次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず図1、図2を参照して、部品搭載装置1の全体構成を説明する。なお、図2は、図1におけるA−A断面を示している。部品搭載装置1は、表面に傾斜角度の異なる複数の実装面を有する立体基板および表面に実装面を有する板状基板の両方を対象として、部品供給部から取り出した部品を搭載する機能を有している。
図1、図2において、基台1aには、第1の搬送レーン2Aおよび第2の搬送レーン2BがX方向(基板搬送方向)に配置されている。第1の搬送レーン2Aには、1対の搬送レール2aのそれぞれの内側面に設けられた第1のベルトコンベア2cAを対向させた構成の第1の搬送部が配置されている(図3参照)。第1の搬送部には、治具21(図3(a)参照)が上流側装置から搬入され(矢印a)、搭載作業位置まで搬送される。治具21は、表面に傾斜角度の異なる複数の実装面を有する立体基板であるワーク15(図7参照)を保持している。
本実施の形態では、第1の搬送レーン2Aには、1対の搬送レール2aの間において搭載作業位置に対応した位置に姿勢変更部3が配置されている。姿勢変更部3は、ワーク15の少なくとも一つの実装面がXY平面に平行な姿勢(水平姿勢)となるように、治具21に載せられて第1の搬送部の第1のベルトコンベア2cAによって搬送されたワーク15を回動させる機能を有している。
さらに第1の搬送レーン2Aには、姿勢変更部3を昇降させる昇降部である昇降用アクチュエータ17が設けられている。昇降用アクチュエータ17を駆動することにより、姿勢変更部3によってXY平面と平行な姿勢に姿勢変更された実装面の高さを調整することができる。すなわち、本実施の形態における第1の搬送レーン2Aには、上述の第1のベルトコンベア2cAを備えた第1の搬送部と、姿勢変更部3と、昇降用アクチュエータ17とが配置された構成となっている。
第2の搬送レーン2Bには、1対の搬送レール2bのそれぞれの内側面に設けられた第2のベルトコンベア2cBを対向させた構成の第2の搬送部が配置されている(図3参照)。第2の搬送部には、表面に実装面を有する板状基板14(図3参照)もしく板状基板14を載せた搬送パレット(図示省略)が上流側装置から搬入され(矢印b)、搭載作業位置まで搬送される。
本実施の形態では、第2の搬送レーン2Bには、1対の搬送レール2bの間において搭載作業位置に対応した位置に、バックアップ部4が配置されている。バックアップ部4は、板状基板14もしく板状基板14を載せた搬送パレットを下方から支持する。さらに第2の搬送レーン2Bには、バックアップ部4を昇降させるバックアップ用アクチュエータ16が設けられている。
バックアップ用アクチュエータ16を駆動することにより、バックアップ部4によって下方から支持された板状基板14を、以下に説明する第1の搭載ヘッド9A、第2の搭載ヘッド9Bによる搭載高さに位置させることができる。すなわち本実施の形態における第2の搬送レーン2Bには、上述の第2のベルトコンベア2cBを備えた第2の搬送部と、バックアップ部4と、バックアップ用アクチュエータ16とが配置された構成となっている。
第1の搬送レーン2Aの側方(図1において下側)には、第1の部品供給部5Aが配置されている。第1の部品供給部5Aには、着脱自在の台車5aに装着された複数のテープフィーダ6がセットされている。テープフィーダ6は、ワーク15(もしくは板状基板14)に搭載される部品をテーピング状態で保持したキャリアテープをピッチ送りする。これにより、これらの部品を、以下に説明する第1の搭載ヘッド9Aによる部品取出位置に供給する。
同様に、第1の搬送レーン2Aの側方(図1において上側)には、第2の部品供給部5Bが配置されている。第2の部品供給部5Bには同様に、台車5aに装着された複数のテープフィーダ6がセットされている。テープフィーダ6は、板状基板14(もしくはワーク15)に搭載される部品をテーピング状態で保持したキャリアテープをピッチ送りする。これにより、これらの部品を、以下に説明する第2の搭載ヘッド9Bによる部品取出位置に供給する。
基台1aの上面におけるX方向の両端部には、それぞれ第1のY軸リニアモータ7a、第2のY軸リニアモータ7bを備えた第1のY軸テーブル7A、第2のY軸テーブル7Bが配置されている。第1のY軸リニアモータ7a、第2のY軸リニアモータ7bには、第1のX軸リニアモータ8aを備えた第1のX軸ビーム8A、第2のX軸リニアモータ8bを備えた第2のX軸ビーム8Bが、それぞれ結合されている。第1のX軸リニアモータ8a、第2のX軸リニアモータ8bには、それぞれ下端部に部品吸着保持用の吸着ノズル10(図2参照)を備えた第1の搭載ヘッド9A、第2の搭載ヘッド9Bが結合されている。
上述構成において第1のY軸リニアモータ7a、第1のX軸リニアモータ8aを駆動すると、第1の搭載ヘッド9Aは第1の部品供給部5Aの上方から第1の搬送レーン2A、第2の搬送レーン2Bの上方に至る空間においてXY方向に移動する。また第2のY軸リニアモータ7b、第2のX軸リニアモータ8bを駆動すると、第2の搭載ヘッド9Bは第2の部品供給部5Bの上方から第1の搬送レーン2A、第2の搬送レーン2Bの上方に至る空間においてXY方向に移動する。したがって、第1のY軸リニアモータ7a、第1のX軸リニアモータ8a、第1のY軸リニアモータ7a、第1のX軸リニアモータ8aは、第1の部品供給部5A、第2の部品供給部5Bの上方から第1の搬送レーン2A、第2の搬送レーン2Bの上方に至る空間においてXY平面に沿って第1の搭載ヘッド9A、第2の搭載ヘッド9Bを移動させる搭載ヘッド移動部を構成している。
この搭載ヘッド移動部によって第1の搭載ヘッド9A、第2の搭載ヘッド9Bを移動させることにより、第1の搭載ヘッド9A、第2の搭載ヘッド9Bは、第1の部品供給部5A、第2の部品供給部5Bより供給された部品を吸着ノズル10によって吸着保持して移動する。そして第1の搬送レーン2A、第2の搬送レーン2Bにそれぞれ搬入されたワーク15の実装面、板状基板14の実装面にこれらの部品を搭載する。
第1の搭載ヘッド9A、第2の搭載ヘッド9Bの下端部近傍には、第1のヘッドカメラ11A、第2のヘッドカメラ11Bが、撮像方向を下向きにして配置されている。第1の搭載ヘッド9A、第2の搭載ヘッド9Bを移動させる際に、第1のヘッドカメラ11A、第2のヘッドカメラ11Bを板状基板14、ワーク15の認識対象部位に位置させて撮像することにより、板状基板14の認識マーク(図示省略)、ワーク15の認識マークM(図7参照)が撮像される。
第1の搬送レーン2Aと第1の部品供給部5Aとの間、第2の搬送レーン2Bと第2の部品供給部5Bとの間において、第1の搭載ヘッド9A、第2の搭載ヘッド9Bがそれぞれ移動する経路には、第1の部品カメラ12A、第1のノズルストック部13Aおよび第1の部品カメラ12A、第1のノズルストック部13Aがそれぞれ配置されている。第1の部品カメラ12A、第2の部品カメラ12Bは撮像方向を上向きに配置されており、上方に位置する第1の搭載ヘッド9A、第2の搭載ヘッド9Bに保持された状態の部品を撮像する。第1のノズルストック部13A、第2のノズルストック部13Bは、第1の搭載ヘッド9A、第2の搭載ヘッド9Bにて部品の種類に応じて交換して使い分けられる複数種類の吸着ノズル10を収納保持する。
部品搭載作業では、第1のヘッドカメラ11A、第2のヘッドカメラ11Bによる撮像結果および第1の部品カメラ12A、第2の部品カメラ12Bによる撮像結果を、認識部56(図6参照)によって認識処理する。これにより、板状基板14、ワーク15の位置ずれの状態、第1の搭載ヘッド9A、第2の搭載ヘッド9Bにおける部品の位置ずれの状態が検出され、第1の搭載ヘッド9A、第2の搭載ヘッド9Bによる部品搭載動作においては、これらの位置ずれを補正して部品を板状基板14、ワーク15に着地させる。
なお、上記実施例では、2つの第1の搭載ヘッド9A、第2の搭載ヘッド9Bの2つの搭載ヘッドとこれらそれぞれの搭載ヘッドに部品を供給する第1の部品供給部5A、第2の部品供給部5Bを備えた構成を示しているが、これらの構成は必ずしも必須ではない。すなわち、少なくとも1つの搭載ヘッドとこの搭載ヘッドに部品を供給する1つの部品供給部を備えていればよい。なお、搬送レーンについては、少なくとも第1の搬送レーン2A、第2の搬送レーン2Bを含んでいれば、さらにこれらに別の搬送レーンを付加するようにしてもよい。
図2に示すように、基台1aには制御部18が内蔵されている。制御部18は、第1の搬送レーン2Aにおけるワーク15の搬送、第2の搬送レーン2Bにおける板状基板14の搬送、第1の搭載ヘッド9A、第2の搭載ヘッド9Bによる部品搭載などに必要とされる各種の作業動作を制御する機能を有している。これとともに制御部18は、第1のヘッドカメラ11A、第2のヘッドカメラ11Bによる撮像結果および第1の部品カメラ12A、第2の部品カメラ12Bによる撮像結果を認識処理する機能を有している。
次に図3を参照して、第1の搬送レーン2Aに配置された姿勢変更部3、第2の搬送レーン2Bに配置されたバックアップ部4の機能について説明する。図3(a)に示すように、第1の搬送レーン2Aにおいて姿勢変更部3は、基台1aに設けられた昇降用アクチュエータ17の昇降ロッド17aに結合されて、昇降自在(矢印c)となっている。昇降用アクチュエータ17はサーボーモータなど回転制御可能な駆動源と送りねじ等の機構要素を有する直動機構を用いており、駆動源を駆動することにより、姿勢変更部3を任意の高さ位置に昇降させることができる。
図3(a)に示す第1の搬送レーン2Aでは、ワーク15を載せた2つのワークキャリア19を搬送キャリア20によって保持した構成の治具21が、第1の搬送レーン2Aに第1のベルトコンベア2cAによって搬入された状態を示している。この状態では姿勢変更部3は搬入された治具21の下方の下降位置にあり、ワーク15から離隔した状態にある。
次に第2の搬送レーン2Bに配置されたバックアップ部4の構成を説明する。図3(a)に示すように、バックアップ部4は、水平な昇降ベース4aに複数のバックアップピン4bを立設した構成となっている。昇降ベース4aは基台1aに固定されたバックアップ用アクチュエータ16の昇降ロッド16aに結合されて昇降自在(矢印d)となっている。バックアップ用アクチュエータ16はエアシリンダなど上下2位置の間で進退可能な直動機構を用いている。バックアップ用アクチュエータ16を駆動することにより、バックアップ部4を予め板状基板14のバックアップ用に設定された規定の下受け高さ位置と原位置との間で昇降させることができる。
第2の搬送レーン2Bには、バックアップ部4が配置された搭載作業位置に搬入された板状基板14を固定するためのクランプ機構23が設けられている。搬送レール2bの上面においてバックアップ部4を挟んで相対向する位置には、1対の水平な上押さえ用のストッパ部材23aが設けられている。一方側(図に示す例では左側)のストッパ部材23aの下面には、サイドクランプ用アクチュエータ23bによって駆動されるサイドクランパ23cが、水平方向にスライド自在に設けられている。サイドクランプ用アクチュエータ23bを駆動してサイドクランパ23cを閉方向に移動させることにより、バックアップ部4の上方の搭載作業位置に搬入された板状基板14をクランプして、位置固定することができる。
図3(b)は、第1の搬送レーン2A、第2の搬送レーン2Bにてそれぞれ姿勢変更部3、バックアップ部4を機能させて作業対象の板状基板14、ワーク15を保持し、これらに対する部品搭載作業の実行が可能となった状態を示している。すなわち第1の搬送レーン2Aにおいては、姿勢変更部3を上昇させて(矢印e)、姿勢変更部3および第1のベルトコンベア2cAに所定のキャリア分離動作を行わせる(図14、図15参照)。
これにより、搬送キャリア20に保持されて治具21の形態で搬入されたワークキャリア19(ここではワークキャリア19(L)、ワークキャリア19(R)の2列のワークキャリア19)が、姿勢変更部3によって所定の位置に所定の姿勢で保持された状態となる。本実施の形態では、図7に示すワーク15の実装面がXY平面と平行となるように、姿勢変更部3によってワークキャリア19を保持して回動させることにより、ワーク15の姿勢を制御する。
すなわち本実施の形態では、ワーク15を保持する治具21は、ワーク15を保持した立体基板保持体であるワークキャリア19と搬送キャリア20より構成される。そして第1の搬送レーン2Aは、ワークキャリア19を載せた搬送キャリア20を搬送し、姿勢変更部3はワークキャリア19を保持して回動させる。本実施の形態では、ワークキャリア19は複数のワーク15を同じ向きで一列に並べて保持しており(図4参照)、これら複数のワーク15を同時に回動させるようになっている。
また第2の搬送レーン2Bでは、バックアップ用アクチュエータ16を駆動してバックアップ部4を上昇させる(矢印f)。これにより、バックアップピン4bが板状基板14の下面に当接してこれを押し上げ、板状基板14をストッパ部材23aの下面に押し当てて、上下方向の位置を固定する。これとともに、サイドクランプ用アクチュエータ23bを駆動することにより、サイドクランパ23cが閉方向に移動し(矢印g)、板状基板14を左右両側から挟み込んで水平方向の位置を固定する。
このとき、第1の搬送レーン2Aにおけるワーク15の実装面の高さMHが、第2の搬送レーン2Bにおいてバックアップ部4によってバックアップされた板状基板14の上面の実装面の高さMHと一致するように、昇降用アクチュエータ17による姿勢変更部3の押し上げ高さを制御する。
すなわち、XY平面と平行にされたワーク15の実装面の高さMHと、第2の搬送レーン2Bにおいてバックアップ部4で支持された板状基板14の実装面の高さMHとを一致させる。これにより、第1の搭載ヘッド9Aで板状基板14への部品搭載とワーク15への部品搭載のいずれの作業も実行することができ、同様に、第2の搭載ヘッド9Bで板状基板14への部品搭載とワーク15への部品搭載のいずれの作業も実行することができる。
なお本実施の形態においては、昇降用アクチュエータ17の動作によってXY平面と平行にされたワーク15の実装面の高さMHを、第2の搬送レーン2Bにおいてバックアップ部4で支持された板状基板14の実装面の高さMHに一致させるようにしている。そしてこのようにして部品搭載位置に位置保持されたワーク15、板状基板14に対して、部品搭載作業が実行される。
次に、図4、図5を参照して、第1の搬送レーン2Aに配置される姿勢変更部3の詳細構成を説明する。図4において、姿勢変更部3は底板部30aと底板部30aの両端部から立設された側板部30bよりなるフレーム部30を備えている。フレーム部30は図1に示す昇降用アクチュエータ17によって昇降可能な昇降ベースであり、昇降用アクチュエータ17はこの昇降ベースを昇降させる昇降部となっている。フレーム部30の上部には、ワークキャリア19の長辺方向であるX方向の両端部をそれぞれ保持する1対のワークキャリア保持部31が、X方向に相対向して設けられている。これらの1対のワークキャリア保持部31は、Y方向に同一高さで2組並列して設けられている。
図5に示すように、ワークキャリア保持部31は2つの延出端部32b、32cが設けられたかぎ形状のスイングアーム32を有している。側板部30bに近接して位置する延出端部32bは、側板部30bを水平方向に貫通する支持軸32aと結合されて、スイング軸31a廻りに回動自在に軸支されている。延出端部32bと反対側に位置する延出端部32cが上方に延出した上端部には、ワークキャリア19を下面側から支持可能な平面部を有する支持部33が設けられている。さらに支持部33の上面には、ワークキャリア19を構成するメインプレート19aの両端部に形成された基準穴19bに係合するピン34が設けられている。
ワークキャリア19を姿勢変更部3に保持させる際には、相対向する1対のワークキャリア保持部31のピン34を、メインプレート19aの両端部の基準穴19bにそれぞれ係合させる。このようにワークキャリア19をワークキャリア保持部31を介して姿勢変更部3に保持させた状態において、ワークキャリア保持部31のスイングアーム32は、搬送方向であるX方向に延びたスイング軸31a廻りに回動するスイング動作が可能となっている。これにより、ワークキャリア19に保持されたワーク15の姿勢を変更することができる。
以下、本実施の形態においてワークキャリア19に保持されたワーク15の姿勢を変更する姿勢変更部3の構成について説明する。図4、図5において、フレーム部30の底板部30aの上面には、上述のスイング動作の駆動源であるスイング用モータ35が、出力軸35aを水平にして配置されている。スイング用モータ35の上方には、両側の側板部30bを貫通して軸支された伝達軸39が配置されている。出力軸35a、伝達軸39にそれぞれ結合されたモータ出力軸プーリ36、伝達軸プーリ38には、ベルト37が調帯されている。
図5に示すように、両側の側板部30bを貫通した伝達軸39の両端部には、それぞれ駆動プーリ40が結合されている。2組のワークキャリア保持部31において、スイングアーム32を軸支する支持軸32aが側板部30bを貫通した両端部には、それぞれ従動プーリ41が結合されている。両側の側板部30bの外側面において、各組のワークキャリア保持部31に対応した従動プーリ41の中間には、テンションプーリ43が上下方向の位置調節自在に設けられている。
図3に示すように、駆動プーリ40、2つの従動プーリ41およびテンションプーリ43には、駆動伝達用のベルト42が調帯されている。テンションプーリ43の位置を調整することにより、ベルト42のテンションを適正状態に調節することができる。このような構成において、スイング用モータ35を駆動してモータ出力軸プーリ36を回転させる(矢印h)ことにより、伝達軸プーリ38、伝達軸39を介して駆動プーリ40が回転する。そしてこの回転が従動プーリ41に伝達されることにより、支持軸32a(図5参照)を介してスイングアーム32がスイング軸31a廻りに回動する(矢印i)。
このとき、スイング用モータ35の回転量および回転方向を制御することにより、スイングアーム32に設けられた支持部33を所望の角度に傾斜させることができる。これにより支持部33に支持されたワークキャリア19の傾斜が変更され、ワークキャリア19に保持されたワーク15の姿勢が変更される。ここで、2組のワークキャリア保持部31のスイング動作は共通のスイング用モータ35によって駆動される構成であることから、これら2組のワークキャリア保持部31に支持された2つのワークキャリア19を対象として、同時に同一の変更量で姿勢変更が行われる。
上述構成において、スイング用モータ35、モータ出力軸プーリ36、ベルト37、伝達軸プーリ38、伝達軸39、駆動プーリ40、従動プーリ41、ベルト42、テンションプーリ43およびスイングアーム32は、支持部33を傾斜させることによりワークキャリア19に保持されたワーク15の姿勢を変更する姿勢変更部3の駆動機構を構成する。
上述の姿勢変更部3の構成において、支持部33が設けられたスイングアーム32の回転軸であるスイング軸31aは、搬送方向であるX方向に延びて配置されている。すなわち図2に示す姿勢変更部3は、複数のワーク15の並び方向と同じ方向に延びる回転軸であるスイング軸31aを中心に、支持部33に支持されたワークキャリア19を回動させる構成となっている。
そしてスイング軸31aは昇降ベースであるフレーム部30の側板部30bを貫通して配置されていることから、昇降ベースであるフレーム部30は支持部33を搬送方向に延びる回転軸を介して支持している。したがって図4に示す姿勢変更部3は、昇降ベースであるフレーム部30に取り付けられた形態となっている。
なおここでは、同時に姿勢変更部3に保持された2つのワークキャリア19を区別する場合には、搬送方向(X方向)の下流側に対する左右位置によって区別する。すなわち図3(b)に示す様に、左側に位置するワークキャリア19をワークキャリア19(L)、右側に位置するワークキャリア19をワークキャリア19(R)と記載して区別している。これらのワークキャリア19(L)、5(R)においては、前述の姿勢変更部3によってワーク15の姿勢が同時に同一の変更量で変更される。そしてこのように姿勢が変更されたワーク15に対して、第1の搭載ヘッド9A、第2の搭載ヘッド9Bによって部品搭載作業が実行される。
次に図6を参照して、制御系の構成を説明する。図6において、制御部18には、第1のY軸リニアモータ7a、第2のY軸リニアモータ7b、第1のX軸リニアモータ8a、第2のX軸リニアモータ8b、第1の搭載ヘッド9A、第2の搭載ヘッド9B、第1のヘッドカメラ11A、第2のヘッドカメラ11B、第1の部品カメラ12A、第2の部品カメラ12B、第1のベルトコンベア2cA、スイング用モータ35、昇降用アクチュエータ17、第2のベルトコンベア2cB、バックアップ用アクチュエータ16、サイドクランプ用アクチュエータ23bが接続されている。
制御部18に設けられた記憶部50は、第1の実装データ記憶部50a、第2の実装データ記憶部50bを備えている。第1の実装データ記憶部50aは、ワーク15の実装面に部品を搭載するための装着位置データとワーク15を回動させるための角度情報と昇降用アクチュエータ17(昇降部)を制御するための高さ情報を含んだ第1の実装データを記憶する。第2の実装データ記憶部50bは、板状基板14の実装面に部品を搭載するための装着位置データを含む第2の実装データを記憶する。
また制御部18は、内部制御処理機能として、搭載ヘッド移動制御部51、姿勢変更制御部52、昇降制御部53、第1搬送レーン制御部54、第2搬送レーン制御部55、認識部56を備えている。搭載ヘッド移動制御部51は、第1の実装データの装着位置データと第2の実装データの装着位置データに基づいて、搭載ヘッド移動部である第1のY軸リニアモータ7a、第2のY軸リニアモータ7b、第1のX軸リニアモータ8a、第2のX軸リニアモータ8bを制御する。これにより、第1の搭載ヘッド9A、第2の搭載ヘッド9Bが移動して部品搭載動作が実行される。
姿勢変更制御部52は、第1の実装データに含まれる角度情報に基づいて姿勢変更部3のスイング用モータ35を制御する。これにより、ワーク15の複数の実装面の傾斜角度を第1の搭載ヘッド9A、第2の搭載ヘッド9Bによる搭載作業面(ここではXY平面)に位置合わせすることができる。昇降制御部53は第1の実装データに含まれる高さ情報に基づいて昇降部である昇降用アクチュエータ17の動作を制御する。これにより、姿勢変更制御部52によって傾斜角度が位置合わせされた状態のワーク15を昇降させて、実装面(第1実装面S1、第2実装面S2、第3実装面S3)を第1の搭載ヘッド9A、第2の搭載ヘッド9Bによる搭載高さに位置合わせすることができる。
第1搬送レーン制御部54は、第1の搬送レーン2Aにおける第1のベルトコンベア2cAの搬送動作を制御する。第2搬送レーン制御部55は、第2の搬送レーン2Bにおける第2のベルトコンベア2cBの搬送動作や、バックアップ用アクチュエータ16による板状基板14のバックアップ動作、サイドクランプ用アクチュエータ23bによる板状基板14のクランプ動作を制御する。認識部56は、第1のヘッドカメラ11A、第2のヘッドカメラ11B、第1の部品カメラ12A、第2の部品カメラ12Bによる撮像結果を認識処理する。
ここで図7を参照して、部品搭載装置1において部品が搭載されるワーク15(立体基板)の構造について説明する。ここでは部品が搭載される前のワーク15を示している。図5において、ワーク15は矩形ブロックから2つの頂辺に相当する部分を除去した変形断面形状の頭部15aを主体としている。頭部15aの下面には、円筒形状の脚部15bが下方に突出して設けられている。
上述構成の15において、頭部15aの上面は第1実装面S1である。第1実装面S1の両側の、頭部15aにおいて頂辺部分を除去した斜辺面は、第1実装面S1とは傾斜角度が異なる第2実装面S2、第3実装面S3となっている。第1実装面S1、第2実装面S2、第3実装面S3には、それぞれ対角の位置に1対の認識マークMが形成されている。認識マークMは、部品を第1実装面S1、第2実装面S2、第3実装面S3の実装位置に搭載する際の位置決めに使用される。
このワーク15への部品搭載においては、第1実装面S1、第2実装面S2、第3実装面S3はいずれも相互に傾斜していることから、ワーク15を同一姿勢に保持したままで全ての実装面に対して部品を搭載することができない。このため本実施の形態においては、前述の姿勢変更部3によって必要に応じてワーク15の姿勢を逐次変更しながら部品搭載を実行する。
次に図8を参照して、立体基板を保持する立体基板保持体であるワークキャリア19の構成について説明する。図8に示すように、ワークキャリア19は矩形板形状のメインプレート19aを主体としている。メインプレート19aの両短辺の近傍には、それぞれ位置保持用の基準穴19bが設けられている。ワークキャリア19を姿勢変更部3に保持させる際には、ワークキャリア保持部31の支持部33に設けられたピン34をこれらの基準穴19bに係合させる。
さらにメインプレート19aの一方の短辺の近傍には、両側の長辺の端部から幅方向にメインプレート19aを切り欠いた切欠き部19cが形成されている。切欠き部19cから短辺に至る第1支持端部19gおよび反対側の短辺の近傍の第2支持端部19iは、搬送キャリア20に設けられた支持部(図9参照)が当該ワークキャリア19の下面側に当接して支持するための支持部位となっている。第1支持端部19gには、搬送キャリア20に設けられた位置決め用の係合ピン25(図9)が係合するピン係合穴19hが設けられている。
メインプレート19aには、ワーク15を保持するための複数(ここでは3つ)のワーク保持部19fが設けられている。ワーク保持部19fは、メインプレート19aを貫通して設けられた開口部19dおよびメインプレート19aの上面において開口部19dの両側に凸設された1対のピン形状の位置規制部19eよりなる。開口部19dの内径寸法はワーク15の脚部15bの外径寸法に対応しており、一対の位置規制部19eの間隔寸法はワーク15の頭部15aの長さ寸法に対応している。
次に図9、図10を参照して、ワークキャリア19を載せて保持する搬送キャリア20の構成および機能について説明する。図9は、搬送キャリア20にワークキャリア19を載せる際の位置合わせ基準を示しており、図10は、搬送キャリア20にワークキャリア19を位置合わせして載せた状態を示している。
図9、図10に示すように、搬送キャリア20は2つのワークキャリア19を載せて保持する機能を有している。搬送キャリア20にこれらのワークキャリア19を保持させることにより、ワーク15を保持するための治具21が形成される。搬送キャリア20は略正方形の枠状部材であり、X方向に配列された1対のサイドフレーム20aの両端部を、連結部材22によって連結した構成となっている。治具21を第1の搬送レーン2Aによって搬送する際には、第1のベルトコンベア2cAにサイドフレーム20aの下面の搬送当接部20bを当接させる。
図9に示すように、搬送キャリア20にはワークキャリア19を搬送キャリア20に対して位置合わせする際の基準となる2列のキャリア基準線20cが、X方向に沿って設定されている。これらのキャリア基準線20cは、図4におけるスイング軸31aの配列と対応した位置関係にある。図10に示す状態の2つのワークキャリア19を搬送キャリア20に載せた治具21を第1の搬送レーン2Aによって搬送して、姿勢変更部3(図3参照)に対して位置決めした状態では、それぞれのワークキャリア19の基準穴19bは、姿勢変更部3の支持部33に設けられたピン34の直上に位置する。
一方の連結部材22からは、枠の内側に向かってそれぞれ1つの中央支持部24a、2つの側方支持部24bが延出して設けられている。同様に、他方の連結部材22からは、枠の内側に向かってそれぞれ1つの中央支持部26a、2つの側方支持部26bが延出して設けられている。中央支持部24a、26aは2つのキャリア基準線20cの中央に位置しており、側方支持部24b、側方支持部26bはいずれもキャリア基準線20cの両外側に位置している。中央支持部24a、26aは、端部がY方向の両側に延出した2重鍵形状であり、側方支持部24b、26bは、端部がY方向の内側にのみ延出したL字鍵形状となっている。
これらの支持部は、いずれもメインプレート19aの第1支持端部19g、第2支持端部19iを下面側から支持可能な形状となっている。すなわちワークキャリア19をキャリア基準線20cに沿って搬送キャリア20に載せた状態では、第1支持端部19gは中央支持部24a、側方支持部24bによって支持され、第2支持端部19iは中央支持部26a、側方支持部26bによって支持される。このとき、第1支持端部19gに設けられたピン係合穴19hに係合ピン25を嵌合させることにより、ワークキャリア19は搬送キャリア20に対して位置合わせされる。
ここで、中央支持部24a、側方支持部24bの鍵形状における延出部の幅寸法(X方向の寸法)は、メインプレート19aに設けられた切欠き部19cの切り欠き幅よりも小さく設定されている。さらに、中央支持部24a、側方支持部24bと連結部材22との間には、第1支持端部19gが上下方向に通過可能な大きさの開口部22aが形成されている。このような構成により、搬送時には搬送キャリア20の上面側に保持されるワークキャリア19を、搬送キャリア20の下面側に移動させることが可能となっている(図14参照)。これにより、ワークキャリア19を搬送キャリア20から分離して、姿勢変更部3に保持させることが可能となっている。
ワーク15をワークキャリア19に保持させる際には、図11(a)に示すように、ワーク15をワーク保持部19fに対して位置合わせしながら下降させ(矢印j)、脚部15bを開口部19dに嵌合させる。これにより、図11(b)に示すように、複数のワーク15は、ワークキャリア19の各ワーク保持部19fに位置決めされた状態で保持される。
このようにしてワーク15が載置されたワークキャリア19は、図12に示すよう、搬送キャリア20へ載せられる。すなわち搬送キャリア20の中央支持部24a、側方支持部24bに設けられた係合ピン25を、第1支持端部19gに形成されたピン係合穴19hに嵌合させることにより、ワークキャリア19を搬送キャリア20に対して位置合わせする。そして第1支持端部19gの下面側を中央支持部24a、側方支持部24bによって支持するとともに、第2支持端部19iの下面側を中央支持部26a、側方支持部26bによって支持する。
これにより、複数の立体基板であるワーク15は、ワークキャリア19を搬送キャリア20に載せた構成の治具21に保持された状態となる。なお、ワーク15を治具21に保持させる作業手順としては、図10に示すように、予めワークキャリア19を搬送キャリア20に載せて治具21を形成しておく作業手順を用いてもよく、または図11、図12にそれぞれ示す個別の作業を順次実行する作業手順を用いてもよい。
図13は、第1の搬送レーン2Aにおいて、ワークキャリア19に保持されたワーク15に対して、部品搭載作業を実行する際に、姿勢変更部3によって実行されるワーク15の姿勢変更を示している。図13に示すように、ワークキャリア保持部31が備えたスイングアーム32は、スイング軸31aを回転軸とする支持軸32aによって回動する。これにより、スイングアーム32の上端に設けられた支持部33がメインプレート19aとともに傾斜し、ワーク15の姿勢が変更される。ここに示す例では、スイングアーム32の方向を示すスイング方向線32θの垂直軸に対する角度を制御パラメータとして、ワーク15の姿勢を変更するようにしている。そしてこのようにして姿勢が変更されたワーク15に対して、第1の搭載ヘッド9A(または第2の搭載ヘッド9B)によって部品が搭載される。
図13(a)は、ワークキャリア保持部31に支持されたワークキャリア19(R)、19(L)が保持するワーク15において、第1実装面S1、第2実装面S2を対象として部品搭載を実行する際のワーク15の姿勢を示している。第1実装面S1は、ワーク15におけるXY平面(水平面)であることから、スイング方向線32θが垂直軸に一致するように支持軸32aを回動させる(矢印j)。これにより、第1実装面S1、第2実装面S2は部品搭載に適した正しい水平姿勢に保持される。
これに対し図13(b)は、ワーク15における傾斜面である第3実装面S3を対象として部品搭載を実行する際のワーク15の姿勢を示している。すなわちこの場合には、スイング方向線32θが垂直軸に対して傾斜補正角度θx3だけ傾斜するように、支持軸32aを回動させる。傾斜補正角度θx3はワーク15を回動させるための角度情報であり、ワーク15における第3実装面S3の傾斜角度に応じて予め設定されて第1の実装データ記憶部50aに記憶されている。これにより、第3実装面S3が部品搭載に適した正しい水平姿勢となるように、ワーク15の姿勢が保持される。
次に図14、図15を参照して、搬送キャリア20からワークキャリア19を離脱させる分離動作について説明する。この分離動作では、図3(a)に示す状態の治具21、すなわち第1の搬送レーン2Aにおいてワーク15を保持したワークキャリア19がセットされた状態の搬送キャリア20からワークキャリア19を分離させ、分離したワークキャリア19を姿勢変更部3に保持させる。
図14(a)は、第1の搬送レーン2Aにおいて搬送キャリア20のキャリア基準線20c(図9参照)が、姿勢変更部3のスイング軸31a(図4参照)に対して位置合わせされ、各ワークキャリア19の基準穴19bがワークキャリア保持部31のピン34の直上に位置した状態における動作を示している。
すなわち、昇降用アクチュエータ17を駆動して姿勢変更部3を上昇させることにより、まずピン34を基準穴19bに嵌合させ、次いでワークキャリア19を搬送キャリア20に載せられた状態から持ち上げる(矢印m)。これにより、第1支持端部19g、第2支持端部19iは、それぞれ中央支持部24a、24b、中央支持部26a、26bの上面から離れた状態となる。
次いで第1のベルトコンベア2cAを駆動して、第1支持端部19gを開口部22a(図14(b)参照)の直上に位置させるのに必要な所定の移動寸法だけ、搬送キャリア20をX方向に移動させる(矢印n)。この結果、第1支持端部19gは中央支持部24a、側方支持部24bの上方から退避するとともに、反対端側の第2支持端部19iも中央支持部24a、側方支持部24bの上方から退避する。これにより、ワークキャリア19を搬送キャリア20の下面側に移動させることが可能となる。
すなわち昇降用アクチュエータ17を駆動して姿勢変更部3を下降させることにより、支持部33(図3参照)によって保持されたワークキャリア19を下降させる(矢印o)。このとき、第1支持端部19gは開口部22a内を、中央支持部24a、側方支持部24bは切欠き部19cをそれぞれ通過し、さらに第2支持端部19iは中央支持部26a、側方支持部26bと干渉することなく下降する。これにより、2つのワークキャリア19は搬送キャリア20から分離して、いずれも基準穴19bにピン34を嵌合させて姿勢変更部3のワークキャリア保持部31によって支持された状態となる(図3参照)。
次いで、姿勢変更部3とともに下降したワークキャリア19の上方から、搬送キャリア20を退避させる。すなわち、第1の搬送レーン2Aにおいて第1のベルトコンベア2cAを駆動して、搬送キャリア20を移動させてワークキャリア19の上方から退避させる(矢印p)。これにより、姿勢変更部3に支持された状態のワークキャリア19の上方にはフリーな空間が確保される。そしてこの状態で、図13に示す姿勢変更動作およびその後の部品搭載作業が実行される。
上記説明したように本実施の形態では、複数の搬送レーンを対象として部品供給部から搭載ヘッドによって取り出した部品を搭載する部品搭載作業を実行する部品搭載装置1において、第1の搬送レーン2Aには、傾斜角度の異なる複数の実装面を有するワーク15を保持した治具を搬送する第1の搬送部と、ワーク15の実装面がXY平面に平行な水平姿勢となるようにワーク15を回動させて姿勢を変更する姿勢変更部3と、水平に姿勢変更されたワーク15の実装面の高さを調整する昇降部とを備えている。
そして第2の搬送レーン2Bには、表面に実装面を有する板状基板14もしく板状基板14を載せた搬送パレットを搬送する第2の搬送部と、板状基板14もしくは搬送パレットを下方から支持するバックアップ部4とを配置している。このような構成を用いることにより、ワーク15を含む複数種類の基板を対象として部品搭載作業を実行する場合にあっても、単一の部品搭載装置1によって、立体基板であるワーク15への部品搭載と板状基板14への部品搭載の両方に柔軟に対応することが可能となっている。