JP7385975B1 - 掘削システムおよび掘削方法 - Google Patents

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Abstract

施工性を一段と向上させて、硬質地盤を効率よく縦孔を掘削することが可能な掘削システムおよび掘削方法を提供する。挿入ガイド12Gをスリーブ体12の下方に周方向に間隔をあけて突設し、ウエイト8及びスリーブ体12を外挿したハンマーロッド5aを下方移動してウエイト8から吊り下げたスリーブ体12をケーシング1の内側に周方向に間隔をあけて突設した載置部2cに載置して、ウエイト8と共に下方移動した上側クサビ片13aにより下側クサビ片13bを介してライナ14をケーシング1の内周面を押圧し、ケーシング1及びハンマー3を一体的に回転駆動装置17で回転駆動し、ホースホルダ16で長手方向に移動自在に保持したホース10で供給したエアでハンマー3に上下打撃力を付与し、各クサビ片13a、13bはクサビ片カバー13cで外部空間と遮断させる。

Description

本発明は、ケーシングおよびケーシングに内挿されるハンマーを用いた掘削システムおよび掘削方法に関し、さらに詳しくは、施工性を一段と向上させて、硬質地盤を効率よく縦孔を掘削することが可能な掘削システムおよび掘削方法に関するものである。
ケーシングに内挿したハンマーにエアの圧力によって上下打撃力を付与しつつ、駆動モータ等によってケーシングおよびハンマーを回転駆動させて地盤を掘削するダウンザホールハンマー工法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1で提案されている方法では、ケーシングに内挿したスリーブ体をケーシングの内側に突出させた載置部に載置し、スリーブ体を吊り下げているウエイトを下方移動させることで、ライナをロッド半径方向外側に移動させてケーシングの内周面を押圧させる。このように拡径移動するライナを介して、ケーシングに挿入したハンマーロッドとケーシングとを一体化させた状態にして回転駆動装置によってケーシングを回転駆動させることで、ケーシングビットおよびハンマービットによって縦孔を掘削できる。さらに深く掘削するには、ハンマーロッドを継ぎ足さなくてもハンマーロッドを下方移動させればよいので、効率よく縦孔を掘削できる。
しかしながら、ケーシングの内径とスリーブ体の外径の差異は比較的小さいので、ハンマーおよびハンマーロッドとともにクレーンから吊り下げられているスリーブ体を、ケーシングに挿入するには高い精度の位置決めが必要になるので相応の時間を要する。また、ライナを押圧している上側クサビ片と下側クサビ片の間に砕石などの不要な障害物が進入すると、ライナの拡縮移動を円滑に行うことができなくなる。さらには、ハンマーロッドに接続されているホースが、上下移動するハンマーロッドに対応してケーシングに対して円滑に出し入れできないと、ハンマーロッドの移動を妨げたり、ホースが損傷するなどの不具合が生じる。それ故、施工性を一段と向上させて、硬質地盤を効率よく縦孔を掘削するには改善の余地がある。
日本国特開2019-78123号公報
本発明の目的は、施工性を一段と向上させて、硬質地盤を効率よく縦孔を掘削することが可能な掘削システムおよび掘削方法を提供することにある。
上記目的を達成するため本発明の掘削システムは、下端部にケーシングビットを有するケーシングと、このケーシングの外周面を保持してケーシングを回転駆動させる回転駆動装置と、下端部にハンマービットを有するハンマーと、このハンマーが下端に取り付けられて前記ケーシングに内挿されるハンマーロッドと、前記ケーシングの内部で前記ハンマーロッドに外挿されてロッド周方向の回転を規制されつつ上下方向に移動可能なウエイトおよびスリーブ体と、前記ウエイトまたは前記スリーブ体の一方に設置されて前記ハンマーロッドの外周面と前記ケーシングの内周面との間でロッド半径方向に移動可能なライナと、前記ケーシングの内側に突出して前記スリーブ体が載置される載置部と、前記ウエイトの下方に突出する上側クサビ片と、前記ライナのロッド半径方向内側に設置された下側クサビ片と、前記ハンマーロッドに接続されるホースとを備えて、前記スリーブ体が前記ウエイトから下方に吊り下げられた状態で設置され、前記ウエイトを前記ハンマーロッドの上下方向中途の位置で前記ハンマーロッドから吊り下げ可能にして、前記載置部に載置された前記スリーブ体に対して前記ウエイトが下方移動することにより、前記上側クサビ片が前記下側クサビ片を押圧することで前記ライナがロッド半径方向外側に移動して前記ケーシングの内周面を押圧した状態になり、この状態で前記回転駆動装置により前記ケーシングを回転駆動させることで、前記ケーシングおよび前記ハンマーが一体的に回転駆動されるとともに、前記ホースを通じて供給したエアによって前記ハンマーに上下打撃力を付与して、前記ケーシングビットおよび前記ハンマービットにより地盤の掘削を行なう掘削システムにおいて、前記載置部が前記ケーシングの周方向に間隔をあけて複数配置されていて、前記スリーブ体の下端のフランジ部の下方に突出して前記スリーブ体の筒軸心に向かって傾斜する傾斜部を有して、前記フランジ部の下端周縁部に周方向に間隔をあけて配置されている複数の挿入ガイドと、前記上側クサビ片および前記下側クサビ片を外部空間と遮断させるクサビ片カバーと、クレーンに吊り下げられて前記ホースをホース長手方向に移動自在に保持するホースホルダと、を有することを特徴とする。
本発明の掘削方法は、下端部にハンマービットを有するハンマーが下端に取り付けられたハンマーロッドをケーシングに内挿して、前記ケーシングの内部で前記ハンマーロッドに外挿したウエイトおよびスリーブ体をロッド周方向の回転を規制しつつ上下方向に移動可能な状態にして、前記ウエイトまたは前記スリーブ体の一方に、前記ハンマーロッドの外周面と前記ケーシングの内周面との間でロッド半径方向に移動可能なライナを設置し、前記ウエイトの下方に突出する上側クサビ片と、前記ライナのロッド半径方向内側に設置された下側クサビ片とを設け、前記スリーブ体を前記ウエイトから下方に吊り下げた状態で設置するとともに、前記ウエイトを前記ハンマーロッドの上下方向中途の位置で前記ハンマーロッドから吊り下げ可能にして、前記ケーシングの内側に突出させた載置部に載置した前記スリーブ体に対して前記ウエイトを下方移動させて前記上側クサビ片が前記下側クサビ片を押圧することにより、前記ライナをロッド半径方向外側に移動させて前記ケーシングの内周面を押圧させた状態にして、前記ケーシングの外周面を保持する回転駆動装置により前記ケーシングおよび前記ハンマーを一体的に回転駆動させるとともに、前記ハンマーロッドに接続したホースを通じて供給したエアによって前記ハンマーに上下打撃力を付与して、前記ケーシングの下端部に設けたケーシングビットと前記ハンマーの下端部に設けたハンマービットにより地盤を掘削する掘削方法において、前記載置部を前記ケーシングの周方向に間隔をあけて複数配置し、前記スリーブ体の下端のフランジ部の下端周縁部に周方向に間隔をあけて複数の挿入ガイドを配置し、それぞれの前記挿入ガイドを、前記フランジ部の下方に突出して前記スリーブ体の筒軸心に向かって傾斜する傾斜部を有する仕様にして、前記上側クサビ片および前記下側クサビ片を、クサビ片カバーによって外部空間と遮断させた状態にするとともに、クレーンに吊り下げられたホースホルダによって前記ホースをホース長手方向に移動自在に保持した状態にして地盤を掘削することを特徴とする。
本発明によれば、前記ウエイトを吊り下げた前記ハンマーロッドを下方移動させて前記スリーブ体を前記ケーシングの内側に突出させた載置部に載置し、前記スリーブ体を吊り下げている前記ウエイトを下方移動させることで、前記上側クサビ片および前記下側クサビ片を介して前記ライナをロッド半径方向外側に移動させて前記ケーシングの内周面を押圧させる。このライナを介して前記ハンマーロッドと前記ケーシングとを一体化させた状態にするので前記回転駆動装置によって前記ケーシングおよび前記ハンマーを回転駆動させることで、硬質地盤であっても、前記ケーシングビットおよび前記ハンマービットによって縦孔を掘削できる。そして、前記ハンマーロッドを継ぎ足さなくても前記ハンマーロッドを下方移動させれば、さらに深く掘削できるので効率よく縦孔を掘削するには有利になる。
さらに、前記スリーブ体の下端のフランジ部の下方に複数の前記挿入ガイドを有しているので、前記ケーシングの内径と前記スリーブ体(フランジ部)の外径との差異が小さくても、前記挿入ガイドを前記ケーシングの上端開口に当接させることで、前記スリーブ体(およびハンマ、ハンマーロッド)を円滑に前記ケーシングに挿入させることができる。また、前記上側クサビ片および前記下側クサビ片をクサビ片カバーによって外部空間と遮断させた状態にするので、前記上側クサビ片と前記下側クサビ片との間に砕石などの不要な障害物が進入することが防止されるので、掘削作業を長期に渡って安定して行うことが可能になる。加えて、前記ホースをクレーンに吊り下げられた前記ホースホルダによってホース長手方向に移動自在に保持するので、掘削作業の進行具合に応じてホースを円滑にケーシングに向かって出し入れできる。その結果、施工性を一段と向上させるには有利になる。
図1は本発明の掘削システムの全体概要をケーシングの内部を透視して正面視で例示する説明図である。 図2は図1のケーシングの内部に配置された部材を正面視で例示する説明図である。 図3は図2のハンマーおよびハンマーロッドを上面視で例示する説明図である。 図4は図2のハンマーおよびハンマーロッドを正面視で例示する説明図である。 図5は図2のウエイトおよびスリーブ体の組み付け状態を正面視で例示する説明図である。 図6は図5のウエイトを例示する説明図であり、図6Aは正面図、図6Bは底面図である。 図6は図5のスリーブ体およびその周辺を上面視で例示する説明図である。 図8は図5のスリーブ体およびその周辺を正面視で例示する説明図である。 図9はハンマーロッドをケーシングの上端開口から挿入し始めた状態をケーシングの内部を透視して正面視で例示する説明図である。 図10は図9のハンマーロッドをさらに下方移動させた状態をケーシングの内部を透視して正面視で例示する説明図である。 図11は挿入ガイドを取付けずにハンマーロッドをケーシングの上端開口から挿入し始めた状態をケーシングの内部を透視して正面視で例示する説明図である。 図12は図1のハンマーロッドを下方移動させてスリーブ体を載置部に載置した状態をケーシングの内部を透視して正面視で例示する説明図である。 図13は図12の載置部と挿入ガイドとの配置を平面視で例示する説明図である。 図14は載置部および挿入ガイドの変形例の干渉具合を例示する説明図である。図14Aは平面図、図14B、11Cはそれぞれ、図14AのX矢視図、Y矢視図であり、図14Dは図14Aの挿入ガイドが載置部の斜面に沿って下方移動した状態の平面図、図14E、14Fはそれぞれ、図14DのX矢視図、Y矢視図である。 図15は図12のハンマーロッドおよびウエイトをさらに下方移動させた状態を正面視で例示する説明図である。 図16は図15のハンマーロッドをさらに下方移動させた状態を正面視で例示する説明図である。 図17は図16のケーシングおよびハンマーを回転駆動させて地盤を掘削している状態を正面視で例示する説明図である。
以下、本発明の掘削システムおよび掘削方法を、図に示した実施形態に基づいて説明する。
図1、図2に例示する本発明の掘削システムは、円筒状のケーシング1と、このケーシング1の外周面を保持してケーシング1を回転駆動させる回転駆動装置17と、円柱状のハンマー3と、ハンマー3を下端に設けた円筒状のハンマーロッド5と、ハンマーロッド5に接続されるホース10とホースホルダ16とを備えている。ケーシング1の下端部にはケーシングビット2aが周方向に間隔をあけて配置されている。また、ケーシング1の下端部にはケーシング1の内側に突出する載置部2cが、ケーシング1の周方向に間隔をあけて複数配置されている。載置部2cの下端面にはインサイドカッタ2bが下方に突設されている。
この掘削システムはさらに、ケーシング1の内部でハンマーロッド5に外挿されるウエイト8およびスリーブ体12と、ウエイト8またはスリーブ体12の一方に設置されるライナ14とを有している。この実施形態ではライナ14はスリーブ体12に設置されているが、ウエイト8にライナ14を設けた構成にしてもよい。ウエイト8の下端部にはクサビ片カバー13が取り付けられている。
ケーシング1はボルト等によって上下に接続される複数のケーシング部1a、1bから構成され、ケーシングビット2aは最下段のケーシング部1aの下端部に設けられている。ケーシング1を構成するケーシング部1a、1bは、2本に限らず、掘削する深さに応じた任意の本数にできる。
この実施形態のハンマーロッド5は、ボルト等によって上下に接続される2本のハンマーロッド5a、5bによって構成され、ハンマー3は最下段のハンマーロッド5aの下端に連結されている。この実施形態では、ハンマー3に下向きの荷重を付与するために、上段のハンマーロッド5bがウエイト用ロッドとして用いられている。ウエイト用ロッド5bは任意に設ければよく、1本のハンマーロッド5aのみでハンマーロッド5を構成してもよい。
ハンマーロッド5の上端にはスイベルジョイント9が接続され、スイベルジョイント9にはホース接続部11を介してホース10が連結されている。ハンマーロッド5に接続されたホース10は、後述する注入路3a、7aに連通する。スイベルジョイント9の上端には、係止孔9aが設けられている。係止孔9aには、クレーン等の吊りワイヤ20が係止される。したがって、ハンマー3を吊っているクレーンを操作することでハンマー3の上下位置をコントロールできる。
ホースホルダ16は、フレーム16aとフレーム16aに回転可能に軸支された回転ローラ16bとを有し、ホース20をホース長手方向に移動自在に保持する。この実施形態では、直列配置された2つの回転ローラ16bがホース20を保持することでホース20がキンクすることを防止している。回転ローラ16bは単数でもよいが、複数を直列配置するとよい。ホースホルダ16は、ハンマーロッド3を吊り下げるクレーンとは別のクレーンに吊り下げられる。ホースホルダ16はクレーンによって鉛直軸を中心にして回転可能に吊り下げられる
ハンマー3には注入路3a、ハンマーロッド5には注入路7aが設けられている。注入路3a、7aにより、ハンマー3の下端からハンマーロッド5の上端部まで連通する注入路が形成されている。ハンマー3の側面には、上下に延在する排出溝3bが形成されている。
地上に設置されたエア供給源に接続されたホース10から注入路7a、3aを通じてエアが供給される。供給されたエアの圧力によりハンマー3には上下打撃力が付与される。また、供給されたエアの圧力により、掘削物が排出溝3bを通じて上方移動してケーシング1の内部に蓄積される。
回転駆動装置17は、駆動モータ17aと駆動モータ17aにより回転駆動される回転歯車17bと、回転歯車17bとともに回転する複数のチャック片19と、油圧シリンダからなる4本の支持脚18とを有している。複数のチャック片19は、回転駆動装置17を上下に貫通するケーシング1の外周側を囲むように環状に配置される。それぞれのチャック片19は、ケーシング1の半径方向に進退移動する。
ケーシング1の筒軸心に向かって移動したそれぞれのチャック片19によって、ケーシング1の外周面が保持される。また、支持脚18のシリンダの進退移動により、回転駆動装置17の上記構成部品が一体的に上下移動する。ケーシング1の外周面をそれぞれのチャック片19で保持した状態で、回転駆動装置17を作動させるとケーシング1の筒軸心を中心にしてケーシング1が回転駆動される。
図3、図4に例示するように、ハンマー3の下面にはハンマービット4が突設され、側面には下端から上端に延在する排出溝3bが形成されている。排出溝3bはハンマー3の周方向に間隔をあけて複数配置することが好ましく、この実施形態では、周方向に等間隔で4つの排出溝3bが配置されている。ハンマーロッド5(5a、5b)には筒軸方向に延在する嵌合キー6aが設けられている。嵌合キー6aは、ハンマーロッド5の外周面から外側に突出していて、ロッド周方向に間隔をあけて複数配置されている。この実施形態では、ハンマーロッド5のロッド周方向に等間隔で2本の嵌合キー6aが配置されているが、配置する嵌合キー6aの数は例えば2本~6本にする。
最下端のハンマーロッド5aには、嵌合キー6aに加えて筒軸方向に延在するウエイト保持キー6bが設けられている。ウエイト保持キー6bは、ハンマーロッド5aの外周面から外側に突出し、ロッド周方向に間隔をあけて複数配置されている。ウエイト保持キー6bは、ハンマーロッド5aのロッド周方向に隣り合う嵌合キー6aの間に配置されている。この実施形態では、ハンマーロッド5aのロッド周方向に等間隔で2本のウエイト保持キー6bが配置されているが、ウエイト保持キー6bの数は例えば2本~6本にする。
嵌合キー6aはハンマーロッド5(5a、5b)の下端から上端まで筒軸方向全長に渡って延在しているが、ウエイト保持キー6bはハンマーロッド5aの下端から筒軸方向中途の位置まで延在している。即ち、ウエイト保持キー6bは、ハンマーロッド5の筒軸方向中途の位置に上端面を有している。
図5に例示するようにケーシング1の内部では、スリーブ体12がウエイト8から下方に吊り下げられた状態で設置される。スリーブ体12を構成する筒状部12aは、ウエイト8に挿入される。この実施形態では、ウエイト8とスリーブ体12とはスプリング15aによって上下に接続されている。スプリング15aは周方向に間隔をあけて複数本(4本)配置されている。スプリング15aによって、スリーブ体12に対してウエイト8を下方移動させる付勢力を付与しているが、スプリング15aは任意に設けることができる。
また、ウエイト8の下面には水平方向に延在する連結ピン15bによってピン結合された上側クサビ片13aが吊り下げられている。上側クサビ片13aは周方向に間隔をあけて複数(4個)配置されている。
図6に例示するようにウエイト8は円筒状である。ウエイト8の上端部には、その内周面の半径方向内側に突出する係止部8bが設けられている。この係止部8bの下端から上端まで延在するキー溝8aが設けられている。キー溝8aは嵌合キー6aに対応するので、嵌合キー6aと同数のキー溝8aが周方向に間隔をあけて複数配置されている。
ウエイト8の内周面にはさらに、ウエイト8の下端から係止部8bまで延在するストッパ用溝8cが設けられている。即ち、ストッパ溝8cの上端は係止部8bによって塞がれている。ストッパ溝8cには、スリーブ体12に設けられた後述するストッパ12eが嵌合する。ストッパ12eがストッパ溝8cに嵌合された後にストッパ溝8cの下端部に留め具が後付けされる。
ウエイト8の下面には周方向に間隔をあけてスプリング15aや上側クサビ片13aを取り付ける取付け部が設けられている。また、ウエイト8の下面には周方向に間隔をあけて複数のクサビ片カバー13cが着脱可能に取付けられている。クサビ片カバー13cは、変形可能なゴム等で形成されていて、上側クサビ片13aおよび下側クサビ片13bを外部空間と遮断させる。
図7、図8に例示するようにスリーブ体12は、筒状部12aと筒状部12aの下端に接続されたフランジ部12bとを有している。フランジ部12bは、筒状部12aの外周側に突出して円環状に形成されている。フランジ部12bはスリーブ体12の中で最も外径が大きい部品である。フランジ部12bの外径は、ケーシング1の内径よりも例えば10mm~100mm小さく、より好ましくは10mm~60mm小さく、さらに好ましくは20mm~50mm小さくする。ケーシング1の内径とフランジ部12bの外径との差異が過大であると、掘削した砕石などがフランジ部12bより上方に進入し易くなり、過小であると、ケーシング1の内部でスリーブ体12が円滑に上下移動し難くなることがある。
筒状部12aの内周面には下端から上端まで延在するキー溝12dが設けられている。キー溝12dは、周方向に間隔をあけて複数配置されている。この実施形態では、筒状部12aの周方向に等間隔で4本のキー溝12dが配置されている。キー溝12dには嵌合キー6aおよびウエイト保持キー6bが嵌合するので、嵌合キー6aおよびウエイト保持キー6bの合計数と同数のキー溝12dが設けられる。
筒状部12aの上端部には、半径方向外側に突出するストッパ12eが周方向に間隔をあけて配置されている。ウエイト8に設けられたストッパ用溝8cにストッパ12eを嵌合させて筒状部12aがウエイト8に挿入され、キー溝8aとキー溝12dとの周方向位置も一致した状態になる。ストッパ用溝8cにストッパ12eを嵌合させることにより、スリーブ体12はウエイト8に対して筒軸方向(上下方向)にのみ移動可能になって周方向の移動が規制される。ウエイト8にはストッパ用溝8cの下端部に留め具が取り付けられるので、スリーブ体12がウエイト8に対して下方移動してもストッパ12eがその留め具によって下方移動を阻止される。それ故、スリーブ体12はスプリング15aが無くてもウエイト8から分離することはない。
フランジ部12bの上面には、クサビ保持部12cが周方向に間隔をあけて配置されている。この実施形態では、周方向に等間隔で4つのクサビ保持部12cが配置されているが、配置するクサビ保持部12cの数は例えば2個~6個にする。
クサビ保持部12cには、下側クサビ片13bが保持されている。下側クサビ片13bと上側クサビ片13aとは互いの対向させた傾斜面どうしを当接させた状態で上側クサビ片13aが下方移動可能に設けられる。上側クサビ片13aおよび下側クサビ片13bのペアのそれぞれは、クサビ片カバー13cとクサビ保持部12cと筒状部12aとで囲まれて外部空間と遮断される。ゴム製のクサビ片カバー13cは、ウエイト8の下端とクサビ保持部12cの上端との間隔が変動しても、この変動を吸収するように変形するので、下側クサビ片13bおよび上側クサビ片13aは常に外部空間から遮断される状態に維持されるようになっている。尚、この外部空間と遮断されるとは、上側クサビ片13aおよび下側クサビ片13が、外部に存在する砕石片、土砂などの障害物から概ね隔絶されることを意味していて、気密性や水密性を確保できる性能を意味するものではない。
平面視で下側クサビ片13bの外周面に円弧状のライナ14が取り付けられている。ライナ14は、クサビ保持部12cにガイドされて、ハンマーロッド5のロッド半径方向に移動する下側クサビ片13bとともにロッド半径方向に移動する。フランジ部12bの上面にはさらに、スプリング15aを固定する取り付け部が周方向に間隔をあけて配置されている。
フランジ部12bの下端周縁部には、複数の挿入ガイド12Gが、スリーブ体12の周方向に間隔をあけて配置されている。それぞれの挿入ガイド12Gは、下方に突出してスリーブ体12の筒軸心に向かって傾斜する傾斜部(傾斜外側表面)を有している。即ち、三角形状の挿入ガイド12Gの斜面が、スリーブ体12の下方内側に向かって延在している。この実施形態では、それぞれの挿入ガイド12Gが周方向に間隔をあけて固定された円環体が、フランジ部12bの下端面にボルト等によって着脱自在に取付けられている。それぞれの挿入ガイド12Gをフランジ部12bの下端面に直接設置してもよい。
挿入ガイド12Gの傾斜部は、フランジ部12bの周縁から下方に延在させることが望ましい。この傾斜部のスリーブ体12(ケーシング1)の筒軸心に対する傾斜角度aは例えば、30°以上60°以下に設定する。挿入ガイド12Gの傾斜部の上端に対して下端は、ハンマー3と干渉しない範囲で、ケーシング1の半径方向30mm以上内側、より好ましくは50mm以上内側に位置している仕様にする。
図5に例示するようにスリーブ体12の筒状部12aがウエイト8に挿入される。この状態のウエイト8およびスリーブ体12が、ケーシング1の内部では図2に例示するようにハンマーロッド5に外挿される。この状態では、嵌合キー6aはキー溝8aおよびキー溝12dに嵌合し、ウエイト保持キー6bはキー溝12dだけに嵌合する。
このようにして掘削システムでは、ケーシング1の内部でハンマーロッド5に外挿されたウエイト8およびスリーブ体12がロッド周方向の回転を規制されつつ上下方向に移動可能になる。また、ライナ14は、ハンマーロッド5の外周面とケーシング1の内周面との間でロッド半径方向に移動可能になる。
以下、この掘削システムを用いて地盤を掘削して縦孔を形成する方法を説明する。
図2に例示するように、下端にハンマー3を取り付けたハンマーロッド5にウエイト8およびスリーブ体12を外挿して、ウエイト8およびスリーブ体12のロッド周方向の回転を規制しつつ上下方向に移動可能にする。ウエイト保持キー6bの上端面をウエイト8の係止部8bに係止させることで、ウエイト8をハンマーロッド5の上下方向中途の位置でハンマーロッド5から吊り下げる。これにより、スリーブ体12はウエイト8から下方に吊り下げられた状態で設置される。ウエイト8とフランジ部12bとの間で伸ばされるスプリング15aによってスリーブ体12は所定位置に吊り下げられる。
ウエイト8の下方に突出する上側クサビ片13aはクサビ保持部12cに埋入し、クサビ保持部12cに保持されている下側クサビ片13bに当接しているが、下側クサビ片13bに対して十分に下方移動してない。そのため、下側クサビ片13bはハンマーロッド5のロッド半径方向外側にほとんど移動していない。それ故、ライナ14は、フランジ部12bの外縁よりも半径方向内側に位置している。ハンマー3はフランジ部12bよりも下方に突出した位置にある。ウエイト8とそれぞれのクサビ片カバー13cとの上下間にはクサビ片カバー13cが介在していて、上側クサビ片13aおよび下側クサビ片13bのそれぞれは、外部空間と遮断されている。
このハンマーロッド5を吊りワイヤ20により吊り上げて、地盤に埋設したケーシング1の内部に挿入する。ハンマーロッド5の上端のスイベルジョイント9にはホース接続部11を介してホース10を連結して図1に例示する状態にする。
図9に例示するように、スリーブ体12の下方に複数の挿入ガイド12Gを有している。そのため、ケーシング1の内径とスリーブ体12の外径との差異が小さくても(例えば30mm以下であっても)、クレーンで吊り下げられている挿入ガイド12Gの傾斜部をケーシング1の上端開口に当接させることで、スリーブ体12(およびハンマ3、ハンマーロッド5)を、ケーシング1に挿入させるための適切な位置に位置決めできる。その後、図10に例示するように、スリーブ体12(およびハンマ3、ハンマーロッド5)を下方移動させるだけで、円滑にケーシング1に挿入させることができる。スリーブ体12を適切な位置に位置決めする高精度のクレーン操作が要求されないため、作業の迅速化に寄与する。
図11に例示するように、スリーブ体12に挿入ガイド12Gを設けていないと、ケーシング1の内径とスリーブ体12の外径との差異が小さい場合(例えば50mm以下の場合)は、フランジ部12bとケーシング1の上端とが干渉して、スリーブ体12(およびハンマ3、ハンマーロッド5)を、ケーシング1に円滑に挿入させることができない。また、スリーブ体12(およびハンマ3、ハンマーロッド5)を、適切な位置に位置決めするには精度よくクレーン操作を行う必要があるので、作業の迅速化を妨げる大きな要因になる。
次いで、図12に例示するようにハンマーロッド5をさらに下方移動させてフランジ部12bを載置部2cに載置する。載置部2cおよびインサイドカッタ2bは、ハンマー3およびハンマーロッド5に干渉しない位置に配置されている。そのため、上下移動するハンマー3およびハンマーロッド5は、ケーシング1の内部と外部とを往来可能になっている。
図13に例示するように、載置部2cおよび挿入ガイド12Gがそれぞれ、ケーシング1の周方向に等間隔で4個配置されていると、挿入ガイド12Gが載置部2cに載置されて、フランジ部12bが載置部2cに載置されないことも想定される。そこで、載置部2cおよび挿入ガイド12Gの一方を、ケーシング1の周方向に等間隔で4個配置し、載置部2cおよび挿入ガイド12Gの他方を、ケーシング1の周方向に等間隔で3個配置した構造にすると、挿入ガイド12Gが載置部2cに載置されるリスクを極めて小さくできる。
このように載置部2cおよび挿入ガイド12Gの数と配置を工夫する対策に代えて、或いは、この対策に加えて、図14に例示するように、載置部2cの上面が、ケーシング1の平面視中心から半径方向外側に向かう視点で(図14Bに例示する視点で)一方向に傾斜した傾斜面になっている仕様にすることもできる。即ち、図14A、B、Cに例示するように、載置部2cに挿入ガイド12Gが載置されそうな場合でも、図14D、E、Fに例示するように、挿入ガイド12Gが載置部2cの斜面に沿って下方移動するので、フランジ部12bを載置部2cに載置させることができる。
挿入ガイド12Gの下端は、スリーブ体12の平面視中心から半径方向外側に向かう視点で(図14Bに例示する視点で)、載置部2cの傾斜面と同じ方向に傾斜する傾斜面を有する仕様にしてもよい。図14Bでは、挿入ガイド12Gの下端は、載置部2cの傾斜面と同じ方向に傾斜する傾斜面とこの傾斜面と反対方向に傾斜する傾斜面とを有するV字状になっているが、載置部2cの傾斜面と同じ方向に傾斜する傾斜面のみを有する一方向傾斜形状にしてもよい。或いは、挿入ガイド12Gの下端は、スリーブ体12の平面視中心から半径方向外側に向かう視点で(図14Bに例示する視点で)円弧状に形成されている仕様にすることもできる。
図12の状態から図15に例示するようにハンマーロッド5をさらに下方移動させると、ウエイト8の重量およびスプリング15aの付勢力によってウエイト8が下方移動する。フランジ部12bが載置部2cに載置されているのでスリーブ体12は上下移動しない。そのため、下方移動する上側クサビ片13aの傾斜面が下側クサビ片13bの傾斜面を押圧して、ライナ14がロッド半径方向外側に移動する。これにより、ライナ14がケーシング1の内周面を押圧した状態になってライナ14を介してケーシング1およびハンマー3が一体化する。
次いで、図16に例示するように、ハンマーロッド5を適宜、下方移動させてハンマー3を所定の深度に設置する。回転駆動装置17のチャック片19により、ケーシング1の外周面を保持した状態にしておく。
この状態で、図17に例示するように回転駆動装置17を稼働させてケーシング1を回転駆動するとともに、ハンマー3を一体的に回転駆動して地盤の掘削を始める。回転駆動装置17の回転駆動とともに、支持脚18のシリンダを徐々に収縮させてケーシング1を下方移動させる。掘削開始の際には、例えば、ハンマー3の上下位置を調整して、ハンマー3をケーシング1に先行させて掘削を行なう。
ホース10からは注入路7aを通じてエアを供給して、供給したエアの圧力によりハンマー3に上下打撃力を付与しつつ、回転駆動するケーシングビット2a、インサイドカッタ2bおよびハンマービット4により地盤を掘削する。掘削された掘削物は、注入路7a、3aを通じて供給されたエアの圧力により、排出溝3bを通じて上方移動してケーシング1の内部に蓄積される。ケーシング1の内部に蓄積された掘削物は縦孔を構築した後にハンマーグラブ等によって地上に排出される。
更に深く掘削するには、ケーシング1に新たなケーシング部を継ぎ足して延長し、回転駆動装置17の支持脚18を伸長した状態に戻して、延長したケーシング1の外周面をチャック片19で保持する。そして、上述した同じ手順によってケーシング1とともにハンマー3を回転駆動して地盤を掘削すればよい。
本発明によれば、ライナ14を介してケーシング1の回転が、ハンマーロッド5とともにハンマー3に伝達されて、ケーシング1およびハンマー3が一体的に回転駆動される。したがって、硬質地盤であっても、ケーシングビット2a、ハンマービット4によって縦孔を掘削できる。この実施形態では、インサイドカッタ2bによっても地盤が掘削されるのでより効率的に縦孔を掘削できる。
そして、ハンマーロッド5を下方移動させれば、ハンマーロッド5を継ぎ足さなくても、さらに深く掘削できる。即ち、ハンマーロッド5を継ぎ足す作業を省略できるので効率よく縦孔を掘削するには有利になる。
ケーシング1の内周面を押圧しているライナ14をロッド半径方向内側に移動させて、ケーシング1とハンマー3との一体化を解除するには、ハンマーロッド5を上方移動させて、ウエイト保持キー6bの上端面をウエイト8の係止部8bに係止させて、スリーブ体12に対してウエイト8を上方移動させる。これにより、上側クサビ片13aが下側クサビ片13bに対して上方移動するので、ライナ14をロッド半径方向外側に押圧する押圧力がなくなり、ケーシング1とハンマー3との一体化を解除できる。
このように本発明ではハンマーロッド5の上下移動だけで、ライナ14を介したケーシング1とハンマー3との一体化および一体化の解除を行うことができる。そのため、掘削作業が簡素化されて作業効率を向上させるには有利になっている。
また、この実施形態のようにスプリング15aによってスリーブ体12に対してウエイト8を下方移動させる付勢力が付与される構成にすると、ライナ14をより強くケーシングの内周面に押圧させることができる。これに伴い、ケーシング1とハンマー3とをより強固に一体化させることができる。
ホース10は、クレーンに吊り下げられたホースホルダ16によってホース長手方向に移動自在に保持されているので、ハンマーロッド5の上下移動に伴って、ケーシングに向かって円滑に出し入れされる。ホース10の出し入れが滞って作業が中断したり、ホース10が過剰に引っ張られて損傷することが防止される。このように、掘削作業の進行具合に応じてホース10をホースホルダ16によって円滑に移動させることができるので、施工性を一段と向上させるには有利になる。しかも、ホースホルダ16はクレーンによって鉛直軸を中心にして回転可能に吊り下げられているので、ホース10が捩じれることが防止される。
地盤の掘削に伴って、スリーブ体12は、砕石、土砂などの不要な障害物が存在する環境下に置かれる。上側クサビ片13aと下側クサビ片13bとの間に、外部からこのような障害物が進入すると、上側クサビ片13aと下側クサビ片13bとの適切な当接状態が阻害されたり、互いが固着して分離させ難くなる不具合が生じる。ところが、本発明では、クサビ片カバー13cによって上側クサビ片13aおよび下側クサビ片13bが、常に外部空間と遮断された状態になっているので、このような不具合が防止できる。その結果、不測の作業中断が回避され、掘削作業を長期に渡って安定して行うことが可能になる。メンテナンス頻度を低くすることも可能になる。
クサビ片カバー13cと同様のスプリングカバーによって、それぞれのスプリング15aを外部空間から遮断させることもできる。このスプリングカバーによって、スプリング15aには外部から不要な障害物が進入することが防止されるので、スプリング15aの円滑な伸縮が阻害されることを防止できる。
1 ケーシング
1a、1b ケーシング部
2a ケーシングビット
2b インサイドカッタ
2c 載置部
3 ハンマー
3a 注入路
3b 排出溝
4 ハンマービット
5(5a、5b) ハンマーロッド
6a 嵌合キー
6b ウエイト保持キー
7a 注入路
8 ウエイト
8a キー溝
8b 係止部
8c ストッパ用溝
9 スイベルジョイント
9a 係止孔
10 ホース
11 ホース接続部
12 スリーブ体
12a 筒状部
12b フランジ部
12c クサビ保持部
12d キー溝
12e ストッパ
12G 挿入ガイド
13a 上側クサビ片
13b 下側クサビ片
13c クサビ片カバー
14 ライナ
15a スプリング
15b 連結ピン
16 ホースホルダ
16a フレーム
16b 回転ローラ
17 回転駆動装置
17a 駆動モータ
17b 回転歯車
18 支持脚
19 チャック片
20 吊りワイヤ

Claims (7)

  1. 下端部にケーシングビットを有するケーシングと、このケーシングの外周面を保持してケーシングを回転駆動させる回転駆動装置と、下端部にハンマービットを有するハンマーと、このハンマーが下端に取り付けられて前記ケーシングに内挿されるハンマーロッドと、前記ケーシングの内部で前記ハンマーロッドに外挿されてロッド周方向の回転を規制されつつ上下方向に移動可能なウエイトおよびスリーブ体と、前記ウエイトまたは前記スリーブ体の一方に設置されて前記ハンマーロッドの外周面と前記ケーシングの内周面との間でロッド半径方向に移動可能なライナと、前記ケーシングの内側に突出して前記スリーブ体が載置される載置部と、前記ウエイトの下方に突出する上側クサビ片と、前記ライナのロッド半径方向内側に設置された下側クサビ片と、前記ハンマーロッドに接続されるホースとを備えて、
    前記スリーブ体が前記ウエイトから下方に吊り下げられた状態で設置され、前記ウエイトを前記ハンマーロッドの上下方向中途の位置で前記ハンマーロッドから吊り下げ可能にして、前記載置部に載置された前記スリーブ体に対して前記ウエイトが下方移動することにより、前記上側クサビ片が前記下側クサビ片を押圧することで前記ライナがロッド半径方向外側に移動して前記ケーシングの内周面を押圧した状態になり、この状態で前記回転駆動装置により前記ケーシングを回転駆動させることで、前記ケーシングおよび前記ハンマーが一体的に回転駆動されるとともに、前記ホースを通じて供給したエアによって前記ハンマーに上下打撃力を付与して、前記ケーシングビットおよび前記ハンマービットにより地盤の掘削を行なう掘削システムにおいて、
    前記載置部が前記ケーシングの周方向に間隔をあけて複数配置されていて、
    前記スリーブ体の下端のフランジ部の下方に突出して前記スリーブ体の筒軸心に向かって傾斜する傾斜部を有して、前記フランジ部の下端周縁部に周方向に間隔をあけて配置されている複数の挿入ガイドと、
    前記上側クサビ片および前記下側クサビ片を外部空間と遮断させるクサビ片カバーと、
    クレーンに吊り下げられて前記ホースをホース長手方向に移動自在に保持するホースホルダと、を有することを特徴とする掘削システム。
  2. 前記載置部の上面が、前記ケーシングの平面視中心から半径方向外側に向かう視点で一方向に傾斜した傾斜面になっている請求項1に記載の掘削システム。
  3. 前記挿入ガイドの下端が、前記スリーブ体の平面視中心から半径方向外側に向かう視点で前記傾斜面と同じ方向に傾斜する傾斜面を有する請求項2に記載の掘削システム。
  4. 前記挿入ガイドの下端が、前記スリーブ体の平面視中心から半径方向外側に向かう視点で円弧状に形成されている請求項2に記載の掘削システム。
  5. 前記スリーブ体と前記ウエイトとを接続するスプリングを有し、このスプリングにより前記スリーブ体に対して前記ウエイトを下方移動させる付勢力が付与される構成にして、前記スプリングを外部空間から遮断させるスプリングカバーを有する請求項1~4のいずれかに記載の掘削システム。
  6. 前記フランジ部の外径が、前記ケーシングの内径よりも10mm~100mm小さい請求項1~4のいずれかに記載の掘削システム。
  7. 下端部にハンマービットを有するハンマーが下端に取り付けられたハンマーロッドをケーシングに内挿して、前記ケーシングの内部で前記ハンマーロッドに外挿したウエイトおよびスリーブ体をロッド周方向の回転を規制しつつ上下方向に移動可能な状態にして、前記ウエイトまたは前記スリーブ体の一方に、前記ハンマーロッドの外周面と前記ケーシングの内周面との間でロッド半径方向に移動可能なライナを設置し、前記ウエイトの下方に突出する上側クサビ片と、前記ライナのロッド半径方向内側に設置された下側クサビ片とを設け、
    前記スリーブ体を前記ウエイトから下方に吊り下げた状態で設置するとともに、前記ウエイトを前記ハンマーロッドの上下方向中途の位置で前記ハンマーロッドから吊り下げ可能にして、
    前記ケーシングの内側に突出させた載置部に載置した前記スリーブ体に対して前記ウエイトを下方移動させて前記上側クサビ片が前記下側クサビ片を押圧することにより、前記ライナをロッド半径方向外側に移動させて前記ケーシングの内周面を押圧させた状態にして、前記ケーシングの外周面を保持する回転駆動装置により前記ケーシングおよび前記ハンマーを一体的に回転駆動させるとともに、前記ハンマーロッドに接続したホースを通じて供給したエアによって前記ハンマーに上下打撃力を付与して、前記ケーシングの下端部に設けたケーシングビットと前記ハンマーの下端部に設けたハンマービットにより地盤を掘削する掘削方法において、
    前記載置部を前記ケーシングの周方向に間隔をあけて複数配置し、
    前記スリーブ体の下端のフランジ部の下端周縁部に周方向に間隔をあけて複数の挿入ガイドを配置し、それぞれの前記挿入ガイドを、前記フランジ部の下方に突出して前記スリーブ体の筒軸心に向かって傾斜する傾斜部を有する仕様にして、
    前記上側クサビ片および前記下側クサビ片を、クサビ片カバーによって外部空間と遮断させた状態にするとともに、クレーンに吊り下げられたホースホルダによって前記ホースをホース長手方向に移動自在に保持した状態にして地盤を掘削することを特徴とする掘削方法。
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