JP2020101274A - ピストンおよびブレーキ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】例えば、ピストンが押圧位置から非押圧位置へより戻りやすいなど、改善された新規な構成のピストンおよびブレーキ装置を得る。【解決手段】ピストンは、例えば、第一方向に開口した有底筒状の形状を有し、第一周壁と、金属材料で作られた内側底面を有した底壁と、を有した第一部材と、上記第一周壁の周囲を取り囲み、シリンダの内周面に装着される環状の第一シール部材の内側シール面と摺接する合成樹脂材料で作られた外側シール面を有した第二周壁、を有した第二部材と、を一体に備えている。【選択図】図2
Description
本開示は、ピストンおよびブレーキ装置に関する。
従来、ピストンを介してパッドをディスクに押し付けるブレーキ装置として、ピストンの外周を取り囲むシール部材の弾性によってピストンが押圧位置から非押圧位置へ戻るように構成されたブレーキ装置が、知られている(特許文献1)。
しかしながら、上記従来技術では、シール部材の弾性変形によるピストンの戻りが不十分で当該ピストンがパッドに接した押圧位置に留まると、パッドがディスクに接したままディスクが回転する所謂引き摺り現象が生じる虞がある。
そこで、本発明の課題の一つは、例えば、ピストンが押圧位置から非押圧位置へより戻りやすいなど、改善された新規な構成のピストンおよびブレーキ装置を得ること、である。
本開示のピストンは、例えば、第一方向に開口した有底筒状の形状を有し、第一周壁と、金属材料で作られた内側底面を有した底壁と、を有した第一部材と、上記第一周壁の周囲を取り囲み、シリンダの内周面に装着される環状の第一シール部材の内側シール面と摺接する合成樹脂材料で作られた外側シール面を有した第二周壁、を有した第二部材と、を一体に備えている。
発明者らは、鋭意検討により、第一シール部材の内側シール面と接した状態で摺動するピストンの外側シール面が合成樹脂材料で作られている場合は、当該外側シール面が金属材料で作られている場合よりもピストンが第一シール部材に追従しやすいという知見を得た。よって、本開示のピストンによれば、例えば、第一シール部材の弾性によって押圧位置から非押圧位置へより戻りやすく、ひいては所謂引き摺り現象が生じ難いピストンを得ることができる。
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。本発明は、以下の実施形に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
また、以下の複数の実施形態のピストンは、同様の構成要素を備えている。よって、当該複数のピストンによれば、同様の構成要素に基づく同様の効果が得られる。以下では、それら同様の構成要素については、共通あるいは類似の符号が付与されるとともに、重複する説明が省略される。
また、本明細書において、序数は、部品や部位等を区別するために便宜上付与されており、優先順位や順番を示すものではない。
また、各図において、シリンダ42の中心軸Ax1の軸方向の一方(パッド44を押圧する方向)が矢印Xで示されるとともに、当該軸方向の他方(第一方向と称する)が矢印D1で示されている。
[第1実施形態]
図1は、ブレーキ装置10の断面図であって、電動ブレーキ機能による制動状態を示す図である。
図1は、ブレーキ装置10の断面図であって、電動ブレーキ機能による制動状態を示す図である。
図1に例示されるように、ブレーキ装置10は、電動モータ20と、回転伝達機構30と、回転直動変換機構50を内蔵するキャリパ40と、を備えている。ブレーキ装置10は、液圧ブレーキとして作動することができるとともに、電動ブレーキとしても作動することができる。キャリパ40は、液圧ブレーキを構成し、電動モータ20、回転伝達機構30、回転直動変換機構50、およびキャリパ40は、電動ブレーキを構成する。電動ブレーキは、所謂電動パーキングブレーキである。すなわち、ブレーキ装置10は、電動ブレーキ機能による制動状態が駐車時に維持されるよう、構成されている。ただし、電動ブレーキは、走行時や一時停止時に作動してもよい。
電動モータ20のシャフト(ロータ、不図示)の回転は、複数のギヤ等の回転要素(不図示)を有した回転伝達機構30を介して、回転直動変換機構50の回転部材51に伝達される。回転伝達機構30は、減速機構とも称されうる。
キャリパ40は、ボディ41と、ピストン43とを有している。ボディ41には、シリンダ42が設けられている。シリンダ42は、中心軸Ax1を中心として図1,2の左方向に開放された有底円筒状の穴である。ピストン43は、シリンダ42に中心軸Ax1に沿って往復動可能に収容されている。シリンダ42には液圧室Rが設けられている。液圧室Rにおける液圧の上昇に伴ってピストン43はパッド44の裏板44aを図1,2の右方に押し、ライニング44bをディスクDに押し付ける。これにより、ディスクDと一体に回転する車両のホイール(不図示)が制動された、液圧ブレーキによる制動状態が得られる。具体的に、ピストン43は、円筒外面状の外周面43aと、液圧室Rとは反対側(図1では右方)の端面43bと、を有している。ピストン43の外周面43aとシリンダ42の内周面42aとの間には微小な隙間(クリアランス)が設定されており、外周面43aは、当該隙間に作動液が存在する潤滑状態で、内周面42aと摺動する。第一シール部材72は、シリンダ42(ボディ41、キャリパ40)に装着され、外周面43aと内周面42aとの間に介在し、液圧室Rから隙間を介しての作動液の漏れを抑制する。第一シール部材72は、シリンダ42の内周面42aに設けられた環状の凹部(溝)内に中心軸Ax1の軸方向(以下、単に軸方向と称される、図1の左右方向)への移動が制限された状態で、収容されている。第一シール部材72の内周側のシール面である内側シール面72aには、ピストン43の外周面43aが、摺動可能に接している。また、第一シール部材72は、液圧室Rにおける液圧の下降に伴って弾性力によってピストン43を液圧室R側(図1の左方)に引き込みピストン43の端面43bをパッド44から離間させるリトラクト機能を、有している。すなわち、液圧室Rの液圧の低下に伴って、ピストン43の裏板44aへの押圧が解除されると、ピストン43によるライニング44bのディスクDへの押し付けが解除され、これにより液圧ブレーキによる制動解除状態が得られる。このように、キャリパ40は、液圧ブレーキとして作動することができる。パッド44は、制動部材の一例である。外周面43aは、外側シール面の一例である。
また、キャリパ40内には、回転直動変換機構50が設けられている。回転直動変換機構50は、回転部材51と直動部材52とを有している。回転部材51は、結合部51aと、フランジ51bと、シャフト51cと、を有し、ボディ41に中心軸Ax1回りに回転可能に支持されている。結合部51aは、回転伝達機構30のアウトプットシャフト(不図示)と一体に回転する。フランジ51bと、キャリパ40のボディ41との間には、スラストベアリング71が設けられている。シャフト51cは、フランジ51bから結合部51aとは反対側(図1では右方)に突出している。シャフト51cの外周面には、雄ねじ部51dが設けられている。
直動部材52は、筒状部52aと突起52bとを有している。筒状部52aの形状は、中心軸Ax1を中心とする円筒状である。筒状部52aの筒内面には、雌ねじ部52cが設けられており、この雌ねじ部52cと回転部材51の雄ねじ部51dとが噛み合っている。突起52bは、筒状部52aから中心軸Ax1の径方向(以下、単に径方向と称される)の外方に突出している。
回転直動変換機構50は、ピストン43に設けられた凹部43c内に収容されている。凹部43cは、液圧室R側(図1の左方)に向けて開放されている。直動部材52は、凹部43c内で軸方向に移動可能に設けられている。
回転直動変換機構50には、直動部材52の中心軸Ax1回りの回転を制限する回り止め機構60が設けられている。凹部43cには、軸方向に延びた溝43dが設けられており、この溝43dには、直動部材52の突起52bが当該溝43dに沿って移動可能に収容されている。回り止め機構60は、溝43dの側面と直動部材52の突起52bとによって、構成されている。また、ピストン43の中心軸Ax1回りの回転は、ピストン43と第一シール部材72やパッド44との摩擦などにより制限されている。
このように、本実施形態では、回転部材51の雄ねじ部51dと直動部材52の雌ねじ部52cとが噛み合うとともに、回り止め機構60により直動部材52の突起52bの回転がピストン43の溝43dによって制限されている。よって、回転部材51の回転に応じて直動部材52は軸方向に直動する。電動モータ20のシャフト(ロータ)の回転(以下、これを正転とする)に基づく回転部材51の一方向の回転により、直動部材52が図1の右方に移動してピストン43の底壁81c(図2参照)を押圧し、当該底壁81cが裏板44aを図1の右方に押圧すると、ピストン43はパッド44のライニング44bをディスクDに押し付ける。これにより、ディスクDと一体に回転する車両のホイール(不図示)が制動された、電動ブレーキ機能による制動状態が得られる(図1)。他方、電動モータ20のシャフトの逆転に基づく回転部材51の逆方向の回転により、直動部材52が図1の左方に移動し、ピストン43の裏板44aへの押圧が解除されると、ピストン43によるライニング44bのディスクDへの押し付けが解除され、これにより電動ブレーキ機能による制動の解除状態が得られる。このように、電動モータ20、回転伝達機構30、回転直動変換機構50、およびキャリパ40は、電動ブレーキとして作動することができる。
図2は、ピストン43の断面図である。図2に示されるように、ピストン43は、第一部材81と、第二部材82と、第二シール部材83と、を有している。
第一部材81は、方向Xとは反対の第一方向D1に向けて開口した有底円筒状の形状を有している。方向Xは、ピストン43からパッド44を押圧する押圧方向であり、制動方向とも称されうる。第一方向D1は、非制動方向や、リリース方向、リトラクト方向、戻り方向とも称されうる。
第一部材81は、第一周壁81aと、底壁81cと、を有している。底壁81cは、円板状あるいは円錐台状の形状を有している。底壁81cは、中心軸Ax1と交差しかつ直交しており、中心軸Ax1の径方向に延びている。
第一周壁81aは、円筒状の形状を有している。第一周壁81aの中心軸は、中心軸Ax1である。第一周壁81aは、底壁81cの周縁部から第一方向D1に向けて延びている。
第一周壁81aの外周面81bは、第一部位81b1と、雄ねじ81b2と、を有している。雄ねじ81b2および第一部位81b1は、方向Xの端部から第一方向D1に向けて、この順に並んでいる。第一部位81b1は、雄ねじ81b2に対して第一方向D1に隣接している。第一部位81b1は、滑らかな円筒外面状の形状を有している。
底壁81cの凹部43cに臨む内側底面81c1は、円錐台の内面状の形状を有している。また、底壁81cの方向Xの端面43bは、円形状かつ平面状の形状を有し、方向Xおよび第一方向D1と交差しかつ直交している。端面43bは、外側底面とも称されうる。なお、内側底面81c1は、例えば平面状のような形状や半球面状の形状を有してもよく、円錐台の内面状の形状を有するものには限定されない。
また、底壁81cは、第一周壁81aの根元部分から中心軸Ax1の径方向外側に張り出す第一端面81dを有している。第一端面81dは、第一方向D1を向き、円環状かつ平面状の形状を有している。第一端面81dは、中心軸Ax1の径方向かつ周方向に延びている。
本実施形態では、一例として、第一部材81は、全体的に例えば鉄系材料やアルミ二ウム合金のような金属材料で作られている。しかしながらこれには限定されず、第一部材81のうち、例えば、内側底面81c1や端面43bのような、少なくとも比較的大きな押圧力が作用する部位が、金属材料であればよい。
第二部材82は、円筒状の形状を有している。第二部材82は、第一部材81の第一周壁81aを取り囲んでいる。第一周壁81aは、第二部材82の内周面82c1の内側に接している。第二部材82は、第一部材81と固定され、ピストン43(サブアセンブリ)の一部を構成している。
第二部材82は、第二周壁82aと、第三周壁82cと、を有している。第二周壁82aおよび第三周壁82cの中心軸は、中心軸Ax1である。第二周壁82aは、第三周壁82cの周囲を取り囲んでいる。第三周壁82cは、第二周壁82aの内周面82bの内側に接している。
第二周壁82aの内周面82bは、第一固定部位82b1と、第二部位82b2と、を有している。第一固定部位82b1および第二部位82b2は、方向Xの端部から第一方向D1に向けて、この順に並んでいる。第二部位82b2は、第一固定部位82b1に対して第一方向D1に隣接している。
第一固定部位82b1は、第三周壁82cを固定する部位である。すなわち、第三周壁82cは、第一固定部位82b1の内側に接し、当該第一固定部位82b1と固定されている。第一固定部位82b1は、中心軸Ax1の軸方向および周方向に略沿って延びている。第一固定部位82b1は、第二部位82b2よりも粗い面を有しているか、あるいは複数の凹凸を有している。本実施形態では、一例として、第一固定部位82b1には、後述する第二部材82の製造工程(インサート成形)において、雌ねじが構成される。
第二部位82b2は、第一固定部位82b1に対して第一方向D1に隣接して位置され、内周面82bの第一方向D1の端部を構成している。第二部位82b2は、第一内面82b21と、第二内面82b22と、を有している。第一内面82b21は、第一固定部位82b1に対して第一方向D1に隣接し、第二内面82b22は、第一内面82b21に対して第一方向D1に隣接している。第一内面82b21および第二内面82b22は、いずれも、滑らかであり、円筒内面状の形状を有し、中心軸Ax1の軸方向および周方向に略沿って延びている。第一内面82b21と第二内面82b22との間には段差が設けられている。第一内面82b21の直径は、第一固定部位82b1の直径および第二内面82b22の直径よりも大きく、第二内面82b22の直径は、第一固定部位82b1の直径および第一内面82b21の直径よりも小さい。第一内面82b21は、第一固定部位82b1および第二内面82b22から径方向外側に凹んだ環状溝の底面である。第二内面82b22は、第一周壁81aの第一部位81b1と面している。第一部位81b1と第二内面82b22との間には、環状かつ薄い円筒状の微小なクリアランスが設けられている。
第三周壁82cは、内周面82c1と、外周面82c2と、を有している。内周面82c1は、第一周壁81aの雄ねじ81b2と噛み合う雌ねじである。外周面82c2は、第二周壁82aを固定する部位である。すなわち、第二周壁82aは、外周面82c2の外側に接し、当該外周面82c2と固定されている。外周面82c2は、比較的粗い面を有しているか、あるいは複数の凹凸を有している。本実施形態では、外周面82c2は、一例として、雄ねじを有している。後述する第二部材82の製造工程(インサート成形)において、第二周壁82aの第一固定部位82b1には、この雄ねじと噛み合った雌ねじが形成される。このように、内周面82c1は、第一周壁81aの雄ねじ81b2と固定され、外周面82c2は、第二周壁82aの第一固定部位82b1と固定されている。
また、第二部材82の第二周壁82aおよび第三周壁82cの方向Xの第二端面82dは、段差が無く、面一である。第二端面82dは、方向Xを向き、円環状かつ平面状の形状を有している。第一端面81dは、中心軸Ax1の径方向かつ周方向に延びている。ピストン43(サブアセンブリ)において、第一端面81dと第二端面82dとは互いに面するとともに接している。
ここで、本実施形態では、第二周壁82aは、合成樹脂材料で作られ、第三周壁82cは、例えば鉄系材料やアルミ二ウム合金のような金属材料で作られている。この場合、第二部材82は、第三周壁82cを型内にインサートした状態で第二周壁82aが成形される、所謂インサート成形によって、製造されうる。このインサート成形において、第二周壁82aの第一固定部位82b1には、第三周壁82cの外周面82c2に設けられた雄ねじと噛み合う雌ねじが形成される。これら雄ねじと雌ねじとは、第二周壁82aと第三周壁92cとの方向Xおよび第一方向D1、すなわち中心軸Ax1の軸方向への抜け止め機構を構成し、第二周壁82aと第三周壁82cとが、中心軸Ax1の軸方向、すなわち第一方向D1や方向Xに相対的に移動するのを抑制している。
第一部材81と第二部材82とは、第一周壁81aの雄ねじ81b2と、第三周壁82cの内周面82c1に設けられた雌ねじとのねじ結合によって、結合される。すなわち、第二周壁82aと第三周壁82cとが一体化された第二部材82が、雄ねじ81b2と雌ねじとの噛み合いによって、第一部材81に締め付けられ、一体化される。第二部材82は、ナットと称され、第一周壁81aは、ボルトと称されうる。
第二シール部材83は、環状の形状を有している。第二シール部材83は、例えば、Oリングまたはパッキンであり、エラストマで作られている。第二シール部材83は、第一周壁81aの外周面81bの第一部位81b1と、第二周壁82aの内周面82bの第二部位82b2との間に介在し、当該第一部位81b1と第二部位82b2との間をシールしている。具体的に、第二シール部材83は、第一内面82b21を底面とする環状溝に収容された状態で、当該第一内面82b21と第一部位81b1との間に、弾性的に圧縮された状態で介在している。このような構成により、第二シール部材83と第一部位81b1との間、および第二シール部材83と第二部位82b2の第一内面82b21との間において、第二シール部材83の弾性力および自己シール性によって生じる面圧により、作動液の往来が遮断される。これにより、液圧室R内の作動液が、第一周壁81aと第三周壁82cとの第一境界B1および第二周壁82aと第三周壁82cとの第二境界B2を経て、第一シール部材72の低圧側に漏れるのが、抑制される。なお、第一周壁81aと第三周壁82cとの第一境界B1は、第一周壁81aの雄ねじ81b2と第三周壁82cの内周面82c1(雌ねじ)との境界であって、第一部材81と第二部材82との間の境界である。第一境界B1は、第一シール部材72に対して高圧側(液圧室R内)に露出した第一端部Be1と、第一シール部材72に対して低圧側(液圧室R外)に露出した第二端部Be2との間で延びている。また、第二周壁82aと第三周壁82cとの第二境界B2は、第二周壁82aの内周面82bの第一固定部位82b1と第三周壁82cの外周面82c2との間の境界である。このように、本実施形態では、第二境界B2が第一境界B1の途中から低圧側に向けて分岐しており、第二シール部材83が、当該分岐位置よりも高圧側において第一境界B1をシールすることにより、第一境界B1を経由した作動液の漏れと、第二境界B2を経由した作動液の漏れとを抑制している。なお、境界とは、接触境界あるいは隙間である。
第二シール部材83が内周面82bに装着された第二部材82が、第一部材81に取り付けられることにより、第二シール部材83はピストン43に組み込まれる。
上記構成において、第一シール部材72の内側シール面72aと接した状態で摺動するピストン43の外周面43a、すなわち外側シール面は、合成樹脂材料で構成されている。発明者らの鋭意研究により、ピストン43の外周面43aが合成樹脂材料で作られた場合にあっては、金属材料で作られた場合に比べて、内側シール面72aと外周面43aとの摩擦係数が高くなり、内側シール面72aと外周面43aとがより滑り難くなり、第一シール部材72が外周面43aの移動に追従してより弾性変形しやすくなり、ひいては、当該第一シール部材72の弾性変形によるピストン43のリトラクト力、すなわち、押圧位置から非押圧位置の戻り力が、より大きくなる、という知見が得られた。
また、上記構成にあっては、液圧室Rが高圧状態にある場合には、液圧が第一シール部材72自体に作用しているため、第一シール部材72の液圧が作用する前の形状への復元変形は生じ難い。よって、液圧ブレーキによる制動が解除された場合に、第一シール部材72の弾性変形に基づく所要のリトラクト力が得られやすい。
しかしながら、例えば、回転直動変換機構50の直動部材52によるピストン43の押圧に基づく制動状態、言い換えると電動パーキングブレーキによる制動状態において、液圧室Rの液圧が低下すると、内側シール面72aと外周面43aとが滑り易い場合にあっては、ピストン43の位置が維持されたまま、第一シール部材72の弾性によって第一シール部材72は液圧が作用する前の形状へ復元する虞がある。このような場合には、直動部材52によるピストン43の押圧が解除された際に、第一シール部材72の弾性変形に基づくリトラクト力が得られ難くなる。
この点、上述したように、本実施形態では、ピストン43の外周面43aが合成樹脂材料で作られることにより、内側シール面72aと外周面43aとがより滑り難い。よって、本実施形態によれば、電動パーキングブレーキによる制動状態において液圧室Rの液圧が低下しても、外周面43aとの摩擦により内側シール面72aの当該外周面43aに対する相対移動が抑制され、これにより、第一シール部材72の液圧が作用する前の形状への復元変形が、抑制される。よって、本実施形態によれば、電動パーキングブレーキによる制動が解除された場合にも、第一シール部材72の弾性変形に基づく所要のリトラクト力が得られやすい。
このような外周面43aを構成する合成樹脂材料は、結合材として、例えば、フェノール樹脂を有してもよい。また、合成樹脂材料は、充填剤として、例えば、メタ珪酸カルシウム、焼成珪酸アルミニウム、ガラス繊維、シリカ等を含有してもよい。また、合成樹脂材料は、具体的には、住友ベークライト社製の、#29502Bや、PM−3088、#29502等であってもよく、作業性や、成形性、機械強度、耐熱性等の観点からは、#29502BあるいはPM−3088であってもよい。
また、外周面43aには、例えば研磨処理のような粗面処理が、施されてもよい。この場合、粗面処理は、外周面43aのうち少なくとも内側シール面72aと摺動する領域に施されればよい。
以上、説明したように、本実施形態では、第一シール部材72の内側シール面72aと接するピストン43の外周面43a(外側シール面)が、合成樹脂材料で構成されている。このような構成によれば、例えば、第一シール部材72の内側シール面72aがピストン43の外周面43aに追従しやすくなり、第一シール部材72の弾性によってピストン43が押圧位置から非押圧位置へ戻りやすくなり、ひいては所謂引き摺り現象が生じ難くなる。
また、本実施形態では、第二シール部材83が、第一シール部材72の高圧側と低圧側との間で延びる第一部材81と第二部材82との間の第一境界B1をシールする。このような構成によれば、例えば、高圧側から第一境界B1を介して低圧側に作動液が漏れるのが抑制され、ひいてはブレーキ装置の作動効率が低下するのが抑制される。
また、本実施形態では、第二部材82は、合成樹脂材料で作られた第二周壁82aと金属材料で作られた第三周壁82cとを一体に有し、第三周壁82cの内周面82c1に設けられた雌ねじと、第一周壁81aの外周面81bに設けられた雄ねじ81b2とが結合されている。このような構成によれば、例えば、第一部材81と第二部材82とが一体化されたピストン43を、比較的簡素な構成によって実現することができる。また、第三周壁82cが金属材料であるため、雌ねじの剛性および強度を高めることができ、第一部材81と第二部材82との結合部分における所要の剛性および強度が得られやすくなる。なお、雄ねじ81b2の向き(右ねじあるいは左ねじ)は、制動時における回転部材51の回転に応じて第一部材81が直動部材52から受けたトルクによって緩まないように、すなわち第一部材81を制動時における回転部材51の回転方向に回した際に第二部材82に対して相対的に方向D1へ移動する向きに、設定される。
また、本実施形態では、第二シール部材83は、さらに、第二周壁82aと第三周壁82cとの間の第二境界B2を経由した作動液の漏れも抑制する。このような構成によれば、例えば、高圧側から第二境界B2を介して低圧側に作動液が漏れるのが抑制され、ひいてはブレーキ装置の作動効率が低下するのが抑制される。また、例えば、第二境界B2をシールするシール部材を第二シール部材83とは別に有した構成に比べて、ピストン43がより小型化されたり、製造の手間やコストが低減できたり、といった利点が得られる。
[第2実施形態]
図3は、ピストン43Aの断面図である。図2に示されるように、ピストン43Aは、第一部材81Aと、第二部材82Aと、第二シール部材83と、を有している。
図3は、ピストン43Aの断面図である。図2に示されるように、ピストン43Aは、第一部材81Aと、第二部材82Aと、第二シール部材83と、を有している。
本実施形態では、第二部材82Aが第三周壁82cを有さず、第二部材82Aの第二周壁82aが、直接、第一部材81Aの第一周壁81aに固定されている。
第一周壁81aの外周面81bは、第二固定部位81b4と、第三部位81b3と、を有している。第二固定部位81b4および第三部位81b3は、方向Xの端部から第一方向D1に向けて、この順に並んでいる。第三部位81b3は、第二固定部位81b4に対して第一方向D1に隣接している。第三部位81b3は、滑らかな円筒外面状の形状を有している。
他方、第二周壁82aの内周面82bは、第三固定部位82b3と、第四部位82b4と、を有している。第三固定部位82b3および第四部位82b4は、方向Xの端部から第一方向D1に向けて、この順に並んでいる。第四部位82b4は、第三固定部位82b3に対して第一方向D1に隣接している。
第三固定部位82b3は、第一周壁81aを固定する部位であり、第二固定部位81b4は、第二周壁82aを固定する部位である。すなわち、第一周壁81aは、第三固定部位82b3の内側に接し、当該第三固定部位82b3と固定されている。第三固定部位82b3は、中心軸Ax1の軸方向および周方向に略沿って延びている。第三固定部位82b3は、第四部位82b4よりも粗い面を有しているか、あるいは複数の凹凸を有している。また、第二固定部位81b4は、中心軸Ax1の軸方向および周方向に略沿って延びている。第二固定部位81b4は、第三部位81b3よりも粗い面を有しているか、あるいは複数の凹凸を有している。本実施形態では、一例として、第二固定部位81b4には、雄ねじが設けられ、第三固定部位82b3には、後述するピストン43Aの製造工程(インサート成形)において、雌ねじが構成される。
第四部位82b4は、第三固定部位82b3に対して第一方向D1に隣接して位置され、内周面82bの第一方向D1の端部を構成している。第四部位82b4は、滑らかであり、円筒内面状の形状を有し、中心軸Ax1の軸方向および周方向に略沿って延びている。第四部位82b4の直径は、第三固定部位82b3の直径よりも大きい。第四部位82b4は、第三固定部位82b3から径方向外側に凹んだ環状溝の底面である。第三部位81b3および第四部位82b4によって構成される環状溝は、第一方向D1に開放されている。
また、本実施形態では、第二周壁82a(第二部材82A)は、合成樹脂材料で作られ、第一周壁81a(第一部材81A)は、例えば鉄系材料やアルミ二ウム合金のような金属材料で作られている。この場合、ピストン43Aは、第一部材81Aを型内にインサートした状態で第二部材82Aが成形される、所謂インサート成形によって、製造されうる。このインサート成形において、第二周壁82aの第三固定部位82b3には、第一周壁81aの第二固定部位81b4に設けられた雄ねじと噛み合う雌ねじが形成される。これら雄ねじと雌ねじとは、第一周壁81aと第二周壁82aとの方向Xおよび第一方向D1、すなわち中心軸Ax1の軸方向への抜け止め機構を構成し、第一周壁81aと第二周壁82aとが、中心軸Ax1の軸方向、すなわち第一方向D1や方向Xに相対的に移動するのを抑制している。
第二シール部材83は、第一周壁81aの外周面81bの第三部位81b3と、第二周壁82aの内周面82bの第四部位82b4との間に介在し、当該第三部位81b3と第四部位82b4との間をシールしている。具体的に、第二シール部材83は、第三部位81b3および第四部位82b4を底面および頂面とする環状溝に収容された状態で、当該第三部位81b3と第四部位82b4との間に、弾性的に圧縮された状態で介在している。このような構成により、第二シール部材83と第三部位81b3との間、および第二シール部材83と第四部位82b4との間において、第二シール部材83の弾性力および自己シール性によって生じる面圧により、作動液の往来が遮断される。これにより、液圧室R内の作動液が、第一周壁81aと第二周壁82aとの第一境界B1を経て、第一シール部材72の低圧側に漏れるのが、抑制される。
以上の本実施形態によれば、例えば、第三周壁82cが無い分、部品点数を削減することができ、製造の手間やコストが低減されうる。なお、ピストン43Aには、第二シール部材83が第一方向D1に抜けるのを抑制する蓋のような抜け止め構造が設けられてもよい。
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、型式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
例えば、回転直動変換機構や、回り止め機構は、種々の構成として実現されうる。また、例えば、ピストンの構成は種々に変形して実現可能である。また、ピストンの外周面のうち、少なくとも第一シール部材の内側シール面と接する部位としての外側シール面が、合成樹脂材料で作られていればよく、ピストンの外周面の全域が合成樹脂材料で作られる必要はない。
10…ブレーキ装置、20…電動モータ(モータ)、40…キャリパ、42…シリンダ、42a…内周面、43,43A…ピストン、43a…外周面(外側シール面)、50…回転直動変換機構、51…回転部材、52…直動部材、72…第一シール部材、72a…内側シール面、81,81A…第一部材、81a…第一周壁、81b…(第一周壁の)外周面、81b2…雄ねじ、81c…底壁、81c1…内側底面、82,82A…第二部材、82a…第二周壁、82b…(第二周壁の)内周面、82c…第三周壁、82c1…(第三周壁の)内周面(雌ねじ)、83…第二シール部材、B1…第一境界、B2…第二境界、D1…第一方向。
Claims (6)
- 第一方向に開口した有底筒状の形状を有し、第一周壁と、金属材料で作られた内側底面を有した底壁と、を有した第一部材と、
前記第一周壁の周囲を取り囲み、シリンダの内周面に装着される環状の第一シール部材の内側シール面と摺接する合成樹脂材料で作られた外側シール面を有した第二周壁、を有した第二部材と、
を一体に備えた、ブレーキ装置用のピストン。 - 前記第一シール部材の高圧側と低圧側との間で延びる前記第一部材と前記第二部材との第一境界をシールして当該第一境界を経由した作動液の漏れを抑制する環状の第二シール部材を備えた、請求項1に記載のピストン。
- 前記第二部材は、合成樹脂材料で作られた前記第二周壁と、当該第二周壁の内周面に固定され前記第一周壁との間に介在した金属材料で作られた第三周壁と、を一体に有し、
前記第三周壁の内周面に設けられた雌ねじと、前記第一周壁の外周面に設けられた雄ねじとが結合された、請求項1または2に記載のピストン。 - 前記第一シール部材の高圧側と低圧側との間で延びる前記第一部材と前記第二部材との第一境界をシールして当該第一境界を経由した作動液の漏れを抑制する環状の第二シール部材を備え、
前記第二シール部材は、前記高圧側と前記低圧側との間に位置される前記第二周壁と前記第三周壁との間の第二境界を経由した作動液の漏れを抑制する、請求項3に記載のピストン。 - 請求項1〜4のうちいずれか一つに記載のピストンと、
前記ピストンを往復可能に収容するシリンダが設けられたキャリパと、
前記第一シール部材と、
を備え、
前記シリンダに導入された液圧により前記ピストンがディスクロータに押し付けられるよう構成された、ブレーキ装置。 - 請求項1〜4のうちいずれか一つに記載のピストンと、
前記ピストンを往復可能に収容するシリンダが設けられたキャリパと、
モータのロータと連動して回転する回転部材と、当該回転部材の回転に応じて直動する直動部材と、を有した回転直動変換機構と、
前記第一シール部材と、
を備え、
直動する前記直動部材が前記第一部材を押圧することにより前記ピストンがディスクロータに押し付けられるよう構成された、ブレーキ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018241770A JP2020101274A (ja) | 2018-12-25 | 2018-12-25 | ピストンおよびブレーキ装置 |
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JP2018241770A JP2020101274A (ja) | 2018-12-25 | 2018-12-25 | ピストンおよびブレーキ装置 |
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JP2018241770A Pending JP2020101274A (ja) | 2018-12-25 | 2018-12-25 | ピストンおよびブレーキ装置 |
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Cited By (1)
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CN114542630A (zh) * | 2020-11-27 | 2022-05-27 | 株式会社岛野 | 用于人力车辆的液压装置 |
-
2018
- 2018-12-25 JP JP2018241770A patent/JP2020101274A/ja active Pending
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CN114542630B (zh) * | 2020-11-27 | 2024-05-17 | 株式会社岛野 | 用于人力车辆的液压装置 |
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