以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態のエアバッグ24は、図1に示すように、頭部保護エアバッグ装置Sに使用される。エアバッグ装置Sは、頭部保護用のエアバッグ(カーテンエアバッグともいう、以下、単にエアバッグとする)24と、膨張用ガスを吐出するインフレーター15と、エアバッグカバー10と、取付ブラケット12,19と、を備えて構成されている。エアバッグ24は、車両Vの車内側における前席や後席の側方で前後に並設される窓(サイドウインド)W1,W2の上縁WU側において、フロントピラー部FPの下縁側から、中間ピラー部CPの上方を経て、リヤピラー部RPの上方まで、の範囲に、折り畳まれて収納されている。
インフレーター15は、図2〜4に示すように、略円柱状のシリンダタイプとして、エアバッグ24における膨張用ガスGを流入させるための後述する流入口部31の開口筒部33に挿入されて、エアバッグ24と連結される。インフレーター15は、燃焼して膨張用ガスGを発生させる薬剤や点火装置等を内蔵して構成され、円柱状の本体部16と、本体部16の先端に設けられた小径の円柱状のガス吐出部17と、を備えて構成されている。ガス吐出部17には、複数のガス吐出口17aが配設されており、インフレーター15は、作動時、これらのガス吐出口17aから膨張用ガスGを吐出することとなる。
インフレーター15は、本体部16の外周面16aの元部側に、本体部16を挟持するように取付ブラケット19が取り付けられ(図1,2参照)、取付ブラケット19がボルト21止めされることにより、中間ピラー部CPの上方付近におけるルーフサイドレール部RRのインナパネル2に対し、ルーフヘッドライニング5の下縁5aに覆われて、取付固定される(図1参照)。また、インフレーター15は、ガス吐出部17を含めた先端部15aを流入口部31の開口筒部33内に挿入させ、開口筒部33に挟持されるように、開口筒部33の外周側に配置させた接続手段としてのクランプ22により、開口筒部33をインフレーター15側に押圧して、開口筒部33に接続される。
なお、このインフレーター15は、車両Vの側面衝突や、オフセット衝突を含む斜め衝突を検知した所定の制御装置により、作動される。
各取付ブラケット12は、図1に示すように、取付ボルト13によって、エアバッグ24の後述する取付部44(A〜F)をインナパネル2に取付固定している。各取付ボルト13は、インナパネル2におけるナット等を設けたねじ孔に、締結されている。
エアバッグカバー10は、図1に示すように、フロントピラー部FPに配置されるフロントピラーガーニッシュ4の下縁4a側と、ルーフサイドレール部RRに配置されるルーフヘッドライニング5の下縁5a側と、から構成されている。
エアバッグ24は、図2〜4に示すように、エアバッグ本体25と、エアバッグ本体25内に配設される整流布82と、を備えて構成されている。エアバッグ本体25は、外形形状としては、図1,5に示すように、膨張用ガスを流入させて膨らむ膨張本体部26と、膨張本体部26から上方へ突出するように配設されて、インフレーター15から吐出される膨張用ガスGを膨張本体部26に流入させる流入口部31と、を備えて構成されている。そして、整流布82は、流入口部31内から膨張本体部26の流入口部31近傍にわたる領域に、配設されている。
膨張本体部26は、袋織りにより形成される略長方形板状として、窓W1を覆う前側膨張部27、窓W2を覆う後側膨張部28、及び、前側膨張部27と後側膨張部28とをエアバッグ24の上縁24aで連通させる連通部29、を備えて構成されている。流入口部31は、連通部29の前後方向の中央付近から、上方へ突出するように配設されている。
また、エアバッグ24の膨張本体部26の部位における上縁24a側や前縁24b側には、窓W1,W2の周縁にエアバッグ24を取り付ける複数(実施形態では6個)の種々の形状の取付部44(A〜F)が配設されている。各取付部44には、取付ボルト13を挿通させる取付孔44aが、形成され、既述したように、ボディ1側のインナパネル2に取り付けるための取付ブラケット12が固着されている。そして、各取付孔44aを挿通する取付ボルト13がインナパネル2の各ねじ孔に締結されることにより、各取付部44が、インナパネル2に固定される。
さらに、実施形態の場合、取付部44を除く膨張本体部26の部位は、図5,6に示すように、ポリアミド等の織糸を使用して袋織りされた袋織り部36により、形成されている。袋織り部36は、膨張用ガスの流入時に、車内側壁部37aと車外側壁部37bとを離すように膨らむガス流入部37と、車内側壁部37aと車外側壁部37bとを結合させたように形成されて膨張用ガスを流入させない閉じ部(非流入部)38と、を備えて構成されている(図3参照)。閉じ部38は、ガス流入部37の周縁に配置される周縁閉じ部38aと、周縁閉じ部38aの下縁側から上方に延びて、前側膨張部27と後側膨張部28とを区画し、かつ、連通部29の下縁側を区画する中央閉じ部38dと、を備えて構成されている。さらに、閉じ部38は、前側膨張部27や後側膨張部28の領域内に配設される線状閉じ部38e,38f,38gや球状閉じ部38hを備えて構成されている。また、袋織り部36は、ガス流入部37の上縁側の前後方向の中央付近に、周縁閉じ部38aを配設させていない開口部40を備えている。そして、開口部40の周縁に対し、流入口部31の外周壁31a(後述する外層パネル部47やカバーパネル部62)が縫合されて、流入口部31が、膨張本体部26から突出するように、配設されることとなる(図3参照)。
エアバッグ24を構成する部材は、実施形態の場合、図6に示すように、既述の膨張本体部26を構成する袋織り部36の他、各取付部44(A〜F)を形成する取付部用シート材45(A〜F)、流入口部31を形成するための外パネル用シート材51、カバーパネル用シート材63、内パネル用シート材71、前側シート材105、後側シート材107、及び、整流布82を形成する整流布用シート材91、から構成されている。そして、これらのシート材45,51,63,71,91,98,99は、ポリアミド糸等を織った織布から形成されている。さらに、各シート材51,63,71,91,98,99の外周縁付近の丸穴状の貫通孔は、縫合時等に、各シート材51,63,71,91,98,99がズレ移動しないように、図示しない位置決めピンを挿通させる位置決め孔(図符号省略)である。
流入口部31は、図2〜4に示すように、膨張本体部26の上縁側の前後方向の中央付近から上方へ突出する突出筒部32と、突出筒部32の先端(実施形態では上端)から側方(実施形態では後方)に延びて、インフレーター15の先端部15a側を挿入させる開口34を端末(実施形態では後端)に設けた開口筒部33と、を備えた略L字状に構成されている。開口筒部33は、その軸方向DXを、膨張本体部26の前後方向に沿って配設される連通部29と平行として、配設されている。また、突出筒部32は、開口筒部33から挿入させたインフレーター15のガス吐出部17付近を覆い、かつ、ガス吐出部17から吐出された膨張用ガスGを開口筒部33の略軸直交方向DVの下方側に案内して、膨張本体部26内の連通部29に流入させるように、配設される構成としている。
そして、流入口部31は、膨張本体部26の外表面側(車内側壁部37a側や車外側壁部37b側)に連なるように配設される外層パネル部47と、外層パネル部47の内周側に配置される内層パネル部65と、整流布82と、を備えて構成されている。整流布82は、外層パネル部47と内層パネル部65との間に配設されている。さらに、実施形態の場合、外層パネル部47の外表面には、車両搭載時の周辺部材からの外層パネル部47の保護を図るために、カバーパネル部62が配設されている。
外層パネル部47は、図3,4,6,14〜17に示すように、突出筒部32の部位に配設される突出筒部用部位48と、開口筒部33の部位に配設される開口筒部用部位49と、を備えて構成されるとともに、1枚の外パネル用シート材51を二つ折りして形成されている。シート材51の折目部位51aは、突出筒部用部位48から開口筒部用部位49における膨張本体部26から離れた離隔側縁(上縁)47aに配置される。
外パネル用シート材51は、折目部位51aを間にした両側に、車内側Iに配置される車内側部52と車外側Oに配置される車外側部55とを配設させている。車内側部52と車外側部55とには、外層パネル部47の突出筒部32(突出筒部用部位48)を形成する突出筒部用部位53,56と、外層パネル部47の開口筒部33(開口筒部用部位49)を形成する開口筒部用部位54,57と、がそれぞれ配設されている(図14参照)。突出筒部用部位53,56は、折目部位51aから連なる開口筒部用部位54,57から離れた先縁(前縁)53a,56a相互を縫合部58(図4,16参照)を設けて縫合され、かつ、開口筒部用部位54,57側の元縁(後縁)53b,56b相互を縫合部59(図2,16,17,18参照)を設けて縫合されている。縫合部59は、開口筒部用部位54,57における突出筒部用部位53,56近傍の下縁54a,57a相互も縫合している。
これらの縫合部58,59を設けることにより、折目部位51aで二つ折りした外パネル用シート材51から、突出筒部用部位48と開口筒部用部位49とを備えた外層パネル部47が形成されている。折目部位51aと縫合部59との間は、インフレーター15を挿入させる開口50となる。
なお、外層パネル部47は、突出筒部用部位48の車内側パネル部48aと車内側パネル部48bとの下縁48e,48f(シート材51の下縁53c,56c)を、膨張本体部26を構成する袋織り部36の開口部40の周縁における車内側壁部37aと車外側壁部37bとに対して、縫合部60,60を設けて縫合させている(図3,15参照)。
また、実施形態の場合、車両搭載時の外層パネル部47を保護するため、外層パネル部47は、既述のカバーパネル部62により覆われている。カバーパネル部62は、図3,4,14〜17に示すように、1枚のカバーパネル用シート材63を折目部位63aで二つ折りし、折目部位63aを間にした両側の車内側部63bと車外側部63cとを、外層パネル部47を形成する外パネル用シート材51の車内側部52と車外側部55とに被せて、縫合部58,59を形成する際に、共縫いして、配設されている。
なお、カバーパネル部62も、下縁62d,62eが、外層パネル部47の突出筒部用部位48の下縁48e,48fとともに、縫合部60,60を形成する際、膨張本体部26を構成する袋織り部36の開口部40の周縁における車内側壁部37aと車外側壁部37bとに対して、共縫いされている。
ちなみに、カバーパネル部62の下縁62d,62eと外層パネル部47の突出筒部用部位48の下縁48e,48fとは、縫合部58,59を形成する前において、縫合部60,60を利用して、膨張本体部26を構成する袋織り部36の開口部40の周縁における車内側壁部37aと車外側壁部37bとに対して、共縫いされている。
そして、実施形態の場合、縫合部58,59は、膨張本体部26を構成する袋織り部36の開口部40の前後を閉塞するための縫合部41,42と一体的に形成されている(図2,16,17参照)。前側縫合部41は、袋織り部36における開口部40の前側の車内側壁部37aと車外側壁部37bとを縫合しており、その後端側が、縫合部58となって、外層パネル部47とカバーパネル部62との前縁(先縁)48c,62b側を縫合する。後側縫合部42は、袋織り部36における開口部40の後側の車内側壁部37aと車外側壁部37bとを縫合しており、その前端側が、縫合部59として、外層パネル部47とカバーパネル部62との後縁(元縁)48d,62c側を縫合している。なお、縫合部59は、カバーパネル部62も共縫いして、外層パネル部47の開口筒部用部位49における車内側パネル部49aと車外側パネル部49bの下縁49c,49c相互も縫合している。
内層パネル部65は、図3,4,6〜8に示すように、突出筒部32の部位に配設される突出筒部用部位66と、開口筒部33の部位に配設される開口筒部用部位67と、を備えて構成されるとともに、1枚の内パネル用シート材71を二つ折りして形成されている。シート材71の折目部位71aは、突出筒部用部位66から開口筒部用部位67における膨張本体部26から離れた離隔側縁(上縁)65aに配置される。
内パネル用シート材71は、折目部位71aを間にした両側に、車内側Iに配置される車内側部72と車外側Oに配置される車外側部75とを配設させている。車内側部72と車外側部75とには、内層パネル部65の突出筒部32(突出筒部用部位73)を形成する突出筒部用部位73,76と、内層パネル部65の開口筒部33(開口筒部用部位67)を形成する開口筒部用部位74,77と、がそれぞれ配設されている(図7,8参照)。突出筒部用部位73,76は、折目部位71aから連なる開口筒部用部位74,77から離れた先縁(前縁)73a,76a相互を縫合部78(図2,4,13参照)を設けて縫合され、かつ、開口筒部用部位74,77側の元縁(後縁)73b,76b相互を縫合部79(図2,7,8参照)を設けて縫合されている。縫合部79は、開口筒部用部位74,77における突出筒部用部位73,76近傍の下縁74a,77a相互も縫合している。
これらの縫合部78,79を設けることにより、折目部位71aで二つ折りした内パネル用シート材71から、突出筒部用部位66と開口筒部用部位67とを備えた内層パネル部65を形成することができる。折目部位71aと縫合部79との間は、インフレーター15を挿入させる開口68となる。
なお、実施形態の場合、縫合部78は、後述する整流布82を形成する整流布用シート材91の前縁93a,96a相互を縫合する縫合部101と兼用とされている。
また、内パネル用シート材71は、図3,4,6〜8に示すように、内層パネル部65の外周側を覆って、流入口部31の耐熱性を向上させるための補強用延設部80を備えている。補強用延設部80は、縫合部78,79を形成する際、折目部位71a付近の車内側部72と車外側部75とに被せるように、境界部80aに折目を付けて、折り重ね、縫合部78,79の縫合時に共縫いすれば、内層パネル部65の突出筒部用部位66と開口筒部用部位67との外周側に、補強パネル部69を配設させることができる。なお、この補強用延設部80も、折目部位71aの外周側で、折目部位80bを設けて、二つ折りされて、配設される。
さらに、内パネル用シート材71の開口筒部用部位77には、折り返して外層パネル部47の開口筒部用部位49の開口50近傍における車内側パネル部49aと車外側パネル部49bとに溶着させて把持部67d,67d(図4,17のC参照)を形成する把持片部74b,77bが、配設されている。把持片部74b,77bを折り返して外層パネル部47に溶着させた把持部67d,67dは、インフレーター15を流入口部31の開口34に挿入させる際、開口34を広げるように把持する部位となる。
整流布82は、図3,4,6,9〜13に示すように、突出筒部32の部位に配設される突出筒部用部位83と、開口筒部33の部位に配設される開口筒部用部位84と、突出筒部用部位83の下縁83e,83f側の連通部29内に配設される整流本体部86と、を備えて構成されるとともに、1枚の整流布用シート材91を二つ折りして形成されている。シート材91の折目部位91aは、突出筒部用部位83から開口筒部用部位84における膨張本体部26から離れた離隔側縁(上縁)82aに配置される。
整流布用シート材91は、図9,10に示すように、折目部位91aを間にした両側に、車内側Iに配置される車内側部92と車外側Oに配置される車外側部95とを配設させている。車内側部92と車外側部95とには、整流布82の突出筒部32(突出筒部用部位83)を形成する突出筒部用部位93,96と、整流布82の開口筒部33(開口筒部用部位84)を形成する開口筒部用部位94,97と、がそれぞれ配設されている。突出筒部用部位93,96は、折目部位91aから連なる開口筒部用部位94,97から離れた先縁(前縁)93a,96a相互を縫合部101(図4,13参照)を設けて縫合され、かつ、開口筒部用部位94,97側の元縁(後縁)93b,96b相互を縫合部102(図13参照)を設けて縫合されている。縫合部102は、開口筒部用部位94,97における突出筒部用部位93,96近傍の下縁94a,97a相互も縫合している。そしてさらに、シート材91の車内側部92と車外側部95との折目部位91aから離れた突出筒部用部位93,96の端縁93c,96c相互が、縫合部87を設けて縫合されている。
これらの縫合部101,102,87を設けることにより、折目部位91aで二つ折りした整流布用シート材91から、突出筒部用部位83、開口筒部用部位84、及び、整流本体部86、を備えた整流布82を形成することができる。
なお、縫合部87と縫合部101との間が、膨張用ガスを前方側へ流出させる前流出口88となり、縫合部87と縫合部102との間が、膨張用ガスを後方側へ流出させる後流出口89となる。また、折目部位91aと縫合部102との間は、インフレーター15を挿入させる開口、すなわち、整流布82の膨張用ガスの流入口85となる。
縫合部87,101,102により囲まれた整流本体部86は、流入口部31のエリアから延びて、膨張本体部26の連通部29内に配設される(図2,3,5,13参照)。整流本体部86は、整流布82の開口筒部用部位84を経て突出筒部用部位83内に流入してきた膨張用ガスGを、連通部29内で前後両側に分岐させるように、前後方向に延びる筒状に形成されている。整流本体部86は、図3,10に示すように、突出筒部用部位83の車内側パネル部83aと車外側パネル部83bとが、下縁83e,83f(整流布用シート材91の端縁93c,96c)側を連通部29内に配設させるように延設させて構成され、下縁83e,83f側相互を、縫合部87を設けて、縫合し、この縫合部87と、前後両端の上縁側の縫合部101,102とによって、整流本体部86は、前後方向に延びる筒状に形成されている。
さらに詳しくは、整流本体部86の下縁86c側の縫合部87を形成する際には、図9〜11に示すように、整流布82の下縁83e,83f側となるシート材91の端縁93c,96c側を、それぞれ、前後方向に沿う折目93e,96eを設けて、相互に内側に曲げる折返し部93f,96fを設け、重ねた折返し部93f,96fと非折返し部93d,96dとを、それぞれ、前後方向に沿う縫製ラインSLを設けつつ、縫製して、折返し縫製部93g,96gを設け、そして、折返し縫製部93g,96g相互の縫製ラインSLより端末(折目)93e,96e側相互を、縫合糸110を使用して、縫合することにより、縫合部87を形成している。
さらにまた、実施形態の場合、整流本体部86には、図11〜13に示すように、整流布82の整流本体部86の前後の前流出口周縁86aと後流出口周縁86bとに、筒状の前側部104と後側部106とを取り付けて、膨張用ガスGを前後両側に長く案内できるように構成されている。これらの前側部104と後側部106とは、略長方形の前側シート材105と後側シート材107とを、整流本体部86の前後の前流出口周縁86aと後流出口周縁86bとを包むように、折目105b,107bを付けて折り返し、上縁105a,107a側相互を、縫合部101,102により、整流布用シート材91とともに、共縫いして、配設されている。
なお、整流布用シート材91の二つ折りする折目部位91aは、内パネル用シート材71の折目71aと同様に、前後方向に延びる直線状に配設されているが、突出筒部用部位83の先縁(前縁)83c側で、折目71aから上方に離れるように、傾斜して配設されている(図10のB,図26のA参照)。この折目71aと折目91aとのずれ81は、後述する縫合部78の縫製時に、折目71aを縫目114によって囲んで、内層パネル部65の折目71a付近のガスシール性を良好にするために、設定されている。換言すれば、縫合部78が、図26のBに示すように、内パネル用シート材71からなる内層パネル部65と整流布用シート材91からなる整流布82とを共縫いしている共縫い部111と、折目71aを越えた整流布用シート材91からなる整流布82の単独縫合部112と、から構成されて、共縫い部111と単独縫合部112との境界部位113における上糸115と下糸116との縫製(ロックステッチ:本縫い)の縫目114A,114B間が、折目71aを包むように囲み、折目71a近傍の車内側パネルaと車外側パネル部66bとの内周面相互が密着されて、折目71aの良好なガスシール性が確保されることとなる。
実施形態のエアバッグ24の製造工程を説明すれば、まず、図7、図8のA,Bに示すように、内パネル用シート材71の折目部位71aの外周側に、境界部80aに折目を付けて補強用延設部80を被せ、補強用延設部80とともに、内パネル用シート材71を、折目部位71a,80bで二つ折りし、重ねた突出筒部用部位66の後縁66d相互を、縫合糸110により縫合し、縫合部79を形成して、内層パネル部65を形成する。なお、実施形態の縫合糸110による縫合(縫製)は、縫合部79に限らず、別途、言及しなければ、全て、ロックステッチ(本縫い)により、縫合している。また、縫合糸110は、ポリアミド等の合成繊維のマルチフィラメントから構成されている。
また、図9のA,Bに示すように、整流布用シート材91の車内側部92と車外側部95との端縁93c,96c側(突出筒部用部位83の下縁83e,83f側)において、折返し部93f,96fを設けて、重ねた非折返し部93d,96dと折返し部93f,96fとを、それぞれ、縫製して、折返し縫製部93g,96gを形成しておく。ついで、図10のA,Bに示すように、平らに展開した整流布用シート材91の車外側部95上に、折目部位71a,91aがそれぞれの離隔側縁65a,82a側に配置され、かつ、折目部位71aより折目部位91aが上方にずれて、前縁83c側にずれ81を設けるようにして、内層パネル部65を載せて、整流布用シート材91を、折目部位91aで二つ折りするとともに、図11のAに示すように、重ねた折返し縫製部93g,96g相互を、縫合糸110により縫合して、縫合部87を形成し、整流本体部86を形成した整流布82を形成する。
その後、図12のA,B、図13に示すように、整流本体部86の前後の前流出口周縁86aと後流出口周縁86bとに、前側シート材105と後側シート材107とを、それぞれ、折目105b,107bを付けて被せ、重ねた上縁105a,107a相互と整流布82の前縁93a,96a相互とを、縫合糸110により縫合して、縫合部101(78)を形成し、また、重ねた上縁105a,107a相互と整流布82の後縁93b,96b相互とを、縫合糸110により縫合して、縫合部102を形成すれば、整流本体部86を設けた整流布82を形成できるとともに、整流布82の内周側に、内層パネル部65を結合させたエアバッグ24のインナ部材109を形成することができる。
なお、縫合部78(101)の縫合時、図26のBに示すように、内パネル用シート材71からなる内層パネル部65と整流布用シート材91からなる整流布82とを共縫いしている共縫い部111と、折目71aを越えた整流布用シート材91からなる整流布82の単独縫合部112と、から構成されて、共縫い部111と単独縫合部112との境界部位113における上糸115と下糸116とのロックステッチ(本縫い)の縫目114A,114B間が、折目71aを包むように囲むこととなる。また、この縫合部78では、縫合糸110の端末処理として、図示していないが、前側シート材105の上縁105a側から前縁93aを下方から上昇するように縫製して縫合部78を形成しつつ、折目71aを越えた上方まで縫製した後、所定距離分、折り返すように縫製し、ロックステッチ(本縫い)の縫目114が解けないようにしている。
また、エアバッグ24のアウタ部材108を形成するように、図14のA,Bに示すように、外層パネル部47を形成する外パネル用シート材51に、折目部位51a,63a相互を重ねて、カバーパネル用シート材63を被せ、図15のA,Bに示すように、折目部位51a,63aで二つ折りするとともに、重ねた下縁48e,62d相互と、下縁48f,62e相互を上方側へ折り返して、袋織り部36の開口部40の内周側の車内側壁部37aに対して、下縁48e,62d相互を、縫合部60を設けて、縫合し、開口部40の内周側の車外側壁部37bに対して、下縁48f,62e相互を、縫合部60を設けて、縫合すれば、図16に示すように、アウタ部材108を形成することができる。
ついで、図16、図17のAに示すように、アウタ部材108における袋織り部36の開口部40を利用して、インナ部材109をアウタ部材108内に配置させる。この時、整流布82の整流本体部86を膨張本体部26の連通部29内に配置させるとともに、折目部位51aの内周側に、折目部位71a,91aを配置させつつ、外層パネル部47の突出筒部用部位48や開口筒部用部位49の内部に、内層パネル部65や整流布82の突出筒部用部位66,83や開口筒部用部位67,84を配置させる。そして、図17のB,Cに示すように、開口部40を塞ぐように、前側縫合部41と後側縫合部42とを設けて、開口部40の周縁の車内側壁部37aと車外側壁部37bとを相互に縫合するとともに、前側縫合部41の後端側の縫合部58により、外層パネル部47やカバーパネル部62の前縁48c,62b相互を縫合し、後側縫合部42の前端側の縫合部59により、外層パネル部47やカバーパネル部62の後縁48d,62c相互や下縁49c相互を縫合すれば、膨張本体部26から上方へ突出する流入口部31を形成することができる。
なお、このときの折目部位51a,91a,71aの配置関係は、詳しくは、折目部位51aの内周側に折目部位91aが、重なり(略密着し)、折目部位71aが、外周面側に補強パネル部69を重ねた状態(略密着させた状態)で、前縁48c側で、ずれ81を設けて、折目部位91aの内周側に配置されることとなる。
また、縫合部58,59は、実施形態の場合、インナ部材109における内層パネル部65や整流布82の前縁66c,83c、後縁66d,83d、及び、下縁67c,84cも共縫いしている(図4,8,10参照)。ちなみに、縫合部58,59は、内層パネル部65や整流布82の前縁66c,83c相互の縫合部101(78)、後縁66d,83d相互や下縁67c,84c相互の縫合部79,102より、外縁側にずれて配設されている(図2,4参照)。
また、流入口部31を形成する際には、内パネル用シート材71の把持片部74b,77bを、それぞれ、外層パネル部47の開口筒部用部位49の車内側パネル部49aと車外側パネル部49bとの外表面側に折り返して、それらのパネル部49a,49bに溶着させて、把持部67d,67dを形成する(図4参照)。また、エアバッグ24の上縁24a側や前縁24b側に、所定の取付部用シート材45(A〜F)を折って縫合して、各取付部44(A〜F)を形成すれば、エアバッグ24を製造することができる。
エアバッグ24を製造した後には、下縁24c側を上縁24a側に接近させるようにエアバッグ24を折り畳んで、折り崩れ防止用の破断可能な図示しないテープを巻き付けるとともに、各取付部44に取付ブラケット12を取り付け、流入口部31の開口筒部33の開口34から、インフレーター15の先端部15aを流入口部31の突出筒部32内まで挿入し、クランプ22を流入口部31の外周側からインフレーター15側に押圧するように締結して、インフレーター15を流入口部31に接続させれば、エアバッグ組付体を組み立てることができる。
そして、上記のように組み立てたエアバッグ組付体は、取付ブラケット12を組み付けた各取付部44を、ボディ1側のインナパネル2の対応する取付部位に配置させ、各取付孔44aに挿通させる等して、取付ボルト13をねじ孔に締結し、さらに、取付ブラケット19をボルト21止めし、インフレーター15をインナパネル2に固定して、ボディ1に取り付け、ついで、インフレーター15に、所定のインフレーター作動用の制御装置から延びる図示しないリード線を結線し、フロントピラーガーニッシュ4やルーフヘッドライニング5をボディ1に取り付け、さらに、中間ピラーガーニッシュ7やリヤピラーガーニッシュ8をボディ1に取り付ければ、頭部保護エアバッグ装置Sを、車両Vに搭載することができる。
頭部保護エアバッグ装置Sの車両Vへの搭載後、インフレーター15が作動すれば、膨張用ガスGが、インフレーター15のガス吐出部17のガス吐出口17aから吐出されて、エアバッグ24の流入口部31の突出筒部32内を経て、膨張本体部26側へ流れれば、エアバッグ24は、エアバッグカバー10を押し開いて、図1の二点鎖線に示すように、窓W1,W2、中間ピラー部CP、及び、リヤピラー部RPの車内側を覆うように展開膨張することとなる。
そして、実施形態のエアバッグ24では、膨張用ガスGが流入口85を経て整流布82内に流入してくる際、図18のA,Bに示すように、膨張用ガスGが、整流布82の内周面82bに沿って、縫合部87に向かうこととなる。しかし、縫合部87近傍の内周面82b側には、折返し縫製部93g,96gにおける内周面82b側に折り返された整流布用シート材91の端縁93c,96cが配設されており、それらの端縁93c,96cが、縫合部87の縫合糸110に向かう膨張用ガスGの流れに干渉して、膨張用ガスGが縫合部87の縫合糸110に直ちに当たることを防止できることから、縫合部87の縫合糸110のダメージを低減できる。そして、縫合部87は、単に、整流布用シート材91の端縁93c,96c相互をそれぞれ折り返して縫製した折返し縫製部93g,96gを、相互に縫合するだけであり、別途、テープ材を使用したり、整流布82の内周側全面を何重にも巻き回す手間も掛からないことから、簡便に、縫合部87の耐熱性を向上させることができる。
したがって、実施形態のエアバッグ24では、膨張用ガスGによる整流布82の縫合部87のダメージを、簡便に、抑制することができる。
なお、実施形態のエアバッグ24では、対向する折返し縫製部93g,96gが、折り返されて縫合される縫製ラインSLI,SLOの端末(折目)93e,96eからの位置を、相互に一致させているが、図19に示すエアバッグ24Aの整流布82Aのように、対向する折返し縫製部93g,96gが、折り返されて縫合される縫製ラインSLI,SLOの端末(折目)93e,96eからの位置を、相互にずらして、配設される構成としてもよい。
このようなエアバッグ24Aでは、整流布82Aの縫合部87の部位を折目として、対向する折返し縫製部93g,96g相互を重ねても、対向する折返し縫製部93g,96gの縫製ラインSLI,SLOが相互にずれており(図例の場合には、上下にずれて、縫製ラインSLIが縫製ラインSLOより上方の高い位置に配設されている)、厚くさせないことから、エアバッグ24を平らに展開せて折り畳む際、整流布82Aを嵩張らせずに平らに展開できることができて、エアバッグ本体25Aとともに円滑に整流布82Aを折り畳むことができる。
なお、図例のエアバッグ24Aでは、車内側Iの折返し縫製部93gの縫製ラインSLIが、車外側Oの折返し縫製部96gの縫製ラインSLOより、端末93e,96eからの離隔距離を長くして上方へずらしているが、逆の構成としてもよい。
また、実施形態のエアバッグ24では、整流布82が流入口85から流入させた膨張用ガスGを、エアバッグ本体25における膨張本体部26の連通部29内において、前側膨張部27側と後側膨張部28側との前後両側に流出させるように、前後両側の流出口88,89から流出させるように構成した。しかし、図20〜23に示すエアバッグ24Bのエアバッグ本体25B内に配設させる整流布82Bのように、折返し縫製部93n,96nの端末93k,96k相互の間に、膨張用ガスGを流出可能な端末側流出口90を配設させる構成としてもよい。これらの折返し縫製部93n,96nは、それぞれ、端末側流出口90の開口周縁部位93i,96iを折り返され、かつ、折り返された開口周縁部位93i,96iを縫合糸110により縫合して、形成されている。なお、このエアバッグ24Bでは、端末側流出口90の下方位置には、端末側流出口90からの膨張用ガスを流入させて膨張する膨張部位が、配設されている。
そして、この整流布82Bの整流布用シート材91Bでは、図20のAに示すように、車内側部92と車外側部95との端縁93c,96c側の前後方向の中央付近に、円形の開口93h,96hを設けた半円形状の開口周縁部位93i,96iが端縁93c,96cから突設されている。円形の開口93h,96hは、それらの中心位置を端縁93c,96cに一致させている。そして、図20のA,Bに示すように、開口周縁部位93i,96iを、端縁93c,96cと一致する位置に、折目93k,96kを付けて、開口周縁部位93i,96iを整流布82Bの内周面82b(図22参照)側に折り返し、折り返した折返し部93m,96mと非折返し部93j,96jとを重ねた部位を、縫合糸110により、縫合して折返し縫製部93n,96nを形成している。この折返し縫製部93n,96nの縫製ラインSLO,SLIは、開口93h,96hを囲むような略半円形のラインとしている。
その後、図21のA,Bに示すように、内層パネル部65をセットして、折目91aを付けて整流布用シート材91Bを二つ折りし、重ねた折返し縫製部93n,96n相互と端縁93c,96c相互と、端縁93c,96cに沿った縫合ラインを設けて、縫合糸110により、縫合部87,99を形成すれば、整流布82Bを形成することができる。なお、縫合部87は、重ねた折返し縫製部93n,96n相互を縫合した部位であり、縫合部99は、重ねた端縁93c,96c相互を縫合した部位である。
その後、実施形態と同様に、図示しない前側部104と後側部106とを設けつつ、縫合部101,102を設けて、インナ部材109を形成し、別途、準備しておいたアウタ部材108とインナ部材109とを組み付けて取付部44を取り付ければ、エアバッグ24Bを形成することができる。そして、実施形態のエアバッグ24と同様に、折り畳んで、インフレーター15等を組み付けて、エアバッグ装置Sとして、車両に搭載すればよい。
このエアバッグ24Bでも、膨張用ガスGがインフレーター15から吐出されれば、整流布82B内の端末側流出口90の周縁部位では、図22のA,Bや図23のA,Bに示すように、膨張用ガスGが、整流布82の内周面82bに沿って、縫合部87に向かうこととなる。しかし、縫合部87近傍の内周面82b側には、折返し縫製部93n,96nにおける内周面82b側に折り返された折返し部93m,96mの端縁93mc,96mcが配設されており、それらの端縁93mc,96mcが、端末側流出口90の周縁における縫合部87の縫合糸110に向かう膨張用ガスGの流れに干渉して、膨張用ガスGが端末側流出口90の周縁における縫合部87の縫合糸110に直ちに当たることを防止できることから、端末側流出口90の周縁における縫合部87の縫合糸110のダメージを低減できる。そして、縫合部87は、単に、開口周縁部位93i,96i相互をそれぞれ折り返して縫製した折返し縫製部93n,96nを、相互に縫合するだけであり、別途、テープ材を使用したり、整流布82Bの内周側全面を何重にも巻き回す手間も掛からないことから、簡便に、縫合部87の耐熱性を向上させることができる。
さらに、このエアバッグ24Bでは、整流布82Bに設けられた端末側流出口90の周縁が、折返し縫製部93n,96nの非折返し部93j,96jと折返し部93m,96mとの2枚重ねとなって補強され、耐熱性を向上できることから、高温の膨張用ガスGが端末側流出口90を通過しても、端末側流出口90の周縁が破損せず、端末側流出口90から円滑に膨張用ガスを流出させることができる。
なお、膨張用ガスGに関し、このエアバッグ24Bの整流布82Bでは、膨張用ガスGは、流入口85から流入されて、前後の流出口88,89と端末側流出口90とから流出することとなる。
また、端末側流出口90の周縁だけに、折返し縫製部93n,96nを設けるのでなく、図24,25に示すエアバッグ24Cのエアバッグ本体25C内に配設する整流布82Cのように、端縁93c,96c側の全域に、折返し縫製部を設けてもよい。すなわち、整流布用シート材91Cは、図24のA,Bに示すように、端縁93c,96c側の開口周縁部位93i、96iを含めた全体を、開口93h,96hの中心を通る位置に折目93e,96eを付けて、折り返し、折返し部93f,96f,93m,96mを非折返し部93d,96d,93j,96jに重ねて、重ねた部位相互を縫合して、折返し縫製部93g,96g,93n,96nを形成し、ついで、図25のA,Bに示すように、折目91aを付けて二つ折りし、重ねた折返し縫製部93g,96g相互、折返し縫製部93n,96n相互を縫合して、縫合部87を形成すれば、整流布82Cを形成でき、その後、実施形態と同様に、前側部104や後側部106を設けつつ縫合部101,102を設けて、インナ部材109を形成し、ついで、アウタ部材108と組み付けて、エアバッグ24Cを形成すればよい。
なお、エアバッグの整流布としては、折返し縫製部93n,96nは、図20〜23に示すエアバッグ24Bの整流布82Bのように、耐熱性が望まれる端末側流出口90の周縁部位に、部分的に配設させるだけでも良いが、図24,25に示すエアバッグ24Cの整流布82Cのように、縫合部87の全長にわたって、折返し縫製部93g,96g,93n,96nが配設されていてもよい。
勿論、端末側流出口90が設けられなくとも、前後両側に流出口88,89が設けられた整流布82,82A、あるいは、流入口から流出口まで一本の筒形状とされた整流布において、整流布用シート材の端縁側相互を縫合して、整流布が形成される場合には、その縫合部の強度をあげたい部位にだけ、部分的に折返し縫製部を設け、その折返し縫製部相互を縫合するように構成してもよいし、あるいは、その縫合部の全長にわたって、折返し縫製部を相互に重ねて縫合するように構成してもよい。
また、実施形態のエアバッグ24では、整流布82が、流出口88,89を有し、かつ、折返し縫製部93g,96gの端末93e,96e相互の縫合部87を有して、エアバッグ本体25内に配設される整流本体部86と、整流本体部86から延びる筒状の突出筒部用部位83と、突出筒部用部位83の先端から屈曲して延び、端部側に、流入口85を有して、膨張用ガスを吐出するインフレーター15を挿入させる筒状の開口筒部用部位84と、を備えて構成されている。そして、整流本体部86から離れた突出筒部用部位83と開口筒部用部位84との離隔側縁82aに、折目91aが付けられて整流布用シート材91が二つ折りされ、重ねた周縁83c,83d,84c,86c相互が、流入口85と流出口88,89との部位を除いて縫合されて、整流布82が形成される構成としている。さらに、整流布82の開口筒部用部位84と突出筒部用部位83との内周側に、内層パネル部(耐熱性を向上させる補強パネル部ともいえる)65が配設されている。内層パネル部65は、内パネル用シート材71を、整流布用シート材91の折目91aの内周側で、折目71aを付けて二つ折りし、少なくとも、折目71aから延びる流入口85から離れた先縁66c側の重ねた先縁73a,76a相互を、二つ折りした整流布用シート材91と共縫いして、形成される構成としている。そして、内パネル用シート材71の折目71aが、流入口85から離れた先縁(前縁)73a,76a側において、整流布用シート材91の折目91aから整流本体部86側にずれて配設されて、二つ折りした整流布用シート材91における流入口85から離れた先縁93a,96a側の縫合部78が、二つ折りした内パネル用シート材71の折目71aを越えて、二つ折りした整流布用シート材91だけの部位まで、縫目114を設ける縫製により、形成されている。
そのため、実施形態では、図26のA,Bに示すように、内層パネル部65における流入口85から離れた先縁66c(73a,76a)側の縫合部78が、整流布82の先縁83c(93a,96a)側と共縫いされるとともに、内パネル用シート材71の折目71aを越えて、整流布用シート材91だけの部位まで、延設されている。すなわち、内パネル用シート材71の先縁73a,76a側では、二つ折りした先縁73a,76a相互が、折目71aを跨ぐ縫製により、折目71aから離れた部位(下縁66e,66f)から折目71aを越えて、縫いきられており、先縁66c側の折目71a自体が気密性を確保できるように縫目114A,114B間の縫合糸110に包まれ、かつ、それらの縫目114から連なって、整流本体部86側へ縫製されており、内層パネル部65が、折目71a近傍の先縁66c側のガスシール性を良好としている。そのため、流入口85から流入する膨張用ガスが内層パネル部65の先縁66c側に向かって流れてきても、漏れることを抑制して、膨張用ガスGを整流本体部86側に流すことができる。
換言すれば、縫合部78が、内パネル用シート材71からなる内層パネル部65と整流布用シート材91からなる整流布82とを共縫いしている共縫い部111と、折目71aを越えた整流布用シート材91からなる整流布82の単独縫合部112と、から構成されて、共縫い部111と単独縫合部112との境界部位113における上糸115と下糸116とのロックステッチ(本縫い)の縫目114A,114B間が、折目71aを包むように囲み、折目71a近傍の内側パネル部66aと車外側パネル部66bとの内周面相互が密着されて、折目71aの良好なガスシール性が確保されることとなる。
ちなみに、単に、二つ折りした整流布用シート材の内周側に、二つ折りした内パネル用シート材とを重ねて、折目相互を密着させて、流入口から離れた先縁側相互を縫合させても、折目の外縁側まで縫いきることができず、折目近傍の折目の内周側に隙間が空き、ガス漏れを生じさせてしまう。
そして、このような構成では、整流布用シート材91を当て部材とすれば、内層パネル部65自体をエアバッグ部材として構成し、折目71a近傍の重ねた縁(先縁)73a,76a相互のガスシール性を良好にすることもできる。
例えば、図27のAに示すエアバッグ部材としての膝保護用のエアバッグ120では、可撓性を有したエアバッグ用のシート材121が二つ折りされ、重なった外周縁123a,124a相互が縫合されて縫合部128が形成されるとともに、二つ折りの折目122から縫合部128が延びて、折目122と縫合部128とから対向するように延びる対向壁部としての車体側部123と室内側部124との相互が、膨張用ガスの流入時に離隔するように膨らむ構成となる。そして、縫合部128が、車体側部123と室内側部124との少なくとも一方、図例では、車体側部123の外表面側に、可撓性を有したシート材からなる当て部材126を配設されて、折目122から離れて重なったシート材121(車体側部123及び室内側部124)と当て部材126との部位(重ね部位)125から、折目122を越えた当て部材126だけの部位まで、縫目132を設ける縫製(ロックステッチ)により、形成されている。
なお、このエアバッグ120では、図27のAの二点鎖線に示すように、折目122から離れた下縁120a側の内部に膨張用ガスを吐出するインフレーター135が配設され、膨張完了時、折目122側が車室内側の上方に突出して、室内側部124の側で、運転者や助手席搭乗者の乗員の膝を受け止めて保護することとなる。
このような構成のエアバッグ(エアバッグ部材)120では、エアバッグ用のシート材121を二つ折りして、折目122から延びた車体側部123と室内側部124との重ねた縁123a,124a相互を縫合する際に、当て部材126を当てて、折目122を越える縫目132Bを設けて、縫いきることができる。そのため、膨張用ガスが流入して、折目122から延びる対向壁部としての車体側部123と室内側部124との相互が離隔するように膨らんでも、折目122近傍が、図27のBに示すように、縫目132A,132B間の縫合糸110に包まれて、良好なガスシール性を確保できることから、折目122近傍からの膨張用ガスの漏れを円滑に抑制できる。
換言すれば、縫合部128が、シート材121と当て部材126とを共縫いしている共縫い部129と、折目122を越えた当て部材126の単独縫合部130と、から構成されて、共縫い部129と単独縫合部130との境界部位131における上糸115と下糸116とのロックステッチ(本縫い)の縫目132A,132Bが、折目122を包むように囲み、折目122近傍の車体側部123と室内側部124との内周面相互が密着されて、折目122の良好なガスシール性が確保されることとなる。
図例のエアバッグ120では、当て部材126を、車体側部123の外表面側だけに配置したが、室内側部124の外表面側にも配設してもよい。その際、一枚の当て部材126を二つ折りし、折られた二枚の当て部材126を、それぞれ、車体側部123と室内側部124との外表面側に配置してもよい。
また、上記のように、折目を設けて二つ折りした外周縁相互を、当て部材を当てつつ、折目を越えて縫いきって形成するエアバッグ部材としては、膨張完了時の外周壁に折目122と当て部材126とが配設されるエアバッグ120ばかりでなく、折目付近のガスシール性を確保する必要があれば、エアバッグの内部に配設される整流布やインナチューブ等を上記のエアバッグ部材として、構成してもよい。
なお、実施形態では、整流布を備えたエアバッグとして、頭部保護エアバッグ装置Sのエアバッグ24を例示したが、エアバッグが、エアバッグ本体内に整流布を配設させて、その整流布が、整流布用シート材の端縁側相互を縫合して形成される構成であれば、本発明を実施することができ、例えば、カーテンエアバッグでなくとも、運転席用エアバッグ、助手席用エアバッグ、歩行者保護エアバッグ、あるいは、膝保護エアバッグ等に本発明を適用してもよい。