(実施形態1)
(1)概要
本実施形態に係る製造作業装置1の概要について、図1〜図2Bを参照して説明する。図2Aは、後述するカバーモジュール14(図1参照)を外した状態の製造作業装置1の斜視図である。図2Bは、図2Aの領域A1の概略拡大図である。また、製造作業装置1には、冷却水の循環用のパイプ、電力供給用のケーブル及び空圧(正圧及び真空を含む)供給用のパイプ等が接続されるが、これらの図示を適宜省略する。
製造作業装置1は、例えば、工場、研究所、事務所、店舗及び教育施設等の施設において、電子機器、自動車、衣料品、食料品、医薬品及び工芸品等の種々の製品の製造のための作業に用いられる。本開示でいう「作業」は、製品の製造に際して実行される作業対象物に対する種々の作業を含み、例えば、実装、塗装、印刷、プレス、切削、溶着及び撮影等の作業を含む。本開示でいう「作業対象物」は、製造作業装置1により加工等の作業が施される物であって、例えば、第2対象物に対して第1対象物を実装する作業の場合には、第2対象物が作業対象物となる。
本実施形態では、製造作業装置1が、工場での電子機器の製造に用いられ、第2対象物(作業対象物)に対して第1対象物を実装する作業を行うための実装装置である場合について説明する。一般的な電子機器は、例えば、電源回路及び制御回路等の各種の回路ブロックを有している。これらの回路ブロックの製造にあたっては、一例として、はんだ塗布工程、実装工程、及びはんだ付け工程が、この順で行われる。はんだ塗布工程では、基板(プリント配線板)にクリーム状はんだが塗布(又は印刷)される。実装工程では、基板に部品(電子部品)が実装(搭載)される。はんだ付け工程では、例えば、部品が実装された状態の基板を、リフロー炉にて加熱することにより、クリーム状はんだを溶かしてはんだ付けが行われる。製造作業装置1(実装装置)は、実装工程において、第2対象物(作業対象物)である基板B1(図2A参照)に対して、第1対象物である部品P1(図2B参照)を実装する作業を行う。本実施形態では一例として、表面実装技術(SMT:Surface Mount Technology)による部品P1の実装に、製造作業装置1が用いられる場合について説明する。ただし、この例に限らず、挿入実装技術(IMT:Insertion Mount Technology)による部品P1の実装に、製造作業装置1が用いられてもよい。
本実施形態に係る製造作業装置1は、制御モジュール11と、保持モジュール12と、作業モジュール13と、を備えている。保持モジュール12は、作業対象物を保持する。作業モジュール13は、作業対象物に対する作業を実行する。制御モジュール11は、保持モジュール12及び作業モジュール13を制御する機能を有している。すなわち、製造作業装置1は、機能別にモジュール化された、制御モジュール11、保持モジュール12及び作業モジュール13を含む少なくとも3つのモジュールを備えている。製造作業装置1が備える少なくとも3つのモジュールの各々は、異なる機能を有する複数種類のモジュールの中から、製造作業装置1として必要な機能に合わせて適宜選択される。
本実施形態では、製造作業装置1は、作業対象物である基板B1に対する部品P1の実装作業を行うので、保持モジュール12は、基板B1を保持する機能を有する。より具体的には、保持モジュール12は、第2対象物である基板B1を、製造作業装置1の外部から製造作業装置1の内部空間へ搬送し、作業が完了した基板B1を製造作業装置1の内部空間から製造作業装置1の外部へ搬送する搬送装置である。この保持モジュール12は、少なくとも基板B1に対する作業(部品P1の実装)中においては、製造作業装置1の内部空間にて基板B1を保持する。すなわち、保持モジュール12が、第2対象物である基板B1を保持する保持装置となる。また、作業モジュール13は、基板B1に対して部品P1を実装する作業を実行する。つまり、作業モジュール13は、第1対象物である部品P1を捕捉し、捕捉した部品P1を基板B1上へ移動させ、基板B1上で部品P1を解放(捕捉を解除)することにより、基板B1に部品P1を実装(搭載)するピックアンドプレース装置である。
本実施形態では、制御モジュール11は、製造作業装置1のマスタとして機能し、スレーブとしての他のモジュール(保持モジュール12と、作業モジュール13)を制御する。詳しくは後述するが、制御モジュール11は、通信部と、共通インタフェースと、を有している。通信部は、保持モジュール12及び作業モジュール13の各々と通信する。共通インタフェースは、保持モジュール12及び作業モジュール13の両方に動力を供給する。本開示でいう「動力」は、保持モジュール12及び作業モジュール13の各々の動作に必要となるエネルギーを意味し、電力(交流及び直流を含む)、空圧(正圧及び真空を含む)、油圧及び水圧等を含んでいる。つまり、電動機(モータ)を有するモジュールにおいては、少なくとも電動機を駆動するためのエネルギーである電力が、動力として用いられる。制御モジュール11は、通信部にて保持モジュール12及び作業モジュール13と通信し、共通インタフェースから保持モジュール12及び作業モジュール13に動力を供給することで、保持モジュール12及び作業モジュール13を制御する。
また、本実施形態に係る製造作業装置1は、制御モジュール11、保持モジュール12及び作業モジュール13に加えて、カバーモジュール14、供給モジュール15及び信号灯16(図1参照)を更に備えている。本実施形態では、制御モジュール11が最下段となり、制御モジュール11の上に、保持モジュール12、作業モジュール13及びカバーモジュール14が、この順で積み重なるように制御モジュール11に組み合わされている。供給モジュール15は、制御モジュール11及び保持モジュール12に跨って形成された凹所17内に収容されている。
カバーモジュール14について詳しくは後述するが、カバーモジュール14は、制御モジュール11に対して直列に接続される複数のモジュールのうち、動力の供給路において最下流となる終端モジュールである。供給モジュール15は、作業モジュール13に対して第1対象物(部品P1)を供給する。つまり、作業モジュール13は、供給モジュール15から部品P1の供給を受け、この部品P1を、保持モジュール12が保持する基板B1に実装する。信号灯16は、カバーモジュール14に取り付けられている。信号灯16は、製造作業装置1の動作状態に応じて、その表示態様(例えば発光色)を変化させることにより、製造作業装置1の動作状態を視覚化する。
(2)詳細
以下、本実施形態に係る製造作業装置1について、主に図1〜図2を参照して、より詳しく説明する。
以下では、製造作業装置1の内部空間を作業対象物である基板B1が搬送される方向を「X軸方向」とし、水平面内でX軸方向と直交する方向を「Y軸方向」とし、鉛直方向に沿う方向を「Z軸方向」として説明する。つまり、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに直交する方向である。さらに、Z軸方向の正の向きと負の向きとを区別する場合には、図1に示す矢印の向きを基準にし、Z軸方向の正の向きを「上方」、Z軸方向の負の向きを「下方」として説明する。同様に、X軸方向の正の向きと負の向きとを区別する場合には、X軸方向の正の向きを「右方」、X軸方向の負の向きを「左方」として説明する。同様に、Y軸方向の正の向きと負の向きとを区別する場合には、Y軸方向の正の向きを「後方」、Y軸方向の負の向きを「前方」として説明する。図面中の「X軸方向」、「Y軸方向」、及び「Z軸方向」を示す矢印は説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。ただし、これらの方向は製造作業装置1の使用時の方向を限定する趣旨ではなく、例えば、X軸方向及びY軸方向が水平面に対して多少傾斜した状態で、製造作業装置1が使用されていてもよい。
本実施形態に係る製造作業装置1は、上述したように、制御モジュール11と、保持モジュール12と、作業モジュール13と、カバーモジュール14と、供給モジュール15と、信号灯16と、を備えている。
制御モジュール11、保持モジュール12、作業モジュール13及びカバーモジュール14は、制御モジュール11を最下段として、保持モジュール12、作業モジュール13及びカバーモジュール14が、この順でZ軸方向に積み重ねられている。制御モジュール11及び保持モジュール12の前面には、制御モジュール11及び保持モジュール12に跨って凹所17が形成されている。凹所17は、前方に開放されている。供給モジュール15は、この凹所17内に収容されている。信号灯16は、作業モジュール13及びカバーモジュール14の前面に、作業モジュール13及びカバーモジュール14に跨るように固定されている。
この製造作業装置1においては、図2Aに示すように、作業モジュール13からカバーモジュール14を物理的に分離(取り外し)可能である。図2Aの例では、カバーモジュール14が信号灯16ごと取り外された状態を示している。また、制御モジュール11と、保持モジュール12と、作業モジュール13と、供給モジュール15とは、物理的に分離可能である。すなわち、製造作業装置1は、物理的に分離可能な制御モジュール11、保持モジュール12、作業モジュール13、カバーモジュール14及び供給モジュール15の複数(ここでは5つ)のモジュールが、組み合されて構成されている。これら複数のモジュールは、ねじ等の締結具によって、互いに結合されている。
製造作業装置1は、図1に示すように、これら複数のモジュールが組み合わされた状態では、複数のモジュールを一体化された1台の装置として取り扱うことが可能である。この状態において、製造作業装置1は、例えば、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の3軸方向の寸法が略同程度となることで、略立方体状となる。この立方体の寸法は、一例として、1辺が500mm以上1000mm以下の寸法、より好ましくは1辺が600mm程度の寸法に設定される。この程度の寸法であれば、卓上設置型の装置として用いることができ、例えば、研究所、事務所、店舗及び教育施設等の、工場以外の施設に設置することも容易になる。また、製造作業装置1から見て、例えば、上方に生じる空きスペースに、他の装置を配置すること等も可能である。
製造作業装置1は、制御モジュール11と、保持モジュール12、作業モジュール13及び供給モジュール15の各々との間で、双方向に通信可能に構成されている。これにより、物理的に分離可能な複数のモジュールが連携して、1つの製造作業装置1として動作可能である。さらに、製造作業装置1は、制御モジュール11にて、製造作業装置1以外の各種の設備機器又は通信端末等とも通信可能に構成されている。
また、製造作業装置1は、動力の供給源となる電源、正圧源及び真空源には、全て制御モジュール11にて接続される。すなわち、製造作業装置1は、各部位の動力を制御モジュール11にて一旦取得し、制御モジュール11から、制御モジュール11以外のモジュールへ振り分けるように構成されている。
ここで、本実施形態では、保持モジュール12及び作業モジュール13は、制御モジュール11の共通インタフェースからの動力の供給路について、制御モジュール11に対して直列に接続されている。つまり、動力の供給路に着目した場合に、制御モジュール11に対して、保持モジュール12及び作業モジュール13は直列の接続関係にある。したがって、制御モジュール11からの動力は、保持モジュール12に対して直接的に供給され、作業モジュール13に対しては保持モジュール12を通して供給されることになる。
上記構成によれば、制御モジュール11が、共通インタフェースを有するので、共通インタフェースに適合した保持モジュール12及び作業モジュール13であれば、様々なモジュールに対して制御モジュール11から動力を供給可能となる。しかも、制御モジュール11は、保持モジュール12及び作業モジュール13の各々と通信する通信部を備えるので、通信部との通信機能を有する保持モジュール12及び作業モジュール13であれば組み合わせ可能となる。したがって、本実施形態に係る製造作業装置1においては、制御モジュール11に、種々の保持モジュール12及び作業モジュール13を組み合わせることが可能である。
例えば、動力として電力及び空圧の両方を供給可能な態様の共通インタフェースであれば、電力で動作する保持モジュール12又は作業モジュール13、及び空圧で動作する保持モジュール12又は作業モジュール13のいずれも組み合わせ可能である。つまり、電力のみで動作する保持モジュール12及び作業モジュール13を接続する場合でも、制御モジュール11が電力及び空圧の両方に対応した共通インタフェースを有することで、保持モジュール12及び作業モジュール13に動力を供給できる。さらに、この制御モジュール11に対しては、空圧のみで動作する保持モジュール12及び作業モジュール13を組み合わせることも可能である。
その結果、制御モジュール11に組み合わされる保持モジュール12及び作業モジュール13が、種々の保持モジュール12及び作業モジュール13の中から選択可能となり、製造作業装置1において、実行可能な作業の内容及び品質等を容易に変更可能となる。すなわち、制御モジュール11に組み合わせる保持モジュール12又は作業モジュール13を変更することにより、製造作業装置1として、実行可能な作業の内容及び品質等を容易に変更可能である。
次に、作業モジュール13について説明する。以下の説明において、製造作業装置1を実装装置1として説明する。
図3及び図4に示すように、作業モジュール13は、作業モジュールフレーム20を有する。作業モジュールフレーム20は、各辺がX軸方向又はY軸方向に沿う矩形状をした下フレーム200を有する。下フレーム200は、一対のX軸ビーム部222と、一対のY軸ビーム部252と、を有する。下フレーム200の前端及び後端に一対のX軸ビーム部222が位置する。下フレーム200の右端及び左端に一対のY軸ビーム部252が位置する。各X軸ビーム部222の上方に上側のX軸ビーム部221が位置する。各Y軸ビーム部252の上方に上側のY軸ビーム部251が位置する。X軸ビーム部221とX軸ビーム部222とのX軸方向の両端部において、X軸ビーム部221とX軸ビーム部222とが連結片23により連結されている。X軸ビーム部221、X軸ビーム部222及び連結片23により、X軸ビーム21が構成される。Y軸ビーム部251、Y軸ビーム部252及び連結片23により、Y軸ビーム24が構成される。連結片23は、X軸ビーム21とY軸ビーム24とで共有される。
X軸ビーム21及びY軸ビーム24により、所定の曲げ剛性を有する作業モジュールフレーム20が構成される。図2Aに示すように、作業モジュールフレーム20には、カバー26が取り付けられる。作業モジュールフレーム20とカバー26とにより、作業モジュール13の筐体130が構成される。
図3及び図4に示すように、作業モジュール13は、Y軸移動装置3と、X軸移動装置4と、を有する。Y軸移動装置3は、いわゆる円筒型のリニア型モータであるY軸リニア型モータ31を有する。
Y軸リニア型モータ31は、Y軸リニア型モータ固定子32と、Y軸リニア型モータ可動子35と、を有する。図5Aに示すように、Y軸リニア型モータ固定子32は、軸線方向(長手方向)がY軸方向と平行になる外筒321と、筒状部材からなる巻き芯322と、を有する。図6Aに示すように、巻き芯322は、外筒321の内部に配置され、軸線方向がY軸方向と平行になる。巻き芯322の表面には、後述するコイル33が巻かれ、コイル33が巻き芯322に保持される。外筒321の軸線方向の両端部は、作業モジュールフレーム20に固定される。巻き芯322は、軸線方向に作業モジュールフレーム20を貫通し、作業モジュールフレーム20に固定される。
Y軸リニア型モータ固定子32は、筒状部材である巻き芯322の内部に、冷媒を通す流路を更に有する。つまり、巻き芯322の内部空間34は、冷媒(例えば、冷却水)の流路となる。巻き芯322の軸線方向の端部には、管継手323が取り付けられる。管継手323にはホース等からなる給水管が接続され、内部空間34に冷媒が通される。内部空間34、管継手323及びホースにより、冷却部が構成される。内部空間34を通る冷媒により、発熱源であるコイル33が冷却される。なお、内部空間34に冷媒が通らない場合でも、コイル33の熱が巻き芯322を通して例えば内部空間34に放熱されることにより、コイル33の冷却効果が得られる。
このY軸リニア型モータ固定子32は、作業モジュールフレーム20のX軸方向における両端部にそれぞれ設けられる。すなわち、Y軸移動装置3は、二つのY軸リニア型モータ31を有する。
Y軸リニア型モータ固定子32は、コイル33を有する。図6Bに示すように、コイル33は、Y軸方向に並んだ複数の単位コイル331にて構成される。一例として、U相、V相及びW相の三つの単位コイル331を1組として、複数組の単位コイル331がY軸方向に並んでいる。各単位コイル331は、巻き芯322にY軸回りに巻かれている。コイル33は、巻き芯322に巻かれた状態で、巻き芯322ごと外筒321に収容される。
Y軸リニア型モータ可動子35は、励磁電流を流した状態のコイル33との間に磁力が作用する永久磁石36を有する。永久磁石36は、Y軸方向を軸線方向とする円筒状をしている。永久磁石36は、Y軸方向に並んだ複数の単位永久磁石361にて構成される。各単位永久磁石361は、Y軸方向を軸線方向とする円筒状である。単位永久磁石361は、Y軸方向の両端部にそれぞれS極又はN極を有する。Y軸方向に隣接する単位永久磁石361は、互いに隣接する側の端部の極(S極又はN極)が同じ極となるように並べられる。
図3に示すように、Y軸リニア型モータ可動子35は、Y軸リニア型モータ固定子32のY軸回りに囲むように、Y軸リニア型モータ固定子32に被せられる。Y軸リニア型モータ可動子35のY軸方向長さは、Y軸リニア型モータ固定子32のY軸方向長さよりも短い。Y軸リニア型モータ可動子35は、Y軸リニア型モータ固定子32に沿ってY軸方向に直進移動可能である。永久磁石36が、Y軸リニア型モータ固定子32の励磁電流を流した状態のコイル33が生じる磁束を受けることにより、Y軸リニア型モータ可動子35がY軸方向に直進移動するための駆動力が生じる。
Y軸リニア型モータ可動子35は、後述するY軸移動ユニット50に収容される。
Y軸移動装置3は、Y軸リニアガイド37を有する。図5Aに示すように、Y軸リニアガイド37は、Y軸リニアガイドレール38と、Y軸リニアガイドスライダ39と、を有する、いわゆるLMガイド(登録商標)である。Y軸リニアガイドレール38は、長手方向がY軸方向と平行になるように、作業モジュールフレーム20のX軸ビーム部222の上面に固定される。このY軸リニアガイドレール38は、作業モジュールフレーム20のX軸方向における両端部にそれぞれ設けられる。すなわち、Y軸移動装置3は、二つのY軸リニアガイド37を有する。
Y軸リニアガイドレール38のY軸方向と直交する断面における形状は、X軸方向の位置にかかわらず一定で、上下方向における中間部382の幅(X軸方向長さ)が、中間部382の上側の部分381の幅よりも短い。
Y軸リニアガイドスライダ39は、Y軸リニアガイドレール38に嵌め合わされる。Y軸方向と直交する断面において、Y軸リニアガイドスライダ39の形状は、上述したY軸リニアガイドレール38の形状と対応しており、Y軸リニアガイドスライダ39とY軸リニアガイドレール38とはほぼ隙間なく嵌め合わされる。上述したように、Y軸リニアガイドレール38のY軸方向と直交する断面における中間部382の幅が、中間部382の上側の部分381の幅よりも短いため、Y軸リニアガイドスライダ39がY軸リニアガイドレール38から上方に脱落しない。
実施形態1では、Y軸リニア型モータ31と、Y軸リニアガイド37とにより、Y軸移動装置3が構成される。
Y軸リニアガイド37は、Y軸リニア型モータ31と離間する。特に、Y軸リニアガイドレール38が、Y軸リニア型モータ固定子32から離間している。すなわち、Y軸リニア型モータ固定子32の周辺にはY軸リニア型モータ可動子35が位置する。このため、Y軸リニアガイドレール38は、Y軸リニア型モータ可動子35との干渉を回避するため、Y軸リニア型モータ固定子32から離間して位置する。Y軸リニア型モータ31は発熱源であるコイル33を有する。Y軸リニアガイド37がY軸リニア型モータ31と離間することにより、Y軸リニアガイド37がコイル33で発生する熱の影響を受けにくくなる。この結果、Y軸リニアガイド37の熱膨張又は熱収縮による寸法変化が抑えられる。
図3に示すように、Y軸リニアガイドスライダ39に、Y軸移動ユニット50を構成するY軸移動フレーム51(後述する)が固定される。図7及び図8に示すように、Y軸移動ユニット50は、Y軸リニア型モータ可動子35を有し、Y軸方向に直進移動する。すなわち、Y軸移動ユニット50は、Y軸リニアガイド37によってY軸方向の移動が直線状となるようにガイドされ、Y軸リニア型モータ31によりY軸方向に直進移動するための駆動力を得る。
Y軸移動ユニット50は、平面視矩形状をしたY軸移動フレーム51を有する。Y軸移動フレーム51は、Y軸方向を長手方向とするY軸ビーム52を有する。Y軸ビーム52は、Y軸ビーム部521と、Y軸ビーム部521の下側に位置してY軸ビーム部521に固定されるY軸可動子ケーシング350と、を有する。Y軸可動子ケーシング350は、Y軸リニア型モータ可動子35が有する永久磁石36を収容し、永久磁石36とともにY軸リニア型モータ可動子35を構成する。このY軸ビーム52は、Y軸移動フレーム51のX軸方向における両端部にそれぞれ設けられる。すなわち、Y軸移動フレーム51は、二つのY軸ビーム52を有する。
Y軸移動フレーム51は、X軸方向を長手方向とするX軸ビーム53を有する。X軸ビーム53は、X軸ビーム部531により構成される。このX軸ビーム53は、Y軸移動ユニット50のY軸方向における両端部にそれぞれ設けられる。すなわち、Y軸移動フレーム51は、二つのX軸ビーム53を有する。
Y軸移動ユニット50は、X軸移動装置4を有する。X軸移動装置4は、Y軸移動フレーム51に固定される。Y軸移動ユニット50は、X軸移動装置4、Y軸移動フレーム51及びY軸リニアガイドスライダ39により構成される。
X軸移動装置4は、いわゆる円筒型のリニア型モータからなるX軸リニア型モータ41を有する。X軸リニア型モータ41は、X軸リニア型モータ固定子42と、X軸リニア型モータ可動子45と、を有する。図5Aに示すように、X軸リニア型モータ固定子42は、軸線方向(長手方向)がX軸方向と平行になる外筒421と、筒状部材からなる巻き芯422と、を有する。巻き芯422は、外筒421の内部に配置され、軸線方向がX軸方向と平行になる。巻き芯422の表面には、後述するコイル43が巻かれ、コイル43が巻き芯422に保持される。外筒421の軸線方向の両端部は、Y軸移動フレーム51に固定される。巻き芯422は、軸線方向にY軸移動フレーム51を貫通し、Y軸移動フレーム51に固定される。
X軸リニア型モータ固定子42は、筒状部材である巻き芯422の内部に、冷媒を通す流路を更に有する。つまり、巻き芯422の内部空間44は、冷媒(例えば、冷却水)の通路となる。巻き芯422の軸線方向の端部には、管継手423が取り付けられる。管継手423にはホース等からなる給水管が接続され、内部空間44に冷媒が通される。内部空間44、管継手423及びホースにより、冷却部が構成される。内部空間44を通る冷媒により、発熱源であるコイル43が冷却される。なお、内部空間44に冷媒が通らない場合でも、コイル43の熱が巻き芯422を通して例えば内部空間44に放熱されることにより、コイル43の冷却効果が得られる。
このX軸リニア型モータ固定子42は、Y軸移動ユニット50のY軸方向における両端部にそれぞれ設けられる。すなわち、Y軸移動ユニット50は、二つのX軸リニア型モータ41を有する。
X軸リニア型モータ固定子42は、コイル43を有する。図5Bに示すように、コイル43は、X軸方向に並んだ複数の単位コイル431にて構成される。一例として、U相、V相及びW相の三つの単位コイル431を1組として、複数組の単位コイル431がX軸方向に並んでいる。各単位コイル431は、巻き芯422にX軸回りに巻かれている。コイル43は、巻き芯422に巻かれた状態で、巻き芯422ごと外筒421に収容される。
X軸リニア型モータ可動子45は、励磁電流を流した状態のコイル43との間に磁力が作用する永久磁石46を有する。永久磁石46は、X軸方向を軸線方向とする円筒状をしている。永久磁石46は、X軸方向に並んだ複数の単位永久磁石461にて構成される。各単位永久磁石461は、X軸方向を軸線方向とする円筒状である。単位永久磁石461は、X軸方向の両端部にそれぞれS極又はN極を有する。X軸方向に隣接する単位永久磁石461は、互いに隣接する側の端部の極(S極又はN極)が同じ極となるように並べられる。永久磁石46は、X軸可動子ケーシング450に収容される。
図7に示すように、X軸リニア型モータ可動子45は、X軸リニア型モータ固定子42のX軸回りに囲むように、X軸リニア型モータ固定子42に被せられる。X軸リニア型モータ可動子45のX軸方向長さは、X軸リニア型モータ固定子42のX軸方向長さよりも短い。X軸リニア型モータ可動子45は、X軸リニア型モータ固定子42に沿ってX軸方向に直進移動可能である。永久磁石46が、X軸リニア型モータ固定子42の励磁電流を流した状態のコイル43が生じる磁束を受けることにより、X軸リニア型モータ可動子45がX軸方向に直進移動するための駆動力が生じる。
X軸移動装置4は、X軸リニアガイド47を有する。X軸リニアガイド47は、X軸リニアガイドレール48と、X軸リニアガイドスライダ49と、を有する、いわゆるLMガイド(登録商標)である。X軸リニアガイドレール48は、長手方向がX軸方向と平行になるように、Y軸移動フレーム51のX軸ビーム部531の上面に固定される。このX軸リニアガイドレール48は、Y軸移動フレーム51のY軸方向における両端部にそれぞれ設けられる。すなわち、X軸移動装置4は、二つのX軸リニアガイド47を有する。
図7に示すように、X軸リニアガイドレール48のX軸方向と直交する断面における形状は、Y軸方向の位置にかかわらず一定で、上下方向における中間部482の幅(Y軸方向長さ)が、中間部482の上側の部分481の幅よりも短い。
X軸リニアガイドスライダ49は、X軸リニアガイドレール48に嵌め合わされる。X軸方向と直交する断面において、X軸リニアガイドスライダ49の形状は、上述したX軸リニアガイドレール48の形状と対応しており、X軸リニアガイドスライダ49とX軸リニアガイドレール48とはほぼ隙間なく嵌め合わされる。上述したように、X軸リニアガイドレール48のX軸方向と直交する断面における中間部482の幅が、中間部482の上側の部分481の幅よりも短いため、X軸リニアガイドスライダ49がX軸リニアガイドレール48から上方に脱落しない。本実施形態では、X軸リニア型モータ41と、X軸リニアガイド47とにより、X軸移動装置4が構成される。
X軸リニアガイド47は、X軸リニア型モータ41と離間する。特に、X軸リニアガイドレール48が、X軸リニア型モータ固定子42から離間している。すなわち、X軸リニア型モータ固定子42の周辺にはX軸リニア型モータ可動子45が位置する。このため、X軸リニアガイドレール48は、X軸リニア型モータ可動子45との干渉を回避するため、X軸リニア型モータ固定子42から離間して位置する。X軸リニア型モータ41は発熱源であるコイル44を有する。X軸リニアガイド47がX軸リニア型モータ41と離間することにより、X軸リニアガイド47が、コイル43で発生する熱の影響を受けにくくなる。この結果、X軸リニアガイド37の熱膨張又は熱収縮による寸法変化が抑えられる。
本実施形態では、X軸リニアガイドスライダ49に、実装ヘッドユニット56が固定される。図7に示すように、実装ヘッドユニット56及びX軸リニア型モータ可動子45により、X軸移動ユニット55が構成される。実装ヘッドユニット56は、X軸リニア型モータ可動子45と共にX軸方向に直進移動する。すなわち、実装ヘッドユニット56は、X軸リニアガイド47によってX軸方向の移動が直線状となるようにガイドされ、X軸リニア型モータ41によりX軸方向に直進移動するための駆動力を得る。
図9に示すように、実装ヘッドユニット56は、平面視矩形状をした実装ヘッドフレーム57を有する。実装ヘッドフレーム57は、二つのX軸可動子ケーシング450にそれぞれ固定されるプレート571と、二つのプレート571を連結するプレート572と、を有する。プレート571には、後述するアクチュエータ6及び捕捉部ユニット7を固定するブラケット573が固定される。プレート571、プレート572及びブラケット573により、実装ヘッドフレーム57が構成される。
図10A及び図10Bに示すように、実装ヘッドフレーム57に、第1対象物(部品P1)を保持する捕捉部70が、アクチュエータ6を介して固定される。捕捉部70は、例えば、吸着ノズルである。捕捉部70は、部品P1を捕捉(保持)する捕捉状態と、部品P1を解放(捕捉を解除)する解放状態と、を切替可能である。ただし、捕捉部70は、吸着ノズルに限らず、例えば、ロボットハンドのように部品P1を挟む(摘む)ことによって捕捉(保持)する構成でもよい。アクチュエータ6は、捕捉部70をZ軸方向に直進移動させる。さらに、アクチュエータ6は、捕捉部70をZ軸方向に沿った軸線を中心とする回転方向(以下、「θ方向」という)に回転移動させる。X軸移動装置4は、実装ヘッドユニット56をX軸方向に直進移動させる。Y軸移動装置3は、実装ヘッドユニット56をY軸方向に直進移動させる。Y軸移動装置3及びX軸移動装置4は、捕捉部70を、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向及びθ方向に移動させることが可能である。
図11Aに示すように、アクチュエータ6は、回転型モータ61と、スプライン部材62と、リニア型モータ65と、出力部68と、を備える。
回転型モータ61は、Z軸方向に平行な一の軸線600回りに回転する回転型可動子612と、回転型可動子612を軸線600回りに回転させる回転型固定子611と、を有する。このような回転型モータ61としては、いわゆるサーボモータ又はステッピングモータ等が好適に用いられる。
図12A及び図12Bに示すように、回転型固定子611は、実装ヘッドフレーム57を構成するブラケット573に固定される。回転型可動子612の軸線600方向における一端部(上端部)が、回転型固定子611に収容される。回転型可動子612の軸線600方向における他端部(下端部)が回転型固定子611の外に位置している。回転型モータ61は、いわゆる非貫通型の回転型モータ61である。
図11Aに示すように、回転型可動子612の下端部に、第1カップリング601の上端部が連結されている。第1カップリング601の軸線は、回転型可動子612の軸線600と一致する。第1カップリング601の下端部は、第3カップリング603を介して第2カップリング602の上端部に連結される。第2カップリング602の軸線は、第1カップリング601の軸線(軸線600)と一致する。
スプライン部材62は、第1部材63と、第2部材64と、を有する。第1部材63は、回転型可動子612より回転力を受けて軸線600回りに回転する。第2部材64は、第1部材63の軸線600方向における一部と、径方向に重なっている。第2部材64は、軸線600上を直進移動しかつ第1部材63より回転力を受けて軸線600回りに回転する。
本実施形態では、第1部材63は、軸線600方向を長手方向とする筒部材からなる。第1部材63の外周面は、外筒部材631の内周面に固定され、第1部材63と外筒部材631とは一体化されている。第1部材63の軸線は、軸線600と一致する。
外筒部材631の上端部に、第2カップリング602の下端部が連結されている。第2カップリング602の軸線は、外筒部材631の軸線(軸線600)と一致する。
第2カップリング602の外周面には、第1軸受604のインナー部材が固定される。第1軸受604のアウター部材は、ブラケット573(図12A参照)に固定される。これにより、第2カップリング602は軸線600回りに回転可能となり、かつ、第2カップリング602が第1軸受604を介してブラケット573に支持される。
外筒部材631の下端部に、第4カップリング605の上端部が連結されている。第4カップリング605の軸線は、外筒部材631の軸線(軸線600)と一致する。
第4カップリング605の外周面には、第2軸受606のインナー部材が固定される。第2軸受606のアウター部材は、ブラケット573(図12A参照)に固定される。これにより、第4カップリング605は軸線600回りに回転可能となり、かつ、第4カップリング605が第1軸受604を介してブラケット573に支持される。
これにより、第2カップリング602、外筒部材631、第1部材63及び第4カップリング605の重量は、第1軸受604及び第2軸受606を介してブラケット573に掛かる。すなわち、第1部材63はブラケット573に支持される。
第2部材64は、軸線600方向を長手方向とし、第1部材63の内部空間に挿入される軸部材からなる。図11Bに示すように、第1部材63の内周面の軸線600回りの周方向の一部には、軸線600方向に沿う第1キー溝632が形成される。第1キー溝632は、第1部材63の軸線600方向全長にわたって形成されてもよいし、第1部材63の軸線600方向の一部に形成されてもよい。第2部材64の外周面の軸線600回りの周方向の一部には、軸線600方向に沿う第2キー溝641が形成される。第2キー溝641は、第2部材64の軸線600方向全長にわたって形成されてもよいし、第2部材64の軸線600方向の一部に形成されてもよい。第1キー溝632には、キー633が嵌め込まれて固定される。キー642の先端部は第2部材64の外周面から突出する。
図11Aに示すように、第2部材64は、第1部材63の内部に軸線600方向に沿って挿入される。この時、第2部材64の外周面から突出したキー642の先端部が、第1キー溝632に収容される。ここで、第2キー溝641のZ軸方向(軸線600方向)の寸法は、少なくともキー642のZ軸方向の寸法よりも大きい。これにより、第2部材64は、第1部材63に対して、第2部材64の軸線600回りの相対的な回転が規制される。また、第2部材64は、第1部材63に対して軸線600方向に直進移動可能となる。
第2部材64の上端部には、フランジ643が固定されている。フランジ643における軸線600を中心とする径は、第1部材63における軸線600を中心とする径よりも大きい。
リニア型モータ65は、リニア型可動子66と、リニア型固定子67と、を有する。リニア型可動子66は、第2部材64より回転力を受けて軸線600回りに回転する。リニア型固定子67は、リニア型可動子66に軸線600方向に沿った駆動力を与える。
図11Cに示すように、リニア型固定子67は、軸線600方向を長手方向とする外筒671と、筒状の巻き芯672と、を有する。巻き芯672は、外筒671の内部に配置され、軸線方向が軸線600方向と平行になる。巻き芯672の表面には、後述するコイル673が巻かれ、コイル673が巻き芯672に保持される。外筒671及び巻き芯672は、ブラケット573(図12A参照)に固定される。巻き芯672の内部空間が、リニア型可動子66の通路となる。リニア型固定子67は、コイル673を有する。コイル673は、巻き芯672に巻かれた複数の単位コイル674にて構成される。一例として、U相、V相及びW相の三つの単位コイル674を1組として、複数組の単位コイル674がY軸方向に並んでいる。コイル673は、巻き芯672に巻かれた状態で、外筒671に収容される。
リニア型可動子66は、リニア型固定子67の内部空間に挿入される軸部材である。リニア型可動子66は、リニア型固定子67を軸線600方向に貫通する。リニア型可動子66は、軸線600方向を長手方向とする外筒661を有する。外筒661の内部には、リニア型固定子67が有するコイル673との間に磁力が作用する永久磁石662を有する。永久磁石662は、外筒661の内部に嵌まり込む。永久磁石662は、軸線600方向に複数の単位永久磁石663が並んで構成される。軸線600方向に隣接する単位永久磁石663は、互いに隣接する側の端部の極(S極又はN極)が同じ極となるように並べられる。
図11Aに示すように、リニア型固定子67の上端部には、第1ガイド部675が固定される。第1ガイド部675は、リニア型可動子66がリニア型固定子67の内面に接触しないようにリニア型可動子66をガイドする。リニア型固定子67の下端部には、第2ガイド部676が固定される。第2ガイド部676は、リニア型可動子66がリニア型固定子67の内面に接触しないようにリニア型可動子66をガイドする。リニア型可動子66の軸線は、軸線600と一致する。
リニア型可動子66は、第2部材64と一体となり、軸線600方向に移動する。ここで、リニア型可動子66と第2部材64とが一体とであるとは、リニア型可動子66が第2部材64に固定されて、第2部材64に対して相対移動せず、かつ、リニア型可動子66の直径と第2部材64の直径とが同じであることを意味する。なお、リニア型可動子66の直径と第2部材64の直径とが同じとは、厳密に同じでなくてもよく、実用上、両者が同じとみなすことができればよい。
リニア型可動子66と第2部材64とが、同一部材によって継ぎ目なしに形成されてもよい。また、別部材からなるリニア型可動子66と第2部材64とは、溶接、接着又はボルト止め等によって連結されてもよい。
第2部材64の上端部に第1部材63の径よりも大きいフランジ643が形成されている。第2部材64が下方に移動しても、フランジ643が第1部材63の上端部に接触するため、第2部材64はそれ以上下方に移動しない。このため、第2部材64が第1部材63から落下することが抑えられる。
また、リニア型可動子66の軸線600方向の上向き(Z軸方向の正の向き)に、リニア型可動子66に力を加える弾性部材69を備える。弾性部材69は、線材が軸線600回りに巻かれたコイルばねであり、第1部材63の上端部とフランジ643の間において、第2部材64に巻かれるように配置される。上述したように、第2部材64はフランジ643により第1部材63からの落下が抑えられる。しかしながら、停電時等に、第2部材64及びリニア型可動子66が下方に自重により移動すると、捕捉部70が基板B1や基板B1に実装された部品P1等に接触するおそれがある。第2部材64及びリニア型可動子66が下方に自重により移動しても、弾性部材69が圧縮されて、第2部材64及びリニア型可動子66が弾性部材69より上方への力を受けて、第2部材64及びリニア型可動子66が上方へ移動する。これにより、停電時等に、第2部材64及びリニア型可動子66が下方に自重により移動して、捕捉部70が基板B1や基板B1に実装された部品P1等に接触することが抑制される。
出力部68は、リニア型可動子66と一体である。第2部材64、リニア型可動子66及び出力部68が一体となり、出力部ユニット680を構成する。ただし、リニア型可動子66と出力部68とが別部材として形成され、リニア型可動子66と出力部68とが一体に固定されてもよい。出力部68は、回転型モータ61及びリニア型モータ65により駆動される。
図12Aに示すように、出力部68の軸線600方向の移動を案内する第3ガイド部607がブラケット573に固定される。
以上、実施形態1について説明した。実施形態1にあっては、回転型モータ61、スプライン部材62、リニア型モータ65及び出力部68が、軸線600上に並ぶ。すなわち、アクチュエータ6の軸線600方向と直交する断面におけるサイズが小さくてすむ。
このため、図10Aに示すように、複数のアクチュエータ6を並べる際に、アクチュエータ6のピッチ71を、例えば12mmといったように比較的短いピッチとすることができる。図1及び図2に示すように、フィーダカセット154が12mmピッチでX軸方向に並べられることが多い。このような場合、アクチュエータ6及び捕捉部70のピッチ71をフィーダカセット154のピッチに合わせることができる。小さなスペースに多くのアクチュエータ6及び捕捉部70を配置することができる。
また、実施形態1では、リニア型可動子66と第2部材64とが軸線600方向に並ぶのみならず、リニア型可動子66と第2部材64とが一体となっている。
ここで、比較例について図13A〜図14Bに基づいて説明する。比較例では、第2部材64の下端部に、リニア型可動子66の上端部が連結される。第2部材64の下端部とリニア型可動子66の上端部とに第5カップリング608が嵌め込まれて、第2部材64とリニア型可動子66とが連結される。
この比較例と比較すると、図11A〜図12Bに示す実施形態1では、リニア型可動子66から第2部材64にかけて設けられる第5カップリング608が不要となるため、第5カップリング608の重量分だけ、出力部ユニット680軽量化が図られる。
また、比較例では、図14A及び図15Aに示すように、第2部材64の下端部が嵌め込まれた第5カップリング608が、第4カップリング605の下端面に当たる。このため、第2部材64の下端部の第4カップリング605内への進入が規制される。また、図14B及び図15Bに示すように、リニア型可動子66の上端部が嵌め込まれた第5カップリング608が、リニア型固定子67の上端面に当たる。このため、リニア型可動子66の上端部のリニア型固定子67内への進入が規制される。このため、リニア型可動子66及び第2部材64のうち、軸線600方向(上下方向)において第5カップリング608が位置する部分は、第4カップリング605内とリニア型固定子67内とのいずれにも進入し得ない部分となる。図15Bに示すように、第4カップリング605とリニア型固定子67との軸線600方向における間隔は、出力部ユニット680のストロークS1に第5カップリング608の軸線600方向の長さH1を加えた長さが最低限必要となる。
これに対して、実施形態1では、図11A、図12A及び図12Bに示すように、第5カップリング608が設けられていない。このため、図16Aに示すように、出力部ユニット680が上昇した際、第2部材64の下端部は第4カップリング605内へ進入可能となる。また、図16Bに示すように、出力部ユニット680が下降した際、リニア型可動子66の上端部はリニア型固定子67内へ進入可能となる。第4カップリング605とリニア型固定子67との軸線600方向における間隔は、出力部ユニット680のストロークS1分となる。このため、実施形態1と比較して、第5カップリング608の軸線600方向の長さH1分、リニア型可動子66及び第2部材64の軸線600方向の長さを短くすることができる。
次に、実施形態2について、図17A及び図17Bに基づいて説明する。なお、実施形態2の実装装置1は、実施形態1の実装装置1と大部分において構成が共通する。このため、実施形態1と重複する説明については説明を適宜省略する。
実施形態1では、スプライン部材62の第1部材63とリニア型固定子67との間に第4カップリング605が位置していたが、実施形態2では第1部材63とリニア型固定子67との間に何も位置していない。
出力部ユニット680にあっては、第2部材64の上端部付近から下端部まで第2キー溝641が形成されており、かつ、リニア型可動子66の下端部付近から上端部まで永久磁石662が位置している。
図17Aに示すように、出力部ユニット680が可動範囲の上限位置まで上昇すると、Z軸方向において第2部材64の下端縁が第1部材63の下端縁と同じ位置に位置する。
また、図17Bに示すように、出力部ユニット680が可動範囲の下限位置まで下降すると、Z軸方向においてリニア型可動子66の上端縁(第2部材64の下端縁)がリニア型固定子67の上端縁と同じ位置に位置する。
この場合、第1部材63とリニア型固定子67の軸線600方向における間隔は、出力部ユニット680のストロークS1分が最低限必要となる。実施形態2においては、実施形態1と比較すると、第1部材63とリニア型固定子67の軸線600方向における間隔が、第4カップリング605の軸線600方向の長さに第5カップリング608の長さH1を加えた分、短くてすむ。
次に、実施形態3について、図18A及び図18Bに基づいて説明する。なお、実施形態3の実装装置1は、実施形態2の実装装置1と大部分において構成が共通する。このため、実施形態2と重複する説明については説明を適宜省略する。
実施形態2では、第1部材63とリニア型固定子67の軸線600方向における間隔は、出力部ユニット680のストロークS1分であった。実施形態3では、第1部材63とリニア型固定子67の軸線600方向における間隔は0である。
図18Aに示すように、リニア型可動子66に設けられている永久磁石662は、軸線600方向において、リニア型可動子66内部から第2部材64の第2キー溝641の位置にまで延びている。リニア型可動子66及び第2部材64の軸線600方向において、永久磁石662と第2キー溝641とが重なる部分は、リニア型固定子67内と第1部材63内とのいずれにも進入し得る。軸線600方向における永久磁石662と第2キー溝641とが重なる部分の長さを、出力部ユニット680のストロークS1分の長さ以上とすることにより、第1部材63とリニア型固定子67の軸線600方向における間隔を0とすることができる。
これにより、アクチュエータ6の軸線600方向における長さを短くすることができる。
次に、実施形態1〜3の変形例について説明する。
Y軸リニア型モータ31は、円筒型のリニア型モータでなくてもよい。すなわち、円筒ではない筒型のリニア型モータであってもよい。また、筒型のリニア型モータでなくてもよく、例えばいわゆる平面型のリニア型モータであってもよい。
巻き芯322の内部空間34に通される冷媒としては、水(冷却水)が好適に用いられるが、水以外の液体が用いられてもよい。
Y軸リニアガイド37は、上述したようなLMガイド(登録商標)に限定されず、Y軸リニア型モータ可動子35の移動を直線上の移動としてガイドすることができる機構であればよい。
Y軸移動装置3は、実施形態1〜3では、Y軸リニア型モータ31とY軸リニアガイド37とを有していたが、Y軸リニアガイド37を有しなくてもよい。また、Y軸移動装置3は、Y軸リニア型モータ31及びY軸リニアガイド37以外の構成を含んでもよい。
X軸リニア型モータ41は、円筒型のリニア型モータでなくてもよい。すなわち、X軸リニア型モータ41は、円筒ではない筒型のリニア型モータであってもよい。また、X軸リニア型モータ41は、筒型のリニア型モータでなくてもよく、例えばいわゆる平面型のリニア型モータであってもよい。
巻き芯422の内部空間44に通される冷媒としては、水が好適に用いられるが、水以外の液体が用いられてもよい。
X軸リニアガイド47は、上述したようなLMガイド(登録商標)に限定されず、X軸リニア型モータ可動子45の移動を直線上の移動としてガイドすることができる機構であればよい。
X軸移動装置4は、実施形態1〜3では、X軸リニア型モータ41とX軸リニアガイド47とを有していたが、X軸リニアガイド47を有しなくてもよい。また、X軸移動装置4は、X軸リニア型モータ41及びX軸リニアガイド47以外の構成を含んでもよい。
回転型モータ61は、いわゆるサーボモータ又はステッピングモータでなくてもよく、特に限定されない。
実施形態1〜3では、回転型モータ61の回転型可動子612は、第1カップリング601、第2カップリング602及び第3カップリング603を介してスプライン部材62の第1部材63に連結されていた。回転型モータ61の回転型可動子612は、第1カップリング601のみ又は第2カップリング602のみを介して第1部材63に連結されてもよい。回転型モータ61の回転型可動子612は、直接第1部材63に連結されてもよい。
スプライン部材62として、いわゆるボールスプラインが用いられてもよい。
また、Y軸リニア型モータ31とX軸リニア型モータ41との一方が、リニア型モータではなく、代わりに回転型モータ及びボールねじを有する機構が用いられてもよい。
以上、述べた実施形態1〜3及びその変形例から明らかなように、第1の態様のアクチュエータ6は、回転型可動子612を有する回転型モータ61と、スプライン部材62と、リニア型モータ65と、出力部68と、を備える。スプライン部材62は、回転型可動子612より回転力を受けて一の軸線600回りに回転する第1部材63と、軸線600上を往復移動しかつ第1部材63より回転力を受けて軸線600回りに回転する第2部材64と、を有する。リニア型モータ65は、第2部材64より回転力を受けて軸線600回りに回転するリニア型可動子66と、リニア型可動子66に軸線600方向に沿った駆動力を与えるリニア型固定子67と、を有する。出力部68は、リニア型可動子66の一端に設けられる、回転型モータ61及びリニア型モータ65により駆動される。リニア型可動子66は永久磁石662を有し、リニア型固定子67は永久磁石662に磁力を作用させるコイルを有する。リニア型可動子66は、リニア型固定子67を軸線600方向に貫通しており、リニア型固定子67に対して相対的に軸線600回りに回転する。リニア型可動子66と第2部材64とが軸線600方向に並んで配置され、かつリニア型可動子66と第2部材64とが一体である。
第1の態様によれば、カップリングが不要となり、アクチュエータ6の軽量化が図られる。
第2の態様では、第1の態様との組み合わせにより実現される。第2の態様では、第2部材64は、第2キー溝641を有する。第2キー溝641は、第1部材63に形成される第1キー溝632に嵌め込まれるキー633が挿入される。第2部材64は、軸線600方向において永久磁石662の位置が第2キー溝641の位置の一部又は全部と重なる。
第2の態様によれば、リニア型可動子66及び第2部材64の軸線600方向において、永久磁石662と第2キー溝641とが重なる部分は、リニア型固定子67内と第1部材63内とのいずれにも進入し得る。これにより、アクチュエータ6の軸線600方向における長さを短くすることができる。
第3の態様では、第1又は2の態様との組み合わせにより実現される。第3の態様では、リニア型可動子66が非磁性体である。
第3の態様によれば、磁性を帯びたリニア型可動子66がスプライン部材62の第1部材63に進入するのが抑えられる。
第4の態様では、第1〜3の態様との組み合わせにより実現される。第4の態様では、リニア型可動子66又は出力部68の軸線600方向の移動を案内する第3ガイド部607を備える。
第4の態様によれば、リニア型可動子66自体に、リニア型可動子66又はリニア型固定子67からの磁束が作用することを防止でき、磁気回路の設計が容易になる。
第5の態様では、第1〜4のいずれかの態様との組み合わせにより実現される。第5の態様では、実装ヘッドユニット56は、アクチュエータ6と、アクチュエータ6の出力部68に固定されて、第2対象物に実装される第1対象物を捕捉する捕捉部70と、を備える。
第5の態様によれば、実装ヘッドユニット56において、カップリングが不要となり、アクチュエータ6の軽量化が図られる。
第6の態様では、第5のいずれかの態様との組み合わせにより実現される。第6の態様では、実装装置1は、実装ヘッドユニット56と、第2対象物を保持する保持装置と、を備える。
第6の態様によれば、実装装置1において、カップリングが不要となり、アクチュエータ6の軽量化が図られる。
以上、一つ又は複数の態様に係るアクチュエータ6及び実装装置1について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示に係るアクチュエータ及び実装装置は、この実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施した構成についても、本開示の範囲内に含まれてもよい。