JP2019078123A - 掘削システムおよび掘削方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】硬質地盤であっても効率よく縦孔を掘削することが可能な掘削システム及び掘削方法を提供する。【解決手段】ケーシング1の内部でハンマーロッド5aに外挿したウエイト8及びスリーブ体12のロッド周方向の回転を規制し、ウエイト8又はスリーブ体12の一方に、ハンマーロッド5aの外周面とケーシング1の内周面との間でロッド半径方向に移動可能なライナ14を設置し、スリーブ体12をウエイト8から吊り下げて、ウエイト8を吊り下げたハンマーロッド5aを下方移動させてスリーブ体12をケーシング1の内側に突出させた載置部2cに載置して、ウエイト8をスリーブ体12に対して下方移動させてロッド半径方向外側に移動させたライナ14をケーシング1の内周面を押圧させた状態にしてホースガイド16をケーシング1及びハンマー3を一体的に回転駆動させる。【選択図】図9

Description

本発明は、ケーシングおよびケーシングに内挿されるハンマーを用いた掘削システムおよび掘削方法に関し、さらに詳しくは、硬質地盤であってもより効率よく縦孔を掘削することが可能な掘削システムおよび掘削方法に関するものである。
地盤に既設杭を建て込んだり、場所杭を形成する等の工事の際には、地盤を掘削して縦孔を形成する。固い岩盤やコンクリート等が残存している地盤などの硬質地盤は掘削に時間を要する場合が多く、様々な掘削方法が提案されている。ケーシングに内挿したハンマーにエアの圧力によって上下打撃力を付与しつつ、駆動モータ等によってケーシングおよびハンマーを回転駆動させて地盤を掘削するダウンザホールハンマー工法は、硬質地盤であっても比較的効率よく掘削ができる(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1で提案されている方法では、ケーシングの上端部に取り付けた駆動ジョイントに形成された嵌合溝と、ハンマーロッドの外周面に形成された嵌合突起とを嵌合させてハンマーロッドをケーシングに対してロッド軸方向のみに移動可能している。そして、この嵌合溝と嵌合突起を嵌合させることで、ケーシングとともにハンマーを回転駆動する。したがって、深く掘削してゆく過程で、嵌合溝と嵌合突起を嵌合させるには適宜の頻度でハンマーロッドを継ぎ足す必要がある。このようにハンマーロッドを継ぎ足す作業が発生するため、より効率よく縦孔を掘削するには改善の余地がある。
特開2011−220015号公報
本発明の目的は、硬質地盤であってもより効率よく縦孔を掘削することが可能な掘削システムおよび掘削方法を提供することにある。
上記目的を達成するため本発明の掘削システムは、下端部にケーシングビットを有するケーシングと、このケーシングの外周面を保持してケーシングを回転駆動させる回転駆動装置と、下端部にハンマービットを有するハンマーと、このハンマーを下端に設けたハンマーロッドと、このハンマーロッドに接続されるホースとを備えて、前記ハンマーロッドを前記ケーシングに内挿した状態にして前記ホースを通じて供給したエアによって前記ハンマーに上下打撃力を付与しつつ、前記回転駆動装置により前記ケーシングおよび前記ハンマーを回転駆動させて、前記ケーシングビットおよび前記ハンマービットにより地盤の掘削を行なう掘削システムにおいて、前記ケーシングの内部で前記ハンマーロッドに外挿されてロッド周方向の回転を規制されつつ上下方向に移動可能なウエイトおよびスリーブ体と、前記ウエイトまたは前記スリーブ体の一方に設置されて前記ハンマーロッドの外周面と前記ケーシングの内周面との間でロッド半径方向に移動可能なライナと、前記ケーシングの内側に突出して前記スリーブ体が載置される載置部とを有し、前記スリーブ体が前記ウエイトから下方に吊り下げられた状態で設置され、前記ウエイトを前記ハンマーロッドの上下方向中途の位置で前記ハンマーロッドから吊り下げ可能にして、前記載置部に載置された前記スリーブ体に対して前記ウエイトが下方移動することにより、前記ライナがロッド半径方向外側に移動して前記ケーシングの内周面を押圧した状態になり、この状態で前記ケーシングを回転駆動させることで、前記ケーシングおよび前記ハンマーを一体的に回転駆動させる構成にしたことを特徴とする。
本発明の掘削方法は、下端部にケーシングビットを有するケーシングと、このケーシングの外周面を保持してケーシングを回転駆動させる回転駆動装置と、下端部にハンマービットを有するハンマーと、このハンマーを下端に設けたハンマーロッドと、このハンマーロッドに接続されるホースとを備えて、下端にハンマーを有するハンマーロッドにホースを接続してケーシングに内挿し、前記ハンマーロッドをケーシングに対して上下方向のみに移動可能な状態にして、前記ホースを通じて供給したエアによって前記ハンマーに上下打撃力を付与しつつ、前記ケーシングの外周面を保持する回転駆動装置により前記ケーシングおよび前記ハンマーを回転駆動させて、前記ケーシングの下端部に設けたケーシングビットと前記ハンマーの下端部に設けたハンマービットにより地盤を掘削する掘削方法において、前記ケーシングの内部で前記ハンマーロッドに外挿したウエイトおよびスリーブ体をロッド周方向の回転を規制しつつ上下方向に移動可能な状態にして、前記ウエイトまたは前記スリーブ体の一方に、前記ハンマーロッドの外周面と前記ケーシングの内周面との間でロッド半径方向に移動可能なライナを設置し、前記スリーブ体を前記ウエイトから下方に吊り下げた状態で設置するとともに、前記ウエイトを前記ハンマーロッドの上下方向中途の位置で前記ハンマーロッドから吊り下げ可能にして、前記ケーシングの内側に突出させた載置部に載置した前記スリーブ体に対して前記ウエイトを下方移動させることにより、前記ライナをロッド半径方向外側に移動させて前記ケーシングの内周面を押圧させた状態にして前記ケーシングを回転駆動させることで、前記ケーシングおよび前記ハンマーを一体的に回転駆動させることを特徴とする。
本発明によれば、ウエイトを吊り下げたハンマーロッドを下方移動させてスリーブ体をケーシングの内側に突出させた載置部に載置し、スリーブ体を吊り下げているウエイトを下方移動させることで、ライナをロッド半径方向外側に移動させてケーシングの内周面を押圧させた状態にする。このライナを介してハンマーロッドとケーシングとを一体化させることができる。したがって、この状態で回転駆動装置によってケーシングを回転駆動することでハンマーも一緒に回転駆動させることができる。これに伴い、硬質地盤であっても、ケーシングビットおよびハンマービットによって縦孔を掘削できる。そして、ハンマーロッドを下方移動させれば、ハンマーロッドを継ぎ足さなくても、さらに深く掘削できるので効率よく縦孔を掘削するには有利になる。
本発明の掘削システムの全体概要をケーシングの内部を透視して正面視で例示する説明図である。 図1のケーシングの内部に配置された部材を正面視で例示する説明図である。 図2のハンマーおよびハンマーロッドを例示する説明図であり、図3Aは上面図、図3Bは正面図である。 図2のウエイトおよびスリーブ体の組み付け状態を正面視で例示する説明図である。 図4のウエイトを例示する説明図であり、図5Aは正面図、図5Bは底面図である。 図4のスリーブ体の周辺を例示する説明図であり、図6Aは上面図、図6Bは正面図である。 図1のハンマーロッドを下方移動させてスリーブ体を載置部に載置した状態をケーシングの内部を透視して正面視で例示する説明図である。 図7のウエイトをさらに下方移動させた状態を正面視で例示する説明図である。 図8のハンマーロッドをさらに下方移動させた状態を正面視で例示する説明図である。 図9のケーシングおよびハンマーを回転駆動させて地盤を掘削している状態を正面視で例示する説明図である。 ケーシングの上端部にホースガイドを設置した状態をケーシングの内部を透視して正面視で例示する説明図である。 図11のホースガイドを例示する説明図であり、図12Aは縦断面図、図12Bは上面図である。
以下、本発明の掘削システムおよび掘削方法を、図に示した実施形態に基づいて説明する。
図1、図2に例示する本発明の掘削システムは、円筒状のケーシング1と、このケーシング1の外周面を保持してケーシング1を回転駆動させる回転駆動装置17と、円柱状のハンマー3と、ハンマー3を下端に設けた円筒状のハンマーロッド5と、ハンマーロッド5に接続されるホース10とを備えている。ケーシング1の下端部にはケーシングビット2aが周方向に間隔をあけて設けられている。また、ケーシング1の下端部にはケーシング1の内側に突出する載置部2cが周方向に間隔をあけて設けられていて、載置部2cの下端面にはインサイドカッタ2bが下方に突設されている。
この掘削システムはさらに、ケーシング1の内部でハンマーロッド5に外挿されるウエイト8およびスリーブ体12と、ウエイト8またはスリーブ体12の一方に設置されるライナ14とを有している。この実施形態ではライナ14はスリーブ体12に設置されているが、ウエイト8にライナ14を設けた構成にすることもできる。
ケーシング1はボルト等の締結手段によって上下に接続される複数のケーシング部1a、1bから構成されていて、ケーシングビット2aは最下段のケーシング部1aの下端部に設けられている。ケーシング1を構成するケーシング部1a、1bの数は、この実施形態のように2個に限らず、掘削する深さに応じた任意の数にすることができる。
この実施形態のハンマーロッド5は上下にボルト等の締結手段によって接続される2本のハンマーロッド5a、5bによって構成されていて、ハンマー3は最下段のハンマーロッド5aの下端に連結されている。この実施形態では、ハンマー3に下向きの荷重を付与するために、上段のハンマーロッド5bがウエイト用ロッドとして用いられている。ウエイト用ロッドは必要に応じて設ければよく省略することもできる。したがって、ハンマーロッド5は、1本のハンマーロッド5aのみで構成することもできる。
ハンマーロッド5の上端にはスイベルジョイント9が接続されていて、スイベルジョイント9にはホース接続部11を介してホース10がハンマーロッド5に連結されている。ホース10は、後述する注入路3a、7aに連通する。また、スイベルジョイント9の上端には、係止孔9aが設けられている。係止孔9aには、クレーン等の吊りワイヤ20が係止される。したがって、クレーン等により吊りワイヤ20をコントロールすることで、ハンマー3の上下位置をコントロールすることができる。
ハンマー3には注入路3a、ハンマーロッド5には注入路7aが設けられている。注入路3a、7aにより、ハンマー3の下端からハンマーロッド5の上端部まで連通する注入路が形成されている。ハンマー3の側面には、上下に延在する排出溝3bが形成されている。
地上のエア供給源に接続されたホース10から注入路7a、3aを通じてエアが供給され、供給されたエアの圧力によりハンマー3には上下打撃力が付与される。また、供給されたエアの圧力により、掘削物が排出溝3bを通じて上方移動してケーシング1の内部に蓄積するように構成されている。
回転駆動装置17は、駆動モータ17aと駆動モータ17aにより回転駆動される回転歯車17bと、回転歯車17bとともに回転する複数のチャック片19と、油圧シリンダからなる4本の支持脚18とを有している。複数のチャック片19は、回転駆動装置17を上下に貫通するケーシング1の外周側を囲むように環状に配置されている。それぞれのチャック片19は、配置された環状の半径方向に進退移動して環状を拡縮できるように構成されている。
それぞれのチャック片19を環状を縮径する方向に移動させることにより、ケーシング1の外周面を保持する。また、支持脚18のシリンダの進退移動により、回転駆動装置17の上記構成部品が一体的に上下移動するように構成されている。ケーシング1の外周面をチャック片19で保持した状態で、回転駆動装置17を作動させるとケーシング1の筒軸心を中心にしてケーシング1が回転駆動される。
図3に例示するように、ハンマー3の側面には下端から上端に延在する排出溝3bが形成されている。排出溝3bはハンマー3の周方向に間隔をあけて複数配置することが好ましく、この実施形態では、周方向に等間隔で4つの排出溝3bが配置されている。ハンマーロッド5(5a、5b)には筒軸方向に延在する嵌合キー6aが設けられている。嵌合キー6aは、ハンマーロッド5の外周面から外側に突出していて、ロッド周方向に間隔をあけて複数配置されている。この実施形態では、ハンマーロッド5のロッド周方向に等間隔で2本の嵌合キー6aが配置されているが、配置する嵌合キー6aの数は例えば2本〜6本にする。
最下端のハンマーロッド5aには、嵌合キー6aに加えて筒軸方向に延在するウエイト保持キー6bが設けられている。ウエイト保持キー6bは、ハンマーロッド5aの外周面から外側に突出していて、ロッド周方向に間隔をあけて複数配置されている。ウエイト保持キー6bは、ハンマーロッド5aのロッド周方向に隣り合う嵌合キー6aの間に配置されている。この実施形態では、ハンマーロッド5aのロッド周方向に等間隔で2本のウエイト保持キー6bが配置されているが、配置するウエイト保持キー6aの数は例えば2本〜6本にする。
嵌合キー6aはハンマーロッド5(5a、5b)の下端から上端まで筒軸方向全長に渡って延在しているが、ウエイト保持キー6bはハンマーロッド5aの下端から筒軸方向中途の位置まで延在している。即ち、ウエイト保持キー6bは、ハンマーロッド5の筒軸方向中途の位置に上端面を有している。
ケーシング1の内部では図4に例示するように、スリーブ体12がウエイト8から下方に吊り下げられた状態で設置される。スリーブ体12を構成する筒状部12aは、ウエイト8に挿入される。この実施形態では、ウエイト8とスリーブ体12とはスプリング15aによって上下に接続されている。スプリング15aは周方向に間隔をあけて複数本(4本)配置されている。スプリング15aによって、スリーブ体12に対してウエイト8を下方移動させる付勢力を付与しているが、スプリング15aは必要に応じて設ければよい。
また、ウエイト8の下面には水平方向に延在する連結ピン15bによってピン結合された上側クサビ片13aが吊り下げられている。上側クサビ片13aは周方向に間隔をあけて複数(4個)配置されている。
図5に例示するようにウエイト8は円筒状である。ウエイト8の上端部には、その内周面の半径方向内側に突出する係止部8bが設けられている。この係止部8bの下端から上端まで延在するキー溝8aが設けられている。キー溝8aは嵌合キー6aに対応するので、嵌合キー6aと同数のキー溝8aが周方向に間隔をあけて複数配置されている。
ウエイト8の内周面にはさらに、ウエイト8の下端から係止部8bまで延在するストッパ用溝8cが設けられている。即ち、ストッパ溝8cの上端は係止部8bによって塞がれている。ストッパ溝8cには、スリーブ体12に設けられた後述するストッパ12eが嵌合する。ストッパ12eがストッパ溝8cに嵌合された後にストッパ溝8cの下端部に留め具が後付けされる。ウエイト8の下面には周方向に間隔をあけてスプリング15aや上側クサビ片13を取り付ける取付け部が設けられている。
図6に例示するようにスリーブ体12は、筒状部12aと筒状部12aの下端に接続されたフランジ部12bとを有している。フランジ部12bは、筒状部12aの外周側に突出した円環状に形成されている。
筒状部12aの内周面には下端から上端まで延在するキー溝12dが設けられている。キー溝12dは、周方向に間隔をあけて複数配置されている。この実施形態では、筒状部12aの周方向に等間隔で4本のキー溝12dが配置されている。キー溝12dには嵌合キー6aおよびウエイト保持キー6bが嵌合するので、嵌合キー6aおよびウエイト保持キー6bの合計数と同数のキー溝12dが設けられる。
筒状部12aの上端部には、半径方向外側に突出するストッパ12eが周方向に間隔をあけて配置されている。ウエイト8に設けられたストッパ用溝8cにストッパ12eを嵌合させて筒状部12aがウエイト8に挿入され、キー溝8aとキー溝12dとの周方向位置も一致した状態になる。ストッパ用溝8cにストッパ12eを嵌合させることにより、スリーブ体12はウエイト8に対して筒軸方向(上下方向)にのみ移動可能になって周方向の移動が規制される。ウエイト8にはストッパ用溝8cの下端部に留め具が取り付けられるので、スリーブ体12がウエイト8に対して下方移動してもストッパ12eがその留め具によって下方移動を阻止される。それ故、スリーブ体12はスプリング15aが無くてもウエイト8から分離することはない。
フランジ部12bの上面には、クサビ保持部12cが周方向に間隔をあけて配置されている。この実施形態では、周方向に等間隔で4つのクサビ保持部12cが配置されているが、配置するクサビ保持部12cの数は例えば2個〜6個にする。
クサビ保持部12cには、下側クサビ片13bが保持されている。下側クサビ片13bは上側クサビ片13aと対となる部材であり、下側クサビ片13bと上側クサビ片13aとは互いの対向させた傾斜面どうしを当接させた状態で上側クサビ片13aが下方移動可能に設けられる。
平面視で下側クサビ片13bの外周面に円弧状のライナ14が取り付けられている。ライナ14は、クサビ保持部12cにガイドされて、ハンマーロッド5のロッド半径方向に移動する下側クサビ片13bとともにロッド半径方向に移動する。フランジ部12bの上面にはさらに、スプリング15aを固定する取り付け部が周方向に間隔をあけて配置されている。
図4に例示するようにスリーブ体12は、筒状部12aがウエイト8に挿入される。この状態のウエイト8およびスリーブ体12が、ケーシング1の内部では図2に例示するようにハンマーロッド5に外挿される。この状態では、嵌合キー6aはキー溝8aおよびキー溝12dに嵌合し、ウエイト保持キー6bはキー溝12dだけに嵌合する。
このようにして掘削システムでは、ケーシング1の内部でハンマーロッド5に外挿されたウエイト8およびスリーブ体12がロッド周方向の回転を規制されつつ上下方向に移動可能になる。また、ライナ14は、ハンマーロッド5の外周面とケーシング1の内周面との間でロッド半径方向に移動可能になる。
以下、この掘削システムを用いて地盤を掘削して縦孔を形成する方法を説明する。
図2に例示するように、下端にハンマー3を取り付けたハンマーロッド5にウエイト8およびスリーブ体12を外挿して、ウエイト8およびスリーブ体12のロッド周方向の回転を規制しつつ上下方向に移動可能にする。ウエイト保持キー6bの上端面をウエイト8の係止部8bに係止させることで、ウエイト8をハンマーロッド5の上下方向中途の位置でハンマーロッド5から吊り下げる。これにより、スリーブ体12はウエイト8から下方に吊り下げられた状態で設置される。ウエイト8とフランジ部12bとの間で伸ばされるスプリング15aによってスリーブ体12は所定位置に吊り下げられる。
ウエイト8の下方に突出する上側クサビ片13aはクサビ保持部12cに埋入し、クサビ保持部12cに保持されている下側クサビ片13bに当接しているが、下側クサビ片13bに対して十分に下方移動してない。そのため、下側クサビ片13bはハンマーロッド5のロッド半径方向外側にほとんど移動していない。それ故、ライナ14は、フランジ部12bの外縁よりも半径方向内側に位置している。ハンマー3はフランジ部12bよりも下方に突出した位置にある。
このハンマーロッド5を吊りワイヤ20により吊り上げて、地盤に埋設したケーシング1の内部に挿入する。ハンマーロッド5の上端のスイベルジョイント9にはホース接続部11を介してホース10を連結して図1に例示する状態にする。
次いで、図7に例示するようにハンマーロッド5をさらに下方移動させてフランジ部12bを載置部2cに載置する。載置部2cおよびインサイドカッタ2bは、ハンマー3およびハンマーロッド5に干渉しない位置に配置されている。そのため、上下移動するハンマー3およびハンマーロッド5は、ケーシング1の内部と外部とを往来可能になっている。
次いで、図8に例示するようにハンマーロッド5をさらに下方移動させると、ウエイト8の重量およびスプリング15aの付勢力によってウエイト8が下方移動する。フランジ部12bが載置部2cに載置されているのでスリーブ体12は上下移動しない。そのため、下方移動する上側クサビ片13aの傾斜面が下側クサビ片13bの傾斜面を押圧して、ライナ14がロッド半径方向外側に移動する。これにより、ライナ14がケーシング1の内周面を押圧した状態になってライナ14を介してケーシング1およびハンマー3が一体化する。
次いで、図9に例示するように、ハンマーロッド5を適宜、下方移動させてハンマー3を所定の深度に設置する。回転駆動装置17のチャック片19により、ケーシング1の外周面を保持した状態にしておく。
この状態で、図10に例示するように回転駆動装置17を稼働させてケーシング1を回転駆動するとともに、ハンマー3を一体的に回転駆動して地盤の掘削を始める。回転駆動装置17の回転駆動とともに、支持脚18のシリンダを徐々に収縮させてケーシング1を下方移動させる。掘削開始の際には、例えば、ハンマー3の上下位置を調整して、ハンマー3をケーシング1に先行させて掘削を行なう。
この実施形態では、ケーシング1の上端開口を塞ぐ蓋部2dが設けられている。蓋部2dはホース10および吊りワイヤ20を貫通させているだけで、ケーシング1の上端開口の大部分が蓋部2dにより塞がれている。蓋部2dは任意で設けることができる。
ホース10からは注入路7aを通じてエアを供給して、供給したエアの圧力によりハンマー3に上下打撃力を付与しつつ、回転駆動するケーシングビット2a、インサイドカッタ2bおよびハンマービット4により地盤を掘削する。掘削された掘削物は、注入路7a、3aを通じて供給されたエアの圧力により、排出溝3bを通じて上方移動してケーシング1の内部に蓄積される。ケーシング1の内部に蓄積された掘削物は縦孔を構築した後にハンマーグラブ等によって地上に排出される。
更に深く掘削するには、ケーシング1に新たなケーシング部を継ぎ足して延長し、回転駆動装置17の支持脚18を伸長した状態に戻して、延長したケーシング1の外周面をチャック片19で保持する。そして、上述した同じ手順によってケーシング1とともにハンマー3を回転駆動して地盤を掘削すればよい。
本発明によれば、ライナ14を介してケーシング1の回転が、ハンマーロッド5とともにハンマー3に伝達されて、ケーシング1およびハンマー3が一体的に回転駆動される。したがって、硬質地盤であっても、ケーシングビット2a、ハンマービット4によって縦孔を掘削できる。この実施形態では、インサイドカッタ2bによっても地盤が掘削されるのでより効率的に縦孔を掘削できる。
そして、ハンマーロッド5を下方移動させれば、ハンマーロッド5を継ぎ足さなくても、さらに深く掘削できる。即ち、ハンマーロッド5を継ぎ足す作業を省略できるので効率よく縦孔を掘削するには有利になる。
ケーシング1の内周面を押圧しているライナ14をロッド半径方向内側に移動させて、ケーシング1とハンマー3との一体化を解除するには、ハンマーロッド5を上方移動させるだけでよい。詳述すると、ハンマーロッド5を上方移動させて、ウエイト保持キー6bの上端面をウエイト8の係止部8bに係止させて、スリーブ体12に対してウエイト8を上方移動させる。これにより、上側クサビ片13aが下側クサビ片13bに対して上方移動するので、ライナ14をロッド半径方向外側に押圧する押圧力がなくなり、ケーシング1とハンマー3との一体化を解除できる。
このように本発明ではハンマーロッド5の上下移動だけで、ライナ14を介したケーシング1とハンマー3との一体化および一体化の解除を行うことができる。そのため、掘削作業が簡素化されて作業効率を向上させるには有利になっている。
この実施形態では、ウエイト8の下方に突出する上側クサビ片13aと、ライナ14のロッド半径方向内側に設置された下側クサビ片13bとを用いた簡素な構造によって、ライナ14をロッド半径方向外側に移動させることが可能になっている。この構造では、ケーシング1が硬質岩盤に当たってケーシング1に上向きの反力を受けると、上側クサビ片13aと下側クサビ片13bとがより強く当接するので、ライナ14をより強くケーシング1の内周面に押圧させることができる。これに伴い、ケーシング1とハンマー3とをより強固に一体化させることができる。
また、この実施形態のようにスプリング15aによってスリーブ体12に対してウエイト8を下方移動させる付勢力が付与される構成にすると、ライナ14をより強くケーシングの内周面に押圧させることができる。これに伴い、ケーシング1とハンマー3とをより強固に一体化させることができる。
この実施形態にように、掘削中のケーシング1の上端開口を蓋部2dによって塞ぐと、ハンマー3による打撃音などがケーシング1から外部に拡散することを抑制できる。したがって、作業騒音を低減させるには有利になる。
掘削システムは、図11に例示するように、ケーシング1の上端部に取り付けられるホースガイド16を有する仕様にすることもできる。このホースガイド16は、図12に例示するように、円環状の上側部材16aおよび下側部材16bと、回転ローラ16cとを有している。
下側部材16bはケーシング1の上端部に固定される。上側部材16aは、下側部材16bに対してケーシング1の周方向に回転可能に嵌合する。例えば、上側部材16aの内周面と下側部材16bの外周面との間に介在するベアリングボール16dによって、上側部材16aは下側部材16bに対して相対的に回転可能になっている。
回転ローラ16cは、上側部材16aに設置されて回転自在に支持されている。この実施形態では回転ローラ16cは周方向に等間隔に間隔をあけた4箇所に配置されている。また、1箇所に2つの回転ローラ16cが配置されている。
ハンマーロッド5に接続されたホース10は、回転ローラ16cの周面に支持される。ハンマーロッド5がケーシング1の内部で下方移動すると、ホース10を支持している回転ローラ16cが回転してホース10を円滑にケーシング1の内部に導入することができる。一方、ハンマーロッド5がケーシング1の内部で上方移動すると、ホース10を支持している回転ローラ16cが回転してホース10を円滑にケーシング1の外部に導出させることができる。
ケーシング1が回転駆動すると、下側部材16bはケーシング1とともに回転するが、上側部材16aは回転しない状態に維持される。そのため、ケーシング1の回転によってホース10が絡まることがない。そして、ホースガイド16によってホース10を傷付けることなくケーシング1に導入および導出させることができる。
ハンマーロッド5に接続されるホース10は1本なので、回転ローラ16cは上側部材16aの少なくとも1箇所に配置すればよい。また、1箇所に配置される回転ローラ16cは、少なくとも1個あればよいが、2個(複数)配列することで、回転ローラ16cに支持されるホース10が局部的に過大に屈曲することを防止するには有利になる。
1 ケーシング
1a、1b ケーシング部
2a ケーシングビット
2b インサイドカッタ
2c 載置部
2d 蓋部
3 ハンマー
3a 注入路
3b 排出溝
4 ハンマービット
5(5a、5b) ハンマーロッド
6a 嵌合キー
6b ウエイト保持キー
7a 注入路
8 ウエイト
8a キー溝
8b 係止部
8c ストッパ用溝
9 スイベルジョイント
9a 係止孔
10 ホース
11 ホース接続部
12 スリーブ体
12a 筒状部
12b フランジ部
12c クサビ保持部
12d キー溝
12e ストッパ
13a 上側クサビ片
13b 下側クサビ片
14 ライナ
15a スプリング
15b 連結ピン
16 ホースガイド
16a 上側部材
16b 下側部材
16c 回転ローラ
16d ベアリングボール
17 回転駆動装置
17a 駆動モータ
17b 回転歯車
18 支持脚
19 チャック片
20 吊りワイヤ

Claims (6)

  1. 下端部にケーシングビットを有するケーシングと、このケーシングの外周面を保持してケーシングを回転駆動させる回転駆動装置と、下端部にハンマービットを有するハンマーと、このハンマーを下端に設けたハンマーロッドと、このハンマーロッドに接続されるホースとを備えて、前記ハンマーロッドを前記ケーシングに内挿した状態にして前記ホースを通じて供給したエアによって前記ハンマーに上下打撃力を付与しつつ、前記回転駆動装置により前記ケーシングおよび前記ハンマーを回転駆動させて、前記ケーシングビットおよび前記ハンマービットにより地盤の掘削を行なう掘削システムにおいて、
    前記ケーシングの内部で前記ハンマーロッドに外挿されてロッド周方向の回転を規制されつつ上下方向に移動可能なウエイトおよびスリーブ体と、前記ウエイトまたは前記スリーブ体の一方に設置されて前記ハンマーロッドの外周面と前記ケーシングの内周面との間でロッド半径方向に移動可能なライナと、前記ケーシングの内側に突出して前記スリーブ体が載置される載置部とを有し、
    前記スリーブ体が前記ウエイトから下方に吊り下げられた状態で設置され、前記ウエイトを前記ハンマーロッドの上下方向中途の位置で前記ハンマーロッドから吊り下げ可能にして、
    前記載置部に載置された前記スリーブ体に対して前記ウエイトが下方移動することにより、前記ライナがロッド半径方向外側に移動して前記ケーシングの内周面を押圧した状態になり、この状態で前記ケーシングを回転駆動させることで、前記ケーシングおよび前記ハンマーを一体的に回転駆動させる構成にしたことを特徴とする掘削システム。
  2. 前記ウエイトの下方に突出する上側クサビ片と、前記ライナのロッド半径方向内側に設置された下側クサビ片とを有し、下方移動する前記上側クサビ片が前記下側クサビ片に当接することにより前記ライナがロッド半径方向外側に移動する構成にした請求項1に記載の掘削システム。
  3. 前記スリーブ体と前記ウエイトとを接続するスプリングを有し、このスプリングにより前記スリーブ体に対して前記ウエイトを下方移動させる付勢力が付与される構成にした請求項1または2に記載の掘削システム。
  4. 前記ケーシングの上端開口を塞ぐ蓋部を有する請求項1〜3のいずれかにに記載の掘削システム。
  5. 前記ケーシングの上端部に取り付けられるホースガイドを有し、このホースガイドが前記ケーシングに固定される下側部材と、この下側部材に対して前記ケーシングの周方向に回転可能に嵌合する上側部材と、この上側部材に設置される回転ローラとを備えて、前記ホースが前記回転ローラの周面に支持されて前記ケーシングの内部に導入および前記ケーシングの外部に導出される構成にした請求項1〜4のいずれかに記載の掘削システム。
  6. 下端部にケーシングビットを有するケーシングと、このケーシングの外周面を保持してケーシングを回転駆動させる回転駆動装置と、下端部にハンマービットを有するハンマーと、このハンマーを下端に設けたハンマーロッドと、このハンマーロッドに接続されるホースとを備えて、
    下端にハンマーを有するハンマーロッドにホースを接続してケーシングに内挿し、前記ハンマーロッドをケーシングに対して上下方向のみに移動可能な状態にして、前記ホースを通じて供給したエアによって前記ハンマーに上下打撃力を付与しつつ、前記ケーシングの外周面を保持する回転駆動装置により前記ケーシングおよび前記ハンマーを回転駆動させて、前記ケーシングの下端部に設けたケーシングビットと前記ハンマーの下端部に設けたハンマービットにより地盤を掘削する掘削方法において、
    前記ケーシングの内部で前記ハンマーロッドに外挿したウエイトおよびスリーブ体をロッド周方向の回転を規制しつつ上下方向に移動可能な状態にして、前記ウエイトまたは前記スリーブ体の一方に、前記ハンマーロッドの外周面と前記ケーシングの内周面との間でロッド半径方向に移動可能なライナを設置し、前記スリーブ体を前記ウエイトから下方に吊り下げた状態で設置するとともに、前記ウエイトを前記ハンマーロッドの上下方向中途の位置で前記ハンマーロッドから吊り下げ可能にして、
    前記ケーシングの内側に突出させた載置部に載置した前記スリーブ体に対して前記ウエイトを下方移動させることにより、前記ライナをロッド半径方向外側に移動させて前記ケーシングの内周面を押圧させた状態にして前記ケーシングを回転駆動させることで、前記ケーシングおよび前記ハンマーを一体的に回転駆動させることを特徴とする掘削方法。
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