JP2019065963A - 自動変速機の油圧制御装置 - Google Patents

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稲三 山田
一輝 小嶋
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一輝 小嶋
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Yoshimitsu Hyodo
芳充 兵藤
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Abstract

【課題】2本の切換えバルブを使用しながらも、部品点数を増やすことなく、所定のソレノイドバルブへのレンジ圧の供給を遮断できる自動変速機の油圧制御装置を提供する。【解決手段】ライン圧PLを前進レンジ圧PDとして出力する状態と、ライン圧PLを非前進レンジ圧PnDとして出力する状態とに、切換可能な第1の切換えバルブ10と、第1の入力ポート20cに入力された前進レンジ圧PDを第1の出力ポート20eから出力する第1の状態と、第2の入力ポート20dに入力された非前進レンジ圧PnDを第1の出力ポート20eから出力する第2の状態とに、第2の信号油圧PSC3の給排により切換可能な第2の切換えバルブ20と、を備え、第2の切換えバルブ20は、変速段が後進段から前進1速段に切り換わる際に、第1のクラッチが解放状態から少なくとも係合状態になるまでの間、第2の状態に維持される。【選択図】図3

Description

本開示は、例えば自動車等の車両に搭載される自動変速機を油圧制御するための自動変速機の油圧制御装置に関する。
従来、シフトバイワイヤ方式のレンジ切換装置として、2本の切換えバルブと、各切換えバルブを切換可能な2本のソレノイドバルブと、を備えた油圧制御装置が知られている(特許文献1参照)。この油圧制御装置では、第1の切換えバルブは入力されたライン圧を第1の出力油圧と第2の出力油圧とに切り換えて出力し、第2の切換えバルブは第1の切換えバルブから入力された出力油圧をそれぞれ前進レンジ圧と後進レンジ圧とに切り換えて出力可能になっている。
この油圧制御装置は、例えば、多段変速機を有する自動変速機の油圧制御を行うものとされる。また、この自動変速機では、複数の変速段を形成する係合要素としてワンウェイクラッチを有する場合がある。ここで、この自動変速機では、前進1速段は、所定の係合要素(例えば、第1のクラッチ)とワンウェイクラッチとの係合により形成される。この場合に、第1のクラッチに油圧を供給するリニアソレノイドバルブと第1の切換えバルブと第2の切換えバルブとの3本のバルブのうちの2本のバルブがフェールを発生して第1のクラッチが係合するように動作しても、残りの1本のバルブを制御することにより前進1速段の意図しない形成を回避することができる。
一方、この自動変速機では、例えば、前進1速段の形成時と後進段の形成時との両方において係合する係合要素(例えば、第2のブレーキ)や、前進3速段の形成時と後進段の形成時との両方において係合する係合要素(例えば、第3のクラッチ)が設けられている。そして、第3のクラッチに係合圧を供給するリニアソレノイドバルブは、入力されるレンジ圧を前進レンジ圧と後進レンジ圧とで切り換えるために、第2の切換えバルブにシャトル弁を介して接続される場合がある。この場合、第2の切換えバルブから出力される前進レンジ圧及び後進レンジ圧のうちの高い方のレンジ圧が、当該リニアソレノイドバルブに供給される。
国際公開第2015/122451号
しかしながら、特許文献1に記載した油圧制御装置では、第3のクラッチに係合圧を供給するリニアソレノイドバルブがオープンフェール(油圧を出力してしまうフェール)を発生してしまうと、例えば、後進レンジから前進レンジに切換えを行った際に当該リニアソレノイドバルブにはシャトル弁を介して後進レンジ圧又は前進レンジ圧のいずれかが供給されて、第3のクラッチが係合されてしまう虞がある。これにより、例えば、第2のブレーキ及び第3のクラッチが係合して形成される後進段から第3のクラッチを第1のクラッチに掴み換えて前進1速段に変速する際には、第2のブレーキが係合状態を維持しているために、第2の切換えバルブから出力されるレンジ圧が後進レンジ圧から前進レンジ圧に切り換わっても第3のクラッチと第2のブレーキとが係合を維持することにより、ショックを発生してしまう虞がある。このようなショックの発生を回避するために、第3のクラッチに係合圧を供給するリニアソレノイドバルブと第2の切換えバルブとの間に切換えバルブを介在させることが考えられるが、部品点数の増加とコストアップを招いてしまう。
そこで、2本の切換えバルブを使用しながらも、部品点数を増やすことなく、所定のソレノイドバルブへのレンジ圧の供給を遮断できる自動変速機の油圧制御装置を提供することを目的とする。
本開示に係る自動変速機の油圧制御装置は、油圧により制御されると共に第1の前進段及び後進段のいずれの場合も係合する第1の係合要素と、油圧により制御されると共に前記第1の前進段を形成する際に係合して前記後進段を形成する際に解放する第2の係合要素と、油圧により制御されると共に前記第1の前進段を形成する際に解放して第2の前進段及び前記後進段を形成する際に係合する第3の係合要素と、を含む複数の係合要素を備え、前記複数の係合要素のうち2つの係合要素を係合することで複数の変速段を形成可能であると共に、前記第1の係合要素及び前記第2の係合要素の係合により前記第1の前進段を形成する自動変速機の油圧制御装置において、第1の信号油圧を出力可能な第1のソレノイドバルブと、入力された元圧を前進レンジ圧として出力する状態と、入力された元圧を非前進レンジ圧として出力する状態とに、前記第1の信号油圧の給排により切換可能な第1の切換えバルブと、第2の信号油圧を出力可能な第2のソレノイドバルブと、前記前進レンジ圧が入力可能な第1の入力ポートと、前記非前進レンジ圧が入力可能な第2の入力ポートと、第1の出力ポートとを有し、前記第1の入力ポートに入力された前記前進レンジ圧を前記第1の出力ポートから出力する第1の状態と、前記第2の入力ポートに入力された前記非前進レンジ圧を前記第1の出力ポートから出力する第2の状態とに、前記第2の信号油圧の給排により切換可能な第2の切換えバルブと、元圧を調圧して、前記第1の係合要素に第1の係合圧として出力可能な第1のリニアソレノイドバルブと、前記前進レンジ圧を調圧して、前記第2の係合要素に第2の係合圧として出力可能な第2のリニアソレノイドバルブと、前記第1の出力ポートから出力された油圧を調圧して、前記第3の係合要素に第3の係合圧として出力可能な第3のリニアソレノイドバルブと、を備え、前記第2の切換えバルブは、走行レンジが後進レンジから前進レンジに切り換わり、変速段が前記後進段から前記第1の前進段に切り換わる際に、前記第2の係合要素が解放状態から少なくとも係合状態になるまでの間、前記第2のソレノイドバルブにより給排される前記第2の信号油圧によって、前記第2の状態に維持される。
本自動変速機の油圧制御装置によると、自動変速機にワンウェイクラッチを用いることなく2つの係合要素の係合により変速段を形成可能にしている。このため、第1の切換えバルブと、第1のリニアソレノイドバルブと、第2のリニアソレノイドバルブとの3本のバルブのうちの2本がフェールを発生して第2の係合要素及び第1の係合要素の少なくとも一方が係合するように動作しても、残りの1本のバルブを制御することにより意図しない変速段の形成を回避することができる。これにより、ダブルフェールを担保しながらも、第1の切換えバルブの1本のバルブのみで前進レンジ圧を出力することができる。また、第2の切換えバルブは、前進レンジ圧又は非前進レンジ圧の各レンジ圧が第3の係合要素に供給される状態と、いずれのレンジ圧の供給も遮断される状態と、に切り換えることができる。更に、第2の切換えバルブは、後進段から第1の前進段に切り換わる際に、第2の係合要素が解放状態から少なくとも係合状態になるまでの間、第2の状態に維持される。このため、第3のリニアソレノイドバルブにオープンフェールを発生した場合には、第2の切換えバルブによって前進レンジ圧の第3のリニアソレノイドバルブへの供給を遮断することができるので、第3の係合要素と第1の係合要素とが係合を維持することに起因するショックの発生を防止することができる。従って、2本の切換えバルブを使用しながらも、部品点数を増やすことなく、所定のソレノイドバルブへのレンジ圧の供給を遮断できる。
実施の形態に係る自動変速機のスケルトンを示す概略図である。 実施の形態に係る自動変速機の係合表である。 実施の形態に係る自動変速機の油圧制御装置の概略の油圧回路図である。 実施の形態に係る自動変速機の油圧制御装置の動作を示すタイムチャートであり、(a)はリニアソレノイドバルブSL3が正常な場合、(b)はリニアソレノイドバルブSL3がオープンフェールを発生している場合である。
以下、本実施の形態に係る自動変速機の油圧制御装置を、図1〜図4(b)に沿って説明する。尚、本実施の形態では、自動変速機1を、例えば自動車に搭載され、不図示の内燃エンジンを駆動源とする自動変速機1に適用した場合について説明している。また、本実施の形態では、自動変速機1は、所謂FF(フロントエンジン・フロントドライブ)型としている。但し、自動変速機1は、FF型には限られず、FR(フロントエンジン・リアドライブ)型であってもよい。また、本実施の形態では、自動変速機1は6速変速の多段変速機を適用しているが、これには限られず8段変速や10段変速など、あるいは無段変速機であってもよい。
図1に示すように、自動変速機1は、トルクコンバータ2と、変速機構3と、油圧制御装置4と、制御装置(ECU)5と、備えている。トルクコンバータ2は、自動変速機1の入力軸11に接続されたポンプインペラ21と、作動流体を介して該ポンプインペラ21の回転が伝達されるタービンランナ22とを有しており、該タービンランナ22は、入力軸11と同軸上に配設された変速機構3の入力軸12に接続されている。また、該トルクコンバータ2には、ポンプインペラ21及びタービンランナ22をロックアップ可能なロックアップクラッチ23が備えられており、該ロックアップクラッチ23が後述する油圧制御装置4の油圧制御によって係合されると、自動変速機1の入力軸11の回転が変速機構3の入力軸12に直接伝達される。
変速機構3は、内燃エンジンの出力軸に接続される自動変速機1の入力軸11と同軸上である入力軸12を中心とした軸上に配置されている。変速機構3は、第1のクラッチ(第2の係合要素)C1と、第2のクラッチC2と、第3のクラッチ(第3の係合要素)C3と、第1ブレーキB1と、第2ブレーキ(第1の係合要素)B2とを含む複数の係合要素C1〜C3,B1〜B2を備え、複数の係合要素のうち2つの係合要素を係合することで複数の変速段を形成可能であり、走行レンジと非走行レンジとに切り換え可能になっている。各クラッチC1〜C3及びブレーキB1〜B2は、いずれもクラッチ装置を構成している。尚、各クラッチC1〜C3及びブレーキB1〜B2は、いずれも油圧サーボを有しており、油圧サーボへの油圧の給排により係脱するようになっている。このため、各クラッチC1〜C3及びブレーキB1〜B2と、各油圧サーボとの組み合わせが、それぞれ本来のクラッチ装置を意味するが、本実施の形態では、便宜上、各クラッチC1〜C3及びブレーキB1〜B2をクラッチ装置と呼ぶ。
変速機構3は、入力軸12上において、プラネタリギヤSPと、プラネタリギヤユニットPUとが備えられている。プラネタリギヤSPは、サンギヤS1、キャリヤCR1、及びリングギヤR1を備えており、該キャリヤCR1に、サンギヤS1及びリングギヤR1に噛合するピニオンP1を有している所謂シングルピニオンプラネタリギヤである。
また、プラネタリギヤユニットPUは、4つの回転要素としてサンギヤS2、サンギヤS3、キャリヤCR2、及びリングギヤR2を有し、該キャリヤCR2に、サンギヤS2及びリングギヤR2に噛合するロングピニオンPLoと、サンギヤS3に噛合するショートピニオンPShとを互いに噛合する形で有している所謂ラビニヨ型プラネタリギヤである。
プラネタリギヤSPのサンギヤS1は、ミッションケース13に一体的に固定されているボス部に接続されて回転が固定されている。また、リングギヤR1は、入力軸12の回転と同回転(以下、「入力回転」という。)になっている。更に、キャリヤCR1は、固定されたサンギヤS1と入力回転するリングギヤR1とにより、入力回転が減速された減速回転になると共に、第1のクラッチC1及び第3のクラッチC3に接続されている。
プラネタリギヤユニットPUのサンギヤS2は、バンドブレーキからなる第1のブレーキB1に接続されてミッションケース13に対して固定自在となっていると共に、第3のクラッチC3に接続され、第3のクラッチC3を介してキャリヤCR1の減速回転が入力自在となっている。また、サンギヤS3は、第1のクラッチC1に接続されており、キャリヤCR1の減速回転が入力自在となっている。
更に、キャリヤCR2は、入力軸12の回転が入力される第2のクラッチC2に接続され、該第2のクラッチC2を介して入力回転が入力自在となっており、また、第2のブレーキB2に接続されて、回転が固定自在となっている。そして、リングギヤR2は、カウンタギヤ14に接続されており、該カウンタギヤ14は、出力軸及びディファレンシャル装置を介して車輪に接続されている。
上記のように構成された変速機構3は、図2に示す係合表のように前進1速段〜前進6速段及び後進段において、各クラッチC1〜C3、ブレーキB1〜B2が係合することにより、良好なステップ比をもって変速段のギヤ比を形成する。また、これらの複数のクラッチC1〜C3、ブレーキB1〜B2同士を掴み換えすることで各変速制御が実行され、各変速段において、各クラッチC1〜C3、ブレーキB1〜B2のうちの2つが係合されて各変速段が達成される。即ち、第1の係合要素である第2のブレーキB2は、油圧により制御されると共に、前進1速段(第1の前進段)及び後進段のいずれの場合も係合する。第2の係合要素である第1のクラッチC1は、油圧により制御されると共に、前進1速段を形成する際に係合して、後進段を形成する際に解放する。第3の係合要素である第3のクラッチC3は、油圧により制御されると共に、前進1速段を形成する際に解放して、前進3速段(第2の前進段)及び後進段を形成する際に係合する。また、前進1速段の内燃エンジンによる駆動走行時には、第1のクラッチC1及び第2のブレーキB2の二要素の係合により形成され、ワンウェイクラッチを有していない。
ECU5は、例えば、CPUと、処理プログラムを記憶するROMと、データを一時的に記憶するRAMと、入出力ポートと、通信ポートとを備えており、油圧制御装置4の各ソレノイドバルブ等への制御信号等、各種の信号を出力ポートから出力するようになっている。また、自動変速機1には、車両に搭載されたパーキング機構6(図3参照)が接続されている。パーキング機構6は、不図示のパーキングシリンダ、パーキングロッド、パーキングポール等を備え、パーキングシリンダへの油圧の給排によりパーキングロッドを移動させて車輪の回転をロック状態及びアンロック状態に切換可能になっている。即ち、パーキング機構6は、第3の切換えバルブ30からの非前進レンジ圧PnDの給排により、車輪の回転をロック可能なパーキング状態と、車輪の回転をアンロックするパーキング解除状態と、に切換可能である。尚、パーキング機構6は既存の構成と同様であるので、詳細な説明は省略する。
油圧制御装置4は、内燃エンジンに連動して駆動されて油圧を発生させるオイルポンプの発生する油圧をライン圧(元圧)PLに調圧するプライマリレギュレータバルブ、該プライマリレギュレータバルブの排出圧をセカンダリ圧Psecに調圧するセカンダリレギュレータバルブ、ライン圧PLを所定圧であるモジュレータ圧Pmodに調圧するモジュレータバルブ、などの各種の油圧を生成する油圧生成部分を備えている。また、油圧制御装置4は、例えば、第1の切換えバルブ10と、第1の信号油圧PSC2を出力可能なオンオフソレノイドバルブ(第1のソレノイドバルブ)SC2と、第2の切換えバルブ20と、第2の信号油圧PSC3を出力可能なオンオフソレノイドバルブ(第2のソレノイドバルブ)SC3と、第3の切換えバルブ30と、ロックアップ制御圧(第3の信号油圧)PSLUを出力可能なリニアソレノイドバルブであるロックアップソレノイドバルブ(第4のリニアソレノイドバルブ)SLUと、ロックアップリレーバルブ40と、第4の信号油圧PSLを出力可能なオンオフソレノイドバルブ(第3のソレノイドバルブ)SLと、を備えている。
更に、油圧制御装置4は、前進レンジ圧(元圧)PDを調圧して、第1のクラッチC1の油圧サーボに第2の係合圧として出力可能なリニアソレノイドバルブ(第2のリニアソレノイドバルブ)SL1と、第2のクラッチC2の油圧サーボに油圧を出力可能なリニアソレノイドバルブSL2と、後述する第2の切換えバルブ20の第2の出力ポート20eから出力された前進レンジ圧(元圧)PD又は非前進レンジ圧(元圧)PnDを調圧して、第3のクラッチC3の油圧サーボに第3の係合圧として出力可能なリニアソレノイドバルブ(第3のリニアソレノイドバルブ)SL3と、第1のブレーキB1の油圧サーボに油圧を出力可能なリニアソレノイドバルブSL5と、ライン圧(元圧)PLを調圧して、第2のブレーキB2の油圧サーボに第1の係合圧として出力可能なリニアソレノイドバルブ(第1のリニアソレノイドバルブ)SL6と、を備えている。尚、油圧制御装置4のソレノイドバルブ等は、ECU5により電気的に制御される。
第1の切換えバルブ10は、スプール10p及び付勢ばね10sを備えるスプールバルブであり、オンオフソレノイドバルブSC2から供給される第1の信号油圧PSC2と付勢ばね10sの付勢力との関係によりスプール10pが移動することで、入力されたライン圧PLを前進レンジ圧PDとして出力する状態と、入力されたライン圧PLを非前進レンジ圧PnDとして出力する状態とに切換可能である。第1の切換えバルブ10は、付勢ばね10sが収容された第1油室10aと、第1油室10aとはスプール10pの軸方向の反対側に設けられた第2油室10bと、入力ポート10cと、第1の出力ポート10dと、第2の出力ポート10eと、を備えている。本実施の形態では、軸方向において第1油室10a側から第2油室10b側への方向を第1の方向D1、その反対方向を第2の方向D2としている。
第2油室10bは、オンオフソレノイドバルブSC2の出力ポートSC2aに連通しており、第1の信号油圧PSC2が充填されることにより、スプール10pを第2の方向D2に移動させる押圧力を付勢ばね10sに対抗して与える。入力ポート10cは、リニアソレノイドバルブSL6の入力ポートに連通されると共に、入力ポート10cにはライン圧PLが入力される。第1の出力ポート10dは、第2の切換えバルブ20の後述する第1の入力ポート20cと、リニアソレノイドバルブSL1,SL2,SL5の各入力ポートと、に連通している。第2の出力ポート10eは、第2の切換えバルブ20の後述する第2の入力ポート20dに連通している。
第1の切換えバルブ10は、スプール10pが第1の方向D1側に位置する場合は(図中、左半位置)、入力ポート10cと第1の出力ポート10dとが連通し、第2の出力ポート10eはドレーンされ、入力ポート10cから入力されたライン圧PLが第1の出力ポート10dから前進レンジ圧PDとして出力される。また、第1の切換えバルブ10は、スプール10pが第2の方向D2側に位置する場合は(図中、右半位置)、入力ポート10cと第2の出力ポート10eとが連通し、入力ポート10cと第1の出力ポート10dとが遮断され、入力ポート10cから入力されたライン圧PLが第2の出力ポート10eから非前進レンジ圧PnDとして出力される。
第2の切換えバルブ20は、スプール20p及び付勢ばね20sを備えるスプールバルブであり、オンオフソレノイドバルブSC3から供給される第2の信号油圧PSC3と付勢ばね20sの付勢力との関係によりスプール20pが移動することで、前進レンジ圧PDを出力する状態と、非前進レンジ圧PnDを出力する状態とに切換可能である。第2の切換えバルブ20は、付勢ばね20sが収容された第1油室20aと、第1油室20aとはスプール20pの軸方向の反対側に設けられた第2油室20bと、第1の入力ポート20cと、第2の入力ポート20dと、第1の出力ポート20eと、第2の出力ポート20fと、を備えている。本実施の形態では、軸方向において第1油室20a側から第2油室20b側への方向を第1の方向D1、その反対方向を第2の方向D2としている。
第2油室20bは、オンオフソレノイドバルブSC3の出力ポートSC3aに連通しており、第2の信号油圧PSC3が充填されることにより、スプール20pを第2の方向D2に移動させる押圧力を付勢ばね20sに対抗して与える。第1の出力ポート20eは、リニアソレノイドバルブSL3の入力ポートに連通し、第2の出力ポート20fは、第3の切換えバルブ30の後述する入力ポート30cに連通している。
第2の切換えバルブ20は、スプール20pが第1の方向D1側に位置する場合は(図中、左半位置、第1の状態)、第1の入力ポート20cと第1の出力ポート20eとが連通し、第2の入力ポート20dと第2の出力ポート20fとが連通する。これにより、第1の入力ポート20cから入力された前進レンジ圧PDが、第1の出力ポート20eから出力されてリニアソレノイドバルブSL3に入力されると共に、第2の入力ポート20dから入力された非前進レンジ圧PnDが、第2の出力ポート20fから出力されて第3の切換えバルブ30の入力ポート30cに入力される。また、第2の切換えバルブ20は、スプール20pが第2の方向D2側に位置する場合は(図中、右半位置、第2の状態)、第2の入力ポート20dと第1の出力ポート20eとが連通し、第1の入力ポート20cは遮断される。これにより、第2の入力ポート20dから入力された非前進レンジ圧PnDが、第1の出力ポート20eから出力されてリニアソレノイドバルブSL3に入力される。
第3の切換えバルブ30は、スプール30p及び弁体であるボール30bを備え、リニアソレノイドバルブSLUから供給されるロックアップ制御圧PSLUを第3の信号油圧としてスプール30pがボール30bをバルブ本体の当接面に押圧することで、入力ポート30cと出力ポート30dとの連通及び遮断を切換可能である。第3の切換えバルブ30は、油室30aと、入力ポート30cと、出力ポート30dとを備えている。本実施の形態では、軸方向においてスプール30pがボール30bを解放する方向を第1の方向D1、その反対方向を第2の方向D2としている。尚、本実施の形態では、第3の信号油圧をロックアップ制御圧PSLUとしているが、これには限られず、オンオフソレノイドバルブから出力された信号油圧としてもよい。
油室30aは、ロックアップリレーバルブ40の第2の出力ポート40eに連通されており、リニアソレノイドバルブSLUからロックアップ制御圧PSLUが充填されることにより、スプール30pを第2の方向D2に移動させて、ボール30bをバルブ本体の当接面に押圧する。出力ポート30dは、パーキング機構6のパーキングシリンダに連通している。
第3の切換えバルブ30は、スプール30pが第1の方向D1側に位置する場合は(図中、左半位置)、入力ポート30cと出力ポート30dとが連通し、入力ポート30cから入力された非前進レンジ圧PnDが、出力ポート30dから出力されてパーキング機構6に入力可能になる。また、第3の切換えバルブ30は、スプール30pが第2の方向D2側に位置する場合は(図中、右半位置)、入力ポート30cと出力ポート30dとが遮断される。
ロックアップリレーバルブ40は、スプール40p及び付勢ばね40sを備えるスプールバルブであり、オンオフソレノイドバルブSLから供給される第4の信号油圧PSLと付勢ばね40sの付勢力との関係によりスプール40pが移動することで、ロックアップクラッチ23へのロックアップ制御圧PSLUの給排を切換可能である。ロックアップリレーバルブ40は、付勢ばね40sが収容された第1油室40aと、第1油室40aとはスプール40pの軸方向の反対側に設けられた第2油室40bと、入力ポート40cと、第1の出力ポート40dと、第2の出力ポート40eとを備えている。本実施の形態では、軸方向において第1油室40a側から第2油室40b側への方向を第1の方向D1、その反対方向を第2の方向D2としている。
第1油室40aに収容された付勢ばね40sは、スプール40pを第1の方向D1に移動させる押圧力を与える。第2油室40bは、オンオフソレノイドバルブSLの出力ポートSLaに連通している。第1の入力ポート40cには、ロックアップ制御圧PSLUが入力可能になっている。第1の出力ポート40dは、ロックアップクラッチ23のオン圧ポート23aに連通している。
ロックアップリレーバルブ40は、スプール40pが第1の方向D1側に位置する場合は(図中、左半位置、第4の状態)、入力ポート40cと第2の出力ポート40eとが連通し、入力ポート40cと第1の出力ポート40dとが遮断される。これにより、ロックアップ制御圧PSLUのロックアップクラッチ23への供給を遮断すると共に、ロックアップ制御圧PSLUを第3の切換えバルブ30に供給可能にする。一方、ロックアップリレーバルブ40は、スプール40pが第2の方向D2側に位置する場合は(図中、右半位置、第3の状態)、入力ポート40cと第1の出力ポート40dとが連通し、入力ポート40cと第2の出力ポート40eとが遮断される。これにより、ロックアップ制御圧PSLUをロックアップクラッチ23に供給可能にすると共に、ロックアップ制御圧PSLUの第3の切換えバルブ30への供給を遮断する。
次に、油圧制御装置4の動作について説明する。まず、リニアソレノイドバルブSL6には、各バルブ10,20の動作には関係無く、常時、ライン圧(元圧)PLが供給されている。そして、パーキング状態から前進するために前進1速段を形成する場合は、第1の切換えバルブ10を左半位置にして第1の出力ポート10dから前進レンジ圧PDを出力する。これにより、リニアソレノイドバルブSL1に元圧が供給される。リニアソレノイドバルブSL6には、第1の切換えバルブ10の動作に関係無く、ライン圧(元圧)PLが供給されているので、第1のクラッチC1及び第2のブレーキB2が係合可能になり、前進1速段を形成することができる。この時、第2の切換えバルブ20は、左半位置の第1の状態にして、前進レンジ圧PDがリニアソレノイドバルブSL3に出力されるようにする。これにより、第3のクラッチC3を係合する前進段を形成する際に、速やかに対応することができる。また、ロックアップリレーバルブ40は、加速に応じて第4の状態と第3の状態とを適宜切り換えて、ロックアップクラッチ23の解放と係合とを切り換える。尚、変速機構3にはワンウェイクラッチが使用されていないので、前進1速段を形成するためにも2つの係合要素の係合が必要になる。このため、リニアソレノイドバルブSL1,6と第1の切換えバルブ10との3本のバルブのうちの2本にフェールが発生した場合でも、残りの1本を制御することにより意図しない前進1速段の形成を回避することができる。
後進段を形成する場合は、第1の切換えバルブ10を右半位置にして第2の出力ポート10eから非前進レンジ圧PnDを出力する。また、第2の切換えバルブ20を右半位置の第2の状態にして、非前進レンジ圧PnDがリニアソレノイドバルブSL3に出力されるようにする。これにより、リニアソレノイドバルブSL3,SL6に元圧が供給されるので、第3のクラッチC3及び第2のブレーキB2が係合可能になり、後進段を形成することができる。
また、ニュートラルレンジやパーキングレンジを形成する場合は、第1の切換えバルブ10を右半位置にして第2の出力ポート10eから非前進レンジ圧PnDを出力する。また、第2の切換えバルブ20を左半位置の第1の状態にして、非前進レンジ圧PnDが
第3の切換えバルブ30の入力ポート30cに入力されるようにする。少なくともニュートラルレンジではロックアップクラッチ23は解放状態で良いので、ニュートラルレンジであれば、ロックアップ制御圧PSLUを第3の切換えバルブ30に入力して、パーキング機構6に非前進レンジ圧PnDを入力せず、車輪の回転をアンロック状態にする。また、パーキングレンジであれば、ロックアップ制御圧PSLUを第3の切換えバルブ30に入力せず、パーキング機構6に非前進レンジ圧PnDを入力して、車輪の回転をロック状態にする。
次に、後進段から前進段に切り換える場合について、図3及び図4(a)に示すタイムチャートに沿って説明する。後進レンジ時(t0以前)には、オンオフソレノイドバルブSC2,SC3のいずれもオン状態、即ち信号油圧の出力状態であり、第1の切換えバルブ10及び第2の切換えバルブ20はいずれも右半位置である。そして、第3のクラッチC3及び第2のブレーキB2が係合して、後進段を形成している。シフトレバーなどの操作により後進レンジから前進レンジに切り換えられると(t0)、ライン圧PLが上昇される。その後、オンオフソレノイドバルブSC2がオフ状態に切り換わって(t1)、第1の信号油圧PSC2の出力が停止される。これにより、第1の切換えバルブ10が切り換わり、非前進レンジ圧PnDの油圧が低下すると同時に、前進レンジ圧PDが上昇する。また、リニアソレノイドバルブSL3,SL6において、係合圧の出力を停止して、変速段の形成が停止される。更に、その後、オンオフソレノイドバルブSC3がオフ状態に切り換わって(t2)、第2の信号油圧PSC3の出力が停止される。これにより、第2の切換えバルブ20が切り換わり、前進レンジ圧PDがリニアソレノイドバルブSL3に入力されるが、リニアソレノイドバルブSL3からは出力しない。その後、前進1速段を形成するために、リニアソレノイドバルブSL1,SL6から係合圧が出力される。
各切換えバルブ10,20はこのままの状態でも正常に前進1速段は形成されるが、後述するフェールを考慮して、第1のクラッチC1及び第2のブレーキB2の係合完了前に(t3)、オンオフソレノイドバルブSC3がオン状態に切り換わり、第2の切換えバルブ20が右半位置に切り換わる。これにより、リニアソレノイドバルブSL3への油圧の出力が停止される。その後、第2のブレーキB2が係合完了し、第1のクラッチC1の係合完了の直前にオンオフソレノイドバルブSC3がオフ状態に切り換わる(t4)。これにより、前進レンジ圧PDがリニアソレノイドバルブSL3に入力されるが、リニアソレノイドバルブSL3からは出力しない。そして、第2のブレーキB2及び第1のクラッチC1の両方が完全に係合し、前進1速段が形成される。
ここで、リニアソレノイドバルブSL3がオープンフェールを発生した場合において後進段から前進段に切り換える動作について、図3及び図4(b)に示すタイムチャートに沿って説明する。シフトレバーなどの操作により後進レンジから前進レンジに切り換えられ(t0)、オンオフソレノイドバルブSC2がオフ状態に切り換わって(t1)、第1の信号油圧PSC2の出力が停止される。これにより、第1の切換えバルブ10が切り換わり、非前進レンジ圧PnDの油圧が低下すると同時に、前進レンジ圧PDが上昇する。この時、リニアソレノイドバルブSL3はオープンフェールを発生しているので、リニアソレノイドバルブSL3からは、非前進レンジ圧PnDが出力されてしまう。また、リニアソレノイドバルブSL6においては、係合圧の出力を停止するので、変速段の形成は停止される。更に、その後、オンオフソレノイドバルブSC3がオフ状態に切り換わって(t2)、第2の信号油圧PSC3の出力が停止される。これにより、第2の切換えバルブ20が切り換わり、前進レンジ圧PDがリニアソレノイドバルブSL3に入力されると、リニアソレノイドバルブSL3からは、前進レンジ圧PDが出力されてしまう。その後、前進1速段を形成するために、リニアソレノイドバルブSL1,SL6から係合圧が出力される。
そして、第1のクラッチC1及び第2のブレーキB2の係合完了前に(t3)、オンオフソレノイドバルブSC3がオン状態に切り換わり、第2の切換えバルブ20が右半位置に切り換わる。即ち、第2の切換えバルブ20は、後進段から前進1速段に切り換わる際に、第1のクラッチC1が解放状態から少なくとも係合状態になるまでの間、オンオフソレノイドバルブSC3により給排される第2の信号油圧PSC3によって、第2の状態に維持される。これにより、リニアソレノイドバルブSL3への油圧の出力が停止されるので、リニアソレノイドバルブSL3からフェールにより出力されていた係合圧が低下し、例えば第2のブレーキB2と共に後進段を形成しようとしてショックを発生することを防止できる。その後、第2のブレーキB2及び第1のクラッチC1の両方が完全に係合し、前進1速段が形成される。
以上説明したように、本実施の形態の自動変速機1の油圧制御装置4によると、自動変速機1にワンウェイクラッチを用いることなく2つの係合要素の係合により変速段を形成可能にしている。このため、第1の切換えバルブ10と、リニアソレノイドバルブSL1と、リニアソレノイドバルブSL6との3本のバルブのうちの2本がフェールを発生して第1のクラッチC1及び第2のブレーキB2の少なくとも一方が係合するように動作しても、残りの1本のバルブを制御することにより意図しない前進1速段の形成を回避することができる。これにより、ダブルフェールを担保しながらも、第1の切換えバルブ10の1本のバルブのみで前進レンジ圧PDを出力することができる。
また、第2の切換えバルブ20は、前進レンジ圧PD又は非前進レンジ圧PnDの各レンジ圧が第3のクラッチC3に供給される状態と、いずれのレンジ圧の供給も遮断される状態と、に切り換えることができる。更に、第2の切換えバルブ20は、後進段から前進1速段に切り換わる際に、第1のクラッチC1が解放状態から少なくとも係合状態になるまでの間、第2の状態に維持される。このため、リニアソレノイドバルブSL3にオープンフェールを発生した場合には、第2の切換えバルブ20によって前進レンジ圧PDのリニアソレノイドバルブSL3への供給を遮断することができるので、第3のクラッチC3と第2のブレーキB2とが係合を維持することに起因するショックの発生を防止することができる。従って、2本の切換えバルブ10,20を使用しながらも、部品点数を増やすことなく、リニアソレノイドバルブSL3への各レンジ圧PD,PnDの供給を遮断できる。
また、本実施の形態の自動変速機1の油圧制御装置4では、第3の切換えバルブ30を利用することで、パーキングレンジにおいて、非前進レンジ圧PnDをパーキング機構6に出力することができる。これにより、停車時において非前進レンジ圧PnDをリニアソレノイドバルブSL3に供給することなく、代わりにパーキング機構6に出力することで部品点数を増やすことなくレンジ圧を有効に利用することができる。
また、本実施の形態の自動変速機1の油圧制御装置4では、リニアソレノイドバルブSLUをロックアップクラッチ23の制御用に使用しない場合に、第3の切換えバルブ30の切換動作用に使用している。このため、停車時においてもロックアップ制御圧を有効に利用することができ、第3の切換えバルブ30を切り換えるための専用のソレノイドバルブを不要として部品点数の増加を防止することができる。
尚、本実施の形態は、以下の構成を少なくとも備える。本実施の形態の自動変速機(1)の油圧制御装置(4)は、油圧により制御されると共に第1の前進段(1ST)及び後進段(REV)のいずれの場合も係合する第1の係合要素(B2)と、油圧により制御されると共に前記第1の前進段(1ST)を形成する際に係合して前記後進段(REV)を形成する際に解放する第2の係合要素(C1)と、油圧により制御されると共に前記第1の前進段(1ST)を形成する際に解放して第2の前進段(3RD)及び前記後進段(REV)を形成する際に係合する第3の係合要素(C3)と、を含む複数の係合要素を備え、前記複数の係合要素のうち2つの係合要素を係合することで複数の変速段を形成可能であると共に、前記第1の係合要素(B2)及び前記第2の係合要素(C1)の係合により前記第1の前進段(1ST)を形成する自動変速機(1)の油圧制御装置(4)において、第1の信号油圧(PSC2)を出力可能な第1のソレノイドバルブ(SC2)と、入力された元圧(PL)を前進レンジ圧(PD)として出力する状態と、入力された元圧(PL)を非前進レンジ圧(PnD)として出力する状態とに、前記第1の信号油圧(PSC2)の給排により切換可能な第1の切換えバルブ(10)と、第2の信号油圧(PSC3)を出力可能な第2のソレノイドバルブ(SC3)と、前記前進レンジ圧(PD)が入力可能な第1の入力ポート(20c)と、前記非前進レンジ圧(PnD)が入力可能な第2の入力ポート(20d)と、第1の出力ポート(20e)とを有し、前記第1の入力ポート(20c)に入力された前記前進レンジ圧(PD)を前記第1の出力ポート(20e)から出力する第1の状態と、前記第2の入力ポート(20d)に入力された前記非前進レンジ圧(PnD)を前記第1の出力ポート(20e)から出力する第2の状態とに、前記第2の信号油圧(PSC3)の給排により切換可能な第2の切換えバルブ(20)と、元圧(PL)を調圧して、前記第1の係合要素(B2)に第1の係合圧として出力可能な第1のリニアソレノイドバルブ(SL6)と、前記前進レンジ圧(PD)を調圧して、前記第2の係合要素(C1)に第2の係合圧として出力可能な第2のリニアソレノイドバルブ(SL1)と、前記第1の出力ポート(20e)から出力された油圧を調圧して、前記第3の係合要素(C3)に第3の係合圧として出力可能な第3のリニアソレノイドバルブ(SL3)と、を備え、前記第2の切換えバルブ(20)は、走行レンジが後進レンジから前進レンジに切り換わり、変速段が前記後進段(REV)から前記第1の前進段(1ST)に切り換わる際に、前記第2の係合要素(C1)が解放状態から少なくとも係合状態になるまでの間、前記第2のソレノイドバルブ(SC3)により給排される前記第2の信号油圧(PSC3)によって、前記第2の状態に維持される。
この構成によれば、自動変速機(1)にワンウェイクラッチを用いることなく2つの係合要素の係合により変速段を形成可能にしている。このため、第1の切換えバルブ(10)と、第1のリニアソレノイドバルブ(SL6)と、第2のリニアソレノイドバルブ(SL1)との3本のバルブのうちの2本がフェールを発生して第2の係合要素(C1)及び第1の係合要素(B2)の少なくとも一方が係合するように動作しても、残りの1本のバルブを制御することにより意図しない変速段の形成を回避することができる。これにより、ダブルフェールを担保しながらも、第1の切換えバルブ(10)の1本のバルブのみで前進レンジ圧(PD)を出力することができる。また、第2の切換えバルブ(20)は、前進レンジ圧(PD)又は非前進レンジ圧(PnD)の各レンジ圧が第3の係合要素(C3)に供給される状態と、いずれのレンジ圧の供給も遮断される状態と、に切り換えることができる。更に、第2の切換えバルブ(20)は、後進段(REV)から第1の前進段(1ST)に切り換わる際に、第2の係合要素(C1)が解放状態から少なくとも係合状態になるまでの間、第2の状態に維持される。このため、第3のリニアソレノイドバルブ(SL3)にオープンフェールを発生した場合には、第2の切換えバルブ(20)によって前進レンジ圧(PD)の第3のリニアソレノイドバルブ(SL3)への供給を遮断することができるので、第3の係合要素(C3)と第1の係合要素(B2)とが係合を維持することに起因するショックの発生を防止することができる。従って、2本の切換えバルブ(10,20)を使用しながらも、部品点数を増やすことなく、所定のソレノイドバルブ(SL3)へのレンジ圧の供給を遮断できる。
また、本実施の形態の自動変速機(1)の油圧制御装置(4)は、前記第2の切換えバルブ(20)は、前記第1の状態において前記第2の入力ポート(20d)に入力された前記非前進レンジ圧(PnD)を出力可能な第2の出力ポート(20f)を有し、前記第2の切換えバルブ(20)の前記第2の出力ポート(20f)から出力された前記非前進レンジ圧(PnD)を入力して出力する状態と遮断する状態とに、第3の信号油圧(PSLU)の給排により切換可能な第3の切換えバルブ(30)と、前記第3の切換えバルブ(30)からの前記非前進レンジ圧(PnD)の給排により、車輪の回転をロック可能なパーキング状態と前記車輪の回転をアンロックするパーキング解除状態とに切換可能なパーキング機構(6)と、を備える。この構成によれば、停車時において非前進レンジ圧(PnD)を第3のリニアソレノイドバルブ(SL3)に供給することなく、代わりにパーキング機構(6)に出力することで部品点数を増やすことなくレンジ圧を有効に利用することができる。
また、本実施の形態の自動変速機(1)の油圧制御装置(4)は、元圧を調圧して、ロックアップクラッチ(23)にロックアップ制御圧(PSLU)として出力可能な第4のリニアソレノイドバルブ(SLU)と、第4の信号油圧(PSL)を出力可能な第3のソレノイドバルブ(SL)と、前記ロックアップ制御圧(PSLU)を前記ロックアップクラッチ(23)に供給可能にすると共に、前記ロックアップ制御圧(PSLU)の前記第3の切換えバルブ(30)への供給を遮断する第3の状態と、前記ロックアップ制御圧(PSLU)の前記ロックアップクラッチ(23)への供給を遮断すると共に、前記ロックアップ制御圧(PSLU)を前記第3の切換えバルブ(30)に供給可能にする第4の状態とに、前記第4の信号油圧(PSL)の給排により切換可能なロックアップリレーバルブ(40)と、を備え、前記第3の信号油圧(PSLU)は、前記ロックアップ制御圧(PSLU)である。この構成によれば、停車時においてもロックアップ制御圧(PSLU)を有効に利用することができ、第3の切換えバルブ(30)を切り換えるための専用のソレノイドバルブを不要として部品点数の増加を防止することができる。
1 自動変速機
4 油圧制御装置
6 パーキング機構
10 第1の切換えバルブ
20 第2の切換えバルブ
20c 第1の入力ポート
20d 第2の入力ポート
20e 第1の出力ポート
20f 第2の出力ポート
23 ロックアップクラッチ
30 第3の切換えバルブ
40 ロックアップリレーバルブ
1ST 前進1速段(第1の前進段)
3RD 前進3速段(第2の前進段)
B2 第2のブレーキ(第1の係合要素)
C1 第1のクラッチ(第2の係合要素)
C3 第3のクラッチ(第3の係合要素)
PD 前進レンジ圧
PL ライン圧(元圧)
PnD 非前進レンジ圧
PSC2 第1の信号油圧
PSC3 第2の信号油圧
PSL 第4の信号油圧
PSLU ロックアップ制御圧(第3の信号油圧)
REV 後進段
SC2 オンオフソレノイドバルブ(第1のソレノイドバルブ)
SC3 オンオフソレノイドバルブ(第2のソレノイドバルブ)
SL オンオフソレノイドバルブ(第3のソレノイドバルブ)
SL1 リニアソレノイドバルブ(第2のリニアソレノイドバルブ)
SL3 リニアソレノイドバルブ(第3のリニアソレノイドバルブ)
SL6 リニアソレノイドバルブ(第1のリニアソレノイドバルブ)
SLU リニアソレノイドバルブ(第4のリニアソレノイドバルブ)

Claims (3)

  1. 油圧により制御されると共に第1の前進段及び後進段のいずれの場合も係合する第1の係合要素と、油圧により制御されると共に前記第1の前進段を形成する際に係合して前記後進段を形成する際に解放する第2の係合要素と、油圧により制御されると共に前記第1の前進段を形成する際に解放して第2の前進段及び前記後進段を形成する際に係合する第3の係合要素と、を含む複数の係合要素を備え、前記複数の係合要素のうち2つの係合要素を係合することで複数の変速段を形成可能であると共に、前記第1の係合要素及び前記第2の係合要素の係合により前記第1の前進段を形成する自動変速機の油圧制御装置において、
    第1の信号油圧を出力可能な第1のソレノイドバルブと、
    入力された元圧を前進レンジ圧として出力する状態と、入力された元圧を非前進レンジ圧として出力する状態とに、前記第1の信号油圧の給排により切換可能な第1の切換えバルブと、
    第2の信号油圧を出力可能な第2のソレノイドバルブと、
    前記前進レンジ圧が入力可能な第1の入力ポートと、前記非前進レンジ圧が入力可能な第2の入力ポートと、第1の出力ポートとを有し、前記第1の入力ポートに入力された前記前進レンジ圧を前記第1の出力ポートから出力する第1の状態と、前記第2の入力ポートに入力された前記非前進レンジ圧を前記第1の出力ポートから出力する第2の状態とに、前記第2の信号油圧の給排により切換可能な第2の切換えバルブと、
    元圧を調圧して、前記第1の係合要素に第1の係合圧として出力可能な第1のリニアソレノイドバルブと、
    前記前進レンジ圧を調圧して、前記第2の係合要素に第2の係合圧として出力可能な第2のリニアソレノイドバルブと、
    前記第1の出力ポートから出力された油圧を調圧して、前記第3の係合要素に第3の係合圧として出力可能な第3のリニアソレノイドバルブと、を備え、
    前記第2の切換えバルブは、走行レンジが後進レンジから前進レンジに切り換わり、変速段が前記後進段から前記第1の前進段に切り換わる際に、前記第2の係合要素が解放状態から少なくとも係合状態になるまでの間、前記第2のソレノイドバルブにより給排される前記第2の信号油圧によって、前記第2の状態に維持される自動変速機の油圧制御装置。
  2. 前記第2の切換えバルブは、前記第1の状態において前記第2の入力ポートに入力された前記非前進レンジ圧を出力可能な第2の出力ポートを有し、
    前記第2の切換えバルブの前記第2の出力ポートから出力された前記非前進レンジ圧を入力して出力する状態と遮断する状態とに、第3の信号油圧の給排により切換可能な第3の切換えバルブと、
    前記第3の切換えバルブからの前記非前進レンジ圧の給排により、車輪の回転をロック可能なパーキング状態と前記車輪の回転をアンロックするパーキング解除状態とに切換可能なパーキング機構と、を備える請求項1に記載の自動変速機の油圧制御装置。
  3. 元圧を調圧して、ロックアップクラッチにロックアップ制御圧として出力可能な第4のリニアソレノイドバルブと、
    第4の信号油圧を出力可能な第3のソレノイドバルブと、
    前記ロックアップ制御圧を前記ロックアップクラッチに供給可能にすると共に、前記ロックアップ制御圧の前記第3の切換えバルブへの供給を遮断する第3の状態と、前記ロックアップ制御圧の前記ロックアップクラッチへの供給を遮断すると共に、前記ロックアップ制御圧を前記第3の切換えバルブに供給可能にする第4の状態とに、前記第4の信号油圧の給排により切換可能なロックアップリレーバルブと、を備え、
    前記第3の信号油圧は、前記ロックアップ制御圧である請求項2に記載の自動変速機の油圧制御装置。

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