JP2019063709A - 繊維状イオン交換体、浄水フィルタ、および水処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】飲料水の製造に使用しても安全・安心で高速に硬度を除去することができる繊維状イオン交換体を提供する。【解決手段】本発明の繊維状イオン交換体は、エステル結合により架橋されたポリアクリル酸またはポリアクリル酸塩を含む。【選択図】図1
Description
水中の硬度成分および空気中のアンモニアの除去に好適な繊維状イオン交換体、該繊維からなる浄水フィルタ、および該浄水フィルタを用いた水処理方法に関する。
近年、飲料水製造分野および工業用水製造分野において、硬度除去に対する要望が高まっている。例えば、一般家庭においては硬度の高い硬水はマグネシウムイオンに由来する苦味や風味により、飲みにくさを感じたり、石けんの泡立ちを抑えるため洗濯物の汚れが落ちにくかったりする問題がある。また、工業用途においては硬度成分の濃度が局所的に高まることで、スケールとして析出してくることにより詰まりが発生して装置の運転に支障が出るという問題がある。このような成分を除去する手段として、弱酸性のイオン交換体が提案されている。
弱酸性のイオン交換体としてはローム・アンド・ハース社のアンバーライト、三菱ケミカル社のダイヤイオンなどが知られているが、これらはアクリル酸と架橋剤のジビニルベンゼンを重合して得た粒状体である。一方、イオン交換速度を高める要望があり、繊維状にすることで、比表面積を高めたイオン交換剤が提案されている。特許文献1には、繊維状のイオン交換体として、ポリアクリロニトリル(PAN)繊維をヒドラジン/水酸化ナトリウム水溶液で架橋しつつ、加水分解して形成された繊維が開示されている。
特許文献1に記載された架橋ポリアクリル酸からなる繊維状イオン交換体の製造には、架橋剤として、ヒドラジンまたはジビニルベンゼンが使用されるこれらの架橋剤は、未反応であったり、反応済みであっても酸化によって切断されたりすることで、イオン交換体から溶出することがある。ヒドラジンおよびジビニルベンゼンは人体に有害であるので、これらの架橋剤を使用して製造されたイオン交換体は、一般家庭用、とりわけ飲料水の通水に使用するには安全面で懸念がある。本発明は、人体に有害な物質が溶出しにくい繊維状イオン交換体を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を含む
(1)エステル結合により架橋された、ポリアクリル酸またはポリアクリル酸塩の少なくとも一方を含む繊維状イオン交換体。
(2)直径が50μm以上600μm以下である前記(1)に記載の繊維状イオン交換体。
(3)アスペクト比が100以上である前記(1)または(2)に記載の繊維状イオン交換体。
(4)前記繊維状イオン交換体は海成分および島成分を含む海島繊維であり、前記海成分は架橋された前記ポリアクリル酸またはポリアクリル酸塩であり、前記島成分は熱可塑性樹脂である前記(1)から(3)いずれかに記載の繊維状イオン交換体。
(5) 筒状の有孔芯材と、前記有孔芯材の外周に巻回された前記(1)から(4)いずれかに記載の繊維状イオン交換体と、を有する浄水フィルタ。
(6)前記(1)から(4)いずれかに記載の繊維状イオン交換体に硬水を接触させて硬度成分を除去する工程を備える水処理方法。
(1)エステル結合により架橋された、ポリアクリル酸またはポリアクリル酸塩の少なくとも一方を含む繊維状イオン交換体。
(2)直径が50μm以上600μm以下である前記(1)に記載の繊維状イオン交換体。
(3)アスペクト比が100以上である前記(1)または(2)に記載の繊維状イオン交換体。
(4)前記繊維状イオン交換体は海成分および島成分を含む海島繊維であり、前記海成分は架橋された前記ポリアクリル酸またはポリアクリル酸塩であり、前記島成分は熱可塑性樹脂である前記(1)から(3)いずれかに記載の繊維状イオン交換体。
(5) 筒状の有孔芯材と、前記有孔芯材の外周に巻回された前記(1)から(4)いずれかに記載の繊維状イオン交換体と、を有する浄水フィルタ。
(6)前記(1)から(4)いずれかに記載の繊維状イオン交換体に硬水を接触させて硬度成分を除去する工程を備える水処理方法。
本発明は、架橋ポリアクリル酸からなる繊維状イオン交換体を提供する。エステル結合により架橋を形成していることから有害化合物の溶出がなく、飲料水の製造に使用しても安全・安心で高速に硬度を除去することができる。
1.繊維状イオン交換体を構成する樹脂
1−1.繊維状イオン交換体を構成するポリアクリル酸/塩
本発明に係る繊維状イオン交換体は、エステル結合により架橋された、ポリアクリル酸およびその塩の少なくとも一方(以下、ポリアクリル酸/塩とする)を含有する。
1−1.繊維状イオン交換体を構成するポリアクリル酸/塩
本発明に係る繊維状イオン交換体は、エステル結合により架橋された、ポリアクリル酸およびその塩の少なくとも一方(以下、ポリアクリル酸/塩とする)を含有する。
ポリアクリル酸/塩はカルボキシ基を多数有するので、親水性が高く、水に溶解する。しかし、ポリアクリル酸/塩が架橋されているため、本発明の繊維状イオン交換体は、水中または湿度の高い環境中でも、ポリアクリル酸/塩が水に溶解しにくい。
また、本発明のイオン交換体では、架橋がエステル結合によってなされているので、架橋が切断されても、ヒドロキシル基由来の化合物であるので、安全である。
1−2.単繊維、海島繊維
本発明の繊維状イオン交換体は、架橋ポリアクリル酸/塩のみで構成された単繊維でも良いし、熱可塑性樹脂からなる繊維状物(以下、芯繊維とする)と架橋ポリアクリル酸/塩で海島繊維状に構成されていても良い。
本発明の繊維状イオン交換体は、架橋ポリアクリル酸/塩のみで構成された単繊維でも良いし、熱可塑性樹脂からなる繊維状物(以下、芯繊維とする)と架橋ポリアクリル酸/塩で海島繊維状に構成されていても良い。
芯繊維を島成分、架橋ポリアクリル酸/塩を海成分とした海島繊維状について述べる。この場合、島成分の芯繊維があることで強度を高めることができるが、ポリアクリル酸/塩に対して芯繊維の割合が高すぎるとイオン交換容量が低くなるため、ポリアクリル酸/塩の重量は、芯繊維の重量に対して30%以上であることが好ましく、100%以上であることがより好ましく、200%以上であることがさらに好ましい。
芯繊維は熱可塑性樹脂からで構成すると強度を靭性の両立が可能であり、熱可塑性樹脂の種類として具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリカーボネート等のポリエステル、芳香族ポリアミド、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610等のポリアミド;アクリル、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、PTFE、ポリフッ化ビニリデン等のハロゲン化ポリオレフィンなどを用いることができる。この中で、強度と靭性の観点からポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートおよびナイロンからなる群から選択される少なくとも1種のポリマーを含むことが好ましい。
芯繊維は、モノフィラメント、マルチフィラメントのいずれであっても良いが、ポリアクリル酸の保持率を高めることができるのでマルチフィラメントであることが好ましい。芯繊維をマルチフィラメントとすることで製造時にポリアクリル酸が単繊維の間隙を被覆することでポリアクリル酸保持量が高まり、ポリアクリル酸/塩の重量が芯繊維の重量に対し30重量%以上となる。
また、芯繊維の断面形状は、円状に限定されるものではなく、多角断面、偏平断面、レンズ型断面、三葉断面、六葉断面、いわゆるマルチローバル断面と呼ばれる3〜8ヶの凸部と同数の凹部を有する異形断面、中空断面その他公知の異形断面などでも構わない。
2.繊維状イオン交換体の形状
2−1.繊維状イオン交換体の直径
本発明の繊維状イオン交換体はその直径が600μm以下であることが好ましく、500μm以下であることがより好ましく、450μm以下であることがさらに好ましい。直径が細くなるほど比表面積が大きくなることから、原水と接する面積を大きくすることができ、イオン交換速度を大きくすることができる。600μm以下とすることで従来の粒状イオン交換樹脂より交換速度が速くすることができる。
一方で、直径は50μm以上であることが好ましく、100μm以上であることがより好ましく、300μm以上であることがさらに好ましい。直径が細すぎると硬度を除去しすぎることから、味が過剰になくなるばかりか、急激に硬度をイオン交換することから破過してしまいイオン交換できる寿命が短くなる。よって、旨みと寿命の維持のために上記の範囲とするのが好ましい。
2−1.繊維状イオン交換体の直径
本発明の繊維状イオン交換体はその直径が600μm以下であることが好ましく、500μm以下であることがより好ましく、450μm以下であることがさらに好ましい。直径が細くなるほど比表面積が大きくなることから、原水と接する面積を大きくすることができ、イオン交換速度を大きくすることができる。600μm以下とすることで従来の粒状イオン交換樹脂より交換速度が速くすることができる。
一方で、直径は50μm以上であることが好ましく、100μm以上であることがより好ましく、300μm以上であることがさらに好ましい。直径が細すぎると硬度を除去しすぎることから、味が過剰になくなるばかりか、急激に硬度をイオン交換することから破過してしまいイオン交換できる寿命が短くなる。よって、旨みと寿命の維持のために上記の範囲とするのが好ましい。
2−2.繊維状イオン交換体のアスペクト比
本発明の繊維状イオン交換体は、アスペクト比が2以上であるとが好ましく、5以上であるとより好ましく、100以上であるとさらに好ましい。ここでは、アスペクト比2以上100未満である繊維を「チョップドファイバー(以下、「チョップド」と称する)、100以上である繊維を「長繊維」とする。アスペクト比が大きいことで同体積の粒状イオン交換体と比べて比表面積が大きくなり、イオン交換速度が高くなる効果がある。
本発明の繊維状イオン交換体は、アスペクト比が2以上であるとが好ましく、5以上であるとより好ましく、100以上であるとさらに好ましい。ここでは、アスペクト比2以上100未満である繊維を「チョップドファイバー(以下、「チョップド」と称する)、100以上である繊維を「長繊維」とする。アスペクト比が大きいことで同体積の粒状イオン交換体と比べて比表面積が大きくなり、イオン交換速度が高くなる効果がある。
本発明の繊維状イオン交換体はチョップドと長繊維いずれでも構わないが 長繊維であることが好ましい。長繊維であることで、織物、編物、不織布等の形態で使用することができる。
繊維状イオン交換体を織物や編物で使用する場合はその組織は特に限定されず、例えば、平織、斜文織、朱子織等の三原組織、変化組織、変化斜文織等の変化組織、たて二重織、よこ二重織等の片二重組織、たてビロード、タオル、ベロア等のたてパイル織、別珍、よこビロード、ベルベット、コール天等のよこパイル織などが挙げられる。なお、これらの織組織を有する織物は、レピア織機やエアージェット織機など通常の織機を用いて通常の方法により製織することができる。
編物の種類は特に限定されず、よこ編物であってもよいしたて編物であってもよい。よこ編組織としては、平編、ゴム編、両面編、パール編、タック編、浮き編、片畔編、レース編、添え毛編等が好ましく例示され、たて編組織としては、シングルデンビー編、シングルアトラス編、ダブルコード編、ハーフトリコット編、裏毛編、ジャガード編等が好ましく例示される。なお、製編は、丸編機、横編機、トリコット編機、ラッシェル編機等通常の編機を用いて通常の方法により製編することができる。
これらの織編物の目付けは10g/m2以上、好ましくは30g/m2以上、さらに好ましくは50g/m2以上である。また、1000g/m2以下、好ましくは500g/m2以下、さらに好ましくは200g/m2以下である。織編物の目付けが10g/m2以上であることにより、浄水フィルタとした際に原水がショートパスすることなく原水中の硬度成分を好適に除去することができる。また、1000g/m2以下であることにより、目詰まりが生じにくく、通水時の通水抵抗の変動を小さくすることができる。
織物、編み物または不織布のいずれにおいても、一種類の繊維状イオン交換体のみでが含まれていてもよいし、組成または構造の少なくとも一方が互いに異なる複数種類の繊維状イオン交換体が含まれていてもよい。
3.製造方法
本発明の繊維状イオン交換体の製造工程は、
(1)ポリアクリル酸/塩を含有した溶液を準備する工程
(2)繊維状に加工する工程
(3)ポリアクリル酸/塩を架橋する工程
を備える。
本発明の繊維状イオン交換体の製造工程は、
(1)ポリアクリル酸/塩を含有した溶液を準備する工程
(2)繊維状に加工する工程
(3)ポリアクリル酸/塩を架橋する工程
を備える。
3−1.ポリアクリル酸/塩を含有した水溶液を準備する工程
まず、ポリアクリル酸/塩を含有した水溶液の準備であるが、アクリル酸モノマーとヒドロキシル基を有するモノマーとを開始剤を用いて水中で共重合して得ることができる。ヒドロキシル基を有するモノマーとしては、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリセリルモノメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、グリセリルモノアクリレートなどが挙げられる。ポリアクリル酸モノマーとヒドロキシル基を有するモノマーの割合はイオン交換容量と耐水性のトレードオフになるため、必要な物性に応じてヒドロキシル基を有するモノマーの割合を定めればよいが、本用途においては耐水性が必要とされるため、ヒドロキシル基を有するモノマーをポリアクリル酸モノマーとヒドロキシル基を有するモノマーの総量に対して8wt%以上であることが好ましく、10wt%以上であることがより好ましく、15wt%以上であることがさらに好ましい。また、糸切れを紡糸するためなど物性の強化のために酢酸ビニルやメタクリル酸メチルなどを加えても良い。
まず、ポリアクリル酸/塩を含有した水溶液の準備であるが、アクリル酸モノマーとヒドロキシル基を有するモノマーとを開始剤を用いて水中で共重合して得ることができる。ヒドロキシル基を有するモノマーとしては、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリセリルモノメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、グリセリルモノアクリレートなどが挙げられる。ポリアクリル酸モノマーとヒドロキシル基を有するモノマーの割合はイオン交換容量と耐水性のトレードオフになるため、必要な物性に応じてヒドロキシル基を有するモノマーの割合を定めればよいが、本用途においては耐水性が必要とされるため、ヒドロキシル基を有するモノマーをポリアクリル酸モノマーとヒドロキシル基を有するモノマーの総量に対して8wt%以上であることが好ましく、10wt%以上であることがより好ましく、15wt%以上であることがさらに好ましい。また、糸切れを紡糸するためなど物性の強化のために酢酸ビニルやメタクリル酸メチルなどを加えても良い。
開始剤としては、過硫酸アンモニウム(APS)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、過酸化ベンゾイル(BPO)などが挙げられる。特に、開始剤として過硫酸アンモニウム(APS)や過酸化ベンゾイル(BPO)などの過酸化物を用いる場合には、還元剤として、鉄(II)塩、亜硫酸塩、スルフィン酸塩、ヒドロキシルアミンなどを同時に用いることで、より反応を促進させることができる。その他、ラジカル重合を促進させる物質としてテトラメチルエチレンジアミン(TEMED)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)などを添加してもよい。
3−2.繊維状に加工する工程
繊維状に加工する工程では、芯繊維にポリアクリル酸/塩をコーティングして繊維状にする方法、ポリアクリル酸/塩をいわゆる乾式紡糸で繊維状にすることなどが考えられ、ここではコーティングする方法を例にとって説明する。芯繊維にポリアクリル酸/塩をコーティングする場合、以下の工程を経る。
(1)芯繊維を準備する工程
(2)芯繊維にポリアクリル酸/塩をコーティングする工程
を備える。
繊維状に加工する工程では、芯繊維にポリアクリル酸/塩をコーティングして繊維状にする方法、ポリアクリル酸/塩をいわゆる乾式紡糸で繊維状にすることなどが考えられ、ここではコーティングする方法を例にとって説明する。芯繊維にポリアクリル酸/塩をコーティングする場合、以下の工程を経る。
(1)芯繊維を準備する工程
(2)芯繊維にポリアクリル酸/塩をコーティングする工程
を備える。
工程(1)としては、公知の紡糸方法が適用される。
工程(2)としては、芯繊維がマルチフィラメントである場合は、そのマルチフィラメントを構成する単繊維の表面または間隙の少なくとも一方に樹脂組成物の層を形成する工程である。例えば、ポリアクリル酸/塩を含有する水溶液に、繊維構造物を接触させた後、繊維構造物に付着した余剰な水溶液を液切りし、さらに、水溶液を保持した繊維構造物を乾燥して水を除去する方法が挙げられる。ポリアクリル酸/塩(を含有する)水溶液に芯繊維を接触させる具体的な方法としては、芯繊維を上記水溶液に浸漬する方法、繊維構造物に対して上記水溶液をコーターやローラーやスプレー等を用いて塗布する方法を用いることができる。
ポリアクリル酸/塩の溶液中の濃度は5wt%以上であることが好ましい。5wt%以上であることで、溶液を繊維構造物上に十分に保持することができる。一方で、ポリアクリル酸/塩の濃度は20wt%以下であることが好ましい。濃度が20wt%以下であることで溶液の粘度が大きくなりすぎないため、本工程を容易に行うことができる。芯繊維に付着した余剰な水溶液を液切りする方法としては、マングル等のゴムローラーを用いて液切りする方法や、エアーノズル等で空気を送風し液切りする方法を用いることができる。
余剰な水溶液を液切りした後の芯繊維の重量と元の芯繊維の重量の差を元の芯繊維の重量で割った値をピックアップ率とすると、ピックアップ率は50%以上であることが好ましく、より好ましくは100%以上である。ピックアップ率が50%以上であるということは、十分な量の溶液が繊維構造物に保持されていることを意味する。一方で、ピックアップ率は700%以下であることが好ましく、より好ましくは500%以下である。ピックアップ率が700%以下であることで、上記工程において、長い加熱時間や凝固時間が必要とされない。
コーティング繊維を加熱する方法としては、オーブン、ピンテンター等の加熱装置内で加熱する方法や、赤外線を用いる方法を用いることができる。この工程において、乾燥温度としては100℃以上であることが好ましく、より好ましくは110℃以上である。温度が高ければ乾燥工程の時間を短縮できる。一方で、温度が高すぎると水蒸気が発生して発泡し、ボイドとなって体積が増えることにより結果的に体積辺りのイオン交換容量が減少することになるため加熱温度は150℃以下であることが好ましく、120℃未満であることがより好ましい。また、熱風循環を加えると乾燥効率をさらに短縮できるので好ましい。加熱時間としては、適宜調整することが好ましいが、1分以上が好ましく、3分以上がより好ましい。また、加熱時間は10分以下であることが好ましく、より好ましくは6分以下である。加熱時間が10分以下であることで、本工程にかかるコストを低く抑えることができる。
3−3.架橋処理
上述した方法で繊維化した後に、架橋処理を行う。架橋を形成させる反応は、熱架橋、電子線架橋など特に限定しないが熱重合を例に挙げて説明する。熱重合の場合、その温度としては、130℃以上、好ましくは150℃以上、さらに好ましくは180℃以上である。130℃以上であることで、側鎖のカルボキシ基とヒドロキシル基が縮合して 架橋することができる。水中で使用する場合は、膨潤による体積増大が問題となるが、熱重合時の温度が一方で、加熱温度は250℃以下であることが好ましく、230℃未満であることがより好ましく、220℃以下であることがさらに好ましい。加熱温度が250℃以下であることでポリアクリル酸の熱劣化を抑制することができ、イオン交換容量を高く保つことができる。
上述した方法で繊維化した後に、架橋処理を行う。架橋を形成させる反応は、熱架橋、電子線架橋など特に限定しないが熱重合を例に挙げて説明する。熱重合の場合、その温度としては、130℃以上、好ましくは150℃以上、さらに好ましくは180℃以上である。130℃以上であることで、側鎖のカルボキシ基とヒドロキシル基が縮合して 架橋することができる。水中で使用する場合は、膨潤による体積増大が問題となるが、熱重合時の温度が一方で、加熱温度は250℃以下であることが好ましく、230℃未満であることがより好ましく、220℃以下であることがさらに好ましい。加熱温度が250℃以下であることでポリアクリル酸の熱劣化を抑制することができ、イオン交換容量を高く保つことができる。
従来の繊維状イオン交換体は、架橋にヒドラジンまたはジビニルベンゼンといった多官能モノマーを用いるので、架橋を切断すると毒性の高いモノマーが溶出する。これに対して、上述のように、ポリマーの側鎖としてカルボキシ基とヒドロキシル基を有するモノマーを共重合してポリマー化した後、カルボキシ基とヒドロキシル基を縮合してエステルにすることで、エステル結合が切断されたとしても、エステル結合に寄与するカルボキシ基およびヒドロキシル基はポリマーの側鎖となっているため、ポリマー全体が溶解しなければ溶出することはない。よって、ヒドラジンまたはジビニルベンゼンを用いる製法と比べて、より安全性の高いイオン交換体が得られる。
4.浄水フィルタ
また、本発明の繊維状イオン交換体は浄水フィルタとして好適に使用できる。浄水フィルタとしては例えば、繊維状イオン交換体を筒状の有孔芯材の外周に巻回したものである。有孔芯材としては、不織布や織物など繊維を加工したものや、合成樹脂の筒体に穿孔したものなどが挙げられる。合成樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンや、PTFE、PFAなどのフッ素樹脂が好適であるが、これに限定されない。有孔芯材の外周に繊維を巻回し、積層させることで浄水フィルタが得られる。
また、本発明の繊維状イオン交換体は浄水フィルタとして好適に使用できる。浄水フィルタとしては例えば、繊維状イオン交換体を筒状の有孔芯材の外周に巻回したものである。有孔芯材としては、不織布や織物など繊維を加工したものや、合成樹脂の筒体に穿孔したものなどが挙げられる。合成樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンや、PTFE、PFAなどのフッ素樹脂が好適であるが、これに限定されない。有孔芯材の外周に繊維を巻回し、積層させることで浄水フィルタが得られる。
有孔芯材の直径(外径)は5以上50mm以下特に20以上40mm以下が好適である。有孔芯材の長さは特には限定されないが、通常は80以上500mm以下とされる。有孔芯材に巻き付けた繊維状イオン交換体の積層厚みは、濾過性能を確保すると共に濾過圧損を抑制するために、1以上50mm以下特に5以上30mm未満程度が好適である。巻き付けた繊維状イオン交換体の末端を溶着、接着などにより、織編物巻回体の外周面に対して固定するのが好ましい。巻き付けた端面については円板形のプレートなどにより封じるのが好ましい。
浄水フィルタの空隙率は30%以上、好ましくは32%以上である。また、70%以下、好ましくは60%以下、更に好ましくは50%以下である。30%以上であることで、通水時に目詰まりしにくく、通水抵抗が大きくなりにくい。70%以下であることで、液体濾過用フィルタにし原水を通水した際に原水がショートパスすることなく原水中の除去対象成分を好適に除去することができ、かつ、破過するまでの十分な量の透過液を得ることができる。
このように構成された浄水フィルタに対しては、被処理液を有孔芯材の内側から透過させ、織編物巻回体の外周面から透過液を取り出す。通常の場合、フィルタを円筒形のケーシング内に該ケーシングと同軸状に配置する。そして、有孔芯材の内側からフィルタの外周面の方向に被処理液を透過させ、透過液を、該ケーシングの一端面側の取出口からケーシング外へ流出させる。
5.使用方法
本発明の繊維状イオン交換体に液体もしくは気体を接触させることでイオン交換させることができる。とりわけ、前記浄水フィルタの形状で使用すると効率よくイオン交換でき、繊維としての比表面積も効率よく活用できるので好適である。逆浸透膜の前段に本発明の繊維状イオン交換体を備える浄水フィルタを設置する場合を例にとって例示するが、以下の方法に限定されるものではない。
本発明の繊維状イオン交換体に液体もしくは気体を接触させることでイオン交換させることができる。とりわけ、前記浄水フィルタの形状で使用すると効率よくイオン交換でき、繊維としての比表面積も効率よく活用できるので好適である。逆浸透膜の前段に本発明の繊維状イオン交換体を備える浄水フィルタを設置する場合を例にとって例示するが、以下の方法に限定されるものではない。
原水を浄水フィルタに透過し硬度成分を除去する工程、前記浄水フィルタの透過水を逆浸透膜エレメントに透過させる工程を有する。原水を浄水フィルタへ透過する前に、プレフィルタに透過させてもよい。プレフィルタは主に原水中の微粒子などを除去し、逆浸透膜への負荷を低減する。硬度成分は、逆浸透膜エレメントで除去される成分であるが、膜面で濃縮されると塩として析出し、透水性を低下させる。そこで本願発明の浄水フィルタを用い硬度成分を除去することで、逆浸透膜エレメントの透水性の低下を抑制し長寿命化できる。本願発明の浄水フィルタは通水抵抗が小さいため、当該水処理において浄水フィルタと逆浸透膜の運転に必要な運転圧力を低減することができる。
本書における「硬度」とはアメリカ硬度である。アメリカ硬度は、カルシウムイオンとマグネシウムイオンの合計の濃度を炭酸カルシウムに換算した値であり、mg/Lを単位として表される。硬水とは、硬度120mg/L以上の水である。
硬度除去率は、カルシウムイオンの除去率で表される。直径40mm、厚み20mmのカラムに繊維状イオン交換体を詰め、原水として塩化カルシウム2mmol/L、炭酸水素ナトリウム4mmol/Lおよび塩化ナトリウム4mmol/Lを含有する水溶液2Lを、空間時間SV値が500(H−1)となるように通液する。これを4時間間隔で実施して2Lずつ採水することで、透過水を得る。9〜10L通水時点(8L通水完了後、10L通水完了まで)、29〜30L通水時点(28L通水完了後、30L通水完了まで)、49〜50L通水時点(48L通水完了後、50L通水完了まで)で、それぞれ2Lの透過液中のカルシウムイオン濃度をICP-AES(Inductively Coupled Plasma−Atomic Emission Spectrometry)により測定する。硬度除去率は、(透過水中のカルシウムイオン濃度/原水のカルシウムイオン濃度×100)である。
イオン交換体は、硬水を接触させたときの硬度除去率が40%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましい。硬度除去率40%以上であると工業用途のスケール防止効果を得ることができ、60%以上さらには70%以上の除去率であることで硬水を飲みやすくするための浄水器として好適に使用することが出来る。また、硬度除去率は通水量が増えるとともに減少していくが、できるだけ多く通水できる方が長く使えるため好ましい。具体的には29〜30L時点で上記除去率以上であることが好ましく、49〜50L時点で上記除去率以上であることがより好ましい。
以下に具体的な実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、本発明に関する物性値は、以下の方法で測定することができる。
(イオン交換体層含有率)
イオン交換層とは、ナトリウム型になった繊維状イオン交換体の断面を走査型電子顕微鏡/電子線プローブマイクロアナライザ(Scanning Electron Microscope / Electron Probe Micro Analyzer,SEM/EPMA)で観察した際に、ナトリウム原子濃度が10重量%以上である層が繊維の断面積の50%以上存在し、かつ、膨潤率が50%以下である繊維状イオン交換体においての、ナトリウム原子濃度が10重量%以上である層のことを示す。ナトリウム原子濃度(重量%)とは、試料断面をSEM/EPMAで測定した際に断面画像中の各画素におけるナトリウム元素の重量分率である。EPMAにて、標準サンプルである塩化ナトリウム結晶に電子線を照射した際に、検出されるKα(1.191nm)のX線強度が、ナトリウム原子濃度39.34重量%に対応する。試料の断面をSEM/EPMAで測定した際に断面像中の画素から検出されるKα(1.191nm)のX線強度からナトリウム原子濃度を算出した。詳細なSEM/EPMA測定条件を示す。
装置:日本電子 電子プローブマイクロアナライザ(Fe−EPMA)JXA−8530F
加速電圧:10kV
照射電流:15nA
計測時間:30ms
ビームサイズ:1μm
分析X線・分光結晶:Na Kα(1.191nm)・TAPH(酸性フタル酸ルビジウム)
試料はミクロトームにより断面を形成させ、カーボン蒸着して測定した。
繊維状イオン交換体をナトリウム型にするため、繊維状イオン交換体を0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に1時間浸漬した後、純水で洗浄した。繊維長手方向に垂直な面で切断された繊維断面積に対する、イオン交換層の面積の分率をイオン交換架橋体層含有率とした。
イオン交換層とは、ナトリウム型になった繊維状イオン交換体の断面を走査型電子顕微鏡/電子線プローブマイクロアナライザ(Scanning Electron Microscope / Electron Probe Micro Analyzer,SEM/EPMA)で観察した際に、ナトリウム原子濃度が10重量%以上である層が繊維の断面積の50%以上存在し、かつ、膨潤率が50%以下である繊維状イオン交換体においての、ナトリウム原子濃度が10重量%以上である層のことを示す。ナトリウム原子濃度(重量%)とは、試料断面をSEM/EPMAで測定した際に断面画像中の各画素におけるナトリウム元素の重量分率である。EPMAにて、標準サンプルである塩化ナトリウム結晶に電子線を照射した際に、検出されるKα(1.191nm)のX線強度が、ナトリウム原子濃度39.34重量%に対応する。試料の断面をSEM/EPMAで測定した際に断面像中の画素から検出されるKα(1.191nm)のX線強度からナトリウム原子濃度を算出した。詳細なSEM/EPMA測定条件を示す。
装置:日本電子 電子プローブマイクロアナライザ(Fe−EPMA)JXA−8530F
加速電圧:10kV
照射電流:15nA
計測時間:30ms
ビームサイズ:1μm
分析X線・分光結晶:Na Kα(1.191nm)・TAPH(酸性フタル酸ルビジウム)
試料はミクロトームにより断面を形成させ、カーボン蒸着して測定した。
繊維状イオン交換体をナトリウム型にするため、繊維状イオン交換体を0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に1時間浸漬した後、純水で洗浄した。繊維長手方向に垂直な面で切断された繊維断面積に対する、イオン交換層の面積の分率をイオン交換架橋体層含有率とした。
(Na型湿潤状態イオン交換容量の測定方法)
条件を統一するため繊維状イオン交換体を上記方法でNa型に変換した状態で測定した。Na型湿潤状態の繊維状イオン交換体1gに対して、6mol/L塩酸水溶液を40mL調製し、繊維状イオン交換体を浸漬(1時間)した。その後純水で洗浄し、上澄みの水溶液が中性になったことを確認した。その後、0.1M水酸化ナトリウム水溶液に繊維状イオン交換体を浸漬させ(編地1g/40mL-水酸化ナトリウム水溶液)、1時間攪拌した。その後溶液の上澄みを5mL採取し、0.1M 塩酸水溶液を5mL加えた。該溶液10mLをフェノールフタレイン溶液を指示薬として0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液で中和滴定した。中和に要した水酸化ナトリウムのモル数を、湿潤状態の該イオン交換繊維の重量で割ることにより、Na型湿潤状態のイオン交換容量(meq/wet−g)とした。湿潤状態とは、Na化処理後に水で洗浄した繊維状イオン交換体を、ウエスで抑え、表面に付着した水を除去した状態を指す。
条件を統一するため繊維状イオン交換体を上記方法でNa型に変換した状態で測定した。Na型湿潤状態の繊維状イオン交換体1gに対して、6mol/L塩酸水溶液を40mL調製し、繊維状イオン交換体を浸漬(1時間)した。その後純水で洗浄し、上澄みの水溶液が中性になったことを確認した。その後、0.1M水酸化ナトリウム水溶液に繊維状イオン交換体を浸漬させ(編地1g/40mL-水酸化ナトリウム水溶液)、1時間攪拌した。その後溶液の上澄みを5mL採取し、0.1M 塩酸水溶液を5mL加えた。該溶液10mLをフェノールフタレイン溶液を指示薬として0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液で中和滴定した。中和に要した水酸化ナトリウムのモル数を、湿潤状態の該イオン交換繊維の重量で割ることにより、Na型湿潤状態のイオン交換容量(meq/wet−g)とした。湿潤状態とは、Na化処理後に水で洗浄した繊維状イオン交換体を、ウエスで抑え、表面に付着した水を除去した状態を指す。
(繊維径)
繊維状イオン交換体をRO水に浸漬し、その後マイクロスコープで観察した時の繊維直径を10本測定し、その平均値を繊維状イオン交換体の直径とした。
繊維状イオン交換体をRO水に浸漬し、その後マイクロスコープで観察した時の繊維直径を10本測定し、その平均値を繊維状イオン交換体の直径とした。
(硬度除去率)
硬度除去率は模擬硬度としてカルシウムイオンの除去率を測定した。直径40mm、厚み20mmのカラムに繊維状イオン交換体を詰め、空間時間SV値が500(H−1)となるように原水を2L通液した。これを4時間間隔で実施し、9〜10L、29〜30L、49〜50Lの通液時の透過液を得た。原水は、塩化カルシウム2mmol/L、炭酸水素ナトリウム4mmol/L、塩化ナトリウム4mmol/Lの水溶液とした。得られたカラム透過液中のカルシウムイオン濃度をICP-AES(Inductively Coupled Plasma−Atomic Emission Spectrometry)により測定し、それらの値と原水に含まれるカルシウムイオン濃度でCa除去率を算出した。
硬度除去率は模擬硬度としてカルシウムイオンの除去率を測定した。直径40mm、厚み20mmのカラムに繊維状イオン交換体を詰め、空間時間SV値が500(H−1)となるように原水を2L通液した。これを4時間間隔で実施し、9〜10L、29〜30L、49〜50Lの通液時の透過液を得た。原水は、塩化カルシウム2mmol/L、炭酸水素ナトリウム4mmol/L、塩化ナトリウム4mmol/Lの水溶液とした。得られたカラム透過液中のカルシウムイオン濃度をICP-AES(Inductively Coupled Plasma−Atomic Emission Spectrometry)により測定し、それらの値と原水に含まれるカルシウムイオン濃度でCa除去率を算出した。
(重合例1)
アクリル酸(株式会社日本触媒製)14重量%、ヒドロキシエチルメタクリレート(株式会社日本触媒製)1重量%を蒸留水85重量%に溶解し、開始剤として過硫酸アンモニウム(関東化学株式会社製)を添加して53℃で4時間攪拌して重合することで原液を得た。この原液は脱泡した後、60℃で保温した。
アクリル酸(株式会社日本触媒製)14重量%、ヒドロキシエチルメタクリレート(株式会社日本触媒製)1重量%を蒸留水85重量%に溶解し、開始剤として過硫酸アンモニウム(関東化学株式会社製)を添加して53℃で4時間攪拌して重合することで原液を得た。この原液は脱泡した後、60℃で保温した。
(重合例2)
アクリル酸(株式会社日本触媒製)13重量%、ヒドロキシエチルメタクリレート(株式会社日本触媒製)2重量%を蒸留水85重量%に溶解し、開始剤として過硫酸アンモニウム(関東化学株式会社製)を添加して53℃で4時間攪拌して重合することで原液を得た。この原液は脱泡した後、60℃で保温した。
アクリル酸(株式会社日本触媒製)13重量%、ヒドロキシエチルメタクリレート(株式会社日本触媒製)2重量%を蒸留水85重量%に溶解し、開始剤として過硫酸アンモニウム(関東化学株式会社製)を添加して53℃で4時間攪拌して重合することで原液を得た。この原液は脱泡した後、60℃で保温した。
(重合例3)
アクリル酸(株式会社日本触媒製)10重量%、アクリル酸ナトリウム4重量%、ヒドロキシエチルメタクリレート(株式会社日本触媒製)1重量%を蒸留水85重量%に溶解し、開始剤として過硫酸アンモニウム(関東化学株式会社製)を添加して50℃で4時間攪拌して重合することで原液を得た。この原液は脱泡した後、60℃で保温した。
アクリル酸(株式会社日本触媒製)10重量%、アクリル酸ナトリウム4重量%、ヒドロキシエチルメタクリレート(株式会社日本触媒製)1重量%を蒸留水85重量%に溶解し、開始剤として過硫酸アンモニウム(関東化学株式会社製)を添加して50℃で4時間攪拌して重合することで原液を得た。この原液は脱泡した後、60℃で保温した。
(重合例4)
アクリル酸(株式会社日本触媒製)10重量%、アクリル酸ナトリウム2重量%、酢酸ビニル2重量%、ヒドロキシエチルメタクリレート(株式会社日本触媒製)1重量%を蒸留水85重量%に溶解し、開始剤として過硫酸アンモニウム(関東化学株式会社製)を添加して50℃で4時間攪拌して重合することで原液を得た。この原液は脱泡した後、60℃で保温した。
アクリル酸(株式会社日本触媒製)10重量%、アクリル酸ナトリウム2重量%、酢酸ビニル2重量%、ヒドロキシエチルメタクリレート(株式会社日本触媒製)1重量%を蒸留水85重量%に溶解し、開始剤として過硫酸アンモニウム(関東化学株式会社製)を添加して50℃で4時間攪拌して重合することで原液を得た。この原液は脱泡した後、60℃で保温した。
(実施例1)
芯繊維として84デシテックス、72フィラメントのポリエチレンテレフタレート繊維を用い、22ゲージの丸編み機で編地を編成した。この編物を、参考例1で得た原液に浸漬し、マングルで過剰な原液を液切りした後、110℃で3分間乾燥した。続いて、金枠で固定した状態で140℃で10分熱処理して架橋を行うことで本発明の繊維状イオン交換体を得た。通水試験結果を表1に示すが、高い硬度除去率を示していた。
芯繊維として84デシテックス、72フィラメントのポリエチレンテレフタレート繊維を用い、22ゲージの丸編み機で編地を編成した。この編物を、参考例1で得た原液に浸漬し、マングルで過剰な原液を液切りした後、110℃で3分間乾燥した。続いて、金枠で固定した状態で140℃で10分熱処理して架橋を行うことで本発明の繊維状イオン交換体を得た。通水試験結果を表1に示すが、高い硬度除去率を示していた。
(実施例2)
熱処理温度を190℃に変更する以外は実施例1と同様にして本発明の繊維状イオン交換体を得た。通水試験結果を表1に示すが、高い硬度除去率を示していた。
(実施例3)
芯繊維を84デシテックス、36フィラメントのナイロン繊維にした以外は実施例2と同様にして本発明の繊維状イオン交換体を得た。通水試験結果を表1に示すが、高い硬度除去率を示していた。
熱処理温度を190℃に変更する以外は実施例1と同様にして本発明の繊維状イオン交換体を得た。通水試験結果を表1に示すが、高い硬度除去率を示していた。
(実施例3)
芯繊維を84デシテックス、36フィラメントのナイロン繊維にした以外は実施例2と同様にして本発明の繊維状イオン交換体を得た。通水試験結果を表1に示すが、高い硬度除去率を示していた。
(実施例4)
製造例1で得た原液をジャケットを備えたタンクで60℃に保温し、多孔口金より吐出して乾式紡糸法で繊維化した後、金枠で固定した状態で140℃で10分熱処理して架橋を行うことで本発明の繊維状イオン交換体を得た。通水試験結果を表1に示すが、高い硬度除去率を示していたが、10L通水時点から破過除去率の低下傾向が見られるものであった。
製造例1で得た原液をジャケットを備えたタンクで60℃に保温し、多孔口金より吐出して乾式紡糸法で繊維化した後、金枠で固定した状態で140℃で10分熱処理して架橋を行うことで本発明の繊維状イオン交換体を得た。通水試験結果を表1に示すが、高い硬度除去率を示していたが、10L通水時点から破過除去率の低下傾向が見られるものであった。
(実施例5)
熱処理温度を190℃にした以外は実施例4と同様にして本発明の繊維状イオン交換体を得た。通水試験結果を表1に示すが、高い硬度除去率を示していたが、10L通水時点から破過除去率の低下傾向が見られるものであった。(実施例6、7)
吐出と引取りのドラフト比を変えたこと以外は実施例5と同様にして本発明の繊維状イオン交換体を得た。通水試験結果を表1に示すが、高い硬度除去率を示していたが、10L通水時点から破過除去率の低下傾向が見られるものであった。
熱処理温度を190℃にした以外は実施例4と同様にして本発明の繊維状イオン交換体を得た。通水試験結果を表1に示すが、高い硬度除去率を示していたが、10L通水時点から破過除去率の低下傾向が見られるものであった。(実施例6、7)
吐出と引取りのドラフト比を変えたこと以外は実施例5と同様にして本発明の繊維状イオン交換体を得た。通水試験結果を表1に示すが、高い硬度除去率を示していたが、10L通水時点から破過除去率の低下傾向が見られるものであった。
(実施例8)
実施例6で得た長繊維状のイオン交換体をカットすることにより、本発明のチョップドファイバー状のイオン交換体を得た。通水試験結果を表1に示すが、高い硬度除去率を示していたが、10L通水時点から破過除去率の低下傾向が見られるものであった。
実施例6で得た長繊維状のイオン交換体をカットすることにより、本発明のチョップドファイバー状のイオン交換体を得た。通水試験結果を表1に示すが、高い硬度除去率を示していたが、10L通水時点から破過除去率の低下傾向が見られるものであった。
(実施例9、10、11)
それぞれ参考例2、3、4の原液を使用した以外は実施例2と同様にして本発明の繊維状イオン交換体を得た。通水試験結果を表1に示すが、高い硬度除去率を示していた。
それぞれ参考例2、3、4の原液を使用した以外は実施例2と同様にして本発明の繊維状イオン交換体を得た。通水試験結果を表1に示すが、高い硬度除去率を示していた。
本発明の吸着剤は、水やガスなどの流体中に含まれる有害物質の除去に好適に用いられる。
1:熱可塑性樹脂からなる芯繊維
2:架橋ポリアクリル酸/塩からなるイオン交換体層
3:有孔芯材
4:繊維状イオン交換体
2:架橋ポリアクリル酸/塩からなるイオン交換体層
3:有孔芯材
4:繊維状イオン交換体
Claims (6)
- エステル結合により架橋された、ポリアクリル酸またはポリアクリル酸塩の少なくとも一方を含む繊維状イオン交換体。
- 直径が50μm以上600μm以下である
請求項1に記載の繊維状イオン交換体。 - アスペクト比が100以上である
請求項1または2に記載の繊維状イオン交換体。 - 前記繊維状イオン交換体は海成分および島成分を含む海島繊維であり、
前記海成分は架橋された前記ポリアクリル酸またはポリアクリル酸塩であり、
前記島成分は熱可塑性樹脂である
請求項1から3いずれかに記載の繊維状イオン交換体。 - 筒状の有孔芯材と、
前記有孔芯材の外周に巻回された請求項1から4いずれかに記載の繊維状イオン交換体と、
を有する浄水フィルタ。 - 請求項1から4いずれかに記載の繊維状イオン交換体に硬水を接触させて硬度成分を除去する工程を備える水処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017189897A JP2019063709A (ja) | 2017-09-29 | 2017-09-29 | 繊維状イオン交換体、浄水フィルタ、および水処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2017189897A JP2019063709A (ja) | 2017-09-29 | 2017-09-29 | 繊維状イオン交換体、浄水フィルタ、および水処理方法 |
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ID=66338723
Family Applications (1)
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JP2017189897A Pending JP2019063709A (ja) | 2017-09-29 | 2017-09-29 | 繊維状イオン交換体、浄水フィルタ、および水処理方法 |
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-
2017
- 2017-09-29 JP JP2017189897A patent/JP2019063709A/ja active Pending
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