JP2019066006A - スラスト滑り軸受 - Google Patents
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Abstract
Description
このようなストラット型サスペンションは、ピストンロッドおよび油圧式ショックアブソーバーを備えたストラットアセンブリに、コイルスプリングを組み合わせた構造を有しており、ステアリング操作によってストラットアセンブリがコイルスプリングと共に回動するように構成されている。
そして、このようなストラット型サスペンションには、ストラットアセンブリの円滑な回動を許容しつつ、ストラット型サスペンションに加わる荷重を支持するために、通常、車体へのストラットアセンブリの取付機構であるアッパーマウントとコイルスプリングの上端部のばね座との間に、スラスト滑り軸受が配設されている。
そして、このスラスト軸受は、ロアカバーとアッパ・スプリングシートに挟持され、ロアカバーとアッパ・スプリングシートとが、相互に回動可能になっている。
このダストカバーは、リテーナを介してアッパ・スプリングシートに取り付けられているため、ストラット型サスペンションの車体取付部構造が複雑になり、更なる改良の余地があった。
そして、ロワーケースの上方舌片と下方舌片とが、軸心方向で相互に重畳しないようにロワーケースに設けた円筒部の内周面から軸心方向へ突出していることにより、ロワーケース成形時に軸方向に沿って二分可能な上下割金型枠を採用する際にロワーケースの上方舌片と下方舌片とが、軸心方向に沿って相互に重畳配置されていないため、中枠などを必要とすることなく、軸方向に沿って型抜き自在となり、ロワーケースの金型構造を簡素化することができるばかりでなく、ロワーケースを簡便に成形することができることに加え、ロワーケースに設けた円筒部の外周面から下方舌片を突出させてストカバーを組み付ける場合に比べてダストカバーの直径が小さくなるため、ダストカバーが他の部材と接触または干渉して摩耗する可能性を低減できる。
例えば、本発明のスラスト滑り軸受は、ロワーケースに設けた上方舌片と下方舌片との軸心方向に向かって突出している量が異なっていてもよく、具体的には、上方舌片が下方舌片よりも軸心方向に向かって突出してもよい。
まず、図1および図2に基づいて、本発明の第1実施例であるスラスト滑り軸受100の基本構造について説明する。
本発明の第1実施例であるスラスト滑り軸受100は、図2に示すように、環状体を呈するものであって、独立懸架式のサスペンションであるストラット型サスペンション(マクファーソンストラット型サスペンション)を有する車両に取り付けられる。
さらに、スラスト滑り軸受100は、アッパーケース110内に配設されている円環状の摺動シート130と、ロワーケース120に組み付けられている円環状のセンタープレート140とを備えている。
なお、本実施例において、アッパーケース110、ロワーケース120、摺動シート130、センタープレート140のそれぞれの軸心は、図2に示すように、一致している。
すなわち、アッパーケース110の軸心Cは、スラスト滑り軸受100の軸心であり、ロワーケース120、摺動シート130、センタープレート140のそれぞれの軸心でもある。
次に、図3に基づいて、アッパーケースの詳細構造について説明する。
図3は、本発明の第1実施例におけるアッパーケースの断面図であり、詳細には、アッパーケースの軸心Cを通る平面でアッパーケースを切断した際の断面図である。
そして、アッパーケース110は、車両の車体側と当接して組付けられる当接部111と、この当接部111の外周端から下方に向かって延びる外周側の外壁部112と、当接部111の内周端から下方に向かって延びる内周側の内壁部113とを有している。
この当接部111の下面111a、外壁部112の内側面112a、内壁部113の外側面113aにより、アッパーケース側凹部空間114が形成されている。
そして、内壁部113は、外側面113a側に、アッパーケース110の軸心Cから遠ざかる方向に向かって突出するケース側突起113bを有している。
このケース側突起113bは、内壁部113の全周に亘って設けられている。
次に、図4乃至図6に基づいて、ロワーケースの詳細構造について説明する。
図4は、本発明の第1実施例におけるロワーケースの平面図であり、図5は、図4のV−V断面図であり、図6は、図4のVIで示された領域の展開図である。
ロワーケース120は、アッパーケース110の当接部111の下面111aと対向する環状の本体部121と、この本体部121の内周端から下方に向かって延びる円筒部122とを有している。
この上方舌片123と下方舌片124とは、軸心Cの伸びる方向に離間して形成されている。
さらに、上方舌片123と下方舌片124とは、図4に示すように、ロワーケース120の円筒部122の内周面122aに沿って均等にそれぞれ6か所に配設され、アッパーケース110またはダストカバーDが、ロワーケース120に対して片当たりしてもロワーケース120への荷重が均等に分散される。
また、これらの上方舌片123と下方舌片124とは、軸心C方向で相互に重畳しないように、すなわち、図4の上面視で明らかなように、ロワーケース120の円筒部122の内周面122aに沿って交互に配設されている。
これにより、ロワーケース成形時に軸心C方向で上下に二分可能な上下割金型枠(図示せず)を採用する際にロワーケース120の上方舌片123と下方舌片124とは、中枠などを必要とすることなく軸心C方向に沿って型抜き自在となっている。
また、これら6か所の上方舌片123に接して描かれる仮想円SUの直径をΦUとすると、このΦUは、アッパーケース110のケース側突起113bに接して描かれる仮想円S1の直径Φ1(図7参照)より小さい。
これにより、ロワーケース120に設けた上方舌片123および下方舌片124が、ストラット型サスペンションへ荷重がかかった際に、アッパーケース110またはダストカバーDから負荷されがちな偏荷重を上方舌片123および下方舌片124の周方向でそれぞれ均等に分散して支持する。
また、これら6か所の下方舌片124は、ロワーケース120の下方から上方に向けて軸心Cへの距離が短くなっているオーバーハング状のカバー装着用案内面124aと、このカバー装着用案内面124aの上端と連続し略水平に延びる棚状のカバー係止面124bとをそれぞれ有している。
そして、このカバー係止面124bの突出量(すなわち、下方舌片124の軸心Cに向かって突出する突出量)は、上方舌片123の突出量(すなわち、上方舌片123の軸心Cに向かって突出する突出量)よりも長い。
換言すると、図4に示すように、これら6か所の下方舌片124に接して描かれる仮想円SLの直径をΦLとすると、この直径ΦLは、上方舌片123に接して描かれる仮想円SUの直径であるΦUより小さい。
図6に示すように、上方舌片123の周方向端面123aと下方舌片124の周方向端面124cとは、同一直線L1、L2上に形成されている。
すなわち、上方舌片123の周方向端面123aと下方舌片124の周方向端面124cとは、同一の傾斜した直線上に形成されている。
また、図6において、傾斜した直線L1、L2と鉛直方向との成す角は、角度θで共に等しくなっている。
なお、上述した角度θは、ロワーケース120の成形のし易さを考慮して決定される値であり、例えば、本実施例では、3度である。
本実施例のスラスト滑り軸受100で用いる摺動シート130は、軸心C方向の断面形状が平板状に形成されており、PTFE等のフッ素樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂等の摺動特性に優れた熱可塑性合成樹脂で形成されている。
なお、センタープレート140には、必要に応じてPTFE、潤滑油、シリコーン等の潤滑剤が添加される。
次に、図7に基づいて、スラスト滑り軸受の組み立ておよびダストカバーの組み付けについて説明する。
図7は、本発明の第1実施例であるスラスト滑り軸受の断面図であり、詳細には、図4のVII−VII線で切断した際の断面図である。
本実施例のスラスト滑り軸受100の組み立てについて説明する。
まず、ロワーケース120にセンタープレート140を載置し、摺動シート130をアッパーケース110の摺動シート収容溝111bに収容する。
次いで、このようにセンタープレート140をロワーケース120に載置した状態で、アッパーケース110の内壁部113を上方から環状のロワーケース120の中空領域125に嵌挿する。
そして、このように嵌挿すると、アッパーケース110のケース側突起113bに接して描かれる仮想円S1(図示せず)の直径Φ1が、ロワーケース120の上方舌片123に接して描かれる仮想円SU(図示せず)の直径ΦUより大きいため、アッパーケース110のケース側突起113bとロワーケース120の上方舌片123とが当接する。
このとき、アッパーケース110が合成樹脂製であるため、アッパーケース110の内壁部113が、ロワーケース120の上方舌片123からの押圧により軸心C方向に、すなわち、仮想円S1を縮径させる方向に撓む。
これにより、アッパーケース110のケース側突起113bが、ロワーケース120の上方舌片123を乗り越えて組み込まれ、アッパーケース110のケース側突起113bとロワーケース120の上方舌片123とが係合する。
すなわち、アッパーケース110とロワーケース120とが、所謂、スナップフィット方式で弾力的に係合される。
このようにして、スラスト滑り軸受100が組み立てられる。
次に、上述したスラスト滑り軸受100へのダストカバーDの組み付けについて説明する。
ダストカバーDは、図7に示すように、例えば、エチレンプロピレンゴム(EPDM)製の管状部材であり、ピストンロッド内への泥水等の侵入を防いでいる。
そして、ダストカバーDは、スラスト滑り軸受100と係合する組付部Daと、この組付部Daの下側に形成された蛇腹状のブーツ部Dbとを有している。
組付部Daは、ダストカバーDをスラスト滑り軸受100に組み付ける際にロワーケース120の下方舌片124と当接するカバー側突起Da1と、このカバー側突起Da1の底部に形成されダストカバーDとスラスト滑り軸受100とが係合した際に、ロワーケース120のカバー係止面124bと当接する当接面Da2とを有している。
この状態で、ダストカバーDをスラスト滑り軸受100のロワーケース120に内挿する。
このとき、ダストカバーDのカバー側突起Da1と、ロワーケース120の下方舌片124とが当接すると、ダストカバーDの組付部Daがロワーケース120の下方舌片124により弾性変形する。
これにより、ダストカバーDのカバー側突起Da1は、ロワーケース120のカバー装着用案内面124aに沿って摺接してロワーケース120内に挿入案内される。
ダストカバーDのカバー側突起Da1が、ロワーケース120のカバー装着用案内面124a上を摺接してロワーケース120内に挿入案内されると、ダストカバーDの組付部Daの弾性変形が解除され、ダストカバーDの当接面Da2が、ロワーケース120のカバー係止面124bと当接する。
このようにして、ダストカバーDは、スラスト滑り軸受100のロワーケース120に組み付けられる。
なお、コイルスプリングSのコイル内径DSは、ダストカバーDの外径およびロワーケース120の円筒部122の外径(すなわち、外周面122bの直径)より大きくなっている。
換言すると、スラスト滑り軸受100(アッパーケース110、ロワーケース120)およびダストカバーDは、ピストンロッドRを遊挿自在とする内径を有している。
このようにして得られた本発明の第1実施例であるスラスト滑り軸受100は、ロワーケース120が、アッパーケース110の内周側に設けたケース側突起113bと係合する複数の上方舌片123と、ダストカバーDの外周側に設けたカバー側突起Da1と係合する複数の下方舌片124とをそれぞれ有していることにより、従来のようなダストカバーを組み付けるための取付部材を介在させることなく、ダストカバーDがロワーケース120に対して直に組み付けられ、アッパーケース110と重ね合わせたロワーケース120に対してダストカバーDを確実かつ簡便に組み付けることができる。
そして、ロワーケース120の上方舌片123と下方舌片124とが、軸心C方向で相互に重畳しないようにロワーケース120に設けた円筒部122の内周面122aに沿って交互にロワーケース120の円筒部122にそれぞれ周設されていることにより、ロワーケース成形時に軸心C方向で上下に二分可能な上下割金型枠(図示せず)を採用する際にロワーケース120の上方舌片123と下方舌片124とが、中枠などを必要とすることなく軸心C方向に沿って型抜き自在となり、ロワーケース120の金型構造を簡素化することができるばかりでなく、ロワーケース120を簡便に成形することができる。
ここで、図8は、本発明の第2実施例であるスラスト滑り軸受の要部断面図である。
そして、第2実施例における下方舌片224では、ロワーケース220の下方から上方に向けて軸心Cへの距離が短くなっているオーバーハング状のカバー装着用案内面224aと、このカバー装着用案内面224aの上端と連続して軸心Cから円筒部222の内周面222aに向かって遠ざかるにつれて下方に傾斜するカバー係止面224bとを有している。
ここで、図9は、本発明の第3実施例であるスラスト滑り軸受におけるロワーケースの平面図である。
以上、本発明のスラスト滑り軸受を実施するためにその具体的な形態について説明したが、本発明スラスト滑り軸受は、上述した第1実施例乃至第3実施例のスラスト滑り軸受に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲でその具体的な形態の変形が可能である。
このようにダストカバーDに設けたカバー側突起の水平方向端部にテーパ面が形成されていると、ダストカバーDをスラスト滑り軸受により挿入しやすくなる。
110 ・・・ アッパーケース
111 ・・・ 当接部
111a ・・・ 下面
111b ・・・ 摺動シート収容溝
112 ・・・ 外壁部
112a ・・・ 内側面
113 ・・・ 内壁部
113a ・・・ 外側面
113b ・・・ ケース側突起
114 ・・・ アッパーケース側の凹部空間
120、 220、 320 ・・・ ロワーケース
121 ・・・ 本体部
122、 222、 322 ・・・ 円筒部
122a、222a、322a・・・ 内周面
122b ・・・ 外周面
123、 323 ・・・ 上方舌片
123a ・・・ 周方向端面
124、 224、 324 ・・・ 下方舌片
124a、224a ・・・ カバー装着用案内面
124b、224b ・・・ カバー係止面
124c ・・・ 周方向端面
125 ・・・ 中空領域
130 ・・・ 摺動シート
140 ・・・ センタープレート
D ・・・ ダストカバー
Da ・・・ 組付部
Da1 ・・・ カバー側突起
Da2 ・・・ 当接面
Db ・・・ ブーツ部
DS ・・・ コイル内径
R ・・・ ピストンロッド
S ・・・ コイルスプリング
W ・・・ ばね座
C ・・・ 軸心
SU ・・・ 上方舌片の仮想円
SL ・・・ 下方舌片の仮想円
S1 ・・・ ケース側突起の仮想円
ΦU ・・・ 上方舌片の仮想円の直径
ΦL ・・・ 下方舌片の仮想円の直径
Φ1 ・・・ ケース側突起の仮想円の直径
WU ・・・ 上方舌片の周方向幅
WL ・・・ 下方舌片の周方向幅
Claims (8)
- ストラット型サスペンションを設けた車両の車体側に取り付けられる環状のアッパーケースと、該アッパーケースに重ね合わせてアッパーケースの軸心回りで回動自在に摺動する環状のロワーケースとを備え、前記ストラット型サスペンションのピストンロッドを覆う管状のダストカバーを前記ロワーケースの下部に組み付ける合成樹脂製のスラスト滑り軸受であって、
前記ロワーケースが、前記アッパーケースの内周側に設けたケース側突起へ係合させる複数の上方舌片と、前記ダストカバーの外周側に設けたカバー側突起へ係合させる複数の下方舌片とをそれぞれ有し、
前記ロワーケースの上方舌片と下方舌片とが、前記軸心方向で相互に重畳しないように前記ロワーケースに設けた円筒部の内周面から軸心方向へ突出していることを特徴とするスラスト滑り軸受。 - 前記ロワーケースの上方舌片および下方舌片が、前記ロワーケースに設けた円筒部の内周面に沿ってそれぞれ均等に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載のスラスト滑り軸受。 - 前記ロワーケースに設けた上方舌片の周方向幅が、相互にすべて同一の幅であり、前記ロワーケースに設けた下方舌片の周方向幅が、相互にすべて同一の幅であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスラスト滑り軸受。
- 前記ロワーケースに設けた下方舌片の周方向幅が、前記ロワーケースに設けた上方舌片の周方向幅より幅広であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスラスト滑り軸受。
- 前記ロワーケースの上方舌片および下方舌片が、前記ロワーケースに設けた円筒部の内周面に沿った6ヶ所にそれぞれ周設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに1つに記載のスラスト滑り軸受。
- 前記ロワーケースの下方舌片が、前記ロワーケースの上方舌片よりも前記軸心方向に向かって突出していることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに1つに記載のスラスト滑り軸受。
- 前記ロワーケースの下方舌片は、前記ロワーケースの下方から上方に向けて軸心への距離が短くなっているカバー装着用案内面と、該カバー装着用案内面に沿って装着された前記ダストカバーを前記ロワーケースから抜け止めする棚状のカバー係止面とを有していることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに1つに記載のスラスト滑り軸受。
- 前記アッパーケース、ロワーケース、ダストカバーが、前記ピストンロッドを遊挿自在とする内径をそれぞれ有していることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに1つに記載のスラスト滑り軸受。
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