JP2019081511A - 樹脂製タンク - Google Patents
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Abstract
Description
また、樹脂製タンクを2層に成形する場合、ブロー成形で樹脂製タンクを製造することも公知である。
ブロー成形によって樹脂製タンクを2層に形成する場合を、図11を参照して説明する。
図11のブロー成形では、ブロー成形の成形用金型M内に表層の樹脂101と内層の樹脂102(例えばバリア層)とが設けられる。表層の樹脂101及び内層の樹脂102の内側に注入される空気によって表層の樹脂101及び内層の樹脂102が膨らむことで、樹脂製タンクは成形用金型Mの内面に沿う形状に成形される。ここで、表層の樹脂101に外方に突出する保持部材などの成形品103をブロー成形で一体に成形する場合、成形品103に対応する位置では表層の樹脂101が外側に凹むため、内層の樹脂102にも外側に凹むノッチNが発生する。このため、ノッチNの部分では、内層の樹脂102が部分的に薄くなったり、内層の樹脂102にしわが発生したりすることがある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、鞍乗り型車両の樹脂製タンクにおいて、外装品を樹脂製タンクに高い自由度で設け、且つ、バリア層を均一に設けることを目的とする。
また、上記発明において、前記外装品(80)は、前記外面(30a)から外方に突出し前記タンク本体(35)の長手方向に延びるとともに幅方向に互いに離間する結合基部(85)と、前記結合基部(85)の突出方向の端部に設けられるフランジ部(86)とを備えても良い。
また、上記発明において、前記タンク本体(35)は、前記タンク本体(35)を固定するための取付ステー(37)を備え、前記囲曉壁(90)が、前記取付ステー(37)の少なくとも一部に一体に結合されても良い。
また、上記発明において、前記取付ステー(37)は、ステー本体部(70)と、前記ステー本体部(70)から前記注入口(31)側に延びて前記外面(30a)に結合される補強リブ(71)とを備え、前記補強リブ(71)が前記囲曉壁(90)に結合されても良い。
この構成によれば、賦形体として設けられるバリア層に対向するタンク本体の外面に、外方に突出する外装品が一体成形されるため、外面に高い自由度で外装品を設けることができる。さらに、タンク本体の外面の面方向に離間する結合部でこの外面に結合される外装品が補強リブとして機能し、外力に対するタンク本体の変形を効果的に抑制できるため、バリア層の変形を抑制できる。また、タンク本体及び外装品は、賦形体に対向するタンク本体の外面に一体成形されるため、外装品の影響によるタンク本体の内面側のノッチの発生を防止でき、外装品が設けられる部分であっても、均一なバリア層を形成できる。このため、タンク本体からの燃料の透過を効果的に低減できる。
また、上記発明において、外装品は、外面から外方に突出し、タンク本体の長手方向に延びるとともに幅方向に互いに離間する結合基部と、結合基部の突出方向の端部に設けられるフランジ部とを備えても良い。この構成によれば、タンク本体の長手方向に延びる外装品の結合基部によってタンク本体を長手方向に沿って効果的に補強でき、結合基部の長さによって強度の調整も行うことができる。また、結合基部が幅方向に互いに離間するため、タンク本体を幅方向に補強できる。
また、上記発明において、タンク本体は、タンク本体を固定するための取付ステーを備え、囲曉壁が、取付ステーの少なくとも一部に一体に結合されても良い。この構成によれば、取付ステーを囲曉壁によって補強できるため、タンク本体の支持剛性が向上し、タンク本体の容量を拡大できる。
また、上記発明において、取付ステーは、ステー本体部と、ステー本体部から注入口側に延びて外面に結合される補強リブとを備え、補強リブが囲曉壁に結合されても良い。この構成によれば、補強リブによって取付ステーを補強できるとともに、取付ステーと注入口との間が離れている場合であっても、補強リブを介して突出壁と取付ステーとを結合させることができる。
自動二輪車1は、車体フレームF(車体)にパワーユニットとしてのエンジン10が支持され、前輪2を操舵可能に支持する操舵系11が車体フレームFの前端に操舵可能に支持され、後輪(不図示)を支持するスイングアーム(不図示)が車体フレームFの後部側に設けられる車両である。自動二輪車1は、運転者が跨るようにして着座するシート13(外装部品)が車体フレームFの後部の上方に設けられる鞍乗り型車両である。
ヘッドパイプ部14は、車体フレームFの前端に設けられる。
メインフレーム15,15は、ヘッドパイプ部14から後下がりに後方へ延びる。
ダウンフレーム16は、ヘッドパイプ部14においてメインフレーム15,15の下方の位置から下方に延び、前輪2の後方で屈曲して後方に延びる。
上記ピボットフレームは、メインフレーム15,15の後端部から下方に延びてダウンフレーム16の後端に接続される。
シートフレーム17,17は、メインフレーム15,15の後端部から後方へ延びる。
上記サブフレームは、上記ピボットフレームから後上方に延びてシートフレーム17,17の後部に接続される。
前輪2は、フロントフォーク23,23の下端部に軸支される。フロントフェンダー25はボトムブリッジ22に支持される。
シート13は、シートフレーム17,17の上方に配置され、シートフレーム17,17に支持される。
燃料タンク30(樹脂製タンク)は、メインフレーム15,15に沿うようにメインフレーム15,15の上方に配置され、メインフレーム15,15に支持される。燃料タンク30は、車両前後方向では、ヘッドパイプ部14とシート13との間に配置される。シート13の前端部は、燃料タンク30の上面30a(外面)の後部を上方から覆う。
図1及び図2に示すように、燃料タンク30の上面30aの前部には、燃料(液体)の注入口としての給油口31が設けられる。給油口31にはタンクキャップ32が取り付けられ、給油口31はタンクキャップ32によって閉じられる。
燃料タンク30には、給油口31を周囲から囲うトレイ33(外装品)が設けられる。トレイ33は、タンクキャップ32と燃料タンク30の上面30aとの間に設けられる。
トレイ33は、下方に延びるドレン管33aが設けられる。給油時等に零れた燃料(液体)はトレイ33によって受けられ、ドレン管33aから下方に排出される。
図2〜図4を参照し、燃料タンク30は、樹脂製の燃料タンク本体35(タンク本体)と、燃料タンク本体35の内面の略全体に設けられるバリア層36とを備える。バリア層36の厚さはその全体に亘って略一定である。
バリア層36は、燃料タンク本体35を構成する素材よりも燃料の透過性が小さい素材で構成される。バリア層36によって、燃料タンク30内に貯留されるガソリン等の燃料が燃料タンク30を透過して外部に漏れることが抑制される。
燃料タンク本体35の前部は、前部取付ステー37に上方から挿通されるタンク固定具39a(固定具、図1参照)によって、ヘッドパイプ部14の後部の上面に固定される。
燃料タンク本体35の後部の下部には、下方へ突出する後部取付ステー38L,38Rが左右一対設けられる。
メインフレーム15,15は、上方に延出するタンクステー15a,15a(図1)を後部に備える。
燃料タンク本体35の後部は、後部取付ステー38L,38Rに車幅方向外側からそれぞれ挿通されるタンク固定具39b,39b(図1参照)によって、タンクステー15a,15aに固定される。
筒状注入部40は、燃料タンク本体35を構成する樹脂材料と同一の樹脂材料によって構成されており、燃料タンク本体35と一体に形成される。
筒状注入部40には、筒状注入部40の外周及び内周を覆う金属製の口金(不図示)が取り付けられる。
また、燃料タンク本体35は、燃料ポンプ43が取り付けられるポンプ取付開口部44を下面に備える。
前部取付ステー37は、上半体45の前端部に設けられる。筒状注入部40は、上半体45の上面30aの前部に設けられる。ここで、上半体45の上面30aは、燃料タンク30の上面30aである。
後部取付ステー38L,38Rは、下半体46の後部に設けられる。ポンプ取付開口部44は、下半体46の下面に設けられる。
バリア層36は、上半体45の内面に結合される上側バリア層36a(一方のバリア層)と、下半体46の内面に結合される下側バリア層36b(他方のバリア層)とを備える。
図5を参照し、押し出し成形用のダイ51に、バリア層36を構成する複数の材料が供給され、シート状の成形体50がダイ51から押し出される。
成形体50は、真空成形機52によって、燃料タンク本体35の内面に沿う形状に賦形されて固化し、賦形体50aとなる。賦形体50aとなったバリア層36は、トリミング用の金型(不図示)によって、周縁部をトリミングされる。
トリミングされた賦形体50aは、燃料タンク本体35を成形するインジェクション成形(射出成形)の金型53内にセットされ、燃料タンク本体35のインジェクション成形の際に燃料タンク本体35に一体化される。すなわち、バリア層36は、インサート成形によって燃料タンク本体35の内面に結合される。換言すると、燃料タンク本体35は、インジェクション成形によって賦形体50a上に形成される。
上側バリア層36aは、上半体45のインジェクション成形の際に上半体45に結合され、下側バリア層36bは、下半体46のインジェクション成形の際に下半体46に結合される。
その後、上側接合面47c及び下側接合面48cが加熱によって溶かされ、上側接合面47cと下側接合面48cとが圧着されることで、上半体45と下半体46とが一体化される。
燃料タンク30は、燃料タンク本体35の1層と、5層で構成されるバリア層36とによって6層で構成される。
バリア層36は、バリア層本体55と、バリア層本体55の両面に設けられる接着層56,56と、接着層56,56を介してバリア層本体55の両側に接着される外層57a,57bとを備える。
バリア層本体55は、高密度ポリエチレンよりも燃料成分を透過させ難い材質で構成される。バリア層本体55は、一例として、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)で構成される。
外層57a,57bは、燃料タンク本体35と同じ材質で構成され、一例として、高密度ポリエチレンで構成される。
バリア層36は、外層57bが燃料タンク本体35内に露出して燃料に接する。このため、燃料のバリア層本体55への直接的な接触が防止される。
上側接合部47は、上半体45の外面から燃料タンク本体35の外側に突出するフランジ状に形成されている。上側接合部47は、上半体45の全周に亘って設けられる。
上側接合部47の幅W1は、上半体45の側壁部45a(壁部)の厚さt1よりも大きい。
フランジ状の上側接合部47の先端部の上面には、上側接合面47cと平行な押圧面47dが形成される。
押圧面47dは、周縁リブ47eと上半体45の外面との間に形成される溝部58の底面である。
上半体45は、溝部58に係合して押圧面47dを押圧する押圧冶具J1によって、下半体46の下側接合面48cに押し付けられる。
押圧面47dは、押圧冶具J1の押圧方向Pにおいて、上側接合面47cに重なる。このため、押圧冶具J1によって上側接合面47cを直接的に押圧でき、良好に圧着を行うことができる。
下側接合部48の幅W2は、下半体46の側壁部46a(壁部)の厚さt2よりも大きい。
フランジ状の下側接合部48の先端部の下面には、下側接合面48cと平行な押圧面48dが形成される。
押圧面48dは、周縁リブ48eと下半体46の外面との間に形成される溝部59の底面である。
下半体46は、溝部59に係合して押圧面48dを押圧する押圧冶具J2によって、上半体45の上側接合面47cに押し付けられる。
押圧面48dは、押圧冶具J2の押圧方向Pにおいて、下側接合面48cに重なる。このため、押圧冶具J2によって下側接合面48cを直接的に押圧でき、良好に圧着を行うことができる。
押圧方向Pは、上半体45及び下半体46の接合方向である。
屈曲部61は、上半体45の内面に沿う上側バリア層36aの本体部36a1に対し、略直角に屈曲する。
屈曲部61は、押圧方向Pにおいて、押圧面47dと上側接合面47cとの間に配置される。屈曲部61の長さは、側壁部45aの厚さt1よりも小さい。
屈曲部62は、下半体46の内面に沿う下側バリア層36bの本体部36b1に対し、略直角に屈曲する。
屈曲部62は、押圧方向Pにおいて、押圧面48dと下側接合面48cとの間に配置される。屈曲部62の長さは、側壁部46aの厚さt2よりも小さい。
屈曲部61,62は、インジェクション成形の金型53(図5)によって上半体45及び下半体46を成形する際に、上半体45及び下半体46に埋め込まれる。このため、屈曲部61,62を容易に埋め込むことができる。
図8に示すように、上側接合部47は、接合する前の状態では、圧着代L1と、溶融代L2との分だけ押圧方向Pに厚く形成されている。
同様に、下側接合部48は、接合する前の状態では、圧着代L1と、溶融代L2との分だけ押圧方向Pに厚く形成されている。
圧着代L1は、溶着の際に圧着される部分であり、圧着代L1の部分の一部は、圧力によって上側接合面47c及び下側接合面48cからはみ出るはみ出し部63,63(図7)となる。
本実施の形態では、バリア層36の屈曲部61,62は、上側接合面47c及び下側接合面48cから上下方向にそれぞれ離間しており、上側接合面47c及び下側接合面48cに対して溶着されない。これにより、上側接合面47cと下側接合面48cとの溶着の際に、上側バリア層36a及び下側バリア層36bについて溶着を管理する必要がないため、上半体45と下半体46とを容易に溶着できる。
また、屈曲部61と屈曲部62との間には、バリア層36が存在しない領域があるが、この領域は小さいため、この領域からの燃料の外側への透過は許容される。
また、出代寸法L3は、上側接合部47の全周及び下側接合面48cの全周に亘って等しい。
本実施の形態では、図7を参照し、斜面部47b,48b(図4)の部分の上側接合部47及び下側接合部48の幅W3(図7の仮想線の部分)は、平面部47a,47aの部分の幅W1,W2よりも小さい。
これにより、斜面部47b,48bの部分における上側接合面47c及び下側接合面48cの面積が小さくなり、押圧方向Pの押圧力による斜面部47b,48bの面圧が大きくなる。このため、上側接合部47及び下側接合部48の全体に作用する面圧を均一化でき、良好に溶着できる。
図9は、前部取付ステー37を左上方側から見た斜視図である。図10は、図9のX−X断面図である。
図9及び図10を参照し、前部取付ステー37は、上半体45の前端部において、燃料タンク本体35の幅方向(車幅方向)の中央部に設けられ、給油口31の前方に位置する。
前部取付ステー37は、上半体45の上面30aに設けられるステー本体部70と、ステー本体部70の後面に設けられる補強リブ71,71とを一体に備える。
ステー本体部70は、上半体45の上面30aの前縁から上方に延出する縦壁部72と、縦壁部72の上端から前方に延びる板状の前方延出部73と、前方延出部73を板厚方向に上下に貫通する取付孔74とを備える。
補強リブ71,71は、縦壁部72の後面の左右の側縁部に一対設けられる。補強リブ71,71は、ステー本体部70と給油口31との間に配置されて前後に延びる。補強リブ71,71の後縁は、給油口31側に向けて後下がりに下るように傾斜している。
取付孔74には、防振性を備える円筒状のカラー部材76が嵌合され、タンク固定具39aは、カラー部材76の孔に上方から挿通される。タンク固定具39aはボルトである。
タンク固定具39aは、カラー部材76を介し、前部取付ステー37を車体フレームF(図1)に締結する。
これにより、前部取付ステー37を介して上半体45に伝達される外力は、上側接合面47c及び下側接合面48cに集中せずに、上半体45の上面部に分散される。このため、上側接合面47c及び下側接合面48cの近傍のバリア層36への外力の影響を低減でき、バリア層36を効果的に保護できる。
また、前方延出部73の下面において、取付孔74と前方延出部73の前端との間には、前後方向に延びる下面溝73bが設けられる。
前部取付ステー37に過度な外力が作用する場合、前部取付ステー37は、上面溝73a及び下面溝73bの周辺部で先に破損し、外力の一部は前部取付ステー37で吸収される。このため、過度な外力が前部取付ステー37を介してバリア層36に伝達されることを抑制でき、バリア層36を保護できる。
ここで、燃料タンク本体35の上面30aは、上半体45の外表面において、フランジ状の上側接合部47の部分を除く外面である。また、上面30aは、燃料タンク本体35の内面に賦形体50aとして設けられるバリア層36に対し、燃料タンク本体35の板厚方向に対向する部分である。
シート13は、クッション81と、クッション81を下方から支持するシート底板82と、クッション81を上方から覆うシート表皮83とを備える。シート13は、自動二輪車1の外観面の一部を構成する外装部品であり、燃料タンク30に近接して配置される。
シート底板82の前部は、図3の側面視では、燃料タンク本体35の上面30aの後部に沿うように、前上がりに傾斜する。
シート底板82は、前方に突出する取付フック部材84を、前端部の下面に備える。取付フック部材84は、シート底板82の下面に沿うように前方へ延びる。
シート13は、取付フック部材84が燃料タンク本体35のシート係合部80に後方から係合することで、燃料タンク本体35に固定される。
結合基部85,85は、燃料タンク本体35の車幅方向の中央において上面30aに立設される。結合基部85,85は、上面30aに対する結合部であり、長手方向に延びるとともに、車幅方向に互いに離間する。結合基部85,85は矩形の断面形状を有する壁状に形成されており、燃料タンク本体35の補強部材を兼ねている。
燃料タンク本体35は、車幅方向よりも車両前後方向に長く延びている。基部85,85のサイズは、車幅方向の幅D1よりも、燃料タンク本体35の長手方向である前後方向の長さD2が大きく形成されている。
フランジ部86は、各結合基部85の上端から車幅方向の外側に延出する。
シート係合部80は、車両前後方向で見た場合、図6に示すように、結合基部85,85及びフランジ部86,86によってT字状に形成される。なお、フランジ部86を結合基部85,85の上端の車幅方向の一方のみに設けてシート係合部80をL字状に形成しても良い。
取付フック部材84は、左右のフック部84a,84aの間に結合基部85,85を嵌めるように設けられるとともに、フック部84a,84aがフランジ部86の下面に当接するようにシート係合部80に係合する。
また、シート係合部80が燃料タンク本体35の上面30aの補強リブとして機能するため、外力に対する燃料タンク本体35の変形を低減でき、バリア層36に作用する負荷を低減してバリア層36の変形を抑制できる。
さらに、シート係合部80の結合基部85,85が燃料タンク本体35の長手方向に長く延びるため、燃料タンク本体35の長手方向の剛性を結合基部85,85によって効果的に増加させることができる。なお、結合基部85,85のサイズを調整することで、燃料タンク本体35の剛性を調整できる。
囲曉壁90は、筒状注入部40と略同軸且つ筒状注入部40よりも大径に設けられる円筒状に形成される。囲曉壁90は、上面30aから上方に突出し、筒状注入部40の給油口31を外側から囲む。
囲曉壁90は、上面30a表面の一部を取り囲むように環状に形成される。囲曉壁90の下端部は、上面30aに対する囲曉壁90の結合部90b(図10)である。この結合部90bは、上面30aの面上で環状に広がっており、上面30aの面方向(面の延在方向)に互いに離間する。例えば、結合部90bの前部と後部とは、互いに対向しており、上面30aの面方向に互いに離間する。また、結合部90bの左部と右部とは、互いに対向しており、上面30aの面方向に互いに離間する。
このように、囲曉壁90が上面30aの面方向に広がっているため、燃料タンク本体35の上面30aの剛性を効果的に増加させることができる。
囲曉壁90の前部は、前後方向において前部取付ステー37と筒状注入部40との間に位置する。
すなわち、トレイ33は、底壁91と、底壁91から上方に突出する囲曉壁90とによって皿状に形成され、筒状注入部40は、トレイ33の略中央に位置する。
筒状注入部40から給油時等に零れる燃料は、底壁91によって受けられるとともに囲曉壁90によって堰き止められ、ドレン管33a(図1)から下方に排出される。
詳細には、前部取付ステー37の補強リブ71,71は、囲曉壁90の円周上に前方側から交差するように設けられており、囲曉壁90の前端部90aは補強リブ71,71に一体に結合される。囲曉壁90の前端部90aは、縦壁部72と補強リブ71,71との間の位置で、左右の補強リブ71,71を車幅方向に連結する。
さらに、トレイ33の囲曉壁90の前端部90aと前部取付ステー37の補強リブ71,71とが一体に結合されるため、トレイ33及び前部取付ステー37の剛性を相互に増加させることができる。
また、トレイ33においても、図11の比較例で説明したノッチNの囲曉壁90近傍での発生を防止できるため、トレイ33の内面側に均一なバリア層36を形成できる。
この構成によれば、賦形体50aとして設けられるバリア層36に対向する上面30aに、外方に突出するシート係合部80及びトレイ33が一体成形されるため、上面30aに高い自由度で外装品としてのシート係合部80及びトレイ33を設けることができる。さらに、燃料タンク本体35の上面30aに設けられるシート係合部80及びトレイ33が補強リブとして機能し、外力に対する燃料タンク本体35の変形を抑制できるため、バリア層36の変形を抑制できる。結合基部85,85は、上面30aの面方向に互いに離間するため、上面30aの面方向に燃料タンク本体35の剛性を向上できる。また、上面30aに対するトレイ33の結合部90bは、その構成要素が上面30aの面方向に離間するため、上面30aの面方向に燃料タンク本体35の剛性を向上できる。また、燃料タンク本体35、シート係合部80及びトレイ33は、賦形体50aに対向する燃料タンク本体35の上面30aに一体成形されるため、シート係合部80及びトレイ33の影響による燃料タンク本体35の内面側のノッチNの発生を防止でき、シート係合部80及びトレイ33が設けられる部分であっても、均一なバリア層36を形成できる。このため、燃料タンク本体35からの燃料の透過を効果的に低減できる。
また、シート係合部80は、上面30aから外方に突出し燃料タンク本体35の長手方向に延びるとともに幅方向に互いに離間する結合基部85,85と、結合基部85,85の突出方向の端部に設けられるフランジ部86,86とを備える。
この構成によれば、燃料タンク本体35の長手方向に延びるシート係合部80の結合基部85,85によって燃料タンク本体35を長手方向に沿って効果的に補強でき、結合基部85,85の長さによって強度の調整も行うことができる。また、結合基部85,85が幅方向に互いに離間するため、燃料タンク本体35を幅方向に補強できる。また、シート13の取付フック部材84に専用の取付部材を燃料タンク本体35とは別部品で設ける必要がないため、部品点数の削減及び軽量化を図ることができる。
また、燃料タンク本体35は、燃料タンク本体35を固定するための前部取付ステー37を備え、囲曉壁90が、前部取付ステー37の少なくとも一部に一体に結合される。この構成によれば、前部取付ステー37を囲曉壁90によって補強できるため、燃料タンク本体35の支持剛性が向上し、燃料タンク本体35の容量を拡大できる。
上記実施の形態では、外装品であるシート係合部80及びトレイ33は、燃料タンク本体35の上面30aに設けられるものとして説明したが、外装品は、燃料タンク本体35の外面に設けられれば良く、燃料タンク本体35の下面に一体成形されても良い。
上記実施の形態では、燃料タンク本体35を構成する分割体として、上半体45と下半体46とを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、燃料タンク本体35は3つ以上の半体に分割されていても良い。例えば、2つの分割体で構成される上半体に下半体46を接合して燃料タンク本体を形成しても良い。
上記実施の形態では鞍乗り型車両として自動二輪車1を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の樹脂製燃料タンクは、前輪または後輪を2つ備えた3輪の鞍乗り型車両、4輪以上を備えた鞍乗り型車両など全ての鞍乗り型車両に適用可能である。また、燃料タンク以外の樹脂製タンクに本発明を適用しても良い。
30 燃料タンク(樹脂製タンク)
30a 上面(外面)
31 給油口(注入口)
33 トレイ(外装品)
35 燃料タンク本体(タンク本体)
36 バリア層
37 前部取付ステー(取付ステー)
50a 賦形体
70 ステー本体部
71,71 補強リブ
80 シート係合部(外装品)
85,85 結合基部(結合部)
86,86 フランジ部
90 囲曉壁
90b 結合部
Claims (6)
- 樹脂製のタンク本体(35)と、前記タンク本体(35)の内面に設けられ、前記タンク本体(35)からの燃料の透過を低減させるバリア層(36)とを備える樹脂製タンクにおいて、
前記バリア層(36)は、前記タンク本体(35)の内面に沿う形状の賦形体(50a)として設けられ、
前記賦形体(50a)に対向する前記タンク本体(35)の外面(30a)に、外方に突出するとともに前記外面(30a)の面方向に離間する結合部(85,90b)で前記外面(30a)に結合される外装品(33,80)が一体成形されることを特徴とする樹脂製タンク。 - 前記賦形体(50a)に対し前記タンク本体(35)がインジェクション成形で形成されることを特徴とする請求項1記載の樹脂製タンク。
- 前記外装品(80)は、前記外面(30a)から外方に突出し前記タンク本体(35)の長手方向に延びるとともに幅方向に互いに離間する結合基部(85)と、前記結合基部(85)の突出方向の端部に設けられるフランジ部(86)とを備えることを特徴とする請求項1または2記載の樹脂製タンク。
- 前記外装品(33)は、前記外面(30a)から外方に突出するとともに前記外面(30a)の表面を取り囲む囲曉壁(90)であり、前記タンク本体(35)において前記囲曉壁(90)に囲まれる部分に液体の注入口(31)が設けられることを特徴とする請求項1または2記載の樹脂製タンク。
- 前記タンク本体(35)は、前記タンク本体(35)を固定するための取付ステー(37)を備え、
前記囲曉壁(90)が、前記取付ステー(37)の少なくとも一部に一体に結合されることを特徴とする請求項4記載の樹脂製タンク。 - 前記取付ステー(37)は、ステー本体部(70)と、前記ステー本体部(70)から前記注入口(31)側に延びて前記外面(30a)に結合される補強リブ(71)とを備え、
前記補強リブ(71)が前記囲曉壁(90)に結合されることを特徴とする請求項5記載の樹脂製タンク。
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