JP2019081520A - 車両用ブレーキ - Google Patents

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Abstract

【課題】例えば、ピストンの回転がより抑制されやすい新規な構成の車両用ブレーキを得る。【解決手段】車両用ブレーキは、例えば、シリンダが設けられたボディと、シリンダに収容されたピストンと、回転部材の回転によって中心軸に沿って移動し前記パッドを前記ディスクに押し付けるべく前記ピストンを押圧する直動部材と、中心軸回りのボディとピストンとの相対回転を制限する第二回り止め機構と、を備えている。ボディには、ボディを貫通しシリンダ内に開口した第一貫通孔と、第一貫通孔を囲った雌ネジ部と、が設けられている。第二回り止め機構は、ピストンに設けられ、中心軸回りに互いに間隔を空けて位置された一対の当接部と、ボルトと、を有している。ボルトは、第一貫通孔を介してシリンダ内に突出し一対の当接部の間に位置されるとともに雌ネジ部と結合されている。【選択図】図2

Description

本発明は、車両用ブレーキに関する。
従来、モータによって駆動される回転部材の回転を直動部材の直動に変換し、当該直動部材によってピストンを介してパッドをディスクに押し付ける電動ブレーキが知られている(特許文献1)。この種の電動ブレーキとして、ピストンとシリンダとの間に設けられたシール部材の摩擦力によってピストンの回転を制限する構成のものがある。
特開2014−62639号公報
しかしながら、上記従来技術では、例えば、シール部材とピストンとの間に滑りが生じるとピストンが回転してしまう虞がある。
そこで、本発明の課題の一つは、例えば、ピストンの回転がより抑制されやすい新規な構成の車両用ブレーキを得ること、である。
本発明の車両用ブレーキは、例えば、モータと、シリンダが設けられたボディと、前記シリンダに収容され、前記シリンダ内のブレーキ液の圧力によって前記シリンダの中心軸に沿って移動してパッドをディスクに押し付けるピストンと、前記モータによって駆動される回転部材と、前記回転部材の回転によって前記中心軸に沿って移動し前記パッドを前記ディスクに押し付けるべく前記ピストンを押圧する直動部材と、を有した回転直動変換機構と、前記直動部材および前記ピストンに設けられ、前記中心軸回りの前記直動部材と前記ピストンとの相対回転を制限する第一回り止め機構と、前記ボディおよび前記ピストンに設けられ、前記中心軸回りの前記ボディと前記ピストンとの相対回転を制限する第二回り止め機構と、を備え、前記ボディには、当該ボディを貫通し前記シリンダ内に開口した第一貫通孔と、前記第一貫通孔を囲った雌ネジ部と、が設けられ、前記第二回り止め機構は、前記ピストンに設けられ、前記中心軸回りに互いに間隔を空けて対向するよう配置された一対の当接部と、前記第一貫通孔を介して前記シリンダ内に突出し前記一対の当接部の間に位置されるとともに前記雌ネジ部と結合されたボルトと、を有した。
このような構成によれば、例えば、ボルトと当接部との当接により中心軸回りのピストンの回転(ボディに対する相対回転)が制限されるので、例えば、ピストンとシリンダとの間に設けられたシール部材の摩擦力によってのみピストンの回転を制限する構成に比べて、ピストンの回転がより抑制されやすい。
前記車両用ブレーキでは、例えば、前記ボルトには、前記シリンダ内に通じ前記ブレーキ液が流れる流路が設けられた。
このような構成によれば、シリンダ内に通じた通路が設けられた部材をボルトとは別に設けた構成に比べて、車両用ブレーキの小型化や簡素化がしやすい。
前記車両用ブレーキでは、例えば、前記ピストンは、前記パッドに面した壁部と、前記中心軸回りに筒状に構成され前記壁部から前記パッドとは反対側に延びた筒部と、を有し、前記筒部には、該筒部を前記中心軸の径方向に貫通する第二貫通孔が設けられ、前記一対の当接部は、前記第二貫通孔を形成する面にて構成された。
このような構成によれば、例えば、筒部においてパッドと反対側の端面に開口した(該端面を切り欠いた)凹部が設けられた構成に比べて、ピストンの剛性の低下が抑制されやすい。また、ボルトに上述のような流路が設けられている場合には、第二貫通孔を介して流路から筒部内にブレーキ液を供給することができる。
前記車両用ブレーキでは、例えば、前記ピストンは、前記パッドに面した壁部と、前記中心軸回りに筒状に構成され前記壁部から前記パッドとは反対側に延びた筒部と、を有し、前記筒部の外周面には、凹部が設けられ、前記一対の当接部は、前記凹部を形成する面にて構成された。
このような構成によれば、例えば、筒部に上述の凹部ではなく径方向に貫通する貫通孔が設けられた構成に比べて、ピストンの強度や剛性の低下が抑制されやすい。
前記車両用ブレーキでは、例えば、前記第一回り止め機構は、前記筒部の内周面に設けられ、前記直動部材と当接することにより前記中心軸回りの前記直動部材と前記ピストンとの相対回転を制限する凸部を有し、前記凹部は、前記筒部の外周面における前記凸部とは反対側の部分に設けられた。
このような構成によれば、筒部において上述の凸部が設けられた部分は、筒部の他の部分に比べて厚いため、凹部が設けられても強度や剛性の低下が抑制されやすい。よって、凹部の深さの確保が容易である。
図1は、第1実施形態の車両用ブレーキの斜視図である。 図2は、第1実施形態の車両用ブレーキの断面図であって、電動ブレーキ機能による制動状態を示す図である。 図3は、第1実施形態の車両用ブレーキの断面図であって、電動ブレーキ機能による非制動状態を示す図である。 図4は、第1実施形態の車両用ブレーキに含まれるピストンおよび直動部材の分解斜視図である。 図5は、第1実施形態の車両用ブレーキに含まれるピストンおよび直動部材の断面図であって、図2のV−V位置での断面図である。 図6は、第1実施形態の車両用ブレーキに含まれるピストンの一部を示す図である。 図7は、第1実施形態の車両用ブレーキに含まれる第二回り止め機構の断面図である。 図8は、第2実施形態の車両用ブレーキの断面図であって、電動ブレーキ機能による制動状態を示す図である。 図9は、第2実施形態の車両用ブレーキに含まれるピストンおよび直動部材の分解斜視図である。 図10は、第3実施形態の車両用ブレーキの断面図であって、電動ブレーキ機能による制動状態を示す図である。 図11は、第3実施形態の車両用ブレーキに含まれるピストンの一部を示す図である。 図12は、第4実施形態の車両用ブレーキに含まれるピストンの断面図である。
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。また、図面は全て、模式的かつ例示的なものである。
以下の複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、同様の構成要素については共通の符号が付与され、重複する説明が省略される。複数の実施形態では、同様の構成要素に基づく同様の作用および効果が得られる。また、本明細書において、序数は、部品や、部位、位置、方向等を区別するために便宜上付与されており、優先順位や順番を示すものではない。
また、各図において、シリンダ42の中心軸Ax1の軸方向の一方(パッド45を押圧する方向)が矢印Xで示され、パッド45を押圧する回転部材51の回転方向である正転方向は矢印Rnで示され、逆転方向が矢印Rrで示されている。
[第1実施形態]
図1は、車両用ブレーキ10の斜視図である。図2は、車両用ブレーキ10の断面図であって、電動ブレーキ機能による制動状態を示す図である。また、図3は、車両用ブレーキ10の断面図であって、電動ブレーキ機能による非制動状態を示す図である。
図1〜3に例示されるように、車両用ブレーキ10は、モータ20と、回転伝達機構30と、回転直動変換機構50を内蔵するキャリパ40と、を備えている。車両用ブレーキ10は、液圧ブレーキとして作動することができるとともに、電動ブレーキとしても作動することができる。キャリパ40は、液圧ブレーキを構成し、モータ20、回転伝達機構30、回転直動変換機構50、およびキャリパ40は、電動ブレーキを構成する。電動ブレーキは、所謂電動パーキングブレーキである。すなわち、車両用ブレーキ10は、電動ブレーキ機能による制動状態が駐車時に維持されるよう、構成されている。ただし、電動ブレーキは、走行時や一時停止時に作動してもよい。
モータ20のシャフト(不図示)の回転は、複数のギヤ等の回転要素(不図示)を有した回転伝達機構30を介して、回転直動変換機構50の回転部材51に伝達される。回転伝達機構30は、減速機構とも称されうる。
キャリパ40は、ボディ41と、ピストン43とを有している。ボディ41は、ディスクDの軸方向に移動可能に、マウンティング11に支持されている。詳細には、ボディ41は、一対のスライドピン14によってマウンティング11に対してディスクDの軸方向に移動可能に取り付けられている。マウンティング11は、車両の支持部材に固定される。
また、キャリパ40には、一対のパッド45が設けられている。パッド45は、ディスクDの軸方向に移動可能にマウンティング11に支持されている。一対のパッド45の間にディスクDが位置されている。
図2,3に示されるように、ボディ41には、シリンダ42が設けられている。シリンダ42は、中心軸Ax1を中心として図2,3の右方向に開放された有底円筒状である。詳細には、シリンダ42は、中心軸Ax1を中心とした内周面42aを有している。ピストン43は、シリンダ42に中心軸Ax1に沿って往復動可能に収容されている。シリンダ42には液圧室Rが設けられている。液圧室Rには、後述のボルト81内の流路81fを含むブレーキ液通路を介して油等のブレーキ液(作動液)の流出入がなされる。液圧室Rにおけるブレーキ液の圧力(液圧)の上昇に伴ってピストン43は一方のパッド45の裏板45aを図2,3の右方に押し、一方のパッド45のライニング45bをディスクDに押し付ける。また、液圧室Rのブレーキ液の圧力の上昇に伴って、ボディ41に設けられた爪41a(図1)が、他方のパッド45の裏板45aを図2,3の左方に押し、他方のパッド45のライニング45bをディスクDに押し付ける。これにより、ディスクDと一体に回転する車両のホイール(不図示)が制動された、液圧ブレーキによる制動状態が得られる。爪41aは、押圧部とも称される。
ピストン43は、壁部43iと、筒部43jとを有している。壁部43iは、中心軸Ax1と交差する方向に広がっており、パッド45に面している。筒部43jは、中心軸Ax1回りに円筒状(筒状)に構成され壁部43iからパッド45とは反対側に延びている。筒部43jの壁部43iとは反対側の端部は開口されている。ピストン43には、壁部43iおよび筒部43jによって囲まれた凹部43aが設けられている。凹部43aは、液圧室R側(図2,3の左方)に向けて開放されている。また、ピストン43は、円筒外面状の外周面43bと、液圧室Rとは反対側(図2では右方)の端面43cと、を有している。外周面43bは、筒部43jの外周面でもある。また、端面43cは、壁部43iに設けられている。ピストン43の外周面43bとシリンダ42の内周面42aとの間には微小な隙間(クリアランス)が設定されている。外周面43bは、上記隙間にブレーキ液が存在する潤滑状態で、内周面42aと摺動する。
外周面43bと内周面42aとの間には、シール部材72が介在している。シール部材72は、液圧室Rから隙間を介してのブレーキ液の漏れを抑制する。また、シール部材72は、液圧室Rにおける液圧の下降に伴って弾性力によってピストン43を液圧室R側(図2の左方)に引き込みピストン43の端面43cをパッド45から離間させるリトラクト機能を、有している。すなわち、液圧室Rの液圧の低下に伴って、ピストン43の裏板45aへの押圧が解除されると、ピストン43によるライニング45bのディスクDへの押し付けが解除され、これにより液圧ブレーキによる制動解除状態が得られる。このように、キャリパ40は、液圧ブレーキとして作動することができる。パッド45は、制動部材の一例である。
また、キャリパ40内には、回転直動変換機構50が設けられている。回転直動変換機構50は、回転部材51と直動部材52とを有している。回転部材51は、結合部51aと、フランジ51bと、シャフト51cと、を有し、ボディ41に中心軸Ax1回りに回転可能に支持されている。結合部51aは、回転伝達機構30のアウトプットシャフト(不図示)と一体に回転する。フランジ51bと、キャリパ40のボディ41との間には、スラストベアリング71が設けられている。シャフト51cは、フランジ51bから結合部51aとは反対側(図2,3では右方)に突出している。シャフト51cの外周面には、雄ねじ部51dが設けられている。
直動部材52は、筒状部52aと突起52bとを有している。筒状部52aの形状は、中心軸Ax1を中心とする円筒状である。筒状部52aの筒内面(内周面)には、雌ねじ部52cが設けられており、この雌ねじ部52cと回転部材51の雄ねじ部51dとが噛み合っている。突起52bは、筒状部52aから中心軸Ax1の径方向(以下、単に径方向と称される)の外方に突出している。
回転直動変換機構50は、ピストン43に設けられた凹部43a内に収容されている。直動部材52は、凹部43a内で中心軸Ax1の軸方向(以下、単に軸方向と称される、図2の左右方向)に移動可能に設けられている。
図4は、ピストン43および直動部材52の分解斜視図である。図5は、ピストン43および直動部材52の、図2のV−V位置での断面図である。
回転直動変換機構50には、中心軸Ax1回りの直動部材52とピストン43との相対回転を制限する第一回り止め機構60が設けられている。具体的には、図4,5に例示されるように、第一回り止め機構60は、ピストン43の筒部43jの内周面43nに設けられた複数の凸部43f(突条)と、直動部材52に設けられた突起52bと、を有している。突起52bは、軸方向に移動可能に、隣り合う二つの凸部43f間に位置されている。凸部43fは、突起52bと周方向に当接することにより、突起52bひいては直動部材52の回転を制限する。
このように、本実施形態では、回転部材51の雄ねじ部51dと直動部材52の雌ねじ部52cとが噛み合うとともに、第一回り止め機構60により直動部材52の突起52bの回転がピストン43の凸部43fによって制限されているため、回転部材51の回転に応じて直動部材52は軸方向に直動する。モータ20のシャフト(不図示)の回転(以下、これを正転とする)に基づく回転部材51の一方向の回転により、直動部材52が図2の右方に移動し、ピストン43が裏板45aを図2の右方に押圧すると、ピストン43は一方のパッド45のライニング45bをディスクDに押し付ける。このとき、ボディ41の爪41aが、他方のパッド45の裏板45aを図2,3の左方に押し、他方のパッド45のライニング45bをディスクDに押し付ける。これにより、ディスクDと一体に回転する車両のホイール(不図示)が制動された、電動ブレーキ機能による制動状態が得られる(図2)。他方、モータ20のシャフトの逆転に基づく回転部材51の逆方向の回転により、直動部材52が図3の左方に移動し、ピストン43の裏板45aへの押圧が解除されると、ピストン43によるライニング45bのディスクDへの押し付けが解除され、これにより電動ブレーキ機能による制動の解除状態が得られる(図3)。このように、モータ20、回転伝達機構30、回転直動変換機構50、およびキャリパ40は、電動ブレーキとして作動することができる。
また、車両用ブレーキ10には、中心軸Ax1回りのボディ41とピストン43との相対回転を制限する第二回り止め機構80が設けられている。第二回り止め機構80は、ディスクDの径方向で回転部材51の内側に配置されている。
図6は、車両用ブレーキ10に含まれるピストン43の一部を示す図である。図7は、車両用ブレーキ10に含まれる第二回り止め機構80の断面図である。図6,7に示されるように、第二回り止め機構80は、ボディ41およびピストン43に設けられている。ピストン43の筒部43jには、開口部43kが設けられている。開口部43kは、筒部43jを該筒部43jの径方向すなわち中心軸Ax1の径方向に貫通して筒部43j内に通じるとともに、中心軸Ax1の軸方向に延びた長孔状の貫通孔である。筒部43jにおいて開口部43kを形成する面43mのうち、中心軸Ax1回りに互いに間隔を空けて対向する部分は、一対の当接部43hを構成する。すなわち、一対の当接部43hは、開口部43kを形成する面43mにて構成されている。本実施形態では、面43mは、筒状面(環状面)である。一対の当接部43hは、第二回り止め機構80に含まれる。開口部43kは、第二貫通孔の一例である。面43mは、周面とも称されうる。
また、ボディ41には、貫通孔41bと、雌ネジ部41cとが設けられている。貫通孔41bは、ボディ41を貫通しシリンダ42内に開口している。雌ネジ部41cは、貫通孔41bを囲っている。換言すると、雌ネジ部41cに貫通孔41bが設けられている。雌ネジ部41cは、第二回り止め機構80に含まれる。
また、雌ネジ部41cには、第二回り止め機構80に含まれるボルト81が結合されている。ボルト81は、ブレーキ液が流れる流路81fが内部に設けられた所謂バンジョーボルトである。具体的には、ボルト81は、頭部81aと軸部81bとを有している。頭部81aは、シリンダ42(ボディ41)の外側に位置されている。軸部81bは、頭部81aから貫通孔41bを介してシリンダ42内に向けて突出し一対の当接部43hの間に位置されるとともに、雌ネジ部41cと結合されている。詳細には、軸部81bは、頭部81aから突出した基部81cと、基部81cの先端部から突出した凸部81dと、を有している。基部81cには、雌ネジ部41cと結合された雄ネジ部81eが設けられている。流路81fは、シリンダ42内に通じている。流路81fは、連結部材としてのバンジョー82の流路82aと通じている。バンジョー82は、頭部81aとボディ41との間に介在した状態で、ボルト81によってボディ41に固定されている。ボルト81の流路81fとバンジョー82の流路82aを介してシリンダ42内に対するブレーキ液の供給および排出が行なわれる。
このような構成の第二回り止め機構80では、例えば、回転部材51が正転して、直動部材52および第一回り止め機構60を介して、回転部材51の回転力がピストン43に伝達されると、一対の当接部43hの一方がボルト81の凸部81dと中心軸Ax1の周方向に当接する。これにより、ボルト81(凸部81d)が、ピストン43の正転を制限する。一方、回転部材51が逆転して、直動部材52および第一回り止め機構60を介して、回転部材51の回転力がピストン43に伝達されると、一対の当接部43hの他方がボルト81の凸部81dと中心軸Ax1の周方向に当接する。これにより、ボルト81(凸部81d)が、ピストン43の逆転を制限する。ここで、開口部43kの軸方向の長さは、パッド45の状態が非摩耗状態(初期状態)であっても最大摩耗状態であっても、ピストン43の軸方向の移動がボルト81によって制限されない長さに設定されている。
以上、説明したように、本実施形態では、ピストン43は、シリンダ42に収容され、シリンダ42内のブレーキ液の圧力によってシリンダ42の中心軸Ax1に沿って移動してパッド45をディスクDに押し付ける。回転直動変換機構50は、回転部材51と、直動部材52と、を有している。回転部材51は、モータ20によって駆動される。直動部材52は、回転部材51の回転によって中心軸Ax1に沿って移動してピストン43を介してパッド45をディスクDに押し付ける。第一回り止め機構60は、直動部材52およびピストン43に設けられ、中心軸Ax1回りの直動部材52とピストン43との相対回転を制限する。第二回り止め機構80は、ボディ41およびピストン43に設けられ、中心軸Ax1回りのボディ41とピストン43との相対回転を制限する。ボディ41には、当該ボディ41を貫通しシリンダ42内に開口した貫通孔41b(第一貫通孔)と、貫通孔41bを囲った雌ネジ部41cと、が設けられている。第二回り止め機構80は、ピストン43に設けられ、中心軸Ax1回りに互いに間隔を空けて位置された一対の当接部43hと、ボルト81とを有している。ボルト81は、貫通孔41bを介してシリンダ42内に突出し一対の当接部43hの間に位置されている。
このような構成によれば、例えば、ボルト81(軸部81b)と当接部43hとの当接により中心軸Ax1回りのピストン43の回転(ボディ41に対する相対回転)が制限されるので、例えば、ピストンとシリンダとの間に設けられたシール部材の摩擦力によってのみピストンの回転を制限する構成に比べて、ピストン43の回転がより抑制されやすい。また、ボルト81は、雌ネジ部41cと結合されているので、貫通孔41bからのブレーキ液の漏れを抑制することができる。
また、本実施形態では、例えば、ボルト81には、シリンダ42内に通じブレーキ液が流れる流路81fが設けられている。すなわち、ボルト81が流路部材(配管部材)を兼ねている。このような構成によれば、シリンダ42内に通じた通路が設けられた流路部材をボルト81とは別に設けた構成に比べて、車両用ブレーキ10の小型化や簡素化がしやすい。
また、本実施形態では、例えば、ピストン43は、パッド45に面した壁部43iと、中心軸Ax1回りに筒状に構成され壁部43iからパッド45とは反対側に延びた筒部43jと、を有している。筒部43jには、筒部43jを径方向に貫通した開口部43k(第二貫通孔)が設けられ、一対の当接部43hは、面43mにて構成されている。このような構成によれば、筒部においてパッドと反対側の端面に開口した(該端面を切り欠いた)凹部が設けられた構成に比べて、ピストン43の剛性の低下が抑制されやすい。また、貫通孔41bを介してボルト81の流路81fから筒部43j内にブレーキ液を供給することができる。
[第2実施形態]
図8は、車両用ブレーキ10の断面図であって、電動ブレーキ機能による制動状態を示す図である。図9は、車両用ブレーキ10に含まれるピストン43および直動部材52の分解斜視図である。
本実施形態の車両用ブレーキ10は、第1実施形態の車両用ブレーキ10と同様の構成を備えている。よって、本実施形態でも、上記第1実施形態と同様の構成に基づく同様の作用および効果が得られる。
ただし、本実施形態では、ピストン43の開口部43kが、第1実施形態と異なる。本実施形態の開口部43kは、筒部43jを中心軸Ax1の径方向に貫通するとともにピストン43のパッド45とは反対側に向かって開口した凹部である。すなわち、開口部43kの壁部43i(パッド45)とは反対側の端部(図8では左方の端部)は、開放されている。また、本実施形態でも、開口部43kを形成する面43mのうち、中心軸Ax1回りに互いに間隔を空けて対向する部分は、一対の当接部43hを構成する。
以上のように、本実施形態では、筒部43jの外周面43bには、筒部43jを径方向に貫通するとともにピストン43のパッド45とは反対側に向かって開口した開口部43kが設けられ、一対の当接部43hは、開口部43kを形成する面43mにて構成されている。このような構成によれば、開口部がパッドとは反対側に向かって開口していない構成に比べて、ピストン43(筒部43j)の長さを短くしやすい。別の観点で言うと、本実施形態と、開口部がパッドとは反対側に向かって開口していない構成とでピストン43の長さを同一とした場合、本実施形態では開口部43kがピストン43のパッド45とは反対側に向かって開口しているので、開口部がパッドとは反対側に向かって開口していない構成に比べて、開口部43k内のボルト81の相対的なストローク量(軸方向の移動量)の確保が容易である。
[第3実施形態]
図10は、車両用ブレーキ10の断面図であって、電動ブレーキ機能による制動状態を示す図である。図11は、車両用ブレーキ10に含まれるピストン43の一部を示す図である。
本実施形態の車両用ブレーキ10は、第1実施形態の車両用ブレーキ10と同様の構成を備えている。よって、本実施形態でも、上記第1実施形態と同様の構成に基づく同様の作用および効果が得られる。
ただし、本実施形態では、ピストン43の開口部43kが、第1実施形態と異なる。本実施形態の開口部43kは、外周面43bに設けられた凹部である。詳細には、開口部43kは、筒部43jの径方向の外側およびピストン43のパッド45とは反対側に向かって開口している。すなわち、開口部43kの壁部43i(パッド45)とは反対側の端部(図10では左方の端部)は、開放されている。また、本実施形態でも、開口部43kを形成する面43mのうち、中心軸Ax1回りに互いに間隔を空けて対向する部分は、一対の当接部43hを構成する。また、面43m(ピストン43)には、一対の当接部43hを接続した接続部43qが設けられている。接続部43qは、開口部43kにおける中心軸Ax1側を覆っている。開口部43kは、凹部の一例である。接続部43qは、底部とも称される。
以上のように、本実施形態では、筒部43jの外周面43bには、開口部43k(凹部)が設けられ、一対の当接部43hは、開口部43kを形成する面43mにて構成されている。このような構成によれば、例えば、開口部43kが筒部43jを径方向に貫通する構成に比べて、ピストン43の強度や剛性の低下が抑制されやすい。
[第4実施形態]
図12は、車両用ブレーキ10に含まれるピストン43の断面図である。本実施形態の車両用ブレーキ10は、第1実施形態の車両用ブレーキ10と同様の構成を備えている。よって、本実施形態でも、上記第1実施形態と同様の構成に基づく同様の作用および効果が得られる。
ただし、本実施形態では、ピストン43の開口部43kが、第1実施形態と異なる。本実施形態の開口部43kは、外周面43bに設けられ筒部43jの内側に向かって凹んだ凹部である。詳細には、開口部43kは、筒部43jの外周面43bにおける凸部43fとは反対側の部分43pに設けられている。なお、開口部43kは、ピストン43のパッド45とは反対側に向かって開口していてもよいし開口していなくてもよい。図12では、複数(一例として四つ)の凸部43fが設けられ、複数の凸部43fのうち一つに開口部43kが設けられた例が示されているが、開口部43kは、複数の凸部43fのそれぞれに設けられていてもよい。開口部43kは、凹部の一例である。
以上のように、本実施形態では、第一回り止め機構60は、筒部43jの内周面43nに設けられ、直動部材52と当接することにより中心軸Ax1回りの直動部材52とピストン43との相対回転を制限する凸部43fを有している。そして、筒部43jの外周面43bにおける凸部43fとは反対側の部分43pには、筒部43jの内側に向かって凹んだ開口部43k(凹部)が設けられている。一対の当接部43hは、開口部43kを形成する面43mにて構成されている。このような構成によれば、筒部43jにおいて凸部43fが設けられた部分は、筒部43jの他の部分に比べて厚いため、開口部43k(凹部)が設けられても強度や剛性の低下が抑制されやすい。よって、開口部43kの深さの確保が容易である。
なお、上記各実施形態では、ボルト81は、流路81fが設けられたバンジョーボルトの例が示されたが、これに限られない。例えば、ボルト81には、流路81fが設けられていなくてもよい。
また、上記各実施形態では、第二回り止め機構80が、ディスクDの径方向で回転部材51の内側に配置されている構成が例示されたが、これに限られない。例えば、第二回り止め機構80は、ディスクDの径方向で回転部材51の外側に配置されていてもよい。この場合、例えば、ブレーキ液の配管がディスクDの径方向で回転部材51の外側に設けられる従来構成への適用が容易であり、配管の変更が少なくて済む。
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、形状、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
10…車両用ブレーキ、20…モータ、41…ボディ、41b…貫通孔(第一貫通孔)、41c…雌ネジ部、42…シリンダ、43…ピストン、43b…外周面、43f…凸部、43h…当接部、43i…壁部、43j…筒部、43k…開口部(第二貫通孔、凹部)、43m…面、43n…内周面、50…回転直動変換機構、51…回転部材、52…直動部材、60…第一回り止め機構、80…第二回り止め機構、81…ボルト、81f…流路、Ax1…中心軸、D…ディスク。

Claims (5)

  1. モータと、
    シリンダが設けられたボディと、
    前記シリンダに収容され、前記シリンダ内のブレーキ液の圧力によって前記シリンダの中心軸に沿って移動してパッドをディスクに押し付けるピストンと、
    前記モータによって駆動される回転部材と、前記回転部材の回転によって前記中心軸に沿って移動し前記パッドを前記ディスクに押し付けるべく前記ピストンを押圧する直動部材と、を有した回転直動変換機構と、
    前記直動部材および前記ピストンに設けられ、前記中心軸回りの前記直動部材と前記ピストンとの相対回転を制限する第一回り止め機構と、
    前記ボディおよび前記ピストンに設けられ、前記中心軸回りの前記ボディと前記ピストンとの相対回転を制限する第二回り止め機構と、
    を備え、
    前記ボディには、当該ボディを貫通し前記シリンダ内に開口した第一貫通孔と、前記第一貫通孔を囲った雌ネジ部と、が設けられ、
    前記第二回り止め機構は、
    前記ピストンに設けられ、前記中心軸回りに互いに間隔を空けて対向するよう配置された一対の当接部と、
    前記第一貫通孔を介して前記シリンダ内に突出し前記一対の当接部の間に位置されるとともに前記雌ネジ部と結合されたボルトと、
    を有した、車両用ブレーキ。
  2. 前記ボルトには、前記シリンダ内に通じ前記ブレーキ液が流れる流路が設けられた、請求項1に記載の車両用ブレーキ。
  3. 前記ピストンは、前記パッドに面した壁部と、前記中心軸回りに筒状に構成され前記壁部から前記パッドとは反対側に延びた筒部と、を有し、
    前記筒部には、該筒部を前記中心軸の径方向に貫通する第二貫通孔が設けられ、
    前記一対の当接部は、前記第二貫通孔を形成する面にて構成された、請求項1または2に記載の車両用ブレーキ。
  4. 前記ピストンは、前記パッドに面した壁部と、前記中心軸回りに筒状に構成され前記壁部から前記パッドとは反対側に延びた筒部と、を有し、
    前記筒部の外周面には、凹部が設けられ、
    前記一対の当接部は、前記凹部を形成する面にて構成された、請求項1または2に記載の車両用ブレーキ。
  5. 前記第一回り止め機構は、前記筒部の内周面に設けられ、前記直動部材と当接することにより前記中心軸回りの前記直動部材と前記ピストンとの相対回転を制限する凸部を有し、
    前記凹部は、前記筒部の外周面における前記凸部とは反対側の部分に設けられた、請求項4に記載の車両用ブレーキ。
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