(第1実施形態)
第1実施形態の空調制御システム1について、図1〜図6を参照しながら説明する。空調制御システム1は、例えば、車両10と、携帯端末20と、サーバ装置30とを備える。空調制御システム1は、車両10の車室内の空調を行う車両用空調装置15の作動を制御することができる。特に空調制御システム1は、乗員が車両10に乗車する前に車室内を空調するプレ空調の実行を制御する。
車両10には、測位部22と、無線通信部21と、DCU13と、空調ECU14と、車両用空調装置とが搭載されている。車両10は、走行駆動源としてのモータおよびこのモータに対して電力を供給するバッテリを搭載している。車両10は、例えばモータのみを走行駆動源とする電気自動車、モータと内燃機関の両方を走行駆動源として利用するハイブリッド車およびプラグインハイブリッド車等である。車両用空調装置15は、例えばヒートポンプサイクルを備える。車両用空調装置15は車室内の空調を実現するための各種の空調機能部品によって構成される。例えば、車両用空調装置15は、内外気を切り替える内外気切替ドア、送風するためのブロワ、電動コンプレッサやエバポレータ、コンデンサなどで構成された空気の冷却、加熱を行うためのヒートポンプサイクルユニットなどで構成される。車両用空調装置15は、上述のバッテリからの電力を利用して駆動される。
測位部12は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機と慣性センサとを備える。GNSS受信機は、GNSSを構成する測位衛星が送信する測位信号を受信する受信機である。GNSS受信機は、GPS、GLONASS、Galileo、IRNSS、QZSS、Beidou等の衛星測位システムのうちで、少なくとも1つの衛星測位システムの各測位衛星から、測位信号を受信可能である。慣性センサは、車両10の角速度を計測するジャイロセンサや、車両10の加速度を計測する加速度センサである。測位部12は、GNSS受信機による測位信号と慣性センサによる計測結果との組み合わせにより自装置の位置、ひいては自装置が搭載された車両10の位置を逐次決定する。すなわち測位部12は、車両10の位置を特定する機能を有する。測位部12は、得られた車両位置情報を無線通信部21からサーバ装置30へと送信可能である。
無線通信部11は、インターネット、携帯電話網等の公衆回線網および基地局を介してサーバ装置30および携帯端末20と無線通信を行う。無線通信部11は、サーバ装置30および携帯端末20と相互通信可能である。または、携帯端末20とは直接通信を行わない構成であってもよい。
DCU13および空調ECU14は、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を備えるマイクロコンピュータを主なハードウェア要素として備える。記憶媒体は、コンピュータによって読み取り可能な所定のプログラムを非一時的に記憶する非遷移的実体的記憶媒体である。記憶媒体は、半導体メモリまたは磁気ディスクなどによって提供されうる。DCU13および空調ECU14は、記憶媒体に記憶された各種のプログラムをCPU等のプロセッサによって実行することで、各種制御処理を実施する機能を有する。DCU13および空調ECU14は、それぞれ車両10に搭載された複数のECU(Electronic Control Unit)のうちの1つである。
DCU13(Domain Control Unit)は、対応するドメインに属する車載装備の制御を統括する制御装置である。一般的にDCU13は車両10に複数搭載されている。図2に示すDCU13は、特に車両用空調装置が属するドメインにおける車載装備の制御を統括するDCUである。DCU13は、空調ECU14と通信可能に接続され、空調ECU14に対して所定の指示信号を送信することができるように構成されている。DCU13は、空調ECU14よりも上位のECUであるということもできる。DCU13は、サーバ装置30から送信されたプレ空調の開始指示もしくは解除指示を空調ECU14へと送信する。
空調ECU14は、車両用空調装置15を制御する制御装置である。空調ECU14は、車両用空調装置におけるブロワ、コンプレッサ、エアミックスドア、内外気切替ドア、吹出口切替ドア等を制御する。空調ECU14は、車両10に乗員が乗車する前、イグニッションスイッチがOFFの状態でも車両用空調装置15を制御して空調を実行することができる。空調ECU14は、プレ空調の実行開始または実行中のプレ空調の解除を、DCU13からの指示を受けて実行する。空調ECU14は、「空調制御部」に相当する。
次に携帯端末20について説明する。携帯端末20は、無線通信部21と、制御部23と、タッチパネル24とを備える。携帯端末20は、乗員が持ち運び可能な通信デバイスである。携帯端末20は、例えばスマートフォン、ウェアラブルデバイス、タブレット端末等、車両10を利用する乗員が所有する通信デバイスによって提供することができる。携帯端末20は、電子キーやスマートキー等の車両10ドアの施解錠の許可を行う機能を有する通信端末によって提供されてもよい。無線通信部21は、車両10の無線通信部11と同様に公衆回線網および基地局を介してサーバ装置30と無線通信を行う。測位部は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機を備える。測位部22は、GNSS受信機による測位信号に基づいて携帯端末20の位置を決定する。すなわち測位部22は、携帯端末20の位置を特定する機能を有する。測位部22は、得られた端末位置情報を無線通信部からサーバ装置30へと送信可能である。携帯端末20は乗員が持ち運ぶので、端末位置情報は乗員の位置情報とみなすことができる。
タッチパネル24は、表示部とタッチ入力部とを備える。表示部は、視覚情報を表示するためのディスプレイである。表示部は、視覚情報の形式で乗員に所定の情報を報知する報知部であるということもできる。タッチ入力部は、ディスプレイと一体的に構成され、ディスプレイの表示面に乗員の指等の操作体が接触してタッチ入力を行った場合に、タッチ入力の位置情報を制御部に出力する。タッチ入力部は、乗員が起こす動作の一種であるタッチ入力を検出する動作検出部であるということもできる。
制御部23は、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を備えるマイクロコンピュータを主なハードウェア要素として備える。記憶媒体は、コンピュータによって読み取り可能な所定のプログラムを非一時的に記憶する非遷移的実体的記憶媒体である。記憶媒体は、半導体メモリまたは磁気ディスクなどによって提供されうる。制御部は、記憶媒体に記憶された各種のプログラムをCPU等のプロセッサによって実行することで、各種制御処理を実施する機能を有する。
制御部23は、機能ブロックとして、開始確認通知部23aと、停止確認通知部23bと、入力結果送信部23cとを備える。制御部23は、これらの機能を、例えば乗員が所有する携帯端末20にインストールされたアプリケーションを実行することによって発揮する。開始確認通知部23aは、サーバ装置30から送信された開始確認通知指示に基づいて、プレ空調開始の許可の確認を通知する。制御部23は、例えばタッチパネル24に所定の視覚情報を表示させることでこの通知を実行する。
停止確認通知部23bは、サーバ装置30から送信された停止確認通知指示に基づいて、プレ空調停止の許可の確認を通知する。制御部23は、例えば開始確認通知と同様にタッチパネル24に所定の視覚情報を表示させることでこの通知を実行する。
入力結果送信部23cは、開始確認通知および停止確認通知に対して乗員が実行した操作の結果をサーバ装置30に対して送信する。入力結果送信部23cは、例えばタッチパネル24に対してなされた入力操作の結果を送信する。
次にサーバ装置30について説明する。サーバ装置30は、無線通信部31と、制御部33と、データ格納部32とを有する。サーバ装置30は、例えば管理センタに設置されたホストコンピュータによって提供される。サーバ装置30は、1台のコンピュータまたは複数のコンピュータによって構成される。無線通信部31は、インターネット、携帯電話網等の公衆回線網および基地局を介して車両10および携帯端末20と無線通信を行う。無線通信部31は、車両10および携帯端末20と相互通信可能である。
データ格納部32は、無線通信部31が受信したデータ、制御部33による演算処理結果等を記憶して蓄積する記憶装置である。データ格納部32は、例えば乗員の行動パターンをデータとして蓄積する。より具体的な例としては、データ格納部32は、乗員が平日何時に出社して何時に帰宅するかといった定常的な行動のスケジュール、またその場合にどのような経路で出発地から目的地まで車両10を運転するかといった経路情報等をデータとして記憶する。
制御部33は、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を備えるマイクロコンピュータを主なハードウェア要素として備える。記憶媒体は、コンピュータによって読み取り可能な所定のプログラムを非一時的に記憶する非遷移的実体的記憶媒体である。記憶媒体は、半導体メモリまたは磁気ディスクなどによって提供されうる。制御部は、記憶媒体に記憶された各種のプログラムをCPU等のプロセッサによって実行することで、各種制御処理を実施する機能を有する。
制御部33は、乗車推定部33aとしての機能を有する。制御部33は、距離算出部33b、距離判定部33c、開始確認通知指示部33d、停止確認通知指示部33eとしての機能を有する。制御部33は、入力結果取得部33f、プレ空調開始指示部33g、プレ空調停止指示部33hとしての機能を有する。
乗車推定部33aは、乗員が車両10に乗車するか否かを推定する。乗員が乗車するか否かは、例えばデータ格納部32に記憶された乗員の行動パターン、携帯端末20から受信した端末位置情報、車両10から受信した車両位置情報等に基づいて推定される。すなわち、普段の乗員の乗車前の行動パターンと実質的に一致するような行動パターンが観測された場合に、乗員が乗車すると推定する。
より具体的な例としては、乗員の出勤時刻が近づいている状態で、乗員が自宅に駐車された車両10に向かって移動しているとみなせる場合には、乗員が出社するために確実に車両10に乗車すると判定できる。このように、乗員の定常的な車両使用の予定時刻が近づいている際に乗員が車両10に接近していることを検知した場合には、乗員が確実に車両10に乗車すると判定することができる。乗員の定常的な車両使用の予定時刻は、データ格納部32に記憶された乗員の移動情報から推定することができる。または、乗員が予め携帯端末20等を介して予定時刻を入力する構成であってもよい。乗員が車両10に接近していることは、端末位置情報と車両10位置情報とから判定することができる。例えば、端末と車両10との間の距離が所定値を下回った場合に乗員が車両10に接近していると判定する。このとき、端末位置情報および車両10位置情報の少なくとも一方が定常的な位置情報のパターンと異なる場合には、乗員の乗車が不確実であると判定する構成にしてもよい。この構成にすることで、乗員が出張や旅行等の普段と異なる行動をした場合に、乗車が確実であると判定することを回避できる。
または、例えば普段乗員が駐車した車両10に向かって移動する場合に通る移動経路と実質的に同一の経路を通って移動しているとみなせる場合には、乗員が確実に乗車すると推定できる。
乗車推定部33aは、普段の乗員の乗車前の行動パターンと実質的に一致するような行動パターンが観測されていない間、乗員が乗車するか否かが不確実であると推定する。
距離算出部33bは、携帯端末20と車両10との間の現在距離Lnowを算出する。距離算出部33bは、携帯端末20から送信された端末位置情報と、車両10から送信された車両位置情報から、携帯端末20と車両10との直線距離として算出される。
距離判定部33cは、距離算出部33bで算出した距離Lnowが、閾値Lsを下回っているか否かによって乗員が車両10に接近しているか否かを判定する。換言すれば、距離Lnowが、閾値Ls以内になったか否かを判定する。閾値Lsは、例えば制御部33に予め設定された乗員と車両10との間の直線距離である。閾値Lsは、例えば、プレ空調に必要な時間に基づいて求められる。ここでプレ空調に必要な時間とは、車室内に乗り込んだ際に乗員が不快感を覚えることを回避可能な温度に内気温が到達するために必要なプレ空調の時間である。距離判定部33cは、乗員が車両10に所定距離以内に接近しているか否かを判定する接近判定部であるということができる。第1実施形態においては閾値Lsが「所定距離」に相当する。また、距離判定部33cは、距離Lnowが閾値Lsを上回っているか否かを判定して、乗員が車両10から離間しているか否かを判定する。したがって、距離判定部33cは、乗員が車両10から離間しているか否かを判定する離間判定部であるということもできる。
プレ空調に必要な時間の決め方の一例について説明する。例えばプレ空調を夏季に実施する場合を考えると、車室内に乗り込んだ際に乗員が暑さによる不快感を覚えることを抑制するには、車室内温度(以下、内気温と表記)が外気温と同等以下であることが望ましい。したがって、乗員が乗車するまでにプレ空調によって内気温を外気温と同等な温度に到達させるのに必要な時間を、上述の必要な時間として定めることができる。より具体的な例としては、外気温が35℃で日射が届く環境に車両10を駐車すると、20〜30分程度で内気温は50℃まで上昇する。この状態でプレ空調を開始し、内気温が外気温と同等、すなわち35℃まで下がるには、3分程度の時間が必要となる。以上により、夏季のプレ空調に必要な時間として、3分を設定することができる。また、冬季の場合、乗員が乗車するまでにプレ空調によって内気温を外気温よりも所定温度だけ高い温度、例えば外気温よりも10度高い温度に到達させるのに必要な時間を、プレ空調に必要な時間としてあらかじめ定めればよい。
すなわち閾値Lsは、上述のように定められたプレ空調に必要な時間と、乗員の歩行速度とを用いて算出することができる。乗員の歩行速度は、人の平均歩行速度とすることができる。または、乗員の平均歩行速度を携帯端末20等によって収集する乗員の歩行データから算出してもよい。例えばプレ空調に必要な時間を上述の3分、乗員の歩行速度を4km/hとすると、閾値Lsは200mと設定できる。または、プレ空調に必要な時間は車両10のバッテリの残量から算出されるプレ空調が可能な時間でもよい。または、乗員が予め携帯端末20等を介して設定した所望のプレ空調実行時間をプレ空調に必要な時間としてもよい。プレ空調に必要な時間は、空調制御システム1が演算により適宜変更可能な時間でもよく、固定値として予め設定された時間でもよい。
開始確認通知指示部33dは、携帯端末20に対して、プレ空調の開始を乗員に確認するための開始確認通知を行うことを指示する通知指示信号を出力する。停止確認通知指示部33eは、携帯端末20に対して、プレ空調の解除を乗員に確認するための停止確認通知を行うことを指示する通知指示信号を出力する。
入力結果取得部33fは、携帯端末20に表示されるプレ空調の開始確認通知、停止確認通知に対して乗員が行った操作の結果を取得する操作結果取得部である。すなわち、プレ空調の開始確認通知に対して、乗員が開始を許可する旨の操作を行った場合、この操作が実行されたという結果の情報を入力結果送信部23cから無線通信を介して取得する。また、乗員が開始を禁止する旨の操作を行った場合にも、この操作が実行されたという結果の情報を取得する。さらに入力結果取得部33fは、プレ空調の停止確認通知に対して、乗員が停止を許可する旨の操作を行った場合、および停止を禁止する旨の操作を行った場合に、これらの操作が実行されたという結果の情報を入力結果送信部23cから取得する。
プレ空調開始指示部33gは、プレ空調を開始する指示を無線通信部31から車両10に対して送信する。プレ空調開始指示部33gは、入力結果取得部33fにおいて乗員がプレ空調の開始を許可する旨の操作を行った結果が取得された際に、プレ空調を開始する指示を送信する。
プレ空調停止指示部33hは、プレ空調を停止する指示を無線通信部31から車両10に対して送信する。プレ空調停止指示部33hは、入力結果取得部33fにおいて乗員がプレ空調の停止を許可する旨の操作を行った結果が取得された際に、プレ空調を停止する指示を送信する。
次に、空調制御システム1が実行する処理の一例について図3のフローチャートを参照しながら説明する。空調制御システム1は、図3のフローチャートの処理を、携帯端末20の電源が投入されている場合に実行する。
まず空調制御システム1は、ステップS10で乗員が車両10に乗車すると推定できるか否かを判定する。ステップS10で乗員が車両10に乗車すると推定できると判定された場合には、ステップS50へと進み、プレ空調の実行を開始する。すなわち、サーバ装置30の制御部33から車両10に対してプレ空調の開始指示を送信する。開始指示はDCU13へと送信され、開始指示を受けたDCU13はさらに空調ECU14にプレ空調の開始指示を送信する。空調ECU14は、開始指示に従って車両用空調装置を作動させ、プレ空調を実行する。ステップS10、ステップS50の処理によって、乗員が乗車すると推定できる場合には、後述の通知をすることなくプレ空調を実行することができる。
一方でステップS10にて乗員の乗車が推定できない場合、換言すればステップS10にて乗員の乗車が不確実であると推定される場合には、ステップS20へと進む。ステップS20では、乗員と車両10との距離Lnowが設定された閾値Lsを下回っているか否かを判定する。
乗員と車両10との距離Lnowは、端末位置情報および車両位置情報から算出される。距離Lnowが閾値Lsを上回っていると判定されている間は、ステップS35へと進む。ステップS35では、既にプレ空調の開始確認通知を実行中の場合には通知を中断し、非表示とする処理を実行し、ステップS20へと戻る。プレ空調の開始確認通知を実行していない場合には通知をしていない状態のままステップS20へと戻る。すなわち距離Lnowが閾値Lsを上回っていると判定されている間は、プレ空調の開始確認通知を行わないままステップS20の判定を繰り返す。距離Lnowが閾値Lsを下回っていると判定された場合には、プレ空調を開始してよい距離まで乗員が車両10に接近していると判断できるため、ステップS30へと進む。
ステップS30では、プレ空調を開始するか否かを乗員に確認する開始確認通知を行う。すなわち、制御部33の開始確認通知指示部33dは、携帯端末20に対して開始確認通知の実行を指示する指示信号を無線通信部31から携帯端末20に発信する。携帯端末20の開始確認通知部23aは、無線通信部31にて受信された指示信号により、タッチパネル24に対して開始確認通知を表示させる制御を実行する。また、既に開始確認通知を実行中の場合は、通知を継続する。
具体的には、例えば図5に示すように、タッチパネル24にプレ空調を開始するか否かを問う旨のメッセージM1と、仮想ボタンとを視覚情報として表示する。仮想ボタンとは、タッチ入力することでプレ空調を許可する旨を指示可能な仮想ボタンB1と、タッチ入力することでプレ空調の実行を禁止する旨を指示可能な仮想ボタンB2である。開始確認通知は、視覚情報に加えて通知音等の聴覚情報、携帯端末20の振動等を伴ってもよい。開始確認通知を実行すると、ステップS40へと進む。
ステップS40では、乗員がプレ空調の開始を許可したか否かを判定する。すなわち、開始確認通知に対してプレ空調開始を許可する所定の動作を乗員が実行したか否かを判定する。例えば、図5に示す仮想ボタンB1をタッチ入力した場合に、制御部23の入力結果送信部23cが、プレ空調開始の許可操作が入力されたという許可操作情報を、サーバ装置30へと送信する。サーバ装置30は、入力結果取得部33fにて許可操作情報を取得することで、乗員がプレ空調の開始を許可したと判断できる。
ステップS40で乗員が開始を許可したと判定された場合には、ステップS50へと進み、プレ空調を開始する。すなわち、プレ空調開始指示部33gが、DCU13に対してプレ空調の開始指示を送信する。DCU13は、受信した開始指示を空調ECU14へと送信する。DCU13から開始指示を受信した空調ECU14は、車両用空調装置15を作動させ、プレ空調を開始する。
一方で、ステップS40において乗員がプレ空調を許可していないと判定された場合にはステップS45へと進む。ステップS45では、乗員がプレ空調の開始を禁止したか否かを判定する。換言すれば、開始確認通知に対してプレ空調開始を禁止したと判断できる所定の操作を乗員が携帯端末20に対して実行したか否かを判定する。例えば、図5に示す仮想ボタンB2をタッチ入力した場合に、制御部23の入力結果送信部23cが、プレ空調開始の禁止操作が入力されたという禁止操作情報を、サーバ装置30へと送信する。サーバ装置30は、入力結果取得部33fにて禁止操作情報を取得することで、乗員がプレ空調の開始を禁止したと判断できる。
ステップS45で乗員がプレ空調の開始を禁止したと判定されると、ステップS47へと進む。ステップS47では、距離Lnowが閾値Lsを上回っているか否かを判定する。距離Lnowが閾値Lsを上回っていると判定されると、乗員が車両から離れたので、ステップS20、ステップS35と進み、プレ空調の開始確認通知を非表示にする。
一方ステップS47で距離Lnowが閾値Lsを下回っていると判定されている間は、ステップS47の判定を繰り返す。これにより、開始禁止操作が実行されると、乗員と車両との間の距離Lnowが閾値Lsを下回っている間は、プレ空調を実行しない。ステップS47の判定を繰り返している間に乗員が乗車した場合は、図3のフローチャートの処理を終了する。すなわち、乗員の意思に基づいてプレ空調が乗車前に実行されないことになる。
一方で、ステップS45にてプレ空調の開始を禁止していないと判定された場合には、乗員がプレ空調開始を許可する操作も禁止する操作も行っていないため、再びステップS20に戻る。これにより、距離Lnowが閾値Lsを下回っている間開始許可操作も開始禁止操作も実行されない場合、プレ空調の開始確認通知を表示し続ける。のこれにより、乗員が開始確認通知に対してプレ空調の開始を許可する、または禁止するといういずれかの操作を行うまで、携帯端末20に開始確認通知を表示し続ける。
ステップS40で開始許可操作が実行されるとステップS50へと進み、プレ空調を開始する。プレ空調を開始すると、ステップS60へと進む。ステップS60では、乗員と車両10との間の距離Lnowが、閾値Lsを上回ったか否かを判定する。閾値Lsを上回っていないと判定されている間は、ステップS75へと進む。ステップS75では、既にプレ空調の停止確認通知を実行中の場合には通知を中断し、非表示とする処理を実行し、ステップS60へと戻る。プレ空調の停止確認通知を実行していない場合には通知をしていない状態のままステップS60へと戻る。すなわち距離Lnowが閾値Lsを上回っていると判定されている間は、プレ空調の停止確認通知を行わないままステップS60の判定を繰り返す。換言すれば、距離Lnowが閾値Lsを上回っていないと判定されている間は、乗員が車両10に接近しているとみなし、プレ空調を実行し続ける。一方で、ステップS60で閾値Lsを上回ったと判定された場合には、ステップS70へと進む。
ステップS70では、プレ空調を解除するか否か、換言すればプレ空調を停止するか否かを乗員に確認する停止確認通知を行う。このとき、開始確認通知と同様に、サーバ装置30における制御部33の停止確認指示部33eが、携帯端末20に対して通知指示が送信する。そして携帯端末20における制御部23の停止確認通知部23bが、受信した通知指示を受けてタッチパネル24に対して停止確認通知を表示させる制御を実行する。
具体的には、例えば図6に示すように、タッチパネル24にプレ空調を解除するか否かを問う旨のメッセージM2と、仮想ボタンとを視覚情報として表示する。仮想ボタンとは、タッチ入力することでプレ空調を解除する旨を指示可能な仮想ボタンB3と、タッチ入力することでプレ空調の解除を禁止する旨を指示可能な仮想ボタンB4である。停止確認通知は、視覚情報に加えて通知音等の聴覚情報、携帯端末20の振動等を伴ってもよい。停止確認通知を実行すると、ステップS80へと進む。
ステップS80では、乗員がプレ空調の解除を許可したか否かを判定する。すなわち、停止確認通知に対してプレ空調解除を許可する所定の動作を乗員が実行したか否かを判定する。例えば、図6に示す仮想ボタンB3をタッチ入力した場合に、制御部23の入力結果送信部23cが、プレ空調停止の許可操作が入力されたという許可操作情報を、サーバ装置30へと送信する。サーバ装置30は、入力結果取得部33fにて許可操作情報を取得することで、乗員がプレ空調の停止を許可したと判断できる。乗員がプレ空調の解除を許可していないと判定された場合にはステップS85へと進む。
ステップS85では、乗員がプレ空調の解除を禁止したか否かを判定する。換言すれば、停止確認通知に対してプレ空調解除を禁止したと判断できる所定の動作を乗員が実行したか否かを判定する。例えば、図6に示す仮想ボタンB4をタッチ入力した場合に、制御部23の入力結果送信部23cが、プレ空調停止の禁止操作が入力されたという禁止操作情報を、サーバ装置30へと送信する。サーバ装置30は、入力結果取得部33fにて禁止操作情報を取得することで、乗員がプレ空調の停止を禁止したと判断できる。
乗員がプレ空調の解除を禁止したと判定された場合には、プレ空調を解除することなく、換言すればプレ空調を実行した状態で図3のフローチャートを終了する。この場合、プレ空調は、乗員が乗車してイグニッションスイッチが押されるかバッテリが所定の残量を下回るまで続行される。一方で、ステップS85にてプレ空調の停止を禁止していないと判定された場合には、乗員がプレ空調解除を許可する操作も禁止する操作も行っていないため、再びステップS80に戻る。これにより、距離Lnowが閾値Lsを上回っている間は、乗員が停止確認通知に対してプレ空調の解除を許可する、または禁止するといういずれかの操作を行うまで、携帯端末20に停止確認通知を表示し続ける。
ステップS80で乗員がプレ空調の解除を許可したと判定されると、ステップS90へと進む。ステップS90では、プレ空調の実行を停止する。すなわち、制御部33のプレ空調停止指示部33hからプレ空調の停止指示がDCU13を介して空調ECU14に送信される。空調ECU14は車両用空調装置15に対してプレ空調停止処理を実行する。ステップS60〜ステップS90の制御により、プレ空調が実行されている間に乗員が車両10から離れた場合に、乗員に対してプレ空調を解除するか否の確認を行うことができる。そして、乗員がプレ空調を解除することを許可した場合に、プレ空調を停止することができる。プレ空調を停止すると、再びステップS20へと戻り、図3のフローチャートの処理を繰り返す。
次に図4のグラフを参照して具体的な状況における空調制御システムの作動を説明する。図4の上段のグラフは、時間の経過に伴う距離Lnowの変化の一例を示している。図4の下段のグラフは、時間の経過に伴う空調装置のコンプレッサの作動状況の変化を示している。
まず図4上段のグラフにおいて乗員が乗車の意思なく車両10に接近し、距離Lnowが閾値Lsを下回ると、図3のフローチャートのステップS20からステップS30へと進み、プレ空調の開始確認通知が実行される。乗員が乗車の意思なく車両10に接近する状況は、例えば乗員が車室内に忘れ物したことに気付いた、ルームランプの消し忘れに気付いた等の、車両10を発進はしないが車室内に用事がある場合が考えられる。または、乗員が滞在する場所(自宅、職場等)と、車両10が駐車された駐車場との距離が比較的近い位置関係にあり、乗員が移動する場合に意図せず閾値Lsよりも近い距離まで車両10に接近してしまう場合等も想定される。このような場合には、携帯端末20の開始確認通知を受けた乗員は、プレ空調の開始を禁止する操作を実行する。これにより、図4下段のグラフに示すように、閾値Lsを下回っても車両用空調装置のコンプレッサは作動せず、プレ空調は開始されない。
乗員が車両10から離れ、次に乗車の意思を持って車両10に接近し、再び距離Lnowが閾値Lsを下回った場合、ステップS20、ステップS30の処理により再びプレ空調の開始確認通知が実施される。この場合は、乗員に乗車の意思があるため、開始確認通知を受けた乗員は、プレ空調の開始を許可する操作を実行する。これにより、図4下段のグラフに示すように、コンプレッサが始動して空調が開始される。なお図4のグラフではコンプレッサの作動状況のみを示しているが、ブロワ等の空調を実行する際に作動する他の空調機能部品も、コンプレッサと同様に始動を開始する。
次に第1実施形態の空調制御システム1がもたらす作用効果について説明する。第1実施形態の空調制御システム1は、車両用空調装置15に対して乗車前の車室内を空調するプレ空調を実行させることが可能な空調ECUと、乗員が車両10に対して所定距離以内に接近しているか否かを判定する距離判定部33cとを備える。空調制御システム1は、距離判定部33cにおいて乗員が車両10に対して所定距離以内に接近していると判定された場合に、乗員が携帯する携帯端末20に対してプレ空調開始の許可の確認通知を指示する開始確認通知指示部33dを備える。空調ECU14は、携帯端末20においてプレ空調開始の許可の確認通知に対してプレ空調開始を許可する操作が入力された場合にプレ空調を開始する。
これによれば、空調制御システム1は、乗員が車両10に対して所定距離以内に接近した際にプレ空調開始の許可の確認を乗員に通知することができ、乗員がプレ空調開始を許可した場合にプレ空調を実行することができる。このため乗員は、乗車の意思を持って車両10に接近した場合にプレ空調開始を許可し、乗車の意思なく車両10に接近した場合にはプレ空調開始の許可をしないという判断を下し、携帯端末20を介して空調制御システム1に通知することが可能となる。以上により、乗員が乗車の意思なく車両10に接近した場合にプレ空調が開始されることを回避可能な空調制御システム1を提供することができる。
空調制御システム1は、乗員が車両10から所定距離よりも離間しているか否かを判定する離間判定部としての距離判定部33cを備える。空調制御システム1は、距離判定部33cにおいて乗員が車両10から所定距離よりも離間していると判定された場合に、乗員に対してプレ空調停止の許可の確認を通知する停止確認通知部23bを備える。空調ECU14は、乗員が停止確認通知部23bの通知に対してプレ空調停止を許可する操作を実行した場合にプレ空調を停止する。
これによれば、空調制御システム1は、乗員が車両10に対して所定距離以上離間した際にプレ空調停止の許可の確認を乗員に通知することができ、乗員がプレ空調停止を許可した場合にプレ空調を停止することができる。したがって、車両10に接近した後で乗員が乗車の意思をなくして車両10から離れた場合に、乗員はプレ空調の停止許可の確認の通知に対してプレ空調の停止許可を出してプレ空調を停止することができる。これにより、乗員が車両10から離れても空調制御システム1がプレ空調を実行し続けることを回避可能となる。
空調制御システム1は、車両10および携帯端末20と通信を行うサーバ装置30をさらに備える。サーバ装置30は、距離判定部33cと、開始確認通知指示部33dと、乗員が開始確認通知部23aの通知に対してプレ空調開始を許可する操作を実行した場合に操作結果を取得する入力結果取得部33fとを備える。さらにサーバ装置30は、入力結果取得部33fがプレ空調開始を許可する操作を実行した場合に空調ECU14に対してプレ空調開始の指示を送信するプレ空調開始指示部33gを備える。
これによれば、空調制御システム1は、距離判定部33c、入力結果取得部33f、プレ空調開始指示部33gの機能を、サーバ装置30で実現することができる。したがって、車載ECUおよび携帯端末20がこれらの機能を有する必要がなく、車載ECUおよび携帯端末20における処理コストを低減できる。
サーバ装置30は、乗員が車両10に乗車するか否かを推定する乗車推定部33aをさらに有する。空調ECU14は、乗車推定部33aにおいて乗員が車両10に乗車すると推定された場合には、開始確認通知指示部33dにてプレ空調の開始許可の確認の通知を指示することなくプレ空調を開始する。
これによれば、乗員が車両10に乗車することを推定できる場合には、プレ空調の開始確認通知を実行することなくプレ空調を開始できる。したがって、乗員が車両10に乗車することを推定できる状況下では、乗員にプレ空調の開始確認通知に対する操作を行わせることなくプレ空調を開始し、乗員の煩わしさを低減することができる。
(第2実施形態)
第2実施形態では、第1実施形態における空調制御システムの変形例について説明する。図7、図8において第1実施形態の図面中と同一符号を付した構成要素は、同様の構成要素であり、同様の作用効果を奏するものである。
第2実施形態の空調制御システム1は、乗員が車両10に接近していることを判定するために近距離通信を利用する点が第1実施形態と相違する。
車両10は、近距離通信部16を有する。近距離通信部16は、通信範囲が数十メートル〜数百メートル程度となる所定の近距離無線通信規格に準拠した通信を実施する通信モジュールである。近距離無線通信規格は、例えばBluetooth(登録商標)や、Wi−Fi(登録商標)、ZigBee(登録商標)等である。近距離通信部16の通信範囲は、第1実施形態における閾値Lsと略同等の距離、例えば200m程度であることが望ましい。近距離通信部16は、携帯端末20と近距離通信を実施する車両側近距離通信部である。
携帯端末20は、近距離通信部25を有する。近距離通信部25は、車両10における近距離通信部16と同等の機能を有する。携帯端末20の近距離通信部25と車両10の近距離通信部16は、相互に通信可能である。近距離通信部25は、車両10と近距離通信を実施する携帯端末側近距離通信部である。
サーバ装置30の制御部33は、機能ブロックとして通信成立判定部233cを有する。通信成立判定部233cは、車両10と携帯端末20との間で近距離通信が成立したか否かを判定する。すなわち通信成立判定部233cは、携帯端末20と車両10とが、近距離通信が成立する程度に接近しているか否かを判定しているといえる。第2実施形態の空調制御システム1は、乗員が車両に対して所定距離以内に接近しているか否かを、この近距離通信が成立したか否かで判定する。すなわち第2実施形態においては、近距離通信の通信範囲が、所定距離に相当する。したがって通信成立判定部233cは、乗員が車両に対して所定距離以内に接近しているか否かを判定する接近判定部である。
次に空調制御システム1が実行する処理について、図8のフローチャートを参照して説明する。空調制御システム1は、ステップS10で乗車が確実でないと判定された場合にステップS22へと進む。
ステップS22では、近距離通信が成立したか否かを判定する。すなわち、携帯端末20の制御部23は、近距離通信部25から車両10に対して近距離通信信号を送信する。車両10が携帯端末20からの通信信号を受信すると、車両10の近距離通信部25が携帯端末20に対して通信信号を送信する。携帯端末20の制御部23は、近距離通信部が車両10からの近距離信号を受信すると、通信成立情報を無線通信部21からサーバ装置30に対して送信する。制御部33の通信成立判定部233cは、通信成立情報を携帯端末20から受信することで、近距離通信が成立したと判定する。携帯端末20の制御部23は、近距離通信部25において車両10からの近距離信号を受信しなかった場合は、通信不成立情報をサーバ装置30に対して送信する。サーバ装置30の制御部33は、通信不成立情報を携帯端末20から受信することで、近距離通信が成立していないと判定する。ステップS22で、近距離通信が成立したと判定された場合には、ステップS30へと進む。一方でステップS22において近距離通信が成立しなかったと判定された場合には、ステップS35へと進む。
また、ステップS50でプレ空調を開始した後にはステップS62へと進み、ステップS22と同様に近距離通信が成立したか否かを判定する。ステップS62にて近距離通信が成立したと判定されている間は、ステップS75へと進み、近距離通信が成立していないと判定された場合には、ステップS70へと進む。
ステップS30における確認通知は、携帯端末20において車両10との近距離通信の成立が確認できた時点で表示してもよい。すなわち、携帯端末20の制御部は、車両10からの応答信号を受信するとサーバ装置30に通信成立情報を送信することなくタッチパネル24に通知を表示させる構成であってもよい。
また、空調制御システム1は、近距離通信が成立したか否かではなく、近距離通信によって携帯端末20と車両10との間の距離を測定する構成であってもよい。この場合には、第1実施形態におけるステップS20、ステップS60と同様に、現在距離Lnowと閾値Lsを比較すればよい。
ステップS22およびステップS62の処理は、それぞれ第1実施形態においてステップS20およびステップS60の処理が実行できない場合に、代替処理として実行される構成であってもよい。ステップS20およびステップS60の処理が実行できない場合とは、例えば衛星測位システムが利用できない場合や衛星測位システムにより検出される位置情報の誤差が大きい場合等である。
第2実施形態の空調制御システム1は、近距離通信によって乗員が車両10に接近したか否かを判定することができる。したがって、GPSが利用できない状況下もしくはGPSによって特定される位置の誤差が大きくなる状況下等においても、比較的精度よく乗員の車両10への接近を検出することができる。
(他の実施形態)
この明細書における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、ひとつの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
上述の実施形態において、接近判定部は、サーバ装置30の制御部によって実行されるとした。これに代えて、DCU13、空調ECU14等の車載ECUが接近判定部の機能を有する構成であってもよい。また、開始確認通知指示部33d、停止確認通知指示部33e、入力結果取得部33f、プレ空調開始指示部33g、プレ空調停止指示部33hについても車載ECUが有する構成であってもよい。上述の機能を車載ECUが有することで、それぞれの機能をサーバ装置30を介することなく車両10と携帯端末20が直接通信して実行することができる。
上述の実施形態において、開始許可操作も開始禁止操作も入力されていない場合には、距離Lnowが閾値Lsを下回っている間プレ空調の開始確認通知を表示し続けるとした。これに代えて、開始許可操作も開始禁止操作も入力されず、距離Lnowが閾値Lsを上回ることなく、開始確認通知を表示して所定時間経過した場合には、プレ空調を強制的に開始するようにしてもよい。これによって、乗員が通知に気付かない場合、乗員が携帯端末20を手に取ることができない場合等であっても、距離Lnowが閾値Lsを下回っている場合に、乗員が車両10に接近していると判断してプレ空調を開始することができる。または、開始許可操作も開始禁止操作も入力されず、距離Lnowが閾値Lsを上回ることなく、開始確認通知を表示して所定時間経過した場合に、閾値Lsの値を段階的に引き下げるようにしてもよい。これによれば、さらに乗員が車両10に接近するまで通知を一旦止めることができる。
上述の実施形態において、携帯端末20は、開始確認通知および停止確認通知を視覚情報として表示するとした。これに代えて、振動や通知音等によって通知を実行する構成であってもよい。また、通知に対する乗員の操作結果は、仮想ボタンの入力操作結果として出力されるとしたが、乗員の通知に対する操作はこれに限らない。例えば対応する物理ボタンの押下や、音声入力等であってもよい。