JP2019076853A - 高活性白金触媒の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】白金を担持した不均一系触媒において、できるだけ少ない貴金属の使用量でMSA値を大きくすることが可能な触媒技術を実現する。【解決手段】γ−アルミナ担体に、ジニトロジアミン白金硝酸水溶液を含浸させた後、白金成分を焼成固定して触媒前駆体を調製し、次いで、これに水素含有ガスを使用して加熱還元処理を施す白金触媒の製造方法であって、加熱還元処理を開始する温度が300〜600℃であることを特徴とする高活性白金触媒の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、γ−アルミナ担体に、活性種である白金のMSA(Metal Surface Area)値が大きい、高活性白金触媒の製造方法に関する。
有機合成化学の分野において、その合成反応に触媒が使用されることは周知のとおりである。このような触媒には均一系と言われる触媒と、不均一系と言われる触媒があることが知られている。均一系触媒は、触媒としての機能を有する酸、塩基、金属錯体等を利用するものが知られており、反応物、生成物、並びに一般的には液体の触媒を均一層として混合して使用される。これに対して不均一系触媒は、活性炭や多孔質のシリカやアルミナ等無機酸化物を担体とし、反応物と接触する担体の表面側に白金やパラジウム等の触媒活性種が担持されて使用される。
均一系触媒反応は、反応物と触媒を分子レベルで混合して使用されることから、選択性が高く、比較的温和な条件で反応が促進する。しかし、反応に使用した触媒の変質、反応系からの触媒の回収、生成物からの触媒の分離が困難であることから、特に触媒として高価な貴金属を使用した場合には、回収や再利用の点で不均一系触媒と比べると産業的に不利な触媒であるともいえる。
これに対して不均一系触媒は、気相反応であれば固定床中に触媒を配置するか、液相反応であれば流動床反応装置中に触媒を混合し、所定の条件の下、反応物を流通させることで触媒反応を促進して生成物を得ることができる。特に触媒を固定床として使用した場合には、反応系に対して反応物を連続的に供給することが可能であり、化学工業において生成物を大量に生産するのに適した触媒であるといえる。
不均一系触媒は担体に貴金属等の活性種を担持した触媒であり、酸点を有する担体を使用することで優れた活性を発揮することが知られており、このような担体としてはγ−アルミナが知られている。担体の酸点は酸化物中のルイス酸点、ブレンステッド酸点に由来し、担体においてはその表面に固定された位置にある。不均一系触媒反応においては、反応物は酸点に吸着することで促進する(非特許文献1)。このような酸点は同じ材質からなる担体であれば比表面積値(BET値)が大きいほど相対的に担体表面の酸点は多くなる。不均一系触媒はこのように貴金属等の活性種と担体の酸点利用した反応であることから二元機能型触媒と言われることがある(特許文献1)。
このような酸点は不均一系触媒を使用した反応においては時としてネガティブな作用を発現することがある。酸点が多量に有る場合、触媒表面における過剰な反応が懸念され、過剰な反応が促進すると副反応物を生成してしまうことがある。このような過剰な反応は、選択率という点からみると目的生成物の収率の低下要因になることがある(特許文献2)。そのため、担体BET値の大き過ぎる担体は産業用途の触媒として不利な場合がある。
また、BET値が高過ぎる担体は触媒の使用条件が高温であったり還元雰囲気であったりした場合、シンタリングをおこして触媒としての性能を低下し易いことは、当業者に取っては周知であり、触媒設計においては不用意にBET値の高い担体を選択すべきものではないものとされている。
このような触媒に担持される活性種には、広く触媒活性が期待される白金が用いられ、それに更に金、銅、鉄、ビスマス、バナジウム、クロム等の遷移金属を助触媒として担持させることができ工業的にも普及している。
このように白金は触媒における有効な活性種であるが、他方で高価な金属としても知られている。白金を産業用途の触媒として使用する場合、そのコスト低減は重要な課題である。触媒コストの低減にあたっては、使用する白金の量を少なくすることが最も効果的な手段の一つであるが、単に活性種である白金の使用量を減らしたのでは触媒の活性としては低下してしまう。
このような事情から、不均一系触媒ではこのような高価な白金を少ない使用量で効果的に用いるために、担体上の白金はできるだけ高分散な状態であることが好ましい。白金が高分散な状態とは、担体上の貴金属の粒子サイズが小さいことであり、粒子サイズが小さいことで貴金属の単位重量あたりの表面積は大きくなり活性面は広くなる。このような貴金属の単位重量あたりの表面積についてはMSA(Metal Surface Area)として[m/g]で表されることがあり、不均一系触媒においてはMSA値が大きい触媒は活性に優れた触媒であると言える。
不均一系触媒においてこのようにMSA値が大きな触媒を得るためには担体のBET値が大きな担体が使用される。BET値が大きいことは担体の表面積が広いことを表し、担持された貴金属粒子同士が凝集し難い距離を保って分散することが可能になる。しかし、BET値が大きな担体は前述した様に必然的に酸点が多い担体となることから、酸点が多い担体において懸念される過剰な活性が懸念される。担体が低BET値であればこのような酸点に由来する副生物生成の懸念や、シンタリングの影響による耐久性の懸念は低減するが、活性種は分散性が低下し、MSA値が大きい状態になり難くなる。
特開2013−525093号公報 特開平7−41457号公報
触媒学会編、「触媒講座第2巻(基礎編2)固体物性と触媒作用」、講談社、1985年7月10日発行
このように、白金を担持した不均一系触媒においては、できるだけ少ない貴金属の使用量でMSA値を大きくすることが可能な触媒技術の実現が望まれていた。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、γ−アルミナに白金成分を担持させた触媒前駆体を、水素含有ガスを使用して加熱還元処理をするにあたり、特定の温度範囲から加熱還元処理を開始することにより、上記課題を解決する、MSA値が大きく高活性な白金触媒が製造できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、γ−アルミナ担体に、ジニトロジアミン白金硝酸水溶液を含浸させた後、白金成分を焼成固定して触媒前駆体を調製し、次いで、これに水素含有ガスを使用して加熱還元処理を施す白金触媒の製造方法であって、
加熱還元処理を開始する温度が300〜600℃であることを特徴とする高活性白金触媒の製造方法である。
本発明の製造方法によれば、担体としてγ−アルミナを使用した場合であっても白金のMSA値を大きなものとすることが可能であり、これによりできるだけ少ない貴金属の使用量でMSA値が大きく高活性な触媒を得ることができる。
本発明の実施例1で得られた白金成分を担持した触媒前駆体における加熱還元処理の開始温度とMSA値をプロットした図である。
本発明の高活性白金触媒の製造方法(以下、「本発明方法」という)は、γ−アルミナ担体に、ジニトロジアミン白金硝酸水溶液を含浸させた後、白金成分を焼成固定して触媒前駆体を調製し、次いで、これに水素含有ガスを使用して加熱還元処理を施す白金触媒の製造方法であって、
加熱還元処理を開始する温度が300〜600℃の方法である。
(γ−アルミナ担体)
本発明方法に使用されるγ−アルミナ担体の性状は特に限定されないが、例えば、BET値は50〜300[m/g]であることが好ましく、100〜200[m/g]であることがより好ましい。BET値が小さすぎるとそもそも白金を高分散な状態、すなわちMSA値が大きな状態で担持させることが難しく、大きすぎると触媒製造時の加熱や触媒使用時の熱履歴や雰囲気の影響で担体が焼結を起すことがあり、この場合も貴金属MSA値は小さくなってしまう。
また、上記γ−アルミナ担体は紛体であってもよいが成型担体であることが好ましい。成型担体であれば触媒を固定床として利用でき、所定の条件の下で反応物を流通させることで生成物が得られ、生成物からの触媒の分離も必要無く、産業上有利な触媒であると言える。
このような成型担体の形状については特に限定されるものでは無く、球状、ペレット状、ハニカム状等広く産業用途に使用される形状の担体を選ぶことができるが球状担体であることが好ましい。球状であれば担体への貴金属塩溶液の含浸深さも一様に制御することが容易であり、白金塩含浸後の還元においても熱の伝わり方、還元成分と貴金属塩の接触も一様であり、最終的に担体上に担持された白金粒子の状態も一様なものになり易い。このような球状担体を使用する場合、その粒子径は特に限定されるものでは無く、産業触媒の用途として広く使用される直径1〜8mmの球状担体を使用できる。
上記成型担体の中でも、内部に空隙を有するものが好ましい。このような成型担体が触媒化されることで空隙を形成する担体の表面に白金が担持される。一方、反応する基質はこの触媒化された担体の空隙に入り込み反応して反応物を生成する。このような空隙は細孔容積として表される。本発明方法にこのような成型担体を使用する場合、その空隙の量は0.4〜0.7[mL/g]であることが好ましい。
なお、上記γ−アルミナ担体には、得られる触媒の作用を損なわない限り、γ相以外のアルミナや、チタニア、シリカ等、一般的に触媒の担体として使用し得る他の成分を含有していてもよい。
(ジニトロジアミン白金硝酸水溶液)
本発明方法に使用されるジニトロジアミン白金硝酸水溶液は、ジニトロジアミン白金を硝酸で水溶液化したものである。このジニトロジアミン白金硝酸水溶液における、ジニトロジアミン白金の濃度は、γ−アルミナ担体に担持させようとする白金量に応じて適宜その濃度を調整すればよい。
ジニトロジアミン白金硝酸水溶液は、当初はやや黄色身がかった透明であり、この時の上記条件における吸光度は極めて低い(概ね0.05以下) 。このようなジニトロジアミン白金硝酸水溶液は加熱やエージングを施すことで熟成することができる。熟成されたジニトロジアミン白金硝酸水溶液は吸光度が高くなる。ジニトロジアミン白金硝酸水溶液の熟成についてはかねてから知られている(例えば、特開2005−306700号公報、特開昭55−88848号公報等)。本発明方法に使用される吸光度のジニトロジアミン白金硝酸水溶液を得る手段についてはこのような公知の手法を採用でき、熟成の手法については特に限定されるものではない。熟成は、例えば、ジニトロジアミン白金硝酸水溶液を加熱保持や所定の時間保持することによっても得られる。本発明方法においては、このように熟成を施したジニトロジアミン白金硝酸水溶液を使用してもよく、熟成を施さずに使用してもよいが、熟成を施したジニトロジアミン白金硝酸水溶液を使用することによりMSA値が熟成を施さない場合よりも大きくなることから好ましい。
ジニトロジアミン白金硝酸水溶液を熟成する場合、20℃の液温では数年の熟成期間が必要であるが、金属白金換算のジニトロジアミン白金と硝酸が共に15wt%以上となる濃度であれば、60〜120℃で1〜24時間程度の加熱により熟成させることができる。本発明者らの知見によれば、ジニトロジアミン白金硝酸水溶液の濃度が高い方が、また、熟成温度は高い方が、熟成時間は短くなることが分かっている。
なお、ジニトロジアミン白金硝酸水溶液は、希釈してもよい。希釈の程度は特に限定されないが、例えば、金属白金換算の濃度として0.005〜5wt%が好ましく、0.005〜2wt%がより好ましい。白金濃度が低すぎる場合は担持される白金品位も低くなり、触媒としての活性も低くなる傾向にある。一方、高すぎる場合は担持された白金はその粒子が粗大化することがあり、その場合はMSA値が上昇し易くなり好ましくない。
また、本発明方法には、ジニトロジアミン白金硝酸水溶液が使用されるが、得られる触媒の作用を損なわない限り、他の触媒成分や助触媒成分を添加することができる。他の触媒成分としてはパラジウムやロジウム等の金属が挙げられ、助触媒成分としては、金、銅、鉄、ビスマス、バナジウム、クロム等の遷移金属が挙げられる。これら他の触媒成分や助触媒成分は、ジニトロジアミン白金硝酸水溶液の調製時に、上記金属や遷移金属の金属塩の水溶液として添加すればよい。
(含浸)
本発明方法において、γ−アルミナ担体に、ジニトロジアミン白金硝酸水溶液を含浸させる方法は特に限定されるものではなく、広く当業者において採用されている方法を用いればよい。このような方法としては、γ−アルミナ担体を入れたメッシュ容器を所定濃度のジニトロジアミン白金硝酸水溶液中に浸漬する方法、γ−アルミナ担体が入った回転するドラム容器に所定濃度のジニトロジアミン白金硝酸水溶液を噴霧供給する方法等がある。なお、γ−アルミナ担体にジニトロジアミン白金硝酸水溶液を含浸させた後は、適宜洗浄等をしてもよい。
これらの含浸方法において所定の白金含有量を実現するためには、浸漬する方法で使用するγ−アルミナ担体の飽和含水量からジニトロジアミン白金硝酸水溶液の含浸量を特定し、含浸するジニトロジアミン白金硝酸水溶液の濃度を調整することでγ−アルミナ担体に担持する白金量を調整することができる。一方、噴霧する方法では噴霧するジニトロジアミン白金硝酸水溶液の濃度と噴霧供給量を調整することで多孔質担体に担持する白金量を調整することができる。
本発明方法において、γ−アルミナ担体に、ジニトロジアミン白金硝酸水溶液を含浸させる量は用途によって適宜変化するため特に限定されないが、例えば、担体重量あたりの白金含有量が0.1〜5wt%、好ましくは0.2〜3wt%である。
なお、上記においては、γ−アルミナ担体にジニトロジアミン白金硝酸水溶液を含浸させる方法について記載しているが、このような含浸法ではなく、本発明方法により得られる高活性白金触媒はウオッシュコート法を用いた触媒の製造にも利用可能であるため、これらを複合化した方法も挙げられる。ウオッシュコート法は金属や無機酸化物からなる構造型担体表面にスラリー化した触媒を被覆する手法の総称である。本発明方法をウオッシュコート法と組合せて実施する場合、本発明方法で得られる高活性白金触媒を水等の溶媒でスラリーとし、それを構造型担体表面に被覆した後に焼成・固定する方法や、γ−アルミナ担体を水等の溶媒でスラリー化したものを使用し、それを構造型担体表面に被覆した後に焼成固定や加熱還元処理を施し、構造型担体に固定した後に高活性白金触媒とする方法等が挙げられる。
(焼成固定)
本発明方法において、γ−アルミナ担体に、ジニトロジアミン白金硝酸水溶液を含浸させた後、白金成分を焼成固定し、触媒前駆体を調製する。白金成分を焼成固定する方法は特に限定されるものではなく、広く当業者において採用されている方法を用いればよい。このような方法としては、予め触媒前駆体を、大気中80〜120℃程度の温度で乾燥した後、大気中300〜600℃で焼成する方法等が挙げられる。触媒前駆体を乾燥した後に焼成することで、担体中の水分が沸騰することで急激に体積を増すことが無く、成型担体であれば担体の破裂を防ぐことができる。乾燥後の焼成温度については低すぎると白金塩の分解が不充分になってしまうことが有り、高すぎるとこの段階で白金がシンタリングを起してしまうことがある。このようにしてγ−アルミナ担体に白金成分を担持させた触媒前駆体が得られる。このようにして得られた触媒前駆体に対しては、必要に応じてイオン交換水による洗浄処理を施しても良い。
(加熱還元処理)
本発明方法において、上記触媒前駆体は、次に水素含有ガスを使用した加熱還元処理を施す。加熱還元処理は、300〜600℃の温度下において、水素含有ガスを供給することで行われる。この還元により、白金は前記の焼成工程で酸化した状態から、高活性なメタルの状態に還元される。ここで、水素含有ガスは純水な水素、すなわち水素ガスのみを供給するものであってもよいが、純粋に水素のみからなるガスであると還元操作における制御が難しくなることがあることから、適宜不活性なガスとの混合ガスを用いることが好ましい。このような不活性なガスとしては窒素ガス等が挙げられる。これらの不活性ガスの中でも窒素ガスが好ましい。水素含有ガスとして、例えば、水素ガスと窒素ガスの混合ガスを使用する場合、1気圧における水素ガスと窒素ガスの体積比[H/N]で[1/2〜1/30]であることが好ましく、[1/5〜1/15]であることがより好ましい。水素ガス成分の量が多すぎると還元操作における制御が難しくなることがあり、少なすぎると多量の混合ガスを供給することになり還元雰囲気の温度を上げるのが難しくなることがある。
このような水素含有ガスの供給量は特に制限されるものでは無く、還元環境や還元に使用する炉の効率や構造、還元時間、被還元成分の量や状態に応じて適宜設定されるものであるが、被還元成分1gあたりの水素ガスの量で1〜20mLが好ましく、5〜10mLが好ましい。少なすぎると還元に長時間を要することがあり、多すぎても水素ガスが無駄になったり、還元が急激に進み白金が凝集してしまうことがある。
(加熱還元処理開始温度)
本発明方法においては、上記加熱還元処理において、加熱還元処理を開始する温度は300〜600℃、好ましくは400〜550℃とする。従来は、加熱還元処理を開始する温度は、工程管理のし易さから上記触媒前駆体の加熱開始と同時の室温であるが、本発明方法では上記温度とすることにより、γ−アルミナ担体に対して高MSAな状態で貴金属を担持することが可能になる。また、加熱還元処理を開始するまでは、不活性なガスを供給する。加熱還元処理温度まで昇温する速度については高MSAな触媒が製造できる範囲であれば特に限定されないが、0.5〜20℃/分が好ましく、1〜10℃/分がより好ましい。
このような水素含有ガスの供給温度は高温である方が高いMSA値、すなわち担体上に担持される白金粒子の表面積は大きくなる傾向がある。ただし、あまりに温度が高すぎると担体が焼結を起してそのBET値を低下させてしまう恐れがあるため、本発明における水素含有ガスの供給開始温度は300〜600℃であることが必要であり、400〜550℃であることが好ましい。
(加熱還元処理維持温度)
水素含有ガスが供給された還元系では加熱状態を維持することで還元が促進され、焼成によって酸化した白金はメタル化される。加熱状態の維持は加熱還元処理を開始する温度を維持するものであっても良く、場合によっては低下させても良く、更に温度を上昇させてもよいが、焼成された白金の還元を促進する意味では加熱還元処理を開始する温度以上の温度を維持することが好ましい。ただし、あまりに高温であるとメタル化された白金や担体そのものが熱の影響で焼結してMSA値が小さくなる恐れが有ることから、温度を上昇させる場合であっても600℃以下が好ましく、550℃以下であることがより好ましい。
(加熱還元処理維持時間)
本発明方法において、水素含有ガスの供給の供給時間、すなわち加熱還元処理時間は特に限定されるものではないが、加熱状態を維持する時間と合わせて0.5〜15時間であることが好ましく、5〜10時間であることがより好ましい。時間が短すぎると充分な還元ができないことがあったり、長すぎると水素ガスが無駄になったり、貴金属の粒子径が増大することで反応に有効な活性面積が小さくなって、高価な貴金属を触媒反応に有効に使用できなくなることがある。
本発明方法における、加熱還元処理開始温度と、加熱還元処理維持温度、加熱還元処理維持時間の好ましい態様は以下の通りである。加熱還元処理開始温度が300℃を超える場合は、加熱還元処理維持温度は加熱還元処理開始温度を下回っても良い。なお、加熱還元処理維持温度が加熱還元処理開始温度を下回る場合にも、加熱還元処理維持温度は300℃以上であることが望ましい。
加熱処理開始温度:室温〜100℃
加熱還元処理開始温度:300〜600℃
加熱還元処理維持温度:300〜600℃
加熱還元処理維持時間:0.5〜5時間
上記加熱還元処理を終了後は、大気中等で放冷することにより、高活性白金触媒が得られる。また、放冷後は、必要に応じて洗浄や助触媒成分の含浸処理等の処理を行ってもよい。
(高活性白金触媒)
斯くして得られる高活性白金触媒はMSAが高MSAで担持するものである。具体的に比表面積値が50〜300[m/g]、平均粒径が1〜7mmの球状成型体で、細孔容積が0.4〜0.7mL/gのγ−アルミナ担体であれば、MSAは380m/g、好ましくは500m/gとなる。なお、本発明におけるMSA値は前記のとおり担持された白金の単位重量あたりの表面積を表すものであるが、その測定方法は実施例に記載されている通りである。
この高活性白金触媒は、そのまま、あるいは、成型等し、あるいは、ハニカム状等の構造型担体に被覆する等して、従来の不均一系の白金触媒と同様に、酸化、還元、脱水素、水素化等の用途に使用することができる。
以下、本発明の実施形態を記すが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
また、以下の実施例において、平均粒径はランダムに抜き取った50粒の実測値の平均値であり、比表面積値は窒素による公知のガス吸着法により測定された値であり、細孔容積は測定圧力400MPaによる公知の水銀圧入法で測定された値である。
実 施 例 1
白金触媒の調製:
(1)熟成ジニトロジアミン白金硝酸溶液の調製
金属白金換算濃度で18wt%のジニトロジアミン白金と、硝酸換算で18wt%を含むジニトロジアミン白金硝酸溶液を調製した。このジニトロジアミン白金硝酸溶液を容器に密閉して100℃で3時間維持し、熟成処理を施し、下記の吸光度測定条件で吸光度を測定した。吸光度は0.17であった。
<吸光度測定条件>
吸光度分析機器:分光光度計U−3310(日立ハイテクサイエンス製)
ジニトロジアミン白金硝酸溶液濃度:元素としての白金換算で1g/Lに純水で希釈
光路長:10mm
測定波長:420nm
(2)白金触媒の製造
上記ジニトロジアミン白金硝酸溶液を、金属白金換算で0.8wt%になるように純水で希釈し、下記の担体重量あたりの白金含有量が0.5wt%となるよう、以下の性質の球状多孔質担体を回転させながら満遍なく含浸させ、100℃で30分乾燥後、大気雰囲気下で毎分3.6[℃/min]で室温〜450℃まで昇温した後、450℃を維持した状態で5時間焼成して触媒前駆体を得た。
<担体物性>
材質:γ−アルミナ
形状:球状
サイズ:平均粒径 3.5[mm]
比表面積値:165[m/g]
細孔容積:0.62[mL/g]
このように焼成した触媒前駆体から30g(約25粒)を分取し、窒素ガスを毎分1リットル流通させながら2.25[℃/min]で昇温し、所定の温度(100℃、200℃、300℃または400℃)において窒素ガスを下記水素含有ガス組成に切り替えて加熱還元処理を開始し、更に450℃まで昇温した後に7時間温度を維持して白金触媒を得た。各加熱還元処理開始温度で得られた白金触媒のMSA値を以下のようなCO−MSA法で測定した。
<水素含有ガス組成>
・窒素ガス:1.0[L/min]
・水素ガス:0.1[L/min]
<MSA値測定方法>
触媒化されたγ−アルミナに対し、ヘリウム気流下で40℃まで昇温し、続いて40℃にて水素ガスに切り替えて還元処理することにより白金表面の酸化層を除去し、その後、ヘリウム気流下で40℃にし、一酸化炭素(CO)をパルシブに注入し、その際のCO吸着量を測定した値である。
MSA値は100℃で加熱還元処理を開始したものが342m/gであり、200℃で加熱還元処理を開始したものが351m/gであり、300℃で加熱還元処理を開始したものが385m/gであり、400℃で加熱還元処理を開始したものが402m/gであった。これらの結果から加熱還元処理の開始温度を300℃や400℃とすることで、開始温度が100℃や200℃の場合よりもMSA値が顕著に高くなることが分かった。
なお、加熱還元処理の開始温度とMSA値をプロットしたところ(図1)、熱還元処理の開始温度が200℃から300℃の間で急激にMSA値が高くなることが分かった。
実 施 例 2
白金触媒の調製:
(1)ジニトロジアミン白金硝酸溶液の調製
金属白金換算濃度で18wt%のジニトロジアミン白金と、硝酸換算で18wt%を含むジニトロジアミン白金硝酸溶液を調製した。このジニトロジアミン白金硝酸溶液を実施例1の(1)と同様にして吸光度を測定した。吸光度は0.05であった。
(2)白金触媒の製造
上記ジニトロジアミン白金硝酸溶液を用いる以外は実施例1の(2)と同様にして触媒前駆体を得た。
このように焼成した触媒前駆体について、所定の温度を100℃または400℃とする以外は実施例1の(2)と同様にして白金触媒を得た。各加熱還元処理開始温度で得られた白金触媒におけるMSA値を測定した。MSA値は100℃で加熱還元処理を開始したものが280m/gであり、400℃で加熱還元処理を開始したものが404m/gであった。
この結果から、加熱還元処理の開始温度を400℃とすることで、開始温度が100℃の場合よりもMSA値が顕著に高くなることが分かった。
本発明は、酸化、還元、脱水素、水素化等の用途に使用することができる不均一系の白金触媒を製造することができる。
以 上

Claims (5)

  1. γ−アルミナ担体に、ジニトロジアミン白金硝酸水溶液を含浸させた後、白金成分を焼成固定して触媒前駆体を調製し、次いで、これに水素含有ガスを使用して加熱還元処理を施す白金触媒の製造方法であって、
    加熱還元処理を開始する温度が300〜600℃であることを特徴とする高活性白金触媒の製造方法。
  2. 加熱還元処理を開始した後、加熱還元処理を開始する温度以上の温度を維持するものである請求項1記載の高活性白金触媒の製造方法。
  3. γ−アルミナ担体が、比表面積値が50〜300[m/g]のものである請求項1または2に記載の高活性白金触媒の製造方法。
  4. γ−アルミナ担体が、平均粒径が1〜7mmの球状成型体で、細孔容積が0.4〜0.7mL/gのものである請求項3に記載の高活性白金触媒の製造方法。
  5. ジニトロジアミン白金硝酸水溶液が、熟成を施したものである請求項1〜4の何れかに記載の高活性白金触媒の製造方法。


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