JP2019071238A - ニッケル金属水素化物電池の製造方法 - Google Patents

ニッケル金属水素化物電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低抵抗のニッケル金属水素化物電池を提供する。【解決手段】a)正極にコバルトを含有するニッケル金属水素化物電池を組み立てる工程、b)a)工程後のニッケル金属水素化物電池に充電を行う充電工程であって、0.8V〜1.2Vの範囲内の電圧を1〜100時間保持する電圧保持工程を含む充電工程、を含むことを特徴とするニッケル金属水素化物電池の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、ニッケル金属水素化物電池の製造方法に関するものである。
ニッケル金属水素化物電池は、正極活物質として水酸化ニッケルなどのニッケル酸化化合物を有する正極と、負極活物質として水素吸蔵合金を有する負極と、強塩基性のアルカリ金属水溶液からなる電解液とを具備する二次電池である。
ニッケル金属水素化物電池の正極に、導電性向上の目的で、コバルトを添加する技術が知られている。正極に添加されたコバルトは、強塩基性の水溶液である電解液と接触することで、コバルト錯イオンを形成した後に、正極活物質表面に水酸化コバルトとして析出する。その後の充電時に、水酸化コバルトが酸化されて、導電性に優れるオキシ水酸化コバルトが生成される。ここで生成されたオキシ水酸化コバルトに因り、正極活物質表面に導電ネットワークが形成されると考えられている。
特許文献1には、正極に金属コバルト及び水酸化コバルトを含有するニッケル金属水素化物電池に対して、0.08Cで2時間充電し、次いで、0.5CでSOC110%まで充電したこと、及び、0.08Cでの2時間充電に因り、正極に含まれる金属コバルト及び水酸化コバルトが酸化して、オキシ水酸化コバルトが生成したことが記載されている(実施例に関する0030及び0032段落を参照。)。
特許文献2には、正極に金属コバルトを含有するニッケル金属水素化物電池に対して、低電流で10時間充電し、次いで、高電流で5時間充電したことが具体的に記載されている。さらに、同文献の0007段落には、「最初に充電を行うことにより、正極中に含まれるコバルト化合物を高い導電性を持つオキシ水酸化コバルトに変化させることができる。そして、初充電は、コバルト化合物を完全にオキシ水酸化コバルトに変化させるため、充電レートを1/50〜1/30Cで行う過程を含めることが望ましい。」と記載されている。
特開2002−260719号公報 特開2003−68291号公報
本発明者は、オキシ水酸化コバルトによる導電ネットワークを、より均一かつ十分に形成することで、より低抵抗のニッケル金属水素化物電池を提供できるのではないかと考えた。
本発明はかかる事情に鑑みて為されたものであり、低抵抗のニッケル金属水素化物電池を提供することを目的とする。
本発明者は、オキシ水酸化コバルトによる導電ネットワークを十分に形成するために、オキシ水酸化コバルトが形成されると想定される電位付近の一定電圧に、正極を長時間曝すことを想起した。そして、実際に、種々の条件下でニッケル金属水素化物電池を製造して試験を行ったところ、オキシ水酸化コバルトが形成されると想定される電圧に、正極を比較的長時間曝すことで、低抵抗のニッケル金属水素化物電池が製造できることを確認し、本発明を完成させた。
本発明のニッケル金属水素化物電池の製造方法は、
a)正極にコバルトを含有するニッケル金属水素化物電池を組み立てる工程、
b)a)工程後のニッケル金属水素化物電池に充電を行う充電工程であって、0.8V〜1.2Vの範囲内の電圧を1〜100時間保持する電圧保持工程を含む充電工程、
を含むことを特徴とする。
なお、本発明のニッケル金属水素化物電池の製造方法は、本発明のニッケル金属水素化物電池の調整方法又は初期活性化方法と理解することもできる。
本発明のニッケル金属水素化物電池の製造方法により、低抵抗のニッケル金属水素化物電池を提供することができる。
評価例1の結果のグラフである。
以下に、本発明を実施するための形態を説明する。なお、特に断らない限り、本明細書に記載された数値範囲「a〜b」は、下限a及び上限bをその範囲に含む。そして、これらの上限値及び下限値、ならびに実施例中に列記した数値も含めてそれらを任意に組み合わせることで数値範囲を構成し得る。さらに、これらの数値範囲内から任意に選択した数値を、新たな上限や下限の数値とすることができる。
本発明のニッケル金属水素化物電池の製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」ということがある。)は、上述したa)工程及びb)工程を含むことを特徴とする。以下、本発明のニッケル金属水素化物電池の製造方法で製造されたニッケル金属水素化物電池を、「本発明のニッケル金属水素化物電池」ということがある。
a)工程は、ニッケル金属水素化物電池を組み立てる工程である。
ニッケル金属水素化物電池は、具体的には、正極と負極と電解液とセパレータを具備する。a)工程としては、ニッケル金属水素化物電池を組み立てる公知の方法を採用すればよい。
a)工程を具体的に例示すると以下のとおりである。
正極及び負極でセパレータを挟装して電極体とする。電池容器に電極体を収容し、さらに電池容器に電解液を加えて、ニッケル金属水素化物電池とする。
以下、ニッケル金属水素化物電池を規定する事項を詳細に説明する。
正極は、集電体と集電体の表面に形成された正極活物質層とを含む。負極は、集電体と集電体の表面に形成された負極活物質層とを含む。以下、正極の構成から説明するが、負極の構成と重複するものについては、正極との限定を付さずに説明する。
集電体は、ニッケル金属水素化物電池の放電又は充電の間、電極に電流を流し続けるための化学的に不活性な電子伝導体をいう。集電体の材料は、使用する活物質に適した電圧に耐え得る金属であれば特に制限はない。集電体の材料としては、銀、銅、金、アルミニウム、タングステン、コバルト、亜鉛、ニッケル、鉄、白金、錫、インジウム、チタン、ルテニウム、タンタル、クロム、モリブデンから選ばれる少なくとも一種、並びにステンレス鋼などの金属材料を例示することができる。集電体は公知の保護層で被覆されていても良い。集電体の表面を公知の方法で処理したものを集電体として用いても良い。集電体の材料としては、ニッケル、又は、ニッケルめっきを施した金属材料が好ましい。
集電体は箔、シート、フィルム、線状、棒状、メッシュ、スポンジ状などの形態をとることができる。集電体が箔、シート、フィルム形態の場合は、その厚みが1μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、また、多数の孔を具備する、いわゆるパンチングメタル状のものや、切れ目の入った金属板を押し広げて網目状にした、いわゆるエキスパンドメタル状のものが好ましい。
正極活物質層は、正極活物質及びコバルトを含み、必要に応じて正極添加剤、結着剤及びコバルト以外の導電助剤を含む。
正極活物質としては、ニッケル金属水素化物電池の正極活物質として用いられるものであれば限定されない。具体的な正極活物質として、水酸化ニッケル、金属をドープした水酸化ニッケルを例示できる。水酸化ニッケルにドープする金属として、マグネシウム、カルシウムなどの第2族元素、コバルト、ロジウム、イリジウムなどの第9族元素、亜鉛、カドミウムなどの第12族元素を例示できる。
正極活物質の表面は公知の方法で処理されてもよい。正極活物質は粉末状態が好ましく、また、その平均粒子径としては1〜100μmの範囲内が好ましく、3〜50μmの範囲内がより好ましく、5〜30μmの範囲内がさらに好ましい。なお、本明細書において、平均粒子径とは、一般的なレーザー回折式粒度分布計を用いた測定におけるD50の値を意味する。
正極活物質層には、正極活物質が正極活物質層全体の質量に対して、75〜99質量%で含まれるのが好ましく、80〜97質量%で含まれるのがより好ましく、85〜95質量%で含まれるのがさらに好ましい。
コバルトとしては、金属コバルトやコバルト化合物を採用できる。水酸化コバルトが酸化されてオキシ水酸化コバルトが生成する点、ニッケル金属水素化物電池の系内に不純物が存在することを避ける点などから、コバルトとしては、金属コバルト及び/又は水酸化コバルトが好ましい。コバルトは、粉末状態で正極活物質層に添加されてもよいし、正極活物質粒子の表面を被覆した状態で用いられてもよい。正極活物質層には、コバルトが正極活物質層全体の質量に対して、0.5〜10質量%で含まれるのが好ましく、1〜7質量%で含まれるのがより好ましく、2〜5質量%で含まれるのがさらに好ましい。
正極添加剤は、ニッケル金属水素化物電池の電池特性を向上させるために正極に添加されるものである。正極添加剤としては、ニッケル金属水素化物電池の正極添加剤として用いられるものであれば限定されない。具体的な正極添加剤として、Nbなどのニオブ化合物、WO、WO、LiWO、NaWO及びKWOなどのタングステン化合物、Ybなどのイッテルビウム化合物、TiOなどのチタン化合物、Yなどのイットリウム化合物、ZnOなどの亜鉛化合物、CaO、Ca(OH)及びCaFなどのカルシウム化合物、並びに、その他の希土類酸化物を例示できる。
正極活物質層には、正極添加剤が正極活物質層全体の質量に対して、0.1〜10質量%で含まれるのが好ましく、0.5〜5質量%で含まれるのがより好ましい。
結着剤は活物質などを集電体の表面に繋ぎ止める役割を果たすものである。結着剤としては、ニッケル金属水素化物電池の電極用結着剤として用いられるものであれば限定されない。具体的な結着剤として、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン及びフッ素ゴムなどの含フッ素樹脂、ポリプロピレン及びポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリイミド及びポリアミドイミドなどのイミド系樹脂、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体、スチレンブタジエンゴムなどの共重合体、並びに、(メタ)アクリル酸誘導体をモノマー単位として含有する、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸及びポリメタクリル酸エステルなどの(メタ)アクリル系樹脂を例示できる。
活物質層には、結着剤が活物質層全体の質量に対して、0.1〜15質量%で含まれるのが好ましく、1〜10質量%で含まれるのがより好ましく、2〜7質量%で含まれるのがさらに好ましい。結着剤が少なすぎると電極の成形性が低下し、また、結着剤が多すぎると電極のエネルギー密度が低くなるためである。
コバルト以外の導電助剤としては、ニッケル、銅などの金属や、その金属酸化物及びその金属水酸化物、並びに、カーボンブラック、黒鉛、炭素繊維などの炭素材料が例示される。
負極活物質層は、負極活物質を含み、必要に応じて負極添加剤、結着剤及び導電助剤を含む。結着剤については上述したとおりである。
負極活物質としては、ニッケル金属水素化物電池の負極活物質、すなわち水素吸蔵合金として用いられるものであれば限定されない。水素吸蔵合金とは、基本的に、容易に水素と反応するものの、水素の放出能力に劣る金属Aと、水素と反応しにくいものの、水素の放出能力に優れる金属Bとの合金である。Aとしては、Mgなどの第2族元素、Sc、ランタノイドなどの第3族元素、Ti、Zrなどの第4族元素、V、Taなどの第5族元素、複数の希土類元素を含有するミッシュメタル(以下、Mmと略すことがある。)、Pdなどを例示できる。また、Bとしては、Fe、Co、Ni、Cr、Pt、Cu、Ag、Mn、Zn、Alなどを例示できる。
具体的な水素吸蔵合金として、六方晶CaCu型結晶構造を示すAB型、六方晶MgZn型若しくは立方晶MgCu型結晶構造を示すAB型、立方晶CsCl型結晶構造を示すAB型、六方晶MgNi型結晶構造を示すAB型、体心立方晶構造を示す固溶体型、並びに、AB型及びAB型の結晶構造が組み合わされたAB型、A型及びA19型のものを例示できる。水素吸蔵合金は、以上の結晶構造のうち、1種類を有するものでもよいし、また、以上の結晶構造の複数を有するものでもよい。
AB型水素吸蔵合金として、LaNi、CaCu、MmNiを例示できる。AB型水素吸蔵合金として、MgZn、ZrNi、ZrCrを例示できる。AB型水素吸蔵合金として、TiFe、TiCoを例示できる。AB型水素吸蔵合金として、MgNi、MgCuを例示できる。固溶体型水素吸蔵合金として、Ti−V、V−Nb、Ti−Crを例示できる。AB型水素吸蔵合金として、CeNiを例示できる。A型水素吸蔵合金として、CeNiを例示できる。A19型水素吸蔵合金として、CeCo19、PrCo19を例示できる。上記の各結晶構造において、一部の金属を、他の1種類若しくは複数種類の金属又は元素で置換してもよい。
負極活物質の表面は公知の方法で処理されてもよい。特に、負極活物質としては、アルカリ処理された水素吸蔵合金を採用するのが好ましい。アルカリ処理とは、水素吸蔵合金を、アルカリ金属水酸化物を溶解したアルカリ水溶液で処理することを意味する。
例えば、希土類元素とNiを含む水素吸蔵合金を、アルカリ金属水酸化物を溶解したアルカリ水溶液で処理すると、アルカリ水溶液に対して溶解性の高い希土類元素が水素吸蔵合金の表面から溶出することになる。ここで、Niはアルカリ水溶液に対して溶解性が低いため、結果的に、水素吸蔵合金の表面のNi濃度は、水素吸蔵合金の内部と比較して高くなる。以下、水素吸蔵合金において、Ni濃度が内部と比較して高い部分を、Ni濃縮層という。Ni濃縮層の存在に因り、負極活物質の性能が向上すると考えられる。
アルカリ金属水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを例示でき、中でも、水酸化ナトリウムが好ましい。アルカリ水溶液として水酸化ナトリウム水溶液を用いることで、アルカリ水溶液として水酸化リチウムや水酸化カリウムを用いる場合と比較して、本発明のニッケル金属水素化物電池の電池特性が好適化する場合がある。
アルカリ水溶液としては強塩基性のものが好ましい。アルカリ水溶液におけるアルカリ金属水酸化物の濃度として、10〜60質量%、20〜55質量%、30〜50質量%、40〜50質量%を例示できる。
アルカリ処理は、水素吸蔵合金をアルカリ水溶液に浸ける方法で行うのが好ましい。その際には、撹拌条件下で行うのが好ましく、また、加熱条件下で行うのが好ましい。加熱温度の範囲としては、50〜150℃、70〜140℃、90〜130℃を例示できる。加熱時間は、アルカリ水溶液の濃度や加熱温度に応じて適宜決定すればよいが、0.1〜10時間、0.2〜5時間、0.5〜3時間を例示できる。
以上のアルカリ処理の観点からは、水素吸蔵合金としては、希土類元素とNiを含むものが好ましい。
負極活物質は粉末状態が好ましく、また、その平均粒子径としては1〜100μmの範囲内が好ましく、3〜50μmの範囲内がより好ましく、5〜30μmの範囲内がさらに好ましい。
負極活物質層には、負極活物質が負極活物質層全体の質量に対して、85〜99質量%で含まれるのが好ましく、90〜98質量%で含まれるのがより好ましい。
負極添加剤は、ニッケル金属水素化物電池の電池特性を向上させるために負極に添加されるものである。負極添加剤としては、ニッケル金属水素化物電池の負極添加剤として用いられるものであれば限定されない。具体的な負極添加剤として、CeF及びYFなどの希土類元素のフッ化物、Bi及びBiFなどのビスマス化合物、In及びInFなどのインジウム化合物、並びに、正極添加剤として例示した化合物を挙げることができる。
負極活物質層には、負極添加剤が負極活物質層全体の質量に対して、0.1〜10質量%で含まれるのが好ましく、0.5〜5質量%で含まれるのがより好ましい。
導電助剤は、負極の導電性を高めるために添加される。そのため、導電助剤は、負極の導電性が不足する場合に任意に加えればよく、負極の導電性が十分に優れている場合には加えなくても良い。導電助剤は、粉末状態で負極活物質層に添加されてもよいし、負極活物質粒子の表面を被覆した状態で用いられてもよい。導電助剤としては化学的に不活性な電子伝導体であれば良い。具体的な導電材としては、コバルト、ニッケル、銅などの金属、コバルト酸化物などの金属酸化物、及びコバルト水酸化物などの金属水酸化物、カーボンブラック、黒鉛、炭素繊維などの炭素材料が例示される。
負極活物質層には、導電助剤が負極活物質層全体の質量に対して、0.1〜5質量%で含まれるのが好ましく、0.2〜3質量%で含まれるのがより好ましく、0.3〜1質量%で含まれるのがさらに好ましい。
集電体の表面に活物質層を形成させるには、ロールコート法、ダイコート法、ディップコート法、ドクターブレード法、スプレーコート法、カーテンコート法などの従来から公知の方法を用いて、集電体の表面に活物質を塗布すればよい。具体的には、活物質、溶剤、並びに必要に応じて結着剤、導電助剤及び添加剤を混合してスラリーにしてから、当該スラリーを集電体の表面に塗布後、乾燥する。溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、メタノール、メチルイソブチルケトン、水を例示できる。電極密度を高めるべく、乾燥後のものを圧縮しても良い。
電解液はアルカリ金属水酸化物が溶解した水溶液である。アルカリ金属水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを例示できる。電解液には、1種類のアルカリ金属水酸化物を含んでいてもよいし、複数種類のアルカリ金属水酸化物を含んでいてもよい。電解液における、アルカリ金属水酸化物の濃度としては、2〜10mol/Lが好ましく、3〜9mol/Lがより好ましく、4〜8mol/Lがさらに好ましい。
電解液にアルカリ金属水酸化物として水酸化リチウムのみを用いる場合には、水酸化リチウムの濃度としては、1.5〜5mol/Lが好ましく、2〜5mol/Lがより好ましく、3〜5mol/Lがさらに好ましい。電解液にアルカリ金属水酸化物として水酸化ナトリウムのみを用いる場合には、水酸化ナトリウムの濃度としては、1.5〜15mol/Lが好ましく、3〜10mol/Lがより好ましく、4〜8mol/Lがさらに好ましい。電解液にアルカリ金属水酸化物として水酸化カリウムのみを用いる場合には、水酸化カリウムの濃度としては、1.5〜15mol/Lが好ましく、3〜10mol/Lがより好ましく、4〜8mol/Lがさらに好ましい。
電解液はアルカリ金属ハロゲン化物を含んでもよい。アルカリ金属ハロゲン化物は電解液中で、アルカリ金属カチオンとハロゲンアニオンに電離して存在すると考えられる。そして、マイナスの電荷を有するハロゲンアニオンが正極に電気的に吸着することで、正極はハロゲンアニオンで被覆された状態となる。ハロゲンアニオンで被覆された正極においては、正極本体に対する水分子の直接接触が抑制されるため、正極における水分子の分解に起因する酸素発生が抑制されると考えられる。
また、アルカリ金属ハロゲン化物のアルカリ金属カチオンは、電解液中で、電解液中の水分子と配位した状態となると考えられる。ここで、水分子はアルカリ金属カチオンと強く配位した状態となることで耐酸化性が向上して、その酸素発生電位が高くなることも期待できる。
アルカリ金属カチオンのうちイオン半径が小さいものほど、水分子と配位しやすいといえる。アルカリ金属カチオンのイオン半径は、Li<Na<K<Rb<Cs<Frの順であることが知られている。したがって、アルカリ金属ハロゲン化物としては、リチウムハロゲン化物が最も好ましく、ナトリウムハロゲン化物が次に好ましく、カリウムハロゲン化物がその次に好ましいといえる。
また、正極に吸着したハロゲンアニオンが酸化されて、ハロゲン単体となることは好ましくない。ハロゲンアニオンの耐酸化性は、F>Cl>Br>Iの順であることが知られている。したがって、耐酸化性の観点からは、アルカリ金属ハロゲン化物としては、アルカリ金属フッ化物が最も好ましく、アルカリ金属塩化物が次に好ましく、アルカリ金属臭化物がその次に好ましいといえる。
アルカリ金属ハロゲン化物として、LiF、LiCl、LiBr、LiI、NaF、NaCl、NaBr、NaI、KF、KCl、KBr及びKIを例示できる。水分子との配位性、及び、耐酸化性の観点からみて、アルカリ金属ハロゲン化物として、LiF、LiCl、NaF、NaClが好ましいといえる。溶解度の観点を加えると、アルカリ金属ハロゲン化物として、LiCl及びNaClが好ましいといえる。
電解液における、アルカリ金属ハロゲン化物の濃度としては、0.01〜3mol/Lが好ましく、0.03〜2mol/Lがより好ましく、0.04〜1.5mol/Lがさらに好ましく、0.05〜1.0mol/Lが特に好ましい。
電解液には、ニッケル金属水素化物電池用電解液に採用される公知の添加剤が添加されていてもよい。
セパレータは、正極と負極とを隔離して、両極の接触による短絡を防止しつつ、電解液の貯留空間及び通路を提供するものである。セパレータとしては、公知のものを採用すればよく、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアラミド(Aromatic polyamide)、ポリエステル、ポリアクリロニトリル等の合成樹脂、セルロース、アミロース等の多糖類、フィブロイン、ケラチン、リグニン、スベリン等の天然高分子、セラミックスなどの電気絶縁性材料を1種若しくは複数用いた多孔体、不織布、織布などを挙げることができる。また、セパレータは多層構造としてもよい。
セパレータは、表面に親水化処理が施されていることが好ましい。親水化処理としては、スルホン化処理、コロナ処理、フッ素ガス処理、プラズマ処理を例示できる。
電池容器は、正極、負極、セパレータ及び電解液を収容する容器である。電池容器としては、公知のニッケル金属水素化物電池の電池容器として用いられるものを採用すればよい。電池容器の形状は特に限定されるものでなく、角型、円筒型、コイン型、ラミネート型等、種々の形状を採用することができる。電池容器の材質としては、強アルカリに対して耐性の高いものが好ましい。電池容器の具体例としては、ニッケル製容器、樹脂製容器、内表面がニッケルメッキされた金属容器、内表面に樹脂コーティング層を具備する金属容器を例示できる。
b)工程は、a)工程後のニッケル金属水素化物電池に充電を行う充電工程である。そして、b)工程は、0.8V〜1.2Vの範囲内の電圧を1〜100時間保持する電圧保持工程を含む。
電圧保持工程により、オキシ水酸化コバルトの生成速度が一定又は比較的穏やかとなるため、正極活物質の表面に均一にオキシ水酸化コバルトが生成されると想定される。その結果、オキシ水酸化コバルトによる導電ネットワークが正極活物質層内に十分かつ均一に形成されて、ニッケル金属水素化物電池の抵抗が低減される。
他方、電圧保持工程が存在しない充電の場合には、オキシ水酸化コバルトが比較的高電位においても生成されることになる。その結果、オキシ水酸化コバルトの生成速度が増大するとともに、正極活物質層内でのオキシ水酸化コバルトの生成箇所にムラが生じて、オキシ水酸化コバルトによる導電ネットワークが正極活物質層内に十分かつ均一に形成されないと考えられる。
0.8V〜1.2Vの範囲内の電圧とは、正極活物質の表面にオキシ水酸化コバルトが形成されると想定される電圧である。実際に、正極にコバルトを含むニッケル金属水素化物電池の初回充電曲線においては、0.8V〜1.2Vの範囲内で、電圧の変化率が低下するプラトー状態が観察される。なお、通常、2回目以降の充電における充電曲線には、初回充電曲線で観察された0.8V〜1.2Vの範囲内のプラトー状態は観察されない。
電圧保持工程における電圧の範囲としては、0.85V〜1.15V、0.88V〜1.1V、0.9V〜1.1V、0.9V〜0.95Vを例示できる。
電圧保持工程における電圧保持時間は、1〜100時間の範囲内である。電圧保持時間が1時間未満の場合には、従来の電圧保持工程を設けない低電流充電との差異が明確に奏されないことがある。他方、電圧保持時間が100時間を超える場合には、ニッケル金属水素化物電池の抵抗が増加することがある。
電圧保持工程における電圧保持時間は、15〜80時間の範囲内が好ましく、25〜70時間の範囲内がより好ましく、30〜65時間の範囲内がさらに好ましい。
電圧保持工程における電圧保持の態様としては、同一の電圧を保持し続ける態様(いわゆるCV充電又はCCCV充電を意味する。)、規定の電圧内での充電速度を著しく低下させる態様、規定の電圧内での充放電を行う態様を例示できる。オキシ水酸化コバルトによる導電ネットワークをより均一に形成させるとの観点からは、オキシ水酸化コバルトの生成条件を一定とする「同一の電圧を保持し続ける態様」が好ましいと考えられる。
本発明の製造方法においては、ニッケル金属水素化物電池に対して、複数回のサイクルで充放電を行う活性化工程を含むのが好ましく、そして、b)工程は、活性化工程のうちの初回サイクルの充電工程であるのが好ましい。
b)工程における電圧保持工程以外の充電工程については、後述する活性化工程の説明における、初回サイクルの充電についての記述を援用する。
本明細書において、サイクルとは、ニッケル金属水素化物電池に対して充電及び放電を行う充放電のセットを意味する。1サイクルとは充放電の1セットを意味し、また、初回サイクルとは第1回目の充放電の1セットを意味する。充電サイクルとは、サイクルにおける充電状態を意味し、放電サイクルとは、サイクルにおける放電状態を意味する。
b)工程を含む活性化工程におけるサイクルの回数は、求められる特性を満足するニッケル金属水素化物電池が製造されるか否かで決定される。ニッケル金属水素化物電池の仕様により求められる特性が異なるため、一概にサイクルの回数を決定することは困難である。敢えてb)工程を含む活性化工程におけるサイクルの回数を例示すると、3〜30、5〜25を例示できる。
b)工程を含む活性化工程は、10〜60℃の温度範囲、かつ温度一定の条件下で充放電を行うのが好ましい。温度が低すぎても、又は温度が高すぎても、ニッケル金属水素化物電池の抵抗は好適に減少しないと考えられる。充放電の温度範囲としては、15〜50℃がより好ましく、20〜40℃がさらに好ましい。
b)工程を含む活性化工程は、初回サイクルの充電や初回以外の各サイクルの充電を理論充電容量の80%を超える容量で行うのが好ましく、さらには、理論充電容量以上の容量まで行うのがより好ましい。特に、初回サイクルは、理論充電容量を超える容量まで充電を行うのが好ましい。十分な容量で充電を行うことにより、負極活物質である水素吸蔵合金が十分に水素を吸蔵する。水素吸蔵合金が十分に水素を吸蔵すると、その体積が膨張して、水素吸蔵合金と強塩基性の電解液との接触箇所が増加する。そうすると、水素吸蔵合金の表面から、強塩基性の電解液に溶解性の高い金属の一部が溶出し、強塩基性の電解液に溶解性の低いNiなどの金属が水素吸蔵合金の表面に留まる。その結果、充放電に好都合であり、水素を原子レベルまで解離する能力の高いNi濃縮層が水素吸蔵合金の表面に形成されると考えられる。
理論充電容量とは、いわゆるSOC(State of Charge)100%を意味する。本明細書において、SOC100%とは、ニッケル金属水素化物電池における正極活物質の質量(g)とその理論容量(Ah/g)との乗算で算出される値を意味する。
初回サイクルの充電は、SOC105%〜120%まで行うのが好ましく、SOC105%〜115%まで行うのがより好ましい。初回以外の各サイクルの充電は、SOC90%〜110%まで行うのが好ましく、SOC95%〜105%まで行うのがより好ましい。なお、著しく過剰な容量の充電を行うと、電解液が分解して酸素が多量に発生する虞がある。また、初回サイクルや初回以外の各サイクルの充電を、理論充電容量の80%以下の容量で行うと、ニッケル金属水素化物電池の抵抗が好適に減少しない場合がある。
複数回のサイクルの充放電のうち、初回サイクルの充電レートは低い方が好ましい。初回サイクルの充電レートの範囲としては、0.5C未満が好ましく、0.01C以上0.5C未満がより好ましく、0.02C以上0.4C以下がさらに好ましく、0.03C以上0.3C以下が特に好ましい。初回サイクルの充電レートが高すぎると、電解液が分解して酸素が発生する虞があるとともに、ニッケル金属水素化物電池の抵抗が過剰に上昇する虞がある。初回サイクルの充電レートが低すぎると、充電に長時間を要することになる。
なお、1Cとは、一定電流で、ニッケル金属水素化物電池をSOC0%からSOC100%まで充電するために要する電流値を意味する。
また、初回サイクルでは、0.1C未満である第1充電レートと、第1充電レートを超える第2充電レートとを含む、複数の充電レートで充電を行うのが好ましい。第1充電レートとしては、0.01C以上0.1C未満が好ましく、0.02C以上0.08C以下がより好ましく、0.03C以上0.07C以下がさらに好ましい。第1充電レートによる充電は、SOC10〜50%まで行うのが好ましく、SOC20%〜40%まで行うのがより好ましい。
第1充電レートを超える第2充電レートとしては、0.02C以上0.5C未満が好ましく、0.05C以上0.4C以下がより好ましく、0.07C以上0.3C以下がさらに好ましい。
各サイクルの充電レートは、3C未満、さらには2C以下で行うのが好ましい。充電レートを過剰に高くすると、ニッケル金属水素化物電池の抵抗が好適に減少しない場合がある。各サイクルの充電レートとしては、0.1C以上2C以下が好ましく、0.2C以上1.5C以下がより好ましく、0.3C以上1C以下がさらに好ましく、0.4C以上0.7C以下が特に好ましい。
また、活性化工程は、前回サイクルの充電レートよりも大きな充電レートで充電する、増加レート充電サイクルを含むのが好ましい。活性化工程は、複数回のサイクルでの充放電のうち、増加レート充電サイクルを1サイクルに含む方法であってもよいが、増加レート充電サイクルを2サイクル、3サイクル又はそれ以上のサイクルに含む方法が好ましい。活性化工程で実施する初回サイクル以外のサイクルすべてにわたり、増加レート充電サイクルを実施してもよい。
増加レート充電サイクルにおける充電レート(以下、増加充電レートということがある。)は、前回サイクルの充電レートよりも大きい。ただし、増加充電レートが過剰に高すぎると、電解液が分解して酸素が発生する虞がある。そのため、増加充電レートの上限値として、2C、1.5C、1Cを例示できる。また、前回サイクルの充電レートに対する増加充電レートの比R(R=(増加充電レート)/(前回サイクルの充電レート))の範囲としては、1<R≦3、1<R≦2.5、1<R≦2、1<R≦1.5を例示できる。
増加充電レートは、前回サイクルにおけるニッケル金属水素化物電池の特性をモニタリングして、その結果から決定してもよい。例えば、前回サイクルにおけるニッケル金属水素化物電池の特性が良好ならば、増加充電レートの比Rを高い数値に設定すればよい。他方、前回サイクルにおけるニッケル金属水素化物電池の特性が不良ならば、今回のサイクルでは増加レート充電サイクルを採用せずに、前回サイクルの充電レートと同じ又は低い充電レートで充電するとよい。
活性化工程においては、各サイクルの放電は適切な電圧まで、例えば、0.8V、0.9V又は1Vまで行うのが好ましい。また、活性化工程における放電レートは、0.1C以上3C以下が好ましく、0.2C以上2C以下がより好ましく、0.3C以上1.5C以下がさらに好ましい。サイクルの回数を重ねるに従い、徐々に放電レートを増加させてもよい。
活性化工程においては、工程の管理上、初回サイクル以外の各サイクルの充電レートは同一回のサイクル内で一定であるのが好ましく、同様に各サイクルの放電レートは同一回のサイクル内で一定であるのが好ましい。また、活性化工程においては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、充電と放電との間に、休止期間や、電圧保持期間を設けてもよい。
本発明のニッケル金属水素化物電池の製造方法により、以下の、本発明の制御装置を把握できる。
本発明の制御装置は、ニッケル金属水素化物電池に対し、本発明の製造方法におけるb)工程又はb)工程を含む活性化工程を指示する制御部を具備する。本発明の制御装置はニッケル金属水素化物電池の製造設備に配置されてもよく、ニッケル金属水素化物電池の出荷前若しくは出荷後にニッケル金属水素化物電池を充放電する充放電システムに配置されてもよい。
本発明のニッケル金属水素化物電池は、車両に搭載してもよい。車両は、その動力源の全部あるいは一部にニッケル金属水素化物電池による電気エネルギーを使用している車両であればよく、例えば、電気車両、ハイブリッド車両などであるとよい。車両にニッケル金属水素化物電池を搭載する場合には、ニッケル金属水素化物電池を複数直列に接続して組電池とするとよい。ニッケル金属水素化物電池を搭載する機器としては、車両以外にも、パーソナルコンピュータ、携帯通信機器など、電池で駆動される各種の家電製品、オフィス機器、産業機器などが挙げられる。さらに、本発明のニッケル金属水素化物電池は、風力発電、太陽光発電、水力発電その他電力系統の蓄電装置及び電力平滑化装置、船舶等の動力及び/又は補機類の電力供給源、航空機、宇宙船等の動力及び/又は補機類の電力供給源、電気を動力源に用いない車両の補助用電源、移動式の家庭用ロボットの電源、システムバックアップ用電源、無停電電源装置の電源、電動車両用充電ステーションなどにおいて充電に必要な電力を一時蓄える蓄電装置に用いてもよい。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
以下に、実施例及び比較例などを示し、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
・正極の製造工程
正極活物質として水酸化ニッケル粉末を93質量部、導電助剤としてコバルト粉末を3質量部、結着剤としてアクリル系樹脂エマルション及びカルボキシメチルセルロースを固形分として合計3質量部、添加剤としてYを1質量部、及び、適量のイオン交換水を混合して、スラリーを製造した。正極用集電体として厚み20μmのニッケル箔を準備した。このニッケル箔の表面に、ドクターブレードを用いて、上記スラリーを膜状に塗布した。スラリーが塗布されたニッケル箔を乾燥して水を除去し、その後、プレスを行い、集電体上に正極活物質層が形成された正極を製造した。
・水素吸蔵合金のアルカリ処理工程
La、Sm及びNiを含有するA型の水素吸蔵合金を準備した。また、水酸化ナトリウムを48質量%で含有する水酸化ナトリウム水溶液を準備した。
撹拌条件下、上記水酸化ナトリウム水溶液に上記水素吸蔵合金の粉末を加えて懸濁液とした。この懸濁液を110℃に加熱して1時間保持し、その後、室温に冷却した。懸濁液を吸引濾過して、水酸化ナトリウム水溶液から水素吸蔵合金を分離した。
・負極の製造工程
負極活物質としてアルカリ処理後のA型水素吸蔵合金を97質量部、結着剤としてアクリル系樹脂エマルション及びカルボキシメチルセルロースを固形分として合計3質量部、及び、適量のイオン交換水を混合して、スラリーを製造した。負極用集電体として厚み20μmのニッケル箔を準備した。このニッケル箔の表面に、ドクターブレードを用いて、上記スラリーを膜状に塗布した。スラリーが塗布されたニッケル箔を乾燥して水を除去し、その後、プレスを行い、集電体上に負極活物質層が形成された負極を製造した。
電解液として、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム及び水酸化リチウムの合計の濃度が7mol/Lである水溶液を準備した。また、セパレータとして、スルホン化処理が施された厚さ70μmのポリオレフィン繊維製不織布を準備した。
a)工程
正極と負極とでセパレータを挟持し、極板群とした。樹脂製の筐体に、極板群を配置して、さらに上記電解液を注入し、筐体を密閉することで、ニッケル金属水素化物電池を組み立てた。
b)工程を初回サイクルの充電工程として含む活性化工程
a)工程で組み立てられたニッケル金属水素化物電池に対して、25℃の条件下、表1に示す活性化処理を行った。なお、各サイクルの放電後には、休止時間を1時間設けた後に、電圧1Vまでの放電を0.1Cで行った。以上の活性化処理を行ったニッケル金属水素化物電池を、実施例1のニッケル金属水素化物電池とした。
(実施例2)
初回サイクルの充電工程における電圧0.9Vの保持時間を24時間とした以外は、実施例1と同様の方法で、実施例2のニッケル金属水素化物電池を製造した。
(実施例3)
初回サイクルの充電工程における電圧0.9Vの保持時間を64時間とした以外は、実施例1と同様の方法で、実施例3のニッケル金属水素化物電池を製造した。
(実施例4)
初回サイクルの充電工程における電圧0.9Vの保持時間を93時間とした以外は、実施例1と同様の方法で、実施例4のニッケル金属水素化物電池を製造した。
(比較例1)
初回サイクルの充電工程の充電条件を、SOC30%まで0.05Cで充電し、さらにSOC110%まで0.1Cで充電する方法とした以外は、換言すれば、電圧0.9Vの保持時間を0時間とした以外は、実施例1と同様の方法で、比較例1のニッケル金属水素化物電池を製造した。
なお、比較例1のニッケル金属水素化物電池の製造方法において、初回サイクルの充電工程における0.8V〜1.2Vの電圧範囲は、30分で通過した。
(評価例1:直流抵抗)
各ニッケル金属水素化物電池をSOC60%に調製して、10Cで10秒間放電させた。電流値と放電前後の電圧変化量から、オームの法則により、放電時の抵抗を直流抵抗として算出した。結果を表2及び図1に示す。
表2及び図1の直流抵抗の結果から、電圧0.9Vの保持時間が0時間である比較例1のニッケル金属水素化物電池と比較して、電圧0.9Vの保持時間が8〜93時間の実施例1〜4のニッケル金属水素化物電池は、直流抵抗が低下したことがわかる。電圧保持工程を設けることで、オキシ水酸化コバルトによる導電ネットワークが正極活物質層内に十分かつ均一に形成されることが裏付けられたといえる。
また、実施例1〜実施例3においては、電圧0.9Vの保持時間が増加するに従い、抵抗値が減少したものの、実施例3〜実施例4においては、電圧0.9Vの保持時間が増加すると抵抗値が増加する現象が観察された。これらの結果から、電圧保持工程における保持時間は、15〜80時間が好適であり、25〜70時間がより好適といえる。
(製造例1)
正極活物質として水酸化ニッケル粉末を92質量部、導電助剤としてコバルト粉末を3質量部、結着剤としてアクリル系樹脂エマルション及びカルボキシメチルセルロースを固形分として合計4質量部、添加剤としてYを1質量部、及び、適量のイオン交換水を混合して、スラリーを製造した。正極用集電体として厚み10μmのニッケル箔を準備した。このニッケル箔の表面に、ドクターブレードを用いて、上記スラリーを膜状に塗布した。スラリーが塗布されたニッケル箔を乾燥して水を除去し、その後、プレスを行い、集電体上に正極活物質層が形成された正極を製造した。
負極活物質としてA型水素吸蔵合金を98質量部、結着剤としてアクリル系樹脂エマルション及びカルボキシメチルセルロースを固形分として合計2質量部、及び、適量のイオン交換水を混合して、スラリーを製造した。負極用集電体として厚み10μmのニッケル箔を準備した。このニッケル箔の表面に、ドクターブレードを用いて、上記スラリーを膜状に塗布した。スラリーが塗布されたニッケル箔を乾燥して水を除去し、その後、プレスを行い、集電体上に負極活物質層が形成された負極を製造した。なお、使用したA型水素吸蔵合金は、金属AとしてLaなどのミッシュメタルを含有し、金属Bの一部としてNiを含有するものである。
電解液として、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム及び水酸化リチウムの合計の濃度が7mol/Lである水溶液を準備した。
セパレータとして、スルホン化処理が施された厚さ70μmのポリオレフィン繊維製不織布を準備した。正極と負極とでセパレータを挟持し、極板群とした。樹脂製の筐体に、極板群を配置して、さらに上記電解液を注入し、筐体を密閉することで、活性化前の製造例1のニッケル金属水素化物電池を製造した。
(参考例1〜参考例4)
製造例1のニッケル金属水素化物電池に対して、25℃の条件下、表3及び表4に示す活性化処理を行い、参考例1〜参考例4のニッケル金属水素化物電池を製造した。なお、各サイクルの放電後には、休止時間を1時間設けた後に、電圧1Vまでの放電を0.1Cで行った。
(参考評価例1)
SOC60%に調整した参考例1〜参考例4のニッケル金属水素化物電池を、10Cで10秒間放電させた。電流値と放電前後の電圧変化量から、オームの法則により、放電時の抵抗を直流抵抗として算出した。結果を表5に示す。
参考例1と参考例2の結果から、初回サイクルでの充電レートを0.5C以上とすると、電池の抵抗に悪影響が生じるといえる。参考例1と参考例3の結果から、充電レートを3C以上とすると、電池の抵抗に悪影響が生じるといえる。また、参考例1と参考例4の結果から、各サイクルの充電容量が低いと、電池の抵抗に悪影響が生じるといえる。以上の結果から、ニッケル金属水素化物電池の活性化においては、初回サイクルでの充電レートは0.5C未満とし、各サイクルの充電レートを3C未満とし、各サイクルの充電容量をSOC80%超とすることが好ましいといえる。

Claims (15)

  1. a)正極にコバルトを含有するニッケル金属水素化物電池を組み立てる工程、
    b)a)工程後のニッケル金属水素化物電池に充電を行う充電工程であって、0.8V〜1.2Vの範囲内の電圧を1〜100時間保持する電圧保持工程を含む充電工程、
    を含むことを特徴とするニッケル金属水素化物電池の製造方法。
  2. 前記電圧保持工程において、0.8V〜1.2Vの範囲内の電圧を保持する時間が、15〜80時間である請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記電圧保持工程において、0.8V〜1.2Vの範囲内の電圧を保持する時間が、25〜70時間である請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記電圧保持工程において、保持する電圧の範囲が0.9V〜1.1Vである請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. a)工程において、正極に含有されるコバルトが、金属コバルト又は水酸化コバルトである請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. b)工程の充電レートが0.5C未満である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. b)工程の充電を理論充電容量の80%を超える容量まで行う、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. b)工程では、0.1C未満である第1充電レートと、該第1充電レートを超える第2充電レートとを含む、複数の充電レートで充電を行う、請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. a)工程が、アルカリ処理した負極活物質を用いて、ニッケル金属水素化物電池を組み立てる工程である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
  10. 前記ニッケル金属水素化物電池における負極活物質がA型である請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
  11. 複数回のサイクルで充放電を行う活性化工程を含み、b)工程は、前記活性化工程のうちの初回サイクルの充電工程である請求項1〜10のいずれか1項に記載の製造方法。
  12. 前記活性化工程が、前回サイクルの充電レートよりも大きな充電レートで充電する、増加レート充電サイクルを含む、請求項11に記載の製造方法。
  13. 前記活性化工程が、前記増加レート充電サイクルを2サイクル以上に含む、請求項12に記載の製造方法。
  14. 前記活性化工程の前記複数回が3〜30回の範囲内である、請求項11〜13のいずれか1項に記載の製造方法。
  15. 前記活性化工程の充電レートが3C未満である、請求項11〜14のいずれか1項に記載の製造方法。
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