JP2019069139A - 宝飾品及びその製造方法 - Google Patents

宝飾品及びその製造方法

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Abstract

【課題】貴金属が有する金属加工性、並びに色彩及び光沢等の金属特性を保持し、かつ、高い最大磁束密度を有する宝飾品及びその製造方法を提供する。【解決手段】80質量%〜93.5質量%の貴金属と、6.5質量%〜20質量%の永久磁石と、を含む、宝飾品、及びその製造方法である。【選択図】図3

Description

本開示は、宝飾品及びその製造方法に関する。
永久磁石の磁力によって患部を治療する、永久磁石を含む家庭用永久磁石磁気治療器(JIS T 2007:2011)が知られている。
家庭用永久磁石磁気治療器においては、貴金属を永久磁石と組み合わせることによって外観を向上させる試みがなされており、例えば、「一次粒子径が0.5〜5μmの銀微粉末と一次粒子径が1〜40μmの希土類磁石の微粉末に、樹脂を混練してプレス成形し、該プレス成形体を着磁してなり、少なくとも50重量%の銀を含有し、35mT以上の磁束密度を得たことを特徴とする銀を主体とする貴金属磁石」が開示されている(例えば、特許文献1)。
特開2014−118577号公報
特許文献1記載の貴金属磁石は、樹脂を混練してプレス成型されたものであることから、樹脂が硬化した後には圧延や曲げなどの金属加工をすることができない。また、特許文献1記載の貴金属磁石は、樹脂を含み、かつ、磁石の分散性が低いことから、銀が有する色彩や光沢などの金属特性が十分に発揮されない。また、特許文献1記載の貴金属磁石は樹脂を含むことから、貴金属磁石自体の外観は良好でなく、外観を向上させるために最終的にめっき仕上げをする必要がある。
上記に鑑み、本開示は、貴金属が有する金属加工性、並びに色彩及び光沢等の金属特性を保持し、かつ、高い最大磁束密度を有する宝飾品及びその製造方法を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
前記課題を解決するための具体的手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 80質量%〜93.5質量%の貴金属と、6.5質量%〜20質量%の永久磁石と、を含む、宝飾品。
<2> 前記貴金属が、金、銀、銅、白金、若しくはパラジウム、又は、「金、銀、銅、白金、及びパラジウムからなる群から選択される少なくとも1種を含む合金」である、<1>に記載の宝飾品。
<3> 前記永久磁石が、サマリウムコバルト磁石、ネオジム磁石、アルニコ磁石、及びフェライト磁石からなる群から選択される少なくとも1種の磁石である、<1>又は<2>に記載の宝飾品。
<4> 前記サマリウムコバルト磁石が、SmCo磁石である、<3>に記載の宝飾品。
<5> 10mT(ミリテスラ)以上の最大磁束密度を有する、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の宝飾品
<6> 磁気健康器具である、<1>〜<5>のいずれか1つに記載の宝飾品。
<7> 6.5質量%〜20質量%の永久磁石の粉末を80質量%〜93.5質量%の貴金属の粉末に分散させて分散体を作製する工程、及び前記分散体を加圧圧縮焼結して焼結体を作製する工程、を含む、宝飾品の製造方法。
<8> 前記分散が、前記永久磁石の粉末及び前記貴金属の粉末に溶媒を添加して行われる、<7>に記載の宝飾品の製造方法。
<9> 前記溶媒が、有機溶媒である、<8>に記載の宝飾品の製造方法。
<10> 前記有機溶媒が、アルコールである、<9>に記載の宝飾品の製造方法。
<11> 前記溶媒が、前記永久磁石の粉末及び前記貴金属の粉末の全質量100に対し、1〜80の質量比で添加される、<8>〜<10>のいずれか1つに記載の宝飾品の製造方法。
<12> 前記永久磁石の粉末の体積平均粒径が、75μm以下である、<7>〜<11>のいずれか1つに記載の宝飾品の製造方法。
<13> 前記貴金属の粉末の体積平均粒径が、100μm以下である、<7>〜<12>のいずれか1つに記載の宝飾品の製造方法。
<14> 前記加圧圧縮焼結が、放電プラズマ焼結である、<7>〜<13>のいずれか1つに記載の宝飾品の製造方法。
<15> 前記放電プラズマ焼結が、200℃〜600℃の焼結温度で行われる、<14>に記載の宝飾品の製造方法。
<16> 前記焼結温度の保持時間が、15分〜60分である、<15>に記載の宝飾品の製造方法。
<17> 前記焼結温度への昇温速度が、20℃/分〜60℃/分である、<15>又は<16>に記載の宝飾品の製造方法。
<18> 前記放電プラズマ焼結が、5MPa〜80MPaの圧力下で行われる、<14>〜<17>のいずれか1つに記載の宝飾品の製造方法。
<19> 前記貴金属が、金、銀、銅、白金、若しくはパラジウム、又は、「金、銀、銅、白金、及びパラジウムからなる群から選択される少なくとも1種を含む合金」である、<7>〜<18>のいずれか1つに記載の宝飾品の製造方法。
<20> 前記永久磁石が、サマリウムコバルト磁石、ネオジム磁石、アルニコ磁石、及びフェライト磁石からなる群から選択される少なくとも1種の磁石である、<7>〜<19>のいずれか1つに記載の宝飾品の製造方法。
<21> 前記サマリウムコバルト磁石が、SmCo磁石である、<20>に記載の宝飾品の製造方法。
<22> 前記宝飾品が、10mT以上の最大磁束密度を有する、<7>〜<21>のいずれか1つに記載の宝飾品の製造方法。
<23> 前記宝飾品が、磁気健康器具である、<7>〜<22>のいずれか1つに記載の宝飾品の製造方法。
本開示によれば、貴金属が有する金属加工性、並びに色彩及び光沢等の金属特性を保持し、かつ、高い最大磁束密度を有する宝飾品及びその製造方法が提供される。
表面研磨した焼結体の磁化曲線を示す図である。 着磁方向について「面直方向」を模式的に示した図である。 着磁方向について「面内方向」を模式的に示した図である。 鏡面研磨した焼結体の表面の反射電子像(30倍)を示す写真である。200℃、400℃、及び600℃は、焼結温度を表す。 表面研磨した焼結体の磁化曲線を示す図である。 図4において示される磁化曲線の第一象限を拡大した図である。
本明細書において、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を意味する。本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において、「工程」との用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
<宝飾品>
本開示の宝飾品は、80質量%〜93.5質量%の貴金属と、6.5質量%〜20質量%の永久磁石と、を含む。
従来の貴金属及び永久磁石を含む家庭用永久磁石磁気治療器では、所望の最大磁束密度を確保するために永久磁石の含有率が高く、かつ、その分散性が低かったことから、色彩及び光沢等の金属特性が十分に発揮されず、外観の向上は十分に達成できていなかった。
これに対し、本開示の宝飾品は、貴金属が有する金属加工性や色彩及び光沢等の金属特性を保持しながら、高い最大磁束密度を有する。
その理由は、以下のように推察される。すなわち、本開示の宝飾品では、貴金属の含有率が高く、かつ、永久磁石が均一性をもって分散されていることから、貴金属の色彩及び光沢等の金属特性が保持されていると考えられる。また、焼結する際に、永久磁石相が貴金属相中に均一性をもって分散されていることにより、焼結体において最大磁束密度が高く保持されると考えられる。更に、本開示の宝飾品は、焼結体であることから、金属加工性が保持されていると考えられる。
本開示において、「宝飾品」とは、貴金属を含む装飾品をいい、身に着けるための身飾品も含む。また、「装飾品」とは、装飾を目的とする物品及び装飾が施された物品の全てをいう。
本開示において、「金属加工性」とは、金属を除去することなく加工できる性質をいい、例えば圧延、曲げなどを意味する。また、「金属加工性」には、焼結体を成形した後に、再度成形することも含まれる。
本開示において、「金属特性」とは、金属の外観に関する特性をいい、例えば色彩、光沢などを意味する。
本開示の宝飾品が有する最大磁束密度は、宝飾品の大きさ、当該宝飾品に含まれる永久磁石の量、着磁された方向に垂直な宝飾品の面の面積、及び宝飾品の厚さを変更することにより、適宜調整することができる。なお、「宝飾品の厚さ」とは、宝飾品における着磁された方向に垂直な面の厚さをいう。例えば、宝飾品が有する最大磁束密度は、当該宝飾品に含まれる永久磁石の量を増加させること、着磁された方向に垂直な宝飾品の面の面積を大きくすること、宝飾品の厚さを厚くすること、により、大きくすることができる。
また、最大磁束密度を呈する方向(例えば、面直方向又は面内方向)は、宝飾品の形状により異なり得る。例えば、宝飾品が、円柱状の場合には面直方向が最大磁束密度を呈し得、円盤の周方向に4分の1切断した形状の場合には面内方向が最大磁束密度を呈し得る。
最大磁束密度とは、宝飾品について測定された表面磁束密度のうちの最大値をいう。
表面磁束密度は、テスラメーター(MG−801、株式会社マグナ製)を用いて測定される。
本開示の宝飾品は、好ましくは10mT以上の最大磁束密度を有し、より好ましくは30mT以上200mT以下の最大磁束密度を有する。本開示の宝飾品は、10mT以上の最大磁束密度を有することにより、身体の不具合(例えば、肩こり、腰痛など)を予防し、緩和させ、及び/又は治癒させる効果が高くなる。
本開示の宝飾品は、磁気健康器具であってよい。ここで、磁気健康器具とは、永久磁石を用いて身体の不具合(例えば、肩こり、腰痛など)を予防し、緩和させ、及び/又は治癒させることを目的とする物品の全てをいい、JIS T 2007:2011に規定されている家庭用永久磁石磁気治療器も含む。
(貴金属)
本開示の宝飾品は、80質量%〜93.5質量%の貴金属を含み、好ましくは85質量%〜93.5質量%、より好ましくは90質量%〜93.5質量%の貴金属を含む。本開示の宝飾品は、80質量%〜93.5質量%の貴金属を含むことにより、貴金属の色彩及び光沢等の金属特性が発揮され、外観の向上が達成される。
貴金属は、好ましくは、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、若しくはパラジウム(Pd)、又は、「金、銀、銅、白金、及びパラジウムからなる群から選択される少なくとも1種を含む合金」であり、より好ましくは、金、銀、銅、白金、及びパラジウムからなる群から選択される。
ここで、「金、銀、銅、白金、及びパラジウムからなる群から選択される少なくとも1種を含む合金」とは、「金、銀、銅、白金、及びパラジウムからなる群から選択される金属を2種以上含む合金」、並びに、「金、銀、銅、白金、及びパラジウムからなる群から選択される少なくとも1種の金属と、金、銀、銅、白金、及びパラジウム以外の金属(1種又は2種以上)との合金」、の両方を意味する。
(永久磁石)
本開示の宝飾品は、6.5質量%〜20質量%の永久磁石を含み、好ましくは6.5質量%〜15質量%、より好ましくは6.5質量%〜10質量%の永久磁石を含む。本開示の宝飾品は、6.5質量%〜20質量%の永久磁石を含むことにより、身体の不具合(例えば、肩こり、腰痛など)を予防し、緩和させ、及び/又は治癒させることに好適に使用することができる程度の最大磁束密度(例えば、10mT以上、好ましくは30mT以上200mT以下)を有することができる。
永久磁石は、磁束密度の観点から、好ましくは、サマリウムコバルト磁石、ネオジム磁石、アルニコ磁石、及びフェライト磁石からなる群から選択され、より好ましくは、サマリウムコバルト磁石、及びネオジム磁石からなる群から選択され、特に好ましくはネオジム磁石である。
サマリウムコバルト磁石は、サマリウム(Sm)及びコバルト(Co)を主成分とする磁石である。サマリウムコバルト磁石は、SmCo磁石又はSmCo17磁石であってよく、好ましくはSmCo磁石である。ここで、サマリウム及びコバルトが「主成分」であるとは、サマリウムコバルト磁石の全質量に対し、サマリウム及びコバルトが、90質量%以上含まれていることを意味する。
ネオジム磁石は、ネオジム(Nd)、鉄(Fe)及び硼素(B)を主成分とする磁石である。ここで、ネオジム、鉄及び硼素が「主成分」であるとは、ネオジム磁石の全質量に対し、ネオジム、鉄及び硼素が、90質量%以上含まれていることを意味する。ネオジム磁石は、磁束密度の向上の観点から、ネオジム磁石に含まれるNd、Fe及びBの合計量に対して、Ndを2.0原子%〜14.0原子%含み、Feを72.0原子%〜85.0原子%含むことが好ましく、Ndを3.0原子%〜13.0原子%含み、Feを75.0原子%〜84.0原子%含むことがより好ましい。これらの中でも、ネオジム磁石は、NdFe14B磁石であることが好ましい。
アルニコ磁石は、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)及びコバルト(Co)を主成分とする磁石である。ここで、アルミニウム、ニッケル及びコバルトが「主成分」であるとは、アルニコ磁石の全質量に対し、アルミニウム、ニッケル及びコバルトが、90質量%以上含まれていることを意味する。
フェライト磁石は、酸化鉄(Fe)を主成分とする磁石である。ここで、酸化鉄が「主成分」であるとは、フェライト磁石の全質量に対し、酸化鉄が、90質量%以上含まれていることを意味する。
永久磁石は、宝飾品とした場合に、10mT以上の最大磁束密度を有する量で宝飾品に含まれることが好ましく、30mT以上200mT以下の最大磁束密度を有することがより好ましい。10mT以上の最大磁束密度を有する量で永久磁石が宝飾品に含まれることにより、本開示の宝飾品は、身体の不具合(例えば、肩こり、腰痛など)を予防し、緩和させ、及び/又は治癒させることに好適に使用することができる。
<宝飾品の製造方法>
本開示の宝飾品の製造方法は、6.5質量%〜20質量%の永久磁石の粉末を80質量%〜93.5質量%の貴金属の粉末に分散させて分散体を作製する工程、及び前記分散体を加圧圧縮焼結して焼結体を作製する工程、を含む。
本開示の宝飾品の製造方法における「宝飾品」、「永久磁石」及び「貴金属」は、先の<宝飾品>の項に記載した通りである。
(分散)
本開示の宝飾品の製造方法は、6.5質量%〜20質量%の永久磁石の粉末を80質量%〜93.5質量%の貴金属の粉末に分散させて分散体を作製する工程を含む。分散工程により、永久磁石の粉末が貴金属の粉末中に均一性をもって分散されることで、宝飾品においては、貴金属の色彩及び光沢等の金属特性が保持されるとともに、高い最大磁束密度が達成される。
本開示において、「分散」は、永久磁石の粉末が貴金属の粉末中に均一性をもって存在するよう混合、撹拌等すること、又は、永久磁石の粉末が貴金属の粉末中に均一性をもって存在する状態、の両方をいうことができる。
本開示において、「均一性をもって」分散するとは、必ずしも一分子レベルでの分散を意味せず、例えば反射電子像において永久磁石相が貴金属相中に目立った偏りがなく全体的に散在していることが観測できれば、均一性をもって分散しているということができる。
分散は、永久磁石の粉末を貴金属の粉末中に均一性をもって分散できる任意の手段又は装置を用いて行うことができる。例えば、分散は、永久磁石の粉末と貴金属の粉末とを乳鉢に入れ、永久磁石の粉末が貴金属の粉末中に均一性をもって分散するまで混合することにより行うことができる。
好ましくは、分散は、永久磁石の粉末及び貴金属の粉末に溶媒を添加して行われる。永久磁石の粉末及び貴金属の粉末に溶媒を添加して分散を行うことにより、溶媒の非存在下で分散させた場合よりも、貴金属の粉末における永久磁石の粉末の分散の均一性が高められるので好ましい。
溶媒は、好ましくは有機溶媒であり、より好ましくはアルコールである。アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等が好ましく、エタノールがより好ましい。有機溶媒を添加して永久磁石の粉末を貴金属の粉末に分散させることにより、有機溶媒の非存在下で分散させた場合よりも、貴金属の粉末における永久磁石の粉末の分散の均一性が高められるので好ましい。
溶媒は、永久磁石の粉末及び貴金属の粉末の全質量100に対し、好ましくは1〜80、より好ましくは10〜30、更に好ましくは15〜25の質量比で添加される。上記質量比で溶媒が添加されることにより、貴金属の粉末における永久磁石の粉末の分散の均一性が高められるので好ましい。
溶媒を含む分散体は、溶媒の全量を含んだまま加圧圧縮焼結に使用してよく、又は揮発等により溶媒の一部若しくは全部を除去して加圧圧縮焼結に使用してもよい。
好ましくは、溶媒を含む分散体は、粘土状の形態である。溶媒を含む分散体が粘土状の形態であると、貴金属中における永久磁石の分散の均一性を高く維持したまま分散体の加圧圧縮焼結に供することができるため、貴金属の色彩及び光沢等の金属特性が保持されるとともに、高い最大磁束密度を有する宝飾品を得ることができる。
永久磁石の粉末の体積平均粒径は、好ましくは75μm以下であり、より好ましくは1μm〜75μmであり、更に好ましくは10μm超75μm以下であり、特に好ましくは25μm超75μm以下である。
貴金属の粉末の体積平均粒径は、好ましくは100μm以下であり、より好ましくは1μm〜100μmであり、更に好ましくは10μm超100μm以下であり、特に好ましくは25μm超100μm以下である。
本開示において、粉末の「体積平均粒径」は、走査型電子顕微鏡(SEM)、又は光学顕微鏡を用いて測定することができる。具体的には、粉末の「体積平均粒径」は、SEM又は光学顕微鏡を用いて得られた画像をImageJなどの画像解析ソフトウェアで解析することにより決定できる。
本開示において、粉末の粒径は、ふるいの目開きの大きさにより規定することができる。すなわち、特定の大きさの目開きを通る粉末は、当該目開きの大きさ以下の粒径を有する。
ふるいには、目的に応じて適切な大きさの目開きを有するふるいを使用することができる。ふるいは、例えば、JIS 8801で規定されているふるいを使用することができる。
本開示において使用されるふるいは、好ましくは、10μm、25μm、75μm、及び100μmの目開きを有するふるいである。ふるいは、1種のみを使用してよく、又は目開きの異なる2種以上のふるいを組み合わせて使用してもよい。
ふるいを1種のみ使用する場合、例えば、目開きが100μmのふるいを使用して、当該ふるいを通った粉末を調製することにより、100μm以下の粒径の粉末を調製できる。
2種以上のふるいを使用する場合、例えば、目開きが10μm及び100μmの2種類のふるいを使用して、100μmのふるいを通り、かつ、10μmのふるいを通らない粉末を選別することにより、10μm超100μm以下の粒径の粉末を調製できる。
(加圧圧縮焼結)
本開示の宝飾品の製造方法は、分散体を加圧圧縮焼結して焼結体を作製する工程を含む。加圧圧縮焼結により、分散体に含まれる貴金属の粉末と永久磁石の粉末とが焼き固められ、緻密化された焼結体が形成される。
本開示の焼結体には、樹脂が含まれていないことから、本開示の宝飾品は、金属加工性を保持することができる。
分散体は、溶媒を含むことが好ましい。分散体は、溶媒を含むことにより、貴金属中における永久磁石の分散の均一性が高く維持されたまま加圧圧縮焼結に供することができるため、貴金属の色彩及び光沢等の金属特性が保持され、かつ、高い最大磁束密度を有する宝飾品を得ることができる。
加圧圧縮焼結は、ホットプレス焼結(HP)、熱間等方圧焼結(HIP)、又は放電プラズマ焼結(SPS)などの焼結であってよく、好ましくは放電プラズマ焼結である。
加圧圧縮焼結は、好ましくは200℃〜600℃、より好ましくは200℃〜500℃、更に好ましくは200℃〜400℃の焼結温度で行うことができる。200℃以上であることにより、空孔の増加に伴う焼結体の脆弱化を抑えることができる。また、600℃以下であることにより、永久磁石の保磁力の低下を抑え、磁束密度を高く保つことができる。
加圧圧縮焼結において、焼結温度の保持時間は、好ましくは15分〜60分、より好ましくは20分〜50分、更に好ましくは30分〜40分である。焼結温度の保持時間が15分〜60分であることにより、永久磁石の保磁力の低下を抑え、磁束密度を高く保ちながら、焼結体を作製することができる。
加圧圧縮焼結において、焼結温度への昇温速度は、好ましくは20℃/分〜60℃/分であり、より好ましくは30℃/分〜45℃/分である。焼結温度への昇温速度が20℃/分〜60℃/分であることにより、永久磁石の保磁力の低下を抑え、磁束密度を高く保ちながら、焼結体を作製することができる。
熱間等方圧焼結を除く加圧圧縮焼結は、好ましくは5MPa〜80MPa、より好ましくは10MPa〜60MPa、更に好ましくは20MPa〜45MPaの圧力下で行われる。5MPa以上の圧力をかけることにより焼結体の緻密化を促進し、良好な焼結体を得ることができる。また、80MPa以下であることにより過度な圧力の付加による焼結体の損傷を抑えることができる。
−放電プラズマ焼結−
放電プラズマ焼結は、型に充填した材料を機械的圧力とパルス通電加熱により焼結する加圧圧縮焼結の一種であり、一般的な加圧圧縮焼結に用いられる熱的及び機械的エネルギーに加え、パルス通電による電磁的エネルギー、自己発熱、及び粒子間に発生する放電プラズマエネルギーなどが複合的に作用することにより短時間で焼結体を作製することができる。
「放電プラズマ焼結」の用語は、SPS(Spark Plasma Sintering)、及びパルス通電加圧焼結などの同義的に使用される用語も含む。
放電プラズマ焼結は、好ましくは200℃〜600℃、より好ましくは200℃〜500℃、更に好ましくは200℃〜400℃の焼結温度で行うことができる。200℃以上であることにより、空孔の増加に伴う焼結体の脆弱化を抑えることができる。また、600℃以下であることにより、永久磁石の保磁力の低下を抑え、磁束密度を高く保つことができる。
放電プラズマ焼結において、焼結温度の保持時間は、好ましくは15分〜60分、より好ましくは20分〜50分、更に好ましくは30分〜40分である。焼結温度の保持時間が15分〜60分であることにより、永久磁石の保磁力の低下を抑え、磁束密度を高く保ちながら、焼結体を作製することができる。
放電プラズマ焼結において、焼結温度への昇温速度は、好ましくは20℃/分〜60℃/分であり、より好ましくは30℃/分〜45℃/分である。焼結温度への昇温速度が20℃/分〜60℃/分であることにより、永久磁石の保磁力の低下を抑え、磁束密度を高く保ちながら、焼結体を作製することができる。
放電プラズマ焼結は、好ましくは5MPa〜80MPa、より好ましくは10MPa〜60MPa、更に好ましくは20MPa〜45MPaの圧力下で行われる。5MPa以上の圧力をかけることにより焼結体の緻密化を促進し、良好な焼結体を得ることができる。また、80MPa以下であることにより過度な圧力の付加による焼結体の損傷を抑えることができる。
本開示の宝飾品の製造方法は、焼結体を研磨する工程を更に含んでよい。これにより、焼結体の色彩及び光沢等の金属特性を高め、宝飾品とした場合の価値を一層高めることができる。
焼結体の研磨は、例えばマルトー社製のドクターラップML−180などの回転研磨機を用いて行うことができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
[サマリウムコバルト(SmCo)粉末の作製]
−原料の秤量−
サマリウム(Sm;純度99.9%、日本イットリウム株式会社製)及びコバルト(Co;純度99.9%、株式会社平野清左衛門商店製)の酸化膜を取り除いた後、合金化の際にサマリウムが多少蒸発することを考慮し、SmCo相の化学量論組成よりSmがやや多めとなるSmが18原子%、Coが82原子%となるように合計で3.0gを秤量した。
−SmCo合金の作製−
合金作製には非晶質金属作製装置(NEV−A1、日新技研株式会社製)を用いた。1.9×10−2Pa(1.4×10−4Torr)までチャンバー内を真空引きした後、0.05MPaまでアルゴン(Ar)を入れた。次いで、高周波溶解によりSmとCoを溶解させた状態を10秒程度保った後室温まで徐冷し、合金を作製した。
−SmCo合金の液体急冷−
液体急冷についてもSmCo合金の作製に用いた非晶質合金作製装置を使用した。
先に作製したSmCo合金を単ロール法によりノズル径1.0mm、ノズルギャップ0.07mm、噴射圧0.03MPa、ロール表面速度40m/sの条件で液体急冷を行った。なお、当該ロール表面速度は、保磁力を高めるのに好適な条件を選択した。
−SmCo合金の粉砕及び熱処理−
液体急冷を行ったSmCo合金をアルミナ乳鉢を用いて肉眼で金属光沢が無くなったことが確認できる程度(体積平均粒径45μm)まで粉砕した。
粉砕したSmCo合金をモリブデン箔(株式会社ニラコ製)で包み、石英管へと入れた。次いで石英管を2.1×10−3Pa(1.6×10−5Torr)まで真空引きした後、0.05MPaまでArを入れた。この状態で石英管の端を焼き切って試料を石英管中に封入した。
その後、石英管ごと卓上型マッフル炉(Y−1218−P、山田電機株式会社製)に入れ、室温から1000℃まで1時間かけて昇温した後、24時間1000℃で保持した。その後、氷水に焼き入れを行った。次いで、石英管を割ってSmCo粉末をモリブデン箔から取り出した。
[表面研磨した焼結体の作製]
−分散−
銀粉末(Ag;体積平均粒径70μm、純度99.9%、株式会社高純度化学研究所製)が80質量%、及び上記により作製したSmCo粉末が20質量%となるように合計で1.0gを秤量した。秤量した粉末にアルミナ乳鉢中で0.2gのエタノール(一級、純度99.5%、昭和化学株式会社)を加え、粘土状になるまで混合して、SmCo粉末をAg粉末に分散させた。
−放電プラズマ焼結−
φ10mmのグラファイトダイに、パンチ、カーボンペーパー3枚、試料、カーボンペーパー3枚、パンチの順番になるように、試料として上記で作製した粘土状の分散体を詰めた。その後、放電プラズマ焼結装置(SPS515S、SPSシンテックス株式会社製)のチャンバー内を20Paまで真空引きを行った後、Arを0.05MPaまで入れ、放電プラズマ焼結を行った。このときの焼結条件は、昇温速度が40℃/分、保持温度が200℃、300℃、400℃、500℃、又は600℃、加圧力が35MPa、保持時間が30分とした。放電プラズマ焼結後はAr雰囲気中で室温に下がるまで放置した。
−研磨−
放電プラズマ焼結後、ダイから焼結体を取り出し、焼結体表面を回転研磨機(ドクターラップML−180、マルトー社製)を用いて、耐水研磨紙を♯1000、♯2000と順次変更して研磨した。
研磨後、精密切断機(アイソメット5000、BUEHLER社製)に固定し、BUEHLER社製の刃(11−4245)を用いて回転数3800rpm、刃の進行速度を1.2mm/分の条件で4等分に切断した。
切断した焼結体について、中間仕上げと最終仕上げの研磨を以下の条件で行った。
装置:回転研磨機(ドクターラップML−180、マルトー社製)
・中間仕上げ
バフ:トライデント 40−7518(8インチ(20.32cm))、BUEHLER社
研磨剤:メタダイ単結晶ダイヤモンドサスペンション (40−6531、BUEHLER社)
・最終仕上げ
バフ:マスターテックス 40−7738(8インチ(20.32cm))、BUEHLER社
研磨剤:マスタープレップ 40−6377−064、BUEHLER社
上記研磨処理を行うことにより、宝飾品として表面研磨した焼結体を得た。
−磁気特性の評価−
ニッパーで表面研磨した焼結体から30mg程度の切片を切り取った。この切片をVSM粉末ホルダー(P−125E、Quantum Design社製)に入れ、M−H測定を印加磁場−90kOe〜90kOe(−7.2kA/m〜7.2kA/m)の範囲で行った。磁気特性の評価には物理特性測定装置(PPMS、Quantum Design社製)を用いた。
この結果、図1に示すように、200℃で焼結した場合が最も保磁力が高く、温度が高くなるにつれて保磁力が低くなることが示された。
−最大磁束密度の測定−
表面研磨した焼結体について、VSM(振動試料型磁力計;BHV−55、理研電子株式会社製)を用いて印加磁場−20kOe〜20kOe(−1.6kA/m〜1.6kA/m)の範囲で磁場を加えて着磁させた。着磁には、直径10mm、厚さ1mmの円形の焼結体を径方向に4等分した1片を使用し、面直方向及び面内方向に着磁させた。なお、「面直方向」及び「面内方向」は、図2A及び図2Bに模式的に示す方向である。
その後、テスラメーター(MG−801、株式会社マグナ製)により表面磁束密度の測定を行った。測定結果を下記表1に示す。

この結果、面直方向及び面内方向ともに、焼結温度が200℃〜600℃の場合に、表面磁束密度が高いことが示され、特に、焼結温度が400℃の場合に、表面磁束密度が最も高いことが示された。すなわち、焼結温度が200℃〜600℃の場合における最大磁束密度は19.1mTであった。そこで、以下の実施例では、焼結温度を400℃とした。
−組織の評価−
表面研磨した焼結体の組織の評価には走査電子顕微鏡(JSM−IT100、日本電子株式会社製)を用いた。表面研磨した焼結体の試料は、真鍮製の試料台にカーボンテープで固定し、走査電子顕微鏡による観察を行った。
その結果を図3に示す。図中、白色部分はAg相であり、灰色部分はSmCo相である。80質量%の銀粉末と、20質量%のSmCo粉末とを含む表面研磨した焼結体において、SmCo相は、Ag相中に均一性をもって分散されていることが示された。
<実施例2>
銀粉末が80質量%、SmCo粉末が20質量%となるように合計5.0gを秤量し、研磨における耐水研磨紙を#120、#600、#1000と順次変更して研磨を行った以外は、実施例1と同様にして、表面研磨した焼結体(φ6mm×t5mm)を作製した。なお、焼結温度は、実施例1において最良の最大磁束密度を示した400℃とした。 上記鏡面研磨した焼結体について、最大磁束密度の測定、及び外観の評価を行った。
−最大磁束密度の測定−
最大磁束密度の測定は、実施例1と同様に行った。この結果、実施例2の鏡面研磨した焼結体の最大磁束密度となる面直方向の表面磁束密度は、34.4mTであることが示された。
―外観の評価―
実施例2の鏡面研磨した焼結体の外観は、100質量%の銀粉末を用いて実施例1と同様の条件で焼結を行って作製した試料と、実施例2の鏡面研磨した焼結体とを、肉眼で比較観察することにより評価した。この結果、実施例2の鏡面研磨した焼結体は、表面が平滑で綺麗な面だったため、外観が良好であると評価した。
<比較例1>
銀粉末が76質量%、SmCo粉末が24質量%となるように合計5.0g秤量した以外は実施例2と同様にして、鏡面研磨した焼結体を得た。この鏡面研磨した焼結体について、実施例2と同様にして、最大磁束密度の測定、及び外観の評価を行った。
この結果、比較例1の鏡面研磨した焼結体の最大磁束密度となる面直方向の表面磁束密度は、39.0mTであることが示された。
また、比較例1の鏡面研磨した焼結体では、表面は平滑であったものの、ところどころに黒い斑点が見られたため、外観はやや不良と評価した。
<実施例3>
銀粉末が93.5質量%、SmCo粉末が6.5質量%となるように合計5.0g秤量した以外は実施例2と同様にして、鏡面研磨した焼結体を得た。この鏡面研磨した焼結体について、最大磁束密度の測定、及び外観の評価を行った。
この結果、実施例3の鏡面研磨した焼結体の面直方向の最大磁束密度は、12.2mTであることが示された。
また、実施例3の鏡面研磨した焼結体では、表面が平滑で綺麗な面だったため、外観は良好と評価した。
<比較例2>
銀粉末が80質量%、SmCo粉末が20質量%となるように合計5.0g秤量し、かつ、分散の工程を含まないこと以外は実施例2と同様にして、鏡面研磨した焼結体を得た。この鏡面研磨した焼結体について、最大磁束密度の測定、及び外観の評価を行った。
この結果、比較例2の鏡面研磨した焼結体の最大磁束密度となる面直方向の表面磁束密度は、29.9mTであることが示された。
比較例2の鏡面研磨した焼結体では、ところどころに黒いまだら模様が見られたため、外観は不良と評価した。
<実施例4>
銀粉末が85質量%、SmCo粉末が15質量%となるように合計5.0g秤量した以外は実施例2と同様にして、鏡面研磨した焼結体を得た。この鏡面研磨した焼結体について、最大磁束密度の測定、及び外観の評価を行った。
この結果、実施例4の鏡面研磨した焼結体の最大磁束密度となる面直方向の表面磁束密度は、23.6mTであることが示された。
また、実施例4の鏡面研磨した焼結体では、表面が平滑で綺麗な面だったため、外観は良好と評価した。
実施例2〜4並びに比較例1及び2の鏡面研磨した焼結体についての最大磁束密度及び金属特性(外観)を下記表に示す。

<実施例5>
[NdFeB粉末の作製]
−原料の秤量−
酸化膜を取り除いたネオジム(Nd;純度99.9%、日本イットリウム株式会社製)、酸化膜を取り除いた鉄(Fe;純度99.9%、株式会社高純度化学研究所製)、及び硼素(B;純度99.5%、株式会社高純度化学研究所製)を用意し、Ndが4.5原子%、Feが77.0原子%、Bが18.5原子%となるように合計で計1.2gを秤量した。
−NdFeB合金の作製−
合金作製には真空アーク溶解装置(NEV−AD03型、日新技研株式会社製)を用いた。チャンバー内に上記原料を投入し、3.0×10−3Paまでチャンバー内を真空引きした後、0.03MPaまでアルゴン(Ar)を入れた。その後、アーク溶解(電流値:50アンペア〜200アンペア)によってNd、Fe、及びBを溶解し、合金を作製した。
−NdFeB合金の液体急冷−
液体急冷には非晶質合金作製装置(NEV−A1、日新技研株式会社製)を用いた。
先に作製したNdFeB合金を単ロール法によりノズル径1.0mm、ノズルギャップ0.07mm、噴射圧0.03MPa、ロール表面速度50m/sの条件で液体急冷を行った。なお、チャンバー内の真空引きは、4.0×10−2Paまで行った。
−NdFeB合金の粉砕−
アルミナ乳鉢に、液体急冷を行ったNdFeB合金、及び酸化防止のためのアセトンを加えて、NdFeB合金を粉砕し、NdFe14B相を含むNdFeB合金の粉末(体積平均粒径25μm〜75μm)を得た。
[焼結体の作製]
−分散−
銀粉末(Ag;体積平均粒径75μm未満、純度99.9%、株式会社高純度化学研究所製)が80質量%、及び上記により作製したNdFeB粉末が20質量%となるように合計で1.0gを秤量した。秤量した粉末にアルミナ乳鉢中で0.2gのエタノール(一級、純度99.5%、昭和化学株式会社)を加え、粘土状になるまで混合して、NdFeB粉末をAg粉末に分散させた。
−放電プラズマ焼結−
φ10mmのグラファイトダイに、パンチ、カーボンペーパー3枚、試料、カーボンペーパー3枚、パンチの順番になるように、試料として上記で作製した分散体を詰めた。その後、放電プラズマ焼結装置(SPS515S、SPSシンテックス株式会社製)のチャンバー内を20Paまで真空引きを行った後、Arを0.05MPaまで入れ、放電プラズマ焼結を行った。このときの焼結条件は、昇温速度が35℃/分、保持温度が400℃、500℃、600℃、700℃、又は800℃、加圧力が35MPa、保持時間が15分とした。放電プラズマ焼結後はAr雰囲気中で室温に下がるまで放置した。
−研磨−
放電プラズマ焼結後、ダイから焼結体を取り出し、焼結体表面を回転研磨機(ドクターラップML−180、マルトー社製)を用いて、耐水研磨紙を♯800、♯1000と順次変更して研磨し、直径10mm、厚さ1mmのサイズに加工した。
研磨後、精密切断機(アイソメット5000、BUEHLER社製)に固定し、BUEHLER社製の刃(11−4245)を用いて回転数4000rpm、刃の進行速度を1.2mm/分の条件で4等分に切断した。
切断した焼結体について、中間仕上げと最終仕上げの研磨を以下の条件で行った。
装置:回転研磨機(ドクターラップML−180、マルトー社製)
・中間仕上げ
バフ:トライデント 40−7518(8インチ(20.32cm))、BUEHLER社
研磨剤:メタダイ単結晶ダイヤモンドサスペンション (40−6531、BUEHLER社)
・最終仕上げ
バフ:マスターテックス 40−7738(8インチ(20.32cm))、BUEHLER社
研磨剤:マスタープレップ 40−6377−064、BUEHLER社
上記研磨処理を行うことにより、宝飾品として表面研磨した焼結体を得た。
−磁気特性の評価及び最大磁束密度の測定−
以下の手順によって、M−H測定及び最大磁束密度の測定を行った。
表面研磨した焼結体の面直方向及び面内方向のそれぞれについて、VSM(振動試料型磁力計;BHV−55、理研電子株式会社製)を用いて印加磁場−20kOe〜20kOe(−1.6kA/m〜1.6kA/m)の範囲で磁場を加えて着磁させた。なお、「面直方向」及び「面内方向」は、図2A及び図2Bに模式的に示す方向である。
その後、テスラメーター(MG−801、株式会社マグナ製)により表面磁束密度の測定を行った。測定結果を下記表3に示す。
この結果、特に、焼結温度が600℃の場合に、表面磁束密度が最も高いことが示された。すなわち、焼結温度が400℃〜800℃の場合における最大磁束密度は29.5mTであった。
また、M−H測定の結果を図4及び図5に示す。図4より、600℃で焼結した場合が最も保磁力が高くなることが示された。
−組織の評価−
表面研磨した焼結体の組織の評価には走査電子顕微鏡(JSM−IT100、日本電子株式会社製)を用いた。表面研磨した焼結体の試料は、真鍮製の試料台にカーボンテープで固定し、走査電子顕微鏡による観察を行った。観察結果において、NdFeB相は、Ag相中に均一性をもって分散されていることが示された。
本開示の宝飾品は、例えば、磁気治療効果を有するネックレスやブレスレットなどの身飾品として好適に利用できる。

Claims (23)

  1. 80質量%〜93.5質量%の貴金属と、6.5質量%〜20質量%の永久磁石と、を含む、宝飾品。
  2. 前記貴金属が、金、銀、銅、白金、若しくはパラジウム、又は、「金、銀、銅、白金、及びパラジウムからなる群から選択される少なくとも1種を含む合金」である、請求項1に記載の宝飾品。
  3. 前記永久磁石が、サマリウムコバルト磁石、ネオジム磁石、アルニコ磁石、及びフェライト磁石からなる群から選択される少なくとも1種の磁石である、請求項1又は請求項2に記載の宝飾品。
  4. 前記サマリウムコバルト磁石が、SmCo磁石である、請求項3に記載の宝飾品。
  5. 10mT以上の最大磁束密度を有する、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の宝飾品。
  6. 磁気健康器具である、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の宝飾品。
  7. 6.5質量%〜20質量%の永久磁石の粉末を80質量%〜93.5質量%の貴金属の粉末に分散させて分散体を作製する工程、及び前記分散体を加圧圧縮焼結して焼結体を作製する工程、を含む、宝飾品の製造方法。
  8. 前記分散が、前記永久磁石の粉末及び前記貴金属の粉末に溶媒を添加して行われる、請求項7に記載の宝飾品の製造方法。
  9. 前記溶媒が、有機溶媒である、請求項8に記載の宝飾品の製造方法。
  10. 前記有機溶媒が、アルコールである、請求項9に記載の宝飾品の製造方法。
  11. 前記溶媒が、前記永久磁石の粉末及び前記貴金属の粉末の全質量100に対し、1〜80の質量比で添加される、請求項8〜請求項10のいずれか1項に記載の宝飾品の製造方法。
  12. 前記永久磁石の粉末の体積平均粒径が、75μm以下である、請求項7〜請求項11のいずれか1項に記載の宝飾品の製造方法。
  13. 前記貴金属の粉末の体積平均粒径が、100μm以下である、請求項7〜請求項12のいずれか1項に記載の宝飾品の製造方法。
  14. 前記加圧圧縮焼結が、放電プラズマ焼結である、請求項7〜請求項13のいずれか1項に記載の宝飾品の製造方法。
  15. 前記放電プラズマ焼結が、200℃〜600℃の焼結温度で行われる、請求項14に記載の宝飾品の製造方法。
  16. 前記焼結温度の保持時間が、15分〜60分である、請求項15に記載の宝飾品の製造方法。
  17. 前記焼結温度への昇温速度が、20℃/分〜60℃/分である、請求項15又は請求項16に記載の宝飾品の製造方法。
  18. 前記放電プラズマ焼結が、5MPa〜80MPaの圧力下で行われる、請求項14〜請求項17のいずれか1項に記載の宝飾品の製造方法。
  19. 前記貴金属が、金、銀、銅、白金、若しくはパラジウム、又は、「金、銀、銅、白金、及びパラジウムからなる群から選択される少なくとも1種を含む合金」である、請求項7〜請求項18のいずれか1項に記載の宝飾品の製造方法。
  20. 前記永久磁石が、サマリウムコバルト磁石、ネオジム磁石、アルニコ磁石、及びフェライト磁石からなる群から選択される少なくとも1種の磁石である、請求項7〜請求項19のいずれか1項に記載の宝飾品の製造方法。
  21. 前記サマリウムコバルト磁石が、SmCo磁石である、請求項20に記載の宝飾品の製造方法。
  22. 前記宝飾品が、10mT以上の最大磁束密度を有する、請求項7〜請求項21のいずれか1項に記載の宝飾品の製造方法。
  23. 前記宝飾品が、磁気健康器具である、請求項7〜請求項22のいずれか1項に記載の宝飾品の製造方法。
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