図面を参照しながら、複数の実施形態を説明する。複数の実施形態において、機能的に及び/又は構造的に対応する部分には、同一の参照符号を付与する。
(第1実施形態)
(回転電機の概略構成)
図1〜図5に基づき、制御装置一体型回転電機の概略構成について説明する。図5では、主端子のうちの正極端子及び負極端子と、バスバーとの接続構造を示している。図4及び図5では、便宜上、信号端子及びダミー端子を省略している。
図1に示すように、制御装置一体型の回転電機1は、回転電機部10と、回転電機部10を制御する制御装置部20を備えており、制御装置部20が、制御対象である回転電機部10と一体化されている。なお、回転電機1の説明において、回転軸に沿う方向を軸方向と示す。また、軸方向のうち、制御装置部20側から回転電機部10側に向かう方向を前方、回転電機部10側から制御装置部20側に向かう方向を後方と示す。軸方向に直交する方向を径方向と示す。
(回転電機部)
回転電機部10は、車両に搭載され、バッテリから電力が供給されることで、車両を駆動するための駆動力を発生する。回転電機部10は、たとえばエンジンを始動させる電動機(スタータモータ)として機能する。回転電機部10は、エンジンから駆動力が供給されることで、バッテリを充電するための電力を発生する発電機(オルタネータ)として機能する。回転電機部10は、ISG(Integrated Starter Generator)とも称される。図1及び図2に示すように、回転電機部10は、ハウジング11と、固定子12と、回転子13と、プーリ14と、スリップリング15と、ブラシ16と、回転角度検出用の磁石17を備えている。
ハウジング11は、固定子12及び回転子13を収容している。ハウジング11は、回転子13を回転可能に支持している。ハウジング11の軸方向後側には、制御装置部20が固定されている。ハウジング11は、軸方向前側に配置されたフロントハウジング110と、軸方向後側に配置されたリアハウジング111を有している。
固定子12は、磁路の一部を構成するとともに、電力、具体的には交流が供給されることで回転磁界を発生する。また、回転子13の発生する磁束と鎖交することで、交流を発生する。固定子12は、固定子コア120と、固定子巻線121を有している。
固定子コア120は、略円環状をなしている。固定子コア120には、図示しない複数のスロットが設けられている。固定子巻線121は、固定子コア120のスロットに収容され、固定子コア120に保持されている。固定子巻線121は、固定子コア120に巻回されている。固定子巻線121として、Y結線された三相巻線を用いている。図3に示すように、固定子巻線121は、U相、V相、W相の三相巻線からなる固定子巻線121aと、X相、Y相、Z相の三相巻線からなる固定子巻線121bを有している。固定子巻線121a,121bは、互いに所定電気角(たとえば30°)ずれて配置されている。
回転子13は、磁路の一部を構成するとともに、電力、具体的には直流が供給されることで磁極を形成する。回転子13は、固定子巻線121の発生する磁束と鎖交することで、回転力を生じる。また、エンジンから供給される駆動力によって回転子13が回転し、発生した磁束が固定子巻線121と鎖交することで、固定子巻線121が交流を生じる。回転子13は、回転子コア130と、回転子巻線131と、ファン132と、回転軸133を有している。
回転子コア130は、回転子巻線131を収容する円環状の中空部130aを有している。回転子コア130は、回転軸133が挿通状態で固定される貫通孔130bを有している。回転子13は、回転子コア130の外周面が、固定子コア120の内周面と所定間隔を隔てて対向するように、配置されている。
回転子巻線131は、直流が供給されることで磁束を発生し、回転子コア130の外周面に磁極を形成する。回転子巻線131は、回転子コア130の中空部130aに収容され、回転子コア130に保持されている。回転子巻線131は、界磁巻線とも称される。
ファン132は、回転子コア130と一体に設けられている。ファン132は、回転子コア130とともに回転し、回転電機1の外部の空気を、ハウジング11に形成された貫通孔を通じて、回転電機部10の内部及び制御装置部20の内部に流通させる。ファン132は、回転軸133の延伸方向である軸方向において、回転子コア130の両端面にそれぞれ設けられている。
回転軸133は、回転子コア130に固定されるとともに、ハウジング11に回転可能に支持されている。回転軸133は、回転子コア130とともに回転する。回転軸133は、略円柱状をなしており、貫通孔130bに挿通された状態で、軸方向中央部が回転子コア130に固定されている。回転軸133は、シャフトとも称される。
回転軸133の一部分は、フロントハウジング110の底壁に設けられた貫通孔を通じてフロントハウジング110の前方に突出している。回転軸133は、フロントハウジング110に回転可能に支持されている。回転軸133の一部分は、リアハウジング111の底壁に設けられた貫通孔を通じてリアハウジング111の後方に突出している。回転軸133は、リアハウジング111に回転可能に支持されている。
プーリ14は、回転軸133のうち、フロントハウジング110から前方に突出した部分に連結されている。プーリ14は、回転軸133とともに回転する。プーリ14には、図示しないベルトが係合される。このベルトを介して、エンジンのクランクシャフトに回転軸133の回転運動が伝達される。
スリップリング15は、回転軸133のうち、リアハウジング111から後方に突出した部分の外周面に、絶縁部材18を介して固定されている。スリップリング15は、金属からなる円筒状の部材であり、配線を介して回転子巻線131に接続されている。
ブラシ16は、たとえばバネにより、径方向において回転軸133側に押圧され、スリップリング15の外周面に接触している。ブラシ16は、ブラシホルダ160に保持されている。ブラシ16及びスリップリング15を介して、回転子巻線131に直流が供給される。
磁石17は、回転子13の回転角度を検出するための磁界を発生する。磁石17は、回転軸133の軸方向後端部に固定されている。
(制御装置部)
制御装置部20は、回転電機部10をオルタネータとして機能させる場合には、回転電機部10の発生した電力を直流に変換し、バッテリへ電力の供給を行う。一方、回転電機部10を電動機として機能させる場合には、バッテリから供給される電力を交流へと変換し、回転電機部10へ電力の供給を行う。
図1及び図2に示すように、制御装置部20は、ケース21と、配線基板22と、インバータ回路部23と、ヒートシンク24と、界磁回路部25と、制御回路部26と、バスバー27を備えている。さらに制御装置部20は、磁石17とともに回転角度検出部を構成する図示しない回転角度検出素子などを備えている。制御装置部20は、平滑用のコンデンサや、スナバ用のコンデンサを備えてもよい。
ケース21は、リアハウジング111の軸方向後端部に設けられている。ケース21は、樹脂材料を用いて箱状に形成されている。ケース21には、配線基板22、インバータ回路部23、ヒートシンク24、界磁回路部25、制御回路部26、及び上記したブラシ16などが収容されている。ケース21は、本体部210と、蓋部211を有している。
本体部210には、配線基板22、インバータ回路部23、界磁回路部25、及び制御回路部26が固定されている。樹脂部材である本体部210には、バスバー27及びその他の配線用のバスバーが固定されている。本体部210は、中央部に貫通孔210aを有している。本体部210は、リアハウジング111の軸方向後端部に固定されている。蓋部211は、本体部210の後側を覆っている。
配線基板22は、所謂プリント基板である。配線基板22には、界磁回路部25及び制御回路部26が実装されている。図示を省略するが、配線基板22には、電源回路なども実装されている。配線基板22は、板厚方向が軸方向と略一致するように配置されている。配線基板22は、回転軸133の周方向の一部に切り欠きを備えた略U字状をなしている。
配線基板22は、インバータ回路部23より軸方向前側に、リアハウジング111及びインバータ回路部23と距離を隔てて配置されている。配線基板22、インバータ回路部23、界磁回路部25、及び制御回路部26は、ケース21内において樹脂28で封止されている。
インバータ回路部23は、固定子巻線121に交流を供給する。インバータ回路部23は、固定子巻線121から供給される交流を整流して、直流に変換する。インバータ回路部23は、3つの半導体モジュール40により構成されている。半導体モジュール40の詳細については後述し、ここでは簡単な説明にとどめる。
図3に示すように、半導体モジュール40のそれぞれは、二相分の上下アームを構成する複数のスイッチング素子70を有している。スイッチング素子70としては、MOSFETやIGBTを採用することができる。本実施形態では、nチャネル型のMOSFETを採用している。スイッチング素子70は、寄生ダイオードを有している。3つの半導体モジュール40のうち、第1の半導体モジュール40がU相及びV相の上下アームを構成し、第2の半導体モジュール40がW相及びX相の上下アームを構成し、第3の半導体モジュール40がY相及びZ相の上下アームを構成している。
本実施形態では、各アームが1つのスイッチング素子70により構成されている。すなわち、半導体モジュール40が、それぞれ4つのスイッチング素子70を有している。半導体モジュール40のそれぞれは、スイッチング素子70として、第1の上下アームを構成する上アーム側のスイッチング素子700H及び下アーム側のスイッチング素子700Lと、第2の上下アームを構成する上アーム側のスイッチング素子701H及び下アーム側のスイッチング素子701Lを有している。スイッチング素子700H,700Lが直列接続され、スイッチング素子701H,701Lが直列接続されている。
上アーム側のスイッチング素子700H,701Hの高電位側の電極、すなわちドレイン電極は、バッテリの正極側に接続され、下アーム側のスイッチング素子700L,701Lの低電位側の電極、すなわちソース電極は、バッテリの負極側に接続されている。上アーム側のスイッチング素子700H,701Hのソース電極と、対応する下アーム側のスイッチング素子700L,701Lのドレイン電極が、互いに接続されている。
第1の半導体モジュール40において、第1の上下アームがU相上下アームを構成し、第2の上下アームがV相上下アームを構成している。スイッチング素子700Hとスイッチング素子700Lの接続点は、固定子巻線121aのU相に接続されている。スイッチング素子701Hとスイッチング素子701Lの接続点は、固定子巻線121aのV相に接続されている。
第2の半導体モジュール40において、第1の上下アームがW相上下アームを構成し、第2の上下アームがX相上下アームを構成している。スイッチング素子700Hとスイッチング素子700Lの接続点は、固定子巻線121aのW相に接続されている。スイッチング素子701Hとスイッチング素子701Lの接続点は、固定子巻線121bのX相に接続されている。
第3の半導体モジュール40において、第1の上下アームがY相上下アームを構成し、第2の上下アームがZ相上下アームを構成している。スイッチング素子700Hとスイッチング素子700Lの接続点は、固定子巻線121bのY相に接続されている。スイッチング素子701Hとスイッチング素子701Lの接続点は、固定子巻線121bのZ相に接続されている。
半導体モジュール40は、図4及び図5に示すように、外部接続用端子として、主端子63を有している。また、主端子63として、正極端子63B1,63B2と、負極端子63E1,63E2と、出力端子63P1,63P2を有している。半導体モジュール40のそれぞれは、配線基板22の軸方向後側に配置されている。
ヒートシンク24は、半導体モジュール40の生じた熱を放熱する金属部材である。ヒートシンク24は、本体部240と、複数のフィン241を有している。本体部240は、略直方体状をなしており、フィン241は、本体部240における半導体モジュール40とは反対の面から突出している。
ヒートシンク24は、ケース21の本体部210にインサート成形されている。本体部210に一体化された状態で、本体部240の一面が本体部210内に露出し、フィン241が反対側の面から突出している。そして、本体部240の一面に、半導体モジュール40が接触している。ヒートシンク24は、半導体モジュール40と熱的に接続されている。ヒートシンク24と半導体モジュール40との間には、たとえば熱伝導性接着材が介在している。
界磁回路部25は、回転子巻線131に直流を供給する回路である。界磁回路部25は、スイッチング素子を有している。たとえばスイッチング素子によりHブリッジ回路が構成されている。スイッチング素子は、配線基板22に実装されている。
制御回路部26は、インバータ回路部23及び界磁回路部25を制御する回路である。制御回路部26は、たとえばマイクロコンピュータ(マイコン)を有している。制御回路部26は、たとえば、スイッチング素子70それぞれの駆動信号を生成する駆動回路を有している。駆動回路は、たとえばスイッチング素子70を120度通電方式でPWM制御する。駆動回路は、生成した駆動信号を後述する駆動部80に出力する。
制御回路部26は、シャント抵抗器901により検出された各相に流れる電流に比例する電圧値に基づいて、各相に流れる電流を検出する電流検出回路を有している。電流検出回路は、駆動部80を介することなく、信号端子64を介して各相の電流を検出する。制御回路部26は、駆動部80から送信される通知信号に基づいて、スイッチング素子70の異常を検出する異常検出回路を有している。制御回路部26は、スイッチング素子70と一体に形成された感温ダイオードの順方向電圧Vfを取得して、スイッチング素子70の温度を検出する温度検出回路を有している。温度検出回路は、駆動部80を介して、順方向電圧Vfを取得する。
バスバー27は、インバータ回路部23に接続される配線部材である。バスバー27は、インバータ回路部23との接続部270を露出させた状態で、ケース21の本体部210にインサート成形されている。バスバー27は、軸方向前側に延びた状態で、本体部210にインサート成形されている。接続部270は、半導体モジュール40の対応する主端子63に隣接した状態で、主端子63と同じ方向に延びている。そして、隣接する接続部270と主端子63とが接合されている。具体的には、アーク溶接により、主端子63とバスバー27が接合されている。
図4及び図5に示すように、バスバー27は、正極バスバー27Bと、負極バスバー27Eと、出力バスバー27P1,27P2を有している。図4に示すように、半導体モジュール40に対して回転軸133側、すなわち径方向内側に正極バスバー27B及び負極バスバー27Eが配置され、回転軸133とは反対側、すなわち径方向外側に出力バスバー27P1,27P2が配置されている。図4では、正極バスバー27B及び負極バスバー27Eと、正極端子63B1,63B2及び負極端子63E1,63E2との接続を分かりやすくするために、便宜上、負極バスバー27Eの内側に正極バスバー27Bを示している。
正極バスバー27Bは、配線基板22の電源接続部及び半導体モジュール40の正極端子63B1,63B2を、バッテリの正極端子に接続させるバスバー27である。負極バスバー27Eは、配線基板22の電源接続部及び半導体モジュール40の負極端子63E1,63E2を、バッテリの負極端子に直接又は車体を介して接続させるバスバー27である。出力バスバー27P1は、半導体モジュール40の出力端子63P1を、固定子巻線121に接続させるバスバー27である。出力バスバー27P2は、出力端子63P2を、固定子巻線121に接続させるバスバー27である。
正極バスバー27B及び負極バスバー27Eは、たとえば銅板を打ち抜き、曲げ加工して形成されている。正極バスバー27B及び負極バスバー27Eは、ケース21によって互いに絶縁されている。
正極バスバー27Bは、配線基板22に接続される接続部及び各半導体モジュール40の正極端子63B1,63B2との接続部270を、ケース21の内部に露出させるとともに、バッテリ側の接続部271をケース21の外部に露出させた状態で、ケース21にインサート成形されている。負極バスバー27Eは、配線基板22に接続される接続部及び各半導体モジュール40の負極端子63E1,63E2との接続部270を、ケース21の内部に露出させるとともに、バッテリ側の接続部272をケース21の外部に露出させた状態で、ケース21にインサート成形されている。
正極バスバー27Bのバッテリ側の接続部271及び負極バスバー27Eのバッテリ側の接続部272は、配線基板22の切り欠き側に配置されている。正極バスバー27Bの接続部271は2つ設けられている。2つの接続部271は、互いに接続されている。負極バスバー27Eの接続部272は1つ設けられている。接続部272は、2つの接続部271から等距離だけ径方向外側に離れて設けられている。
正極バスバー27Bは、2つの接続部271のそれぞれから延びている。正極バスバー27Bは、回転軸133に直交する面に平行に延びている。正極バスバー27Bは、2つの接続部271の中点と回転軸133の中心とを通る仮想線に対して、線対称配置とされている。図4において、正極バスバー27Bの1つは、回転軸133周りを時計方向に延びており、別の正極バスバー27Bは、回転軸133周りを反時計方向に延びている。
正極バスバー27Bは、2つの接続部271の中点とは回転軸133を挟んで反対側に開口部を有している。一対の正極バスバー27Bは、2つの接続部271の中点とは回転軸133を挟んで反対側の位置において、互いに接続することなく、開口部を介して離間している。
負極バスバー27Eも、回転軸133に直交する面に平行に延びている。負極バスバー27Eは、バッテリ側の接続部272から回転軸133に向けて延びた先で2つに分岐し、一方が回転軸133周りを時計方向に延び、他方が回転軸133周りを反時計方向に延びている。負極バスバー27Eは、接続部272と回転軸133の中心とを通る仮想線に対して、線対称配置とされている。
負極バスバー27Eは、接続部272とは回転軸133を挟んで反対側に開口部を有している。分岐した負極バスバー27Eは、接続部272とは回転軸133を挟んで反対側の位置において、互いに接続することなく、開口部を介して離間している。
正極バスバー27B及び負極バスバー27Eとは、互いに沿うように配置されている。正極バスバー27B及び負極バスバー27Eとは、互いに沿って延在する部分の略全域にわたって、径方向に所定間隔が維持された状態で離間している。この所定間隔離間した正極バスバー27B及び負極バスバー27Eとにおいて、互いに逆向きに電流が流れる。したがって、インダクタンスを低減することができる。
なお、図4及び図5に示すように、反時計回りに延設された正極バスバー27Bには、U相及びV相の上下アームを構成する半導体モジュール40の正極端子63B1,63B2と、W相及びX相の上下アームを構成する半導体モジュール40のうち、W相の上下アームに対応する正極端子63B1が接続されている。反時計回りに延設された負極バスバー27Eには、U相及びV相の上下アームを構成する半導体モジュール40の負極端子63E1,63E2と、W相及びX相の上下アームを構成する半導体モジュール40のうち、W相の上下アームに対応する負極端子63E1が接続されている。
一方、時計回りに延設された正極バスバー27Bには、W相及びX相の上下アームを構成する半導体モジュール40のうち、X相の上下アームに対応する正極端子63B2と、Y相及びZ相の上下アームを構成する半導体モジュール40の正極端子63B1,63B2が接続されている。時計回りに延設された負極バスバー27Eには、W相及びX相の上下アームを構成する半導体モジュール40のうち、X相の上下アームに対応する負極端子63E2と、Y相及びZ相の上下アームを構成する半導体モジュール40の負極端子63E1,63E2が接続されている。
このように、3つの半導体モジュール40は、U相及びV相の上下アームを構成する半導体モジュール40、W相及びX相の上下アームを構成する半導体モジュール40、Y相及びZ相の上下アームを構成する半導体モジュール40の順に、回転軸133周りに配置されている。
(回転電機の動作)
まず、車両を駆動するための駆動力を発生する際の動作について説明する。
車両のイグニッションスイッチがオン状態になると、正極バスバー27B及び負極バスバー27E等を介してインバータ回路部23に直流が供給される。また、その他の配線用のバスバー及び配線基板22を介して、界磁回路部25及び制御回路部26に直流が供給される。
直流が供給されることで、界磁回路部25及び制御回路部26が動作を開始する。制御回路部26は、外部、たとえばエンジンECUなどから入力される信号に基づいて、インバータ回路部23及び界磁回路部25を制御する。界磁回路部25は、制御回路部26によって制御され、ブラシ16及びスリップリング15を介して回転子巻線131に直流を供給する。
インバータ回路部23は、制御回路部26によって制御され、正極バスバー27B及び負極バスバー27Eなどを介して供給された直流を交流に変換する。制御回路部26により、スイッチング素子70のオンオフが制御され、電流の流れる方向が順次切り替えられて、直流が交流に変換される。インバータ回路部23により変換された交流は、出力バスバー27P1,27P2などを介して固定子巻線121に供給される。これにより、回転電機部10は、車両を駆動するため駆動力を発生する。
このとき、回転角度検出素子により、回転子13の回転状態が検出される。また、半導体モジュール40が備えるシャント抵抗器901により、固定子巻線121の各相を流れる電流が検出される。制御回路部26は、これら検出値を利用して、回転電機1の回転を制御する。
次に、バッテリを充電するための電力を発生する際の動作について説明する。
スリップリング15及びブラシ16を介して回転子巻線131に直流が供給されて磁極が形成された状態で、エンジンから駆動力が供給されると、固定子巻線121a,121bがそれぞれ交流(三相交流)を発生する。インバータ回路部23は、制御回路部26によって制御され、固定子巻線121から出力バスバー27P1,27P2などを介して供給される交流を直流に変換する。制御回路部26により、スイッチング素子70のオンオフが制御され、電流の流れる方向が順次切り替えられて、交流が整流される。スイッチング素子70のデッドタイムにおいては、寄生ダイオードにより、交流が整流される。インバータ回路部23により変換された直流は、バッテリに供給される。これにより、バッテリは、回転電機部10の発生した電力によって充電される。
(半導体モジュール詳細)
半導体モジュール40の説明において、スイッチング素子70の厚み方向をZ方向、Z方向に直交し、複数の信号端子64の並び方向をX方向と示す。また、Z方向及びX方向の両方向に直交する方向をY方向と示す。特に断わりのない限り、XY面視したときの形状(XY平面に沿う形状)を平面形状とする。XY面視は、Z方向の投影視とも言える。Z方向は、軸方向に略一致している。また、リードフレーム60におけるX方向の中心に近い位置を内側、遠い位置を外側と示す。また、Z方向において、封止樹脂体50の裏面50bから一面50aに向かう方向を上方、一面50aから裏面50bに向かう方向を下方と示す。
図6〜図21に示すように、半導体モジュール40は、封止樹脂体50と、リードフレーム60と、スイッチング素子70と、駆動部80と、架橋部材90を備えている。なお、図14〜図20では、封止樹脂体50を省略している。図21では、スイッチング素子70、駆動部80、及び架橋部材90が実装されており、封止樹脂体50を成形する前の状態、すなわちタイバーカット前のリードフレーム60を示している。図14〜図20では、便宜上、ボンディングワイヤ41を省略している。半導体モジュール40は、半導体パッケージ、スイッチングモジュール、半導体装置とも称される。
(封止樹脂体)
封止樹脂体50は、リードフレーム60の一部、スイッチング素子70、駆動部80、及び架橋部材90を一体的に封止している。封止樹脂体50は、たとえばエポキシ系の樹脂を用いて形成されている。
図6〜図13に示すように、封止樹脂体50は、Z方向の面である一面50aと、一面50aと反対の裏面50bと、一面50a及び裏面50bを繋ぐ側面を有している。半導体モジュール40は、封止樹脂体50の裏面50b側がヒートシンク24に接触するように配置される。本実施形態では、封止樹脂体50が略直方体とされており、4つの側面を有している。Y方向の第1側面である側面50cと、側面50cと反対の第2側面である側面50dから、主端子63及び信号端子64が突出している。
本実施形態では、トランスファモールド法によって、封止樹脂体50が成形されている。図6及び図7などに示すように、封止樹脂体50は、凹部51を有している。凹部51は、一面50a及び側面50cに開口している。凹部51の底面は、略平坦とされている。凹部51は、正極端子63B1,63B2に対応して2つ設けられている。凹部51は、Z方向からの投影視において、対応する正極端子63B1,63B2と重なる位置に設けられている。凹部51は、正極端子63B1,63B2と正極バスバー27Bを溶接する際に、治具の一部が挿入可能に設けられている。
図7及び図8に示すように、封止樹脂体50は、図示しない成形型に設けられたエアベント由来の凸部52を有している。凸部52は、側面50c,50dから突出している。エアベントは、成形時のエア巻き込みによるボイドやウエルドラインを低減するために、成形型を構成する上型及び下型それぞれに設けられている。エアベントは、上型及び下型の側面50c,50dを形成する部分において、Z方向からの投影視で主端子63のそれぞれと重なる位置に設けられている。このため、Z方向において、凸部52の間に主端子63が配置されている。
なお、図6〜図8に示す符号53は、エジェクタピン由来のピン痕である。図6及び図7に示す符号54は、成形型のゲート痕である。
(リードフレーム)
リードフレーム60は、金属製の板材である。リードフレーム60は、金属板を打ち抜き、曲げ加工して形成されている。リードフレーム60は、アイランド61と、配線部62と、外部接続用端子である主端子63及び信号端子64と、ダミー端子65を備えている。リードフレーム60は、X方向の中心に対してほぼ線対称とされている。図21では、リードフレーム60のX方向の中心を一点鎖線で示している。
図14〜図16及び図21に示すように、アイランド61には、スイッチング素子70及び駆動部80が配置されている。リードフレーム60は、スイッチング素子70及び駆動部80が個別に配置される5つのアイランド610〜614を有している。アイランド610〜614は、互いに略同じ厚みとされ、Z方向において同一面内に配置されている。アイランド610〜614は、X方向の中心に対して線対称配置とされている。
アイランド610は、駆動部80が配置される部分である。アイランド611〜614は、スイッチング素子70が配置され、配置されたスイッチング素子70のドレイン電極が接続される部分である。アイランド611にはスイッチング素子700Hが配置され、アイランド612にはスイッチング素子700Lが配置される。アイランド613にはスイッチング素子701Hが配置され、アイランド614にはスイッチング素子701Lが配置される。アイランド611〜614のXY面に沿う面積は、互いに略等しくされている。
図8に示すように、アイランド610において、駆動部80の配置面と反対の放熱面610aは、封止樹脂体50の裏面50bから露出されている。同じく、アイランド611〜614において、スイッチング素子70の配置面と反対の放熱面611a〜614aは、裏面50bから露出されている。これにより、放熱面610a〜614aから効率よく放熱することができる。アイランド61のうち、放熱面610a〜614aを除く部分は、封止樹脂体50によって封止されている。図12などに示すように、アイランド61それぞれの側面には、封止樹脂体50の剥離を抑制するために、凸部が設けられている。
アイランド610は、平面略矩形状をなしている。アイランド610は、X方向においてリードフレーム60の中心に配置されている。アイランド610は、図16及び図21などに示すように、信号端子64とは反対側の端部中央からY方向に突出する凸部610bを有している。
図21に示すように、スイッチング素子700H,701Hのパッド71及びアイランド611,613と、駆動部80とを、ボンディングワイヤ41により接続する際に、図示しないクランプ治具にて凸部610bを押さえることができる。これにより、アイランド610が安定し、ボンディング性を向上することができる。凸部610bは、ボンディングワイヤ41の邪魔にならない位置に設ければよい。たとえば、スイッチング素子700H,701Hのパッド71間の距離が本実施形態よりも短い場合には、中央ではなく両端に凸部610bを設けてもよい。
アイランド611〜614は、アイランド610の周りに配置されている。下アーム側のスイッチング素子700L,701Lが配置されたアイランド612,614は、X方向において、間にアイランド610を挟むように設けられている。アイランド612,614は、X方向において互いに線対称配置とされている。アイランド612,614は、ともに平面略矩形状をなしている。アイランド612,614は、X方向において、アイランド610との間にそれぞれ所定の間隙を有している。
上アーム側のスイッチング素子700H,701Hが配置されたアイランド611,613は、アイランド610に対し、Y方向において信号端子64とは反対側に設けられている。アイランド611,613は、所定の間隙を有しつつX方向に並んで配置されている。アイランド611,613は、X方向において互いに線対称配置とされている。アイランド611,613は、ともに平面略矩形状をなしている。アイランド611は、Y方向においてアイランド610,612と対向している。アイランド613は、Y方向においてアイランド610,614と対向している。
アイランド611,613は、図16及び図21などに示すように、信号端子64側の端部からY方向に突出する凸部611b,613bをそれぞれ有している。凸部611b,613bは、Y方向においてアイランド610と対向するように設けられている。凸部611bは、X方向においてアイランド613側の端に設けられている。凸部611bにおいて、アイランド613から離れた位置にボンディングワイヤ41が接続されている。このボンディングワイヤ41は、スイッチング素子700Hのドレイン電位を検出するために接続されている。
凸部613bは、X方向においてアイランド611側の端に設けられている。凸部613bにおいて、アイランド611から離れた位置にボンディングワイヤ41が接続されている。このボンディングワイヤ41は、スイッチング素子701Hのドレイン電位を検出するために接続されている。
配線部62は、アイランド611,612を接続する配線部620と、アイランド612と負極端子63E1を接続する配線部621と、アイランド613,614を接続する配線部622と、アイランド614と負極端子63E2を接続する配線部623を有している。
配線部620は、アイランド612における信号端子64とは反対の端部に連なっている。配線部620は、アイランド612においてアイランド610側とは反対の端に連なっている。配線部620はY方向に延設され、その先端部分がX方向においてアイランド611との間に所定の間隙を有しつつ、アイランド611と並んで配置されている。配線部620は、アイランド611に対してX方向外側に配置されている。配線部621は、負極端子63E1に連なっている。配線部621は負極端子63E1からY方向に延びて、その先端部がX方向においてアイランド612との間に所定の間隙を有しつつ、アイランド612と並んで配置されている。配線部621は、アイランド612に対してX方向外側に配置されている。
配線部622は、アイランド614における信号端子64とは反対の端部に連なっている。配線部622は、アイランド614においてアイランド610側とは反対の端に連なっている。配線部622はY方向に延設され、その先端部分がX方向においてアイランド613との間に所定の間隙を有しつつ、アイランド613と並んで配置されている。配線部622は、アイランド613に対してX方向外側に配置されている。配線部623は、負極端子63E2に連なっている。配線部623は負極端子63E2からY方向に延びて、その先端部がX方向においてアイランド614との間に所定の間隙を有しつつ、アイランド614と並んで配置されている。配線部623は、アイランド614に対してX方向外側に配置されている。
Y方向におけるアイランド610の位置では、X方向に配線部621、アイランド612、アイランド610、アイランド614、配線部623の順に並んで配置されている。また、Y方向におけるアイランド611,613の位置では、X方向に配線部621、配線部620、アイランド611、アイランド613、配線部622、配線部623の順に並んで配置されている。上アーム側の配線部620,621と下アーム側の配線部622,623は、X方向において線対称配置とされている。
図8に示すように、配線部620〜623において、架橋部材90の配置面とは反対の放熱面620a〜623aは、封止樹脂体50の裏面50bから露出されている。放熱面620a〜623aは、スイッチング素子70側の面とは反対の面である。これにより、放熱面620a〜623aからも放熱することができる。裏面配線部620〜623のうち、放熱面620a〜623aを除く部分は、封止樹脂体50によって封止されている。放熱面610a〜614a,620a〜623aは、成形型に放熱面610a〜614a,620a〜623aを成形型に接触させることで、裏面50bから露出されている。図12などに示すように、配線部62それぞれの側面には、封止樹脂体50の剥離を抑制するために、凸部が設けられている。
図14及び図20などに示すように、リードフレーム60において、アイランド61及び配線部62の部分が、主端子63、信号端子64、及びダミー端子65の部分よりも厚肉とされている。Y方向において、リードフレーム60の中央部分が、中央部分よりも外側の部分に対して厚肉とされている。図21に示す破線間が、厚肉部分である。このように、異形条のリードフレーム60を採用すると、スイッチング素子70及び駆動部80の熱を効率よく放熱させることができる。また、アイランド61及び配線部62が厚肉とされているため、封止樹脂体50の硬化収縮にともなうリードフレーム60の反りを抑制することができる。一方、外部接続用端子である主端子63及び信号端子64が薄肉とされているため、打ち抜きや曲げ加工性を向上することができる。また、信号端子64を狭ピッチ化することもできる。
主端子63は、上記したように、正極端子63B1,63B2と、負極端子63E1,63E2と、出力端子63P1,63P2を有している。正極端子63B1,63B2は、バッテリの正極側に接続される電源端子である。正極端子63B1,63B2は、高電位側の直流端子とも称される。正極端子63B1は、スイッチング素子700Hのアイランド611に連なっている。正極端子63B1は、アイランド611においてアイランド613側とは反対の端に連なっている。正極端子63B1は、アイランド611における信号端子64とは反対の端部からY方向に延設されて封止樹脂体50の側面50cから突出し、封止樹脂体50の外部で屈曲されて、Z方向上方に延びている。
正極端子63B2は、スイッチング素子701Hのアイランド613に連なっている。正極端子63B2は、アイランド613においてアイランド611側とは反対の端に連なっている。正極端子63B2は、アイランド613における信号端子64とは反対の端部からY方向に延設されて側面50cから突出し、封止樹脂体50の外部で屈曲されて、Z方向上方に延びている。正極端子63B1,63B2は、X方向において互いに線対称配置とされている。
負極端子63E1,63E2は、バッテリの負極側に接続される電源端子である。負極端子E1,E2は、低電位側の直流端子とも称される。負極端子63E1は、正極端子63B1に対してX方向外側に配置されている。負極端子63E1は、Y方向に延設されて側面50cから突出し、封止樹脂体50の外部で屈曲されて、Z方向上方に延びている。負極端子63E2は、正極端子63B2に対してX方向外側に配置されている。負極端子63E2は、Y方向に延設されて側面50cから突出し、封止樹脂体50の外部で屈曲されて、Z方向上方に延びている。負極端子63E1,63E2は、X方向において互いに線対称配置とされている。
正極端子63B1,63B2及び負極端子63E1,63E2は、X方向において、負極端子63E1、正極端子63B1、正極端子63B2、負極端子63E2の順に並んで配置されている。X方向において、負極端子63E1と正極端子63B1との距離、及び、負極端子63E2と正極端子63B2との距離は、正極端子63B1,63B2間の距離よりも短くされている。正極端子63B1,63B2及び負極端子63E1,63E2は、YZ面において略L字状をなしている。
正極端子63B1,63B2及び負極端子63E1,63E2は、図7、図9、図14、及び図16などに示すように、タイバー痕66a,66bをそれぞれ有している。タイバー痕66a,66bはタイバー66の切断痕であり、X方向にわずかに突出している。タイバー痕66aは、Y方向においてアイランド61に近い1段目のタイバー660aの切断痕であり、タイバー痕66bは、タイバー660aよりもアイランド61から離れた2段目のタイバー660bの切断痕である。正極端子63B1,63B2及び負極端子63E1,63E2は、それぞれの延設方向において、タイバー痕66a,66bの間に屈曲部を有している。
出力端子63P1,63P2は、交流端子とも称される。出力端子63P1は、アイランド612に連なっている。出力端子63P1は、アイランド612においてアイランド610側とは反対の端に連なり、途中まで、X方向においてアイランド612から遠ざかるように斜めに延設されている。具体的には、X方向においてスイッチング素子700Lとは重ならない位置まで、斜めに延設されている。そして、その先でY方向に延設されて正極端子63B1とは反対の側面50dから突出し、封止樹脂体50の外部で屈曲されて、さらにZ方向上方に延びている。
出力端子63P2は、アイランド614に連なっている。出力端子63P2は、アイランド614においてアイランド610側とは反対の端に連なり、途中まで、X方向においてアイランド614から遠ざかるように斜めに延設されている。具体的には、X方向においてスイッチング素子701Lとは重ならない位置まで、斜めに延設されている。そして、その先でY方向に延設されて側面50dから突出し、封止樹脂体50の外部で屈曲されて、さらにZ方向上方に延びている。出力端子63P1,63P2も、YZ面において略L字状をなしている。出力端子63P1,63P2は、X方向において互いに線対称配置とされている。
出力端子63P1,63P2も、タイバー痕66a,66bをそれぞれ有している。タイバー痕66aは、Y方向においてアイランド61に近い1段目のタイバー661aの切断痕であり、タイバー痕66bは、タイバー661aよりもアイランド61から離れた2段目のタイバー661bの切断痕である。出力端子63P1,63P2は、それぞれの延設方向において、タイバー痕66a,66bの間に屈曲部を有している。
図6及び図14などに示すように、主端子63のそれぞれにおいて、屈曲部の幅が狭くされている。主端子63では、屈曲部を含むように幅狭部63aが設けられ、延設方向において幅狭部63aを挟むように幅広部が設けられている。具体的には、タイバー痕66a,66bを有する部分がそれぞれ幅広部とされ、その間に屈曲部を含む幅狭部63aが設けられている。このように、主電流が流れる主端子63において、屈曲部を形成する部分の幅を狭くして剛性を低くしたため、屈曲部を形成する際の曲げ荷重を小さくすることができる。また、曲げ精度を向上することもできる。
図6及び図9などに示すように、主端子63のそれぞれにおいて、突出先端の角部が面取りされている。換言すれば、テーパ形状とされている。これにより、バスバー27とのアーク溶接時において、角部への電界集中を抑制することができる。本実施形態では、回転電機1を回転させるために、主端子63に比較的大きな電流(数十アンペア)が流れるため、主端子63の幅が広い。これに対し、面取り構造を採用することで、幅方向中央で安定して溶接を行うことができる。
信号端子64は、外部に信号を出力、又は、外部から信号を入力するための端子である。複数の信号端子64は、X方向に並んで配置されている。各信号端子64は、Y方向に延設されて側面50dから突出し、封止樹脂体50の外部で屈曲されて、Z方向上方に延びている。信号端子64も、YZ面において略L字状をなしている。本実施形態では、信号端子64が、配線基板22に挿入実装される。
図16、図19、及び図21などに示すように、信号端子64は、配線基板22に接続されて、グランド電位(GND)とされる信号端子640を含んでいる。信号端子640は、複数の信号端子64の真ん中に配置されている。信号端子640は、アイランド610における信号端子64側の端部中央に連なっている。信号端子640は、リードフレーム60におけるX方向の中心に配置されている。
図21に示すように、信号端子640は、ボンディングワイヤ41によって、駆動部80のパッド81と接続されている。このように、グランド電位の信号端子640を設けたので、負極端子63E1,63E2や負極端子63E1,63E2に連なる配線部621,623にボンディングワイヤ41を接続して、グランド電位を確保しなくてもよい。すなわち、アイランド612,614や配線部620,622など、他の電位の部分を跨いでボンディングワイヤ41を接続しなくてもよい。したがって、ボンディングワイヤ41が他の電位の部分に接触し、ショートが発生するのを抑制することができる。
図16及び図21などに示すように、信号端子64は、2つの信号端子641を含んでいる。信号端子641の1つは、アイランド612における信号端子64側の端部に連なっており、別の信号端子641は、アイランド614における信号端子64側の端部に連なっている。アイランド612は、配線部620及びクリップ900を介して、スイッチング素子700Hのソース電極72に接続されている。アイランド614は、配線部622及びクリップ900を介して、スイッチング素子701Hのソース電極72に接続されている。
配線部620及びアイランド612は、スイッチング素子700Hのソース電極72と出力端子63P1とを繋ぐ配線である。配線部622及びアイランド614は、スイッチング素子701Hのソース電極72と出力端子63P2とを繋ぐ配線である。信号端子641には、制御回路部26の駆動回路から、上アーム側の駆動信号の基準となる駆動用のソース電位が供給される。したがって、出力端子63P1,63P2からソース電位が供給される構成に較べて、配線のインダクタンスを低減することができる。これにより、制御回路部26によるスイッチング素子70の制御性を向上し、スイッチングの遅延などを抑制することができる。なお、シャント抵抗器901の高電位側とボンディングワイヤ41を介して接続される信号端子64に、制御回路部26の駆動回路から、下アーム側の駆動信号の基準となる駆動用のソース電位が供給される。
本実施形態では、半導体モジュール40が、15本の信号端子64を有している。上記したように、1本がグランド電位用の信号端子640であり、2本が上アーム側のソース電位用の信号端子641である。残りの12本のうち、4本がスイッチング素子70それぞれの駆動信号用であり、4本が2つのシャント抵抗器901用である。1本が配線基板22側からの電源VCC(たとえば5V)取得用であり、1本が感温ダイオードのいずれか1つの順方向電圧Vfの出力用である。1本が異常などの通知用であり、1本がボンディングワイヤ41が接続されていない予備である。
図19及び図21に示すように、信号端子640を除く信号端子64は、クランク形状の部分であるクランク部64aを少なくとも1つ有している。クランク部64aを有することで、X方向において、複数の信号端子64の占める幅が、アイランド61側の端部、すなわち、ボンディングワイヤ41の接続側よりも、配線基板22との接続側で狭くされている。
本実施形態では、クランク部64aを2つ有する信号端子64において、クランク部64a間の直線部分の長さが2mm以上となるように、クランク部64aの位置が設定されている。クランク部64aの1つはタイバー661aの近傍に設けられ、別のクランク部64aはタイバー661bの近傍に設けられている。これにより、型(ダイ)を用いて信号端子64を曲げ加工する際に、信号端子64の擦れによる型の摩耗を低減することができる。また、曲げ精度を向上することもできる。
図6及び図7に示すように、信号端子64における配線基板22への実装部分は、XY面において千鳥配置とされている。すなわち、X方向において隣り合う信号端子64が、Y方向にずれて配置されている。信号端子64は、2段配置とされている。これにより、X方向において信号端子64の占めるスペースを低減し、ひいては半導体モジュール40を小型化することができる。また、配線基板22も小型化することができる。さらには、隣り合う信号端子64がY方向において離れた位置となるため、端子間でのノイズや干渉を低減することができる。
信号端子64は、X方向において、出力端子63P1,63P2の間に配置されている。図22は、出力端子63P1,63P2と信号端子64の配置イメージを示す模式図である。図22の上段が本実施形態を示し、真ん中の段と下段の2つは参考例を示している。参考例においては、本実施形態の関連する要素の符号に対し、末尾にrを付与している。本実施形態では、出力端子63P1,63P2の間に信号端子64が集約されている。信号端子64のX方向両端に、出力端子63P1,63P2が配置されている。このため、出力端子63P1と一端側の信号端子64との間に、破線で示す空きのスペース64bが生じ、出力端子63P2と他端側の信号端子64との間にも同様にスペース64bが生じる。
これに対し、真ん中の段の参考例では、出力端子63P1rが本実施形態同様の配置とされ、出力端子63P2rが信号端子64rの間に配置されて、複数の信号端子64rが二分されている。これによれば、出力端子63P2rの両側にスペース64brが生じる。また、下段の参考例では、出力端子63P1r,63P2rが隣り合って配置されるとともに、出力端子63P1r,63P2rによって複数の信号端子64rが二分されている。これによれば、出力端子63P1r,63P2rそれぞれの両側にスペース64brが生じる。したがって、本実施形態のように、出力端子63P1,63P2の間に信号端子64を集約することで、X方向において外部接続用端子の配置スペースを小さくすることができる。すなわち、無駄なスペースを減らし、半導体モジュール40の体格を小型化することができる。
図16及び図21に示すように、信号端子64におけるアイランド61側の端部、すなわち、ボンディングワイヤ41の接続部分は、信号端子64の他の部分よりも、X方向の幅が広くされている。このように、信号端子64におけるアイランド61側の端部の幅が広いため、ボンディングワイヤ41を安定的に接続することができる。一方、ボンディングワイヤ41との接続部分を除く部分の幅は狭いため、上記したクランク部64aとも相俟って、信号端子64の配置スペースを小さくすることができる。また、幅の広いアイランド61側の端部が封止樹脂体50に引っかかるため、ロックホール効果により、配置スペースを小さくしつつも信号端子64の抜けを抑制することができる。
リードフレーム60において、ボンディングワイヤ41の接続部分は、平坦とされている。ボンディングワイヤ41は、信号端子64と、上記した凸部611b,613bにそれぞれ接続されている。凸部611b,613bにおける接続部分及び信号端子64における接続部分は、いずれも平坦とされている。具体的には、叩くことで接続部分の平坦度が確保されている。これにより、ボンディングワイヤ41の接続信頼性を向上することができる。また、打ち抜き加工することでリードフレーム60を形成する際に生じる図示しないバリを叩いて潰し、ボンディング時の異物噛み込みを抑制することもできる。
ダミー端子65は、電気的な接続機能を提供せず、タイバーカット前の状態で、タイバー66に連結される部分である。図7及び図16などに示すように、ダミー端子65の一部は、Y方向に延設されて封止樹脂体50の側面50cから突出している。ダミー端子65の残りは、Y方向に延設されて側面50dから突出している。それぞれ4つのダミー端子65が配置されている。
正極端子63B1,63B2及び負極端子63E1,63E2側において、アイランド611,613及び配線部620,622のそれぞれにダミー端子65が連なっている。図16などに示すように、ダミー端子65の1つは、アイランド611における信号端子64とは反対の端部であって、正極端子63B1側とは反対の端からY方向に延設されている。別のダミー端子65は、アイランド613における信号端子64とは反対の端部であって、正極端子63B2側とは反対の端からY方向に延設されている。別のダミー端子65は、配線部620の先端、すなわちアイランド612とは反対の端部からY方向に延設されている。別のダミー端子65は、配線部622の先端、すなわちアイランド614とは反対の端部からY方向に延設されている。
X方向において、負極端子63E1と正極端子63B1の間、負極端子63E2と正極端子63B2の間に、ダミー端子65がそれぞれ1つ配置されている。また、正極端子63B1,63B2の間に2つのダミー端子65が配置されている。図21に示すように、正極端子63B1,63B2及び負極端子63E1,63E2側のダミー端子65は、1段目のタイバー660aまでそれぞれ延設されている。このため、タイバーカット後の状態では、図7及び図16などに示すように、正極端子63B1,63B2及び負極端子63E1,63E2が有するタイバー痕66aとY方向においてほぼ同じ位置まで延設されている。
出力端子63P1,63P2及び信号端子64側において、ダミー端子65の1つは、配線部621の先端、すなわち負極端子63E1とは反対の端部からY方向に延設されている。別のダミー端子65は、配線部623の先端、すなわち負極端子63E2とは反対の端部からY方向に延設されている。残りの2つのダミー端子65は、ボンディングワイヤ41を介してシャント抵抗器901と接続される信号端子64の一部に連なり、該信号端子64の外側にそれぞれ配置されている。
X方向において、出力端子63P1,63P2の外側にダミー端子65がそれぞれ1つ配置されている。また、出力端子63P1,63P2と信号端子64との間にダミー端子65がそれぞれ1つ配置されている。図21に示すように、出力端子63P1,63P2及び信号端子64側のダミー端子65は、1段目のタイバー661aまで延設されている。このため、タイバーカット後の状態では、図7及び図16などに示すように、出力端子63P1,63P2及び信号端子64が有するタイバー痕66aとY方向においてほぼ同じ位置まで延設されている。
このように、ダミー端子65は、タイバー痕66aとほぼ同じ位置まで延設されている。すなわち、主端子63及び信号端子64の屈曲部よりも手前の位置までしか延設されていない。このため、ダミー端子65は、主端子63及び信号端子64とは異なり、屈曲部を有していない。ダミー端子65の幅は、主端子63の幅よりも狭くされている。
(スイッチング素子)
スイッチング素子70は縦型構造をなしており、チップの厚み方向であるZ方向の両面に主電極を有している。また、一方の面に、第1パッドである上記したパッド71を有している。本実施形態では、アイランド61との対向面に図示しないドレイン電極が形成され、ドレイン電極形成面と反対の面にソース電極72が形成されている。パッド71は、ソース電極72と同じ主面において、ソース電極72とは異なる位置に形成されている。スイッチング素子70には、感温ダイオードが一体的に形成されている。
スイッチング素子70は、平面矩形状をなしている。図21に示すように、パッド71は、スイッチング素子70の1つの辺、具体的には駆動部80との対向辺に沿って配置されている。本実施形態では、スイッチング素子70が4つのパッド71を有しており、ソース電位検出用、ゲート電極用、感温ダイオードのアノード用、カソード用の順に並んで配置されている。
スイッチング素子70は、上記したように、第1の上下アームを構成する上アーム側のスイッチング素子700Hと、第1の上下アームを構成する下アーム側のスイッチング素子700Lを有している。また、第2の上下アームを構成する上アーム側のスイッチング素子701Hと、第2の上下アームを構成する下アーム側のスイッチング素子701Lを有している。
スイッチング素子700Hはアイランド611に配置され、スイッチング素子700Lはアイランド612に配置されている。スイッチング素子701Hはアイランド613に配置され、スイッチング素子701Lはアイランド614に配置されている。上アーム側のスイッチング素子700H,701Hは、対応するアイランド611,613同様、X方向において線対称配置とされている。下アーム側のスイッチング素子700L,701Lは、対応するアイランド612,614同様、X方向において線対称配置とされている。
上アーム側のスイッチング素子700H,701Hは、パッド71とソース電極72の並び方向がY方向となるように配置されている。すなわち、パッド71の並び方向がX方向となるように配置されている。一方、下アーム側のスイッチング素子700L,701Lは、パッド71とソース電極72の並び方向がX方向となるように配置されている。すなわち、パッド71の並び方向がY方向となるように配置されている。
図16及び図21などに示すように、スイッチング素子70は、対応するアイランド61に対して、お互いの中心が略一致するように位置決め配置されている。下アーム側のスイッチング素子700L,701Lは、同じ相の上アーム側のスイッチング素子700H,701Hに対して、X方向外側に配置されている。X方向において、スイッチング素子700L、スイッチング素子700H、スイッチング素子701H、スイッチング素子701Lの順に並んでいる。
各スイッチング素子70のドレイン電極に接続される正極端子63B1,63B2及び出力端子63P1,63P2は、スイッチング素子70と同じ側から見ると、出力端子63P1、正極端子63B1、正極端子63B2、出力端子63P2の順に並んでいる。このように、スイッチング素子70の並び順と、正極端子63B1,63B2及び出力端子63P1,63P2の並び順が一致している。また、主端子63及び信号端子64は、相対する側面50c,50dのみから突出している。以上の配置を採用することにより、リードフレーム60のレイアウトがシンプルとなり、配線密度を上げて半導体モジュール40の体格を小型化することができる。また、封止樹脂体50の2面のみから主端子63及び信号端子64が突出しているため、制御装置部20を構成する際にも、バスバー27との接続構造を簡素化することができる。
図12、図13、及び図15に示すように、スイッチング素子70のドレイン電極は、はんだ42を介して対応するアイランド61と接続されている。ソース電極72は、はんだ42を介して、対応する架橋部材90と接続されている。スイッチング素子700Hのドレイン電極がアイランド611と接続され、スイッチング素子700Lのドレイン電極がアイランド612と接続されている。スイッチング素子701Hのドレイン電極がアイランド613と接続され、スイッチング素子701Lのドレイン電極がアイランド614と接続されている。
(駆動部)
駆動部80は、スイッチング素子70を駆動させる。本実施形態では、制御回路部26の駆動回路にて生成された駆動信号が、駆動部80を介して、スイッチング素子70それぞれのゲート電極に入力される。すなわち、駆動部80から出力された駆動信号により、スイッチング素子70が駆動される。駆動部80は、ASICなどのICチップとして構成されている。図15に示すように、駆動部80は、Agペーストなどの導電性接着材43を介してアイランド610に固定されている。駆動部80におけるアイランド610への固定面と反対の面には、第2パッドである複数のパッド81が形成されている。
図21に示すように、パッド81の一部は、ボンディングワイヤ41を介して、スイッチング素子70のパッド71に接続されている。別のパッド81は、ボンディングワイヤ41を介して、アイランド611,613に接続されている。パッド81の残りは、ボンディングワイヤ41を介して、信号端子64に接続されている。
駆動部80は、スイッチング素子70の保護するための回路を有している。たとえば、スイッチング素子70それぞれのゲート−ソース間電圧Vgsを検出する回路と、ドレイン−ソース間電圧Vdsを検出する回路を有している。駆動部80は、パッド71から、ボンディングワイヤ41を介してソース電位を取得する。また、アイランド611,613から、ボンディングワイヤ41を介してドレイン電位を取得する。駆動部80は、それぞれの感温ダイオードの順方向電圧Vfを検出する回路を有している。駆動部80は、パッド71からボンディングワイヤ41を介して、アノード電位及びカソード電位を取得する。
さらに駆動部80は、ゲート−ソース間電圧Vgs、ドレイン−ソース間電圧Vds、及び順方向電圧Vfに基づいて、スイッチング素子70の異常を判定する判定回路を有している。判定回路は、具体的には、スイッチング素子70の過熱、過電流、上下アーム同時オンなどが生じているか否かを判定する。駆動部80は、判定結果を、信号端子64を通じて制御回路部26に通知する通知回路を有している。
駆動部80は、平面略矩形状をなしている。駆動部80は、X方向においてリードフレーム60の中心線に対し、線対称配置とされている。X方向において、駆動部80の中心がリードフレーム60の中心線と略一致している。また、X方向において、駆動部80の中心がアイランド610の中心と略一致している。したがって、下アーム側のスイッチング素子700L,701Lは、駆動部80に対して線対称配置とされている。
駆動部80は、下アーム側のスイッチング素子700L,701Hの間に配置されている。上アーム側のスイッチング素子700Hは、Y方向においてスイッチング素子700L及び駆動部80と対向している。スイッチング素子700Hのパッド71は、アイランド610よりもX方向外側に配置されている。上アーム側のスイッチング素子701Hは、Y方向においてスイッチング素子701L及び駆動部80と対向している。スイッチング素子701Hのパッド71は、アイランド610よりもX方向外側に配置されている。
(ボンディングワイヤを考慮した配置)
図21などに示すように、Z方向からの平面視において、4つのスイッチング素子70が、駆動部80の周りに配置されている。これにより、スイッチング素子70のパッド71と駆動部80とを接続するボンディングワイヤ41の長さを短くすることができる。中継用の配線基板が不要であるので、部品点数を削減し、ひいては半導体モジュール40の体格を小型化することができる。また、封止樹脂体50を成形する際に、ボンディングワイヤ41に断線や接続不良などが生じるのを抑制することができる。長さが短いため、ボンディングワイヤ41が他の部分に接触するのを抑制することもできる。すなわち、ボンディングワイヤ41の不良を抑制することができる。また、ボンディングワイヤ41の配線密度を向上して無駄なスペースを低減し、半導体モジュール40の体格を小型化することもできる。
上記したように駆動部80が平面略矩形状をなしており、図21に示すように、駆動部80のパッド81がスイッチング素子70のそれぞれとの対向辺に設けられている。本実施形態では、駆動部80の連続する3辺に、スイッチング素子70と接続されるパッド81が集約されている。これにより、ボンディングワイヤ41の長さを短くすることができる。したがって、成形時におけるボンディングワイヤ41の不良を低減できる。また、半導体モジュール40の体格を小型化することもできる。なお、駆動部80のうち、残りの1辺には、信号端子64と接続されるパッド81のみが配置されている。
スイッチング素子70は、詳しくは略正方形をなしている。図21に示すように、パッド71は、スイッチング素子70の1つの辺の中央付近に、該辺に沿って並んで配置されている。このように、パッド71を1つの辺の中央に配置したため、スイッチング素子70を1種類のチップとして共通化することができる。また、共通化しながらも、90度配置が異なる上アーム側と下アーム側とで、パッド71,81に対してボンディングワイヤ41を接続することができる。また、ボンディングワイヤ41の長さを短くすることができる。
図21などに示すように、信号端子64は、Y方向において、駆動部80の1辺側にまとめて配置されている。すべての信号端子64は、駆動部80に対して、上アーム側のスイッチング素子700H,701Hとは反対側に配置されている。スイッチング素子70は、駆動部80の残りの3辺と対向している。これによれば、信号端子64も含めて、駆動部80との接続構造を簡素化することができる。よって、ボンディングワイヤ41の長さを短くし、半導体モジュール40の体格を小型化することができる。
(熱を考慮した配置)
出力端子63P1,63P2は、出力バスバー27P1,27P2を介して、回転電機部10の固定子巻線121と接続されるため、回転電機部10側から熱が伝わる。このため、下アーム側のスイッチング素子が熱の影響を受けやすい。これに対し、本実施形態では、下アーム側のスイッチング素子700L,701Lの間に駆動部80が配置されている。また、X方向において、スイッチング素子700H,701Hが線対称配置とされ、スイッチング素子700L,701Lが線対称配置とされている。すなわち、4つのスイッチング素子70が、XY面内において均等配置されている。そして、図16に示すように、上アーム側のスイッチング素子700H,701H間の距離をL1、下アーム側のスイッチング素子700L,701L間の距離をL2とすると、距離L2のほうが距離L1よりも長くされている。
このような配置により、図23に示すように、回転電機部10からのもらい熱によって高温となるスイッチング素子700L,701L同士を遠ざけている。これにより、スイッチング素子700L,701L間の熱干渉を、スイッチング素子700H,701H間の熱干渉よりも低減することができる。したがって、XY面において局所的な過熱を抑制し、すべてのスイッチング素子70について熱による性能低下を抑制することができる。図23では、封止樹脂体50及びボンディングワイヤ41の図示を省略している。
上記したように、アイランド611〜614のそれぞれにおいて、スイッチング素子70の配置面とは反対の放熱面611a〜614aが、封止樹脂体50から露出されている。したがって、スイッチング素子70の熱を効果的に放熱することができる。
上記したように、アイランド610において、駆動部80の配置面とは反対の放熱面610aが、封止樹脂体50から露出されている。これにより、駆動部80の発生した熱及び駆動部80の周りに配置されたスイッチング素子70からのもらい熱を、効果的に放熱することができる。また、放熱性の向上により、駆動部80を小型化することもできる。
上記したように、スイッチング素子700L,701Lが配置されたアイランド612,614に連なる配線部620,622において、スイッチング素子700L,701L側の面とは反対の放熱面620a,622aが、封止樹脂体50から露出されている。これにより、スイッチング素子700L,701Lの熱を、放熱面620a,622aから逃がすことができる。すなわち、回転電機部10からのもらい熱を効果的に放熱することができる。また、スイッチング素子700H,701Hの熱を、クリップ900を介して放熱面620a,622aからも逃がすことができる。
(架橋部材)
架橋部材90は、2つの配線を架橋する。具体的には、スイッチング素子70のソース電極72と、対応する配線部62とを架橋する。架橋部材90は、ブリッジとも称される。架橋部材90は、ソース電極72と配線部62を電気的に中継するため、中継部材とも称される。
架橋部材90は、ソース電極72及び配線部62との接続のために、図12及び図13に示すように一対の接続部91を有している。架橋部材90は、一方向に延設されている。架橋部材90は、接続部91の板厚方向に対して直交する方向に延設されている。接続部91は、架橋部材90の延設方向両端に設けられている。接続部91は、はんだ42を介して、ソース電極72及び配線部62のそれぞれと接続される。
架橋部材90としては、平板状のものを採用することもできるが、本実施形態では凸形状の架橋部材90を採用している。架橋部材90は、いずれも一対の接続部91に加えて、上底部92と、連結部93を有している。接続部91及び上底部92は板厚方向をZ方向としており、Z方向において異なる位置に配置されている。連結部93は接続部91と上底部92を連結している。連結部93は、傾斜部分と傾斜部分の両端に設けられた屈曲部分を有している。上底部92と、上底部92の両端に連なる連結部93とに規定される形状が、ZX面において略台形状をなしている。接続部91に対して上底部92が凸とされている。架橋部材90は、はんだ42との接続面と反対の面側に凸とされている。
図12、図13、及び図16などに示すように、架橋部材90は、電気的に中継するクリップ900と、電気的な中継に加えて、電流検出にも用いられるシャント抵抗器901を有している。架橋部材90は、4つのスイッチング素子70に対応して、2つのクリップ900と2つのシャント抵抗器901を有している。
クリップ900は、上アーム側のスイッチング素子700H,701Hと対応する配線部620,622とをそれぞれ接続している。クリップ900の構成材料としては、たとえばCuを用いることができる。本実施形態では、Cuの表面にNiめっきが施されている。
シャント抵抗器901において、はんだ42の接続面とは反対の面に、一対のボンディングワイヤ41が接続される。このボンディングワイヤ41により、電圧降下が検出されて、2つの配線間に流れる電流の電流値が検出される。シャント抵抗器901は、下アーム側のスイッチング素子700L,701Lと対応する配線部621,623とをそれぞれ接続している。シャント抵抗器901の検出値は、ボンディングワイヤ41及び信号端子64を介して、制御回路部26に出力される。
図16及び図21などに示すように、クリップ900及びシャント抵抗器901は、いずれも、延設方向がX方向、幅方向がY方向となるように、それぞれ配置されている。
(シャント抵抗器詳細)
図24及び図25に示すように、シャント抵抗器901は、抵抗体901aと、一対の電極901bと、接合部901cと、目印901dを備えている。シャント抵抗器901は、電流検出用のボンディングワイヤ41が接続される上面901eと、はんだ42が接続される下面901fを有している。
抵抗体901aは、電流を検出するために、予め抵抗率が設定されている。抵抗体901aとして、たとえばCuMnNiを用いることができる。本実施形態では、抵抗体901aが平板状をなしている。抵抗体901aは、平面略矩形状をなしている。
一対の電極901bは、抵抗体901aを挟むように配置されている。一対の電極901bの間に、抵抗体901aが配置されている。電極901bは、抵抗体901aの板厚方向に直交する一方向において、抵抗体901aの両端にそれぞれ配置されている。電極901bとして、抵抗体901aよりも抵抗率の小さい金属、たとえばCuを用いることができる。本実施形態では、Cuの表面にNiめっきが施されている。
電極901bは、ZX面において略クランク形状をなしている。電極901bは、2つの屈曲部をそれぞれ有している。電極901bが、上記した接続部91のすべて、連結部93のすべて、及び上底部92の一部をなしている。抵抗体901aは、クランク形状の電極901bにより、Z方向において接続部91から離れた位置に支持されている。一対の電極901bは、抵抗体901aを支持する一対の脚部である。
接合部901cは、抵抗体901aと電極901bのそれぞれとの接合領域である。接合部901cは、抵抗体901aと電極901bとの界面に形成されている。接合部901cは、抵抗体901aと電極901bとを溶接することで形成されている。このため、接合部901cは、溶接ビード領域とも称される。
ここで、接合部901cにおいて、抵抗体901aと電極901bとの並び方向における長さを幅とすると、図25に示すように、上面901e側の幅W1のほうが、下面901f側の幅W2よりも狭くされている。幅W1は、たとえば0.6mm以下とされている。接合部901cの幅は、下面901fで最大とされ、上面901eで最小とされ、且つ、下面901fから上面901eに向けて徐々に狭くされている。
目印901dは、電流検出用の一対のボンディングワイヤ41の接続位置の基準となる。本実施形態では、図25に示すように、電極901bそれぞれの接合部811の近傍に形成されている。目印901dは、プレス加工、印刷、レーザ照射などにより形成することができる。本実施形態では、一対の目印901dが、幅方向の中心を跨ぐように、中心から等距離の位置に設けられている。これにより、一対の目印901dを基準にし、目印のない幅方向中心にボンディングワイヤ41を接続することができる。これにより、ボンディング性を向上することができる。
次に、上記したシャント抵抗器901の製造方法について説明する。
先ず、抵抗体901aのロール材と、電極901bのロール材を2つ準備し、一対の電極901bの間に抵抗体901aを配置する。そして、電極901bのそれぞれと抵抗体901aとを接触させた状態で、下面901f側からビーム、たとえば電子ビームを照射し、電極901bのそれぞれと抵抗体901aとを溶接する。これにより、一方の電極901bと抵抗体901aとの界面、他方の電極901bと抵抗体901aとの界面に、接合部901cがそれぞれ形成される。
下面901f側からビームを照射するため、接合部901cの幅は、下面901fで最大となり、下面901fから上面901eに向けて徐々に狭くなる。溶接により、抵抗体901aと電極901bが一体化する。
次いで、ロール材からの打ち抜き、電極901bのNiめっき、電極901bの曲げ加工などを経て、シャント抵抗器901を得ることができる。
ところで、電極901bは、抵抗体901aよりも抵抗率の小さい金属、たとえばCuを用いて形成されている。また、接合部901cにも、このCuが含まれている。Cuは、抵抗体901aを構成する金属に較べてTCR(抵抗温度係数)が高い。このため、電流検出精度を向上するためには、抵抗体901aの端部近傍にボンディングワイヤ41を接続し、ボンディングワイヤ41間のCuをできるだけ少なくするのが好ましい。すなわち、ボンディングワイヤ41の間に存在する電極901b及び接合部901cをできるだけ小さくするのが好ましい。
しかしながら、ビーム溶接される構成において、接合部の表面及びその周囲は、スパッタやヒュームなどによって汚染されている。また、接合部の表面及びその周囲は、荒れている。このため、ボンダビリティ性を確保するためには、接合部に対して所定のギャップを設け、ボンディングワイヤを接続しなければならない。
特に、接合部901cの幅は、ビーム照射面においてビームの非照射面よりも広くなる。ビームの照射面のほうが、接合部901cの表面及びその周囲において、スパッタやヒュームなどの影響が大きい。また、ビームの照射面のほうが、接合部901c及びその周囲において荒れた部分が大きくなる。すなわち、面粗度の大きい部分が広くなる。このため、ビーム照射面とボンディング面が一致する場合、ギャップを大きくしなければならない。
これに対し、本実施形態では、接合部901cにおいて、上面901e側の幅W1のほうが下面901f側の幅W2よりも狭くされている。したがって、接合部901cに対して所定のギャップを設けたとしても、抵抗体901aの端部の近くに、ボンディングワイヤ41を接続することができる。
また、下面901f側からビームを照射することで、W1<W2の構成が実現されている。上面901eは、ビームの照射面ではないため、下面901fに較べてスパッタやヒュームの影響を低減できる。また、面粗度の大きい部分を小さくすることができる。これにより、接合部901cに対するギャップを小さくすることができる。
以上により、抵抗体901aの端部により近づけて、ボンディングワイヤ41を接続することができる。すなわち、電流の検出精度を向上することができる。シャント抵抗器901とボンディングワイヤ41を備える電流検出装置において、電流の検出精度を向上することができる。また、搬送時の吸着面である上面901eにおいて、接合部901cを含む面粗度の大きい部分が小さいため、シャント抵抗器901を吸着搬送しやすい。
特に本実施形態では、上面901eに目印901dが形成されている。したがって、目印901dを位置基準として、ボンディングワイヤ41を所定位置に精度良く接続することができる。これにより、ボンディング位置のばらつきを低減し、電流検出精度をさらに高めることができる。なお、目印901dを有さない構成を採用することもできる。
本実施形態では、一対のボンディングワイヤ41を、電極901bに接続する例を示したが、これに限定されない。図26に示す変形例のように、抵抗体901aに、一対のボンディングワイヤ41のそれぞれを接続してもよい。上記したように、ビームの非照射面である上面901eは、下面901fに較べてスパッタやヒュームの影響を低減できる。したがって、ボンディングワイヤ41を抵抗体901aにおける端部付近、詳しくは、接合部901cの近くに接続することができる。これにより、ボンディングワイヤ41を抵抗体901aに接続しつつ、検出電圧域(ダイナミックレンジ)の減少を抑制することができる。また、TCRの影響を無くし、これにより電流検出精度を向上することができる。
図27に示す変形例のように、一方のボンディングワイヤ41を電極901bに接続し、他方のボンディングワイヤ41を抵抗体901aに接続してもよい。
図16に示すように、シャント抵抗器901の接続部91の幅は、スイッチング素子70のソース電極72の幅よりも短くされている。ソース電極72の幅を、シャント抵抗器901の接続部91の幅以上となるようにすると、スイッチング素子70のチップサイズが変わっても、シャント抵抗器901において接続部91の幅の変更で対応することができる。すなわち、抵抗体901a、接合部901c、及び電極901bの一部を含む上底部92については変更しなくてよい。したがって、シャント抵抗器901の設計を共通化することができる。
上記したように、抵抗体901aと電極901bが接合された低抵抗のシャント抵抗器901では、一般的に検出電圧が小さいため、ボンディングワイヤ41間のESL(等価直列インダクタンス)の影響により、検出精度が低下する虞がある。ESLは、自己インダクタンスと相互インダクタンスの和で示され、自己インダクタンスはシャント抵抗器901の形状で決定される。図28は、たとえば出力端子63P1から、スイッチング素子700L、シャント抵抗器901、及び配線部621を介して負極端子63E1に電流が流れる場合を示している。破線矢印は、スイッチング素子700Lのドレイン電極に向けて流れる電流、実線矢印は、スイッチング素子700Lのソース電極72から負極端子63E1に向けて流れる電流を示している。
上記したように、シャント抵抗器901の延設方向がX方向となるように、シャント抵抗器901が配置されている。また、出力端子63P1は、アイランド612に対して、斜め方向に外側へ引き出され、その先でY方向に延設されている。この配置により、図28に示すように、シャント抵抗器901に流れる電流が、出力端子63P1の斜め延設部分に流れる電流に対して、逆向きの成分を有することとなる。したがって、シャント抵抗器901の相互インダクタンス、ひいてはESLを低減し、これにより検出精度を高めることができる。本実施形態では、配線構造の複雑化、すなわち半導体モジュール40の大型化を抑制しつつ、ESLを低減することができる。
(放射ノイズを考慮した配置)
任意の上下アームにおける上アーム側のスイッチング素子70と、別の上下アームにおける下アーム側のスイッチング素子70が同時にオンされることで、バスバー27や回転電機部10(固定子巻線121)を含めた電流ループが形成される。本実施形態では、半導体モジュール40内に二相分の上下アームを集約しているため、半導体モジュール内に一相分の上下アームを備える構成に較べて、電流ループを小さくすることができる。これにより、放射ノイズを低減することができる。
図29では、封止樹脂体50及びボンディングワイヤ41を省略している。図29に示す破線矢印は、スイッチング素子700H,701Lがオンされるとともに、スイッチング素子700L,701Hがオフされたタイミングにおける電流経路を示している。
このタイミングでは、正極端子63B1から、アイランド611、スイッチング素子700H、クリップ900、配線部620、アイランド612、及び出力端子63P1を介して、回転電機部10、たとえばX相の固定子巻線121aに電流が流れる。そして、回転電機部10のY相の固定子巻線121aから、出力端子63P2、アイランド614、スイッチング素子701L、シャント抵抗器901、及び配線部623を介して、負極端子63E2に電流が流れる。
第1の上下アームを構成するスイッチング素子700H,700L、正極端子63B1、負極端子63E1、及び出力端子63P1は、アイランド611,612と、配線部620,621と、クリップ900と、シャント抵抗器901により構成される配線S1によって、相互に接続されている。配線S1により、スイッチング素子700H,700Lはバッテリ間において直列に接続される。第2の上下アームを構成するスイッチング素子701H,701L、正極端子63B2、負極端子63E2、及び出力端子63P2は、アイランド613,614と、配線部622,623と、クリップ900と、シャント抵抗器901により構成される配線S2によって、相互に接続されている。配線S2により、バッテリ間においてスイッチング素子701H,701Lが直列に接続される。
本実施形態では、図29に示すように、配線S1,S2により挟まれる領域に、配線S1,S2とは異なり、封止樹脂体50よりも透磁率の高い導電部材が配置されている。具体的には、導電部材として、駆動部80のアイランド610が配置されている。導電部材には、電流ループによって渦電流が生じる。渦電流により生じる磁界は、バスバー27や回転電機部10も含めた電流ループにより生じる磁界を妨げる向きに生じる。これにより、放射ノイズを効果的に低減することができる。図29において、アイランド611,613上に示す磁界の向きが電流ループによるものであり、導電部材(アイランド610)上に示す磁界の向きが渦電流によるものである。
なお、配線S1,S2により挟まれる領域にアイランド610を配置可能であれば、主端子63の配置は特に限定されない。本実施形態では、封止樹脂体50の側面50cから正極端子63B1,63B2及び負極端子63E1,63E2が突出し、反対の側面50dから出力端子63P1,63P2が突出している。これにより、X方向において、配線S1,S2の間にアイランド610が配置されている。したがって、渦電流により電流ループの磁界を打ち消す効果を高めることができる。また、バスバー27との接続構造を簡素化することができる。
また、導電部材として、駆動部80が配置されるアイランド610を用いている。これにより、アイランド610とは他の導電部材を用いる構成に較べて、構成を簡素化し、半導体モジュール40の体格を小型化することができる。
アイランド610には、上記したようにグランド電位の信号端子640が連なっており、導電部材であるアイランド610が接地されている。これにより、アイランド610の電位変動を抑制することができる。そして、電界成分を抑制し、放射ノイズをさらに低減することができる。
導電部材としてアイランド610の例を示したが、これに限定されない。封止樹脂体50よりも透磁率の高い導電部材であれば採用できる。
(タイバーカット前のリードフレーム)
図21に示すように、タイバーカット前のリードフレーム60は、上記したアイランド61、配線部62、主端子63、信号端子64、及びダミー端子65に加えて、タイバー66と、外枠67と、連結部68を有している。外枠67は、XY面において、略矩形環状をなしており、リードフレーム60を位置決めするための貫通孔が複数設けられている。
タイバー66は、Y方向における正極端子63B1,63B2及び負極端子63E1,63E2側において、アイランド61に近い1段目のタイバー660aと、タイバー660aよりもアイランド61から離れた位置に設けられた2段目のタイバー660bを有している。タイバー66は、出力端子63P1,63P2及び信号端子64側において、アイランド61に近い1段目のタイバー661aと、タイバー661aよりもアイランド61から離れた位置に設けられた2段目のタイバー661bを有している。タイバー66のそれぞれは、X方向両端で外枠67に連結されている。
タイバー660aは、正極端子63B1,63B2及び負極端子63E1,63E2を外枠67に連結している。タイバー660aは、正極端子63B1,63B2及び負極端子63E1,63E2のそれぞれに対し、幅狭部63aよりもアイランド61に近い位置で連結されている。タイバー660aは、X方向に沿って一直線状に延設されている。架橋部材90であるクリップ900が配置されるアイランド611,613及び配線部620,622のうち、アイランド611,613は、対応する正極端子63B1,63B2及びダミー端子65によってタイバー660aに連結されている。配線部620,622は、ダミー端子65によってタイバー660aに連結されている。
タイバー660bは、正極端子63B1,63B2及び負極端子63E1,63E2のそれぞれに対し、幅狭部63aよりもアイランド61から離れた位置であって、バスバー27との接続部よりも近い位置で連結されている。タイバー660bは、幅狭部63aに隣接する幅広部の端部に連結されている。正極端子63B1,63B2及び負極端子63E1,63E2は、アイランド611,613及び配線部621,623からの延設の始点が互いに同じ位置とされている。一方、延設の終点、すなわち先端位置は正極端子63B1,63B2と負極端子63E1,63E2とで異なっており、正極端子63B1,63B2のほうが負極端子63E1,63E2よりも延設長さが短くされている。このため、タイバー660aは、X方向に延設された部分と、Y方向に延設された部分を有している。正極端子63B1,63B2に連結された部分は、負極端子63E1,63E2に連結された部分よりも、Y方向においてアイランド61に近い位置とされている。正極端子63B1と負極端子63E1との間、正極端子63B2と負極端子63E2との間に、Y方向の延設部分がそれぞれ配置されている。
タイバー660a,660bは、連結部68により、Y方向においても外枠67に連結されている。連結部68は、タイバー660a及びタイバー660bに対して、アイランド611に連結された正極端子63B1及びダミー端子65の間の位置で連結されている。別の連結部68は、アイランド613に連結された正極端子63B2及びダミー端子65の間の位置で連結されている。正極端子63B1,63B2の間に2本の連結部68が配置されている。
別の連結部68は、タイバー660a及びタイバー660bに対して、正極端子63B1と配線部620に連なるダミー端子65との間の位置で連結されている。別の連結部68は、タイバー660a及びタイバー660bに対して、正極端子63B2と配線部622に連なるダミー端子65との間の位置で連結されている。これら連結部68は、いずれもY方向に延設されており、一端がタイバー660aに連結され、他端が外枠67に連結されている。
タイバー661aは、出力端子63P1,63P2及び信号端子64を外枠67に連結している。タイバー661aは、X方向に沿って一直線状に延設されている。タイバー661aは、出力端子63P1,63P2の幅狭部63a及び信号端子64のクランク部64aよりもアイランド61に近い位置に連結されている。架橋部材90であるシャント抵抗器901が配置されるアイランド612,614及び配線部621,623のうち、アイランド612,614は、対応する出力端子63P1,63P2及び信号端子641によってタイバー661aに連結されている。配線部622,623は、ダミー端子65によってタイバー661aに連結されている。
タイバー661bは、出力端子63P1,63P2の幅狭部63a及び信号端子64のクランク部64aよりもアイランド61から離れた位置であって、バスバー27及び配線基板22との接続部よりも近い位置に連結されている。タイバー661bは、X方向に沿って一直線状に延設されている。
図21に示すように、2段目のタイバー660b,661bは、1段目のタイバー660a,661aよりも幅が広くされている。タイバー660a,661aの幅は狭いため、主端子63及び信号端子64の曲げ加工などの際に邪魔にならず、且つ、半導体モジュール40の体格を小型化することができる。また、タイバーカット時の寸法ずれを小さくすることができる。一方、タイバー660b,661bの幅は広いため、これにより剛性を向上し、封止樹脂体50の成形時においてタイバー66の変形を抑制することができる。したがって、主端子63及び信号端子64の位置精度を向上することができる。特に信号端子64の位置精度を向上することができる。
主端子63及び信号端子64における外部との接続部は、外枠67に対して連結されておらず、フリーとなっている。主端子63及び信号端子64は、金属板からリードフレーム60を打ち抜きする際に、外枠67から切り離されている。
信号端子64の先端は、図6、図14、及び図21などに示すように、スエージ加工が施されている。信号端子64の先端は、スエージ加工により潰されて傾斜を有し、四角錐状となっている。これにより、信号端子64を配線基板22に対して効率よく挿入実装することができる。スエージ加工により、バリを潰すこともできる。
信号端子64の隣りに配置されたダミー端子65は、図21に示すように、Y方向に延設されて、外枠67にそれぞれ連結されている。これにより、外枠67との吊り箇所が増えるため、成形時においてタイバー661a,661bの変形を抑制することができる。したがって、出力端子63P1,63P2及び信号端子64の位置精度を向上することができる。特に信号端子64の位置精度を向上することができる。
上記したように、架橋部材90は、スイッチング素子70を介してアイランド61と配線部62とを接続する。クリップ900の1つは、アイランド611及び配線部620上に配置される。別のクリップ900は、アイランド613及び配線部622上に配置される。シャント抵抗器901の1つは、アイランド612及び配線部621上に配置される。別のシャント抵抗器901は、アイランド614及び配線部623上に配置される。
図30では、アイランド61及び配線部62において、架橋部材90の配置される部分、換言すればZ方向からの投影部分を破線で示している。アイランド61における架橋部材90の配置部60aと、同じ架橋部材90が配置される配線部62における架橋部材90の配置部60bとが、X方向に並んで配置されている。すなわち、同じ架橋部材90に対する配置部60a,60bの並び方向が、アイランド61及び配線部62が連結された1段目のタイバー660a,661aの延設方向と同じ方向とされている。これにより、半導体モジュール40において、アイランド61に対して同じ側に配置された1段目のタイバー痕66aの並び方向と、架橋部材90それぞれの延設方向とが同じ方向(X方向)とされている。
図31では、本実施形態と参考例を比較している。参考例においては、本実施形態の関連する要素の符号に対し、末尾にrを付与している。本実施形態では、タイバー660a,661aの延設方向と、架橋部材90の延設方向が略一致している。参考例では、タイバー660ar,661arの延設方向と、架橋部材90rの延設方向が略直交している。図31に示すように、平行配置とした方が、直交配置とする構成に較べて、タイバー66の延設方向と直交する方向において、タイバー66から架橋部材90までの最大長さを長くすることができる。これにより、封止樹脂体50の成形時に、成形型に接触したアイランド61や配線部62が撓みやすい。特に本実施形態では、複数相に対応する数のアイランド611〜614及び配線部62を有するため、Z方向においてアイランド611〜614及び配線部62に高さばらつきが生じやすい。しかしながら、上記した平行配置とすることで、裏面50bから放熱面611a〜614a,620a〜623aなどを露出させるべく、成形型にアイランド611〜614及び配線部62を接触させる際、高さばらつきが生じていても、アイランド61や配線部62が応力を緩和できる。したがって、アイランド611〜614と対応するスイッチング素子70との接合部に作用する応力を低減することができる。
複数相に対応する数のアイランド611〜614及び配線部62を有するため、X方向においてタイバー66の長さも長くなっている。これに対し、架橋部材90の配置対象であるアイランド611〜614及び配線部62の少なくとも1つは、複数箇所で同じタイバー66に連結されている。具体的には、アイランド611〜614が、それぞれ2箇所で同じタイバー66に連結されている。これによれば、封止樹脂体50の成形時において、タイバー66が変形するのを抑制することができる。タイバー変形の抑制により、アイランド611〜614と対応するスイッチング素子70との接合部に作用する応力を低減することができる。
アイランド611,613は、対応する正極端子63B1,63B2によってタイバー660aに連結されるとともに、ダミー端子65によってタイバー660aに連結されている。このように、主端子63よりも幅の狭いダミー端子65を採用することで、タイバー660aの変形を抑制しつつ、リードフレーム60の体格増大を抑制することができる。
アイランド611,613に連結されたダミー端子65は、連結部68により、Y方向において外枠67に連結されている。これによっても、剛性を向上し、タイバー660a,660bの変形を抑制することができる。また、連結部68は、電気的な接続機能を提供しないので、タイバーカット時に外枠67から切り離しても、バスバー27との溶接に影響しない。
アイランド612,614は、対応する出力端子63P1,63P2及び信号端子641によって、タイバー661a,661bに連結されている。このように、主端子63よりも幅の狭い信号端子641を用いることで、タイバー661a,661bの変形を抑制しつつ、リードフレーム60の体格増大を抑制することができる。
同じ架橋部材90が配置されるアイランド61及び配線部62は、互いに異なるタイバー660a,661aに連結されている。これによれば、アイランド61及び配線部62が、タイバー66に対して両吊りとなる。したがって、成形時においてタイバー66の変形を抑制することができる。なお、架橋部材の延設方向がY方向の場合、両吊り構造では、タイバー変形によりスイッチング素子70の接合部に対して、X方向のせん断応力が作用する。これに対し、本実施形態では、架橋部材90の延設方向がタイバー66と同じX方向となるため、せん断応力を抑制することもできる。
シャント抵抗器901が配置されるアイランド612,614は、対応する出力端子63P1,63P2及び信号端子640によってタイバー661aに連結され、アイランド612,614に連なる配線部620,622及びダミー端子65を介してタイバー660aに連結されている。また、シャント抵抗器901が配置される配線部621,623は、対応する負極端子63E1,63E2を介してタイバー660a,660bに連結され、ダミー端子65を介してタイバー661aに連結されている。このように、シャント抵抗器901が配置されるアイランド612,614及び配線部621,623は両吊りとされている。これにより、シャント抵抗器901にボンディングワイヤ41を超音波接合する際のアイランド612,614及び配線部621,623の振動を抑制し、ボンディング性を向上することができる。
(その他)
本実施形態では、架橋部材90として、2つのクリップ900と2つのシャント抵抗器901を用いる例を示したが、これに限定されない。たとえばすべての架橋部材90をシャント抵抗器901としてもよい。これにより、4つの架橋部材90を1種類に共通化し、部品点数を削減することができる。
図32は、半導体モジュール40の変形例を示している。図32では、便宜上、信号端子64を省略するとともに、封止樹脂体50や主端子63を簡素化して図示している。図32では、同じ側面50cから突出する正極端子63B1と負極端子63E1、正極端子63B2と負極端子63E2を、それぞれX方向において近づけて配置している。
さらに、封止樹脂体50の一面50a及び裏面50bの一方にコンデンサ44を配置し、コンデンサ44と正極端子63B1,63B2及び負極端子63E1,63E2とを接続している。ここでは、スナバ回路用のコンデンサ44を採用しており、2つのコンデンサ44が一面50aに配置されている。一面50aには、側面50cにも開口する凹部55が2箇所形成されており、凹部55のそれぞれにコンデンサ44が個別に配置されている。コンデンサ44のリード44aは、正極端子63B1及び負極端子63E1にそれぞれ接続されている。別のコンデンサ44のリード44aは、正極端子63B2及び負極端子63E2にそれぞれ接続されている。これによれば、XY面において体格を増大することなく、コンデンサ44を一体化することができる。なお、スナバ回路用のコンデンサ44に代えて、平滑用のコンデンサを配置してもよい。
図33は、半導体モジュール40の変形例を示している。図33では、便宜上、半導体モジュール40の一部のみを図示している。この変形例では、駆動部80が、各相の電流を検出する電流検出回路を有している。図33に示すように、シャント抵抗器901の低電位が、ボンディングワイヤ41、信号端子64、ボンディングワイヤ41を介して、駆動部80のパッド81に入力される。なお、スイッチング素子701L側も同じ構成とされている。以上によれば、シャント抵抗器901に接続されるボンディングワイヤ41の長さを短くすることができる。たとえば、成形時にボンディングワイヤ41に不良が生じるのを抑制することができる。なお、シャント抵抗器901の低電位側に対応する信号端子64は、X方向に延びる連結部によって2本の信号端子64が連結されてなる。駆動部80に入力されるシャント抵抗器901の高電位は、スイッチング素子700Lのソース電位によって代用されている。
(第2実施形態)
本実施形態は、先行実施形態を参照できる。このため、先行実施形態に示した回転電機1及び半導体モジュール40と共通する部分についての説明は、簡略化又は省略する。
(回転電機の概略構成)
図34〜図38に基づき、本実施形態に係る制御装置一体型の回転電機1の構成について説明する。なお、回転電機1の概略構成については、特開2007−112807号公報を援用することができる。図34に示すように、本実施形態の回転電機1も、回転電機部10と、回転電機部10を制御する制御装置部20を備えており、制御装置部20が制御対象である回転電機部10と一体化されている。
(回転電機部)
回転電機部10は、エンジンから駆動力が供給されることで、バッテリを充電するための電力を発生する発電機(オルタネータ)として機能する。回転電機部10は、第1実施形態同様、ハウジング11と、固定子12と、回転子13と、プーリ14と、スリップリング15と、ブラシ16を備えている。
ハウジング11は、固定子12及び回転子13を収容するとともに、回転子13を回転可能に支持している。ハウジング11の軸方向後側には、制御装置部20が固定されている。固定子12は、固定子コア120と、固定子巻線121を有している。図35に示すように、固定子巻線121は、第1実施形態同様、U相、V相、W相の三相巻線からなる固定子巻線121aと、X相、Y相、Z相の三相巻線からなる固定子巻線121bを有している。固定子巻線121a,121bは、互いに所定電気角(たとえば30度)ずれて配置されている。
エンジンから供給される駆動力によって回転子13が回転し、発生した磁束が固定子巻線121と鎖交することで、固定子巻線121が交流を生じる。回転子13は、第1実施形態同様、回転子コア130と、回転子巻線131と、ファン132と、回転軸133を有している。プーリ14は、回転軸133のうち、ハウジング11から前方に突出した部分に連結されており、回転軸133とともに回転する。
スリップリング15は、回転軸133のうち、ハウジング11から後方に突出した部分の外周面に、絶縁部材を介して固定されている。スリップリング15は、配線を介して回転子巻線131に接続されている。ブラシ16は、たとえばバネによって径方向において回転軸133側に押圧され、スリップリング15の外周面に接触している。ブラシ16は、ブラシホルダ160に保持されている。ブラシ16及びスリップリング15を介して、回転子巻線131に直流が供給される。
(制御装置部)
制御装置部20は、バッテリを充電するために、回転電機部10の発生した電力を直流に変換し、バッテリへ電力の供給を行う。制御装置部20は、図示しないレギュレータと、図35に示す整流回路部30を備えている。レギュレータは、回転子巻線131に供給する直流を制御することで、電圧をバッテリへの充電に適した所定電圧に維持する。整流回路部30は、回転電機部10から供給される交流を、スイッチング素子70により整流して直流に変換する。整流回路部30の構成は、第1実施形態に示したインバータ回路部23と同じ構成となっている。
整流回路部30は、3つの半導体モジュール40により構成されている。各半導体モジュール40は、二相分の上下アームを構成する複数のスイッチング素子70を有している。本実施形態でも、スイッチング素子70としてnチャネル型のMOSFETを採用している。3つの半導体モジュール40のうち、第1の半導体モジュール40がU相及びV相の上下アームを構成し、第2の半導体モジュール40がW相及びX相の上下アームを構成し、第3の半導体モジュール40がY相及びZ相の上下アームを構成している。
各アームは1つのスイッチング素子70により構成されており、半導体モジュール40のそれぞれは、4つのスイッチング素子70を有している。半導体モジュール40は、第1の上下アームを構成する上アーム側のスイッチング素子700H及び下アーム側のスイッチング素子700Lと、第2の上下アームを構成する上アーム側のスイッチング素子701H及び下アーム側のスイッチング素子701Lをそれぞれ有している。スイッチング素子700H,700Lが直列接続され、スイッチング素子701H,701Lが直列接続されている。
図36及び図37に示すように、制御装置部20は、整流回路部30を構成するパワーアセンブリPA1,PA2,PA3と、カバー31を備えている。パワーアセンブリPA1は、半導体モジュール40と、ヒートシンク24と、バスバー27を含むバスバーアセンブリBA1を有している。パワーアセンブリPA2は、半導体モジュール40と、ヒートシンク24と、バスバー27を含むバスバーアセンブリBA2を有している。パワーアセンブリPA3は、半導体モジュール40と、ヒートシンク24と、バスバー27を含むバスバーアセンブリBA3を有している。パワーアセンブリPA1,PA2,PA3それぞれのヒートシンク24は、対応する半導体モジュール40の発生した熱を放熱する。
パワーアセンブリPA1の半導体モジュール40において、スイッチング素子700H,700LによりU相上下アームが構成され、スイッチング素子701H,701LによりV相上下アームが構成されている。パワーアセンブリPA2の半導体モジュール40において、スイッチング素子700H,700LによりW相上下アームが構成され、スイッチング素子701H,701LによりX相上下アームが構成されている。パワーアセンブリPA3の半導体モジュール40において、スイッチング素子700H,700LによりY相上下アームが構成され、スイッチング素子701H,701LによりZ相上下アームが構成されている。
バスバーアセンブリBA1,BA2,BA3は、対応する半導体モジュール40を配線するためのバスバー27の集合体である。具体的には、図35に示すように、半導体モジュール40を配線するための正極バスバー27B、負極バスバー27E、及び出力バスバー27P1,27P2が、インサート成形などによって同じ樹脂部材に固定されてなる。正極バスバー27B、負極バスバー27E、及び出力バスバー27P1,27P2は、所定の間隔をあけた状態で、樹脂により一体化されている。正極バスバー27B及び負極バスバー27Eは、樹脂を介して積層配置されている。
バスバーアセンブリBA1,BA2,BA3のそれぞれにおいて、正極バスバー27Bは、図35に示すように、上アーム側のスイッチング素子700H,701Hのドレイン電極に接続されている。負極バスバー27Eは、下アーム側のスイッチング素子700L,701Lのソース電極に接続されている。出力バスバー27P1は、スイッチング素子700H,700Lの接続点に接続されている。出力バスバー27P2は、スイッチング素子701H,701Lの接続点に接続されている。
図38に示すように、パワーアセンブリPA1,PA2,PA3のそれぞれにおいて、半導体モジュール40はバスバー27に接続された状態で、対応するバスバーアセンブリBA1,BA2,BA3に固定されている。また、ヒートシンク24は、半導体モジュール40の放熱面側に固定されている。
パワーアセンブリPA1のみ、電源端子32が一体化されている。図37及び図38に示すように、パワーアセンブリPA1は、半導体モジュール40と、ヒートシンク24と、バスバーアセンブリBA1に加えて、電源端子32と、固定部材33を有している。
電源端子32には、バッテリの正極からの配線が接続される。電源端子32は、固定部材33によってバスバーアセンブリBA1に固定されている。電源端子32は、ナット34によって固定部材33に固定されている。固定部材33は、正極バスバー27Bに接触した状態で、正極バスバー27B、負極バスバー27E、及び出力バスバー27P1,27P2とともに樹脂で一体化されている。
パワーアセンブリPA1,PA2,PA3は、回転電機部10のハウジング11の軸方向後端において、回転軸133を取り囲むように略U字状に配置されている。具体的には、回転軸133周りにおいて、パワーアセンブリPA1、パワーアセンブリPA2、パワーアセンブリPA3の順に配置されている。そして、図37に示すように、ボルト35によってハウジング11に固定されている。
隣り合うパワーアセンブリPA1,PA2において、正極バスバー27B同士が接続され、隣り合うパワーアセンブリPA2,PA3において、正極バスバー27B同士が接続されている。同様に、隣り合うパワーアセンブリPA1,PA2において、負極バスバー27E同士が接続され、隣り合うパワーアセンブリPA2,PA3において、負極バスバー27E同士が接続されている。パワーアセンブリPA1の負極バスバー27Eは、車体に固定されたハウジング11に接続され、車体を介してバッテリの負極に接続されている。
パワーアセンブリPA1において、出力バスバー27P1は、固定子巻線121aのU相に接続され、出力バスバー27P2は、固定子巻線121aのV相に接続されている。パワーアセンブリPA2において、出力バスバー27P1は、固定子巻線121aのW相に接続され、出力バスバー27P2は、固定子巻線121bのX相に接続されている。パワーアセンブリPA3において、出力バスバー27P1は、固定子巻線121bのY相に接続され、出力バスバー27P2は、固定子巻線121bのZ相に接続されている。
カバー31は、パワーアセンブリPA1,PA2,PA3を覆う樹脂部材である。カバー31は、電源端子32の一部を外部に露出させた状態で、パワーアセンブリPA1,PA2,PA3を覆うようにハウジング11に固定されている。
(回転電機の動作)
スリップリング15及びブラシ16を介して回転子巻線131に直流が供給されて磁極が形成された状態で、エンジンから駆動力が供給されると、固定子巻線121a,121bがそれぞれ交流(三相交流)を発生する。整流回路部30は、駆動部80によって制御され、固定子巻線121から出力バスバー27P1,27P2などを介して供給される交流を整流する。駆動部80により、スイッチング素子70のオンオフが制御され、電流の流れる方向が順次切り替えられて、交流が整流される。スイッチング素子70のデッドタイムにおいては、寄生ダイオードにより、交流が整流される。整流回路部30により変換された直流は、バッテリに供給される。これにより、バッテリは、回転電機部10の発生した電力によって充電される。
(半導体モジュール詳細)
図39〜図53に示すように、本実施形態の半導体モジュール40も、封止樹脂体50と、リードフレーム60と、スイッチング素子70と、駆動部80と、架橋部材90を備えている。図46〜図52では、封止樹脂体50の図示を省略している。図53では、図21同様、タイバーカット前のリードフレーム60を示している。図46〜図52では、便宜上、ボンディングワイヤ41の図示を省略している。
(封止樹脂体)
封止樹脂体50は、第1実施形態とほぼ同じ構成とされている。この封止樹脂体50も、たとえばエポキシ系の樹脂を用いてトランスファモールド法により成形されている。
図39〜図44に示すように、封止樹脂体50は、Z方向の面である一面50a及び裏面50bと、側面を有している。一面50a側に対応するバスバーアセンブリBA1,BA2,BA3が配置され、裏面50b側にヒートシンク24が配置される。また、主端子63及び信号端子64が突出する側面50c,50dを有している。図40に示すように、一面50aには、エジェクタピン由来のピン痕53と、成形型のゲート痕54が設けられている。図41に示すように、裏面50bには、ピン痕53が設けられている。
後述するように、本実施形態ではアイランド611,613が連結部615によって一体化されている。そして、連結部615に切り欠き615bを設け、切り欠き615bの部分にエジェクタピンを配置できるようにしている。このため、図41に示すように、切り欠き615bにピン痕53が設けられている。切り欠き615bは、Y方向において連結部615の両側にそれぞれ設けられている。これにより、XY面内においてエジェクタピンがバランスよく配置され、特にアイランド611,613周辺の離型性を向上することができる。
(リードフレーム)
リードフレーム60も、第1実施形態同様、アイランド61と、配線部62と、外部接続用端子である主端子63及び信号端子64と、ダミー端子65を備えている。リードフレーム60は、信号端子64の配置を除けば、X方向の中心に対してほぼ線対称とされている。図53では、リードフレーム60のX方向の中心を一点鎖線で示している。
図46〜図48及び図53に示すように、アイランド61は、アイランド610〜614を有している。第1実施形態同様、アイランド610には駆動部80が配置され、アイランド611,612,613,614には、スイッチング素子700H,700L,701H,701Lが個別に配置される。5つのアイランド610〜614は、互いに略同じ厚みとされ、Z方向において同一面内に配置されている。アイランド611〜614のXY面に沿う面積は、互いに略等しくされている。
また、アイランド610〜614の放熱面610a〜614aが、封止樹脂体50の裏面50bから露出されている。これにより、放熱面610a〜614aから効率よく放熱することができる。アイランド61のうち、放熱面610a〜614aを除く部分は、封止樹脂体50によって封止されている。図45などに示すように、アイランド61それぞれの側面には、封止樹脂体50の剥離を抑制するために、凸部が設けられている。
アイランド610は、平面略矩形状をなしている。駆動部80は、アイランド610に対し、Y方向において信号端子64寄りに配置されている。図48及び図53などに示すように、アイランド610は、信号端子64とは反対側、すなわちアイランド611,613側に、駆動部80が配置されていない部分である非配置部610cを有している。
したがって、ボンディングワイヤ41を駆動部80のパッド81に接続する際、図示しないクランプ治具にて非配置部610cを押さえることができる。これにより、アイランド610が安定し、ボンディング性を向上することができる。特に本実施形態では、図53に示すように、パッド81を平面略矩形状をなす駆動部80の3辺に集中して設け、信号端子64とは反対側の辺のパッド81を少なくしている。特に辺の中央のパッド81を少なくしている。このため、ボンディングワイヤ41を邪魔することなく、アイランド610をクランプすることができる。
アイランド611〜614は、アイランド610の周りに配置されている。アイランド612,614は、X方向において、間にアイランド610を挟むように設けられている。アイランド612,614は、ともに平面略矩形状をなしている。アイランド612,614は、X方向において、アイランド610との間にそれぞれ所定の間隙を有している。アイランド612,614には、2本のボンディングワイヤ41がそれぞれ接続されている。ボンディングワイヤ41は、アイランド612,614におけるアイランド610側の端部であって、信号端子64側とは反対の端に接続されている。
アイランド611,613は、アイランド610に対し、Y方向において信号端子64とは反対側に設けられている。アイランド611,613は、所定の間隙を有しつつX方向に並んで配置されている。アイランド611,613は、ともに平面略矩形状をなしている。アイランド611は、Y方向においてアイランド610,612と対向している。アイランド613は、Y方向においてアイランド610,614と対向している。
アイランド611,613は、連結部615により、上アーム側のアイランド61として一体化されている。連結部615は、X方向に延設されており、アイランド611,613の間に配置されている。連結部615の一方の端部は、アイランド611におけるアイランド613側の端部に連なり、他方の端部は、アイランド613におけるアイランド611側の端部に連なっている。連結部615は、アイランド611,163と略同じ厚みとされ、Z方向において同一面内に配置されている。連結部615において、スイッチング素子700H,701Hと反対の放熱面615aが、封止樹脂体50の裏面50bから露出されている。これにより、放熱面615aからスイッチング素子700H,701Hの熱を逃がすこともできる。
連結部615には、Y方向の両端に切り欠き615bが設けられ、これにより、連結部615は、アイランド611,613それぞれの端部中央に連なっている。切り欠き615bは両側でほぼ同じ深さとされ、連結部615を含むアイランド611,613は、略H字形状をなしている。すなわち、一体化されたアイランド611,613及び連結部615において、真ん中の連結部615が幅狭部とされ、連結部615を挟むアイランド611,613が幅広部とされている。連結部615には、2本のボンディングワイヤ41が接続されている。アイランド61は、X方向において線対称配置とされている。
配線部62は、第1実施形態同様、アイランド611,612を接続する配線部620と、アイランド612と負極端子63E1を接続する配線部621と、アイランド613,614を接続する配線部622と、アイランド614と負極端子63E2を接続する配線部623を有している。
配線部620は、アイランド612における信号端子64とは反対の端部に連なっている。配線部620は、アイランド612においてアイランド610側とは反対の端に連なっている。配線部620はY方向に延設され、その先端部分がX方向においてアイランド611との間に所定の間隙を有しつつ、アイランド611と並んで配置されている。配線部620は、アイランド611に対してX方向外側に配置されている。配線部620の先端には、出力端子63P1が連なっている。すなわち、本実施形態では、Y方向において、配線部620の一端にアイランド612が連なり、他端に出力端子63P1が連なっている。配線部620において、アイランド612側は幅狭部とされ、出力端子63P1側は幅広部とされている。
配線部621は、負極端子63E1に連なっている。配線部621は負極端子63E1からY方向に延びて、その先端部がX方向においてアイランド612との間に所定の間隙を有しつつ、アイランド612と並んで配置されている。配線部621は、アイランド612に対してX方向外側に配置されている。配線部621は、Y方向において配線部620の幅広部と対向している。
配線部622は、アイランド614における信号端子64とは反対の端部に連なっている。配線部622は、アイランド614においてアイランド610側とは反対の端に連なっている。配線部622はY方向に延設され、その先端部分がX方向においてアイランド613との間に所定の間隙を有しつつ、アイランド613と並んで配置されている。配線部622は、アイランド613に対してX方向外側に配置されている。配線部622の先端には、出力端子63P2が連なっている。すなわち、本実施形態では、Y方向において、配線部622の一端にアイランド614が連なり、他端に出力端子63P2が連なっている。配線部622において、アイランド614側は幅狭部とされ、出力端子63P2側は幅広部とされている。
配線部623は、負極端子63E2に連なっている。配線部623は負極端子63E2からY方向に延びて、その先端部がX方向においてアイランド614との間に所定の間隙を有しつつ、アイランド614と並んで配置されている。配線部623は、アイランド614に対してX方向外側に配置されている。配線部623は、Y方向において配線部622の幅広部と対向している。
以上により、Y方向におけるアイランド610の位置では、X方向において、配線部621、アイランド612、アイランド610、アイランド614、配線部623の順に並んで配置されている。また、Y方向におけるアイランド611,613の位置では、X方向において、配線部620、アイランド611、アイランド613、配線部622の順に並んで配置されている。配線部62は、X方向において線対称配置とされている。
図41に示すように、配線部620〜623の放熱面620a〜623aが、封止樹脂体50の裏面50bから露出されている。これにより、放熱面620a〜623aからも放熱することができる。配線部620〜623のうち、放熱面620a〜623aを除く部分は、封止樹脂体50によって封止されている。図45などに示すように、配線部62それぞれの側面には、封止樹脂体50の剥離を抑制するために、凸部が設けられている。
図46及び図52などに示すように、第1実施形態同様、アイランド61及び配線部62の部分が、主端子63、信号端子64、及びダミー端子65の部分よりも厚肉とされている。図53に示す破線間が、厚肉部分である。これにより、スイッチング素子70及び駆動部80の熱を効率よく放熱させることができる。また、封止樹脂体50の硬化収縮にともなうリードフレーム60の反りを抑制することができる。主端子63及び信号端子64が薄肉とされているため、打ち抜きや曲げ加工性を向上することができる。また、信号端子64を狭ピッチ化することもできる。
主端子63は、第1実施形態同様、正極端子63B1,63B2と、負極端子63E1,63E2と、出力端子63P1,63P2を有している。正極端子63B1は、スイッチング素子700Hのアイランド611に連なっている。正極端子63B1は、アイランド611における信号端子64とは反対の端部からY方向に延設されて封止樹脂体50の側面50cから突出し、封止樹脂体50の外部で屈曲されて、Z方向上方に延びている。
正極端子63B2は、スイッチング素子701Hのアイランド613に連なっている。正極端子63B2は、アイランド613における信号端子64とは反対の端部からY方向に延設されて側面50cから突出し、封止樹脂体50の外部で屈曲されて、Z方向上方に延びている。
本実施形態では、アイランド611,613同様、正極端子63B1,63B2も一体化されている。図39及び図53などに示すように、正極端子63B1,63B2は、基部63Baと、接続部63Bbと、連結部63Bcをそれぞれ有している。そして、連結部63Bdにより、正極端子63B1,63B2が一体化されている。
正極端子63B1,B2それぞれにおいて、基部63Baは、対応するアイランド611,613に連なる部分である。基部63Baは、対応するアイランド611,613のX方向中心よりも連結部615寄りの位置で、アイランド611,613に連なっている。図46などに示すように、正極端子63B1,B2は、それぞれの基部63Baの途中に屈曲部を有している。基部63Baは、タイバーカット前の状態でY方向に延設されており、タイバーカット及びフォーミング後の状態で、YZ面において略L字状をなしている。
接続部63Bbは、正極バスバー27Bとの接続部分である。アイランド611,613を一体化しながらも、接続部63Bbを2つに分けている。X方向において、接続部63Bb間の距離は、基部63Ba間の距離及びスイッチング素子700H,701H間の距離のいずれよりも長くされている。連結部63Bcは、基部63Baと接続部63Bbを連結している。連結部63Bcによって、接続部63Bbが対応する基部63BaよりもX方向外側に引き出されている。
連結部63Bdは、X方向において隣り合う基部63Ba同士を連結している。連結部63BdはX方向に延設されている。連結部63Bdの一端は正極端子63B1側の基部63Baに連なり、他端は正極端子63B2側の基部63Baに連なっている。
出力端子63P1は、正極端子63B1に対してX方向外側に配置されている。出力端子63P1は、上記したように、配線部620の一端に連なっている。出力端子63P1は、Y方向に延設されて正極端子63B1と同じ側面50cから突出し、封止樹脂体50の外部で屈曲されて、Z方向上方に延びている。出力端子63P2は、上記したように、配線部622の一端に連なっている。出力端子63P2は、正極端子63B2に対してX方向外側に配置されている。出力端子63P2は、Y方向に延設されて側面50cから突出し、封止樹脂体50の外部で屈曲されて、Z方向上方に延びている。
正極端子63B1,63B2及び出力端子63P1,63P2は、X方向において、出力端子63P1、正極端子63B1、正極端子63B2、出力端子63P2の順に並んで配置されている。X方向において、出力端子63P1と正極端子63B1との距離、及び、出力端子63P2と正極端子63B2との距離は、正極端子63B1,63B2間の距離よりも短くされている。ここでの距離とは、対応するバスバー27との接続部分での距離である。正極端子63B1,63B2及び出力端子63P1,63P2は、YZ面において略L字状をなしている。
正極端子63B1,63B2及び出力端子63P1,63P2は、第1実施形態同様、タイバー痕66a,66bをそれぞれ有している。タイバー痕66aは、1段目のタイバー660aの切断痕であり、タイバー痕66bは、2段目のタイバー660bの切断痕である。正極端子63B1,63B2及び出力端子63P1,63P2は、タイバー痕66a,66bの間に屈曲部を有している。
負極端子63E1,63E2は、アイランド61及び配線部62を挟んで、正極端子63B1,63B2及び出力端子63P1,63P2と反対側に配置されている。負極端子63E1は、Y方向に延設されて正極端子63B1と反対の側面50dから突出し、封止樹脂体50の外部で屈曲されて、Z方向上方に延びている。負極端子63E2は、Y方向に延設されて側面50dから突出し、封止樹脂体50の外部で屈曲されて、Z方向上方に延びている。負極端子63E1,63E2も、YZ面において略L字状をなしている。
負極端子63E1は、配線部621における信号端子64側の端部に連なっている。負極端子63E2は、配線部623における信号端子64側の端部に連なっている。負極端子63E1,63E2は、連結部69によってアイランド610に連結されている。連結部69は、X方向に延設されている。連結部69におけるX方向の中央にアイランド610が連なっている。連結部69は、アイランド610における信号端子64側の端部に連なっている。連結部69の一端に負極端子63E1が連なり、他端に負極端子63E2が連なっている。連結部69は、主端子63及び信号端子64同様、薄肉とされている。連結部69の幅は、信号端子64の幅よりも狭くされている。負極端子63E1,63E2のアイランド61側の端部において、X方向内側に連結部69が連なり、X方向外側に対応する配線部621,623が連なっている。
このように、負極端子63E1,63E2が信号端子64側に配置され、連結部69により、アイランド610がX方向両側で負極端子63E1,63E2に吊られている。この配置により、アイランド610の保持強度を向上することができる。また、連結部69により保持強度を確保できるため、ダミー端子によって補強する構造に較べて、信号端子64の本数を増やすこともできる。
負極端子63E1,63E2も、タイバー痕66a,66bをそれぞれ有している。タイバー痕66aは、1段目のタイバー661aの切断痕であり、タイバー痕66bは、2段目のタイバー661bの切断痕である。負極端子63E1,63E2は、タイバー痕66a,66bの間に屈曲部を有している。
上記したように、上アーム側において、アイランド611,613が連結部615を介して同電位とされている。また、下アーム側において、配線部621,623が連結部69を介して同電位とされている。しかしながら、半導体モジュール40は、2つの正極端子63B1,63B2と、2つの負極端子63E1,63E2を有している。このため、たとえば正極端子63B1,63B2の一方に溶接外れが生じても、他方により電気的な接続を維持することができる。正極端子や負極端子を1本のみ有する構成に較べて、溶接外れによってスイッチング素子70などが故障するのを抑制することができる。
複数の信号端子64は、X方向に並んで配置されている。本実施形態では、信号端子64として、異常通知用の信号端子642,643と、テスト端子644を有している。信号端子642は、整流回路部30を構成する他の半導体モジュール40に対して、スイッチング素子70の異常を通知するための端子である。信号端子643は、レギュレータに対して、スイッチング素子70の異常を通知するための端子である。信号端子642,643は、Y方向に延設されて側面50dから突出し、封止樹脂体50の外部で屈曲されて、Z方向上方に延びている。信号端子642,643は、YZ面において略L字状をなしている。
テスト端子644は、整流回路部30のテスト、たとえば製品出荷前の電気特性検査に用いられる。テスト端子644は、Y方向に延設されて側面50dから突出している。テスト端子644は、Y方向において1段目のタイバー痕66aとほぼ同じ位置まで延設されている。このため、テスト端子644は、屈曲部を有していない。16本の信号端子64のうち、2本が異常通知用の信号端子642,643であり、残りの14本がテスト端子644である。両端から2本目が信号端子642,643とされている。
図47及び図48などに示すように、隣り合うテスト端子644間には、ノイズ吸収用のコンデンサ45が配置されている。コンデンサ45は、セラミック製のチップコンデンサである。コンデンサ45の電極は、はんだ42によって、テスト端子644に接続されている。本実施形態では、4つのコンデンサ45が配置されている。
図42などに示すように、ZX面において、側面50dから突出する信号端子642,643の突出先端である接続部は、側面50cから突出する正極端子63B1,63B2のバスバー27Bとの接続部63Bb及び出力端子63P1,63P2のバスバー27P1,27P2との接続部と重ならない位置とされている。これにより、側面50d側が下側、側面50cが上側となるように半導体モジュール40を置いた状態で、側面50c側から溶接電極を用いて信号端子642,643を溶接することができる。したがって、組み付け性を向上することができる。
テスト端子644の1つは、連結部69を介してアイランド610に連なる端子644aである。このテスト端子644aは、テスト時にグランド電位(GND)とされる。テスト端子644aは、ボンディングワイヤ41によって、駆動部80のパッド81と接続されている。ボンディングワイヤ41が他の電位の部分を跨がなくてもよいため、ショートが発生するのを抑制することができる。
また、グランド電位を確保するために、X方向に延設されて撓みやすい連結部69ではなく、テスト端子644aにボンディングしている。テスト端子644aは、タイバー661a,661bに連結されている。テスト端子644aは、連結部69よりも幅が広くされるとともに、他の信号端子64よりも幅が広くされている。したがって、グランド電位を確保しつつ、ボンディング性を向上することができる。
図48及び図53などに示すように、アイランド610とテスト端子644aとの間の連結部69に、貫通孔69aが設けられている。貫通孔69aは、X方向においてテスト端子644aを跨ぐように設けられている。封止樹脂体50は、貫通孔69aを貫通し、薄肉とされた連結部69の両側に配置されている。テスト端子644aに接続されたボンディングワイヤ41は、貫通孔69a上を通過して、パッド81に接続されている。これによれば、ロックホール効果により、駆動部80側の剥離が、テスト端子644aにおけるボンディングワイヤ41の接続部まで進展するのを抑制することができる。したがって、ボンディングワイヤ41の接続信頼性を向上することができる。
図48及び図53などに示すように、一部の信号端子64、具体的には両端から数本の信号端子64については、ボンディングワイヤ41が接続される側の端部が、XY面内において駆動部80側に傾いている。これにより、駆動部80から離れた位置の信号端子64について、ボンディングワイヤ41の長さを短くすることができる。したがって、封止樹脂体50の成形時において、ボンディングワイヤ41に不良が生じるのを抑制することができる。また、ワイヤ長を短くすることで、ボンディングワイヤ41の接続強度を向上することができる。また、超音波接合時に、共振が生じるのを抑制することができる。
第1実施形態同様、主端子63である負極端子63E1,63E2の間にすべての信号端子64が集約されている。したがって、X方向において外部接続用端子の配置スペースを小さくすることができる。すなわち、無駄なスペースを減らし、半導体モジュール40の体格を小型化することができる。
第1実施形態同様、リードフレーム60において、ボンディングワイヤ41の接続部が平坦とされている。アイランド612,614、連結部615、及び信号端子64におけるボンディングワイヤ41の接続部は、いずれも叩くことで平坦とされている。これにより、ボンディングワイヤ41の接続信頼性を向上することができる。また、バリを叩いて潰し、ボンディング時の異物噛み込みを抑制することもできる。
ダミー端子65は、図40などに示すように、Y方向に延設されて封止樹脂体50の側面50cから2本突出している。ダミー端子65の1つは、配線部620におけるアイランド612とは反対の端部からY方向に延設されている。ダミー端子65のX方向外側に、同じ配線部620に連なる出力端子63P1が配置されている。別のダミー端子65は、配線部622におけるアイランド614とは反対の端部からY方向に延設されている。ダミー端子65のX方向外側に、同じ配線部622に連なる出力端子63P2が配置されている。
ダミー端子65は、タイバーカット後の状態で、正極端子63B1,63B2及び出力端子63P1,63P2のタイバー痕66aとY方向においてほぼ同じ位置まで延設されている。このため、ダミー端子65は屈曲部を有していない。ダミー端子65の幅は、主端子63の幅よりも狭くされている。
(スイッチング素子)
スイッチング素子70は縦型構造をなしており、第1実施形態同様、アイランド61とは反対の面にパッド71及びソース電極72が形成されている。また、感温ダイオードが一体的に形成されている。図45及び図47に示すように、スイッチング素子70のドレイン電極は、はんだ42を介して対応するアイランド61と接続されている。ソース電極72は、はんだ42を介して、対応する架橋部材90と接続されている。
スイッチング素子70は、平面矩形状をなしている。図48及び図53に示すように、パッド71は、スイッチング素子70の1つの辺、具体的には駆動部80との対向辺に沿って配置されている。スイッチング素子70は3つのパッド71を有しており、ゲート電極用、感温ダイオードのアノード用、カソード用の順に並んで配置されている。
上アーム側のスイッチング素子700H,701Hは、対応するアイランド611,613同様、X方向において線対称配置とされている。スイッチング素子700H,701Hは、パッド71の並び方向がX方向となるように配置されている。下アーム側のスイッチング素子700L,701Lは、対応するアイランド612,614同様、X方向において線対称配置とされている。スイッチング素子700L,701Lは、パッド71の並び方向がY方向となるように配置されている。X方向において、スイッチング素子700L、スイッチング素子700H、スイッチング素子701H、スイッチング素子701Lの順に並んでいる。
第1実施形態同様、スイッチング素子70の並び順と、スイッチング素子70のドレイン電極に接続される正極端子63B1,63B2及び出力端子63P1,63P2の並び順が一致している。また、主端子63及び信号端子64は、相対する側面50c,50dのみから突出している。これにより、リードフレーム60のレイアウトを簡素化し、半導体モジュール40の体格を小型化することができる。また、バスバー27との接続構造を簡素化することができる。
(駆動部)
本実施形態の駆動部80は、駆動信号を生成する駆動回路を有している。駆動部80は、ASICなどのICチップとして構成されている。駆動部80は、スイッチング素子70を駆動させるだけでなく、オンオフを制御するため、制御ICとも称される。図47に示すように、駆動部80は、導電性接着材43を介してアイランド610に固定されている。駆動部80におけるアイランド610への固定面と反対の面には、複数のパッド81が形成されている。
図53に示すように、パッド81の一部は、ボンディングワイヤ41を介して、スイッチング素子70のパッド71に接続されている。別のパッド81は、ボンディングワイヤ41を介して、連結部615、すなわちスイッチング素子700H,701Hのドレインに接続されている。別のパッド81は、ボンディングワイヤ41を介して、アイランド612,614に接続されている。パッド81の残りは、ボンディングワイヤ41を介して、信号端子64に接続されている。
駆動部80の駆動回路は、アイランド612,614の電位、すなわち回転電機部10への出力電圧である相電圧P1,P2に基づいて、スイッチング素子70のオンオフを制御する。駆動部80は、第1実施形態同様、スイッチング素子70の保護するための回路と、スイッチング素子70の異常を判定する判定回路と、判定結果を、信号端子642,643を通じて制御回路部26に外部に通知する通知回路を有している。駆動部80の詳細については後述する。
駆動部80は、平面略矩形状をなしている。駆動部80は、X方向においてリードフレーム60の中心線に対し、線対称配置とされている。下アーム側のスイッチング素子700L,701Lは、駆動部80に対して線対称配置とされている。駆動部80は、下アーム側のスイッチング素子700L,701Hの間に配置されている。スイッチング素子700H,701Hのパッド71は、アイランド610よりもX方向外側に配置されている。
(ボンディングワイヤを考慮した配置)
第1実施形態同様、4つのスイッチング素子70が、駆動部80の周りに配置されている。これにより、パッド71,81を接続するボンディングワイヤ41の長さを短くすることができる。したがって、封止樹脂体50を成形する際に、ボンディングワイヤ41に不良が生じるのを抑制することができる。また、無駄なスペースを低減し、半導体モジュール40の体格を小型化することもできる。
駆動部80は平面略矩形状をなしており、パッド81がスイッチング素子70それぞれとの対向辺に設けられている。スイッチング素子70と接続されるパッド81は、駆動部80の連続する3辺に集約されている。これにより、ボンディングワイヤ41の長さを短くすることができる。駆動部80の残りの1辺には、信号端子64と接続されるパッド81のみが配置されている。
スイッチング素子70は、略正方形をなしている。パッド71は、スイッチング素子70の1つの辺の中央付近に、該辺に沿って並んで配置されている。このように、パッド71を1つの辺の中央に配置したため、スイッチング素子70を1種類のチップに共通化することができる。また、共通化しながらも、90度配置が異なる上アーム側と下アーム側とで、パッド71,81に対してボンディングワイヤ41を接続することができる。また、ボンディングワイヤ41の長さを短くすることができる。
信号端子64は、Y方向において、駆動部80の一辺側にまとめて配置されている。すべての信号端子64は、駆動部80に対して、上アーム側のスイッチング素子700H,701Hとは反対側に配置されている。これによれば、信号端子64も含めて、駆動部80との接続構造を簡素化することができる。よって、ボンディングワイヤ41の長さを短くし、半導体モジュール40の体格を小型化することができる。
(熱を考慮した配置)
第1実施形態同様、下アーム側のスイッチング素子700L,701Lの間に駆動部80が配置されている。また、X方向において、スイッチング素子700H,701Hが線対称配置とされ、スイッチング素子700L,701Lが線対称配置とされている。すなわち、4つのスイッチング素子70が、XY面内において均等配置されている。そして、図48に示すように、上アーム側のスイッチング素子700H,701H間の距離をL1、下アーム側のスイッチング素子700L,701L間の距離をL2とすると、距離L2のほうが距離L1よりも長くされている。
上記配置により、回転電機部10(固定子巻線121)からのもらい熱によって高温となるスイッチング素子700L,701L同士を遠ざけているため、スイッチング素子700L,701L間の熱干渉を、スイッチング素子700H,701H間の熱干渉よりも低減することができる。これにより、XY面において局所的な過熱を抑制し、すべてのスイッチング素子70について、熱による性能低下を抑制することができる。
アイランド611〜614の放熱面611a〜614aが、封止樹脂体50から露出されている。したがって、スイッチング素子70の熱を効果的に放熱することができる。また、アイランド610の放熱面610aが、封止樹脂体50から露出されている。これにより、駆動部80の発生した熱及び駆動部80の周りに配置されたスイッチング素子70からのもらい熱を、効果的に放熱することができる。また、放熱性の向上により、駆動部80を小型化することもできる。
配線部620,622の放熱面620a,622aが、封止樹脂体50から露出されている。これにより、スイッチング素子700L,701Lの熱を、放熱面620a,622aから逃がすことができる。特に本実施形態では、配線部620,622が出力端子63P1,63P2に連なっているため、回転電機部10からのもらい熱を効果的に放熱することができる。これにより、スイッチング素子700L,701Lに伝わる熱を低減することができる。
(架橋部材)
本実施形態では、架橋部材90として、クリップ900を採用している。半導体モジュール40は、4つのクリップ900を有している。上記した線対称配置により、スイッチング素子70のソース電極72と配線部62との接続距離が、互いに略等しくされている。このため、4つのクリップ900を1種類に共通化し、部品点数を削減することができる(A173)。
図48及び図53などに示すように、クリップ900のそれぞれは、延設方向がX方向、幅方向がY方向となるように配置されている。
(タイバーカット前のリードフレーム)
図53に示すように、タイバーカット前のリードフレーム60は、アイランド61、配線部62、主端子63、信号端子64、ダミー端子65、及び連結部69に加えて、タイバー66と、外枠67と、連結部68を有している。
本実施形態のタイバー66も、アイランド61及び配線部62をY方向において挟むように、一方側にタイバー660a,660bを有し、他方側にタイバー661a,661bを有している。各タイバー66は、X方向両端で外枠67に連結されている。
タイバー660aは、正極端子63B1,63B2及び出力端子63P1,63P2を外枠67に連結している。タイバー660a,660bは、いずれも正極端子63B1,63B2及び出力端子63P1,63P2それぞれのY方向への延設部分に連結されている。タイバー660a,660bは、たとえば正極端子63B1,63B2において、基部63Baに連結されている。タイバー660a,660bのそれぞれは、X方向に沿って一直線状に延設されている。正極端子63B1,63B2及び出力端子63P1,63P2は、タイバー660a,660bの間で屈曲される。
アイランド611,613は、対応する正極端子63B1,63B2の基部63Baを介して、タイバー660a,660bに連結されている。アイランド612,614及び配線部620,621は、対応するダミー端子65及び出力端子63P1,63P2を介して、タイバー660a,660bに連結されている。
正極端子63B1,63B2及び出力端子63P1,63P2は、アイランド611,613及び配線部620,622からの延設の始点がY方向において同じ位置とされ、延設の終点、すなわち先端位置もY方向においてほぼ同じ位置とされている。
正極端子63B1,63B2は、連結部68により、Y方向においても外枠67に連結されている。連結部68は、基部63Baそれぞれの先端に連なっている。すなわち、正極端子63B1,63B2において、バスバー27Bとの接続部63Bbとは異なる部分に連なっている。連結部68は、Y方向に延設されている。連結部68のX方向外側に接続部63Bbが配置されている。図39などに示すように、半導体モジュール40は、タイバーカット後において、連結部68の切断痕である連結痕68aを有している。
出力端子63P1,63P2と同じ配線部620,622に連結されたダミー端子65は、対応する出力端子63P1,63P2に沿って延設されている。ダミー端子65は、Y方向において外枠67まで延設されている。
タイバー661aは、負極端子63E1,63E2及び信号端子64を外枠67に連結している。タイバー661a,661bは、いずれも負極端子63E1,63E2及び信号端子64それぞれのY方向への延設部分に連結されている。負極端子63E1,63E2及び信号端子642は、タイバー661a,661bの間で屈曲される。
配線部621,623は、負極端子63E1,63E2を介してタイバー661a,661bに連結されている。アイランド610は、連結部69及び負極端子63E1,63E2を介して、タイバー661a,661bに連結されている。アイランド610は、連結部69及びテスト端子644aを介して、タイバー661a,661bに連結されている。テスト端子644aは、上記したように、アイランド610側とは反対で外枠67に連結されている。
主端子63におけるバスバー27との接続部は、外枠67に対して連結されておらず、フリーとなっている。一方、信号端子64は、Y方向において外枠67に連結されている。信号端子64は、タイバーカット時に、外枠67から切り離される。信号端子64が外枠67に連結されているため、成形時においてタイバー661a,661bの変形を抑制することができる。
信号端子64と負極端子63E1,63E2の間には、連結部68がそれぞれ配置されている。連結部68は、Y方向に延設されており、一端がタイバー661aに連結され、他端が外枠67に連結されている。連結部68は、タイバー66とともに切り離される。この連結部68により、外枠67との吊り箇所が増えたため、成形時においてタイバー661a,661bの変形を抑制することができる。したがって、負極端子63E1,63E2及び信号端子642,643の位置精度を向上することができる。
本実施形態でも、2段目のタイバー660b,661bは、1段目のタイバー660a,661aよりも幅が広くされている。タイバー660a,661aの幅は狭いため、主端子63及び信号端子64の曲げ加工などの際に邪魔にならず、且つ、半導体モジュール40の体格を小型化することができる。また、タイバーカット時の寸法ずれを小さくすることができる。タイバー660b,661bの幅は広いため、これにより剛性を向上し、封止樹脂体50の成形時においてタイバー66の変形を抑制することができる。
図示を省略するが、本実施形態でも、アイランド61におけるクリップ900の配置部60aと、同じクリップ900が配置される配線部62における配置部60bとが、X方向に並んで配置されている。すなわち、同じクリップ900に対する配置部60a,60bの並び方向が、アイランド61及び配線部62が連結された1段目のタイバー660a,661aの延設方向と同じ方向とされている。このように、平行配置とすると、タイバー66からクリップ900までの最大長さを長くすることができるため、アイランド611〜614と対応するスイッチング素子70との接合部に作用する応力を低減することができる。なお、タイバーカット後の半導体モジュール40において、アイランド61に対して同じ側に配置された1段目のタイバー痕66aの並び方向と、クリップ900それぞれの延設方向とが同じ方向(X方向)とされている。
アイランド612及び配線部620と、アイランド614及び配線部622は、複数箇所で同じタイバー660a,660bにそれぞれ連結されている。これによれば、成形時においてタイバー660a,660bが変形するのを抑制することができる。タイバー変形の抑制により、アイランド612,614と対応するスイッチング素子700L,701Lとの接合部に作用する応力を低減することができる。また、出力端子63P1,63P2から離れた位置にあるアイランド612,614の垂れを抑制することもできる。
アイランド612及び配線部620は、出力端子63P1及びダミー端子65を介して、タイバー660aに連結されている。アイランド614及び配線部622は、出力端子63P2及びダミー端子65を介して、タイバー660aに連結されている。このように、主端子63よりも幅の狭いダミー端子65を採用することで、タイバー660a,660bの変形を抑制しつつ、リードフレーム60の体格増大を抑制することができる。
ダミー端子65は、Y方向において外枠67に連結されている。これによっても、リードフレーム60の剛性を向上し、たとえばタイバー660a,660bの変形を抑制することができる。正極端子63B1,63B2及び出力端子63P1,63P2については外枠67に繋げないため、バスバー27との接続性を確保することができる。
同じクリップ900が配置されるアイランド612,614及び配線部621,623が、互いに異なるタイバー660a,661aに連結されている。アイランド612,614及び配線部621,623が、タイバー66に対して両吊りとなるため、成形時においてタイバー66の変形を抑制することができる。また、クリップ900の延設方向がタイバー66と同じX方向となるため、スイッチング素子70の接合部に対するX方向のせん断応力を抑制することもできる。
アイランド611,613は、正極端子63B1,63B2を介して、タイバー660a,660bに連結されている。正極端子63B1,63B2は、正極バスバー27Bとの接続部63Bbを除く部分で、連結部68により外枠67に連結されている。これにより、リードフレーム60の剛性を向上し、たとえばタイバー660a,660bの変形をより効果的に抑制することができる。また、連結部68は接続部63Bbを除く部分に連結されているため、接続部63Bbと正極バスバー27Bとの溶接に影響しない。
(駆動部詳細)
図54に示すように、駆動部80は、電圧検出回路82と、温度検出回路83と、判定回路84と、駆動回路85と、通知回路86を有している。以下においては、上アーム側をハイサイド、下アーム側をローサイドとも称する。
電圧検出回路82は、電圧検出部に相当する。電圧検出回路82は、各アームを構成するスイッチング素子70の主電極間の電圧、すなわちドレインーソース間の電圧Vds、又は、各相上下アームの相電圧P1,P2を検出する。相電圧P1は、スイッチング素子700H,700Lによる第1の上下アームの出力電圧である。相電圧P2は、スイッチング素子701H,701Lによる第2の上下アームの出力電圧である。相電圧P1,P2は、上記したように、アイランド612,614から検出することができる。電圧Vdsは、連結部615及びソース電位用のパッド71から検出することができる。
温度検出回路83は、温度検出部に相当する。温度検出回路83は、感温ダイオードに基づいて、スイッチング素子70の温度を検出する。温度検出回路83は、アノード用及びカソード用のパッド71からアノード電位及びカソード電位を取得して温度を検出する。
判定回路84は、判定部に相当する。判定回路84は、電圧検出回路82により検出された電圧値に基づいて、スイッチング素子70にショートが生じているか否かを判定する。たとえばスイッチング素子701Hがショートした場合には相電圧P2が電源電圧VBに固定され、スイッチング素子701Lがショートした場合には相電圧P2がグランド電位に固定される。また、スイッチング素子701Hがショートした場合には電圧Vdsは一定値ゼロで継続し、スイッチング素子701Lがショートした場合にはスイッチング素子701Hのソースがグランドに張り付くため、電圧Vdsはゼロよりも大きい一定値(電源電圧VB)で継続する。以上により、判定回路84は、スイッチング素子70にショートが生じているか否かを判定することができる。判定回路84は、温度検出回路83により検出された温度(順方向電圧Vf)に基づいて、スイッチング素子70に温度異常の故障が生じているか否かを判定する。
駆動回路85は、駆動部に相当する。駆動回路85は、スイッチング素子70を制御するための駆動信号(ゲート駆動信号)を生成する。駆動回路85は、判定回路84の判定結果に応じて、スイッチング素子70のオンオフを制御する。駆動回路85は、故障が生じたと判定されたスイッチング素子70をオフさせるとともに、故障したスイッチング素子70とは別の相であって同じサイドのスイッチング素子70をオンさせる。たとえば、ハイサイドのスイッチング素子700Hが故障した場合、スイッチング素子700Hをオフさせ、スイッチング素子701Hをオンさせる。ローサイドのスイッチング素子700Lが故障した場合、スイッチング素子700Lをオフさせ、スイッチング素子701Lをオンさせる。
通知回路86は、通知部に相当する。通知回路86は、故障の発生と、故障したスイッチング素子70のサイドに関する情報を、制御装置部20を構成する別の半導体モジュール40に通知する。上記したように、半導体モジュール40は、異常通知用の信号端子642を有している。半導体モジュール40を区別するために、図55では、符号40a,40b,40cを付与している。半導体モジュール40aがU相及びV相の上下アームを構成し、半導体モジュール40bがW相及びX相の上下アームを構成し、半導体モジュール40cがY相及びZ相の上下アームを構成している。図55に示すように、3つの半導体モジュール40a,40b,40cそれぞれの信号端子642が相互に接続されて、双方向の通信が可能とされている。
図56は、通知信号において、スイッチング素子70の故障通知例を示している。上段及び下段において、時間t1の幅(Hi幅)を有するパルスが、故障発生を示している。上段において、故障発生を示すパルスの後に送信され、時間t1よりも狭い時間t2の幅を有するパルスが、ハイサイド側の故障を示している。下段において、故障発生を示すパルスの後に送信され、時間t1よりも狭く、時間t2よりも広い時間t3の幅を有するパルスが、ローサイド側の故障を示している。なお、時間t2を時間t3よりも広くしてもよい。このようにして、パルス幅(デューティ比)の変更により、ハイサイド故障とローサイド故障を区別することができる。
図57は、半導体モジュール40aのスイッチング素子701Lにショート故障が生じた場合の制御を示している。電圧検出回路82によって検出された電圧値により、判定回路84がスイッチング素子701Lにショート故障が発生したと判定すると、先ず駆動回路85は、スイッチング素子701Lをオフさせるとともに、別の相であって同じサイドのスイッチング素子700Lをオンさせる。なお、それ以外のスイッチング素子70についてはオフさせる。また、通知回路86は、他の半導体モジュール40b,40cに対して、ローサイド側に故障が生じたことを示す通知信号を出力する。
半導体モジュール40b,40cの駆動回路85は、故障を示す通知信号を受信すると、すべてのスイッチング素子70をオフさせる。これにより、貫通電流が流れるのを抑制することができる。次いで、駆動回路85は、半導体モジュール40aにおいて故障が生じたローサイド側のスイッチング素子700L,701Lをすべてオンさせる。
図58は参考例、具体的には一相分の上下アームを構成する半導体モジュールを6つ用いて制御装置部を構成する場合のタイミングチャートを示している。この構成では、スイッチング素子の故障が検出されると、他の5つの半導体モジュールに対して故障を示す通知信号が出力される。したがって、所定の通信時間を経てから、他の半導体モジュールにおいて、同じサイドのスイッチング素子がオンされることとなる。このため、通信中は故障したスイッチング素子のみに電流が集中してしまう。発電時においては、故障したスイッチング素子をオフさせても、寄生ダイオードを通して電流が流れるため、遮断できない。
これに対し、本実施形態では、駆動回路85が上記した制御を実行する。このため、図59に示すように、故障が発生すると、同一の半導体モジュール40内における別の相であって同じサイドのスイッチング素子70がオンされる。このように、故障が発生すると、同一半導体モジュール40内において、故障していない正常相が直ちに保護動作に移行する。これにより、故障したスイッチング素子70以外に電流経路が形成される。したがって、故障したスイッチング素子70に電流が集中するのを抑制することができる。また、通信完了により、他の半導体モジュール40においても、同じサイドのスイッチング素子70がオンされる。これにより、電流経路がさらに増えるため、スイッチング素子70のストレス、電流ストレスや熱ストレスを低減することができる。
図60は、半導体モジュール40aのスイッチング素子701Hに温度異常が生じた場合の制御を示している。温度検出回路83によって検出された温度により、判定回路84がスイッチング素子701Hに温度異常の故障が発生したと判定すると、先ず駆動回路85は、スイッチング素子701Hをオフさせるとともに、別の相であって同じサイドのスイッチング素子700Hをオンさせる。それ以外のスイッチング素子70についてはオフさせる。また、通知回路86は、他の半導体モジュール40b,40cに対して、ハイサイド側に故障が生じたことを示す通知信号を出力する。
半導体モジュール40b,40cの駆動回路85は、故障を示す通知信号を受信すると、すべてのスイッチング素子70をオフさせる。これにより、貫通電流が流れるのを抑制することができる。次いで、駆動回路85は、半導体モジュール40aにおいて故障が生じたハイサイド側のスイッチング素子700H,701Hをすべてオンさせる。よって、温度異常が生じた場合にも、ショート故障と同等の効果を奏することができる。
なお、オープン故障は電流が流れない故障ではあるが、固定子巻線121などのインダクタンス成分によって、相電圧P1,P2が異常となり、さらなる故障に繋がる虞がある。本実施形態では、図61に示すように、オープン故障が生じると、すべてのスイッチング素子70をオフさせる。これにより、二次的な故障を抑制することができる。図61では、スイッチング素子701Lにオープン故障が生じた場合の例を示している。
図62は、駆動部80の第1変形例を示している。この駆動部80は、所定の処理を実行する処理回路87と、相電圧P1,P2をそれぞれ取得し、相電圧P1,P2の少なくとも一方が閾値電圧を超えると、処理回路87をスリープ状態から起動させる起動回路88と、処理回路87に電源を供給する電源回路89を有している。処理回路87は処理部に相当し、起動回路88は起動部に相当し、電源回路89は電源部に相当する。
図63は、駆動部80のより具体的な構成を示している。処理回路87は、アナログ回路870と、デジタル回路871を有している。処理回路87は、たとえば上記した電圧検出回路82、温度検出回路83、判定回路84、駆動回路85、及び通知回路86などを含んでいる。
起動回路88は、ORゲート880と、ORゲート880の後段に設けられた起動スイッチ881を有している。ORゲート880には、相電圧P1,P2が入力される。ORゲート880は、相電圧P1,P2の少なくとも一方が予め設定された閾値電圧Vthを超えると、Hiレベルの信号を出力する。これにより、起動スイッチ881がオフからオンに切り替わる。
電源回路89は、起動スイッチ881がオン状態になると、グランドに接続されて、作動を開始する。そして、アナログ回路870に電源VCC1を供給し、デジタル回路871に電源VCC2を供給する。これにより、アナログ回路870及びデジタル回路871がスリープ状態から起動状態に切り替わる。
図64では、スイッチング素子701Lのショート故障により、相電圧P2がグランド電位に固着した場合を示している。第1変形例の構成によれば、ショート故障とは反対の相電圧P1により電源回路89を作動させ、これにより電源VCC1,VCC2が立ち上がり、処理回路87を起動させることができる。このように、二相分のうち、一方の上下アームのローサイドにショート故障が生じていても、処理回路87をスリープ状態から起動させることができる。したがって、駆動部80が、スイッチング素子70の故障を検知し、故障したスイッチング素子70を保護することができる。なお、図64では、回路遅延を省略している。
図65は、上記したデジタル回路871に故障が生じ、アナログ回路870であるドライバ870aのうち、スイッチング素子700H,701Lそれぞれのドライバ870aへ出力する駆動信号がオン固着された状態を示している。このような故障が生じると、図65に破線矢印で示すように、回転電機部10側、具体的には固定子巻線121などを介して、異なる相を跨いだ貫通電流が発生する虞がある。
貫通電流を抑制するために、図66に示す参考例では、アナログ回路870rが、ドライバ870arと、電圧検出回路82rであるコンパレータを有している。デジタル回路871rが、駆動回路85rと、ANDゲート871arと、NOTゲート871brを有している。参考例においては、本実施形態の関連する要素の符号に対し、末尾にrを付与している。NOTゲート871brは、ANDゲート871arの一方の入力と電圧検出回路82rとの間に設けられている。ANDゲート871arには、駆動回路85rにて生成された駆動信号と、電圧検出回路82rにより検出された電圧Vdsの反転値が入力される。ANDゲート871arの出力が、ドライバ870arに入力される。
参考例に示す構成では、スイッチング素子70rがオンしている状態で、電流方向と相関がある電圧Vdsを監視する。そして、電流方向が正常な場合にオンを継続し、電流方向が異常な場合にオフに切り替えるようになっている。図66は、実線矢印で示すように、回転電機1の発電時を示している。電圧Vdsは電流方向が正常であるゼロ(0)を示すため、ANDゲート871arから出力される駆動信号は、1が維持される。これにより、スイッチング素子70rのオンが継続される。図示を省略するが、スイッチング素子70rを流れる電流の方向が逆(異常)の場合、電圧Vdsは電流方向が異常である1を示すため、ANDゲート871arから出力される駆動信号は、ゼロ(0)に切り替わる。これにより、スイッチング素子70rもオンからオフに切り替わる。以上により、貫通電流などの発生を抑制することができる。
しかしながら、参考例に示す構成では、デジタル回路871rに故障が生じた場合、デジタル回路871rが所望の動作を実行しない虞がある。たとえば図67では、NOTゲート871brに故障が生じて反転機能が喪失されている。この場合、スイッチング素子70を流れる電流の方向が異常の場合、電圧Vdsが異常を示す1を出力したにもかかわらず、入力前に反転されないため、ANDゲート871arから出力される駆動信号は、1となる。これにより、スイッチング素子70のオンが継続されてしまう。
図68は、駆動部80の第2変形例を示している。第2変形例では、参考例に示す構成に加えて、処理回路87が、駆動回路85を含むデジタル回路871とは別のデジタル回路872を有している。デジタル回路872は、電源回路89からデジタル回路871に供給される電源VCC2とは異なる電源VCC3、具体的には電源VCC2よりも低い電圧が供給されて起動する。電源VCC3は、たとえば電圧降下用の抵抗を介すことで、電源VCC2よりも低い電圧とされる。
デジタル回路872は、デジタル回路871同様、ANDゲート872aと、NOTゲート872bを有している。NOTゲート872bは、ANDゲート872aの一方の入力と電圧検出回路82との間に設けられている。ANDゲート872aには、ANDゲート871aから出力された駆動信号と、電圧Vdsの反転値が入力される。ANDゲート872aの出力が、ドライバ870aに入力される。
このような構成を採用することにより、デジタル回路871のたとえばNOTゲート871bに故障が発生し、反転機能が喪失されても、スイッチング素子70を流れる電流の方向が異常の場合には、スイッチング素子70をオンからオフに切り替えることができる。また、デジタル回路872のたとえばNOTゲート872bに故障が発生し、反転機能が喪失されても、スイッチング素子70を流れる電流の方向が異常の場合には、スイッチング素子70をオンからオフに切り替えることができる。したがって、冗長性を向上することができる。
(その他)
本実施形態では、架橋部材90として、4つのクリップ900を用いる例を示したが、これに限定されない。たとえば各相の電流を検出する場合には、架橋部材90としてシャント抵抗器901を用いることができる。連結部615によりアイランド611,613を一体化する例を示したが、これに限定されない。第1実施形態同様、アイランド611,613を分離してもよい。
この明細書の開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。たとえば、開示は、実施形態において示された要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含むものと解されるべきである。また、明細書及び図面等における開示は、請求の範囲の記載によって限定されない。明細書及び図面等における開示は、請求の範囲に記載された技術的思想を包含し、さらに請求の範囲に記載された技術的思想より多様で広範な技術的思想に及んでいる。よって、明細書および図面等の開示は、請求の範囲の記載に拘束されることのない技術的思想を包含している。
第1実施形態に示した半導体モジュール40の構成を、第2実施形態に示した回転電機1に適用することができる。第2実施形態に示した半導体モジュール40の構成を、第1実施形態に示した回転電機1に適用することができる。
第1実施形態に示した半導体モジュール40の構成の一部について、第2実施形態に示した半導体モジュール40に組み合わせることもできる。たとえば、第1実施形態に示した封止樹脂体50の構成を第2実施形態に組み合わせることができる。第1実施形態に示したリードフレーム60を第2実施形態に組み合わせることができる。電流を検出する場合には、第1実施形態に示したシャント抵抗器901を第2実施形態に組み合わせることができる。
第2実施形態に示した半導体モジュール40の構成の一部について、第1実施形態に示した半導体モジュール40に組み合わせることもできる。たとえば、第2実施形態に示したアイランド61、配線部62、及び主端子63の配置を、第1実施形態に組み合わせることができる。第2実施形態に示した駆動部80を第1実施形態に組み合わせることができる。
タイバー66の延設方向と、架橋部材90の延設方向、すなわち配置部60a,60bの並び方向とが、略平行とされる構成の適用対象は、上記例に限定されない。複数のアイランド61と、架橋部材90を介してスイッチング素子70と接続され、該スイッチング素子70が配置されるアイランド61とは別の配線を有すると、高さ方向のばらつきが生じやすくなる。特にタイバー66の延設方向において複数のアイランド61が配置されると、タイバー66が長くなる。たとえば半導体モジュール40内に一相分の上下アームを構成する2つのスイッチング素子70が配置され、スイッチング素子70が個別に配置されるアイランド61が、タイバー66の延設方向であるX方向に並んで配置される構成において、上記した平行配置を採用すると、アイランド61とスイッチング素子70との接合部に作用する応力を抑制することができる。なお、スイッチング素子70が配置されるアイランド61とは別の配線とは、たとえば別のアイランド61や配線部62である。複数のスイッチング素子70は、上下アームを構成するものに限定されない。