この構成によれば、2本のスリットを先端面部により覆っているため、取っ手を引き上げた際にできる開口部を先端面部によって覆うことができる。
本発明の持ち運び用包装箱のブランクシートの前記先端面部は、前記第1側板部に重ねられた際に前記第1天板フラップ側で前記2本のスリットに直交する係止辺を有していてもよい。
この構成によれば、係止辺により取っ手の開口部内側への進入を抑えるとともに、取っ手に掛かる荷重を先端面部に掛けることができる。
本発明の持ち運び用包装箱は、前記いずれかのブランクシートを用いて形成されている。
この構成によれば、上記いずれかの作用及び機能を奏する。
本発明の持ち運び用包装箱のブランクシート及び持ち運び用包装箱は、製函容易でかつ引き出し容易な取っ手を有し、運送及び手持ちによる持ち運びに便宜的に使用することができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態に係る包装箱を示した斜視図である。 本発明の一実施形態に係るブランクシートの展開図である。 本発明の一実施形態に係る包装箱の取っ手を引き起こした際の取っ手と第1天板フラップとの状態を、第4天板フラップの一部を破断して示した斜視図である。 本発明の一実施形態に係るブランクシートを組み立てて製函前の偏平な状態にしたものを示す正面図である。 本発明の一実施形態に係る包装箱を開口して示した平面図である。 本発明の一実施形態に係る包装箱を示した斜視図である。 図3に示す包装箱をY−Y線で矢視した断面図である。 本発明の一実施形態に係る包装箱の取っ手を引き起こした状態を示した上方斜視図である。
以下、図面を参照して、本発明の包装箱の各実施形態について説明する。なお、以下の説明で用いる図の各部分の寸法は実際のものと同一とは限らず、適宜変更することができる。本実施形態において、本発明の各部を上辺、下辺、側辺等と称することがあるが、これらは特に断りのない限り、底板フラップを下面としてブランクシート又は包装箱を視た場合の各部の相対的な位置関係を示すためのものであり、必ずしも包装箱の向き等を定めるものではない。
図1に示すように、本発明の第1の実施形態の持ち運び用包装箱のブランクシート(以下「ブランクシート」という)1は、複数の側板部2,3,4,5を組み立てて形成される筒体6と、筒体6の一方の開口部7を塞ぐ天板フラップ8,9,10,11と、筒体6の他方の開口部12を塞ぐワンタッチ底13とを備えている。また、ブランクシート1には、第1側板部2に連接する第1天板フラップ8から第1側板部2上の位置まで延びるスリットSが2本形成され、取っ手14を引き起こし自在に形成されている。
図2は、ブランクシート1を包装箱Xにする場合の内面から視た図である。図2に示すように、複数の側板部は、第1側板部2、第2側板部3、第3側板部4及び第4側板部5により構成され、図1に示す略直方体の筒体6を形成可能となっている。第1側板部2、第2側板部3、第3側板部4及び第4側板部5は、この順で、それぞれの間に延びる側辺6aにおいて一方向に連接している。
第1側板部2の後述する外層部2A及び第3側板部4は、側辺6aの延在方向及びこれに直交する上辺6b又は下辺6c方向の寸法を略同一とする矩形に形成されている。第2側板部3及び第4側板部5は、側辺6aの延在方向及びこれに直交する上辺6b又は下辺6c方向の寸法を略同一とする矩形に形成されている。
第1側板部2は、第2側板部3と連接し製函時に外表面に現れる外層部2Aと、外層部2Aに連接し、外層部2Aの内面40側に折り曲げられて重ねられる内層部2Bとを有した2層構造になっている。
内層部2Bには、ブランクシート1が図4に示す製函前の偏平に折り畳まれた状態で外層部2Aの内面40側に折り返される第1底板フラップ25と重なり合うことを避ける略台形の切欠25kが形成されている。
第1側板部2の外層部2A及び内層部2Bの各上辺6bには、略台形の天板フラップ8A,8Bが連接している。外層部2Aに連接した天板フラップ8Aは、内層部2Bに連接した天板フラップ8Bの全体を覆い得る大きさに形成されている。
内層部2B及びこれに連接している天板フラップ8Bには、これらの連接方向に延びるスリットSが2本、所定の間隔を空けて平行に形成されている。
2本のスリットS,Sは、ブランクシート1が展開された状態で、天板フラップ8Bの略中央部から、上辺6bを越えて内層部2Bに略直線状に延び、内層部2Bの切欠25kの近傍まで延びている。
2本のスリットS,Sは、天板フラップ8Bまで延ばすことにより、図3に示すように天板フラップ8を第1側板部2に対して略90度折り曲げた際に、スリットS,S間の角部が直線状又は略湾曲形状になるように、押し込められるようにしている。これにより、スリットS,S間を第1側板部2の外側に円弧状に撓ませて取っ手14にすることができる構成となっている。
図2に示すように、2本のスリットS,Sの天板フラップ8Bにおける長さ、すなわち天板フラップ8B側の取っ手14の端部14aの長さは任意である。端部14aの長さは、短すぎると2本のスリットS,S間の撓みが小さくなって取っ手14を持ち難くなり、天板フラップ8Bの先端縁に近過ぎると天板フラップ8Bとの連結箇所が小さくなってスリットS,Sが裂けてしまいかねない。したがって、端部14aの長さは、引き上げた取っ手14を人の手で適切に把持できる程度に、天板フラップ8Bの延出長さとの関係で調整することが好ましい。
天板フラップ8B側の端部14aは、第1側板部2における2本のスリットS,S間の寸法よりも大きく形成され、スリットS,Sの両幅方向に張り出した部分が張り出し角部35を構成している。
2本のスリットS,Sの内層部2B側の端部14bは、スリットS,S間を取っ手14にした際に取っ手14がしっかりと内層部2Bに連結して容易に破断してしまうことのないように、切欠25kとの間を十分に設けて形成されている。取っ手14が十分に引き起こし可能であれば、内層部2B側の端部14bは、上辺6bと下辺6cとの中間部に設けられる限り、切欠25kから離れて内層部2Bの長手方向の中央部又は更に上辺6b寄りに形成されていてもよい。
また、端部14bは、スリットSの先端を円弧形状にすることにより先端に向かって滑らかに拡開している。
取っ手14の両端部14a,14b間は、持ち手部14Tを構成している。
2本のスリットS,Sの両外側には、第1側板部2の長手方向(側辺6aの延在方向)の中央部辺りで、取っ手14をその両脇から把持して引き出しを容易にする略半円形の切欠14kが形成されている。切欠14kは、例えば大人の指先が入り得る大きさに形成されているとよい。
第1側板部2の外層部2A及びこれに連接している天板フラップ8Aには、内層部2Bと外層部2Aとの間の折り曲げ線L1を中心線として内層部2Bの2本のスリットS,Sと略線対称になるように2本のスリットS,Sが設けられている。
天板フラップ8A側の端部14cの幅寸法は、天板フラップ8B側の端部14aの幅寸法よりもやや小さく形成されているが、内層部2Bと同様に張り出し角部35が形成されている。外層部2Aに形成された取っ手14の持ち手部14Tは、内層部2Bの持ち手部14Tよりも幅方向に僅かに大きく形成されている。
外層部2A側に形成された端部14dは、持ち手部14Tよりも幅が小さくなるように形成された後、両スリットS,Sの先端が円弧形状を描きながら互いに反対方向に延びることにより拡開した形状となっている。その結果、外層部2A側の端部14dの両脇に、スリットS,S間側に張り出す段差部36が形成されている。
外層部2A側の端部14dは、内層部2B側の端部14bと側辺6aの延在方向(すなわち長手方向)の位置がほぼ同じになるように形成されている。そのため、端部14dの幅狭な部分を形成している段差部36が端部14bの上方に重なり、端部14bの起き上がりを防止できるようになっている。
この構成により、折り曲げ線L1において第1側板部2を2重に折り曲げ、内層部2Bを外層部2Aの内面40上に重ねた際に、天板フラップ8Bに形成された端部14aが天板フラップ8Aに形成された端部14cの全体を覆うように重ねられる。また、内層部2Bの持ち手部14Tは、外層部2Aの持ち手部14Tに覆われるように幅方向内側に重ねられる。内層部2B側の端部14bは、外層部2A側の端部14dを覆うように重ねられる。この状態で、内層部2B側の端部14bを形成しているスリットS,Sの先端部分は、外層部2A側の端部14dを形成しているスリットS,Sの先端部分と干渉しないように拡開している。
外層部2Aに連接する天板フラップ8Aと内層部2Bに連接する天板フラップ8Bとは、互いに重ねられた際に、第1天板フラップ8を構成する。
第2側板部3の上辺6bには、延出寸法が短い略矩形の第2天板フラップ9が連接している。上辺6bからの第2天板フラップ9の延出寸法は、図7に示すように、製函時に直交する方向に隣り合う第1天板フラップ8に形成された取っ手14の端部14a,14cに重ならない程度に設定されている。第2側板部3と第2天板フラップ9との間には、差し込みスリット16が形成されている。
第3側板部4の上辺6bには、略台形の第3天板フラップ10が設けられている。
第4側板部5の上辺6bには、図1に示す筒体6の一方の開口部7の全体をちょうど覆う大きさの第4天板フラップ11が設けられている。第4天板フラップ11は、蓋部材を構成する。
第4天板フラップ11の延出方向の略中央部には、製函して第4天板フラップ11にて図1に示す開口部7を閉じた後で第4天板フラップ11を破断により開口する破断部15が2本の破断線15a,15aにより形成されている。
第4天板フラップ11の先端には、製函時に差し込みスリット16に挿入される差し込み片17が形成されている。差し込み片17の先端角部は、製函時に差し込みスリット16への差し込みを容易にするようアールを成している。
第3側板部4が連接した側辺6aに対向する第4側板部5の側辺6aには、第1側板部2と第4側板部5とを連結させて図1に示す筒体6とするための接合部20が連接している。
接合部20は、第1側板部2の幅寸法(すなわち上辺6bの延在方向の寸法)よりも小さい幅寸法で設けられている。
具体的に、接合部20は、側辺6aと間隔を空けて平行に延びる仮想中間線L2に向かって徐々に幅が狭くなった概略台形の基端面部21と、仮想中間線L2において基端面部21に連続する略矩形の先端面部22とを有している。
基端面部21の上辺6bは、下辺6c方向に緩やかに傾斜している。先端面部22の上辺6b(係止辺)は、基端面部21の上辺6bの先端から第4側板部5の上辺6bに平行に延びている。その結果、先端面部22の上辺6bと第4側板部5の上辺6bの延長線との間には、数mmから数cmの隙間が形成されている。
基端面部21の下辺6cは、急峻に傾斜しており、先端面部22の下辺6cは、基端面部21の下辺6cの先端から第4側板部5の下辺6cに平行に延びている。
すなわち、接合部20は、側方に突出させた矩形形状を、上辺6b側で小さく、下辺6c側で大きく略台形に切り欠いた形状となっている。下側の切欠20kは、第1側板部2の内層部2Bの切欠25kよりも大きくなるように形成されている。
この構成により、接合部20は、2重に折り曲げられた第1側板部2の内面(すなわち折り畳まれた内層部2B)に重ねられるように設けられている。
図4に示すように、先端面部22は、第1側板部2に重ねられた際に、張り出し角部35と少しの隙間を空けてスリットS,Sの全体を覆う位置に設けられている。
図1に示すワンタッチ底13は、図2に示すように、第1−第4側板部2−5の各下辺6cにそれぞれ連接する第1−第4底板フラップ25−28を備えている。これらの複数の底板フラップ25−28は、図1に示す筒体6を立体形状にする動作に伴って立ち上がり、開口部12を閉じる構成を有している。
第1底板フラップ25は、下辺6cを下底辺とした場合に下底辺に対して上底辺が小さくなるよう突出方向に徐々にすぼんだ台形形状に形成されている。
第2底板フラップ26は、第2側板部3の下辺6cを下底辺とする略台形のベース部29と、ベース部29から突出し、第1底板フラップ25と接合してこれと連動可能となる連動接合部30とを備えている。
第1底板フラップ25のベース部29は、下辺6cと、その一端から急峻に立ち上がる外側傾斜辺29bと、外側傾斜辺29bの先端から下底辺に略平行に延びる上底辺29cと、上底辺29cの端から下辺6cに対して緩やかな角度で、2段階に傾斜する内側傾斜辺29dとに囲まれている。内側傾斜辺29dは、上底辺29cの端から傾斜する第1傾斜部29eと、第1傾斜部29eの下端から水平に延びる水平部29fと、水平部29fの端から下辺6cの他端に延びる第2傾斜部29gとを有している。
第1傾斜部29eと水平部29fとの間には段差を有する切欠29kが形成されており、後述する第4底板フラップ28の切欠29kとの係合部となっている。
第2傾斜辺29gは、連動接合部30を突出させるとともに、連動接合部30をベース部29の外面(すなわち図1で見えているベース部29の面の裏面)に重ね合わせる際の折り曲げ線となっている。
連動接合部30は、製函時に第1底板フラップ25の一部と重なり接着により連結できるように形成されている。
第3底板フラップ27は、下辺6cにおいて第3側板部4に連接している。第3底板フラップ27は、第1底板フラップ25と略同形状で、第1底板フラップ25よりも下辺6cからのやや突出寸法が大きく形成されている。
第4底板フラップ28は、下辺6cにおいて第4側板部5に連接している。第4底板フラップ28は、第2底板フラップ26と同様に形成され、連動接合部30において第3底板フラップ27の一部と接着できるようになっている。
次に、ブランクシート1を折り畳んで製函前の状態にする方法について説明する。
まず、図2に示す第1底板フラップ25を第1側板部2の外層部2Aの内面40に、第2底板フラップ26を第2側板部3の内面41にそれぞれ対向するように、それぞれの下辺6cで折り曲げる。第3底板フラップ27を第3側板部4の内面42に、第4底板フラップ28を第4側板部5の内面43にそれぞれ対向するように、それぞれの下辺6cで折り曲げる。
この状態で、第1底板フラップ25及び第3底板フラップ27の外面(図2においては裏面側の例えば斜線部)に接着剤を塗布しておく。
第2底板フラップ26及び第4底板フラップ28の連動接合部30は、ベース部29の外面に重なるように第2傾斜辺29gにおいて折り曲げる。
その後、第3側板部4及び第4側板部5の間の側辺6aにおいてブランクシート1を折り曲げ、第4側板部5を第2側板部3の内面41及び第3側板部4の内面42に重ねる。この状態で接合部20の側辺6a近傍P2部分の外面(すなわち図2で示された面の裏面)側に接着剤を塗布しておく。この接合部20の外面上に2層にしておいた第1側板部2を重ね、側辺6a近傍P2部分で接着する。
これにより、図4に示すように、第1−第4側板部2−5が筒体6を形成可能な偏平に折り畳まれた状態となる。また、図4において図示を省略するが、第1−第4底板フラップ25−28が筒体6の内側に折り畳まれた状態で、第1底板フラップ25及び第2底板フラップ26、第3底板フラップ27及び第4底板フラップ28が連動する状態となる。
以上により、図4に示すように、製函前の偏平に折り畳まれたブランクシート1が完成する。
製函前の偏平に折り畳まれたブランクシート1を立体の包装箱Xにするには、図4に示す折り畳まれた状態のブランクシート1の折り曲げ箇所となっている側辺6a,6a同士を近づけるようにして筒体6を立体にする。筒体6を立体にすると、この動作に伴って第1−第4底板フラップ25−28が起き上がり、図5に示すように筒体6の下辺6c側の開口部12を隙間なく閉じ、第2底板フラップ26及び第4底板フラップ28の係合部29k,29k同士が係合して固定される。
以上により、図1及び図5に示すように、開口部7が開口した包装箱Xになる。
開口部7から適宜物品を収容し、第2天板フラップ9を閉じた後、第1天板フラップ8及び第3天板フラップ10を閉じて、第4天板フラップ11を閉じ、差し込み片17を差し込みスリット16に挿入する。このような手順で第2天板フラップ9等を閉じた場合には、取っ手14の引き起こし時に、図7に示すように第1天板フラップ8の端部14a,14c以外の一部をその内側から第2天板フラップ9により押えることができる。この構成により、取っ手14を引き起こした際に第1天板フラップ8が筒体6の内側に引っ張られることを防止することができる。
以上により、図6に示すように、取っ手14を引き起こしていない状態の、直方体で積み上げが容易な状態の包装箱Xとなる。
包装箱Xを手持ちで運ぶ際には、切欠14k、14kに指を入れて外層部2A及び内層部2Bにおいて上下に重なるように形成された取っ手14を引き上げる。
そうすると、図3に示すように、取っ手14の第1天板フラップ8側の端部14a,14cが包装箱Xの内側に引きこまれ、張り出し角部35が第1側板部2の内面に係止可能に位置する。また、図7に示すように、取っ手14の端部14aが接合部20の先端面部22の上辺(係止辺)6bに当たってそれ以上引き出せなくなる。
一方、図8に示すように、取っ手14の第1側板部2に形成された端部14b,14dは、外層部2Aにおいて段差部36が形成され、図2に示すように、内層部2B側の端部14bは先端に向かって広がるように形成されている。よって、図8に示すように、取っ手14を引き出した際、外層部2Aの端部14d、内層部2Bの持ち手部14T及び外層部2Aの持ち手部14Tは共に引き出されるが、端部14dの下方の端部14bは段差部36に係合して引き出されない状態となる。すなわち、内層部2Bと外層部2Aとにおいて引き起こしの起点が、取っ手14の延在方向にずれる。また、内層部2Bの取っ手14が段差部36に係合する箇所にも荷重が掛かることになる。したがって、物品の荷重が掛かる位置を取っ手14の延在方向に分散して、取っ手14の端部14b,14dへの局所的な負担を軽減し、取っ手14が破断し難い状態となる。
以上により、取っ手14が引き起こされて、手持ちでの運搬が容易な包装箱Xとなる。
このように、本発明のブランクシート1及び包装箱Xは、取っ手14を形成する2本のスリットS,Sを、第1天板フラップ8からこれに対向する底板フラップ25までとせず、第1側板部2上の位置までとしている。したがって、ブランクシート1及び包装箱Xは、側板部の両端部間に亘ってスリットS,Sを形成する従来の包装箱よりも、天板フラップへの切込みを小さくして、包装箱Xの強度を保持した状態で引き起こしが十分な取っ手14を形成できるという効果を奏する。
更にこの構成により、第1及び第2底板フラップ25,26に切込みを形成することを回避して、ワンタッチ底13を採用しつつもスリットS,Sによる取っ手14を形成可能とした包装箱Xを実現できるという効果を奏する。
また、取っ手14の引き出し部分を従来に比べて小さくできたことにより、取っ手14を引き出して包装箱Xを持ち運ぶ際に、スリットS,S間に形成された隙間から塵埃類等が浸入する可能性を低減することができるという効果を奏する。
また、ブランクシート1及び包装箱Xは、取っ手14の第1天板フラップ8側の張り出し角部35を第1側板部2の内層部2Bに係止させることができる。したがって、ブランクシート1及び包装箱Xは、収容物の荷重が大きい場合にも取っ手14をしっかりと第1側面部2に固定し、端部14a,14cの先端に荷重が掛かり過ぎて破断することを防止することができるという効果を奏する。
また、ブランクシート1及び包装箱Xは、端部14c,14dにおいて荷重ポイントを外層部2Aと内層部2Bとの間でずらし、荷重がかかる箇所を分散させて、荷重の集中による取っ手14の破断等を有効に防止することができるという効果を奏する。
また、端部14cを形成しているスリットS,Sの先端部分が、端部14dを形成しているスリットS,Sの先端部分に干渉しないように形成されている。よって、ブランクシート1及び包装箱Xは、スリットS,S同士が干渉して摩擦等によりスリットSが裂けてしまう事を防止することができるという効果を奏する。
また、ブランクシート1及び包装箱Xは、先端面部22の上辺6bが第1側板部2の上辺6bよりも下辺6c寄りに位置しているため、図7に示すように、取っ手14を引き起こした際に端部14cを先端面部22の上辺6bにおいて押えることができる。したがって、ブランクシート1及び包装箱Xは、取っ手14を適切に引き起こされた状態をより確実に保持することができるという効果を奏する。
また、ブランクシート1及び包装箱Xは、先端面部22が取っ手14をほぼ覆うように形成されているため、取っ手14が引き起こされた際に形成される開口部を塞いで、塵埃類が入ることや中身が外から見えることを極力回避することができるという効果を奏する。
また、第1側板部2の内層部2B及び接合部20には、図2に示すように、切欠25k,20kが形成されている。したがって、図4に示すブランクシート1の製函前の折り畳み状態で、第1側板部2側に折り畳まれる第1底板フラップ25と内層部2B及び接合部20とが干渉することを防止することができる。したがって、ブランクシート1が図4に示す折り畳まれた製函前の状態で、ブランクシート1の厚さに不均一が生じることを防止し、複数の製函前のブランクシート1を積層した際にアンバランスが生じることを抑制することができるという効果を奏する。
なお、上記実施形態では、本発明のブランクシート1及び包装箱Xの最も好ましい実施形態を示したが、取っ手14の張り出し角部35はある事が好ましいが、必須ではない。また、段差部36は、あることが好ましいが必須ではない。また、接合部20の先端部22もあることが好ましいが、必須ではない。
また、図2に示す展開されたブランクシート1を図4に示す折り畳まれた製函前の状態にする手順としては、上記実施形態で示した方法でなくてもよい。
本発明は、ワンタッチ底13でないブランクシート1及び包装箱Xに適用した場合にも、スリットS,Sの形成を出来るだけ小さくしつつ取っ手14を従来よりも引き起こしやすく、取っ手14による開口部を小さくすることができるという効果を奏し得る。
1 ブランクシート
2 第1側板部
2A 外層部
2B 内層部
6 筒体
6a 側辺(係止辺)
6c 上辺(二辺の内の一方)
6d 下辺(二辺の内の他方)
7 開口部
8 第1天板フラップ
9 第2天板フラップ
10 第3天板フラップ
11 第4天板フラップ
12 開口部
13 ワンタッチ底
14a 第1天板フラップ側の端部
14b 第1側板側の端部
14c 第1天板フラップ側の端部
14d 第1側板側の端部
20 接合部
21 基端面部
22 先端面部
25 第1底板フラップ
26 第2底板フラップ
27 第3底板フラップ
28 第4底板フラップ
S スリット
X 包装箱

Claims (8)

  1. 複数の側板部を組み立てて形成される筒体と、この筒体の一方の開口部を塞ぐ天板フラップと、前記筒体の他方の開口部を塞ぐ底板フラップとを備え、
    前記複数の側板部の一つを構成する第1側板部に連接する第1天板フラップから前記第1側板部に亘って、かつ、前記第1側板部の互いに対向する二辺の中間部まで延びる2本のスリットが形成されている持ち運び用包装箱のブランクシート。
  2. 前記底板フラップは、偏平に折り畳まれた際に重なり合い、隣り合う底板フラップ同士が連結しており、偏平に折り畳まれた前記筒体の端部間を立ち上げて立体にする動作に伴って前記筒体の開口部を塞ぐワンタッチ底である請求項1に記載の持ち運び用包装箱のブランクシート。
  3. 前記2本のスリットは、前記第1天板フラップ側の端部において幅広に形成されている請求項1又は2に記載の持ち運び用包装箱のブランクシート。
  4. 前記第1側板部は、折り畳まれて外層部及び内層部の2層に形成され、
    前記2本のスリットは、前記外層部及び前記内層部に貫通し、
    前記2本のスリットの前記第1側板部側に形成された端部は、前記外層部が前記内層部よりも幅狭に形成されている請求項1から3のいずれか一項に記載の持ち運び用包装箱のブランクシート。
  5. 前記内層部に形成された前記2本のスリットの端部は、前記外層部に形成された前記2本のスリットの端部を間に挟んで、先端に向かって互いに徐々に拡開している請求項4に記載の持ち運び用包装箱のブランクシート。
  6. 製函時に前記第1側板部と隣り合う側板部には接合部が形成され、
    前記接合部は、前記第1側板部とこの第1側板部と隣り合う側板部との間を接合する基端面部と、基端面部に連続し、前記2本のスリットを前記第1側板部の内面から覆う先端面部とを有している請求項1から5のいずれか一項に記載の持ち運び用包装箱のブランクシート。
  7. 前記先端面部は、前記第1側板部に重ねられた際に前記第1天板フラップ側で前記2本のスリットに直交する係止辺を有する請求項6に記載の持ち運び用包装箱のブランクシート。
  8. 請求項1から7のいずれか一項に記載のブランクシートを用いて形成された持ち運び用包装箱。
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