本開示の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
図1は、本開示の実施の形態におけるモータグレーダを概略的に示す斜視図である。図2は、図1中のモータグレーダのキャブ付近を示す上面図である。まず、モータグレーダ100の全体構造について説明する。
図1および図2に示されるモータグレーダ100は、走行しながら、整地作業を行なったり、除雪作業を行なったりする作業機械である。モータグレーダ100は、フロントフレーム14と、リアフレーム15と、一対のアーティキュレートシリンダ28と、運転席が設けられるキャブ11と、ラダー80と、エンジン室13と、前輪16および後輪17と、作業機12とを有する。
以下の説明において、前後方向とは、キャブ11内の運転席に着座したオペレータの前後方向である。運転席に着座したオペレータの正面方向が、前方であり、運転席に着座したオペレータの背後方向が、後方である。左右方向とは、運転席に着座したオペレータの左右方向である。運転席に着座したオペレータが正面を向いたときの右側が、右方であり、運転席に着座したオペレータが正面を向いたときの左側が、左方である。上下方向とは、前後方向および左右方向を含む平面に直交する方向である。地面のある側が、下方であり、空のある側が、上方である。
フロントフレーム14およびリアフレーム15は、モータグレーダ100の車体フレームを構成している。フロントフレーム14は、リアフレーム15の前方に設けられている。
フロントフレーム14は、回動中心121を中心としてリアフレーム15に回動可能に連結されている。フロントフレーム14は、回動中心121の軸上に設けられたセンターピン(不図示)により、リアフレーム15に回動可能に連結されている。回動中心121は、上下方向に沿って延びる軸である。回動中心121は、左右方向におけるモータグレーダ100の中央に位置している。
フロントフレーム14は、回動中心121から前方に向けて延びている。フロントフレーム14は、リアフレーム15に回動可能に連結される基端部14pと、基端部14pとは反対側に設けられる先端部14qとを有する。リアフレーム15は、回動中心121から後方に向けて延びている。
一対のアーティキュレートシリンダ28は、フロントフレーム14を挟んで左右両側に設けられている。アーティキュレートシリンダ28は、油圧により伸縮駆動する油圧シリンダである。アーティキュレートシリンダ28は、その伸縮方向における一方端において、回動中心111を中心としてフロントフレーム14に回動可能に連結され、その伸縮方向における他方端において、回動中心112を中心としてリアフレーム15に回動可能に連結されている。アーティキュレートシリンダ28の伸縮駆動により、フロントフレーム14は、回動中心121を中心に回動する。
なお、図2中には、左右方向における中央に配置された時のフロントフレーム14Aと、右方に回動した時のフロントフレーム14Bと、左方に回動した時のフロントフレーム14Cとが示されている。
キャブ11は、オペレータが搭乗するための室内空間を形成している。キャブ11には、運転席に加えて、ステアリング操作のためのハンドルまたはレバー、作業機12を操作するためのレバー、ならびに、各種の表示装置などが設けられている。
キャブ11は、リアフレーム15により支持されている。リアフレーム15は、キャブ11の重量を受けている。キャブ11は、回動中心121の上方に設けられている。フロントフレーム14の基端部14pは、キャブ11の下方において、リアフレーム15に回動可能に連結されている。フロントフレーム14は、基端部14pからキャブ11の前方に向けて、斜め上方向に延出している。
ラダー80は、オペレータが地上とキャブ11との間で昇降する際に用いられる。ラダー80は、リアフレーム15に接続されている。モータグレーダ100は、ラダー80として、キャブ11の右側に設けられたラダー80Rと、キャブ11の左側に設けられたラダー80Lとを有する。ラダー80Rおよびラダー80Lは、左右対称に設けられている。
エンジン室13には、エンジンが収納されている。エンジン室13は、リアフレーム15により支持されている。エンジン室13は、キャブ11の後方に設けられている。
前輪16および後輪17は、走行輪である。前輪16は、フロントフレーム14に設けられている。後輪17は、リアフレーム15に設けられている。なお、図1中には、片側1輪ずつの2つの前輪16と、片側2輪ずつの4つの後輪17とからなる全6輪の走行輪が示されているが、前輪および後輪の数および配置は、これに限られない。
前輪16は、ステアリングシリンダ(不図示)の伸縮によって、フロントフレーム14に対して旋回可能に取り付けられている。モータグレーダ100は、ステアリングシリンダの伸縮によって、進行方向を変更することが可能である。ステアリングシリンダは、キャブ11の内部に設けられたハンドルまたはレバーの操作によって、伸縮可能である。後輪17には、エンジンからの駆動力が伝達される。
作業機12は、前後方向において、前輪16および後輪17の間に設けられている。作業機12は、フロントフレーム14により支持されている。作業機12は、ブレード21と、ドローバ22と、旋回サークル23と、一対のリフトシリンダ25とを有する。
ドローバ22は、フロントフレーム14の下方に設けられている。ドローバ22の前端部は、フロントフレーム14の先端部14qに揺動可能に連結されている。一対のリフトシリンダ25は、フロントフレーム14を挟んだ左右両側に設けられている。ドローバ22の後端部は、一対のリフトシリンダ25を介して、フロントフレーム14により支持されている。
一対のリフトシリンダ25の伸縮によって、ドローバ22の後端部がフロントフレーム14に対して上下に昇降可能である。一対のリフトシリンダ25がともに短縮駆動することにより、フロントフレーム14および前輪16に対するブレード21の高さは上方に調整される。一対のリフトシリンダ25がともに伸長駆動することにより、フロントフレーム14および前輪16に対するブレード21の高さは下方に調整される。
ドローバ22は、一対のリフトシリンダ25の互いに異なる伸縮によって、前後方向に沿った軸を中心に上下に揺動可能である。
旋回サークル23は、ドローバ22の下方に設けられている。旋回サークル23は、ドローバ22に旋回可能に連結されている。旋回サークル23は、上下方向に沿った軸を中心に、時計回りおよび反時計回りに旋回可能である。
ブレード21は、旋回サークル23の下方に設けられている。ブレード21は、地面と対向して設けられている。ブレード21は、旋回サークル23により支持されている。ブレード21は、旋回サークル23の旋回運動に伴って、上面視において前後方向に対してブレード21がなす角度(ブレード推進角)θが変化するように旋回する。ブレード21の旋回軸は、上下方向に沿って延びる軸である。ブレード21の旋回軸は、左右方向におけるモータグレーダ100の中央に位置している。ブレード21は、α°≦θ≦90°の関係を満たす範囲で旋回可能である(後出の図9を参照のこと)。
続いて、キャブ11およびアーティキュレートシリンダ28の構造についてより具体的に説明する。
キャブ11は、上面視において、六角形の形状を有する。キャブ11は、前側面211と、後側面212と、右側面213と、左側面214と、右斜め前側面215と、左斜め前側面216とを有する。
前側面211は、前方を向いて設けられている。後側面212は、後方を向いて設けられている。上面視において、前側面211は、フロントフレーム14の回動中心121を挟んでその前方に設けられ、後側面212は、フロントフレーム14の回動中心121を挟んでその後方に設けられている。左右方向における前側面211の長さは、左右方向における後側面212の長さよりも短い。
右側面213は、右方を向いて設けられている。右側面213は、前側面211および後側面212の間に配置されている。右側面213は、後側面212の右端部に連なっている。左側面214は、左方を向いて設けられている。左側面214は、前側面211および後側面212の間に配置されている。左側面214は、後側面212の左端部に連なっている。
右斜め前側面215は、右斜め前方を向いて設けられている。右斜め前側面215は、前側面211および右側面213の間に配置されている。右斜め前側面215は、前側面211の右端部と、右側面213の前端部とに連なっている。左斜め前側面216は、左斜め前方を向いて設けられている。左斜め前側面216は、前側面211および左側面214の間に配置されている。左斜め前側面216は、前側面211の左端部と、左側面214の前端部とに連なっている。上面視において、右斜め前側面215は、フロントフレーム14の回動中心121を挟んでその右方に設けられ、左斜め前側面216は、フロントフレーム14の回動中心121を挟んでその左方に設けられている。左右方向における右斜め前側面215および左斜め前側面216の距離は、後方から前方に向かうに従って小さくなる。
キャブ11は、上面視において、フロントフレーム14の回動中心121を通り、前後方向に延びる仮想直線に対して、左右対称となる形状を有する。キャブ11は、上面視において、最後端から所定位置まで左右方向の幅を維持し、かつ、その所定位置から最前端に向けて左右方向の幅が小さくなる六角形の形状を有する。
キャブ11は、搭乗口31と、扉32とを有する。搭乗口31は、オペレータがキャブ11に出入りするためキャブ11に設けられた開口部である。キャブ11は、搭乗口31として、右斜め前側面215に設けられた搭乗口31Rと、左斜め前側面216に設けられた搭乗口31Lとを有する。扉32は、開閉動作が可能なように搭乗口31に取り付けられている。
なお、搭乗口31は、右斜め前側面215および左斜め前側面216のいずれか一方に設けられてもよい。この場合、ラダー80は、搭乗口31が設けられた側にのみ設けられる。
図3は、図1中の2点鎖線IIIで囲まれた範囲を拡大して示す斜視図である。図3に示されるように、フロントフレーム14の右側には、アーティキュレートシリンダ28Rが設けられている。
フロントフレーム14は、リブ状部71を有する。リブ状部71は、水平方向に延出し、上下方向が厚み方向となるリブ形状を有する。アーティキュレートシリンダ28Rのボトム側端部は、回動中心111Rを中心としてリブ状部71に回動可能に連結されている。回動中心111Rは、上下方向に沿って延びる軸である。
リアフレーム15は、リブ状部72を有する。リブ状部72は、水平方向に延出し、上下方向が厚み方向となるリブ形状を有する。アーティキュレートシリンダ28Rのロッド側端部は、回動中心112Rを中心としてリブ状部72に回動可能に連結されている。回動中心112Rは、上下方向に沿って延びる軸である。
なお、アーティキュレートシリンダ28Rは、筒形状を有するシリンダと、シリンダに対してその軸方向に移動可能に嵌め合わされたピストンロッドとから構成されている。ボトム側端部とは、シリンダ側の端部であり、ロッド側端部とは、ピストンロッド側の端部である。アーティキュレートシリンダ28Rのボトム側端部が、リアフレーム15のリブ状部72に連結され、アーティキュレートシリンダ28Rのロッド側端部が、フロントフレーム14のリブ状部71に連結される構成であってもよい。
フロントフレーム14の左側には、アーティキュレートシリンダ28L(後出の図6中に図示)が設けられている。アーティキュレートシリンダ28Lは、上記のアーティキュレートシリンダ28Rと左右対称の構造により、フロントフレーム14およびリアフレーム15に取り付けられている。
図4は、図1中のフロントフレームの回動に伴って移動するアーティキュレートシリンダ(右側)示す上面図である。図4中には、フロントフレーム14が、図2中のフロントフレーム14A、フロントフレーム14Bおよびフロントフレーム14Cの各位置にある時のアーティキュレートシリンダ28Rが示されている。図5は、図4中のアーティキュレートシリンダ(右側)の移動範囲を示す上面図である。
図2、図4および図5に示されるように、アーティキュレートシリンダ28Rは、フロントフレーム14の回動時に、リアフレーム15に対して移動する。
より具体的には、フロントフレーム14が、左右方向における中央に位置する時(図2中のフロントフレーム14Aの位置にある時)、アーティキュレートシリンダ28Rは、回動中心112Rから回動中心111Rに向けて左斜め前方に延びる姿勢とされている。
フロントフレーム14を、右方に回動させる時(図2中のフロントフレーム14Bの位置に向けて回動させる時)、アーティキュレートシリンダ28Rを短縮駆動させる。このとき、回動中心112Rの位置が固定されたまま、回動中心111Rの位置が、フロントフレーム14の回動中心121を中心に右方に旋回移動する。アーティキュレートシリンダ28Rは、回動中心111Rおよび回動中心112Rの間の距離を縮めながら、回動中心112Rを中心に右方に傾くように移動する。
フロントフレーム14を、左方に回動させる時(図2中のフロントフレーム14Cの位置に向けて回動させる時)、アーティキュレートシリンダ28Rを伸長駆動させる。このとき、回動中心112Rの位置が固定されたまま、回動中心111Rの位置が、フロントフレーム14の回動中心121を中心に左方に旋回移動する。アーティキュレートシリンダ28Rは、回動中心111Rおよび回動中心112Rの間の距離を伸ばしながら、回動中心112Rを中心に左方に傾くように移動する。
このような構成において、アーティキュレートシリンダ28Rは、移動範囲310(図5中のハッチングで示す領域)で移動する。上面視において、搭乗口31Rの少なくとも一部は、アーティキュレートシリンダ28Rの移動範囲310と重なっている。上面視において、ラダー80Rの少なくとも一部は、アーティキュレートシリンダ28Rの移動範囲310と重なっている。
上面視において、搭乗口31Rの全部が、アーティキュレートシリンダ28Rの移動範囲310と重なり、ラダー80Rの全部が、アーティキュレートシリンダ28Rの移動範囲310と重なっている。このような構成に限られず、上面視において、搭乗口31Rの一部が、アーティキュレートシリンダ28Rの移動範囲310と重なり、ラダー80Rの一部が、アーティキュレートシリンダ28Rの移動範囲310と重なる構成であってもよい。
図6は、図1中のフロントフレームの回動に伴って移動するアーティキュレートシリンダ(左側)示す上面図である。図6は、図4に対応する図である。図7は、図6中のアーティキュレートシリンダ(左側)の移動範囲を示す上面図である。
図2、図6および図7に示されるように、アーティキュレートシリンダ28Lは、フロントフレーム14の回動時に、リアフレーム15に対して移動する。
より具体的には、フロントフレーム14が、左右方向における中央に位置する時(図2中のフロントフレーム14Aの位置にある時)、アーティキュレートシリンダ28Lは、回動中心112Lから回動中心111Lに向けて右斜め前方に延びる姿勢とされている。
フロントフレーム14を、右方に回動させる時(図2中のフロントフレーム14Bの位置に向けて回動させる時)、アーティキュレートシリンダ28Lを伸長駆動させる。このとき、回動中心112Lの位置が固定されたまま、回動中心111Lの位置が、フロントフレーム14の回動中心121を中心に右方に旋回移動する。アーティキュレートシリンダ28Lは、回動中心111Lおよび回動中心112Lの間の距離を伸ばしながら、回動中心112Lを中心に右方に傾くように移動する。
フロントフレーム14を、左方に回動させる時(図2中のフロントフレーム14Cの位置に向けて回動させる時)、アーティキュレートシリンダ28Lを短縮駆動させる。このとき、回動中心112Lの位置が固定されたまま、回動中心111Lの位置が、フロントフレーム14の回動中心121を中心に左方に旋回移動する。アーティキュレートシリンダ28Lは、回動中心111Lおよび回動中心112Lの間の距離を縮めながら、回動中心112Lを中心に左方に傾くように移動する。
このような構成において、アーティキュレートシリンダ28Lは、移動範囲320(図7中のハッチングで示す領域)で移動する。上面視において、搭乗口31Lの少なくとも一部は、アーティキュレートシリンダ28Lの移動範囲320と重なっている。上面視において、ラダー80Lの少なくとも一部は、アーティキュレートシリンダ28Lの移動範囲320と重なっている。
上面視において、搭乗口31Lの全部が、アーティキュレートシリンダ28Lの移動範囲320と重なり、ラダー80Lの全部が、アーティキュレートシリンダ28Lの移動範囲320と重なっている。このような構成に限られず、上面視において、搭乗口31Lの一部が、アーティキュレートシリンダ28Lの移動範囲320と重なり、ラダー80Lの一部が、アーティキュレートシリンダ28Lの移動範囲320と重なる構成であってもよい。
続いて、ラダー80の構造について詳細に説明する。ラダー80Rおよびラダー80Lは、左右対称に設けられているため、以下では、代表的に、ラダー80Rの構造について説明する。
図2から図5に示されるように、ラダー80Rは、第1ラダー部41と、第2ラダー部51とからなる分割構造を有する。第2ラダー部51は、第1ラダー部41の上方に離れて設けられている。第1ラダー部41および第2ラダー部51の間には、リアフレーム15から、リアフレーム15より離れる方向に水平に広がる、所定高さの空間が設けられている。
第1ラダー部41および第2ラダー部51の上方には、搭乗口31Rが設けられている。第1ラダー部41および第2ラダー部51は、前後方向において、フロントフレーム14の回動中心121よりも前方に設けられている。第1ラダー部41および第2ラダー部51は、前後方向において、アーティキュレートシリンダ28Rの回動中心111Rおよび回動中心112Rの間に設けられている。
第1ラダー部41は、ステップ42を有する。第2ラダー部51は、上ステップ52と、下ステップ53とを有する。ステップ42、上ステップ52および下ステップ53は、オペレータが足を掛けることが可能な足場をなしている。ステップ42、上ステップ52および下ステップ53は、踏み板形状を有する。下ステップ53は、ステップ42の上方に設けられている。上ステップ52は、下ステップ53の上方に設けられている。
上面視において、ステップ42、上ステップ52および下ステップ53は、互いに平行に設けられている。上面視において、ステップ42、上ステップ52および下ステップ53は、右斜め前側面215に平行に設けられている。
上下方向におけるステップ42および下ステップ53の間の距離は、上下方向における第1ラダー部41および第2ラダー部51の間の距離よりも大きい。ステップ42は、第1ラダー部41の下端部に設けられている。下ステップ53は、第2ラダー部51の下端部に設けられている。
第1ラダー部41および第2ラダー部51の間には、アーティキュレートシリンダ28Rが設けられている。アーティキュレートシリンダ28Rは、フロントフレーム14の回動時に、第1ラダー部41および第2ラダー部51の間の空間を移動する。アーティキュレートシリンダ28Rは、ステップ42および下ステップ53の間に設けられている。
モータグレーダ100は、キャブ11がリアフレーム15により支持されるリアマウントタイプである。このようなリアマウントタイプでは、キャブがフロントフレームにより支持されるフロントマウントタイプよりも、キャブ11の位置が後方にシフトする。
さらに、キャブ11は、上面視において六角形の形状を有し、そのキャブ11の右斜め前側面215に搭乗口31Rが設けられ、そのキャブ11の左斜め前側面216に搭乗口31Lが設けられている。このような構成では、キャブが上面視において矩形形状を有する場合よりも、搭乗口31の位置が左右方向における中央側にシフトする。
以上の理由により、上面視において、搭乗口31Rの少なくとも一部が、アーティキュレートシリンダ28Rの移動範囲310と重なり、搭乗口31Lの少なくとも一部が、アーティキュレートシリンダ28Lの移動範囲320と重なっている。
一方、アーティキュレートシリンダ28は、上記のとおり、リアフレーム15に対して移動するため、リアフレーム15に接続されるラダーに対しても移動することになる。このような構成を備えるモータグレーダ100に、キャブ11に対して昇降するためのラダーを設けようとすると、ラダーが、移動するアーティキュレートシリンダ28と干渉してしまう。そこで、ラダー80を、第1ラダー部41と第2ラダー部51とからなる分割構造とし、アーティキュレートシリンダ28を第1ラダー部41および第2ラダー部51の間に配置することによって、アーティキュレートシリンダ28と干渉させることなくラダー80を設けることができる。
図8は、図3中の第1ラダー部41を拡大して示す斜視図である。図8に示されるように、リアフレーム15は、その構成部位として、前端部74と、リブ状部75とを有する。前端部74は、リアフレーム15の前端において、鉛直方向に延在する壁面を形成している。前端部74は、前後方向において、フロントフレーム14の基端部14pと対向して設けられている。リブ状部75は、前端部74から前方に延出し、上下方向が厚み方向となるリブ形状を有する。
第1ラダー部41は、中間部材43と、ステップ部材44とを有する。中間部材43は、リアフレーム15に接続されている。中間部材43は、前端部74に接続されている。ステップ部材44は、その構成部位として、オペレータの足場をなすステップ42を有する。ステップ部材44は、中間部材43に対して着脱可能に設けられている。ステップ部材44は、ボルトにより、中間部材43に締結されている。
中間部材43は、全体として、前端部74から右斜め前方に延出するブラケットからなる。中間部材43は、その構成部位として、基部46と、延出部47と、先端部48とを有する。基部46は、前方から前端部74に重ね合わされている。基部46は、ボルトにより、前端部74に締結されている。延出部47は、基部46の端部から折れ曲がり、右斜め前方に延出している。先端部48は、延出部47の端部から折れ曲がり、キャブ11の右斜め前側面215と平行に設けられている。
ステップ部材44は、その構成部位として、一対の基部49と、ステップ42とを有する。一対の基部49は、水平方向において互いに間隔を隔てて設けられている。一対の基部49は、ボルトにより、先端部48に締結されている。ステップ42は、基部49の右斜め前方において、踏み板形状をなしている。
図9は、図8中の第1ラダー部と、収納時におけるブレードとの位置関係を示す斜視図である。図9に示されるように、モータグレーダ100が車道を走行する場合、左右方向におけるブレード21の幅を小さくするため、ブレード21は、ブレード推進角θが最小値α°となる位置まで旋回される。このとき、ブレード21が、ステップ部材44に接近する場合がある。
モータグレーダ100を用いた整地作業等においては、地面上から石が飛び跳ねるなどして、外部からステップ42に対して衝撃が加わり、第1ラダー部41が破損する場合がある。これに対して、図8に示されるように、ステップ部材44が、中間部材43を介してリアフレーム15に接続されるとともに、ステップ部材44が、中間部材43に対して着脱可能に設けられている。このような構成により、中間部材43をリアフレーム15に残したまま、ステップ部材44のみを交換することができる。また、ステップ部材44が、収納時におけるブレード21と接触して破損することがあっても、先と同様にステップ部材44のみを交換することができる。
図10は、図8中の第1ラダー部の変形例を示す斜視図である。図10に示されるように、リブ状部75は、その構成部位として、突出部76を有する。突出部76は、右斜め前方向に向けて凸となる突出形状を有する。
本変形例では、第1ラダー部41が、中間部材143と、ステップ部材144とを有する。中間部材143は、リアフレーム15に接続されている。中間部材143は、突出部76に接続されている。ステップ部材144は、その構成部位として、オペレータの足場をなすステップ142を有する。ステップ部材144は、中間部材143に対して着脱可能に設けられている。ステップ部材144は、ボルトにより、中間部材143に締結されている。
中間部材143は、全体として、突出部76およびステップ部材144の間で略U字形状をなすブラケットからなる。中間部材143は、その構成部位として、一対の基部146と、一対の延出部147と、先端部148とを有する。一対の基部146は、水平方向において互いに間隔を隔てて設けられている。一対の基部146は、右斜め前方から突出部76に重ね合わされている。一対の基部146は、ボルトにより、突出部76に締結されている。一対の延出部147は、それぞれ、一対の基部146から右斜め前方に延出している。先端部148は、一対の延出部147の間を接続している。先端部148は、キャブ11の右斜め前側面215と平行に設けられている。
ステップ部材144は、その構成部位として、一対の基部149と、ステップ142とを有する。一対の基部149は、水平方向において互いに間隔を隔てて設けられている。一対の基部149は、ボルトにより、先端部148に締結されている。ステップ142は、基部149の右斜め前方において、踏み板形状をなしている。
本変形例においても、第1ラダー部41の破損時に、ステップ部材144のみの交換が可能となる。
図11は、図3中の第2ラダー部を拡大して示す斜視図である。図11に示されるように、リアフレーム15は、その構成部位として、キャブ支持部73を有する。キャブ支持部73は、キャブ11の下方において、右斜め前側面215に沿って水平方向に延びている。キャブ11は、キャブ支持部73に載置されている。
第2ラダー部51は、中間部材56と、ステップ部材61と、一対のステー66と、下ステップ53とを有する。中間部材56は、キャブ支持部73に接続されている。ステップ部材61は、その構成部位として、オペレータの足場をなす上ステップ52を有する。ステップ部材61は、中間部材56に接続されている。下ステップ53は、一対のステー66を介して、ステップ部材61に接続されている。
中間部材56は、その構成部位として、基部57と、一対の延出部58と、先端部59とを有する。基部57は、下方からキャブ支持部73に重ね合わされている。基部57は、ボルトにより、キャブ支持部73に締結されている。一対の延出部58は、水平方向において互いに間隔を隔てて設けられている。一対の延出部58は、基部57から、下方に傾きながら右斜め前方に向けて延出している。先端部59は、一対の延出部58の間を接続している。先端部59は、基部57よりも下方に設けられている。先端部59は、基部57の右斜め前方に位置している。先端部59は、キャブ11の右斜め前側面215と平行に設けられている。
ステップ部材61は、その構成部位として、基部62と、一対の第1腕部63と、一対の第2腕部64と、上ステップ52とを有する。基部62は、右斜め前方から先端部59に重ね合わされている。基部62は、ボルトにより、先端部59に締結されている。一対の第1腕部63は、水平方向において互いに間隔を隔てて設けられている。一対の第1腕部63は、基部62から右斜め前方に延びる腕形状を有する。上ステップ52は、一対の第1腕部63に載置されている。一対の第2腕部64は、基部62から右斜め前方に延びる腕形状を有する。一対の第2腕部64は、それぞれ、一対の第1腕部63の下方に設けられている。
一対のステー66は、水平方向において互いに間隔を隔てて設けられている。一対のステー66は、上下方向に延びている。一対のステー66の上端部は、それぞれ、ボルトにより一対の第2腕部64に締結されている。下ステップ53は、ボルトにより、一対のステー66の下端部に締結されている。
なお、第2ラダー部51が、リアフレーム15ではなく、キャブ11に接続される構成であってもよい。
以下、本実施の形態におけるモータグレーダ100で奏される効果についてまとめて説明する。
作業機械としてのモータグレーダ100は、リアフレーム15に接続される第1ラダー部41と、第1ラダー部41から上方に離れて設けられる第2ラダー部51と、第1ラダー部41および第2ラダー部51の間に配置され、フロントフレーム14の回動時にリアフレーム15に対して移動する移動部材としてのアーティキュレートシリンダ28とを備える。
このように構成されたモータグレーダ100によれば、ラダーを、第1ラダー部41および第2ラダー部51からなる分割構造とするとともに、アーティキュレートシリンダ28を第1ラダー部41および第2ラダー部51の間に配置することによって、アーティキュレートシリンダ28との干渉を避けつつ、ラダーを設けることができる。
移動部材は、リアフレーム15に対してフロントフレーム14を回動させるアーティキュレートシリンダ28である。
このように構成されたモータグレーダ100においては、リアフレーム15に対して移動するアーティキュレートシリンダ28が、リアフレーム15に固定されるラダーと干渉するおそれがある。これに対して、上記のラダーの分割構造と、アーティキュレートシリンダ28の配置とによって、アーティキュレートシリンダ28とラダーとの干渉を避けることができる。
モータグレーダ100は、キャブ11をさらに備える。キャブ11は、第1ラダー41部および第2ラダー部51の上方に設けられる搭乗口31を有する。キャブ11は、リアフレーム15に支持される。
モータグレーダ100は、キャブ11をさらに備える。キャブ11は、第1ラダー41部および第2ラダー部51の上方に設けられる搭乗口31を有する。キャブ11は、上面視において、六角形の形状を有する。搭乗口31は、そのキャブ11の右斜め前側面215と、左斜め前側面216との少なくともいずれか一方に設けられる。
モータグレーダ100は、キャブ11をさらに備える。キャブ11は、第1ラダー41部および第2ラダー部51の上方に設けられる搭乗口31を有する。上面視において、搭乗口31の少なくとも一部は、アーティキュレートシリンダ28の移動範囲と重なっている。
このように構成されたモータグレーダ100においては、アーティキュレートシリンダ28が、搭乗口31に昇降するためのラダーと干渉するおそれが高まる。これに対して、上記のラダーの分割構造と、アーティキュレートシリンダ28の配置とによって、アーティキュレートシリンダ28とラダーとの干渉を避けることができる。
第1ラダー部41は、中間部材43(143)と、足場をなすステップ部材44(144)とを有する。中間部材43(143)は、リアフレーム15に接続される。ステップ部材44(144)は、中間部材43(143)に対して着脱可能に設けられる。
このように構成されたモータグレーダ100によれば、第1ラダー部41が破損した場合に、ステップ部材44(144)のみを交換することができる。
なお、本実施の形態では、リアマウントタイプのモータグレーダ100について説明したが、本開示を、キャブがフロントフレームにより支持されるフロントマウントタイプのモータグレーダに適用することも可能である。フロントマウントタイプのモータグレーダにおいても、キャブに搭乗口が設けられる位置などによっては、ラダーと、アーティキュレートシリンダとが干渉する場合がある。
また、本開示における移動部材は、アーティキュレートシリンダに限られず、たとえば、フロントフレームおよびリアフレーム間に配索される油圧配管または配線であってもよい。さらに、本開示は、モータグレーダに限られず、たとえば、ホイールローダ、ロードローラまたはアーティキュレートダンプなどの各種の作業機械に適用される。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。