JP3159209U - 燃料タンク及び該燃料タンクを備えた自動二輪車 - Google Patents
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Abstract
【課題】タンク本体を樹脂製とする場合の燃料ポンプの取り付け強度及びシール性を確保できる燃料タンクを提供する。【解決手段】タンク本体15は、燃料ポンプ16の吸込み口19aを囲むように該タンク本体15の底壁部15bに形成された燃料溜まり部15cを有し、該燃料溜まり部15cは、前記タンク本体15の底壁部15bの一部を構成する底部15dと該底部15dの外周縁から上方に立ち上がるよう一体形成された外周部15eとを有する本体部15fと、該本体部15f内に埋設された補強部材24とを備えている。【選択図】 図3
Description
本考案は、樹脂製のタンク本体内に燃料ポンプを配設してなる燃料タンク及び該燃料タンクを備えた自動二輪車に関する。
例えば、自動二輪車では、例えば加速,減速によって燃料タンク内の燃料が後部,前部に偏り、極端な場合はタンク本体内に配置された燃料ポンプが空気を吸い込むおそれがある。
このような燃料の偏位による空気の吸込みを防止するために、例えば、特許文献1では、燃料ポンプをタンク本体に取り付けるための取付けブラケットに、筒状の囲い部を上方に立ち上がるよう一体に形成し、該囲い部内に燃料ポンプの吸込み口を配置している。
一方、燃料タンクの軽量化,低価格化等を図る観点から、タンク本体を樹脂製とする場合がある。この場合、タンク本体に燃料ポンプの吸込み口を囲む燃料溜まり部を一体形成するとともに、該燃料溜まり部内に吸込み口が位置するよう燃料ポンプを取り付けることとなる。
特許第3772630号
ところで、前記従来例のように、タンク本体を樹脂製とすると、その構造の如何によっては燃料溜まり部の強度が十分に確保できない場合がある。その結果、燃料溜まり部に燃料ポンプを取り付ける際の取り付け強度及びシール性が確保できなくなるおそれがあり、この点での対策が必要である。
本考案は、前記従来の状況に鑑みてなされたもので、タンク本体を樹脂製とする場合の燃料ポンプの取り付け強度及びシール性を確保できる燃料タンク,該燃料タンクを備えた自動二輪車を提供することを課題としている。
第1の考案は、燃料を貯留する樹脂製のタンク本体と、該タンク本体内に配設された燃料ポンプとを備えた燃料タンクであって、前記タンク本体は、前記燃料ポンプの吸込み口を囲むように該タンク本体の底壁部に形成された燃料溜まり部を有し、該燃料溜まり部は、前記タンク本体の底壁部の一部を構成する底部と該底部の外周縁から上方に立ち上がるよう一体形成された外周部とを有する本体部と、該本体部内に埋設された補強部材とを備えていることを特徴としている。
第2の考案は、前記燃料タンクを備えたことを特徴とする自動二輪車である。
第1の考案に係る燃料タンクによれば、樹脂製のタンク本体の燃料溜まり部に補強部材を埋設したので、燃料溜まり部の強度を高めることができ、該燃料溜まり部に燃料ポンプを取り付ける際の取り付け強度及びシール性を確保できる。
また、前記燃料溜まり部を、タンク本体の底壁部の一部を構成する底部と、該底部の外周縁から上方に立ち上がる外周部とを有するものとしたので、該外周部内に燃料ポンプの吸込み口を配置することにより、燃料の偏りによる空気の吸込みを防止できる。
第2の考案に係る燃料タンクを備えた自動二輪車によれば、走行中の加減速や傾斜路によって車体姿勢が変化しても、燃料溜まり部内の燃料を上方に立ち上がる外周部で保持することができ、空気の吸い込みを防止できる。またタンク本体を樹脂製としたので、車両全体の軽量化,低コスト化を可能にできる。
以下、本考案の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1ないし図8は、本考案の一実施形態による燃料タンクを備えた自動二輪車を説明するための図である。なお、本実施形態で前後,左右という場合は、特記なき限り、シートに着座した状態で見た場合の前後,左右を意味する。
図において、1はオフロードタイプの自動二輪車を示しており、該自動二輪車1は、クレードル型の車体フレーム2と、該車体フレーム2のクレードル内に搭載されたエンジン3と、前記車体フレーム2の上方に配設された鞍乗型のシート4と、該車体フレーム2の前端部に左,右操向可能に支持され、下端部に前輪5が上端部に操向ハンドル6が配設されたフロントフォーク7と、前記車体フレーム2の後端部に上下揺動可能に支持され、後端部に後輪8が配設されたリヤアーム9とを備えている。
そして前記自動二輪車1は、前記車体フレーム2のシート4の前側に配設された燃料タンク10を備えている。該燃料タンク10は、前記車体フレーム2に取り付けられ、燃料を貯留する樹脂製のタンク本体15と、該タンク本体15内に配設され、前記エンジン3に燃料を供給する燃料ポンプ16とを備えている。
前記タンク本体15は、上壁面の後側部分が前記シート4の前部4aにより覆われており、左,右側壁面が車体フレーム2に取り付けられた左,右のサイドカバー11,11により覆われている。
前記タンク本体15は、車両側方から見て、前側ほど高所に位置する斜め上向きに形成され、該タンク本体15の上壁前端部には燃料注入口15aが形成され、該燃料注入口15aには燃料キャップ17が着脱可能に装着されている。
前記タンク本体15の底壁部15bは略平坦面をなすよう形成され、該底壁部15bに前記燃料ポンプ16が配置されている。
該燃料ポンプ16は、略垂直をなすよう起立させて配置されたポンプ本体19と、該ポンプ本体19をタンク本体15に取り付けるためのポンプ取付部材20とを有する。
前記ポンプ本体19は下端の吸込み口19aから燃料を吸い込み、加圧し、燃料供給ホース(不図示)を介して前記エンジン3の燃料噴射装置(不図示)に供給する。
前記タンク本体15の底壁部15bには、燃料溜まり部15cが、前記ポンプ本体19の吸込み口19aを囲むように形成されている。前記燃料溜まり部15cは、皿状の本体部15fと、該本体部15f内に埋設固定された補強部材24とを備えている。
前記本体部15fは、前記タンク本体15の底壁部15bの一部を構成する底部15dと、該底部15dの外周縁から上方に立ち上がるよう一体形成された外周部15eとを有する。
前記補強部材24は、前記燃料溜まり部15cの底部15dの外側下面に埋設された環状のフランジ部24aと、該フランジ部24aの内周縁から上方に立ち上がるよう一体に屈曲形成され、前記外周部15e内に埋設された縦壁部24bとを有する。
そして前記燃料溜まり部15cの底部15dには、開口15gが形成されており、該開口15gは前記ポンプ本体19が挿通可能な大きさを有する。
前記燃料ポンプ16は、前記ポンプ本体19をタンク本体15の下方から開口15g内に挿入し、前記ポンプ取付部材20を前記補強部材24に取り付けることによりタンク本体15に固定されており、詳細には以下の構造を有する。
前記補強部材24のフランジ部24aには、取付け孔24cが周方向に所定角度間隔をあけて形成され、該各取付け孔24cにはナット部材25が挿着固定
されている。
されている。
前記各ナット部材25は、四角柱状のもので、外周部には溝25aが形成され、内部には雌ねじ25bが形成されており、前記補強部材24とともにタンク本体15内に埋設されている。前記溝25aを有することにより各ナット部材25がタンク本体15に強固に固定され、該ナット部材25の空回り及び抜けが防止されている。
前記ポンプ取付部材20は、ポンプ本体19の下端部に形成された環状のプレート部21と、該プレート部21を固定支持する環状の取付フランジ部22とを備えている。
前記プレート部21は、これの外周縁から上方に突出する突部21aを有しており、該突部21aは前記底部15dの下面に当接している。
前記プレート部21と底部15dとの間には、燃料溜まり部15cと燃料ポンプ16の間を油密にシールするシール部材23が介設されている。
前記取付フランジ部22は、前記補強部材24のフランジ部24aの下面に当接するフランジ本体22aと、該フランジ本体22aの内周面下縁から径方向内側に突出するプレート支持部22bとを有し、該プレート支持部22bにより前記プレート部21を押圧固定している。
そして前記燃料ポンプ16は、ポンプ本体19を、プレート部21と底部15dとの間にシール部材23を介在させた状態でタンク本体15の開口15g内に挿入し、取付フランジ部22を前記補強部材24のフランジ部24aの下面に当接させ、各ボルト26を下方からナット部材25に締め付けることにより前記タンク本体15内に固定されている。
前記タンク本体15は、いわゆる回転成形法により形成されたものである。以下、タンク本体15の回転成形法による製造方法について説明する。
タンク本体15の外表面形状に対応して形成された内表面形状を有する上型30aと下型30bとを備えた金型30を準備する(第1工程)。
該金型30の上型30a,下型30bを開いた状態で、該金型30内に、環状のフランジ部24aと縦壁部24bとが一体形成され、該フランジ部24aに各ナット部材25が装着された補強部材24を配置固定するとともに、樹脂粉末31を充填する(第2,第3工程、図6参照)。
次いで、金型30を閉じて固定し、該金型30を加熱源32,32により外側から加熱しつつ回転させる(第4工程、図7参照)。これにより、樹脂粉末31は遠心力により金型30の内表面に付着し、該金型30の内表面、補強部材24のフランジ部24aの内表面及び縦壁部24bの内,外表面、さらに各ナット部材25の外表面を覆うように樹脂粉末31が層状に溶着する(図8参照)。
この後、金型30を所定温度まで冷却することにより、層状をなす樹脂粉末31が硬化し、補強部材24がインサート成形されたタンク本体15が製造される。上型30a,下型30bを開いてタンク本体15を取り出し、しかる後、タンク本体15に燃料ポンプ16を取り付ける。
ここで前記補強部材24は、前記金型30より熱伝導率の高い金属により形成されている。具体的には、補強部材24はアルミニューム合金製であり、前記金型30は鉄製である。
本実施形態の燃料タンク10によれば、樹脂製のタンク本体15の燃料溜まり部15cに補強部材24を埋設したので、燃料溜まり部15cの強度,剛性を高めることができ、該燃料溜まり部15cに燃料ポンプ16を取り付ける際の取り付け強度,剛性及び燃料溜まり部15cとのシール性を確保できる。
また、前記燃料溜まり部15cを、タンク本体15の底壁部15bの一部を構成する底部15dと、該底部15dの外周縁から上方に立ち上がる外周部15eとを有するものとしたので、該外周部15e内に燃料ポンプ16の吸込み口19aを配置することにより、燃料の偏りによる空気の吸込みを防止できる。
本実施形態では、前記補強部材24を、前記燃料溜まり部15cの底部15dの外側下面に埋設された環状のフランジ部24aと、該フランジ部24aの内周縁から上方に立ち上がるよう一体形成され、前記外周部15e内に埋設された縦壁部24bとを有するものとしたので、燃料溜まり部15cの強度,剛性をより一層高めることができる。
本実施形態では、タンク本体15を、金型30内に補強部材24及び樹脂粉末31を配置し、該金型30を加熱しつつ回転させることにより、該金型30の内表面に樹脂粉末31を層状に溶着させる、いわゆる回転成形法により形成し、前記補強部材24を鉄製の金型30より熱伝導率の高いアルミニューム合金で形成したので、補強部材24に熱が伝わり易く、該補強部材24を十分に昇温させることができ、補強部材24全体に樹脂粉末31を層状に溶着させることができる。
即ち、回転成形法では、金型30及び補強部材24の表面温度を樹脂粉末31が溶着に必要な温度以上とすることが重要である。燃料溜まり部15cの上方に立ち上がる外周部15e内に埋設される縦壁部24bは、フランジ部24aの内周縁から立ち上がって金型30から離れているので、前記溶着に必要な温度上昇が得られにくい。本実施形態では、補強部材24を金型30より熱伝達率の高い材料としたので、縦壁部24bも十分に昇温させることができる。
本実施形態では、燃料ポンプ16を、ポンプ本体19と、該ポンプ本体19の吸込み口19a側に形成された取付部材20とを有するものとし、前記ポンプ本体19を、燃料溜まり部15cの底部15dの開口15g内に挿入し、取付フランジ部22を補強部材24にボルト締めすることによりタンク本体15に固定したので、燃料ポンプ16の取付作業が容易であり、また取り付け強度,剛性をより一層高めることができる。
本実施形態による自動二輪車1によれば、前記構造を有する燃料タンク10を備えたので、走行中の加減速や傾斜路によって車体姿勢が変化しても、燃料溜まり部15c内の燃料を上方に立ち上がる外周部15eで保持することができ、空気の吸い込みを防止でき、安定した燃料供給を実現できる。
また前記タンク本体15を樹脂製としたので、車両全体の軽量化,低コスト化を可能にできる。
本実施形態による燃料タンク10の製造方法によれば、タンク本体15の外表面形状に対応した内表面形状を有する金型30内に、前記補強部材24及び各ナット部材25を配置するとともに、樹脂粉末31を充填し、前記金型30を加熱しつつ回転させたので、樹脂粉末31を、金型30の内表面及び補強部材24の金型30内に露出する全表面を覆う層状に溶着させることができる。これにより、タンク本体15及び燃料溜まり部15cを一体に成形できるとともに該燃料溜まり部15c内に補強部材24を同時に埋設することができ、燃料溜まり部15cの燃料ポンプ取り付け強度を確保できるとともに、タンク本体15の軽量化及び低価格化を実現できる。
なお、本実施形態では、燃料タンク10を自動二輪車1に配設した場合を説明したが、本考案の燃料タンクは、四輪車にも勿論採用可能であり、不整地走行車等の車体姿勢の変化が大きい車両の燃料タンクに特に効果的である。
1 自動二輪車
10 燃料タンク
15 タンク本体
15b 底壁部
15c 燃料溜まり部
15d 底部
15e 外周部
15f 本体部
15g 開口
16 燃料ポンプ
19 ポンプ本体
19a 吸込み口
22 取付フランジ部
24 補強部材
24a フランジ部
24b 縦壁部
30 金型
31 樹脂粉末
32 加熱源
10 燃料タンク
15 タンク本体
15b 底壁部
15c 燃料溜まり部
15d 底部
15e 外周部
15f 本体部
15g 開口
16 燃料ポンプ
19 ポンプ本体
19a 吸込み口
22 取付フランジ部
24 補強部材
24a フランジ部
24b 縦壁部
30 金型
31 樹脂粉末
32 加熱源
Claims (5)
- 燃料を貯留する樹脂製のタンク本体と、該タンク本体内に配設された燃料ポンプとを備えた燃料タンクであって、
前記タンク本体は、前記燃料ポンプの吸込み口を囲むように該タンク本体の底壁部に形成された燃料溜まり部を有し、
該燃料溜まり部は、前記タンク本体の底壁部の一部を構成する底部と該底部の外周縁から上方に立ち上がるよう一体形成された外周部とを有する本体部と、
該本体部内に埋設された補強部材とを備えていることを特徴とする燃料タンク。 - 請求項1に記載の燃料タンクにおいて、
前記補強部材は、前記燃料溜まり部の底部の外側に埋設された環状のフランジ部と、該フランジ部の内周縁から上方に立ち上がるように一体形成され、前記本体部の外周部内に埋設された縦壁部とを有することを特徴とする燃料タンク。 - 請求項2に記載の燃料タンクにおいて、
前記タンク本体は、該タンク本体の外表面形状に対応した内表面形状を有する金型内に樹脂粉末を充填して該金型を加熱しつつ回転することにより、前記金型の内表面に樹脂粉末を層状に溶着させることにより形成されたものであり、
前記補強部材は、前記金型より熱伝導率の高い金属により形成されていることを特徴とする燃料タンク。 - 請求項2に記載の燃料タンクにおいて、
前記燃料ポンプは、ポンプ本体と、該ポンプ本体の吸込み口側に形成された取付フランジ部とを有し、
前記燃料溜まり部の底部には、前記ポンプ本体を挿通させる開口が形成され、
前記燃料ポンプは、該ポンプ本体を前記開口内に挿入し、前記取付フランジ部を前記補強部材のフランジ部に締結することにより前記タンク本体に固定されていることを特徴とする燃料タンク。 - 請求項1ないし4の何れかに記載の燃料タンクを備えたことを特徴とする自動二輪車。
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JP2010001025U JP3159209U (ja) | 2010-02-19 | 2010-02-19 | 燃料タンク及び該燃料タンクを備えた自動二輪車 |
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JP (1) | JP3159209U (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012030677A (ja) * | 2010-07-30 | 2012-02-16 | Honda Motor Co Ltd | 燃料タンク組立体 |
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2010
- 2010-02-19 JP JP2010001025U patent/JP3159209U/ja not_active Expired - Fee Related
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