JP2019062177A - 積層セラミックコンデンサ - Google Patents

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【課題】高い焼結性を確保可能な積層セラミックコンデンサを提供する。【解決手段】積層セラミックコンデンサは、セラミック素体と、第1及び第2内部電極と、第1及び第2外部電極と、を具備する。セラミック素体は、一軸方向に沿って積層された複数のセラミック層を有し、カルシウム及びジルコニウムを含み一般式ABO3で表されるペロブスカイト構造を主相とし、ケイ素とホウ素とリチウムとを含有する多結晶体で形成されている。第1及び第2内部電極は、複数のセラミック層の間に交互に配置され、第1及び第2外部電極に接続されている。積層セラミックコンデンサでは、セラミック素体の体積をV(mm3)とし、多結晶体における主相のBサイト元素の濃度を100atm%としたときのリチウム濃度をCLi(atm%)とすると、0.2858V+0.4371≦CLi≦0.1306V+3.0391の関係を満足する。【選択図】図4

Description

本発明は、高周波数領域で利用可能な積層セラミックコンデンサに関する。
電子機器の高周波数化に伴い、電子機器に用いられる積層セラミックコンデンサには高周波数領域での高いQ値(品質係数)が求められている。例えば特許文献1には、内部電極として比抵抗の小さい銅を用いることによってQ値の向上が図られた積層セラミックコンデンサが開示されている。
内部電極として銅を用いた積層セラミックコンデンサの焼成温度は、低融点である銅の融点よりも低くする必要がある。このため、特許文献1に記載の積層セラミックコンデンサでは、焼成温度が低くても充分な焼結性が得られるように、ケイ素、ホウ素、リチウムといった焼成時に液相を形成する焼結助剤が用いられている。
特開2009−7209号公報
しかしながら、積層セラミックコンデンサの焼結過程では、揮発しやすいリチウムの量が変化する。このため、リチウムによる焼結性を向上させる作用を充分に得るためには、積層セラミックコンデンサの焼結過程の全体にわたってリチウムの量が適切な範囲内にあることが必要である。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、高い焼結性を確保可能な積層セラミックコンデンサを提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る積層セラミックコンデンサは、セラミック素体と、第1及び第2内部電極と、第1及び第2外部電極と、を具備する。
上記セラミック素体は、一軸方向に沿って積層された複数のセラミック層を有し、カルシウム及びジルコニウムを含み一般式ABOで表されるペロブスカイト構造を主相とし、ケイ素とホウ素とリチウムとを含有する多結晶体で形成されている。
上記第1及び第2内部電極は、上記複数のセラミック層の間に交互に配置されている。
上記第1外部電極は、上記セラミック素体の外面に設けられ、上記第1内部電極に接続されている。
上記第2外部電極は、上記セラミック素体の外面に設けられ、上記第2内部電極に接続されている。
上記積層セラミックコンデンサでは、上記セラミック素体の体積をV(mm)とし、上記多結晶体における上記主相のBサイト元素の濃度を100atm%としたときのリチウム濃度をCLi(atm%)とすると、
0.2901V+0.4068≦CLi≦0.1306V+3.0391
の関係を満足する。
この構成では、焼結後のセラミック素体中のリチウムの量を制御することで、焼結過程のセラミック素体中のリチウムの量を適切な範囲内に収めることができる。つまり、この積層セラミックコンデンサは、セラミック素体中のリチウムの量が上記のとおりになるように製造することで、セラミック素体の高い焼結性を確保可能である。
上記多結晶体における上記主相のBサイト元素の濃度を100atm%としたときのケイ素濃度は、1.0atm%以上6.0atm%以下であってもよい。
上記多結晶体における上記主相のBサイト元素の濃度を100atm%としたときのホウ素濃度は、1.0atm%以上6.0atm%以下であってもよい。
この構成では、ケイ素及びホウ素によるセラミック素体の焼結性を向上させる作用が効果的に得られる。
上記多結晶体は、マンガンを更に含有していてもよい。
上記多結晶体における上記主相のBサイト元素の濃度を100atm%としたときのマンガン濃度は、0.5atm%以上5.5atm%以下であってもよい。
この構成では、マンガンの作用によってセラミック素体の絶縁性が向上する。このため、この積層セラミックコンデンサでは、高い信頼性が得られる。
上記第1及び第2内部電極は、銅を主成分としていてもよい。
本発明では、焼成温度が低くてもセラミック素体の焼結性を確保可能である。このため、この積層セラミックコンデンサでは、第1及び第2内部電極の主成分として、融点の低い銅を用いることができる。これにより、第1及び第2内部電極の導電性が高くなるため、積層セラミックコンデンサのQ値を向上させることができる。
上記体積は、0.001mm以上5.000mm以下であってもよい。
上記体積は、0.001mm以上0.006mm以下であってもよい。
これらの構成では、上記のような本発明の効果が得られやすくなる。
高い焼結性を確保可能な積層セラミックコンデンサを提供することができる。
本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの斜視図である。 上記積層セラミックコンデンサの図1のA−A'線に沿った断面図である。 上記積層セラミックコンデンサの図1のB−B'線に沿った断面図である。 上記積層セラミックコンデンサの製造方法を示すフローチャートである。 ステップS01におけるセラミック素体の分解斜視図である。 ステップS02で得られるセラミック素体の斜視図である。 実施例及び比較例における評価結果を示すグラフである。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
図面には、適宜相互に直交するX軸、Y軸、及びZ軸が示されている。X軸、Y軸、及びZ軸は全図において共通である。
[積層セラミックコンデンサ10の基本構成]
図1〜3は、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサ10を示す図である。図1は、積層セラミックコンデンサ10の斜視図である。図2は、積層セラミックコンデンサ10の図1のA−A'線に沿った断面図である。図3は、積層セラミックコンデンサ10の図1のB−B'線に沿った断面図である。
積層セラミックコンデンサ10は、100MHz〜2GHz程度の高周波数領域で好適に利用可能なように構成され、例えば高周波用の誘電体共振器やフィルタなどとして用いることができる。具体的に、積層セラミックコンデンサ10は、高周波数領域における高いQ値と、高い信頼性と、を兼ね備えるように構成されている。
積層セラミックコンデンサ10は、セラミック素体11と、第1外部電極14と、第2外部電極15と、を具備する。セラミック素体11の外面は、X軸方向を向いた第1及び第2端面E1,E2と、Y軸方向を向いた第1及び第2側面と、Z軸方向を向いた第1及び第2主面と、を有する。
なお、セラミック素体11の形状は、上記のものに限定されない。つまり、セラミック素体11は、図1〜3に示すような直方体形状でなくてもよい。例えば、セラミック素体11の各面は曲面であってもよく、セラミック素体11は全体として丸みを帯びた形状であってもよい。
第1外部電極14は、セラミック素体11の第1端面E1を覆っている。第2外部電極15は、セラミック素体11の第2端面E2を覆っている。外部電極14,15は、セラミック素体11を挟んでX軸方向に対向し、積層セラミックコンデンサ10の端子として機能する。
外部電極14,15は、セラミック素体11の第1及び第2端面E1,E2から、第1及び第2主面、並びに第1及び第2側面に延出している。これにより、外部電極14,15では、図2に示すX−Z平面に平行な断面、及びX−Y平面に平行な断面がいずれもU字状となっている。
なお、外部電極14,15の形状は、図1に示すものに限定されない。例えば、外部電極14,15は、セラミック素体11の端面E1,E2から一方の主面のみに延び、X−Z平面に平行な断面がL字状となっていてもよい。また、外部電極14,15は、いずれの主面及び側面にも延出していなくてもよい。
外部電極14,15は、電気の良導体により形成されている。外部電極14,15を形成する電気の良導体としては、例えば、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、錫(Sn)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銀(Ag)、金(Au)などを主成分とする金属又は合金が挙げられる。
セラミック素体11は、誘電体セラミックスで形成されている。セラミック素体11は、誘電体セラミックスに覆われた第1内部電極12及び第2内部電極13を有する。内部電極12,13は、いずれもX−Y平面に沿って延びるシート状であり、Z軸方向に沿って交互に配置されている。
つまり、内部電極12,13は、セラミック層を挟んでZ軸方向に対向している。第1内部電極12は、セラミック素体11の第1端面E1に引き出され、第1外部電極14に接続されている。第2内部電極13は、セラミック素体11の第2端面E2に引き出され、第2外部電極15に接続されている。
このような構成により、積層セラミックコンデンサ10では、第1外部電極14と第2外部電極15との間に電圧が印加されると、第1内部電極12と第2内部電極13との間の複数のセラミック層に電圧が加わる。これにより、積層セラミックコンデンサ10では、第1外部電極14と第2外部電極15との間の電圧に応じた電荷が蓄えられる。
積層セラミックコンデンサ10には、高周波数領域で安定した性能を発揮できるように、容量の温度変化が小さいことが求められる。このため、セラミック素体11では、各セラミック層の容量の温度変化が小さくなるように、誘電率の温度変化が小さい誘電体セラミックスを用いる必要がある。
このため、セラミック素体11は、誘電率の温度変化が小さいカルシウム(Ca)及びジルコニウム(Zr)を含み一般式ABO(「A」はAサイト元素を示し、「B」はBサイト元素を示す。)で表されるペロブスカイト構造を主相とする多結晶体で形成される。カルシウム(Ca)はAサイト元素であり、ジルコニウム(Zr)はBサイト元素である。具体的に、セラミック素体11を構成する多結晶体の主相は、CaZrO(0.90≦x≦1.15)で表される組成であることが好ましい。
なお、セラミック素体11を構成する多結晶体の主相では、必要に応じて、カルシウム(Ca)及びジルコニウム(Zr)の一部が他の元素で置換されていてもよい。例えば、Aサイト元素のカルシウム(Ca)の一部がストロンチウム(Sr)で置換されていてもよい。また、Bサイト元素のジルコニウム(Zr)の一部がチタン(Ti)で置換されていてもよい。
また、セラミック素体11を構成する多結晶体は、焼結助剤としてケイ素(Si)とホウ素(B)とリチウム(Li)とを含有する。これらの元素は、セラミック素体11の焼結過程において液相を形成する。これにより、積層セラミックコンデンサ10では、セラミック素体11の焼結性を向上させることができる。
セラミック素体11の焼結過程では、揮発しやすいリチウム(Li)の量が変化する。このため、リチウム(Li)によるセラミック素体11の焼結性を向上させる作用を充分に得るためには、セラミック素体11の焼結過程の全体にわたってリチウム(Li)の量が適切な範囲内にあることが必要である。
本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ10では、焼結後のセラミック素体11中のリチウム(Li)の量を制御することで、焼結過程のセラミック素体11中のリチウム(Li)の量を適切な範囲内に収めることができる。積層セラミックコンデンサ10の当該構成の詳細については後述する。
セラミック素体11を構成する多結晶体におけるケイ素(Si)及びホウ素(B)の量は、適宜決定可能である。例えば、ケイ素(Si)及びホウ素(B)の量は、セラミック素体11における高い焼結性が得られ、かつ積層セラミックコンデンサ10の性能に影響が及びにくい範囲内で決定することが好ましい。
具体的に、セラミック素体11を構成する多結晶体では、主相のBサイト元素の濃度を100atm%としたときのケイ素(Si)濃度が、1.0atm%以上6.0atm%以下であることが好ましい。また、セラミック素体11を構成する多結晶体では、主相のBサイト元素の濃度を100atm%としたときのホウ素(B)濃度が、1.0atm%以上6.0atm%以下であることが好ましい。
内部電極12,13は、電気の良導体により形成され、積層セラミックコンデンサ10の内部電極として機能する。内部電極12,13は、銅(Cu)を主成分とすることが好ましい。これにより、積層セラミックコンデンサでは、内部電極12,13の導電性が高くなるため、ESR(等価直列抵抗)が低減され、高いQ値が得られる。
なお、内部電極12,13は、銅(Cu)を主成分としていなくてもよい。この場合、内部電極12,13は、例えば、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銀(Ag)、金(Au)から選択される1種又は2種以上を主成分とする金属又は合金で形成することができる。
なお、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ10の基本構成は、図1〜3に示す構成に限定されず、適宜変更可能である。例えば、内部電極12,13の枚数やセラミック層の厚さは、積層セラミックコンデンサ10に求められるサイズや性能に応じて、適宜決定可能である。
[積層セラミックコンデンサ10の製造方法]
図4は、積層セラミックコンデンサ10の製造方法を示すフローチャートである。図5,6は、積層セラミックコンデンサ10の製造過程を示す図である。以下、積層セラミックコンデンサ10の製造方法について、図4に沿って、図5,6を適宜参照しながら説明する。
(ステップS01:セラミック素体作製)
ステップS01では、未焼成のセラミック素体11を作製する。未焼成のセラミック素体11は、図5に示すように、複数のセラミックシートをZ軸方向に積層して熱圧着することにより得られる。セラミックシートに予め所定のパターンの銅ペーストを印刷しておくことにより、内部電極12,13を配置することができる。
セラミックシートは、セラミックスラリーをシート状に成形した未焼成の誘電体グリーンシートである。セラミックシートは、例えば、ロールコーターやドクターブレードなどを用いてシート状に成形される。セラミックスラリーの成分は、上記の組成のセラミック素体11が得られるように調整される。
具体的に、セラミックスラリーには、誘電体セラミックスの仮焼粉、SiOなどのケイ素(Si)含有粉末、BNなどのホウ素(B)含有粉末、LiCOなどのリチウム(Li)含有粉末等が含まれる。また、セラミックスラリーには、MnCOなどのマンガン(Mn)含有粉末が含まれていてもよい。
(ステップS02:焼成)
ステップS02では、ステップS01で得られた未焼成のセラミック素体11を焼成する。これにより、セラミック素体11が焼結し、図6に示すセラミック素体11が得られる。セラミック素体11の焼成は、例えば、還元雰囲気下、又は低酸素分圧雰囲気下において行うことができる。セラミック素体11の焼成条件は、適宜決定可能である。
例えば、セラミック素体11の焼成時にはリチウム(Li)が揮発するため、焼成後のセラミック素体11に適切な量のリチウム(Li)が残るように、焼成条件を調整することが好ましい。また、焼成温度は、内部電極12,13の主成分である銅(Cu)の融点(1084℃)より低いことが好ましく、例えば950℃とすることができる。また、焼成時間は、例えば2時間とすることができる。
(ステップS03:外部電極形成)
ステップS03では、ステップS02で得られたセラミック素体11に外部電極14,15を形成することにより、図1〜3に示す積層セラミックコンデンサ10を作製する。ステップS03では、例えば、セラミック素体11の端面E1,E2に、外部電極14,15を構成する下地膜、中間膜、及び表面膜を形成する。
より詳細に、ステップS03では、まず、セラミック素体11の端面E1,E2を覆うように未焼成の電極材料を塗布する。塗布された未焼成の電極材料を、例えば、還元雰囲気下、又は低酸素分圧雰囲気下において焼き付けを行うことにより、セラミック素体11に外部電極14,15の下地膜が形成される。
そして、セラミック素体11に焼き付けられた外部電極14,15の下地膜の上に、外部電極14,15の中間膜が形成され、更に外部電極14,15の表面膜が形成される。外部電極14,15の中間膜及び表面膜の形成には、例えば、電解メッキなどの湿式メッキを用いることができる。
なお、上記のステップS03における処理の一部を、ステップS02の前に行ってもよい。例えば、ステップS02の前に未焼成のセラミック素体11の端面E1,E2に未焼成の電極材料を塗布してもよい。これにより、ステップS02において、セラミック素体11の焼成と電極材料の焼き付けとを同時に行うことができる。
[セラミック素体11中のリチウム(Li)の量]
積層セラミックコンデンサ10では、セラミック素体11の焼結性が充分でないと、例えば、Q値の低下や、特に耐湿性などの信頼性の低下などが発生する。低い焼成温度でセラミック素体11の高い焼結性を確保するためには、セラミック素体11に適切な量のケイ素(Si)、ホウ素(B)、リチウム(Li)が含まれている必要がある。
セラミック素体11の焼結過程では、ケイ素(Si)とホウ素(B)の量は変化しにくいのに対し、揮発しやすいリチウム(Li)の量は変化する。このため、セラミック素体11の焼結過程の全体にわたってリチウム(Li)による作用を充分に得るためには、リチウム(Li)の量が適切な範囲内に収まるようにする必要がある。
本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ10では、焼結後のセラミック素体11中のリチウム(Li)の量を制御することで、焼結過程のセラミック素体11中のリチウム(Li)の量を適切な範囲内に収めることができる。これにより、積層セラミックコンデンサ10では、セラミック素体11の高い焼結性が確保される。
また、セラミック素体11では、焼結後におけるリチウム(Li)の適切な量の範囲が体積に応じて変化する傾向が見られる。より詳細に、セラミック素体11では、体積が大きいほど、焼結後におけるリチウム(Li)の量が多く必要となる傾向があることが実験的に確認されている。
以下、焼結後のセラミック素体11のリチウム(Li)の適切な量の範囲を解明するための実験について説明する。この実験では、まずセラミック素体11の体積、及びセラミック素体11中のリチウム(Li)の量の異なる積層セラミックコンデンサ10のサンプルを多数作製した。
セラミック素体11の体積V(mm)は、図2,3に示される、X軸方向の寸法L(mm)と、Y軸方向の寸法W(mm)と、Z軸方向の寸法T(mm)と、を用いて、L×W×Tによって内部電極12,13を含む体積として算出することができる。セラミック素体11の各寸法L,W,Tは、セラミック素体11のX軸、Y軸、及びZ軸方向の中央部で測定される。
セラミック素体11中のリチウム(Li)の量は、セラミック素体11を構成する多結晶体の主相のBサイト元素の濃度を100atm%としたときのリチウム(Li)濃度CLi(atm%)として算出した。セラミック素体11を構成する多結晶体の主相のBサイト元素の濃度は、例えば、ジルコニウム(Zr)濃度として得ることができる。
つまり、リチウム(Li)濃度CLiは、ジルコニウム(Zr)濃度を基準とした相対的なリチウム(Li)の濃度を示している。ジルコニウム(Zr)及びリチウム(Li)の濃度は、誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)発光分析により定量することができる。
各サンプルについて、Q値及び耐湿性の評価を行った。本実験では、Q値及び耐湿性の評価によって、セラミック素体11の焼結性について間接的に評価している。Q値の評価は、周波数1GHzの条件で行った。耐湿性の評価は、温度85℃、湿度85%において定格電圧の2倍の電圧を200時間印加する条件で行った。
Q値の評価では、規格値の1.5倍以上のサンプルを合格とした。耐湿性の評価では、電気抵抗値が10MΩ以上のサンプルを合格とした。そして、Q値及び耐湿性の評価がいずれも合格のサンプルを、セラミック素体11の焼結性が充分なものとして実施例とした。一方、Q値及び耐湿性の評価の少なくとも一方が不合格のサンプルを、セラミック素体11の焼結性が不充分なものとして比較例とした。
図7は、各サンプルの評価結果を示すグラフである。図7の横軸は、セラミック素体11の体積Vを示している。図7の縦軸は、セラミック素体11を構成する多結晶体の主相のBサイト元素の濃度を100atm%としたときのリチウム(Li)濃度CLiを示している。また、実施例を丸印のプロットで示し、比較例をバツ印のプロットで示している。
図7から、実施例のプロットはリチウム(Li)濃度CLiの特定の範囲に分布しており、この範囲の上下に比較例のプロットが分布していることがわかる。したがって、実施例のプロットが分布している範囲の条件を採用することにより、セラミック素体11における高い焼結性を確保することができる。
図7には、実施例のプロットが分布している範囲の最上部を構成するプロットを最小二乗法によってフィッティングすることにより得られた曲線が示されている。この曲線は、「CLi=0.1306V+3.0391」で表される。なお、決定係数Rは、0.9489であり、良好にフィッティングできている。
また、図7には、実施例のプロットが分布している範囲の最下部を構成するプロットを最小二乗法によってフィッティングすることにより得られた曲線が示されている。この曲線は、「CLi=0.2858V+0.4371」で表される。なお、決定係数Rは、0.9777であり、良好にフィッティングできている。
したがって、図7における実施例のプロットが分布している範囲は、以下の式で表すことができる。
0.2858V+0.4371≦CLi≦0.1306V+3.0391
つまり、積層セラミックコンデンサ10のセラミック素体11では、この式の関係を満たすように作製することによって、高い焼結性が確保される。
また、上記の式を基準とするセラミック素体11の焼結性の制御は、セラミック素体11の体積Vが0.001mm以上5.000mm以下である場合により有効であり、セラミック素体11の体積Vが0.001mm以上0.006mm以下である場合に更に有効である。
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく種々変更を加え得ることは勿論である。
10…積層セラミックコンデンサ
11…セラミック素体
12,13…内部電極
14,15…外部電極
E1,E2…端面

Claims (7)

  1. 一軸方向に沿って積層された複数のセラミック層を有し、カルシウム及びジルコニウムを含み一般式ABOで表されるペロブスカイト構造を主相とし、ケイ素とホウ素とリチウムとを含有する多結晶体で形成されたセラミック素体と、
    前記複数のセラミック層の間に交互に配置された第1及び第2内部電極と、
    前記セラミック素体の外面に設けられ、前記第1内部電極に接続された第1外部電極と、
    前記セラミック素体の外面に設けられ、前記第2内部電極に接続された第2外部電極と、
    を具備し、
    前記セラミック素体の体積をV(mm)とし、前記多結晶体における前記主相のBサイト元素の濃度を100atm%としたときのリチウム濃度をCLi(atm%)とすると、
    0.2858V+0.4371≦CLi≦0.1306V+3.0391
    の関係を満足する
    積層セラミックコンデンサ。
  2. 請求項1に記載の積層セラミックコンデンサであって、
    前記多結晶体における前記主相のBサイト元素の濃度を100atm%としたときのケイ素濃度は、1.0atm%以上6.0atm%以下である
    積層セラミックコンデンサ。
  3. 請求項1又は2に記載の積層セラミックコンデンサであって、
    前記多結晶体における前記主相のBサイト元素の濃度を100atm%としたときのホウ素濃度は、1.0atm%以上6.0atm%以下である
    積層セラミックコンデンサ。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の積層セラミックコンデンサであって、
    前記多結晶体は、マンガンを更に含有し、
    前記多結晶体における前記主相のBサイト元素の濃度を100atm%としたときのマンガン濃度は、0.5atm%以上5.5atm%以下である
    積層セラミックコンデンサ。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の積層セラミックコンデンサであって、
    前記第1及び第2内部電極は、銅を主成分とする
    積層セラミックコンデンサ。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の積層セラミックコンデンサであって、
    前記体積は、0.001mm以上5.000mm以下である、
    積層セラミックコンデンサ。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の積層セラミックコンデンサであって、
    前記体積は、0.001mm以上0.006mm以下である、
    積層セラミックコンデンサ。
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