以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を詳細に説明する。図2〜図4に示されるように、本実施形態に係るピルファープルーフバンド付きのキャップ1は、有頂円筒状のキャップ本体10と、キャップ本体10の下方に所定の間隔を有して位置するリング部20と、キャップ本体10とリング部20とを連結する複数の連結つなぎ部30とを備える。連結つなぎ部30は、図2に拡大して示すように設けられている。キャップ1は、リング部20が初期開封の際に変形し、このリング部20の変形によって初期開封が行われたことを明示するように構成されている。
図1に示すように、キャップ本体10は、上下方向に延びた円筒状の外側面部11と、外側面部11の上端を閉塞する円板状の天面部12とを有し、有頂円筒状に形成される。図2に示すように、外側面部11の内周面には、ねじ13が形成されている。ねじ13は、後述する容器の口部に形成されているねじとかみ合うものであり、キャップ1は、このねじのかみ合いによって、容器の口部に緩みなく取り付けられる。ねじ13は、右ねじであり、平面視において時計回りの回転方向がキャップ1の閉栓方向X´であり、反時計回りの方向が開封方向Xである。なお、ねじ13は、キャップ1が容器の口部に緩みなく取り付けられる形状であれば良い。
より具体的には、容器の口部のねじの寸法に合わせて、ねじ13の谷径(外側面部11の内周面の外径に相当)や、山径、ピッチ(上下方向において隣り合うねじ13、13のそれぞれのねじ山(ねじ谷)間の距離)等が形成されている。ねじ13は、容器の口部のねじに対応したものであれば良く、その形状は、一条ねじであっても良く、二条ねじや三条ねじ等の多条ねじであっても良い。また、平面視において、ねじ13の一端から他方の端までの間を周回する角度である巻き角度についても、容器の口部とキャップ本体10とが緩みなく確実に取り付けられる角度であれば良い。
外側面部11の外周面には、図3に示すように、上下方向に延びる複数の線条の突部4からなるローレット14が形成されている。線条の突部4は、キャップ本体10がローレット14を備えることにより、キャップ1を容器の口部に着脱する際に指が滑りにくくなり、着脱動作が容易となる。突部4は図1に示すように直線状に形成されている。しかし、直線状でなければならないわけではない。突部4が天面部12と近接する部分について、角度が異なっていても、あるいは垂直方向に突部が形成されていても、それに続いて天面部12の近傍から斜め下方に向けて突部4が形成されていればよい。
次に突部4の形成される方向についてであるが、キャップの天面部12を上、下端部3を下とすると、ローレット14は、図1の(a)において示されるように、正面視で左斜め上方から、右斜め下方に傾斜して設けられている。なお、本実施形態における開栓方向は図1(b)に示すX方向、すなわち反時計回りであり、図1(a)においては左方向から右方向に向けて力を加えることにより開栓される。開栓方向が反時計回りの場合に線条の凸部は上記の傾きとなるのであって、開栓方向が逆である場合、図1の(a)のようにキャップ1を正面から見た場合右斜め上方から左斜め下方に線条の突起である突部4を有することになる。
線条の突部4をさらに詳述する。図3に示すように、線条の突部4は、外側面部11に複数のらせん状または斜め形状の突状部として設けられている。突部4は本実施形態であれば反時計回りである、開栓方向に対応した方向に斜めに設けられる。すなわち、天面部12の端から垂直に下した直線に対して、その直線と交わる点を始点として線条の突部4が形成される場合で、開栓方向が反時計回りの場合、キャップ1の正面視で右方向、上面視で反時計回り方向に下端がずれるように、線条の突起4は形成される。そしてそのずれの角度は、正面視で、天面部の端またはその近傍から垂直に下した直線と線条の突部4のなす角が、5度から45度であることが好ましい。言い換えれば、線条の突部4の一端と他端を通る直線γと、天面部12に設けられた天面凹部15などの窪みを除いた部分、あるいはその同一平面とがなす角のうち、キャップ下端部側かつキャップの開栓方向に形成されている仮想角は鋭角であるような、線条の突部4の傾きであることが望ましいこととなる。
また、線条の突部4は、外側面部の少なくとも一部に設けられている。図1(b)に示すように、外側面部には線条の突部4が等間隔で設けられている部分と、線条の突部が設けられていない部分とが交互に2か所ずつ存在する構成としてもよい。このように構成することで樹脂を削減することができる。もちろん線条の突部4が、図8(z)に示すように、全周にわたって設けられていてもよい。
また、図6(Y)のα領域にてこれを示すと、以下の通りとなる。すなわち、図6(Y)のα領域は、図1(b)の示すα´の矢印方向からの突起4の矢視図であって、図1(a)のα領域を拡大したものである。天面部12ないしその同一平面12´と線条の突部4の一端と多端を結んだ線がなす角Θは、鋭角となっている。Θはより好ましくは45度から85度となっている。そして、角度Θは、55〜75度であればより指がかりが良く、好適である。次に突部4の間隔を詳述する。すでにローレット14は複数の突部4からなることは述べた。突部4同士は平行であることが好ましく、そのローレット14の突部4同士の間隔は、突部同士を水平線で結んだ場合の、突部の一方から他方に至るまでの距離、すなわち図6のα領域内の、Vは、0.5mm以上15mm以下であることが指がかりがよく、好ましい。より好ましくは、1mm以上5mm以下の間隔であることが良い。この間隔であれば、さらに指がかりがよく、開栓時に指がいたくもならない。
次に、突状部の高さについてであるが、突部の高さとは、ここでは、図6(X)において示される図1(b)のY領域の拡大図において、Y領域内のZで示した部分であり、外側面部11から、径方向に、最も突部4が離隔している部分までの間隔のことである。この突部の高さZは、0.1mm以上、1.0mm以下であることが望ましい。このように形成することで、より指がかりがよいキャップ1とすることができる。
図8は本発明に係る実施形態の他の例を示した図である。図8の(z)に示すように、全周にわたって線条の突部を設けてもよい。また線条であり、かつ連続した突部としてもよい。連続した突部とすることや、全周に突部を設けることで、どの位置から開栓する場合でも同様の指がかりの良さとすることができる。
また図8(x)や(y)に示すように、指がかりの良さが失われない程度に、天面部12や、下端部3から離れてその近傍にて線条の突部の始点100ないし終点110があることが好ましい。4aや4b、4cの形で突部が形成されても本発明の効果に変わりはない。
また図8の(y)の領域Aの拡大図において、本発明に係る実施形態の例が示されている。ここでは、外側面部11であって、線条の突部4以外の場所に、小さな突起部50が多数形成されている。これにより、指がかりがさらによくなる効果がある。
小さな突起部50は、円状としてもよい。またキャップ本体10の径方向の外側がフラットであってもよい。球状であったり、尖ったりしているのに比べて、指が痛くないこととなる。また、小さな突起部のサイズは、直径ないし全長が、0.1mm〜5.0mmとすることが、指かかりの点から望ましい。また、図8の(x)図において、直線γ´と天面12、またはその天面凹部15を除いた部分と同一平面のなす角Σ2が図6のα領域の仮想角Θにあたる。そしてそれは図8の(y)図の角度Σについても同様である。
図8の(x)図について詳述する。図8の(x)は前述したとおり、本発明の他の実施形態を示している。キャップ本体10には、線条の突部の始点100が、形成されている。始点100を基点として、終点110まで、線条の突部4aは略直線状に形成されている。始点100は天面部12近傍に位置していればよく、この場合、線条の突部4aは始点100から終点110までを指す。始点100と終点110を結ぶ直線と、天面部12と同一平面のなす角がΣ2であり、本発明の、開栓方向に形成される角度が45度から85度となると好ましいこととなる。直線はすべて始点100と終点110の中心を通るように示されている。しかし本発明に係る線条の突部を把握するために必要であれば始点100が線条の突部の上面の端から起算されてもよい。終点110についても同じである。そしてこの点は図8(y)(z)の、4b、4cについても同様である。
天面部12は、図2を参照すると、内側面から下方へ延びる環状の天面凹部15と、天面凹部15と外側面部11との間の内側面から下方へ突出する環状のインナーリング16とを有する。天面部12の天面凹部15の内方側は、キャップ本体10の内方(図5では下方)に向かって凸状に湾曲している。天面部12の外側面の突状に湾曲した中央上部には、キャップ1が射出形成によって作製される際の溶融樹脂の流入口(ゲート)において付随的に形成された固化した部分が付着する。なお、図1〜図4は、その部分が切り取られた後の形態が示されている。
キャップ1は、容器の口部に取り付けられた際に、天面部12とインナーリング16とコンタクトリング17とによって、口部の注出口としての開口部を密閉するように構成されている。インナーリング16は、外径が口部の内径より大であるとともに、先端部の外周面が下方に向かって内方へ傾斜した先細りに形成されている。インナーリング16は、キャップ1が容器の口部に取り付けられた際に、口部の内部に挿入されて口部と嵌合する。この時、インナーリング16は、内方へ撓んだ状態となり、外周面が口部の内周面と密着して口部を密閉する。一方、コンタクトリング17は、キャップ1が容器の口部に取り付けられた際に、容器の口部の開口側の端部と密着して口部を密閉する。
なお、インナーリング16やコンタクトリング17は、容器の口部を密閉可能な形状であれば良く、口部の形状に応じて適宜設計できる。また、キャップ1の容器の口部を密閉する構成は、インナーリング16とコンタクトリング17による構成に限定されるものではない。例えば、コンタクトリング17と外側面部11の間の天面部12の内側面から下方に突出する環状の突起を更に設け、キャップ1が容器の口部に取り付けられた際に、この環状の突起の内周面が口部の外周面に密着するように構成しても良い。
リング部20は、キャップ本体10の下方に所定の間隔を有して位置し、キャップ本体10の外側面部11と同軸の円筒状に形成される。リング部20の外径は、外側面部11の下端部の外周面の外径と略同一であり、内径は外側面部11の下端部の内周面の外径より大である。つまり、リング部20は、径方向の厚さが外側面部11の下端部よりも薄く形成されている。
リング部20は、図4、図9に示すように、弧状に湾曲した板状の複数の弧状部21が、肉厚が薄く形成された薄肉つなぎ部22を介して円筒状に連結されて構成される。ここでは、リング部20は、2つの略半円弧状に湾曲した板状の弧状部21,21が連結される構成であるが、リング部20を構成する弧状部21の数は限定されるものではなく、弧状に湾曲した3つの弧状部や4つの弧状部が筒状に連結される構成であっても良い。
隣接する2つの弧状部21,21の周方向の端の間には、薄肉つなぎ部22が形成されている。詳細には、一方の弧状部21の周方向における閉栓方向の側の端は、薄肉つなぎ部22を介して他方の弧状部21の周方向における開封方向の側の端と連結している。また、一方の弧状部21の周方向における開封方向の側の端は、薄肉つなぎ部22を介して他方の弧状部21の周方向における閉栓方向の側の端と連結している。
薄肉つなぎ部22は、弧状部21の外側面部11の側とは反対側である下端部に位置し、薄肉つなぎ部22の下端は、弧状部21の下端と面一に形成されている。薄肉つなぎ部22の内方側の面は、弧状部21の内周面と面一に形成されている。薄肉つなぎ部22は、底面視において、外周側が略V字状に切り欠かれて、径方向におけるその肉厚が薄くなり、周方向におけるその幅が狭くなるように形成されている。また、薄肉つなぎ部22は、図3、図7に示すように、正面視において、外側面部11の側である上方側が略V字状に切り欠かれて、上下方向及び周方向におけるその幅が狭くなるように形成されている。ここで、図9(a)は、図9(b)のVI部分の拡大図であって、薄肉つなぎ部22周辺の拡大図である。そして、この肉厚が薄く形成された薄肉つなぎ部22は、開封時に破断可能に構成されている。なお、薄肉つなぎ部22は、弧状部21を連結するとともに、開封時には破断可能な構成であれば良く、薄肉つなぎ部22が形成される位置は限定されるものではない。しかしながら、キャップ1の搬送適性等の観点から、薄肉つなぎ部22の下端は、弧状部21の下端と面一に形成されることが好ましく、隣接する弧状部21の隙間に、他のキャップ1が絡みつくこと等が防止される。また、リング部20は、隣接する弧状部21を複数の薄肉つなぎ部22によって筒状に連結される構成であっても良い。
弧状部21は、内周面から内方へ向けて突出するラチェット爪23をそれぞれ有している。ラチェット爪23は、容器の口部に形成されている後述するラチェット突起に対応して形成されている。ラチェット爪23は、弧状部21の周方向の中央を基準として、開封方向の側に形成されている。ラチェット爪23の開封方向の側の端面と弧状部21の内周面(ラチェット爪23の開封方向の側の端面と弧状部21の内周面との接合部を通り、弧状部21の内周面に接する面)とのなす角は鋭角である。一方、ラチェット爪23の閉栓方向の側の端面と弧状部21の内周面(ラチェット爪23の閉栓方向の側の端面と弧状部21の内周面との接合部を通り、弧状部21の内周面に接する面)とのなす角は鈍角である。なお、ラチェット爪23は、容器の口部を閉栓する際には口部のラチェット突起と嵌合することがなく、口部を開封する際には口部のラチェット突起と嵌合して弧状部21の開封方向への回転が規制される形状であれば良く、その形状や構成は特に限定されるものではない。
ここで、リング部20は、図9(a)、図9(c)に示すように、外側面部11の側とは反対側である下端から外側面部11の側である上方へ向かって拡径するテーパ部24を有する。つまり、リング部20を構成する2つの弧状部21,21には、下端から上方へ向かって拡径するテーパ部24が形成されている。テーパ部24の上端は、薄肉つなぎ部22の上端より上方に位置しているものの、テーパ部24の範囲は限定されるものではない。しかしながら、金型からの離型性の観点から、テーパ部24の上端は、薄肉つなぎ部22の上端より上方に位置し、正面視において薄肉つなぎ部22がテーパ部24の領域内に含まる構成が好ましい。
連結つなぎ部30は、リング部20の各弧状部21に対応してそれぞれ形成されている。ここでは、2つの弧状部21,21のそれぞれに対応する連結つなぎ部30,30が形成されている。図3、図9に示すように、連結つなぎ部30は、弧状部21の閉栓方向の側の端から内方へ延びる第1のつなぎ部31と、第1のつなぎ部31の内方の側の端から周方向かつ閉栓方向へ延びる第2のつなぎ部32と、第2のつなぎ部の閉栓方向の側の端から外側面部11まで延びる第3のつなぎ部33とから構成されている。
より詳細には、第1のつなぎ部31は、弧状部21の閉栓方向の側の端であって、キャップ本体10側である上端から、内方へ水平に延びる。第1のつなぎ部31は、底面視において外側面部11の下端部の内周面と一致する位置まで延びる。第2のつなぎ部32は、第1のつなぎ部31の内方の側の端から、底面視において外側面部11の下端部の内周面に沿うように閉栓方向へ水平に延びる。そして、第1のつなぎ部31と第2のつなぎ部32は、底面視において略L字状に連結している。第2のつなぎ部32は、周方向かつ閉栓方向へ、薄肉つなぎ部22を超えて、隣接する弧状部21の開封方向の側の端部に対応する位置まで延びる。第3のつなぎ部33は、第2のつなぎ部の閉栓方向の側の端から鉛直に延び、外側面部11の開放側の端である下端に連結する。そして、第2のつなぎ部32と第3のつなぎ部33は、正面視において略L字状に連結している。つまり、連結つなぎ部30は、キャップ本体10の側からリング部20の側に向かって、開封方向と径方向の外方とに2度直角に曲げられたクランク状に形成されている。そして、連結つなぎ部30は、上述の薄肉つなぎ部22とは異なり、開封時に変形されかつ、破断されないように構成されている。
なお、連結つなぎ部30は、上述の構成に限定されるものではなく、開封時に、破断はされず、外側面部11と連結する端とリング部20(弧状部21)と連結する端とが、周方向及び径方向にずれの生じている構成であれば良く、第1のつなぎ部31と第2のつなぎ部32と第3のつなぎ部33とがそれぞれ曲線状に形成された構成であっても良い。しかしながら、初期開封の明示性の観点から、連結つなぎ部30は、第1のつなぎ部31と第2のつなぎ部32が平面視において略L字状に連結し、第2のつなぎ部32と第3のつなぎ部33が正面視において略L字状に連結し、キャップ本体10の側からリング部20の側に向かって、開封方向と径方向の外方とに2度直角に曲げられたクランク状に形成される構成が好ましい。
ここで、弧状部21は、周方向において、連結つなぎ部30が連結される連結部である第1のつなぎ部31とラチェット爪23との間に、その肉厚が薄く形成された薄肉部25を有する。薄肉部25は、底面視において、弧状部21の外周側が略台形状に切り欠かれて、径方向における肉厚が薄くなるように形成されている。薄肉部25は、第1のつなぎ部31の近傍に位置し、外側面部11の側である上端から外側面部11の側とは反対側である下端まで鉛直に延びている。そして、薄肉部25は、連結つなぎ部30と同様に、開封時に変形されかつ、破断されないように構成されている。なお、薄肉部25は、第1のつなぎ部31とラチェット爪23との間に、弧状部21の上端から下端まで延びて形成されていれば良い。しかしながら、初期開封の明示性の観点から、薄肉部25は、第1のつなぎ部31の近傍に形成される構成が好ましい。また、薄肉部25は、初期開封の明示性の観点から弧状部21の外周側が切り欠かれて形成されることが好ましいが、内周側が切り欠かれて形成されても良く、上端から下端に向けて周方向に傾斜して形成されても構わない。
また、キャップ1は、弧状部21のラチェット爪23と外側面部11の開放側の端である下端との間に補強つなぎ部26を有する。補強つなぎ部26は、ラチェット爪23の内方側の端であって、外側面部11の側である上端から鉛直に延び、外側面部11の開放側の端である下端に連結する。そして、補強つなぎ部26は、上述の薄肉つなぎ部22と同様に、開封時に破断可能に構成されている。なお、キャップ1は、補強つなぎ部26を備えない構成であっても良いものの、射出成形性や初期開封前における薄肉つなぎ部22の破断防止等の観点から、上述のような補強つなぎ部26を備える構成が好ましい。
また、キャップ1は、図9(b)に示すように、弧状部21の外側面部11の側である上端から外側面部11の側である上方へ突出する弧状部側台座27と、外側面部11の開放側の端である下端から弧状部21の側である下方へ突出する筒部側台座28とを備える。弧状部側台座27は、弧状部21の開封方向の側の端部の近傍に形成されている。筒部側台座28は、弧状部21の閉栓方向の側の端部に対応する位置に形成されている。弧状部側台座27と筒部側台座28は、周方向において、連結つなぎ部30を挟むように配置されている。また、筒部側台座28は、更に、弧状部21の周方向の略中央に対応する位置にも形成されている。
そして、キャップ本体10とリング部20との間隔が、弧状部側台座27または筒部側台座28が形成された場所で狭められている。なお、弧状部側台座27や筒部側台座28は、キャップ本体10とリング部20との間隔が部分的に狭められるような構成であれば良く、その構成は特に限定されるものではなく、例えば、弧状部側台座27または筒部側台座28のいずれか一方のみを備える構成であっても良い。また、キャップ1は、弧状部側台座27や筒部側台座28を備えない構成であっても良いものの、射出成形性、初期開封前における薄肉つなぎ部22や補強つなぎ部26の破断防止等の観点から、上述のような弧状部側台座27や筒部側台座28を備える構成が好ましい。
そして、上述のような構成の本実施形態に係るキャップ1は、ねじ13のかみ合いによって容器の口部に取り付けられるとともに、初期開封時であってキャップ本体10を開封方向へ回転させた際に、容器の口部に形成されているラチェット突起にラチェット爪23が嵌合して弧状部21の開封方向への回転が規制され、更にキャップ本体10を開封方向へ回転さることで、薄肉つなぎ部22が破断されて初期開封が行われたことを明示することができるように構成されている。
キャップ1は、熱可塑性樹脂からなり、射出成形等によって形成される。キャップ1の原料としての熱可塑性樹脂は、成形性に優れ、柔軟性を有し、中身に接触しても衛生的に支障のないものであれば良く、特に限定されない。例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン等を用いることができ、更に、これらの熱可塑性樹脂が混合されたものであっても良い。また、キャップ1の寸法は限定されるものではなく、取り付けられる容器の口部の大きさに応じて適宜設計できる。
本実施形態に係るキャップ付容器は、容器の口部に上述したキャップ1が取り付けられる。図7は、本実施形態に係るキャップ1が取り付けられる容器60の一例が示された要部拡大正面図である。図7には、口部40がパウチ55に取り付けられた容器60が例示されており、パウチ55は二点鎖線で示されている。
口部40は、中身の充填口、及び注出口、あるいは飲み口であって、上端に円形の開口部42を有するとともに、外周面にキャップ1のねじ13とかみ合うねじ43が形成された円筒状のノズル部41を有する。
ノズル部41は、ねじ43の下方に、外周面から外方へ突出する2つのラチェット突起44,44を有する。ラチェット突起44,44は、上述したキャップ1のラチェット爪23,23にそれぞれ対応して形成されている。平面視において、ラチェット突起44の開封方向の側の端面とノズル部41の外周面(ラチェット突起44の開封方向の側の端面とノズル部41の外周面との接合部を通り、ノズル部41の外周面に接する面)とのなす角は鈍角であり、ラチェット突起44の閉栓方向の側の端面とノズル部41の外周面(ラチェット突起44の閉栓方向の側の端面とノズル部41の外周面との接合部を通り、ノズル部41の外周面に接する面)とのなす角は鋭角である。2つのラチェット突起44,44は、キャップ1が口部40に取り付けられた際に、ラチェット爪23,23が、周方向において、この2つのラチェット突起44,44の間に位置するように形成されている。
ノズル部41は、外周面から外方へ突出する、平面視の外形が略円形状である板状の補強フランジ45を有する。補強フランジ45の上面には、ラチェット突起44の下部が連結されており、ラチェット突起44の強度が向上されている。補強フランジ45の外周縁は、キャップ1のリング部20の内周面、つまり弧状部21の内周面に対応している。そして、キャップ1が口部40に取り付けられた際に、補強フランジ45の外周縁は、弧状部21の内周面に沿うように形成されている。ノズル部41は、補強フランジ45の下方に、複数のフランジ46,47,48を更に有する。
ノズル部41の下端部には、外周面から径方向に対称に延伸するとともに、端部に向けて厚さが薄く形成された板状の接着部49,49が形成さている。接着部49の上端は、最も下方に位置するフランジ48の下面に連結されている。接着部49,49は、平面視で略舟形であり、口部40のパウチ55への取り付けに用いられる。
図5,7が示すように、口部40は、ノズル部41の下端から下方に向かって脚状に延びる連結部50を有する。連結部50は、パウチ55の内部に位置する。連結部50には、ノズル部41の内部と連通する容器側開口部51が形成される。そして、ノズル部41の開口部42と連結部50の容器側開口部51はノズル部41の内部を介して連通されており、このノズル部41の内部が容器60の中身の流路となる。また、口部40は、連結部50の下端から下方に向かって延びる閉塞防止部材52を有する。閉塞防止部材52は、水平断面の形状が略十字形状であり、パウチ55の内部に位置する。閉塞防止部材52は、パウチ55を構成する重ね合わされたフィルムの内面同士が密着することを防止し、パウチ55の注出性を良好にするものである。
上述のような構成の口部40は、キャップ1と同様に、熱可塑性樹脂からなり、射出成形等によって形成される。口部40の原料としての熱可塑性樹脂は、成形性に優れ、中身に接触しても衛生的に支障のないものであれば良く、キャップ1と同様のものを用いることができ、特に限定されない。
パウチ55は、可撓性を有するフィルムが重ね合わされた上でその周縁部が接着されて袋状に形成されたものである。そして、接着部49の正面側の側面49fが、パウチ55の一側の内面に接着され、図示せぬ接着部49の背面側の側面がパウチ55の他側の内面に接着されている。接着部49と、パウチ55(内面)との接着は、熱融着であることが好ましいものの、接着剤等によって貼り付けても良い。
更に、容器60の包装形態についても特に限定はなく、例示されたパウチ55以外にも、スタンディングパウチ、二方シール袋、三方シール袋、四方シール袋、ガゼット袋、ピロー包装袋、角底袋、その他等の各種の包装形態から選択して用いることができる。
更に、容器60は、キャップ1のねじ13とかみ合ってキャップ1を取り付けるねじと、キャップ1のラチェット爪23と嵌合して弧状部21の開封方向への回転が規制されるラチェット突起とを有する口部を備える容器であれば良く、上述された包装容器に限らず紙容器やボトル等であっても良い。
次に、開栓時の流れについて詳述する。開栓時に指が線条の突部4に引っ掛かり、引っ掛かった部分に力をかけて、開栓方向に回すことにより、開栓する。その際本実施形態では、開栓方向は右回りであるが左回りでもよい。本実施形態では、図1に示すように、反時計回りの開栓方向Xとなっているが、時計回りの開栓方向X´でもよい。その場合、線条の突起4も正面視で、天面部12より、右斜め上方向から左斜め下方向に垂下することとなる。
図3は本実施形態のキャップを示した図であるが、図3の突部4に指がかかり、図1の(b)のX方向のように反時計回りにキャップ1を回すことによって、キャップ1がノズル部41と嵌合していたものが外れ、ノズル部41と分離する。その際本実施形態では図4のようになる。ピルファープルーフバンドを構成するリング部20はその際弧状部21に分離するとともに楕円弧状となる。これにより初期開封が容易に明示できる。ただし、本実施形態ではこの形態のピルファープルーフバンドを用いたが、本発明に用いるプリファープルーフバンドは、初期開封が判別できるものであれば、ほかの公知のプリファープルーフバンドであってもよい。
そして、初期開封の明示性、開封性、口部40への取り付け性等の観点から、薄肉つなぎ部22の肉厚は、0.2mm以上、0.6mm以下であることが好ましく、薄肉つなぎ部22の周方向の幅は、0.1mm以上、1.0mm以下であることが好ましく、薄肉つなぎ部22の上下方向の幅は、0.2mm以上、1.0mm以下であることが好ましい。薄肉つなぎ部22の肉厚、幅、及び幅がこの範囲であれば、射出成形の際やキャップ1を口部40に取り付ける際等に薄肉つなぎ部22が破断等することなく、更に、開封の際には好適に破断させることができる。
また、薄肉部25の肉厚は、0.3mm以上、1.0mm以下であることが好ましく、薄肉部25の周方向の幅は、0.5mm以上、3.0mm以下であることが好ましい。薄肉部25の肉厚、及び幅がこの範囲であれば、初期開封前においては弧状部21が薄肉部25を支点として変形しにくく、初期開封時においては弧状部21が薄肉部25を支点として好適に折り曲げられ、リング部20による初期開封の明示機能が効果的に発揮される。また、薄肉部25は、第1のつなぎ部31の近傍に形成されることが好ましく、初期開封時においては弧状部21が薄肉部25を支点として好適に折り曲げられやすくなり、リング部20による初期開封の明示機能が向上される。
また、連結つなぎ部30において、第1のつなぎ部31の径方向の長さL1は、0.2mm以上、1.5mm以下であることが好ましく、第2のつなぎ部32の周方向の長さL2は、0.2mm以上、3.0mm以下であることが好ましく、第3のつなぎ部33の上下方向の長さL3は、0.2mm以上、1.5mm以下であることが好ましい(図9参照)。なお、第1のつなぎ部31の径方向の長さL1は、弧状部21の内周面から第2のつなぎ部32までの距離であり、第2のつなぎ部32の周方向の長さL2は、第1のつなぎ部の閉栓方向の側の端から第3のつなぎ部の開封方向の側の端までの距離であり、第3のつなぎ部33の上下方向の長さL3は、第2のつなぎ部32の上端から外側面部11の下端までの距離である。第1のつなぎ部31の長さL1、第2のつなぎ部32の長さL2、及び第3のつなぎ部33の長さL3がこの範囲であれば、初期開封前においては連結つなぎ部30が変形しにくく、初期開封時においては連結つなぎ部30が好適に変形され、リング部20による初期開封の明示機能が効果的に発揮される。
以上に説明がなされたように、本実施形態に係るキャップ1は、ねじ13のかみ合いによって容器60の口部40に取り付けられ、初期開封が行われたことを明示可能に構成されたキャップ1において、ねじ13が内周面に形成された外側面部11を有する有頂筒状のキャップ本体10と、弧状に湾曲した2つの弧状部21,21が、開封時に破断可能な薄肉つなぎ部22,22を介して筒状に連結されたリング部20と、2つの弧状部21,21のそれぞれと外側面部11の開放側の端とに連結される2つの連結つなぎ部30,30とを備える。そして、弧状部21は、口部40に形成されているラチェット突起44と嵌合し、弧状部21の開封方向への回転が規制されるラチェット爪23を有し、連結つなぎ部30は、弧状部21の閉栓方向の側の端から内方へ延びる第1のつなぎ部31と、第1のつなぎ部31の内方の側の端から周方向かつ閉栓方向へ延びる第2のつなぎ部32と、第2のつなぎ部の閉栓方向の側の端から外側面部11まで延びる第3のつなぎ部33とから構成される。
本実施形態に係る構成によれば、初期開封がなされた後のキャップ1において、リング部20は2つの弧状部21に分断され、連結つなぎ部30は変形され、弧状部21は開封方向へ向かって下方に傾斜するとともに径方向の外方へ広げられた状態でキャップ本体10に連結され、弧状部21自体も外方へ折れ曲がるように変形されている状態となる。つまり、キャップ1は、側方だけではなく、上方からの目視に対しても、リング部20の変形によって初期開封が行われたことを明示することができる。更に、初期開封後のリング部20の形態は、初期開封前の形態と大きく異なるため、消費者に対して初期開封が行われたことを容易かつ確実に認識させることができる。
したがって、本実施形態によれば、開封が容易であって、かつ初期開封が行われたことの明示が容易かつ確実であるピルファープルーフキャップ1、及びピルファープルーフキャップ付容器65を提供することができる。