JP2019066384A - 気流測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】測定対象や測定場所が限定されず、かつ、リアルタイムでの気流測定を行うことも可能な気流可視化装置を提供する。【解決手段】物体10の表面10aの微小時間での温度変化量を算出するとともに、温度変化量を可視化する。物体10の表面10aでの気流を可視化できることから、物体10を加熱する必要がないし、屋外などにおいても測定が可能になるため測定場所の制限もない。また、リアルタイムでの気流測定も可能となる。したがって、測定対象や測定場所が限定されず、かつ、リアルタイムでの気流測定を行うことが可能な気流可視化装置を提供することが可能となる。【選択図】図1

Description

本発明は、物体表面の気流を測定可能とする気流測定装置に関するものであり、例えば、物体表面の気流を可視化することによって測定可能とする気流可視化装置などに適用すると好適である。
従来、特許文献1において、気流測定装置として、物体表面の気流を可視化できる可視化装置が提案されている。この装置では、気流の可視化を行いたい物体を加熱したのち、風による加熱物体の温度変化を計測することによって、気流の可視化を行っている。具体的には、この装置は、加熱物体に対して風の当たり方が大きい場所ほど物体表面の温度が低下することに基づき、サーモビューアを用いて加熱物体の温度分布を計測し、温度分布から加熱物体への気流の可視化を行っている。
特開昭63−27766号公報
しかしながら、上記した特許文献1の可視化装置は、物体を加熱しないと物体への風量の可視化を行うことができない。このため、加熱できる対象、場所であることが必要となり、例えば人体を測定対象とすることはできないし、加熱装置を配置できない屋外などを測定場所にすることができず、測定対象や測定場所が限定される。また、長い時間の温度変化を利用するため、リアルタイムでの気流測定を行うことが難しい。
本発明は上記点に鑑みて、測定対象や測定場所が限定されず、かつ、リアルタイムでの気流測定を行うことも可能な気流測定装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、物体(10)の表面(10a)における測定を行う気流測定装置であって、表面の放射光のデータとして、表面の測定データを所定のフレームレートで取得するカメラ(1)と、カメラが取得した測定データに基づいて、各フレームの画素毎もしくは複数画素毎の基準温度と温度変化時の温度との差分である温度変化量(ΔT)を計算する変化量計算部(2、S110、S120)と、変化量計算部で計算された温度変化量の大きさに応じて、基準温度と温度変化時の温度との差分データを利用し温度変化量の時間変化データを作成する測定データ作成部(2、S130)と、を有し、測定データ作成部が作成した時間変化データの計算を行う。
このように、物体の表面の測定データに基づいて、各フレームの画素毎もしくは複数画素毎の基準温度と温度変化時の温度との差分である温度変化量、つまり物体の表面の微小時間での温度変化量を算出し、温度変化量を測定している。このようにして、物体の表面での気流を測定できることから、物体を加熱する必要がないし、屋外などにおいても測定が可能になるため測定場所の制限もない。また、リアルタイムでの気流測定も可能となる。したがって、測定対象や測定場所が限定されず、かつ、リアルタイムでの気流測定を行うことが可能な気流測定装置とすることができる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係の一例を示すものである。
第1実施形態にかかる気流可視化装置のブロック構成を示す図である。 気流可視化装置に備えられるカメラの仕様を示した図表である。 環境温度と温度分解能(NETD:Noise Equivalent Temperature Difference)との関係を示した図表である。 気流可視化装置のコンピュータが実行する処理のフローチャートである。 物体表面の気流に乱れが生じたときの様子を示した図である。 気流に乱れによって物体表面の温度変化が生じたときの様子を示した図である。 物体表面の気流が再び安定したときの様子を示した図である。 図4A〜図4Cの過程における物体の表面の温度の変化を示した図である。 物体表面の温度と、瞬間的な物体表面の温度の差分の変化の様子を示した図である。 連続するフレーム間において移動する領域の方向と速度の推定手法を説明する図である。 フレーム内移動距離と物体表面での気流の風量の関係を示した図である。 温度変化量を可視化した画像データと共に、気流ベクトルを矢印で示したときの様子を示した図である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
(第1実施形態)
本実施形態にかかる気流可視化装置について説明する。本実施形態の気流可視化装置は、物体表面における気流の可視化を行うものであり、例えば、図1に示すシステム構成とされる。
図1に示すように、気流可視化装置は、カメラ1とコンピュータ2および表示器3を有した構成とされている。
カメラ1は、例えば赤外線カメラによって構成されている。カメラ1は、例えば1画素を最小単位として、各画素の画像を入力し、その映像信号、つまり測定データとなる画像データをコンピュータ2に対して伝える。
カメラ1の仕様については任意であるが、ここでは、例えば図2Aに示す仕様の赤外線カメラを用いている。具体的には、検知器がInSb、画素数が640×512、画素ピッチが20μm、検知波長帯域は2.95−4.97μm、F値つまりカメラ1のレンズの大きさがf/2.3、使用温度が77K、フレームレートが60Hzの量子型冷却赤外線カメラを用いて、4フレーム分の平均化処理を行うことで15Hzで表示している。他にもゼーベック効果を利用したサーモパイルや抵抗変化を利用したボロメータ式、焦電効果を利用した焦電式等のいわゆる非冷却型赤外線カメラを用いても問題はない。
また、微小な温度変動を検出するには、物体10の温度とカメラ1のNETD、つまりどの程度の温度差までを識別可能かが重要となる。本実施形態では、カメラ1として、物体10の周囲の環境温度とNETDとの関係は図2Bに示す関係となるものを用いている。
コンピュータ2は、カメラ1から入力される画像データに基づいて画像処理を行って、気流を可視化したデータを作成する役割を果たす。また、コンピュータ2は、作成後の画像データから気流の風量および向きに相当する気流ベクトルの計算を行い、作成後の画像データや気流ベクトルの計算結果を表示器3に伝える役割を果たす。このコンピュータ2の具体的な動作については後述する。
表示器3は、画像表示部を構成するものであり、コンピュータ2から伝えられる画像データおよび気流ベクトルの計算結果を画像として表示する。これにより、物体表面の微小時間での温度変化量を画像として表すことができるとともに、その画像中に、気流ベクトルを示すことが可能となる。
以上のようにして、本実施形態にかかる気流可視化装置が構成されている。続いて、上記のように構成される気流可視化装置の動作について、図3に示すコンピュータ2が実行する処理のフローチャートを参照して説明する。
気流可視化装置では、カメラ1にて物体10の表面10aの画像を撮影することで、表面10aの画像データを取得し、それをコンピュータ2に入力することによってコンピュータ2で各種処理を行わせ、その処理結果を表示器3に表示するという動作を行う。
コンピュータ2は、画像データが入力されると、その画像データに基づいて、画像処理を行うことで気流を可視化したデータを作成する。画像データは、物体10の表面10aの放射光のデータである。表面10aの放射光は、表面10aの温度に応じて出力されていることから、画像データ、つまり放射光のデータを処理することで表面10aの気流を可視化することができる。また、コンピュータ2は、作成後の画像データのオプティカルフロー解析を行うことで気流ベクトルの計算を行う。そして、コンピュータ2は、作成後の画像データや気流ベクトルの計算結果を表示器3に伝える。
具体的には、コンピュータ2は、図3のフローチャートに示す処理を実行することにより、上記動作を行っている。
まず、図3のステップS100に示すように、コンピュータ2は、カメラ1からの画像データとして、赤外画像を入力する。次に、ステップS110に進み、入力された各画像のフレームにおける平均温度計算を行う。この平均温度計算では、複数フレームでの画素毎の温度の平均値を計算する。続いて、ステップS120において、可視化のために、ステップS110での平均温度計算の結果に基づいて、微小時間での基準温度に対する温度変化量ΔTの計算を行う。さらに、ステップS130において、微小時間での基準温度に対する温度変化量ΔTの計算結果に基づく可視化のための画像データの作成を行うと共に、ステップS140において、気流ベクトルの計算としてオプティカルフロー解析を行う。そして、ステップS150において、ステップS130で得た画像データとステップS140での気流ベクトルの計算結果を表示器3に伝えることで、表示器3による表示により、物体表面の微小時間での温度変化量や気流ベクトルの可視化を行う。
具体的には、ステップS110では、平均温度計算として、狭時間での計算とそれよりも時間的に長いワイド時間での計算とを行っている。狭時間での平均温度計算では、所定の短時間に相当する第1所定数分のフレーム、例えば4フレームでの画素毎の温度の移動平均値を計算している。この狭時間での平均温度計算により、微小時間での変動後の温度が計算される。また、ワイド時間での平均温度計算では、狭時間よりも長いワイド時間に相当する第2所定数、つまり第1所定数よりも多い数分のフレーム、例えば80フレームでの画素毎の温度の移動平均値を計算している。このワイド時間での平均温度計算により、基準温度が計算される。このようなワイド時間での平均温度計算を行うことで、外乱要因による温度変動を平均化し、微小温度変化を抽出しやすくする時間変動温度平均を求めることができる。
物体表面の温度は、図4A〜図4Cに示すようなメカニズムによって変化する。
まず、図4Aに示すように、物体10には、気流として層流11が物体10の表面10aに沿って流れている。そして、層流11と物体10との間の境界位置には、安定層となっている境界層12が形成されている。境界層12は、例えば物体10の表面10aに無数に点在する渦流12aによって敷き詰められた状態となっている。
しかしながら、層流11は、物体10の表面10aに沿って流れているものの、その流れの向きは必ずしも一定ではない。このため、図4A中に示したように、層流11から境界層12に向かう外乱13が発生し得る。この外乱13に基づく層流11の乱れにより、図4Bに示すように、境界層12の一部の渦流12aが剥がれる。そして、この渦流12aが剥がれた領域において、表面10aの温度が変化し、表面10aのうちの他の領域よりも温度が低下する。
続いて、図4Cに示すように、再び境界層12が安定して、渦流12aによって敷き詰められた状態に戻る。
これらの状態における温度変化は、図5のように表される。すなわち、図4A〜図4Cそれぞれのときを状態(1)〜(3)とすると、図5に示すように、状態(1)のときは温度がほぼ一定、状態(2)のときは温度が低下、状態(3)のときは温度が再び状態(1)まで上昇する。このときの温度変化が生じた時間は例えば数secという微小時間であり、温度変化量はΔTで表すことができる。
このように、物体10の表面10aの微小時間での温度変化が気流の変化を示していることから、ステップS120において、温度変化量ΔTを求めることにより、気流の変化を求めている。
ここで、微小時間での温度変化量ΔTは、数secの間に生じた瞬間的な温度変化である。このため、基準温度、換言すれば温度変化前の温度から温度変化時の温度を差し引けば、温度変化量ΔTを計算することができる。例えば、物体表面の温度と温度変動の時間変化は、図6のようなグラフとして表されることから、図6中に示したように、瞬間的な物体表面の温度の差分を算出することができる。そして、基本的には、図中に示したように、瞬間的な物体表面の温度の差分における微笑時間での変化が温度変化量ΔTとなる。しかしながら、カメラ1の画像中においてノイズ的な画像変化が発生した場合等にも温度変化として現れてしまうことがある。また、物体10の表面10aの温度が緩やかに変化することから、その緩やかな温度変化の影響については除外するのが好ましい。
このため、ステップS110では、緩やかな温度変化の影響を除外できるように、基準温度、換言すれば温度変化前の温度として、ワイド時間での温度平均値を平均温度計算で求めている。また、温度変化時の温度として、ノイズ的な画像変化が発生した場合等の精度低下を抑制できるように、狭時間での温度平均値を平均温度計算で求めている。
具体的には、画素毎に、ワイド時間の平均温度計算として、80フレーム分の温度の移動平均値MovingAvg80{T(t)}を計算し、狭時間の平均温度計算として、4フレーム分の温度の移動平均値MovingAvg4{T(t)}を計算している。そして、ステップS120では、次式に示されるように、これらワイド時間の温度平均値と狭時間での温度平均値との差として、温度変化量ΔT(t)を求めている。なお、次式では、さらにMovingAvg80{T(t)}やMovingAvg4{T(t)}を簡素化して、それぞれM80(t)、M4(t)と表した式として用いている。
(数1)
ΔT(t)=MovingAvg80{T(t)}−MovingAvg4{T(t)}
=M80(t)−M4(t)
このようにして、温度変化量ΔTを取得することができるため、ステップS130では、画素毎の平均温度計算の結果から得られる温度変化量ΔTの画像、つまり基準温度と温度変化時の温度との差分データを利用して温度変化量ΔTの時間変化データとなる画像を表す画像データを作成する。例えば、画素毎に、温度変化量ΔTの大きさに合わせて、グレースケールの明暗を変化させ、温度変化量ΔTが大きいほど明るい表示となるような画像データを作成する。
このとき、画像データの作成において、|ΔT(t)|≧X(ただし、Xは任意の値)となる領域については、画像をブラックもしくはホワイトとして表示するようにすると好ましい。これは、ノイズ的に絶対値が大きな値として得られた温度変化量ΔT(t)の除去を行うためであり、特異点の処理の手法である。これにより、画像データに示されるフレーム中のすべての領域において、|ΔT(t)|<Xの範囲での描写が可能になる。
また、上記のように、渦流12aが剥がれた領域は、気流の風量および向き、つまり気流のベクトルに対応して移動させられる。このため、時間変化データとして作成した画像データに基づく計算を行うことで、気流のベクトルを推定できる。具体的には、画素毎の平均温度計算の結果から得られる温度変化量ΔT(t)を入力し、そこからオプティカルフロー解析を行うことで渦流12aが剥がれた領域のフレーム間での移動距離を解析すれば、気流ベクトルを推定することができる。したがって、ステップS140では、気流ベクトルの計算として、オプティカルフロー解析を行っている。
オプティカルフロー解析については、周知となっている様々な手法を適用することができ、例えばオプティカルフロー解析として一般的なLucas-Kanade法を用いることができる。Lucas-Kanade法は、例えば任意のフレームとその次のフレームにおいて、移動する領域の方向と速度を推定する手法である。例えば、図7に示すように、任意のフレームをフレーム1、その次のフレームをフレーム2としたときに、フレーム1において温度変化があった領域R1の重心から、フレーム2において温度変化があった領域R2の重心までの移動距離、つまり移動画素数および向きをトラッキングする。このトラッキングした領域R1と領域R2の重心間の移動距離および向きが気流の風量および向きと対応するベクトルとなる。例えば、領域R1と領域R2の重心間の移動距離と物体表面での気流の風量は、図8のような関係として表され、移動距離が大きくなるほど風量が大きくなるという関係となる。
実際の気流の速度については、1画素当たりの距離を掛け合わせることで演算できる。具体的には、カメラ1で撮像を行った場合、カメラ1から撮像対象までの距離に応じて1フレーム中における撮像対象の範囲が決まる。例えば、1フレーム中における撮影範囲、つまり1フレーム中に映り込んでいる画像の一方向における実際の距離がL1mmであるとする。その場合、図2A中に示したようにカメラ1の左右方向の画素数が640であった場合、L1/640[mm]が1画素当たりの撮影距離となる。このため、1フレーム毎における領域R1と領域R2の重心間の移動距離、つまり移動画素数に対してL1/640[mm]を掛けることにより、気流の速度を求めることができる。
ただし、ここで説明している気流の速度は、フレームの撮像間隔、換言すれば撮像周期分の時間における速度である。フレームの撮像間隔は、フレームレートで表され、図2Aに示すように本実施形態ではフレームレートが15Hzとなっている。このため、気流の速度を秒速として表す場合、上記したL1/640[mm]に対してフレームレートを掛けることになる。
したがって、気流の秒速は、L1が3×640、つまり、1フレーム毎における領域R1と領域R2の重心間の移動量を16画素/フレーム、フレームレートが15Hzである場合、次式のようにして求めることができる。
(数2)
気流の秒速=(1フレーム中における左右の幅mm/1フレーム画素数)×(1フレーム毎の重心間の移動量)×(フレームレート/s)
=3mm/画素×16画素/フレーム×15フレーム/s
=0.7
このようにして、温度変化量ΔTの画像データが作成され、気流ベクトルの計算として、オプティカルフロー解析が行われると、ステップS150において、作成した画像データとオプティカルフロー解析の結果を表示器3に伝える。これにより、表示器3において、温度変化量ΔTの画像データと重ねて、もしくはそれとは別に気流ベクトルが表示されることで、これらの可視化が行われる。例えば、図9に示すように、温度変化量ΔTが明暗によって示されるとともに、気流ベクトルが矢印によって表示されることで可視化が行われる。
以上説明したように、本実施形態の気流可視化装置においては、物体10の表面10aの微小時間での温度変化量ΔTを算出するとともに、温度変化量ΔTを可視化している。このようにして、物体10の表面10aでの気流を可視化できることから、物体10を加熱する必要がないし、屋外などにおいても測定が可能になるため測定場所の制限もない。また、リアルタイムでの気流測定も可能となる。したがって、測定対象や測定場所が限定されず、かつ、リアルタイムでの気流測定を行うことが可能な気流可視化装置を提供することが可能となる。
さらに、矢印表示などによって、気流ベクトルについても可視化することで、気流の風量や向きまで可視化でき、より的確に気流モニタリングを行うことが可能となる。
なお、このような気流可視化装置は、様々な測定対象に対する気流の可視化に適用することが可能であり、特に、従来では気流の可視化を行うことができない中距離、例えば10m〜100mの距離での気流の可視化に利用できる。例えば、適用可能なアプリケーションとしては、建物の室内もしくは車室内における気流可視化によるエアコンの風量や風向の管理、屋外の気流モニタリング、気流や乱流などの可視化による空気抵抗最適化などが挙げられる。
(他の実施形態)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、気流の可視化手法として、微小時間における温度変化量ΔTの大きさに応じてグレースケールの明暗を変化させる手法を適用する場合について説明したが、他の手法を適用することもできる。例えば、温度変化量ΔTの大きに合わせて色彩を変化させるようにしても良い。
また、カメラ1が入力する光の波長を制御することで、特定の気流を可視化することも可能となる。例えば、カメラ1にて赤外画像を入力できるようにしつつ、図1に示すようにフィルタ1aをカメラ1に設置し、画像データのフィルタリング処理を行う。これにより、特定の気流、例えば有毒ガスや二酸化炭素のみを特定して温度を測定することで気流の可視化を行うことも可能となる。有毒ガスの場合、ガスの種類によって抽出する光の波長が変わるため、それに応じてフィルタ1aが通過させる波長を設定することになるが、例えば、二酸化炭素の気流の可視化を行う場合、フィルタ1aを4.26μmおよびその付近の波長のみを通すものとすれば良い。
また、上記実施形態では、気流の可視化として、温度変化量ΔTを可視化するのに加えて、気流ベクトルの可視化も同時に行う例を挙げて説明したが、少なくとも温度変化量ΔTの可視化を行うことで気流の可視化が行える。
また、上記実施形態では、画素毎に温度変化量ΔTや温度変化が生じた領域R1と領域R2との重心の移動画素数の算出などを行っている。しかしながら、これも一例を挙げたに過ぎない。例えば、各フレーム中における隣接する複数画素、例えば2×2の4画素分を1区画として、各区画毎に温度変化量ΔTや領域R1と領域R2との重心の移動区画数、つまり移動距離の算出を行うようにしてもよい。
なお、上記実施形態では、コンピュータ2にて、狭時間やワイド時間での平均温度計算を行う平均計算部、温度変化量ΔTの計算を行う変化量計算部、可視化の画像データを作成する画像データ作成部、気流ベクトルを計算するベクトル計算部を構成した。しかしながら、これは一例を挙げたに過ぎない。例えば、各構成部を異なるコンピュータによって構成してもよい。また、車両では、様々な電子制御装置(以下、ECUという)によって、車両に関する各種制御を行っているが、そのうちの1つもしくは複数のECUによって各構成部を構成してもよい。
また、上記実施形態では、気流測定装置を含むものとして、気流の可視化まで行える気流可視化装置を例に挙げて説明したが、少なくとも物体表面の気流を測定することができる機能を有する気流測定装置であれば良い。
1 カメラ
1a フィルタ
2 コンピュータ
3 表示器
10 物体
10a 表面
11 層流
12 境界層
12a 渦流
13 外乱

Claims (9)

  1. 物体(10)の表面(10a)における気流の測定を行う気流測定装置であって、
    前記表面の放射光のデータとして、前記表面の測定データを所定のフレームレートで取得するカメラ(1)と、
    前記カメラが取得した前記測定データに基づいて、前記各フレームの画素毎もしくは複数画素毎の基準温度と温度変化時の温度との差分である温度変化量(ΔT)を計算する変化量計算部(2、S110、S120)と、
    前記変化量計算部で計算された前記温度変化量の大きさに応じて、前記基準温度と前記温度変化時の温度との差分データを利用して前記温度変化量の時間変化データを作成する測定データ作成部(2、S130)と、を有し、
    前記測定データ作成部が作成した前記時間変化データの計算を行う気流測定装置。
  2. 前記フレームの第1所定数分における前記画素毎もしくは複数画素毎の温度の平均値となる狭時間での温度の平均値を計算するとともに、前記フレームの前記第1所定数よりも多い第2所定数分における前記画素毎もしくは複数画素毎の温度の平均値となるワイド時間での温度の平均値を計算する平均値計算部(2、S110)を有し、
    前記変化量計算部は、前記平均値計算部で計算した前記ワイド時間での温度の平均値から前記狭時間での温度の平均値を差し引いた値を前記温度変化量とする請求項1に記載の気流測定装置。
  3. 前記カメラは、波長が2〜14μmの範囲の光を検知する請求項1または2に記載の気流測定装置。
  4. 前記カメラは、特定波長の光のみを通すフィルタ(1a)を有している請求項1ないし3のいずれか1つに記載の気流測定装置。
  5. 前記測定データ作成部が作成した前記時間変化データに基づき、前記表面のうち前記温度変化があった領域のオプティカルフロー解析を行うことで、前記気流の風量および向きと対応する気流ベクトルを計算するベクトル計算部(2、S140)を有する請求項1ないし4のいずれか1つに記載の気流測定装置。
  6. 請求項1ないし4のいずれか1つに記載の気流測定装置を含み、
    前記測定データを画像として表示する表示部(3)を備え、
    前記表示部にて、前記測定データの画像を表示することで前記気流の可視化を行う気流可視化装置。
  7. 前記測定データ作成部が作成した前記時間変化データに基づき、前記表面のうち前記温度変化があった領域のオプティカルフロー解析を行うことで、前記気流の風量および向きと対応する気流ベクトルを計算するベクトル計算部(2、S140)を有し、
    前記表示部は、前記測定データ作成部が作成した前記時間変化データの表示に加えて、前記ベクトル計算部が計算した前記気流ベクトルを表示する請求項6に記載の気流可視化装置。
  8. 前記ベクトル計算部は、前記各フレームの間における前記領域の移動距離および向きをトラッキングすることにより、前記気流ベクトルを計算する請求項7に記載の気流可視化装置。
  9. 前記各フレームにおける隣接する複数画素を1区画として、該区画ごとに前記領域の移動距離および向きのトラッキングを行って、前記気流ベクトルを計算する請求項8に記載の気流可視化装置。
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