以下、添付の図面を参照して、本発明を好適な実施例に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例において示す構成は一例にすぎず、本発明は図示された構成に限定されるものではない。
[実施例1]
最初に、本発明の前提となる、電子写真方式の画像形成装置の基本動作について説明する。
図1は、電子写真方式の画像形成装置100の基本的な構成を示す図である。画像形成装置100は、感光体ドラム110、帯電装置120、露光装置130、コントローラ140、現像装置150、転写装置160、定着装置170、及び環境検知装置180で構成される。現像装置150における斜線部は、現像剤としてのトナーを表している。また、Rは現像領域を、Tは転写位置を、Pは記録媒体(用紙)をそれぞれ表している。なお、画像形成装置100におけるコントローラ140や環境検知装置180を除く画像形成に係る動作を行う部分をプリンタエンジンと呼ぶこととする。
感光体ドラム110は、像担持体としてのドラム状の電子写真感光体である。
帯電装置120は、帯電ローラ等の感光体ドラム110の表面を一様に帯電させる帯電手段である。
露光装置130は、一様に帯電した感光体ドラム110に、画像データに基づいた量の光を照射して露光する露光手段であり、例えばレーザビームスキャナや面発光素子等で構成される。露光はレーザビームによって行われ、この露光によって感光体ドラム110の表面上に静電潜像が形成される。すなわち、コントローラ140から出力される駆動信号に応じて光が感光体ドラム110に照射されて静電潜像が形成される。
コントローラ140は、上述の駆動信号や、露光時の目標光量を調整するために半導体レーザLDを駆動するための光量調整信号を露光装置130に出力する。光量調整信号により一定量の電流が露光装置130に供給され、露光強度が一定に制御される。この目標光量を基準として画素毎に光量を調整したり、パルス幅変調により発光時間を調整することで、画像の階調表現が実現される。
現像装置150は、トナーの貯蔵及び保管を行うトナー容器の他、現像剤担持体である現像ローラ151及びトナー層厚規制部材として機能する規制ブレード152を備えている。ここではトナーとして非磁性一成分トナーを使用するが、二成分トナーが採用されてもよいし、磁性トナーが採用されてもよい。現像ローラ151に供給されたトナーの層厚は、上述の規制ブレード152により規制される。規制ブレード152は、トナーに電荷を付与するように構成されていてもよい。そして、所定の層厚に規制され、かつ、所定量の電荷を付与されたトナーは、現像ローラ151により現像領域Rへ搬送される。現像領域Rは、現像ローラ151と感光体ドラム110とが近接又は接触する領域であり、かつ、トナーの付着が実行される領域である。感光体ドラム110の表面上に形成された静電潜像はトナーにより現像されてトナー像に変換される。そして、感光体ドラム110の表面上に形成されたトナー像は、転写位置Tにて転写装置160により記録媒体P上に転写される。記録媒体P上に転写されたトナー像は定着装置170に搬送される。定着装置170はトナー像と記録媒体Pに熱と圧力を加えてトナー像を記録媒体P上に定着させる。
さらに、コントローラ140は、エッジ効果や掃き寄せ効果に起因した過剰なトナーの付着を抑制するための、トナー消費量を削減する補正処理を、イメージスキャナ(不図示)やホストコンピュータ10から送信されるラスタ画像データに対して実行する。ここで、改めてエッジ効果について定義すると、感光体ドラム110の表面のうち露光された領域(露光領域)と露光されなかった領域(非露光領域)との境界(縁)において、トナーが過剰に付着する現象、となる。つまり、露光領域の表面電位と非露光領域の表面電位とは異なるため、これらの境界では電界の廻り込みが発生し、過剰にトナーが付着してしまう現象が生じる。また、掃き寄せ効果は、前述の通り、静電潜像の搬送方向における後端部においてトナーが過剰に付着してしまう現象である。
エッジ効果や掃き寄せ効果による余分なトナーの付着は、原稿濃度に対する画像濃度の再現性を低下させるだけでなく、トナーの過剰な消費をもたらす。よって、エッジ効果や掃き寄せ効果に伴う余分なトナーを取り除くことができれば、トナーの節約に繋がることになる。
図2は、コントローラ140の内部構成を示す機能ブロック図である。以下、コントローラ140の動作について、関係する周辺装置と共に説明する。
コントローラ140は、CPU210、ROM220、RAM230、露光量調整部240、露光制御部250、画像処理部260、ホストI/F270で構成され、各部がバス280で互いに接続される。
CPU210は、画像形成装置100の全体を統括的に制御する制御ユニットである。CPU210は、例えば入力画像内の複数の画素のうち上述のエッジ効果又は掃き寄せ効果が生じ得る画素の画素値を補正して、エッジ効果又は掃き寄せ効果を低減させる補正処理を、ROM220に格納されたプログラムに従って実行する。また、CPU210は、入力画像内の複数の画素のうちエッジ効果又は掃き寄せ効果によってトナーが過剰となる画素を特定する処理を、ROM220に格納されたプログラムに従って実行することもある。
RAM230は、CPU210のワークメモリとして機能し、画像メモリ231を有している。画像メモリ231は、画像形成の対象となる画像データが展開される記憶領域(ページメモリやラインメモリなど)である。また、RAM230には、補正パラメータ(補正対象となる画素幅)や補正係数(露光量の削減割合)などを格納したLUT(ルックアップテーブル)なども保持される。
露光量調整部240は、露光装置130の光源についてAPC(自動光量制御)を実行して目標光量を設定し、上述の光量調整信号を生成する。
露光制御部250は、露光装置130を制御するための駆動信号を生成する。
画像処理部260は、条件判定部261、補正パラメータ設定部262、画像解析部263で構成され、エッジ効果及び掃き寄せ効果を減少させるための補正処理の前処理としての、補正パラメータ(補正対象とする画素幅を特定する情報)を設定する処理を実行する。
ホストI/F270は、ホストコンピュータ10とのデータのやり取りを行なうインタフェースである。
<露光装置の制御>
ここで、駆動信号及び光量調整信号によって露光装置130がどのように制御されるのかを説明する。図3は、駆動信号と光量調整信号によって露光装置130がどのように制御されるのかを説明する図である。
露光量調整部240は、8ビットのDAコンバータとレギュレータを内蔵したIC241を有しており、上述の光量調整信号を生成して露光装置130に送出する。露光装置130には、電圧を電流に変換するVI変換回路131と、レーザドライバIC132と、半導体レーザ133が搭載されている。
露光量調整部240内のIC241は、コントローラ140内のCPU210により設定された半導体レーザ133の駆動電流を示すベース信号を基に、レギュレータから出力される電圧VrefHを調整する。ここで、電圧VrefHはDAコンバータの基準電圧となる。IC241がDAコンバータの入力データを設定することで、DAコンバータから光量調整信号としての光量調整アナログ電圧が出力される。
露光装置130のVI変換回路131は、露光量調整部240から受け取った光量調整信号を電流値Idに変換してレーザドライバIC132に出力する。なお、ここでは、露光量調整部240に実装されたIC241が光量調整信号を出力している。しかし、露光装置130上にDAコンバータを実装して、レーザドライバIC132の近傍で光量調整信号が生成されてもよい。
レーザドライバIC132は、露光制御部250から出力される駆動信号に応じて、スイッチSWを切り替える。スイッチSWは、電流ILを半導体レーザ133に流すか、ダミー抵抗R1に流すかを切換えることで、半導体レーザ133の発光のON/OFF制御を行う。
<画像の濃度制御>
次に、露光装置130による画像濃度の制御について説明する。
図4は、露光装置130におけるPWM(パルス幅変調)制御によって、画像濃度が調整される様子を説明する図である。図4(a)において、SN01〜SN05は、1画素をN個(Nは2以上の自然数)の副画素に分割し、一部の副画素を間引くことで形成される画像をそれぞれ示している。図4(b)は、SN01〜SN05に対応する画像濃度を示しており、SN01は100%、SN02は75%、SN03は50%、SN04は75%、SN05は87.5%となっている。露光制御部250が駆動信号を介して、目標光量に対して100%の光量をPWM制御で間引くことで、これらの画像を実現する濃度制御が実現可能である。例えば、1画素を16個の副画素に分割し、奇数番目の副画素のみを露光するよう半導体レーザ133を駆動することで、SN03で示す50%の濃度の画像が表現可能となる。
<2種類の現像状態>
次に、現像装置150において観察される2種類の現像状態について説明する。図5は、2種類の現像状態の説明図であって、(a)はジャンピング現像状態を(b)は接触現像状態をそれぞれ示している。
図5(a)に示すジャンピング現像状態は、非接触に維持された現像ローラと感光体ドラムとの最接近部である現像領域で発生する、現像ローラと感光体ドラムとの間に印加された現像電圧(直流バイアスを重畳した交流バイアス電圧など)により現像している状態を指す。ジャンピング現像状態にある現像装置150は、現像位置における現像ローラと感光体ドラムとの間にギャップを有している。このギャップが小さすぎると現像ローラから感光体ドラムへリークが発生し易くなり、潜像を現像することが難しくなる。一方、ギャップが大きすぎるとトナーが感光体ドラムに飛翔し難くなる。そのため、現像ローラの軸に回転可能に支持された突き当てコロ(不図示)によって、ギャップが適切な大きさに維持されるように設計される場合もある。
図5(b)に示す接触現像状態は、感光体ドラムと現像ローラとが接触している状況下の最接近部である現像領域で、現像ローラと感光体ドラムとの間に印加された現像電圧(直流バイアス)により現像している状態である。
図5の(a)(b)いずれの現像状態でも、感光体ドラムと現像ローラは、それぞれ異なる周速で順方向に回転している。また、感光体ドラムと現像ローラの間には現像電圧として直流電圧が印加されているが、現像電圧の極性は感光体ドラムの表面の帯電電位と同極性に設定されている。そして、現像ローラ上に薄層化されたトナーが現像領域に搬送されて、感光体ドラムの表面上に形成された静電潜像が現像されることになる。
<エッジ効果及び掃き寄せ効果の発生原理>
まず、エッジ効果の発生原理について説明する。エッジ効果とは、感光体ドラム上に形成された露光部(静電潜像)と非露光部(帯電部)との境界に電界が集中することで、画像の縁にトナーが過剰に付着してしまう現象である。図6はエッジ効果の説明図である。図6において、露光部の両サイドにある非露光部からの電気力線601が露光部の縁(エッジ)に回り込んでいるため、エッジにおける電界強度が露光部の中央よりも強くなる。これにより、露光部の中央よりもエッジ部に多くのトナーが付着することになる。
図7(a)は、エッジ効果の発生した画像の一例を示す図である。図7(a)において下向きの矢印は、画像700が形成された記録媒体の搬送方向(感光体ドラムの回転方向であり、いわゆる副走査方向)を示している。画像700の元となった画像データでは、画像700は一様の濃度の画像である。エッジ効果が生じた場合、画像700のエッジ部702にトナーが集中して付着する。その結果、非エッジ部701と比較してエッジ部702の濃度が濃くなってしまう。図8(a)は、画像700におけるトナーの分布状態を示す図である。図8(a)において右向きの矢印は画像700が形成された記録媒体の搬送方向(副走査方向)を示している。搬送方向下流のエッジ部802及び、搬送方向上流のエッジ部803のトナー付着量は非エッジ部801に比べて多く、その分だけ濃度も高くなることになる。また、両エッジ部のトナーは過剰であり、トナー消費量が増大する一因になっている。このように両エッジ部に対して電界が集中することで両エッジ部にトナーが過剰に付着するという現象が発生する。そして、このエッジ効果は、前述のジャンピング現像状態において顕著に見られることになる。これは、接触現像状態の場合、現像ローラと感光体ドラムとの間のギャップが極端に短いため、感光体ドラムから現像ローラに向かって電界が発生し、エッジ部への電界集中が緩和されるためである。
次に、掃き寄せ効果の発生原理について説明する。掃き寄せとは、感光体ドラム上の画像の後端部のエッジにトナーが集中する現象をいう。この掃き寄せ効果は、接触現像状態で顕著に見られることになる。以下、詳しく説明する。
図7(b)は、掃き寄せ効果の発生した画像の一例を示す図である。図7(b)において下向きの矢印は画像710が形成された記録媒体の搬送方向(副走査方向)を示している。画像700と同様、画像701の元となった画像データでは、画像710は一様の濃度の画像である。掃き寄せ効果が生じた場合、画像710のエッジのうち後端部712にトナーが集中して付着する。その結果、非エッジ部711と比較して後端部712の濃度が濃くなってしまう。図8(b)において右向きの矢印は画像710が形成された記録媒体の搬送方向(副走査方向)を示している。搬送方向下流側の後端部712のトナー付着量が非エッジ部811に比べて多くなり、その分だけ濃度も高くなることになる。また、後端部のトナーは過剰であり、トナー消費量が増大する一因になっている。
図9は、接触現像状態における掃き寄せ効果の発生メカニズムを説明する図である。接触現像状態では、感光体ドラム上のトナーの高さが所定の高さになるよう、現像ローラの周速は感光体ドラムの周速よりも速くなっている。これにより、感光体ドラムに安定してトナーを供給することが可能となり、画像濃度が目標となる濃度に維持される。図9(a)で示すように、現像領域では、現像ローラによって搬送されてきたトナーによって静電潜像が現像される。また、感光体ドラムに対して現像ローラの方が速く回転しているため、両者の表面上の位置関係は常にずれ続けている。静電潜像900の後端部が現像領域に侵入した時点では、現像ローラ上の斜線で示すトナー901は、現像領域の開始位置より回転方向において静電潜像900の後端部における網掛けで示すトナー902よりも後側に位置する。その後、図9(b)で示すように、後端部におけるトナー902が現像領域を出るまでの間に、現像ローラ上のトナー901は後端部におけるトナー902を追い越す。そして、図9(c)で示すように、トナー901が静電潜像900の後端部のトナー902に供給され、グレーで示すトナー903となって付着するため、後端部における現像量が多くなる。これが、掃き寄せ効果の発生メカニズムである。
<エッジ効果及び掃き寄せ効果を低減させる露光量の補正処理>
次に、静電潜像を形成するための画像データを補正することで、エッジ効果及び掃き寄せ効果を減少させる、露光量の補正処理について説明する。
まず、露光量を補正する処理のための前処理が、画像処理部260にて実行される。この前処理は、CPU210がプログラムに従って画像処理部260を制御することで実行される。以下、詳しく説明する。
最初に、ホストコンピュータ10から送信された入力画像データが、画像メモリ231に蓄積される。画像処理部260は、画像形成装置100の状態を示す装置状態情報を受け取ると条件判定部261に入力する。ここで、装置状態情報には、環境検知装置180で取得した画像形成装置100内外の温度や湿度といった周辺環境の情報の他、コントローラ140内で別途求めた総出力枚数や総稼働時間から予測される感光体ドラムやトナーといった部材の耐久度合を示す情報が含まれる。条件判定部261は、受け取った装置状態情報に応じた補正の条件を決定する。本実施例では、耐久度合いを示す情報や環境情報に基づき、補正対象領域(補正対象とする所定幅の画素群)が大きい「条件1」から、補正対象領域が小さい「条件4」までの4段階の条件に分けることとしている。そして、決定した条件の情報(以下、条件情報)が補正パラメータ設定部262に入力される。補正パラメータ設定部262は、受け取った条件情報に基づいて、補正パラメータとしての補正対象とする所定の画素幅(画像端部からの画素数)を設定する。図10は、補正パラメータの設定の際に用いるテーブルの一例を示す図である。エッジ効果や掃き寄せ効果と相関関係のある各種条件と上記補正パラメータとの関係を実験やシミュレーションによって予め求め、図10に示すようなテーブルが作成される。そして作成されたテーブルは、RAM230内に保持される。図10のテーブルでは、上述の4段階の条件(条件1〜4)に応じた補正パラメータが対応付けられ、入力された条件から、エッジ効果用と掃き寄せ効果用の補正パラメータがそれぞれ決定できるようになっている。なお、本実施例では条件を4段階としたが何段階に分けるかは任意であって、使用する感光体ドラムやトナーの濃度特性などに応じて決定すればよい。例えば、エッジ効果及び掃き寄せ効果の発生が変わり得るより細かな段階数の条件に分け、その上で、エッジ効果及び掃き寄せ効果それぞれの補正パラメータを対応付けたテーブルを作成してもよい。
そして、画像解析部263は、補正パラメータ設定部262によって設定された補正パラメータに基づいて、画像メモリ上の画像データに対しエッジ効果及び掃き寄せ効果が発生し得る画素を特定する処理を行なう。エッジ効果や掃き寄せ効果は、画素の光学的な濃度がある値より大きくなると視認しやすくなる。さらに、エッジ効果は画素領域の縁に発生し、掃き寄せ効果は画素領域の後端に発生する。したがって、これらを考慮して補正対象画素を決定することで、エッジ効果や掃き寄せを効率よく低減することができる。
まず、エッジ効果が発生し得るエッジ部の画素の特定について説明する。図11は、エッジ効果が発生し得る画素がどのようにして特定されるのかを説明する図である。図11(a)は、入力画像1100を示しており、2つの矩形領域1101及び1102は、入力画像内の実際にトナーが載る(消費される)領域を示している。なお、図11(b)〜(e)における下向きの矢印は副走査方向を示している。画像解析部263は、画像メモリからラスタ順で入力画像データを受け取り、入力画像1100内の複数の画素について、設定された補正パラメータ(補正対象画素数)を基に、補正対象の画素を特定する。ここでは、条件情報によって条件2に対応する補正対象画素数(5画素)が特定されたものとして、以下説明する。
図11(b)は、画像領域1101(16×16画素)を構成している各画素の画素値(8ビット:0〜255)を示している。いま、画像領域1101は全画素が黒画素(画素値:255)であり、その周囲はすべて白画素(画素値:0)である。ただし、白画素については図示していない。図11(c)は、画像領域1101についての、補正対象画素数(5画素)に基づいて特定された補正対象画素を示している。補正対象画素には“0”以外の数字(ここでは、1〜5)が付与され、その数字の意味は白画素からの距離を示している。補正対象とならなかった領域中心部の画素には“0”が付与されている。なお、説明の便宜上、画像サイズは実際よりも小さいものとなっており、“0”が付与される領域中心部の画素(補正対象外画素)は、実際よりも多くなるのが通常である。本実施例では、白画素からの距離に応じて露光量の補正割合が異なるように制御される。画像解析部263は、図11(c)に示すような、補正対象画素とそのエッジ(白画素)からの距離を特定した情報を解析結果として出力する。図11(d)は、画像領域1102(3×16画素)を構成している各画素の画素値を示している。画像領域1102において、副走査方向の連続画素数は3画素であり、補正対象画素数である5画素に満たない。そのため、副走査方向である上端及び下端についてはエッジからの距離とは無関係に補正対象外の画素となる。図11(e)は、画像領域1102についての補正対象画素数(5画素)に基づいて特定された補正対象画素を示している。上述のとおり、エッジ効果の及ぶ幅(すなわち、補正対象の画素幅)よりも長い主走査方向の5画素分のみが補正対象となり、その他の画素については補正対象外(=0)となる。ここでは、上下左右のエッジ効果それぞれを同時に解析しているが、上下と左右とで分離して解析してもよいし、上・下・左・右をそれぞれ別個に解析してもよい。
次に、掃き寄せ効果が発生し得るエッジ部の画素の特定について説明する。図12は、掃き寄せ効果が発生し得る画素がどのように特定されるのかを説明する図である。図12(a)は、入力画像1200を示しており、図11(a)と同様、2つの矩形領域1201及び1202は、入力画像内の実際にトナーが載る(消費される)領域を示している。図12(b)〜(e)における下向きの矢印は副走査方向を示している。画像解析部263は、画像メモリからラスタ順で入力画像データを受け取り、入力画像1200内の複数の画素について、設定された補正パラメータである補正対象画素数を基に、補正対象の画素を特定する。ここでも、条件情報によって条件3に対応する補正対象画素数(7画素)が特定されたものとする。
図12(b)は、画像領域1201(16×16画素)を構成している各画素の画素値(8ビット:0〜255)を示している。いま、画像領域1201は全画素が黒画素(画素値:255)であり、その周囲はすべて白画素(画素値:0)である。ただし、白画素については図示していない。図12(c)は、画像領域1201についての、補正対象画素数(7画素)に基づいて特定された補正対象画素を示している。補正対象画素には“0”以外の数字が付与され、その数字の意味は白画素からの距離を示している。補正対象とならなかった領域上部の画素には“0”が付与されている。本実施例では、白画素からの距離に応じて露光量の補正割合を異ならせる制御がなされる。画像解析部263は、図12(c)に示すような、補正対象画素とそのエッジからの距離を特定した情報を解析結果として出力する。図12(d)は、画像領域1202(3×16画素)を構成している各画素の画素値を示している。画像領域1202において、副走査方向の連続画素数は3画素であり、補正対象画素数である7画素に満たない。そのため、全画素が補正対象外の画素となる。図12(e)は、画像領域1202についての補正対処画素数(7画素)に基づいて特定された補正対象画素を示す図であるが、上述の通り、補正対象外の画素であることを示す“0”がすべての画素に付与されている。
このようにエッジ効果及び掃き寄せ効果を低減させるための補正処理の対象となる画素の情報が、解析結果として画像メモリに格納される。そして、後述の補正処理において、入力画像を構成する複数の画素のうち、エッジ効果又は掃き寄せ効果が生じ得る画素(補正対象画素)の画素値が補正されることになる。
続いて、コントローラ140において実行される補正処理の詳細について説明する。
図13は、本実施例に係る、補正処理の流れを示すフローチャートである。以下の一連の処理は、ROM220等に格納されたプログラムがRAM230に読み出され、これをCPU210が実行することにより実現される。CPU210は、ホストコンピュータ10からの印刷開始指示(ラスタ画像データの入力)を受けて、本フローチャートに係る処理を開始する。
ステップ1301では、補正パラメータ設定部262によって設定された補正パラメータ(補正対象画素数)及び画像解析部263での画像解析の結果(補正対象画素と各画素のエッジからの距離を特定した情報)が取得される。
ステップ1302では、入力画像のうち、処理対象とする注目画素が決定される。
ステップ1303では、ステップ1301で取得した画像解析結果のうち、エッジ効果についての解析結果に基づいて、注目画素が補正対象画素であるか否かが判定される。具体的には、上述の通り補正対象画素以外の画素には“0”が付与されているので、注目画素に対応する数字が“0”以外であれば補正対象画素と判定し、“0”であれば補正対象外の画素と判定する。判定の結果、注目画素がエッジ効果の補正対象画素であれば、ステップ1304に進む。一方、エッジ効果の補正対象外の画素であれば、ステップ1305へ進む。
ステップ1304では、注目画素に対するエッジ効果を低減させる補正処理のための係数(以下、エッジ効果用補正係数)が導出される。ここで、エッジ効果用補正係数の導出方法について詳しく説明する。図14は、エッジ効果が発生した場合における、トナーの高さと削減割合の一例を示すグラフである。図14(a)において、縦軸は図11における破線1103を断面とした画像領域1101の非エッジ部の高さを「1」とした場合のトナー高さを表し、横軸はドット数を表している。なお、画像領域1101のサイズ(16×16画素)とドット数とが整合していないが、これは前述の通り、画像領域1101が実際よりも小さいことによるものである。図14(b)は、図14(a)で示されるトナー高さを画像領域1101の全領域において「1」にする場合に必要となるトナーの削減割合(過剰高さ分の是正に必要な補正割合)を表している。エッジ効果が発生している箇所では過剰にトナーが使用されているが、画像の最も端の部分では逆にトナーが不足していることが、図14(b)から分かる。したがって、画像端部のうちエッジ効果が発生している箇所に対しては露光量を減らす補正を行い、画像の最端部に対しては露光量を増やす補正を行う必要があることになる。図14(c)は、実際にPWM制御によって補正を行う場合(最端部についてはトナー高さの補正を行わない場合)に必要なトナー高さの補正割合を示したグラフである。そして、図15は、図14(a)〜(c)で示される場合において必要となる補正を実現するための、PWM制御による露光量の削減割合(補正量)を規定したテーブルの一例である。図15に示すテーブルでは、エッジ(白画素)からの距離と削減する露光量の割合が対応付けられている。基本的には図14(b)に示す削減割合が、そのまま露光量の削減割合となっているが、エッジからの距離が最も近い部分(トナー高さ削減割合がマイナスの値となっている最端部の部分)については、PWM制御によって露光量を増やすことはできないので削減割合は“0”になっている。
なお、本実施例では、露光量の削減割合とトナー高さの削減割合とを同値としているが、この限りではなく、過剰なトナー高さの是正を実現できる値であればいかなるものであってもよい。
本ステップでは、図15に示すようなテーブルを参照して、補正対象画素である注目画素のエッジからの距離に応じた補正係数、すなわち、露光量の削減割合が導出される。例えば注目画素のエッジからの距離が“2”であれば、補正係数として“0.25”が導出されることになる。
図13のフローチャートの説明に戻る。
ステップ1305では、ステップ1301で取得した画像解析結果のうち、掃き寄せ効果についての解析結果に基づいて、注目画素が補正対象画素であるか否かが判定される。具体的には、上述の通り補正対象画素以外の画素には“0”が付与されているので、注目画素に対応する数字が“0”以外であれば補正対象画素と判定し、“0”であれば補正対象外の画素と判定する。判定の結果、注目画素が掃き寄せ効果の補正対象画素であれば、ステップ1306に進む。一方、掃き寄せ効果の補正対象外の画素であれば、ステップ1307へ進む。
ステップ1306では、注目画素に対する掃き寄せ効果を低減させる補正処理のための係数(以下、掃き寄せ効果用補正係数)が導出される。ここで、掃き寄せ効果用補正係数の導出方法について詳しく説明する。図16は、掃き寄せ効果が発生した場合における、前述の図14(b)に対応するグラフであり、トナー高さを画像領域1101の全領域において「1」にする場合に必要となるトナーの削減割合(過剰高さ分の是正に必要な補正割合)を表している。図16から、掃き寄せ効果が発生している箇所では過剰にトナーが使用されていることが分かる。したがって、掃き寄せ効果が発生している箇所に対しては露光量を減らす補正を行う必要があることになる。図17は、図16で示される場合において必要となる補正を実現するための、PWM制御による露光量の削減割合を規定したテーブルの一例である。図17に示すテーブルも、図15のテーブルと同様、エッジ(白画素)からの距離と削減する露光量の割合(補正量)とが対応付けられている。図17に示すテーブルの例では、図16に示す削減割合がそのまま露光量の削減割合となっている。ただし、過剰なトナー高さの是正を実現できる値であればいかなる値であってもよい。本ステップでは、図17に示すようなテーブルを参照して、補正対象画素である注目画素のエッジからの距離に応じた補正係数、すなわち、露光量の削減割合が導出される。例えば注目画素のエッジからの距離が“3”であれば、補正係数として“0.5”が導出されることになる。
図13のフローチャートの説明に戻る。
ステップ1307では、注目画素においてエッジ効果と掃き寄せ効果の両方が重複しているかどうか(双方の効果について補正対象となっているかどうか)が、ステップ1301で取得した画像解析結果に基づいて判定される。エッジ効果と掃き寄せ効果のいずれもが“0”以外の値であった場合は、双方の効果についての補正対象画素であるものとして、ステップ1308に進む。一方、それ以外の場合は、ステップ1309へ進む。
ステップ1308では、ステップ1304で導出したエッジ効果用補正係数とステップ1306で導出した掃き寄せ効果用補正係数とが比較され、いずれが大きいかが判定される。そして、大きい方の補正係数が注目画素に適用する補正係数として決定される。すなわち、エッジ効果及び掃き寄せ効果の双方の効果が発生し得ると予測される場合には、エッジ効果用補正及び掃き寄せ効果用補正のうち補正量の大きい方の補正がなされることになる。判定の結果、エッジ効果用補正係数の方が大きければ、ステップ1312へ進む。掃き寄せ効果用補正係数の方が大きければ、ステップ1313に進む。
ステップ1309では、注目画素がエッジ効果と掃き寄せ効果の両方について補正対象外であるかどうかが、ステップ1301で取得した画像解析結果に基づいて判定される。エッジ効果と掃き寄せ効果のいずれについても値が“0”であった場合は、双方の効果について補正対象外の画素であるものとして、ステップ1311に進む。一方、それ以外の場合は、ステップ1310へ進む。
ステップ1310では、注目画素がエッジ効果と掃き寄せ効果のいずれの補正対象であるのかが、ステップ1301で取得した画像解析結果に基づいて判定される。エッジ効果についての値が“0”以外であった場合は、エッジ効果についての補正対象画素であるものとして、ステップ1312に進む。一方、掃き寄せ効果についての値が“0”以外であった場合は、掃き寄せ効果についての補正対象画素であるものとして、ステップ1313に進む。
ステップ1311では、いずれの効果についても補正を行う必要がないことから、注目画素に適用される露光量の補正係数として、補正をしないための補正係数“0”が設定される。
ステップ1312では、エッジ効果用補正係数の値が、注目画素に適用される補正係数として設定される。
ステップ1313では、掃き寄せ効果用補正係数の値が、注目画素に適用される補正係数として設定される。
ステップ1314では、入力画像内の全画素について補正係数が決定したかどうかが判定される。判定の結果、未処理の画素があればステップ1302に戻り、次の画素を注目画素とした処理が続行される。一方、全ての画素について補正係数が決定していれば、ステップ1315に進む。図18は、図11に示した画像領域1101に対して補正係数が設定される過程を示す図である。図18(a)は、エッジ効果についての補正対象画素(補正幅:5画素)として特定された画素と各画素についての各エッジ(白画素)からの距離を示した図であり、前述の図11(c)と同じである。補正対象画素には白画素からの距離を示す数字が付与されており、数字“0”は補正対象外の画素である。同様に、図18(b)は、掃き寄せ効果についての補正対象画素(補正幅:7画素)として特定された画素と各画素についての後端エッジ(後端部の白画素)からの距離を示した図である。そして、図18(c)は、図18(a)で示される各補正対象画素に対し設定されたエッジ効果用補正係数を示した図である。図18(d)は、図18(b)で示される各補正対象画素に対し設定された掃き寄せ効果用補正係数を示した図である。ステップ1308における判定処理などを経て、最終的には図18(e)に示すような補正係数が、各画素に対し設定されることになる。
ステップ1315では、各画素について設定された補正係数を用いて、それぞれの画素値を補正する処理が施される。その結果、露光量が補正された駆動信号によって、目標光量に対して100%の光量がPWM制御によって間引かれ、エッジ効果や掃き寄せ効果が低減するような所望の露光量に調整されることになる。
ここでは、入力画像の全画素についての補正係数を設定した後に露光量の補正を行っているが、注目画素単位での補正係数が決定した段階で順次露光量の補正を行ってもよい。また、この補正処理の工程の中に、入力画像内の画素のうちエッジ効果又は掃き寄せ効果によってトナーが過剰となる画素を特定する工程(前処理)が含まれてもよい。その際は、例えば入力画像内の画素のうち画素値が所定値以上の画素からなる所定領域を求め、当該所定領域の縁に位置する画素から所定の画素数の画素をエッジ効果或いは掃き寄せ効果によりトナーが過剰となる画素として特定するなどすればよい。
以上が、本実施例に係る、補正処理の内容である。そして、このようにして補正された画素値に基づいて、露光制御部250において駆動信号が生成される。この場合の駆動信号は、図4(a)に示すような露光間隔となり、1つの画素あたりのトナー量が削減される。
本実施例では、画像形成装置100のコントローラ140において補正処理(並びにその前処理)を行う例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ホストコンピュータ10で同様の処理を実行し、画像形成装置100に補正後の画像データを入力するようにしてもよい。
上述の通り本実施例においては、入力画像を構成する複数の画素のうちトナーのエッジ効果又は掃き寄せ効果が生じ得る画素の画素値を補正し、エッジ効果又は掃き寄せ効果を低減させている。これにより、トナーの過剰な消費が減少し、トナー消費量の削減が実現される。なお、副次的な効果として、トナー画像の濃度が入力画像データで期待される濃度と整合するようになり、画質面での向上にも繋がる。
以上の通り、本実施例によれば、画質の劣化を抑えつつ、エッジ効果や掃き寄せ効果に起因した余分なトナーの消費を抑制することができる。
[実施例2]
実施例1では、注目画素がエッジ効果と掃き寄せ効果の両方について補正対象となった場合に、補正係数(補正量)の大きい方を選択して露光量を補正する態様であった。続く実施例2及び実施例3では、プリンタエンジン特性に応じて注目画素に適用する補正内容を決定する態様について説明する。
まず、実施例2では、エッジ効果用補正と掃き寄せ効果用補正のうち、プリンタエンジンの特性に応じてより有効な方の補正処理を選択する態様について説明する。なお、実施例1と共通する部分については説明を省略ないしは簡略化し、以下では差異点を中心に説明するものとする。
図19は、本実施例に係る、補正処理の流れを示すフローチャートである。実施例1の図13のフローと同様、ROM220等に格納されたプログラムがRAM230に読み出され、これをCPU210が実行することにより実現される。CPU210は、ホストコンピュータ10からの印刷開始指示(ラスタ画像データの入力)を受けて、本フローチャートに係る処理を開始する。
ステップ1901では、エッジ効果用補正と掃き寄せ効果用補正のいずれの補正を優先して適用するのかの判定(優先モード判定)がなされる。この判定は、例えば予めエッジ効果若しくは掃き寄せ効果を低減させる補正処理の結果をプリンタエンジンの種別毎に調査し、当該調査結果に基づいて出荷時に設定された優先モード判定用フラグに基づいて行なう。 或いはユーザが予め或いは選択して設定しておき、起動時に優先モードが判定されるようにしてもよい。判定の結果、エッジ効果用補正が優先の場合は、ステップ1902へ進む。一方、掃き寄せ効果用補正が優先の場合は、ステップ1909へ進む。
ステップ1902では、入力画像のうち、処理対象とする注目画素が決定される。
ステップ1903では、エッジ効果用の補正パラメータ(補正対象画素数)及びエッジ効果用の画像解析結果(補正対象画素と各画素のエッジからの距離を特定した情報)が取得される。
ステップ1904では、ステップ1903で取得した画像解析結果に基づいて、注目画素がエッジ効果用補正の対象画素であるか否かが判定される。判定処理の詳細は、実施例1の図13のフローにおけるステップ1303で説明したとおりである。判定の結果、注目画素がエッジ効果用補正の対象画素であれば、ステップ1905に進む。一方、エッジ効果用補正の対象外の画素であれば、ステップ1906へ進む。
ステップ1905では、注目画素に対するエッジ効果用補正係数が導出される。この導出出処理の詳細は、実施例1の図13のフローにおけるステップ1304で説明したとおりである。
ステップ1906では、注目画素に適用される露光量の補正係数として、補正をしないための補正係数“0”が設定される。
ステップ1907では、エッジ効果用補正係数の値が、注目画素に適用される補正係数として設定される。
ステップ1908では、入力画像内の全画素について補正係数が決定したかどうかが判定される。判定の結果、未処理の画素があればステップ1902に戻り、次の画素を注目画素とした処理が続行される。一方、全ての画素について補正係数が決定していれば、ステップ1916に進む。
ステップ1909〜ステップ1915では、上述の各ステップにおける“エッジ効果”の部分を“掃き寄せ効果”に置き換えた処理がなされる。
ステップ1909では、入力画像のうち、処理対象とする注目画素が決定される。
ステップ1910では、掃き寄せ効果用の補正パラメータ(補正対象画素数)及び掃き寄せ効果用の画像解析結果(補正対象画素と各画素のエッジからの距離を特定した情報)が取得される。
ステップ1911では、ステップ1910で取得した画像解析結果に基づいて、注目画素が掃き寄せ効果用補正の対象画素であるか否かが判定される。判定処理の詳細は、実施例1の図13のフローにおけるステップ1305で説明したとおりである。判定の結果、注目画素が掃き寄せ効果用補正の対象画素であれば、ステップ1912に進む。一方、掃き寄せ効果用補正の対象外の画素であれば、ステップ1913へ進む。
ステップ1912では、注目画素に対する掃き寄せ効果用補正係数が導出される。この導出出処理の詳細は、実施例1の図13のフローにおけるステップ1306で説明したとおりである。
ステップ1913では、注目画素に適用される露光量の補正係数として、補正をしないための補正係数“0”が設定される。
ステップ1914では、掃き寄せ効果用補正係数の値が、注目画素に適用される補正係数として設定される。
ステップ1915では、入力画像内の全画素について補正係数が決定したかどうかが判定される。判定の結果、未処理の画素があればステップ1909に戻り、次の画素を注目画素とした処理が続行される。一方、全ての画素について補正係数が決定していれば、ステップ1916に進む。
ステップ1916では、各画素について設定された補正係数を用いて、それぞれの画素値を補正する処理が施される。その結果、露光量が補正された駆動信号によって、目標光量に対して100%の光量がPWM制御によって間引かれ、エッジ効果或いは掃き寄せ効果が低減するような所望の露光量に調整されることになる。
以上が、本実施例に係る、補正処理の内容である。そして、このようにして補正された画素値に基づいて、露光制御部250において駆動信号が生成される。
本実施例によれば、エッジ効果用補正と掃き寄せ効果用補正のうちプリンタエンジンの特性に応じてより有効な方の補正処理がなされ、それにより、画質の劣化を抑えつつ、エッジ効果や掃き寄せ効果に起因した余分なトナーの消費を抑制することができる。
[実施例3]
次に、注目画素がエッジ効果と掃き寄せ効果の両方について補正対象となった場合に、プリンタエンジン特性に応じて露光量補正係数を合成する態様について、実施例3として説明する。なお、実施例1と共通する部分については説明を省略ないしは簡略化し、以下では差異点を中心に説明するものとする。
図20は、本実施例に係る、補正処理の流れを示すフローチャートである。ステップ2001〜ステップ2006までの各ステップは、実施例1の図13のフローにおけるステップ1301〜ステップ1306にそれぞれ対応し、異なるところはないので説明を省略する。
ステップ2007では、注目画素においてエッジ効果と掃き寄せ効果の両方が重複しているかどうかが、ステップ2001で取得した画像解析結果に基づいて判定される。判定の結果、エッジ効果と掃き寄せ効果の双方の効果についての補正対象画素である場合は、ステップ2008に進む。一方、それ以外の場合は、ステップ2009へ進む。
ステップ2008では、ステップ2004及びステップ2006で導出した各補正係数に基づいて合成補正係数を導出する。具体的には、以下の式(1)を用いてエッジ効果用補正係数と掃き寄せ効果用補正係数とを合成して、合成補正係数を求める。
K=aE+bH ・・・(式1)
上記式(1)において、Kは合成補正係数、Eはエッジ効果用補正係数、Hは掃き寄せ効果用補正係数、aとbは重みづけ係数である。なお、重みづけ係数a,bは、プリンタエンジンの特性や周辺環境の情報に応じて予め決定されRAM230等に保持される。例えば、エッジ効果の是正を主として行ないたい場合にはa=0.8,b=0.5のように設定する。この場合において、例えばエッジ効果用補正係数Eが“0.5”、掃き寄せ効果用補正係数Hが“0.25”であったとすると、求められる合成補正係数Kの値は“0.525”となる。
ステップ2009〜ステップ2013までの各ステップは、実施例1の図13のフローにおけるステップ1309〜ステップ1313にそれぞれ対応し、異なるところはないので説明を省略する。
ステップ2014では、ステップ2008で導出された合成補正係数の値が、注目画素に適用される補正係数として設定される。
ステップ2015では、入力画像内の全画素について補正係数が決定したかどうかが判定される。判定の結果、未処理の画素があればステップ2002に戻り、次の画素を注目画素とした処理が続行される。一方、全ての画素について補正係数が決定していれば、ステップ2016に進む。
ステップ2016では、各画素について設定された補正係数を用いて、それぞれの画素値を補正する処理が施される。その結果、露光量が補正された駆動信号によって、目標光量に対して100%の光量がPWM制御によって間引かれ、注目画素によってはエッジ効果と掃き寄せ効果の双方が考慮された所望の露光量に調整されることになる。
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。