JP2019067545A - 荷電粒子線装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、パターン形状を適切に反映した画像の生成と、視野内の位置の違いによる精度低下を抑制した測定の両立する荷電粒子線装置及びパターン測定装置について説明する。【解決手段】試料上のパターンのエッジと交差する1ライン以上の走査に基づいて第1の信号波形を生成し、上記1ラインより広い第1の領域に対し、第1の信号波形を生成するための走査線より多くのライン数の走査に基づいて第2の信号波形を生成し、生成された第1の信号波形と第2の信号波形のずれを求め、当該ずれから寸法測定時の補正データを求める荷電粒子線装置を提案する。【選択図】図4

Description

本開示は、荷電粒子線装置に係り、特に異なる走査条件によって得られた複数の信号または画像情報に基づいて、パターン寸法の補正を実行する荷電粒子線装置に関する。
半導体パターンの微細化および3次元構造化に伴い、僅かな形状差がデバイスの動作特性に影響を及ぼすようになり、形状管理のニーズが高まっている。そのため、半導体の検査・計測に用いられる走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)には、高感度、高精度が従来に増して求められるようになっている。一方で、形状の微細化により、パターン間の距離が近づくことで、試料が帯電した際の2次電子への影響が顕在化してきている。また、パターン寸法が小さくなることで、帯電によるパターン寸法の測定誤差の影響が増加している。
特許文献1には、走査線間の間隔を広げることによって、ビーム走査による帯電が緩和する前に、近隣をビーム走査することによる帯電の蓄積を抑制する走査法が開示されている。特許文献2には、2次元補正用のルックアップテーブル(LUT)を用いて走査偏向器に供する走査信号のスキャン座標を補正して、帯電の影響を抑制する走査法が開示されている。
特許第4901196号(対応米国特許USP7,187,345) 特開2008−186682号公報
特許文献1に開示されているように、走査線間の間隔を広げることで局所的な帯電の影響が緩和され、視野内で明るさの偏りのない画像を形成することができる。しかしながら、特許文献1に開示の走査法によれば、視野内に含まれる局所的な帯電の偏りは抑制でき、パターン形状を適切に反映した画像を生成できる反面、視野内で帯電の影響のばらつきが発生する場合がある。より具体的には、ビームの走査領域(視野)の中心だと、周囲も同じ帯電が付着しているため帯電の偏りがないが、視野の端だと、帯電が付着した部分と、帯電がない部分(視野外)に挟まれることになるため、試料の表面方向に電子を偏向する電界が発生し、視野中心部と視野の端部とでは測定精度に差が生じることになる。
特許文献2に開示されているようなLUTを用いて、帯電に起因する変動を補正することも考えられるが、試料の材料特性と、観察条件(走査法、観察倍率、照射電圧、照射電流等)に応じて適切な補正条件は種々変化するため、そのようなデータを予め用意しておくことは困難である。
以下に、パターン形状を適切に反映した画像の生成と、視野内の位置の違いによる精度低下を抑制した測定の両立を目的とする荷電粒子線装置について説明する。
上記目的を達成するための一態様として、荷電粒子源から放出された荷電粒子ビームを走査する走査偏向器と、試料に対する前記荷電粒子ビームの走査に基づいて得られる荷電粒子を検出する検出器と、当該検出器の出力に基づいて信号波形を生成し、当該信号波形を用いて試料上に形成されたパターン寸法を演算する演算装置と、走査偏向器を制御する制御装置を備え、当該演算装置は、制御装置によって試料上のパターンのエッジと交差する第1の部位に、1ライン以上の走査を行うように前記走査偏向器が制御されたときに、検出器によって検出される荷電粒子に基づいて第1の信号波形を生成し、制御装置によって第1の部位を含む当該第1の部位より広い第1の領域に対し、第1の部位を走査したときの走査線より多くのライン数の走査を行うように前記走査偏向器が制御されたときに、前記検出器によって検出される荷電粒子に基づいて第2の信号波形を生成し、生成された第1の信号波形と第2の信号波形のずれを求める荷電粒子線装置を提案する。
走査電子顕微鏡の概要を示す図。 異なる走査法で走査した際の視野内の試料表面の帯電分布を示す図。 ビーム照射位置の変化によって、到達位置が変化する様子を示す図。 1次元走査によって得られる信号波形と2次元走査によって得られる信号波形を照合して、2次元画像上でのビームの到達位置の補正マップを生成する工程を示すフローチャート。 実施例における第1の信号波形と第2の信号波形を示す図。 視野内の位置(座標)とエッジの変動量の関係を示す図。 視野内の位置ごとの補正量を示す補正マップを示す図。 走査電子顕微鏡を含む半導体計測システムの一例を示す図。 SEMの動作条件を設定するためのGUI(Graphical User Interface)画面の一例を示す図。 視野内に設定した第1の信号波形の取得可能領域を示す図。 1次元走査によって得られるエッジ位置情報と、2次元走査によって得られるエッジとの位置関係を示す図。 1次元走査によって得られるエッジ位置と、2次元走査によって得られるエッジをマッチングによって位置合わせした例を示す図。 ホールパターンの径を測定するための計測領域を設定した例を示す図。
以下に説明する実施例では、高精度にパターンの計測を実行する演算装置を備えた荷電粒子線装置を説明する。また、以下に説明する荷電粒子線装置は、コンピュータプロセッサと、非一時的なコンピューター可読媒体とを備えた制御装置によって制御される。非一時的なコンピューター可読媒体は、コンピュータプロセッサによって実行されると、システムコントローラに所定の処理を実行させるコンピューター命令で符号化され、後述するような処理工程に沿って、荷電粒子線装置の制御や、画像処理を実行する。
電子線走査により、パターンエッジ等に局所的な帯電がつくことで像歪みや異常コントラストが発生する。本現象の解消には、走査間隔を広げる等の走査法の変更が有効であるが、走査法により視野(Field Of View:FOV)内に形成される帯電分布が変化し、FOV内で不均一な倍率変動が発生する。不均一な倍率変動により、走査法と観察対象のFOV内位置によって測長値がばらつき、画像視認性改善と安定測長との両立が困難となる場合がある。
以下に、複数の走査法間での寸法値を補正し、視認性と安定測長の2つの両立を可能とする荷電粒子線装置、及びパターン測定装置を説明する。
以下に説明する実施例では、例えば、荷電粒子源から放出された荷電粒子ビームを走査する荷電粒子ビーム偏向器と、試料に対する前記荷電粒子ビームの走査に基づいて得られる荷電粒子を検出する検出器と、当該検出器の出力に基づいて信号波形を生成し、当該信号波形を用いて前記試料上に形成されたパターン寸法を演算する演算装置を備えた荷電粒子線装置であって、観察対象上で1ライン乃至数ラインの走査を試料表面のX,Y方向に対して実施し、第一の信号波形を予め取得し、その後に任意の走査法で取得した第二の信号波形と照合させることで視野内の各位置で2つの波形間のずれを抽出し、波形間のずれ量に応じて波形または画像を補正する荷電粒子線装置を説明する。
更に、荷電粒子線装置によって得られる検出信号に基づいて信号波形を生成し、当該信号波形を用いて前記試料上に形成されたパターン寸法を演算する演算装置を備えたパターン測定装置であって、第一の信号波形と第二の信号波形とを照合させることで、視野内の各位置で2つの波形間のずれを抽出し、波形間のずれ量に応じて波形または画像を補正するパターン測定装置を説明する。
上記構成によれば、走査法の変更による視認性改善と安定測長の両立が可能となり、高精度なパターン測定やパターン識別等を行うことが可能となる。
半導体デバイスの微細パターンを高精度に計測・検査する装置として、走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope)のニーズが高まっている。走査電子顕微鏡は、試料から放出された電子等を検出する装置であり、このような電子を検出することによって信号波形を生成し、例えばピーク(パターンエッジ)間の寸法を測定する。
試料から放出される電子の中で、エネルギーの低い2次電子は試料の帯電の影響を受け易い。近年のパターンの微細化やlow−kなどの低誘電率材料の使用によって、帯電の影響が顕在化している。例えば測定対象パターンの周囲に誘電体がある場合には、電子ビームの走査によって帯電が発生し、信号波形形状を変化させてしまうことがある。即ち、帯電を原因とする信号波形の変形によって、高精度な測定が困難となる場合がある。
また、低エネルギーの電子ビームは、試料帯電によってその軌道が偏向され、所望の位置にビームを到達させることが困難となる場合がある。このため、近年の微細パターン計測においては、照射点近傍の局所的な帯電の影響が顕在化することから、帯電の顕著な試料においては、局所的な帯電を抑制する走査方法が用いられるようになりつつある。方法としては、1ライン上を繰り返し走査して画像を形成する方法や、走査線の間隔を広げる走査等がある。先端デバイスで観察が困難になりつつあるパターンにおいても、上記の走査によって観察箇所の信号量が増加し、視認性が改善する場合がある。
一方で、上記の走査法を用いた際に、視野内に形成される帯電分布が変化することで、1次電子の試料上での偏向量が変化し、寸法がばらつくといった課題がある。以下に説明する実施例では、帯電の影響の少ない1ライン乃至は数ライン走査の信号波形を元に、2次元走査した際の寸法値を補正することを特徴とする荷電粒子線装置、あるいはパターン測定装置を説明する。
具体的には、例えば荷電粒子源と、当該荷電粒子源から放出された荷電粒子ビームを試料に走査する偏向器と、前記試料に対する荷電粒子ビームの走査によって放出される2次電子を検出する検出器と、前記試料に対する荷電粒子ビームの走査によって得られる信号を記憶する画像メモリと、荷電粒子ビームの照射に基づいて、試料上に形成されたパターン寸法を測定する演算装置を備えたパターン測定装置であって、観察対象上で1ライン乃至数ラインの走査を試料表面のX,Y方向に対して実施し、第一の信号波形を予め取得し、その後に任意の走査法で取得した第二の信号波形と照合させることで視野内の各位置で2つの波形間のずれを抽出し、波形間のずれ量に応じて波形または画像を補正することを特徴とする荷電粒子線装置を説明する。このような構成によれば、任意の走査法を用いた場合でも、第一の信号波形の情報を元に寸法を補正することで、局所帯電抑制による視認性の改善と、安定した寸法測長の両立が可能となる。
以下に説明する実施例では主に、2次元の走査を行った際に形成される視野内の帯電差による寸法変化を抽出する方法とそれを補正する方法に関して説明する。図1に荷電粒子線装置の一種である走査型電子顕微鏡の概略図を示す。
電子銃1で発生した電子線2(電子ビーム)をコンデンサレンズ3で収束させ、最後に対物レンズ5で試料6上に収束させる。偏向器4(走査偏向器)で電子線2を試料の電子線走査領域の上を走査させる。1次電子を2次元的に走査し、照射によって試料内で励起され、試料から放出される2次電子および後方散乱電子7を検出器8で検出し、電子の信号を画像に変換することで、試料の観測・計測を行う。
試料を2次元走査することによって得られる画像は、図示しない表示装置に表示され、更にこの表示装置には後述する補正法によって補正された寸法値が併せて表示される。
また、図1の走査電子顕微鏡は、図示しない制御装置を備えており、電子顕微鏡の各光学素子の制御を行う。また、試料6を載置するための試料ステージには図示しない負電圧印加電源が接続されており、制御装置は当該負電圧印加電源を制御することによって、電子ビームの試料への到達エネルギーをコントロールする。また、これに限られることはなく、電子ビームを加速するための加速電極と電子源との間に接続される加速電源を制御することによって、電子ビームの試料への到達エネルギーをコントロールするようにしても良い。また、図1に例示するSEMは、画素ごとに検出信号を記憶する画像メモリを備えており、検出信号は当該画像メモリに記憶される。
更に、図1に例示する走査電子顕微鏡には、図示しない演算装置が備えられている。演算装置は、画像メモリに記憶された画像データに基づいて、パターンの寸法測定を実行する。より具体的には、画素毎に記憶された輝度情報に基づいて、プロファイル波形を形成し、当該プロファイル波形の1のピークと他のピーク、或いは1のピークと当該ピークの開始点との間の間隔情報に基づいて、パターンの寸法測定を実行する。
試料が誘電体である場合、SEM観察中の走査領域(視野:FOV)内には2次元の帯電分布が形成される。SEMで主に検出している電子は、放出量が多く、エネルギーの小さい(〜数eV)2次電子であるため、表面に形成されるわずかな帯電の影響を受け易い。このため、帯電する試料のSEM観察では、照射時にどのような帯電分布が形成されているかによって得られる画像が変化する。また、試料に照射される1次電子も視野内の帯電によって偏向され、到達位置が変化する。表面の帯電分布を決定するパラメータとして、2次電子の放出量を左右する1次電子のエネルギー、電流量、電子線の走査順序および走査速度などがある他、装置側が同じ条件であっても材料特性や形状の差によって帯電が変化する。
図2に2種類の異なる走査法で走査した際の、試料上の帯電分布を示す。走査AはTV走査で走査した際の電位分布で、走査BはTV走査のY方向の走査線の間隔を広げた走査で得られる電位分布を示したものである。視野の左上が走査開始点であり、視野右下が走査の終了点である。走査Aでは、直前に走査した領域が正帯電しており、それまでに走査した領域は弱い負帯電となっている。
一方、走査Bでは、走査線の間隔を広げることにより、視野内の広い範囲に正帯電が分布しており、走査法の違いによって帯電分布が異なることがわかる。例えば走査Bは、最初に複数走査線分の間隔を空けて第1の走査線と第2の走査線の走査を行った上で、既走査線の中心に次の走査線の走査を行う処理を繰り返す走査方式を採用する。このような走査法によれば、ビーム走査による帯電の緩和が十分出ない状態で、その近傍にビームが走査されることによる帯電の偏りを抑制することができる。
この時、各走査法で1次電子の到達位置を評価した結果を図3に示す。図3は、視野内の照射位置と1次電子の到達位置ずれ量を示す。走査Aでは、視野内の全領域で、帯電等がなければ本来電子ビームが到達する到達位置と実際の到達位置がほぼ一致するのに対し、走査Bでは、視野の外側程、本来の到達位置と実際の到達位置との間のずれ量が増加することが分かる。これは、走査Bでは視野内に面として帯電が形成されることで、視野直上のより高い位置まで電界分布が変化し、1次電子の偏向量が大きくなるためである。
また、走査Bの1次電子到達ずれ量から分かるように、ずれ量は視野内で一定でなく、視野の外側程大きくなり、測定パターンが視野のどこに位置するかによって、寸法のばらつき量が異なる。このため、視野内の座標と対応した寸法補正が必要である。
図4に本実施例の寸法補正フローを示す。図5に示すように測定対象に対して、X方向およびY方向に1ライン乃至数ラインの走査を行い、第1の信号波形を取得する。
信号波形のS/Nが低い際は、ライン数を増やしても良い。また、対象がレジストなど荷電粒子照射によってシュリンク等のダメージが発生する際には、照射ライン数を減らしても良い。これは、図2および図3の走査Aの帯電分布と1次電子到達ずれ量から分かるように、狭い範囲に帯電が形成されたとしても1次電子への影響は小さいため、この第1の信号波形を基準波形とする。
なお、第一の信号波形は後述するように、第二の信号波形を補正するための基準となるため、少なくとも走査領域内にパターンのエッジ(プロファイル波形のピーク)が含まれ、第二の信号波形との相対的な位置関係が判断できる領域から取得する。そのため、試料上のパターンのエッジに交差する部位(第1の部位)に沿ってビームを走査する。
図10は、視野(走査領域)1001内に設定したX方向(第1の方向)基準波形取得領域1002、Y方向(第2の方向)基準波形取得領域1004を示す図である。上述したように、パターンが無い部分を走査しても基準となるピークを含む波形を得ることができないので、ホールパターン1006のエッジを含むように基準波形取得線、或いは基準波形取得領域(基準波形取得可能領域)を設定し、その中でX方向走査線1003とY方向走査線1005の走査を実行する。また、走査領域が面になると、上述のように帯電量が大きくなり、偏向作用が発生するため、線と見做せる程度の走査(1〜数本の走査線)に基づいて、基準波形を生成する。例えば、8フレームの積算画像を生成する場合、基準波形のための走査線数(積算数)も8本とすると、基準波形と後述する画像信号の積算数が同じになるため、高精度な比較判定を行うことが可能となる。
次に、任意の走査法で2次元走査を行い、画像を取得する。得られた画像から、第一の信号波形と同じ場所の信号波形(第二の信号波形)を抽出する。制御装置は、ビームが1次元走査の走査部位を含む、当該走査部位より広い面領域にビームが走査されるように、走査偏向器を制御する。
次に2つの波形を照合し、パターンエッジのピーク等の波形の特徴位置の比較から、図6に示すような1次電子の到達位置ずれ量をX、Yの視野内座標に対して求める。ここでは、X方向、Y方向それぞれ1次元のずれ量であるため、面内の2次元ずれ量は[数1]を用いて求める(図7)。ここでΔdxは位置xでの1次電子到達ずれ量、Δdyは位置yでの1次電子到達ずれ量を表す。以上より、2次元の寸法補正テーブル(または補正式)のような補正データを求め、各座標の寸法値に対して、補正を行う。
Figure 2019067545
補正は、得られた画像に対して実施、あるいは寸法値に対して実施しても良い。もしくは、ルックアップテーブルに反映することも可能である。測定対象および、観察条件(走査法、観察倍率、照射電圧、照射電流)が同一である場合は、寸法変動は同一であるとみなし、同じ補正テーブル(もしくは補正式)を適用しても良い。
図11は、1次元走査より多くの走査線(例えば512本)を走査する2次元走査によって得られたホールパターン1006と、帯電による偏向作用を受けていないビームの走査によって得られるパターン1101の画像上での位置関係を示す図である。
まず、X方向走査線1003上でのビームの1次元走査によって、得られた信号波形のピーク検出に基づいて、エッジ点(左)1102と、エッジ点(右)1104の視野内におけるx座標情報を検出する。上述のように1次元走査では帯電が面として付着せず、帯電によってビームが偏向される可能性は低い。よって、本来のビームの到達位置と実際のビームの到達位置が一致していると判断できるため、エッジ点(左)1102とエッジ点(右)1104のy座標は、視野内のX方向走査線のy座標と同じと定義できる。これにより、エッジ点の座標(エッジ点(左)1102の場合、(x,y))を特定する。エッジ点(上)1103、エッジ点(下)1105についても上述のような1次元走査に基づいて、エッジ点座標を特定する。エッジ点(上)1103、エッジ点(下)1105については、Y方向走査線1005上でのビーム走査によって得られる信号に基づいてエッジ座標を特定する。
次に視野内の2次元走査を行うことによって、ホールパターン1006の画像を生成する。そして、ホールパターン1006の画像、或いはホールパターン1006のエッジ部分の細線化処理によって得られる輪郭線と、4点のエッジ点との間でマッチング処理を行い、位置合わせを行う。位置合わせ処理は例えば、4点のエッジ点と、ホールパターン1006のエッジ或いは輪郭線が最も近接するように、エッジ点とホールパターンの少なくとも一方を移動させる画像処理によって実行する。具体的には各エッジ点とホールパターンとのずれの加算値が最小となるように、位置合わせを実行する。この際の移動量(Δx,Δy)を所定の記憶媒体に記憶させる。
図12は、エッジ点とホールパターン画像間で位置合わせ処理を行った後の画像例を示す図である。帯電の影響によって、パターンの位置の変動だけではなく、変形が発生し、1次元走査によって得られたエッジ点の位置と、2次元走査によって得られた円形パターンのエッジの位置が異なっている。そこで、エッジ点(左)1102と同じx軸上にあるホールパターンのエッジ点1201と、エッジ点(左)1102との差分を演算することによって、変形に由来するずれを算出する。エッジ点(左)1102とエッジ点1201との差分は、例えば、1次元走査によって得られた第一の信号波形(ピーク波形1202)と、ホールパターン1006のエッジ点(左)1102の対応点であるエッジ点1201にて取得される輝度信号波形(ピーク波形1203)との間の波形マッチングによって算出する。ピーク波形1203は、エッジ点(左)1102と同じx軸1203上で取得する。
波形マッチングによって得られた差分Δxwmと、マッチング処理によって得られた移動量(Δx,Δy)との加算値(Δx+Δxwm,Δy)が、エッジ点1201の本来の位置からのずれ量となる。よって、視野内座標(x+Δx+Δxwm,y+Δy)の補正値として、(−(Δx+Δxwm),−Δy)を登録する。
以上のような処理を、他のエッジ点についても行うことによって、複数の位置の補正量を算出する。また、他のパターンについても行うことによって、視野内の各位置における補正量を算出する。更に、視野内の他の位置の補正量は、算出済みの補正量から、内挿法等を用いて補間して求めるようにしても良い。また、座標をパラメータとする演算式やテーブルを予め作成しておき、2次元画像の座標情報を入力することによって、2次元画像中の座標位置を補正するようにしても良い。
なお、上述の補正値の算出法は一例に過ぎず、パターンの位置ずれや変形の状態に応じて適切な算出法を採用するようにしても良い。
更に、パターン寸法を測定する場合には、図13に例示するようにホールパターン1006の2次元画像に自動的に計測領域1301、1302を設定するようなプログラムを予め所定の記憶媒体に記憶させておき、演算処理装置によって画像取得後、計測領域1301、1302内の輝度プロファイルの取得に基づいて、寸法値Dを演算する。その上で、計測領域1301、1302内に設定された補正情報に基づいて寸法値Dを補正し、寸法値D´を求める。例えば計測領域1301の補正量がΔdx1、計測領域1302の補正量がΔdx2である場合、D´=D−Δd1−Δdx2によって、帯電の影響のない真の寸法値を算出する。
以上のように、2次元画像内の各位置について、帯電に由来するビームの到達位置の変動量分を補正して測定結果等を出力することにより、視野内における明るさの偏りがない2次元画像の生成と、高精度なパターン測定の両立を実現することが可能となる。
<設計データとの連携>
走査電子顕微鏡の制御装置は、走査電子顕微鏡の各構成を制御すると共に、検出された電子に基づいて画像を形成する機能や、検出電子の強度分布に基づいて、テーパやラウンドなど特徴点を導出する機能を備えている。図8に演算処理装置803を備えたパターン測定システムの一例を示す。
本システムには、SEM本体801、当該SEM本体の制御装置802、及び演算処理装置803からなる走査電子顕微鏡システムが含まれている。演算処理装置803には、制御装置802に所定の制御信号を供給、及びSEM本体801にて得られた信号の信号処理を実行する演算処理部804と、得された画像情報や、レシピ情報を記憶するメモリ805が内蔵されている。なお、本実施例では、制御装置802と演算処理装置802が別体のものとして説明するが一体型の制御装置であっても良い。
偏向器806によるビーム走査によって、試料から放出された電子、或いは変換電極にて発生した電子は、検出器807にて捕捉され、制御装置802に内蔵されたA/D変換器でデジタル信号に変換される。演算処理装置803に内蔵されるCPU、ASIC、FPGA等の画像処理ハードウェアによって、目的に応じた画像処理が行われる。
演算処理部804には、入力装置813によって入力された測定条件等に基づいて、偏向器806の走査条件等の測定条件を設定する測定条件設定部808、入力装置813によって入力されたROI(Region Of Interest)内のプロファイルを得られた画像データから求める画像特徴量演算部1009が内蔵されている。また、演算処理部804には、入力装置813によって入力された条件によって、設計データ記憶媒体18012から設計データを読み出し、必要に応じて、ベクトルデータからレイアウトデータに変換する設計データ抽出部810が内蔵されている。また、取得された信号波形に基づいて、パターンのテーパ、ラウンド寸法を測定するパターン測定部811が内蔵されている。パターン測定部811では、画像特徴量演算部809で求めた第一の波形と第二の波形に対して、照合を行い、視野内座標に対する位置ずれ量を求める。更に演算処理装置803とネットワークを経由して接続されている入力装置813に設けられた表示装置には、操作者に対して画像や検査結果等を表示するGUIが表示される。例えば、画像データや設計データとともに補正マップとして表示することも可能である。
図9は、SEMの動作条件を設定するためのGUI画面の一例を示す図である。視野に含まれるパターン情報に対して、第一の信号波形を取得する箇所を操作者が任意に指定可能である。信号波形取得箇所の指定は、予め取得した画像(或いはレイアウトデータ)上で行う。画像上902の任意の2次元領域をマウス等で指定することによって設定する。作成した補正テーブル(マップ、補正式)は名前をつけて保存可能であり、異なる箇所の同一パターンを計測する際に呼び出して使用することも可能である。
1 電子源
2 電子線
3 コンデンサレンズ
4 偏向器
5 対物レンズ
6 試料
7 2次電子
8 検出器
801 SEM本体
802 制御装置
803 演算処理装置
804 演算処理部
805 メモリ
806 偏向器
807 検出器
808 測定条件設定部
809 画像特徴量演算部
810 設計データ抽出部
811 パターン測定部
812 設計データ記憶媒体
813 入力装置
901 観察条件設定ウィンドウ
902 ROI指定領域

Claims (9)

  1. 荷電粒子源から放出された荷電粒子ビームを走査する走査偏向器と、試料に対する前記荷電粒子ビームの走査に基づいて得られる荷電粒子を検出する検出器と、当該検出器の出力に基づいて信号波形を生成し、当該信号波形を用いて前記試料上に形成されたパターン寸法を演算する演算装置と、前記走査偏向器を制御する制御装置を備え、
    前記演算装置は、
    前記制御装置によって前記試料上のパターンのエッジと交差する第1の部位に、1ライン以上の走査を行うように前記走査偏向器が制御されたときに、前記検出器によって検出される荷電粒子に基づいて第1の信号波形を生成し、
    前記制御装置によって前記第1の部位を含む当該第1の部位より広い第1の領域に対し、前記第1の部位を走査したときの走査線より多くのライン数の走査を行うように前記走査偏向器が制御されたときに、前記検出器によって検出される荷電粒子に基づいて第2の信号波形を生成し、
    前記生成された第1の信号波形と第2の信号波形のずれを求めることを特徴とする荷電粒子線装置。
  2. 請求項1において、
    前記演算装置は、
    前記制御装置によって、第1の方向に前記荷電粒子ビームを走査するように前記走査偏向器が制御されたときに、前記検出器によって検出される荷電粒子に基づいて前記第1の信号波形を生成し、
    前記制御装置によって、前記第1の方向とは異なる第2の方向に前記荷電粒子ビームを走査するように前記走査偏向器が制御されたときに、前記検出器によって検出される荷電粒子に基づいて異なる第1の信号波形を生成することを特徴とする荷電粒子線装置。
  3. 請求項1において、
    前記演算装置は、
    前記第1の領域内の異なる複数の位置について、前記第1の波形を生成することを特徴とする荷電粒子線装置。
  4. 請求項3において、
    前記演算装置は、
    前記複数の位置における前記第1の信号波形と前記第2の信号波形のずれを求めることを特徴とする荷電粒子線装置。
  5. 請求項4において、
    前記演算装置は、
    当該複数のずれに基づいて、前記荷電粒子ビームの照射位置のずれを補正する補正データを生成することを特徴とする荷電粒子線装置。
  6. 請求項5において、
    前記演算装置は、
    前記制御装置によって前記第1の領域に、前記荷電粒子ビームを走査するように前記走査偏向器が制御されたときに、前記検出器によって検出される荷電粒子に基づいて、前記第1の領域に含まれるパターンの寸法を測定し、当該測定結果を、前記補正テーブル、或いは補正式を用いて補正することを特徴とする荷電粒子線装置。
  7. 請求項5において、
    前記制御装置は、
    前記補正テーブル、或いは補正式によって補正されたビーム照射位置に前記荷電粒子ビームを照射するように、前記走査偏向器を制御することを特徴とする荷電粒子線装置。
  8. 請求項1において、
    前記第1の領域に対するビーム走査によって得られる荷電粒子の検出に基づいて、前記第1の領域の画像を表示する表示装置を備え、
    前記演算装置は、前記第1の領域の画像と、前記第1の信号波形と前記第2の信号波形とのずれに応じて補正された前記第1の領域内のパターンの寸法値を表示することを特徴とする荷電粒子線装置。
  9. コンピューターに荷電粒子線装置によって取得された測定用信号波形に基づいて、測定対象であるパターンの寸法を測定させるコンピューターによって読み出し可能なコンピュータープログラムを記憶した記憶媒体において、
    前記プログラムは、前記コンピューターに、前記パターンが形成された試料上の複数の位置で、1ライン以上の走査を行うことによって得られた複数の第1の信号波形と、前記複数の位置を含む領域に対するビーム走査によって得られる画像データとを取得させ、前記複数の位置における前記第1の信号波形の取得位置と、前記画像データ上の前記第1の信号波形の取得位置に対応する対応位置との間のずれを、前記第1の信号波形と前記画像データから抽出される第2の信号波形データを比較することによって求めさせ、前記複数の位置における前記ずれから、前記測定用信号波形を用いた測定値の補正データを生成させることを特徴とするコンピューターによって読み出し可能なコンピュータープログラムを記憶した記憶媒体。
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