JP2019061191A - 塗布液の製造方法、偏光子の製造方法、および塗布液の製造装置 - Google Patents

塗布液の製造方法、偏光子の製造方法、および塗布液の製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】透明度の低下を抑制したポリビニルアルコール塗布液の製造方法を提供する。【解決手段】ポリビニルアルコール系樹脂を含む塗布液の製造方法であって、ポリビニルアルコール系樹脂を含む溶液を80℃以上で保温することと、80℃以上の溶液を40℃以下に冷却することと、冷却された溶液を塗布液として連続的に供給することと、塗布液の供給を停止するときに、冷却された溶液を80℃以上に加熱して保温することと、を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、塗布液の製造方法、偏光子の製造方法、および塗布液の製造装置に関する。
熱可塑性樹脂フィルムにポリビニルアルコール(PVA)を含む塗布液を塗布して乾燥させることにより熱可塑性樹脂フィルム上にPVA系樹脂層を形成し、この積層体を延伸、染色することにより、厚みの薄い偏光子を得る方法が提案されている(例えば、特許文献1)。上記のような偏光子の製造に用いられるPVA塗布液として、PVAを水に溶解させた後、10℃〜40℃の所定温度まで急冷することで、透明度と均一性に優れたPVA塗布液を得る方法が提案されている(特許文献2)。
特開2000−338329号公報 特許第5146091号公報
上記のようなPVA塗布液を用いて偏光子を大量生産する場合、代表的には、PVAを高温溶解して得られるPVA塗布液を、タンクで保温または徐冷し、フィルターでろ過した後、塗工ダイから熱可塑性樹脂フィルムに塗布する。しかしながら、例えばフィルターを交換する際に、PVA塗布液の供給を断続的に停止する必要が生じ得る。その結果、配管等の内部でPVA塗布液の滞留が発生し、PVA塗布液がゲル化して透明度が低下する場合がある。ゲル化により透明度が低下したPVA塗布液を用いて偏光子を製造すると、得られる偏光子の光学特性が悪化する場合がある。また、配管、ポンプ、および三方弁などにPVA塗布液が滞留すると、PVAが析出して核を形成し、局所的にゲル化する場合がある。さらに、配管内の接合部、および三方弁の切替部分などの気泡溜まりが生じやすい部分にPVA塗布液が長時間滞留すると、PVAが局所的にゲル化する場合がある。このように局所的にゲル化したPVA塗布液を熱可塑性樹脂フィルム上に塗布して積層体を形成した場合、上記の局所的なゲルが原因で、PVA系樹脂層の表面に凹凸状の欠点が発生する場合がある。このような積層体を用いて偏光子を製造すると、得られる偏光子に凹凸状の欠点および/または直交表示時の光抜け欠点が発生する場合がある。
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、透明度の低下、並びに局所的なゲルの発生および析出を抑制したポリビニルアルコール塗布液の製造方法、そのようなポリビニルアルコール塗布液を用いた偏光子の製造方法、およびポリビニルアルコール塗布液の製造装置を提供することにある。
本発明の塗布液の製造方法は、ポリビニルアルコール系樹脂を含む塗布液の製造方法であって、上記ポリビニルアルコール系樹脂を含む溶液を80℃以上で保温することと、80℃以上の上記溶液を40℃以下に冷却することと、冷却された上記溶液を塗布液として連続的に供給することと、上記塗布液の供給を停止するときに、冷却された上記溶液を80℃以上に加熱して保温することと、を含む。
1つの実施形態においては、上記冷却における冷却速度が1℃/分以上である。
本発明の別の局面によれば、偏光子の製造方法が提供される。この偏光子の製造方法は、上記塗布液を樹脂基材に塗布して乾燥することにより、上記樹脂基材上にポリビニルアルコール系樹脂層を形成することを含む。
本発明の別の局面によれば、塗布液の製造装置が提供される。この塗布液の製造装置は、ポリビニルアルコール系樹脂を含む塗布液の製造装置であって、上記ポリビニルアルコール系樹脂を含む溶液を80℃以上に保温する保温部と、80℃以上の上記溶液を40℃以下に冷却する冷却部と、冷却された上記溶液を塗布液として連続的に供給する供給部と、上記供給部による上記塗布液の供給を停止するときに、上記冷却部で冷却された上記溶液を80℃以上に加熱して上記保温部に戻す加熱循環部と、を有する。
本発明によれば、塗布液の供給を停止するときに、冷却された溶液を80℃以上に加熱して保温することにより、例えばフィルターの交換などにより溶液(塗布液)の供給を停止する場合であっても、溶液が配管などに滞留してゲル化することを抑制し得、その結果、溶液の透明度の低下を抑制し得る。また、局所的なゲルの発生を抑制し得、その結果、このようなポリビニルアルコール塗布液を製膜した場合の凹凸状の欠点を抑制し得る。
本発明の1つの実施形態による塗布液製造装置の構成を示す概略図である。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
A.塗布液の製造方法
本発明の1つの実施形態による塗布液の製造方法は、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂を含む塗布液の製造方法であり、PVA系樹脂を含む溶液を80℃以上で保温することと、80℃以上の溶液を40℃以下に冷却することと、冷却された溶液を塗布液として連続的に供給することと、塗布液の供給を停止するときに、冷却された溶液を80℃以上に加熱して保温することと、を含む。上記冷却における冷却速度は、好ましくは1℃/分以上である。上記塗布液は、代表的には偏光子の製造に用いられ得る。偏光子の製造方法は、B項で後述するように、塗布液を樹脂基材に塗布して乾燥することにより、樹脂基材上にポリビニルアルコール系樹脂層を形成することを含む。
図1は、本発明の1つの実施形態による塗布液製造装置の構成を示す概略図である。塗布液製造装置100は、塗布液の製造方法に好適に用いられ得る。塗布液製造装置100は、PVA系樹脂を含む溶液を80℃以上に保温する保温部10と、80℃以上の上記溶液を40℃以下に冷却する冷却部20と、冷却された上記溶液を塗布液として連続的に塗布部(図示せず)に供給する供給部30と、供給部30による塗布液の供給を停止するときに、冷却部で冷却された上記溶液を80℃以上に加熱して保温部10に戻す加熱循環部40と、を有する。保温部10と冷却部20と供給部30とは、代表的には、配管Pを介して直列に配置されている。1つの実施形態おいては、冷却部20と供給部30との間で配管Pが分岐しており、配管の分岐部には三方弁50が配置されている。分岐部から分岐した配管Pは、加熱循環部40を介して保温部10に連結されている。1つの実施形態においては、保温部10と冷却部20との間には、溶液を送液するポンプ60が配置され得る。供給部30は、溶液をろ過するフィルターを有し得る。上記の製造装置100によれば、例えばフィルターの交換などにより供給部30からの溶液(塗布液)の供給を停止する場合であっても、溶液が保温部10と分岐部との間の配管に滞留することを抑制し得、その結果、溶液のゲル化(局所的なゲル化を含む)を抑制し得る。
A−1.PVA系樹脂を含む溶液の調製
PVA系樹脂としては、任意の適切な樹脂が採用され得る。例えば、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体が挙げられる。ポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルをケン化することにより得られる。エチレン−ビニルアルコール共重合体は、エチレン−酢酸ビニル共重合体をケン化することにより得られる。PVA系樹脂のケン化度は、通常85モル%〜100モル%であり、好ましくは95.0モル%〜99.95モル%、さらに好ましくは99.0モル%〜99.93モル%である。ケン化度は、JIS K 6726−1994に準じて求めることができる。このようなケン化度のPVA系樹脂を用いることによって、耐久性に優れた偏光子が得られ得る。ケン化度が高すぎる場合には、ゲル化してしまうおそれがある。
PVA系樹脂の平均重合度は、目的に応じて適切に選択され得る。平均重合度は、通常1000〜10000であり、好ましくは1200〜4500、さらに好ましくは1500〜4300である。なお、平均重合度は、JIS K 6726−1994に準じて求めることができる。
PVA系樹脂を含む溶液は、代表的には、上記PVA系樹脂を溶媒に溶解させた溶液である。溶媒としては、例えば、水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドN−メチルピロリドン、各種グリコール類、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等のアミン類が用いられる。これらは単独で、または、二種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、好ましくは、水である。溶液のPVA系樹脂濃度は、溶媒100重量部に対して、好ましくは3重量部〜20重量部であり、より好ましくは5重量部〜15重量部であり、特に好ましくは7重量部〜12重量部である。このような樹脂濃度であれば、樹脂基材にPVA系樹脂を塗布して乾燥させた場合に、樹脂基材に密着した均一な塗布膜が設けられ得る。
上記溶液に、添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、可塑剤、界面活性剤等が挙げられる。可塑剤としては、例えば、エチレングリコールやグリセリン等の多価アルコールが挙げられる。界面活性剤としては、例えば、非イオン界面活性剤が挙げられる。これらは、樹脂基材にPVA系樹脂を塗布して乾燥させることによりPVA系樹脂層を作製した場合に、得られるPVA系樹脂層の均一性や染色性、延伸性をより一層向上させる目的で使用され得る。
上記溶液の粘度は、好ましくは100mPa・s〜10000mPa・sであり、より好ましくは300mPa・s〜5000mPa・sであり、さらに好ましくは500mPa・s〜3000mPa・sである。
上記PVA系樹脂を溶媒に溶解させる場合、代表的には、80℃以上の温度でPVA系樹脂と溶媒とを混合する。溶解時の温度は、好ましくは80℃以上であり、より好ましくは85℃〜95℃である。溶解時の温度が80℃を下回ると、PVA系樹脂が十分に溶解せず、均一な溶液が得られない場合がある。
1つの実施形態においては、常温の溶媒にPVA系樹脂を徐々に加え、攪拌してよく分散させ、膨潤させた後、攪拌を続けながら80℃以上の温度に昇温し、その温度でさらに所定時間攪拌を続ける。
PVA系樹脂を含む溶液を調製した後、上記溶液は保温部で保温され得る。
A−2.PVA系樹脂を含む溶液の保温
PVA系樹脂を含む溶液は、上記のとおり、80℃以上に保温される。1つの実施形態においては、上記溶液は保温部で80℃以上に保温される。上記溶液を保温するときの温度は、好ましくは80℃〜95℃であり、より好ましくは85℃〜90℃である。80℃以上で保温することにより、PVA系樹脂の析出およびゲル化を抑制し得る。保温時間は、好ましくは1時間〜48時間であり、より好ましくは3時間〜24時間である。好ましくは、上記溶液を攪拌しながら保温する。これにより、透明性と均一性に優れた溶液が得られ得る。保温部で保温されている溶液は、ポンプによって連続的に冷却部に供給され得る。上記保温部の容量は特に限定されず、用途に応じて適切に設定され得る。
A−3.PVA系樹脂を含む溶液の冷却
PVA系樹脂を含む溶液は、上記のとおり、80℃以上に保温された後、40℃以下に冷却される。1つの実施形態においては、上記溶液は冷却部で40℃以下に冷却される。冷却温度(冷却後の上記溶液の温度)は、好ましくは10℃〜40℃であり、より好ましくは20℃〜30℃である。冷却温度が40℃を上回ると、そこから室温まで徐冷されてしまうため、ゲル化および再析出が生じ得る。一方、冷却温度が10℃を下回ると、PVA系樹脂の水に対する溶解度が不十分となり、PVA系樹脂の再析出が生じ得る。
冷却速度は、上記のとおり、好ましくは1℃/分以上である。冷却速度は、より好ましくは1℃/分〜10℃/分であり、さらに好ましくは1℃/分〜5℃/分である。これにより、PVA系樹脂の析出およびゲル化を抑制し得る。なお、冷却速度は、以下の式で表わされる。
冷却速度=(冷却開始時の溶液の温度−冷却終了時の溶液の温度)/冷却時間
冷却速度は、冷却開始から冷却終了まで一定であってもよいし、変化していてもよいが、好ましくは、途中で温度がほぼ一定に保たれる状態や温度が一時的に上がる状態がないように冷却する。すなわち、好ましくは、時間変化に伴って連続的に温度が下がるように冷却する。
冷却部としては、任意の適切な構成を採用し得る。代表的には熱交換器を採用し得る。例えば、上記溶液を入れたタンクの周囲に冷却用の配管を巡らせ、その配管に冷媒を流しながら強制的に冷却する構成、上記タンクの中に冷却用の配管を配置し、そこに冷媒を流しながら強制的に冷却する構成が挙げられる。冷媒としては、氷水、鹹水(塩水)などが挙げられる。
A−4.塗布液の供給
PVA系樹脂を含む溶液は、上記のとおり、40℃以下に冷却された後、塗布液として連続的に供給される。1つの実施形態においては、上記溶液は供給部から塗布部に連続的に供給される。供給速度は特に限定されず、塗工幅およびライン速度(塗工速度)に応じて適切に設定され得る。
塗布部としては、任意の適切な塗布方法で塗工が可能な塗工機が採用され得る。塗布方法の例としては、ロールコート法、スピンコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、ダイコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ナイフコート法(コンマコート法等)が挙げられる。塗工機としては、上記の塗布方法で塗工が可能な塗工機が採用され得、代表的には塗工ダイである。塗布部による塗布量は特に限定されず、塗工幅およびライン速度(塗工速度)に応じて適切に設定され得る。
1つの実施形態においては、供給部はフィルターを有しており、上記溶液を、フィルターを用いてろ過してから、塗布液として供給する。これにより、上記溶液から気泡および異物が除去され得る。フィルターとしては、任意の適切なフィルターを採用し得る。好ましくは、デプスタイプフィルターが用いられ得る。デプスタイプフィルターの具体例としては、ろ材の形態によって、糸を円筒コアに巻いた糸巻きタイプ、不織布を円筒コアに巻き付けた不織布積層タイプ、スポンジのような樹脂成形品を用いる樹脂成形タイプが挙げられる。
A−5.冷却された溶液の加熱
塗布液の供給を停止するときに、冷却された溶液は、上記のとおり、80℃以上に加熱して保温される。1つの実施形態においては、上記溶液は加熱循環部により加熱される。上記溶液を加熱および保温するときの温度は、好ましくは80℃〜95℃であり、より好ましくは85℃〜90℃である。80℃以上に加熱された溶液は、再度保温された後、40℃以下に冷却され、その後、塗布液として供給され得る。
1つの実施形態においては、加熱循環部は、冷却部に冷却された溶液を80℃以上に加熱し、保温部に戻す。すなわち、上記溶液の供給を停止するとき、上記溶液を再度80℃以上に加熱するとともに、配管により循環する。これにより、例えば、フィルターの交換などにより塗布液(溶液)の供給を停止する場合であっても、溶液が配管などに滞留することを抑制し得、その結果、溶液のゲル化を抑制し得る。
代表的には、冷却後の溶液を上記供給部に供給する配管が分岐しており、分岐部に三方弁が配置されており、三方弁の開放を切り替えることにより、溶液が供給部に送られ、または、加熱に供される。
加熱循環部としては、任意の適切な構成を採用し得る。代表的には熱交換器を採用し得る。
B.塗布液の用途
A項に記載の製造方法により得られる塗布液は、偏光子の製造に用いられ得る。偏光子の製造方法は、上記塗布液を樹脂基材に塗布して乾燥することにより樹脂基材上にポリビニルアルコール系樹脂層を形成して積層体とすることと、上記積層体に、PVA系樹脂層を偏光子とするための所定の処理を施すことを含み得る。上記所定の処理としては、例えば、染色処理、延伸処理、不溶化処理、架橋処理、洗浄処理、乾燥処理が挙げられる。これらの処理は、目的に応じて適宜選択され得る。また、処理順序、処理のタイミング、処理回数等、適宜設定され得る。以下、各々の処理について説明する。
B−1.樹脂基材の準備
上記樹脂基材は、代表的には、熱可塑性樹脂で形成される。熱可塑性樹脂としては、任意の適切な樹脂が用いられる。例えば、(メタ)アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂、ノルボルネン系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。好ましくは、ポリエステル系樹脂が用いられる。中でも、非晶質の(結晶化していない)ポリエチレンテレフタレート系樹脂が好ましく用いられる。特に、非晶性の(結晶化しにくい)ポリエチレンテレフタレート系樹脂が特に好ましく用いられる。非晶性のポリエチレンテレフタレート系樹脂の具体例としては、ジカルボン酸としてイソフタル酸をさらに含む共重合体や、グリコールとしてシクロヘキサンジメタノールをさらに含む共重合体が挙げられる。
樹脂基材のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは170℃以下である。このような樹脂基材を用いることにより、PVA系樹脂層の結晶化を抑制しながら、積層体の延伸性を十分に確保することができる。さらに、水による樹脂基材の可塑化と、水中延伸を良好に行うことを考慮すると、120℃以下であることがより好ましい。1つの実施形態においては、樹脂基材のガラス転移温度は、好ましくは60℃以上である。このような樹脂基材を用いることにより、上記PVA系樹脂を含む塗布液を塗布・乾燥する際に、樹脂基材が変形(例えば、凹凸やタルミ、シワ等の発生)するなどの不具合を防止して、良好に積層体を作製することができる。また、PVA系樹脂層の延伸を、好適な温度(例えば、60℃〜70℃程度)にて良好に行うことができる。別の実施形態においては、PVA系樹脂を含む塗布液を塗布・乾燥する際に、樹脂基材が変形しなければ、60℃より低いガラス転移温度であってもよい。なお、樹脂基材のガラス転移温度は、例えば、構成材料に変性基を導入する、結晶化材料を用いて加熱することにより調整することができる。ガラス転移温度(Tg)は、JIS K 7121に準じて求められる値である。
1つの実施形態においては、樹脂基材は、吸水率が0.2%以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.3%以上である。このような樹脂基材は水を吸収し、水が可塑剤的な働きをして可塑化し得る。その結果、水中延伸において延伸応力を大幅に低下させることができ、延伸性に優れ得る。一方、樹脂基材の吸水率は、好ましくは3.0%以下、さらに好ましくは1.0%以下である。このような樹脂基材を用いることにより、製造時に樹脂基材の寸法安定性が著しく低下して、得られる積層体の外観が悪化するなどの不具合を防止することができる。また、水中延伸時に破断したり、樹脂基材からPVA系樹脂層が剥離したりするのを防止することができる。なお、吸水率は、JIS K 7209に準じて求められる値である。
樹脂基材の厚みは、好ましくは20μm〜300μm、より好ましくは30μm〜200μmである。
樹脂基材には、予め、表面処理(例えば、コロナ処理等)が施されていてもよい。樹脂基材とPVA系樹脂層との密着性を向上させることができるからである。
B−2.PVA系樹脂層の形成
樹脂基材上にPVA系樹脂層を形成する方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。好ましくは、上記A項に記載の方法で得られる塗布液を樹脂基材上に塗布し、乾燥することにより、PVA系樹脂層を形成する。
塗布液の塗布方法としては、任意の適切な方法を採用することができる。例えば、ロールコート法、スピンコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、ダイコート法、カーテンコート法、スプレコート法、ナイフコート法(コンマコート法等)等が挙げられる。
上記塗布液を、乾燥後のPVA系樹脂層の厚みが、好ましくは、3μm〜40μm、さらに好ましくは3μm〜20μmとなるように塗布する。上記塗布液の塗布・乾燥温度は、好ましくは50℃以上である。
B−3.空中延伸処理
空中補助延伸の延伸方法は、固定端延伸(たとえば、テンター延伸機を用いて延伸する方法)でもよいし、自由端延伸(たとえば、周速の異なるロール間に積層体を通して一軸延伸する方法)でもよい。一つの実施形態においては、空中延伸処理は、上記積層体をその長手方向に搬送しながら、熱ロール間の周速差により延伸する熱ロール延伸工程を含む。空中延伸処理は、代表的には、ゾーン延伸工程と熱ロール延伸工程とを含む。なお、ゾーン延伸工程と熱ロール延伸工程の順序は限定されず、ゾーン延伸工程が先に行われてもよく、熱ロール延伸工程が先に行われてもよい。ゾーン延伸工程は省略されてもよい。1つの実施形態においては、ゾーン延伸工程および熱ロール延伸工程がこの順に行われる。
積層体の延伸温度は、樹脂基材の形成材料等に応じて、任意の適切な値に設定することができる。空中延伸処理における延伸温度は、好ましくは樹脂基材のガラス転移温度(Tg)以上であり、さらに好ましくは樹脂基材のガラス転移温度(Tg)+10℃以上、特に好ましくはTg+15℃以上である。一方、積層体の延伸温度の上限は、好ましくは170℃である。このような温度で延伸することで、PVA系樹脂の結晶化が急速に進むのを抑制して、当該結晶化による不具合(例えば、延伸によるPVA系樹脂層の配向を妨げる)を抑制することができる。
積層体の延伸倍率は、樹脂基材の形成材料等に応じて、任意の適切な値に設定することができる。空中延伸処理における延伸倍率は、好ましくは1.5倍以上3.0倍以下である。
B−4.不溶化処理
上記不溶化処理は、代表的には、ホウ酸水溶液にPVA系樹脂層を浸漬することにより行う。不溶化処理を施すことにより、PVA系樹脂層に耐水性を付与することができる。当該ホウ酸水溶液の濃度は、水100重量部に対して、好ましくは1重量部〜4重量部である。不溶化浴(ホウ酸水溶液)の液温は、好ましくは20℃〜50℃である。好ましくは、不溶化処理は、水中延伸や染色処理の前に行う。
B−5.染色処理
上記染色処理は、代表的には、PVA系樹脂層を二色性物質で染色することにより行う。好ましくは、PVA系樹脂層に二色性物質を吸着させることにより行う。当該吸着方法としては、例えば、二色性物質を含む染色液にPVA系樹脂層(積層体)を浸漬させる方法、PVA系樹脂層に当該染色液を塗工する方法、当該染色液をPVA系樹脂層に噴霧する方法等が挙げられる。好ましくは、染色液に積層体を浸漬させる方法である。二色性物質が良好に吸着し得るからである。
上記二色性物質としては、例えば、ヨウ素、有機染料が挙げられる。これらは単独で、または、二種以上組み合わせて用いることができる。二色性物質は、好ましくは、ヨウ素である。二色性物質としてヨウ素を用いる場合、上記染色液は、好ましくは、ヨウ素水溶液である。ヨウ素の配合量は、水100重量部に対して、好ましくは0.05重量部〜5.0重量部である。ヨウ素の水に対する溶解度を高めるため、ヨウ素水溶液にヨウ化物を配合することが好ましい。ヨウ化物としては、例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタン等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、ヨウ化カリウムである。ヨウ化物の配合量は、水100重量部に対して、好ましくは0.3重量部〜15重量部である。
染色液の染色時の液温は、好ましくは20℃〜40℃である。染色液にPVA系樹脂層を浸漬させる場合、浸漬時間は、好ましくは10秒〜300秒である。このような条件であれば、PVA系樹脂層に十分に二色性物質を吸着させることができる。また、染色条件(濃度、液温、浸漬時間)は、最終的に得られる偏光子の偏光度もしくは単体透過率が所定の範囲となるように、設定することができる。1つの実施形態においては、得られる偏光子の偏光度が99.98%以上となるように、浸漬時間を設定する。別の実施形態においては、得られる偏光子の単体透過率が40%程度となるように、浸漬時間を設定する。
B−6.架橋処理
上記架橋処理は、代表的には、ホウ酸水溶液にPVA系樹脂層(積層体)を浸漬することにより行う。架橋処理を施すことにより、PVA系樹脂層に耐水性を付与することができる。当該ホウ酸水溶液の濃度は、水100重量部に対して、好ましくは1重量部〜5重量部である。また、上記染色処理後に架橋処理を行う場合、さらに、ヨウ化物を配合することが好ましい。ヨウ化物を配合することにより、PVA系樹脂層に吸着させたヨウ素の溶出を抑制することができる。ヨウ化物の配合量は、水100重量部に対して、好ましくは1重量部〜5重量部である。ヨウ化物の具体例は、上述のとおりである。架橋浴(ホウ酸水溶液)の液温は、好ましくは20℃〜60℃である。好ましくは、架橋処理は水中延伸処理の前に行う。好ましい実施形態においては、空中延伸処理、染色処理および架橋処理をこの順で行う。
B−7.水中延伸処理
水中延伸処理における延伸方法としては、任意の適切な方法を採用することができる。具体的には、固定端延伸(例えば、テンター延伸機を用いる方法)でもよいし、自由端延伸(例えば、周速の異なるロール間に積層体を通して一軸延伸する方法)でもよい。また、同時二軸延伸(例えば、同時二軸延伸機を用いる方法)でもよいし、逐次二軸延伸でもよい。積層体の延伸は、一段階で行ってもよいし、多段階で行ってもよい。多段階で行う場合、積層体の延伸倍率(最大延伸倍率)は、各段階の延伸倍率の積である。
積層体の延伸方向としては、任意の適切な方向を選択することができる。1つの実施形態においては、長尺状の積層体の長手方向に延伸する。具体的には、積層体を長手方向に搬送し、その搬送方向(MD)である。別の実施形態においては、長尺状の積層体の幅方向に延伸する。具体的には、積層体を長手方向に搬送し、その搬送方向(MD)と直交する方向(TD)である。
積層体の延伸温度は、樹脂基材の形成材料、延伸方式等に応じて、任意の適切な値に設定することができる。延伸温度は、好ましくは40℃〜85℃、より好ましくは50℃〜85℃である。このような温度であれば、PVA系樹脂層の溶解を抑制しながら高倍率に延伸することができる。具体的には、上述のように、樹脂基材のガラス転移温度(Tg)は、PVA系樹脂層の形成との関係で、好ましくは60℃以上である。この場合、延伸温度が40℃を下回ると、水による樹脂基材の可塑化を考慮しても、良好に延伸できないおそれがある。一方、延伸浴の温度が高温になるほど、PVA系樹脂層の溶解性が高くなって、優れた光学特性が得られないおそれがある。
水中延伸は、好ましくは、ホウ酸水溶液中に積層体を浸漬して行う(ホウ酸水中延伸)。延伸浴としてホウ酸水溶液を用いることで、PVA系樹脂層に、延伸時にかかる張力に耐える剛性と、水に溶解しない耐水性とを付与することができる。具体的には、ホウ酸は、水溶液中でテトラヒドロキシホウ酸アニオンを生成してPVA系樹脂と水素結合により架橋し得る。その結果、PVA系樹脂層に剛性と耐水性とを付与して、良好に延伸することができ、優れた光学特性(例えば、偏光度)を有する偏光子を作製することができる。
上記ホウ酸水溶液は、好ましくは、溶媒である水にホウ酸および/またはホウ酸塩を溶解させることにより得られる。ホウ酸濃度は、水100重量部に対して、好ましくは1重量部〜10重量部である。ホウ酸濃度を1重量部以上とすることにより、PVA系樹脂層の溶解を効果的に抑制することができ、より高特性の偏光子を作製することができる。なお、ホウ酸またはホウ酸塩以外に、ホウ砂等のホウ素化合物、グリオキザール、グルタルアルデヒド等を溶媒に溶解して得られた水溶液も用いることができる。
染色処理により、予め、PVA系樹脂層に二色性物質(代表的には、ヨウ素)が吸着されている場合、好ましくは、上記延伸浴(ホウ酸水溶液)にヨウ化物を配合する。ヨウ化物を配合することにより、PVA系樹脂層に吸着させたヨウ素の溶出を抑制することができる。ヨウ化物としては、例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタン等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、ヨウ化カリウムである。ヨウ化物の濃度は、水100重量部に対して、好ましくは0.05重量部〜15重量部、より好ましくは0.5重量部〜8重量部である。
積層体の延伸倍率(最大延伸倍率)は、積層体の元長に対して、代表的には4.0倍以上、好ましくは5.0倍以上である。このような高い延伸倍率は、例えば、水中延伸方式(ホウ酸水中延伸)を採用することにより、達成し得る。なお、本明細書において「最大延伸倍率」とは、積層体が破断する直前の延伸倍率をいい、別途、積層体が破断する延伸倍率を確認し、その値よりも0.2低い値をいう。
好ましくは、水中延伸処理は染色処理の後に行う。
B−8.洗浄処理
上記洗浄処理は、代表的には、ヨウ化カリウム水溶液にPVA系樹脂層を浸漬させることにより行う。
B−9.乾燥処理
乾燥処理における乾燥温度は、好ましくは30℃〜100℃である。
得られる偏光子は、実質的には、二色性物質が吸着配向されたPVA系樹脂膜である。偏光子の厚みは、好ましくは10μm以下、さらに好ましくは7μm以下、特に好ましくは5μm以下である。偏光子は、好ましくは、波長380nm〜780nmのいずれかの波長で吸収二色性を示す。偏光子は、単体透過率42%以上において偏光度が99.9%以上であることが好ましい。偏光子は、少なくとも片側に保護フィルムを配置された偏光板として用いられ得る。この保護フィルムとしては、上記樹脂基材をそのまま用いてもよいし、上記樹脂基材とは別のフィルムを用いてもよい。保護フィルムの形成材料としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂等のエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、これらの共重合体樹脂等が挙げられる。保護フィルムの厚みは、好ましくは10μm〜100μmである。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
<製造例1>
1.樹脂基材の準備
非晶質ポリエチレンテレフタレート樹脂(A−PET)を厚み200μmの長尺状に製膜し、A−PET基材を得た。
水系ウレタン樹脂(第一工業製薬(株)製、商品名:スーパーフレックス210R、固形分:35%)、オキサゾリン系架橋剤(日本触媒(株)製、商品名:エポクロスWS700、固形分:25%)、導電材(アグファ製、商品名:オルガコンLBS、固形分:1.2%)、濃度1%のアンモニア水および水を、重量比9.03:1.00:18.1:0.060:39.5で混合した混合液を調製した。
得られた混合液を、A−PET基材の一方の面に塗布して乾燥させることにより、A−PET基材の表面に帯電防止層を形成した。帯電防止層の厚みは1μmであった。
続いて、帯電防止層を形成したA−PET基材をその長手方向に搬送しながら、115℃で横方向に2.3倍に延伸した。そののち両端部をスリットで除去することにより、塗布用の樹脂基材を得た。
2.PVA系樹脂を含む溶液の調製
室温でPVA(重合度:4200、ケン化度:99.2モル%)と純水とを混合し、撹拌しながら95℃に昇温し保持することによりPVAを溶解し、PVAを含む溶液を調製した。
<参考例1>
製造例1の溶液を塗布液として供給し、樹脂基材の帯電防止層が設けられた面とは反対側の面に塗布することにより、PVA系樹脂層を形成した。塗布液の供給は、図1に示す構成の装置を用いて以下のとおり行った。
第一に、上記溶液を保温部10に送液し、保温部にて90℃で保持した。続いて、冷却部20にて熱交換器を介して溶液を冷却した。冷却された溶液の温度は25℃であった。続いて、三方弁50を介して、冷却された溶液を供給部30に送液した。供給部では、フィルターを介して溶液を塗布液としてスロットダイ(塗布部)に供給し、スロットダイにより樹脂基材に塗布した。これを60℃で乾燥して、樹脂基材上に厚み10μmのPVA系樹脂層が形成された積層体1を得た。
<実施例1>
製造例1の溶液を循環させたのち、塗布液として供給したこと以外は参考例1と同様にして積層体を得た。具体的には、以下のとおりである。
三方弁を切り替えて溶液が加熱循環部40に送液されるようした(同時に、供給部による塗布液の供給は中止される)。加熱循環部では熱交換機を用いて25℃の溶液を90℃に昇温し、再び保温部に送液し、(1)保温部(2)冷却部(3)加熱循環部(1)保温部・・・の順に溶液を10時間連続して循環させた。その後、溶液が供給部に送液されるように三方弁を切り替え、参考例1と同様にして塗布液を樹脂基材に塗布し、乾燥することにより、積層体2を得た。なお、溶液を10時間循環させている間に、供給部からスロットダイの間の配管およびスロットダイなどはきれいに清掃し、また、フィルターを新品に交換した。
<比較例1>
製造例1の溶液を滞留させたのち、塗布液として供給したこと以外は参考例1と同様にして積層体を得た。具体的には、以下のとおりである。
三方弁を閉じてポンプを停止し、加熱循環部および供給部のいずれにも溶液が送液されないようにし (すなわち、溶液を滞留させた)、この状態で10時間放置した。その後、再びポンプを起動し、溶液が供給部に送液されるように三方弁を開き、参考例1と同様にして塗布液を樹脂基材に塗布し、乾燥することにより、積層体3を得た。なお、溶液を10時間滞留させている間に、供給部からスロットダイの間の配管およびスロットダイなどはきれいに清掃し、また、フィルターを新品に交換した。
<評価>
参考例、実施例、および比較例の各積層体について、PVAのゲル由来の凹凸状欠点の数を以下のとおり評価した。
まず、積層体の凹凸状の欠点を目視確認し、欠点場所をマーキングした。目視により確認された欠点を欠点Aとする。
続いて、この欠点Aを顕微鏡観察し、欠点Aを、PVA系樹脂層中に気泡または異物が確認できたものと、確認できなかったものとに分類した。欠点Aのうち、PVA系樹脂層中に気泡または異物が確認できなかったものを欠点Bとした。
PVA系樹脂層を剥離して樹脂基材の表面を目視確認し、欠点Bを、樹脂基材の表面において上記マーキングに対応する位置に凹凸状欠点が確認できたものと、確認できなかったものとに分類した。欠点Bのうち、樹脂基材の表面において上記マーキングに対応する位置に凹凸状欠点が確認できなかったものを欠点Cとした。
欠点Cは、樹脂基材の表面形状、およびPVA系樹脂層中の気泡や異物に由来しない凹凸状の欠点であり、PVAの局所的なゲルによる欠点であると考えられる。この欠点Cの数を、PVAのゲル由来の凹凸状欠点の数とした。
各積層体におけるPVAのゲル由来の凹凸状欠点の数は以下のとおりであった。
積層体1(参考例1)・・・2個/m
積層体2(実施例1)・・・3個/m
積層体3(比較例1)・・・16個/m
上記の結果から分かるように、溶液を滞留させたのち塗布液として供給して作製した比較例1の積層体では、溶液を循環および滞留させることなく塗布液として供給して作製した参考例1の積層体に比べて、多数のゲル由来の凹凸状欠点が発生した。これに対して、溶液を循環させたのち塗布液として供給して作製した実施例1の積層体の凹凸状欠点の数は、参考例1の積層体の凹凸状欠点の数と大差がなかった。
本発明の製造方法および製造装置で得られる塗布液は、偏光子の製造に好適に用いられ、上記偏光子は、例えば、画像表示装置に好適に用いられる。
10 保温部
20 冷却部
30 供給部
40 加熱循環部
100 塗布液の製造装置

Claims (4)

  1. ポリビニルアルコール系樹脂を含む塗布液の製造方法であって、
    前記ポリビニルアルコール系樹脂を含む溶液を80℃以上で保温することと、
    80℃以上の前記溶液を40℃以下に冷却することと、
    冷却された前記溶液を塗布液として連続的に供給することと、
    前記塗布液の供給を停止するときに、冷却された前記溶液を80℃以上に加熱して保温することと、を含む塗布液の製造方法。
  2. 前記冷却における冷却速度が1℃/分以上である、請求項1に記載の塗布液の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の製造方法により得られた塗布液を樹脂基材に塗布して乾燥することにより、前記樹脂基材上にポリビニルアルコール系樹脂層を形成することを含む、偏光子の製造方法。
  4. ポリビニルアルコール系樹脂を含む塗布液の製造装置であって、
    前記ポリビニルアルコール系樹脂を含む溶液を80℃以上に保温する保温部と、
    80℃以上の前記溶液を40℃以下に冷却する冷却部と、
    冷却された前記溶液を塗布液として連続的に供給する供給部と、
    前記供給部による前記塗布液の供給を停止するときに、前記冷却部で冷却された前記溶液を80℃以上に加熱して前記保温部に戻す加熱循環部と、を有する塗布液の製造装置。
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